説明

組立作業用コンベア装置

【課題】作業台車の小型化を図りつつ、作業台車を安定して走行可能に支持できるようにすることを目的とする。
【解決手段】組立作業用コンベア装置10は、走行面F上を走行可能な走行部(例えば、キャスター64)を複数有し、長円形走行経路に沿って走行可能な走行台車60と、前記複数の走行部よりも長円形走行経路の内周側に延出させた状態で走行台車60に搭載された作業板52を有する作業台車50と、作業台車50を長円形走行経路に沿って移動させる走行駆動部20の上方とを備える。組立作業用コンベア装置10には、長円形走行経路の少なくとも一部(例えば、曲線部分)に沿って長円形走行経路の内周側に位置して補助支持面43aが設けられている。作業台車50に、複数の走行部よりも長円形走行経路の内周側で補助支持面43aに接触して、作業板52による重力を支える補助支持部56が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ワイヤーハーネス等を組立てるための組立作業用コンベア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のワイヤーハーネス組立用コンベア装置として、特許文献1に開示のものがある。
【0003】
図板が固定された台車が、チェーンによって長円形の環状経路に沿って循環駆動されるようになっている。また、台車には、作業者が立つ側とは反対側へ水平方向に突出するガイドローラが設けられ、このガイドローラがガイドレール上を転動することにより、台車が一定の姿勢を保ちつつ水平移動するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−288963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような組立作業用コンベア装置についてもスペース的な無駄を省くようにとの要請がある。
【0006】
しかしながら、台車を安定的に支持するためには、作業台を走行可能に支持するキャスターを、十分な間隔をあけて複数設ける必要がある。このため、台車自体の小型化及び台車の走行経路の省スペース化を図ることは難しい。
【0007】
なお、上記特許文献1では、台車に水平方向に突出するガイドローラが設けられ、このガイドローラがガイドレール上を転動することにより、台車の安定化が図られている。しかしながら、台車から水平方向に突出するガイドローラでは、台車が倒れようとすることを抑制するのには不十分である。
【0008】
そこで、この発明は、作業台車の小型化を図りつつ、作業台車を安定して走行可能に支持できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、第1の態様に係る組立作業用コンベア装置は、走行面上を走行可能な走行部を複数有し長円形走行経路に沿って走行可能な走行台車と、前記複数の走行部よりも前記長円形走行経路の内周側に延出させた状態で前記走行台車に搭載された作業板とを有する作業台車と、前記作業台車を前記長円形走行経路に沿って移動させる走行駆動部とを備え、前記長円形走行経路の少なくとも一部に沿って、前記長円形走行経路の内周側に位置して補助支持面が設けられ、前記作業台車に、前記複数の走行部よりも前記長円形走行経路の内周側で前記補助支持面に接触して、前記作業板による重力を支える補助支持部が設けられている。
【0010】
第2の態様は、第1の態様に係る組立作業用コンベア装置であって、前記補助支持部は、前記複数の走行部よりも前記長円形走行経路の内周側の位置で、前記作業台車から鉛直方向に沿って下方に延出するように設けられて前記補助支持面に接触するように設けられている。
【0011】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係る組立作業用コンベア装置であって、前記補助支持面は、前記長円形走行経路のうち少なくとも曲線部分に設けられている。
【0012】
第4の態様は、第3の態様に係る組立作業用コンベア装置であって、前記長円形走行経路のうち直線部分に水平ガイド部が設けられ、前記作業台車に、前記長円形走行経路の内周側に向けて延出して前記水平ガイド部に移動可能に接触する水平補助ガイド部が設けられている。
【0013】
第5の態様は、第1〜第4のいずれか1つの態様に係る組立作業用コンベア装置であって、前記補助支持面は、前記長円形走行経路の一部分に設けられ、前記補助支持面のうち前記補助支持部が接触を開始する側の端部に、外方に向けて下向き傾斜するガイド面が設けられている。
【0014】
第6の態様は、第1〜第5のいずれか1つの態様に係る組立作業用コンベア装置であって、前記長円形移動経路内に、その長手方向から見て1本の支柱で自立する支持フレームが立設されている。
【0015】
第7の態様は、第1〜第6のいずれか1つの態様に係る組立作業用コンベア装置であって、前記走行台車に対して、前記作業板が延出する側に延出して前記走行面上に接触可能な状態で配設可能な自立補助脚部をさらに備える。
【発明の効果】
【0016】
第1の態様に係る組立作業用コンベア装置によると、作業板は、複数の走行部よりも前記長円形走行の内周側に延出させた状態で、前記走行台車に搭載されているため、作業板の大きさに比して作業台車を小型化することができる。また、前記長円形走行経路の少なくとも一部に沿って、前記長円形走行経路の内周側に位置して補助支持面が設けられ、前記作業台車に、前記複数の走行部よりも前記長円形走行経路の内周側で前記補助支持面に接触して、前記作業板による重力を支える補助支持部が設けられているため、作業板が延出する側に作業台車が倒れることを抑制でき、作業台車を安定して走行可能に支持できる。
【0017】
第2の態様によると、前記補助支持部は、前記複数の走行部よりも前記長円形走行経路の内周側の位置で、前記作業台車から鉛直方向に沿って下方に延出するように設けられて前記補助支持面に接触するように設けられているため、前記作業板による重力をより効果的に支えることができる。
【0018】
作業台車は、長円形走行経路のうち少なくとも曲線部分を走行する際に不安定となり易い。そこで、第3の態様のように、前記補助支持面が、前記長円形走行経路のうち少なくとも曲線部分に設けられることで、作業台車を安定して走行可能に支持できる。
【0019】
第4の態様によると、前記長円形走行経路のうち直線部分では、水平補助ガイドが水平ガイド部に移動可能に接触することで、作業台車を安定して支持することができる。
【0020】
第5の態様によると、ガイド面によって、補助支持部を円滑に補助支持面に案内することができる。
【0021】
第6の態様によると、前記長円形移動経路内に、その長手方向から見て1本の支柱で自立する支持フレームが立設されているため、組立作業用コンベア装置をより小型化することができる。
【0022】
第7の態様によると、作業台車を長円形移動経路から離れた位置に配設した状態でも、作業台車を自立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】組立作業用コンベア装置の全体構成を示す概略平面図である。
【図2】図1のII−II線における概略断面図である。
【図3】作業台車を示す側面図である。
【図4】作業台車を示す背面図である。
【図5】作業台車を示す背面図である。
【図6】補助受部材及び補助支持部を示す説明図である。
【図7】作業台車を自立させるための構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、実施形態に係る組立作業用コンベア装置について説明する。図1は組立作業用コンベア装置の全体構成を示す概略平面図であり、図2は図1のII−II線における概略断面図であり、図3は作業台車50を示す側面図であり、図4は作業台車50を示す背面図であり、図5は作業台車50を示す背面図である。
【0025】
組立作業用コンベア装置10は、走行駆動部20と、複数の作業台車50とを備えている。そして、走行駆動部20の駆動により、複数の作業台車50が長円形走行経路に沿って循環移動される。本実施形態では、作業台車50が、車両等に搭載されるワイヤーハーネスを組立てるためのものであることを想定して説明する。ここで、ワイヤーハーネスとは、複数の電線が車両等における配線経路に合わせた態様で必要に応じて分岐しつつ結束された構成のものである。かかるワイヤーハーネスは、複数の電線を配線経路に合わせて順次布線する作業、各部を結束する作業等、複数の作業を経て製造される。本作業台車50が複数の作業者前を順次走行することで、それらの複数の作業が順次行われてワイヤーハーネスが製造される。もっとも、作業台車50は、ワイヤーハーネスを組立てる場合に限られず、複数の作業工程を経て製造される各種製造物の製造に用いることができる。
【0026】
各部についてより具体的に説明する。
【0027】
走行台車60は、工場等の床面である走行面F上を、長円形走行経路に沿って走行可能に構成されている。より具体的には、走行台車60は、走行本体部62と、作業板支持部70とを有している。
【0028】
走行本体部62は、金属製或は樹脂製の棒状部材63を直方体状に組立てることにより形成されている。ここでは、幅方向(長円形走行経路における走行方向)に長く、奥行方向(長円形走行経路における内外方向)に短い直方体状に形成されている。走行本体部62の高さ寸法は、作業者による作業に適した程度の高さ寸法(例えば、腰の高さ程度)に設定するとよい。なお、走行本体部62に対しては、直方体の各辺に対応する部分以外にも、必要に応じて適宜補強用の棒状部材63が組込まれている。なお、以下の説明において、複数の棒状部材63のうち、走行本体部62の上方後部で横方向に沿って配設されたものを上側横棒状部材63a、走行本体部62の後部の幅方向中間部に上下方向に沿って配設されたものを中間縦棒状部材63b、走行本体部62の下方後部で横方向に沿って配設されたものを下側横棒状部材63cとして区別して表記する場合がある。
【0029】
この走行本体部62の下部に、走行部としてのキャスター64が複数設けられている。ここでは、走行本体部62の下部四隅に4つのキャスター64が設けられている。キャスター64としては、車輪を方向転換自在に支持した構成のもの、球状体を回転自在に支持した構成のもの等を用いることができる。なお、走行部として、キャスターの他、走行面F上に長円形に敷設されたレール上を走行可能な車輪が用いられてもよい。つまり、走行部としては、長円形の走行経路に沿って走行可能な各種構成のものを用いることができる。
【0030】
作業板支持部70は、上記走行本体部62上で作業板52を支持するための部分であり、金属製或は樹脂製の棒状部材72を連結組立することにより形成されている。ここでは、作業板支持部70は、複数の棒状部材72が走行本体部62の上方前部から後方に向けて斜め上方向に傾斜するように枠状に組立てられている。より具体的には、複数の棒状部材72が走行本体部62の上方前部から後方に向けて斜め上方向に傾斜する複数(ここでは3つ)の棒状部材72と、この傾斜して配設された複数の棒状部材72の上端部に横方向に沿って連結された棒状部材72とを有している。なお、作業板支持部70に対しては、それらの枠を構成する部分以外にも、必要に応じて適宜枠形状補強用或は斜め姿勢維持用の棒状部材72が組込まれている。なお、以下の説明において、作業板支持部70の上端部において横方向に沿って配設されたものを作業板支持用横棒状部材72aとして表記する場合がある。
【0031】
なお、本実施形態では、走行台車60は、棒状部材を組立てることにより形成されているが、必ずしもその必要は無く、一部又は全部に、板部材、筺部材等が用いられてもよい。
【0032】
作業板52は、ワイヤーハーネスを組立てるための板である。ここでは、作業板52上には、ワイヤーハーネスを支持するための支持具がワイヤーハーネスの敷設経路に沿って突設されている。支持具としては、上端部にU字状の部分を有する治具、位置決めのためのL字又はI字状の治具等が想定される。
【0033】
作業板52は、作業台車50の奥行方向において、当該作業台車50の奥行寸法よりも十分に大きい奥行寸法を有している。そして、作業板52の上端部を走行台車60の奥側(長円形走行経路の内周側)に延出させた状態で、当該作業板52が作業板支持部70の上向き部分に固定される。この状態では、作業板52の上端部は、キャスター64のうち長円形走行経路の最も内周側に位置するものよりも、長円形走行経路の内周側に延出している。なお、作業板支持部70と作業板52との固定は、ねじ止固定、金具或はブラケット等を介した固定等によって行うことができる。
【0034】
そして、複数の作業台車50が、斜め姿勢で配設された作業板52の上端部を内周側に向けた姿勢で、上記長円形走行経路に沿って循環走行するようになっている。
【0035】
走行駆動部20は、上記複数の作業台車50を、長円形走行経路に沿って走行駆動させるように構成されている。
【0036】
すなわち、走行駆動部20は、長円形走行経路の両端部に配設された一対の回転体(スプロケット等)22と、一方の回転体22を回転駆動させるモータ24と、一対の回転体22に巻掛けられたチェーン26とを備えている。モータ24の回転駆動力は、駆動チェーン24aを介して一方の回転体22に伝達される。そして、モータ24の回転駆動によって一方の回転体22が回転駆動され、これによりチェーン26が長円形走行経路に沿って循環回転するようになっている。また、チェーン26には、間隔をあけて台車連結部27が突設されている。台車連結部27は、先端部が球状に膨らんだ棒状部材であり(図3及び図5参照)、チェーン26から長円形走行経路の外周側に突出する姿勢で、当該チェーン26に連結されている。
【0037】
また、走行台車60の中間縦棒状部材63bには、上記台車連結部27と連結可能な連結受部66が設けられている。連結受部66は、中間縦棒状部材63bからその背面側(長円形移動経路の内周側)に突出するブロック状の部材に形成されている。この連結受部66には、上方及び背面側(長円形移動経路の内周側)に開口する連結凹部66aが形成されている。連結凹部66aは、平面視において台車連結部27の平面視形状と対応する形状、即ち、走行台車60側で広がり、背面側(長円形移動経路の内周側)の開口で狭くなる形状に形成されている。従って、台車連結部27を上下方向に沿った方向で連結凹部66aに嵌め込むことで、台車連結部27が連結受部66に抜止め状態で連結される。この状態で、チェーン26を長円形走行経路に沿って循環回転させることで、台車連結部27及び連結受部66を介してチェーン26に連結された作業台車50が長円形走行経路に沿って走行移動するようになっている。また、この状態から、連結受部66に対して台車連結部27を上下方向に移動させることで、台車連結部27が連結凹部66aから脱出する。このように、台車連結部27は、連結受部66に対して着脱可能に連結されている。
【0038】
作業台車50がチェーン26に連結された状態で、作業板52の上端部は、走行駆動部20の上方、より具体的には、チェーン26の移動経路の上方に配設される。このため、平面視において、作業板52の移動経路と走行駆動部20の設置スペースとを重複して配置することで、全体的な設置スペースを小さくすることができる。しかしながら、作業板52の上端部が、走行台車60よりも長円形走行経路の内周側にはみ出ているので、不安定となっている。より具体的には、作業台車50は、長円形走行経路の内周側に倒れる方向に不安定となっている。
【0039】
そこで、この組立作業用コンベア装置10には、作業台車50を水平方向に沿って支える機構と、作業台車50を鉛直方向に沿って支える機構とが組込まれている。
【0040】
まず、作業台車50を水平方向に沿って支える機構について説明する。
【0041】
すなわち、長円形走行経路の内周側に水平ガイド部40が設けられている。ここでは、水平ガイド部40は、長円形走行経路の全体に亘って設けられており、長円形走行経路の外周側に向く面を有している。もっとも、水平ガイド部40は、長円形走行経路のうち直線部分のみに設けられていてもよい。
【0042】
また、作業台車50には、長円形走行経路の内周側に向けて延出する水平補助ガイド部54が設けられている。より具体的には、走行台車60の上側横棒状部材63aの両端部近傍に水平補助ガイド部54が設けられている。水平補助ガイド部54は、上側横棒状部材63aから長円形走行経路の内周側に向けて延出する水平支持部54aと、その水平支持部54aの先端部に回転自在に支持されたローラ54bとを有している。そして、作業台車50がチェーン26に連結された状態で、前記ローラ54bが水平ガイド部40の外向き面に押し当てられるようになっている。また、この状態で、作業台車50が長円形走行経路に沿って走行すると、水平ガイド部40の外向き面に押し当てられたローラ54bが従動回転するようになっている。これにより、作業台車50が長円形走行経路の内周側より支えられるようになっている。
【0043】
もっとも、上記のように作業台車50を水平方向に沿って支える機構によると、作業台車50が長円形走行経路の曲線部分を走行する際には、水平補助ガイド部54は、水平ガイド部40から離れてしまう。このため、作業台車50が長円形走行経路の曲線部分を走行する場合には、作業台車50を長円形走行経路の内周側より支えることはできなくなってしまう。
【0044】
そこで、この組立作業用コンベア装置10には、長円形走行経路の曲線部分において、作業台車50を鉛直方向に沿って支える機構が組込まれている。図6は補助受部材42及び補助支持部56を示す説明図である。図1〜図6を参照して、作業台車50を鉛直方向に沿って支える機構について説明する。
【0045】
すなわち、長円形走行経路うち両端の半円弧状の曲線部分の内周側に補助受部材42が設けられている。補助受部材42の設置位置は、平面視において走行駆動部20の上方位置でもある。補助受部材42は、金属板等により形成された部材であり、半円板状部分42aと、半円板状部分42aの一方側の半径部分から延出する延長部分42bと、半円板状部分42aの他方側の半径部分から延出するガイド部分42gとを有している。そして、半円板状部分42a及び延長部分42bを水平姿勢にした状態で、長円形走行経路うち両端の半円弧状の曲線部分の内周側に、ブラケット等を介して固定されている。ガイド部分42gは、半円板状部分42a及び延長部分42bに対して外方に向けて下向き傾斜している。そして、半円板状部分42a及び延長部分42bの上向き面が、長円形走行経路のうちの曲線部分に沿って、当該長円形走行経路の内周側に位置して設けられる補助支持面43aとして用いられる。また、ガイド部分42gの上向き面が、長円形走行経路の一部分である曲線部分の進入部分に設けられ、外方に向けて(作業台車50の走行方向逆方向)に下向き傾斜するガイド面43gとして用いられる。
【0046】
また、作業台車50には、複数のキャスター64のうち長円形走行経路の最も内周側に存在するものよりも内周側で上記補助支持面43aに接触して、作業板52による重力を支える補助支持部56が設けられている。
【0047】
より具体的には、補助支持部56は、作業板支持用横棒状部材72aの長手方向中央部(ここでは、作業台車50がチェーン26に連結される位置(連結受部66の位置)と同じ位置)より鉛直方向に沿って下方に延出するように設けられている。なお、作業板支持用横棒状部材72aは、複数のキャスター64のうち長円形走行経路の最も内周側に存在するものよりも内周側にある。補助支持部56は、作業板支持用横棒状部材72aに垂下状に設けられた補助支持棒56aと補助支持棒56aの下端部に回転可能に支持されたローラ56bとを有している。ローラ56bの上下位置は、上記補助支持面43aに接触可能な位置である。ここでは、補助支持部56は、他の補強棒状部材56eによっても支持されているが、これらは省略されていてもよい。
【0048】
従って、補助支持部56が長円形走行経路に沿って移動し、その直線部分から曲線部分に移動しようとすると、補助支持面43aのうち補助支持部56が接触を開始する側の端部にガイド面43gが設けられているため、ローラ56bがガイド面43gによってガイドされつつ、補助支持面43aに乗上げる(図6参照)。この状態で、作業台車50が長円形走行経路の曲線部分に沿って走行することで、ローラ56bが補助支持面43a上を、曲線を描きつつ走行する。そして、作業台車50が長円形走行経路の曲線部分及びその後に続く僅かの直線部分を脱すると、ローラ56bは補助支持面43aを脱して浮いた状態となり、直線部分を移動する。そして、作業台車50が曲線部分を走行する際、補助支持部56が補助支持面43a上に接触することで、作業板52のうちキャスター64よりも長円形走行経路の内周側にはみ出した部分の重量が支えられる。このため、長円形走行経路の曲線部分において、作業台車50がその内周側に倒れることが抑制される。
【0049】
また、この組立作業用コンベア装置10では、長円形走行経路内に、その長手方向から見て1本の支柱82で自立する支持フレーム80が立設されている。長円形走行経路の長手方向においては、支柱82が複数立設されていてもよい。また、長円形走行経路の長手方向において立設された複数の支柱82同士が水平方向のフレーム等で連結されていてもよい。また、支柱82の上方に水平方向等に突出するフレームが設けられていてもよい。
【0050】
ここでは、長円形走行経路の長手方向から見ると、支柱82の上端部に両横方向に延出するフレーム81が突設されている。支持フレーム80には、本組立作業用コンベア装置10の電源スイッチ84a等が組込まれた操作盤84が取付固定されている。操作盤84は、作業台車50と干渉しないように、作業台車50の高さを越える高さ位置に設置されていることが好ましい。また、支持フレーム80のフレーム81には照明装置86が取付けられている。すなわち、本支持フレーム80には、本組立作業用コンベア装置10の操作、制御のための装置、或は、組立作業に係わる装置等が取付けられている。
【0051】
また、本実施形態では、上記したように、作業台車50は、チェーン26から取外されることがある。この場合に作業台車50が自立できるように、次の構成が組込まれている。
【0052】
図7は作業台車50を自立させるための構成を示す説明図である。
【0053】
すなわち、走行台車60の下側横棒状部材63cに対して自立補助脚部90が着脱可能に取付けられる。より具体的には、自立補助脚部90は、水平延出部92及びキャスター94を有している。水平延出部92の一端部には下側横棒状部材63cに外嵌め可能なU字状部分92aが取付けられている。そして、下側横棒状部材63cの上方よりこのU字状部分92aを被せるように取付けた状態で、U字状部分92a及び下側横棒状部材63cに、蝶ネジ等のネジ部材96を螺合締結することで、下側横棒状部材63cに対して一定位置及び一定姿勢でU字状部分92aが取付けられる。また、このようにU字状部分92aが取付けられた状態で、水平延出部92は走行台車60の外方(作業板52が延出する方向)に水平方向に沿って延出する。水平延出部92の他端部には、上記キャスター94が取付けられており、上記取付け状態で、キャスター94は、走行台車60のキャスター64が接触する走行面Fと同じ走行面F上に接触して当該走行面F上を走行可能となる。この自立補助脚部90によって、作業台車50が、作業板52が延出する側で支えられることとなり、作業台車50の倒れが抑制される。なお、作業台車50をチェーン26に連結する際には、走行駆動部20等と干渉しないように、自立補助脚部90は取外される。
【0054】
以上のように構成された組立作業用コンベア装置10によると、作業板52は、キャスター64よりも長円形走行経路の内周側に延出させた状態で、走行台車60に搭載されている。このため、作業板52の大きさに比して作業台車50を小型化することができる。また、作業板52のうち作業板52から延出した部分については、長円形走行経路内に配設される走行駆動部20等の上方の位置に配設することができるので、組立作業用コンベア装置10の全体構成を小型化することができる。例えば、従来と比較して設置面積を40%削減することも可能となる。
【0055】
また、長円形走行経路のうちの少なくとも一部に、補助支持面43aが設けられ、作業台車50にキャスター64よりも長円形走行経路の内周側で補助支持面43aに接触して、作業板52による重力を支える補助支持部56が設けられている。このため、作業板52が延出する側に作業台車50が倒れることを抑制でき、作業台車50を安定して走行可能に支持することができる。
【0056】
また、補助支持部56は、作業台車50から鉛直方向に沿って下向きに延出するように設けられて、補助支持面43aに接するため、作業板52による重力を効果的に支えることができる。
【0057】
また、補助支持部56と補助支持面43aとは、水平方向に接するのではなく、重力を支える方向(ここでは鉛直方向)に接するため、作業台車50の倒れを有効に抑制することができる。
【0058】
また、作業板52は、長円形走行経路のうち曲線部分を走行する際に不安定となり易い。そこで、補助支持面43aが長円走行経路のうち少なくとも曲線部分に沿って設けられることで、作業台車50を安定して走行可能に支持することができる。
【0059】
なお、上記実施形態では、補助支持部56の先端部にローラ54bが設けられている例で説明したが、補助支持部の先端部に球体が回転自在に支持された構成であってもよい。また、補助支持体の先端部と補助支持面とがスライド可能に接触する構成であってもよい。
【0060】
また、補助支持部56は、作業板52に設けられていてよい。また、補助支持部56の基端部は、必ずしもキャスター64に対して長円形走行経路の内周側にある必要はない。また、補助支持部56は、鉛直方向に沿って配設されている必要はなく、斜めになっていてもよい。
【0061】
また、補助支持部56は、作業台車50の幅方向において、作業台車50がチェーン26にされている箇所と同じ位置であることは好ましいが、これは必須ではない。
【0062】
また、本実施形態によると、長円形走行経路のうちの直線部分では、水平補助ガイド部54が水平ガイド部40に接触しているため、作業台車50を安定して支持することができる。
【0063】
特に、直線部分では、作業者による作業によって外力が加わりやすい。そこで、本実施形態では、複数の水平補助ガイド部54が水平ガイド部40に接触するようにしているため、作業者による外力が加わりやすい直線部分において、作業台車50を安定して走行可能に支持することができる。
【0064】
もっとも、長円形走行経路のうち上記補助支持面43aが存在する箇所は上記例に限られない。また、水平補助ガイド部54が水平ガイド部40に接触する構成は必須ではない。例えば、水平補助ガイド部54及び水平ガイド部40が省略され、長円形走行経路の全体の長手方向に沿って補助支持面が設けられ、補助支持部56が長円形走行経路の全体に亘って当該補助支持面に接する構成であってもよい。
【0065】
もっとも、上記のように補助支持面43aを長円形走行経路に沿って部分的に設けた場合、上記のように、補助支持面43aのうち補助支持部56が接触を開始する側の端部に、外方に向けて下向き傾斜するガイド面43gを設けることで、当該補助支持部56を円滑に補助支持面43aに接するように案内することができる。
【0066】
また、長円形移動経路内に、その長手方向から見て1本の支柱82で自立する支持フレーム80が立設されているため、作業板52を長円形走行経路の内周側に配設しても、作業板52と支持フレーム80とが干渉し難い。このため、長円形走行経路の一対の直線部分間隔をなるべく小さくすることができ、組立作業用コンベア装置10の全体構成の小型化に貢献する。
【0067】
また、走行台車60に対して、作業板52が延出する側に延出して走行面F上に接触可能な状態で配設可能な自立補助脚部90を備えているため、チェーン26から分離させて作業台車50を配設した場合等でも、作業台車50を自立させることができる。これにより、作業台車50に対する作業板52の加工作業等を容易に行うことができる。
【0068】
なお、本実施形態では、自立補助脚部90は走行台車60に対して着脱可能な例で説明したが、必ずしもその必要はない。自立補助脚部がヒンジ部等を介して走行台車60に連結され、当該走行台車60に対して突出及び退避可能に設けられていてもよい。また、自立補助脚部90は、必ずしもキャスター94を有している必要はない。自立補助脚部は、走行面Fに対して走行不能な状態で接触する構成であってもよい。
【0069】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【0070】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0071】
10 組立作業用コンベア装置
20 走行駆動部
40 水平ガイド部
42 補助受部材
43a 補助支持面
43g ガイド面
50 作業台車
52 作業板
54 水平補助ガイド部
56 補助支持部
60 走行台車
64 キャスター
80 支持フレーム
82 支柱
90 自立補助脚部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行面上を走行可能な走行部を複数有し長円形走行経路に沿って走行可能な走行台車と、前記複数の走行部よりも前記長円形走行経路の内周側に延出させた状態で前記走行台車に搭載された作業板とを有する作業台車と、
前記作業台車を前記長円形走行経路に沿って移動させる走行駆動部と、
を備え、
前記長円形走行経路の少なくとも一部に沿って、前記長円形走行経路の内周側に位置して補助支持面が設けられ、
前記作業台車に、前記複数の走行部よりも前記長円形走行経路の内周側で前記補助支持面に接触して、前記作業板による重力を支える補助支持部が設けられている、組立作業用コンベア装置。
【請求項2】
請求項1記載の組立作業用コンベア装置であって、
前記補助支持部は、前記複数の走行部よりも前記長円形走行経路の内周側の位置で、前記作業台車から鉛直方向に沿って下方に延出するように設けられて前記補助支持面に接触するように設けられている、組立作業用コンベア装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の組立作業用コンベア装置であって、
前記補助支持面は、前記長円形走行経路のうち少なくとも曲線部分に設けられている、組立作業用コンベア装置。
【請求項4】
請求項3記載の組立作業用コンベア装置であって、
前記長円形走行経路のうち直線部分に水平ガイド部が設けられ、
前記作業台車に、前記長円形走行経路の内周側に向けて延出して前記水平ガイド部に移動可能に接触する水平補助ガイド部が設けられている、組立作業用コンベア装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の組立作業用コンベア装置であって、
前記補助支持面は、前記長円形走行経路の一部分に設けられ、
前記補助支持面のうち前記補助支持部が接触を開始する側の端部に、外方に向けて下向き傾斜するガイド面が設けられている、組立作業用コンベア装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の組立作業用コンベア装置であって、
前記長円形移動経路内に、その長手方向から見て1本の支柱で自立する支持フレームが立設されている、組立作業用コンベア装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載の組立作業用コンベア装置であって、
前記走行台車に対して、前記作業板が延出する側に延出して前記走行面上に接触可能な状態で配設可能な自立補助脚部をさらに備える組立作業用コンベア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−18626(P2013−18626A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154448(P2011−154448)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)