説明

組み立て、分解が自在なペット類用ケージ

【課題】地震や河川の氾濫その他の災害時に、避難してきた大量の犬や猫その他のペット類を緊急に収容して保育することに適する、組み立て、分解が自在なペット類用ケージを提供する。
【解決手段】中心位置に立てる中心柱1と、その外周を取り巻く配置に立てる複数の周辺柱2と、周辺柱2、2が相隣接する2本の間を周方向に連結する周辺枠3と、中心柱1と各周辺柱2とを放射状に連結する上下の放射枠4、4’と、周辺柱2の隣り合う2本と周辺枠3とが形成する外周枠面を遮蔽する外周面材5と、中心柱1と周辺柱2及び放射枠4、4’とが形成する枠面を遮蔽する縦仕切り材6と、及び屋根材7とで構成されている。外周面材5は周辺柱2、2へ取付け可能な連結具5aを備え、外周面材5の少なくとも一側の縦縁部の連結具5aを周辺柱2から外してペット類を出入りさせる開口を形成する構成であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、主には地震や河川の氾濫その他の災害時に、避難してきた大量の犬や猫その他のペット類を緊急に収容して保育することに適する、組み立て、分解が自在なペット類用ケージの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
地震や河川の氾濫のような災害時には、人間と共に犬や猫などのペット類も一緒に学校や公民館などへ避難させる。しかし、避難場所では、人間と犬や猫などのペット類との生活圏は分離する必要がある。そのため緊急時に犬や猫などペット類専用の避難施設や設備の必要性が切実である。特に避難生活が長くなるほどに、そうした要請が強くなる。しかし、従来、大量の犬や猫などのペット類を、緊急避難の場所で、一箇所に集めて収容し保育するのに適切な施設や設備は見当たらない。とりわけ緊急の用に役立つように、運搬と組み立て、及び分解撤去並びに保管に至便の施設や設備が無いことが不便であり、解決課題になっている。
【0003】
従来技術として、例えば下記の特許文献1に記載された「組立式動物保育ケージ装置」が公知である。この保育ケージ装置は、分解された状態の各構成部材をフレームへ着脱することにより組み立てる構成であり、2個以上の立方体空間部を画成する構成と認められる。しかし、縦型(垂直型)の構成であれ、横型(水平型)の構成であっても、出入り口が一方側に集中した構成であるため、その出入り口は必ず開放側に向けて設置しなければならない。よって、必然的に壁際等へ寄せ付けて設置することになり、設置場所の選定に制約を受けるし、設置場所の利用効率が悪い。特に地震や出水などの大災害が発生した場合の避難場所は限定されており、狭い場所に大勢が集中するから、ペット類のケージ装置を設置する場所も狭く限定される。
その上、大量のペット類を集中的に収容する場合でも、1匹ずつ区分して個別に収容することが望まれるが、こうした要請に照らすと、特許文献1に記載された組立式動物保育ケージ装置のペット収容能力は余りにも小さく、実用的といえない。また、立方体ないし直方体形状に構成されたケージは、負荷の方向によっては構造的強度が意外に低く、災害時の安全性確保に備えるためには補強し強度を高めた上で使用する必要が認められる。
更に、この組立式動物保育ケージ装置は、構成部品の種類が多すぎて、組み立ての手順が難しく、手数がかかるので、緊急時の用には適さない、という問題点も認められる。
【0004】
次に、下記の特許文献2に開示された「簡易畜舎の構造」は、中央の支柱を取り囲む配置で外周部に複数の枠柱を立て、各枠柱は斜めの屋根枠で中央の支柱と放射方向に連結する。枠柱同士は周方向の横枠で連結して一見テント型の構造に組み立て、その屋根及び側壁にポリシートを取り付ける構成と認められる。これは一見合理的構造と思われるが、畜舎内に仕切りが無いから、牛や馬、豚などの家畜の飼育ならばともかく、犬や猫などのペット類は混在させて収容することに適さないので、飼い主はとても安心して預けられない構成である。
また、このテント型の畜舎構造は、適切な工具類が揃っていないと、とても組み立て作業を進め難く、地震や河川の氾濫のような災害時の緊急用として役立つ構成とは認め難い。しかも、このテント型の畜舎構造は、強風や大雨のような悪天候に対して安心して使用できる安定性、安全性を認め難く、小さな犬や猫などのペット類が安心して落ち着ける保育場所を提供する構成とは言い難い。
次に、下記の特許文献3に開示されたペット用篭は、特定のペットを1匹収納し保育する構成と認められる。地震や河川の氾濫のような災害時に集合してきた多数の犬や猫などのペット類を収納して保育する用にはとても役立たない構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公昭63−43898号公報
【特許文献2】実公昭64−2625号公報
【特許文献2】実用新案登録第3011251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したとおり、犬や猫などのペット類を収納して保育できる組立式の動物保育ケージ装置は、一応種々公知ではあるが、地震や河川の氾濫のような災害時に、緊急の用に役立つ施設や設備とは認め難い。とりわけ大量の収容能力が有って、しかもペット類を個別に収納して保育することができ、そして、緊急避難時に速やかに使用できるだけの簡便性と利便性、即ち、運搬と組み立てが容易で、工具類が格別揃っていなくとも容易に軽便に組み立て作業ができて、短時間に使用可能に組み立てられ、用済み後には解体・撤去して運搬、保管することに適する、組み立て、分解が自在な構成のペット類保育ケージ装置は見当たらない。
【0007】
本発明の目的は、犬や猫などのペット類を多数収容する大きな容量があり、しかも各ペットは個別に収容して保育できる構成であり、狭く限定された場所でも比較的小さな占有スペースで設備でき、勿論、暴風や大雨の悪天候にも耐える強度と安定性、安全性を備えた構成であり、格別に工具類が揃っていなくとも、誰でも容易に軽便に組み立てて使用することができ、緊急時の用に役立つことは勿論のこと、用済み後には簡単に分解して撤去でき、運搬と保管が容易な構成とした、組み立て、分解が自在なペット類用ケージを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した従来技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る組み立て、分解が自在なペット類用ケージは、
中心位置に立てる中心柱1と、その外周を取り巻く配置に立てる複数の周辺柱2と、前記周辺柱2、2が相隣接する2本の間を周方向に連結する周辺枠3と、前記中心柱1と各周辺柱2とを放射状に連結する上下の放射枠4、4’と、前記周辺柱2の隣り合う2本と前記周辺枠3とが形成する外周枠面を遮蔽する外周面材5と、前記中心柱1と周辺柱2及び放射枠4、4’とが形成する枠面を遮蔽する縦仕切り材6と、及び屋根材7とで構成され、
前記中心柱1は前記放射枠4及び4’の中心側端部を連結可能な連結板8、9を備え、また、前記周辺柱2は前記周辺枠3の端部又は放射枠4の外周側端部若しくはその両方を連結可能な連結板10を備えており、
更に前記縦仕切り材6は鉛直方向の上下に相対峙する上下の放射枠4、4’の間へ建て込む構成であり、
前記外周面材5は前記周辺柱2、2へ取付け可能な連結具5aを備え、前記外周面材5の少なくとも一側の縦縁部の連結具5aを周辺柱2から外してペット類を出入りさせる開口を形成する構成であることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載した発明は、上記請求項1に記載した組み立て、分解が自在なペット類用ケージにおいて、
上下の放射枠4又は4’の中心側端部を中心柱1と連結させる上下の連結板8、9は、それぞれ中心柱1を通すソケット8a又は9aを中心とする円周を放射枠4又は4’の本数分で等分した位置毎に垂直上向きの軸8b、9bを備え、放射枠4又は4’の中心側端部は連結板8、9上へ載せる方向に前記軸8b、9bへ嵌め込み連結されることを特徴とする。
請求項3に記載した発明は、上記請求項1に記載した組み立て、分解が自在なペット類用ケージにおいて、
各周辺柱2の上下の連結板10、11は周辺柱2を通すソケット10aを有し、少なくとも内周側の中央位置には放射枠4又は4’の外周側端部を連結する垂直上向きの軸10c又は11bを備え、放射枠の外周側端部は連結板10、11上へ載せる方向に前記軸10c又は11bへ嵌め込み連結されることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載した発明は、上記請求項1〜3のいずれか一に記載した組み立て、分解が自在なペット類用ケージにおいて、
中心柱1は、ペット類の保育室を中間高さの位置で上下に仕切る水平な中仕切り板13の中心側端部を連結して支持させる中間連結板14を備え、該中間連結板14は中心柱1を通すソケット14aを中心とする円周を中仕切り板13の枚数分で等分した位置毎に垂直上向きの軸14bを有しており、
各周辺柱2も、その中間高さの位置に、前記水平な中仕切り板13の外周側端部を連結して支持させる中間連結板12を備え、この中間連結板12は内周側の両側位置に、隣接する2枚の中仕切り板13の外周側の端部を連結する垂直上向きの軸12bを2本有しており、
前記中心柱1の中間連結板14と前記周辺柱2の中間連結板12とへ前記中仕切り板13の中心側端部と外周側端部をそれぞれ連結板14、12上へ載せる方向に前記軸14b、12bへ嵌め込み連結され、保育室は少なくとも2階建てに組み立てられることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載した発明は、上記請求項1〜4のいずれか一に記載した組み立て、分解が自在なペット類用ケージにおいて、
中心柱1と周辺柱2とを放射状に連結する上下の放射枠4、4’は、上位の放射枠4はその下面の軸方向に下向きにコ字形溝断面の溝縁15を備え、下位の放射枠4’はその上面の軸方向に上向きにコ字形溝断面の溝縁16を備えており、
縦仕切り材6は上下の端縁部を前記上下の溝縁15、16内へ嵌め込んで設置され、中仕切り板13はその放射状の両側縁部に前記縦仕切り材6の中間部を拘束する支持枠13aを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明による組み立て、分解が自在なペット類用ケージは、緊急避難した地域に確保した設置場所の地面上に先ず中心柱1を垂直に立て、その外周を取り巻く配置に一定数の周辺柱2を一定の間隔を開けて垂直に立て、前記周辺柱2、2が相隣接する2本の間を周辺枠3で周方向に連結してゆき、更に前記の各周辺柱2と中心柱1の上下間を上下の放射枠4、4’で放射状に連結して主要な骨格を安定に組み立てることができる。
その上で、前記周辺柱2の隣り合う2本と前記周辺枠3とが形成する外周枠面を、該当する2本づつの周辺柱2、2へ外周面材5をその連結具5aで取り付けて遮蔽する。この場合、1本の周辺柱2に対して、隣接する2枚の外周面材5、5の連結具5aを取り付けることになるから、各外周面材5、5の連結具5aは周辺柱2の上下に若干ずれた配置となるように互い違いの位置に設けておく。
次に、前記周辺柱2と中心柱1とを放射状に連結した上下の放射枠4、4’の間へ縦仕切り材6を建て込んで複数の保育室を区画形成する。最後に屋根面を屋根材7で覆うことで、短時間の簡単な組み立て作業で、ペット類用ケージを完成して使用することができるから、緊急事態の用に十分役立つ。
しかも、中心柱1と上下の放射枠4、4’との連結は、中心柱1が具備する上・下位置の連結板8、9と、及び各周辺柱2が具備する上・下位置の連結板10と11とを利用して行える。その際、放射枠4、4’の中心側端部及び外周側端部をそれぞれ該当する各連結板8、9の上に載せて、各端部の軸孔を、上位の放射枠4の中心側端部は中心柱1の上位の連結板8が有する垂直上向きの軸(ネジ軸8b)へ、また、同上位の放射枠4の外周側端部は外周柱2の上位の連結板10が有する垂直上向きの軸(ネジ軸10c)へ嵌めて、上方へ突き出たネジ部へそれぞれナット20をネジ込み締結して強固に連結し骨格の強度、剛性を確保する。
下位の放射枠4’の中心側端部及び外周側端部は、中心柱1が具備する下位の連結板9及び外周柱2の下位の連結板11が有する垂直上向きの軸(止め軸9b、11b)へ、単に軸孔を嵌めて止めるだけの簡易、迅速な連結で目的が達せられ手間を省ける。
また、隣り合う外周柱2、2と周辺枠3との連結も、外周柱2の上位の連結板10が周方向の両側に有する垂直上向きの軸(止め軸10b、10b)へ単に軸孔を嵌め込んで止める簡易な方法で連結する。
上記のように、ケージ骨格の組み立ては、上位の放射枠4と、中心柱1及び外周柱2の上位の連結板8及び10とはネジ軸8b、10cとナット20とで強固に締結するが、これ以外は単に軸孔を止め軸へ嵌めて止める作業で連結するから、さして工具は必要でなく、迅速な連結作業を進められる。予めナット20の個数さえ揃っておれば、誰でも迅速に簡単に組み立てを進めることができ、緊急避難時用の設備として大いに役立つ。
なお、ナット20自体も、手で締め込む操作に適した大きさと形状を選択・採用することにより格別工具類は必要でなく、手による操作で簡単に締め込める。
【0013】
しかも本発明による組み立て、分解が自在なペット類用ケージは、図1に見るとおり、放射状配置に保育室が隣接して集合した、平面視が円形の構成であり、その外周面材5を開くことで各保育室からペット類を出し入れできる構成なので、使い勝手が良く、敷地の利用効率が高い。そして、大量のペット類を一匹ずつ個別に収容して保育できるから、飼い主も安心してペットを預けられる。また、放射枠4、4’を長短に調節すること、及び周辺柱2の本数と周辺枠3の本数を増減することで、保育室の大きさや、個数を自在に調整することができる融通性がある。
更に、請求項4記載の発明のように、水平な中仕切り板13を使用することにより、保育室を少なくとも上下の2階建て又は3階建てのよう構成して、収容できるペット数を倍増ないし倍々増でき、集合したペット数の多少に対応できる自在性がある。
一方、用済みとなった場合には、上記とは逆の手順で簡単に解体し撤去することができるし、解体した個々の構成部材(中心柱1、周辺柱2、周辺枠3、放射枠4、4’など)は軽量、小型で持ち運びや運搬に適するし、倉庫等へ纏めて保管しておくことにも適し、何時でも緊急時に使用できる対応性を有する。
もっとも、本発明のペット類用ケージは、災害時の緊急避難の際の用途に限らず、大勢の人々がペット類を伴って集まる祭礼時や市民運動会、イベント会場などでも同様に軽便に多用途に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明によるペット類用ケージの組み立てを完成した状態を示す斜視図である。
【図2】Aは、同上のケージを構成する主要部材である中心柱、周辺柱、周辺枠、放射枠及び外周面材の組み立て状況を部分的に示した斜視図、Bは外周面材の斜視図である。
【図3】Aは図2のIII部を拡大して示した斜視図、Bは同周辺柱の上位の連結板と放射枠とが関係する構成を示した斜視図である。
【図4】Aは図2のIV部を拡大して示した斜視図、Bは同周辺柱の中間部連結板と中仕切り板とが関係する構成を示した斜視図である。
【図5】Aは図2のV部を拡大して示した斜視図、Bは同周辺柱の下位の連結板を示した斜視図である。
【図6】図2のVI−VI線に沿って切断し縦仕切り材の取付け構造を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明による組み立て、分解が自在なペット類用ケージは、中心位置に立てる中心柱1と、その外周を取り巻く配置に立てる複数の周辺柱2と、前記周辺柱2、2が相隣接する2本の間を周方向に連結する周辺枠3と、前記中心柱1と周辺柱2とを放射方向に連結する上下の放射枠4、4’と、前記周辺柱2の隣り合う2本と前記周辺枠3とが形成する外周枠面を遮蔽する外周面材5と、前記中心柱1と周辺柱2及び放射枠4、4’とが形成する枠面を遮蔽する縦仕切り材6と、屋根材7とで構成する。
前記中心柱1は、前記放射枠4及び4’の中心側端部を連結可能な連結板8、9を備える。また、前記周辺柱2は、前記周辺枠3の端部又は放射枠4の外周側端部若しくはその両方を連結可能な連結板10を備えている。
更に、前記縦仕切り材6は、鉛直方向の上下に相対峙する上下の放射枠4、4’の間へ建て込む構成である。
前記外周面材5は、前記周辺柱2、2へ取付け可能な連結具5aを備え、前記外周面材5の少なくとも一側の縦縁部の連結具5aを周辺柱2から外して、ペット類を出入りさせる開口を形成する構成である。
【実施例1】
【0016】
以下に、本発明による組み立て、分解が自在なペット類用ケージを図示した実施例により説明する。
図示した組み立て、分解が自在なペット類用ケージは、予め設置場所の地面へ定めた中心位置へ垂直に立てる中心柱1と、前記中心柱1の位置を中心として描いた円周に沿って一定の間隔(周辺柱2の本数分で等分した間隔)をあけて墨出して定めた位置の地面上に垂直に立てる複数本(図示例では12本=保育室の個数によって定められる。)の周辺柱2と、前記の各周辺柱2が周方向に相隣接する2本の間を連結する必要数の周辺枠3と、前記の各周辺柱2を個別に、それぞれ前記中心柱1との間の上下を放射状に連結する上下の放射枠4、4’と、前記周辺柱2が周方向に隣り合う2本と前記周辺枠3とが形成する外周枠面を遮蔽する外周面材5と、更に前記中心柱1と周辺柱2、及び該2本の柱1、2の上下を連結した放射枠4、4’とが形成する垂直な枠面を遮蔽する縦仕切り材6と、及び完成したケージの上面を例えば図1に2点鎖線で例示したように覆うのに適切な形状、大きさのプラスチックシート或いはゴムシート等で成る屋根材7とで構成されている。
因みに、図1に例示したペット類用ケージの大きさの一例を示すと、平面方向に見た外径が2500mm程度、側面方向に見た地上高さが1500mm程度である。従って、上記の各構成部材は、前記寸法を前提とした寸法と形状に製作されている。
【0017】
上記中心柱1と周辺柱2及び周辺枠3、並びに上下の放射枠4、4’は、図示例の場合は、例えば外径が32mmないし42mm程度の薄肉鋼管の外周面に合成樹脂を薄く層状に被覆して接着して成り、手触りが良くて軽く、しかも強度、剛性が十分に大きい樹脂被覆接着鋼管を所要の長さに切断し加工して製作されている。
図2に示したとおり、中心柱1の上下の位置には、上下の放射枠4及び4’の中心側端部を連結可能な金属製の連結板8、9を備えている。他方、上記の各周辺柱2の上位には上記周辺枠3及び上位の放射枠4それぞれの一端部を連結可能な金属製の連結板10を備え、下位には下位の放射枠4’の外周側端部を連結可能な連結板11を備えている。
【0018】
中心柱1へ上下の放射枠4又は4’の中心側端部を連結する上下の連結板8、9は、図2に示したとおり、それぞれ中心柱1を通すソケット8a又は9aを中心とする円周を中心として描いた円周を放射枠4、4’の本数分で等分した位置毎に、上位の連結板8は垂直上向きの軸としてネジ軸8bを備え、下位の連結板9の軸としてはネジを必要としない単なる止め軸9bを備えている。
各連結板8、9は、各々のソケット8a、9aへ中心柱1を通し、それぞれの取り付け高さ位置を定め、ソケット8a、9aへ例えばタッピングネジで止めるなどの手段により強く固定されている。
したがって、上位の放射枠4の中心側端部は、上位の連結板8の上へ載せる方向へ操作して、上方から該当するネジ軸8bへ同端部の軸孔を嵌め込んで載せる。そして、同端部の上面から突き出たネジ軸8bへ上方からナット20をねじ込み締結して構造的に強固に連結される。一方、下位の放射枠4’の中心側端部は、やはり下位の連結板9の上へ載せる方向へ操作し、同端部の軸孔を止め軸9bへ嵌め込んで載せ止める単純な連結とし、作業手間を省く構成とされている。もっとも、当該ケージを常設して長期に使用する場合には、下位の放射枠4’の中心側端部もネジ軸へナットをねじ込む締結により構造的に強固に連結する構成を実施することが好ましい。
【0019】
他方、各周辺柱2の上位の連結板10は、図3Bに示したとおり、周辺柱2を通すソケット10aを中心として、各周辺柱2…が立ち並ぶ円周方向(図1を参照)の両側位置に、その周方向に隣り合う周辺柱2、2同士を連結する周辺枠3の一端部の軸孔を嵌め込み連結する軸として、垂直上向きの止め軸10b、10bを備えている。もっとも図3では止め軸10bを軽便に設ける手段としてボルトを使用した例を示すが、ネジは無用のものである。
更に内周側の中央位置には、上位の放射枠4の外周側端部を連結する軸として、垂直上向きのネジ軸10cを備えている。この連結板10も、そのソケット10aへ周辺柱2を通し、予め定められた取り付け高さの位置においてソケット10aをタッピングネジ21(図3A)で止める手段などにより固定されている。
既に説明したが、図3A、Bでは、連結板10の垂直上向きの止め軸10b、10cは、連結板10の該当位置の孔へ下から上向きにボルトを通し、上方から止めナット10dをねじ込んで止めた構成を示しているが、この構成に限らない。これらの止め軸10c及び10bは、連結板10へ溶接したりカシメ等の手段で取り付けても良い。また、止め軸10bにはネジを切らない軸棒を使用して良い。
上記した中心柱1の上下の連結板8、9で説明したネジ軸8bと止め軸9bをはじめ、以下に説明する他の連結板のネジ軸及び止め軸の構成も、特に断らないかぎり、上記と同じ構成で設けていると理解されたい。ただし、前記ネジ軸及び止め軸の構成と取り付け構造は図示例の限りではないことも了解されたい。
【0020】
次に、各周辺柱2の下位の連結板11は、図5Bに示したとおり、周辺柱2を通すソケット11aを中心として、周方向の内側位置に、下位の放射枠4’の外周側端部の軸孔を嵌めて連結する軸として、垂直上向きの止め軸11bを1本、やはりナット11cをねじ込んで固定した構成で取り付けている。この連結板11も、そのソケット11aへ周辺柱2を通して、取り付け位置を定めた上で、同ソケット11aをタッピングネジ21(図5A)で止めるなどの手段により固定して取り付けられている。
上記した各連結板の構成を前提として、中心柱1と周辺柱2の上位の放射枠4による連結は、同放射枠4の両端部をそれぞれ上位の連結板8と10上へ載せる方向へ操作し、例えば図3Bに例示した端部の軸孔4aをネジ軸8bへ嵌めて載せ、同端部の上面へ突き出たネジ軸8へナット20をねじ込み締結する要領で、構造的に強固な連結が行なわれる。連結板10のネジ軸10cへも同様に図示省略の軸孔を嵌めて載せ、ナット20をねじ込み締結することにより構造的に強固な連結が行なわれる。
一方、下位の連結板9と11を利用する下位の放射枠4’の連結は、同放射枠4’の各端部をやはり連結板9と11上へ載せる方向へ操作し、各端部の軸孔を止め軸9bと11bへ嵌めて載せる単純な止め付け手法で連結される。
【0021】
上記のようにしてケージの主要骨格が組み立てられた後の工程として、上記周辺柱2が周方向に隣り合う2本と、上記周辺枠3とが形成する各外周枠面へ、同外周枠面とほぼ同形・同大に、若しくは上下方向の高さ寸法を二分割乃至三分割した形態の外周面材5を取り付けて、外周枠面を順次に遮蔽する作業を進める。
外周面材5は、図2Bに示したとおり、その両側の縦縁に沿って、図示例の場合は周方向に隣り合う2本の周辺柱2、2へ外側から嵌め付ける手法に適するように、平面方向に見るとC字形の半割継手形状とした連結具5aが、少なくとも上下に2個設けられた構成とされている。前記の連結具5aを相隣り合う2本の周辺柱2、2へ嵌め付ける手法で取り付け設置して各外周枠面が順次に遮蔽される。
なお、相隣り合う2本の周辺柱2、2の間へ一つずつ外周面材5を設置する関係上、1本の周辺柱2には、隣接する外周面材5、5の連結具5aが少なくとも上下に4個嵌め付けることになる。そこで隣り合う外周面材5、5同士の連結具5aの配置は、周辺柱2の上下に若干ずらした互い違いの位置に設けておくことになる。
【0022】
図1及び図2に示した外周面材5はネット状構造であるが、この限りではない。板構造やシート張り構造、その他ペットによって破損される虞がなく、逃げ出す心配のない構成であれば、その材質、構成の如何を問わない。外周面材5は、ケージの円周方向の全周に亘り外側から取り付ける。外周面材5の連結具5aが上記したC字形の半割継手形状であると、周辺柱2への取り付け作業が容易である上に、一側の縦縁の連結具5aのみを外すと、他縁の連結具5aがいわゆるヒンジ継手の機能を奏するから、外周面材5を回転させて外周枠面を開放し、ペットを出入りさせる出入り口の扉としても利用でき至便である。もっとも、同様の機能を期待できるなら、連結具5aとしてクランプその他任意形式、構造の連結具を適用して実施することができる。
【0023】
上記外周面材5との関係で、いずれを先の作業工程とするかは使用者の自由であるが、次の工程として、上記した中心柱1と周辺柱2とを放射方向に連結した上下の放射枠4、4’の垂直面間へ、同垂直面を仕切る縦仕切り材6の取り付けを行う。この縦仕切り材6を設置することにより、ペット類の保育室は基本的に一匹ずつ収容する個別の保育室に形成される。ただし、犬や猫がそれぞれの種族で共同生活に慣れている場合には、縦仕切り材6を設置するに及ばない実施例も検討される。
上記の縦仕切り材6を設置する構成としては、例えば図2及び図3に示したとおり、上位の放射枠4は、その下面の軸方向に下向きにコ字形溝断面の溝縁15を備えている。下位の放射枠4’は、その上面の軸方向に上向きにコ字形溝断面の溝縁16を備えている。したがって、上下の放射枠4、4’は、同一の放射枠を上下に逆向きに使用して兼用することができる。
一方、縦仕切り材6は、上記したように中心柱1と周辺柱2、及び双方の柱1、2の間を放射状に連結した上下の放射枠4、4’とが形成する垂直な枠面とほぼ同形・同大に形成されている。この縦仕切り材6は、その上下の端縁部を前記上下の溝縁15、16内へ嵌めて建て込み設置される(図6を参照)。
上記したように、上位の放射枠4は、中心柱1と周辺柱2へナット20により締結して強く連結されているので、ひいては縦仕切り材6の設置状態も堅固な状態となる。この縦仕切り材6は、保育室を縦に仕切る用途上、ペット類の体当たりなどに耐える強度、剛性を備えた丈夫な板構造や金属板構造、或いはプラスチック板などにより構成するのが好ましい。
最後に、保育室の上面部へ屋根材7を大きく被せ、面状ファスナー等で止めることにより、図1に示すケージの組立が完成する。
そこで直ちに、上記外周面材5の一側の縦縁の連結具5aを周辺柱2から外し、他側端縁の連結具5aをヒンジとして回転させる操作により、外周枠面を開放した外周枠面を出入り口としてペット類を各保育室へ一匹ずつ入れて保育する用途に供することができる。
【実施例2】
【0024】
避難場所等に集まってきたペット類の数が、上記実施例1で説明したケージの収容能力を超える場合には、次のように2階建て構造に組み立てて対応することができる。
即ち、上記した中心柱1と各周辺柱2とには更に、その中間高さの位置に、ペット類の保育室を上下に仕切る水平な中仕切り板13の中心側端部及び外周側端部を連結して支持させる中間連結板14と12をそれぞれ同じ高さ位置に備えた構成で実施することができる(図2と図4を参照)。
この場合、中心柱1の中間連結板14は、やはり中心柱1を通すソケット14aを中心として描いた円周上へ、上記中仕切り板13の中心側端部を止め付ける垂直上向きの軸として、単に軸孔を嵌めるだけの止め軸14bが、1本づつの割合で、中仕切り板13と同数分(保育室と同数)だけ設けられている。この中間連結板14も、そのソケット14aへ中心柱1を通して、中仕切り板13の取り付け高さ位置に定め、同ソケット14aへタッピングネジで止めるなどの手段により固定されている。
他方、周辺柱2の中間連結板12は、図4に示した通り、周辺柱2を通すソケット14aを中心とする内側部位であって、周辺柱2、2が立ち並ぶ周方向の両側位置に、上記中仕切り板13の外周側端部の一側縁部に設けた軸孔13aを嵌める軸として、垂直上向きの止め軸12bが、隣接する中仕切り板13の2枚分として合計2本設けられている。この中間連結板12も、そのソケット12aへ周辺柱2を通し、その取り付け高さ位置を上記中心柱1の中間連結板14と同じ高さ位置に定め、ソケット12aをタッピングビス21で止めるなどの手段により固定されている。
【0025】
以上の構成に基づいて、上記中心柱1の中間連結板14と、上記周辺柱2の中間連結板12とへ中仕切り板13の中心側端部及び外周側端部をそれぞれ上方から載せるように操作して、各端部の軸孔を止め軸4および12bへ嵌めて載せることにより連結し支持させることができ、かくして保育室は上下2階建てに構成することができる。
つまり、本発明によるペット類用ケージは、上記中仕切り板13を設置して保育室を上下に仕切って2階建ての構成とすることにより、ペット類の収容能力は2倍となり、大きな収容能力を発揮する。もとより、中心柱1の中間連結板14及び周辺柱2の中間連結板12の個数を更に増やし、中仕切り板13の設置階数を増やすことにより、ペットの収容能力は倍々増とすることが可能である。
本実施例の場合、上記中仕切り板13には、図6に示したように、その放射方向の両側縁部に沿った配置で、上記縦仕切り材6の中間部の両面に接して支持する支持枠13aを備えた構成とすることが好ましい。かくすると、ペット類が縦仕切り材6へ体当たりなどする面外荷重に対して大きな補強、補剛効果を発揮させることができ有効的である。
【0026】
以上に本発明を図示した実施例に基づいて説明したが、勿論、本発明は上記実施例の構成に限定されるものではない。本発明の要旨、及び技術思想を逸脱しない範囲で、当業者が必要に応じて行う設計変更や応用、変形として種々な態様で実施され得ることを、念のため申し添える。
【符号の説明】
【0027】
1 中心柱
2 周辺柱
3 周辺枠
4、4’ 放射枠
5 外周面材
6 縦仕切り材
7 屋根材
8、9 連結板
5a 連結具
8a、9a ソケット
8b ネジ軸
9b 止め軸
10a ソケット
10b 止め軸
10c ネジ軸
11 連結板
12 中間連結板
13 中仕切り板
14 中間連結板
15、16 溝縁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心位置に立てる中心柱と、その外周を取り巻く配置に立てる複数の周辺柱と、前記複数の周辺柱の相隣接する2本の間を周方向に連結する周辺枠と、前記中心柱と各周辺柱とを放射状に連結する上下の放射枠と、前記周辺柱の隣り合う2本と前記周辺枠とが形成する外周枠面を遮蔽する外周面材と、前記中心柱と周辺柱及び放射枠とが形成する枠面を遮蔽する縦仕切り材と、屋根材とで構成され、
前記中心柱は前記複数の放射枠の中心側端部を連結可能な連結板を備え、また、前記の周辺柱には前記周辺枠の端部又は放射枠の外周側端部若しくはその両方を連結可能な連結板を備えており、
更に前記縦仕切り材は鉛直方向の上下に相対峙する上下の放射枠の間へ建て込む構成であり、
前記外周面材は前記周辺柱へ取付け可能な連結具を備え、前記外周面材の少なくとも一側の縦縁部の連結具を周辺柱から外してペット類を出入りさせる開口を形成する構成であることを特徴とする、組み立て、分解が自在なペット類用ケージ。
【請求項2】
上下の放射枠の中心側端部を中心柱と連結させる上下の連結板は、それぞれ中心柱を通すソケットを中心とする円周を放射枠の本数分で等分した位置毎に垂直上向きの軸を備え、放射枠の中心側端部は連結板上へ載せる方向に前記軸へ嵌め込み連結されることを特徴とする、請求項1に記載した組み立て、分解が自在なペット類用ケージ。
【請求項3】
各周辺柱の上下の連結板は周辺柱を通すソケットを有し、少なくとも内周側の中央位置には放射枠の外周側端部を連結する垂直上向きの軸を備え、放射枠の外周側端部は連結板上へ載せる方向に前記軸へ嵌め込み連結されることを特徴とする、請求項1に記載した組み立て、分解が自在なペット類用ケージ。
【請求項4】
中心柱は、ペット類の保育室を中間高さの位置で上下に仕切る水平な中仕切り板の中心側端部を連結して支持させる中間連結板を備え、該中間連結板は中心柱を通すソケットを中心とする円周を中仕切り板の枚数分で等分した位置毎に垂直上向きの軸を有しており、
各周辺柱も、その中間高さの位置に、前記水平な中仕切り板の外周側端部を連結して支持させる中間連結板を備え、この中間連結板は内周側の両側位置に、隣接する2枚の中仕切り板の外周側の端部を連結する垂直上向きの軸を2本有しており、
前記中心柱の中間連結板と前記周辺柱の中間連結板とへ前記中仕切り板の中心側端部と外周側端部をそれぞれ連結板上へ載せる方向に前記軸へ嵌め込み連結して、保育室は少なくとも2階建てに組み立てられることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載した組み立て、分解が自在なペット類用ケージ。
【請求項5】
中心柱と周辺柱とを放射状に連結する上下の放射枠は、上位の放射枠はその下面の軸方向に下向きにコ字形溝断面の溝縁を備え、下位の放射枠はその上面の軸方向に上向きにコ字形溝断面の溝縁を備えており、
縦仕切り材はその上下の端縁部を前記上下の溝縁内へ嵌め込んで設置され、中仕切り板はその放射状の両側縁部に前記縦仕切り材の中間部を拘束する支持枠を備えていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載した組み立て、分解が自在なペット類用ケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−80814(P2012−80814A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229390(P2010−229390)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【出願人】(000245830)矢崎化工株式会社 (47)
【出願人】(511205323)サイデリアル有限会社 (1)
【Fターム(参考)】