説明

経皮的回収可能型脈管フィルタ

一時的または永久的に肺塞栓症(PE)を予防するための回収可能型大静脈フィルタを開示する。本発明によるフィルタは、チューブ内チューブ構造を有し、半球体が重なっている。その半球体は、複数の拡張可能な脚部を備える。第1のチューブは、第2のチューブの第1組、第2組、第3組、または第4組の拡張可能な脚部の展開を可能にする複数のスロットを有することができる。第1組の拡張可能な脚部の各脚部の自由端は、第2組の各脚部の自由端に対向する方向に向けられており、そのため第1組および第2組の拡張可能な脚部からの脚部を備えるケージが形成される。本発明の設計により、フィルタのどちらの端部からでもカテーテルおよび係蹄によるフィルタの回収が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、米国仮特許出願第61/149,482号(2009年2月3日出願)および第61/180,041号(2009年5月20日出願)の優先権を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は、脈管内のフィルタに関する。詳細には、本発明は、永久留置型または回収可能型でよい大静脈フィルタに関する。
【背景技術】
【0003】
肺塞栓症(PE)は、一般的な健康問題であり、全ての年齢層で主な死亡原因となっている。ほとんどの肺塞栓は、下肢または骨盤における深部静脈血栓症(DVT、deep vein thrombosis)に起因する。体内の別の部分で形成した血餅は、静脈を通って移動し、心臓に戻り、肺に至り、肺の一部分への血液および酸素供給を奪うことによって肺梗塞を引き起こす恐れがある。DVTを発達させる重大な危険因子は静脈うっ血であり、一般的なシナリオには、寝たきりの外傷患者および長時間飛行の飛行機の乗客が含まれる。DVTの他の原因は、凝固性亢進および脈管壁の炎症である。Corriere M et al.、Vena cava filters:an update、Future Cardiol.2(6):695〜707ページ(2006年)。
【0004】
治療していないPEは高い死亡率に関連し、一般にその死亡率は約30%になっており、患者の11%が最初の1時間以内に死亡する。PEが再発した患者は、さらに高いリスクにある。しかし、その病状を迅速に治療すると、生存率は大幅に上昇する。Pulmonary Embolism[on−line]。2008年7月11日にhttp://www.mayoclinic.com/health/pulmonary−embolism/DS00429/DSECTION=complicationsから検索。ヘパリンおよびワルファリンなどの抗凝固剤による治療は、PEの治療の最初の選択肢である。外傷患者およびがん患者など、抗凝固が禁忌であるかまたは不適切である患者には、下大静脈(IVC)フィルタを含む大静脈フィルタがPEからの代替の保護を与える。Corriere M et al.、Vena cava filters:an update、Future Cardiol.2(6):695〜707ページ(2006年)。大静脈フィルタは、典型的には、血餅が肺に移動するのを防止するためにX線透視による案内下で大静脈中に展開される金属デバイスである。IVCフィルタが、通常、腎静脈の高さより下に留置され、その先端部は腎静脈の流出部より上に留置される。血餅は、フィルタの上部で捕捉されると、次に血流の流入によって押し流され溶解する。
【0005】
一部の大静脈フィルタは、患者に永久的に留置されるが、大静脈の血栓性閉塞、フィルタの移動、フィルタの分断、およびフィルタの塞栓を含む、長期間のフィルタ植え込みに関連する副作用の可能性がある。Mohan C et al.、Comparative efficacy and complications of vena caval filters、J.Vasc.Surg.21:235〜246ページ(1995年)。米国特許第7,261,731号も参照。限られた期間のPEに対するリスク、または抗凝固に対する禁忌を有する患者には、一時的および回収可能型フィルタを含む非永久留置型フィルタが薦められている。これらのタイプのフィルタは、通常の平均余命のある青年および若い患者にも薦められる。Linsenmaier U et al.、Indications,management,and complications of temporary inferior vena cava filters、Cardiovasc.Intervent.Radiol.21(6):464〜469ページ(1998年)。一部の一時的大静脈フィルタは、ワイヤまたはカテーテルに取り付けられ、そのワイヤまたはカテーテルは、フィルタ除去のために体外にあるかまたは皮下に固定されている。周辺で繋がれることにより、ある程度の患者の不動性を引き起こし、感染症のリスクを上昇させる。Murray A et al.、Radiology 225:835〜844ページ(2002年)。
【0006】
米国特許第6,391,045号では、1組のらせんフィルタワイヤを備える大静脈フィルタが開示されており、そのらせんフィルタワイヤは、中央領域で接続され、脈管壁に係合するように構築された自由端で終端する。自由端を有するワイヤの長さのうちの主要な中間部分は、概してらせんを形成する形状である。ストラットおよび定着装置から形成された別個の構造体によって定着が実現される。台形のストラット支持体、および大静脈壁と直線状に係合させる他の手段も開示されている。米国特許第6,059,825号には、単一の高度形状記憶ワイヤから形成された回収可能型大静脈フィルタが開示されている。そのワイヤは、コイル状の円筒部分およびコイル状の円錐部分を有する。円筒部分のコイルは、下大静脈に対してコイルを適位置に保持するのに十分な力で下大静脈壁に接触する十分に大きい直径を有する。ワイヤの円錐部分は、静脈からフィルタを除去するのを助けるセグメントを有する。米国特許第5,954,741号の大静脈フィルタは、細長い可撓性の複数管腔のコアまたはステムの遠位端に、またはその近くにある、膨張可能なバルーンを特徴とする。そのバルーンは、挿入前にはしぼんでおり、静脈中に適切に配置されたときにフィルタになるように膨張し、最後は除去のためにしぼむ。
【0007】
米国では、現在、さまざまな形状、構成、サイズ、および材料を有するFDA承認の永久留置型大静脈フィルタが6つある。それらのフィルタは、ステンレス鋼のGreenfield filter(Boston Scientific、Natick、MA)、Bird’s Nest filer(Cook、Bloomington、IN)、Simon Nitinol Filter(Bard、Tempe、AZ)、TrapEase filter(Cordis、Miami Lakes、FL)、Vena−Tech filter(B.Braun Medical、Evanston、IL)、およびG2 filter(Bard、Tempe、AZ)を含む。FDA承認の回収可能型大静脈フィルタは、Gunter−Tulip filter(Cook、Bloomington、IN)およびOptEase filter(Cordis、Miami Lakes、FL)の2つだけである。Corriere M et al.、Vena cava filters:an update、Future Cardiol.2(6):695〜707ページ(2006年)。
【0008】
回収可能型大静脈フィルタは、固有の特徴を有するように設計されており、したがって、個々の状況に応じて、脈管中に永久的に残されてもよく、回収されてもよい。回収可能型フィルタはその汎用性により好都合な選択肢になっているが、実際の臨床上は、多数の回収可能型フィルタが移動および傾斜する傾向がある。フィルタは、心臓、肺の脈管構造、および遠位に移動し、さらにそれに続いて、フィルタストラットの押し出しのせいで脈管を穿孔することが報告されている。Cunliffe C et al.、A fatal complication of a vena cava filter associated with pulmonary thromboembolism、Am.J.Forensic.Med.Pathol.29:173〜176ページ(2008年)。フィルタの傾斜はろ過効率をひどく下げる。長手方向軸から14度を超える傾斜は、PEの再発率の上昇に関係すると考えられている。Joels C et al.、Complications of inferior vena cava filers、Am Surg.69:654〜659ページ(2003年)。移動または傾斜によりさらに、フィルタの回収が難しくなるかまたは不可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、流れを妨害せずに高いろ過能力を有し、大静脈壁に(移動せず、かつ傾斜せずに)確実に固定され、簡単に回収できる、回収可能型大静脈フィルタを開発することが望ましい。X線透視の必要なしに患者のベッドわきで展開できる回収可能型フィルタを開発することも有利である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、第1組の複数のスロット、第2組の複数のスロット、第3組の複数のスロット、および第4組の複数のスロットを有する第1のチューブと、第1組の複数の拡張可能な脚部、第2組の複数の拡張可能な脚部、第3組の複数の拡張可能な脚部、および第4組の複数の拡張可能な脚部を有する第2のチューブとを備えるフィルタを提供することである。第1組および第2組の脚部はそれぞれ、第2のチューブに固定されている端部と、自由端とを有する。第1組の各脚部の自由端は、第2組の各脚部の自由端に対向する方向に向けられている。第3組および第4組の脚部はそれぞれ、拡張可能なセグメントを備え、両方の端部が第2のチューブに固定されている。第1のチューブの第1組のスロットはそれぞれ、第1組の拡張可能な脚部の展開を可能にする径方向の位置に配置されている。第1のチューブの第2組のスロットはそれぞれ、第2組の拡張可能な脚部の展開のための径方向の位置に配置されている。第3組のスロットはそれぞれ、第3組の拡張可能な脚部の展開のための径方向の位置を有し、第4組のスロットはそれぞれ、第4組の拡張可能な脚部の展開のための径方向の位置を有する。第1のチューブのスロットはそれぞれ、第1のチューブの円筒軸に平行に向けられている。第2のチューブの外径は第1のチューブの内径よりも小さい。第2のチューブは、第1のチューブ中に挿入されている。第1組および第2組の拡張可能な脚部はそれぞれ、展開することができ、第1組および第2組からの拡張可能な脚部を備えるケージを形成することができる。そのケージは、第1組および第2組の拡張可能な脚部が展開しているときに球体形状を形成することができる。第1組および第2組の拡張可能な脚部はそれぞれ、少なくとも1つの突刺を自由端に有する。フィルタが展開しているときに、自由な脚部の端部にあるそれらの突刺を脈管壁に挿入することができる。第3組および第4組の各拡張可能な脚部の拡張可能なセグメントは、展開したときに曲線形状をそれぞれ形成することができる。第3組および第4組の各拡張可能な脚部のセグメントを、第2のチューブ内に延在するピンまたはチューブに取り付けるかまたは固定することができる。第1のチューブの少なくとも1つの端部は、少なくとも1つの切り欠きを有する。第1組および第2組の拡張可能な脚部はそれぞれ、記憶合金を含むことができる。第3組および第4組の拡張可能な脚部の拡張可能なセグメントは、形状記憶合金を含むことができる。
【0011】
各組の拡張可能な脚部の数は、約2から約20、約4から約15、約4から約10、約5から約10、約4、約5、または約6の範囲にあってよい。一実施形態では、第1組の拡張可能な脚部の数は4、すなわちA、B、C、およびDであり、第2組の脚部の数は4、すなわちE、F、G、およびHであり、第3組の脚部の数は4、すなわちI、J、K、およびLであり、第4組の脚部の数は4、すなわちM、N、O、およびPである。第1組の拡張可能な脚部は、Aが約0度から約90度、Bが約90度から約180度、Cが約180度から約270度、Dが約270度から約360度の範囲にある、第2のチューブの円周に沿った径方向の位置に固定されている。第1組の拡張可能な脚部A、B、C、およびDの径方向の位置は、対称でよい。第2組の拡張可能な脚部は、Eが約0度から約90度、Fが約90度から約180度、Gが約180度から約270度、Hが約270度から約360度の、第2のチューブの円周に沿った径方向の位置に固定されている。第2組の拡張可能な脚部E、F、G、およびHの径方向の位置は、対称でよい。第2組の拡張可能な脚部の径方向の位置は、第1組の拡張可能な脚部の径方向の位置に一致していない。第3組の拡張可能な脚部は、Iが約0度から約90度、Jが約90度から約180度、Kが約180度から約270度、Lが約270度から約360度の範囲にある、第2のチューブの円周に沿った径方向の位置に固定されている。第3組の拡張可能な脚部I、J、K、およびLの径方向の位置は、対称でよい。第3組の拡張可能な脚部の径方向の位置は、第1組の拡張可能な脚部の径方向の位置からずれていてよい。第4組の拡張可能な脚部は、Mが約0度から約90度、Nが約90度から約180度、Oが約180度から約270度、Pが約270度から約360度の範囲にある、第2のチューブの円周に沿った径方向の位置に固定されている。第4組の拡張可能な脚部M、N、O、およびPの径方向の位置は、対称でよい。第4組の拡張可能な脚部の径方向の位置は、第2組の拡張可能な脚部の径方向の位置からずれていてよい。
【0012】
本発明はさらに、フィルタを回収する方法であって、フィルタがその脈管壁上に配置される脈管中にカテーテルを挿入するステップと、係蹄が切り欠きを把持するまで、カテーテルを通して係蹄を押すステップと、係蹄を引き戻してフィルタに張力を加えるステップと、拡張可能な脚部がそれぞれ脈管壁から後退し、第3組および第4組の拡張可能な脚部がそれぞれまっすぐになり、第2組の拡張可能な脚部がそれぞれ脈管壁から後退するまで、係蹄、および第1組の各拡張可能な脚部を覆うようにカテーテルを押すステップと、第1組、第2組、第3組、および第4組の拡張可能な脚部を、カテーテルで囲繞するステップと、フィルタを抜去するステップとを含む方法を提供する。一実施形態では、どちらの端部からでもフィルタを回収するために、チューブの各端部にそれぞれ1つの切り欠きがある。あるいは、同様の機構を使用してもう一方の端部からフィルタを回収することができる。
【0013】
本発明はさらに、第1組、第2組、および第3組の複数のスロットを有する第1のチューブと、第1組、第2組、および第3組の複数の拡張可能な脚部を有する第2のチューブとを備えるフィルタを提供する。第1組および第2組の脚部はそれぞれ、第2のチューブに固定されている端部と、自由端とを有する。第1組の各脚部の自由端は、第2組の各脚部の自由端に対向する方向に向けられている。第3組の各脚部は、拡張可能なセグメントを備え、両方の端部が第2のチューブに固定されている。第1のチューブの第1組のスロットは、第1組の拡張可能な脚部の展開を可能にする径方向の位置に配置されており、第1のチューブの第2組のスロットは、第2組の拡張可能な脚部の展開のために配置されており、第1のチューブの第3組のスロットは、第3組の各脚部の拡張可能なセグメントの展開のためにある。第1のチューブのスロットはそれぞれ、第1のチューブの円筒軸に平行に向けられている。第2のチューブの外径は第1のチューブの内径よりも小さい。フィルタは、第2のチューブを第1のチューブ中に挿入することによって形成される。第1のチューブの少なくとも1つの端部は、フィルタの回収のための少なくとも1つの切り欠きを有する。
【0014】
本発明は、フィルタを回収する方法であって、フィルタがその脈管壁上に配置される脈管中にカテーテルを挿入するステップと、係蹄が切り欠きを把持するまでカテーテルを通して係蹄を押すステップと、係蹄を引き戻してフィルタに張力を加えるステップと、拡張可能な脚部がそれぞれ、脈管壁から後退し、第3組の拡張可能な脚部がそれぞれ、まっすぐになり、第2組の拡張可能な脚部がそれぞれ、脈管壁から後退するまで、係蹄および第1組の各拡張可能な脚部を覆うようにカテーテルを押すステップと、第1組、第2組、第3組、および第4組の拡張可能な脚部を、カテーテルで囲繞するステップと、フィルタを抜去するステップとを含む方法も提供する。あるいは、同様の機構を使用してもう一方の端部からフィルタを回収することができる。
【0015】
本発明はさらに、第1組の複数のスロットおよび第2組の複数のスロットを有する第1のチューブと、第1組の複数の拡張可能な脚部および第2組の複数の拡張可能な脚部を有する第2のチューブとを備えるフィルタを提供する。第1組および第2組の脚部はそれぞれ、第2のチューブに固定されている端部と、自由端とを有する。第1組の各脚部の自由端は、第2組の各脚部の自由端に対向する方向に向けられている。第1のチューブの第1組のスロットは、第1組の拡張可能な脚部の展開を可能にする径方向の位置に配置されている。第1のチューブの第2組のスロットは、第2組の拡張可能な脚部の展開を可能にする径方向の位置に配置されている。スロットは、第1のチューブの円筒軸に平行に向けられている。第2のチューブの外径は第1のチューブの内径よりも小さい。フィルタは、第2のチューブを第1のチューブ中に挿入することによって形成される。第1のチューブの少なくとも1つの端部は、フィルタの回収のための少なくとも1つの切り欠きを有する。
【0016】
本発明は、フィルタを回収する方法であって、フィルタがその脈管壁上に配置される脈管中にカテーテルを挿入するステップと、係蹄が第2組の拡張可能な脚部の近くにある、第1のチューブの切り欠きを把持するまで、カテーテルおよび第2のチューブの内側空間を通して係蹄を押すステップと、係蹄を引き戻してフィルタに張力を加えるステップと、拡張可能な脚部がそれぞれ、脈管壁から後退するまで、第1組の各拡張可能な脚部を覆うようにカテーテルを押すステップと、第2組の拡張可能な脚部がそれぞれ、脈管壁から後退するまで、係蹄を引き戻して第2組の拡張可能な脚部に張力を加えるステップと、第1組および第2組の拡張可能な脚部を、カテーテルで囲繞するステップと、フィルタを抜去するステップとを含む方法も提供する。あるいは、同様の機構を使用してもう一方の端部からフィルタを回収することができる。
【0017】
本発明はさらに、第1組の複数のスロットおよび第1組の複数の拡張可能な脚部を有する第1のチューブと、第2組の複数のスロットおよび第2組の複数の拡張可能な脚部を有する第2のチューブとを備えるフィルタを提供する。第1組の各脚部は、第1のチューブに固定されている端部と、自由端とを有する。第2組の脚部はそれぞれ、第2のチューブに固定されている端部と、自由端とを有する。第1組の各脚部の自由端は、第2組の各脚部の自由端に対向する方向に向けられている。第1のチューブの第1組のスロットは、第2のチューブの第2組の拡張可能な脚部の展開を可能にする径方向の位置に配置されており、第2のチューブの第2組のスロットは、第1のチューブの第1組の拡張可能な脚部の展開のために配置されている。各スロットは、チューブの円筒軸に平行に向けられている。フィルタは、第1のチューブの第1組の拡張可能な脚部が第2のチューブの第2組のスロットを通って展開し、第2のチューブの第2組の拡張可能な脚部が第1のチューブの第1組のスロットを通って展開するように、第1のチューブの第1組の拡張可能な脚部を第2のチューブ中に、第2のチューブの第2組の拡張可能な脚部を第1のチューブ中に挿入することによって形成される。第1のチューブまたは第2のチューブの少なくとも1つの端部は、フィルタの回収のための少なくとも1つの切り欠きを有する。本発明は、フィルタを回収する方法であって、フィルタがその脈管壁上に配置される脈管中にカテーテルを挿入するステップと、係蹄が第2組の拡張可能な脚部の近くにある、第2のチューブの切り欠きを把持するまで、カテーテルおよびフィルタの内側空間を通して係蹄を押すステップと、係蹄を引き戻してフィルタに張力を加えるステップと、第1組の拡張可能な脚部がそれぞれ、脈管壁から後退するまで、第1組の各拡張可能な脚部を覆うようにカテーテルを押すステップと、第2組の拡張可能な脚部がそれぞれ、脈管壁から後退するまで、係蹄および第2のチューブを引き戻して第2組の拡張可能な脚部に張力を加えるステップと、第1組および第2組の拡張可能な脚部を、カテーテルで囲繞するステップと、フィルタを抜去するステップとを含む方法も提供する。あるいは、同様の機構を使用してもう一方の端部からフィルタを回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1A】フィルタの一実施形態の斜視図である。
【図1B】図1Aのフィルタの側面図である。
【図1C】符号25から26に向かって見たときの様子を示す、図1Aのフィルタの斜視図である。
【図2A】図1Aの第1のチューブの側面図である。
【図2B】図2Aの第1のチューブの斜視図である。
【図2C】図2Aの第1のチューブの第2の斜視図である。
【図2D】符号25から26に向かって見たときの様子を示す、図2Aの第1のチューブの斜視図である。
【図3A】図1Aの第2のチューブの側面図である。
【図3B】図3Aの第2のチューブの斜視図である。
【図3C】符号28から29に向かって見たときの様子を示す、図3Aの第2のチューブの斜視図である。
【図4】第3組および第4組の拡張可能な脚部が第3のチューブまたはピンに溶着された、第2のチューブの一実施形態を示す図である。
【図5】突刺の設計のさまざまな実施形態を示す図である。
【図6A】フィルタの別の実施形態の側面図である。
【図6B】図6Aのフィルタの斜視図である。
【図6C】符号53から54に向かって見たときの様子を示す、図6Aのフィルタの斜視図である。
【図7】図6Aのフィルタの第1のチューブの側面図である。
【図8A】図6Aのフィルタの第2のチューブの側面図である。
【図8B】符号58から59に向かって見たときの様子を示す、図8Aの第2のチューブの斜視図である。
【図9A】フィルタの第3の実施形態の斜視図である。
【図9B】図9Aのフィルタの側面図である。
【図9C】符号98から99に向かって見たときの様子を示す、図9Aのフィルタの斜視図である。
【図10】図9Aのフィルタの第1のチューブの側面図である。
【図11A】図9Aのフィルタの第2のチューブの側面図である。
【図11B】符号101から102に向かって見たときの様子を示す、図11Aの第2のチューブの斜視図である。
【図12A】フィルタの第4の実施形態の斜視図である。
【図12B】図12Aのフィルタの側面図である。
【図12C】符号128から125に向かって見たときの様子を示す、図12Aのフィルタの斜視図である。
【図13】図12Aのフィルタの第1のチューブの側面図である。
【図14】図12Aのフィルタの第2のチューブの側面図である。
【図15】下大静脈における図1Aのフィルタの展開を示す図である。
【図16】図1Aに示すフィルタの回収を示す図である。
【図17】切り欠きのさまざまな形態の構成を示す図である。
【図18】図6Aのフィルタの回収を示す図である。
【図19】図9Aのフィルタの回収を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、永久留置型でも回収可能型でもよく、肺塞栓症(PE)の一時的または永久的な予防のために使用できる大静脈フィルタ(「フィルタ」)を提供する。フィルタを、大腿静脈などの静脈を通して経皮的に体内に挿入することができる。フィルタは、チューブ内チューブ構造を有し、その構造は、展開時に互いに重なっても重ならなくてもよい半球体を作り出すことができる。展開時には、半球体は互いに一緒になってケージを形成する。フィルタは、大静脈のうちの腎静脈の部分またはその下方の部分に配置されている。フィルタの半球体またはケージは、安定した、移動しない大静脈のろ過を保証する。半球体は折り畳み可能なので、大静脈からフィルタを簡単に回収することができる。さらに、本発明のフィルタの設計により、フィルタをどちらの端部からでも回収することが可能になる。
【0020】
フィルタは、第1のチューブおよび第2のチューブから形成することができる。第1のチューブは、第1組の複数のスロット、第2組の複数のスロット、第3組の複数のスロット、および第4組の複数のスロットを有する。第2のチューブは、第1組の複数の拡張可能な脚部、第2組の複数の拡張可能な脚部、第3組の複数の拡張可能な脚部、および第4組の複数の拡張可能な脚部を有する。第1組および第2組の脚部はそれぞれ、第2のチューブに固定されている端部と、自由端とを有する。第1組の各脚部の自由端は、第2組の各脚部の自由端に対向する方向に向けられている。第3組および第4組の各脚部は、拡張可能なセグメントを備え、両方の端部が第2のチューブに固定されている。第3組および第4組の各拡張可能な脚部のセグメントを、第2のチューブ内に延在するピンまたはチューブに取り付けるかまたは固定することができる。ある組の拡張可能な脚部の径方向の位置は、異なる組の拡張可能な脚部の径方向の位置からずれていてもよく、同じでもよい。例えば、第3組の拡張可能な脚部の径方向の位置は、第1組の拡張可能な脚部の径方向の位置からずれていてもよく、同じでもよい。第4組の拡張可能な脚部の径方向の位置は、第2組の拡張可能な脚部の径方向の位置からずれていてもよく、同じでもよい。第1のチューブの第1組のスロットの各スロットは、第1組の各拡張可能な脚部の展開を可能にする径方向の位置に配置されている。第1のチューブの第2組のスロットの各スロットは、第2組の各拡張可能な脚部の展開を可能にする径方向の位置に配置されている。第1のチューブの第3組のスロットの各スロットは、第3組の拡張可能な脚部の各脚部の拡張可能なセグメントの展開を可能にする径方向の位置に配置されている。第1のチューブの第4組のスロットの各スロットは、第4組の拡張可能な脚部の各脚部の拡張可能なセグメントの展開を可能にする径方向の位置に配置されている。第1のチューブのスロットはそれぞれ、第1のチューブの円筒軸に平行に向けられている。第2のチューブの外径は、第2のチューブを第1のチューブ中に挿入できるように第1のチューブの内径よりも小さくすることができる。第1のチューブの直径は、第2のチューブの直径と同じでもよく、異なっていてもよい。
【0021】
一実施形態では、第1組の拡張可能な脚部の数は4、すなわちA、B、C、およびDであり、第2組の脚部の数は4、すなわちE、F、G、およびHであり、第3組の脚部の数は4、すなわちI、J、K、およびLであり、第4組の脚部の数は4、すなわちM、N、O、およびPである。第1組の拡張可能な脚部は、Aが約0度から約90度、Bが約90度から約180度、Cが約180度から約270度、Dが約270度から約360度の範囲にある、第2のチューブの円周に沿った径方向の位置に固定されている。一実施形態では、第1組の拡張可能な脚部の径方向の位置は、対称であり、例えば、Aは0度、Bは90度、Cは180度、Dは270度である。第1組の拡張可能な脚部の径方向の位置は、非対称でもよい。
【0022】
さらなる実施形態では、第3組の拡張可能な脚部は、Iが約0度から約90度、Jが約90度から約180度、Kが約180度から約270度、Lが約270度から約360度の範囲にある、第2のチューブの円周に沿った径方向の位置に固定されている。第3組の拡張可能な脚部I、J、K、およびLの径方向の位置は、対称でも非対称でもよい。第3組の拡張可能な脚部の径方向の位置は、第1組の拡張可能な脚部の径方向の位置からずれていてよい。例えば、第1組の拡張可能な脚部の径方向の位置が、Aが0度、Bが90度、Cが180度、Dが270度であり、第3組の拡張可能な脚部が第1組の拡張可能な脚部から10度ずれている場合は、第3組の拡張可能な脚部は、Iが約10度、Jが約100度、Kが約190度、Lが約280度に配置されている。第3組の拡張可能な脚部の径方向の位置は、第1組の拡張可能な脚部と同じでもよく、対称または非対称に異なっていてもよい。
【0023】
第3の実施形態では、第2組の脚部は、Eが約0度から約90度、Fが約90度から約180度、Gが約180度から約270度、Hが約270度から約360度の範囲にある、第2のチューブの円周に沿った径方向の位置に固定されている。第2組の拡張可能な脚部E、F、G、およびHの径方向の位置は、対称でも非対称でもよい。第2組の拡張可能な脚部E、F、G、およびHの径方向の位置は、第1組の拡張可能な脚部A、B、C、およびDの径方向の位置と同じでもよく、異なっていてもよい。
【0024】
第4の実施形態では、第4組の拡張可能な脚部は、Mが約0度から約90度、Nが約90度から約180度、Oが約180度から約270度、Pが約270度から約360度の範囲にある、第2のチューブの円周に沿った径方向の位置に固定されている。第4組の拡張可能な脚部M、N、O、およびPの径方向の位置は、対称でも非対称でもよい。第4組の拡張可能な脚部の径方向の位置は、第2組の拡張可能な脚部の径方向の位置からずれていてよい。例えば、第2組の拡張可能な脚部の径方向の位置が、Eが0度、Fが90度、Gが180度、Hが270度であり、第4組の拡張可能な脚部が、第1組の拡張可能な脚部10度ずれている場合は、第3組の拡張可能な脚部は、Mが約10度、Nが約100度、Oが約190度、Pが約280度に配置されている。第4組の拡張可能な脚部の径方向の位置は、第2組の拡張可能な脚部と同じでもよく、対称または非対称に異なっていてもよい。
【0025】
第2組の拡張可能な脚部の径方向の位置は、第1組の拡張可能な脚部の径方向の位置と同じでもよく、ずれていてもよい。第4組の拡張可能な脚部の径方向の位置は、第3組の拡張可能な脚部の径方向の位置と同じでもよく、ずれていてもよい。一実施形態では、第2組の拡張可能な脚部の径方向の位置は、第1組の拡張可能な脚部の径方向の位置と同じであり、第3組の拡張可能な脚部の径方向の位置は、第1組の拡張可能な脚部の径方向の位置からずれており、第4組の拡張可能な脚部の径方向の位置は、第3組の拡張可能な脚部の径方向の位置と同じである。第1組の各脚部の自由端は、第2組の各脚部の自由端に対向する方向に向けられてよい。あるいは、第1組の各脚部の自由端は、第2組の各脚部の自由端の方向と同じ方向に向けられてよい。
【0026】
本発明はさらに、第1組の複数のスロット、第2組の複数のスロット、および第3組の複数のスロットを有する第1のチューブと、第1組の複数の拡張可能な脚部、第2組の複数の拡張可能な脚部、および第3組の複数の拡張可能な脚部を有する第2のチューブとを備えるフィルタを提供する。第1組および第2組の脚部はそれぞれ、第2のチューブに固定されている端部と、自由端とを有する。第1組の各脚部の自由端は、第2組の各脚部の自由端に対向する方向に向けられている。第3組の各脚部は、拡張可能なセグメントを備え、両方の端部が第2のチューブに固定されている。第1のチューブの第1組のスロットは、第1組の拡張可能な脚部の展開を可能にする径方向の位置に配置されている。第1のチューブの第2組のスロットは、第2組の拡張可能な脚部の展開を可能にする径方向の位置に配置されている。第1のチューブの第3組のスロットは、第3組の拡張可能なセグメントの展開を可能にする径方向の位置に配置されている。第1のチューブのスロットはそれぞれ、第1のチューブの円筒軸に平行に向けられている。ある組の拡張可能な脚部の径方向の位置は、異なる組の拡張可能な脚部径方向の位置からずれていてもよく、同じでもよい。例えば、第2組の拡張可能な脚部の径方向の位置は、第1組の拡張可能な脚部の径方向の位置と同じでもよく、そこからずれていてもよい。第3組の拡張可能な脚部の径方向の位置は、第1組の拡張可能な脚部の径方向の位置と同じでもよく、そこからずれていてもよい。一実施形態では、第2組の拡張可能な脚部の径方向の位置は、第1組の拡張可能な脚部の径方向の位置と同じであり、第3組の拡張可能な脚部の径方向の位置は、第1組の拡張可能な脚部の径方向の位置からずれている。第2のチューブの外径は第1のチューブの内径よりも小さくてよい。フィルタは、第2のチューブを第1のチューブ中に挿入することによって形成することができる。第1のチューブの直径は、第2のチューブの直径と同じでもよく、異なっていてもよい。第1組の各脚部の自由端は、第2組の各脚部の自由端に対向する方向に向けられてよい。あるいは、第1組の各脚部の自由端は、第2組の各脚部の自由端の方向と同じ方向に向けられてよい。
【0027】
本発明は、第1組の複数のスロットおよび第2組の複数のスロットを有する第1のチューブと、第1組の複数の拡張可能な脚部および第2組の複数の拡張可能な脚部を有する第2のチューブとを備えるフィルタも提供する。第1組および第2組の脚部はそれぞれ、第2のチューブに固定されている端部と、自由端とを有する。第1組の各脚部の自由端は、第2組の各脚部の自由端に対向する方向に向けられている。第1のチューブの第1組のスロットは、第1組の拡張可能な脚部の展開を可能にする径方向の位置に配置されている。第1のチューブの第2組のスロットは、第2組の拡張可能な脚部の展開を可能にする径方向の位置に配置されている。第1のチューブのスロットはそれぞれ、第1のチューブの円筒軸に平行に向けられている。第2組の拡張可能な脚部の径方向の位置は、第1組の拡張可能な脚部の径方向の位置と同じでもよく、そこからずれていてもよい。一実施形態では、第2組の拡張可能な脚部の径方向の位置は、第1組の拡張可能な脚部の径方向の位置と同じである。第2のチューブの外径は第1のチューブの内径よりも小さくてよい。フィルタは、第2のチューブを第1のチューブに挿入することによって形成することができる。第1組の各脚部の自由端は、第2組の各脚部の自由端に対向する方向に向けられてよい。あるいは、第1組各脚部の自由端は、第2組の各脚部の自由端の方向と同じ方向に向けられてよい。
【0028】
第1組および第2組の拡張可能な脚部を備えるケージを形成することができる。そのケージは、第1組および第2組の拡張可能な脚部が展開しているときに球体形状を形成することができる。第3組または第4組の拡張可能な脚部の拡張可能なセグメントは、展開したときに曲線形状を形成する。第3組または第4組の各拡張可能な脚部のセグメントを、第2のチューブ内に延在するピンまたはチューブに取り付けるかまたは固定することができる。
【0029】
本発明のさらなる実施形態では、第1のチューブの少なくとも1つの端部は、少なくとも1つの切り欠きを有する。好ましい実施形態では、どちらの端部からでもフィルタを回収するために、第1のチューブの各端部にそれぞれ1つの切り欠きがある。大静脈に挿入する前に、フィルタをカテーテルに収容することができる。各拡張可能な脚部の自由端は、少なくとも1つの突刺を有することができる。脚部は、矩形のストリップ、ワイヤ、チューブ、ロッド、または他の任意の所望の構造を含むさまざまな形状を有することができる。脚部は、直線、曲線、先細りでもよく、複数の角度を有してもよい。例えば、脚部は、脈管壁への貫入を低減するためにその自由端で内側に湾曲してよい。各脚部のさまざまな部分の形状、構成、または寸法は、変化してもよく、同じでもよい。フィルタの異なる脚部の形状、構成、寸法、または角度は、異なっていてもよく、同じでもよい。脚部は、切り欠き付き、突刺付き、フック付き、またはフィルタの回収を妨害することなしに脚部を脈管壁にアンカ留めする他の任意の構造でよい。各組の拡張可能な脚部の数は、2〜20、4〜15、4〜10、または5〜10の範囲にあってよい。各組の脚部の数は、3、4、5、6、または展開したときのフィルタの安定性および効率的な大静脈のろ過を保証できる他の任意の数でよい。第1組、第2組、第3組、および第4組それぞれの脚部の数は、等しくても等しくなくてもよい。それらの脚部を、チューブの円周に沿って径方向の位置に対称または非対称に配置することができる。脚部が対称に配置されている場合は、脚部の各対の間の径方向の距離、例えばA〜B、およびB〜Cの距離は等しい。ここで脚部に関して列挙した径方向の位置は、単に例示のために提示したものであり、当業者は、チューブの円周に沿ったどの点にでも過度の実験なしに脚部を配置することができる。例えば、第1の拡張可能な組の脚部が8本の場合は、脚部の配置は、360度を、脚部の数であるNで割って決定することができる。N=8の場合は、脚部は、チューブの円周に沿って45度の間隔で対称に配置することができる。次いで、拡張可能な脚部を、45度ずつ異なる、円周上のずれの間隔で、すなわち0度(360度)、45度、90度、135度、180度、225度、270度、315度の位置に配置することができる。
【0030】
本発明はさらに、第1組の複数のスロットおよび第1組の複数の拡張可能な脚部を有する第1のチューブと、第2組の複数のスロットおよび複数の第2組の拡張可能な脚部を有する第2のチューブとを備えるフィルタを提供する。第1組の脚部はそれぞれ、第1のチューブに固定されている端部と、自由端とを有する。第2組の脚部はそれぞれ、第2のチューブに固定されている端部と、自由端とを有する。第1組の各脚部の自由端は、第2組の各脚部の自由端に対向する方向に向けられている。第1のチューブの第1組のスロットは、第2のチューブの第2組の拡張可能な脚部展開を可能にする径方向の位置に配置されており、第2のチューブの第2組のスロットは、第1のチューブの第1組の拡張可能な脚部の展開のために配置されている。スロットはそれぞれ、チューブの円筒軸に平行に向けられている。第1組のスロットの径方向の位置は、第1のチューブの第1組の拡張可能な脚部の径方向の位置からずれている。第2組のスロットの径方向の位置は、第2のチューブの第2組の拡張可能な脚部の径方向の位置からずれている。第1のチューブの直径は、第2のチューブの直径と同じでもよく、異なっていてもよい。フィルタは、第1のチューブの第1組の拡張可能な脚部が、第2のチューブの第2組のスロットを通って展開し、第2のチューブの第2組の拡張可能な脚部が、第1のチューブの第1組のスロットを通って展開するように、第1組の拡張可能な脚部を第2のチューブ中に挿入し、第2組の拡張可能な脚部を第1のチューブ中に挿入することによって形成される。展開後は、第1組の各脚部の自由端は、第2組の各脚部の自由端に対向する方向に向けられている。第1または第2のチューブの少なくとも1つの端部は、フィルタの回収のための少なくとも1つの切り欠きを有する。第1組および第2組の拡張可能な脚部を備えるケージを形成することができる。そのケージは、第1組および第2組の拡張可能な脚部が展開しているときに球体形状を形成する。本発明のさらなる実施形態では、第1のチューブの1つの端部および/または第2のチューブの1つの端部は、少なくとも1つの切り欠きを有する。好ましい実施形態では、どちらの端部からでもフィルタを回収するために、第1のチューブの1つの端部に1つの切り欠きがあり、第2のチューブの1つの端部に1つの切り欠きがある。第1組の各脚部の自由端は、第2組の各脚部の自由端に対向する方向に向けられてよい。あるいは、第1組の各脚部の自由端は、第2組の各脚部の自由端の方向と同じ方向に向けられてよい。
【0031】
一実施形態では、フィルタは、第1組の複数の拡張可能な脚部および第2組の複数の拡張可能な脚部を備える。複数の脚部が、患者をリスクにさらす、臨床上意味のある寸法の血餅を捕捉するように、脈管内の空間を分割する。第1組の各脚部の自由端は、第2組の各脚部の自由端に対向する方向に向けられている。脚部の対向する方向は、臨床上意味のある血餅を捕捉するのを助ける。あるいは、第1組の各脚部の自由端は、第2組の各脚部の自由端の方向と同じ方向に向けられてよい。第2組の拡張可能な脚部の径方向の位置は、第1組の拡張可能な脚部の径方向の位置からずれている。向きがずれていることが血餅の捕捉を最適にする。各組の脚部の数は、5、6、または他の任意の適切な数でよい。脚部は、血餅の捕捉を最適にしながら壁との接触を不連続にするように、中心位置決めバーによって連結されている。2組の脚部は、壁との接触を最小限に抑えかつ血餅の捕捉を最大にしながら、ろ過を最適にする。2組の脚部間を長手方向で繋ぐものがないことで、脈管壁との接触が不連続になり、脈管壁とのフィルタの接触長さが低減される。各組の脚部は、球体の角度になっていてもそうでなくてもよい湾曲した形状を形成する。脚部は、脈管壁への貫入を低減するためにその自由端で内側に湾曲してよい。力の負荷は、脈管壁に接触する脚部の長さ全体(すなわち、単一の点接触よりも大きい)にわたって分配される。湾曲した脚部によって出される力は、大静脈壁に貫入する力よりも小さい。不連続な脚部により、壁への組み込みは最小限に抑えられる。脚部の形状および長さは、留置位置から「枢動しない」ことを維持するのを助ける(すなわち、フィルタの相対的な再配置を防止する)(自己心合わせフィルタ)。脚部の幅は、外側のチューブの対応する受容スロットの幅よりも小さくてよい。位置決めバーは、長手方向のバーであり、留置および回収のためのアクセスを位置決めするように2組の脚部を係合する。位置決めバーにより、「軸方向の傾斜」を防止しながら脈管内で軸方向の心合わせが可能になる。最終的に展開したときの不正確さに関する公差は、許容できる臨床上の範囲(約15度の公差)よりも小さい。脚部の自由端は、少なくとも1つの突刺を有することができ、その突刺はアンカとして働き、組織の分裂を最小限に抑える。
【0032】
フィルタの展開プロセス全体を制御することができる。フィルタの設計は、血塊の捕捉の点で、最終的に展開したときの不正確さに関する公差を提供する。デバイスとの接触の再配置を維持することができ、それによりフィルタの再配置が可能になる。大腿静脈を通してフィルタを回収することができる。
【0033】
別の実施形態では、フィルタは、内側チューブが外側チューブ内に摺動した、チューブ内チューブ構造を有する。2つのチューブの相対位置を変更する(すなわち、適切に配置されたときは、内側チューブの脚部が、外側チューブのスロットを通して拡張する)ことによって、内側チューブの要素を操作することができる。本発明のフィルタは、第1組の複数の拡張可能な脚部および第2組の複数の拡張可能な脚部を備える。第1組の各脚部の自由端は、第2組の各脚部の自由端に対向する方向に向けられている。第2組の拡張可能な脚部の径方向の位置は、第1組の拡張可能な脚部の径方向の位置からずれている。脚部は、中心位置決めバーによって連結されている。内側チューブには閉鎖機構がある。その閉鎖機構は、外側チューブのスロットを通して移動可能であり、したがって、スロットを通して拡張して、内側チューブ上で脚部を開き、スロット内で折り畳まれて、内側チューブ上で脚部を閉じる。閉鎖機構は、遠位の組の脚部の閉鎖を制御することができる。閉鎖機構は、近位の組の脚部の一部分から外側に突出することができ、近位の組の脚部が接触する前にカテーテルと接触することができる。閉鎖機構は、展開したときに(例えば、泡だて器の形状に形成された)曲線形状を形成できる複数の脚部とすることができる。閉鎖機構は、L字形、自転車のハンドルの形状、三角形、またはフィルタの回収中に少なくとも1つの組の脚部の閉鎖を容易にする他の任意の適切な形状に形成された構成要素とすることができる。例えば、閉鎖機構の形状が三角形のときは、その三角形の一辺を長く、他の一辺を短くすることができる。回収中にカテーテルがフィルタを覆うように押されるときに、まずカテーテルが三角形の長い辺に接触し、次いで、その三角形を前方に外側チューブのスロット中に押し続ける。その三角形がさらに、カテーテルによって外側チューブ中に押し下げられ、それにより、遠位の組の脚部が閉じられる。こうしたフィルタは、簡単な操作および再配置の制御によって、展開および回収の際の臨床上の実用性を良好にする。送達中は、チューブをラチェットシステムで押すことができる。カテーテルは、送達中に閉位置において両方の組の脚部をカバーする。フィルタが脈管に配置された後で、カテーテルは脚部を開くために引き戻される。カテーテルは、少なくとも1つのX線不透過性の圧縮リングを有することができる。回収中には、内側チューブの閉鎖機構は、スロット内で折り畳まれて、内側チューブの脚部を閉じる。カテーテルが前進して、近位の閉鎖機構に係合して、まず遠位の脚部を折り畳み、次いで、カテーテルが前進して、近位脚部を折り畳み、折り畳んだ遠位の脚部を覆うように継続する。ラチェット制御機構を使用して、カテーテルを制御することができる。
【0034】
さらなる実施形態では、フィルタは、第1組の複数の拡張可能な脚部および第2組の複数の拡張可能な脚部を備える。第1組の各脚部の自由端は、第2組の各脚部の自由端に対向する方向に向けられている。第2組の拡張可能な脚部の径方向の位置は、第1組の拡張可能な脚部の径方向の位置からずれている。脚部は、中心位置決めバーによって連結されている。送達中に、チューブをラチェットシステムで押すことができ、フィルタを収容するカテーテルを遠位に送達するように引き戻すことができる。係蹄およびカテーテルによってフィルタを回収することができる。係蹄は、チューブの端部から延び、軸からずれている(すなわち、係蹄は、チューブによって心合わせされていない)。係蹄は、遠位の脚部を越えて延び、遠位の脚部を折り畳むように引き戻されている。カテーテルは、近位の脚部を折り畳むように前進し、次いで、遠位の脚部を越えて延びる。
【0035】
本発明の組み立てたフィルタの一実施形態を図1A、図1B、および図1Cに示す。フィルタは、2つのチューブ、すなわち第1のチューブおよび第2のチューブを備え、第2のチューブのチューブは、フィルタを形成するように第1のチューブ中に挿入される。第2のチューブの外径は第1のチューブの内径よりも小さい。フィルタは、4本の拡張可能な脚部2組、すなわち、第1の拡張可能な組1、2、3、4および第2の拡張可能な組5、6、7、8から形成される。これらの拡張可能な脚部はケージ9を形成する。ケージ9は、展開したときにボールまたは球体の形状をとることができる。フィルタは、第1組の拡張可能な脚部1、2、3、4、第2組の拡張可能な脚部5、6、7、8、第3組の拡張可能な脚部10、11、12、13、および第4組の拡張可能な脚部14、15、16、17を備える。第3組の各脚部10、11、12、13の拡張可能なセグメント、および第4組の脚部14、15、16、17の各脚部の拡張可能なセグメントはそれぞれ、展開したときに曲線形状18および19(図1B)を形成することができる。図1Cから明らかなように、第3組の拡張可能な脚部10、11、12、13は、第1組の拡張可能な脚部1、2、3、および4と比較すると、第1のチューブの円周に沿って異なる径方向の点に配置されている。第4組の拡張可能な脚部14、15、16、および17は、第2組の拡張可能な脚部5、6、7、および8と比較すると、第1のチューブの円周に沿って異なる径方向の点に配置されている。この実施形態では、第2組の拡張可能な脚部5、6、7、および8は、第1組の拡張可能な脚部1、2、3、および4と同じ径方向の点に配置されており、第4組の拡張可能な脚部14、15、16、および17は、第3組の拡張可能な脚部10、11、12、および13と同じ径方向の点に配置されている。
【0036】
図2A、図2B、図2C、および図2Dに、第1のチューブのさまざまな斜視図を示す。第1のチューブ20は、第1組の複数のスロット21、第2組の複数のスロット22、第3組の複数のスロット23、および第4組の複数のスロット24を含む。それらのスロットは、第1のチューブの長軸または円筒軸に平行である。第1のチューブ20は、2つの端部25および26を有する。第1組のスロット21および第3組のスロット23は、第1のチューブ20の端部25の近くに配置されている。第2組のスロット22および第4組のスロット24は、第1のチューブ20の端部26の近くに配置されている。第1組のスロットは、第1のチューブの端部25から、約2mmから約15mm、約4mmから約8mm、もしくは約5mmから約7mm、または約6mmの位置で始まってよい。第1組および第2組の各スロットの長さは、約4mmから約35mm、約10mmから約25mm、約15mmから約20mm、または約17mmの範囲にあってよい。第1組のスロットの長さと、第2組のスロットの長さは、同じでもよく、異なっていてもよい。第3組および第4組のスロットの長さは、約3mmから約30mm、約5mmから約20mm、約10mmから約18mm、または約15mmの範囲にあってよい。第3組のスロットの長さと、第4組のスロットの長さは、同じでもよく、異なっていてもよい。
【0037】
第1のチューブの長さは、約35mmから約80mm、約40mmから約70mm、約45mmから約60mm、または約50mmでよい。第1のチューブの内径は、約1.0mmから約1.6mm、約1.2mmから約1.6mm、約1.4mmから約1.5mm、または約1.45mmの範囲にあってよい。第1のチューブの厚さは、約0.4mmから約0.8mm、約0.5mmから約0.7mm、約0.5mmから約0.6mm、または約0.58mmの範囲にあってよい。第1のチューブの厚さは、一様でもよく、一方の端部から他方の端部まで変化してもよい。第1のチューブのそれぞれの端部は、直線でもベベル状でもよい。
【0038】
図3A、図3B、および図3Cに、第2のチューブのさまざまな斜視図を示す。第2のチューブ27は、4組の拡張可能な脚部および2つの端部28、29を備える。第1組の拡張可能な脚部1、2、3、4、および第3組の拡張可能な脚部10、11、12、13は、第2のチューブ27の端部28の近くに固定されている。第2組の拡張可能な脚部5、6、7、8、および第4組の拡張可能な脚部14、15、16、17は、端部29の近くに固定されている。図3Cから明らかなように、第3組の拡張可能な脚部10、11、12、13は、第1組の拡張可能な脚部1、2、3、および4と比較すると、第2のチューブ27の円周に沿って異なる径方向の点に配置されている。第4組の拡張可能な脚部14、15、16、および17は、第2組の拡張可能な脚部5、6、7、および8と比較すると、第2のチューブ27の円周に沿って異なる径方向の点に配置されている。この実施形態では、第2組の拡張可能な脚部5、6、7、および8は、第2のチューブ27の円周に沿って第1組の拡張可能な脚部1、2、3、および4と同じ径方向の点に配置されており、第4組の拡張可能な脚部14、15、16、および17は、第2のチューブ27の円周に沿って第3組の拡張可能な脚部10、11、12、および13と同じ径方向の点に配置されている。
【0039】
図3Bに示すように、第1組の拡張可能な脚部1、2、3、4は、第2のチューブ27の端部28の近くにある点30で固定されている。第2組の拡張可能な脚部5、6、7、8は、第2のチューブ27の端部29の近くにある点32で固定されている。点30から28の長さおよび点32から29の長さは、約2mmから約10mm、3mmから約8mm、約4mmから約7mm、または約6mmの範囲にある。点30から28の長さと、点32から29の長さは、同じでもよく、異なっていてもよい。第1組の拡張可能な脚部1、2、3、4の自由端は、第2組の拡張可能な脚部5、6、7、および8の自由端に対向する方向にある。第1組および第2組の拡張可能な脚部1、2、3、4、および5、6、7、8の自由端はそれぞれ、突刺63を有することができる(図3B)。中実のピンまたは中空のチューブ34を、第2のチューブ27に挿入し、第3組および第4組の拡張可能な脚部の脚部にレーザ溶着することができる(図4)。ピン34の長さは、約2mmから約8mm、約3mmから約6mm、または約4mmの範囲にあってよい。
【0040】
第1組または第2組の拡張可能な脚部を、第2のチューブの端部から、約2mmから約10mm、3mmから約8mm、約4mmから約7mm、または約6mmの点に固定することができる。第3組および第4組の拡張可能な脚部の直線長さは、約5mmから約55mm、約10mmから約50mm、約20mmから約40mm、または約30mmでよい。
【0041】
第1のチューブ20の第1組のスロット21はそれぞれ、第1組の拡張可能な脚部1、2、3、4それぞれの展開を可能にする径方向の位置に配置されている。第1のチューブ20の第2組のスロット22はそれぞれ、第2組の拡張可能な脚部5、6、7、8それぞれの展開を可能にする径方向の位置に配置されている。第1のチューブ20の第3組のスロット23はそれぞれ、第3組の拡張可能な脚部10、11、12、13の各脚部の拡張可能なセグメントの展開を可能にする径方向の位置に配置されている。第4組のスロット24はそれぞれ、第4組の各脚部14、15、16、17の拡張可能なセグメントの展開を可能にする径方向の位置に配置されている。第2のチューブの外径は第1のチューブの内径よりも小さい。本発明のフィルタは、第2のチューブ27を第1のチューブ20中に挿入することによって組み立てられる。第2のチューブの全ての拡張可能な脚部は、挿入中は直線であり、すなわち拡張してない。
【0042】
第2のチューブの第1組および第2組の拡張可能な脚部の長さは、約10mmから約30mm、約15mmから約25mm、または約20mmでよい。各組の拡張可能な脚部の幅は、0.05mmから約1.5mm、約0.1mmから約1.0mm、約0.3mmから約0.8mm、または約0.35mmの範囲にあってよい。第1組および第2組の拡張可能な脚部の幅は、一様でもよく、変化してもよい。例えば、一実施形態では、第1組および第2組の拡張可能な脚部の幅は、その脚部が固定されている点から自由端まで先細りしてもよく、細くなってもよい。第1組および第2組の拡張可能な脚部の拡張した直径は、10mmから約45mm、約15mmから約40mm、約20mmから約36mm、または約30mmの範囲にあってよい。
【0043】
第2のチューブの寸法を変更することができる。例えば、第2のチューブの直線長さは、約25mmから約60mm、約30mmから約50mm、もしくは約35mmから約48mm、または約45mmの範囲にあってよい。第2のチューブの外径は、第2のチューブの外径が第1のチューブの内径よりも小さい場合は、約0.5mmから約1.5mm、約0.8mmから約1.5mm、約1.2mmから約1.5mm、1.4mmから約1.5mm、または約1.45mmに変わってよい。第2のチューブの厚さは、約0.3mmから約0.6mm、約0.4mmから約0.5mm、または約0.4mmから約0.45mmの範囲にあってよい。第1のチューブの直径は、第2のチューブの直径と同じでもよく、異なっていてもよい。
【0044】
第1組および第2組の拡張可能な脚部の自由端はそれぞれ、少なくとも1つの突刺を有することができる。突刺は、さまざまな設計および角度を呈することができる。例えば、突刺と、突刺がそれに取り付けられる脚部の自由端との間の角度は、第1組の拡張可能な脚部が未展開の位置にあるときに置かれる直線に関して、約10度から約200度、約40度から約200度、約60度から約190度、約90度から約180度、または約95から約105度の範囲にあってよい。突刺は、任意の所望の形状または構成とすることができ、その例を図5に示す。一実施形態では、突刺は、フィルタが展開しているときに突刺自体に湾曲することができる凸形状を有する。突刺の形状、構成、寸法、角度、および貫入深さは、脚部間で異なっていてよく、第1組および第2組の拡張可能な脚部のうちの一部または全ての上に存在してよい。一実施形態では、突刺の角度は、脈管の内寸の少なくとも約18mmがフィルタに面するまで、突刺が脈管壁に刺さらないように設定される。突刺の形状および角度の両方を通常の実験によって選択でき、第1組および第2組の拡張可能な脚部によって形成されるケージの形状をこの要件に合うように制限できることが当業者には理解されよう。
【0045】
本発明のフィルタの第2の実施形態を、図6A、図6B、図6Cに示す。フィルタは、2つのチューブ、すなわち第1のチューブおよび第2のチューブを備え、その第2のチューブは、フィルタを形成するように第1のチューブに挿入される。第2のチューブの外径は第1のチューブの内径よりも小さい。フィルタは、4本の拡張可能な脚部2組、すなわち第1の拡張可能な組35、36、37、38、および第2の拡張可能な組39、40、41、42から形成される。これらの拡張可能な脚部はケージ43を形成する。ケージ43は、展開したときにボールまたは球体の形状をとることができる。フィルタは、第1組の拡張可能な脚部35、36、37、38、第2組の拡張可能な脚部39、40、41、42、および第3組の拡張可能な脚部44、45、46、47を備える。第3組の拡張可能な脚部の拡張可能なセグメントは、展開したときに曲線形状48を形成する。
【0046】
図7に、図6のフィルタの第1のチューブの斜視図を示す。第1のチューブ49は、第1組の複数のスロット50、第2組の複数のスロット51、および第3組の複数のスロット52を含み、それらのスロットは、第1のチューブの長軸または円筒軸に平行である。第1組のスロット50は、第1のチューブ49の端部53の最も近くに配置されている。第2組のスロット51は、第1のチューブ49の端部54の最も近くに配置されている。第1のチューブの各端部に切り欠き55がそれぞれ1つある。第1組および第2組の各スロットの長さは、約4mmから約35mm、約10mmから約25mm、もしくは約15mmから約20mm、または約17mmの範囲にあってよい。第1組のスロット50の長さと、第2組のスロット51の長さは、同じでもよく、異なっていてもよい。第3組のスロットの長さは、約10mmから約55mm、約20mmから約50mm、約25mmから約40mm、または約30mmの範囲にあってよい。
【0047】
図8Aおよび図8Bに、3組の拡張可能な脚部を備える第2のチューブのさまざまな斜視図を示す。第1組の拡張可能な脚部35、36、37、38は、位置57で第2のチューブ56に取り付けられるかまたは固定されている。第2のチューブ56は2つの端部58、59を有する。第2組の拡張可能な脚部39、40、41、42は、位置60で第2のチューブ56に取り付けられるかまたは固定されている。第3組の拡張可能な脚部44、45、46、47それぞれの2つの端部は、位置61、62で第2のチューブ56に取り付けられている。点57から端部58の寸法、および点60から端部59の寸法は、約2mmから約10mm、約3mmから約9mm、約4mmから約8mm、または約6mmでよい。点57から端部58の寸法と、点60から端部59の寸法は、同じでもよく、異なっていてもよい。点61から57の寸法および点62から60の寸法は、約0mmから約20mm、約3mmから約15mm、約5mmから約10mm、または約8mmでよい。点61から57の寸法と、点62から60の寸法は、同じでもよく、異なっていてもよい。第3組の拡張可能な脚部の直線長さは、約5mmから約55mm、約10mmから約50mm、約20mmから約40mm、または約30mmでよい。この実施形態では、図8Bから明らかなように、第3組の拡張可能な脚部44、45、46、47は、第1組の拡張可能な脚部35、36、37、38と比較すると、第2のチューブ56の円周に沿って異なる径方向の点に配置されている。第2組の拡張可能な脚部39、40、41、42は、第1組の拡張可能な脚部35、36、37、38と比較すると、第2のチューブ56の円周に沿って同じ径方向の点に配置することができる。第1組の拡張可能な脚部35、36、37、38の自由端は、第2組の拡張可能な脚部39、40、41、42の自由端に対向する方向にある。第1組および第2組の拡張可能な脚部35、36、37、38、および39、40、41、42の自由端はそれぞれ、突刺63を有することができる。
【0048】
第1のチューブ49の第1組のスロット50はそれぞれ、第1組の拡張可能な脚部35、36、37、38の展開を可能にする径方向の位置に配置されている。第1のチューブ49の第2組のスロット51はそれぞれ、第2組の拡張可能な脚部39、40、41、42の展開を可能にする径方向の位置に配置されている。第1のチューブ49の第3組のスロット52はそれぞれ、第3組の拡張可能な脚部44、45、46、47の展開のための径方向の位置に配置されている。
【0049】
本発明のフィルタの第3の実施形態を、図9A、図9B、図9Cに示す。フィルタは、第1のチューブおよび第2のチューブを備え、その第2のチューブは、第1のチューブ中に挿入されている。第2のチューブの外径は第1のチューブの内径よりも小さい。フィルタは、第1組の拡張可能な脚部81、82、83、84、85、86、および第2組の拡張可能な脚部87、88、89、90、91、92を備える。これらの拡張可能な脚部はケージ93を形成する。ケージ93は、展開したときにボールまたは球体の形状をとることができる。
【0050】
図10に、図9のフィルタの第1のチューブ斜視図を示す。第1のチューブ94は、第1組の複数のスロット95、および第2組の複数のスロット96を備える。スロットは、第1のチューブの円筒軸に平行である。第1組のスロット95は、第1のチューブ94の端部98の最も近くに配置されている。第2組のスロット96は、第1のチューブ94の端部99の最も近くに配置されている。第1のチューブの各端部に切り欠き97がそれぞれ1つある。第1組のスロット95の長さと、第2組のスロット96の長さは、同じでもよく、異なっていてもよい。
【0051】
図11Aおよび図11Bに、図9のフィルタの第2のチューブのさまざまな斜視図を示す。第2のチューブ100は、2つの端部101、102を有する。第2のチューブは、中空であり、2組の拡張可能な脚部を備える。第1組の拡張可能な脚部81、82、83、84、85、86は、位置103で第2のチューブ100に取り付けられるかまたは固定されている。第2組の拡張可能な脚部87、88、89、90、91、92は、位置104で第2のチューブ100に取り付けられるかまたは固定されている。この実施形態では、図11Bから明らかなように、第2組の拡張可能な脚部87、88、89、90、91、92は、第1組の拡張可能な脚部81、82、83、84、85、86と比較すると、第2のチューブ100の円周に沿って同じ径方向の点に配置されている。第1組の拡張可能な脚部81、82、83、84、85、86の自由端は、第2組の拡張可能な脚部87、88、89、90、91、92の自由端に対向する方向にある。第1組および第2組の拡張可能な脚部81、82、83、84、85、86、および87、88、89、90、91、92の自由端はそれぞれ、突刺63を有することができる。第1のチューブ94の第1組のスロット95はそれぞれ、第1組の拡張可能な脚部81、82、83、84、85、86の展開を可能にする径方向の位置に配置されている。第1のチューブ94の第2組のスロット96はそれぞれ、第2組の拡張可能な脚部87、88、89、90、91、92の展開を可能にする径方向の位置に配置されている。
【0052】
本発明のフィルタの第4の実施形態を、図12A、図12B、図12Cに示す。フィルタは2つのチューブから形成され、それらのチューブは、6本の拡張可能な脚部2組、すなわち第1の拡張可能な組110、111、112、113、114、115、および第2の拡張可能な組116、117、118、119、120、121を有する。これらの拡張可能な脚部はケージ122を形成する。ケージ122は、展開したときにボールまたは球体の形状をとることができる。図13に、図12のフィルタの第1のチューブの斜視図を示す。第1のチューブ123は、第1のチューブの長軸または円筒軸に平行な第1組の複数のスロット124と、第1組の複数の拡張可能な脚部110、111、112、113、114、115とを含む。第1のチューブ123の端部125に切り欠き97が1つある。図14に、第2のチューブの斜視図を示す。第2のチューブ126は、第2のチューブの長軸または円筒軸に平行な第2組の複数のスロット127と、第2組の複数の拡張可能な脚部116、117、118、119、120、121とを含む。第2のチューブ126の端部128に切り欠き97が1つある。第1組のスロット124の長さと、第2組のスロット127の長さは、同じでもよく、異なっていてもよい。第1のチューブ123の第1組のスロット124はそれぞれ、第2のチューブ126の第2組の拡張可能な脚部116、117、118、119、120、121の展開を可能にする径方向の位置に配置されている。第2のチューブ126の第2組のスロット127はそれぞれ、第1のチューブの第1組の拡張可能な脚部110、111、112、113、114、115の展開を可能にする径方向の位置に配置されている。第1のチューブの直径は、第2のチューブの直径と同じでもよく、異なっていてもよい。
【0053】
本発明のフィルタを、任意の所望のデリバリシステムによって展開することができる。図15に、下大静脈65のうちの右腎静脈66および左腎静脈67の合流点において、またはその下方で展開しているフィルタ64を示す。軸方向に折り畳んだフィルタの直径は、約0.8mmから約5.5mm、約1.2mmから約4.5mm、または約1.5mmから約3mmの範囲にあってよく、特定の一実施形態では約2mmでよい。デリバリカテーテルなどのデリバリシステムの直径は、約0.8mmから約5.5mm、約1.2mmから約4.5mm、または約1.8から約3mmの範囲にあってよい。一実施形態では、折り畳んだフィルタは、直径約6フレンチ(2mm)のデリバリカテーテル中に収容される。別の実施形態では、フィルタは、直径約8フレンチ(2.67mm)のデリバリカテーテルによって送達される。フィルタは、単純なピンアンドプル送達法(pin and pull delivery)によって展開させることができる(Cordis TrapEase Permanent Vena Cava Filter with the VisEase Angiographic Vessel Dilator [on−line]参照。2008年8月1日に、URL:<http://www.mitek.com/home.jhtml?loc=USENG&page=viewContent&contentId=09008b9880ffdcbf&nodekey=/Prod_Info/Type/Endovascular_Disease_Management/Vena_Cava_Filters&parentId=fc0de00100001215>から検索)。フィルタを、患者のベッドわきで超音波を使用して、または標準的なX線透視下で、下大静脈などの脈管に留置することができる。未展開のフィルタを収容するカテーテルを挿入し、フィルタをカテーテルから押し出す。次いで、フィルタは、左腎静脈および右腎静脈の合流点において、またはその下方において、適位置に遊動する。挿入および展開後に、フィルタは、下大静脈内のうちの左腎静脈66および右腎静脈67の合流点において、またはその近くで、ある姿勢をとる(図15)。第1組および第2組の拡張可能な脚部1、2、3、4、および5、6、7、8は、脈管に2つの半球体をそれぞれ形成し、その結果ケージまたは球体9が作られる。フィルタの突刺は、脈管壁の幅がフィルタの直径を超えるときに開き脈管壁に入る。それらの突刺は、球体の外側の湾曲上にある脚部の端部にある。その球体の形状は、血管の直径が突刺の展開直径を超えるまで突刺の展開を防止する。突刺の展開直径は、約7mmから約20mm、約10mmから約18mm、または約15mmの範囲にあってよい。
【0054】
本発明は、大静脈フィルタを回収する方法を提供する。図16に、図1に示すフィルタの回収を示す。内寸が第1のチューブ20の外寸よりも大きいカテーテル68が、頚静脈または大腿静脈などの脈管中に挿入され、脈管壁上のうちのフィルタが配置される位置まで移動する。係蹄69は、第1のチューブ20に存在する切り欠き70を把持するまで、カテーテルを通して押される。切り欠き70は、この実施形態では半円形の構造として示される。切り欠きは、係蹄69がフィルタ64を効率的に引っ掛けることができる限り、矩形の孔または正方形の孔など、さまざまな異なる構造有することができる。切り欠き70は、端部25から、約2mmから約10mm、約4mmから約8mm、約6mmから約8mm、および約5mmの位置に配置されてよい。医師は、係蹄69を引き戻すことでフィルタ64に張力を加える。加えられる張力は、約0.45キログラム(kg)から約5kgの範囲にあってよいが、張力の適切な大きさは、当技術分野の臨床経験に基づいて当業者が決定することができる。切り欠き70のさまざまな実施形態を、図17((a)〜(e))に示す。切り欠き70は、係蹄69がしっかりと捕捉できる限り、フック(a)、L字形(b)、T字形(c)、逆C字形(d)、および半円形状(e)など、多くの異なる形状を呈することができる。係蹄はまた、ループまたはワイヤバスケットなど、多くの異なる形態をとることもできる。係蹄は、いくつかの相互連結した材料の部片から形成することもでき、単一部片の材料から形成することもできる。さらに、係蹄は、係蹄がフィルタ上の切り欠きを把持するとロックするロック機構を備えることができる。カテーテル68は、突刺63が脈管壁から外れ、第1組の拡張可能な脚部1、2、3、4がそれぞれ、大静脈壁71から後退し、内側72に移動するまで、係蹄、第1組の拡張可能な脚部1、2、3、4の各脚部、および第3組の拡張可能な脚部10、11、12、13の各脚部を覆うように押される。一方、カテーテルが第3組の拡張可能な脚部10、11、12、13上を押されるときに、第3組の拡張可能な脚部10、11、12、13の拡張可能なセグメントはそれぞれ、まっすぐになり73、係蹄69から離れるように下方に押し進む。第3組の拡張可能な脚部をまっすぐにすると、力のベクトル74が生まれ、係蹄69から離れるように第2のチューブ20が押され、さらに力のベクトル75が生まれる。力のベクトル75が第4組の拡張可能な脚部14、15、16、17の拡張可能なセグメントをまっすぐにし、第2組の拡張可能な脚部も脈管壁71から離れるように押す。次いで、後退したフィルタを囲繞するカテーテル68は脈管から抜去される。
【0055】
フィルタを、フィルタのもう一方の端部26から回収することもできる(図16)。フィルタをもう一方の端部26から回収する方法は、カテーテルが第2組の拡張可能な脚部5、6、7、8および第4組の拡張可能な脚部14、15、16、17上を押されることを除いて、記載された方法と同様である。第2組の拡張可能な脚部5、6、7、8は、脈管壁から後退し、第4組の拡張可能な脚部14、15、16、17は、まっすぐになる。第4組の拡張可能な脚部をまっすぐにすると、第2のチューブが端部26から離れるように押され、第3組の拡張可能な脚部10、11、12、13がまっすぐになり、第1組の拡張可能な脚部1、2、3、4が脈管壁から離れるように押される。
【0056】
図18に、図6に示すフィルタの回収を示す。内寸が第1のチューブ49の外寸よりも大きいカテーテル68が、頚静脈または大腿静脈などの脈管中に挿入され、脈管壁上のうちのフィルタが配置される位置まで移動する。係蹄69は、切り欠き55を把持するまで、カテーテル68を通して押される。切り欠き構造は、第1のチューブ49上にある。医師は、係蹄69を引き戻すことでフィルタに張力を加える。加えられる張力は、約0.45キログラム(kg)から約5kgの範囲にあってよいが、張力の適切な大きさは、当技術分野の臨床経験に基づいて当業者が決定することができる。カテーテル68は、拡張可能な脚部がそれぞれ大静脈壁71から後退するまで、係蹄69、および第1組の拡張可能な脚部35、36、37、38の各脚部を覆うように押される。突刺63は、脈管壁から外れ内側77に移動する。第1組の拡張可能な脚部35、36、37、38の各脚部が脈管壁から後退するときに、カテーテル68はさらに、第3組の拡張可能な脚部44、45、46、47の拡張可能なセグメントを覆うように押されて、第3組の拡張可能な脚部の拡張可能なセグメントがまっすぐになり78、係蹄69から離れるように下方に押し進む。拡張可能な脚部44、45、46、47をまっすぐにすると、力のベクトル79が生成され、それにより、第2のチューブ49が係蹄69から離れるように押されて、ベクトルの力80が生じ、これは第2組の拡張可能な脚部39、40、41、42を脈管壁71から離れるように押す。次いで、後退したフィルタを囲繞するカテーテル68は脈管から抜去される。
【0057】
フィルタを、フィルタのもう一方の端部54から回収することもできる(図18)。フィルタをもう一方の端部54から回収する方法は、カテーテルが第2組の拡張可能な脚部39、40、41、42上を押されることを除いて、記載された方法と同様である。第2組の拡張可能な脚部39、40、41、42は、脈管壁から後退し、第3組の拡張可能な脚部44、45、46、47は、まっすぐになる。第3組の拡張可能な脚部をまっすぐにすると、第2のチューブが端部54から離れるように押され、第1組の拡張可能な脚部35、36、37、38が脈管壁から離れるように押される。
【0058】
図19に、図9に示すフィルタの回収を示す。内寸が第1のチューブ94の外寸よりも大きいカテーテル68が、頚静脈または大腿静脈などの脈管中に挿入され、脈管壁上のうちのフィルタが配置される位置まで移動する。係蹄69は、係蹄が端部99に最も近い切り欠き97を把持するまでカテーテル68および第2のチューブの内側空間を通して押される。医師は、係蹄69を引き戻し、カテーテル68を押すことによってフィルタに張力を加える。カテーテル68は、拡張可能な脚部がそれぞれ大静脈壁71から後退するまで、第1組の拡張可能な脚部81、82、83、84、85、86の各脚部を覆うように押される。突刺63は、脈管壁から外れ、内側105に移動する。係蹄69が引き戻されると、第1のチューブはカテーテル106に向かって引っ張られ、第2組の拡張可能な脚部87、88、89、90、91、92に張力を加え、第2組の拡張可能な脚部87、88、89、90、91、92が内側107に移動して、脈管壁71から後退する。次いで、後退したフィルタを囲繞するカテーテル68は脈管から抜去される。
【0059】
フィルタを、フィルタのもう一方の端部99から回収することができる(図19)。フィルタをもう一方の端部99から回収する方法は、係蹄が端部98に最も近い切り欠き97を把持するまで係蹄69がカテーテル68および第2のチューブを通して押されることを除いて、記載された方法と同様である。カテーテルは、第2組の拡張可能な脚部87、88、89、90、91、92を覆うように押される。第2組の拡張可能な脚部87、88、89、90、91、92は、脈管壁から後退する。係蹄が第1のチューブを引き戻して第1組の拡張可能な脚部81、82、83、84、95、86を押し、第1組の拡張可能な脚部81、82、83、84、85、86は、脈管壁から後退する。図12に示すフィルタを、図19に示すのと同様の機構を使用して回収することができる。
【0060】
フィルタを、係蹄およびカテーテルを用いて回収することもでき、カテーテル、およびカテーテルを制御するラチェット制御機構を使用して回収することもできる。
【0061】
フィルタは、レーザ切断の自己拡張式ニチノールから作製することができる。フィルタは、チタン、プラチナ、金などの任意の金属、ステンレス鋼などの合金、または形状記憶合金から作製することもできる。一実施形態では、第1組および第2組の拡張可能な脚部はそれぞれ、形状記憶合金を含む。別の実施形態では、第3組および第4組の拡張可能な脚部の拡張可能なセグメントは、形状記憶合金を含む。フィルタはさらに、耐久性および耐食性のある任意の生体適合性の材料から作製することができる。生体適合性の材料の例には、ポリウレタン、セグメントポリウレタン尿素/ヘパリン、ポリ−L−乳酸、セルロースエステル、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル、デキストランおよびゼラチンなどの合成の材料、ならびにコラーゲン、エラスチン、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチンなどの基底膜成分、フィブリン、セルロース、および無定形炭素、またはフラーレンなどの天然材料が含まれる。本発明のいくつかの実施形態では、フィルタは、生物分解性、生体吸収性、生体侵食性の材料および/またはその混合物から作製される。生体吸収性材料の例には、ラクチドまたはε−カプロラクトンとグリコリドの共重合体、およびポリ(p−ジオキサノン)が含まれる。フィルタは、単一の材料または異なる材料から作製することができる。米国特許公報第20070191932号。米国特許第7,147,649号。
【0062】
本発明のフィルタは、多くの手法で製造することができる。本明細書で説明した構成を形成するようにチューブまたはパイプの壁のさまざまな部分を取り除くことによって、フィルタを単一部片の材料から形成することができる。フィルタはまた、さまざまなセグメントを互いに連結することによって製造することができる。チューブの壁からの材料を、レーザ(例えば、YAGレーザ)、放電加工、機械加工、化学エッチング(例えば、フォトファブリケーション)、金属切削、それらの組み合わせ、または他のよく知られた技法を含む、さまざまな技法を用いて除去することができる。米国特許第7,329,277号、米国特許第5,879,381号、および米国特許第6,117,165号参照。
【0063】
大静脈フィルタが本発明の好ましい実施形態であるが、本発明の範囲内に包含されるフィルタを、任意の所望の血管または脈管内構造に留置することができる。フィルタを、大腿部のアクセス点、頚部アクセス点、または任意の所望の脈管内経路を介して留置することができる。フィルタを患者の体内に永久的にまたは回収前に一時的に留置することができる。
【0064】
大静脈フィルタを展開した後で、脈管内皮細胞または他の組織が、フィルタおよび脈管壁が接触する位置で成長する。後でフィルタを回収するときに、激しい損傷が起きて、大静脈の裂傷もしくは断裂、または最低でも内膜の病巣の分裂が生じる恐れがあり、それにより、大静脈狭窄症、血栓症、または閉塞に罹患しやすくなる場合がある。合併症のリスクを低減するには、脚部の自由端、フィルタの他のパーツ、またはフィルタ全体を、組織の内方成長を予防する増殖抑制薬、抗炎症剤、または任意の所望の薬学的に活性の薬品で被覆することができる。増殖抑制薬の例には、パクリタクセル(タクソール)、パクリタクセル誘導体、ラパマイシン(シロリムス)、ラパマイシン誘導体(エベロリムス、ゾタロリムス、バイオリムス、およびバイオリムスA−9を含む)、5−フルオロウラシル、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポチロン、エンドスタチン、アンギオスタチン、およびチミジンキナーゼ阻害剤、またはそれらの組み合わせが含まれる。抗炎症剤の例には、デキサメタゾン、コルチコステロン、およびプレドニソロンが含まれる。血栓の形成を予防または軽減する、薬学的に活性の薬品の例には、抗凝固剤、抗血小板物質、および線維素溶解薬が含まれる。薬学的に活性の薬品には、治療薬および/または診断用薬が含まれる。治療薬は、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、血栓症を含む脈管の病気の治療に使用される薬を含むことができる。薬学的に活性の薬品は、抗生物質/抗菌物質、増殖抑制薬、抗新生物薬、酸化防止剤、内皮細胞成長因子、トロンビン抑制物質、免疫抑制剤、抗血小板凝集薬、コラーゲン合成阻害薬、抗体医薬、酸化窒素ドナー、アンチセンスオリゴヌクレオチド、創傷治癒薬、治療用遺伝子導入構造体、ペプチド、たんぱく質、細胞外マトリックス成分、血管拡張薬、血栓溶解剤、代謝拮抗物質、増殖因子アゴニスト、抗分裂剤、スタチン、ステロイド、ステロイド系および非ステロイド系の抗炎症剤、アンギオテンシン転換酵素(ACE)阻害剤、フリーラジカル捕捉剤、PPAR−gammaアゴニスト、および抗癌化学療法薬でよい。本発明の薬学的に活性の薬品の例には、ロスバスタチン、サイクロスポリンA(CSA)、ミコフェノール酸(MPA)、レチノイン酸、n−酪酸、酪酸の誘導体、ビタミンE、プロブコール、L−アルギニン−L−グルタミン酸、タクロリムス(FK−506)、プエラリン、血小板第4因子、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、フィブロネクチン、シムバスタチン、フルバスタチン、ABT−578、インターフェロン、デキサメタゾン、ジヒドロエピアンドロステロン(DHEA)、およびエストラジオールも含まれる。
【0065】
フィルタの任意の一部分またはフィルタ全体を、任意の所望の薬学的に活性の薬品で被覆することができる。薬学的に活性の薬品と一緒に賦形剤をフィルタ上に被覆することができる。賦形剤の例には、結合剤、マトリックス、担体、重合体、ヒドロゲル、およびナノ粒子が含まれる。フィルタ上の被覆は、平滑、有孔、または多孔質でよい。被覆は、1つの層でもよく、複数の層でもよい。薬学的に活性の薬品または賦形剤を、チューブ、溝、窪み、ベル形、バスケットなど、フィルタの画定された構造内に入れることもできる。薬学的に活性の薬品を、生体適合性の重合体マトリックスに組み込むこともできる。重合体マトリックスは、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ−DL−ラクチド、ポリ−L−ラクチド、および/またはそれらの混合物などの重合体を含み、さまざまな固有の粘性および分子量とすることができる。一実施形態では、ポリ(DLラクチド−co−グリコリド)(DLPLG,Birmingham Polymers Inc.)を使用することができる。米国特許公報第20070141107号。薬学的に活性の薬品を、持続して、遅延して、脈動して、制御して、または任意の所望の形で放出することができる。
【0066】
本発明の範囲は、具体的に示し本明細書で上記に説明してきたものによって限定されていない。材料、構成、構造、および寸法の図示の例に対する適切な代替形態があることを当業者は認識するであろう。特許およびさまざまな公報を含む、多くの参考文献が、本発明の説明に引用され、論述されている。こうした参考文献の引用および論述は、単に本発明の説明を明確にするために提示されており、あらゆる参考文献が本明細書に記載の本発明に対する先行技術であると認識しているものではない。本明細書に引用し論述した全ての参考文献は、参照によりその全体が本明細書に援用される。本明細書で説明したものの変形形態、改変形態、および他の実装形態は、当業者には本発明の精神および範囲から逸脱することなしに思いつくであろう。本発明の特定の実施形態を示し説明してきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなしに変更および改変を行うことができることが当業者には明らかであろう。上記の説明および添付の図面に記載された事柄は、例示のためにのみ提供されたものであり、限定するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1組の複数のスロット、第2組の複数のスロット、第3組の複数のスロット、および第4組の複数のスロットを有する第1のチューブであって、前記スロットが第1のチューブの円筒軸に平行に向けられている、第1のチューブと、
第1組の複数の拡張可能な脚部、第2組の複数の拡張可能な脚部、第3組の複数の拡張可能な脚部、および第4組の複数の拡張可能な脚部を有する第2のチューブと
を備えるフィルタであって、
前記第1組および前記第2組の脚部がそれぞれ、前記第2のチューブに固定されている端部と、自由端とを有し、前記第1組の各脚部の前記自由端が、前記第2組の各脚部の前記自由端に対向する方向に向けられており、
前記第3組および前記第4組の脚部がそれぞれ、拡張可能なセグメントを備え、両方の端部が前記第2のチューブに固定されており、
前記第1のチューブの前記第1組のスロットの各スロットが、前記第1組の各拡張可能な脚部の展開を可能にする径方向の位置に配置されており、
前記第1のチューブの前記第2組のスロットの各スロットが、前記第2組の各拡張可能な脚部の展開を可能にする径方向の位置に配置されており、
前記第1のチューブの前記第3組のスロットの各スロットが、前記第3組の拡張可能な脚部の各脚部の前記拡張可能なセグメントの展開を可能にする径方向の位置に配置されており、
前記第1のチューブの前記第4組のスロットの各スロットが、前記第4組の拡張可能な脚部の各脚部の前記拡張可能なセグメントの展開を可能にする径方向の位置に配置されており、
前記第2のチューブの外径が前記第1のチューブの内径よりも小さく、前記第2のチューブが前記第1のチューブに挿入されている、ことを特徴とするフィルタ。
【請求項2】
前記フィルタが、未展開の状態でカテーテルに収容されている、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項3】
前記第1組および前記第2組の拡張可能な脚部がそれぞれ、展開している、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項4】
前記第1組および前記第2組からの拡張可能な脚部を備えるケージが形成される、請求項3に記載のフィルタ。
【請求項5】
前記第3組および前記第4組の各拡張可能な脚部のセグメントが、前記第2のチューブ内に延在するピンに固定されている、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項6】
前記第1組および前記第2組の拡張可能な脚部がそれぞれ、少なくとも1つの突刺を前記自由端に有する、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項7】
前記第1のチューブの少なくとも1つの端部が、少なくとも1つの切り欠きを有する、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項8】
前記第1のチューブの端部がそれぞれ、1つの切り欠きを有する、請求項7に記載のフィルタ。
【請求項9】
前記第1組の拡張可能な脚部の数が4であり、前記第2組の脚部の数が4であり、前記第3組の脚部の数が4であり、前記第4組の脚部の数が4である、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項10】
前記ケージが、前記第1組および前記第2組の前記拡張可能な脚部が展開しているときに球体形状を形成し、前記第3組の前記拡張可能なセグメントおよび前記第4組の前記拡張可能なセグメントが、展開したときに曲線形状をそれぞれ形成し、前記第1組および/または前記第2組の前記脚部の自由端の前記端部にある前記突刺が、脈管壁に挿入される、請求項4に記載のフィルタ。
【請求項11】
第1組の複数のスロット、第2組の複数のスロット、および第3組の複数のスロットを有する第1のチューブと、
第1組の複数の拡張可能な脚部、第2組の複数の拡張可能な脚部、および第3組の複数の拡張可能な脚部を有する第2のチューブと
を備えるフィルタであって、
前記第1組および前記第2組の脚部がそれぞれ、前記第2のチューブに固定されている端部と、自由端とを有し、前記第1組の各脚部の前記自由端が、前記第2組の各脚部の前記自由端に対向する方向に向けられており、
前記第3組の脚部がそれぞれ、拡張可能なセグメントを備え、両端が前記第2のチューブに固定されており、
前記第1のチューブの前記第1組のスロットの各スロットが、前記第1組の各拡張可能な脚部の展開を可能にする径方向の位置に配置されており、前記第1のチューブの前記第2組のスロットの各スロットが、前記第2組の各脚部の展開を可能にする径方向の位置に配置されており、前記第1のチューブの前記第3組のスロットの各スロットが、前記第3組の各脚部の前記第3組の前記拡張可能なセグメントの展開のために配置されており、前記スロットが第1のチューブの円筒軸に平行に向けられており、
前記第2のチューブの外径が前記第1のチューブの内径よりも小さく、前記第2のチューブが前記第1のチューブに挿入されている、ことを特徴とするフィルタ。
【請求項12】
前記フィルタが、未展開の状態でカテーテルに収容されている、請求項11に記載のフィルタ。
【請求項13】
前記第1組および前記第2組の拡張可能な脚部がそれぞれ、展開している、請求項11に記載のフィルタ。
【請求項14】
前記第1組および前記第2組からの拡張可能な脚部を備えるケージが形成される、請求項13に記載のフィルタ。
【請求項15】
前記第3組の各拡張可能な脚部のセグメントが、前記第2のチューブ内に延在するピンに固定されている、請求項11に記載のフィルタ。
【請求項16】
前記第1組および/または前記第2組の拡張可能な脚部がそれぞれ、少なくとも1つの突刺を前記自由端に有する、請求項11に記載のフィルタ。
【請求項17】
前記第1のチューブの少なくとも1つの端部が、少なくとも1つの切り欠きを有する、請求項11に記載のフィルタ。
【請求項18】
前記第1のチューブの端部がそれぞれ、1つの切り欠きを有する、請求項17に記載のフィルタ。
【請求項19】
前記第1組の拡張可能な脚部の数が4、すなわちA、B、C、およびDであり、前記第2組の脚部の数が4、すなわちE、F、G、およびHであり、前記第3組の脚部の数が4、すなわちI、J、K、およびLである、請求項11に記載のフィルタ。
【請求項20】
前記第1組の前記拡張可能な脚部が、Aが約0度から約90度、Bが約90度から約180度、Cが約180度から約270度、Dが約270度から約360度の範囲にある、前記第2のチューブの円周に沿った径方向の位置に固定されている、請求項19に記載のフィルタ。
【請求項21】
前記第2組の前記拡張可能な脚部が、Eが約0度から約90度、Fが約90度から約180度、Gが約180度から約270度、Hが約270度から約360度の、前記第2のチューブの円周に沿った径方向の位置に固定されている、請求項19に記載のフィルタ。
【請求項22】
前記第3組の前記拡張可能な脚部が、Iが約0度から約90度、Jが約90度から約180度、Kが約180度から約270度、Lが約270度から約360度の、前記第2のチューブの円周に沿った径方向の位置に固定されており、前記第3組の前記拡張可能な脚部I、J、K、およびLの前記径方向の位置が、前記第1組の拡張可能な脚部A、B、C、およびDの前記径方向の位置からずれている、請求項19に記載のフィルタ。
【請求項23】
前記ケージが、前記第1組および前記第2組の前記拡張可能な脚部が展開しているときに球体形状を形成し、前記第3組の各拡張可能な脚部の前記拡張可能なセグメントが、展開したときに曲線形状を形成し、前記第1組および/または前記第2組の前記脚部の自由端の前記端部にある前記突刺が、脈管壁に挿入される、請求項14に記載のフィルタ。
【請求項24】
第1組の複数のスロットおよび第2組の複数のスロットを有する第1のチューブと、
第1組の複数の拡張可能な脚部および第2組の複数の拡張可能な脚部を有する第2のチューブと
を備えるフィルタであって、
前記第1組および前記第2組の脚部がそれぞれ、前記第2のチューブに固定されている端部と、自由端とを有し、前記第1組の各脚部の前記自由端が、前記第2組の各脚部の前記自由端に対向する方向に向けられており、
前記第1のチューブの前記第1組のスロットの各スロットが、前記第1組の各拡張可能な脚部の展開を可能にする径方向の位置に配置されており、前記第1のチューブの前記第2組のスロットの各スロットが、前記第2組の各脚部の展開を可能にする径方向の位置に配置されており、前記スロットが、前記第1のチューブの円筒軸に平行に向けられており、
前記第2のチューブの外径が前記第1のチューブの内径よりも小さく、前記第2のチューブが前記第1のチューブに挿入されている、ことを特徴とするフィルタ。
【請求項25】
前記フィルタが、未展開の状態でカテーテルに収容されている、請求項24に記載のフィルタ。
【請求項26】
前記第1組および前記第2組の拡張可能な脚部がそれぞれ、展開している、請求項24に記載のフィルタ。
【請求項27】
前記第1組および前記第2組からの拡張可能な脚部を備えるケージが形成される、請求項26に記載のフィルタ。
【請求項28】
前記第1組および/または前記第2組の拡張可能な脚部がそれぞれ、少なくとも1つの突刺を前記自由端に有する、請求項24に記載のフィルタ。
【請求項29】
前記第1のチューブの少なくとも1つの端部が、少なくとも1つの切り欠きを有する、請求項24に記載のフィルタ。
【請求項30】
前記第1のチューブの端部がそれぞれ、1つの切り欠きを有する、請求項29に記載のフィルタ。
【請求項31】
前記第1組の拡張可能な脚部の数が6、すなわちA、B、C、D、E、およびFであり、前記第2組の脚部の数が6、すなわちG、H、I、J、K、およびLである、請求項24に記載のフィルタ。
【請求項32】
前記第1組の前記拡張可能な脚部が、Aが約0度から約60度、Bが約60度から約120度、Cが約120度から約180度、Dが約180度から約240度、Eが約240度から約300度、Fが約300度から約360度の範囲にある、前記第2のチューブの円周に沿った径方向の位置に固定されている、請求項31に記載のフィルタ。
【請求項33】
前記第2組の前記拡張可能な脚部が、Gが約0度から約60度、Hが約60度から約120度、Iが約120度から約180度、Jが約180度から約240度、Kが約240度から約300度、Lが約300度から約360度の、前記第2のチューブの円周に沿った径方向の位置に固定されている、請求項31に記載のフィルタ。
【請求項34】
前記ケージが、前記第1組および前記第2組の前記拡張可能な脚部が展開しているときに球体形状を形成し、前記第1組および/または前記第2組の前記脚部の自由端の前記端部にある前記突刺が、脈管壁に挿入される、請求項24に記載のフィルタ。
【請求項35】
第1組の複数のスロットおよび第1組の複数の拡張可能な脚部を有する第1のチューブであって、前記第1組の脚部がそれぞれ、第1のチューブに固定されている端部と、自由端とを有する、第1のチューブと、
第2組の複数のスロットおよび第2組の複数の拡張可能な脚部を有する第2のチューブであって、前記第2組の脚部がそれぞれ、第2のチューブに固定されている端部と、自由端とを有し、前記第1組の各脚部の前記自由端が、前記第2組の各脚部の前記自由端に対向する方向に向けられている、第2のチューブと
を備えるフィルタであって、
前記第1のチューブの前記第1組のスロットの各スロットが、前記第2のチューブの前記第2組の各拡張可能な脚部の展開を可能にする径方向の位置に配置されており、前記第2のチューブの前記第2組のスロットの各スロットが、前記第1のチューブの前記第1組の各脚部の展開を可能にする径方向の位置に配置されており、前記スロットが、前記チューブの円筒軸に平行に向けられており、
前記第1のチューブの前記第1組の拡張可能な脚部が前記第2のチューブの前記第2組のスロットを通って展開し、前記第2のチューブの前記第2組の拡張可能な脚部が前記第1のチューブの前記第1組のスロットを通って展開するように、前記第1組の拡張可能な脚部を前記第2のチューブ中に、前記第2組の拡張可能な脚部を前記第1のチューブ中に挿入することによって形成される、ことを特徴とするフィルタ。
【請求項36】
前記フィルタが、未展開の状態でカテーテルに収容されている、請求項35に記載のフィルタ。
【請求項37】
前記第1組および前記第2組の拡張可能な脚部がそれぞれ、展開している、請求項35に記載のフィルタ。
【請求項38】
前記第1組および前記第2組からの拡張可能な脚部を備えるケージが形成される、請求項37に記載のフィルタ。
【請求項39】
前記第1組および/または前記第2組の拡張可能な脚部がそれぞれ、少なくとも1つの突刺を前記自由端に有する、請求項35に記載のフィルタ。
【請求項40】
少なくとも1つのチューブが少なくとも1つの切り欠きを有する、請求項35に記載のフィルタ。
【請求項41】
チューブがそれぞれ1つの切り欠きを有する、請求項40に記載のフィルタ。
【請求項42】
前記第1組の拡張可能な脚部の数が6、すなわちA、B、C、D、E、およびFであり、前記第2組の脚部の数が6、すなわちG、H、I、J、K、およびLである、請求項35に記載のフィルタ。
【請求項43】
前記ケージが、前記第1組および前記第2組の前記拡張可能な脚部が展開しているときに球体形状を形成し、前記第1組および/または前記第2組の前記脚部の自由端の前記端部にある突刺が、脈管壁に挿入される、請求項38に記載のフィルタ。
【請求項44】
請求項8に記載のフィルタを回収する方法であって、
前記フィルタがその脈管壁上に配置される脈管中にカテーテルを挿入するステップと、
係蹄が前記第1組の拡張可能な脚部の近くにある前記切り欠きを把持するまで、前記カテーテルを通して前記係蹄を押すステップと、
前記係蹄を引き戻して前記フィルタに張力を加えるステップと、
前記第1組の拡張可能な脚部がそれぞれ前記脈管壁から後退し、前記第3組の拡張可能な脚部がそれぞれまっすぐになり、前記第4組の拡張可能な脚部がそれぞれまっすぐになり、前記第2組の拡張可能な脚部がそれぞれ脈管壁から後退するまで、前記係蹄、前記第1組の各拡張可能な脚部、および前記第3組の各拡張可能な脚部を覆うように前記カテーテルを押すステップと、
前記第1組、前記第2組、前記第3組、および前記第4組の拡張可能な脚部を、前記カテーテルで囲繞するステップと、
前記フィルタを抜去するステップと
を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項45】
請求項18に記載のフィルタを回収する方法であって、
前記フィルタがその脈管壁上に配置される脈管中にカテーテルを挿入するステップと、
係蹄が前記第1組の拡張可能な脚部の近くにある前記切り欠きを把持するまで、前記カテーテルを通して係蹄を押すステップと、
前記係蹄を引き戻して前記フィルタに張力を加えるステップと、
拡張可能な脚部がそれぞれ前記脈管壁から後退し、前記第3組の拡張可能な脚部がそれぞれまっすぐになり、前記第2組の拡張可能な脚部がそれぞれ脈管壁から後退するまで、前記係蹄、および前記第1組の各拡張可能な脚部を覆うように前記カテーテルを押すステップと、
前記第1組、前記第2組、および前記第3組の前記拡張可能な脚部を、前記カテーテルで囲繞するステップと、
前記フィルタを抜去するステップと
を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項46】
請求項30に記載のフィルタを回収する方法であって、
前記フィルタがその脈管壁上に配置される脈管中にカテーテルを挿入するステップと、
係蹄が前記第2組の拡張可能な脚部の近くにある、前記第1のチューブの前記切り欠きを把持するまで、前記カテーテルおよび前記第2のチューブの内側空間を通して前記係蹄を押すステップと、
前記係蹄を引き戻して前記フィルタに張力を加えるステップと、
前記第1組の拡張可能な脚部がそれぞれ前記脈管壁から後退するまで、前記第1組の各拡張可能な脚部を覆うように前記カテーテルを押し、その間に、前記第2組の各拡張可能な脚部が脈管壁から後退するまで、前記係蹄および前記第1のチューブを引き戻して前記第2組の拡張可能な脚部に張力を加えるステップと、
前記第1組および前記第2組の拡張可能な脚部を前記カテーテルで囲繞するステップと、
前記フィルタを抜去するステップと
を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項47】
請求項41に記載のフィルタを回収する方法であって、
前記フィルタがその脈管壁上に配置される脈管中にカテーテルを挿入するステップと、
係蹄が前記第2のチューブ上にある前記切り欠きを把持するまで、前記カテーテルおよび前記フィルタの内側空間を通して前記係蹄を押すステップと、
前記係蹄を引き戻して前記フィルタに張力を加えるステップと、
拡張可能な脚部がそれぞれ、前記脈管壁から後退するまで、前記第1組の各拡張可能な脚部を覆うように前記カテーテルを押し、その間に、前記第2組の各拡張可能な脚部が、脈管壁から後退するまで、前記係蹄および前記第2のチューブを引き戻して前記第2組の拡張可能な脚部に張力を加えるステップと、
前記第1組および前記第2組の拡張可能な脚部を前記カテーテルで囲繞するステップと、
前記フィルタを抜去するステップと
を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項48】
前記第1組または前記第2組の拡張可能な脚部の数が約2から約20の範囲にある、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項49】
拡張可能な脚部の前記数が約4から約10の範囲にある、請求項48に記載のフィルタ。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2012−516720(P2012−516720A)
【公表日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548423(P2011−548423)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【国際出願番号】PCT/US2010/023100
【国際公開番号】WO2010/091118
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(500173402)メリット・メディカル・システムズ・インコーポレーテッド (7)
【Fターム(参考)】