組織結紮デバイス
【課題】より安定して結び目を形成することができる組織結紮デバイスを提供する。
【解決手段】縫合糸が取り付けられて組織の結紮に用いる組織結紮デバイスは、縫合糸に取り付けられ、縫合糸の一部を挿通可能な収容部33を有する糸止め部材30と、収容部33に挿通された縫合糸が収容部33から抜けるのを抑制する突起部34とを備えることを特徴とする。
【解決手段】縫合糸が取り付けられて組織の結紮に用いる組織結紮デバイスは、縫合糸に取り付けられ、縫合糸の一部を挿通可能な収容部33を有する糸止め部材30と、収容部33に挿通された縫合糸が収容部33から抜けるのを抑制する突起部34とを備えることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織結紮デバイス、より詳しくは、縫合糸および糸止め部材を備える組織結紮デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
医療の分野において、組織を縫合、結紮する動作は、多くの手技において非常に重要な位置を占めているが、熟練を要する難度の高い動作である。近年、患者の侵襲を軽減する目的から、内視鏡や腹腔鏡、胸腔鏡等を用いて手術等の各種手技を行う試みが進められているが、鏡視下では、縫合糸や縫合針等を長い鉗子等で把持して操作する必要があるため、縫合、結紮等の難度はさらに高くなる。
【0003】
縫合や結紮において、特に困難なのは、縫合糸を結んで結び目を形成する動作である。結び目が緩んでしまうと縫合や結紮が解除されて重大な合併症を引き起こす場合もあるため、手技によっては結び目を多数形成する場合もあり、その場合難易度はさらに上昇する。
【0004】
この問題を解決するための一つの方法として、特許文献1に記載の医療用縫合器が提案されている。この医療用縫合器は、糸止め部材に縫合糸が接続された縫合体を備えている。糸止め部材は、縫合糸の一部を収容可能な収容部を有している。曲針等を用いて組織に係止された縫合糸を収容部に通し、縫合糸を引き絞ってから、かしめや超音波等により収容部を変形させると、収容部に収容された縫合糸の一部が糸止め部材に固定される。このようにして結び目が形成されるため、結び目の形成が容易になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−140982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の医療用縫合器には以下の課題が残されている。縫合糸の一部を収容部に収容した後、縫合糸を引き絞る際に、縫合糸が収容部から抜けてしまうことがある。この場合、もう一度縫合糸を収容部に通さなければならない。また、実際の手技において使用される縫合体では、例えば糸止め部材の寸法が1ミリメートル(mm)角以下、縫合糸の径が0.2〜0.3mm以下といったごく小さい寸法であることも珍しくない。このような場合、縫合糸を収容部に通す動作自体が容易ではないため、縫合糸が途中で収容部から抜けてしまうと、縫合等の作業効率が著しく低下してしまう。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、より安定して結び目を形成することができる組織結紮デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の組織結紮デバイスは、縫合糸が取り付けられて組織の結紮に用いる組織結紮デバイスであって、前記縫合糸に取り付けられ、前記縫合糸の一部を挿通可能な収容部を有する糸止め部材と、前記収容部に挿通された前記縫合糸が前記収容部から抜けるのを抑制する抜け止め部とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の組織結紮デバイスにおいて、前記抜け止め部は、前記糸止め部材に形成されてもよい。
前記抜け止め部は、前記収容部内に突出する突起部を含んでもよいし、少なくとも一つの方向から見た状態において、前記収容部の寸法を他の部位よりも小さくする狭窄部を含んでもよい。
さらに、前記収容部は、少なくとも一つの方向から見た状態において屈曲されており、屈曲状態が前記抜け止め部として機能するように構成されてもよい。
【0010】
本発明の組織結紮デバイスは、前記糸止め部材に取り付けられた縫合糸をさらに備えてもよい。
また、本発明の組織結紮デバイスは、前記縫合糸の一端に取り付けられた縫合針をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の組織結紮デバイスによれば、より安定して結び目を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第一実施形態の組織結紮デバイスを示す図である。
【図2】同組織結紮デバイスの糸止め部材を示す拡大斜視図である。
【図3】同組織結紮デバイスの使用時の動作を示す図である。
【図4】同組織結紮デバイスの使用時の動作を示す図である。
【図5】同組織結紮デバイスの使用時の動作を示す図である。
【図6】同組織結紮デバイスの使用時の動作を示す図である。
【図7】(a)および(b)は、同組織結紮デバイスの糸止め部材に通される縫合糸の挙動を示す図である。
【図8】縫合糸と糸止め部材とを固定する動作を示す図である。
【図9】結び目形成動作後の同組織結紮デバイスを示す図である。
【図10】(a)から(c)は、いずれも同組織結紮デバイスの変形例における糸止め部材を示す正面図である。
【図11】(a)から(i)は、いずれも同組織結紮デバイスの変形例における糸止め部材を示す正面図である。
【図12】(a)は、同組織結紮デバイスの変形例における糸止め部材を示す正面図であり、(b)は同糸止め部材が変形された状態を示す図である。
【図13】本発明の第二実施形態の組織結紮デバイスにおける糸止め部材およびその周辺を示す斜視図である。
【図14】同糸止め部材に収容された縫合糸の挙動を説明する図である。
【図15】(a)および(b)は、いずれも同組織結紮デバイスの変形例における糸止め部材を示す正面図である。
【図16】(a)から(f)は、いずれも同組織結紮デバイスの変形例における糸止め部材を示す正面図である。
【図17】本発明の第三実施形態の組織結紮デバイスにおける糸止め部材およびその周辺を示す斜視図である。
【図18】同糸止め部材の正面図である。
【図19】(a)から(g)は、いずれも同組織結紮デバイスの変形例における糸止め部材を示す正面図である。
【図20】(a)は、本発明の第三実施形態の組織結紮デバイスにおける糸止め部材およびその周辺を示す斜視図であり、(b)は、同糸止め部材の正面図である。
【図21】(a)から(c)は、いずれも同組織結紮デバイスの変形例における糸止め部材を示す正面図である。
【図22】本発明の変形例の組織結紮デバイスにおける糸止め部材を示す正面図である。
【図23】本発明の変形例の組織結紮デバイスにおける糸止め部材を示す正面図である。
【図24】本発明の変形例の組織結紮デバイスにおける糸止め部材を示す正面図である。
【図25】本発明の変形例の組織結紮デバイスにおける糸止め部材を示す正面図である。
【図26】(a)および(b)は、いずれも本発明の変形例の組織結紮デバイスを示す図である。
【図27】(a)から(c)は、いずれも本発明の変形例の組織結紮デバイスにおける糸止め部材を示す図である。
【図28】(a)および(b)は、いずれも本発明の変形例の組織結紮デバイスにおける糸止め部材およびその周辺を示す図である。
【図29】(a)から(c)は、いずれも本発明の変形例の組織結紮デバイスにおける糸止め部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の第一実施形態について、図1から図12(b)を参照して説明する。
図1は、本実施形態の組織結紮デバイス(以下、「結紮デバイス」と称する。)1を示す図である。結紮デバイス1は、縫合糸10と、縫合糸10の第一の端部10Aに取り付けられた縫合針20と、縫合糸10の第二の端部10Bに取り付けられた糸止め部材30とを備えている。
【0014】
縫合糸10は、好ましくは樹脂や金属からなり、直線状態を維持しようとする弾発性をある程度有するものが好ましいが、弾発性を有さないものでもよい。樹脂材料で縫合糸10を形成する場合は、抜糸が不要になる等の観点からは生体吸収性の樹脂が好ましい(この場合は糸止め部材も吸収性の樹脂で形成されるのが好ましい)が、非吸収性のものでも構わない。また、縫合糸10は、モノフィラメント(単線)のものとマルチフィラメント(複線)のものとを用途等を考慮して使い分けることができる。モノフィラメントのものとしては、1つの素材からなる単線や、引張強度の大きい素材からなるコアと溶着性の良好な素材からなるクラッドとの二層構造をなすもの等、複層構造のものも使用できる。マルチフィラメントのものとしては、複数の素線を編んで形成したもの、撚って形成したもののいずれも用いることができる。また、異なる複数の材料からなる素線を組み合わせて形成されたものでもよい。
【0015】
縫合針20は、公知の各種のものを使用することができ、直線状のもの、湾曲状のもの、先端部のみ湾曲し、他の部位が直線状に形成されたもの等を、縫合部位等を考慮して適宜選択することができる。縫合糸10と縫合針20との接続態様には特に制限はなく、後述する結び目形成動作や縫合糸を組織内に通す動作において両者の接続部位に作用する力量に対して接続状態を保持しうるものであればよい。具体的には、接着、溶着、あるいは縫合針の端部に形成した穴に縫合糸10の端部を通して結ぶ等の方法を挙げることができる。
【0016】
図2は、糸止め部材30の拡大斜視図である。糸止め部材30は、金属や樹脂等からなり、縫合糸10の第二の端部10Bが接続される接続部31と、接続部31から延びる腕部32とを有する。
接続部31は略直方体状に形成されており、縫合糸10の第二の端部10Bが挿入される挿入口31Aを有する。第二の端部10Bは、挿入口31Aに挿入され、接着等により縫合糸10と糸止め部材30とが接続されて取り付けられている。
【0017】
腕部32は、接続部31から延びる第一腕部32Aと、第一腕部32Aから分岐して接続部側に折り返されて延びる第二腕部32Bとを有する。第一腕部32Aは、糸止め部材30の正面(挿入口31Aが開口する面)視における一辺31B上から、挿入口31Aの延びる方向(以下、この方向を糸止め部材30の「厚さ方向」と称する。)と略直交する方向に直線状に延びている。2本の第二腕部32Bは、第一腕部32Aの端部から第一腕部32Aの幅方向両側に分岐し、曲線を描いてヘアピン状に180度折り返して接続部31に向かって延びている。これにより、縫合糸10の一部が挿通される収容部33が、糸止め部材30の厚さ方向にわたって第一腕部32Aの幅方向両側に形成されている。2箇所の収容部33は、腕部32の形状により、糸止め部材30の正面視において第一腕部32Aと概ね平行に延びている。
【0018】
第一腕部32Aと第二腕部32Bとは、ほぼ同一の幅寸法を有し、当該幅寸法は、第一腕部32Aが延びる接続部31の一辺31Bよりも短い。第一腕部32Aは、一辺31Bの長手方向中間部から延びているため、接続部31のうち、一辺31Bの長手方向両側の端部に属する領域は、収容部33内に突出する突起部34とされている。突起部34は、結び目形成動作において、収容部33に挿通した縫合糸10が糸止め部材30から外れるのを防止する抜け止め部として機能する。
【0019】
なお、糸止め部材30の大きさには特に制限はなく、縫合部位等を考慮して適宜設定されてよい。糸止め部材30の寸法が例えば1mm角等のように小さく設定される場合は、例えばステンレス鋼等からなる当該寸法の直方体の部材に対してレーザー加工、ワイヤ放電加工、切削加工等を行うことにより、好適に糸止め部材30を製造することができる。
【0020】
上記のように構成された結紮デバイス1の使用時の動作について、創部を縫合する場合を例にとり説明する。
まず術者は、結紮デバイス1を処置対象組織(以下、「対象組織」と称する。)付近に導入する。導入にあたっては、上述の特許文献1に記載されたような、シースを備えるアプリケータが用いられてもよい。
【0021】
結紮デバイス1を体内に導入したら、術者は鉗子等で縫合針20を把持し、図3に示すように創部Wの周囲の対象組織T1に掛ける。さらに、図4に示すように創部Wを挟んで対象組織T1と対向する対象組織T2に縫合針20を掛け、創部Wを縫合できるように縫合糸10を対象組織内に通す。
【0022】
次に術者は、図5に示すように、縫合糸10または縫合針20を把持して縫合糸10の一部を糸止め部材30の収容部33に通す(挿通する)。縫合糸10は、2箇所の収容部33のいずれに挿通されてもよい。そして、図6に示すように、縫合糸10の第一の端部10A側を対象組織から遠ざかるように牽引すると、第二の端部10Bに接続された糸止め部材30が対象組織T1に接近して押し付けられるとともに、対象組織内を通る縫合糸10が引き絞られて、対象組織T1と対象組織T2とが接近するように引き寄せられる。
【0023】
上記の操作において、縫合糸10は、自身の弾発性により、あるいは外力が加わることにより収容部33から外れる(抜ける)方向に移動する場合がある。しかし、このような縫合糸10の動きは、図7(b)に示すように、収容部33内に突出する突起部34により阻害されるため、縫合糸10が収容部33から抜けて糸止め部材30から外れることが好適に抑制される。すなわち、結紮デバイスでは、縫合糸が弾発性を有する場合も有さない場合も、同様に収容部からの抜けを抑制することができる。
なお、縫合糸10を収容部33に通す際は、図7(a)に示すように、縫合糸10が接続部31の側方を通って第二腕部32Bの幅方向外側から収容部33内に挿通されるため、突起部34はこの挿通操作をほとんど阻害しない。
【0024】
縫合糸10が充分引き絞られたら、術者は鉗子等により第一腕部32Aおよび第二腕部32Bを挟み、図8に示すように変形させて縫合糸10と糸止め部材30とを固定する。すると、縫合糸10と糸止め部材30とが固定された部位が縫合糸の結び目Knとして機能し、図9に示すように、対象組織T1と対象組織T2とが、創部Wを塞ぐように縫合される。以上により、結紮デバイス1を用いた結び目形成動作が完了する。結び目Knを形成する際に、縫合糸10を牽引してテンションをかけながら行うと、より確実に縫合することができる。
結び目Knの形成後、術者は余分な縫合糸10を切除し、切除した縫合糸10および縫合針20を体腔外に回収する。創部Wが大きい等の場合は、続けて新しい結紮デバイス1を導入し、上記の結び目形成動作を繰り返す。創部Wが完全に縫合されたら手技を終了する。
なお、縫合糸10と糸止め部材30とが固定された部位は、実際には男結びや女結び等の方法により形成された結び目とは異なるが、対象組織に掛けた縫合糸10が緩まないように保持するという、外科手技において形成される一般的な結び目と同様の機能を有するため、本発明においては結び目と称する。
【0025】
本実施形態の結紮デバイス1によれば、糸止め部材30において縫合糸10が挿通される収容部33内に突出する突起部34が形成されているため、縫合糸10が弾発性等により収容部33から抜ける方向に動いても、縫合糸10が収容部33から抜けることが突起部34により好適に防止される。したがって、突起部34が抜け止め部として好適に機能し、結び目形成動作を容易かつスムーズに行うことができ、安定して結び目を形成することができる。
【0026】
また、収容部33が糸止め部材30の厚さ方向にわたって形成されているため、腕部32の幅方向両側から力を加えるだけで腕部32を充分変形させることができ、糸止め部材30と縫合糸10とを、シンプルな操作で容易に固定することができる。
なお、内視鏡や腹腔鏡等を用いた手技においては、鉗子等を動かせる空間が限られているため、本発明の結紮デバイスが奏する上述の効果はより顕著となる。
【0027】
本実施形態では、1本の第一腕部32Aと2本の第二腕部32Bとを有し、接続部31の一部が突起部34とされた、外観が略錨状の糸止め部材30を説明したが、糸止め部材の形状は、様々に変更可能である。
まず、上述の錨状形状からの変更点としては、図10(a)に示す変形例のように、第二腕部32Bが一本だけ設けられてもよい。この場合、糸止め部材を小型化しやすく、微小な領域における手技に対応させやすい。また、結び目形成時に変形させる領域が少なくなり、変形操作が容易となる。
【0028】
また、接続部の一部とは別に突起部が形成されてもよい。例えば、図10(b)の変形例のように、収容部33の内面となる第一腕部32Aの側面(あるいは第二腕部32Bの側面)に複数の突起部36を形成したり、図10(c)の変形例のように、接続部31と別に各収容部33内に突出する突起部37を1つずつ形成したりしてもよい。なお、突起部36のように、収容部33のうち、縫合糸10が導入される開口33Aから離れる方向に凸となるように突起部が形成されると、縫合糸10を収容部33に通す際にはその動きを阻害しにくく、縫合糸10が収容部33から抜ける方向に動くことのみを好適に阻害することができる。いずれの場合も、突起部によってより積極的に縫合糸の動きを阻害し、縫合糸10の抜け防止効果をさらに高めることができる。
【0029】
さらに、本実施形態の糸止め部材は、上述した略錨状の形状のものには限定されない。図11(a)から図11(i)には、それぞれ糸止め部材30の他の変形例を示している。
図11(a)に示す糸止め部材30Aは、第二腕部32Bが第一腕部32Aよりも長く形成された例である。この場合は、接続部31のより広い領域が突起部として機能する。さらに、第二腕部32Bが縫合糸10を収容部に通す際のガイドとなり、より容易に結び目形成動作を行うことができる。
【0030】
図11(b)および図11(c)にそれぞれ示す糸止め部材30Bおよび30Cは、収容部33が角部33Aを有するように第二腕部32Bが急角度に折り返された例である。突起部38は、第二腕部32Bの端部に設けられている。この場合、収容部33に挿通された縫合糸10を角部33Aに押し当てる方向に縫合糸10を牽引して引き絞ることで、結び目形成動作中の縫合糸の挙動を安定させることができる。さらに、角部33Aに食い込ませた縫合糸10は緩みにくくなるため、形成後の結び目Knをより安定させることができる。
また、第二腕部32Bに突起部38が形成される場合、図11(d)に示す糸止め部材30Dのように、接続部40が腕部と同等の幅寸法に形成されてもよい。この場合は、糸止め部材30Aとは異なり、第一腕部32Aが縫合糸10のガイドとなる。
【0031】
図11(e)に示す糸止め部材30Eは、収容部33が正面視において略円形に形成された例である。このようにすると、糸止め部材の大きさに対して比較的収容部が大きくなり、視認しやすいという利点がある。この場合、腕部32において、第一腕部と第二腕部との境界は明確でなく、腕部32の先端を含む所定の長さの領域が突起部39とされている。
このとき、図11(f)に示す糸止め部材30Fのように、腕部32とは別に突起部41が設けられてもよい。この場合は、糸止め部材30Eよりも縫合糸を収容部に通すための開口部が挿入口31Aからより離間した位置となる。その結果、結び目形成動作において、縫合糸が絡まったり、牽引する側を間違えたりすることを防止することができる。
【0032】
図11(g)から図11(i)にそれぞれ示す糸止め部材30G、30H、および30Iは、腕部が折り返されず、第二腕部を有しない例である。この場合も、2本の腕部42間に形成された収容部43内にそれぞれ突起部44A、44B、44Cを設けることで、縫合糸10が収容部43から抜けることを好適に防止することができる。
また、糸止め部材30G、30H、および30Iのいずれにおいても、腕部を狙わずに、糸止め部材全体を鉗子等で把持してつぶすことで結び目を形成することができ、操作がより容易となる。
また、糸止め部材30Gのような形状に糸止め部材を形成する場合は、図12(a)に示すように、突起部44Aが形成された腕部42の端部から突起部44Aの長さに相当する領域において、腕部42の幅が狭くなるよう、切り欠き42Aが形成されてもよい。このようにすると、糸止め部材を変形させて縫合糸10と固定する際に、図12(b)に示すように、突起部44Aが切り欠き42A内に収容され、糸止め部材が好適に変形される。その結果、縫合糸と糸止め部材とをより確実に固定することができる。
【0033】
次に本実施形態の第二実施形態について図13から図16(f)を参照して説明する。本実施形態の結紮デバイス51と、上述の結紮デバイス1との異なるところは、糸止め部材における抜け止め部の態様である。なお、以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0034】
図13は、結紮デバイス51のうち、糸止め部材52およびその周辺を拡大して示す図である。接続部53からは1本の腕部54が延びている。腕部54は、糸止め部材52の正面視において略長円形に湾曲しながら伸び、湾曲内側に略長円形の収容部55を形成している。湾曲した腕部54の端部は、接続部53に向かっており、略長円形の収容部55のうち、縫合糸10が収容される際に通過する開口55Aを狭める狭窄部54Aとなっている。結紮デバイス51においては、この狭窄部54Aが抜け止め部として機能する。
【0035】
本実施形態の結紮デバイス51においては、糸止め部材52の正面視において、収容部55の一部である開口55Aが狭窄部54Aによって狭められている。したがって、縫合糸10が収容部55内で弾発性等により動いても、図14に矢印A1やA2として示すように、狭窄部54Aを含む腕部54に当たることが多くなり、開口55Aを通って収容部55から抜ける確率が低くなる。したがって、結紮デバイス1と同様に、結び目形成動作中における縫合糸10の抜けを好適に防ぐことができる。
【0036】
また、狭窄部54Aと開口55Aを挟んで対向する位置の接続部53および腕部54の面が平坦に形成されているため、縫合糸10を収容部55内に通す際には、接続部53および腕部54に沿わせることでスムーズに収容部55内に移動させることができる。
【0037】
第一実施形態同様、抜け止め部として狭窄部を備える糸止め部材は、上述の糸止め部材52のような形状のものには限定されず、様々な形態とすることが可能である。
図15(a)および図15(b)は、糸止め部材30のような略錨状の形状を基本とする変形例である。図15(a)に示す変形例では、接続部31から2本の腕部54が延びており、図15(b)に示す変形例では、接続部31から4本の腕部54が延びている。いずれの変形例に追いても、隣り合う2本の腕部によって正面視略三角形の収容部56が形成されており、図15(a)の変形例では腕部54の先端側が、図15(b)の変形例では腕部54に設けられた突起54Bが、それぞれ収容部56の開口56Aを狭める狭窄部として機能している。
なお、収容部を複数箇所設けると、若干糸止め部材の寸法は大きくなるが、縫合糸を収容部に通す際に、糸止め部材の特定の腕部へ狙いをつけて縫合糸の一部を移動させるといった細かい動作の必要性が少なくなり、結び目形成動作がより容易となるという利点がある。
【0038】
図16(a)から図16(f)には、それぞれ狭窄部を有する糸止め部材の他の変形例を示している。本実施形態の糸止め部材においては、図16(a)に示す糸止め部材52Aのように、腕部57が曲線状に形成されてもよい。この場合、変形させるために力を加える方向にある程度自由度を確保することができ、結び目形成動作が容易になる。また、図16(b)に示す糸止め部材52Bのように、収容部58が角部58Aを有するように、腕部59が急角度に屈曲されていてもよい。図16(c)には、両者の中間に位置する屈曲度の腕部60を有する糸止め部材52Cが示されている。糸止め部材52B、52Cは、糸止め部材52Aよりも比較的変形させやすく、結び目形成動作を行いやすいという利点がある。
【0039】
この他、図16(d)に示す糸止め部材52Dのように、正面視略円形の収容部61が形成されてもよいし、図16(e)に示す糸止め部材52Eのように、腕部62の一部が直線状に形成されてもよい。
さらに、図16(f)に示す糸止め部材52Fのように、収容部のうち、開口でない部位を狭める狭窄部63Aが腕部63に設けられてもよい。この場合、収容部64の開口64Aを広くすることができるため、縫合糸10を容易に通すことができる一方、収容した縫合糸10が収容部64から抜けるのを好適に防止することができる。
【0040】
次に本発明の第三実施形態について、図17から図19(g)を参照して説明する。本実施形態の結紮デバイス71と上述の各実施形態の結紮デバイスとの異なるところは、収容部の形状である。
図17は、結紮デバイス71の糸止め部材72およびその周辺を示す斜視図である。糸止め部材72では、接続部73から延びる第一腕部74Aおよび第二腕部74Bが、糸止め部材72の正面視において曲線状に形成されている。その結果、第一腕部74Aと第二腕部74Bとの間に形成された収容部75が、糸止め部材72の正面視において屈曲する形状となっている。
【0041】
ここで、本発明における「屈曲する」とは、収容部のうち縫合糸が進入する開口から収容部の形状に沿った長さが最も長い最深部と、開口とを結ぶ直線を引くと、少なくとも一つの方向から見た状態においては収容部を規定する腕部と接触してしまい、腕部に接触しない直線を引くことができない状態をいう。
糸止め部材72を例にとり説明すると、図18に示すように、第一腕部74Aと第二腕部74Bとの境界付近に収容部75の最深部75Aが存在する。そして、糸止め部材72の正面視において、第一腕部74Aおよび第二腕部74Bに接触させずに最深部75Aと開口75Bとを直線で結ぶことはできない。すなわち、糸止め部材72の収容部75は、糸止め部材72の正面視において屈曲している。
【0042】
上記のように構成された結紮デバイス71では、縫合糸10を収容部75内に通す際は、第一腕部74Aまたは第二腕部74Bに沿わせることで、容易に最深部75A付近まで縫合糸10を移動させることができる。
縫合糸10が自身の弾発性等により直線状に戻ろうとする動きは、概してある一方向への略直線的なものである。そのため、屈曲している収容部75内に挿通された縫合糸10は、いずれの方向に動いても第一腕部74Aまたは第二腕部74Bに当たることになり、上述の略直線的な動きのみによって開口75Bに到達することは実質的に不可能である。したがって、屈曲された収容部75は、その全体形状により抜け止め部を有しているということができ、手技中に縫合糸10が糸止め部材72から外れることを好適に防止することができる。
【0043】
本実施形態において、収容部の具体的な屈曲形状は、様々に設定することができる。
図19(a)に示す糸止め部材72Aは、収容部75と同様の形状の収容部を2つ備え、正面視において線対称に形成された変形例である。糸止め部材72Aは、第一実施形態の糸止め部材30に近い略錨状であり、収容部に通した縫合糸が糸止め部材30よりも抜けにくくなっている。収容部が2つあるため、縫合糸を通しやすい。さらに、第一腕部76Aを肉薄にするための抜き孔77が形成されているため、収容部を屈曲させつつも変形させやすく、変形させる方向にも比較的自由度があり、結び目形成動作が容易となる。
図19(b)および図19(c)にそれぞれ示す糸止め部材72Bおよび72Cは、収容部において屈曲角度が概ね90度となる屈曲点を設け、収容部の残りの領域を略直線状に形成した変形例である。このようにすると、縫合糸10を収容部に通す動作が容易になる。
【0044】
図19(d)および図19(e)にそれぞれ示す糸止め部材72Dおよび72Eは、複数の屈曲点を備えた比較的複雑な形状の収容部を備える変形例である。収容部における屈曲部位は、図19(d)に示すように滑らかな曲線状に形成されてもよいし、図19(e)に示すように角部を有するように形成されてもよい。また、両方の形状が組み合わされてもよい。糸止め部材72Dおよび72Eでは、収容部に通した糸をより抜けにくくすることができる。
さらに、図19(f)に示す糸止め部材72Fのように、外形は屈曲されずに収容部のみが屈曲されてもよい。この場合、外面が平坦に形成されているため、変形させる際に安定して力を加えることができ、効率よく結び目を形成することができる。
また、図19(g)に示す糸止め部材72Gのように、収容部が正面視において渦巻状に形成されてもよい。この場合、糸止め部材72Dおよび72E同様、収容部に通した縫合糸をより抜けにくくすることができる。
【0045】
次に、本発明の第四実施形態について、図20(a)から図21(c)を参照して説明する。
図20(a)は、本実施形態の結紮デバイス151の、糸止め部材152およびその周辺を示す拡大斜視図である。糸止め部材152は、図20(b)に示すように、正面視における形状が略長円形であり、当該略長円形の短径方向に開口する収容部153が略L字型に屈曲して形成されている。
糸止め部材152の正面視において、収容部153の形状を規定する第一腕部154および第二腕部155は、収容部153の幅方向(延在方向と直交する方向)の寸法W1よりも大きい寸法の幅広部156を有している。
【0046】
結紮デバイス151の使用時の動作は、上述の各実施形態の結紮デバイスと概ね同様であり、収容部153の最深部153A付近に縫合糸10を位置させて、収容部153を変形させることにより結び目knを形成する。
【0047】
本実施形態の結紮デバイス151においても、上述の各実施形態同様、結び目形成動作を容易かつスムーズに行うことができ、安定して結び目を形成することができる。
本実施形態の結紮デバイスは、第三実施形態と同様に収容部153が屈曲しており、当該屈曲状態が抜け止め部として機能するものである。収容部153のうち実際に縫合糸10が収容されるのは、屈曲した中間部よりも最深部153A側の領域であり、中間部より開口153B側であって最深部153Aに対向する内壁153Cがもっぱら抜け止め機能を発揮し、実質的な抜け止め部として機能する。
【0048】
また、第一腕部154および第二腕部155が幅広部156を有しているため、糸止め部材152の寸法が小さい場合であっても、術者が糸止め部材全体をかたまりとして認識しやすく、視認性を良好に保持することができる。
【0049】
また、正面視における形状が略長円形であるため、断面形状が略長円形の柱状の材料を用いて効率よく製造することができる。すなわち、柱状の材料に対して、ワイヤ放電等により長さ方向にわたって収容部の形状を形成した後に、当該柱状材料を径方向にスライスしていくことで、効率よく製造することが可能である。
【0050】
本実施形態では、糸止め部材の正面視形状が略長円形である例を説明したが、これに代えて、正面視形状を、正円や楕円形、あるいは多角形としてもよい。このようにしても、第一腕部や第二腕部に幅広部を設けて良好な視認性を確保できるとともに、正面視形状に対応する断面形状を有する柱状材料を用いて効率よく製造することができる。
【0051】
また、図21(a)に示す変形例のように、収容部153の開口153Bの幅を他の部位よりも広くして、縫合糸を収容部内に導入しやすくしてもよい。このような加工も上述のワイヤ放電等により容易に行うことができる。
また、図21(b)に示すように、開口153Bに突出部157を設けてもよい。このようにすると、糸止め部材を側面から見たときの面積が増加し、側面視における視認性を向上させることができる。また、開口153Bの位置も把握しやすく、縫合糸を収容部に導入する操作を容易にすることができる。
さらに、図21(c)に示すように、接続部158を異なる位置に設けてもよい。
【0052】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、各構成要素に種々の変更を加えたり、削除したり、各実施形態の構成要素を組み合わせたりすることが可能である。
【0053】
例えば、上述の各実施形態においては、糸止め部材の少なくとも一部を所定の形状に形成することにより抜け止め部を設けた例を説明したが、これに代えて、別部材を取り付けることにより抜け止め部が設けられてもよい。以下、このような変形例を複数挙げて説明する。
【0054】
図22に示す糸止め部材80には、収容部81の内面に樹脂等からなる毛状の部材82Aを複数取り付けることにより、略ブラシ状の抜け止め部82が設けられている。
また、図23に示す糸止め部材85には、腕部86のうち、収容部87の開口付近に位置する部位に、複数の突起88Aを有するホイール88が回転可能に取り付けられている。腕部86には、一定の弾性を有し突起88Aと干渉するストッパ89が取り付けられており、ホイール88は、縫合糸を収容部87内に誘い込む一方向(図23に矢印で示す。)には回転可能だが、逆方向には回転できないようになっている。そのため、ホイール88が縫合糸の収容部87から抜ける方向への動きを阻害する。すなわち、糸止め部材85においては、ホイール88とストッパ89とにより抜け止め部が構成されている。
【0055】
図24には、ゴム等の弾性部材91が、正面視において収容部92を塞ぐように密着して取り付けられた糸止め部材90を示している。弾性部材91が弾性変形するため、鉗子等を用いて縫合糸10を収容部92内に通すことはできるが、縫合糸10が直線状に戻ろうとする動き等のみでは、力が充分でないため弾性部材91は変形しにくく、弾性部材91が抜け止め部として機能する。
【0056】
図25には、収容部96内に、一定の粘性を有するゲル状の抜け止め材料97が配置された糸止め部材95を示している。収容部96に通された縫合糸10は、抜け止め材料97と摩擦を生じるため、縫合糸が収容部96から抜ける事態が好適に抑制される。
この変形例は、上述の各実施形態のいずれにも該当しないが、抜け止め材料97からなる抜け止め部を備えるものである。なお、抜け止め材料97の粘性が高すぎると、結び目形成動作において縫合糸を引き絞る際に抵抗となり、操作に支障が出るため注意する。
【0057】
また、抜け止め部は、糸止め部材と一体に設けられていなくてもよい。図26(a)に示す変形例の結紮デバイス100では、糸止め部材101に形成された挿入口102が糸止め部材101を貫通している。挿入口102に挿通された縫合糸10の第二の端部10Bには、抜け止め部材103が接続固定されている。抜け止め部材103は、少なくとも一部の寸法が腕部104の幅よりも大きい。術者が縫合糸10を対象組織に掛けて縫合糸10を引くと、図26(b)に示すように、抜け止め部材103が糸止め部材101に接触し、収容部105内における縫合糸10の動きを阻害して抜け止め部として機能する。なお、抜け止め部材103は、少なくとも一部の寸法が腕部104の幅よりも大きければその形状に特に制限はなく、図26(a)に示すように、直方体状、球状、板状等どのような形状でもよい。
この変形例では、糸止め部材101と縫合糸10とが摺動可能に取り付けられている。本発明の結紮デバイスにおいては、縫合糸と糸止め部材とはこのような取り付け関係とされてもよい。
【0058】
さらに、抜け止め部は、糸止め部材の厚さ方向に設けられてもよい。
図27(a)から図27(c)は、厚さ方向の一部にのみ突起部を形成した糸止め部材の例であり、図27(b)は、図27(a)のXXVb矢視図、図27(c)は、図27(a)のXXVc矢視図である。糸止め部材110の収容部111の基本形状は、糸止め部材110の正面視において略直線状であるが、厚さ方向の一部にのみ、収容部111内に突出する突起部112が形成されている。
図28(a)は、厚さ方向に狭窄部を設けた糸止め部材の例である。糸止め部材115の腕部116の端部は、湾曲された後、接続部117から延びる腕部116の一部と厚さ方向において重なるように延びている。重なった腕部116間の狭くなった間隙は、縫合糸10を通すことができる程度の寸法を有しており、重なった腕部が狭窄部118となっている。図28(b)に示すように、狭窄部118を通って収容部119内に通された縫合糸10は、収容部119から抜けにくく、狭窄部118は抜け止め部として機能する。
図29(a)から図29(c)は、収容部が厚さ方向に屈曲された糸止め部材の例であり、図29(b)は、図29(a)のXXVIIb矢視図、図29(c)は、図29(a)のXXVIIc矢視図である。糸止め部材120の第一腕部121Aおよび第二腕部121Bは、糸止め部材120の厚さ方向において湾曲しており、その結果第一腕部121Aと第二腕部121Bとの間の収容部122が厚さ方向に屈曲されている。このようにすると、収容部122に通された縫合糸10が、図27下側に示すように、収容部122の内面となる各腕部121A、121Bの側面と接触しやすくなり、縫合糸10との間に摩擦を発生しやすくなる。その結果、縫合糸10が収容部122から抜けることが抑制される。
以上説明したような厚さ方向に形成された抜け止め部は、上述の各実施形態の構成と組み合わされても構わない。
【0059】
さらに、本発明の結紮デバイスは、縫合針を備えていなくてもよい。縫合針を備えない場合でも、縫合糸を組織に通さずに結紮を行う等の用途に利用できるからである。また、縫合糸についても、一般的な縫合糸が手技の直前に上述の糸止め部材に取り付けられてもよい。したがって、抜け止め部を備えた糸止め部材単体が組織結紮デバイスとして流通されてもよい。
【0060】
また、上述した突起部、狭窄部、屈曲等の概念は、相互に排他的なものではない。例えば、狭窄部を形成する腕部の一部は、収容部内に突出する突起部と捉えることができるし、その逆の捉え方も可能である。また、突起部により収容部が屈曲されていると捉えうる形態も存在しうる。したがって、抜け止め部は、上述した態様のいずれか一つにのみ当てはまらなければならないものではないし、複数の要素が組み合わされた形状とされても何ら問題はない。
【符号の説明】
【0061】
1、51、71、100、151 組織結紮デバイス
10 縫合糸
20 縫合針
30、30A、30B、30C、30D、30E、30F、30G、30H、30I、52、52A、52B、52C、52D、52E、52F、72、72A、72B、72C、72D、72E、72F、72G、80、85、90、95、101、110、115、120、152 糸止め部材
33、43、55、56、58、61、64、75、81、87、92、97、105、111、119、122、153 収容部
34、38、39、41、44A、44B、44C、112 突起部(抜け止め部)
54A、63A、118 狭窄部(抜け止め部)
82 抜け止め部
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織結紮デバイス、より詳しくは、縫合糸および糸止め部材を備える組織結紮デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
医療の分野において、組織を縫合、結紮する動作は、多くの手技において非常に重要な位置を占めているが、熟練を要する難度の高い動作である。近年、患者の侵襲を軽減する目的から、内視鏡や腹腔鏡、胸腔鏡等を用いて手術等の各種手技を行う試みが進められているが、鏡視下では、縫合糸や縫合針等を長い鉗子等で把持して操作する必要があるため、縫合、結紮等の難度はさらに高くなる。
【0003】
縫合や結紮において、特に困難なのは、縫合糸を結んで結び目を形成する動作である。結び目が緩んでしまうと縫合や結紮が解除されて重大な合併症を引き起こす場合もあるため、手技によっては結び目を多数形成する場合もあり、その場合難易度はさらに上昇する。
【0004】
この問題を解決するための一つの方法として、特許文献1に記載の医療用縫合器が提案されている。この医療用縫合器は、糸止め部材に縫合糸が接続された縫合体を備えている。糸止め部材は、縫合糸の一部を収容可能な収容部を有している。曲針等を用いて組織に係止された縫合糸を収容部に通し、縫合糸を引き絞ってから、かしめや超音波等により収容部を変形させると、収容部に収容された縫合糸の一部が糸止め部材に固定される。このようにして結び目が形成されるため、結び目の形成が容易になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−140982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の医療用縫合器には以下の課題が残されている。縫合糸の一部を収容部に収容した後、縫合糸を引き絞る際に、縫合糸が収容部から抜けてしまうことがある。この場合、もう一度縫合糸を収容部に通さなければならない。また、実際の手技において使用される縫合体では、例えば糸止め部材の寸法が1ミリメートル(mm)角以下、縫合糸の径が0.2〜0.3mm以下といったごく小さい寸法であることも珍しくない。このような場合、縫合糸を収容部に通す動作自体が容易ではないため、縫合糸が途中で収容部から抜けてしまうと、縫合等の作業効率が著しく低下してしまう。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、より安定して結び目を形成することができる組織結紮デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の組織結紮デバイスは、縫合糸が取り付けられて組織の結紮に用いる組織結紮デバイスであって、前記縫合糸に取り付けられ、前記縫合糸の一部を挿通可能な収容部を有する糸止め部材と、前記収容部に挿通された前記縫合糸が前記収容部から抜けるのを抑制する抜け止め部とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の組織結紮デバイスにおいて、前記抜け止め部は、前記糸止め部材に形成されてもよい。
前記抜け止め部は、前記収容部内に突出する突起部を含んでもよいし、少なくとも一つの方向から見た状態において、前記収容部の寸法を他の部位よりも小さくする狭窄部を含んでもよい。
さらに、前記収容部は、少なくとも一つの方向から見た状態において屈曲されており、屈曲状態が前記抜け止め部として機能するように構成されてもよい。
【0010】
本発明の組織結紮デバイスは、前記糸止め部材に取り付けられた縫合糸をさらに備えてもよい。
また、本発明の組織結紮デバイスは、前記縫合糸の一端に取り付けられた縫合針をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の組織結紮デバイスによれば、より安定して結び目を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第一実施形態の組織結紮デバイスを示す図である。
【図2】同組織結紮デバイスの糸止め部材を示す拡大斜視図である。
【図3】同組織結紮デバイスの使用時の動作を示す図である。
【図4】同組織結紮デバイスの使用時の動作を示す図である。
【図5】同組織結紮デバイスの使用時の動作を示す図である。
【図6】同組織結紮デバイスの使用時の動作を示す図である。
【図7】(a)および(b)は、同組織結紮デバイスの糸止め部材に通される縫合糸の挙動を示す図である。
【図8】縫合糸と糸止め部材とを固定する動作を示す図である。
【図9】結び目形成動作後の同組織結紮デバイスを示す図である。
【図10】(a)から(c)は、いずれも同組織結紮デバイスの変形例における糸止め部材を示す正面図である。
【図11】(a)から(i)は、いずれも同組織結紮デバイスの変形例における糸止め部材を示す正面図である。
【図12】(a)は、同組織結紮デバイスの変形例における糸止め部材を示す正面図であり、(b)は同糸止め部材が変形された状態を示す図である。
【図13】本発明の第二実施形態の組織結紮デバイスにおける糸止め部材およびその周辺を示す斜視図である。
【図14】同糸止め部材に収容された縫合糸の挙動を説明する図である。
【図15】(a)および(b)は、いずれも同組織結紮デバイスの変形例における糸止め部材を示す正面図である。
【図16】(a)から(f)は、いずれも同組織結紮デバイスの変形例における糸止め部材を示す正面図である。
【図17】本発明の第三実施形態の組織結紮デバイスにおける糸止め部材およびその周辺を示す斜視図である。
【図18】同糸止め部材の正面図である。
【図19】(a)から(g)は、いずれも同組織結紮デバイスの変形例における糸止め部材を示す正面図である。
【図20】(a)は、本発明の第三実施形態の組織結紮デバイスにおける糸止め部材およびその周辺を示す斜視図であり、(b)は、同糸止め部材の正面図である。
【図21】(a)から(c)は、いずれも同組織結紮デバイスの変形例における糸止め部材を示す正面図である。
【図22】本発明の変形例の組織結紮デバイスにおける糸止め部材を示す正面図である。
【図23】本発明の変形例の組織結紮デバイスにおける糸止め部材を示す正面図である。
【図24】本発明の変形例の組織結紮デバイスにおける糸止め部材を示す正面図である。
【図25】本発明の変形例の組織結紮デバイスにおける糸止め部材を示す正面図である。
【図26】(a)および(b)は、いずれも本発明の変形例の組織結紮デバイスを示す図である。
【図27】(a)から(c)は、いずれも本発明の変形例の組織結紮デバイスにおける糸止め部材を示す図である。
【図28】(a)および(b)は、いずれも本発明の変形例の組織結紮デバイスにおける糸止め部材およびその周辺を示す図である。
【図29】(a)から(c)は、いずれも本発明の変形例の組織結紮デバイスにおける糸止め部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の第一実施形態について、図1から図12(b)を参照して説明する。
図1は、本実施形態の組織結紮デバイス(以下、「結紮デバイス」と称する。)1を示す図である。結紮デバイス1は、縫合糸10と、縫合糸10の第一の端部10Aに取り付けられた縫合針20と、縫合糸10の第二の端部10Bに取り付けられた糸止め部材30とを備えている。
【0014】
縫合糸10は、好ましくは樹脂や金属からなり、直線状態を維持しようとする弾発性をある程度有するものが好ましいが、弾発性を有さないものでもよい。樹脂材料で縫合糸10を形成する場合は、抜糸が不要になる等の観点からは生体吸収性の樹脂が好ましい(この場合は糸止め部材も吸収性の樹脂で形成されるのが好ましい)が、非吸収性のものでも構わない。また、縫合糸10は、モノフィラメント(単線)のものとマルチフィラメント(複線)のものとを用途等を考慮して使い分けることができる。モノフィラメントのものとしては、1つの素材からなる単線や、引張強度の大きい素材からなるコアと溶着性の良好な素材からなるクラッドとの二層構造をなすもの等、複層構造のものも使用できる。マルチフィラメントのものとしては、複数の素線を編んで形成したもの、撚って形成したもののいずれも用いることができる。また、異なる複数の材料からなる素線を組み合わせて形成されたものでもよい。
【0015】
縫合針20は、公知の各種のものを使用することができ、直線状のもの、湾曲状のもの、先端部のみ湾曲し、他の部位が直線状に形成されたもの等を、縫合部位等を考慮して適宜選択することができる。縫合糸10と縫合針20との接続態様には特に制限はなく、後述する結び目形成動作や縫合糸を組織内に通す動作において両者の接続部位に作用する力量に対して接続状態を保持しうるものであればよい。具体的には、接着、溶着、あるいは縫合針の端部に形成した穴に縫合糸10の端部を通して結ぶ等の方法を挙げることができる。
【0016】
図2は、糸止め部材30の拡大斜視図である。糸止め部材30は、金属や樹脂等からなり、縫合糸10の第二の端部10Bが接続される接続部31と、接続部31から延びる腕部32とを有する。
接続部31は略直方体状に形成されており、縫合糸10の第二の端部10Bが挿入される挿入口31Aを有する。第二の端部10Bは、挿入口31Aに挿入され、接着等により縫合糸10と糸止め部材30とが接続されて取り付けられている。
【0017】
腕部32は、接続部31から延びる第一腕部32Aと、第一腕部32Aから分岐して接続部側に折り返されて延びる第二腕部32Bとを有する。第一腕部32Aは、糸止め部材30の正面(挿入口31Aが開口する面)視における一辺31B上から、挿入口31Aの延びる方向(以下、この方向を糸止め部材30の「厚さ方向」と称する。)と略直交する方向に直線状に延びている。2本の第二腕部32Bは、第一腕部32Aの端部から第一腕部32Aの幅方向両側に分岐し、曲線を描いてヘアピン状に180度折り返して接続部31に向かって延びている。これにより、縫合糸10の一部が挿通される収容部33が、糸止め部材30の厚さ方向にわたって第一腕部32Aの幅方向両側に形成されている。2箇所の収容部33は、腕部32の形状により、糸止め部材30の正面視において第一腕部32Aと概ね平行に延びている。
【0018】
第一腕部32Aと第二腕部32Bとは、ほぼ同一の幅寸法を有し、当該幅寸法は、第一腕部32Aが延びる接続部31の一辺31Bよりも短い。第一腕部32Aは、一辺31Bの長手方向中間部から延びているため、接続部31のうち、一辺31Bの長手方向両側の端部に属する領域は、収容部33内に突出する突起部34とされている。突起部34は、結び目形成動作において、収容部33に挿通した縫合糸10が糸止め部材30から外れるのを防止する抜け止め部として機能する。
【0019】
なお、糸止め部材30の大きさには特に制限はなく、縫合部位等を考慮して適宜設定されてよい。糸止め部材30の寸法が例えば1mm角等のように小さく設定される場合は、例えばステンレス鋼等からなる当該寸法の直方体の部材に対してレーザー加工、ワイヤ放電加工、切削加工等を行うことにより、好適に糸止め部材30を製造することができる。
【0020】
上記のように構成された結紮デバイス1の使用時の動作について、創部を縫合する場合を例にとり説明する。
まず術者は、結紮デバイス1を処置対象組織(以下、「対象組織」と称する。)付近に導入する。導入にあたっては、上述の特許文献1に記載されたような、シースを備えるアプリケータが用いられてもよい。
【0021】
結紮デバイス1を体内に導入したら、術者は鉗子等で縫合針20を把持し、図3に示すように創部Wの周囲の対象組織T1に掛ける。さらに、図4に示すように創部Wを挟んで対象組織T1と対向する対象組織T2に縫合針20を掛け、創部Wを縫合できるように縫合糸10を対象組織内に通す。
【0022】
次に術者は、図5に示すように、縫合糸10または縫合針20を把持して縫合糸10の一部を糸止め部材30の収容部33に通す(挿通する)。縫合糸10は、2箇所の収容部33のいずれに挿通されてもよい。そして、図6に示すように、縫合糸10の第一の端部10A側を対象組織から遠ざかるように牽引すると、第二の端部10Bに接続された糸止め部材30が対象組織T1に接近して押し付けられるとともに、対象組織内を通る縫合糸10が引き絞られて、対象組織T1と対象組織T2とが接近するように引き寄せられる。
【0023】
上記の操作において、縫合糸10は、自身の弾発性により、あるいは外力が加わることにより収容部33から外れる(抜ける)方向に移動する場合がある。しかし、このような縫合糸10の動きは、図7(b)に示すように、収容部33内に突出する突起部34により阻害されるため、縫合糸10が収容部33から抜けて糸止め部材30から外れることが好適に抑制される。すなわち、結紮デバイスでは、縫合糸が弾発性を有する場合も有さない場合も、同様に収容部からの抜けを抑制することができる。
なお、縫合糸10を収容部33に通す際は、図7(a)に示すように、縫合糸10が接続部31の側方を通って第二腕部32Bの幅方向外側から収容部33内に挿通されるため、突起部34はこの挿通操作をほとんど阻害しない。
【0024】
縫合糸10が充分引き絞られたら、術者は鉗子等により第一腕部32Aおよび第二腕部32Bを挟み、図8に示すように変形させて縫合糸10と糸止め部材30とを固定する。すると、縫合糸10と糸止め部材30とが固定された部位が縫合糸の結び目Knとして機能し、図9に示すように、対象組織T1と対象組織T2とが、創部Wを塞ぐように縫合される。以上により、結紮デバイス1を用いた結び目形成動作が完了する。結び目Knを形成する際に、縫合糸10を牽引してテンションをかけながら行うと、より確実に縫合することができる。
結び目Knの形成後、術者は余分な縫合糸10を切除し、切除した縫合糸10および縫合針20を体腔外に回収する。創部Wが大きい等の場合は、続けて新しい結紮デバイス1を導入し、上記の結び目形成動作を繰り返す。創部Wが完全に縫合されたら手技を終了する。
なお、縫合糸10と糸止め部材30とが固定された部位は、実際には男結びや女結び等の方法により形成された結び目とは異なるが、対象組織に掛けた縫合糸10が緩まないように保持するという、外科手技において形成される一般的な結び目と同様の機能を有するため、本発明においては結び目と称する。
【0025】
本実施形態の結紮デバイス1によれば、糸止め部材30において縫合糸10が挿通される収容部33内に突出する突起部34が形成されているため、縫合糸10が弾発性等により収容部33から抜ける方向に動いても、縫合糸10が収容部33から抜けることが突起部34により好適に防止される。したがって、突起部34が抜け止め部として好適に機能し、結び目形成動作を容易かつスムーズに行うことができ、安定して結び目を形成することができる。
【0026】
また、収容部33が糸止め部材30の厚さ方向にわたって形成されているため、腕部32の幅方向両側から力を加えるだけで腕部32を充分変形させることができ、糸止め部材30と縫合糸10とを、シンプルな操作で容易に固定することができる。
なお、内視鏡や腹腔鏡等を用いた手技においては、鉗子等を動かせる空間が限られているため、本発明の結紮デバイスが奏する上述の効果はより顕著となる。
【0027】
本実施形態では、1本の第一腕部32Aと2本の第二腕部32Bとを有し、接続部31の一部が突起部34とされた、外観が略錨状の糸止め部材30を説明したが、糸止め部材の形状は、様々に変更可能である。
まず、上述の錨状形状からの変更点としては、図10(a)に示す変形例のように、第二腕部32Bが一本だけ設けられてもよい。この場合、糸止め部材を小型化しやすく、微小な領域における手技に対応させやすい。また、結び目形成時に変形させる領域が少なくなり、変形操作が容易となる。
【0028】
また、接続部の一部とは別に突起部が形成されてもよい。例えば、図10(b)の変形例のように、収容部33の内面となる第一腕部32Aの側面(あるいは第二腕部32Bの側面)に複数の突起部36を形成したり、図10(c)の変形例のように、接続部31と別に各収容部33内に突出する突起部37を1つずつ形成したりしてもよい。なお、突起部36のように、収容部33のうち、縫合糸10が導入される開口33Aから離れる方向に凸となるように突起部が形成されると、縫合糸10を収容部33に通す際にはその動きを阻害しにくく、縫合糸10が収容部33から抜ける方向に動くことのみを好適に阻害することができる。いずれの場合も、突起部によってより積極的に縫合糸の動きを阻害し、縫合糸10の抜け防止効果をさらに高めることができる。
【0029】
さらに、本実施形態の糸止め部材は、上述した略錨状の形状のものには限定されない。図11(a)から図11(i)には、それぞれ糸止め部材30の他の変形例を示している。
図11(a)に示す糸止め部材30Aは、第二腕部32Bが第一腕部32Aよりも長く形成された例である。この場合は、接続部31のより広い領域が突起部として機能する。さらに、第二腕部32Bが縫合糸10を収容部に通す際のガイドとなり、より容易に結び目形成動作を行うことができる。
【0030】
図11(b)および図11(c)にそれぞれ示す糸止め部材30Bおよび30Cは、収容部33が角部33Aを有するように第二腕部32Bが急角度に折り返された例である。突起部38は、第二腕部32Bの端部に設けられている。この場合、収容部33に挿通された縫合糸10を角部33Aに押し当てる方向に縫合糸10を牽引して引き絞ることで、結び目形成動作中の縫合糸の挙動を安定させることができる。さらに、角部33Aに食い込ませた縫合糸10は緩みにくくなるため、形成後の結び目Knをより安定させることができる。
また、第二腕部32Bに突起部38が形成される場合、図11(d)に示す糸止め部材30Dのように、接続部40が腕部と同等の幅寸法に形成されてもよい。この場合は、糸止め部材30Aとは異なり、第一腕部32Aが縫合糸10のガイドとなる。
【0031】
図11(e)に示す糸止め部材30Eは、収容部33が正面視において略円形に形成された例である。このようにすると、糸止め部材の大きさに対して比較的収容部が大きくなり、視認しやすいという利点がある。この場合、腕部32において、第一腕部と第二腕部との境界は明確でなく、腕部32の先端を含む所定の長さの領域が突起部39とされている。
このとき、図11(f)に示す糸止め部材30Fのように、腕部32とは別に突起部41が設けられてもよい。この場合は、糸止め部材30Eよりも縫合糸を収容部に通すための開口部が挿入口31Aからより離間した位置となる。その結果、結び目形成動作において、縫合糸が絡まったり、牽引する側を間違えたりすることを防止することができる。
【0032】
図11(g)から図11(i)にそれぞれ示す糸止め部材30G、30H、および30Iは、腕部が折り返されず、第二腕部を有しない例である。この場合も、2本の腕部42間に形成された収容部43内にそれぞれ突起部44A、44B、44Cを設けることで、縫合糸10が収容部43から抜けることを好適に防止することができる。
また、糸止め部材30G、30H、および30Iのいずれにおいても、腕部を狙わずに、糸止め部材全体を鉗子等で把持してつぶすことで結び目を形成することができ、操作がより容易となる。
また、糸止め部材30Gのような形状に糸止め部材を形成する場合は、図12(a)に示すように、突起部44Aが形成された腕部42の端部から突起部44Aの長さに相当する領域において、腕部42の幅が狭くなるよう、切り欠き42Aが形成されてもよい。このようにすると、糸止め部材を変形させて縫合糸10と固定する際に、図12(b)に示すように、突起部44Aが切り欠き42A内に収容され、糸止め部材が好適に変形される。その結果、縫合糸と糸止め部材とをより確実に固定することができる。
【0033】
次に本実施形態の第二実施形態について図13から図16(f)を参照して説明する。本実施形態の結紮デバイス51と、上述の結紮デバイス1との異なるところは、糸止め部材における抜け止め部の態様である。なお、以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0034】
図13は、結紮デバイス51のうち、糸止め部材52およびその周辺を拡大して示す図である。接続部53からは1本の腕部54が延びている。腕部54は、糸止め部材52の正面視において略長円形に湾曲しながら伸び、湾曲内側に略長円形の収容部55を形成している。湾曲した腕部54の端部は、接続部53に向かっており、略長円形の収容部55のうち、縫合糸10が収容される際に通過する開口55Aを狭める狭窄部54Aとなっている。結紮デバイス51においては、この狭窄部54Aが抜け止め部として機能する。
【0035】
本実施形態の結紮デバイス51においては、糸止め部材52の正面視において、収容部55の一部である開口55Aが狭窄部54Aによって狭められている。したがって、縫合糸10が収容部55内で弾発性等により動いても、図14に矢印A1やA2として示すように、狭窄部54Aを含む腕部54に当たることが多くなり、開口55Aを通って収容部55から抜ける確率が低くなる。したがって、結紮デバイス1と同様に、結び目形成動作中における縫合糸10の抜けを好適に防ぐことができる。
【0036】
また、狭窄部54Aと開口55Aを挟んで対向する位置の接続部53および腕部54の面が平坦に形成されているため、縫合糸10を収容部55内に通す際には、接続部53および腕部54に沿わせることでスムーズに収容部55内に移動させることができる。
【0037】
第一実施形態同様、抜け止め部として狭窄部を備える糸止め部材は、上述の糸止め部材52のような形状のものには限定されず、様々な形態とすることが可能である。
図15(a)および図15(b)は、糸止め部材30のような略錨状の形状を基本とする変形例である。図15(a)に示す変形例では、接続部31から2本の腕部54が延びており、図15(b)に示す変形例では、接続部31から4本の腕部54が延びている。いずれの変形例に追いても、隣り合う2本の腕部によって正面視略三角形の収容部56が形成されており、図15(a)の変形例では腕部54の先端側が、図15(b)の変形例では腕部54に設けられた突起54Bが、それぞれ収容部56の開口56Aを狭める狭窄部として機能している。
なお、収容部を複数箇所設けると、若干糸止め部材の寸法は大きくなるが、縫合糸を収容部に通す際に、糸止め部材の特定の腕部へ狙いをつけて縫合糸の一部を移動させるといった細かい動作の必要性が少なくなり、結び目形成動作がより容易となるという利点がある。
【0038】
図16(a)から図16(f)には、それぞれ狭窄部を有する糸止め部材の他の変形例を示している。本実施形態の糸止め部材においては、図16(a)に示す糸止め部材52Aのように、腕部57が曲線状に形成されてもよい。この場合、変形させるために力を加える方向にある程度自由度を確保することができ、結び目形成動作が容易になる。また、図16(b)に示す糸止め部材52Bのように、収容部58が角部58Aを有するように、腕部59が急角度に屈曲されていてもよい。図16(c)には、両者の中間に位置する屈曲度の腕部60を有する糸止め部材52Cが示されている。糸止め部材52B、52Cは、糸止め部材52Aよりも比較的変形させやすく、結び目形成動作を行いやすいという利点がある。
【0039】
この他、図16(d)に示す糸止め部材52Dのように、正面視略円形の収容部61が形成されてもよいし、図16(e)に示す糸止め部材52Eのように、腕部62の一部が直線状に形成されてもよい。
さらに、図16(f)に示す糸止め部材52Fのように、収容部のうち、開口でない部位を狭める狭窄部63Aが腕部63に設けられてもよい。この場合、収容部64の開口64Aを広くすることができるため、縫合糸10を容易に通すことができる一方、収容した縫合糸10が収容部64から抜けるのを好適に防止することができる。
【0040】
次に本発明の第三実施形態について、図17から図19(g)を参照して説明する。本実施形態の結紮デバイス71と上述の各実施形態の結紮デバイスとの異なるところは、収容部の形状である。
図17は、結紮デバイス71の糸止め部材72およびその周辺を示す斜視図である。糸止め部材72では、接続部73から延びる第一腕部74Aおよび第二腕部74Bが、糸止め部材72の正面視において曲線状に形成されている。その結果、第一腕部74Aと第二腕部74Bとの間に形成された収容部75が、糸止め部材72の正面視において屈曲する形状となっている。
【0041】
ここで、本発明における「屈曲する」とは、収容部のうち縫合糸が進入する開口から収容部の形状に沿った長さが最も長い最深部と、開口とを結ぶ直線を引くと、少なくとも一つの方向から見た状態においては収容部を規定する腕部と接触してしまい、腕部に接触しない直線を引くことができない状態をいう。
糸止め部材72を例にとり説明すると、図18に示すように、第一腕部74Aと第二腕部74Bとの境界付近に収容部75の最深部75Aが存在する。そして、糸止め部材72の正面視において、第一腕部74Aおよび第二腕部74Bに接触させずに最深部75Aと開口75Bとを直線で結ぶことはできない。すなわち、糸止め部材72の収容部75は、糸止め部材72の正面視において屈曲している。
【0042】
上記のように構成された結紮デバイス71では、縫合糸10を収容部75内に通す際は、第一腕部74Aまたは第二腕部74Bに沿わせることで、容易に最深部75A付近まで縫合糸10を移動させることができる。
縫合糸10が自身の弾発性等により直線状に戻ろうとする動きは、概してある一方向への略直線的なものである。そのため、屈曲している収容部75内に挿通された縫合糸10は、いずれの方向に動いても第一腕部74Aまたは第二腕部74Bに当たることになり、上述の略直線的な動きのみによって開口75Bに到達することは実質的に不可能である。したがって、屈曲された収容部75は、その全体形状により抜け止め部を有しているということができ、手技中に縫合糸10が糸止め部材72から外れることを好適に防止することができる。
【0043】
本実施形態において、収容部の具体的な屈曲形状は、様々に設定することができる。
図19(a)に示す糸止め部材72Aは、収容部75と同様の形状の収容部を2つ備え、正面視において線対称に形成された変形例である。糸止め部材72Aは、第一実施形態の糸止め部材30に近い略錨状であり、収容部に通した縫合糸が糸止め部材30よりも抜けにくくなっている。収容部が2つあるため、縫合糸を通しやすい。さらに、第一腕部76Aを肉薄にするための抜き孔77が形成されているため、収容部を屈曲させつつも変形させやすく、変形させる方向にも比較的自由度があり、結び目形成動作が容易となる。
図19(b)および図19(c)にそれぞれ示す糸止め部材72Bおよび72Cは、収容部において屈曲角度が概ね90度となる屈曲点を設け、収容部の残りの領域を略直線状に形成した変形例である。このようにすると、縫合糸10を収容部に通す動作が容易になる。
【0044】
図19(d)および図19(e)にそれぞれ示す糸止め部材72Dおよび72Eは、複数の屈曲点を備えた比較的複雑な形状の収容部を備える変形例である。収容部における屈曲部位は、図19(d)に示すように滑らかな曲線状に形成されてもよいし、図19(e)に示すように角部を有するように形成されてもよい。また、両方の形状が組み合わされてもよい。糸止め部材72Dおよび72Eでは、収容部に通した糸をより抜けにくくすることができる。
さらに、図19(f)に示す糸止め部材72Fのように、外形は屈曲されずに収容部のみが屈曲されてもよい。この場合、外面が平坦に形成されているため、変形させる際に安定して力を加えることができ、効率よく結び目を形成することができる。
また、図19(g)に示す糸止め部材72Gのように、収容部が正面視において渦巻状に形成されてもよい。この場合、糸止め部材72Dおよび72E同様、収容部に通した縫合糸をより抜けにくくすることができる。
【0045】
次に、本発明の第四実施形態について、図20(a)から図21(c)を参照して説明する。
図20(a)は、本実施形態の結紮デバイス151の、糸止め部材152およびその周辺を示す拡大斜視図である。糸止め部材152は、図20(b)に示すように、正面視における形状が略長円形であり、当該略長円形の短径方向に開口する収容部153が略L字型に屈曲して形成されている。
糸止め部材152の正面視において、収容部153の形状を規定する第一腕部154および第二腕部155は、収容部153の幅方向(延在方向と直交する方向)の寸法W1よりも大きい寸法の幅広部156を有している。
【0046】
結紮デバイス151の使用時の動作は、上述の各実施形態の結紮デバイスと概ね同様であり、収容部153の最深部153A付近に縫合糸10を位置させて、収容部153を変形させることにより結び目knを形成する。
【0047】
本実施形態の結紮デバイス151においても、上述の各実施形態同様、結び目形成動作を容易かつスムーズに行うことができ、安定して結び目を形成することができる。
本実施形態の結紮デバイスは、第三実施形態と同様に収容部153が屈曲しており、当該屈曲状態が抜け止め部として機能するものである。収容部153のうち実際に縫合糸10が収容されるのは、屈曲した中間部よりも最深部153A側の領域であり、中間部より開口153B側であって最深部153Aに対向する内壁153Cがもっぱら抜け止め機能を発揮し、実質的な抜け止め部として機能する。
【0048】
また、第一腕部154および第二腕部155が幅広部156を有しているため、糸止め部材152の寸法が小さい場合であっても、術者が糸止め部材全体をかたまりとして認識しやすく、視認性を良好に保持することができる。
【0049】
また、正面視における形状が略長円形であるため、断面形状が略長円形の柱状の材料を用いて効率よく製造することができる。すなわち、柱状の材料に対して、ワイヤ放電等により長さ方向にわたって収容部の形状を形成した後に、当該柱状材料を径方向にスライスしていくことで、効率よく製造することが可能である。
【0050】
本実施形態では、糸止め部材の正面視形状が略長円形である例を説明したが、これに代えて、正面視形状を、正円や楕円形、あるいは多角形としてもよい。このようにしても、第一腕部や第二腕部に幅広部を設けて良好な視認性を確保できるとともに、正面視形状に対応する断面形状を有する柱状材料を用いて効率よく製造することができる。
【0051】
また、図21(a)に示す変形例のように、収容部153の開口153Bの幅を他の部位よりも広くして、縫合糸を収容部内に導入しやすくしてもよい。このような加工も上述のワイヤ放電等により容易に行うことができる。
また、図21(b)に示すように、開口153Bに突出部157を設けてもよい。このようにすると、糸止め部材を側面から見たときの面積が増加し、側面視における視認性を向上させることができる。また、開口153Bの位置も把握しやすく、縫合糸を収容部に導入する操作を容易にすることができる。
さらに、図21(c)に示すように、接続部158を異なる位置に設けてもよい。
【0052】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、各構成要素に種々の変更を加えたり、削除したり、各実施形態の構成要素を組み合わせたりすることが可能である。
【0053】
例えば、上述の各実施形態においては、糸止め部材の少なくとも一部を所定の形状に形成することにより抜け止め部を設けた例を説明したが、これに代えて、別部材を取り付けることにより抜け止め部が設けられてもよい。以下、このような変形例を複数挙げて説明する。
【0054】
図22に示す糸止め部材80には、収容部81の内面に樹脂等からなる毛状の部材82Aを複数取り付けることにより、略ブラシ状の抜け止め部82が設けられている。
また、図23に示す糸止め部材85には、腕部86のうち、収容部87の開口付近に位置する部位に、複数の突起88Aを有するホイール88が回転可能に取り付けられている。腕部86には、一定の弾性を有し突起88Aと干渉するストッパ89が取り付けられており、ホイール88は、縫合糸を収容部87内に誘い込む一方向(図23に矢印で示す。)には回転可能だが、逆方向には回転できないようになっている。そのため、ホイール88が縫合糸の収容部87から抜ける方向への動きを阻害する。すなわち、糸止め部材85においては、ホイール88とストッパ89とにより抜け止め部が構成されている。
【0055】
図24には、ゴム等の弾性部材91が、正面視において収容部92を塞ぐように密着して取り付けられた糸止め部材90を示している。弾性部材91が弾性変形するため、鉗子等を用いて縫合糸10を収容部92内に通すことはできるが、縫合糸10が直線状に戻ろうとする動き等のみでは、力が充分でないため弾性部材91は変形しにくく、弾性部材91が抜け止め部として機能する。
【0056】
図25には、収容部96内に、一定の粘性を有するゲル状の抜け止め材料97が配置された糸止め部材95を示している。収容部96に通された縫合糸10は、抜け止め材料97と摩擦を生じるため、縫合糸が収容部96から抜ける事態が好適に抑制される。
この変形例は、上述の各実施形態のいずれにも該当しないが、抜け止め材料97からなる抜け止め部を備えるものである。なお、抜け止め材料97の粘性が高すぎると、結び目形成動作において縫合糸を引き絞る際に抵抗となり、操作に支障が出るため注意する。
【0057】
また、抜け止め部は、糸止め部材と一体に設けられていなくてもよい。図26(a)に示す変形例の結紮デバイス100では、糸止め部材101に形成された挿入口102が糸止め部材101を貫通している。挿入口102に挿通された縫合糸10の第二の端部10Bには、抜け止め部材103が接続固定されている。抜け止め部材103は、少なくとも一部の寸法が腕部104の幅よりも大きい。術者が縫合糸10を対象組織に掛けて縫合糸10を引くと、図26(b)に示すように、抜け止め部材103が糸止め部材101に接触し、収容部105内における縫合糸10の動きを阻害して抜け止め部として機能する。なお、抜け止め部材103は、少なくとも一部の寸法が腕部104の幅よりも大きければその形状に特に制限はなく、図26(a)に示すように、直方体状、球状、板状等どのような形状でもよい。
この変形例では、糸止め部材101と縫合糸10とが摺動可能に取り付けられている。本発明の結紮デバイスにおいては、縫合糸と糸止め部材とはこのような取り付け関係とされてもよい。
【0058】
さらに、抜け止め部は、糸止め部材の厚さ方向に設けられてもよい。
図27(a)から図27(c)は、厚さ方向の一部にのみ突起部を形成した糸止め部材の例であり、図27(b)は、図27(a)のXXVb矢視図、図27(c)は、図27(a)のXXVc矢視図である。糸止め部材110の収容部111の基本形状は、糸止め部材110の正面視において略直線状であるが、厚さ方向の一部にのみ、収容部111内に突出する突起部112が形成されている。
図28(a)は、厚さ方向に狭窄部を設けた糸止め部材の例である。糸止め部材115の腕部116の端部は、湾曲された後、接続部117から延びる腕部116の一部と厚さ方向において重なるように延びている。重なった腕部116間の狭くなった間隙は、縫合糸10を通すことができる程度の寸法を有しており、重なった腕部が狭窄部118となっている。図28(b)に示すように、狭窄部118を通って収容部119内に通された縫合糸10は、収容部119から抜けにくく、狭窄部118は抜け止め部として機能する。
図29(a)から図29(c)は、収容部が厚さ方向に屈曲された糸止め部材の例であり、図29(b)は、図29(a)のXXVIIb矢視図、図29(c)は、図29(a)のXXVIIc矢視図である。糸止め部材120の第一腕部121Aおよび第二腕部121Bは、糸止め部材120の厚さ方向において湾曲しており、その結果第一腕部121Aと第二腕部121Bとの間の収容部122が厚さ方向に屈曲されている。このようにすると、収容部122に通された縫合糸10が、図27下側に示すように、収容部122の内面となる各腕部121A、121Bの側面と接触しやすくなり、縫合糸10との間に摩擦を発生しやすくなる。その結果、縫合糸10が収容部122から抜けることが抑制される。
以上説明したような厚さ方向に形成された抜け止め部は、上述の各実施形態の構成と組み合わされても構わない。
【0059】
さらに、本発明の結紮デバイスは、縫合針を備えていなくてもよい。縫合針を備えない場合でも、縫合糸を組織に通さずに結紮を行う等の用途に利用できるからである。また、縫合糸についても、一般的な縫合糸が手技の直前に上述の糸止め部材に取り付けられてもよい。したがって、抜け止め部を備えた糸止め部材単体が組織結紮デバイスとして流通されてもよい。
【0060】
また、上述した突起部、狭窄部、屈曲等の概念は、相互に排他的なものではない。例えば、狭窄部を形成する腕部の一部は、収容部内に突出する突起部と捉えることができるし、その逆の捉え方も可能である。また、突起部により収容部が屈曲されていると捉えうる形態も存在しうる。したがって、抜け止め部は、上述した態様のいずれか一つにのみ当てはまらなければならないものではないし、複数の要素が組み合わされた形状とされても何ら問題はない。
【符号の説明】
【0061】
1、51、71、100、151 組織結紮デバイス
10 縫合糸
20 縫合針
30、30A、30B、30C、30D、30E、30F、30G、30H、30I、52、52A、52B、52C、52D、52E、52F、72、72A、72B、72C、72D、72E、72F、72G、80、85、90、95、101、110、115、120、152 糸止め部材
33、43、55、56、58、61、64、75、81、87、92、97、105、111、119、122、153 収容部
34、38、39、41、44A、44B、44C、112 突起部(抜け止め部)
54A、63A、118 狭窄部(抜け止め部)
82 抜け止め部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縫合糸が取り付けられて組織の結紮に用いる組織結紮デバイスであって、
前記縫合糸に取り付けられ、前記縫合糸の一部を挿通可能な収容部を有する糸止め部材と、
前記収容部に挿通された前記縫合糸が前記収容部から抜けるのを抑制する抜け止め部と、
を備えることを特徴とする組織結紮デバイス。
【請求項2】
前記抜け止め部は、前記糸止め部材に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の組織結紮デバイス。
【請求項3】
前記抜け止め部は、前記収容部内に突出する突起部を含むことを特徴とする請求項2に記載の組織結紮デバイス。
【請求項4】
前記抜け止め部は、少なくとも一つの方向から見た状態において、前記収容部の寸法を他の部位よりも小さくする狭窄部を含むことを特徴とする請求項2に記載の組織結紮デバイス。
【請求項5】
前記収容部は、少なくとも一つの方向から見た状態において屈曲されており、屈曲状態が前記抜け止め部として機能することを特徴とする請求項2に記載の組織結紮デバイス。
【請求項6】
前記糸止め部材に取り付けられた縫合糸をさらに備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の組織結紮デバイス。
【請求項7】
前記縫合糸の一端に取り付けられた縫合針をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の組織結紮デバイス。
【請求項1】
縫合糸が取り付けられて組織の結紮に用いる組織結紮デバイスであって、
前記縫合糸に取り付けられ、前記縫合糸の一部を挿通可能な収容部を有する糸止め部材と、
前記収容部に挿通された前記縫合糸が前記収容部から抜けるのを抑制する抜け止め部と、
を備えることを特徴とする組織結紮デバイス。
【請求項2】
前記抜け止め部は、前記糸止め部材に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の組織結紮デバイス。
【請求項3】
前記抜け止め部は、前記収容部内に突出する突起部を含むことを特徴とする請求項2に記載の組織結紮デバイス。
【請求項4】
前記抜け止め部は、少なくとも一つの方向から見た状態において、前記収容部の寸法を他の部位よりも小さくする狭窄部を含むことを特徴とする請求項2に記載の組織結紮デバイス。
【請求項5】
前記収容部は、少なくとも一つの方向から見た状態において屈曲されており、屈曲状態が前記抜け止め部として機能することを特徴とする請求項2に記載の組織結紮デバイス。
【請求項6】
前記糸止め部材に取り付けられた縫合糸をさらに備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の組織結紮デバイス。
【請求項7】
前記縫合糸の一端に取り付けられた縫合針をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の組織結紮デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
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【図22】
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【図24】
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【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2012−130669(P2012−130669A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258684(P2011−258684)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「がん超早期診断・治療機器の総合研究開発/超低侵襲治療機器システムの研究開発/内視鏡下手術支援システムの研究開発プロジェクト」委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「がん超早期診断・治療機器の総合研究開発/超低侵襲治療機器システムの研究開発/内視鏡下手術支援システムの研究開発プロジェクト」委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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