組織部位へ減圧治療を施すための装置および方法
【課題】特殊な医療訓練なく減圧治療を処置することができるより簡易なシステムであって,さらに、消費電力が小さく、コンパクトでシステムの使用者が移動可能であり、日常の日々の活動への参加が可能な,安価で、単一患者によって経済的に使用され、その患者の治療後には廃棄され得るようなシステムを提供する.
【解決手段】組織部位に減圧を施すための装置100であって、装置100が、減圧を発生させる減圧源110と、複数の位置に可動であるインジケータであって、前記減圧源からの減圧の存在下で、前記複数の位置のうちの収縮位置に動くインジケータと、前記インジケータに連結される圧縮部材であって、前記複数の位置のうちの伸長位置に向かって前記インジケータに付勢力を働かせる圧縮部材とを具える装置を有するシステム。
【解決手段】組織部位に減圧を施すための装置100であって、装置100が、減圧を発生させる減圧源110と、複数の位置に可動であるインジケータであって、前記減圧源からの減圧の存在下で、前記複数の位置のうちの収縮位置に動くインジケータと、前記インジケータに連結される圧縮部材であって、前記複数の位置のうちの伸長位置に向かって前記インジケータに付勢力を働かせる圧縮部材とを具える装置を有するシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に組織治療の分野に関し、特に、組織部位に減圧を適用するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
臨床研究および臨床演習は、組織部位近傍を減圧すると組織部位での新しい組織の成長を増大させ、促進させることを示してきた。この事象の適用例は多数あるが、減圧の適用は、傷の治療で特に成功してきた。減圧を用いた傷の治療は、ときに医療業界で「負圧組織治療」「減圧療法」または「真空療法」と呼ばれる。この種の治療は、早期治癒や肉芽組織の増加形成など多くの恩恵をもたらす。
【0003】
減圧治療システムは、減圧の適用なしでは治り難い他の重症の傷と同様に、急性または慢性疾患の治療を受けている患者の、大きく浸出液が多い傷にしばしば適用される。小さく、浸出液が少量の、重症度の低い傷は、一般に減圧治療の代わりに高度な外傷用医薬材料を用いて治療されてきた。
【0004】
現在では、減圧治療の使用は、システム要素を監視したり変更したりするのに必要とされる労力、治療を監督する訓練された医療担当者の必要性、および高額な治療費のため、重症度の低い治療のための実行可能または手頃な選択肢とは考えられていない。例えば、今日の減圧治療システムの複雑さは、専門知識が乏しいか持たない者が、自身または他人へのこのような治療を処置することを妨げる。今日の減圧治療システムの寸法と電力消費性はまた、治療システムおよびその治療が適用される人の双方の移動性を制限する。また、今日の高額な減圧治療システムは、この治療システムの使用者へのアクセス性を妨げる。今日の減圧治療システムはまた、一般的に各治療後には使い捨て式ではない。
【0005】
例えば、今日の減圧治療システムは、組織部位から浸み出る浸出液を保存するための別の流体容器を使う必要がある。しかしながら、流体容器という部材を追加すると、減圧治療システムの突出性、複雑性および重量が増大し、これにより患者が不快となり移動の制限が増大してしまう。
【0006】
今日の減圧治療システムにはまた、適切な量の減圧が、減圧治療システムによって組織部位に適用されたかどうかを示すユーザフレンドリで突出しない方法に欠ける。このため、減圧治療システムを正確に操作するのに専門知識を有する者が必要とされ、これにより、減圧治療システムを用いるコストが増加し、アクセス性が低減してしまう。
【0007】
減圧が少量および少浸出液の傷に従来の減圧治療システムを適用することもできるが、特殊な医療訓練なく減圧治療を処置することができるより簡易なシステムの必要性が存在する。さらに、消費電力が小さく、コンパクトでシステムの使用者が移動可能であり、日常の日々の活動への参加が可能なシステムの必要性もある。最後に、安価で、単一患者によって経済的に使用され、その患者の治療後には廃棄され得るような安価なシステムが必要であった。
【発明の概要】
【0008】
減圧治療システムに存在する問題を軽減するために、ここに記述される例示的な実施例は、減圧を組織部位に施すための装置および方法に導かれる。前記装置は減圧源を具える。前記減圧源は減圧を発生させる。前記装置は複数のルーメンを有する管を具える。前記複数のルーメンは少なくとも一の収集ルーメンを具える。前記減圧源は前記少なくとも一の収集ルーメンが前記組織部位から流体を受けるよう、前記複数のルーメンを通して前記減圧を前記組織部位へと適用する。前記少なくとも一の収集ルーメンは、前記組織部位から受けた前記流体を貯蔵する。
【0009】
別の実施例において、前記装置は複数の位置に可動であるインジケータを具える。この実施例において、前記インジケータは前記減圧源から減圧下で、前記複数の位置のうちの収縮位置へと移動する。前記装置は前記インジケータに連結される圧縮部材を具えてもよい。前記圧縮部材は、前記複数の位置のうちの伸長位置に向かって、前記インジケータに付勢力を働かせる。発明の別の目的、特徴および利点は、以下の図、詳細な説明および請求の範囲を参照することにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の例示的な実施例による組織部位に減圧をかけるための装置のブロック図である。
【図2】図2は、本発明の例示的な実施例による組織部位に減圧をかけるための装置のブロック図である。
【図3】図3は、本発明の例示的な実施例による組織部位に減圧をかけるための装置の部材の断面図である。
【図4】図4は、本発明の例示的な実施例による組織部位に減圧をかけるための装置の部材の断面図である。
【図5】図5は、本発明の例示的な実施例による組織部位に減圧をかけるための装置の部材の断面図である。
【図6】図6は、本発明の例示的な実施例による組織部位に減圧をかけるための装置の部材の断面図である。
【図7】図7は、本発明の例示的な実施例による組織部位に減圧をかけるための装置の部材の断面図である。
【図8】図8は、本発明の例示的な実施例による組織部位に減圧をかけるための装置の部材の断面図である。
【図9】図9は、本発明の例示的な実施例による組織部位に減圧をかけるための装置の部材の断面図である。
【図10】図10は、本発明の例示的な実施例による組織部位に減圧をかけるための装置のブロック図である。
【図11】図11は、本発明の例示的な実施例による組織部位に減圧をかけるための装置の部材の斜視図である。
【図12】図12は、本発明の例示的な実施例による組織部位に減圧をかけるための装置の部材の斜視図である。
【図13】図13は、本発明の例示的な実施例による組織部位に減圧をかけるための装置の部材の斜視図である。
【図14】図14は、本発明の例示的な実施例による組織部位に減圧をかけるためのシステムのグラフ表示である。
【図15】図15は、本発明の例示的な実施例による組織部位に減圧をかけるためのプロセスを例示するためのフローチャートである。
【図16】図16は、本発明の例示的な実施例による組織部位に減圧をかけるためのプロセスを例示するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の好適な実施例の詳細な説明において、その一部を構成する添付図に対して参照がなされ、発明が実施されうる特定の好適な実施例を例示する手段として示される。これらの実施例は、当業者が発明を実施できるのに十分詳細に記載され、別の実施例が利用されてもよく、本発明の意図や範囲を超えない限り、論理構成的、機械的、電気的および化学的変化がなされてもよいと理解されたい。当業者が発明を実施するのに不必要な詳細を避けるために、当業者に周知の特定の情報の記載は省略する場合がある。以下の詳細な説明は、このため、限定的な意味にとられるべきではなく、本発明の範囲は添付の請求の範囲によってのみ明らかにされる。
【0012】
本書記載の例示的な実施例は、ここで組織部位へ減圧をかけるための装置および方法を提供する。一般的に減圧とは、処置される組織部位で周囲圧力より低い圧力を言う。大抵の場合この減圧は、患者が位置する場所の大気圧より低くなるであろう。“真空”および“負圧”という用語が、組織部位に適用される圧力を述べるのに用いられてもよいが、組織部位に適用される実際の圧力は、通常は完全な真空と比べて大幅に低くてもよい。この用語と一致して、減圧または真空圧の増加は、絶対圧力の相対的減少を言い、減圧または真空圧の減少は、絶対圧力の相対的増加を言う。同様に、特定の減圧より“低い”減圧とは、この特定の減圧に相当する絶対圧力より高い絶対圧力を言う。また、特定の減圧より“高い”減圧とは、特定の減圧に相当する絶対圧力より低い絶対圧力を言う。
【0013】
装置は減圧源を具えてもよい。減圧源は減圧を発生させる。一実施例において、装置は複数のルーメンを有する管を具える。複数のルーメンは、少なくとも一の収集ルーメンを具える。減圧源は少なくとも一の収集ルーメンが組織部位から流体を受けとるように、複数のルーメンを通して組織部位に減圧を適用する。少なくとも一の収集ルーメンは、組織部位から受け取った流体を貯蔵する。
【0014】
別の実施例において、装置は複数の位置に移動可能なインジケータを具える。例えば、インジケータは、導管の2箇所間に連結されるインジケータハウジングに含まれる円筒型インジケータであってもよい。導管は、組織部位に減圧を送るのに用いられてもよい。一実施例において、インジケータは減圧源からの減圧の存在下で、複数の位置のうちの収縮位置に動く。圧縮部材がインジケータに連結されてもよい。ここで用いられるように「連結された」という用語は、別の物体を介して連結することを含む。例えば、フィルタセットと管の双方が、第3の物体に連結される場合、圧縮部材はインジケータに連結されてもよい。「連結された」という用語はまた「直接的に連結された」ことを含み、この場合2つの物体は何らかの方法で互いに接触している。「連結された」という用語はまた、各要素が同じ材料から形成されることにより互いに連続する2以上の部材を含む。圧縮部材は、インジケータに前記複数の位置のうちの伸長位置の方へ付勢力を働かせてもよい。
【0015】
図1を参照すると、組織部位105に減圧を適用する減圧処理システム100は、例示的な実施例によって示されている。組織部位105は、骨組織、脂肪組織、筋肉組織、皮膚組織、血管組織、結合組織、軟骨、腱、または様々な他の組織を含む、いかなる人間、動物または他の有機体の肉体組織であってもよい。組織部位105は、傷、罹患組織、または欠陥組織を含んでもよく、組織部位は、傷、罹患組織または欠陥組織ではない健康な組織もまた含んでもよい。組織部位105へ減圧を適用することは、追加組織の成長を促進するのと同様、組織部位105からの浸出液および他の液体の排出を促進するのに用いられてもよい。組織部位105が傷部位である場合に、肉芽組織の成長とともに、浸出液およびバクテリアの除去が傷の回復を促進させる。健康な組織を含む傷や欠陥組織ではないところへの減圧の適用は、採取されて別の組織部位に移植される組織の成長を促進させるのに用いられてもよい。
【0016】
組織部位105に適用される減圧は、減圧源110によって発生させられる。減圧源110は、手動、機械的、または電気的に操作されたポンプのいかなるタイプでもよい。減圧源110の限定しない例は、蓄えられたエネルギによって駆動される装置を含み、それらの装置は減圧を生成することができる。このような蓄えられたエネルギ、減圧源の例は、限定しないが、圧電エネルギ、バネエネルギ、ソーラーエネルギ、運動エネルギ、コンデンサに蓄えられるエネルギ、燃焼、およびスターリングまたは同様のサイクルによって創出されるエネルギによって駆動されるポンプを含む。減圧源110の他の例は、手動で作動されるスプレーボトルに用いられるような、ベローズポンプ、蠕動ポンプ、膜ポンプ、ロータリベーンポンプ、線形ピストンポンプ、気圧ポンプ、水圧ポンプ、手動ポンプ、足踏み式ポンプ、および手押しポンプのような手動で作動される装置を具える。さらに減圧源110に用いられたり含まれてもよい別の装置および方法は、シリンジ、親ネジ、つめ車、時計仕掛けで駆動される装置、振子駆動装置、手動発電機、浸透圧方法、熱加熱方法、および減圧が圧縮によって発生させられる方法を含む。
【0017】
別の実施例において、減圧源110は化学反応によって駆動されるポンプを具えてもよい。錠剤、溶液、噴射、または他の送出機構がポンプに送出されたり、化学反応を起こさせるのに用いられてもよい。化学反応によって発生した熱は、減圧を発生させるためポンプを駆動するのに用いられてもよい。別の実施例において、二酸化炭素シリンダのような減圧されたガスシリンダが、減圧を生じさせるためポンプを駆動させるのに用いられる。さらに別の実施例において、減圧源110は電池駆動ポンプでもよい。好適には、このポンプは小量の電力を用い、電池の単一チャージの伸長された期間動作可能である。
【0018】
減圧源110は、ドレッシング115を介して減圧を組織部位105に提供する。ドレッシング115は、組織部位105に近接または密着して配置されうるマニフォルド120を具える。マニフォルド120は、組織部位105に密着して配置され、減圧を組織部位105に分配する生体適合、多孔性の材料である。マニフォルド120は、特定の生物学的アプリケーションに適した発泡体、ガーゼ、フェルトマット、または他の材料から形成されてもよい。マニフォルド120は、組織部位105へまたは組織部位からの減圧または流体の分配を容易にする複数のフローチャネルまたは経路を具えてもよい。
【0019】
一実施例において、マニフォルド120は多孔性発泡体であり、フローチャネルとして作用する複数の結合型セルまたは細孔を具える。多孔性発泡体は、San Antonio,TexasのKinetic Concepts,Inc.によって製造されたGranuFoamのような、ポリウレタンの、連続気泡の、網状発泡体であってもよい。連続気泡が用いられる場合、孔隙率は変化してもよいが、約400乃至600ミクロンであることが好ましい。フローチャネルは、連続気泡を有するマニフォルド120の部分を通る流体接続を可能にする。セルおよびフローチャネルは、形および大きさが均一であってもよいか、形および大きさがパターン化または不規則な変化を有してもよい。マニフォルドのセルの形や大きさの変化は、フローチャネルに変化をもたらし、このような性質は、マニフォルド120を通る流体の流動性質を変えるのに用いられてもよい。
【0020】
マニフォルド120はまた、減圧治療システム100の使用に伴い、患者の身体から取り除かれる必要のない生体吸収性材料から構成されてもよい。好適な生体吸収性材料は、限定しないが、ポリ乳酸(PLA)およびポリグリコール酸(PGA)の高分子混合物を含んでもよい。高分子混合物はまた、限定しないが、ポリカーボネート、ポリフマル酸、およびカプララクトンを含んでもよい。マニフォルド120はさらに、新しい細胞成長のための骨格として提供されてもよいか、骨格材料が、細胞成長を促進させるためにマニフォルド120と共に用いられてもよい。骨格は、細胞の成長のためのテンプレートを提供する三次元多孔質構造のような、細胞の成長または組織の形成を高めたり促進させたりするのに用いられる物質または構造である。骨格材料の例示的な例は、リン酸カルシウム、コラーゲン、PLA/PGA、サンゴハイドロキシアパタイト、炭酸塩、または処理された同種移植片材料を含む。一実施例において、骨格材料は、空隙分(すなわち多空気含有量)が高い。
【0021】
ドレッシング115はまた、シール部材125を具える。マニフォルド120は、シール部材125を用いて組織部位105に固着されてもよい。シール部材125は、組織部位105でマニフォルド120を固着するのに用いられるカバーであってもよい。シール部材125は、不浸透性または半浸透性であってもよいが、一実施例において、シール部材125がマニフォルド120上に設置された後は、組織部位105を減圧に保つことが可能である。シール部材125は、シリコーン基化合物、アクリル、ヒドロゲルまたはヒドロゲル形成材料、または組織部位105に所望の不浸透性または浸透性を有する他のいかなる生体吸収性材料からなる柔軟なドレープまたはフィルムでもよい。シール部材125は、シール部材125による水分吸収を妨げる疎水性材料で形成されてもよい。
【0022】
シール部材125は、ドレープのような“シート”形態で提供される代わりに、マニフォルド120を組織部位105に接触させて設置後に、マニフォルド120上に提供される流動、または噴霧可能な形態で提供されてもよい。同様にシール部材125は、吸着カップ、成形鋳型、ベルジャーに限定されないが、それらを含むシール機能を提供するマニフォルド120および組織部位105に配置される装置を含んでもよい。
【0023】
一実施例において、シール部材125はマニフォルド120および組織部位105を囲む組織にシール結合を提供するよう構成される。シール結合は、シール部材125の周囲に沿って位置する粘着剤によって提供されてもよいか、シール部材125をマニフォルド120または組織部位105周りの組織へ固定するシール部材125のいかなる部分に提供されてもよい。粘着剤は、シール部材125にあらかじめ設けられるか、シール部材125を設置する直前にシール部材125に噴霧、あるいは設けられてもよい。
【0024】
いくつかのケースにおいて、シール部材125は、組織部位105を封止する必要がない。例えば、組織部位105は、減圧を維持するために”自己シール”可能である場合がある。皮下および深い組織の傷、空洞、フィステルにおいて、シール部材125を用いることなく組織部位105で減圧を維持できる場合がある。組織はしばしばこのような種類の組織部位を包んだり囲んだりするため、組織部位を囲む組織は効果的にシール部材として作用する。
【0025】
減圧源110によって発生された減圧は、送出管135を用いて組織部位105に提供されてもよい。送出管135は、ガス、液体、ゲルまたは他の流体が流れるいかなる管であってもよい。例えば、組織部位105からの浸出液は、送出管135を通って流れてもよい。図1において、コネクタ150は送出管135を流体収集装置140に連結する。しかしながら、送出管135は、コネクタ150または流体収集装置140を介することなく、減圧源110とドレッシング115を直接連結させてもよい。
【0026】
送出管135は円形、楕円形または多角形などの様々な断面形状を有してもよい。さらに送出管135は、いかなる材料から形成されてもよく、可撓性または不撓性のいずれであってもよい。また、送出管135は流体が流れる1以上の通路またはルーメンを有してもよい。例えば、送出管135は2つのルーメンを有してもよい。この例において、一方のルーメンは、組織部位105から流体収集装置140への浸出液の通路に用いられてもよい。他方のルーメンは、空気、抗菌剤、抗ウィルス剤、細胞増殖剤、灌漑流体、または他の化学的活性剤のような流体を、組織部位105に送るのに用いられてもよい。流体が生じる流体源は図1に示されていない。
【0027】
一実施例において、送出管135は組織部位105からの浸出液を集めるための送出ルーメンおよび一以上の収集ルーメンを有する。これらのルーメンはまた、各々ルーメンを通る浸出液の流れを管理するフィルタを具えてもよい。送出管135が送出ルーメン、収集ルーメン、およびフィルタを含むことに関するさらなる詳細は以下の図2−10に提供される。
【0028】
一実施例において、送出管135は連結部材145を介してマニフォルド120に連結される。連結部材145はマニフォルド120から送出管135への流体の通過を許可し、その逆も同じである。例えば、マニフォルド120を用いて組織部位105から集められた浸出液は、連結部材145を介して送出管135に入ってもよい。別の実施例において、減圧治療システム100は連結部材145を具えない。この実施例において、送出管135は送出管135の端部が、マニフォルド120に隣接するか、密着するようシール部材125またはマニフォルド120に直接挿入されてもよい。
【0029】
減圧治療システム100は流体収集装置140を具える。組織部位105からの浸出液のような液体は送出管135を通り、流体収集装置140へと流れてもよい。流体収集装置140は、固形物を含む流体とともに、ガスおよび液体のような流体を吸収できるいかなる装置またはキャビティでもよい。例えば、キャニスタ115は組織部位105からの浸出液を含んでもよい。送出管135は流体収集装置140に直接連結されてもよいし、コネクタ150のようなコネクタを介して流体収集装置140に連結されてもよい。
【0030】
流体収集装置140は送出管135によってマニフォルド120に流体接続される軟質または硬質の容器、バッグ、または小袋であってもよい。流体収集装置140は、別個の容器とするか、浸出液および流体を収集するために減圧源110に機能的に組み込まれてもよい。ベローポンプのような手動ポンプが減圧源110として用いられるような例示的な実施例において、減圧を発生させる可変容量ポンプが、チャンバが広がるにつれて流体を収集する流体収集装置140としても提供されてもよい。流体収集装置140は、流体を収集するための単一のチャンバを具えてもよく、あるいは複数のチャンバを具えてもよい。乾燥剤または吸収剤が、流体が収集された時点で、流体をトラップしたり、管理したりするために流体収集装置140内に配置されてもよい。流体収集装置140がない場合は、流体、特に水溶性の流体が、マニフォルド120から蒸発され得る。浸出液および他の流体を制御する方法が採用されてもよい。別の実施例において、図2−10で後述される送出管135の1以上の収集ルーメンを、流体収集装置140の代わりに、または追加して用いられてもよい。
【0031】
減圧治療システム100は、減圧治療システム100の別の部材と機能的に関連する減圧フィードバックシステム155を具え、組織部位105へ送られたり、減圧治療システム100の使用者に、減圧源110によって発生させられる圧力の相対または絶対量を示す情報を提供する。フィードバックシステムの例は、限定しないが、減圧が選択された量を超える場合に作動するポップ弁、および偏向ポップ弁を含む。ポップ弁を具えるフィードバックシステムに関する追加的な詳細は、特に、送出管135での減圧に反応する可動性のインジケータであり、図11−14に関して後述する。
【0032】
フィードバックシステムの別の限定しない実施例は、微小電池によって動力を供給される低動力電気インジケータ、組織部位に提供される特定の圧力値を示すダイアルインジケータ、様々な偏向性を有するポリマ、減圧源110によって発生させられる相対または絶対圧力値を示す視覚識別子を生成するため、互いに相対的に動くフィルムを含む。“フィルム”ベースシステムの一例は、第2の部分に固定される青色フィルムに対して動くことが可能な、減圧源110の第1の部分へ固定される黄色フィルムを含んでもよい。第1および第2の部分が、減圧を提供するために互いに対して動かされたら、黄色と青色のフィルムが重なって、緑のインジケータが形成される。圧力が上昇しフィルムが互いに離れるように動くにつれて、緑色が失われると圧力が増加したことを示す(すなわち、さらに減圧をかける必要がある)。
【0033】
減圧治療システム100は、さらに流体収集装置140に存在する流体の量を検出するための体積検出システム157、組織部位105から流れる浸出液で、血液の存在を検出するための血液検出システム159、組織部位105の温度を監視するための温度監視システム162、組織部位105で感染の存在を検出するための感染検出システム165、組織部位105から流れる流体の流量を監視するための流量監視システム167を具える。感染検出システム165は、バクテリアの存在で色を変える泡または別の物質を含んでもよい。泡または別の物質は、組織部位105からの浸出液が色変化材料にさらされるように、マニフォルド120または送出管135と機能的に関連づけられてもよい。上記部材およびシステムに追加して、減圧治療システム100は、組織部位105への減圧治療の投与を容易にする弁、レギュレータ、スイッチ、および別の電気的、機械的、および流体成分を具えてもよい。
【0034】
図2を見ると、図1の減圧治療システム100の限定しない一例である減圧治療システム200が例示的な実施例として示されている。一実施例において、図1の流体収集装置140は、ドレッシング215と減圧源210との間に流体接続される管235である。ドレッシング215および減圧源210は、それぞれ図1のドレッシング115および減圧源110の限定しない例である。
【0035】
管235は複数のルーメンを有する。特に、管235は、送出ルーメン270および複数の収集ルーメン272を具える。図2は単一の送出ルーメン270と2つの収集ルーメン272を有する管235を示すが、管235は様々な数の送出および収集ルーメンを有してもよい。例えば、管235は、複数の送出ルーメンと単一の収集ルーメンを具えてもよい。
【0036】
送出ルーメン270および複数の収集ルーメン272を含む管235の複数のルーメンは、全てが減圧にさらされるように減圧源210に流体的に連結される。このように、減圧源210によって発生した減圧は、ドレッシング215を介して組織部位205へと、管235の複数のルーメンのそれぞれを通って送出されてもよい。一実施例において、減圧源210は、複数の収集ルーメン272が、組織部位205から液体または固形物を含む液体のような流体274を受け取るように、減圧を送出ルーメン270および複数の収集ルーメン272を通して組織部位205に適用する。一実施例において、流体274は組織部位205からの浸出液である。複数の収集ルーメン272は、組織部位205から受け取った流体274を保存してもよい。したがって、図1の流体収集装置140のような個別の流体収集装置は不要となる。
【0037】
減圧治療システム200は、管235に連結される少なくとも一のフィルタを具えてもよい。特に、管235は送出ルーメンフィルタ276および収集ルーメンフィルタ278を具える。送出ルーメンフィルタ276および収集ルーメンフィルタ278は、組織部位205からの流体274が、フィルタが位置される一以上の位置を通過したり、流れたりすることを防ぐ。送出ルーメンフィルタ276および収集ルーメンフィルタ278は、疎水性のフィルタ、親水性のフィルタおよび機械的弁のような流体274の流れを防ぐことができるいかなる種類のフィルタであってもよい。送出ルーメンフィルタ276または収集ルーメンフィルタ278が機械的な弁である例において、ダックビル弁のような一方向弁が用いられてもよい。
【0038】
送出ルーメンフィルタ276は、組織部位205およびドレッシング215に隣接する管235の端部に連結される。ここで用いられる“隣接”は、別の物体と同じかその近くを意味する。一例において、第1の物体は、仮に第1の物体が第2の物体よりも特定の物体に近ければ、特定の物体に隣接すると言える。したがって、仮に管の第1の端部が管の第2の端部より組織部位205に近ければ、管235の第1の端部は、組織部位205に隣接すると言える。送出ルーメンフィルタ276は、流体274がドレッシング215を通り送出ルーメン270に入るのを抑制したり、防いだりする。したがって、減圧は、たとえ流体274が複数の収集ルーメン274に集められたとしても、流体274によって妨げられずに送出ルーメン270を介して継続的に適用されうる。
【0039】
図2では、送出ルーメンフィルタ276がいかなる流体274も送出ルーメン270に入らないようにしているが、送出ルーメンフィルタ276は、流体274が送出ルーメン270に沿った特定の地点を通過するのを防ぐよう配置されてもよい。例えば、送出ルーメンフィルタ276は、流体274が送出ルーメンフィルタ276によって妨げられていない送出ルーメン270の一部に入れるように、管235の端部から特定の距離で送出ルーメン270の内側に配置されてもよい。送出ルーメンフィルタ276の配置と接合に関する追加的な詳細は、以下の図4−6に述べられる。
【0040】
収集ルーメンフィルタ278は、減圧源210に隣接する管235の端部に接合される。収集ルーメンフィルタ278は、流体274が減圧源210に入ったり、複数の収集ルーメン272から出ることを妨げる。収集ルーメンフィルタ278の位置により、ドレッシング215と収集ルーメンフィルタ278の間の複数の収集ルーメン272は、組織部位205から浸出液および別の流体を受け取ることができる貯蔵器となる。複数の収集ルーメン272は減圧源210によって作用されると、流体は組織部位205に隣接するマニフォルド220を通り組織部位205から複数の収集ルーメン272へと流れ出る。流体を収容可能な空間の体積は、ドレッシング215と収集ルーメンフィルタ278間のそれぞれの収集ルーメンの長さとともに、複数の収集ルーメン272における収集ルーメンおよび直径による。例えば、複数の収集ルーメン272は、約30−60立方センチメートルの流体274を保持することができてもよい。しかしながら、上述した複数の収集ルーメン272の物理パラメータは、複数の収集ルーメン272が流体274の任意の量を保存できるように、特定の実装に基づいて調整されてもよい。
【0041】
複数の収集ルーメン272が流体で満たされつつも、複数の収集ルーメン272は源圧源210からの減圧を継続的に提供可能である。複数の収集ルーメン272の、ドレッシング215および収集ルーメンフィルタ278の間が流体274で完全に満たされた場合、減圧は複数の収集ルーメン272を通っては、もはや送出されなくてもよい。しかしながら、複数の収集ルーメン272が一杯になった後でさえ、送出ルーメン270は減圧を送出し続ける。
【0042】
収集ルーメンフィルタ278が、減圧源210に隣接する管235の端部に連結されるように示されているが、収集ルーメンフィルタ278は、管235に沿ってどこに位置されてもよい。例えば、収集ルーメンフィルタ278は、管235の長さに沿った中間位置に配置されてもよい。この例では、流体274が管235の中間位置で収集ルーメンフィルタ278によって妨げられるまで、複数の収集ルーメン272は流体274で満たされる。このように、収集ルーメンフィルタ278は、流体274が複数の収集ルーメン272に沿って管235の中間位置を通るのを防ぐ。この例では、複数の収集ルーメン272で規定された空間の一部のみが流体274で満たされうる。
【0043】
別の実施例において、減圧治療システム200は、複数の収集ルーメンフィルタを具えても良い。この例では、各収集ルーメンフィルタは、複数の収集ルーメン272でそれぞれの収集ルーメンに沿った異なる位置に配置されてもよい。このように、複数の収集ルーメン272でのそれぞれの収集ルーメンは、異なる流体容量を有してもよい。
【0044】
減圧治療システム200は、低浸出液の組織部位を治療するのに用いられてもよいので、複数の収集ルーメン272でより少量の流体収集容量とすることは(専用のキャニスタに反して)、長時間、治療を施すための減圧治療装置200の能力にほとんどまたは全く影響がない。減圧送出管と一体化された流体収集装置が小型である性質は、患者の不快を低減するとともに患者の移動度を最大化する。治療中には、複数の収集ルーメン272が十分に流体274で満たされると、管235は新しい管と容易に取り替えられることができる。管が取り替えられている間の流体の流出の危険性を低減するために、または治療中に流体がマニフォルド220へ逆流するのを防ぐために、複数の収集ルーメン272の一部には、乾燥剤、吸収剤、または他の捕捉剤が充填されてもよい。
【0045】
図2において、流体274を具える複数の収集ルーメン272の部分は、流体271が減圧治療システム200の使用者に見えるように影つきとなる。管235は、少なくとも一の実質的に透明な管部を具え、ここを通して流体274が可視となっていてもよい。例えば、一以上の実質的に透明な管部は、透明材料からなる管235の窓であってもよい。この窓の各々は、各収集ルーメン272にそれぞれ隣接した管235の部分を横切って延在してもよい。
【0046】
別の例において、管235が作られる材料は透明材料であってもよい。このように、流体274は、管235が全部透明で可視であってもよい。浸出液のような、組織部位205からの流体274は暗い色を有するため、複数の収集ルーメン272内の流体レベルは、使用者によって容易に確かめられることができる。
【0047】
管235はまた区画280を有する。区画280は、複数の収集ルーメン272での流体274の量を示す。管235が透明な窓のような一以上の実質的に透明な管部を有する例では、区画280はそれぞれの窓に沿って含まれてもよい。区画280のそれぞれは、流体274の特定の容量または量に相当してもよい。例えば、第1の区画280は、“5cc”のレベルであり、それ以降、それぞれの区画は5立方センチメートルの増分のレベルであってもよい。用いられる特定の増分は、器具によるものとする。
【0048】
ここで図3を見ると、管300の断面図が、図2において“Fig3”と付された断面表示の斜視図で示されている。図3に示すように、送出ルーメン270は、それぞれの収集ルーメン272より大きい断面を有する。しかしながら、一例において、送出ルーメン270の断面は、それぞれの収集ルーメン272の断面と同じか、より小さいものであってもよい。送出ルーメン270および収集ルーメン272はまた、円形の断面形状を有する。しかしながら、送出ルーメン270および収集ルーメン272は、楕円形、多角形、または不規則な断面形状を有してもよい。
【0049】
収集ルーメン272が円形のパターンで送出ルーメン270を囲むように、それぞれの収集ルーメン272は、送出ルーメン270から等距離で示されている。しかしながら、送出ルーメン270および収集ルーメン272は、互いに対していかなる空間構造を有してもよく、これには収集ルーメン272がそれぞれ送出ルーメン270から異なる距離である構造が含まれる。さらに管300は、送出ルーメン270のような送出ルーメンを2以上具えてもよい。いかなる数の収集ルーメン272が管300に含まれてもよい。一実施例において、管300での送出ルーメンの数は、収集ルーメンの数を超える。
【0050】
送出ルーメン270は、管300の縦の中心に沿って位置されるよう示されている。しかしながら、送出ルーメン270は、管300の長さを横断する、いかなる縦軸に沿って位置されてもよい。一例において、送出ルーメン270および収集ルーメン272は、管300の長さに沿って縦に延びる壁によって区画されてもよい。この例において、2以上の交差する壁は、四分円を区画してもよく、そのうちのどれかが送出ルーメンまたは収集ルーメンであってもよい。
【0051】
図4を見ると、管400の断面図が、図2で“Fig4”と付された断面表示の斜視図で示される。管400は、送出管フィルタ276を具え、送出ルーメン270の開口部で管400に連結される。送出ルーメンフィルタ276は、送出ルーメン270と同じか僅かに大きな断面を有し、送出管フィルタ276により流体が送出ルーメン270に入るのを防げるようにしてもよい。送出ルーメンフィルタ276は、いかなる方法を用いて管400の端部に連結されてもよい。例えば、送出ルーメンフィルタ276は、管400の端部に溶接、ビス止め、糊付け、ボルト締め、空気閉塞、スナップ止め、または圧着されてもよい。
【0052】
ここで図5を見ると、管500の断面図が、図4で“Fig5”と付された断面表示の斜視図で示される。図5は、組織部位からの流体が送出ルーメン270に入らないよう、送出ルーメンフィルタ276によって妨げられる送出ルーメン270の開口を示す。特に、送出ルーメン270は、送出ルーメンフィルタ270が突出部277で送出ルーメン270の直径から突出するように、ちょうど送出ルーメン270の外側に位置されるよう示される。送出ルーメンフィルタ276は、送出ルーメン270への流体の流れを防ぐのに十分ないかなる厚さを有してもよい。収集ルーメン272の開口は、流体が収集ルーメン272によって受容および収集されうるように送出ルーメン276によって妨げられていない。
【0053】
図6を見ると、管600の断面図が示され、そこでは送出ルーメンフィルタ276が、図5の送出ルーメンフィルタ276とは異なるサイズおよび構造を有する。特に、送出ルーメンフィルタ276が送出ルーメン270によって区画される空間に合うように、送出ルーメンフィルタ276は、送出管270の直径にほぼ等しい直径を有する。送出ルーメンフィルタ276は送出ルーメン270の端部に位置されるよう示されているが、送出ルーメンフィルタ276は送出ルーメン270の長さに沿ったいずれかの場所に位置されてもよい。この例において、送出ルーメンフィルタ276は、組織部位からの流体が、送出ルーメンフィルタ276が送出ルーメン270に沿って位置される位置を通ることを防ぐ。
【0054】
図7を見ると、管700の断面図が、図2で“Fig7”と付された断面表示の斜視図で示される。管700は、収集ルーメンフィルタ278を具える。収集ルーメンフィルタ278は、管700の端部に結合されるよう示されている。収集ルーメンフィルタ278はまた、収集ルーメンフィルタの形状をよりよく示すため管700の端部から分離されるよう示されてもいる。収集ルーメンフィルタ278は開口279を有するディスクである。管700の端部に結合される場合、収集ルーメンフィルタ278は、開口279が収集ルーメン270の開口に位置されるよう収集ルーメン272を覆うが、送出ルーメン270は覆わない。このように、収集ルーメンフィルタ278は、収集ルーメンフィルタ278によって収集された流体が、収集ルーメン272から出て、図2の減圧源210のような減圧源に入ったりするのを防いでもよい。しかしながら、収集ルーメン272が、減圧を組織部位に送るように、未だ減圧が収集ルーメンフィルタ278を通って提供されてもよい。収集ルーメンフィルタ278は“O”型を有するよう示されているが、収集ルーメンフィルタ278は、流体が一以上の収集ルーメン272から出るのを防ぐことができるいかなる形状を有してもよい。
【0055】
収集ルーメンフィルタ278は、いかなる方法を用いて管700の端部に連結されてもよい。例えば、収集ルーメンフィルタ278は、管700の端部に溶接、ビス止め、糊付け、ボルト止め、空気閉塞、スナップ止め、圧着されてもよい。
【0056】
図8を見ると、管500の断面図が、図7で“Fig8”と付された断面表示の斜視図で示される。図8は、組織部位からの流体が、収集ルーメン272から出たり、減圧源に入ったりすることができないよう収集ルーメンフィルタ278によって妨げられる収集ルーメン272の開口を示す。特に、収集ルーメンフィルタ278は、収集ルーメンフィルタ278が各収集ルーメン272の各直径に被さるように、収集ルーメンフィルタ278がちょうど収集ルーメン272の外側に位置するよう示される。収集ルーメンフィルタ278は、流体が収集ルーメン278から流出するのを防ぐのに十分な、いかなる厚さを有してもよい。収集ルーメン270の開口は、送出ルーメン270の開口および減圧源の間にいかなる障害も存在しないよう収集ルーメンフィルタ278によって妨げられていない。
【0057】
ここで図9を見ると、管900の断面図が示され、そこでは収集ルーメンフィルタ278が図8の収集ルーメンフィルタ278とは異なる寸法および構造を有する。特に、収集ルーメンフィルタ278は複数の収集ルーメンフィルタを具えており、それらのいずれもが収集ルーメン272によって区画される空間内に位置される。各収集ルーメン278の直径は、収集ルーメンフィルタ278が収集ルーメン272に合うよう各収集ルーメン272の直径とおおよそ等しい。この例において、各収集ルーメンフィルタは、浸出液のような液体の流れを防ぐ機械的な弁であってもよいが、気体の流れを妨げず、これにより、収集ルーメン278を横切る減圧の流れが可能となる。収集ルーメンフィルタ278は、各収集ルーメン272の端部に位置されるよう示されているが、収集ルーメンフィルタ278は、収集ルーメン272の長さに沿ったいかなる場所に位置されてもよく、これによって各収集ルーメン272の流体容量をが確定される。各収集ルーメンフィルタ278はそれぞれ、各収集ルーメン272の流体容量が異なるように、各収集ルーメン272に沿った異なる位置に配置されてもよい。
【0058】
図10を見ると、図1の減圧システム100の限定しない一例である減圧治療システム1000が、例示的な実施例によって示される。特に、減圧治療システム1000は、図1の減圧フィードバックシステム155の限定しない例を含む。減圧治療システム1000は、減圧源1010を有しており、それは組織部位1005に提供される減圧を発生させる。
【0059】
減圧治療装置1000はまた、インジケータハウジング1000を具え、それは、送出管1035の2箇所の間に配置される。送出管1035は、図1の送出管135の限定しない例である。インジケータハウジング1000は、連結部1086を有する。連結部1086は、送出管1035の一部から、送出管1035の別の部分へ減圧を送出する。連結部1086はまた、送出管1035によって含まれるのと同じか同等の量の減圧を含む。インジケータハウジング1000は、インジケータ1088を含み、それはインジケータハウジング1085の管部分1090に沿った開口に摺動可能に連結される。インジケータ1088は円筒形を有してもよい。インジケータ1088は、楕円形または多角形の断面形状を有してもよい。インジケータ1088は、赤、オレンジまたは黄色のような、いかなる色を有してもよい。
【0060】
インジケータ1088は、所望量または治療量である減圧が組織部位1005に適用されたかを使用者が判定できるように、減圧治療システム1000に存在する減圧の量に反応する。特に、インジケータ1088は、軸1092に沿った複数の位置に移動可能である。この複数の位置は収縮位置を含んでもよい。収縮位置において、インジケータ1088は、インジケータ1088が使用者から部分的または完全に見えなくなるよう、管部1090に完全にまたは部分的に引っ込んでいる。複数の位置はまた伸長位置を有してもよい。図10では、インジケータ1088が伸長位置で示される。伸長位置では、インジケータ1088が使用者に見えるように、インジケータ1088は完全または部分的に管部1090から突出してもよい。複数の位置は、十分に伸長および収縮した位置の間のいかなる位置を含んでもよい。
【0061】
減圧治療システム1000は、バネなどの圧縮部材もまた具えており、それはインジケータ1088に連結され、管部1090に位置される。この圧縮部材は図10に示されないが、以降の図11および図12に多くの詳細が示される。圧縮部材は、インジケータ1088を伸長位置に付勢すべくインジケータ1088に付勢力を働かせる。付勢力は矢印1093によって示される方向に働く。
【0062】
インジケータハウジング1085は、送出管1035の2箇所間に配置されるよう示されているが、インジケータハウジング1085は、減圧治療システム1000において組織部位1005に適用される減圧が検出される様々な場所に配置されてもよい。例えば、インジケータ1088に沿ったインジケータハウジング1085は、シーリング部材1025またはコネクタ1045を含むドレッシング1015のいかなる場所に位置されてもよい。点状のインジケータ1094は、インジケータ1088に沿って、インジケータハウジング1085がシール部材1025に位置される例を示す。別の例において、インジケータハウジング1085は、インジケータ1088とともに、減圧源1010をドレッシング1015に連結する単一の送出管の一端に位置されてもよい。
【0063】
一実施例においてインジケータ1088は、減圧源1010からの減圧の存在下で収縮位置に動く。特に、インジケータ1088は、減圧が送出管1035および連結部1086に存在する場合、収縮位置に動いてもよい。収縮位置に動く際に、インジケータ1088は、矢印1093によって示される方向に、圧縮部材によって働かされる付勢力に打ち勝たなければならない。連結部位1086での十分に高い源圧が、この付勢力に打ち勝ち、インジケータ1088を後退位置に引いてもよい。付勢力に打ち勝つのに必要な減圧量は、圧縮部材によって働く付勢力の量による。圧縮部材がコイルバネである例において、コイルバネのバネ定数によりインジケータ1088を収縮位置に引くのに必要な減圧量が定まる。
【0064】
一例において、送出管1035での減圧が第1閾値の減圧を超える場合に、インジケータ1088は収縮位置に動く。この第1閾値の減圧は使用者によって決められたり、圧縮部材によって働く付勢力を変えることによって決定されてもよい。例えば、使用者は、インジケータ1088が収縮位置に引かれるよう、送出管1035内の減圧が治療減圧源を超えることが求められるバネ定数を選択してもよい。一実施例において、インジケータ1088は、減圧源によって発生された絶対圧力が約125ミリメートルの水銀と等しいかそれ以下である場合に、インジケータ1088は収縮位置に動く。このように、減圧治療インジケータ1088が管部分1090から突出していないことを観察することによって、減圧治療システム1000の使用者は治療減圧が組織部位1005に適用されたことを、視覚的に検出可能であってもよい。
【0065】
別の実施例において、送出管1035での減圧が第2閾値の減圧以下である場合、圧縮部材は、インジケータ1088を伸長位置に付勢してもよい。一例において、第1閾値の減圧は、第2閾値の減圧と同じである。別の例において、第1閾値の減圧は第2閾値の減圧と異なり、減圧が第1減圧閾値を超える場合に完全に収縮位置となり、減圧が第2減圧閾値以下である場合に完全に伸長位置となる。この実施例において、減圧が第1および第2の減圧閾値にある場合、インジケータ1088は、完全に収縮および伸長した位置の中間にあってもよい。
【0066】
別の実施例において、送出管1035での減圧が存在しない場合に、圧縮部材はインジケータ1088を延出位置に付勢する。一例において、減圧の不在は、減圧源1010が遮断された為である。減圧が存在しないか閾値より低い場合、管部1090で圧縮部材がインジケータ1088を管部1090から突出するよう付勢するため、使用者は、インジケータ1088が管部1090から突出するのを観察することによって、治療圧が組織部位1005に適用されていない場合を視覚的に検出することができる。使用者は治療圧を組織部位1005に適用するための必要な行動をとることができる。送出管1035に減圧が存在しないか、閾値量以下である理由は、減圧治療装置1000における送出管1035またはどこかに漏れがあるからである。この状況において、インジケータ1088が伸長位置にある場合、使用者に漏れの可能性が警告される。
【0067】
ここで図11を見ると、図10と同様に、減圧フィードバックシステム1100は、例示的な実施例に従って示される。特に、インジケータ1088は、減圧フィードバックシステム1100で延出位置にある。
【0068】
連結位置1086は、送出管1035の2箇所で摺動係合され、密閉嵌合を形成する。インジケータハウジング1085の連結部位1086は、多種の方法で、送出管1035の2箇所で摺動係合されてもよい。例えば、連結部1086は、送出管1035の2箇所に溶接、ネジ止め、糊付け、ボルト止め、空気閉塞、またはスナップ止めされてもよい。
【0069】
減圧フィードバックシステム1100において、圧縮性部材はコイルバネである。インジケータハウジング1085の管部1090は、コイルバネ1095の端部が連結される基部1096を有する。しかしながら、インジケータ1088に取り付けられないコイルバネ1095の端部は、コイルバネがインジケータ1088に付勢力を働かせるのに利用可能なインジケータハウジングのいかなる他の部材に取り付けられてもよい。管部1090の内面は、インジケータ1088がこれに沿って収縮および伸長位置に摺動しうる管の開口である。コイルバネ1095は、管の壁の部分を形成する複数のひだ1097によって包囲されている。ひだ1097により、管部1090の内壁に横のストレスを引き起こすことなく、管の壁が収縮や伸長が可能となる。
【0070】
減圧フィードバックシステム1100はまた、キャップ1098を具える。インジケータ1088が伸長位置にある場合、キャップ1098は、使用者がインジケータ1088を見ることができる透明の材料で構成されてもよい。一例において、キャップ1098はまた、減圧がインジケータハウジング1085の管の開口を通って逃げないようインジケータハウジング1085の残りの部分にシール結合されてもよい。
【0071】
上記のように、コイルバネ1095は、いかなるバネ定数を有してもよい。コイルバネ1095のバネ定数は、伸長位置に向かってインジケータ1088に働く付勢力を決定する。一実施例において、送出管1035の絶対圧力が約125ミリメートルの水銀を超える場合、コイルバネ1095がインジケータ1088を伸長位置に付勢するようなバネ定数を有する。送出管1035の絶対圧力が、所望の治療圧力閾値のような別の絶対圧力閾値を超える場合に、インジケータ1088を延出位置に付勢するような別のバネ定数を有する別のコイルバネを用いてもよい。
【0072】
ここで図12を見ると、減圧フィードバックシステム1200は、減圧フィードバックシステム1100の限定しない例であるが、例示的な実施例に従って示されている。特に、減圧フィードバックシステム1200は、収縮位置でのインジケータ1088を示す。インジケータ1088が収縮位置にある場合、送出管1035からの減圧は、ひだ1097からなる管壁を通ってインジケータ1088に移動される。この減圧は、コイルバネ1095によって反対方向に働く付勢力に打ち勝つのに十分である引張力をインジケータ1088へ働かせる。したがって、インジケータ1088は、透明キャップ1098の外であって、減圧治療システムの使用者の視界の外に引っ張られる。キャップ1098からインジケータ1088がなくなると、治療圧が組織部位に与えられることが使用者に示される。別の実施例において、インジケータ1088が収縮位置にある場合に、キャップ1098も管部1090内に引き戻されるように、キャップ1098はインジケータ1088と結合されてもよい。
【0073】
ここで図13を見ると、減圧フィードバックシステム1300は、図10に示される減圧フィードバックシステムの限定しない例であり、例示的な実施例で示される。図13の斜視図は、インジケータ1088が突出する開口1099とともに、インジケータ1088、キャップ1098、管部分1090の円形断面を示している。これらの部材は、しかしながら、楕円形または多角形のような、いかなる断面形状を有してもよい。
【0074】
図14を見ると、送出管1035の減圧とおよびインジケータ1088の位置間の関係を示すグラフが、例示的な実施例によって示されている。グラフ1400に示すように、送出管1035で減圧が上昇すると、インジケータ1088は完全に収縮した位置にへと動く。一実施例において、インジケータ1088は、グラフ線1410によって示されるような線形に、完全に収縮した位置に向かって動く。減圧とインジケータ1088の位置間の関係は、グラフ線1415および1420によって示されるように、別のパターンに従ってもよい。階段形状のような別のパターンがまた、減圧およびインジケータ1088間の関係を特徴づけてもよい。一例において、インジケータ1088は、減圧が125水銀柱ミリメートルの絶対圧力に相当する場合、完全に収縮した位置にある。
【0075】
ここで図15を見ると、図2の減圧治療システム200のような減圧治療システムによって実施されうるプロセスが、例示的な実施例により示されている。このプロセスは、送出管の複数のルーメンを介して組織部位に減圧を適用する(ステップ1505)。プロセスは、複数のルーメンのうちの少なくとも一の収集ルーメンで組織部位からの流体を保存する(ステップ1510)。プロセスは、送出管の複数の区画に基づいて、少なくとも一つの収集ルーメン内の流体の流体レベルを決定する(ステップ1515)。
【0076】
図16を見ると、図10での減圧治療システム1000のような減圧治療システムによって実施されてもよいプロセスは、例示的な実施例によって示される。プロセスは、減圧源を用いて、組織部位に減圧を適用する(ステップ1605)。プロセスは、送出管または減圧治療システムの他の要素で減圧の閾値量が現われたかを判断する(ステップ1610)。仮にプロセスが、閾値量の減圧の存在がないと判断したら、このプロセスは、圧縮部材を用いてインジケータを伸長位置に動かす。このプロセスはその後、ステップ1605に戻る。ステップ1610に戻る時、プロセスが、閾値量の減圧が存在すると判断したなら、プロセスはインジケータを収縮した位置に動かす(ステップ1620)。
【0077】
異なる描写の実施例において、フローチャートおよびブロック図は、装置や方法のいくつかの可能な実施の構造、機能および操作を例示する。いくつかの代替の実施例において、機能またはブロックに記載される機能は、図に記載される順番を違えて行われてもよい。例えば、いくつかの方法において、連続的に示される2つのブロックは、実質的に同時に実施されてもよいか、ブロックは、含まれる機能に応じてしばしば、逆の順番で実施されてもよい。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に組織治療の分野に関し、特に、組織部位に減圧を適用するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
臨床研究および臨床演習は、組織部位近傍を減圧すると組織部位での新しい組織の成長を増大させ、促進させることを示してきた。この事象の適用例は多数あるが、減圧の適用は、傷の治療で特に成功してきた。減圧を用いた傷の治療は、ときに医療業界で「負圧組織治療」「減圧療法」または「真空療法」と呼ばれる。この種の治療は、早期治癒や肉芽組織の増加形成など多くの恩恵をもたらす。
【0003】
減圧治療システムは、減圧の適用なしでは治り難い他の重症の傷と同様に、急性または慢性疾患の治療を受けている患者の、大きく浸出液が多い傷にしばしば適用される。小さく、浸出液が少量の、重症度の低い傷は、一般に減圧治療の代わりに高度な外傷用医薬材料を用いて治療されてきた。
【0004】
現在では、減圧治療の使用は、システム要素を監視したり変更したりするのに必要とされる労力、治療を監督する訓練された医療担当者の必要性、および高額な治療費のため、重症度の低い治療のための実行可能または手頃な選択肢とは考えられていない。例えば、今日の減圧治療システムの複雑さは、専門知識が乏しいか持たない者が、自身または他人へのこのような治療を処置することを妨げる。今日の減圧治療システムの寸法と電力消費性はまた、治療システムおよびその治療が適用される人の双方の移動性を制限する。また、今日の高額な減圧治療システムは、この治療システムの使用者へのアクセス性を妨げる。今日の減圧治療システムはまた、一般的に各治療後には使い捨て式ではない。
【0005】
例えば、今日の減圧治療システムは、組織部位から浸み出る浸出液を保存するための別の流体容器を使う必要がある。しかしながら、流体容器という部材を追加すると、減圧治療システムの突出性、複雑性および重量が増大し、これにより患者が不快となり移動の制限が増大してしまう。
【0006】
今日の減圧治療システムにはまた、適切な量の減圧が、減圧治療システムによって組織部位に適用されたかどうかを示すユーザフレンドリで突出しない方法に欠ける。このため、減圧治療システムを正確に操作するのに専門知識を有する者が必要とされ、これにより、減圧治療システムを用いるコストが増加し、アクセス性が低減してしまう。
【0007】
減圧が少量および少浸出液の傷に従来の減圧治療システムを適用することもできるが、特殊な医療訓練なく減圧治療を処置することができるより簡易なシステムの必要性が存在する。さらに、消費電力が小さく、コンパクトでシステムの使用者が移動可能であり、日常の日々の活動への参加が可能なシステムの必要性もある。最後に、安価で、単一患者によって経済的に使用され、その患者の治療後には廃棄され得るような安価なシステムが必要であった。
【発明の概要】
【0008】
減圧治療システムに存在する問題を軽減するために、ここに記述される例示的な実施例は、減圧を組織部位に施すための装置および方法に導かれる。前記装置は減圧源を具える。前記減圧源は減圧を発生させる。前記装置は複数のルーメンを有する管を具える。前記複数のルーメンは少なくとも一の収集ルーメンを具える。前記減圧源は前記少なくとも一の収集ルーメンが前記組織部位から流体を受けるよう、前記複数のルーメンを通して前記減圧を前記組織部位へと適用する。前記少なくとも一の収集ルーメンは、前記組織部位から受けた前記流体を貯蔵する。
【0009】
別の実施例において、前記装置は複数の位置に可動であるインジケータを具える。この実施例において、前記インジケータは前記減圧源から減圧下で、前記複数の位置のうちの収縮位置へと移動する。前記装置は前記インジケータに連結される圧縮部材を具えてもよい。前記圧縮部材は、前記複数の位置のうちの伸長位置に向かって、前記インジケータに付勢力を働かせる。発明の別の目的、特徴および利点は、以下の図、詳細な説明および請求の範囲を参照することにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の例示的な実施例による組織部位に減圧をかけるための装置のブロック図である。
【図2】図2は、本発明の例示的な実施例による組織部位に減圧をかけるための装置のブロック図である。
【図3】図3は、本発明の例示的な実施例による組織部位に減圧をかけるための装置の部材の断面図である。
【図4】図4は、本発明の例示的な実施例による組織部位に減圧をかけるための装置の部材の断面図である。
【図5】図5は、本発明の例示的な実施例による組織部位に減圧をかけるための装置の部材の断面図である。
【図6】図6は、本発明の例示的な実施例による組織部位に減圧をかけるための装置の部材の断面図である。
【図7】図7は、本発明の例示的な実施例による組織部位に減圧をかけるための装置の部材の断面図である。
【図8】図8は、本発明の例示的な実施例による組織部位に減圧をかけるための装置の部材の断面図である。
【図9】図9は、本発明の例示的な実施例による組織部位に減圧をかけるための装置の部材の断面図である。
【図10】図10は、本発明の例示的な実施例による組織部位に減圧をかけるための装置のブロック図である。
【図11】図11は、本発明の例示的な実施例による組織部位に減圧をかけるための装置の部材の斜視図である。
【図12】図12は、本発明の例示的な実施例による組織部位に減圧をかけるための装置の部材の斜視図である。
【図13】図13は、本発明の例示的な実施例による組織部位に減圧をかけるための装置の部材の斜視図である。
【図14】図14は、本発明の例示的な実施例による組織部位に減圧をかけるためのシステムのグラフ表示である。
【図15】図15は、本発明の例示的な実施例による組織部位に減圧をかけるためのプロセスを例示するためのフローチャートである。
【図16】図16は、本発明の例示的な実施例による組織部位に減圧をかけるためのプロセスを例示するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の好適な実施例の詳細な説明において、その一部を構成する添付図に対して参照がなされ、発明が実施されうる特定の好適な実施例を例示する手段として示される。これらの実施例は、当業者が発明を実施できるのに十分詳細に記載され、別の実施例が利用されてもよく、本発明の意図や範囲を超えない限り、論理構成的、機械的、電気的および化学的変化がなされてもよいと理解されたい。当業者が発明を実施するのに不必要な詳細を避けるために、当業者に周知の特定の情報の記載は省略する場合がある。以下の詳細な説明は、このため、限定的な意味にとられるべきではなく、本発明の範囲は添付の請求の範囲によってのみ明らかにされる。
【0012】
本書記載の例示的な実施例は、ここで組織部位へ減圧をかけるための装置および方法を提供する。一般的に減圧とは、処置される組織部位で周囲圧力より低い圧力を言う。大抵の場合この減圧は、患者が位置する場所の大気圧より低くなるであろう。“真空”および“負圧”という用語が、組織部位に適用される圧力を述べるのに用いられてもよいが、組織部位に適用される実際の圧力は、通常は完全な真空と比べて大幅に低くてもよい。この用語と一致して、減圧または真空圧の増加は、絶対圧力の相対的減少を言い、減圧または真空圧の減少は、絶対圧力の相対的増加を言う。同様に、特定の減圧より“低い”減圧とは、この特定の減圧に相当する絶対圧力より高い絶対圧力を言う。また、特定の減圧より“高い”減圧とは、特定の減圧に相当する絶対圧力より低い絶対圧力を言う。
【0013】
装置は減圧源を具えてもよい。減圧源は減圧を発生させる。一実施例において、装置は複数のルーメンを有する管を具える。複数のルーメンは、少なくとも一の収集ルーメンを具える。減圧源は少なくとも一の収集ルーメンが組織部位から流体を受けとるように、複数のルーメンを通して組織部位に減圧を適用する。少なくとも一の収集ルーメンは、組織部位から受け取った流体を貯蔵する。
【0014】
別の実施例において、装置は複数の位置に移動可能なインジケータを具える。例えば、インジケータは、導管の2箇所間に連結されるインジケータハウジングに含まれる円筒型インジケータであってもよい。導管は、組織部位に減圧を送るのに用いられてもよい。一実施例において、インジケータは減圧源からの減圧の存在下で、複数の位置のうちの収縮位置に動く。圧縮部材がインジケータに連結されてもよい。ここで用いられるように「連結された」という用語は、別の物体を介して連結することを含む。例えば、フィルタセットと管の双方が、第3の物体に連結される場合、圧縮部材はインジケータに連結されてもよい。「連結された」という用語はまた「直接的に連結された」ことを含み、この場合2つの物体は何らかの方法で互いに接触している。「連結された」という用語はまた、各要素が同じ材料から形成されることにより互いに連続する2以上の部材を含む。圧縮部材は、インジケータに前記複数の位置のうちの伸長位置の方へ付勢力を働かせてもよい。
【0015】
図1を参照すると、組織部位105に減圧を適用する減圧処理システム100は、例示的な実施例によって示されている。組織部位105は、骨組織、脂肪組織、筋肉組織、皮膚組織、血管組織、結合組織、軟骨、腱、または様々な他の組織を含む、いかなる人間、動物または他の有機体の肉体組織であってもよい。組織部位105は、傷、罹患組織、または欠陥組織を含んでもよく、組織部位は、傷、罹患組織または欠陥組織ではない健康な組織もまた含んでもよい。組織部位105へ減圧を適用することは、追加組織の成長を促進するのと同様、組織部位105からの浸出液および他の液体の排出を促進するのに用いられてもよい。組織部位105が傷部位である場合に、肉芽組織の成長とともに、浸出液およびバクテリアの除去が傷の回復を促進させる。健康な組織を含む傷や欠陥組織ではないところへの減圧の適用は、採取されて別の組織部位に移植される組織の成長を促進させるのに用いられてもよい。
【0016】
組織部位105に適用される減圧は、減圧源110によって発生させられる。減圧源110は、手動、機械的、または電気的に操作されたポンプのいかなるタイプでもよい。減圧源110の限定しない例は、蓄えられたエネルギによって駆動される装置を含み、それらの装置は減圧を生成することができる。このような蓄えられたエネルギ、減圧源の例は、限定しないが、圧電エネルギ、バネエネルギ、ソーラーエネルギ、運動エネルギ、コンデンサに蓄えられるエネルギ、燃焼、およびスターリングまたは同様のサイクルによって創出されるエネルギによって駆動されるポンプを含む。減圧源110の他の例は、手動で作動されるスプレーボトルに用いられるような、ベローズポンプ、蠕動ポンプ、膜ポンプ、ロータリベーンポンプ、線形ピストンポンプ、気圧ポンプ、水圧ポンプ、手動ポンプ、足踏み式ポンプ、および手押しポンプのような手動で作動される装置を具える。さらに減圧源110に用いられたり含まれてもよい別の装置および方法は、シリンジ、親ネジ、つめ車、時計仕掛けで駆動される装置、振子駆動装置、手動発電機、浸透圧方法、熱加熱方法、および減圧が圧縮によって発生させられる方法を含む。
【0017】
別の実施例において、減圧源110は化学反応によって駆動されるポンプを具えてもよい。錠剤、溶液、噴射、または他の送出機構がポンプに送出されたり、化学反応を起こさせるのに用いられてもよい。化学反応によって発生した熱は、減圧を発生させるためポンプを駆動するのに用いられてもよい。別の実施例において、二酸化炭素シリンダのような減圧されたガスシリンダが、減圧を生じさせるためポンプを駆動させるのに用いられる。さらに別の実施例において、減圧源110は電池駆動ポンプでもよい。好適には、このポンプは小量の電力を用い、電池の単一チャージの伸長された期間動作可能である。
【0018】
減圧源110は、ドレッシング115を介して減圧を組織部位105に提供する。ドレッシング115は、組織部位105に近接または密着して配置されうるマニフォルド120を具える。マニフォルド120は、組織部位105に密着して配置され、減圧を組織部位105に分配する生体適合、多孔性の材料である。マニフォルド120は、特定の生物学的アプリケーションに適した発泡体、ガーゼ、フェルトマット、または他の材料から形成されてもよい。マニフォルド120は、組織部位105へまたは組織部位からの減圧または流体の分配を容易にする複数のフローチャネルまたは経路を具えてもよい。
【0019】
一実施例において、マニフォルド120は多孔性発泡体であり、フローチャネルとして作用する複数の結合型セルまたは細孔を具える。多孔性発泡体は、San Antonio,TexasのKinetic Concepts,Inc.によって製造されたGranuFoamのような、ポリウレタンの、連続気泡の、網状発泡体であってもよい。連続気泡が用いられる場合、孔隙率は変化してもよいが、約400乃至600ミクロンであることが好ましい。フローチャネルは、連続気泡を有するマニフォルド120の部分を通る流体接続を可能にする。セルおよびフローチャネルは、形および大きさが均一であってもよいか、形および大きさがパターン化または不規則な変化を有してもよい。マニフォルドのセルの形や大きさの変化は、フローチャネルに変化をもたらし、このような性質は、マニフォルド120を通る流体の流動性質を変えるのに用いられてもよい。
【0020】
マニフォルド120はまた、減圧治療システム100の使用に伴い、患者の身体から取り除かれる必要のない生体吸収性材料から構成されてもよい。好適な生体吸収性材料は、限定しないが、ポリ乳酸(PLA)およびポリグリコール酸(PGA)の高分子混合物を含んでもよい。高分子混合物はまた、限定しないが、ポリカーボネート、ポリフマル酸、およびカプララクトンを含んでもよい。マニフォルド120はさらに、新しい細胞成長のための骨格として提供されてもよいか、骨格材料が、細胞成長を促進させるためにマニフォルド120と共に用いられてもよい。骨格は、細胞の成長のためのテンプレートを提供する三次元多孔質構造のような、細胞の成長または組織の形成を高めたり促進させたりするのに用いられる物質または構造である。骨格材料の例示的な例は、リン酸カルシウム、コラーゲン、PLA/PGA、サンゴハイドロキシアパタイト、炭酸塩、または処理された同種移植片材料を含む。一実施例において、骨格材料は、空隙分(すなわち多空気含有量)が高い。
【0021】
ドレッシング115はまた、シール部材125を具える。マニフォルド120は、シール部材125を用いて組織部位105に固着されてもよい。シール部材125は、組織部位105でマニフォルド120を固着するのに用いられるカバーであってもよい。シール部材125は、不浸透性または半浸透性であってもよいが、一実施例において、シール部材125がマニフォルド120上に設置された後は、組織部位105を減圧に保つことが可能である。シール部材125は、シリコーン基化合物、アクリル、ヒドロゲルまたはヒドロゲル形成材料、または組織部位105に所望の不浸透性または浸透性を有する他のいかなる生体吸収性材料からなる柔軟なドレープまたはフィルムでもよい。シール部材125は、シール部材125による水分吸収を妨げる疎水性材料で形成されてもよい。
【0022】
シール部材125は、ドレープのような“シート”形態で提供される代わりに、マニフォルド120を組織部位105に接触させて設置後に、マニフォルド120上に提供される流動、または噴霧可能な形態で提供されてもよい。同様にシール部材125は、吸着カップ、成形鋳型、ベルジャーに限定されないが、それらを含むシール機能を提供するマニフォルド120および組織部位105に配置される装置を含んでもよい。
【0023】
一実施例において、シール部材125はマニフォルド120および組織部位105を囲む組織にシール結合を提供するよう構成される。シール結合は、シール部材125の周囲に沿って位置する粘着剤によって提供されてもよいか、シール部材125をマニフォルド120または組織部位105周りの組織へ固定するシール部材125のいかなる部分に提供されてもよい。粘着剤は、シール部材125にあらかじめ設けられるか、シール部材125を設置する直前にシール部材125に噴霧、あるいは設けられてもよい。
【0024】
いくつかのケースにおいて、シール部材125は、組織部位105を封止する必要がない。例えば、組織部位105は、減圧を維持するために”自己シール”可能である場合がある。皮下および深い組織の傷、空洞、フィステルにおいて、シール部材125を用いることなく組織部位105で減圧を維持できる場合がある。組織はしばしばこのような種類の組織部位を包んだり囲んだりするため、組織部位を囲む組織は効果的にシール部材として作用する。
【0025】
減圧源110によって発生された減圧は、送出管135を用いて組織部位105に提供されてもよい。送出管135は、ガス、液体、ゲルまたは他の流体が流れるいかなる管であってもよい。例えば、組織部位105からの浸出液は、送出管135を通って流れてもよい。図1において、コネクタ150は送出管135を流体収集装置140に連結する。しかしながら、送出管135は、コネクタ150または流体収集装置140を介することなく、減圧源110とドレッシング115を直接連結させてもよい。
【0026】
送出管135は円形、楕円形または多角形などの様々な断面形状を有してもよい。さらに送出管135は、いかなる材料から形成されてもよく、可撓性または不撓性のいずれであってもよい。また、送出管135は流体が流れる1以上の通路またはルーメンを有してもよい。例えば、送出管135は2つのルーメンを有してもよい。この例において、一方のルーメンは、組織部位105から流体収集装置140への浸出液の通路に用いられてもよい。他方のルーメンは、空気、抗菌剤、抗ウィルス剤、細胞増殖剤、灌漑流体、または他の化学的活性剤のような流体を、組織部位105に送るのに用いられてもよい。流体が生じる流体源は図1に示されていない。
【0027】
一実施例において、送出管135は組織部位105からの浸出液を集めるための送出ルーメンおよび一以上の収集ルーメンを有する。これらのルーメンはまた、各々ルーメンを通る浸出液の流れを管理するフィルタを具えてもよい。送出管135が送出ルーメン、収集ルーメン、およびフィルタを含むことに関するさらなる詳細は以下の図2−10に提供される。
【0028】
一実施例において、送出管135は連結部材145を介してマニフォルド120に連結される。連結部材145はマニフォルド120から送出管135への流体の通過を許可し、その逆も同じである。例えば、マニフォルド120を用いて組織部位105から集められた浸出液は、連結部材145を介して送出管135に入ってもよい。別の実施例において、減圧治療システム100は連結部材145を具えない。この実施例において、送出管135は送出管135の端部が、マニフォルド120に隣接するか、密着するようシール部材125またはマニフォルド120に直接挿入されてもよい。
【0029】
減圧治療システム100は流体収集装置140を具える。組織部位105からの浸出液のような液体は送出管135を通り、流体収集装置140へと流れてもよい。流体収集装置140は、固形物を含む流体とともに、ガスおよび液体のような流体を吸収できるいかなる装置またはキャビティでもよい。例えば、キャニスタ115は組織部位105からの浸出液を含んでもよい。送出管135は流体収集装置140に直接連結されてもよいし、コネクタ150のようなコネクタを介して流体収集装置140に連結されてもよい。
【0030】
流体収集装置140は送出管135によってマニフォルド120に流体接続される軟質または硬質の容器、バッグ、または小袋であってもよい。流体収集装置140は、別個の容器とするか、浸出液および流体を収集するために減圧源110に機能的に組み込まれてもよい。ベローポンプのような手動ポンプが減圧源110として用いられるような例示的な実施例において、減圧を発生させる可変容量ポンプが、チャンバが広がるにつれて流体を収集する流体収集装置140としても提供されてもよい。流体収集装置140は、流体を収集するための単一のチャンバを具えてもよく、あるいは複数のチャンバを具えてもよい。乾燥剤または吸収剤が、流体が収集された時点で、流体をトラップしたり、管理したりするために流体収集装置140内に配置されてもよい。流体収集装置140がない場合は、流体、特に水溶性の流体が、マニフォルド120から蒸発され得る。浸出液および他の流体を制御する方法が採用されてもよい。別の実施例において、図2−10で後述される送出管135の1以上の収集ルーメンを、流体収集装置140の代わりに、または追加して用いられてもよい。
【0031】
減圧治療システム100は、減圧治療システム100の別の部材と機能的に関連する減圧フィードバックシステム155を具え、組織部位105へ送られたり、減圧治療システム100の使用者に、減圧源110によって発生させられる圧力の相対または絶対量を示す情報を提供する。フィードバックシステムの例は、限定しないが、減圧が選択された量を超える場合に作動するポップ弁、および偏向ポップ弁を含む。ポップ弁を具えるフィードバックシステムに関する追加的な詳細は、特に、送出管135での減圧に反応する可動性のインジケータであり、図11−14に関して後述する。
【0032】
フィードバックシステムの別の限定しない実施例は、微小電池によって動力を供給される低動力電気インジケータ、組織部位に提供される特定の圧力値を示すダイアルインジケータ、様々な偏向性を有するポリマ、減圧源110によって発生させられる相対または絶対圧力値を示す視覚識別子を生成するため、互いに相対的に動くフィルムを含む。“フィルム”ベースシステムの一例は、第2の部分に固定される青色フィルムに対して動くことが可能な、減圧源110の第1の部分へ固定される黄色フィルムを含んでもよい。第1および第2の部分が、減圧を提供するために互いに対して動かされたら、黄色と青色のフィルムが重なって、緑のインジケータが形成される。圧力が上昇しフィルムが互いに離れるように動くにつれて、緑色が失われると圧力が増加したことを示す(すなわち、さらに減圧をかける必要がある)。
【0033】
減圧治療システム100は、さらに流体収集装置140に存在する流体の量を検出するための体積検出システム157、組織部位105から流れる浸出液で、血液の存在を検出するための血液検出システム159、組織部位105の温度を監視するための温度監視システム162、組織部位105で感染の存在を検出するための感染検出システム165、組織部位105から流れる流体の流量を監視するための流量監視システム167を具える。感染検出システム165は、バクテリアの存在で色を変える泡または別の物質を含んでもよい。泡または別の物質は、組織部位105からの浸出液が色変化材料にさらされるように、マニフォルド120または送出管135と機能的に関連づけられてもよい。上記部材およびシステムに追加して、減圧治療システム100は、組織部位105への減圧治療の投与を容易にする弁、レギュレータ、スイッチ、および別の電気的、機械的、および流体成分を具えてもよい。
【0034】
図2を見ると、図1の減圧治療システム100の限定しない一例である減圧治療システム200が例示的な実施例として示されている。一実施例において、図1の流体収集装置140は、ドレッシング215と減圧源210との間に流体接続される管235である。ドレッシング215および減圧源210は、それぞれ図1のドレッシング115および減圧源110の限定しない例である。
【0035】
管235は複数のルーメンを有する。特に、管235は、送出ルーメン270および複数の収集ルーメン272を具える。図2は単一の送出ルーメン270と2つの収集ルーメン272を有する管235を示すが、管235は様々な数の送出および収集ルーメンを有してもよい。例えば、管235は、複数の送出ルーメンと単一の収集ルーメンを具えてもよい。
【0036】
送出ルーメン270および複数の収集ルーメン272を含む管235の複数のルーメンは、全てが減圧にさらされるように減圧源210に流体的に連結される。このように、減圧源210によって発生した減圧は、ドレッシング215を介して組織部位205へと、管235の複数のルーメンのそれぞれを通って送出されてもよい。一実施例において、減圧源210は、複数の収集ルーメン272が、組織部位205から液体または固形物を含む液体のような流体274を受け取るように、減圧を送出ルーメン270および複数の収集ルーメン272を通して組織部位205に適用する。一実施例において、流体274は組織部位205からの浸出液である。複数の収集ルーメン272は、組織部位205から受け取った流体274を保存してもよい。したがって、図1の流体収集装置140のような個別の流体収集装置は不要となる。
【0037】
減圧治療システム200は、管235に連結される少なくとも一のフィルタを具えてもよい。特に、管235は送出ルーメンフィルタ276および収集ルーメンフィルタ278を具える。送出ルーメンフィルタ276および収集ルーメンフィルタ278は、組織部位205からの流体274が、フィルタが位置される一以上の位置を通過したり、流れたりすることを防ぐ。送出ルーメンフィルタ276および収集ルーメンフィルタ278は、疎水性のフィルタ、親水性のフィルタおよび機械的弁のような流体274の流れを防ぐことができるいかなる種類のフィルタであってもよい。送出ルーメンフィルタ276または収集ルーメンフィルタ278が機械的な弁である例において、ダックビル弁のような一方向弁が用いられてもよい。
【0038】
送出ルーメンフィルタ276は、組織部位205およびドレッシング215に隣接する管235の端部に連結される。ここで用いられる“隣接”は、別の物体と同じかその近くを意味する。一例において、第1の物体は、仮に第1の物体が第2の物体よりも特定の物体に近ければ、特定の物体に隣接すると言える。したがって、仮に管の第1の端部が管の第2の端部より組織部位205に近ければ、管235の第1の端部は、組織部位205に隣接すると言える。送出ルーメンフィルタ276は、流体274がドレッシング215を通り送出ルーメン270に入るのを抑制したり、防いだりする。したがって、減圧は、たとえ流体274が複数の収集ルーメン274に集められたとしても、流体274によって妨げられずに送出ルーメン270を介して継続的に適用されうる。
【0039】
図2では、送出ルーメンフィルタ276がいかなる流体274も送出ルーメン270に入らないようにしているが、送出ルーメンフィルタ276は、流体274が送出ルーメン270に沿った特定の地点を通過するのを防ぐよう配置されてもよい。例えば、送出ルーメンフィルタ276は、流体274が送出ルーメンフィルタ276によって妨げられていない送出ルーメン270の一部に入れるように、管235の端部から特定の距離で送出ルーメン270の内側に配置されてもよい。送出ルーメンフィルタ276の配置と接合に関する追加的な詳細は、以下の図4−6に述べられる。
【0040】
収集ルーメンフィルタ278は、減圧源210に隣接する管235の端部に接合される。収集ルーメンフィルタ278は、流体274が減圧源210に入ったり、複数の収集ルーメン272から出ることを妨げる。収集ルーメンフィルタ278の位置により、ドレッシング215と収集ルーメンフィルタ278の間の複数の収集ルーメン272は、組織部位205から浸出液および別の流体を受け取ることができる貯蔵器となる。複数の収集ルーメン272は減圧源210によって作用されると、流体は組織部位205に隣接するマニフォルド220を通り組織部位205から複数の収集ルーメン272へと流れ出る。流体を収容可能な空間の体積は、ドレッシング215と収集ルーメンフィルタ278間のそれぞれの収集ルーメンの長さとともに、複数の収集ルーメン272における収集ルーメンおよび直径による。例えば、複数の収集ルーメン272は、約30−60立方センチメートルの流体274を保持することができてもよい。しかしながら、上述した複数の収集ルーメン272の物理パラメータは、複数の収集ルーメン272が流体274の任意の量を保存できるように、特定の実装に基づいて調整されてもよい。
【0041】
複数の収集ルーメン272が流体で満たされつつも、複数の収集ルーメン272は源圧源210からの減圧を継続的に提供可能である。複数の収集ルーメン272の、ドレッシング215および収集ルーメンフィルタ278の間が流体274で完全に満たされた場合、減圧は複数の収集ルーメン272を通っては、もはや送出されなくてもよい。しかしながら、複数の収集ルーメン272が一杯になった後でさえ、送出ルーメン270は減圧を送出し続ける。
【0042】
収集ルーメンフィルタ278が、減圧源210に隣接する管235の端部に連結されるように示されているが、収集ルーメンフィルタ278は、管235に沿ってどこに位置されてもよい。例えば、収集ルーメンフィルタ278は、管235の長さに沿った中間位置に配置されてもよい。この例では、流体274が管235の中間位置で収集ルーメンフィルタ278によって妨げられるまで、複数の収集ルーメン272は流体274で満たされる。このように、収集ルーメンフィルタ278は、流体274が複数の収集ルーメン272に沿って管235の中間位置を通るのを防ぐ。この例では、複数の収集ルーメン272で規定された空間の一部のみが流体274で満たされうる。
【0043】
別の実施例において、減圧治療システム200は、複数の収集ルーメンフィルタを具えても良い。この例では、各収集ルーメンフィルタは、複数の収集ルーメン272でそれぞれの収集ルーメンに沿った異なる位置に配置されてもよい。このように、複数の収集ルーメン272でのそれぞれの収集ルーメンは、異なる流体容量を有してもよい。
【0044】
減圧治療システム200は、低浸出液の組織部位を治療するのに用いられてもよいので、複数の収集ルーメン272でより少量の流体収集容量とすることは(専用のキャニスタに反して)、長時間、治療を施すための減圧治療装置200の能力にほとんどまたは全く影響がない。減圧送出管と一体化された流体収集装置が小型である性質は、患者の不快を低減するとともに患者の移動度を最大化する。治療中には、複数の収集ルーメン272が十分に流体274で満たされると、管235は新しい管と容易に取り替えられることができる。管が取り替えられている間の流体の流出の危険性を低減するために、または治療中に流体がマニフォルド220へ逆流するのを防ぐために、複数の収集ルーメン272の一部には、乾燥剤、吸収剤、または他の捕捉剤が充填されてもよい。
【0045】
図2において、流体274を具える複数の収集ルーメン272の部分は、流体271が減圧治療システム200の使用者に見えるように影つきとなる。管235は、少なくとも一の実質的に透明な管部を具え、ここを通して流体274が可視となっていてもよい。例えば、一以上の実質的に透明な管部は、透明材料からなる管235の窓であってもよい。この窓の各々は、各収集ルーメン272にそれぞれ隣接した管235の部分を横切って延在してもよい。
【0046】
別の例において、管235が作られる材料は透明材料であってもよい。このように、流体274は、管235が全部透明で可視であってもよい。浸出液のような、組織部位205からの流体274は暗い色を有するため、複数の収集ルーメン272内の流体レベルは、使用者によって容易に確かめられることができる。
【0047】
管235はまた区画280を有する。区画280は、複数の収集ルーメン272での流体274の量を示す。管235が透明な窓のような一以上の実質的に透明な管部を有する例では、区画280はそれぞれの窓に沿って含まれてもよい。区画280のそれぞれは、流体274の特定の容量または量に相当してもよい。例えば、第1の区画280は、“5cc”のレベルであり、それ以降、それぞれの区画は5立方センチメートルの増分のレベルであってもよい。用いられる特定の増分は、器具によるものとする。
【0048】
ここで図3を見ると、管300の断面図が、図2において“Fig3”と付された断面表示の斜視図で示されている。図3に示すように、送出ルーメン270は、それぞれの収集ルーメン272より大きい断面を有する。しかしながら、一例において、送出ルーメン270の断面は、それぞれの収集ルーメン272の断面と同じか、より小さいものであってもよい。送出ルーメン270および収集ルーメン272はまた、円形の断面形状を有する。しかしながら、送出ルーメン270および収集ルーメン272は、楕円形、多角形、または不規則な断面形状を有してもよい。
【0049】
収集ルーメン272が円形のパターンで送出ルーメン270を囲むように、それぞれの収集ルーメン272は、送出ルーメン270から等距離で示されている。しかしながら、送出ルーメン270および収集ルーメン272は、互いに対していかなる空間構造を有してもよく、これには収集ルーメン272がそれぞれ送出ルーメン270から異なる距離である構造が含まれる。さらに管300は、送出ルーメン270のような送出ルーメンを2以上具えてもよい。いかなる数の収集ルーメン272が管300に含まれてもよい。一実施例において、管300での送出ルーメンの数は、収集ルーメンの数を超える。
【0050】
送出ルーメン270は、管300の縦の中心に沿って位置されるよう示されている。しかしながら、送出ルーメン270は、管300の長さを横断する、いかなる縦軸に沿って位置されてもよい。一例において、送出ルーメン270および収集ルーメン272は、管300の長さに沿って縦に延びる壁によって区画されてもよい。この例において、2以上の交差する壁は、四分円を区画してもよく、そのうちのどれかが送出ルーメンまたは収集ルーメンであってもよい。
【0051】
図4を見ると、管400の断面図が、図2で“Fig4”と付された断面表示の斜視図で示される。管400は、送出管フィルタ276を具え、送出ルーメン270の開口部で管400に連結される。送出ルーメンフィルタ276は、送出ルーメン270と同じか僅かに大きな断面を有し、送出管フィルタ276により流体が送出ルーメン270に入るのを防げるようにしてもよい。送出ルーメンフィルタ276は、いかなる方法を用いて管400の端部に連結されてもよい。例えば、送出ルーメンフィルタ276は、管400の端部に溶接、ビス止め、糊付け、ボルト締め、空気閉塞、スナップ止め、または圧着されてもよい。
【0052】
ここで図5を見ると、管500の断面図が、図4で“Fig5”と付された断面表示の斜視図で示される。図5は、組織部位からの流体が送出ルーメン270に入らないよう、送出ルーメンフィルタ276によって妨げられる送出ルーメン270の開口を示す。特に、送出ルーメン270は、送出ルーメンフィルタ270が突出部277で送出ルーメン270の直径から突出するように、ちょうど送出ルーメン270の外側に位置されるよう示される。送出ルーメンフィルタ276は、送出ルーメン270への流体の流れを防ぐのに十分ないかなる厚さを有してもよい。収集ルーメン272の開口は、流体が収集ルーメン272によって受容および収集されうるように送出ルーメン276によって妨げられていない。
【0053】
図6を見ると、管600の断面図が示され、そこでは送出ルーメンフィルタ276が、図5の送出ルーメンフィルタ276とは異なるサイズおよび構造を有する。特に、送出ルーメンフィルタ276が送出ルーメン270によって区画される空間に合うように、送出ルーメンフィルタ276は、送出管270の直径にほぼ等しい直径を有する。送出ルーメンフィルタ276は送出ルーメン270の端部に位置されるよう示されているが、送出ルーメンフィルタ276は送出ルーメン270の長さに沿ったいずれかの場所に位置されてもよい。この例において、送出ルーメンフィルタ276は、組織部位からの流体が、送出ルーメンフィルタ276が送出ルーメン270に沿って位置される位置を通ることを防ぐ。
【0054】
図7を見ると、管700の断面図が、図2で“Fig7”と付された断面表示の斜視図で示される。管700は、収集ルーメンフィルタ278を具える。収集ルーメンフィルタ278は、管700の端部に結合されるよう示されている。収集ルーメンフィルタ278はまた、収集ルーメンフィルタの形状をよりよく示すため管700の端部から分離されるよう示されてもいる。収集ルーメンフィルタ278は開口279を有するディスクである。管700の端部に結合される場合、収集ルーメンフィルタ278は、開口279が収集ルーメン270の開口に位置されるよう収集ルーメン272を覆うが、送出ルーメン270は覆わない。このように、収集ルーメンフィルタ278は、収集ルーメンフィルタ278によって収集された流体が、収集ルーメン272から出て、図2の減圧源210のような減圧源に入ったりするのを防いでもよい。しかしながら、収集ルーメン272が、減圧を組織部位に送るように、未だ減圧が収集ルーメンフィルタ278を通って提供されてもよい。収集ルーメンフィルタ278は“O”型を有するよう示されているが、収集ルーメンフィルタ278は、流体が一以上の収集ルーメン272から出るのを防ぐことができるいかなる形状を有してもよい。
【0055】
収集ルーメンフィルタ278は、いかなる方法を用いて管700の端部に連結されてもよい。例えば、収集ルーメンフィルタ278は、管700の端部に溶接、ビス止め、糊付け、ボルト止め、空気閉塞、スナップ止め、圧着されてもよい。
【0056】
図8を見ると、管500の断面図が、図7で“Fig8”と付された断面表示の斜視図で示される。図8は、組織部位からの流体が、収集ルーメン272から出たり、減圧源に入ったりすることができないよう収集ルーメンフィルタ278によって妨げられる収集ルーメン272の開口を示す。特に、収集ルーメンフィルタ278は、収集ルーメンフィルタ278が各収集ルーメン272の各直径に被さるように、収集ルーメンフィルタ278がちょうど収集ルーメン272の外側に位置するよう示される。収集ルーメンフィルタ278は、流体が収集ルーメン278から流出するのを防ぐのに十分な、いかなる厚さを有してもよい。収集ルーメン270の開口は、送出ルーメン270の開口および減圧源の間にいかなる障害も存在しないよう収集ルーメンフィルタ278によって妨げられていない。
【0057】
ここで図9を見ると、管900の断面図が示され、そこでは収集ルーメンフィルタ278が図8の収集ルーメンフィルタ278とは異なる寸法および構造を有する。特に、収集ルーメンフィルタ278は複数の収集ルーメンフィルタを具えており、それらのいずれもが収集ルーメン272によって区画される空間内に位置される。各収集ルーメン278の直径は、収集ルーメンフィルタ278が収集ルーメン272に合うよう各収集ルーメン272の直径とおおよそ等しい。この例において、各収集ルーメンフィルタは、浸出液のような液体の流れを防ぐ機械的な弁であってもよいが、気体の流れを妨げず、これにより、収集ルーメン278を横切る減圧の流れが可能となる。収集ルーメンフィルタ278は、各収集ルーメン272の端部に位置されるよう示されているが、収集ルーメンフィルタ278は、収集ルーメン272の長さに沿ったいかなる場所に位置されてもよく、これによって各収集ルーメン272の流体容量をが確定される。各収集ルーメンフィルタ278はそれぞれ、各収集ルーメン272の流体容量が異なるように、各収集ルーメン272に沿った異なる位置に配置されてもよい。
【0058】
図10を見ると、図1の減圧システム100の限定しない一例である減圧治療システム1000が、例示的な実施例によって示される。特に、減圧治療システム1000は、図1の減圧フィードバックシステム155の限定しない例を含む。減圧治療システム1000は、減圧源1010を有しており、それは組織部位1005に提供される減圧を発生させる。
【0059】
減圧治療装置1000はまた、インジケータハウジング1000を具え、それは、送出管1035の2箇所の間に配置される。送出管1035は、図1の送出管135の限定しない例である。インジケータハウジング1000は、連結部1086を有する。連結部1086は、送出管1035の一部から、送出管1035の別の部分へ減圧を送出する。連結部1086はまた、送出管1035によって含まれるのと同じか同等の量の減圧を含む。インジケータハウジング1000は、インジケータ1088を含み、それはインジケータハウジング1085の管部分1090に沿った開口に摺動可能に連結される。インジケータ1088は円筒形を有してもよい。インジケータ1088は、楕円形または多角形の断面形状を有してもよい。インジケータ1088は、赤、オレンジまたは黄色のような、いかなる色を有してもよい。
【0060】
インジケータ1088は、所望量または治療量である減圧が組織部位1005に適用されたかを使用者が判定できるように、減圧治療システム1000に存在する減圧の量に反応する。特に、インジケータ1088は、軸1092に沿った複数の位置に移動可能である。この複数の位置は収縮位置を含んでもよい。収縮位置において、インジケータ1088は、インジケータ1088が使用者から部分的または完全に見えなくなるよう、管部1090に完全にまたは部分的に引っ込んでいる。複数の位置はまた伸長位置を有してもよい。図10では、インジケータ1088が伸長位置で示される。伸長位置では、インジケータ1088が使用者に見えるように、インジケータ1088は完全または部分的に管部1090から突出してもよい。複数の位置は、十分に伸長および収縮した位置の間のいかなる位置を含んでもよい。
【0061】
減圧治療システム1000は、バネなどの圧縮部材もまた具えており、それはインジケータ1088に連結され、管部1090に位置される。この圧縮部材は図10に示されないが、以降の図11および図12に多くの詳細が示される。圧縮部材は、インジケータ1088を伸長位置に付勢すべくインジケータ1088に付勢力を働かせる。付勢力は矢印1093によって示される方向に働く。
【0062】
インジケータハウジング1085は、送出管1035の2箇所間に配置されるよう示されているが、インジケータハウジング1085は、減圧治療システム1000において組織部位1005に適用される減圧が検出される様々な場所に配置されてもよい。例えば、インジケータ1088に沿ったインジケータハウジング1085は、シーリング部材1025またはコネクタ1045を含むドレッシング1015のいかなる場所に位置されてもよい。点状のインジケータ1094は、インジケータ1088に沿って、インジケータハウジング1085がシール部材1025に位置される例を示す。別の例において、インジケータハウジング1085は、インジケータ1088とともに、減圧源1010をドレッシング1015に連結する単一の送出管の一端に位置されてもよい。
【0063】
一実施例においてインジケータ1088は、減圧源1010からの減圧の存在下で収縮位置に動く。特に、インジケータ1088は、減圧が送出管1035および連結部1086に存在する場合、収縮位置に動いてもよい。収縮位置に動く際に、インジケータ1088は、矢印1093によって示される方向に、圧縮部材によって働かされる付勢力に打ち勝たなければならない。連結部位1086での十分に高い源圧が、この付勢力に打ち勝ち、インジケータ1088を後退位置に引いてもよい。付勢力に打ち勝つのに必要な減圧量は、圧縮部材によって働く付勢力の量による。圧縮部材がコイルバネである例において、コイルバネのバネ定数によりインジケータ1088を収縮位置に引くのに必要な減圧量が定まる。
【0064】
一例において、送出管1035での減圧が第1閾値の減圧を超える場合に、インジケータ1088は収縮位置に動く。この第1閾値の減圧は使用者によって決められたり、圧縮部材によって働く付勢力を変えることによって決定されてもよい。例えば、使用者は、インジケータ1088が収縮位置に引かれるよう、送出管1035内の減圧が治療減圧源を超えることが求められるバネ定数を選択してもよい。一実施例において、インジケータ1088は、減圧源によって発生された絶対圧力が約125ミリメートルの水銀と等しいかそれ以下である場合に、インジケータ1088は収縮位置に動く。このように、減圧治療インジケータ1088が管部分1090から突出していないことを観察することによって、減圧治療システム1000の使用者は治療減圧が組織部位1005に適用されたことを、視覚的に検出可能であってもよい。
【0065】
別の実施例において、送出管1035での減圧が第2閾値の減圧以下である場合、圧縮部材は、インジケータ1088を伸長位置に付勢してもよい。一例において、第1閾値の減圧は、第2閾値の減圧と同じである。別の例において、第1閾値の減圧は第2閾値の減圧と異なり、減圧が第1減圧閾値を超える場合に完全に収縮位置となり、減圧が第2減圧閾値以下である場合に完全に伸長位置となる。この実施例において、減圧が第1および第2の減圧閾値にある場合、インジケータ1088は、完全に収縮および伸長した位置の中間にあってもよい。
【0066】
別の実施例において、送出管1035での減圧が存在しない場合に、圧縮部材はインジケータ1088を延出位置に付勢する。一例において、減圧の不在は、減圧源1010が遮断された為である。減圧が存在しないか閾値より低い場合、管部1090で圧縮部材がインジケータ1088を管部1090から突出するよう付勢するため、使用者は、インジケータ1088が管部1090から突出するのを観察することによって、治療圧が組織部位1005に適用されていない場合を視覚的に検出することができる。使用者は治療圧を組織部位1005に適用するための必要な行動をとることができる。送出管1035に減圧が存在しないか、閾値量以下である理由は、減圧治療装置1000における送出管1035またはどこかに漏れがあるからである。この状況において、インジケータ1088が伸長位置にある場合、使用者に漏れの可能性が警告される。
【0067】
ここで図11を見ると、図10と同様に、減圧フィードバックシステム1100は、例示的な実施例に従って示される。特に、インジケータ1088は、減圧フィードバックシステム1100で延出位置にある。
【0068】
連結位置1086は、送出管1035の2箇所で摺動係合され、密閉嵌合を形成する。インジケータハウジング1085の連結部位1086は、多種の方法で、送出管1035の2箇所で摺動係合されてもよい。例えば、連結部1086は、送出管1035の2箇所に溶接、ネジ止め、糊付け、ボルト止め、空気閉塞、またはスナップ止めされてもよい。
【0069】
減圧フィードバックシステム1100において、圧縮性部材はコイルバネである。インジケータハウジング1085の管部1090は、コイルバネ1095の端部が連結される基部1096を有する。しかしながら、インジケータ1088に取り付けられないコイルバネ1095の端部は、コイルバネがインジケータ1088に付勢力を働かせるのに利用可能なインジケータハウジングのいかなる他の部材に取り付けられてもよい。管部1090の内面は、インジケータ1088がこれに沿って収縮および伸長位置に摺動しうる管の開口である。コイルバネ1095は、管の壁の部分を形成する複数のひだ1097によって包囲されている。ひだ1097により、管部1090の内壁に横のストレスを引き起こすことなく、管の壁が収縮や伸長が可能となる。
【0070】
減圧フィードバックシステム1100はまた、キャップ1098を具える。インジケータ1088が伸長位置にある場合、キャップ1098は、使用者がインジケータ1088を見ることができる透明の材料で構成されてもよい。一例において、キャップ1098はまた、減圧がインジケータハウジング1085の管の開口を通って逃げないようインジケータハウジング1085の残りの部分にシール結合されてもよい。
【0071】
上記のように、コイルバネ1095は、いかなるバネ定数を有してもよい。コイルバネ1095のバネ定数は、伸長位置に向かってインジケータ1088に働く付勢力を決定する。一実施例において、送出管1035の絶対圧力が約125ミリメートルの水銀を超える場合、コイルバネ1095がインジケータ1088を伸長位置に付勢するようなバネ定数を有する。送出管1035の絶対圧力が、所望の治療圧力閾値のような別の絶対圧力閾値を超える場合に、インジケータ1088を延出位置に付勢するような別のバネ定数を有する別のコイルバネを用いてもよい。
【0072】
ここで図12を見ると、減圧フィードバックシステム1200は、減圧フィードバックシステム1100の限定しない例であるが、例示的な実施例に従って示されている。特に、減圧フィードバックシステム1200は、収縮位置でのインジケータ1088を示す。インジケータ1088が収縮位置にある場合、送出管1035からの減圧は、ひだ1097からなる管壁を通ってインジケータ1088に移動される。この減圧は、コイルバネ1095によって反対方向に働く付勢力に打ち勝つのに十分である引張力をインジケータ1088へ働かせる。したがって、インジケータ1088は、透明キャップ1098の外であって、減圧治療システムの使用者の視界の外に引っ張られる。キャップ1098からインジケータ1088がなくなると、治療圧が組織部位に与えられることが使用者に示される。別の実施例において、インジケータ1088が収縮位置にある場合に、キャップ1098も管部1090内に引き戻されるように、キャップ1098はインジケータ1088と結合されてもよい。
【0073】
ここで図13を見ると、減圧フィードバックシステム1300は、図10に示される減圧フィードバックシステムの限定しない例であり、例示的な実施例で示される。図13の斜視図は、インジケータ1088が突出する開口1099とともに、インジケータ1088、キャップ1098、管部分1090の円形断面を示している。これらの部材は、しかしながら、楕円形または多角形のような、いかなる断面形状を有してもよい。
【0074】
図14を見ると、送出管1035の減圧とおよびインジケータ1088の位置間の関係を示すグラフが、例示的な実施例によって示されている。グラフ1400に示すように、送出管1035で減圧が上昇すると、インジケータ1088は完全に収縮した位置にへと動く。一実施例において、インジケータ1088は、グラフ線1410によって示されるような線形に、完全に収縮した位置に向かって動く。減圧とインジケータ1088の位置間の関係は、グラフ線1415および1420によって示されるように、別のパターンに従ってもよい。階段形状のような別のパターンがまた、減圧およびインジケータ1088間の関係を特徴づけてもよい。一例において、インジケータ1088は、減圧が125水銀柱ミリメートルの絶対圧力に相当する場合、完全に収縮した位置にある。
【0075】
ここで図15を見ると、図2の減圧治療システム200のような減圧治療システムによって実施されうるプロセスが、例示的な実施例により示されている。このプロセスは、送出管の複数のルーメンを介して組織部位に減圧を適用する(ステップ1505)。プロセスは、複数のルーメンのうちの少なくとも一の収集ルーメンで組織部位からの流体を保存する(ステップ1510)。プロセスは、送出管の複数の区画に基づいて、少なくとも一つの収集ルーメン内の流体の流体レベルを決定する(ステップ1515)。
【0076】
図16を見ると、図10での減圧治療システム1000のような減圧治療システムによって実施されてもよいプロセスは、例示的な実施例によって示される。プロセスは、減圧源を用いて、組織部位に減圧を適用する(ステップ1605)。プロセスは、送出管または減圧治療システムの他の要素で減圧の閾値量が現われたかを判断する(ステップ1610)。仮にプロセスが、閾値量の減圧の存在がないと判断したら、このプロセスは、圧縮部材を用いてインジケータを伸長位置に動かす。このプロセスはその後、ステップ1605に戻る。ステップ1610に戻る時、プロセスが、閾値量の減圧が存在すると判断したなら、プロセスはインジケータを収縮した位置に動かす(ステップ1620)。
【0077】
異なる描写の実施例において、フローチャートおよびブロック図は、装置や方法のいくつかの可能な実施の構造、機能および操作を例示する。いくつかの代替の実施例において、機能またはブロックに記載される機能は、図に記載される順番を違えて行われてもよい。例えば、いくつかの方法において、連続的に示される2つのブロックは、実質的に同時に実施されてもよいか、ブロックは、含まれる機能に応じてしばしば、逆の順番で実施されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織部位に減圧を施すための方法であって、前記方法が、
減圧源を用いて、前記組織部位に減圧を適用するステップであって、前記減圧が、一の送出管における複数のルーメンを介して前記組織部位に適用されるステップと;
前記複数のルーメンの少なくとも一の収集ルーメンで、前記組織部位からの流体を保存するステップと;
前記送出管に位置された複数の区分に基づいて、前記少なくとも一の収集ルーメン内の前記流体の流体レベルを決定するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1の方法において、前記流体を保存するステップが、前記少なくとも一の収集ルーメン内に配置された吸収剤に前記流体を保存するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1の方法がさらに、前記減圧を適用するステップの前に、マニフォルドを前記組織部位に隣接配置するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
組織部位に減圧を施すための装置であって、前記装置が、減圧を発生させる減圧源と;
複数の位置に可動であるインジケータであって、前記減圧源からの減圧の存在下で、前記複数の位置のうちの収縮位置に動くインジケータと;
前記インジケータに連結される圧縮部材であって、前記複数の位置のうちの伸長位置に向かって前記インジケータに付勢力を働かせる圧縮部材とを具えることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項4の装置において、前記減圧が第1の閾値減圧を超える場合に、前記インジケータが前記収縮位置に動くことを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項4の装置において、前記減圧源によって発生した絶対圧力が約125水銀柱ミリメートルと同じかそれ未満である場合、前記インジケータが前記収縮位置に動くことを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項4の装置において、前記減圧が第2の閾値減圧未満の場合に、前記圧縮部材が前記インジケータを前記伸長位置に付勢することを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項7の装置において、前記圧縮部材は減圧がない状態で、前記インジケータを伸長位置に付勢することを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項4の装置において、前記圧縮部材がコイルバネであることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項9の装置において、前記コイルバネは、絶対圧力が約125水銀柱ミリメートルである場合に前記コイルバネが前記インジケータを前記伸長位置に付勢するような特定のバネ定数を有することを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項4の装置がさらに、送出管を具え、前記減圧源が前記送出管を介して前記減圧を前記組織部位に適用し、前記インジケータが、前記送出管内の減圧に基づいて、前記複数の位置のうちの一へと動くことを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項11の装置において、前記送出管が複数のルーメンを有することを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項12の装置がさらに、前記複数のルーメンのうちの少なくとも一のルーメン内に配置された吸収剤を具えることを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項4の装置がさらに、インジケータハウジングを具え、前記インジケータが、前記インジケータハウジングで開口に沿って摺動可能であることを具えることを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項14の装置において、前記インジケータが円筒形であり、その開口部は前記インジケータがこれに沿って摺動しうる筒状の開口部であることを特徴とする装置。
【請求項16】
組織部位に減圧を施すための方法であって、前記方法が、減圧源を用いて、一の送出管にある複数のルーメンを介して前記組織部位に減圧を適用するステップと;
前記減圧源からの閾値減圧の存在下で、複数の位置のうちの伸長位置から、前記複数の位置のうちの収縮位置にインジケータを動かすステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項16の方法がさらに、前記閾値減圧が存在しない状態で、圧縮部材を用いて、前記収縮位置から前記伸長位置へ前記インジケータを動かすステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項16の方法がさらに、前記複数のルーメンのうちの少なくとも一のルーメン内に前記組織部位からの流体を保存するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18の方法において、前記流体を保存するステップが、前記少なくとも一の収集ルーメン内に配置された吸収剤に前記流体を保存するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項18の方法がさらに、前記減圧を適用するステップの前に、マニフォルドを前記組織部位に隣接配置するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項1】
組織部位に減圧を施すための方法であって、前記方法が、
減圧源を用いて、前記組織部位に減圧を適用するステップであって、前記減圧が、一の送出管における複数のルーメンを介して前記組織部位に適用されるステップと;
前記複数のルーメンの少なくとも一の収集ルーメンで、前記組織部位からの流体を保存するステップと;
前記送出管に位置された複数の区分に基づいて、前記少なくとも一の収集ルーメン内の前記流体の流体レベルを決定するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1の方法において、前記流体を保存するステップが、前記少なくとも一の収集ルーメン内に配置された吸収剤に前記流体を保存するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1の方法がさらに、前記減圧を適用するステップの前に、マニフォルドを前記組織部位に隣接配置するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
組織部位に減圧を施すための装置であって、前記装置が、減圧を発生させる減圧源と;
複数の位置に可動であるインジケータであって、前記減圧源からの減圧の存在下で、前記複数の位置のうちの収縮位置に動くインジケータと;
前記インジケータに連結される圧縮部材であって、前記複数の位置のうちの伸長位置に向かって前記インジケータに付勢力を働かせる圧縮部材とを具えることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項4の装置において、前記減圧が第1の閾値減圧を超える場合に、前記インジケータが前記収縮位置に動くことを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項4の装置において、前記減圧源によって発生した絶対圧力が約125水銀柱ミリメートルと同じかそれ未満である場合、前記インジケータが前記収縮位置に動くことを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項4の装置において、前記減圧が第2の閾値減圧未満の場合に、前記圧縮部材が前記インジケータを前記伸長位置に付勢することを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項7の装置において、前記圧縮部材は減圧がない状態で、前記インジケータを伸長位置に付勢することを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項4の装置において、前記圧縮部材がコイルバネであることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項9の装置において、前記コイルバネは、絶対圧力が約125水銀柱ミリメートルである場合に前記コイルバネが前記インジケータを前記伸長位置に付勢するような特定のバネ定数を有することを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項4の装置がさらに、送出管を具え、前記減圧源が前記送出管を介して前記減圧を前記組織部位に適用し、前記インジケータが、前記送出管内の減圧に基づいて、前記複数の位置のうちの一へと動くことを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項11の装置において、前記送出管が複数のルーメンを有することを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項12の装置がさらに、前記複数のルーメンのうちの少なくとも一のルーメン内に配置された吸収剤を具えることを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項4の装置がさらに、インジケータハウジングを具え、前記インジケータが、前記インジケータハウジングで開口に沿って摺動可能であることを具えることを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項14の装置において、前記インジケータが円筒形であり、その開口部は前記インジケータがこれに沿って摺動しうる筒状の開口部であることを特徴とする装置。
【請求項16】
組織部位に減圧を施すための方法であって、前記方法が、減圧源を用いて、一の送出管にある複数のルーメンを介して前記組織部位に減圧を適用するステップと;
前記減圧源からの閾値減圧の存在下で、複数の位置のうちの伸長位置から、前記複数の位置のうちの収縮位置にインジケータを動かすステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項16の方法がさらに、前記閾値減圧が存在しない状態で、圧縮部材を用いて、前記収縮位置から前記伸長位置へ前記インジケータを動かすステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項16の方法がさらに、前記複数のルーメンのうちの少なくとも一のルーメン内に前記組織部位からの流体を保存するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18の方法において、前記流体を保存するステップが、前記少なくとも一の収集ルーメン内に配置された吸収剤に前記流体を保存するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項18の方法がさらに、前記減圧を適用するステップの前に、マニフォルドを前記組織部位に隣接配置するステップを含むことを特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−139526(P2012−139526A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−61577(P2012−61577)
【出願日】平成24年3月19日(2012.3.19)
【分割の表示】特願2009−549125(P2009−549125)の分割
【原出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(508268713)ケーシーアイ ライセンシング インコーポレイテッド (125)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年3月19日(2012.3.19)
【分割の表示】特願2009−549125(P2009−549125)の分割
【原出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(508268713)ケーシーアイ ライセンシング インコーポレイテッド (125)
【Fターム(参考)】
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