説明

組立式立体ラベル

【課題】 1枚のラベル基材を用いて組立式立体ラベルを簡単に立体的に組み立てて、小径部と小径部よりも幅広になった胴部を有する容器を適切に保持させて吊下げることができると共に、立体的で十分な情報量の表示が行えるようにする。
【解決手段】 小径部2と小径部よりも幅広になった胴部3を有する容器1を吊下げるようにして保持する組立式立体ラベルにおいて、1枚のラベル基材10に、容器の小径部を下方に向けて挿入させて幅広になった胴部を保持する貫通穴11を設け、このラベル基材を曲げて立体状に形成した状態で係止させる係止手段として、このラベル基材に係止片16とこの係止片を挿入させて係止させる係止部17とを上記の貫通穴に対して相互に反対側の位置に形成すると共に、容器を貫通穴に保持させた状態で吊下げるための吊下げ部14を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、小径部と小径部よりも幅広になった胴部を有する容器を吊下げるようにして保持する組立式立体ラベルに係り、特に、1枚のラベル基材を用いて組立式立体ラベルを簡単に立体的に組み立てて、小径部と小径部よりも幅広になった胴部を有する容器を適切に保持させて吊下げることができると共に、立体的で十分な情報量の表示が行えるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、物品の名称、特徴、使用方法、製造者、製造日等の各種の情報を表示するために物品にラベルを貼付することが行われている。
【0003】
しかし、従来のラベルにおいては、一般にこれらの情報をラベル表面に平面的に表示させるようにしているだけであるため、顧客の注意を十分に喚起して、情報を効果的に伝達させる機能が弱いという問題があった。
【0004】
また、ビンやボトルなどの容器の首部に装着させるラベルにおいて、顧客の注意を十分に喚起させるため、特許文献1に示されるように、ラベル基材に略H字状や略コ字状になった切込みを設け、この切込み部分に容器の首部を挿入させて、切込み部分におけるラベル基材を立ち上げて起立面を形成するようにしたネックハンガーラベルが提案されている。
【0005】
しかし、この特許文献1に示されるネックハンガーラベルにおいては、立ち上げられる起立面が小さくて、表示できる情報量が少ないという問題があった。
【0006】
そして、近年においては、特許文献2に示される首架けラベルのように、上記の略H字状になった切込みが設けられた第1ラベル基材の両側に第2ラベル基材を接着させて、容器の首部に装着させるラベルの4面を起立させるようにし、表示できる情報量を多くすることが提案されている。
【0007】
しかし、この特許文献2に示される首架けラベルのように、略H字状になった切込みが設けられた第1ラベル基材の両側に第2ラベル基材を接着させる作業は非常に面倒であり、その製造に時間を要すると共に、コストも高くつくという問題があった。
【0008】
また、上記の特許文献1,2に示される何れのラベルにおいても、単に容器の首部に装着させるだけであり、容器を吊下げるようにして適切に保持することはできなかった。
【特許文献1】特開2002−140002号公報
【特許文献2】特開2005−62702号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明は、小径部と小径部よりも幅広になった胴部を有する容器を吊下げるようにして保持する組立式立体ラベルに係り、特に、1枚のラベル基材を用いて組立式立体ラベルを簡単に立体的に組み立てて、小径部と小径部よりも幅広になった胴部を有する容器を適切に保持させて吊下げることができると共に、立体的で十分な情報量の表示が行えるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明においては、上記のような課題を解決するため、小径部と小径部よりも幅広になった胴部を有する容器を吊下げるようにして保持する組立式立体ラベルにおいて、1枚のラベル基材に、上記の容器の小径部を下方に向けて挿入させて幅広になった胴部を保持する貫通穴を設け、このラベル基材を曲げて立体状に形成した状態で係止させる係止手段として、このラベル基材に係止片とこの係止片を挿入させて係止させる係止部とを上記の貫通穴に対して相互に反対側の位置に形成すると共に、上記の容器を貫通穴に保持させた状態で吊下げるための吊下げ部を設けた。
【0011】
ここで、上記の組立式立体ラベルにおいて、容器を貫通穴に保持させた状態で吊下げるための吊下げ部としては、例えば吊下げ用穴を設けることができる。
【0012】
また、上記の組立式立体ラベルにおいて、上記のようにラベル基材を折り曲げるように曲げて簡単に立体状に形成できるようにするため、上記のラベル基材を折り曲げるように曲げるための折り目線を形成することが好ましい。
【0013】
また、上記の容器として、小径部よりも幅広になった胴部における小径部と反対側の端部が扁平に形成された容器、例えば、洗顔クリーム等を収容させるチューブ状の容器を用いた場合には、上記のラベル基材に、容器の扁平になった胴部の端部を保持させる保持用切込みを設け、この保持用切込みに容器の扁平になった胴部の端部を保持させて、組立式立体ラベルに保持された容器ががたつかないように固定させることもできる。
【発明の効果】
【0014】
この発明における組立式立体ラベルにおいては、上記のラベル基材を立体状に曲げ、このラベル基材に設けられた上記の係止片を係止部に係止させて、このラベル基材を立体状に形成すると共に、小径部と小径部よりも幅広になった胴部を有する容器を、ラベル基材に設けた貫通穴に容器の小径部を下方に向けて挿入させて幅広になった胴部を保持させ、この状態で、ラベル基材に設けたを吊下げ部により上記の容器を吊下げるようにする。
【0015】
このようにすると、上記のように容器の胴部がラベル基材に設けた貫通穴に保持された状態で、この組立式立体ラベルと一緒に吊下げられるようになり、このように立体状に形成された組立式立体ラベルによって顧客の注意が十分に喚起されると共に、上記のように曲げられたラベル基材に多くの情報を表示できるようになる。
【0016】
また、この発明における組立式立体ラベルにおいては、上記のようにラベル基材を立体状に曲げ、このラベル基材に設けられた係止片を係止部に係止させて、このラベル基材を立体状に形成すると共に、このラベル基材に設けられた貫通穴に容器の小径部を下方に向けて挿入させて幅広になった胴部を保持させるだけであるため、容器を展示する現場などにおいても、この組立式立体ラベルを簡単に立体的に組み立てて、容器を吊下げた状態で展示できるようになる。
【0017】
また、このように容器を展示する現場などにおいて、組立式立体ラベルを簡単に立体的に組み立てて、容器を吊下げた状態で展示できるため、容器を展示する時点までは、この組立式立体ラベルを立体的に組み立てる前の平坦なラベル基材の状態にして保管し、輸送することができ、この組立式立体ラベルが嵩張るということがなく、保管や輸送のコストも低減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明の実施形態に係る組立式立体ラベルを添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、この発明に係る組立式立体ラベルは、下記の実施形態に示したものに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0019】
この実施形態における組立式立体ラベルにおいては、吊下げた状態で保持させる容器1として、洗顔クリーム等を収容させるチューブ状の容器であって、図1に示すように、小径部となるキャップ部2から幅広になった胴部3が形成されて、この胴部3におけるキャップ2と反対側の端部が扁平に形成されたものを用いるようにしている。
【0020】
そして、この実施形態における組立式立体ラベルにおいては、図2に示すように、ラベル基材10の幅方向中央部に、上記の容器1のキャップ部2を下方に向けて挿入させて幅広になった胴部3を保持する貫通穴11を設けると共に、この貫通穴11の部分からラベル基材10の幅方向両側に向けて折り目線12をラベル基材10の長手方向に所要間隔を介して形成している。
【0021】
また、この実施形態においては、上記のラベル基材10の長手方向の一方の端部側の中央部に半円状になった突出部13を形成するための突出部用切込み13aを設けると共に、この突出部13に吊下げ部14として吊下げ用穴14aを設け、またこの突出部用切込み13aの両側からそれぞれ幅方向に向けて折返し用折り目線15aを設け、この折返し用折り目線15aにより端部側の折返し部15を折り返すようにしている。
【0022】
そして、上記の折返し部15に係止片用切込み16aを設けて係止片16を形成する一方、上記の貫通穴11に対してこの折返し部15とは反対側におけるラベル基材10の端部に、上記の係止片16を挿入させて係止させる切込みからなる係止部17を形成している。
【0023】
さらに、この実施形態の組立式立体ラベルにおいては、上記の貫通穴11と突出部13との間におけるラベル基材10の幅方向両側部に、それぞれ上記の容器1の胴部3におけるキャップ2と反対側の扁平になった端部の両側部を保持させる保持用切込み18を設けている。
【0024】
ここで、この実施形態の組立式立体ラベルを立体的に組み立てるにあたっては、図3及び図4に示すように、上記の貫通穴11の部分からラベル基材10の幅方向両側に向けて設けられた折り目線12の位置において、貫通穴11が底に位置するようにして上記のラベル基材10を折り曲げるように曲げると共に、上記の折返し用折り目線15aにより上記の折返し部15を下方に向けて折り返すように折り曲げ、この折返し部15に設けた係止片16を、上記の貫通穴11に対して折返し部15と反対側におけるラベル基材10の端部に設けた上記の切込みからなる係止部17に挿入させて係止させるようにする。
【0025】
そして、この実施形態の組立式立体ラベルに上記の容器1を保持させて吊下げるにあたっては、図5に示すように、ラベル基材10に設けた貫通穴11に上記の容器1のキャップ部2を下方に向けて挿入させて、幅広になった容器1の胴部3をこの貫通穴11の部分に保持させ、この状態で、上記のように組立式立体ラベルを立体的に組み立てると共に、容器1の胴部3におけるキャップ2と反対側の扁平になった端部の両側部を、ラベル基材10に設けた上記の保持用切込み18に挿入させて保持させるようにする。
【0026】
そして、このように容器1を組立式立体ラベルに保持させた状態で、ラベル基材10の突出部13に設けた吊下げ用穴14aを、陳列棚等に設けられたフック(図示せず)に引っ掛けて、この組立式立体ラベルを介して容器1を吊下げるようにする。
【0027】
このようにすると、容器1を展示する現場などにおいて、この組立式立体ラベルを簡単に立体的に組み立てて、容器1を吊下げた状態で簡単に展示できるようになる。
【0028】
なお、この実施形態における組立式立体ラベルにおいては、上記の係止片16を折返し部15に設けるようにしたが、必ずしも折返し部15を設ける必要はなく、また胴部3におけるキャップ2と反対側の扁平になった端部の両側部を挿入させて保持させる保持用切込み18を設ける必要もなく、さらにこの組立式立体ラベルを吊下げる吊下げ部14も上記のような吊下げ用穴14aに限られない。
【0029】
例えば、上記のラベル基材10における折返し部15や保持用切込み18をなくし、図6に示すように、上記のラベル基材10に設けられた上記の貫通穴11と突出部13との間におけるラベル基材10に係止片用切込み16aを設けて係止片16を形成するようにし、また上記の突出部13にこの組立式立体ラベルを吊下げるための吊下げ部14として、フック部14bを設けるようにすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明の実施形態に係る組立式立体ラベルに保持させて吊下げる容器を示した概略平面図である。
【図2】上記の実施形態に係る組立式立体ラベルの概略平面図である。
【図3】上記の実施形態に係る組立式立体ラベルを立体的に組み立てた状態を示した概略正面図である。
【図4】上記の実施形態に係る組立式立体ラベルを立体的に組み立てた状態を示した断面説明図である。
【図5】上記の実施形態に係る組立式立体ラベルに上記の容器を保持させて吊下げる状態を示した概略正面図である。
【図6】上記の実施形態に係る組立式立体ラベルの変更例を示した概略平面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 容器
2 キャップ(小径部)
3 胴部
10 ラベル基材
11 貫通穴
12 折り目線
13 突出部
13a 突出部用切込み
14 吊下げ部
14a 吊下げ用穴
14b フック部
15 折返し部
15a 折返し用折り目線
16 係止片
16a 係止片用切込み
17 係止部
18 保持用切込み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小径部と小径部よりも幅広になった胴部を有する容器を吊下げるようにして保持する組立式立体ラベルにおいて、1枚のラベル基材に、上記の容器の小径部を下方に向けて挿入させて幅広になった胴部を保持する貫通穴を設け、このラベル基材を曲げて立体状に形成した状態で係止させる係止手段として、このラベル基材に係止片とこの係止片を挿入させて係止させる係止部とを上記の貫通穴に対し相互に反対側の位置に形成すると共に、上記の容器を貫通穴に保持させた状態で吊下げるための吊下げ部を設けたことを特徴とする組立式立体ラベル。
【請求項2】
請求項1に記載の組立式立体ラベルにおいて、上記の吊下げ部が吊下げ用穴であることを特徴とする組立式立体ラベル。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の組立式立体ラベルにおいて、上記のラベル基材を折り曲げるように曲げるための折り目線を形成したことを特徴とする組立式立体ラベル。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の組立式立体ラベルにおいて、上記の小径部よりも幅広になった胴部における小径部と反対側の端部が扁平に形成された容器を用いると共に、上記のラベル基材に扁平になった胴部の端部を保持させる保持用切込みを設けたことを特徴とする組立式立体ラベル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−128873(P2009−128873A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−307060(P2007−307060)
【出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【出願人】(000205306)大阪シーリング印刷株式会社 (90)
【Fターム(参考)】