説明

組版データ管理プログラムおよび組版システム

【課題】 組版データをページ単位で管理することが可能であるとともに、一段落が複数ページに跨っている場合でも、ユーザーがページの境界を意識せずに編集作業を行うことが可能な組版システムおよび組版データ管理プログラムを提供する。
【解決手段】 元の組版データCをページ単位に分割してページ組版データDxを生成するページ単位分割手段P22と、元の組版データC中の複数のページに跨る一段落を、ページの境界において分割して複数の段落とし、その複数の段落がその境界において継続していることを示す段落継続データ34cを生成する段落分割手段P24と、ページ組版データ記憶手段P42と、ページ組版データ記憶手段P42からページ組版データDxを抽出するページ組版データ抽出手段P30と、抽出されるページ組版データDxに対し、段落継続データ34cに基づいて、各段落を一つの段落に連結する段落連結手段P32とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷対象をユーザーにより入力および/または編集可能とする印刷対象入力編集手段と、印刷対象入力編集手段で入力および/または編集された印刷対象を組版して電子的な組版データを生成する組版手段とを備える組版システム、および、前記組版データを管理するのに用いられる組版データ管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、書籍の出版において、印刷対象の文章等を書籍の体裁に合わせて電子的に組版する組版装置が広く用いられている。一般的な組版装置は、コンピュータに所定の組版プログラム(本願特許請求の範囲および明細書においては、「プログラム」とは、コンピュータ読み取り可能なソフトウェアプログラムのことを指す)がインストールされて成り、組版プログラムが前記コンピュータの制御部により実行されることで、組版を行う機能を実現する。
組版プログラムは、印刷対象をユーザーにより入力および編集可能とする印刷対象入力編集手段と、印刷対象入力編集手段で入力または編集された印刷対象を組版して電子的な組版データを生成する組版手段ととして、前記コンピュータ(組版装置)を機能させる。
【0003】
このような組版装置により生成された組版データを、ページ単位に分割して管理する技術が、特許文献1に記載されている。組版データをページ単位に分割してから編集作業等を行うことによれば、特定のページに対する変更が他ページに影響することを防ぐことができるから、編集後のデータのチェックや、編集作業のページ単位での分業化を容易にすることができる。
【0004】
【特許文献1】特開平10−58632号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、組版データにおいて、印刷対象の一段落の途中に、ページの境界が掛かることがある。言い換えると、一段落が複数のページに跨ることがある。
ここで、この一段落が掛かる複数ページを変更する必要があって、その変更によってその一段落中のページの境界の位置が変わったり、ページの境界がその一段落中から外れたりする場合、組版データがページ単位に分割されていると、その複数ページ間で印刷対象(文章等)の一部を移動させたりする作業が必要となり、編集作業が煩雑となって、編集作業工数が増加したり編集作業ミスが発生しやすくなったりするという課題がある。
なお、特許文献1には、明確な記載はなされていないものの、各ページごとの文字データ(印刷対象)と総文字データとを別々に記憶しておくことを示唆した記載(段落0035)が見られるが、これでは、同じ内容の文字データを重複して記憶するために多くの記憶領域を必要とするとともに、処理構成が煩雑となってしまうものと考えられる。
【0006】
本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、組版データをページ単位で管理することが可能であるとともに、一段落が複数ページに跨っている場合でも、編集作業者(ユーザー)が、編集の際に印刷対象をページ間で移動させる等の煩雑な作業を行う必要がなく、ページの境界を意識せずに編集作業を行うことが可能な組版システム、および、その組版システムにおいて組版データを管理するのに用いられる組版データ管理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る組版データ管理プログラムは、上記課題を解決するために、以下の構成を備える。すなわち、印刷対象をユーザーにより入力および/または編集可能とする印刷対象入力編集手段と、該印刷対象入力編集手段で入力および/または編集された印刷対象を組版して電子的な組版データを生成する組版手段とを有する組版装置により生成された組版データを管理するのに用いられる組版データ管理プログラムであって、前記組版手段により生成された元の組版データをページ単位に分割して、各ページに対応する、それぞれ独立した組版データであるページ組版データを生成するページ単位分割手段と、該ページ単位分割手段による前記ページ単位の分割において、前記元の組版データに組み込まれた印刷対象の一段落が複数のページに跨る場合には、該一段落を各該ページの境界において分割して複数の段落とするとともに、該複数の段落が、該境界において継続していることを示す段落継続データを生成する段落分割手段と、各前記ページ組版データおよび前記段落継続データを記憶するページ組版データ記憶手段と、該ページ組版データ記憶手段から、任意のページ組版データを、該ページ組版データに組み込まれた印刷対象を前記印刷対象入力編集手段で編集可能な状態に抽出するページ組版データ抽出手段と、該ページ組版データ抽出手段により抽出されるページ組版データに組み込まれた印刷対象に対し、前記段落継続データにより該印刷対象のページの境界において継続していることが示された各段落を、一つの段落に連結する処理を施す段落連結手段ととして、コンピュータを機能させることを特徴とする。
つまり、段落分割手段は、組版データをページ単位のページ組版データに分割する際、複数のページに跨る一段落は、ページの境界において分割して複数の段落にするとともに、この複数の段落が、その境界において継続していることを示す段落継続データを生成する。そして、段落連結手段は、ページ組版データを編集可能な状態に抽出する際、前記段落継続データによりその印刷対象のページの境界において継続していることが示された各段落を、一つの段落に連結する。
これによれば、組版データをページ単位で管理することが可能であるとともに、印刷対象を編集する際には、分割された段落は連結された状態にされ、ユーザーはページの境界を意識せずに編集作業を行うことができる。
【0008】
さらに、前記段落連結手段は、連結する前記境界に対応する前記段落継続データを削除することを特徴とする。
これによれば、編集によって段落の境界位置が変わった場合に、元の境界に対応する、不要な段落継続データが削除される。
【0009】
また、前記段落分割手段は、前記境界の後側のページに対応するページ組版データ内に、前記段落継続データを記述することを特徴とする。
また、前記段落分割手段は、前記境界の後側のページに対応するページ組版データ内の、該ページ組版データに組み込まれた印刷対象を表すデータより前に、前記段落継続データを記述することを特徴とする。
これによれば、ページ組版データ内に段落継続データが埋め込まれ、段落継続データの管理が容易となる。
特に、印刷対象を表すデータより前、すなわち段落が分割された境界に対応する位置に段落継続データを記述することにより、段落継続データの記述(段落分割手段)や削除(段落連結手段)の処理を容易に構成することができる。
【0010】
さらに、前記ページ単位分割手段により生成されまたは前記ページ組版データ記憶手段に記憶されたページ組版データに組み込まれた印刷対象を表すデータの中途部に、前記段落継続データが記述されている場合には、該段落継続データを削除する段落継続データチェック手段として、コンピュータを機能させることを特徴とする。
これによれば、不要な段落継続データを自動的に削除できる。
【0011】
また、前記ページ組版データは、マークアップ言語で記述され、前記段落分割手段は、前記段落継続データを、前記ページ組版データ内に、前記マークアップ言語のタグ、またはタグの属性として記述することを特徴とする。
これによれば、段落継続データの管理および記述が容易となる。
【0012】
また、前記元の組版データには、各ページに対応する柱および/またはノンブルの情報が含まれ、前記ページ単位分割手段は、前記柱および/またはノンブルの情報を、対応するページの前記ページ組版データに組み込んで、ページ組版データを生成することを特徴とする。
これによれば、文章、文章の見出し、表、および図等の印刷対象だけでなく、柱および/またはノンブルの情報が組み込まれたページ組版データを生成することができる。
【0013】
また、前記段落分割手段により印刷対象の一段落を複数の段落に分割する際、該一段落に設定されている段落スタイルを、分割された複数の段落の段落スタイルとして継承させる段落スタイル継承手段として、コンピュータを機能させることを特徴とする。
これによれば、一段落を複数の段落に分割した際に、分割後の各段落に、元の段落スタイルを継承させることができる。
【0014】
さらに、前記段落スタイルには、段落の初行の字下げ量と2行目以降の字下げ量とが含まれ、前記段落スタイル継承手段は、前記段落分割手段により分割された前記複数の段落のうち2番目以降の段落の前記初行の字下げ量として、前記一段落に設定されている2行目以降の字下げ量を継承させることを特徴とする。
これによれば、段落分割手段により分割された複数の段落のうち2番目以降の段落においては、元の段落の初行の字下げ量が適用されることを防ぐことができる。すなわち、分割された2番目の段落以降の初行は、分割前の本来の前記一段落の初行でないから、2行目以降の字下げ量を適用するよう構成できる。
【0015】
また、前記段落分割手段により印刷対象の一段落を複数の段落に分割する際、該一段落に含まれる、共通の文字スタイルが設定された連続する複数の文字が、当該分割により複数の段落に分断される場合には、該複数の段落のそれぞれにおいて、該分断される複数の文字に、該共通の文字スタイルを継承させる文字スタイル継承手段として、コンピュータを機能させることを特徴とする。
これによれば、共通の文字スタイルが設定された連続する複数の文字が、段落分割手段による分割により複数の段落に分断される場合に、分割後の各文字に、元の文字スタイルを継承させることができる。
【0016】
また、ユーザーにより、前記印刷対象入力編集手段で印刷対象の入力および/または編集を行うページを指定可能とする編集ページ指定手段として、コンピュータを機能させ、前記ページ組版データ抽出手段は、前記編集ページ指定手段により指定されたページのうち、対応するページ組版データが前記ページ組版データ記憶手段に記憶されているページを、該ページに対応するページ組版データに組み込まれた印刷対象を前記印刷対象入力編集手段で編集可能な状態に抽出することを特徴とする。
これによれば、ユーザーは、ページ組版データ記憶手段に記憶されているページを指定して、そのページを編集することができる。
【0017】
また、前記編集ページ指定手段は、ユーザーにより、加除するページを記載した加除表を表す情報を入力可能とすることで、前記入力および/または編集を行うページを指定可能とすることを特徴とする。
これによれば、ユーザーは、ページ組版データ記憶手段に記憶された任意のページ組版データを削除することができる。
【0018】
また、ユーザーにより、削除するページを指定可能とする削除ページ指定手段と、該削除ページ指定手段により指定されたページに対応するページ組版データを、前記ページ組版データ記憶手段から削除するページ組版データ削除手段ととして、コンピュータを機能させ、前記編集ページ指定手段および前記削除ページ指定手段は、ユーザーにより、加除するページを記載した加除表を表す情報を入力可能とすることで、前記入力および/または編集を行うページ、ならびに、前記削除するページを指定可能とすることを特徴とする。
これによれば、ユーザーは、加除表に基づいて追加および/または削除するページを指定することができる。
【0019】
さらに、前記編集ページ指定手段は、加除式書籍におけるノンブルに基づいてページを指定可能であることを特徴とする。
これによれば、ユーザーは、加除式書籍のノンブルに基づいて追加および/または削除するページを指定することができる。
【0020】
また、前記編集ページ指定手段は、加除式書籍におけるノンブルとノンブル区分とに基づいてページを指定可能であることを特徴とする。
これによれば、ユーザーは、加除式書籍のノンブルとノンブル区分とに基づいて追加および/または削除するページを指定することができる。
【0021】
また、本発明に係る組版システムは、上記課題を解決するために、以下の構成を備える。すなわち、印刷対象をユーザーにより入力および/または編集可能とする印刷対象入力編集手段と、該印刷対象入力編集手段で入力および/または編集された印刷対象を組版して電子的な組版データを生成する組版手段と、該組版手段により生成された元の組版データをページ単位に分割して、各ページに対応する、それぞれ独立した組版データであるページ組版データを生成するページ単位分割手段と、前記組版データをページ単位に分割して、各ページに対応したページ組版データを生成するページ単位分割手段と、該ページ単位分割手段による前記ページ単位の分割において、前記元の組版データに組み込まれた印刷対象の一段落が複数のページに跨る場合には、該一段落を各該ページの境界において分割して複数の段落とするとともに、該複数の段落が、該境界において継続していることを示す段落継続データを生成する段落分割手段と、各前記ページ組版データおよび前記段落継続データを記憶するページ組版データ記憶手段と、該ページ組版データ記憶手段から、任意のページ組版データを、該ページ組版データに組み込まれた印刷対象を前記印刷対象入力編集手段で編集可能な状態に抽出するページ組版データ抽出手段と、該ページ組版データ抽出手段により抽出されるページ組版データに組み込まれた印刷対象に対し、前記段落継続データにより該印刷対象のページの境界において継続していることが示された各段落を、一つの段落に連結する処理を施す段落連結手段とを備えることを特徴とする。
つまり、段落分割手段は、組版データをページ単位のページ組版データに分割する際、複数のページに跨る一段落は、ページの境界において分割して複数の段落にするとともに、この複数の段落が、その境界において継続していることを示す段落継続データを生成する。そして、段落連結手段は、ページ組版データを編集可能な状態に抽出する際、前記段落継続データによりその印刷対象のページの境界において継続していることが示された各段落を、一つの段落に連結する。
これによれば、組版データをページ単位で管理することが可能であるとともに、印刷対象を編集する際には、分割された段落は連結された状態にされ、ユーザーはページの境界を意識せずに編集作業を行うことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る組版データ管理プログラムおよび組版システムによれば、組版データをページ単位で管理することが可能であるとともに、一段落が複数ページに跨っている場合でも、編集作業者(ユーザー)がページの境界を意識せずに編集作業を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係る組版データ管理プログラムおよび組版システムを実施するための最良の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る、書籍の出版のための組版に用いられる組版システムSおよび組版データ管理プログラムPBの構成を示すブロック図である。
【0024】
組版システムSは、LAN(Local Area Network)等のネットワークNを介して互いに通信可能に接続された、組版装置Aと組版データ管理装置Bとから成る。
組版装置Aおよび組版データ管理装置Bはそれぞれ、いわゆるパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータにより構成される。組版装置Aおよび組版データ管理装置Bは、CPUやメモリ等を含む電子回路から成り、ソフトウェアプログラムを実行して様々な機能(手段)を実現可能な制御部6,26と、キーボードやマウス等の、制御部6,26に対してユーザーが情報を入力可能な入力手段2,22と、液晶ディスプレイやCRT等の、制御部6,26からの信号に応じて情報を表示可能な表示手段4,24と、LANカード等の、ネットワークNを介して他のコンピュータや電子機器等とデータを通信可能な通信手段8,28とを有する。
【0025】
組版装置Aを構成するコンピュータのハードディスクには、組版プログラムPAがコンピュータ読み取り可能に記憶(インストール)されている。また、組版データ管理装置Bを構成するコンピュータのハードディスクには、組版データ管理プログラムPBがコンピュータ読み取り可能に記憶(インストール)されている。
なお、図1においては便宜的に、組版プログラムPAおよび組版データ管理プログラムPBがそれぞれ制御部6および制御部26により実行されることで実現される各手段(機能)P2〜P6およびP22〜P42を、便宜上、それぞれの制御部6および制御部26の内部に図示している。
【0026】
次に、組版装置Aにインストールされた組版プログラムPAが制御部6により実行されることで実現される各手段P2〜P6について説明する。
【0027】
(印刷対象入力編集手段P2)
印刷対象入力編集手段P2は、いわゆるテキストエディタの機能を有し、表示手段4に所定の編集画面を表示させて、文章等の印刷対象を、キーボード等の入力手段2を介してユーザーにより入力された文字情報や編集操作等に基づいて入力および編集しつつ、編集画面に反映させて表示させることが可能に設けられる。なお、印刷対象としては、文章に限らず、例えば、表や図なども含まれる。
また、印刷対象入力編集手段P2は、いわゆるページレイアウトの表示および編集が可能に設けられる。すなわち、印刷対象入力編集手段P2は、入力または編集中の印刷対象を、仮想的な書籍のページに割り振って前記編集画面上に表示させることができ、また、印刷対象のページへの割り付けを入力手段2を介して入力および編集可能(例えばページ区切り(ページの境界)等を入力および編集可能)に構成される。
【0028】
印刷対象入力編集手段P2は、ユーザーに、組版データ記憶手段P6に記憶された既存の組版データに組み込まれた印刷対象を編集することを可能とし、また、仮想的なページを新規作成して、その上に新たな印刷対象を入力することも可能に設けられる。
【0029】
また、印刷対象入力編集手段P2は、ユーザーにより入力手段2を介して入力された操作に基づいて、印刷対象の段落スタイルや文字スタイルを設定可能に設けられる。
段落スタイルとは、段落の配置や印刷形式等を定義するもので、具体的には、段落の配置(絶対位置や相対位置や揃え等)、字下げ量(初行の字下げ量および2行目以降の字下げ量)、行間隔、禁則処理の設定等が含まれる。
なお、本発明における「段落」とは、文章の段落に限定されず、印刷対象の一定の一区切りのことであって、例えば、文章の見出し、表、図等も段落に含まれる。
また、文字スタイルとは、印刷対象の中の各文字の印刷形式等を定義するもので、具体的には、文字サイズ、書体(斜体、太字等)、文字色、文字間隔、アンダーライン有無等がある。
【0030】
さらに、印刷対象入力編集手段P2は、各ページに印刷される柱およびノンブルの記述内容を、入力手段2を介してユーザーにより入力および編集させることができる。また、印刷対象入力編集手段P2は、ユーザーにより柱およびノンブルの配置および文字スタイル等の書式を設定させることができる。
なお、柱とは、一般的には各ページの端の部分(天、小口、地、またはのど等)に印刷される、対応するページに印刷される印刷対象の章題や見出し、または書籍名や書籍名の略称等のことである。ノンブルとは、一般的には各ページの端の部分(天、小口、地、またはのど等)に印刷される、対応するページのページ番号のことである。
【0031】
(組版手段P4)
次に、組版手段P4について説明する。
ユーザーが入力手段2を介して組版を行うことを指示する所定の操作を行うと、組版手段P4が起動し、組版手段P4は、印刷対象入力編集手段P2で設定された段落スタイルや文字スタイル等に基づいて、印刷対象入力編集手段P2で入力および/または編集された印刷対象を組版して、電子的な(デジタルの)組版データを生成する。
【0032】
図2は、組版手段P4により生成された組版データC(元の組版データ)の例を示す説明図である。組版データCは、文章等の印刷対象の組版を定義する印刷対象データCaと、柱の組版を定義する、各ページに対応する柱データCb,Cb・・と、ノンブルの組版を定義する、各ページに対応するノンブルデータCc,Cc・・とを含む。
組版手段P4は、各印刷対象データCa、各柱データCbおよび各ノンブルデータCcを、それぞれ別々の一つのファイルとなるよう生成する。また、組版手段P4は、組版データCを構成する印刷対象データCa、柱データCbおよびノンブルデータCcのそれぞれを、マークアップ言語であるXML言語で記述して生成する。
【0033】
なお、図2において、印刷対象データCaに組み込まれた印刷対象は、説明の簡単のため、8ページと9ページとの境界の前後の一部分だけを図示している。また、図2においては、8ページ目および9ページ目に対応する柱データCbおよびノンブルデータCcのみを図示し、その前後のページに対応する柱データCbおよびノンブルデータCcは、図示を省略している。
【0034】
組版手段P4は、生成した組版データCを、RAMやハードディスクで構成される組版データ記憶手段P6(図1参照)に記憶させる。
組版データ記憶手段P6に記憶された組版データCは、印刷対象入力編集手段P2により読み出して再編集したり、通信手段8を介して、他のコンピュータや電子機器に送信したりすることができる。特に、本組版システムSにおいては、組版データ記憶手段P6に記憶された組版データCを、組版データ管理装置Bに転送して、組版データ管理装置Bにて保存および管理を行う。
【0035】
次に、図2に示した組版データCの内容について説明する。
各前記データCa,Cb,Cc内で、タグ「<kumihan−data>」からタグ「</kumihan−data>」の間に、印刷される印刷対象(または柱やノンブル)や、そのスタイル等を定義する各種のタグ等が記述される。
また、タグ「<?page x?>」(xはページ番号)は、それ以降の記述の、印刷されるページ番号xを定義するものである。言い換えると、タグ「<?page x?>」は、その位置でページが切り替わること、すなわちページの境界を表している。
また、タグ「<p name=”・・・”>」または「<p>」と、タグ「</p>」とは、それらの間の記述が一つの段落であることを示す(なお、柱やノンブルも段落の一つとして扱う)。
【0036】
また、印刷対象データCaの段落中で、タグ「<first−indent indent=”50”>」は、段落スタイルとして、該当する段落の初行の字下げ量が50単位であることを示す(なお、前記単位としては、特に限定されないが、ピクセルやミリメートル等が採用できる)。同様に、タグ「<head−indent indent=”0”>」は、段落スタイルとして、該当する段落の2行目以降の字下げ量が0単位であることを示す。
また、印刷対象データCaに組み込まれた印刷対象の文章中、タグ「<b>」とタグ「</b>」間に囲まれた部分は、文字スタイルとして「太字」が指定された箇所を示す。
【0037】
なお、本実施の形態においては、柱データCbおよびノンブルデータCcを、各ページごとに一つずつ生成するよう構成したが、本発明はこれに限定されず、対応する全ページの柱(またはノンブル)の組版を定義する記述を、一つの柱データCb(またはノンブルデータCc)のファイル内に記述するよう構成してもよい。また、印刷対象の組版を定義する印刷対象データ内に、柱およびノンブルの組版を定義する記述を組み込んで、組版データ全体が1ファイルとするよう構成してもよい。
また、組版データCは、XML言語に限らず、他のマークアップ言語で記述するよう構成しても良いし、マークアップ言語以外の形式で記述するよう構成してもよい。
【0038】
次に、組版データ管理装置Bにインストールされた組版データ管理プログラムPBが制御部26により実行されることで実現される各手段P22〜P42(図1参照)について説明する。
【0039】
(ページ単位分割手段P22、段落分割手段P24、段落スタイル継承手段P26、文字スタイル継承手段P28)
ページ単位分割手段P22は、組版手段P4により生成された元の組版データCを組版装置Aから受信し、元の組版データCをページ単位に分割して、各ページに対応する、それぞれ独立した組版データであるページ組版データを生成する処理を行う。
図3は、ページ単位分割手段P22により、図2に示した元の組版データCがページ単位に分割されて生成されたページ組版データ・・D8,D9・・の例を示す説明図である。
【0040】
ページ単位分割手段P22、段落分割手段P24、段落スタイル継承手段P26、および文字スタイル継承手段P28の処理を、図4のフローチャートを用いて説明する。
【0041】
組版装置Aから組版データ管理装置Bに、保存すべき元の組版データCが送信されると、組版データ管理プログラムPBのページ単位分割手段P22が起動される。
ページ単位分割手段P22は、まず、元の組版データCの印刷対象データCa(図2参照)内を先頭からページの境界を表すタグ「<?page x?>」を検索する(図4 ステップS1)。
続いて、ページ単位分割手段P22は、検索したタグ「<?page x?>」が表すxページに対応するページ組版データDxのファイルを生成して開く(ステップS2)。
続いて、ページ単位分割手段P22は、元の組版データC内の、前記xページに対応する柱データCbを読み出して、柱の組版を定義する情報30(図3参照)をページ組版データDx内に書き込む(図4 ステップS3)。
続いて、ページ単位分割手段P22は、元の組版データC内の、前記xページに対応するノンブルデータCcを読み出して、ノンブルの組版を定義する情報32(図3参照)をページ組版データDx内に書き込む(図4 ステップS4)。
【0042】
続いて、ページ単位分割手段P22は、検索したタグ「<?page x?>」が、印刷対象の一段落内にあるかどうかを判定する(ステップS5)。すなわち、印刷対象の一段落が複数ページに跨るか否かを判定する。この判定は、前記検索したタグ「<?page x?>」が、段落を表す一対のタグ「<p ・・>」と「</p>」との間にあるときは一段落内にあると判定し、その間にないときは一段落内にないと判定することで行うことができる。
【0043】
この判定(ステップS5)で、タグ「<?page x?>」が一段落内にないと判定された場合、すなわち、段落間にページの境界があると判定された場合には、ページ単位分割手段P22は、印刷対象データCaのタグ「<?page x?>」以降のデータを読み出して、印刷対象の内容および組版を定義する情報34(図3参照)をページ組版データDx内に書き込む(図4 ステップS10)。
【0044】
他方、前記判定(ステップS5)で、ページの境界を表すタグ「<?page x?>」が一段落内にある、すなわち、一段落が複数ページに跨ると判定された場合には、ページ単位分割手段P22は、段落分割手段P24に係る処理(ステップS6,S7)と、段落スタイル継承手段P26に係る処理(ステップS8)と、文字スタイル継承手段P28に係る処理(ステップS9)とを実行する。
【0045】
段落分割手段P24に係る処理は、まず、ページ組版データDx内に、段落の開始を表すタグ「<p name=”・・・”>」を書き込む(ステップS6)。
図2,図3の例でいうと、図2の印刷対象データCa中、一段落内に「<?page 9?>」がある。この場合、ページ単位分割手段P22は、ページ組版データDx内に、段落の開始を表すタグ34b「<p name=”・・・”>」を書き込む(図4 ステップS6)。そして、後で実行されるステップS10の処理(後述)において、印刷対象データCaのタグ「<?page 9?>」以降の文章「度を条例で規定する・・・ことができます。」が、ページ組版データD9のタグ34b「<p name=”・・・”>」の後に書き込まれることにより、この文章は、ページ組版データD9上で、タグ「<?page 9?>」以前の文章(後述するページ組版データD8上)とは独立した別の段落となる。
【0046】
段落分割手段P24は、続いて、ページ組版データDx内に、ステップS6で分割された前記複数の段落が、前記ページの境界において継続していることを示す段落継続データを書き込む(ステップS7)。
図3のページ組版データD9においては、タグ34c「<p−memo memo=”継続”/>」が、この段落継続データにあたる。すなわち、本実施例において、「memo属性として”継続”が設定されたp−memoタグ」が、段落継続データである。段落分割手段P24は、前記タグ「<?page 9?>」で表された前記境界の後側のページ(9ページ)に対応するページ組版データD9内に、段落継続データ34cを記述する。
【0047】
次に、段落分割手段P24に係る処理(図4 ステップS6,S7)に続いて実行される、段落スタイル継承手段P26に係る処理(ステップS8)について説明する。段落スタイル継承手段P26は、印刷対象データCa中の一段落に設定されている段落スタイルを、段落分割手段P24で分割された複数の段落の段落スタイルとして継承させる処理を実行する。具体的には、段落スタイル継承手段P26は、印刷対象データCa内の元の段落の段落スタイルを定義するタグを、ページ組版データD9内に書き込む。
【0048】
本実施例においては、段落スタイル継承手段P26は、印刷対象データCa内の元の段落の初行の字下げ量を定義するタグ「<first−indent・・・>」および2行目以降の字下げ量を定義するタグ「<head−indent ・・・>」(図3のタグ34d)を、ページ組版データD9内に書き込む。
ここで、段落スタイル継承手段P26は、段落分割手段P24により分割された複数の段落のうち2番目以降の段落(本実施例におけるページ組版データD9のデータ34a)の初行の字下げ量としては、元の印刷対象データCa内の段落に設定されている2行目以降の字下げ量(すなわち本例では”0”)を継承させる。
【0049】
なお、段落スタイル継承手段P26が、このように元の段落スタイルに対して継承させる段落スタイルを変更するのは例外的であり、その他の段落スタイル(例えば、段落の揃え、行間隔、禁則処理の設定)では、原則としては、元の段落スタイルをそのまま分割後の段落スタイルとして継承させる(すなわち、段落スタイル継承手段P26は、元の段落の段落スタイルを定義するタグを、そのまま分割後の2番目以降の段落の前に記述する)。
【0050】
次に、段落スタイル継承手段P26に係る処理(図4 ステップS8)に続いて実行される、文字スタイル継承手段P28に係る処理(ステップS9)について説明する。文字スタイル継承手段P28は、印刷対象データCa中の一段落に含まれる、共通の文字スタイルが設定された連続する複数の文字が、段落分割手段P24による分割で複数の段落に分断される場合に、複数の段落のそれぞれにおいて、分断される複数の文字に、前記共通の文字スタイルを継承させる処理を実行する。すなわち、文字スタイル継承手段P28は、印刷対象データCa内の前記分断される複数の文字の元の文字スタイルを定義するタグを、ページ組版データD9内に書き込む。
本実施例においては、文字スタイル継承手段P28は、印刷対象データCa内の元の段落に含まれる、共通の文字スタイル「太字」を定義するタグ「<b>」(図3のタグ34e)を、ページ組版データD9内に書き込む。
【0051】
次に、前記ステップS5または前記ステップS9の後にページ単位分割手段P22が実行する前記ステップS10の処理について説明する。
ページ単位分割手段P22は、印刷対象データCaのタグ「<?page x?>」以降のデータを読み出して、印刷対象の組版を定義する情報34(図3参照)をページ組版データDx内に書き込む(図4 ステップS10)。
このとき、ページ単位分割手段P22は、図3に示すように、印刷対象を表すデータ34aを、段落の開始を示すタグ34b、段落スタイルを定義するタグ34d、段落継続データであるタグ34c、および文字スタイルを定義するタグ34eの後に書き込む。これにより、印刷対象を表すデータ34a「度を条例で規定する・・・ことができます。」は、元の段落の段落スタイル、および、元の段落から連続する文字の文字スタイルが継承された、独立した一つの段落となる。
ページ単位分割手段P22は、元の組版データCの印刷対象データCaの、次のページ区切りを表すタグ「<?page (x+1)?>」までの印刷対象を表すデータを、ページ組版データDx内に書き込む。
【0052】
続いて、ページ単位分割手段P22は、タグ「<?page (x+1)?>」が、印刷対象の一段落内にあるかどうかを判定する(図4 ステップS11)。すなわち、xページの末尾の一段落が、次のページに跨るか否かを判定する。この判定は、タグ「<?page (x+1)?>」が、段落を表す一対のタグ「<p ・・>」と「</p>」の間にあるときは一段落内にあると判定し、その間にないときは一段落内にないと判定することで行うことができる。
【0053】
この判定(ステップS11)で、タグ「<?page (x+1)?>」が一段落内にないと判定された場合、すなわち、段落間にページの境界があると判定された場合には、ページ単位分割手段P22は、生成したページ組版データDxを、ページ組版データ記憶手段P42に記憶する(ステップS14)。
【0054】
他方、前記判定(ステップS11)で、ページの境界を表すタグ「<?page (x+1)?>」が一段落内にある、すなわち、その一段落が複数ページに跨ると判定された場合には、ページ単位分割手段P22は、文字スタイル継承手段P28に係る処理(ステップS12)と、段落分割手段P24に係る処理(ステップS13)とを実行する。
これらの処理の例を、図2,図3において、8ページに対応するページ組版データD8を生成する場合を例に取って説明する(なお、実際にはページ組版データD8を生成する処理は、9ページに対応する前記ページ組版データD9の生成に先立って行われるものであり、時系列は前後するが、同じページ区切り位置での段落の分割を説明するために、ステップS11以降の処理については、8ページに対応するページ組版データD8を生成する場合を例に取る)。
【0055】
文字スタイル継承手段P28に係る処理(図4 ステップS12)は、前記ステップS10の処理によってページ組版データD8内に書き込んだ印刷対象を表すデータ34f(図3参照)の後に、文字スタイル「太字」を定義するタグ「<b>」に対応する終了タグ34g「</b>」を、ページ組版データD8内に書き込む(図3参照)。
【0056】
続いて、段落分割手段P24に係る処理(図4 ステップS13)は、ページ組版データDx内に、段落の終了を表すタグ34h「</p>」を書き込む。すなわち、段落分割手段P24は、前記ステップS10の処理によってページ組版データD8内に書き込んだ印刷対象を表すデータ34f(図3参照)の後に、段落の終了を表すタグ34h「</p>」を書き込む(図4 ステップS13)。
このステップS13と前記ステップS6との処理により、元の組版データCに組み込まれた印刷対象の一段落が、ページの境界において複数の段落に分割されることとなる。つまり、前記ステップS10の処理においてページ組版データD8に書き込まれた文章「・・・。この場合に認証制」が、元の組版データC(印刷対象データCa)のタグ「<?page 9?>」以降の文章と分割された別の段落となる。
【0057】
文字スタイル継承手段P28に係る処理(ステップS12)および段落分割手段P24に係る処理(ステップS13)が終了すると、ページ単位分割手段P22は、生成したページ組版データDx(D8)を、ページ組版データ記憶手段P42に記憶する(図4 ステップS14)。
【0058】
ページ単位分割手段P22は、元の組版データC(印刷対象データCa)内の最終ページの処理が終了するまで(すなわちxページが印刷対象データCa内の最終ページになるまで)、前記ステップS2〜S14の処理を繰り返す(ステップS15)ことで、元の組版データCをページ単位に分割して、各ページに対応する、それぞれ独立した組版データであるページ組版データDxを生成する(なお、ステップS15でステップS2にジャンプする際には、フローチャートにおけるxをx+1に置き換える。すなわち次ページの処理に移る)。
【0059】
(編集/削除ページ指定手段P34)
次に、印刷対象入力編集手段P2で印刷対象の入力および/または編集を行うページをユーザーにより指定可能とする編集ページ指定手段、ならびに、削除するページをユーザーにより指定可能とする削除ページ指定手段としての、編集/削除ページ指定手段P34について説明する。
【0060】
編集/削除ページ指定手段P34は、表示手段24に、加除表を表す情報を入力可能とする加除表入力画面を表示させ、ユーザーにより入力手段22を介してその加除表入力画面に加除するページを入力させる。
前記加除表とは、書籍の現行の版に対して加除するページを記載した表である。加除表は、主に加除式書籍の改訂等において一般的に用いられている。加除式書籍とは、書籍を構成する各丁(表裏2ページを構成する紙)が着脱可能に設けられ、改訂のあったページに対応する丁を加除することにより、改訂作業を行うことが可能な書籍である。
【0061】
図5に、編集/削除ページ指定手段P34が表示手段24に表示させる加除表入力画面40を示す。加除表入力画面40は、一般的な加除表の形式に構成され、各欄(各列)40a〜40gには、加除を行うページの情報を、ユーザーが入力手段22を介して入力可能となっている。
【0062】
加除表入力画面40の「巻」の欄40aには、対応する加除を行う書籍の巻番号をユーザーに入力させる。また、「編」の欄40bには、対応する加除を行う書籍の編番号をユーザーに入力させる。
【0063】
また、「区分」の欄40cには、対応する加除を行うページのノンブル区分をユーザーに入力させる。
加除表入力画面40の除くページ欄40dには、編集または削除を行うページの範囲(開始ページと終了ページと)をユーザーに入力させる。また、加除表入力画面40の加えるページ欄40fには、除くページ欄40dに記入された編集される元のページの範囲の、編集後のページの範囲(開始ページと終了ページと)をユーザーに入力させる。なお、このことから分かるように、加除表の「除くページ」に指定されたページは、必ずしもその書籍から削除されるページという意味を持つのではなく、原則的には、編集等が施されて、「加えるページ」に指定されたページに置き換えられるものである。
【0064】
なお、ページを削除するのみで、そのページに対応する編集後のページが存在しない箇所には、ユーザーは、加えるページ欄40fに「加えるものはない」と入力する。また、ページを追加するのみで、編集または削除を行うページが存在しない箇所には、ユーザーは、除くページ欄40dに「除くものはない」と入力する。また、編集される元のページの範囲と編集後のページの範囲とが同じ場合には、ユーザーは、加えるページ欄40fに「同左」と入力してもよい。
【0065】
また、除くページ欄40dの右隣の枚数欄40eには、除くページ欄40dのページ範囲に該当するページが印刷される紙(丁)の枚数を入力させる。また、加えるページ欄40fの右隣の枚数欄40gには、加えるページ欄40fのページ範囲に該当するページが印刷される紙(丁)の枚数を入力させる。
【0066】
前記ノンブル区分とは、一つの書籍内に、それぞれ独立したノンブルが振られる場合に、それらの各ノンブルを互いに区別するための情報である。例えば、一つの書籍の目次と本文とに、それぞれ独立したノンブルが振られる場合があり、そのような場合にそれぞれを区別するための情報である。具体的な例を示すと、目次に1〜6のノンブルが振られ、本文には1〜100のノンブルが振られるような場合がある。ノンブル区分は、そのような場合にノンブルがどちらの区分に属するのか(この例では、目次か本文か)を特定するための情報である。ノンブル区分は、一書籍内の互いに独立したノンブルが振られた区分のそれぞれを区別可能となるように、書籍ごとにユーザーに設定可能に設けられる。例えば、ノンブル区分は、目次、細目次、本文、索引のそれぞれに独立したノンブルが振られる書籍の場合にはそれらを特定可能とし、また、本文の中でも各章ごとに独立したノンブルが振られる書籍の場合には各章を特定可能とするよう、ユーザーが設定可能に設けられる。
図5の加除表入力画面40の例においては、欄40cに入力された「目次」、「細目次」、「本文」の文字列が、対応する加除ページのノンブル区分を表している。
【0067】
次に、前記加除式書籍におけるノンブルについて説明する。
加除式書籍でない一般的な書籍においてはノンブルは自然数からなる連番となっているが、加除式書籍においては、ノンブルは必ずしも自然数の連番で構成されない。例えば、加除式書籍の改訂において、3ページおよび4ページからなる丁に印刷される印刷対象の内容が増加してページを4つ加える必要が生じたが、5ページ以降のページには変更がない場合、改訂前の3ページおよび4ページからなる1つの丁は、「3」および「3の2」ページからなる丁と、「3の3」および「3の4」ページからなる丁と、「3の5」および「4」ページからなる丁との3つの丁に置き換えられる。
また、さらに後の改訂において、「3の3」および「3の4」ページからなる丁に印刷される印刷対象の内容が増加し、2つのページを加える場合には、その丁は、同様に「3の3」および「3の3の2」ページからなる丁と、「3の3の3」および「3の4」ページからなる丁との2つの丁に置き換えられる。
このように、加除式書籍は、ノンブルに階層的な番号付けをすることで、印刷内容に変更のないページ(前者の例では「5」ページ以降、後者の例では「3の5」ページ以降)のノンブルを変更することなく、変更されたページに対応する丁のみを置き換えることで改訂作業を行うことができる。
【0068】
また、加除式書籍のノンブルには、欠番(欠ページ)が設定される場合がある。欠ページがある場合、欠ページの直前のページのノンブルには、欠ページの最後のページ番号が付加される。図5の加除表入力画面40の例においては、加除表の行46に「3066(〜3200)」等の記述があるが、これは、ノンブル「3066」の後に、欠ページの最後のページ番号「(〜3200)」が付加されたものであり、すなわち、3067ページから3200ページが欠ページであることを示している。
【0069】
加除式書籍のノンブルの番号付けのルールは、各出版社ごとや書籍ごとに細かな点で相違があり、本発明は上記例の番号付けルールに限定されるものではない。
【0070】
なお、前述の、ページ単位分割手段P22、段落分割手段P24、段落スタイル継承手段P26、および文字スタイル継承手段P28の説明においては、説明の簡単のため、加除式書籍におけるノンブル(階層的なノンブルや、欠ページを表現するノンブルを含むもの)については触れなかったが、これらの手段においても加除式書籍におけるノンブルを用いることができる。
【0071】
ユーザーは、編集/削除ページ指定手段P34が表示させる加除表入力画面40に加除表を表す情報を入力することにより、印刷対象入力編集手段P2で印刷対象の入力および/または編集を行うページを指定でき(編集ページ指定手段)、また、削除するページを指定できる(削除ページ指定手段)。
【0072】
さて、編集/削除ページ指定手段P34は、加除表入力画面40で加除表に対応する情報が入力されると、加除表の各行41〜46のそれぞれに対応する加除ページデータF1〜F6(以下、各加除ページデータの一般を示す符号としてFxを用いる)を生成する。
【0073】
本実施の形態における加除ページデータF1〜F6の内容を、図6に示す。
図6(a)に示すように、各加除ページデータFxには、図5の加除表入力画面40に入力された各情報、すなわち、対応する書籍の巻番号および編番号、除くページおよび加えるページのノンブル区分、その各開始および終了ノンブル(範囲)、ならびに、その各ページに対応する枚数(丁数)が含まれる。
なお、「除くものはない」または「加えるものはない」が指定されている箇所に対応する開始および終了ノンブルのデータはNULLデータに設定される。
【0074】
加除ページデータFxは、特に限定されるものではないが、図6(b)に示すような構造のクラスによって表現するとよい。
加除ページデータFxに含まれる各データの形式について説明すると、巻番号および編番号は数値(int型の変数)により表現され、ノンブル区分は、各区分に定義された所定の数値(char型の変数)により表現される。
除くおよび加えるページの、開始および終了ページは、前記階層的なノンブルの、4階層分の情報(各階層に対応する4つのint型の変数)により表現される。また、欠ページがある場合は、欠ページの最後のページ番号が設定される(図6(b)内の「欠ページ」のデータ)。また、除くおよび加えるページの、丁の枚数を表す情報も含まれる。
さらに、加除ページデータFxには、その加除ページデータFxの除くおよび加えるページの開始および終了ページの最小値を求める関数「最小ページ」と、除くおよび加えるページの開始および終了ページの最大値を求める関数「最大ページ」とが含まれている。
【0075】
編集/削除ページ指定手段P34は、加除表入力画面40で入力された加除表の各行41〜46の中から、印刷対象入力編集手段P2で編集すべきページ(ページ範囲)に対応する行を、ユーザーに選択させることができる。ユーザーが、加除表の行41〜46の中から編集すべき行を選択すると、編集/削除ページ指定手段P34は、それに対応する加除ページデータFxを、ページ組版データ抽出手段P30に渡す。
【0076】
(ページ組版データ抽出手段P30、段落連結手段P32)
ページ組版データ抽出手段P30は、編集/削除ページ指定手段P34から渡された加除ページデータを参照し、その「除くページ」の開始から終了までのページに対応するページ組版データを、ページ組版データ記憶手段P42から読み出し、そのページ組版データに組み込まれた印刷対象を印刷対象入力編集手段P2で編集可能な状態に抽出する。
【0077】
また、ページ組版データ抽出手段P30による前記抽出の際には、ページ単位に分割されたページ組版データが連結されて一つの組版データになるよう加工されるとともに、段落連結手段P32により、段落分割手段P24で分割された段落が再度連結される。
すなわち、ページ組版データ抽出手段P30および段落連結手段P30により、図3に示すように分割されたページ組版データが、前記「除くページ」で指定されたページの範囲にわたって再連結され、図2に示すような、複数ページ分の印刷対象が含まれた組版データ(印刷対象データ)が生成される。そして、その再連結された組版データの印刷対象が、組版装置A上で、ページ組版データ抽出手段P30により編集可能な状態に開かれる。
【0078】
ページ組版データ抽出手段P30、および段落連結手段P32の処理を、図7のフローチャートを用いて説明する。
【0079】
編集/削除ページ指定手段P34から、加除表中の編集すべき行に対応する加除ページデータFxがページ組版データ抽出手段P30に渡されると、ページ組版データ抽出手段P30は、まず、XML形式の印刷対象データのファイルを生成する(図7 ステップS21)。
続いて、ページ組版データ抽出手段P30は、xページとして、編集/削除ページ指定手段P34から渡された加除ページデータFxの「除くページ」の開始ページを設定する(ステップS22)。なお、このステップS22の処理は、図7のフローチャート上で、処理を行うページをxページとして説明するための便宜的な処理である。
【0080】
続いて、ページ組版データ抽出手段P30は、xページに対応するページ組版データDxが、ページ組版データ記憶手段P42内に記憶されているかどうかを判定する(ステップS23)。
この判定で、xページに対応するページ組版データDxがページ組版データ記憶手段P42に記憶されていない場合には、フローチャート上の後述するステップS33にジャンプする。
【0081】
他方、前記ステップS23の判定で、xページに対応するページ組版データDxがページ組版データ記憶手段P42に記憶されている場合には、ページ組版データ抽出手段P30は、前記生成した印刷対象データ内に、前記タグ「<?page x?>」を書き込む(ステップS24)。さらに、ページ組版データ抽出手段P30は、そのページ組版データDxを読み出す(ステップS25)。
そして、ページ組版データ抽出手段P30は、ページ組版データDx中の柱の情報30(図3参照)に基づく柱データ(図2の柱データCbに該当)を生成する(ステップS26)。続いて、同様に、ページ組版データDx中のノンブルの情報32(図3参照)に基づくノンブルデータ(図2のノンブルデータCcに該当)を生成する(ステップS27)。
【0082】
続いて、ページ組版データ抽出手段P30は、ページ組版データDxの印刷対象を表すデータ34f(図3のページ組版データD9参照)の前に段落継続データ34cがあり、かつ、xページが、前記「除くページ」の開始ページから数えて2ページ目以降のページであるかどうかの判定を行う(図7 ステップS28)。
この判定で、段落継続データ34cがない、または、xページが前記開始ページである場合には、ページ組版データ抽出手段P30は、単にページ組版データDx内の印刷対象を表すデータを、印刷対象データ内に、ステップS24で書き込んだタグ「<?page x?>」に続いて書き込む(ステップS32)。
【0083】
他方、前記判定(ステップS28)で、前記段落継続データ34cがあり、かつ、xページが、前記開始ページから数えて2ページ目以降のページである場合には、ページ組版データ抽出手段P30は、段落連結手段P32に係る処理(ステップS29,S31)と、文字スタイル継承手段P28で分断された文字スタイルの定義を、分割前の状態に戻す処理(ステップS30,S31)と、段落スタイル継承手段P26で分断された段落スタイルの定義を、分割前の状態に戻す処理(ステップS31)とを実行する。
【0084】
段落連結手段P32に係る処理(ステップS29)では、印刷対象データ内の前ページ((x−1)ページ)の最後の段落の終了タグ34h「</p>」(図3のページ組版データD8参照)を削除する。
また、ステップS30では、印刷対象データ内の前ページ((x−1)ページ)の最後の文字の文字スタイルと、xページの先頭の文字スタイルとが共通の場合、文字スタイルの定義を終了するタグ34g(図3のページ組版データD8参照)を削除する。
【0085】
さらに、ステップS31では、ページ組版データDxに組み込まれた印刷対象のデータを、印刷対象データ内の前ページのデータの後に続けて書き込む。ただしこの際、ページ組版データDxの先頭の段落の、段落タグ34b「<p ・・>」、段落継続データ34c、および、段落スタイルを定義するタグ34dは除いて書き込む。また、印刷対象データ内の前ページ((x−1)ページ)の文字の文字スタイルと、xページの先頭の文字スタイルとが共通の場合、文字スタイルの定義を終了するタグ34d(図3のページ組版データD9参照)も除いて書き込む。
【0086】
ステップS29〜S31の処理により、印刷対象を表すデータが印刷対象データ内に書き込まれるにあたり、段落分割手段P24による段落の分割の際に追記された段落継続データ34c、段落タグ34b,34h、段落スタイルを定義するタグ34d、および文字スタイルを定義するタグ34e,34gが、印刷対象データから削除されまたは除かれる。これにより、各ページ組版データに分割された段落が、元の通りに連結されて印刷対象データ内に記述される。
【0087】
ページ組版データ抽出手段P30および段落連結手段P32は、編集/削除ページ指定手段P34から渡された前記加除ページデータの「除くページ」の開始から終了までの全てのページに対する処理が終わるまで(すなわちxページが「除くページ」の終了のページになるまで)、前記ステップS23〜S31またはS23〜S32の処理を繰り返す(ステップS33)ことで、それらのページ組版データに組み込まれた印刷対象の分割された段落を一つの段落に再結合して、印刷対象入力編集手段P2で編集可能な組版データを生成する(なお、ステップS33でステップS23にジャンプする際には、フローチャートにおけるxをx+1に置き換える。すなわち次ページの処理に移る)。
そして、ページ組版データ抽出手段P30は、その生成した組版データを組版装置Aに送信し(ステップS34)、組版装置Aは、その組版データを、組版データ記憶手段P6に記憶させて、印刷対象入力編集手段P2で編集可能な状態に開く。
【0088】
そして、ページ組版データ抽出手段P30で抽出されたページ組版データは、印刷対象入力編集手段P2により再編集され、再度、ページ単位分割手段P22を介してページ単位に分割されて、ページ組版データ記憶手段P42に記憶される。
なお、このとき、ページ単位分割手段P22で分割されたページが、加除ページデータの「加えるページ」の開始および終了ページと合致するか否かをチェックする手段を設けると好適である。
【0089】
(編集/削除ページ指定手段P34)
ページ組版データ抽出手段P30の処理(図7のフローチャートに示した処理)が終了すると、編集/削除ページ指定手段P34は、続いて、ページ組版データ削除手段P36に、ページ組版データ抽出手段P30に渡した加除ページデータFxを渡すとともに、ページ組版データ削除手段P36を起動させる。
【0090】
(ページ組版データ削除手段P36)
ページ組版データ削除手段P36は、編集/削除ページ指定手段P34から渡された加除ページデータの、その「最小ページ」および「最大ページ」を参照し(関数を実行し)、ページ組版データ記憶手段P42に記憶されたページ組版データのうち、その最小ページから最大ページの範囲に含まれるページに対応するページ組版データを削除する。
【0091】
なお、ここで、ページ組版データ削除手段P36は、加除ページデータの「除くページ」の開始ページから終了ページまでの範囲のページ組版データではなく、最小ページから最大ページまでの範囲のページ組版データを削除する。これは、下記不都合を回避するためである。すなわち、仮に「除くページ」の範囲になく「加えるページ」の範囲に入るページが既にページ組版データ記憶手段P42内に記憶されて残っていると(例えば、図6(a)の加除ページデータF4に対応する抽出・編集において、3067ページに対応するページ組版データが既にページ組版データ記憶手段P42に記憶されている場合など)、ページ組版データ抽出手段P30で抽出されて編集されたページ組版データを再登録する際、同一のページに対応するページ組版データがページ組版データ記憶手段P42にダブって記憶されてしまう不都合が生じる。
【0092】
なお、加除ページデータにおいて「除くページ」がない(NULL)もの(図6(a)では加除ページデータF2)については、編集/削除ページ指定手段P34はページ組版データ抽出手段P30の起動は行わずにページ組版データ削除手段P36の起動のみを行うよう構成しても良い(この場合、加除ページデータF2の例では、細目次1〜18ページがページ組版データ記憶手段P42に記憶されている場合、それらが削除される)。この場合、ユーザーが印刷対象入力編集手段P2で細目次1〜18ページを新規作成して入力するようにするとよい。
また、加除ページデータにおいて「加えるページ」がない(NULL)もの(図6(a)では加除ページデータF6)については、編集/削除ページ指定手段P34がページ組版データ抽出手段P30の起動は行わずにページ組版データ削除手段P36の起動のみを行うよう構成しても良いし、または、このような例外処理は行わずに「除くページ」を編集可能に抽出して、その編集後にデータを保存する際、前述の「加えるページ」の開始および終了ページと合致するか否かをチェックする手段で、それが全て削除されていることをチェックするよう構成しても良い。
【0093】
(段落継続データチェック手段P38)
段落継続データチェック手段P38は、ページ単位分割手段P22により生成されてページ組版データ記憶手段P42に記憶されたページ組版データに組み込まれた印刷対象を表すデータの中途部に、前記段落継続データが記述されているか否かをチェックする。ここでいう中途部とは、ページ組版データに組み込まれた印刷対象の最初の段落の先頭部分以外の部分のことである。
【0094】
段落継続データが中途部に記述されている原因としては、例えば、ページ組版データ抽出手段P30により印刷対象入力編集手段P2で編集可能な状態に抽出された組版データの先頭のページ(開始ページ)の最初の段落の先頭部分には、段落継続データが存在する場合があるが、ユーザーが印刷対象入力編集手段P2によりその段落の前に新たな段落を作成した場合や、ユーザーがXML形式の組版データを直接編集して段落継続データであるタグを記入した場合等が挙げられる。
段落の中途部にある段落継続データは、残しておいても特に不具合を生じるものではないが、無駄なデータであるため、段落継続データチェック手段を設けて削除することが望ましい。
【0095】
本実施の形態に係る組版システムSおよび組版データ管理プログラムPBによれば、組版データCをページ単位に分割して管理することが可能であるとともに、印刷対象を編集する際には、編集可能に抽出されたページ間では段落は連結された状態となり、ユーザーはページの境界を意識せずに編集作業を行うことができる。そして、編集後には、編集した結果の新たなページの境界において、印刷対象をページ単位に分割するとともにその境界を跨る段落を分割して、ページ単位で組版データ(ページ組版データ)を保存および管理することができる。
【0096】
また、編集/削除ページ指定手段P34により指定されたページのうち、対応するページ組版データがページ組版データ記憶手段P42に記憶されていないページは、印刷対象入力編集手段P2で編集可能な新たなページとして生成することができるから、ユーザーは、ページ組版データ記憶手段に記憶されているページであるか否かに関わらず、任意のページを指定して当該ページの編集を行うことができる。
【0097】
また、加除表の情報を入力することで、編集すべきページの印刷対象を編集可能に抽出したり、削除すべきページに対応するページ組版データを削除したりできるから、加除表を用いた書籍の改訂作業を、簡単、迅速、かつ間違いなく確実に行うことができる。特に、処理が煩雑な加除式書籍の改訂作業も、改訂されるページ(または丁)以外のページ(または丁)に影響を与えることなく確実に行うことができる。
【0098】
なお、本発明は、本実施の形態に限定されるものではなく、本実施の形態に対して種々の変更を施して実施することが可能である。
例えば、編集/削除ページ指定手段(編集ページ指定手段および削除ページ指定手段)を、組版装置側に組み込んでも良い。これによれば、ユーザー(編集者)は、組版装置Aを操作するのみで、印刷対象の編集や抽出の処理を行うことができ、組版作業の効率化が図れて好適である。
また、組版装置と組版データ管理装置とは、必ずしも別体のコンピュータで実現することに限定されず、両者の各機能(手段)を一つのコンピュータ内に設けて、一つのコンピュータ上で本組版システムを実現可能に構成しても良い。
【0099】
また、本発明に係る組版システムで扱う書籍は、加除式書籍に限定されず、ページ番号(ノンブル)が自然数の連番で構成された一般の書籍に対して用いることもできる。この場合、例えば加除表で開始ページと終了ページとが特定できれば丁の枚数が特定できるため、その枚数を入力する手段を省略するなど、構成や処理を簡略化してもよい。
また、編集ページ指定手段および削除ページ指定手段は、必ずしも加除表を用いて編集および削除するページを指定させるよう構成する必要はなく、単純に、編集または削除を行うページまたはページの範囲をユーザーに入力させるよう構成してもよい。
【0100】
また、本実施の形態においては、「ページ」の語は、書籍の丁の一面(書籍を構成する紙の一面)を指しているが、本発明の「ページ」の概念には、一丁の表裏面として定義されるページも含まれる。すなわち、組版データを、一丁の表裏面に印刷されるデータ毎に分割して、ページ組版データを生成するよう構成したものも、本発明に含まれる。これも本願の本質的な構成を満たすものであり、本発明の主目的である、組版データをページ単位で独立して管理して、ページ間での編集の独立性を保ちながら、複数ページに跨った一段落の編集を容易とするという効果を得ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明に係る組版システムおよび組版データ管理プログラムの構成を示すブロック図である。
【図2】組版手段により生成された元の組版データを示す説明図である(なお、これと同様の構成をもつ、ページ組版データ抽出手段により編集可能に抽出された組版データの例として説明している箇所もある)。
【図3】ページ組版データの説明図である。
【図4】ページ単位分割手段、段落分割手段、段落スタイル継承手段、および文字スタイル継承手段の処理を示すフローチャートである。
【図5】編集/削除ページ指定手段(編集ページ指定手段および削除ページ指定手段)が表示手段に表示させる加除表入力画面を示す説明図である。
【図6】(a)は、加除表を表す情報である加除ページデータの内容を示す説明図であり、(b)は、各加除ページデータの構造を示す説明図である。
【図7】ページ組版データ抽出手段および段落連結手段の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0102】
S 組版システム
A 組版装置
B 組版データ管理装置
N ネットワーク
PA 組版プログラム
PB 組版データ管理プログラム
2 入力手段
4 表示手段
6 制御部
8 通信手段
22 入力手段
24 表示手段
26 制御部
28 通信手段
34a 印刷対象を表すデータ
34b,34h 段落を定義するタグ
34c 段落継続データ
34d 段落スタイルを定義するタグ
34e,34g 文字スタイルを定義するタグ
34f 印刷対象を表すデータ
40 加除表入力画面
C 元の組版データ
Ca 印刷対象データ
Cb 柱データ
Cc ノンブルデータ
Dx ページ組版データ
Fx 加除ページデータ
P2 印刷対象入力編集手段
P4 組版手段
P6 組版データ記憶手段
P22 ページ単位分割手段
P24 段落分割手段
P26 段落スタイル継承手段
P28 文字スタイル継承手段
P30 ページ組版データ抽出手段
P32 段落連結手段
P34 編集/削除ページ指定手段
P36 ページ組版データ削除手段
P38 段落継続データチェック手段
P42 ページ組版データ記憶手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷対象をユーザーにより入力および/または編集可能とする印刷対象入力編集手段と、該印刷対象入力編集手段で入力および/または編集された印刷対象を組版して電子的な組版データを生成する組版手段とを有する組版装置により生成された組版データを管理するのに用いられる組版データ管理プログラムであって、
前記組版手段により生成された元の組版データをページ単位に分割して、各ページに対応する、それぞれ独立した組版データであるページ組版データを生成するページ単位分割手段と、
該ページ単位分割手段による前記ページ単位の分割において、前記元の組版データに組み込まれた印刷対象の一段落が複数のページに跨る場合には、該一段落を各該ページの境界において分割して複数の段落とするとともに、該複数の段落が、該境界において継続していることを示す段落継続データを生成する段落分割手段と、
各前記ページ組版データおよび前記段落継続データを記憶するページ組版データ記憶手段と、
該ページ組版データ記憶手段から、任意のページ組版データを、該ページ組版データに組み込まれた印刷対象を前記印刷対象入力編集手段で編集可能な状態に抽出するページ組版データ抽出手段と、
該ページ組版データ抽出手段により抽出されるページ組版データに組み込まれた印刷対象に対し、前記段落継続データにより該印刷対象のページの境界において継続していることが示された各段落を、一つの段落に連結する処理を施す段落連結手段ととして、コンピュータを機能させることを特徴とする組版データ管理プログラム。
【請求項2】
前記段落連結手段は、連結する前記境界に対応する前記段落継続データを削除することを特徴とする請求項1記載の組版データ管理プログラム。
【請求項3】
前記段落分割手段は、前記境界の後側のページに対応するページ組版データ内に、前記段落継続データを記述することを特徴とする請求項1または2記載の組版データ管理プログラム。
【請求項4】
前記段落分割手段は、前記境界の後側のページに対応するページ組版データ内の、該ページ組版データに組み込まれた印刷対象を表すデータより前に、前記段落継続データを記述することを特徴とする請求項1または2記載の組版データ管理プログラム。
【請求項5】
前記ページ単位分割手段により生成されまたは前記ページ組版データ記憶手段に記憶されたページ組版データに組み込まれた印刷対象を表すデータの中途部に、前記段落継続データが記述されている場合には、該段落継続データを削除する段落継続データチェック手段として、コンピュータを機能させることを特徴とする請求項4記載の組版データ管理プログラム。
【請求項6】
前記ページ組版データは、マークアップ言語で記述され、
前記段落分割手段は、前記段落継続データを、前記ページ組版データ内に、前記マークアップ言語のタグ、またはタグの属性として記述することを特徴とする請求項3〜5のうちのいずれか一項記載の組版データ管理プログラム。
【請求項7】
前記元の組版データには、各ページに対応する柱および/またはノンブルの情報が含まれ、
前記ページ単位分割手段は、前記柱および/またはノンブルの情報を、対応するページの前記ページ組版データに組み込んで、ページ組版データを生成することを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか一項記載の組版データ管理プログラム。
【請求項8】
前記段落分割手段により印刷対象の一段落を複数の段落に分割する際、該一段落に設定されている段落スタイルを、分割された複数の段落の段落スタイルとして継承させる段落スタイル継承手段として、コンピュータを機能させることを特徴とする請求項1〜7のうちのいずれか一項記載の組版データ管理プログラム。
【請求項9】
前記段落スタイルには、段落の初行の字下げ量と2行目以降の字下げ量とが含まれ、
前記段落スタイル継承手段は、前記段落分割手段により分割された前記複数の段落のうち2番目以降の段落の前記初行の字下げ量として、前記一段落に設定されている2行目以降の字下げ量を継承させることを特徴とする請求項8記載の組版データ管理プログラム。
【請求項10】
前記段落分割手段により印刷対象の一段落を複数の段落に分割する際、該一段落に含まれる、共通の文字スタイルが設定された連続する複数の文字が、当該分割により複数の段落に分断される場合には、該複数の段落のそれぞれにおいて、該分断される複数の文字に、該共通の文字スタイルを継承させる文字スタイル継承手段として、コンピュータを機能させることを特徴とする請求項1〜9のうちのいずれか一項記載の組版データ管理プログラム。
【請求項11】
ユーザーにより、前記印刷対象入力編集手段で印刷対象の入力および/または編集を行うページを指定可能とする編集ページ指定手段として、コンピュータを機能させ、
前記ページ組版データ抽出手段は、
前記編集ページ指定手段により指定されたページのうち、対応するページ組版データが前記ページ組版データ記憶手段に記憶されているページを、該ページに対応するページ組版データに組み込まれた印刷対象を前記印刷対象入力編集手段で編集可能な状態に抽出することを特徴とする請求項1〜10のうちのいずれか一項記載の組版データ管理プログラム。
【請求項12】
前記編集ページ指定手段は、ユーザーにより、加除するページを記載した加除表を表す情報を入力可能とすることで、前記入力および/または編集を行うページを指定可能とすることを特徴とする請求項11記載の組版データ管理プログラム。
【請求項13】
ユーザーにより、削除するページを指定可能とする削除ページ指定手段と、
該削除ページ指定手段により指定されたページに対応するページ組版データを、前記ページ組版データ記憶手段から削除するページ組版データ削除手段ととして、コンピュータを機能させ、
前記編集ページ指定手段および前記削除ページ指定手段は、ユーザーにより、加除するページを記載した加除表を表す情報を入力可能とすることで、前記入力および/または編集を行うページ、ならびに、前記削除するページを指定可能とすることを特徴とする請求項11記載の組版データ管理プログラム。
【請求項14】
前記編集ページ指定手段は、加除式書籍におけるノンブルに基づいてページを指定可能であることを特徴とする請求項12または13記載の組版データ管理プログラム。
【請求項15】
前記編集ページ指定手段は、加除式書籍におけるノンブルとノンブル区分とに基づいてページを指定可能であることを特徴とする請求項12または13記載の組版データ管理プログラム。
【請求項16】
印刷対象をユーザーにより入力および/または編集可能とする印刷対象入力編集手段と、
該印刷対象入力編集手段で入力および/または編集された印刷対象を組版して電子的な組版データを生成する組版手段と、
該組版手段により生成された元の組版データをページ単位に分割して、各ページに対応する、それぞれ独立した組版データであるページ組版データを生成するページ単位分割手段と、
前記組版データをページ単位に分割して、各ページに対応したページ組版データを生成するページ単位分割手段と、
該ページ単位分割手段による前記ページ単位の分割において、前記元の組版データに組み込まれた印刷対象の一段落が複数のページに跨る場合には、該一段落を各該ページの境界において分割して複数の段落とするとともに、該複数の段落が、該境界において継続していることを示す段落継続データを生成する段落分割手段と、
各前記ページ組版データおよび前記段落継続データを記憶するページ組版データ記憶手段と、
該ページ組版データ記憶手段から、任意のページ組版データを、該ページ組版データに組み込まれた印刷対象を前記印刷対象入力編集手段で編集可能な状態に抽出するページ組版データ抽出手段と、
該ページ組版データ抽出手段により抽出されるページ組版データに組み込まれた印刷対象に対し、前記段落継続データにより該印刷対象のページの境界において継続していることが示された各段落を、一つの段落に連結する処理を施す段落連結手段とを備えることを特徴とする組版システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−58650(P2007−58650A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−244174(P2005−244174)
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(305037293)大日本法令印刷株式会社 (2)
【Fターム(参考)】