説明

組立式屏風

【課題】お茶のお点前は畳上で正座をして行うのが基本である。しかし洋式の生活が浸透している昨今、長時間の正座は苦痛であり又年齢からくる関節の衰えによる痛みからお茶のお点前が出来なくなるという現実があり、長時間の正座ができるような組立式屏風が望まれていた。
【解決手段】風炉先屏風と畳を取り外し可能に一体化させ畳のみを高くし、建水置も引き出して使うことが出来るようにしたものである。又お茶のお点前以外にも応用が効くように風炉先屏風内に鉄板を貼り、それによって屏風表面に予めマグネットシートを貼り付けた色紙や絵、飾り物を取り付けることが出来、季節やその時々に合わせた飾り付けを畳上に兜や鏡餅などを置いたりしてそのつど多様性を持たせたものである。さらに保管場所をとらないようにするために畳を外して屏風の部分を折り畳み可能にしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばお茶を点てる時に風炉先屏風として使用できる組立式屏風に関する。
【背景技術】
【0002】
本来お茶のお点前は畳上で正座をして行うのが基本である。しかし洋式の生活が浸透している昨今、長時間の正座は苦痛であり又年齢からくる関節の衰えによる痛みからお茶のお点前が出来なくなるという現実がある。本格的なテーブル式の立礼卓は、大掛かりな道具立てであり、設置用の広い場所を必要とし、価格も高額である。又それらはお茶のお点前専用のものであるためにそれ以外の時は保管する必要があり、その際保管収納のための場所も大きく必要であった。従来の例えば茶道用立礼卓には簡易テーブル式のもの、あるいは茶道点前を行う茶道具及び、風炉先や前置屏風などの飾り付けが可能な略半畳の天板を有するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3146928号 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のものにおいては次のような問題点があった。
テーブル式の本格的な立礼卓は大掛かりな道具立てであるため設置に広い場所を必要とする。簡易テーブル式などはあまりにも簡素化されているため、例えばお点前をするときなど本格的な雰囲気がなかった。又それらはお茶のお点前をするという目的以外の応用が利かないためお点前用に使用しない時は保管しておくことが多く、その保管収納のための場所も大きく必要であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記の問題点を解決しようとするものであって、例えば椅子に腰掛けながらお茶のお点前を、まるで点前畳で点てているような雰囲気を出すため、風炉先屏風と畳を取り外し可能に一体化させ畳のみを高くし、建水置きも引き出して使うことが出来るようにしたものである。又お茶のお点前以外にも応用が効くように風炉先屏風内に鉄板を貼り、それによって屏風表面に予めマグネットシートを貼り付けた色紙や絵、飾り物を取り付けることが出来、季節やその時々に合わせた飾り付けをすると共に畳上に兜や鏡餅などを置いたりしてそのつど多様性をもたせたものである。更に保管場所をとらないようにするために畳を外して屏風の部分を折りたたみ可能にしたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は風炉先屏風と点前畳を取り外し可能に一体化し、畳面を高くし椅子を用いることが出来ることから正座が苦手な方や関節痛に悩む年配の方にも安心して本格的なお点前を楽しんでもらうことが出来るものである。風炉先屏風は従来の形状で作成されていることから違和感無く使用できる。又お茶のお点前畳として使用しない時は、風炉先屏風内に貼られている鉄板に予めマグネットシートを貼り付けた色紙や絵、飾り物などを、季節やお節句というようなその時々に合わせて自由自在に付け替え楽しむことが可能である。例えば桃の節句には桃にちなんだ色紙を飾り畳にはお雛様を飾り付けるといったふうに、屏風付きの置き床感覚で四季おりおりの風情を演出できる和風空間としても利用価値の高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施形態を示す組立式屏風の全体斜視図。
【図2】同組立式屏風から置畳を外した状態を示す斜視図(a)及び前面板のみを示す斜視図(b)。
【図3】同組立式屏風本体に前面板を組み込んだ状態を示す斜視図。
【図4】同風炉先屏風及び台板各部分の斜視図、同組立式本体に前面板を組み込んだ状態を示す図3の分解斜視図。
【図5】同置畳と建水置の斜視図。
【図6】同置畳と建水置の裏面図。
【図7】同置畳と建水置の正面図。
【図8】同置畳と建水置の一部切欠拡大斜視図。
【図9】同組立式屏風を折り畳んだ状態を示す斜視図。
【図10】同台板において前面板を引き出した状態を示す平面図(a)前面板を後方板に収納した状態を示す平面図(b)。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図10に基づいて説明する。
本発明の組立式屏風は、風炉先屏風1とこの風炉先屏風1の下部に設置された台板3と置畳20と建水置21とから構成されている。風炉先屏風1は一般的な形状縦55cm横82cmのものを二つ、図示しない例えば和紙の蝶番で接続されている。風炉先屏風1には風炉先屏風1の厚さよりも薄い鉄板2,2が内部に固定されている。台板3は後方板4と前面板5とからなり、後方板4は左側後方板4aと右側後方板4bとからなっている。前面板5は左側前面板5a右側前面板5b左側係合板5c右側係合板5dとからなっている。左側前面板5aと右側前面板5bとはその各一端部が例えば和紙などで形成されたヒンジAで結合されている。左側前面板5aと右側前面板5bの各他端部には凸部ほぞ7が形成されていて左側係合板5cと右側係合板5dには前記凸部ほぞ7と係合する凹部ほぞ6が形成されている。後方板4a,4bには置畳20を支持するための桟8が各固定されている。左側係合板5cは左側後方板4aに固定された桟8側ではない他端部に端をそろえて接着し、右側係合板5dは右側後方板4bに固定された桟8側ではない他端部に端をそろえて接着することによって、収納時前面板5a,5bを後方板4a,4bに折り畳む際凹部ほぞ6と凸ほぞ7とは並行に組み合わさり、使用時後方板4a,4bから前面板5a,5bを引き出した際には凹部ほぞ6と凸部ほぞ7は直角に組み合わさる。置畳20は設置する際重量を支持する前面板5a,5bと後方板に固定された桟8上に載置するため、係合板5c,5dの板厚を逃がすために置畳20上には切欠が形成されている。前面板5aには置畳20の裏面に保持された建水置21を引き出すための切欠9と前面板5の収納時に桟8を逃がすための切欠10とがある。右側前面板5bには右側後方板4bに固定された桟8を逃す切欠10がある。風炉先屏風蝶番の下、後方板4aと後方板4bとは当接していず、間隙Bが形成されるようになっている。この間隙Bは折り畳んだ時に前面板5aと前面板5bの板厚(約9mm)を逃がすためのものであって本実施例の場合は約5cm程度あれば足りる。尚使用時には矩形状になり不使用時に前面板を後方板に折り畳むと密着するように収納できる。
【符号の説明】
【0009】
1 風炉先屏風
2 鉄板
3 台板
4 後方板
5 前面板
6 凹部ほぞ
7 凸部ほぞ
8 置畳支持桟
9 建水用切欠
10 置畳支持桟用切欠
11 置畳台板
12 畳表
13 置畳ズレ防止桟
14 建水置板
15 建水置板突起
16 建水置板保持具
17 建水置板固定板
18 建水置板固定板
19 置畳切欠
20 置畳
21 建水置
A 蝶番
B 間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
風炉先屏風と、この風炉先屏風の下方に配置された後方板と前面板とからなる台板と、前面板上に載置可能に形成された置畳とからなる組立式屏風。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−95985(P2012−95985A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260572(P2010−260572)
【出願日】平成22年11月3日(2010.11.3)
【出願人】(504334603)
【Fターム(参考)】