説明

組み込み式調理器

【課題】作業性がよく、外観品位のよい機器を提供すること。
【解決手段】上面に開口部を有するキャビネットに組み込む本体2と、本体2を支持するトップフレーム3と、トップフレーム3の外周にあたるフランジ部6と、フランジ6部上に形成した粘着層7と粘着層7上にエラストマーあるいは熱可塑性エラストマーからなる断面が略円状の押出し成型品8とからなる発泡シール層9とを備え、粘着層7の形成幅を押出し成型品8断面の円直径以上とし、押出し成型品8を粘着層7に押しつぶした状態で粘着したことを特徴とした、発泡シール層9にて設置時にキャビネット1に接触させ、発泡シール層9がキャビネット1に挟まれ圧縮されることによりシールが行なわれる組み込み式調理器することで、作業性がよく、外観品位のよい機器を提供することとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールされた組み込み式調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の組み込み式調理器は、システムキッチン等のキャビネットと、鍋等を載置するトッププレートと、トッププレートや製品自体を支持しているトップフレームと、その支持面でキャビネットとの接触面であるフランジ部と、内部部品等を支持する外郭と、フランジ部にシールテープを貼ったシール構成としている。
【0003】
そして、従来のシールテープは、EPDM等のスラブと呼ばれる大きな発泡体を断面が四角形状の帯状にカットして一面に両面テープを貼ったものであり、フランジ部に貼られたシールテープがキャビネットと挟まれ、圧縮されて外部から本体内部への水等の浸入を防止するものであった。
【0004】
また、発泡シール塗布部を備え、本体設置時に発泡シール塗布部が本体とキャビネットに挟まれ圧縮されることにより外部からのシールを構成してなる組み込み式調理器があり、液状の発泡シール材を自動機によって塗布加熱して形成し、工数を大幅に削減するとともに、シール性能を確保している組み込み式調理器もある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3438568号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の構成では、製品を作る際、シールテープをトップフレームの全周に貼るという工程をふまなければならないため、非常に時間がかかるという課題を有していた。
【0006】
つまり、シールテープの非粘着紙をはがしながらフランジ部にシールテープがねじれないように貼っていくので、単純に時間がかかる上に、手振れ等で貼り位置がずれたりしたならば、またそれを貼り直すというような余計な作業も増えるために、安定した効率の良い作業というものができなかった。
【0007】
また、特許文献1に示したように液状の発泡シール材を自動機によって塗布加熱するものでは、発泡シール材の圧縮率が比較的小さく、圧縮時でも比較的厚くなる為、キャビネットにセットした時にシール材が目立つ為に外観の品位に欠けてしまうという課題を有していた。
【0008】
そして発泡シール材を塗布加熱するのに大掛かりな加熱装置が必要となり、さらに発泡シール材を高温加熱しても、表面まで短時間で硬化するのが非常に困難であった為、キャビネット側に発泡シリコーンが移行しないように注意する必要があった。
【0009】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、大掛かりな電気炉がいらず、工数のかからない、かつ外観品位のよい機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の組み込み式調理器は、断面が円状の押出し成型品を粘着層に押しつぶした状態で粘着してなる発泡シール層を備えることとしたものである。
【0011】
これによって、シールテープを貼る時にシールテープの非粘着紙をはがすこと及びシールテープのねじれを気遣うことをなくし、粘着力の高いシール層を形成することとなる。
【0012】
また、シールテープは押出し成型することで、シール材原料の粘度を高くし、加圧下でガス発泡を行える為、高発泡で柔らかい押出し成型品を得ることが可能となり、押しつぶした状態で粘着するシールテープとすることとなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の組み込み式調理器は、作業性がよく、外観品位のよい機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
第1の発明は、上面に開口部を有するキャビネットに組み込む本体と、本体を支持するトップフレームと、トップフレームの外周にあたるフランジ部と、フランジ部上に形成した粘着層と粘着層上にエラストマーあるいは熱可塑性エラストマーからなる断面が略円状の押出し成型品とからなる発泡シール層とを備え、粘着層の形成幅を押出し成型品断面の円直径以上とし、押出し成型品を粘着層に押しつぶした状態で粘着したことを特徴とした、発泡シール層にて設置時にキャビネットに接触させ、発泡シール層がキャビネットに挟まれ圧縮されることによりシールが行なわれる組み込み式調理器とすることで、シールテープを貼る時にシールテープの非粘着紙をはがすこと及びシールテープのねじれを気遣うことをなくし、押しつぶした状態で粘着することで、粘着力の高いシール層を備えた組み込み式調理器を提供できる。
【0015】
第2の発明は、粘着層に押出し成型品を押しつぶした状態で粘着させた時に、押出し成型品が剥れない程度に発泡倍率を高くもしくは柔らかくし形成した発泡シール層を備えた組み込み式調理器とすることにより、押出し成型品の押しつぶした状態から元の形状に戻ろうとする力を低くすることが可能となり押出し成型品を幅広く接着した状態を保つことができる。
【0016】
第3の発明は、粘着層に押出し成型品を押しつぶした状態での発泡シール層の断面形状を略山形としたことにより、粘着面積を増やすことができる。
【0017】
第4の発明は、表面にコロナ処理、プラズマ処理などの処理を行うことで粘着し易くした押出し成型品を用いたことにより、押出し成型品と粘着層との粘着力を向上することができる。
【0018】
第5の発明は、押出し成型品を粘着層上に粘着させる時に粘着層を着色させておくことで、粘着位置の認識を容易にしたことにより、押出し成型品を色調の差を利用して粘着層上に貼り付けることができるようになる。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における組み込み式調理器の斜視図、図2は組み込み式調理器の要部断面図で、図3は組み込み式調理器の要部下方図を示すものである。尚、図4は組み込まれた状態の組み込み式調理器の要部断面図である。
【0021】
図1に示したようにシステムキッチン等のキャビネット1に組み込み式調理器の本体2が組み込まれている。
【0022】
また、図2に示したように鍋等を載置するトッププレート3、トッププレート3や本体2を支持しているトップフレーム4、そして本体の内部部品等を支持する外郭5、キャビネット1との接触部であるフランジ部6が設けられている。
【0023】
フランジ部6上には形成した粘着層7と粘着層7上にエラストマーあるいは熱可塑性エラストマーからなる断面が円状の押出し成型品8とからなる発泡シール層9が備えられ、粘着層7の形成幅を押出し成型品8断面の円直径以上とし、押出し成型品8を粘着層7に押しつぶした状態で粘着されている。
【0024】
そして、図4に示したように発泡シール層9にて本体2の設置時にキャビネット1に接触させ、発泡シール層9がキャビネット1に挟まれ圧縮されることによりシールが行なわれる構成をしている。
【0025】
以上のように、本実施の形態においては、予め粘着層7を形成していることで、シールテープを貼る時にシールテープの非粘着紙をはがす工程をなくし、押出し成型品8の断面円状として、シールテープのねじれを気遣う必要性がなくなる。
【0026】
また、押出し成型品8を押しつぶした状態で粘着したことで、粘着力の高いシール層9をフランジ部6上に形成できる。
【0027】
この時、粘度が高いシール材原料を押出しながら同時に加圧下でガス発泡させる発泡・成形を行って得た押出し成型品8を、押出し成型品8断面の円直径以上の幅に形成した粘着層7上に、押さえつけて粘着させている。
【0028】
また、押出し成型品8が剥れない程度に発泡倍率を高くもしくは柔らかくして形成したことで、粘着力の高いシール層9が得られるが、粘着層7に押出し成型品8を押しつぶした状態での発泡シール層9の断面形状を略山形とすることで、粘着面積を広く取り、粘着力の高いシール層9をフランジ部6上に形成できる。
【0029】
さらに、キャビネット1に組み込み式調理器本体12をセット後に組み込み式調理器本体12を動かした時にシール層9が長手方向に垂直な力を受けてシール層9がキャビネット1上で移動する場合に、押出し成型品8の形状が略山形である為、シール層9の略山形の頂を中心にシール層9がキャビネット1に密着して引っ張られることになり、トップフレーム4から大きくシール層9がはみ出し、外観品位を落とすことが防止できる。
【0030】
尚、本実施の形態では、粘着層7をフランジ部6上に設けて断面が略円状の押出し成型品8を押しつぶすことで、略山形としたが、略山形の形状の押出し成型品を貼り付けても、はみ出しを抑えることは同様にできる。
【0031】
また、本実施の形態では粘着層7を予めフランジ部上に形成したが、粘着剤をハケで塗ったり、自動機にて粘着剤を塗布してもよいが、予め押出し成型品自体に粘着層を形成してもはみ出しを抑えることは同様にできる。
【0032】
尚、押出し成型品8には、ポリウレン、EPDM、CR、NBR、熱可塑性エラストマーなどの発泡体を用いることができる。
【0033】
この時、押出し成型品の発泡倍率を4〜10倍にすること、かつ50%圧縮時の圧縮応力を30kPa以下にすることで、押しつぶした状態で粘着することが可能な圧縮性の優れ、柔らかい成型品を得ることができる。
【0034】
また、押出し成型品の発泡倍率を4〜10倍にすること、かつ50%圧縮時の圧縮応力を30kPa以下にすることで、圧縮性の優れた発泡シール層とすることができ、シール層が目立たない外観品位のよい、薄型シール層を形成できる。
【0035】
そして、押出し成型品の材料としては加工性が優れる熱可塑性エラストマーが適しているが、加熱調理器のシール材としては、耐熱性及び調味料や動植物性の汚れの付着による劣化のないことが求められる。
【0036】
この為、耐熱性及び調味料や動植物性の汚れの付着による劣化に対して優れるポリプロピレンとEPDMとからなる熱可塑性エラストマーが最適である。
【0037】
また、押出し成型品8の表面にコロナ処理、プラズマ処理などの処理を行うことで粘着し易い押出し成型品を得ることができる。
【0038】
尚、本実施の形態では、粘着層を形成し、押出し成型品を貼り付けたが、粘着層の変わりに接着層を設けることで代用することも可能であるが、接着層の場合は、加熱硬化することあるいは接着成分が乾燥する前に接着する必要がある。
【0039】
また、押出し成型品8を粘着層7上に粘着させる時に粘着層を着色させておくことで、押出し成型品8を認識しやすくし、作業性を向上できる。特に画像認識を備えた装置により、押出し成型品8を自動貼り付けすることも可能となる。
【0040】
これらのことから、作業性がよく、外観品位のよい機器を提供することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の組み込み式調理器は、発泡シール層はトップフレームに備えられているが、それにとらわれず本体のキャビネットに接触する部分であれば、どこであっても同様の効果があり、調理器においてIHクッキングヒーター、ハロゲンヒーター、ガス調理器、電気クッキングヒーター等の組み込み式調理器等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態1の組み込み式調理器の斜視図
【図2】同組み込み式調理器の要部断面図
【図3】同組み込み式調理器の要部下方図
【図4】組み込まれた状態の組み込み式調理器の要部断面図
【符号の説明】
【0043】
1 キャビネット
2 本体
4 トップフレーム
6 フランジ部
7 粘着層
8 押出し成型品
9 発泡シール層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に開口部を有するキャビネットに組み込む本体と、前記本体を支持するトップフレームと、前記トップフレームの外周にあたるフランジ部と、前記フランジ部上に形成した粘着層と前記粘着層上にエラストマーあるいは熱可塑性エラストマーからなる断面が略円状の押出し成型品とからなる発泡シール層とを備え、前記粘着層の形成幅を前記押出し成型品断面の円直径以上とし、前記押出し成型品を前記粘着層に押しつぶした状態で粘着したことを特徴とした、前記発泡シール層にて設置時にキャビネットに接触させ、前記発泡シール層が前記キャビネットに挟まれ圧縮されることによりシールが行なわれる組み込み式調理器。
【請求項2】
粘着層に押出し成型品を押しつぶした状態で粘着させた時に、前記押出し成型品が剥れない程度に発泡倍率を高くもしくは柔らかくして形成した発泡シール層を備えた請求項1に記載の組み込み式調理器。
【請求項3】
粘着層に押出し成型品を押しつぶした状態での発泡シール層の断面形状を略山形とした請求項2に記載の組み込み式調理器。
【請求項4】
表面にコロナ処理、プラズマ処理などの処理を行うことで粘着し易くした押出し成型品を用いた請求項1〜3のいずれか1項に記載の組み込み式調理器。
【請求項5】
押出し成型品を粘着層上に粘着させる時に前記粘着層を着色させておくことで、前記粘着位置の認識を容易にした請求項1〜4のいずれか1項に記載の組み込み式調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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