説明

組込型加熱調理器

【課題】 操作面を天板上面および天板下面の略垂直面のいずれの面に向ける場合であっても、操作体を天板に対して簡単に取り付けられるようにすること。
【解決手段】 テーブルの天板51に組み込まれる調理器本体2と、調理器本体2に接続コード4を介して連結された操作体3とを備えた組込型加熱調理器1において、操作体3の構造として、操作部本体21のケース正面22aに操作面23を設けるとともに、ケース背面22bの左右両縁部に延設される第一の取付片31−1と、ケース背面22bの上縁部に延設される第二の取付片31−2とを一体成形する。そして、操作面23を天板上面51aに向ける場合には第一の取付片31−1を天板下面51bに螺着し、操作面23を天板下面51bの垂直面に向ける場合には第二の取付片31−2を天板下面51bに螺着して固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブルの天板に組み込まれ、調理器本体とその操作体を接続コードで連結した組込型加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、飲食店等において、テーブルの天板に設置される加熱調理器として、調理器本体と操作体が分離された構造のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。同加熱調理器は、調理器本体に電磁誘導加熱式ヒータ等からなる加熱部が内蔵され、操作体には加熱部の熱量等を調節する操作ボタンが設けられており、調理器本体と操作体を接続コードで連結した構造になっている。
【0003】
【特許文献1】特開平8−312968号公報
【0004】
ところで、この種の加熱調理器において、調理器本体は特許文献1と同様にテーブルの天板上面に嵌め込み固定されるが、操作体については同文献のようなテーブルの幕板に取り付ける例に限らず、例えば、図6や図7に示すような各種の取付例も考えられる。
【0005】
図6は、操作面を天板上面に向けて取り付ける例を示すものである。同図の例では、天板51の端面に切り欠き部が形成されており、その切り欠き部に対し、操作体61の操作面61aが天板上面51aを向くように嵌め込むものとしている。また、操作体61の背面に対し水平な取付面を有する固定金具62を天板下面51bに当接させ、固定金具62に挿通させた取付ネジ63を天板51に螺着することにより、操作体61が天板51に固定される。
【0006】
図7は、操作面を天板下面の垂直面に向けて取り付ける例を示すものである。同図の例では、まず操作体71の上面に対し水平な取付面を有する固定金具72を、固定ネジ73によって操作体71に装着する。そして、操作体71の操作面71aが前方を向くようにして固定金具72を天板下面51bに当接させ、固定金具72に挿通させた取付ネジ74を天板51に螺着することにより、操作体71が天板51に固定される。また、操作体71は、操作面71aの下部が上部よりも手前に出るように傾斜を持たせている。
【0007】
しかしながら、上述した従来の取付例によると次のような問題があった。すなわち、操作体を天板に取り付ける前に、専用の固定金具を操作体に装着するという手間を有していた。また、図6のように操作面を天板上面に向けて取り付ける場合と、図7のように操作面を天板下面の垂直面に向けて取り付ける場合とでは、固定金具の取付面を異なる方向に向ける必要がある。そのため、操作体の取付姿勢に応じて異なる製品として設定されるかもしくは2種類の固定金具を用意する必要があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、調理器本体から分離された操作体をテーブルの天板に取り付けるとき、操作面を天板上面および天板下面に対する垂直面のいずれの面に向ける場合であっても、操作体を天板に対して簡単に取り付けられるようにした組込型加熱調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る組込型加熱調理器は、上述した目的を達成するため、テーブルの天板に組み込まれる調理器本体と、この調理器本体に接続コードを介して連結された操作体とを備えた組込型加熱調理器であって、上記操作体は、操作部本体のケース正面に操作面が設けられるとともに、ケース背面の左右両縁部に延設された第一の取付片と、ケース背面の上縁部に延設された第二の取付片とが一体に形成されていることを特徴とする。
【0010】
この組込型加熱調理器において、操作面を天板上面に向けて取り付ける場合には、天板の端面に形成された切り欠き部に対し、操作部本体のケース正面を上方に向けた姿勢で嵌め込み、ケース背面の左右両縁部にある第一の取付片を天板下面に螺着固定するものとする。一方、操作面を天板下面の垂直面に向けて取り付ける場合には、操作部本体のケース正面を前方に向けた姿勢とし、ケース背面の上縁部にある第二の取付片を天板下面に螺着固定すればよい。
【0011】
また、本発明の好適な実施態様として、上記第二の取付片は、上記操作部本体のケース上面よりも上方に突出し、かつ、その先端部を折り曲げて後方に向かい上り勾配とした傾斜面に取付面が設けられるとともに、この取付面の延長上に上記操作部本体のケース正面の上縁部が一致する傾斜角度に設定されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る組込型加熱調理器によれば、以下のような効果が得られる。
【0013】
(1)操作体のケース背面に操作部本体を天板に取り付けるための取付片が一体に形成されているので、取付前に専用の固定金具を操作部本体に装着するという面倒な作業を廃止できる。また、操作面を天板上面に向ける場合には第一の取付片を選択して天板下面に固定し、一方、天板下面の垂直面に向ける場合には第二の取付片を選択して天板下面に固定するだけの作業で済むので、従来のように取付姿勢に応じて異なる製品を用意したり、あるいは2種類の固定金具を用意したりする必要がなく、操作体を天板に対して簡単かつ確実に取り付けることが可能である。
【0014】
(2)第二の取付片の取付面を傾斜面とすることにより、天板下面に対し操作部本体が傾倒した姿勢で取り付けられるため、操作面が天板下面に対する垂直面よりも上方に向けられ、操作面上にある操作ボタンの操作性や表示ランプの視認性が向上する。また、同取付面の延長上にケース正面の上縁部が一致する傾斜角度に設定されていると、取付時にケース正面の上縁部が天板下面に当接し、操作部本体が隙間の無い状態で取り付けられる。このように、使用時における操作性や視認性を向上させるために、操作面を傾斜面や曲面に成形する必要がなく平面形状のままで対応できるので、天板上面に向けて取り付ける場合において操作面を天板と水平にすることができ、また、操作部本体の金型製作を廉価に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1に示すように、本発明に係る組込型加熱調理器1は、飲食店等に設置されたテーブルに組み込まれる調理用機器であり、分離して構成された調理器本体2と操作体3が接続コード4を介して連結されている。
【0017】
本実施形態において、調理器本体2は、筐体11の内側に電磁誘導加熱部として磁力発生コイル(図示せず)を内蔵し、その上面に耐熱性の結晶化ガラスで構成されたトッププレート12を装着したものである。磁力発生コイルに通電すると磁力線が発生し、その磁力線がトッププレート12上の金属鍋を通過するときに渦電流に変化して、金属の電気抵抗で鍋自体が発熱するようになっている。
【0018】
また、図示しないが、筐体11の内側には、電源コード5を介して磁力発生コイルに供給される高周波電流をインバータ制御する主制御回路基板と、磁力発生コイルおよび主制御回路基板を冷却する冷却ファンが内蔵されている。
【0019】
このように構成された調理器本体2は、図2のようにしてテーブルの天板51に取り付けられる。すなわち、天板51の略中央には筐体11を収容する開口部52が開設されており、この開口部52の周縁には天板上面51aよりも一段低い位置にトッププレート12の外形と同じ大きさの段部53が形成されている。そして、筐体11を開口部52に嵌め込むとともにトッププレート12の周縁を段部53上に載置することにより、調理器本体2が天板51に固定される。このとき、図示するように、トッププレート12の上面、つまり鍋が置かれる調理面12aが天板上面51aと同一面となるように取り付けられることになる。
【0020】
ところで、調理器本体2には接続コード4を介して操作体3が連結されているが、本実施形態の操作体3では、テーブルの天板51に対して簡単に取付可能な構造が採用されている。
【0021】
図3に示すように、操作体3の操作部本体21は、箱型のケース22の正面が操作面23とされており、この操作面23には操作部25として電源ボタン25a、入力切替ボタン25b、および火力調節ボタン25cが設けられている。また、同操作面23には操作部25の各ボタンに対応した表示部26として、電源表示ランプ26a、入力表示ランプ26b、および火力表示ランプ26cが設けられている。
【0022】
そして、ケース22の内側には操作表示基板(図示せず)が内蔵されていて、操作部25のボタン群を押下して入力された信号を接続コード4経由で上記主制御回路基板に送信し、かつ、主制御回路基板により制御された電磁誘導加熱部の加熱状態を受信して表示部26の各表示ランプで点灯表示するようになっている。
【0023】
一方、操作面23の反対側、つまりケース22の背面には、操作部本体21を天板に取り付けるための取付片31がケース22と一体に形成されており、ケース22を蓋するカバー機能も兼ねている。よって、操作部本体21を天板に取り付けるための専用の固定金具を別途用意する必要がなく、しかも、そのような固定金具を操作部本体21に装着するといった面倒な作業も不要である。また、取付片31は、天板上面用の第一の取付片31−1と天板下面用の第二の取付片31−2を備えて構成されており、操作部本体21の取付姿勢に応じて2種類ある取付片31のうちの一方を選択できるようになっている。
【0024】
図3(a)(b)に示すように、第一の取付片31−1はケース背面22bの左右両縁部に延設され、ケース側面22cから2箇所ずつ突出して設けられている。この第一の取付片31−1はすべての取付面がケース背面22bに対し水平面とされ、厚み方向にそれぞれ貫通孔32が形成されている。これら第一の取付片31−1は、操作面23を天板上面に向けて取り付ける場合に使用するものである。
【0025】
それに対し、第二の取付片31−2はケース背面22bの上縁部に延設されている。この第二の取付片31−2は、操作面23を天板下面の略垂直面に向けて取り付ける場合に使用される。ここで、第二の取付片31−2は、その取付面をケース背面22bに対し垂直面としてもよいが、本実施形態では使用時における操作面23の操作性および視認性を考慮して、次のように構成されている。
【0026】
すなわち、図3(c)に示すように、第二の取付片31−2はケース上面22dよりも上方に垂直に突出し、かつ、後方に向けて折り曲げられた先端部(以下「先端折り曲げ部」という。)34を有している。先端折り曲げ部34はまた、後方に向かって上り勾配となる傾斜面になっており、同傾斜面が取付面34aとされ、厚み方向に貫通孔33が形成されている。さらに、この傾斜した取付面34aは、その延長上(図中点線で示す)にケース正面22aの上縁部が一致する傾斜角度に設定されている。
【0027】
次に、このように構成された操作体3の取付方法について説明する。
【0028】
図4に示すように、この操作体3は、テーブルの天板51に対し操作面23を天板上面51aに向けて取り付けることができる。すなわち、天板51の端面には操作部本体21を挿入する切り欠き部54が形成されており、この切り欠き部54に対し、操作面23が天板上面51aを向くように操作部本体21を嵌め込むものとする。そして、ケース背面22bの左右両縁部に設けられている第一の取付片31−1を天板下面51bに当接させ、貫通孔32に挿通させた取付ネジ35を天板51に螺着することにより、操作部本体21が天板51に固定される。このとき、使用しない第二の取付片31−2は、同図のように第一の取付片31−1よりも後方にあり、しかも、天板下面51bよりも下方に配置されるので、取付作業時に邪魔になることはない。
【0029】
一方、図5に示すように、この操作体3は、テーブルの天板51に対し操作面23を天板下面51bの略垂直面に向けて取り付けることも可能である。すなわち、ケース背面22bの上縁部に設けられている第二の取付片31−2を天板下面51bに当接させ、貫通孔33に挿通させた取付ネジ35を天板51に螺着することにより、操作部本体21が天板51に固定される。このとき、使用しない第一の取付片31−1は、同図のようにケース背面22bに対し水平面であり、第二の取付片31−2の下方位置に入り込んでいないので、取付作業時に邪魔になることはない。
【0030】
また、本実施形態では、第二の取付片31−2の取付面34aが傾斜面であり、同図のように取付後には操作部本体21が傾倒した姿勢で固定されている。そのため、操作面23が天板下面51bに対する垂直面よりも若干上方に向けられることになり、使用時において、操作面23上にある操作部25の各ボタンの操作性や、表示部26の各表示ランプの視認性が一段と向上する。さらに、第二の取付片31−2は、取付面34aの延長上にケース正面22aの上縁部が一致する傾斜角度とされているため、ケース正面22aの上縁部が天板下面51bに当接し、操作部本体21と天板51との間に隙間が無い状態で取り付けることができる。よって、使用時における操作性や視認性を向上させるために、操作面23を傾斜面や曲面に成形する必要がなく平面形状のままで対応できるので、天板上面51aに向けて取り付ける場合において、操作面23を天板51と水平にすることができ、また、操作部本体21の金型製作が廉価に行えるという利点がある。
【0031】
なお、図中点線で示すように、操作体3は天板51の端面から飛び出さないように取り付けるのが望ましい。それは、取付ネジ35の固定位置を天板51の前後方向にずらすことで調節できる。
【0032】
このように、本発明の組込型加熱調理器1によれば、操作面23を天板上面51aに向けて取り付けたい場合には、図4のように第一の取付片31−1を選択して操作体3を固定すればよく、一方、操作面23を天板下面51bの略垂直面に向けて取り付けたい場合には、図5のように第二の取付片31−2を選択して操作体3を固定すればよい。したがって、従来のように取付姿勢に応じて異なる製品を用意したり、あるいは2種類の固定金具を用意したりする必要がなく、操作面23をいずれの面に向ける場合であっても、操作体3を天板51に対して簡単かつ確実に取り付け固定することが可能である。
【0033】
以上説明した実施形態では、調理器本体の加熱方式として電磁誘導加熱式ヒータを用いているが、本発明は、これに限らず、ニクロム線からなるラジエントヒータやその他の加熱方式を使用した組込型加熱調理器にも同様に適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る組込型加熱調理器の全体構造を示す平面図。
【図2】テーブルの天板に調理器本体を取り付けた状態を示す断面図。
【図3】操作体の構成を示す正面図、上面図、および側面図。
【図4】テーブルの天板に対し操作面を天板上面に向けて取り付けた状態を示す正面図。
【図5】テーブルの天板に対し操作面を天板下面の略垂直面に向けて取り付けた状態を示す側面図。
【図6】従来における操作体の取付方法の一例を示す説明図。
【図7】従来における操作体の取付方法の他の例を示す説明図。
【符号の説明】
【0035】
1 組込型加熱調理器
2 調理器本体
3 操作体
4 接続コード
5 電源コード
11 筐体
12 トッププレート
12a 調理面
21 操作部本体
22 ケース
22a ケース正面
22b ケース背面
22c ケース側面
22d ケース上面
23 操作面
25 操作部
25a 電源ボタン
25b 入力切替ボタン
25c 火力調節ボタン
26 表示部
26a 電源表示ランプ
26b 入力表示ランプ
26c 火力表示ランプ
31 取付片
31−1 第一の取付片
31−2 第二の取付片
32 貫通孔
33 貫通孔
34 先端折り曲げ部
34a 取付面
35 取付ネジ
51 天板
51a 天板上面
51b 天板下面
52 開口部
53 段部
54 切り欠き部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーブルの天板に組み込まれる調理器本体と、この調理器本体に接続コードを介して連結された操作体とを備えた組込型加熱調理器であって、
上記操作体は、
操作部本体のケース正面に操作面が設けられるとともに、ケース背面の左右両縁部に延設された第一の取付片と、ケース背面の上縁部に延設された第二の取付片とが一体に形成されている
ことを特徴とする組込型加熱調理器。
【請求項2】
上記第二の取付片は、
上記操作部本体のケース上面よりも上方に突出し、かつ、その先端部を折り曲げて後方に向かい上り勾配とした傾斜面に取付面が設けられるとともに、この取付面の延長上に上記操作部本体のケース正面の上縁部が一致する傾斜角度に設定されている
ことを特徴とする請求項1に記載の組込型加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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