説明

組合せ釣具

【課題】組付け作業が楽で且つ低コスト化が実現でき、一旦組み付けられれば構成部品が脱落し難い組合せ釣具を提供する。
【解決手段】中央に主軸部2を配して、主軸部2の両端に先端へ向けて先細りの中実軸部3を延設した樹脂製軸状体とし、且つ主軸部2の外周面21から半径方向に深穴20が形成され、さらに深穴20が該主軸部2の軸長手方向に溝状に形成される釣用基軸部材1と、本体主部に、少なくとも一端側中実軸部3Rの軸径3D以上に孔径dを大きくし、且つ主軸部2に係る軸長手方向の中間部位22における軸径2D1よりも孔径dを小さくした貫通孔50が設けられ、さらに外周面51から貫通孔50に達する割り溝52が設けられる釣具本体5と、を具備し、貫通孔50へ基軸部材1を一端側中実軸部3Rから挿入し、深穴20の穴幅20Wが狭まるよう主軸部2を弾性変形させて、前記中間部位22における軸径2D1を小さくすることにより主軸部2が釣具本体5に挿着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オモリやウキ等の釣具本体と基軸部材の組合せ釣具に関する。
【背景技術】
【0002】
オモリやウキ等の釣具本体に、その両端から角状軸部を突出させた釣具が用いられる場合がある。この種の釣具は、釣糸に通しておいた二つの浮きゴムへ両軸部を差し込んで、該釣具の取付け,取り外し作業を容易にする。浮きゴムによる釣具の固定であるため、釣糸を傷つけず、さらに釣糸を切らずにオモリやウキを交換できるメリットがある。
こうしたなか、本出願人も錘り兼用ストッパとして組合せ釣具を提案している(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−166448号公報(実施形態2、図3、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、特許文献1の釣具は、以下のような問題があった。錘5Sに直径2mm前後で、長さ7〜8mm程度の小さな短軸体91を錘に組付け固定しなければならず、その固定作業に難儀した(図16)。短軸体91は釣具本体5の両端二ヶ所に要し、部品点数も増え、作業コスト,接着剤の材料コストを上昇させた。さらに、図16のごとく錘5S(又は浮き)の釣具本体5に樹脂製短軸体91を接着固定しても、接着強度が弱く、使用中に釣具本体5から該短軸体91が外れる虞もある。さらにいえば、図16のような錘り兼用ストッパは、錘5Sの両端に短軸体91がそれぞれ接着固定されるため、短軸体91を共用できなかった。
ネジによる螺着も考えられるが(例えば特開平11−18649号公報)、海水中でネジが緩む虞がある。一方、釣具本体5が錘5Sである場合、真鍮等で丸棒からの削り出しで製作することも可能である。しかし、短軸体91のつのを製作するには切削に多くの時間を費やさねばならず、また多くの材料が削られる問題もある。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するもので、組付け作業が楽で且つ低コスト化が実現でき、一旦組み付けられれば浮きや錘の構成部品が脱落し難く、さらに浮きや錘を着脱自在に交換可能な組合せ釣具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく、請求項1に記載の発明の要旨は、中央に主軸部(2)を配して、該主軸部(2)の両端に、先端へ向けて先細りの中実軸部(3)を延設した樹脂製軸状体とし、且つ該主軸部(2)に、その外周面(21)から半径方向に深穴(20)が形成され、さらに該深穴(20)が該主軸部(2)の軸長手方向に溝状に形成される釣用基軸部材(1)と、本体主部に、少なくとも一端側中実軸部(3R)の軸径(3D)以上に孔径(d)を大きくし、且つ前記主軸部(2)に係る軸長手方向の中間部位(22)における軸径(2D1)よりも孔径(d)を小さくした貫通孔(50)が設けられ、さらに外周面(51)から該貫通孔(50)に達する割り溝(52)が設けられる釣具本体(5)と、を具備し、該貫通孔(50)へ前記基軸部材(1)を一端側中実軸部(3R)から挿入し、前記深穴(20)の穴幅(20W)が狭まるよう前記主軸部(2)を弾性変形させて、前記中間部位(22)における軸径(2D1)を小さくすることにより、該主軸部(2)が該釣具本体(5)に挿着されると共に、該主軸部(2)が弾性復元して、該釣具本体(5)に該基軸部材(1)が係止一体化されてなることを特徴とする組合せ釣具にある。
請求項2の発明たる組合せ釣具は、請求項1で、一端側中実軸部(3R)の軸径(3D)よりも前記主軸部(2)の軸径(2D)の方を大きくして、該中実軸部から該主軸部へ段差を形成してつながる基軸部材(1)とし、さらに該基軸部材(1)と前記釣具本体(5)とを別体にして、該釣具本体(5)に該基軸部材(1)が着脱自在に係止一体化されてなることを特徴とする。請求項3の発明たる組合せ釣具は、請求項2で、深穴(20)が主軸部(2)の両端末部分(26)を残して平面視細長トラック状に形成され、さらに該端末部分(26)の表面から軸半径方向に向かって前記中実軸部(3)の基端部分(31)へ近接するか又は該基端部分(31)に達する深い切欠溝(271)を設け、且つ該端末部分(26)の表面に、該切欠溝(271)で深穴(20)側と中実軸部(3)側とをつなぐ凹み(27)を形成することを特徴とする。請求項4の発明たる組合せ釣具は、請求項1〜3で、貫通孔(50)へ前記基軸部材(1)が挿入される一端側中実軸部(3R)とは反対側の他端側中実軸部(3H)で、該他端側中実軸部(3H)につながる前記主軸部(2)の端部分(29)又は他端側中実軸部(3H)寄りの前記主軸部(2)に、該主軸部(2)の中間部位(22)における軸径(2D1)よりも外径が大きな大径部分(28)をさらに設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の組合せ釣具は、糸を傷つけることなく短時間で簡単に交換でき、また、ウキとオモリの併用も可能にして脱落防止に優れ、さらに浮きや錘を着脱自在に交換でき、しかも、低コスト生産が可能になるなど多大な効を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態1で、基軸部材と釣具本体とを組付け、両者を係止一体化させた組合せ釣具の斜視図である。
【図2】図1の基軸部材の斜視図である。
【図3】図2の竿側基軸部材周りの部分拡大図で、(イ)がその平面図、(ロ)が正面図、(ハ)が左側面図、(ニ)が(ロ)のIII-III線矢視図である。
【図4】図2の釣針側基軸部材周りの部分拡大図で、(イ)がその平面図、(ロ)が正面図、(ハ)が右側面図、(ニ)が(ロ)のIV-IV線矢視図である。
【図5】釣糸に挿通した弾性短筒体に基軸部材を取付ける説明斜視図である。
【図6】釣糸に挿通した弾性短筒体に基軸部材を取付けた説明斜視図である。
【図7】図6の釣糸に釣具本体を取付ける斜視図である。
【図8】図1のVIII-VIII線矢視図である。
【図9】図1に代わる他態様の組合せ釣具の斜視図である。
【図10】図1,図9に代わる他態様の組合せ釣具の斜視図である。
【図11】図1,図9,図10に代わる他態様の組合せ釣具の斜視図である。
【図12】実施形態2で、基軸部材と釣具本体とを組付け、両者を係止一体化させた組合せ釣具の斜視図である。
【図13】実施形態1の基軸部材に代わる他態様の基軸部材の平面図である。
【図14】図13の基軸部材とはまた別態様の基軸部材と釣具本体とを組付け、両者を係止一体化させた組合せ釣具の斜視図である。
【図15】図14で用いた基軸部材の斜視図である。
【図16】従来技術の説明斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る組合せ釣具について詳述する。
(1)実施形態1
(1−1)構成
図1〜図11は本発明の組合せ釣具の一形態で、図1は組合せ釣具の斜視図、図2は図1の基軸部材の斜視図、図3は図2の竿側基軸部材周りの部分拡大図で、(イ)がその平面図、(ロ)が正面図、(ハ)が左側面図、(ニ)が(ロ)のIII-III線矢視図である。図4は図2の釣針側基軸部材周りの部分拡大図で、(イ)がその平面図、(ロ)が正面図、(ハ)が右側面図、(ニ)が(ロ)のIV-IV線矢視図である。図5,図6は釣糸に挿通した弾性短筒体に基軸部材を取付ける説明斜視図、図7は図6の釣糸に釣具本体を取付ける斜視図、図8は図1のVIII-VIII線矢視図、図9〜図11は図1に代わる他態様の組合せ釣具の斜視図である。
【0010】
組合せ釣具は、釣用基軸部材1と釣具本体5とを具備する(図1)。本実施形態は、釣具本体5に図7に示す円筒状タイプの釣り用錘5S(以下、単に「錘」という。)に適用する。
【0011】
基軸部材は、中央(真ん中)に主軸部2を配して、該主軸部2の両端に、先端へ向けて先細りの中実軸部3を延設した合成樹脂製軸状体である(図2)。中実軸部3の先端を先細りの突端部分33にして、ゴム短管等からなる図5のような弾性短筒体6(通称、「浮きゴム」という)に挿着し易くする。一端側が竿側中実軸部3Rで、他端側が釣針側中実軸部3Hになり、両者は同形状とする。中実軸部3は、図3のごとく主軸部2からまず軸径3D,長さLの基端部分31が突出し、さらに該基端部分31から先端に向け先細りの突端部分33がLの長さで延びる。基軸部材1の材料は機械的強度大の例えばポリアセタール樹脂が採用される。釣具本体5から基軸部材1が突出する図1の組合せ釣具の状態で使用することから、岩などに基軸部材1が当たっても破損しないようにするためである。
【0012】
主軸部2には、その外周面21から半径方向に横断面U字状の深穴20が形成され、さらに該深穴20が主軸部2の軸長手方向に沿って溝状に形成される。深穴20は、主軸部2の両端近くまで細長い溝状に形成される。図3(ロ),図4(ロ)で、主軸部2は、二点鎖線を含めた丸軸状態から同図の上面側二点鎖線の横断面弓形部分が削り取られ、さらに該弓形部分に係る弦の部分から下方に削り取って上面開口の深溝が形成された格好になっている。弦の部分(上面開口)地点から主軸部2の中心を越える深い横断面U字状の深穴20が形成される(図3のニ)。
【0013】
本実施形態の基軸部材1は、樹脂成形品で、主軸部2の軸方向の両端末部分26を残して、該主軸部の軸方向全域に溝状深穴20が形成される。両端末部分26だけ中実軸状に残して、深穴20が主軸部2に図2〜図4のような平面視細長トラック状に形成される。
組合せ釣具が釣糸7に取付けられた状態下、竿側になる一端側中実軸部3Rと深穴20との間に在る主軸部2に係る中実部分、すなわち端末部分26の中実軸径2Dが、該貫通孔50の孔径d以下に小さく設定される。端末部分26が円滑に貫通孔50を貫通して、主軸部2に釣具本体5を取付けられるよう、端末部分26の軸径2Dは、貫通孔50の孔径dよりも小さく設定されるのがより好ましい。一端側(竿側)中実軸部3Rにつながる主軸部2の端部分は、釣具本体5の貫通孔50の孔径d以下の軸径からなる小さな先細部分25にする。図3のごとく軸長さLで軸径2Dの先細部分25とする。主軸部2の中央から該先細部分25へは、軸径が、貫通孔50の孔径dよりも大きな中間部位22の主軸部2側から、徐々に小さくなるテーパ部分24を設ける。ここでは、長さLのテーパ部分とする。テーパ部分24と該先細部分25の境界ラインを越えて、図3のごとく中実部分たる端末部分26まで深穴20の溝端が入り込んでいる。
【0014】
一方、他端側(釣針側)中実軸部3Hにつながる主軸部2の端部分29(又は他端側中実軸部3H寄りの主軸部2)に、該主軸部2の中間部位22における軸径2Dよりも外径が一回り大きな図4ごとくのストッパ用大径部分28を設ける。主軸部2に挿着,係止された釣具本体5たる錘5Sが、万一、何かの拍子で他端側(釣針側)中実軸部3Hへ移動しても、大径部分28がストッパになり主軸部2に止めることができる。また大径部分28は、この部分を摘んで錘5Sの基軸部材1への取付け,取外しを容易にする。取付け,取外し時に大径部分28を手で摘み易くすべく、該大径部分28の外周面には軸方向に向けて波状に形成される。尚、大径部分28の過半部にまで深穴20の釣針側溝端が入り込むようにしている。
そうして、テーパ部分24から該大径部分28までの主軸部2の主部分は、主軸部2の中間部位22を含めて、その軸径を一定とする。テーパ部分24から該大径部分28までの区間の軸太さを、中間部位22の軸径2D(弾性変形させる前の当初軸径2D)に決めている(図8)。
【0015】
また、前記両端末部分26には、その表面から軸半径方向に向かって中実軸部3の基端部分31へ近接するか又は該基端部分31に達する深い切欠溝271が設けられる(図3,図4)。この切欠溝271を基軸部材1の軸方向に走らせ、両端末部分26の表面に、切欠溝271で深穴20側と中実軸部3側とをつなぐ凹み27を形成する。本実施形態は、図3(ハ),図4(ハ)のごとく、中実軸部3の基端部分31に達する切欠溝271,凹み27を形成する。釣針側中実軸部3Hには端末部分26を越えて主軸部2中央側にも大径部分28が設けられているが、該大径部分28の全域を切り欠いて、中実軸部3の基端部分31に達する切欠溝271,凹み27を形成する。
【0016】
さらに、基軸部材1は、一端側中実軸部3Rの軸径3Dよりも主軸部2の軸径2Dの方を一回り大きくして、中実軸部3から主軸部2へ段差を形成してつながるようにする(図3)。ここでは、両中実軸部3,3の軸径3Dよりも中央に位置する主軸部2の軸径2Dを一回り大きくした軸状体にし、中実軸部3の基端部分31につながる主軸部2の端に段差を形成する。中実軸部3に弾性短筒体6を被着すると、該弾性短筒体6の厚みが段差以下になるようにしている。中実軸部3に装着された図6の弾性短筒体6の筒外径は、次に述べる錘5Sに係る貫通孔50の孔径d以下に設定される。
【0017】
釣具本体5たる錘5Sは、基軸部材1と別体とする。錘5Sの本体主部には、少なくとも一端側中実軸部3Rの軸径3D以上に孔径dを大きくし、且つ主軸部2に係る軸長手方向の中間部位22における軸径2Dよりも孔径dを小さくした貫通孔50が設けられる。ここでは、厚肉円筒形の錘5Sに係る本体主部に前記両中実軸部3の軸径3Dよりも孔径dを大きくし、且つ主軸部2に係る軸長手方向の中間部位22における軸径2Dよりも孔径dを小さくした円筒孔たる貫通孔50が設けられる。さらに錘5Sには、その外周面51から該貫通孔50に達する割り溝52が設けられる。
【0018】
錘5Sは、ステンレス鋼,真鍮等からなる所定重量を有する金属加工品で、横断面形状を、図8のように割り溝52の部分を切り欠くC字状とする。割り溝52の幅は、図7の白抜き矢印のごとく釣糸79を貫通孔50へ誘導するためのものであり、釣糸79が通過できる幅があれば足りる。図面は分かり易くするため、該幅を強調して大きく描く。釣りを行う際は、円筒形錘5Sの筒長手方向長さを変化させて、重さが異なった数種類の重量の錘5Sが、適宜用意される。図1〜図8は筒長だけが異なる数種類の錘5Sのうち、一の錘5Sを図示したものである。各錘5Sは、いずれも円筒形となる筒中央に貫通孔50が設けられ、さらに、円筒形外周面21の周方向一箇所に、外周より貫通孔50に至る縦割りの割り溝52が設けられる。
【0019】
貫通孔50の孔径dは割り溝52の幅よりも大きい。組合せ釣具として、錘5Sを複数有する場合、各錘5Sの各貫通孔50に係る孔径dの寸法を等しくする。一の錘5Sで、貫通孔50の孔径dが孔長手方向に変化し一定でない場合は、そのなかの最小孔径を、貫通孔50の孔径dとみなす。本実施形態の貫通孔50は、端面処理した開口端501を除いて、その孔径dを孔貫通方向に一定とする。
【0020】
そうして、貫通孔50へ基軸部材1を一端側中実軸部3Rから挿入し、深穴20の穴幅20Wが狭まるよう主軸部2を弾性変形させて、中間部位22における軸径2Dを小さくすることにより、主軸部2が釣具本体5に挿着される。図8で、鎖線で示した主軸部2は、貫通孔50への該主軸部の圧入で弾性変形し、中間部位22における当初の軸径2Dから実線で示した貫通孔50の孔径dに等しい外径2Dにまで小さくなる。と同時に、主軸部2が弾性復元して、釣具本体5に基軸部材1が係止一体化される組合せ釣具になる。さらに、本実施形態は基軸部材1と釣具本体5とを別体にして、釣具本体5に基軸部材1を着脱自在に係止一体化できる構成とする。
【0021】
図9は図1〜図8に示した錘5Sに代わる他態様の錘5Sを用いた組合せ釣具で、該錘5Sを基軸部材1に係止一体化させた斜視図になっている。図9の釣具本体5たる錘5Sは、金属製芯管53に球状の鉛製主要部54を被着固定したものである。錘5Sには、本体主部(ここでは芯管53)に、竿側中実軸部3Rの軸径3D以上に孔径dを大きくし、且つ中間部位22における軸径2Dよりも孔径dを小さくした貫通孔50が設けられる。さらに錘5Sの外周面51から貫通孔50に達する割り溝52が設けられる。鉛製主要部54及び芯管53に、図9のごとく、錘5Sの外周面51から貫通孔50に達する半径方向に割り溝52が同一面上で切り込まれる。
【0022】
図10は、また別態様の組合せ釣具の斜視図で、釣具本体5に浮き5Fを用いている。浮き5Fは半球状碗部58の開口碗面を平板部59で塞ぐ中空半球状体で、該平板部の中心部に貫通孔50用孔壁がつくる管状部(図示せず)が起立し、且つ半球状碗部の外周面から貫通孔50に達する割り溝52が形成される。すなわち、本体主部に、竿側中実軸部3Rの軸径3D以上に孔径dを大きくし、且つ中間部位22における軸径2Dよりも孔径dを小さくした貫通孔50が設けられる。さらに外周面51から貫通孔50に達する割り溝52が設けられる。
【0023】
図11は、図7に示した錘5Sで、軸方向の長さが異なるだけの錘5Sと、図10に示した浮き5Fとを、基軸部材1に係止一体化させた斜視図である。基軸部材1の主軸部2を、図示のごとく複数個の釣具本体5が数珠つなぎに取付けられる長さにすれば、複数の釣具本体5を組付け一体化した組合せ釣具が出来る。図9〜図11で、基軸部材1,釣具本体5の他の構成は、図1〜図8の説明記載と同様で、その説明を省く。
【0024】
(1−2)効果
このように構成した組合せ釣具は、例えば次のようにして、釣糸7に該組合せ釣具を簡単に取付けることができる。まず、予め釣糸7に通しておいた一対の弾性短筒体6に、図5,図6のごとく両中実軸部3を挿着する。このとき、大径部分28が在る他端側中実軸部3を釣針側にする。次いで、基軸部材1を取り付けた地点よりも竿側の釣糸7へ錘5Sを取り込む。釣糸7を割り溝52から貫通孔50へと誘導し、釣糸7が錘5Sの貫通孔50を縦通するようにする(図7)。続いて、図7で説明すれば、錘5Sを斜め右上方の主軸部2側へ移動し、深穴20の穴幅(20W)が狭まるよう主軸部2を弾性変形させて、主軸部2に釣具本体5を装着する。この装着と同時に、主軸部2が弾性復元し、その復元力で基軸部材1に釣具本体5が係止一体化され、釣糸7に組合せ釣具が取付けられる(図1)。いたって簡単にこの組合せ釣具を釣糸7に固定できる。
【0025】
深穴20を設けた樹脂製主軸部2が有する弾性圧縮に伴う弾性復元力の自律作用によって、錘5Sや浮き5Fを基軸部材1に一体化固定できる。特許文献1のような接着剤の材料コストはかからない。特開平11−18649号のようにネジを切る手間,労力負担もない。組付けは基軸部材1を一端側中実軸部3Rからの挿入時に、多少圧入するだけであり、その作業は極めて容易である。作業性向上だけでなく、特許文献1で二つ要した短軸体91は基軸部材1の一点のみになって、部品点数が減り、且つ接着剤等もいらず、低コスト生産できる。
【0026】
詳述すれば、中実軸部3が、文字通り中実でその軸部全体が樹脂で埋まった剛性軸部にして、且つ先端に向けて先細りになっているので、該中実軸部3へ弾性短筒体6を容易且つ確実に装着できる(図5,図6)。図6の状態から基軸部材1への釣具本体5(ここでは錘5S)の取付けも楽である。まず、該基軸部材1よりも竿側の釣糸7を、釣具本体5の貫通孔50へ導くが(図7)、割り溝52を利用して楽にできる。次に、貫通孔50へ基軸部材1を竿側中実軸部3Rから挿入するが、貫通孔50は竿側中実軸部3Rの軸径3D以上に孔径dが大きいので、竿側中実軸部3は貫通孔50を難なく通過する。続いて、貫通孔50へ主軸部2を挿入することになるが、竿側中実軸部3Rと深穴20との間に在る主軸部2に係る中実部分の軸径が、貫通孔50の孔径d以下に小さく設けられているので、この中実部分も貫通孔50を難なく通過する。
【0027】
そして、主軸部2に係る軸長手方向の中間部位22における軸径2Dは、貫通孔50の孔径dよりも大きくなるが、前記中実部分以外の主軸部2には深穴20が形成されているので、深穴20の穴幅20Wが狭まるよう主軸部2を弾性変形させて、前記中実部分に接続する主軸部2の部分、さらに中間部位22周りの軸径2Dを小さくすることができる(図8)。その結果、貫通孔50へ主軸部2をそのまま挿入し続け、図9のごとく釣具本体5の貫通孔50に主軸部2の略中間部位22を挿着できる。と同時に、中間部位22では圧縮曲げ変形で弾性変形した主軸部2が、その弾性復元力で貫通孔50の壁面を押圧し、釣具本体5は該基軸部材1に係止一体化される。接着剤などの材料や工数のかかるネジ加工等をすることなく、釣糸7に本組合せ釣具を簡単に取付けることができる。
【0028】
その一方で、この係止一体化に要した挿入力を越えて、釣具本体5から基軸部材1を逆方向に引き抜けば、釣具本体5を取り外すことができる。別の錘5Sや浮き5Fとの交換も可能になる。
【0029】
このように、深穴20を設け、弾性変形可能な樹脂製品の特徴を生かした主軸部2の弾性復元力の自律作用で、該基軸部材1に錘5Sや浮き5Fを、容易に且つ着脱自在に一体化固定できる。
【0030】
基軸部材1と釣具本体5とを別体にしてセット商品にし、釣り人が好みに応じて組合せ釣具を組付け完成するようにすれば、特許文献1のような組立て作業コストも不要になる。
釣糸7を切ることなく交換可能できるメリットを有する。しかも、一本の基軸部材1と、貫通孔50の孔径dを一致させた錘5Sや浮き5F等の釣具本体5を取り揃えるだけで、釣り場の状況に応じて錘5Sや浮き5F(図7〜図11)、さらには複数の錘5Sや浮き5Fを組合せた好みの組合せ釣具(例えば図11)にすることができ、頗る便利な組合せ釣具になっている。
【0031】
そして、組合せ釣具は、両端末部分26の表面に、切欠溝271で深穴20側と中実軸部3側とをつなぐ凹み27を形成する。したがって、図5,図6のように凹み27に釣糸7が納まるようにして、弾性短筒体6に竿側中実軸部3を挿着すると、前記錘5Sを図7の状態から図1の主軸部2上への移動で、細長部分の軸部上を通過する際、釣糸7を押し潰し変形させることがない。本組合せ釣具は釣糸7を傷つけることが全くなく、錘5Sや浮き5Fの交換型釣具にして極めて優れものになっている。
【0032】
さらに、組合せ釣具は、竿側中実軸部3Rの軸径3Dよりも主軸部2の軸径2Dの方を大きくして、中実軸部3から主軸部2へは段差を形成してつながる。したがって、中実軸部3に弾性短筒体6を装着しても、図6のごとく該弾性短筒体6の筒外径を貫通孔50の孔径d以下にできる。かくして、図6のように弾性短筒体6で釣糸7に基軸部材1を一度取付ければ、基軸部材1から弾性短筒体6を外すことなく、図7の状態から図1の状態へと、錘5Sや浮き5Fの交換が楽に行える。釣り人は錘5Sや浮き5Fの取付け,交換を迅速対応でき有益となる。
【0033】
加えて、釣針側中実軸部3Hにつながる主軸部2の端部分29(又は他端側中実軸部3H寄りの主軸部2)に、主軸部2の中間部位22における軸径2Dよりも外径が大きな大径部分28を設けているので、この部分を手で摘んで、基軸部材1へ釣具本体5を簡単に取付け、また基軸部材1から釣具本体5を簡単に取外しできる。大径部分28が把持部になるだけでなく、該大径部分28を釣針側に配して、基軸部材1を釣糸7に取付けて組合せ釣具とすると、万一、何らかの外力で釣具本体5が主軸部2から釣針側へ動くことがあっても、大径部分28がストッパになって、釣具本体5が基軸部材1から外れることがない。接着に頼る特許文献1や特開平11−18649号の螺合構造のものは、接着力や螺合が弱まり被結合部材が動いて外れてしまうが、本組合せ釣具は被結合部材たる釣具本体5が基軸部材1から動いても、大径部分28で釣具本体5が外れるのを阻止する。釣り人に釣具本体5を損失する経済的負担をかけず、また錘5Sや浮き5Fを海に落とし海を汚すこともない。
【0034】
(2)実施形態2
本組合せ釣具は、図12〜図15ごとくの釣具本体5と基軸部材1とを固定一体化するものとなっている。図12は基軸部材と釣具本体とを組付け一体化させた組合せ釣具の斜視図、図13は実施形態1の基軸部材に代わる他態様の基軸部材の平面図、図14は図1に対応する組合せ釣具の斜視図、図15は図14で用いた基軸部材の平面図である。
【0035】
図12で用いる基軸部材1は実施形態1のものと同じである。図13の基軸部材1は図2〜図4の基軸部材1に代わる別態様品である。図2〜図4の基軸部材1では、竿側中実軸部3の基端に、軸長さLで軸径2dが一定の先細部分25と、該先細部分25から主軸部2の中央に向けて長さLのテーパ部分24とを設けたが、図13は竿側中実軸部3の基端から、主軸部2の中央に向けて長さLのテーパ部分24だけを設けた基軸部材1とする。竿側中実軸部3の基端に結合する側のテーパ部分24の領域に、深穴20の溝端が入り込むが、この溝端でのテーパ部分24の軸径は、貫通孔50の孔径d以下に設定される。好ましくは貫通孔50の孔径dよりも小さく設定される。テーパ部分24が円滑に貫通孔50を貫通して、主軸部2に釣具本体5を取付けられるからである。他の基軸部材1の構成は、図1〜図8での説明と同様で、その説明を省く。
【0036】
図15の基軸部材1は、実施形態1と同様、中央に主軸部2を配して、該主軸部2の両端に、先端へ向けて先細りの中実軸部3を延設した樹脂製軸状体とする。且つ主軸部2に、その外周面21から半径方向に深穴20が形成され、さらに深穴20が主軸部2の軸長手方向に沿って溝状に形成される。
しかし、基軸部材1に釣具本体5を係止一体化し固定するため、基軸部材1には切欠溝271,凹み27、さらに大径部分28を設けていない。また、基軸本体に錘5Sや浮き5Fの交換取付けがないため、一端側中実軸部3Rの軸径3Dよりも前記主軸部2の軸径2Dの方を大きくし、該中実軸部3から段差を形成して該主軸部2へつながるような構成ではない。主軸部2の両端からなだらかに先端へ向けて先細りの中実軸部3が延設する。深穴20の端が先端に向け先細りの中実軸部3まで至っている。尚、竿側中実軸部3Rと深穴20との間に主軸部2に係る中実部分が存在する場合、該中実部分の軸径は貫通孔50の孔径d以下に小さく設けられる。
【0037】
釣具本体5たる浮き5Fは、図12,図14のような中空卵形状の浮き5Fである。本体主部に、竿側中実軸部3Rの軸径3D以上に孔径dを大きくし、且つ主軸部2に係る軸長手方向の中間部位22における軸径2Dよりも孔径dを小さくした貫通孔50が設けられる。さらに外周面51から貫通孔50に達する割り溝52が設けられる。
【0038】
本実施形態は、実施形態1に比べ、主軸部2に係る軸長手方向の中間部位22における軸径2Dよりも貫通孔50の孔径dをより一層小さくする。そして、貫通孔50へ前記基軸部材1を一端側中実軸部3Rから挿入し、深穴20の穴幅20Wが狭まるよう強力に圧入して、中間部位22における当初軸径2Dを貫通孔50の孔径dに等しくする軸径2Dにまでより小さく弾性変形させることにより、主軸部2を釣具本体5に挿着する(図12,図14)。と同時に、この挿着に伴い、主軸部2が弾性復元して、該釣具本体5に該基軸部材1が係止一体化される構成とする。主軸部2を軸径2Dにまでより小さく弾性変形させているので、主軸部2の弾性復元力も大になり、基軸部材1に釣具本体5をより強力に係止一体化させる。多少の外力が加わっても基軸部材1から釣具本体5が動かず、両者が固定一体化される。この基軸部材1と釣具本体5が一体化した図12や図14の形での釣具商品とする。他の構成は、実施形態1と同様で、その説明を省く。実施形態1と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0039】
このように構成した組合せ釣具は、実施形態1のように釣具本体5に基軸部材1が着脱自在に係止一体化できる特長を発揮できない。しかし、基軸部材1に釣具本体5を固定する組合せ釣具商品になるので、釣り人とっては基軸部材1に釣具本体5を組付ける手間がいらなくなる。組付ける作業から解放され、実施形態1にない新たな効果を発揮する。他の効果は、実施形態1と同様であり、その説明を省く。
【0040】
尚、本発明においては前記実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。基軸部材1,釣具本体5,錘5S,浮き5F等の形状,大きさ,個数,材質等は用途に合わせて適宜選択できる。例えば、実施形態1の分割浮き5Fに代え実施形態2の卵形浮き5F等にすることができる。実施形態2は釣具本体5に浮き5Fを用いたが、これに代え錘5S等にすることもできる。
【符号の説明】
【0041】
1 基軸部材
2 主軸部
20 深穴
20W 穴幅
21 外周面(主軸部の外周面)
22 中間部位
26 端末部分
27 凹み
271 切欠溝
28 大径部分
29 端部分
2D 軸外径
2D 中間部位における軸外径
3 中実軸部
3D 中実軸部の軸外径
3R 一端側中実軸部(竿側中実軸部)
3H 他端側中実軸部(釣針側中実軸部)
31 基端部分
5 釣具本体
50 貫通孔
51 外周面(釣具本体の外周面)
52 割り溝
d 孔径(貫通孔の孔径)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央に主軸部(2)を配して、該主軸部(2)の両端に、先端へ向けて先細りの中実軸部(3)を延設した樹脂製軸状体とし、且つ該主軸部(2)に、その外周面(21)から半径方向に深穴(20)が形成され、さらに該深穴(20)が該主軸部(2)の軸長手方向に溝状に形成される釣用基軸部材(1)と、
本体主部に、少なくとも一端側中実軸部(3R)の軸径(3D)以上に孔径(d)を大きくし、且つ前記主軸部(2)に係る軸長手方向の中間部位(22)における軸径(2D1)よりも孔径(d)を小さくした貫通孔(50)が設けられ、さらに外周面(51)から該貫通孔(50)に達する割り溝(52)が設けられる釣具本体(5)と、を具備し、
該貫通孔(50)へ前記基軸部材(1)を一端側中実軸部(3R)から挿入し、前記深穴(20)の穴幅(20W)が狭まるよう前記主軸部(2)を弾性変形させて、前記中間部位(22)における軸径(2D1)を小さくすることにより、該主軸部(2)が該釣具本体(5)に挿着されると共に、該主軸部(2)が弾性復元して、該釣具本体(5)に該基軸部材(1)が係止一体化されてなることを特徴とする組合せ釣具。
【請求項2】
前記一端側中実軸部(3R)の軸径(3D)よりも前記主軸部(2)の軸径(2D)の方を大きくして、該中実軸部から該主軸部へ段差を形成してつながる基軸部材(1)とし、さらに該基軸部材(1)と前記釣具本体(5)とを別体にして、該釣具本体(5)に該基軸部材(1)が着脱自在に係止一体化されてなる請求項1記載の組合せ釣具。
【請求項3】
前記深穴(20)が主軸部(2)の両端末部分(26)を残して平面視細長トラック状に形成され、さらに該端末部分(26)の表面から軸半径方向に向かって前記中実軸部(3)の基端部分(31)へ近接するか又は該基端部分(31)に達する深い切欠溝(271)を設け、且つ該端末部分(26)の表面に、該切欠溝(271)で深穴(20)側と中実軸部(3)側とをつなぐ凹み(27)を形成する請求項2記載の組合せ釣具。
【請求項4】
前記貫通孔(50)へ前記基軸部材(1)が挿入される一端側中実軸部(3R)とは反対側の他端側中実軸部(3H)で、該他端側中実軸部(3H)につながる前記主軸部(2)の端部分(29)又は他端側中実軸部(3H)寄りの前記主軸部(2)に、該主軸部(2)の中間部位(22)における軸径(2D1)よりも外径が大きな大径部分(28)をさらに設けた請求項1乃至3のいずれか一項に記載の組合せ釣具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate