説明

組立式便器

【課題】 短時間で組立が可能であり、縦方向、横方向からの荷重、圧力に対しても安定な組立安定性に優れた組立式便器を提供する。
【解決手段】 プラスチックダンボールで形成された底辺部、4枚の側壁部、台座部から構成される組立式便器であって、プラスチックダンボールは平行配置された2枚の平行状プラスチックシートの間に波形となされたプラスチック波形板を介在させて接着されており、4枚の側壁部の波形板の筋目が組立状態で縦向きであり、前記対向する2枚の側壁部が底辺部と一体化して固定され、4枚の側壁部には両端近傍に係合溝が形成され、対向する2枚の側壁部の係合溝が、他の対向する2枚の側壁部の係合溝とかん合して直方体状筒を形成し、その上に台座部を置いてなる組立式便器である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立式便器に関する。詳しくは、プラスチックダンボールで形成された組立式便器に関する。
【背景技術】
【0002】
災害時は断水により水洗トイレが使用できないため、簡易便器が使用される場合が多くなっている。プラスチックダンボール製の簡易便器は軽量で耐水性がある。プラスチックダンボールで形成された簡易便器としては、底板部材、側壁板部材と弁座板部材で構成され、側壁板部材が底板部材を取り巻くように係着され、側壁板部材の2カ所が底板部材に止められ、弁座板部材が1ケ所の穴で側壁板部材に係着され、さらに蓋板部材で覆われている簡易便器が提案されている(たとえば、特許文献1)。図9にこの簡易便器の斜視図を示した。この簡易便器における側壁板部材のプラスチックダンボールの内部に存在する波形板の筋目が組立状態で縦向きであるので、上からの荷重に対しては安定である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用第3033184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この簡易便器の側壁板部材は底板部材を取り巻いて2カ所に止められているだけであるので、横方向の圧力、すなわち横揺れに対しては弱く簡易便器の上で何らかの横方向の力が加わると崩れ易いという問題がある。また、携帯できるものの部材が多く且つ大きいので保管に場所をとるし、組立にも時間がかかり、緊急時に対応しにくいという問題がある。
本発明は、短時間で組立が可能であり、縦方向、横方向からの荷重、圧力に対しても安定な組立安定性に優れた組立式便器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記の課題に鑑み、鋭意研究の結果、プラスチックダンボールを用い組立が簡単にできる構造を保持したまま側壁板部と底板部を一体化すればよいことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、プラスチックダンボールで形成された底辺部、4枚の側壁部、台座部から構成される直方体状の組立式便器であって、
プラスチックダンボールは平行配置された2枚の平行状プラスチックシートの間に波形となされたプラスチック波形板を介在させて接着されており、
4枚の側壁部の波形板の筋目が組立状態で縦向きであり、
対向する2枚の側壁部が底辺部と一体化して固定され、
4枚の側壁部には両端近傍に係合溝が形成され、
前記対向する2枚の側壁部の係合溝が、他の対向する2枚の側壁部の係合溝とかん合して直方体状筒を形成し、その上に台座部を置いてなる組立式便器である。
また本発明は、前記底辺部材の中央部近傍を、プラスチックダンボールの波形板の筋目に垂直にハーフカットして、カット面とは反対方向に折って保管することが可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の組立式便器は、対向する2枚の側壁部が底辺部と一体化して固定され、該対向する2枚の側壁部の係合溝が、他の対向する2枚の側壁部の係合溝とかん合して直方体状筒を形成するので、組立時の横方向からの圧力に対しても安定である。また、4枚の側壁部の波形板の筋目が組立状態で縦向きであるので、組立時の上からの荷重に対しても安定である。したがって、本発明の組立式便器は、縦方向、横方向の圧力に対して安定であり組立安定性に優れる。また、4枚の側壁部で直方体状筒を形成した後、その上に台座部を置くだけで組立が完成するので、非常に短時間で組立ができ、緊急時にも対応できる。
また、本発明によれば、底辺部の中央部近傍を、プラスチックダンボールの波形板の筋目に垂直にハーフカットするので、底辺部を半分に折って保管でき、2枚の側壁部と底辺部が一体化されていてもコンパクトに収容できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施の一形態に係る組立式便器の斜視図である。
【図2】本発明の実施の一形態に係る組立式便器を構成する各部材を示す平面図である。
【図3】本発明の実施の一形態に係る組立式便器の底辺部のハーフカット線で曲げた箇所の斜視図である。
【図4】本発明の実施の一形態に係る組立式便器の底辺部のハーフカット線で折り曲げ、畳んだときの側面図である。
【図5】本発明の実施の一形態に係る組立式便器における台座部の斜視図である。
【図6】本発明の実施の一形態に係る組立式便器におけるウエーブカットを示す断面図である。
【図7】図2に示す各部材を用いて本発明の実施の一形態に係る組立式便器を形成する方法を示す斜視図である。
【図8】本発明の実施の一形態に係る組立式便器の保管時の状態を示す側面図である。
【図9】従来の簡易便器の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態につき、図を用いて説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、以下の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
【0009】
図1は、本発明の組立式便器の斜視図である。プラスチックダンボールで形成された底辺部1、4枚の側壁部2、台座部3の4つの部材から構成され、側壁部2は底辺部1の上で互いにかん合して結合している。側壁部は直方体状筒を形成しており、台座部3が側壁部材の上に載置されている。
【0010】
図2に本発明の組立式便器に用いる各部材の平面図を示した。図2(a)は底辺部と二つの側壁部を示す。線12、13は折れ線を示す。線12、13より端が二つの側壁部21、22を形成し、線12、13の間が底辺部11を形成している。側壁部21、22は同じ大きさ、形状に形成されている。この実施の形態においては、図2(a)は底辺部材11と2枚の側壁部材21、22が1枚のプラスチックダンボールで形成されている。すなわち、二つの側壁部21、22と底辺部11は1枚の板で構成されることにより一体化している。
【0011】
本発明において一体化とは、対向する一組の側壁部と底辺部とが連結されており、底辺部に組立状態で水平方向の圧力をかけても側壁部と底辺部とが互いの位置関係を変えることがない状態をいうものとする。好ましくは側壁部と底辺部との境界において、境界線で曲げたときに135度以上には曲がりにくく、より好ましくは100度以上には曲がりにくいように連結されたものである。一体化は、対向する一組の側壁部と底辺とは何らかの手段で連結されているものを含むが、好ましくは側壁部と底辺部が一枚のプラスチックダンボールの板で連続的に構成されているものである。一枚の板で構成されていると組立安定性が最も優れる。線12、13は同じ方向に且つほぼ90度近辺まで折ることができる程度に折れるように設計されているのが組立安定性の面から好ましい。このことは線12、13が波形板の筋目方向に垂直であることによって可能である。
【0012】
図2(a)において、側壁部21、22の両端部近傍で波形板の筋目方向に沿って側壁部の長さ(筋目方向)のほぼ半分程度の長さに4個の係合溝211、212、221、222が設けられている。
二つの側壁部の係合溝をかん合させるにおいて、組み合わせる二つの係合溝の合計の長さが、側壁部材の筋目方向(縦向き)の長さと同じになるように設計されるのが好ましい。組み合わされる二つの係合溝が互いに反対方向から押されるようにして中に入り他方の側壁部に組み合わされ、完全に押し込んだとき(すなわち、かん合したとき)に二つの側壁部の幅に凹凸ができないように構成されるのが、台座部が安定に設置できるので好ましい。より好ましくは係合溝の長さが筋目の縦方向のほぼ1/2である。ほぼ1/2であれば組立安定性が最も優れる。
係合溝の幅はプラスチックダンボールの幅と同じ程度かやや大きめであるのが好ましい。厚さと同じ程度かやや大き目であれば、側壁部の係合溝がかん合したときに動きがなくしっかりと側壁部が固定される。
【0013】
また、係合溝211、212、221、222の外側に小さな4個の係合溝213、214、223、224が設けられている。これらの係合溝は後記する台座部を固定するために用いられる。
【0014】
図2(a)の底辺部のほぼ中央に記載された線14はハーフカット線を示している。図3にこのハーフカット線の箇所を若干曲げたときのハーフカット線の斜視図を示した。プラスチックダンボールの波形板の筋目に垂直に、平行状プラスチックシートの1枚を残して反対側の1枚のプラスチックシートと波形板がカットされ若干曲げられており、ハーフカットされていることがわかる。
図4にこのハーフカット線を折って、図2(a)に示した底辺部と2枚の側壁部が含まれている一枚の板を半分に畳んでいる様子を側面図で示した。波形板を有するプラスチックダンボールを筋目方向に垂直にハーフカットせずに折ると波形板が存在するためにこのように完全に折りたたむことはできないし、ハーフカットせずに無理矢理このように折ってしまうと折られた部分の安定性が不良になり、側壁部21、22の横方向の強度が弱くなる。このハーフカット線は本発明の組立式便器をコンパクトに収容するために必要である。
【0015】
図2(b)には2枚の側壁部23、24が記載されている。この側壁部23、24は、図2(a)における側壁部21、22の形、大きさと同じであっても異なっていてもよいが、対向する一対の側壁部の形状、大きさは同じでなくてはならない。また、側壁部21、22、23、24の筋目方向の長さが同じであることが台座部を安定して固定することができるので好ましい。
側壁部の両端部近傍において波形板の筋目方向に沿ってそのほぼ半分程度に4個の係合溝231、232、241、242が設けられている。これらの係合溝は側壁部21、22の係合溝とかん合して直方体状筒を形成する。この際に一つの側壁部の係合溝の間隔が、直方体状筒の一つの辺を形成する。
【0016】
底辺部の形状は、4枚の側壁部が形成する直方体状筒を支えれば底辺部に穴があいていても組立安定性が良好となるように設けられれば特に限定はないが、直方体状筒の平面よりやや大きめの四角形が好ましい。たとえば、(15〜40cm)×(20〜50cm)の四角形が挙げられる。側壁部の形状も、4枚の側壁部で直方体状筒を形成でき、その上に台座部が載れれば限定はないが、四角形が組立安定性が良好となるので好ましい。たとえば、(10〜30cm)×(20〜50cm)の四角形が挙げられる。
側壁部の係合溝の位置については、他の側壁部の係合溝とかん合する係合溝は端から3〜6cmのところが好ましく、台座部の係合溝とかん合する係合溝は端から1〜3cmのところが好ましい。
【0017】
図2(c)に台座部31が記載され、中央に大きな排泄用の穴41が形成されている。一つの方向の両端において、反対方向に沿って端部33、34が線35、36においてほぼ90度に曲げられて固定的に溶着されており、組立前から曲げられた状態になっている。曲げられた様子は図5の台座部31の斜視図に示されている。曲げられた端部33、34の両端近傍には係合溝37〜40が設けられている。これらの係合溝が側壁部の係合溝とかん合することにより台座部が側壁部に固定され、座ったときに台座部が動かなくなる。端部33、34の幅は限定はないが、係合溝37〜40が側壁部の係合溝213、214、223、224とかん合して固定できればよく、幅が小さい程取り扱い易い。
【0018】
台座部の形状としては、排泄用の穴を設けることができ、側壁部により構成された直方体状筒の上に載せることができれば制限はないが、係合溝をかん合して固定できるのが台座部の安定性がよいので好ましい。直方体状筒の組立時の上部平面よりやや大きめの四角形状が好ましい。
【0019】
また、プラスチックダンボールをカットしたときに、そのカット面を細かいウエーブを入れたウエーブカットにするのが、肌が直接当たったときに肌を傷つけないので好ましい。図6にウエーブカットの一例を断面図で示した。ウエーブカット42のウエーブは1〜2mmの幅が好ましい。
【0020】
図7に各部材を用いて本発明の組立式便器を形成する方法を斜視図で示した。図7(a)は図2(a)に示した側壁部と底辺部の一体化されてものと同じである。図7(b)はこの一体化されたものを線12、13で曲げて側壁部21、22をほぼ垂直にした状態を示している。図7(c)は上記(b)の側壁部を垂直に曲げた一体化品の係合溝212、222に別の一枚の側壁部23の係合溝231、232を合わせる様子を示している。
【0021】
図7(d)は、上記の係合溝を完全に押し込んだ様子を示している。3枚の側壁部の高さには凹凸がないことがわかる。
図7(e)は対向している他の側壁部も同様にして合体させた様子を示している斜視図である。直方体状筒の下方側には底辺部があり、上方が開口している。二つの側壁部21、22が底辺部11と一枚の板で構成され、組立時側壁部21、22が90度に曲げられ、その側壁部21、22に別の一対の側壁部23、24が組み合わせられているので、側壁部21、22が側壁部23、24によって固定され、側壁部23、24 が側壁部21、22により固定されている。底辺部11と側壁部21、22は一枚の板で一体化されているので全く動くことがなく、側壁部21、22,23,24で構成された直方体は組立時の平面図が三角形状でなくても全く動かず縦方向、横方向からの荷重や圧力に対しても非常に安定性が良い。
【0022】
図7(f)は この直方体状筒の上に台座部を置こうとしている斜視図である。台座部の係合溝を側壁部の係合溝にかん合させて台座部を固定する。完成した本発明の携帯便器は図1の斜視図に示している。
【0023】
図8に本発明の組立式便器を構成する各部材の保管時の状態を側面図で示した。保管時においては、図示されるように各部材を重ねて畳むことができるとともにハーフカット線で折れ、コンパクトに畳めて小さくできるので、厚さが薄く且つ小さくなり箱や袋に入れてコンパクトに保管できる。
このようにして作製した本発明の組立式便器について、形状は4つの側壁部で構成されるので組立時直方体状である。大きさは前記した底辺部と側壁部の寸法によってほぼ決定される。
【0024】
このようにして作成した組立式便器には、排泄物収容袋を入れてその中に用を足すことになる。袋は、ゴミ袋や簡易便器用に使用される従来の収容袋が使用できる。
収容袋は、台座部の穴に入れ周囲を台座部に単に被せるようにしてもよく、側壁部に入れた後台座部をおいてもよい。また、台座部の穴にはフタを設けてもよい。フタを設けると、臭気を抑制したり、汚物を隠すことなどができる。
【0025】
収容袋の中には、凝固剤、消臭剤及び抗菌剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を配しておくことが好ましい。凝固剤としては、汚物中の液体{体液(尿など)など}を吸収できるものであれば制限なく、高吸水性樹脂、砂、パルプ、紙片、ゼオライト、ベントナイト、シリカゲル、木片チップ及びおが屑などが含まれるが、これらのうち、焼却処理できるもの(高吸水性樹脂、パルプ、紙片、木片チップ及びおが屑など)が好ましく、特に好ましくは高吸水性樹脂である。高吸水性樹脂のうち、アクリル酸系高吸水性樹脂{たとえば、サンフレッシュST−573(三洋化成工業株式会社製)}及びデンプン系高吸水性樹脂{たとえば、サンフレッシュST−100(三洋化成工業株式会社製)}などが好ましく例示できる。また、高吸水性樹脂は抗菌性や消臭性の機能を兼ね備えたものでもよい。このような抗菌性高吸水性樹脂としては、サンフレッシュST−700(三洋化成工業株式会社製)などが挙げられる。
【0026】
消臭剤としては、汚物から発生する臭気等を抑制(吸収又は反応など)できるものであれば制限なく、ヒノキやイネなどの植物抽出物、シリカゲル、ゼオライト、活性炭及び焙煎コーヒー抽出残渣などが含まれる。これらのうち、シリカゲル、ゼオライト及び活性炭が好ましく、より好ましくは活性炭である。
【0027】
抗菌剤としては、汚物に含まれる細菌の増殖を抑制できるものであれば制限なく、金属抗菌剤(銀やジルコニウムを含むもの)、第4級アンモニウム抗菌剤{第4級アンモニウム塩(塩化ベンザルコニウム、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド及びセチルトリメチルアンモニウムクロライドなど)を含むもの及び第4級アンモニウム塩と非イオン性界面活性剤とを含むもの:特許第3253927号公報記載の粉末状抗菌剤など}などが含まれる。これらのうち、第4級アンモニウム抗菌剤(第4級アンモニウム塩を含むもの及び第4級アンモニウム塩と非イオン性界面活性剤とを含むもの)が好ましく、より好ましくは塩化ベンザルコニウム、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド及びセチルトリメチルアンモニウムクロライドである。収容袋の中には、凝固剤、消臭剤及び抗菌剤など以外に、さらに芳香剤(香料など)などを配してもよい。
【0028】
本発明の組立式便器は、従来と同様に災害時などの水が使えない場合や、車中や介護用においても用いることができる。特に車中などで渋滞でトイレに行けない場合は緊急を要することが多く、組立時において簡単に組立が可能なものが特に適しており、本発明の組立式便器を好適に用いることができる。
【0029】
(実施例1)
図2に基づいてプラスチックダンボール製の組立式便器を以下のようにして作製した。ポリプロピレン製のプラスチックダンボール(厚み5mm)の波形板を筋目方向(長軸方向)に46cm、筋目に垂直方向(短軸方向)に23cmの四角形の板に切り取り、長軸方向において両端から13cmのところを短軸方向に沿って90度に折り曲げ、中央を短軸方向にハーフカットして、筋目方向の幅が13cmの側壁部が二つ、その側壁部の間に筋目方向の幅が20cmの底辺部を有する部材を作製した。この側壁部の筋目に垂直方向の辺において、端から3.5cmのところに、幅5mm、長さ7cmの係合溝を合計4つ設け、さらに端から1.2cmのところに、幅5mm、長さ1cmの係合溝を合計4つ設けた。さらにこの部材をハーフカット線のところでカット面とは逆方向に折って重ねておいた。
【0030】
また、別の側壁部として筋目方向に13cm、筋目の垂直方向(幅広方向)に23cmの四角形に切り取った板を2枚作製した。側壁部の筋目に垂直方向の辺において、端から4cmのところに幅5mm、長さ6.7cmの係合溝を二つ設けた。この際に該二つの係合溝の間の箇所の筋目方向の長さを該二つの係合溝の端側の箇所の筋目方向の長さより5mm短くした。これは便器を組み立てた時に底辺部の厚さ(5mm)分だけ少なくして組立安定性を良くするためである。さらにもう1枚の側壁板も同様に係合溝を二つ設けた。
台座部として、波形板の筋目方向(長軸方向)に28cm、筋目の垂直方向(短軸方向)に27cmの四角形の板に切り取り、中央に18cm×14.5cmの排泄用の穴を開けた。短軸方向の両方の端を端から2.5cmのところで筋目方向に90度に折り曲げるようにして溶着し固定した。折り曲げた部分の端の部分において、長軸方向の両端から4cmのところに幅5mm、長さ1cmの係合溝を4つ設けた。また上記のすべての部材のカット面を幅1〜2mmのウエーブ状のカットにした。
【0031】
このようにして本発明の組立式便器の部材を作製した。ハーフカットして折り曲げた部材を下にして2枚の側壁部、台座部を重ねると厚さ4cmにまとめることができ、それを袋に入れコンパクトに収容できた。
また、これらの部材を取り出し、図7の組立方法に従って本発明の組立式便器を組み立てた。この上に厚さ9mmの板を置き上から荷重をかけ耐荷重性を測定したところ4.91kNであった。また、組立式便器に体重50kgの人が腰掛けて横方向に動かしたが崩れることもなく組立安定性が非常に良好であった。
【0032】
(比較例1)
実施例1において、側壁部と底辺部を切り離し、側壁部4枚と底辺部1枚を作製した。対向する1組の側壁部2枚と底辺部の辺が接するようにして接する辺の長さの1/5の長さを中央部でガムテープでつないだ。このようにして作製した側壁部と底辺部は本発明でいう一体化にはなっていない。その他は実施例1と同様にして便器を作製した。この上に厚さ9mmの板を置き上から荷重をかけ耐荷重性を測定したところ4.23kNであった。また、携帯便器に体重50kgの人が腰掛け実施例1と同様にして横方向に動かすとぐらぐら揺れ不安定であり、組立安定性が不良であった。
【符号の説明】
【0033】
1、11 底辺部
2、21、22、23、24 側壁部
3、31 台座部
12、13 折れ線
14 ハーフカット線
33、34 端部
35、36 折れ線
37、38、39、40、211、212、221、222、213、214、223、224、231、232、241、242 係合溝
41 排泄用の穴
42 ウエーブカット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックダンボールで形成された底辺部、4枚の側壁部、台座部から構成される直方体状の組立式便器であって、
プラスチックダンボールは平行配置された2枚の平行状プラスチックシートの間に波形となされたプラスチック波形板を介在させて接着されており、
4枚の側壁部の波形板の筋目が組立状態で縦向きであり、
対向する2枚の側壁部が底辺部と一体化して固定され、
4枚の側壁部には両端近傍に係合溝が形成され、
前記対向する2枚の側壁部の係合溝が、他の対向する2枚の側壁部の係合溝とかん合して直方体状筒を形成し、その上に台座部を置いてなる組立式便器。
【請求項2】
前記底辺部の中央部近傍を、プラスチックダンボールの波形板の筋目に垂直にハーフカットして、カット面とは反対方向に折って保管することが可能であることを特徴とする組立式便器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−251066(P2011−251066A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128514(P2010−128514)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(507277103)株式会社アイ・イー・ジェー (32)
【Fターム(参考)】