説明

組立式植栽用容器の組立てセット及び組立式植栽用容器

【課題】 組立ての自由度が高く、かつ、組立てが容易な組立式植栽用容器を提供する。
【解決手段】 略方形の板体である主板の上面に嵌合部を設けた底板片221と、下面に嵌合部を設けた底板結合片225を有し、略方形の板体である主板の下部と上部とに嵌合部を設けた側板片231と、該側板片231の高さと対応する高さを有し、下部と上部とに嵌合部を設けた側板間補助片241と、下部に嵌合部を設けた上部結合片250と、を有し、底板片221の周囲に、側板片231及び側板間補助片241を交互にこれらの嵌合部により嵌合して側板を立設し、側板片231と側板間補助片241との隣接部の上部において、上部結合片250をこれらの嵌合部により嵌合して、組み立てられた組立式植栽用容器210。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植栽、緑化、または栽培等に用いることのできる組立・解体自在な容器に関する。
【背景技術】
【0002】
現代社会では、個人住宅空地、ベランダ、ビル屋上、公団住宅空地及びベランダ、学校、幼稚園、マンション他、様々な場所において省スペースで手軽に緑化するための植栽用容器等への需要がある。そのような植栽用容器は、手軽に設置・利用するために移動可能であることが望ましく、また、学校、幼稚園での実体験教育、団塊世代の趣味と実益、菜園での実体験と家族の交流等、多種多様な場面での使用における要求を満たすことが求められている。
【0003】
特許文献1に記載の考案は、建物の屋上等で野菜や草花を栽培しているが、その栽培容器は発泡スチロールの箱・ミカン箱等の廃物容器又は合成樹脂製の容器等を使用していることが多いので、容器が腐朽して見苦しい状況が多いという課題を解決するために、日曜大工で1人でも任意の大きさ・形の組立が可能な耐久性のある植物栽培容器を考案するため、栽培容器を耐久性・可搬型の基本片A・B・Cの3種類に分解して製造し、任意の大きさ・形の植物栽培容器を組み立てていき、材料はコンクリート又はFRPを使用するものである。
【0004】
特許文献2に記載の発明は、空洞コンクリートブロックを使用した堅牢で組立・解体が容易な組立式片植栽容器を提供するため、組立式ブロック植栽容器20は、矩形の基底板2と、高さ2〜10cmの柱状突起片3が2個(3a、3b)上面に固着されるとともに前記基底板2の上面縁部に沿って連設された複数個の長方形金属板4(6個使用)と、前記長方形金属板4の各柱状突起片3に嵌合することで垂設される複数本のパイプ支柱7(12本使用)と、前記パイプ支柱7に空洞穴部分8を挿通しつつ積層して容器の壁面W1、W2、W3、W4を形成する規格化された空洞コンクリートブロック1(12個使用)と、からなり、組立、解体が容易で、一方の壁面のみを取り外して開口し、土壌を横に排出することで内部土壌や植木の根の状態を調べる、植え替える等の作業が容易に行える構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平5−67242号公報
【特許文献2】特開2000−125669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、コンクリート製のブロックでは重量のため一つのブロックの大きさが限定されて、実際には組立が煩雑で容易に組み立てられるとは言い難いものであった。また、FRPを使用するにしても、各ブロックの接合強度を得るのが難しく実施が困難であった。さらに、組立のための凸部が植物栽培容器の内部にあるため、土のかき出しや攪拌が難しかったり、凹部の排水ができなかったりという問題があった。特許文献2に記載のものは、組立て後の全体の大きさが1個の基底板の大きさに依拠してしまうため、汎用性に乏しく、広い範囲にわたる利用可能性に限界があった。また、防虫性、遮光性を確保するためには、網とビニールをかぶせなければならず、追加の施工等が面倒であった。
【0007】
そこで本発明は、組立ての自由度が高く、かつ、組立てが容易な組立式植栽容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題に鑑み、本発明は、略方形の板体である主板の横置き状態における上面に嵌合部を設けた底板片と、略方形の板体である主板の縦置き状態における下部と上部とに嵌合部を設けた側板片と、縦置き状態における該側板片の高さと対応する高さを有し、下部と上部とに嵌合部を設けた側板間補助片と、下部に嵌合部を設けた上部結合片と、を有し、各片が各々の嵌合部同士の凹凸による嵌合をもって着脱自在になされる組立式植栽用容器の組立てセットである。
【0009】
上記本発明において、前記底板片の主板よりも小さな板状部材の横置き状態における下面に嵌合部を設けた底板結合片を有することが好ましい。
【0010】
上記本発明において、前記上部結合片が、嵌合部が直線状に配置された直線結合片と、嵌合部が直角に交差した線上に配置された角部結合片と、からなることが好ましい。
【0011】
上記本発明において、前記側板片が、該側板片の主板の両側部に、嵌合部を除いた高さ方向に亘って切り欠かれる切欠部を有し、前記側板間補助片が、嵌合部を除いた高さ方向に亘って略W字状の断面形状であることにより、それぞれが前記切欠部と接合し、直角をなして相対する第1谷部と第2谷部とを有することが好ましい。
【0012】
上記課題に鑑み、本発明は、略方形の板体である主板の横置き状態における上面に嵌合部を設けた底板片と、略方形の板体である主板の縦置き状態における下部と上部とに嵌合部を設けた側板片と、縦置き状態における該側板片の高さと対応する高さを有し、下部と上部とに嵌合部を設けた側板間補助片と、下部に嵌合部を設けた上部結合片と、を有し、前記底板片の周囲に、前記側板片及び前記側板間補助片を交互にこれらの嵌合部により嵌合して側板を立設し、前記側板片と前記側板間補助片との隣接部の上部において、前記上部結合片をこれらの嵌合部により嵌合して、組み立てられた組立式植栽用容器である。
【0013】
上記本発明において、前記底板片の主板よりも小さな板状部材の横置き状態における下面に嵌合部を設けた底板結合片を有し、複数個の前記底板片を平面上に整列し、該底板片の各々の交差点において前記底板結合片をこれらの嵌合部により嵌合して一体的な底板となし、該底板の周囲に、前記側板片及び前記側板間補助片を交互にこれらの嵌合部により嵌合して側板を立設して、組み立てられることが好ましい。
【0014】
上記本発明において、前記上部結合片が複数個の嵌合部が直線状に配置された直線結合片と、複数個の嵌合部が直角に交差した線上に配置された角部結合片と、からなり、前記側板片と前記側板間補助片との隣接部のうち、直線部においては、上部に前記直線結合片を嵌合し、前記側板片と前記側板間補助片との隣接部のうち、角部においては、上部に前記角部結合片を嵌合して、組み立てられることが好ましい。
【0015】
上記本発明において、前記側板片が、該側板片の主板の両側部に、嵌合部を除いた高さ方向に亘って切り欠かれる切欠部を有し、前記側板間補助片が、嵌合部を除いた高さ方向に亘って略W字状の断面形状であることにより、それぞれが前記切欠部と接合し、直角をなして相対する第1谷部と第2谷部とを有し、前記側板片と前記側板間補助片との隣接部のうち、角部においては、一つの前記側板間補助片の前記第1谷部と前記第2谷部とがそれぞれ隣接する前記側板片の前記切欠部と接合し、前記側板片と前記側板間補助片との隣接部のうち、直線部においては、2個の前記側板間補助片が、一方の前記側板間補助片の前記第1谷部と他方の前記側板間補助片の前記第2谷部とを外側にして対称に隣接し、外側の前記第1谷部と前記第2谷部とにより、それぞれ隣接する前記側板片の前記切欠部と接合して、組み立てられることが好ましい。
【0016】
上記本発明において、二個の前記側板片が内角270度で隣り合うことによる凹角部を有し、該凹角部において、3個の前記側板間補助片が、それぞれ前記第1谷部及び前記第2谷部を外側にして90度ずつ回転配置されて隣接し、外側に位置する2個の前記側板間補助片のそれぞれにおける外側の前記第1谷部と前記第2谷部とが、それぞれ隣接する前記側板片の前記切欠部と接合して、組み立てられることが好ましい。
【0017】
本発明は、各部材の組み合わせ数を増減することにより、所定の部材から、所望の大きさ・形状のものを自在に得ることができる組立式植栽用容器である。例えば、前記底板片1個をもって前記底板とし、前記側板片1個をもって前記側板とし、前記底板と前記側板四個と前記側板間補助片とにより組み立てると、本発明における最小限の構成である組立式植栽用容器を得る。ここで、直線部においては、一つの直線部につき、前記側板間補助片を二個ずつ用いる。なお、本発明は、これらの部材の形状や組み合わせ方に関するものであって、組立て方の順番を構成要素とするものではない。
【0018】
前記側板間補助片の「略W字状の断面形状」とは、一方向に第1谷部と第2谷部とを有することを意味し、これらの反対側にある「略W字状」の一つの谷部を構成要件とするものではない。また、「断面形状」とは外形形状であることを指し、中空形状である場合も含む。
【0019】
また、本発明は、左右に対向する前記側板の各々の上方に立設され、天井で左右方向に横架する複数の逆U字形状の骨部材と、複数の該骨部材の上面から前後左右の側面まで覆設される防水シート及び/または網シートと、を備え、前記防水シート及び/または前記網シートの側面が、その下端から上方まで開閉自在な縦スリットを複数個有することにより、複数のカーテン部に分割され、該カーテン部ごとに上下方向に開閉自在であることを特徴として好ましい。
【0020】
前記縦スリットの開閉にはファスナーが好適であるが、これに限らず、スナップボタン等の係止手段を用いることができる。
【0021】
本発明の各片は、プラスチック製であることが好ましい。ここでいうプラスチックとは各種の合成樹脂等を含むが、例えばPP材が好ましい。また、その他各種鋼板も用いることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明による組立式植栽用容器は、底板片、底板結合片、側板片、側板間補助片、及び上部結合片のみから組み立てることが可能であり、組立て容易であるばかりでなく、部品の共通化により製造コストを低く抑えることができる。
【0023】
本発明による組立式植栽用容器は、各部材の嵌合部による嵌め込みで可能なため、ボルト等の締結部品や工具を別途使用することなく、非常に容易に組み立てることが可能であり、また、安全性も向上する。
【0024】
本発明による組立式植栽用容器は、使用する底板片及び側板片の組み合わせ個数の増減により、組立式植栽用容器全体のサイズや形状を任意に選択することができる。例えば、底板片を1個、側板片を前後左右1個ずつ組み合わせると最小限の構成となる組立式植栽用容器を得ることができる。また、組み合わせ個数を増やせば組立式植栽用容器を大きくすることができる。
【0025】
側板片による側板の立設において、側板片の間に側板間補助片を汎用的に用いることにより、部材の共通化を図りつつも、組立の自由度が向上する。すなわち、側板片同士が直線的に隣り合う場合には、側板間補助片を2個使用して結合することができ、側板片同士が内角90度で隣り合う場合には、側板間補助片を一つ使用して結合することができ、側板片同士が内角270度で隣り合う場合には、側板間補助片を3個使用して結合することができる。
【0026】
本発明による組立式植栽用容器は簡易な構造であるため、組立・分解が容易であり、移動にも便利であり、多様な場所に設置することができる。また、簡易な構造であることは、例えば温室として使用するなどの多様な用途にも好適であり、多種多様な社会の要求を満たすことができる。具体的には、骨部材と、開閉自在なカーテン部を有する防水シート及び/または網シートとを備えることにより、組立式植栽用容器上を温室化し、この中の環境を適宜調整することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施形態1による組立式植栽用容器110の斜視図である。
【図2】同実施形態による組立式植栽用容器110の平面図である。上部結合片150の図示は省略している。
【図3】同実施形態による組立式植栽用容器110の側面図である。上部結合片150の図示は省略している。
【図4】(a)〜(e)は同実施形態による組立式植栽用容器の組立てセット100の集合図である。
【図5】(a)は同実施形態による底板片121の平面図である。(b)は同底板片121の側面図である。
【図6】(a)は同実施形態による底板結合片125の平面図である。(b)は同底板結合片125の側面図である。(c)は同底板結合片125の斜視図である。斜視図は突縁126aのうち格子状の部分の図示を省略している。
【図7】(a)は同実施形態による側板片131の平面図である。(b)は同側板片131の正面図である。(c)は同側板片131の側面図である。
【図8】(a)は同実施形態による側板間補助片141の平面図である。(b)は同側板間補助片141の正面図である。(c)は同側板間補助片141の斜視図である。
【図9】(a)は同実施形態による直線結合片151の平面図である。(b)は同直線結合片151の正面図である。(c)は同直線結合片151の斜視図である。
【図10】(a)は同実施形態による角部結合片161の平面図である。(b)は同角部結合片161の側面図である。(c)は同角部結合片161の斜視図である。
【図11】同実施形態による直線部の結合の様子を示す平面図である。直線結合片151の図示は省略している。
【図12】同実施形態による角部の結合の様子を示す平面図である。角部結合片161の図示は省略している。
【図13】実施形態2による組立式植栽用容器210の斜視図である。上部結合片250の図示は省略している。
【図14】(a)(b)は同実施形態による凹角部の結合の様子を示す平面図である。凹角部結合片271の図示は省略している。
【図15】(a)は同実施形態による凹角部結合片271の平面図である。(b)は同凹角部結合片271のA−A線の断面図である。
【図16】実施形態3による組立式植栽用容器310の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明の実施形態1による組立式植栽用容器の組立てセット100及び組立式植栽用容器110(以下、単に容器という)について図1〜図12を参照して説明する。
【0029】
図1〜3に示す通り、容器110は、図4に示す容器の組立てセット100を組み立てたものであり、単数又は複数個(ここでは12個)の底板120と複数個(ここでは4組)の側板130とを有し、上方が開口した略箱体の形状を有する。容器の組立てセット100は、底板片121、底板結合片125(以下、単に結合片125という。)、側板片131、側板間補助片141(以下、単に補助片141という)、及び上部結合片150から構成される。上部結合片150として、直線結合片151(以下、単に結合片151という)及び角部結合片161(以下、単に結合片161という)がある。以下、各部材について説明する。
【0030】
底板片121は、図2、図5に示すように、平面視で正方形である主板122と、主板122に設けられた複数の嵌合部123とを有する。複数の嵌合部123は4辺の内側に所定間隔で周設されている。
【0031】
主板122は、方形、例えば、正方形の板材122aと、下面に設けられる補強のための突縁122bとを有する。突縁122bは、嵌合部123のための厚みを確保しつつ、軽量化と強度確保を図るためのものである。
【0032】
嵌合部123は、主板122の上面の端辺付近に設けられる所定形状(例えば角状)の非貫通の穴であり、一つの端辺につき複数(例えば四個)ずつ設けられる。嵌合部123は、主板122の角部においては隣り合う端辺に共通穴として設けるため、一つの底板片121に1辺あたり4個で合計12個が設けられる。嵌合部123は、嵌合部123の中心が主板122の端辺から所定間隔、離れた位置に設けられる。また、主板122の一つの端辺のうち、角部でない位置に設けられる2個の嵌合部123の中心間の距離が設けられている。
【0033】
底板結合片125は、図6に示すように、底板片121よりも小さな主材126と、主材126の下面に設けられた嵌合部127とを有する。ここでは嵌合部127は主板122下面から垂直に凸状に延び出している。主材126は、部材の角部を切り欠いた形状であり、下面に厚みと強度を確保するための突縁126aが設けられている。嵌合部127は、突縁126aの下面よりも下方に突設し、図5に示す嵌合部123と接合する角状の突起である。隣り合う嵌合部127の中心間は距離が置かれている。
【0034】
側板片131は、図7に示すように、主板132と、主板132の上面に設けられた上嵌合部134と、主板132の下面に設けられた下嵌合部135と、を有する。
【0035】
主板132は、長方形の垂直な板材132aと、板材132aの上端部から水平に設ける突縁132bと、板材132aの下端部から水平に設ける突縁132cと、板材132aの左側端部から垂直に設ける突縁132dと、突縁132dに隣接して内側に設けられ、それよりも長い(ここでは2倍の長さ)突縁132eと、板材132aの右側端部から垂直に設ける突縁132fと、突縁132fに隣接して内側に設けられ、それよりも長い(ここでは2倍の長さ)突縁132gと、板材132aの面に対して垂直に延び出し、突縁132b〜132gと連結し、高さの低い、格子状の補強のための突縁132hと、を有する。
【0036】
主板132の両側部には、それぞれ、平面視で段部が形成され、切欠部133a,133bが垂直方向に延び出している。
【0037】
突縁132bの両側部には、長穴形状の上嵌合部134が、それぞれ、切欠部133a,133bの近傍に設けられる。突縁132cには、図5に示す嵌合部123と嵌合する形状の突起である複数(例えば2個)の下嵌合部135が設けられる。2個の下嵌合部135は、垂直下方に突出し、それぞれの中心間の距離が設定されている。
【0038】
また、突縁132b及び突縁132cには、穴136a,136bが対応して設けられる。この穴136a,136bは、実施形態2の防水シートの設置のためであり後述する。
【0039】
補助片141は、図8に示すように、側板片131の主板132と同じ高さの長尺部材である主材142と、主材142の上面に設けられた凹部形状である上嵌合部143aと、主材142の下面に設けられ垂直方向に突出する凸形状である下嵌合部143bと、を有する。
【0040】
主材142の各面は、それぞれ長方形の平面形状を有し、互いに直交する第1部材142a及び第2部材142bと、第1部材142a、第2部材142bとそれぞれ平行な第3部材142c及び第4部材142dと、基端部を連結するL字形状の切欠部142eと、第1部材142a及び第2部材142bの内側面同士と接合するコ字形状の中央部材142fと、を備えている。
【0041】
補助片141は、平面視で2段の連続する段部を有する略W字状となり、第1部材142a及び中央部材142fの間に直角形状の第1谷部144aと、第2部材142b及び中央部材142fの間に直角形状の第2谷部144bとが形成される。
【0042】
第1谷部144a及び第2谷部144bの形状は側板片131の突縁132d、fと接合する形状である。第1部材142a、第3部材142cが切欠部133a,133bと接合する形状である。同様に、第2部材142b、第4部材142dも切欠部133a,133bと接合する形状である。第1部材142a、第2部材142b、及び中央部材142fはそれぞれ、中空に形成されており、内部に突縁142g、142hが設けられる。
【0043】
第1部材142a及び第2部材142bの上面には、長穴形状の上嵌合部143aがそれぞれ設けられる。それぞれの上嵌合部143aは長穴形状の長軸が直交して配置される。中央部材142fの下部には、底板片121の嵌合部123と嵌合する形状の突起である下嵌合部143bが設けられる。
【0044】
結合片151は、上部結合片150の一つであり、2個の補助片141と2個の側板片131を連結することができる。容器110において側板片131が直線状に並ぶ部分の結合部材として上部に使用される。結合片151は、図9に示すように、主板156と、主板156の片側の主面から垂直に突出する無端中空壁の保持部152,153,154と、保持部152,153,154よりも小さく、高さの低い凸状の嵌合部155とを一体的に有する形状である。保持部152,153,154の間には組み立ての際の把持性向上のために低壁の突縁が設けられている。
【0045】
保持部152,153は保持部154に対向し、側板片131及び補助片141を挟持する。保持部152及び保持部153は左右対称に間隙を置いて並置される。
【0046】
保持部154は角部に凸部154aを有し、隣接配置される2個の補助片141の切欠部142eと嵌合し、補助片141の変形を規制することができる。嵌合部155は、主板156の主面から垂直に突出し、保持部152,153と、保持部154との間の領域に配列され、図11に示す上嵌合部134及び上嵌合部143aの長穴形状と嵌合する長円形状の突起であり、直線上に複数(例えば四個)が配列される。
【0047】
結合片161は、上部結合片150の一つであり、容器110において側板片131が直角をなして並ぶ角部のつなぎとして上部に使用される結合部材である。結合片161は、図10に示すように、主板160と、主板160から垂直に延び出す無端中空壁の保持部162,163と、主板160から垂直に延び出し、保持部162,163よりも小さく、高さの低い凸状の嵌合部164とを一体的に有する形状である。保持部162,163は対向するように配置される。結合片161は、円形が例示されるが形状は限定されない。保持部162,163の間には組み立ての際の把持性向上のために低壁の突縁が設けられている。
【0048】
保持部162,163は主面から突出し、また、相互に対向しており、これらによって側板片131及び補助片141を挟持する。図12に示す嵌合部164は、保持部162、163の間に位置し、側板片131の上嵌合部134の長穴形状と嵌合する長円形状の突起であり、直交して二個が配列される。さらにこれらが直交して複数(例えば四個)が配列される。なお、外側の2個の嵌合部164は、上嵌合部134の形状に対して部分的にのみ形成されているが、部品の小型化を図るものである。
【0049】
底板片121、結合片125、側板片131、補助片141、結合片151、及び結合片161の各片はポリプロピレン製であるが、これに限られず、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタラート、アクリル樹脂、その他、ガラス繊維やプラスチック繊維等を加えた強化プラスチックを含む合成樹脂製が好適である。また、ステンレスやアルミ等の鋼板を用いることもできる。
【0050】
容器110の組立て方法について図1〜図3、図11、図12を参照して説明する。複数個の底板片121を平面上に整列し、隣接する四個の底板片121の各々の交差点において結合片125を嵌合して底板120とする。この嵌合は、隣接する四個の底板片121の嵌合部123のうち、その交差点に直近の複数の嵌合部123と、結合片125の嵌合部127とにより行う。
【0051】
つぎに、補助片141を間に嵌合して16個の側板片131を組み立て、4個の側板130を立設する。底板120の端辺に位置する嵌合部123と、図7に示す下嵌合部135または図8に示す下嵌合部143bとを嵌め合わせる。
【0052】
側板片131が直線部に連なる接合箇所においては、図11に示すように、隣接する側板片131の間に2個の補助片141を、90度、回転した位置に配置し、それぞれの第1部材142aと第2部材142bとを直線上に切欠部142eを介して間隙を置いて設ける一方、それぞれの第2部材142bと第1部材142aとを背中合わせで当接させる。図11に示す右側の補助片141では、突縁132fと第1谷部144aが嵌め合わされ、突縁132gと、第1部材142a,第3部材142cが突き合わされるが、第2谷部144bは非嵌合状態である。一方、図11に示す左側の補助片141では、突縁132dと第2谷部144bが嵌め合わされ、突縁132eと第2部材142b,第4部材142dが突き合わされるが、第1谷部144aは非嵌合状態である。つまり、補助片141の第1谷部144aと第2谷部144bのいずれか一方を側板片131の端部全体と嵌合させる。
【0053】
側板片131が角部に連なる接合箇所においては、図12に示すように、その間に一つの補助片141を設け、この補助片141の第1谷部144aと第2谷部144bとをそれぞれ隣接する側板片131の端部全体と接合させる。
【0054】
最後に、側板片131と補助片141との隣接部のうち、直線部においては、上部に結合片151を嵌合し、側板片131と補助片141との隣接部のうち、角部においては、上部に結合片161を嵌合する。直線部においては、結合片151の嵌合部155と、2個の上嵌合部134、及び、2個の上嵌合部143aとにより行う。角部においては、結合片161の嵌合部164と、2個の上嵌合部134、及び、2個の上嵌合部143aとにより行う。組み立て状態において、側板片131の一つの下部に水抜き穴(図示略)を設けるとよい。なお、上記は組立例であり、使用する部材の個数や組み付ける順番はこれに限られない。また、各片の接合にはU字型クリップ等を補助的に用いてもよい。
【0055】
実施形態1による容器の組立てセット100及び容器110の効果について説明する。容器110は、底板片121、結合片125、側板片131、補助片141、結合片151及び結合片161のみから所望の大きさに組み立てることが可能である。直線部及び角部の結合には、補助片141を共通して使用することができるため、組立て容易であるばかりでなく、部品の共通化により製造コストを低く抑えることができる。この組み立ては、各部材の嵌合部による嵌め込みにより可能なため、ボルト等の締結部品や工具を別途使用することなく、非常に容易に組み立てることが可能であり、また、安全性も向上する。
【0056】
以下、本発明の実施形態2による容器210について図13〜図15を参照して説明する。実施形態2は、実施形態1の容器110において、内角270度の凹角部を作成して組み立てた容器210と、このための容器の組立てセット(図示略)である。組立式植栽用容器210の上部結合片は、実施形態1の結合片151と結合片161と同様のものを備える他に、凹角部用の結合片271を有する。その他、組立式植栽用容器210に含まれる各部材については、特に示さない限り、実施形態1の説明を援用し、詳細な図示を省略する。
【0057】
結合片271は、上部結合片の一つであり、容器210において側板片231は内角270度の凹角部のつなぎとして上部に使用される結合部材である。結合片271は、図15に示すように、保持部272,273,274,275と、嵌合部276とを一体的に有する形状である。結合片271の周囲には組み立ての際の把持性向上のために突縁が設けられている。保持部272,273,274はそれぞれ保持部275と対向しており、組み立て使用時においては、これらによって側板片231及び補助片241を挟持する。
【0058】
結合片271は、図15に示すように、主板270と、主板270の片側の主面から垂直に突出する無端中空壁の保持部272,273,274,275と、保持部272,273,274,275よりも小さく、高さの低い凸状の嵌合部276とを一体的に有する形状である。保持部272,273,274,275間には組み立ての際の把持性向上のために低壁の突縁が設けられている。
【0059】
保持部272〜274は保持部275に対向し、側板片231及び側板間補助片241を挟持する。保持部272、273は直交して配置され、それらの間に保持部274が配置される。
【0060】
保持部275はL字形状で角部に凸部275aを有し、隣接配置される3個の補助片241の切欠部242eと嵌合し、補助片241の変形を規制することができる。嵌合部276は、主板270の主面から垂直に突出し、保持部275と、保持部272〜274の間の領域に配列され、図14(a)に示す上嵌合部234及び上嵌合部243aの長穴形状と嵌合する長円形状の突起であり、直交状に複数(例えば8個)が配列される。
【0061】
容器210の組立ての方法については実施形態1と同様であるので、説明は援用し、相違点について図13、図14(a)を参照して説明する。凹角部には3個の底板片221をそれぞれ直交させて平面上に並べる。この凹角部には3個の補助片241と、2個の側板片231を、対応する位置にある底板片221の嵌合部223に嵌合させて組み立てる。補助片241と側板片231の組立は、まず3個の補助片241を90度ずつ、回転させた位置に配置し、270度の角度の内角を構成させ、中央を除く両側の補助片241に対して、2個の側板片231を直交させて嵌め込む。さらに、結合片271を3個の補助片241と2個の側板片231に嵌め込む。嵌合部276は上嵌合部234、243aに嵌め込まれる。
【0062】
図14(b)は、図14(a)の変形例であり、容器210の内部の仕切り区画を増加させ、補強を高めるため、側板片231を4個使用する場合であり、単に図示するだけとし、説明は割愛する。
【0063】
実施形態2による容器210の効果について説明する。補助片241を3個使用し、結合片271により上部を結合することにより、内角が270度の凹角部を含む容器210を組み立てることができる。これにより、組み立ての自由度がさらに大幅に向上する。
【0064】
以下、実施形態3による容器310について図16を参照して説明する。この容器310は、実施形態1の容器110の上方を覆うシート380と、シート380を支持する骨390とを設けたものである。本実施形態による容器310は実施形態1の容器110と共通のものを使用するため、部品番号を300番台とし、説明はこれを援用する。
【0065】
骨390は、シート380を設置するための逆U字形状の部材である。骨390は、逆U字形状の開放側を下方に向けて、容器310の短手方向に対向する側板330に横架して複数本が設けられる。骨390は、逆U字形状の2個の支柱部分を、それぞれ、側板330の一対の穴(これらの穴は穴136aに対応する)に通して上下2カ所で固定することにより立設される。骨390は長手方向に適宜間隔を空けて複数本設置される。骨390の高さは任意に設定することができるが、内部での作業性や植栽の用途によって適宜選択するとよい。
【0066】
シート380は、立設された複数本の骨390の上面から側面まで覆設される下方が開放された形状のシートである。本実施形態では、防水シート381及び網シート382を重ねて設けられる二重構造である。防水シート381の側面には、その下端から上方までファスナーにより開閉自在な縦スリット383が複数備わる。本実施形態では縦スリット383を側面の四隅及び長手方向の両側面の中央に設けているが、これに限らず任意にとり得る。縦スリット383により分割された防水シート381の側面には、ロールアップ可能なカーテン部384が形成される。防水シート381の材質は任意の物を用いる。
【0067】
網シート382は、防水シート381と同様の構造を持ち、構造の説明はこれを援用する。網シート382は、防水シート381と骨390との間に設置されるので、サイズを適宜調整するとよい。網シート382の材質は任意の物を用いることができる。本実施例では、網シート382を防水シート381と同様の構造を持つものとし、上面から側面にかけての全てを防水シート381及び網シート382の二重構造にしているが、防水シート381のカーテン部384に相当する部分にのみ網シート382を設けてもよい。
【0068】
防水シート381の側面上部には、開け放した防水シート381及び網シート382を上部で係止するためのフック385が適宜設けられる。防水シート381及び網シート382の側面上部の裏面には、フック385を係止するための係止環(図示略)が設けられる。
【0069】
容器310によると、容器110の効果に加え、防水シート381及び網シート382を開閉自在に設けることが可能となり、容器310を温室化することができる。防水シート381及び網シート382をかぶせることで、無農薬野菜等の育成ができる。シート380として寒暖保護となるビニールシートを用いる場合、温室化することができる。
【0070】
また、屋上に置くことで下の階への寒暖に対する保護となる。防水シート381の開閉は、複数に分割されたカーテン部384をロールアップしたり、引き下ろしたりすることにより、部分的に行うことができる。網シート382も防水シート381と同様に開閉できる。防水シート381と網シート382の開閉はそれぞれ独立して行うことができ、防水シート381及び網シート382を閉じた状態、防水シート381及び網シート382を開いた状態、網シート382を閉じて防水シート381のみ開いた状態を各カーテン部384において別個にとることができる(図16参照)。上記の通り、カーテン部384を部分的に開閉可能なため、風通しや温度・湿度等の内部環境の調整も行うことができる。
【0071】
なお、本発明の実施形態は、上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において、改変等を加えることができるものであり、それらの改変、均等物等も本発明の技術的範囲に含まれ、該技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることは言うまでもない。例えば、組立式植栽用容器の組立てセット及び組立式植栽用容器を家庭用で利用する場合、家庭での子供の砂場遊び、或いは、ゴミ処理容器等、多用途に利用可能である。
【符号の説明】
【0072】
110,210,310・・・組立式植栽用容器
100・・・組立てセット
120・・・底板
130・・・側板
121・・・底板片
122・・・主板
123・・・嵌合部
122a・・・板材
122b・・・突縁
123・・・嵌合部
125・・・結合片
126・・・主材
127・・・嵌合部
126a・・・突縁
131・・・側板片
132・・・主板
132a・・・板材
132b〜h・・・突縁
133a,133b・・・切欠部
134・・・上嵌合部
135・・・下嵌合部
136a,136b・・・穴
141・・・側板間補助片
142・・・主材
142a・・・第1部材
142b・・・第2部材
142c・・・第3部材
142d・・・第4部材
142e・・・切欠部
142f・・・中央部材
142g、142h・・・突縁
144a・・・第1谷部
144b・・・第2谷部
143a・・・上嵌合部
143b・・・下嵌合部
150・・・上部結合片
151・・・直線結合片
152,153,154・・・保持部
154a・・・凸部
155・・・嵌合部
156・・・主板
161・・・角部結合片
160・・・主板
162,163・・・保持部
164・・・嵌合部
271・・・結合片
272,273,274,275・・・保持部
276・・・嵌合部
231・・・側板片
241・・・側板間補助片
270・・・主板
275a・・・凸部
242e・・・切欠部
234・・・上嵌合部
243a・・・上嵌合部
380・・・シート
390・・・骨
330・・・側板
381・・・防水シート
382・・・網シート
383・・・縦スリット
384・・・カーテン部
385・・・係止フック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略方形の板体の上面に嵌合部を設けた底板片と、
略方形の板体の下部と上部とに嵌合部を設けた側板片と、
該側板片の高さと対応する高さを有し、下部と上部とに嵌合部を設けた側板間補助片と、
下部に嵌合部を設けた上部結合片と、を有し、
前記底板片の周囲に、前記側板片及び前記側板間補助片を交互に嵌合して側板を立設し、
前記側板片と前記側板間補助片との隣接部の上部に、前記上部結合片を嵌合し組み立てられた組立式植栽用容器。
【請求項2】
前記底板片の主板よりも小さな板状部材の下面に嵌合部を設けた底板結合片を有し、
複数個の前記底板片を平面上に整列し、該底板片の各々の交差点において前記底板結合片をこれらの嵌合部により嵌合して一体的な底板となし、
該底板の周囲に、前記側板片及び前記側板間補助片を交互にこれらの嵌合部により嵌合して側板を立設して組み立てられた請求項1に記載の組立式植栽用容器。
【請求項3】
前記上部結合片が
複数個の嵌合部が直線状に配置された直線結合片と、
複数個の嵌合部が直角に交差した線上に配置された角部結合片と、からなり、
前記側板片と前記側板間補助片との隣接部のうち、直線部においては、上部に前記直線結合片を嵌合し、
前記側板片と前記側板間補助片との隣接部のうち、角部においては、上部に前記角部結合片を嵌合して、組み立てられた請求項1または2に記載の組立式植栽用容器。
【請求項4】
前記側板片が、該側板片の主板の両側部に切欠部を有し、
前記側板間補助片が、2段の断面形状を成す、第1谷部と第2谷部とを有し、
前記側板片と前記側板間補助片との隣接部のうち、角部においては、一つの前記側板間補助片の前記第1谷部と前記第2谷部とがそれぞれ隣接する前記側板片の端部と接合し、
前記側板片と前記側板間補助片との隣接部のうち、直線部においては、2個の前記側板間補助片を90度回転配置させて隣接させ、前記第1谷部と第2谷部のいずれかと、前記側板片の端部とが接合して組み立てられた請求項1ないし請求項3いずれかに記載の組立式植栽用容器。
【請求項5】
2個の前記側板片が内角270度で隣り合うことによる凹角部において、3個の前記側板間補助片が、90度ずつ回転配置させて隣接し、外側に位置する2個の前記側板間補助片のそれぞれにおける外側の前記第1谷部と前記第2谷部のいずれかと、前記側板片の端部と接合して組み立てられた請求項1ないし請求項4いずれかに記載の組立式植栽用容器。
【請求項6】
請求項1乃至5の組立式植栽用容器を組み立てるための組立てセットであって、
前記底板片と、前記側板片と、前記側板間補助片と、前記上部結合片と、を有する組立式植栽用容器の組立てセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−17476(P2013−17476A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−131437(P2012−131437)
【出願日】平成24年6月9日(2012.6.9)
【特許番号】特許第5049411号(P5049411)
【特許公報発行日】平成24年10月17日(2012.10.17)
【出願人】(310007759)株式会社テクノミズホ (9)
【Fターム(参考)】