説明

組織浸潤装置

【課題】その目的だけのための追加の液容器を必要とせず、移送装置の加速的又は優先的処理を可能とする組織浸潤装置の提供。
【解決手段】本発明にかかる組織浸潤装置(1)は、2以上の液容器(7、11a〜11d、13、15)と移送機構(6)を備える。液容器には、設定可能な特性を持つ液(12、14、16)を入れることができる。移送装置(4)は複数のカセット(5)を保持する。移送機構を用いて、移送装置を液容器に入れ、及び/又は取り出すことができる。移送装置をどの液容器に入れるかの処理手順をあらかじめ設定することができる。移送装置の加速処理又は優先処理が可能であるが、そのためだけの追加の液容器は不要である。液容器の中に2以上の移送装置が互いに上下に及び/又は隣接して入れられ、これらの移送装置の液容器内での浸漬時間が異なっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカセットに収容した試料のための組織浸潤装置に関し、この組織浸潤装置は少なくとも2つの液容器と1つの移送機構を含む。あらかじめ設定可能な特性を有する1つの液を、1つの液容器に入れることができる。複数のカセットが1つの移送装置により保持される。移送機構を用いて、移送装置を液容器に持ち込み、及び/又は液容器から取り出すことができる。移送装置が、組織浸潤装置の液容器(複数)の中をどのように通過していくかの操作シーケンス(処理手順)を規定することができる。移送装置(複数)は、液容器に上部から投入され、又はそれぞれ上部方向に引き上げることができる。
【背景技術】
【0002】
組織学的検査のための組織試料の調製は、試料に数段階の化学的処理を施し、最終的にパラフィンに包埋して行われる。この化学的処理では、試料は最初に適切な化学薬液で固定され、次いで試料に含まれる水分を抽出し、安定剤や染色剤といったもので置換される。最後に、試料はパラフィン又はワックスに包埋される。このようにして得られるパラフィンブロックは、薄い組織片に切断するためのミクロトームの収容部に安定して載置可能である。異なった連続処理工程のためのいわゆる組織浸潤装置又は包埋装置が開発されてきており、それは試料を種々の処理段階に自動的に移送することができる。
【0003】
試料はバイオプシー(生検試料)、ポンチ(生検試料)又は手術中に得られた組織片でありうる。このような試料はそれぞれカセットに入れられ、それぞれの処理ステップに移送される。単なる例示として、特許文献1には、特にこのようなカセットが開示されている。このような試料あるいはその組織薄片は、最終的に組織学的検査に供される。このため、病理学者は、ミクロトームによって調製した試料薄片をスライドに載せ、この試料薄片を染色し、カバーガラスをして顕微鏡により観察する。
【0004】
組織浸潤装置の移送機構により、2以上の移送装置を同時に組織浸潤装置の中で移送するか、あるいは組織浸潤装置の中に同時に存在する2つの移送装置を、時間をずらして順番に移送することが可能である。移送機構により、一般に移送装置は液容器に搬送され、その中に載置される。そして移送機構により、一般にある時間の経過後、その移送装置は液容器から取り出され、運ばれてゆく。
【0005】
本発明における操作シーケンス又は処理手順により特に理解されなければならないことは、カセットを含む移送装置が組織浸潤装置に装備された液容器のどれを経由(通過)するかに応じて、順序があらかじめ規定されること、あるいは、例えば組織浸潤装置の操作者によって、規定することができることである。これに関して、液容器もまた処理ステーションと考えることができる。ここでは、移送装置に含まれたカセット、即ち試料が液容器の中に導入され、その結果液が試料に作用する。その限りにおいて、本発明における「経由(通過)する」という表現は以下のように理解されるべきである。
−カセット即ち試料を含む移送装置が、この移送装置が組織浸潤装置に移送される場所である搬入ステーションから、シーケンス(処理手順)の最初の液容器まで移送され、その中に浸漬配置されること、
−あらかじめ設定可能な処理時間の経過後に、その液容器から取り出すこと、
−移送装置を次の液容器に移送し、その中に配置すること等、そして最後に、
−処理された移送装置を組織浸潤装置から搬出し又は回収できる、搬出ステーション又は移送ステーションに移送すること。移送ステーションは、処理された移送装置を自動包埋装置へ移送できうる。
【0006】
例えば特許文献2には、複数の液容器が円形に配列された組織浸潤装置が開示されている。この組織浸潤装置には、1つあるいは場合によってはさらに多くの移送装置が、時間をずらして順番に移送されうる。これらの移送装置は、装備された移送機構により、予め定められた回転方向で、1つの液容器から次の液容器に運ばれる。装備された移送機構は、1つの移送操作において、組織浸潤装置に含まれるすべての移送装置がそれぞれ次の液容器に移送されるように設計される。1つの移送装置が完全に通過するまで、1時間から数時間かかることがある。完全に自動化された組織浸潤装置は、適切に装荷されたならば、一晩中自動で運転することができる。1つの移送装置が組織浸潤装置に移送されると、すぐに次の移送装置を組織浸潤装置に移送することができる。しかし、それは既に組織浸潤装置に存在する移送装置と同じ操作シーケンスで、組織浸潤装置のそれぞれのステーションと液容器を通過して処理される。もしもある移送装置の試料を特に急いで処理する必要があった場合でも、特許文献2に開示の組織浸潤装置では、すぐには対応することはできない。既に組織浸潤装置に存在する移送装置は、完全に組織浸潤装置を通過し終わるまで取り出すことができないからである。
【0007】
この問題は特許文献3に記載されており、これには第一の処理容器よりも小さい容量を有する追加の液容器を持つ組織浸潤装置が開示されている。第一の処理容器では、いくつかの移送装置が処理される。追加の液容器では、急いで処理すべき移送装置が処理される。ここでは、それぞれの処理に必要な液がそのたびごとに液容器に入れられ、所定の処理時間が終了した後に再び除去される。確かにこれにより、急ぎの移送装置を組織浸潤処理することができる。しかしまた、液容器を空にした後、他の液を入れる前に液容器をきれいにする必要がある。これは複雑であり、液容器及び第一の処理容器の両方における液注入及び液除去の複雑な操作管理を必要とする。さらに、洗浄剤が必要となり、組織浸潤装置のランニングコストが増加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】DE10342264A1
【特許文献2】DE19647662C1
【特許文献3】DE10163488A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の基礎を成す課題は、上記短所を克服する組織浸潤装置を提供することである。特に、この組織浸潤装置により、その目的だけのための追加の液容器を必要とせず、移送装置の加速的又は優先的処理を可能とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
冒頭に掲げた形式の本発明に係る組織浸潤装置は、請求項1に係る特徴により上記課題を解決する。即ち、本発明に係る組織浸潤装置は、液容器に2以上の移送装置が互いに上下に及び/又は隣接して投入可能であり、その2以上の移送装置はその液容器での滞留時間(浸漬時間)が異なっている、ことを特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明によれば、第一に、上記課題は移送装置を液容器内に積み重ねて配置することで解決されることが理解される。なぜなら、その結果、移送装置内に含まれる、至急処理すべき試料ないしカセットは、例えばすでに液容器に存在する移送装置の上に配置する、即ち積み重ねることができるからである。このため、液容器(単数又は複数)は上部の移送装置が液容器の液の中に浸漬され、同様に液の作用を受けるように設計され、液を満たしておく必要がある。上部の移送装置は再び液容器から移送機構によって最初に取り出され、次の液容器に移送される。その結果、それぞれの液容器ごとにそれぞれ異なる滞留時間(浸漬時間)を必要とする試料を、1つの同じ組織浸潤装置で処理することができる。組織浸潤装置は、例えばそれぞれの液容器ごとに最大の滞留時間を要する試料に合わせた処理サイクルで運転することができる。よりゆっくり処理すべき移送装置の上に積み重ねられた、より早く処理すべき移送装置は、必要な時点において液容器から最初に取り出すことができ、そして次の液容器に投入するか、組織浸潤装置から回収することができる。つまり、早く処理すべき移送装置は、液容器の中でより長い反応時間を要する他の移送装置を「追い越す」ことができ、それによって所定の処理プログラムをより早い時点で通過することができる。早く処理すべき移送装置は、例えば組織浸潤装置により早く導入され、追い越された移送装置よりも早い時点で、組織浸潤装置から回収することができる。
【0012】
この方法により、別の液や試薬を入れたり排出したりして、早く処理すべき移送装置を別の独自のプログラムシーケンスで多かれ少なかれ処理しなければならないという別の液容器を追加する必要がなくなる。さらに、本発明により、組織浸潤装置のいずれにせよ設けられている液容器を起用することができ、「急ぎ」の移送装置を同じ組織浸潤装置を用いて早く処理するために - 組織浸潤装置の通常の使用法とは異なって - 1つ又はより多くの液容器に他の液/試薬を入れる必要がなくなる。組織浸潤装置の1以上の液容器を、従来の組織浸潤装置で用いられるよりも深くして、複数の移送装置を積み重ねて、それがすべて液の中に浸漬されるようにすることが有益である。もしも移送装置を1つの液容器の中で隣り合わせに配置することだけが意図されている場合、1以上の液容器の断面積を、従来の組織浸潤装置のそれよりも大きく設計することが有益である。それにより、2以上の移送装置を隣り合わせで1つの液容器に取り入れることができ、隣り合わせに配置したそれらの移送装置は液中に完全に浸漬されることになる。液容器の中で隣り合わせに配置された移送装置は、移送機構によって互いに独立してアクセス可能であり、こうして「急いで」処理すべき移送装置を同様に処理することができる。
【0013】
好ましい実施形態として、- 好ましくは実質的に同じ位置に - 2つの移送装置を積み重ねることができるガイド要素を、1以上の液容器に設けることができる。代替的にあるいは追加的に、2つの移送装置を液容器の中であらかじめ設定可能な態様で隣り合わせに配置することができるガイド要素を、1以上の液容器に設けることができる。特に好ましくは、1以上のガイド要素をすべての液容器に設けることである。これにより - 好ましくは実質的に同じ位置に - 2つの移送装置を積み重ねることができ、及び/又はあらかじめ設定可能な態様で隣り合わせに配置することができる。
【0014】
ガイド要素は、例えばロッドを有することができる。1つあるいはすべての移送装置はそれぞれの例えば中央領域に、凹部(切り欠き部)を有することができる。移送装置は、その凹部に沿ってロッドの上から嵌め込んで実質的に同じ位置で複数の移送装置を積み重ねることができる。特に、ロッドは液容器の中央部分に垂直に設けることができる。そして1以上で最大数までの移送装置を、その中央部に設けた凹部に沿ってロッドの上から嵌め込んで、垂直方向に(同じ位置で)積み重ねることができる。代替的又は追加的に、1以上の別のガイド要素を設けることができる。これは液容器の端部に横方向に、例えばスロット又はレール形状に設けることができる。移送装置の端部をこれらと実質的に相補的な形状とすることにより、移送装置を同様に同じ位置で積み重ねることができる。
【0015】
好ましくは、ロッドは丸いか、角型状又は円形の断面を有する。移送装置の凹部は、実質的にロッドと相補的な断面を有する。もしもロッド又は凹部が円形の断面であれば、移送装置は、ロッドの長軸を回転軸としてロッドの回りを回転することができる。もしもロッド又は凹部が丸いか又は角型状の回転対称形でない断面の場合は、ロッドが、複数のセグメントであってこれらのセグメントが回転軸としてのロッドの長軸の回りで個々に且つ互いに相対的に回転可能であるセグメントを有していない限り、移送装置はロッドの回りを回転できない。
【0016】
特に好ましい実施形態において、移送装置は2以上の扇状部材に分割されており、それぞれ1以上のカセットを保持することができる。これは例えば、移送装置に、各扇状部材を形成する内壁を設けることで達成できる。
【0017】
移送装置の外形は、特に丸いか、角型状か又は円形であることが好ましい。移送装置の外形が角型状に形成されている場合、それは三角形、四角形、六角形、あるいはより一般的には多角形でありうる。液容器の断面形状は、移送装置の外形と実質的に相似した形状でありうる。したがって丸いか、角型状か又は円形の断面である。円形の移送装置は、回転ラック(カルーセル)として構成できる。
【0018】
特に好ましい実施形態によれば、扇状部材に含まれるカセットを移送装置から取り外すために、扇状部材自体が移送装置から取り外し、取り付け可能である。その結果、2以上の扇状部材が1つの移送装置に伴って一緒に移送される。しかし、扇状部材を移送装置から取り外し、他の扇状部材に置き換えたり、あるいは扇状部材を取り外さないまま、多かれ少なかれ全部は入っていない状態で、組織浸潤装置を通過させることも可能である。試料をもったそれぞれ1以上のカセットを保持し、移送装置とともに移送される扇状部材は、こうして選択的に移送装置から取り外し、又は取り付けることができる。その結果、特に有利には、それぞれの試料即ちカセットの優先度に対して、より柔軟に対応することができ、例えばより短い別の処理サイクルで組織浸潤装置を通過させることができる。
【0019】
特に好ましい実施形態によれば、各扇状部材を移送装置から自動的に取り外し、又は自動的に移送装置に運ぶため、扇状部材は移送機構により移送される。これは例えば、一方では移送装置全体をグリップでき、他方では各扇状部材をグリップでき、かつ組織浸潤装置内を移動できる1つのロボットアームを移送機構が備えることにより達成できる。代替的に、移送機構が2つの異なる形状のロボットアームか、2つの異なるグリップ用具を備える1つのロボットアームを持つことができる。これにより、1つのロボットアームか、1つのグリップ用具で移送装置をグリップし、他のロボットアーム又は他のグリップ用具で各扇状部材をグリップし、組織浸潤装置内を移動させることができる。
【0020】
ある実施形態によれば、移送装置は、その上に1以上の扇状部材を可逆的に取り付け可能(取り付け、取り外し可能)とした、実質的に管状又はスリーブ形状の中心部材を有する。この実施形態では、1つの扇状部材は1以上のカセットを保持することができる。言い換えれば、この管状又はスリーブ形状の中心部材は、可逆的に取り付け可能な1以上の扇状部材を支持する構造である。ここで、管状又はスリーブ形状の中心部材を有する移送装置は、ロッドの形状をしたガイド要素の上から嵌め込むように設計した凹部を有することができる。これにより、1以上の扇状部材を有する移送装置又は扇状部材を有しない移送装置のいずれでも、ロッドの上から嵌め込んで液容器の中に配置し、あるいはそれぞれを積み重ねることができる。こうして移送装置は、移送装置の底部領域で、円周上に隣り合わせに配置した複数の扇状部材を保持することができる(ちょうどケーキプレートの上に並べた個々のケーキに似ている)。実質的に管状又はスリーブ形状をした移送装置の中心部材の代わりに、例えば実質的に円形又は角状の断面を有する、あるいは円形又は角状の底部領域を有する中心部材とすることができる。中心部材は凹部を有しており、この凹部により、移送装置の中心部材には、この中心部材をロッドの形状をしたガイド要素の上に差し込んで、複数の移送装置を積み重ねることができる。
【0021】
このように移送装置及び扇状部材を設計することにより、積み重ねた扇状部材が実質的に互いに垂直方向に配列されるように、2以上の移送装置を液容器の中に上下に積み重ねることができる。これにより、液容器中のもっとも上に配置された移送装置から1以上の扇状部材を有利な方法で取り出すことができ、他の液容器に配置された、扇状部材の空きスペースを有する移送装置に運ぶことができる。したがって、扇状部材に保持されたカセットあるいは試料は、その組織浸潤装置を加速して通過できるのである。さらに、異なる移送装置の扇状部材を垂直方向に同列に配置することにより、液容器中でもっとも上に配置された移送装置の扇状部材でなくとも取り出すことができる。むしろ、(もっとも上の)移送装置の扇状部材のスペースが空いていて、移送機構によってアクセスできる場合、液容器中のもっとも上に配置された移送装置より下にある移送装置の扇状部材を有利に取り出すことができる。これに関し、積み重ねられた移送装置の各扇状部材を個別に取り出し、あるいは配置できるようにするため、フレキシブルでモジュール式のアクセス方法が可能である。
【0022】
実質的に垂直な軸、例えば互いに独立して回転可能であり、互いに同軸上に配置されたそれぞれのロッドセクションの回りを、液容器中の各移送装置が回転可能となるようにガイド要素を設計することにより、さらにそれぞれの扇状部材に選択的にアクセスするための柔軟性を高めることができる。このため、例えば各ロッドセクションは少なくとも一部に中空軸を設け、その内部に又はそれを覆うように他のロッドセクションが挿入され、又ははめこまれる。各ロッドセクションは、液容器中の液が各ロッドセクションの間を通じて液容器から漏出しないように、シールされている。各ロッドセクションは、例えば液容器から下方へ突き出ており、そこで各ロッドセクションは選択的に、例えばギヤ又はベルト機構の電気モータ - 特にステッピングモータ - を用いて機械的に駆動されうる。これにより、例えば液容器中のもっとも上に位置する、扇状部材の空きスペースを持つ移送装置を実質的に垂直な軸の周りに回転させることにより、下部に位置する移送装置の扇状部材が移送機構により上部からアクセス可能となるようにし、より上にある移送装置やそれに配置された扇状部材を液容器から取り出すことなく、下部に位置する移送装置の扇状部材を液容器から取り出すことができるようになる。その結果、扇状部材に含まれる各試料あるいはそれぞれのカセットへのアクセスの柔軟性が、もっとも有利な形態で増加する。
【0023】
好ましい実施形態によれば、移送装置及び/又はカセット及び/又は扇状部材は、識別要素を有する。この識別要素により、各移送装置、カセット又は扇状部材が識別できる。この識別要素はバーコード、機械読み取り可能な印刷、トランスポンダ又はRFIDタグ(ラジオ周波数(電波)識別タグ)でありうる。この識別要素をもとに、組織浸潤装置内におけるカセット、移送装置又は扇状部材の位置を検知できる。識別要素をもとに、カセット、移送装置又は扇状部材の残り処理時間も知ることができる。この方法は、予定したよりも早く試料あるいはそれぞれのカセットにアクセスしなければならないときに有益であり、その場合は試料はマニュアル(手動)で処理できる。
【0024】
特に好ましい実施形態において、組織浸潤装置は、移送機構及び/又は組織浸潤装置のコンポーネントを制御できる制御装置を有する。この制御装置により、特に移送装置及び/又はカセット及び/又は扇状部材を液容器に導入し、所定の浸漬時間だけ滞留させるように、移送機構を制御することができる。したがって、制御装置により、組織浸潤装置で処理すべき移送装置又は扇状部材を所定の操作シーケンス又は順序で液容器を通過させ、そして組織浸潤装置の貯蔵ユニットから、又は貯蔵ユニットへ、移送するように移送機構を制御することができる。制御装置は、各移送装置あるいはそれぞれの各扇状部材のために個別の操作シーケンスを実行できるように設計されうる。組織浸潤装置の別のコンポーネントも制御装置で制御されうる。例えば上記ロッドセクションのそれぞれの回転は、制御装置で制御できる。制御装置は、液容器の液を攪拌する攪拌器を制御し、あるいは液容器への注液及び/又は排液ユニットを制御することができる。注液及び/又は排液ユニットは液体ポンプ及び/又はバルブでありうる。
【0025】
優先基準が入力及び/又は決定され、それに基づき移送装置/扇状部材の順序が決定され、あるいはそれに基づき、それぞれの移送装置/扇状部材の優先的あるいは加速された処理が可能であることが特に好ましい。優先基準は、例えばオペレータによって入力されうる。さらに優先基準は、ネットワークを通じて、あるいはデータベースシステムから、組織浸潤装置へ送ることも考えられる。この方法は組織浸潤装置が研究室制御システムに組み込まれている場合に特に有益である。
【0026】
移送装置の順序が、カセット及び/又は移送装置及び/又は扇状部材の識別に基づき、決定でき、変更することが可能である。カセット又は移送装置の識別に関する情報に加え、組織浸潤装置内の試料への処理形式に関する情報も提供される。これは識別要素に適切な方法(コード等)で保存されるか、あるいはもしもカセット又は移送装置又は扇状部材のそれぞれごとに識別が行われる場合は、例えばネットワークを通じて組織浸潤装置に送られる。このため、少なくとも1つの読み取り装置を組織浸潤装置内に設ける必要がある。これにより、カセット又は移送装置又は扇状部材の識別要素をそのたびに読み取ることができる。この情報は、組織浸潤装置の制御ユニットに提供されうる。制御ユニットは、カセット又は各移送装置/扇状部材から読み取った情報に基づき、各移送装置/扇状部材即ちカセットの操作シーケンス又は処理順序を決定でき、あるいはあらかじめ決定できるように設計される。これにより、それらは変更可能に誘導され、あるいは所定の処理目標に関して、組織浸潤装置の液容器に最適な方法で誘導されることができる。このような処理目標は、組織浸潤装置内での各カセットの処理時間であり、できるだけ短く設定される。さらなる処理目標は、ある種の試料のための特別な操作シーケンスでありうる。
【0027】
各試料及び/又は各カセットのあらかじめ設定可能な優先度(優先順位)を、移送装置及び/又は扇状部材のために考慮することが好ましい。この優先度は、オペレータからマニュアルで入力でき、例えば組織浸潤装置の制御装置に提供することができる。代替的に、優先度は、カセット、移送装置又は扇状部材の識別要素に付加又はコーディングし、その優先度を識別要素が保持する情報とともに読み取り装置で読み取り、組織浸潤装置の制御装置に提供することができる。また、組織浸潤装置が例えば研究室制御システムに組み込まれている場合、各試料の優先度を、ネットワークを通じて及び/又はデータベースシステムから、組織浸潤装置又はその制御装置に送ることも考えられる。この優先度にしたがって、制御装置は、カセット、移送装置又は扇状部材が優先度にしたがって組織浸潤装置で移送されるように、移送装置を制御することができる。
【0028】
例えば手術前の患者から採取したバイオプシー試料のように、ある試料を優先的にきわめて早く処理できることが好ましい。特に、非常に小さいバイオプシー試料は、組織浸潤装置の各液容器にきわめて短時間(例えば各々ほぼ15分程度)滞留させることで処理できる。対照的に、非常に大きな試料、例えば外科的組織は、処理時間に関しては重要ではない。このような組織も組織浸潤装置の各液容器で同様に処理される。しかし、この処理は5時間にも達する可能性がある。したがって好ましい実施形態において、試料 - 特に小さい試料 - は、1つあるいはすべての液容器において、比較的短い滞留時間にあらかじめ設定することができる。これは、本発明のように各移送装置を液容器の中で互いに上下に、及び/又は互いに隣接して配置し、又は各扇状部材に選択的にアクセスすることで達成可能である。
【0029】
処理の流れをできるだけスムーズあるいは簡単に行うことを保証するため、液容器の中では滞留時間の短いカセットを保持した移送装置及び/又は扇状部材の上には、別の移送装置及び/又は扇状部材を積み重ねないようにすることができる。また、液容器の中で、滞留時間の短い少なくとも1つのカセットのための移送装置及び/又は扇状部材を配置するための場所を少なくとも1箇所、空けておくことができる。このようなことを組織浸潤装置の制御装置が適切に考慮し、移送機構により、移送装置又は各扇状部材の移送運転によって制御しうる。
【0030】
特に好ましい実施形態において、3以上の液容器が配され、それぞれごとに少なくとも1つの移送装置が投入されうる。それぞれの液が各液容器に満たされる。1以上の移送装置がこのような液容器に入れられ、そして移送装置に保持されたカセットが液に浸漬され、液がカセット及び試料に作用する。3つの液容器はそれぞれ、固定のため、脱水のため及び試料をワックス化/パラフィン化するために適した液で満たされることが有利である。これに関し、これらの3つの液容器は組織浸潤装置の3つの連続して通過する処理ステーションということができ、そしてその内部での化学的処理手続きという観点から、組織浸潤装置において主として実行すべき処理ステップの適切な分割といえる。この分割は、試料の固定、脱水、ワックス化/パラフィン化のそれぞれが、全処理時間のおよそ3分の1ずつを占めるという理由から、特に有益である。したがって移送装置がある液容器から次の液容器に移送されるサイクル切り替え時間は、全処理時間の3分の1ということになる。これに関し、すばやく処理すべき移送装置を組織浸潤装置に搬入し、その移送装置の順番をサイクル切り替えの際に入れ替えることができる。
【0031】
基本的に、組織浸潤装置の個々の液容器あるいはコンポーネントは、モジュール形式(組み替え可能)で構成されており、そのため個々の液容器は組織浸潤装置の中で容易にかつコスト的に有利に、それぞれの適用ケースに応じて、モジュール形式で組み合わせることができる。そこで、移送機構も同様にモジュール形式で拡大ないし構成できるように設計することが好ましい。設置される制御装置もまた、モジュール形式の装置結合に適合でき、あるいは拡大できるようにすることができる。
【0032】
既に述べたように、少なくとも1つ - 好ましくは5つ - の液容器が、カセットに含まれる試料を固定するために用いられ、そのためそれに適した液を満たすことができる。1つの液容器は、カセットの試料を脱水するために用いられ、脱水に適した1以上の液を満たすことができる。別の液容器はカセットの試料をワックス化/パラフィン化するために用いられ、少なくともそのために適した液で満たすことができる。
【0033】
1以上の液容器に別の液を自動的に満たすことも考えられる。特にこれは、所定の、或いは設定可能な時間が経過した後に行うことができる。つまり、特に脱水のための液容器に、異なるアルコール濃度を持つアルコール溶液を入れることができる。追加的に、あるいは代替的に、液容器に別の液をオペレータが入力して、いわばマニュアルで、満たすことができる。
【0034】
1以上の液容器の液レベル及び/又は投入液量は、例えば高さを変えることができる液容器の底面により、あらかじめ決めることができるか、あるいはそのつど設定することができる。これにより、液の効果的な液レベルをそれぞれの処理ステップ又は移送装置の浸漬に最終的に適合させることができ、液あるいは試薬を節約することができる。
【0035】
特に好ましい実施形態において、移送装置は、あらかじめ定めることができる処理手順に従って、最初に固定のための液容器を、次いで脱水のための液容器を、そしてワックス化/パラフィン化のための液容器を通過する。したがってそのための液容器はそのように配列されるか、移送装置が処理手順にしたがって移送機構により浸漬される。
【0036】
一般的には、移送機構は1つの移送装置及び/又は複数の移送装置を移動できる手段を有する。その手段は1つ又は複数の扇状部材にも適用できる。そのため、移送機構は移送装置又は扇状部材を把持するための要素を有する。移送機構がフックする(引っ掛ける)ことができるようにした要素で、移送装置/扇状部材を引っ掛けるようにしてもよい。さらに、そのようなつかみ要素やフック要素が前後及び/又は上下に移動できるような手段を設けてもよい。そのため、伸縮要素と結合したレールシステムを用いることができる。しかし最も好ましい実施形態では、移送機構は、少なくとも1つの移送装置及び/又は扇状部材を組織浸潤装置内で移送できる、さらには組織浸潤装置内に搬送、及び/又は組織浸潤装置から搬出できる、1以上のロボットアームを有する。このようなロボットアームは、アーム構造を介して組織浸潤装置の一筐体部とともに垂直方向及び/又は水平方向に移動可能であるつかみ要素やフック要素を有する。こうすることにより、移送装置又は扇状部材は持ち上げられ、水平方向に移動され、液容器に挿入される。ロボットアーム又は移送機構は、移送装置又は扇状部材を組織浸潤装置から搬出できるように構成される。そのような移送機構により、移送装置及び/又は扇状部材は、さらに別な処理装置へと供給又は移送することができる。このような移送機構を用いて、組織浸潤装置を通過し終わった移送装置及び/又は扇状部材を組織浸潤装置の搬出エリアへ載置するようにしてもよい。同様に、移送機構を用いて、移送装置及び/又は扇状部材を組織浸潤装置の外部から持ってきて、装置内に搬入することもできる。
【0037】
1以上の移送装置及び/又は扇状部材、好ましくは5つまでの移送装置及び/又は扇状部材を貯蔵できる、1以上の貯蔵ユニットを設けることができる。最も簡単な例では、貯蔵ユニットは1以上の移送装置(及び/又は扇状部材、以下同様)を置く、あるいは中間的に保管するエリアとして形成できる。貯蔵ユニットは、複数の収容位置、例えば2〜6つの収容位置を有する回転ラック(カルーセル)として構成することもできる。このような収容位置において、移送装置/扇状部材は貯蔵ユニットでの中間貯蔵のために収容することができる。もしも移送機構が実質的に直線的な移動方向しか有さない場合は、回転ラック式貯蔵ユニットはその移動経路に沿った位置に配することができる。必要であれば、移送装置/扇状部材は移送位置の貯蔵ユニットに搬送することができる。回転ラックを回転させることにより、貯蔵ユニットの別の収容位置を移送位置にもってくることができ、別の移送装置/扇状部材を貯蔵ユニットに移送できる。貯蔵ユニットにある移送装置を貯蔵ユニットから液容器に移送する場合は、その移送装置/扇状部材の収容位置が移送位置に来るように回転ラックを回転させることにより、移送機構が移送装置/扇状部材を貯蔵ユニットから取り出すことができる。
【0038】
特に、貯蔵ユニットは液容器の1つに配することができる。貯蔵ユニットは液容器と効果的に連携することができ、これは例えば移送機構により与えられる。この場合、例えば移送装置は、それが液容器内で処理された後にのみ、貯蔵ユニットに配置することができる。貯蔵ユニットは、固定用の液容器の近傍に配置されることが好ましい。
【0039】
一般的には、2つの移送装置の順序又は移送装置/扇状部材への優先的アクセスは、研究室制御システム、即ち遠隔制御であらかじめ決めることができ、或いは変更することができる。このような研究室制御システムにより、さらに別の調製装置をも制御することができ、理想的にはほぼ完全な自動試料調製が可能となる。このような組織浸潤装置又はその制御装置の統合は、研究室制御システムのネットワークを介した制御コンピュータへの接続又はデータベースシステムへの接続により実現できる。
【0040】
1以上の液容器の内容物に対して、特に所定の時間だけ、エネルギーを供給することができることが好ましい。ここでいうエネルギーとは特に、例えば熱エネルギー又はマイクロ波及び/又は超音波のような電磁波である。エネルギーを供給する液容器の内容物には、液を含み、その中の移送装置及び/又はその中の扇状部材及び/又はその中のカセットを含む。ワックス化/パラフィン化のための液容器にエネルギーを供給することが特に有益である。ワックス化/パラフィン化処理を促進することができるからである。
【0041】
カセットの中の試料が組織浸潤装置で処理された後は、処理が完了した試料全体又はカセット内のすべての試料にワックスをふりかけ、カセットと一体化させるのが普通である。これはいわゆる自動包埋装置又は包理装置で行われる。包埋化ないし自動包理化したあと、試料はミクロトームで処理即ち切断する準備が完了する。つまり、好ましい実施形態において、組織浸潤装置で処理された試料は、自動包埋装置へ移送することができる。
【0042】
本発明の教示を有利な方式で構成する並びにそれを発展させる様々な可能性がある。これらに関し、請求項1に従属する請求項を参照しつつ、図面に基づく本発明の好ましい実施例を以下に説明する。図面に基づく本発明の好ましい実施例の説明に関連し、一般的な好ましい構成とその発展例についても説明する。図面はすべて概略図である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1の実施例に係る組織浸潤装置である。
【図2】本発明の移送装置の第1の実施例の斜視図である。
【図3】移送装置によって保持される本発明に係る扇状部材の一実施例の斜視図である。
【図4】試料を保持できるカセットの斜視図である。
【図5】本発明の移送装置の第2の実施例の斜視図である。
【図6】個々の扇状部材を備えた2段に重ねた移送装置の斜視図である。
【図7】複数のロッドセクションを有するロッド形状のガイド要素の実施例の断面図である。
【0044】
図中において、同じ又は類似の部材又はアセンブリは同一の符号を付している。
【実施例1】
【0045】
図1は本発明の第1の実施例に係る組織浸潤装置1である。組織浸潤装置1は、搬入ステーション2と搬出ステーション3を有する。オペレータは、移送装置4を組織浸潤装置1の搬入ステーション2に移動させることができる。同じようにして、オペレータは組織浸潤装置1を通過した移送装置4を搬出ステーション3から取り出すことができる。1つの移送装置4の模式図として、移送装置4には複数のカセット5を保持することができ、そして図1の実施例においては1つの移送装置4について60個のカセット5を保持することができる。図1に示す移送装置4では、円形の基礎領域を有しているが、代替的に矩形の基礎領域を有することもできる。基本的に、図1に示す組織浸潤装置1では、円形の基礎領域の移送装置4も矩形の基礎領域の移送装置4も処理可能である。
【0046】
図1に示す組織浸潤装置1には、移送装置4を組織浸潤装置1内で、実際のところ搬入ステーション2から搬出ステーション3まで、移送するための移送機構6をさらに有する。さらに組織浸潤装置1には、1以上の移送装置4を浸漬できる液容器7を有することを模式的に示している。移送装置4は、組織浸潤装置1をほぼ左側から右側へ処理手順8の方向へ移動する。組織浸潤装置1は、移送装置4を組織浸潤装置1の内部であらかじめ設定可能な条件で中間貯蔵できる貯蔵ユニット9を有する。したがって、搬入ステーション2又は液容器7から貯蔵ユニット9まで、移送装置4は移送機構6を用いて移動できる。
【0047】
さらに組織浸潤装置1は、移送機構6を制御する制御装置10を有する。制御装置10は、移送機構6、搬入ステーション2、貯蔵ユニット9及び液容器7に制御ライン22によってこれらのコンポーネントの情報交換及び制御のため接続されているが、すべての制御ライン22が図1に図示されているわけではない。
【0048】
特に、3つの異なる種類の液容器7が配される。液容器11は試料を固定するためのものであり、そのため固定用の液12が満たされている。液容器11には、仕切り17で互いに分離された4つの部分容器11a、11b、11c、11dを有する。4つの部分容器11a、11b、11c、11dには、液12を互いに独立して満たすことができる。液容器13は脱水のためであり、それに適した液14が満たされている。液容器15は試料をパラフィン化するためのものであり、それに適した液16が満たされている。移送機構6はレールシステムの形式で構成されており、そのためレール18を有する。レール18の上には、移送アーム19が移動可能にガイドされている。移送アーム19には、移送装置4を移送アーム19に結合させるための結合要素20を有する。
【0049】
本発明によれば、少なくとも2つの移送装置4を、1つないし全部の液容器7に、積み重ねて入れることができる。液容器7に入れられる移送装置4は、それぞれの液容器7ごとに浸漬時間を変えてもよい。本発明によれば、2以上の移送装置4を隣接させて1つの液容器7に入れることができ、実際には液容器7の部分容器11dに入れることができる。部分容器11dに入れた移送装置4もまた、液容器7での浸漬時間を変えることができる。
【0050】
移送装置4を実質的に一致させた状態で積み重ねるために、各液容器7の中にロッド21の形態をした各1つのガイド要素を設ける。移送装置4をロッド21の上から挿入するために、各移送装置4にはその中央領域に凹部(切り欠き部)を有する。図1に示すロッド21と対応する移送装置4の凹部(切り欠き部)は、円形の断面を有する。
【0051】
図1では、移送装置4はカセット5を直接保持しているように、模式的に図示している。代替的に、移送装置4は、移送装置4から取り外し可能な複数の扇状部材23を保持することもできる。扇状部材23は複数のカセット5を保持することができる。移送機構6、特に結合要素20は、移送装置4と扇状部材23の両方を移送できるように構成される。
【0052】
図2は、本発明の移送装置4の一実施例の斜視図である。この中にカセット5又は扇状部材23を入れることができ、したがって個々のカセット5、又は1以上のカセット5を保持できる個々の扇状部材23が図2の移送装置4とともに移送されることになる。図2の移送装置4は、外周端部24とともにほぼ円形の底部領域を有する。移送装置4の中央領域には、移送機構6の結合要素20によって把持される円形のフランジ部材25が設けられる。移送装置4の内部領域26は、個別のカセット5及び1以上の扇状部材23を収容する。図2では、ロッド21とその上から挿入された2つの移送装置4が図示されている。同様に、移送装置4の内部領域26には仕切り30が図示されており、これによって内部領域は2つの扇状部材26a、26bに分割することができる。これにより、例えば扇状部材26aにはカセット5のみを入れ、扇状部材26bには1以上の扇状部材23を入れることができる。
【0053】
図3は扇状部材23の斜視図であり、その形状は一切れのケーキに例えることができる。扇状部材23には複数のカセット5を保持することができ、このことは点線で示されたカセット5の輪郭線で示唆されている。扇状部材23は結合要素33を有し、移送機構6の結合要素20がこれを把持することができる。したがって扇状部材23は移送機構6によって別々に移送することができる。
【0054】
図4は組織試料34を入れるカセット5の一実施形態を模式的に示したものである。カセット5には、図4には示していないが格子状の開口部を有する格子壁があり、個々の液容器7の液がカセット5の内部に入り、組織試料34に作用する。図4に示すカセット5は、特許文献1により公知のカセットと同じように構成している。
【0055】
移送装置4には、トランスポンダ27の形式の識別要素が設けられていることが模式的に示されている。同様に、扇状部材23とカセット5にもトランスポンダ27がそれぞれ配されている。識別要素の中には、図示しない試料を含むカセット5と同様、移送装置4、扇状部材23又はカセット5を識別するための情報を保存できる。さらに、トランスポンダ27には、試料が処理される、或いは処理された処理手順に関する情報を保存することができる。また、トランスポンダ27には、移送装置4に含まれる個々の試料又は移送装置4の処理優先度に関する情報を含むことができる。図1に示す読取りユニット28により、トランスポンダ27に保存された情報を非接触で読み取り、制御ユニット10へ移送することができる。移送装置4又は扇状部材23のトランスポンダ27から読み取った情報により、制御ユニット10は移送装置4又は扇状部材23ごとの処理手順を立案し、それにしたがって実行することができる。搬出ステーション3の近傍には書込みユニット29があり、移送装置4又は扇状部材23が組織浸潤装置1内を通過して処理されてきた個々の処理手順に関する情報を、それぞれのトランスポンダ27に書き込むことができる。
【実施例2】
【0056】
図5は、移送装置4の更なる実施例である。移送装置4は、実質的にスリーブ形状に構成された中心部材35を有し、その上部領域には、移送機構6の結合要素20により把持される円形のフランジ部材25を含む。移送装置4の下部領域には、移送装置4に搭載される扇状部材23が少なくともその上に部分的に支持される円形のディスク36を含む。スリーブ形状の中心部材35は、扇状部材23に配された対応する取付け要素38と協働する取付け要素37をさらに含む。これにより、取付け要素38を有する扇状部材23は、移送装置4の取付け要素37のうちの1つに取り付けることができる。したがって、図5に示す移送装置4では、スリーブ形状の中心部材35に全部で8個の扇状部材23を取り付けることができ、移送装置4とともに移送することができる。図5において、下側の移送装置4はすでにロッド21に挿入されている。図5に示す運転状態では、扇状部材が取り付けられていない上側の移送装置4は、ロッド21に上部から挿入される。上部の移送装置4には、ロッド21の円形断面とほぼ相補的形状に構成された円形の断面を有する凹部(切り欠き部)39を見ることができる。
【0057】
図6は、ロッド21に挿入して積み重ねた2つの移送装置4の模式的斜視図である。わかりやすくするため、移送装置4の詳細、例えば円形のフランジ部材25、取付け要素37、38、扇状部材23のトランスポンダ27と結合要素33は図6では図示していない。下側の移送装置4には、全部で8個の扇状部材23が取り付けられている。上側の移送装置4には、7個の扇状部材23が取り付けられている。下側の移送装置4の扇状部材23は、上側の移送装置4の扇状部材23と、垂直方向に揃えられて(位置合わせされて)いる。図6に図示しない移送機構6、又は移送アーム19により、上側の移送装置4の空き空間(扇状部材がない部分)の下部に位置する下側の移送装置4の扇状部材23にアクセスすることができる。
【0058】
ここで、図6のロッド21は複数の個々のロッドセクション40により構成することができる。図7にその断面模式図を示す。上部ロッドセクション41には、中心部に下方に伸びる中央シャフト領域42を有する。その同軸上に、中間ロッドセクション43が上部ロッドセクション41の中央シャフト領域42に挿入されており、上部ロッドセクション41とは個別に、又は独立に回転できるようになっている。中間ロッドセクション43には、中央から下方に伸びる中空シャフト領域44を有する。最後に、中間ロッドセクション43の中央の中空シャフト領域44に下部ロッドセクション45が挿入されており、これは実質的にチューブ形状をしている。各ロッドセクション41、43、45は、液容器から突出して底面52よりも下側に位置する下部領域に、噛み合い歯46、47、48をそれぞれ有し、各噛み合い歯は図示しない歯車と選択的に係合することにより、同じく図示しない1以上の電動モータによって選択的に駆動することができる。このように、図7のロッド21の各ロッドセクション41、43、45は、互いに独立かつ個別に回転させることができる。その結果、図6の上側又は下側の移送装置4は垂直の回転軸49(ロッド21の長軸に対応)の回りで回転させた所定の位置にもってくることができ、有利な方法で、上側及び下側の移送装置4の任意の扇状部材23に選択的にアクセスすることができる。もしも下側の移送装置4の扇状部材23にアクセスしたい場合、上側の移送装置4には少なくとも1つ、扇状部材23のための空き空間が必要である。ロッドセクション41、43、45は、介在領域にシール51を有するため、液容器の液が流出することはない。3つより多いロッドセクションも配置可能である。
【0059】
図1では、移送機構6はレール18又はレールシステムに基づいているが、図示しないロボットアームにより、組織浸潤装置1内において移送装置4及び/又は扇状部材23を移送することができる。
【0060】
ここで、制御装置10は、1つないしすべての液容器7において、組織浸潤装置1における迅速な処理が必要なカセット5又は試料を移送する移送装置4のための最上段の位置を各々空けておくように、移送機構6を制御することができる。このことを図1において、液容器11d、13及び15の最上段の移送装置4を点線で記載することにより示している。これにより、迅速な処理が必要な移送装置4は、液容器7の1つ液容器7において下の位置に配置された他の移送装置4を追い越すことができる。
【0061】
脱水に用いられる液容器13の液14を交換できるようにするための液交換装置50が模式的に示されている。この装置はポンプ(図示せず)及びバルブ(図示せず)を含み、2つの結合ラインにより液容器13と接続されている。マイクロ波の形式で構成された加熱ユニット31が液容器15の近くに配されており、液容器15の液16、そして即ち試料に対して熱エネルギーを供給できる。これによりパラフィン化処理が加速される。
【0062】
図1の組織浸潤装置1は、ネットワーク接続32を通じて図示しない研究室制御システムに統合接続されている。このシステムは制御コンピュータを有し、中でも患者のデータを保存するデータベースシステムに接続されている。
【0063】
最後に、上述の実施例は単に本発明の教示を説明するためのものであり、本発明を上記実施例に限定する意図を持つものではないことを特に指摘しておく。
【符号の説明】
【0064】
1 組織浸潤装置
2 搬入ステーション
3 搬出ステーション
4 移送装置
5 カセット
6 移送機構
7 液容器
8 処理手順
9 貯蔵ユニット
10 制御装置
11 固定用液容器
11a−11d 11の部分容器
12 固定液
13 脱水用液容器
14 脱水用液
15 パラフィン化用液容器
16 パラフィン
17 仕切り
18 レール
19 移送アーム
20 19の結合要素
21 ロッド(ガイド要素)
22 制御ライン
23 扇状部材
24 4の外周端部
25 4の円形フランジ部材
26 5及び/又は23を収容するための4の領域(内部領域)
26a、26b 4の扇状部材
27 トランスポンダ(識別要素)
28 読取りユニット
29 書込みユニット
30 26a、26bを形成する4の仕切り
31 加熱ユニット
32 ネットワーク接続
33 23の結合要素
34 組織試料
35 4のスリーブ形状の中心部材
36 円形ディスク
37 35の取付け要素
38 23の取付け要素
39 21のための4の凹部(切り欠き部)
40 21のロッドセクション
41 上部ロッドセクション
42 41の中央シャフト領域
43 中間ロッドセクション
44 43の中空シャフト領域
45 下部ロッドセクション
46 41の噛み合い歯
47 43の噛み合い歯
48 45の噛み合い歯
49 41、43、45の回転軸ないし21の長軸
50 液交換装置
51 シール
52 液容器の底面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上の液容器(7、11a〜11d、13、15)及び移送機構(6)を含み、1つの該液容器(7、11a〜11d、13、15)にはあらかじめ設定可能な特性を有する1つの液(12、14、16)を入れることができ、
移送装置(4)には複数のカセット(5)を保持することができ、
該移送機構(6)により、該移送装置(4)を該液容器(7、11a〜11d、13、15)に入れることができ、及び/又は該液容器(7、11a〜11d、13、15)から取り出すことができ、
該移送装置(4)を組織浸潤装置(1)の該液容器(7、11a〜11d、13、15)に通過させる処理手順(8)が規定可能である、
カセットに収容された試料のための組織浸潤装置であって、
2以上の該移送装置(4)が1つの該液容器(7、11a〜11d、13、15)の中に互いに上下に及び/又は隣接して投入され、該2以上の移送装置(4)は該液容器(7、11a〜11d、13、15)内で異なる滞留時間を有することができる、
ことを特徴とする組織浸潤装置。
【請求項2】
少なくとも1つの、好ましくはすべての、前記液容器(7、11a〜11d、13、15)にガイド要素(21)が配され、該ガイド要素により2つの前記移送装置(4)を上下に積み重ね、又はあらかじめ設定可能な態様で互いに隣り合わせに配置することができ、好ましくは2つの前記移送装置(4)を実質的に同じ位置で上下に積み重ねることができる、ことを特徴とする、請求項1に記載の組織浸潤装置。
【請求項3】
前記ガイド要素はロッド(21)を有し、前記移送装置(4)は切り欠き部(39)を有し、該移送装置(4)は該ロッド(21)の上から該切り欠き部(39)に沿って挿入して複数の該移送装置(4)を実質的に同じ位置で上下に積み重ねることができる、ことを特徴とする、請求項2に記載の組織浸潤装置。
【請求項4】
前記ロッド(21)は丸いか、角型又は円形の断面を有し、前記移送装置(4)の前記切り欠き部(39)は、該ロッド(21)と実質的に相補的な断面を有する、ことを特徴とする、請求項3に記載の組織浸潤装置。
【請求項5】
前記移送装置(4)は、2以上の扇状部材(26a、26b)を有し、各扇状部材は1以上の前記カセット(5)を保持することができ、該移送装置(4)は好ましくは丸いか、円形又は角型の形状を有する、ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載の組織浸潤装置。
【請求項6】
前記扇状部材(23)に収容された前記カセット(5)を前記移送装置(4)から回収するために、該扇状部材(23)は該移送装置(4)から可逆的に取り外すことができる、ことを特徴とする、請求項5に記載の組織浸潤装置。
【請求項7】
前記扇状部材(23)は前記移送装置(4)により移送できることを特徴とする、請求項6に記載の組織浸潤装置。
【請求項8】
前記移送装置(4)は、実質的に管状又はスリーブ形状の中心部材(35)を有し、該中心部材に1以上の前記扇状部材(23)を可逆的に取り付け可能であり、該扇状部材(23)は1以上の前記カセット(5)を保持可能である、ことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一に記載の組織浸潤装置。
【請求項9】
管状又はスリーブ形状の前記中心部材(35)により、前記移送装置(4)は、ロッド(21)の形状に構成されたガイド要素の上から挿入することができることを特徴とする、請求項8に記載の組織浸潤装置。
【請求項10】
上下に配置された前記扇状部材(23)が実質的に垂直方向に位置を合わせて配列されるように、2以上の前記移送装置(4)を前記液容器(7、11a〜11d、13、15)内に上下に積み重ねることができることを特徴とする、請求項6〜9のいずれか一に記載の組織浸潤装置。
【請求項11】
前記ガイド要素(21)は、それぞれの前記移送装置(4)が前記液容器(7、11a〜11d、13、15)内で実質的に垂直な軸(49)の回りを回転可能である、例えばそれぞれ互いに別々に回転可能であり同軸上に配列されたロッドセクション(41、43、45)の回りを回転可能であるように構成されていることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一に記載の組織浸潤装置。
【請求項12】
前記移送装置(4)及び/又は前記カセット(5)及び/又は前記扇状部材(23)は、それぞれ識別要素(27)を有し、該識別要素により該移送装置(4)又は該カセット(5)又は該扇状部材(23)がそれぞれ識別可能であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一に記載の組織浸潤装置。
【請求項13】
前記識別要素は、トランスポンダ(27)(RFIDタグ)及び/又はバーコード及び/又は機械読取り可能な印刷を有することを特徴とする、請求項12に記載の組織浸潤装置。
【請求項14】
前記識別要素(27)をもとに、前記組織浸潤装置(1)内の前記カセット(5)又は前記移送装置(4)又は前記扇状部材(23)の滞在箇所が検知され、及び/又は前記識別要素(27)をもとに、前記カセット(5)又は前記移送装置(4)又は前記扇状部材(23)の残り処理時間が検知されることを特徴とする、請求項12又は13に記載の組織浸潤装置。
【請求項15】
制御装置(10)を有し、該制御装置により、前記移送装置(4)及び/又は前記扇状部材(23)が前記液容器(7、11a〜11d、13、15)に投入され、そこで所定の滞留時間だけ滞留するように前記移送機構(6)が制御され、さらに該制御装置(10)により、前記組織浸潤装置(1)の別のコンポーネント、特に前記液容器(13)のための注液及び/又は排液ユニット(30)を制御可能であることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一に記載の組織浸潤装置。
【請求項16】
優先基準が入力及び/又は決定され、これに基づき前記移送装置(4)の処理順序が決定されることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一に記載の組織浸潤装置。
【請求項17】
1以上の読取りユニット(28)を有し、該読取りユニットにより前記識別要素(27)が読み取られ、前記組織浸潤装置(1)の前記制御装置(10)に提供できることを特徴とする、請求項16に記載の組織浸潤装置。
【請求項18】
前記制御装置(10)により、前記移送装置(4)及び/又は前記扇状部材(23)の処理順序が決定できることを特徴とする、請求項15〜17のいずれか一に記載の組織浸潤装置。
【請求項19】
前記移送装置(4)及び/又は前記扇状部材(23)のために、それぞれの試料(34)及び/又はカセット(5)のあらかじめ設定可能な優先度を考慮できることを特徴とする、請求項15〜18のいずれか一に記載の組織浸潤装置。
【請求項20】
特にサイズの小さい試料(34)をあらかじめ選択し、前記液容器(7、11a〜11d、13、15)の1つの中での滞留時間を比較的短く設定できることを特徴とする、請求項1〜19のいずれか一に記載の組織浸潤装置。
【請求項21】
前記液容器(7、11a〜11d、13、15)内において、滞留時間の短いカセットを含む前記移送装置(4)及び/又は前記扇状部材(23)の上部には、さらに別の移送装置(4)及び/又は扇状部材(23)を積み重ねないことを特徴とする、請求項1〜20のいずれか一に記載の組織浸潤装置。
【請求項22】
前記液容器(7、11a〜11d、13、15)内において、少なくとも1つの滞留時間の短いカセットのために、前記移送装置(4)及び/又は前記扇状部材(23)のための少なくとも1つの位置を空けたままにしておくことを特徴とする、請求項1〜21のいずれか一に記載の組織浸潤装置。
【請求項23】
少なくとも1つ、好ましくは5つ、の前記液容器(11a〜11d)が、カセット(5)に含まれる試料を固定するために用いられ、それに適した固定用液(12)を満たすことができることを特徴とする、請求項1〜22のいずれか一に記載の組織浸潤装置。
【請求項24】
1つの前記液容器(13)が前記カセット(5)に含まれる試料の脱水のために用いられ、それに適した1以上の脱水用液(14)を満たすことができることを特徴とする、請求項1〜23のいずれか一に記載の組織浸潤装置。
【請求項25】
1つの前記液容器(15)が前記カセット(5)に含まれる試料のワックス化/パラフィン化のために用いられ、それに適した1以上のワックス化/パラフィン化用液(16)を満たすことができることを特徴とする、請求項1〜24のいずれか一に記載の組織浸潤装置。
【請求項26】
1以上の前記液容器(13)が、自動的に、又はオペレータの入力により、又は前記制御装置(10)により開始され、他の液で満たされることを特徴とする、請求項1〜25のいずれか一に記載の組織浸潤装置。
【請求項27】
1以上の前記液容器(7、11a〜11d、13、15)の液レベル及び/又は液量が、例えば高さを変えることができる該液容器(7、11a〜11d、13、15)の底面により、あらかじめ設定できることを特徴とする、請求項1〜26のいずれか一に記載の組織浸潤装置。
【請求項28】
あらかじめ設定可能な処理手順(8)に従い、前記移送装置(4)は最初に固定化のための前記液容器(11a〜11d)を経由し、次いで脱水用の前記液容器(13)を経由し、そしてワックス化/パラフィン化のための前記液容器(15)を経由することを特徴とする、請求項1〜27のいずれか一に記載の組織浸潤装置。
【請求項29】
前記移送機構(6)は、前記移送装置(4)及び/又は前記扇状部材(23)を組織浸潤装置(1)に、特に組織浸潤装置(1)の内部へ、及び/又は組織浸潤装置(1)から外部へ、移送可能とする1以上のロボットアームを有することを特徴とする、請求項1〜28のいずれか一に記載の組織浸潤装置。
【請求項30】
1以上の前記移送装置(4)及び/又は1以上の前記扇状部材(23)、好ましくは5つまでの前記移送装置(4)を貯蔵可能であるように構成されている1以上の貯蔵ユニット(9)を備えることを特徴とする、請求項1〜29のいずれか一に記載の組織浸潤装置。
【請求項31】
前記貯蔵ユニット(9)は、前記液容器(7、11a〜11d、13、15)のうちの1つ、好ましくは固定化のための液容器(11a〜11d)の近傍に配置され、該液容器に効率的に連携できることを特徴とする、請求項30に記載の組織浸潤装置。
【請求項32】
例えばネットワーク(32)を介して研究室制御システムのための制御コンピュータに結合するか、又はデータベースシステムに結合することにより、研究室制御システムに統合されていることを特徴とする、請求項1〜31のいずれか一に記載の組織浸潤装置。
【請求項33】
少なくとも1つの前記液容器(15)の内容物に、特に熱エネルギー又は電磁波、例えばマイクロ波及び/又は超音波により、エネルギーを与えることができることを特徴とする、請求項1〜32のいずれか一に記載の組織浸潤装置。
【請求項34】
前記液容器(15)に、ワックス化/パラフィン化のためにエネルギーを与えることができることを特徴とする、請求項33に記載の組織浸潤装置。
【請求項35】
組織浸潤装置(1)で処理された前記カセット(5)が自動包埋装置へ移送可能であることを特徴とする、請求項1〜34のいずれか一に記載の組織浸潤装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−539463(P2010−539463A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524524(P2010−524524)
【出願日】平成20年9月16日(2008.9.16)
【国際出願番号】PCT/EP2008/062320
【国際公開番号】WO2009/034194
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(500113648)ライカ ビオズュステムス ヌスロッホ ゲーエムベーハー (45)
【Fターム(参考)】