説明

組立式軽量煽り板およびそれに用いる樹脂製板

【課題】 板材全体が軽量であって取り扱いが容易であり、基端部の負荷を軽減して、安全性も高い組立式軽量煽り板およびそれに用いる樹脂製板を提供すること。
【解決手段】 トラック等の荷台板Pの外縁に揺動自在に囲い配設される煽り板であって、樹脂製板1は、熱可塑性プラスチック材料を押出成形してなる長手板体の下端および上端にそれぞれ連結部11(11L・11U)を形成し、
当該樹脂製板1の下端における連結部11Lには、前記荷台板Pにヒンジ結合可能な基部板2を連結可能にする一方、同樹脂製板1の上端における連結部11Uには、上部板3を連結可能に構成して、
これらの板部材同士を上下に連結して、かつ、軸方向に亙り結合棒材4を貫通して挟着することによって一体の板状に構成するという技術的手段を採用した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラック等の荷台における煽り板の改良、更に詳しくは、板材全体が軽量であって取り扱いが容易であり、基端部の負荷を軽減して、安全性も高い組立式軽量煽り板およびそれに用いる樹脂製板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のとおり、トラック等の荷台板の外縁には、積んだ荷物が外にはみ出ないようにするために、左右および後方に煽り板が配設されており、各板は下端が荷台板にヒンジ連結されて揺動自在に構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、従来の煽り板は、金属材料で作製されていて重量であったため、下ろしたり持ち上げたりする揺動作業に大きな労力が必要になるとともに、手元を誤ってぶつかるとケガを負ってしまうおそれもあった。
【0004】
また、このように煽り板が重量であると、下端を支持しているヒンジ部分に不可避的に大きな負荷がかかってしまい、このヒンジ連結部材も頑丈な構造にしないと破損し易く、安全性およびコスト増大の問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−95148号公報(第3−6頁、図1−2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来のトラック等の荷台における煽り板に上記のような問題があったことに鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、板材全体が軽量であって取り扱いが容易であり、基端部の負荷を軽減して、安全性も高い組立式軽量煽り板およびそれに用いる樹脂製板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者が上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。
【0008】
即ち、本発明は、トラック等の荷台板Pの外縁に揺動自在に囲い配設される煽り板であって、樹脂製板1は、熱可塑性プラスチック材料を押出成形してなる長手板体の下端および上端にそれぞれ連結部11(11L・11U)を形成し、
当該樹脂製板1の下端における連結部11Lには、前記荷台板Pにヒンジ結合可能な基部板2を連結可能にする一方、同樹脂製板1の上端における連結部11Uには、上部板3を連結可能に構成して、
これらの板部材同士を上下に連結して、かつ、軸方向に亙り結合棒材4を貫通して挟着することによって一体の板状に構成するという技術的手段を採用したことによって、組立式軽量煽り板を完成させた。
【0009】
また、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、樹脂製板1の連結部11の各端部には、外壁に沿って端縁が延成された凸起11aと、外壁の表面が内側に凹んでなる段部11bとをそれぞれ形成して、前記凸起11aの内側面を段部11bの外側に被覆して、かつ、これら両部材の接触面を接着固定するという技術的手段を採用した。
【0010】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、樹脂製板1の断面に複数の補強リブ12・12…を形成するという技術的手段を採用した。
【0011】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、樹脂製板1の補強リブ12を、凸起11aの端部の内側の位置に亙り形成するという技術的手段を採用した。
【0012】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、樹脂製板1を、互いに異なる熱可塑性プラスチック材料を内外二層に押出成形して形成するという技術的手段を採用した。
【0013】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、樹脂製板1の熱可塑性プラスチック材料を、内層をポリカーボネート樹脂にして、外層をアクリル樹脂にするという技術的手段を採用した。
【0014】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、樹脂製板1の熱可塑性プラスチック材料を透明または半透明にするという技術的手段を採用した。
【0015】
また、本発明は、熱可塑性プラスチック材料を押出成形してなる長手板体であって、下端および上端にそれぞれ連結部11(11L・11U)を形成して、
下端における連結部11Lには、前記荷台板Pにヒンジ結合可能な基部板2を連結可能にする一方、上端における連結部11Uには、上部板3を連結可能にするという技術的手段を採用したことによって、組立式軽量煽り板に用いる樹脂製板を完成させた。
【発明の効果】
【0016】
本発明にあっては、樹脂製板を、熱可塑性プラスチック材料を押出成形してなる長手板体にして、下端および上端にそれぞれ連結部を形成して、当該樹脂製板の下端における連結部には、前記荷台板にヒンジ結合可能な基部板を連結可能にする一方、同樹脂製板の上端における連結部には、上部板を連結可能にして、
これらの板部材同士を上下に連結して、かつ、軸方向に亙り結合棒材を貫通して挟着することによって、一体の板状に構成することができる。
【0017】
したがって、本発明の組立式軽量煽り板によれば、板材全体が軽量であって取り扱いが容易であり、基端部の負荷を軽減して、安全性も高くなることから、実用的利用価値は頗る高いものがあると云える。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態の樹脂製板を表わす断面図である。
【図2】本発明の実施形態の組立式軽量煽り板の連結部を表わす拡大断面図である。
【図3】本発明の実施形態の組立式軽量煽り板を表わす図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための形態を、具体的に図示した図面に基づいて更に詳細に説明すると、次のとおりである。
【0020】
本発明の実施形態を図1から図3に基づいて説明する。図中、符号1で指示するものは樹脂製板であり、この樹脂製板1は、熱可塑性プラスチック材料を押出成形してなる長手板体である。
【0021】
本実施形態では、樹脂製板1の断面に複数の補強リブ12・12…を形成することができ、部材を中空成形にして軽量化することができる。この際、特に、樹脂製板1の補強リブ12を、凸起11aの端部の内側の位置に亙り形成することができ、凸起11aにかかる負荷を軽減することができる。また、補強リブ12の基端部を厚肉にして剛性を向上させることもできる。
【0022】
また、本実施形態では、樹脂製板1を、互いに異なる熱可塑性プラスチック材料を内外二層に押出成形して形成することができる。具体的には、常法の二色押出成形機により、内側の躯体となる熱可塑性プラスチック材料を(シャルピー耐衝撃強さが20kJ/m以上である)ポリカーボネート(PC)として耐衝撃性を付与するとともに、外側の表層部14の材料を硬質なアクリル樹脂(PMMA)にしてハードコートして、耐候性および塗装が付き易いように耐塗装性を付与することができる。
【0023】
また、符号2で指示するものは基部板であり、符号3で指示するものは上部板である。これらの板体は、金属(例えばアルミニウム)やプラスチックなど、所定の剛性を有する材料で長手板体状に作製されている。
【0024】
更にまた、符号4で指示するものは結合棒材であり、この結合棒材4は、金属等の剛性棒材の両端に配設したボルトおよびナットにより螺合して緊締可能なものを採用する。
【0025】
しかして、本実施形態は、トラック等の荷台板Pの外縁に揺動自在に囲い配設される煽り板であって、構成するにあっては、まず、樹脂製板1は、熱可塑性プラスチック材料を押出成形して長手板体状に形成するとともに、下端および上端にそれぞれ連結部11(11L・11U)を形成する。
【0026】
本実施形態では、樹脂製板1の連結部11の各端部には、外壁に沿って端縁が延成された(左右一対の)凸起11aと、外壁の表面が内側に凹んでなる段部11bとをそれぞれ形成する(図1参照)。
【0027】
そして、前記凸起11aの内側面を段部11bの外側に被覆して、かつ、これら両部材の接触面を接着固定する(図2参照)。本実施形態では、接着剤を用いて接着硬化することができる。
【0028】
こうすることによって、当該樹脂製板1の下端における連結部11Lには、前記荷台板Pにヒンジ結合可能な基部板2を連結することができる一方、同樹脂製板1の上端における連結部11Uには、上部板3を連結することができる。
【0029】
そして、これらの板部材同士を上下に連結して、かつ、軸方向に亙り結合棒材4を貫通して、これらを挟着する。本実施形態では、この結合棒材4を(補強リブ12に形成した)貫通孔13に挿通するとともに、両端部に形成されたボルト頭およびナットの螺合により緊締することができる。
【0030】
このようにして、樹脂製板1および基部板2および上部板3を連結して、一体の板状に構成することができる。そして、図3に示すように、基端部をヒンジ蝶番5を介して荷台板Pに揺動自在に取り付けることができる。
【0031】
なお、本実施形態では、樹脂製板1の熱可塑性プラスチック材料を透明または半透明にすることができ、採光したり、荷台に積載した物を外から透視できるようにすることができる。
【0032】
本発明は、概ね上記のように構成されるが、図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、樹脂製板1の使用材料は、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの熱可塑性樹脂を採用することもできる。
【0033】
また、樹脂製板1の上下に連結する基部板2または上部板3は、1枚に限らず、大きさや形状に応じて適宜増加することもでき、これら何れのものも本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0034】
1 樹脂製板
11 連結部
11L (下端の)連結部
11U (上端の)連結部
11a 凸起
11b 段部
12 補強リブ
13 貫通孔
14 表層部
2 基部板
3 上部板
4 結合棒材
5 ヒンジ蝶番
P 荷台板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラック等の荷台板(P)の外縁に揺動自在に囲い配設される煽り板であって、
樹脂製板(1)は、熱可塑性プラスチック材料を押出成形してなる長手板体の下端および上端にそれぞれ連結部(11(11L・11U))が形成されており、
当該樹脂製板(1)の下端における連結部(11L)には、前記荷台板(P)にヒンジ結合可能な基部板(2)が連結可能である一方、同樹脂製板(1)の上端における連結部(11U)には、上部板(3)が連結可能に構成されており、
これらの板部材同士は上下に連結されて、かつ、軸方向に亙り結合棒材(4)が貫通して挟着されることによって一体の板状に構成されていることを特徴とする組立式軽量煽り板。
【請求項2】
樹脂製板(1)の連結部(11)の各端部には、外壁に沿って端縁が延成された凸起(11a)と、外壁の表面が内側に凹んでなる段部(11b)とがそれぞれ形成されており、前記凸起(11a)の内側面が段部(11b)の外側に被覆されて、かつ、これら両部材の接触面が接着固定されていることを特徴とする請求項1記載の組立式軽量煽り板。
【請求項3】
樹脂製板(1)の断面に複数の補強リブ(12・12…)が形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の組立式軽量煽り板。
【請求項4】
樹脂製板(1)の補強リブ(12)が、凸起(11a)の端部の内側の位置に亙り形成されていることを特徴とする請求項3記載の組立式軽量煽り板。
【請求項5】
樹脂製板(1)は、互いに異なる熱可塑性プラスチック材料が内外二層に押出成形されて形成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載の組立式軽量煽り板。
【請求項6】
樹脂製板(1)の熱可塑性プラスチック材料が、内層がポリカーボネート樹脂であり、外層がアクリル樹脂であることを特徴とする請求項5記載の組立式軽量煽り板。
【請求項7】
樹脂製板(1)の熱可塑性プラスチック材料が透明または半透明であることを特徴とする請求項1〜6の何れか一つに記載の組立式軽量煽り板。
【請求項8】
熱可塑性プラスチック材料を押出成形してなる長手板体であって、下端および上端にそれぞれ連結部(11(11L・11U))が形成されており、
下端における連結部(11L)には、前記荷台板(P)にヒンジ結合可能な基部板(2)が連結可能である一方、上端における連結部(11U)には、上部板(3)が連結可能であることを特徴とする組立式軽量煽り板に用いる樹脂製板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−131461(P2012−131461A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287547(P2010−287547)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000010065)フクビ化学工業株式会社 (150)