説明

組織を切除するための方法およびシステム

【課題】患者の細動を治療するための組織切除システムを提供すること。
【解決手段】患者の細動を治療するための組織切除システムは、操縦可能な介入カテーテルを含み、操縦可能な介入カテーテルは、組織を切除し、それにより異常の電気的経路に対して伝導ブロックを生成するために、エネルギーのビームを放出するエネルギー供給源を有する。システムはまた、介入カテーテルの近位端部付近に配置されているハンドルを含み、介入カテーテルを操縦するための作動機構を有する。コンソールは、システムが制御されることを可能にし、かつシステムに電力を提供し、表示ポッドは、コンソールと電気的に結合されている。表示ポッドは、ユーザーにシステム情報を表示し、かつユーザーがシステムを制御することを可能にするための表示パネルを有する。カテーテルポッドは、電気的、機械的にハンドルと解放可能に結合され、また表示ポッドと電気的に結合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2009年10月26日に出願した米国仮特許出願第61/254,997号(代理人番号027680−001900US)の本出願であり、その優先権を主張する。上記出願の全容は、参照することによって本明細書において援用される。
【0002】
本出願は、米国特許出願第11/747,862号、第11/747,867号、第12/480,929号、第12/480,256号、第12/483,174号、第12/482,640号、第12/505,326号、第12/505,335号、第12/620,287号、第12/695,857号、第12/609,759号、第12/609,274号、および第12/609,705号に関連する。上記出願の全容は、参照することによって本明細書において援用される。
【0003】
(本発明の背景)
(1.本発明の分野)
本出願は、概して、人の組織に切除ゾーンを生成するためのシステムおよび方法に関する。より具体的には、本出願は、超音波エネルギーを使用することによる心臓の心房細動の治療に関する。本出願が、心房細動の治療を強調するが、当業者は、これに限定することが意図されず、本明細書に開示されるシステムおよび方法も、他の不整脈、例えば、心室細動を治療するために使用され得ることを認識する。
【背景技術】
【0004】
心房細動の状態は、心臓筋肉の通常の同期運動(「通常の洞調律」)を有する同調から外れる左心房の不規則の(通常に、非常に速い)拍動によって特徴付けられる。通常の洞調律において、電気的インパルスは、右心房にある洞房結節(「SA結節」)に生じる。心房筋肉の不規則の鼓動が、「細動」として既知であり、SA結節以外のポイント、例えば、肺静脈(PV)に代替的に生じる電気インパルスによって引き起こされる。
【0005】
この状態に対して、変動する成功の程度を有する薬理学の治療がある。加えて、PVから左心房(「LA」)までの異常の電気的経路を取り除くことを狙う外科手術の介入、例えば、「Cox−Maze III手順」がある。この手順は、99%有効的であることを示しているが、特殊な外科手術の技能を要求し、かつ時間がかかる。従って、より侵襲性の低い経皮のカテーテルベースのアプローチを用いて、Cox−Maze手順を複製しようとするかなりの努力がある。より侵襲性の低い治療が、開発されており、PVにおける、不規則の信号が生じる異常の焦点ポイントの周囲の組織を切除する(または殺す)ために、いくつかの形のエネルギーの使用を必要とする。最も普通の方法論は、筋肉組織を加熱させ、それによって、それを切除するために、無線周波数(「RF」)電気エネルギーの使用である。次に、異常の電気インパルスがPVから房まで伝わることを防止され(「伝導ブロック」を達成させ)、結果として心房筋肉の細動を回避する。他のエネルギー供給源、例えば、マイクロ波、レーザー、および超音波は、伝導ブロックを達成するために利用されている。加えて、冷凍切除、エタノールの投与等のような技術も使用されている。これらの方法およびデバイスのいくつかが以下に説明される。
【0006】
無線周波数(RF)エネルギーを用いるAFの治療のためのカテーテルベースのシステムを開発しようとするかなりの努力がある。1つのこのような方法は、カテーテル先端部において、遠位電極と近位電極とを有するカテーテルを含む。カテーテルは、コイルの形状で曲げられ、肺静脈の内側に位置決めされ得る。PVの内壁の組織は、異常の心臓活動の供給源を殺そうとする目的で切除される。
【0007】
切除において使用される別の供給源が、マイクロ波エネルギーである。1つのこのような内部動作デバイスは、心房組織を切除することができる展性アンテナを有するプローブからなる。
【0008】
なお、別のカテーテルベースの方法は、低温技術を利用し、房の組織が、−60℃の温度未満に冷凍される。これは、PVの付近の組織を殺し、それによって、AFを引き起こす異常の信号の経路を除去することをもたらす。低温ベースの技術はまた、前述のMaze手順の一部分である。つい最近、Cox博士および彼のグループは、Cox−Maze
III手順の要点を複製するように低温プローブ(低温Maze)を使用している。
【0009】
AFの治療のためのより最近のアプローチは、超音波エネルギーの使用を含む。肺静脈の周囲の領域の標的組織は、1つ以上の超音波変換器によって放出される超音波エネルギーを用いて加熱される。1つのこのようなアプローチは、バルーンを装備されており、かつ超音波要素を含むカテーテル遠位先端部分を含む。バルーンは、カテーテルの先端部を肺静脈に確保するための固定手段として役に立つ。カテーテルのバルーン部分は、選択された肺静脈に位置決めされ、バルーンは、超音波エネルギーに対して透過性である流体を用いて膨張される。変換器は、肺静脈またはその付近の標的組織まで伝わる、標的組織を切除する超音波エネルギーを放出する。意図的な治療は、肺静脈の周りの電気伝導パスを破壊し、それによって通常の洞調律を復元させるためである。治療は、要求されるように、個々の肺静脈の周りの複数の損傷の生成を含む。
【0010】
なお、超音波を用いる別のカテーテルデバイスは、標的組織の3次元画像を生成する目的のために、グリッドパターンの超音波要素のアレイを有する先端部を有するカテーテルを含む。切除超音波変換器が、提供され、画像グリッドを囲むリングの形である。切除変換器は、10MHzでの周波数の超音波エネルギーのリングを放出する。
【0011】
上記全部のアプローチにおいて、発明は、肺静脈内側の組織、または孔を見つけるのにおいて組織の切除を含む。これは、標的部位に対して、複雑的に治療デバイスを位置決めし、かつガイドすることを要求し得る。切除は、デバイスと組織との間の接触の手段によって達成される。それゆえに、このような正確な位置決めおよび組織接触を要求せず、1つの治療において、肺静脈に隣接し、または複数の肺静脈の周りの房内にブロックを生成し得る切除システムを提供することが有益であり得る。さらに、先端部の3次元の動きは、それが室、例えば、心房の壁において所望の形状の組織の連続した損傷を生成し得るように制御される切除のデバイスおよび方法を提供することが望ましい。さらに、超音波ビームの動きは、ビームが、切除プロセスの効率を最大化にするために、標的組織に対して、実質的に直角で存在するように制御される。また、使用しやすく、製造しやすく、現在の市販システムより低コストである切除システムを提供することが望ましい。
【0012】
(2.背景技術の説明)
心房細動の治療に関連する特許は、以下:特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13、特許文献14、特許文献15、特許文献16、特許文献17、特許文献18、特許文献19、特許文献20、特許文献21、特許文献22、特許文献23、特許文献24、特許文献25、特許文献26、特許文献27、特許文献28、特許文献29、特許文献30、特許文献31、特許文献32、特許文献33、特許文献34、特許文献35、および特許文献36を含み、ただし、それらに限定されない。
【0013】
心房細動の治療に関連する特許出願は、特許文献37および特許文献38を含み、ただし、それらに限定されない。
【0014】
心房細動の治療に関連する科学技術の公開は、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5、非特許文献6、非特許文献7、非特許文献8、非特許文献9、非特許文献10、非特許文献11、非特許文献12、および非特許文献13を含み、ただし、それらに限定されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第6,997,925号明細書
【特許文献2】米国特許第6,996,908号明細書
【特許文献3】米国特許第6,966,908号明細書
【特許文献4】米国特許第6,964,660号明細書
【特許文献5】米国特許第6,955,173号明細書
【特許文献6】米国特許第6,954,977号明細書
【特許文献7】米国特許第6,953,460号明細書
【特許文献8】米国特許第6,949,097号明細書
【特許文献9】米国特許第6,929,639号明細書
【特許文献10】米国特許第6,872,205号明細書
【特許文献11】米国特許第6,814,733号明細書
【特許文献12】米国特許第6,780,183号明細書
【特許文献13】米国特許第6,666,858号明細書
【特許文献14】米国特許第6,652,515号明細書
【特許文献15】米国特許第6,635,054号明細書
【特許文献16】米国特許第6,605,084号明細書
【特許文献17】米国特許第6,547,788号明細書
【特許文献18】米国特許第6,514,249号明細書
【特許文献19】米国特許第6,502,576号明細書
【特許文献20】米国特許第6,416,511号明細書
【特許文献21】米国特許第6,383,151号明細書
【特許文献22】米国特許第6,305,378号明細書
【特許文献23】米国特許第6,254,599号明細書
【特許文献24】米国特許第6,245,064号明細書
【特許文献25】米国特許第6,164,283号明細書
【特許文献26】米国特許第6,161,543号明細書
【特許文献27】米国特許第6,117,101号明細書
【特許文献28】米国特許第6,064,902号明細書
【特許文献29】米国特許第6,052,576号明細書
【特許文献30】米国特許第6,024,740号明細書
【特許文献31】米国特許第6,012,457号明細書
【特許文献32】米国特許第5,405,346号明細書
【特許文献33】米国特許第5,314,466号明細書
【特許文献34】米国特許第5,295,484号明細書
【特許文献35】米国特許第5,246,438号明細書
【特許文献36】米国特許第4,641,649号明細書
【特許文献37】国際公開第99/02096号
【特許文献38】米国特許出願公開第2005/0267453号
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Haissaguerre,M.ら,Spontaneous Initiation of Atrial Fibrillation by Ectopic Beats Originating in the Pulmonary Veins,New England J Med.,Vol.339:659−666
【非特許文献2】J.L.Coxら,The Development of the Maze Procedure for the Treatment of Atrial Fibrillation,Seminars in Thoracic & Cardiovascular Surgery,2000;12:2−14
【非特許文献3】J.L.Coxら,Electrophysiologic Basis,Surgical Development,and Clinical Results of the Maze Procedure or Atrial Flutter and Atrial Fibrillation,Advances in Cardiac Surgery,1995;6:1−67
【非特許文献4】J.L.Coxら,Modification of the Maze Procedure for Atrial Flutter and Atrial Fibrillation.II,Surgical Technique of the Maze III Procedure,Journal of Thoracic & Cardiovascular Surgery,1995;110:485−95
【非特許文献5】J.L.Cox,N.Ad,T.Palazzoら,Current Status of the Maze Procedure for the Treatment of Atrial Fibrillation,Seminars in Thoracic & Cardiovascular Surgery,2000;12:15−19
【非特許文献6】M.Levinson,Endocardial Microwave Ablation:A New Surgical Approach for Atrial Fibrillation;The Heart Surgery Forum,2006
【非特許文献7】Maessenら,Beating Heart Surgical Treatment of Atrial Fibrillation with Microwave Ablation,Ann Thorac Surg 74:1160−8,2002
【非特許文献8】A.M.Gillinov,E.H.Blackstone and P.M.McCarthy,Atrial Fibrillation:Current Surgical Options and their Assessment,Annals of Thoracic Surgery 2002;74:2210−7
【非特許文献9】Sueda T.,Nagata H.,Orihashi K.ら,Efficacy of a Simple Left Atrial Procedure for Chronic Atrial Fibrillation in Mitral Valve Operations,Ann Thorac Surg 1997;63:1070−1075
【非特許文献10】Sueda T.,Nagata H.,Shikata H.ら,Simple Left Atrial Procedure for Chronic Atrial Fibrillation Associated with Mitral Valve Disease,Ann Thorac Surg 1996;62:1796−1800
【非特許文献11】Nathan H.,Eliakim M.,The Junction Between the Left Atrium and the Pulmonary Veins, An Anatomic Study of Human Hearts,Circulation 1966;34:412−422
【非特許文献12】Cox J.L.,Schuessler R.B.,Boineau J.P.,The Development of the Maze Procedure for the Treatment of Atrial Fibrillation,Semin Thorac Cardiovasc Surg 2000;12:2−14
【非特許文献13】Gentryら,Integrated Catheter for 3−D Intracardiac Echocardiography and Ultrasound Ablation,IEEE Transactions on Ultrasonics,Ferroelectrics,and Frequency Control,Vol.51,No.7,pp 799−807
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
(本発明の簡単な要約)
本出願は、概して、人の組織に切除ゾーンを生成するためのシステムおよび方法に関する。より具体的には、本出願は、超音波エネルギーを使用することによる心臓の心房細動の治療に関する。
【0018】
本発明の第1の局面において、患者の細動を治療するための組織切除システムは、操縦可能な介入カテーテルを含み、操縦可能な介入カテーテルは、組織を切除し、かつ組織に伝導ブロックを生成するエネルギーのビームを放出するエネルギー供給源を有する。伝導ブロックは、細動を減少させ、または除去するように組織における異常の電気的経路をブロックする。ハンドルは、介入カテーテルの近位端部の付近に配置されており、ハンドルは、介入カテーテルを操縦するための作動機構を有する。コンソールは、システムを制御するために使用され、かつシステムに電力を提供する。表示ポッドは、コンソールと電気的に結合されており、臨床医または他のオペレータにシステム情報を表示し、かつオペレータがシステムを制御することを可能にするための表示パネルを有する。カテーテルポッドは、電気的、かつ機械的にハンドルと解放可能に結合されており、また表示ポッドと電気的に結合されている。
【0019】
システムはまた、ベッドサイドモニター、またはベッドサイドモニターへの接続を含み得る。エネルギーのビームに含まれる電力は、2〜10ワットの範囲内にあり得る。介入カテーテルの遠位部分は、複数の弾性成形ワイヤを含み得る。成形ワイヤは、遠位部分が制約されないときに、介入カテーテルに沿ってシェパードフックを形成させ得る。遠位部分は、制約されたときに実質的に直線であり得る。システムは、カテーテルの遠位部分と結合されている複数の作動可能なワイヤを有し得る。ワイヤの作動は、実質的に直線の構成から、カテーテルに沿うシェパードフックを有する構成にカテーテルをそらし得る。システムは、ハンドルの近位端部とカテーテルポッドとの間に配置されている使い捨て、滅菌のアダプタをさらに含み得る。アダプタは、ハンドルとカテーテルポッドと電気的、かつ機械的に結合され得る。アダプタは、カテーテルポッドの滅菌を維持すると同時に、ハンドルがカテーテルポッドに接続され、カテーテルポッドから切断されることを可能にし得る。
【0020】
本発明のもう1つの局面において、患者の細動を治療するための組織切除システムは、近位端部と遠位端部とを有する操縦可能な細長い可撓性シャフトと、細長い可撓性シャフトの遠位端部の付近に、細長い可撓性シャフトに結合されているハウジングとを含む。エネルギー供給源は、ハウジングに隣接して配置されており、エネルギー供給源は、組織を切除し、かつ組織に伝導ブロックを生成するために、エネルギーのビームを放出するように適合されている。伝導ブロックは、細動を減少させ、または除去するように組織における異常の電気的経路をブロックする。システムは、ハウジングを通して流れ、かつエネルギー供給源と流体連絡している流体をさらに含み得る。ハウジングは、ハウジングの遠位端部に閉じる場合もあり、またはハウジングは、流体がハウジングから出て行くことを可能にするために、ハウジングの遠位端部の付近に1つ以上の開口を含み得る。開口は、ハウジングの外への流体の流れを可能にし得、しかしながら、ハウジングの外側の流体は、開口を通ってハウジング内に進入することが抑制され得る。ハウジングはまた、キャストレイテッド遠位領域を含み得、ハウジングは、実質的に円筒形であり得る。少なくともハウジングの一部分は、エネルギーのビームに対して透過性であり得る。ハウジングは、弾性であり得、かつ組織に対して押されるときにそらす。1つ以上の電極またウイスカは、組織と接触するために、ハウジングに配置され得る。ハウジングはまた、エネルギー供給源を通り過ぎるように流体の流れを指向するための流れデフレクターを含み得る。エネルギーのビームに含まれる電力は、2〜10ワットの範囲内にあり得る。また、細長い可撓性シャフトの遠位部分は、複数の弾性成形ワイヤを含み得、成形ワイヤは、遠位部分が制約されないときに、シャフトに沿ってシェパードフックを形成させる。遠位部分は、制約されたときに実質的に直線であり得る。システムは、シャフトの遠位部分と結合されている複数の作動可能なワイヤを有し得る。ワイヤの作動は、実質的に直線の構成から、シャフトに沿うシェパードフックを有する構成にシャフトをそらし得る。
【0021】
なお、本発明のもう1つの局面において、患者の細動を治療するための組織切除カテーテルは、操縦可能なシャフトと、細長い可撓性シャフトとを含み、操縦可能なシャフトは、操縦可能なシャフトの近位端部と遠位端部との間に延在する中央管腔を有し、長細い可撓性シャフトは、管腔内に滑動可能に配置されている。シャフトは、近位端部と遠位端部とを有する。ハウジングは、細長い可撓性シャフトの遠位端部の付近に、細長い可撓性シャフトに結合されており、エネルギー供給源が、ハウジングに隣接して配置されている。エネルギー供給源は、組織を切除し、かつ組織に伝導ブロックを生成するために、エネルギーのビームを放出するように適合されている。伝導ブロックは、細動を減少させ、または除去するように組織における異常の電気的経路をブロックする。シャフトを操縦することは、エネルギービームを組織の異なる領域に指向させる。
【0022】
中央管腔が、ばねと並べられ得、複数の引張りワイヤは、操縦可能なシャフトの近位端部と遠位端部との間に延在する引張りワイヤの管腔内に滑動可能に配置され得る。引張りワイヤの管腔が、ばねと並べられ得る。任意のばねが、ソフトマトリックスの可撓性材料に包まれ得る。引張りワイヤの管腔が、中央管腔の周りに円周的に配置され得る。エネルギーのビームに含まれる電力は、2〜10ワットの範囲内にあり得る。さらに、操縦可能なシャフトの遠位部分は、複数の弾性成形ワイヤを含み得、成形ワイヤは、遠位部分が制約されないときに、シャフトに沿ってシェパードフックを形成させる。遠位部分は、制約されたときに実質的に直線であり得る。複数の作動可能なワイヤが、シャフトの遠位部分と結合され得る。ワイヤの作動は、実質的に直線の構成から、シャフトに沿うシェパードフックを有する構成にシャフトをそらし得る。
【0023】
なお本発明のもう1つの局面において、患者の心房細動を治療するための組織切除カテーテルは、近位端部と遠位端部とを有する操縦可能な細長い可撓性シャフトと、細長い可撓性シャフトの遠位端部の付近に、細長い可撓性シャフトに結合されているハウジングとを含む。拡張できない反射器要素が、ハウジング内に配置されており、エネルギー供給源が、ハウジングに隣接して配置されている。反射器要素は、平らの表面または湾曲した表面を有する、剛性かつ固定の大きさを有する要素であり得る。エネルギー供給源は、エネルギーを放出するように適合されており、エネルギーは、反射器から反射され、組織に指向されるエネルギーのビームを形成させる。エネルギービームは、組織を切除し、かつ組織に伝導ブロックを生成する。伝導ブロックは、細動を減少させ、または除去するように組織における異常の電気的経路をブロックする。エネルギーのビームに含まれる電力は、2〜10ワットの範囲内にあり得る。さらに、操縦可能なシャフトの遠位部分は、複数の弾性成形ワイヤを含み得、成形ワイヤは、遠位部分が制約されないときに、シャフトに沿ってシェパードフックを形成させる。遠位部分は、制約されたときに実質的に直線であり得る。複数の作動可能なワイヤが、シャフトの遠位部分と結合され得る。ワイヤの作動は、実質的に直線の構成から、シャフトに沿うシェパードフックを有する構成にシャフトをそらし得る。
【0024】
本発明のもう1つの局面において、患者の組織を切除するためのシステムは、操縦可能な細長い可撓性シャフトを含み、操縦可能な細長い可撓性シャフトは、近位端部と、遠位端部と、直径とを有する。ハウジングは、細長い可撓性シャフトの遠位端部の付近に、細長い可撓性シャフトに結合されている。ハウジングは、長さと、細長い可撓性シャフトの直径より大きい直径とを有する。エネルギー供給源は、ハウジングに隣接して配置されており、エネルギーのビームを放出するように適合されている。エネルギービームは、組織を切除し、かつ組織に伝導ブロックを生成する。伝導ブロックは、細動を減少させ、または除去するように組織における異常の電気的経路をブロックする。システムはまた、近位端部と遠位端部とを有するシースを含む。操縦可能な細長い可撓性シャフトが、シース内に滑動可能に配置されている。シースの湾曲した遠位領域は、シースの遠位領域が曲線にそらされる場合に、ハウジングを通るハウジングの通路を収容するように構成されている。遠位領域は、ハウジングの長さおよび直径を収容する、拡大された領域またはシースの外側にカットされた開口を含み得る。
【0025】
本発明のもう1つの局面において、細動のための治療として患者の組織を切除するための方法は、心房隔壁にわたって中隔横断シースを位置決めすることを含む。中隔横断シースは、中隔横断シースを通して延在する管腔を有する。中隔横断シースの管腔を通して介入カテーテルを前進させることは、少なくとも介入カテーテルの一部分を患者の左心房内に配置させる。介入カテーテルは、介入カテーテルの遠位端部の付近にエネルギー供給源を含む。切除されるべきである標的治療領域が見つけられ、介入カテーテルが、左心房内に操縦され、その結果、エネルギー供給源が、標的治療領域に隣接するように動かされ、またエネルギー供給源から放出されたエネルギーが、標的治療領域に向かって指向される。標的領域の組織が、放出されたエネルギーを用いて切除され、それによって、組織内に、細動を減少させ、または除去するように組織における異常の電気的経路をブロックする伝導ブロックを生成する。次に、房の残りから標的領域の隔離が確認される。
【0026】
切除するステップは、2〜10ワットの範囲内にある電力を有する、エネルギー供給源からの超音波のエネルギーのビームを用いて組織を切除することを含み得る。切除するステップは、組織内のスポット、線、組織内の閉じたループ、または左心房内に1つ以上の肺静脈を囲むパスを切除することを含み得る。切除するステップはまた、少なくとも1つの左肺静脈と少なくとも1つの右肺静脈とを囲むパスを切除することを含み得る。
【0027】
操縦するステップは、少なくとも2つの軸に沿って介入カテーテルの遠位部分を曲げるように、介入カテーテル内に配置されている複数の引張りワイヤを作動させることを含み得る。操縦することはまた、介入カテーテルの遠位部分を制約しないことを含み得、その結果、介入カテーテルの成形ワイヤが、カテーテルにシェパードフックの形状を弾性的に呈させる。操縦するステップは、介入カテーテルの遠位部分と結合されている複数の作動可能なワイヤを作動させ、それによって、実質的に直線の構成から、カテーテルに沿うシェパードフックを有する構成にカテーテルをそらすことを含み得る。見つけるステップは、ラスターパターンで介入カテーテルを作動させることを含み得、見つけるステップはまた、肺静脈を見つけることを含み得る。
【0028】
なお、本発明のもう1つの局面において、細動のための治療として患者の組織を切除するための方法は、心房隔壁にわたって中隔横断シースを位置決めすることであって、中隔横断シースは、中隔横断シースを通して延在する管腔を有する、ことと、少なくとも介入カテーテルの一部分が、左心房内に配置されるように、中隔横断シースの管腔を通して介入カテーテルを前進させることとを含む。左肺静脈の孔が次に見つけられ、少なくとも左肺静脈の1つの孔を囲む第1の接触損傷パスが規定される。第1の規定された損傷パスに沿って組織が切除され、次に、介入カテーテルが、右肺静脈に隣接して位置決めされ、その結果、右肺静脈の孔が見つけられ得る。少なくとも右肺静脈の1つの孔を囲む第2の連続した損傷パスが規定され、第2の規定された損傷パスに沿って組織が切除される。第1の損傷パスおよび第2の損傷パスの両方と連続的である第1の実質的に直線状のパスが生成されるように、第1の損傷パスと第2の損傷パスとの間の組織が切除される。また、第1の実質的に直線状のパスと連続的であり、かつ僧帽弁に向かって延在する第2の実質的に直線状のパスが切除される。左肺静脈と右肺静脈の隔離が確認される。切除パスは、組織内に、細動を減少させ、または除去するように組織における異常の電気的経路をブロックする伝導ブロックを生成する。
【0029】
右肺静脈または左肺静脈の孔を見つけるステップは、ラスターパターンで介入カテーテルを作動させることを含み得る。第1または第2の規定された損傷パスに沿って組織を切除することは、2〜10ワットまでの範囲内にある超音波エネルギーのビームを用いて組織を切除することを含み得る。介入カテーテルは、閉じたループ内に遠位端部を動かすように作動され得る。第1の規定された損傷パスまたは第2の規定された損傷パスが変更され得る。右肺静脈に隣接して介入カテーテルを位置決めすることは、介入カテーテルの遠位端部を制約しないことを含み得、その結果、介入カテーテルの成形ワイヤが、カテーテルにシェパードフックの形状を弾性的に呈させる。右肺静脈に隣接して介入カテーテルを位置決めすることは、介入カテーテルの遠位部分と結合されている複数の作動可能なワイヤを作動させ、それによって、実質的に直線の構成から、カテーテルに沿うシェパードフックを有する構成にカテーテルをそらすことを含み得る。
【0030】
これらの実施形態および他の実施形態は、添付した図面に関連する以下の説明においてより詳細に説明される。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
患者の細動を治療するための組織切除システムであって、該システムは、
操縦可能な介入カテーテルと、
ハンドルと、
コンソールと、
表示ポッドと、
カテーテルポッドと
を含み、
該操縦可能な介入カテーテルは、組織を切除し、かつ該組織に伝導ブロックを生成するために、エネルギーのビームを放出するエネルギー供給源を有し、該伝導ブロックは、該細動を減少させ、または除去するように該組織における異常の電気的経路をブロックし、
該ハンドルは、該介入カテーテルの近位端部の付近に配置されており、該ハンドルは、該介入カテーテルを操縦するための作動機構を有し、
該コンソールは、該システムを制御し、かつ該システムに電力を提供し、
該表示ポッドは、該コンソールと電気的に結合されており、臨床医または他のオペレータにシステム情報を表示し、かつ該臨床医または他のオペレータが該システムを制御することを可能にするための表示パネルを有し、
該カテーテルポッドは、電気的、かつ機械的に該ハンドルと解放可能に結合されており、並びに該表示ポッドと電気的に結合されている、システム。
(項目2)
ベッドサイドモニターまたは該ベッドサイドモニターへの接続をさらに含む、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記エネルギーのビームに含まれる電力は、2〜10ワットの範囲内にある、項目1に記載のシステム。
(項目4)
前記介入カテーテルの遠位部分は、複数の弾性成形ワイヤを含み、該成形ワイヤは、該遠位部分が制約されないときに、該介入カテーテルに沿ってシェパードフックを形成させ、該遠位部分は、制約されたときに実質的に直線である、項目1に記載のシステム。
(項目5)
前記介入カテーテルの遠位部分と結合されている複数の作動可能なワイヤをさらに含み、該作動可能なワイヤの作動は、実質的に直線の構成から、該介入カテーテルに沿うシェパードフックを有する構成に該介入カテーテルをそらす、項目1に記載のシステム。
(項目6)
前記ハンドルの近位端部と前記カテーテルポッドとの間に配置されている使い捨て、滅菌のアダプタをさらに含み、該アダプタは、該ハンドルの該近位端部と該カテーテルポッドと電気的、かつ機械的に結合されており、該アダプタは、該カテーテルポッドの滅菌を維持すると同時に、該ハンドルが該カテーテルポッドに接続され、該カテーテルポッドから切断されることを可能にする、項目1に記載のシステム。
(項目7)
患者の細動を治療するための組織切除システムであって、カテーテルは、
近位端部と遠位端部とを有する操縦可能な細長い可撓性シャフトと、
該細長い可撓性シャフトの該遠位端部の付近に、該細長い可撓性シャフトに結合されているハウジングと、
該ハウジングに隣接して配置されているエネルギー供給源と
を含み、
該エネルギー供給源は、組織を切除し、かつ該組織に伝導ブロックを生成するために、エネルギーのビームを放出するように適合されており、該伝導ブロックは、該細動を減少させ、または除去するように該組織における異常の電気的経路をブロックする、システム。
(項目8)
前記ハウジングは、該ハウジングの遠位端部に閉じている、項目7に記載のシステム。
(項目9)
前記ハウジングを通して流れ、かつ前記エネルギー供給源と流体連絡している流体をさらに含む、項目7に記載のシステム。
(項目10)
前記エネルギー供給源を通過するように前記流体の流れを指向するための流れデフレクターをさらに含む、項目9に記載のシステム。
(項目11)
前記ハウジングは、前記流体が該ハウジングから出て行くことを可能にするために、該ハウジングの遠位端部の付近に1つ以上の開口を含む、項目9に記載のシステム。
(項目12)
前記開口は、前記流体が前記ハウジングの外へ流れることを可能にするが、該ハウジングの外側の流体は、該開口を通って該ハウジング内に進入することが抑制される、項目11に記載のシステム。
(項目13)
前記ハウジングは、キャストレイテッド遠位領域を含む、項目11に記載のシステム。
(項目14)
前記ハウジングは、実質的に円筒形である、項目7に記載のシステム。
(項目15)
少なくとも前記ハウジングの一部分は、前記エネルギーのビームに対して透過性である、項目7に記載のシステム。
(項目16)
前記エネルギーのビームに含まれる電力は、2〜10ワットの範囲内にある、項目15に記載のシステム。
(項目17)
前記細長い可撓性シャフトの遠位部分は、複数の弾性成形ワイヤを含み、該成形ワイヤは、該遠位部分が制約されないときに、該シャフトに沿ってシェパードフックを形成させ、該遠位部分は、制約されたときに実質的に直線である、項目7に記載のシステム。
(項目18)
前記ハウジングは、弾性であり、かつ前記組織に対して押されるときにそらされる、項目7に記載のシステム。
(項目19)
前記組織と接触するための、前記ハウジングに配置されている1つ以上の電極をさらに含む、項目7に記載のシステム。
(項目20)
前記ハウジングの遠位端部の付近に、該ハウジングと結合されている1つ以上のウイスカをさらに含む、項目7に記載のシステム。
(項目21)
患者の細動を治療するための組織切除カテーテルであって、該カテーテルは、
操縦可能なシャフトと、
細長い可撓性シャフトと、
ハウジングと、
エネルギー供給源と
を含み、
該操縦可能なシャフトは、該操縦可能なシャフトの近位端部と遠位端部との間に延在する中央管腔を有し、
該長細い可撓性シャフトは、該管腔内に滑動可能に配置されており、近位端部と遠位端部とを有し、
該ハウジングは、該細長い可撓性シャフトの該遠位端部の付近に、該細長い可撓性シャフトに結合されており、
該エネルギー供給源が、該ハウジングに隣接して配置されており、該エネルギー供給源は、組織を切除し、かつ該組織に伝導ブロックを生成するために、エネルギーのビームを放出するように適合されており、該伝導ブロックは、該細動を減少させ、または除去するように該組織における異常の電気的経路をブロックし、
該シャフトを操縦することは、該エネルギービームを該組織の異なる領域に指向させる、カテーテル。
(項目22)
前記中央管腔が、ばねと並べられている、項目21に記載のカテーテル。
(項目23)
前記ばねが、ソフトマトリックスの可撓性材料に包まれている、項目22に記載のカテーテル。
(項目24)
複数の引張りワイヤをさらに含み、該複数の引張りワイヤは、前記操縦可能なシャフトの前記近位端部と前記遠位端部との間に延在する引張りワイヤの管腔内に滑動可能に配置されている、項目21に記載のカテーテル。
(項目25)
前記引張りワイヤの管腔が、ばねと並べられている、項目24に記載のカテーテル。
(項目26)
前記引張りワイヤの管腔と並ぶ前記ばねが、ソフトマトリックスの可撓性材料に包まれている、項目25に記載のカテーテル。
(項目27)
前記引張りワイヤの管腔が、前記中央管腔の周りに円周的に配置されている、項目24に記載のカテーテル。
(項目28)
前記エネルギーのビームに含まれる電力は、2〜10ワットの範囲内にある、項目21に記載のカテーテル。
(項目29)
前記操縦可能なシャフトの遠位部分は、複数の弾性成形ワイヤを含み、該成形ワイヤは、該遠位部分が制約されないときに、該シャフトに沿ってシェパードフックを形成させ、該遠位部分は、制約されたときに実質的に直線である、項目21に記載のカテーテル。
(項目30)
前記シャフトの遠位部分と結合されている複数の作動可能なワイヤをさらに含み、該作動可能なワイヤの作動は、実質的に直線の構成から、該シャフトに沿うシェパードフックを有する構成に該シャフトをそらす、項目21に記載のシステム。
(項目31)
患者の細動を治療するための組織切除カテーテルであって、カテーテルは、
近位端部と遠位端部とを有する操縦可能な細長い可撓性シャフトと、
該細長い可撓性シャフトの該遠位端部の付近に、該細長い可撓性シャフトに結合されているハウジングと、
該ハウジング内に配置されている拡張できない反射器要素と、
該ハウジングに隣接して配置されているエネルギー供給源と
を含み、
該エネルギー供給源は、エネルギーを放出するように適合されており、該エネルギーは、該反射器要素から反射され、組織に指向されるエネルギーのビームを形成させ、該エネルギービームは、該組織を切除し、かつ該組織に伝導ブロックを生成し、該伝導ブロックは、該細動を減少させ、または除去するように該組織における異常の電気的経路をブロックする、カテーテル。
(項目32)
前記エネルギーのビームに含まれる電力は、2〜10ワットの範囲内にある、項目31に記載のカテーテル。
(項目33)
前記操縦可能なシャフトの遠位部分は、複数の弾性成形ワイヤを含み、該成形ワイヤは、該遠位部分が制約されないときに、該シャフトに沿ってシェパードフックを形成させ、該遠位部分は、制約されたときに実質的に直線である、項目31に記載のカテーテル。
(項目34)
患者の組織を切除するためのシステムであって、該システムは、
操縦可能な細長い可撓性シャフトと、
ハウジングと、
エネルギー供給源と、
シースと
を含み、
該操縦可能な細長い可撓性シャフトは、近位端部と、遠位端部と、直径とを有し、
該ハウジングは、該細長い可撓性シャフトの該遠位端部の付近に、該細長い可撓性シャフトに結合されており、該ハウジングは、長さと、該細長い可撓性シャフトの該直径より大きい直径とを有し、
該エネルギー供給源は、該ハウジングに隣接して配置されており、該エネルギー供給源は、エネルギーのビームを放出するように適合されており、該エネルギービームは、該組織を切除し、かつ該組織に伝導ブロックを生成し、該伝導ブロックは、細動を減少させ、または除去するように該組織における異常の電気的経路をブロックし、
該シースは、近位端部と遠位端部とを有し、該操縦可能な細長い可撓性シャフトが、該シース内に滑動可能に配置されており、該シースの遠位領域は、該シースの該遠位領域が曲線にそらされる場合に、該ハウジングを通る該ハウジングの通路を収容するように構成されている、システム。
(項目35)
前記遠位領域は、前記ハウジングの長さおよび直径を収容する拡大された領域を含む、項目34に記載のシステム。
(項目36)
前記遠位領域は、前記ハウジングの長さおよび直径を収容する前記シースの外側にカットされた開口を含む、項目34に記載のシステム。
(項目37)
細動のための治療として患者の組織を切除するための方法であって、該方法は、
心房隔壁にわたって中隔横断シースを位置決めすることであって、該中隔横断シースは、該中隔横断シースを通して延在する管腔を有する、ことと、
該中隔横断シースの管腔を通して介入カテーテルを前進させることであって、その結果、少なくとも該介入カテーテルの一部分が、該患者の左心房内に配置され、該介入カテーテルは、該介入カテーテルの遠位端部の付近にエネルギー供給源を含む、ことと、
切除のための標的治療領域を見つけることと、
該左心房内に該介入カテーテルを操縦することであって、その結果、該エネルギー供給源が、該標的治療領域に隣接し、かつ該エネルギー供給源から放出されたエネルギーが、該標的治療領域に向かって指向される、ことと、
該放出されたエネルギーを用いて該標的領域の組織を切除し、それによって、該組織内に、該細動を減少させ、または除去するように該組織における異常の電気的経路をブロックする伝導ブロックを生成することと、
該房の残りから該標的領域の隔離を確認することと
を含む、方法。
(項目38)
前記切除するステップは、2〜10ワットの範囲内にある電力を有する、前記エネルギー供給源からの超音波のエネルギーのビームを用いて前記組織を切除することを含む、項目37に記載の方法。
(項目39)
前記切除するステップは、前記組織内のスポットを切除することを含む、項目37に記載の方法。
(項目40)
前記切除するステップは、前記組織内の線を切除することを含む、項目37に記載の方法。
(項目41)
前記切除するステップは、前記組織内の閉じたループを切除することを含む、項目37に記載の方法。
(項目42)
前記切除するステップは、前記左心房内に1つ以上の肺静脈を囲むパスを切除することを含む、項目37に記載の方法。
(項目43)
前記切除するステップは、少なくとも1つの左肺静脈と少なくとも1つの右肺静脈とを囲むパスを切除することを含む、項目37に記載の方法。
(項目44)
前記操縦するステップは、少なくとも2つの軸に沿って前記介入カテーテルの遠位部分を曲げるように、該介入カテーテル内に配置されている複数の引張りワイヤを作動させることを含む、項目37に記載の方法。
(項目45)
前記操縦するステップは、前記介入カテーテルの遠位部分を制約しないことを含み、その結果、該介入カテーテルの成形ワイヤが、該カテーテルにシェパードフックの形状を弾性的に呈させる、項目37に記載の方法。
(項目46)
前記操縦するステップは、前記介入カテーテルの遠位部分と結合されている複数の作動可能なワイヤを作動させ、それによって、実質的に直線の構成から、該カテーテルに沿うシェパードフックを有する構成に該カテーテルをそらすことを含む、項目37に記載の方法。
(項目47)
前記見つけるステップは、ラスターパターンで前記介入カテーテルを作動させることを含む、項目37に記載の方法。
(項目48)
前記見つけるステップは、肺静脈を見つけることを含む、項目37に記載の方法。
(項目49)
細動のための治療として患者の組織を切除するための方法であって、該方法は、
心房隔壁にわたって中隔横断シースを位置決めすることであって、該中隔横断シースは、該中隔横断シースを通して延在する管腔を有する、ことと、
該中隔横断シースの管腔を通して介入カテーテルを前進させることであって、その結果、少なくとも該介入カテーテルの一部分が、該患者の左心房内に配置され、該介入カテーテルは、該介入カテーテルの遠位端部の付近にエネルギー供給源を含む、ことと、
左肺静脈の孔を見つけることと、
少なくとも該左肺静脈の1つの孔を囲む第1の連続した損傷パスを規定することと、
該第1の規定された損傷パスに沿って組織を切除することと、
右肺静脈に隣接して該介入カテーテルを位置決めすることと、
該右肺静脈の孔を見つけることと、
少なくとも該右肺静脈の1つの孔を囲む第2の連続した損傷パスを規定することと、
該第2の規定された損傷パスに沿って組織を切除することと、
該第1の実質的に直線状のパスが、該第1の損傷パスおよび該第2の損傷パスの両方と連続的であるように、該第1の損傷パスと該第2の損傷パスとの間の該第1の実質的に直線状のパスにおける組織を切除し、並びに該第1の実質的に直線状のパスと連続的であり、かつ該第1の実質的に直線状のパスから、僧帽弁に向かって延在する第2の実質的に直線状のパスを切除することと、
該左肺静脈と該右肺静脈の隔離を確認することと
を含み、
該第1の損傷パスおよび該第2の損傷パス、並びに該第1の実質的に直線状のパスおよび該第2の実質的に直線状のパスは、該組織内に、該細動を減少させ、または除去するように該組織における異常の電気的経路をブロックする伝導ブロックを生成する、方法。
(項目50)
前記右肺静脈または左肺静脈の前記孔を見つけるステップは、ラスターパターンで前記介入カテーテルを作動させることを含む、項目49に記載の方法。
(項目51)
前記第1または第2の規定された損傷パスに沿って組織を切除することは、超音波エネルギーのビームを用いて該組織を切除することを含む、項目49に記載の方法。
(項目52)
前記エネルギーのビームの電力は、2ワットから10ワットまでの範囲内にある、項目51に記載の方法。
(項目53)
前記第1または第2の規定された損傷パスに沿って組織を切除することは、閉じたループ内に遠位端部を動かすように前記介入カテーテルを作動させることを含む、項目49に記載の方法。
(項目54)
前記第1の規定された損傷パスかまたは前記第2の規定された損傷パスを変更することさらに含む、項目49に記載の方法。
(項目55)
前記右肺静脈に隣接して前記介入カテーテルを位置決めすることは、該介入カテーテルの遠位端部を制約しないことを含み、その結果、該介入カテーテルの成形ワイヤが、該カテーテルにシェパードフックの形状を弾性的に呈させる、項目49に記載の方法。
(項目56)
前記右肺静脈に隣接して前記介入カテーテルを位置決めすることは、該介入カテーテルの遠位部分と結合されている複数の作動可能なワイヤを作動させ、それによって、実質的に直線の構成から、該カテーテルに沿うシェパードフックを有する構成に該カテーテルをそらすことを含む、項目49に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、切除システムの構成要素を示す。
【図2】図2は、切除カテーテルの例示的な実施形態を示す。
【図3】図3は、カテーテルの遠位端部の詳細を示す。
【図4】図4は、カテーテルの遠位端部の詳細図を示す。
【図5−1】図5a〜図5hは、遠位ハウジングの様々な構成を示す。
【図5−2】図5a〜図5hは、遠位ハウジングの様々な構成を示す。
【図5−3】図5a〜図5hは、遠位ハウジングの様々な構成を示す。
【図6】図6は、XYチューブの詳細を示す。
【図7】図7は、反射器を有する軸方向トランスデューサを示す。
【図8】図8は、カットアウト開口部を有する中隔横断シースを示す。
【図9】図9は、中隔横断シース内のカテーテルの位置を示す。
【図10】図10は、より大きい直径の遠位端部を有する中隔横断シースを示す。
【図11】図11は、中隔横断シース内のカテーテルの位置を示す。
【図12】図12は、左肺静脈の周りにおける損傷の形成を示す。
【図13】図13は、右肺静脈の周りにおける損傷の形成を示す。
【図14】図14は、コンソール、表示ポッド、およびカテーテルポッドの概略図を示す。
【図15】図15は、コンソールの詳細を示す概略図である。
【図16】図16は、表示ポッドの詳細を示す概略図である。
【図17】図17は、カテーテルポッドの概略図を示す。
【図18】図18は、ハンドルの構成要素を示す。
【図19】図19は、左心房に設定された所望の損傷を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(発明の詳細な説明)
切除システムの例示的な実施形態が、図1に示される。システムは、5つの主要構成要素から成る。すなわちa)カテーテル、b)コンソール、c)表示ポッド、d)カテーテルポッド、およびe)ハンドルである。カテーテル10は、遠位端部12と、近位端部14とを有する。最遠位端部は、チューブ18に取り付けられたエネルギー発生要素(下記に詳細に説明される)を含むハウジング16を有する。チューブ18は、曲げられる部材20内を軸方向に移動させ、曲げられる部材20は、次いでカテーテル10の本体22に取り付けられる。曲げられるチューブ20は、複数管腔チュービングから作られ、x−y態様で軸に垂直に作動可能であり、下記に説明される曲げ角度φおよびθを形成する。部材20の詳細は、この明細書において後に説明される。カテーテルの本体22は、編組み複数管腔チューブから作られる。編組みは、カテーテル10にトルクを与え、回転させることを助ける。チューブ22の近位端部14は、ハンドル24において終結し、ハンドル24は、チューブ18の移動ならびにチューブ20の曲げを作動させる機構を含む。ハンドル24は、チューブ18を通ってハウジング16を洗浄するために用いられる流体ポート26を有する。ハンドル24はまた、遠位端部12における様々な点への補助接続を提供する電気コネクタ28を有する。ハンドル24は、カテーテルポッド30に分離可能に接続して、機械的および電気的接続を行う。オプションで、単一使用の滅菌アダプタ29は、ハンドル24の近位端部とカテーテルポッド30との間に配置され、ハンドル24の近位端部とカテーテルポッド30とに動作可能に結合される。このアダプタ29は、好ましくは滅菌して提供されるか、または使用の直前に滅菌され得、滅菌カテーテルハンドル24と非滅菌カテーテルポッド30との間に便利なインターフェイスを提供する。アダプタ29は、ハンドルの無菌状態を損なうことなく臨床医によってカテーテルポッド30にハンドル24が動作可能に結合されることを可能にする。アダプタ29は、電気的および機械的接続が2つの構成要素間で容易になされることを可能にする。単一使用の例示的な実施形態において、滅菌アダプタ29は、近位端部および遠位端部の両方において機械的接続および電気的接続を有する滅菌の管状シャフトを含み、その機械的および電気的接続は、ハンドル24およびカテーテルポッド30における対応する機械的および電気的接続と嵌合する。好ましい実施形態において、アダプタ29は、アダプタ29が一方向においてハンドル24およびカテーテルポッド30に接続され得るだけであるように調節される。オプションで、アダプタ29はまた、再滅菌および再使用され得る。このカテーテルポッド30は、電子部品、モータ、およびアクチュエータを含み、それらは、数ある機能の中でも、カテーテル10の遠位端部における部材18および20の移動および制御を助ける。カテーテルポッド30は、電気ケーブル34によって表示ポッド32に接続される。表示ポッド32は、カテーテル10の様々な機能のために電力および論理信号をカテーテルポッド30に提供する。表示ポッド32は、様々な情報を表示して、臨床医が切除システムの意図した機能を行うのを助けるディスプレイパネル36を有する。さらに、制御ポッド32は、他の手動つまみ38またはディスプレイパネル36上のタッチスクリーンとのスタイラスインターフェイスを有し得る。表示ポッド32は、ケーブル42によってコンソール40に電気的に接続される。コンソール40は、ハウジング16内のエネルギー要素に必要とされる電力を提供することと、カテーテルポッド30におけるモータおよびアクチュエータを介してチューブ18および20の移動を管理することと、表示ポッド32を介してインターフェイスおよび制御を臨床医に提供することとによって、切除システムの機能を制御する。コンソール40は、オプションで、システムが壁ソケットから電力を供給されることを可能にする電源コード41を含むか、または代替の実施形態においては、システムに電力を供給するためにバッテリが用いられ得る。
【0033】
カテーテル10は、遠位端部の近くに曲げ140を有するシース46を通って右心房44の中に導入される。カテーテル10のハウジング16は、右肺静脈RPV、左肺静脈LPV、または僧帽弁MVなど、房(chamber)の様々な領域に隣接してカテーテルの位置を決めるように右心房44内において操作され得る。後に考察されるように、ハウジング16は、心房組織48の方にエネルギービーム52を放出する。ビームは、チューブ18および20の様々な移動の組み合わせによって心房44内の任意の所望のパスに向けられ得る。
【0034】
A.カテーテル。図2は、本発明のカテーテルを示す。カテーテル10は、エネルギー放出要素50を含むハウジング16を有する遠位端部12を有する。この要素は、概ね軸方向にハウジング16を出るエネルギービーム52を放出する。ハウジング16は、チューブ18(Zチューブ)に取り付けられる。チューブ18は、複数管腔チューブ20に含まれる。チューブ18は、態様54でチューブ20(XYチューブ)内を軸方向にスライドする。移動54は、患者のベッドサイドにおいてカテーテルポッド30内の機構によって制御される。移動54の程度は、特定の範囲内における組織48からのハウジング16の距離を維持する必要性によって決定される。チューブ20は、その近位端部においてチューブ22に取り付けられるチュービングの短い部分であり、チューブ20は、矢印56によって示されるようにX−Y方向に操作され得る。チューブ22の詳細は、後に説明される。
【0035】
図3は、カテーテル10の遠位端部12をより詳細に示す。ハウジング16は、概して遠位開口部59を有する円筒形管状形状である。ハウジング16は、その遠位端部においてオプションの「城上部(castle−head)」型端部58で構成され、トランスデューサ68を含む。城上部58における開口部の目的は、城上部遠位端部全体が組織に接触している場合、城上部58からの洗浄流体60の妨げのない流出を可能にすることである。ハウジング16の近位端部は、適切な接着剤によってベース62に取り付けられる。ベース62自体は、接着剤によってチューブ18に取り付けられる。
【0036】
ハウジング16は、トランスデューササブアセンブリ64と城上部58との間にポケット66が存在するように、ハウジング16の近位側にトランスデューササブアセンブリ64の形式のエネルギー放出要素50を含む。図3はまた、チューブ20を通ってスライドして移動可能であるチューブ18にハウジング16がどのように結合されるかを例示し、チューブ20は、その遠位端部にカプラ118を有する。チューブ20は、次いでカプラ122を介してチューブ22に結合され、チューブ22とカプラ122との間に滑らかなテーパ加工の移行部21を有し、1つ以上の引張りワイヤ120は、チューブ20、22の管腔を通って、矢印56によって示されるXおよびY方向に曲げチューブ20に進み、それによって、所望の曲げ角度φおよびθを形成する。
【0037】
図4に詳細に示されるように、トランスデューササブアセンブリ64は、トランスデューサ68と、電気接続部70および72と、空気ポケット76を提供するバッキング74と、前部マッチング層78とから成る。トランスデューサ68は、概して平坦なディスクの形状であるが、凸面または凹面などの任意の他の望ましい形状であり得る。トランスデューサ68はまた、同時係属中の米国特許出願第12/620,287号、第12/609,759号、第12/609,274号、第12/480,256号、第12/482,640号、および第12/505,335号に開示されるようなドーナツ形、複数要素および類似のものなどの構成を有し得、これらの内容全体が、参照によって本明細書に前もって援用された。電気アタッチメント70および72は、チューブ18内にあり、カテーテルポッド30に接続するためにハンドル24において終結するカテーテル10の長さ方向に延びる一対のワイヤ80に接続される。ワイヤ80は、ツイストペアもしくは同軸ケーブルまたは類似の構成の形式であり得る。トランスデューサ68は、空気ポケット76を提供するバッキング74に接着剤または半田84によって取り付けられる。空気ポケットの目的は、トランスデューサ68の遠位面の方に音響エネルギーを反射させることである。トランスデューサ68の近位側には、トランスデューサの使用中、トランスデューサの温度をモニタリングする熱電対などの温度測定デバイス86が取り付けられる。この情報は、トランスデューサ68の温度がある誤動作を示す所定のレベルを超えて上昇する場合、システムを運転停止するために用いられ得る。トランスデューサ68の2つの面への電気的接続は、接点70および72によって提供される。これらの接点は、タブを有するリングの形式であり得る。リングは、中央に開放領域を有し、この開放領域は、トランスデューサ68から音響エネルギービーム52を放出するための開口部を提供する。リングのタブは、実質的に90度曲がり、トランスデューサのスタンドオフとして働く。上記リングは、十分な剛性を有し、ベース62に嵌め込まれた場合、トランスデューササブアセンブリ64をハウジング16内に支持する。ワイヤ80は、2つのそれぞれにタブに電気的に結び付けられ、それによって、トランスデューサ68の2つの面への電気的接続を提供する。トランスデューサ68の遠位側は、トランスデューサ68に取り付けられた音響マッチング層78を有する。音響マッチング層78に関するさらなる詳細は、同時係属中の米国特許出願第12/620,287号、第12/609,759号、第12/609,274号、第12/480,256号、第12/483,174号、第12/482,640号、および第12/505,326号に見出され得、これらの内容全体が、参照によって本明細書に前もって援用された。マッチング層の目的は、広い音響帯域幅を提供し、トランスデューサ68からの音響エネルギーの出力を最大にすることである。
【0038】
図4をなおも参照すると、チューブ18は、ベース62に取り付けられ、カテーテル10の長さを進み、ハンドル24内のスライディング機構(図示されていない)において終結する。チューブ18は、複数の機能を有する。第1にチューブ18は、ハウジング16への流体の流れ60のための導管を提供する。ワイヤ対80は、チューブ18内にある。また、チューブ18は、ハウジング16の軸方向の移動のためのシャフトとして働く。チューブ18は、ポリイミドおよび多数のワイヤ88などの編組み複合材から構成される。チューブ18の壁に嵌め込まれたワイヤ88は、編組みの形式であり得、ワイヤ87を経由してトランスデューサ68の熱電対86、流体60の温度をモニタリングするためにハウジング16に取り付けられた別の熱電対または他の適切なセンサ90、およびハウジングのオプションの電極とのさらなる電気的接点を形成するかまたは必要に応じ他の電気的接触を形成するためのハウジング16の接点(単数または複数)92に取り付けられる。チューブ18に嵌め込まれたさらなるワイヤは、必要に応じ他のさらなる取り付けおよび機能に役立つように用いられ得る。編組みはまた、トランスデューサ信号における電気的干渉を最小限にするための電気的遮蔽としても用いられ得る。
【0039】
チュービング18はまた、ポート26からハウジング16への流体流れパスを提供する。流体は、滅菌されており、水、食塩水、または任意の他のそのように生理的に適合する流体であり得る。流体は、流体流れ線60によって示されるようにハウジング16を通って流れる。流れる流体の目的は、2つの要素がある。第1に流れる流体は、トランスデューサ68がエネルギービーム52を放出している間、トランスデューサ68に対する冷却を提供する。上記流体は、トランスデューサ68の効率的な冷却を提供するように任意の適切な温度であり得る。第2に流体は、流体ポケット66を維持し、流体ポケット66は、トランスデューサと周囲の血液との間に分離障壁を提供する。分離障壁は、重要である。なぜなら、トランスデューサが、ビーム52を放出している間、より高い温度になり得、トランスデューサに接触するどの血液も、望ましい発現ではない血栓を形成し得るからである。さらに、トランスデューサ上のどのクロット形成も、トランスデューサの電力出力を減少させる。従って、トランスデューサの前の流体カラムは、クロット形成を回避し、トランスデューサをより低い温度に保ち、トランスデューサが効率的に機能することを助ける。
【0040】
ハウジング16は、様々な構成を有し得る。1つの構成は、図3に示され、図3においてハウジング16は、その遠位端部に開口部58を有する。ハウジング16は、「城上部」の形状をとる。開口部は、ハウジング16を通る流体60の妨げのない流れを可能にする。図5aに示されるように、ハウジング16は、本質的に円筒形状である。デバイスの使用中、ハウジングの縁が組織48の表面をこすった場合、組織を損傷する可能性を最小限にするように、ハウジングは、丸くなった滑らかな遠位端部94を有する。ハウジング16はまた、ハウジングの遠位端部におけるハウジングの円筒形表面に配置されたオプションの穴96を有する。これらの穴は、ハウジング16を通る流体60の流出を提供する。
【0041】
別の構成において、図5bに示されるように、ハウジング16は、閉鎖端部98を有する。流体の通過は、遠位端部における穴96によって容易にされる。端部98は、超音波ビーム52に対して実質的に透過的のポリメチルペンテン(PMP)などの材料から作られる。あるいは、ハウジング16全体が、PMPのような材料から作られ得る。別の構成において、ハウジング16の円筒形部分100は、その上にPMPキャップ98が取り付けられている状態で、エラストマー材料(例えば、ラテックスまたはポリウレタン)から作られ得る。この場合、水抜き穴96は、ハウジング16内に流体60の正圧がある場合、開くように構成される。このことは、流体60の流出のみを可能にし、ハウジング16の中への周囲の血液の流入を不可能にする。
【0042】
別の構成(図示されていない)において、ハウジング16内の流体60は、「閉ループ」の態様で加えられ得、この場合、ハウジングを通る流体の流れは、ハウジング内に含まれるトランスデューサに冷却を提供することを目的とする。この構成において、ハウジング16は、音響的透過ウィンドウ98を有するが、水抜き穴96を有しない。チューブ18は、次いで冷却流体の閉ループ経路のための少なくとも2つの管腔を有する。あるいは、ハウジング16は、音響的透過であるゲル様材料によって満たされ得、この場合、流体は、必要ではない。
【0043】
図5cおよび図5dに示されるさらに別の構成において、ハウジング16は、ばね様構造から作られる。ばね材料は、丸いワイヤまたはリボン102であり得る。さらに、ばねハウジング16は、薄い可撓性ケーシング104内に包まれ得る。ばね様構造の目的は、図5dに示されるように、使用中、ハウジングが組織48と接触した場合、ハウジングが曲がり得るように可撓性を提供することである。あるいは、ハウジング16は、曲げ機能を達成するために、ラテックス、ポリウレタン、またはシリコーンなどのより柔らかい壁材料から作られ得る。
【0044】
ハウジング16の別の構成は、図5eに示される。ここでハウジング16は、複合構造で作られ、複合構造において、ハウジング16の壁は電気的に絶縁性の材料からなり、複数の電気的伝導要素106(「電極」)がハウジング16の壁に長手方向に配置される。電極106の遠位端部は、ハウジング16の遠位縁を超えてわずかに突き出るボールエンド109で構成される。電極106の近位端部は、ポイント92においてワイヤ108に取り付けられる。ワイヤ108は、次いで図4のチュービング18における導体88に接続される。最終的に、導体88は、カテーテル10の補助コネクタ28(図2)において終結する。電極106の目的は、非外傷性ボールエンド109を介して組織との電気的接続を提供することである。組織とのこの電気的接続は、心臓組織をペーシングさせるか、または接触している組織から電気生理学的情報を得るために用いられ得る。このワイヤ108は、ハウジング16の壁に嵌め込まれた編組みの形式であり得る。この複合において、ハウジング16は、図5a〜図5dについて前に説明された実施形態で構成され得る。
【0045】
図5fは、ハウジング16のさらに別の実施形態を示す。ハウジング16は、デフレクター110が備え付けられる。このデフレクターは、トランスデューサ68の表面に、より効率的な冷却が提供されるように、トランスデューサ68を通過する流体60の流れの方向を変える。この図5fにおいて、トランスデューサ68の取り付けの詳細は、明快さのために省略されている。
【0046】
図5gは、ハウジング16のさらに別の実施形態を示す。複数のウイスカ(whisker)様電気センサ111が、ハウジング16の遠位端部に配置される。ウイスカ111は、可撓性にするためにばねの形式で、白金またはその合金などの放射線不透過性ワイヤ材料から作られる。ウイスカ111の内部コアは、適切な材料の好ましくは先細のコアワイヤを有する。ウイスカ111は、ハウジング16の壁に嵌め込まれ、接点92によってワイヤ108に電気的に接続される。ワイヤ108は、チューブ18(図4)に含まれるワイヤに接続し、カテーテル10の近位端部のコネクタ28において終結する。ウイスカ111の目的は、柔らかいばね様構造による非外傷性の態様で組織表面との電気的接続を提供することである。電気的接点は、患者の心房の組織の電気生理学的マッピングを可能にする。ウイスカ111の別の目的は、ウイスカ111の曲げの程度をモニタリングすることによって、標的組織からのハウジング縁の距離を測定することである。
【0047】
ハウジング16のさらに別の実施形態が、図5hに示される。ハウジング16は、ラテックス、ウレタン、ニトリルおよび類似のものなどのエラストマー材料から作られる。エラストマー材料もまた、超音波に対して実質的に透過性である。ハウジング16は、閉鎖端部98を有し、前に説明された特性および機能を有するオプションの水抜き穴96を有する。ハウジング16は、トランスデューササブアセンブリ64を包む。この実施形態の1つの重要な局面は、図5hに示されるようにハウジング16が接着剤113によってベース62およびチューブ18の周りに固定され得ることである。従ってハウジング16は、ハウジング16の材料のエラストマー性質によってより確実な態様で取り付けられる。
【0048】
図2のXYチューブ20が、より詳細に次に説明される。チューブ20は、チューブ18がチューブ20を通って軸方向に移動し得るようにチューブ18を含む。図3を参照すると、チューブ20は、矢印56によって示されるようにX−Y態様で曲げられる。XYチューブ20がXY平面56において曲がると、チューブ18は対応する方向に移動する。従ってエネルギービーム52は、XYチューブ20の曲げおよび移動に基づいて様々な方向に指向される。
【0049】
チューブ20の構造の詳細が図6に示される。一実施形態において、チューブ20は、シリコーンまたはポリウレタンなどのソフトマトリックス116に包まれている複数の可撓性ばねから成る。チューブ20は、環状の構成で、さらなるばね114によって囲まれたばね112を含む(ばね114のうちのいくつかは、明快さのために図面において省略されている)。これらのばねは、好ましくは開放ピッチ(open pitch)であり、適切な金属またはプラスチックから作られる。中央のばね112の目的は、z軸チューブ18のためのキンクのない管腔を提供することである。同様に、外側ばね114の目的は、チューブ20の曲げに用いられる引張りワイヤ120のためのキンクのない経路を提供することである。チューブ20の遠位端部は、カプラ118において接着剤によって終結させられる。引張りワイヤ120は、カプラ118の遠位側に接着して固定される。チューブ20の近位側は、引張りワイヤ120およびチューブ18のための適切な穴123が備え付けられ、カテーテルチューブ22へのチューブ20の取り付けを容易にする別のカプラ122において接着剤によって終結させられる。
【0050】
チューブ20は、複数の引張りワイヤ120を用いて制御された態様で操作され得る。引張りワイヤ120は、鋼もしくはニチノールなどの金属、またはケブラーなどの複合ファイバであり得る。これらの引張りワイヤは適切なアタッチメントにおけるハンドル24において終結し、適切なアタッチメントは、次いでカテーテルポッド30におけるアクチュエータおよびモータに分離可能に係合される。カテーテルポッド30におけるモータ(図示されていない)は、所望の場所に正確にチューブ20を移動させるように所定の正確な態様でコンソール40におけるコンピュータの指示によって引張りワイヤを制御する。結果として、エネルギービーム52は、線、円、または任意の他のより複雑なパターンなどの特定の制御されたパスで心房を横断する。
【0051】
図3を参照すると、チューブ20は、カプラ122によってカテーテルチューブ22に取り付けられる。チューブ22は、概して、複合構成を有し得るより高いデュロメータ材料(すなわち、より堅いがロッド様ではない)から成る。チューブ22は、壁に嵌め込まれた編組みを有するプラスチック材料から作られ得る。チューブ22は、カテーテル10の本体を構成し、近位端部においてハンドル24に接続される。チューブ22の目的は、軸方向の押込力伝達性(pushability)およびいくらかのトルク制御をカテーテル10に提供することである。チューブ22はまた、自由空間において所定の形状をチューブにとらせる複数の成形ワイヤを収容する。この構成の詳細は、本出願において後に説明される。
【0052】
エネルギー放出要素68(図3)は、好ましくは超音波エネルギーを放出する音響トランスデューサである。超音波の周波数は、好ましくは5〜25メガヘルツ(MHz)の範囲であり、より好ましくは8〜20MHzの範囲であり、さらにより好ましくは10〜18MHzの範囲である。放出されるエネルギーは、概して、円筒形トランスデューサ68に対して円筒形ビーム52の形状である。ビーム52に含まれる音響電力は、好ましくは0.5ワット〜25ワットの範囲であり、より好ましくは2〜10ワットの範囲であり、さらにより好ましくは2〜7ワットの範囲である。超音波エネルギービーム52の特性および組織とのその相互作用は、同時係属中の米国特許出願第11/747,862号、第11/747,867号、第12/480,256号、第12/482,640号、第12/505,335号、第12/620,287号、第12/609,759号、および第12/609,274号に説明され、これらの内容全体が、参照によって本明細書に前もって援用された。ビーム52は、標的組織48と相互に作用し、十分なエネルギーレベルにおいては、上記組織を切除する。
【0053】
トランスデューササブアセンブリ64(図4)は、複数の実施形態を有し得、それらのうちの1つは上記に説明され、この場合、エネルギービーム52はハウジング16から軸方向に外側に放出される。他の実施形態のうちのいくつかは、同時係属中の米国特許出願第11/747,862号、第11/747,867号、第12/480,929号、第12/505,326号、および第12/505,335号に説明され、これらの内容全体が、参照によって本明細書に前もって援用された。
【0054】
トランスデューササブアセンブリの1つの代替の実施形態が図7に示される。トランスデューサ124は、ハウジング16に含まれる。トランスデューサ124は、概して、円筒形形状であり、超音波エネルギー126を放射状に外側に放出する。トランスデューサ124は、正方形、六角形または任意の他の適切な断面であり得る。エネルギーは、態様130で軸方向に超音波エネルギーの方向を変える概して放物面の反射器128によって方向を変えられる。反射器128は、任意の他の適切な構成であり得る。反射されたエネルギーは、ビーム52の形式でハウジング16から出る。結果として生じる射出ビーム52は、上記の先行の実施形態に説明された1つに類似している。トランスデューサ124は、サポート134および適切な接着剤によってベース132に固定される。前の実施形態と同様にベース132は、前に説明された機能を果たすチュービング18に取り付けられる。ワイヤ136は、トランスデューサ124に接続し、ハンドル24において終結する。流体の流れ60は、トランスデューサが冷却されることを可能にして、過熱を防ぐ。トランスデューサ124とハウジング16の遠位縁との間の流体カラム125は、デバイスが左心房にある間、トランスデューサ124と周囲の血液とを分離する。
【0055】
図1を参照すると、カテーテル10は、中隔横断シース46を通って左心房44の中に導入される。シース46は、左心房44の方に向かい、左心房44内に位置を決められるように、その遠位部分に曲げ140を有する。また、カテーテルの遠位部分すなわちハウジング16は、概して、剛体の円筒形の形状である。カテーテル10がシース46の曲げを通過すると、剛体部分は、それが曲げを通過するようにシースがより大きい直径であることを必要とする。概して、シース直径を最小サイズに保つことが望ましい。シースは、概して患者の大腿の部位の静脈における外科手術開口部を通って患者の大腿静脈に配置される。外科手術開口部を最小サイズに保つことが望ましい。本発明において、カテーテル遠位端部の通過は、下記に開示される例示的な実施形態のうちの少なくとも1つにおいて、シース直径のサイズを増加させることなく通過をより容易にする態様でシース遠位端部を形成することによって達成される。
【0056】
シースの一実施形態が図8に示される。シース138は、チューブであり、チューブの長さ全体にわたり均一である直径Dを有する。概して、直径Dは、シースを通って前進させられるカテーテルの最大直径よりわずかに大きい。シース138の曲げ140を通るカテーテルの前進を容易にするために、曲げの内側半径の部位に適切なサイズで作られるカットアウト開口部142が備え付けられる。図9は、シース138を通るカテーテル10の前進を示す。シース138は、隔壁144を横切って位置を決められ、左心房146の中への通路を提供する。遠位ハウジング16が態様148のように曲げ140を通って前進させられると、開口部142は、ハウジングの剛体部分が通過するように適応させるのに必要なリリーフを提供する。この方法で、シース138が最小限必要な直径Dのままである。
本発明のシースの別の実施形態が図10に示される。シース150は、曲げ152の近辺で直径がより大きいサイズD2に拡張させられた膨んだ遠位部分154を除いて、シース150の全長を通じて直径D1を有する。シースを通るカテーテルの通過が図11に示される。シース150は、隔壁144を横切って位置を決められ、左心房146の中への経路を提供する。カテーテル10は、態様148でシース150を通って前進させられる。カテーテル10が曲げ152の近辺に達すると、より大きい直径D2は、曲げを乗り越えるために剛体のハウジング16の全長にリリーフを提供する。膨んだ部分154は、心房146内へのカテーテル10の容易な通過のために最小限必要な直径である。
【0057】
心房において使用中のカテーテル10の位置が図12および図13に示される。カテーテル10は、シース150を通って左心房(LA)の中に導入される。図12を参照すると、カテーテルの遠位端部は、概して左肺静脈(LPV)の方向に向く。カテーテルの先端は、X−Yの態様でチューブ20を操作することによってX−Y平面56において移動させられ得る。カテーテルの遠位端部12の軸方向の移動は、態様54で、チューブ18の助けによって達成される。前に説明されたように、カテーテルは、超音波エネルギーのビーム52を標的組織48に向けて放出する。エネルギーのビームを衝突させることは、標的部位において組織を加熱し、損傷156を作る。ビーム52は、態様158で、コンピュータ制御によってLPVの辺りで横断して、隣接した損傷を作り、LPVを電気生理学的に切り離す。カテーテル先端12は、その後、右肺静脈RPVに隣接した組織および左心房における他の部位を治療するために位置を決められ得る。
【0058】
図13は、右肺静脈(RPV)の方向に向くカテーテル遠位先端12の位置を示す。チューブ22の遠位端部は、「シェパードフック」の形状をとり、カテーテル遠位端部12をRPVの方に向ける。シェパードフックは、チューブ22の管腔内に配置された1つ以上の成形ワイヤ160によって形成される。成形ワイヤ160は、ニチノールなどの形状記憶金属から作られ、シェパードフックの所望の形状を保持するために熱処理される。これらのワイヤは、チューブ22の管腔内に配置され、チューブ22は、シース150から制約されない場合、自由空間においてシェパードフックの形状をとる。図12に示されるように、カテーテルがLPVの治療のために用いられている場合、チューブ22のシェパードフック部分はシース150にある。RPVの治療が所望される場合、カテーテルはLAの中にさらに前進させられる。カテーテルが前進させられると、形状記憶ニチノールワイヤは所定の形状を取るように配備され、従ってチューブ22がシェパードフックの形状を呈し、RPV近くの領域の治療を容易にする。代替の実施形態において、成形ワイヤ160は、アクチュエータワイヤによって代用され得、アクチュエータワイヤは、好ましくはカテーテルの近位端部近くのアクチュエータ機構によって押されるかまたは引かれて、所望のシェパードフック構成にチューブ22を曲げる。他の実施形態において、成形ワイヤとアクチュエータワイヤとの組み合わせは、シェパードフックなどの所望の構成にチューブを曲げるために用いられ得る。超音波ビーム52は、標的として組織48に向けられる。エネルギーのビームを衝突させることは、標的部位において組織を加熱し、損傷162を作る。ビーム52は、矢印56によって示されるX−Y方向にチューブ20を作動させることによってならびに矢印54によって示されるように軸方向チューブ18を移動させることによって、移動させられ得る。ビーム52は、態様164で、コンピュータ制御によってRPVの辺りで横断して、隣接した損傷を作り、RPVを電気生理学的に切り離す。
【0059】
切除システムの残りの構成要素、すなわちハンドル、カテーテルポッド、表示ポッドおよびコンソールの詳細は、下記に説明される。
【0060】
図14は、コンソールと、表示ポッドと、カテーテルポッドとを示す。ハンドルは、後に図18において説明される。図14を参照すると、カテーテルハンドル24は、カテーテルポッド202に分離可能に接続する。前に上記に考察されたように、オプションの単一使用の滅菌アダプタ29は、ハンドル24の滅菌性を損なうことなく、ハンドル24がカテーテルポッド202に接続され、そこから分離されることを可能にする。カテーテルポッド202は、ケーブル206によって表示ポッド204に接続される。表示ポッド204は、ケーブル210によってコンソール208と接続する。システムはまた、オプションのベッドサイドモニター212を有して構成され得る。電子的ハードウェア、ファームウェアおよびソフトウェアから成る器具214を含むコンソール208は、切除システムのすべての部品を制御し調整する。コンソール208は、切除処置中、助手によって用いられるために滅菌領域外で患者から離れて位置を定められるように意図される。他のシステム構成要素は、切除処置を行う臨床家によって用いられるために患者の近くに位置を定められるように意図される。表示ポッド204、カテーテルポッド202、およびカテーテル10は、典型的には滅菌領域に位置を定められる。
B.コンソール。図14を参照すると、コンソール208は、表示モニター216と、キーボード218と、コンピュータマウス220とを含み、これらすべては、ユーザが切除システムと相互に作用するためのものである。2つの長い(おおよそ20フィートの)ケーブル222および210は、コンソール208をベッドサイドモニター212および表示ポッド204にそれぞれ接続する。ケーブル222は、コンソール208とベッドサイドモニター212との間の通信を提供するビデオケーブルである。ケーブル210は、コンソール208と表示ポッド204と間に電気信号を導く多心ケーブル(おおよそ20フィートの長さ)である。これらの電気信号のいくつかは、表示ポッド204に用いられ、他の電気信号は、表示ポッド204およびケーブル206を通ってカテーテルポッド202に送られる。これらの電気信号のいくつかはカテーテルポッド202に用いられ、いくつかの電気信号はハンドル24を通って迂回してカテーテル10に送られる。典型的には、ケーブル206は、ケーブル210より短く、より小さい外径を有し、より可撓性がある。
【0061】
図15は、コンソール208の器具214における基本的な構成要素を示す。システムは、器具214のコネクタの中に差し込む埋込みPC(コンピュータ)224を用いるように設計される。埋込みPC224は、一般的に「オンボードコンピュータ(a computer on a board)」とも呼ばれ、典型的にはサイズ、インターフェイスおよびチップセットの業界標準構成である。この方法で、埋込みPC224は、将来世代のPCが使用可能となった場合、器具214における最小限の変更を必要とするかまたは他の変更が全く必要なくアップグレードされ得る。1つのそのような埋込みPCは、COM Express規格を用い、様々な販売業者から入手可能である。
【0062】
器具214は、すべての時間制約の厳しい(time−critical)データ転送アクティビティを調整することを含むすべての時間制約の厳しいシステム演算に対してFPGA226(フィールドプログラマブルゲートアレイ)に頼る。この方法で、埋込みPC224のオペレーティングシステムがすべての他のルーチン、時間制約の厳しくない(non−time−critical)アクティビティを監視しながら、器具214は、信頼性あるリアルタイム性能を提供し得る。FPGA226は、埋込みPC224からの命令に応答して関数を実行するカスタムファームウェアによってプログラムされる。例えば、埋込みPCは、FPGAが送信パルスシーケンスを生成するようにリクエストし、送信パルスシーケンスは、D/A(デジタルアナログ)変換器228を介して導かれ、超音波トランシーバ230によって増幅されバッファリングされ、ケーブル210および206を経由してカテーテル10に導かれる。
【0063】
超音波トランシーバ230は、超音波信号の伝送器および受信器として働く。超音波トランシーバ230は、カテーテル10の遠位端部において超音波ビームを作る電力伝送器かまたは組織から戻る任意の超音波信号を感知する超音波受信器のいずれかとして、時間多重ベースで動作する。超音波トランシーバ230は、典型的なカテーテルベースの用途に十分な、最大25ワットの電力を駆動し、より典型的には2〜10ワットを提供し、さらにより好ましくは2〜7ワットを提供する。受信器として、トランシーバ230は、戻り超音波信号を検出するのに十分なダイナミックレンジ(典型的には80dB(デシベル)を超えるダイナミックレンジ)を有する。
【0064】
組織から戻る(後方散乱)超音波信号は、2つの並列の受信器パス、すなわち線形I/Q232およびログ検出器234に導かれる。線形I/Q信号は、受信された超音波信号を位相復調して信号の(振幅および位相を表す)実成分および虚成分の両方を抽出することによって導出され、信号の実成分および虚成分は、信号対ノイズ比を最大にしながら信号情報を抽出するために用いられる様々な処理アルゴリズムにおいて有用である。あるいは、ログ検出器234からの信号は、ログ圧縮の戻り超音波信号の単純なピーク検出を提供し、ログ圧縮の戻り超音波信号は、一般的に、超音波画像化用途において「Aモード」信号と呼ばれる。I/Qまたはログ検出された適切なアナログ信号は、A/D(アナログからデジタルへの)変換器238による変換、およびデジタル形式でのメモリ240へのその後の格納のために、マルチプレクサmux236を介して選択される。メモリ240に格納された超音波データは、埋込みPC224において実行するアルゴリズムによって達成される後の信号処理中に用いられ得るタイムスタンプ、モータ位置、伝送波形などのさらなる情報を含み得る。1つのそのような処理の例は、カテーテルがあちこちに移動させられている場合、カテーテル10の先端と心房壁との間の間隙を決定し、この情報をディスプレイ216上に提示することである。別のプロセスは、切除中、損傷の深さの進行を決定することであり得る。第3は、組織壁厚を決定し、組織に送達されるエネルギーの量を制御するためにこの情報を用いることであり得る。さらに、心房の内側表面のトポグラフィカルマップは、心周期中の任意の点において三次元レンダリングで提示され得る。
【0065】
器具214において性能および処理を制御し調整することの他に、埋込みPC224は、キーボード218、マウス220、モニター212および216に通信し、埋込みPC224自体、表示ポッド204、カテーテルポッド202とカテーテル10との間でデータを制御し転送するために、様々な入力/出力ポートI/O242を制御する。
【0066】
C.表示ポッド。内部構成要素が図16に示されている表示ポッド204は、切除システムが使用されている間、臨床家に情報を提示し、臨床家が切除システムを制御することを可能にする手段として主として用いられる。システム状態およびコンソール208と表示ポッド204との間の制御信号は、マイクロ制御器244におけるシリアルリンクを介して伝達される。ビデオディスプレイ246用に意図されたデータは、ディスプレイ制御器248によって解釈される。ビデオディスプレイ246の上に組み込まれたタッチスクリーン250は、臨床家がコンソール208と相互に作用する手段を提供し、それによって、切除システムの局面を制御する。臨床家は、スタイラス、指、または鋭利でない手術器具などの任意の適切なポインティングデバイスを用いて、ビデオディスプレイ246上に提示されるグラフィカルユーザインターフェイスと相互に作用し得る。
【0067】
電力調整器252もまた表示ポッド204に位置を定められ、電力調整器252は、図17に示されるように、長いケーブル210を通して発生する任意の潜在的な電圧降下を補償しかつ補正し、カテーテルポッド202におけるサーボモータ構成要素254、256、および258にうまく調整された電力を提供するために用いられる。この電力調整器252は、2つの理由、すなわちカテーテルポッドのサイズを最小限にすることおよびカテーテルポッド202において電子構成要素によって生成される熱を最小限することにより、カテーテルポッド202よりはむしろ表示ポッド204に位置を定められる。
【0068】
D.カテーテルポッド。図17は、カテーテルポッドの概略図を示す。FPGA254は、コンソール208とカテーテルポッド202との間のインターフェイスとして働く。サーボモータ260を制御するパラメータは、FPGA254においてバッファリングされ、モータ制御器256によって使用可能である。モータ制御器256は、サーボモータ260の動作をモニタリングする様々なフィードバックループを介してサーボモータ260の運動を制御する。例えば、モータの位置は位置感知266によって決定され、モータに対する負荷はトルク感知268によって決定される。これらの信号は、サーボモータ260を駆動するサーボ増幅器258を調節するためにモータ制御器256によって用いられる。
【0069】
複数のサーボモータ262(モータ1、モータ2、モータ3など)は、前に考察されたようにX−Y方向へのカテーテル10の遠位端部の移動を制御し、それによって、カテーテルの遠位端部を所望の角度に曲げる。この実装において、モータ262は、複数の引張りワイヤを引張り、複数の引張りワイヤは、カテーテルの個々の管腔において対称的に位置を定められる。この方法で、カテーテル10の遠位端部12は、前に説明されたX−Y運動によって所望のφおよびθ角度(図3に例示される)に曲がり得る。曲げ運動の忠実度は、引張りワイヤの相対的引張力を含むいくらかのパラメータの関数である。この構成の1つの特徴は、システムによる引張りワイヤの自動張力付加を可能にする。このことは、各モータに対する負荷を感知し、各モータ262に対する一定の所定の低負荷を提供するようにモータ制御器256に命令することによって達成され得、このことは、結果としてカテーテル10における各引張りワイヤに対する適切な張力をもたらす。この関数は、自動張力制御270によって表される。
【0070】
モータ262の位置およびカテーテル10の遠位端部12の曲げ角度φおよびθは互いに比例していないので、非線形の曲げによって導入される歪を補償し減少させるために「ワーピング」アルゴリズムが用いられる。このアルゴリズムの詳細は、コンソール208に格納され、FPGA254を経由してモータ制御器256に転送される。
【0071】
追加のモータ264は、時折「z軸」と呼ばれる、入りそして出るようにカテーテル10の遠位端部を移動させるチューブ18に結合される。曲げ先端の3−D空間において、このモータ264は、先端の場所の半径rに制御し、および他方のモータ262およびそれらに対応する引張りワイヤは、φおよびθ位置を制御する。
【0072】
カテーテルポッド202に組み込まれる別の特徴は、高速解放クラッチ272である。この電気機械的構成要素は、コンソール208または緊急停止ボタン221からの命令に応答し、モータ260からあらゆる張力を直ちに除去する。この特徴は、患者からカテーテル10を容易にかつ安全に除去することを可能にする。
【0073】
カテーテルポッドに組み込まれる別の特徴は、熱電対増幅器274であり、熱電対増幅器274は、カテーテル10における熱電対からコンソール208に読み取りを送る冷接点補償熱電対デジタル変換器基準(cold−junction compensated thermocouple−to−digital converter reference)を提供する。カテーテル10の重要な構成要素の温度がモニタリングされ得、システムは範囲外の温度に対して適切に反応する。例えば、システムは、トランスデューサが最適性能範囲を超えて上昇した場合、警告を知らせ得、トランスデューサに送達される電力を制限し得る。あるいは、トランスデューサに隣接した食塩水ドリップのパスに位置を定められた熱電対は、ドリップ速度の適切さをモニタリングし得る。
【0074】
カテーテルポッド202に含まれる別の特徴は、調整要件に一致した、障害条件を含む様々な動作条件の下で患者が危険な漏れ電流から保護されることを確実にするために用いられる第1の患者絶縁276である。
【0075】
E.ハンドル。図18は、カテーテルハンドル24における内部システム構成要素のブロック図を示す。カテーテルハンドル24とカテーテルポッド202との間で機械的および電気的接続の両方がなされる。器具の制御に用いられる電気的信号は、シリアルインターフェイスおよびルータブロック278を経由して送られる。このブロックは、標準のネットワークプロトコルを可能にし、電気的相互接続の数を典型的には5未満およびわずか2に最小限にする。この場合に有用な典型的なプロトコルは、「1ワイヤ」ネットワークプロトコルである。コンソール208から表示ポッド204およびカテーテルポッド202を経由するシリアルデータは、シリアルインターフェイスおよびルータ278において解釈され、例えば、暗号化エンジン284、熱電対増幅器288、負荷センサ290または位置センサ292などのカテーテル10内の特定の電気的構成要素に導かれる。
【0076】
カテーテルポッド202からのもう1つの電気接続は、超音波伝送/受信信号のためである。この信号は、信号調和器282を通過し、信号調和器282は、ノイズ抑制フィルタ、インピーダンスマッチングネットワークおよび(平衡−不平衡)バラン変圧器を含み得、それらのすべては、変換器64に送出された伝送信号を最大にし、かつ変換器64から戻る受信信号の信号対ノイズの比率を最大にするために使用される。
【0077】
暗号化エンジン284は、メモリ286内に格納されたデータを確保する方法を提供する。メモリ286は、各カテーテルに対して具体的なデータを格納し、コンソール208の内蔵PC224によって読み取られる。データは、変換器性能に関する校正情報、操縦を校正するために必要とされる機械的特性、製造プロセスおよびデータ、および各カテーテル10に対する特有の使用履歴を含み得る。
【0078】
熱電対86は、変換器68の温度を感知し、その一方で、熱電対90は、変換器に流れる冷却流体の温度を感知する。その両方は、接続294および296を介して、熱電対増幅器288に接続し、熱電対増幅器288は、典型的に、熱電対から得られた信号を、ルータ278を介してコンソール208に戻るように送信され得る形の温度のデジタル値に変換する。任意のさまざまなセンサーは、熱電対の代わりに使用され得、例えば、サーミスターが、このアプリケーションに対して代替的に有用であることが理解される。
【0079】
機械的コネクタ280は、カテーテルポッド202内にモータ260を結合させる。典型的な回転モータが使用されると、次に、回転−直線コンバータ298は、引張りワイヤのために必要とされる押し−引張りの運動だけではなく、z軸の動きも得るように使用される。代替的には、これらの回転−直線コンバータ298が、カテーテルポッド202内に設置され得る。
【0080】
最終的に、結合器118に接続されている引張りワイヤ300のテンションおよび運動は、負荷センサー290および位置センサー292によって感知され得る。この情報は、シリアルインターフェースおよびルータ278を通して、カテーテルポッド202内のモータコントローラ256にフィードバックされる。このフィードバックは、遠位端部の曲がり精度を向上させ、カテーテルの遠位端部での曲がりが、心房壁との接触によって曲げられるか否かを感知し得る。
【0081】
(損傷形成)
本明細書に開示されたカテーテルは、壁組織上にエネルギーを衝突させることによって、標的組織の壁、しばしば、心房壁に瘢痕組織の損傷を生成する傾向がある。超音波エネルギーが、組織の標的ポイントに向かって指向され、組織をある温度まで加熱するのに十分な時間に対してそこに送出されるときに、損傷が生成され、そこで、細胞が殺される。変換器によって放出されるエネルギーは、ビームの形であり、このビームは、指向され、任意の所望のパスで心房室の内側の周りに動かされる。従って、結果として生じる損傷は、スポット、線、円、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0082】
(使用の方法)
左心房における心房細動に対する治療の所望の方法は、望まない信号の伝導をブロックし得る心房壁の瘢痕組織の線を生成する。本システムおよび方法は、超音波ビームを操作することによる制御された方式で瘢痕組織線(損傷)を生成する手段を説明する。例として、Maze損傷セットとして知られた1つのこのような所望の損傷セットが、図19に示される。以下の方法は、この損傷セットを生成するのにおいて使用され得る。
【0083】
1.心房隔壁にわたって中隔横断シースを置く。前に図12に示されるように、シースを通して左心房(LA)内にカテーテルを前進させる。
【0084】
2.「ラスター」技術を用いることによって、LPVの孔を見つける。この技術に関するさらなる詳細は、係属中米国特許出願第12/505,326号、第12/695,857号、第12/609,759号、および第12/609,705号に開示される。上記出願の全容は、参照することによって本明細書において事前に援用される。
【0085】
3.LPVを囲む、所望の連続的で、かつ好ましくは、実質的に経壁の損傷パスを規定する。オプション的には、システムは、連続的、かつ経壁の損傷パスをユーザーに提案し得、ユーザーは、提案されたパターンを選択し、提案されたパターンを変更し、代替的な連続パターンを規定し得る。
【0086】
4.前述のように、カテーテルを動かすことによって、規定された損傷パス168に沿って組織を切除する。
【0087】
5.シェパードフックを展開するために、LA内にカテーテルをさらに前進させ、それによって、前に図13に示されるようにRPVを標的にする。
【0088】
6.前の見つけるステップに説明されるように、「ラスター」技術を用いてRPVの孔を見つける。
【0089】
7.RPVを囲む損傷パス170を規定する。オプション的には、システムはまた、連続的、かつ好ましくは、経壁の損傷パスをユーザーに提案し得、ユーザーは、提案されたパターンを選択し、提案されたパターンを変更し、代替的な連続パターンを規定し得る。
【0090】
8.前述のように、カテーテルを動かすことによって、規定された損傷パス170に沿って組織を切除する。
【0091】
9.カテーテルの先端部のさまざまな動きを用いることによって、接続する損傷172および174を生成するために、エネルギービームの方向を操作する。
【0092】
10.従来のマッピング技術を用いて、肺静脈の隔離を確認する。
【0093】
オプション的な実施形態において、システムは、連続的なやり方で上記ステップ1〜10を自動的に行う場合もある。
【0094】
上の代表的な方法は、左心房の組織の切除を説明する。もちろん、当業者は、本明細書に説明された切除システムがまた、他の組織、例えば、心臓の他の領域(例えば、右心房、心室、隣接する血管)だけではなく、心臓以外の組織も切除するために使用され得ることを認識する。
【0095】
上記は、本発明の好ましい実施形態の完全な説明であるが、さまざまな代替物、変更、および均等物が使用され得る。それゆえに、上記説明は、添付した請求範囲によって規定される本発明の範囲内に限定するものとしてとられるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織を切除するためのシステムであって、
前記システムは、
近位部分と遠位部分とを有する操縦可能な細長い可撓性シャフトと、
前記細長い可撓性シャフトの前記遠位部分に結合された超音波トランスデューサであって、前記超音波トランスデューサは、標的組織を切除するための超音波エネルギーのビームを放出し、前記超音波エネルギーのビームは、前記超音波トランスデューサと前記標的組織との間の接触なしで前記標的組織に連続的な損傷を形成するように適合されている、超音波トランスデューサと、
前記細長い可撓性シャフトの前記近位部分に結合されたハンドルと、
前記ハンドルに動作可能に結合された作動機構であって、前記細長い可撓性シャフトの前記遠位部分を操縦するための作動機構と
を備え、
前記連続的な損傷は、前記細長い可撓性シャフトの前記遠位部分が移動している間に形成される、システム。
【請求項2】
前記作動機構の作動は、3次元のうちの1つ以上の次元において前記細長い可撓性シャフトの前記遠位部分を移動させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記3次元は、前記細長い可撓性シャフトの前記遠位部分の回転移動または平行移動を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記連続的な損傷は、スポット損傷、リング形状、楕円形状、直線形状、曲線形状、前記標的組織を囲む損傷、またはそれらの組み合わせからなる部分を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記細長い可撓性シャフトに1つ以上の作動可能なワイヤがスライド可能に配置されており、
前記1つ以上の作動可能なワイヤは、前記作動機構と動作可能に連結されており、
前記作動機構の作動は、前記1つ以上の作動可能なワイヤのうちの少なくとも一部を移動させ、それにより、前記細長い可撓性シャフトの前記遠位部分を移動させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記超音波トランスデューサに隣接して配置された反射器要素をさらに備え、
前記反射器要素は、前記超音波トランスデューサからのエネルギーの超音波ビームを反射するように適合されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記システムを制御し、前記システムに電力を提供するためのコンソールをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記システムに動作可能に結合されたベッドサイドモニターをさらに備える、請求項1に記載のシステム。

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5−1】
image rotate

【図5−2】
image rotate

【図5−3】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図19】
image rotate

【図1】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2012−254347(P2012−254347A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−217098(P2012−217098)
【出願日】平成24年9月28日(2012.9.28)
【分割の表示】特願2012−535445(P2012−535445)の分割
【原出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(508336595)ビトロンユーエス, インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】