経鼻カニューレ
【課題】経鼻カニューレを提供する。
【解決手段】送出導管からガスを受け取るように適合されるマニホルド部を有し、マニホルドは、その上方に延在しかつその後方に向かって湾曲している1つのただし好ましくは一対のプロング33、34を有し、プロングは、患者の鼻孔内に挿入され患者にガスを送出する。プロングは、その後側に切欠を有し切欠41は、プロングのガス出口を形成し、かつ切欠領域の面積が、プロングに入る箇所のプロングの断面積より広いような形状である構成とする。
【解決手段】送出導管からガスを受け取るように適合されるマニホルド部を有し、マニホルドは、その上方に延在しかつその後方に向かって湾曲している1つのただし好ましくは一対のプロング33、34を有し、プロングは、患者の鼻孔内に挿入され患者にガスを送出する。プロングは、その後側に切欠を有し切欠41は、プロングのガス出口を形成し、かつ切欠領域の面積が、プロングに入る箇所のプロングの断面積より広いような形状である構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鼻腔を介して使用者にガスを供給する経鼻カニューレ装置に関する。本発明はまた、鼻腔を介して患者または使用者にガスを提供するシステムに関する。本発明はまた、鼻腔を介して使用者にガスを供給する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術には、患者にガスを供給する多種多様のインタフェースがある。これらインタフェースは、睡眠障害の治療を受けている人にガス流を送出するため、または、自力で呼吸しているが補助ガスを必要とする使用者にこれら補助ガスを送出するために、しばしば用いられている。これら使用者は、通常、病院の集中治療室(ICU)、他の病室または家庭の睡眠環境でインタフェースを装着する。患者が移動する状況であっても快適であることが、主な考慮事項である。
【0003】
以下は、従来技術において既知であるインタフェースタイプの例である。
【0004】
従来技術には、経鼻カニューレインタフェースがある。典型的な経鼻カニューレインタフェースは、プレナム部、および使用時に使用者の上唇に当接する導入管またはマニホルド部(対称または片側)と、導入管から突出し使用者の鼻孔内に延在して使用時に患者にガスを供給する一対の端部開放プロングと、を有している。常にではないが一般に、これらプロングは、患者の鼻孔に対して封止しないような寸法および形状を有している。経鼻カニューレは、状況によっては有利であるため用いられている。たとえば、患者が正常に呼吸しているが、補助酸素等の補助ガスが必要な状況である。経鼻カニューレの既存の市場には、1分間に0リットルないし5リットルの範囲でガスを送出するのに好適な装置が出回っている。これら装置は、通常、小径(2mmないし3mm範囲)の二重導入管腔によって支持されており、それは、経鼻カニューレの両側を支持し、各鼻プロングに対して均一なまたは等しい空気流を提供する。これら装置は、患者が自力で呼吸している場合、1分間に0リットルないし5リットルの間の乾燥ガス流を送出する場合に有効に機能し、カニューレプロングは使用者の鼻孔に対して封止する必要がない。使用者は、普通に吸い込む際に、カニューレから提供される補助ガスを大気とともに取り込む。
【0005】
鼻孔に対して封止する経鼻カニューレインタフェースの一例は、イノメッド(Innomed)製のナーザル・エア(Nasal−Aire)インタフェースであり、そこでは、ガスが、使用者の鼻から頬を横切り耳を越えて後頭部の周りに延在する導管またはホースによって、インタフェースおよびプロングに提供される。
【0006】
国際公開第2008/060295号パンフレットには、鼻プロングを含む非封止カニューレが記載されている。多くの構成が記載されている。鼻プロングは、患者の鼻腔に空気を送出するように構成されており、記載されているプロングの種々の実施形態は、さまざまな外面的な特徴を有し、センサまたは同様のものがプロング内のガスの特性を測定することができるように、プロングの壁を貫通する通路を有する場合もある。
【0007】
従来技術には、一般的な背景としてここに含まれるが直接には関連しない、他のいくつかのタイプのインタフェースもある。これらについて、下に簡単に概説する。
【0008】
各頬を横切り下って鼻の横を通り上唇の表面に沿って封止する周辺シールを有する経鼻マスク。密閉空間全体が加圧され、治療を受ける人は、密閉空間から加圧ガスを吸い込むことができる。一例は、フィッシャー・アンド・ペイケル・ヘルスケア(Fisher & Paykel Healthcare)が販売するフレキシフィット(Flexifit)405経鼻マスクである。
【0009】
鼻梁を横切って鼻の横を各頬に沿って下方に顎までかつ下唇の下を顎に沿って延在する周辺シールを有する、フルフェースマスク。外周により、鼻および口がともに密閉される。マスク枠内の空間全体が加圧される。治療を受ける人は、鼻または口のいずれかを通して空間から加圧ガスを吸うことができる。一例は、フィッシャー・アンド・ペイケル・ヘルスケア(Fisher & Paykel Healthcare)が販売するフレキシフィット(Flexifit)431インタフェースである。
【0010】
使用者の口内に適合する経口装置を有する経口インタフェース。一例は、フィッシャー・アンド・ペイケル・ヘルスケア(Fisher & Paykel Healthcare)オラクル(Oracle)インタフェースである。
【0011】
使用時に使用者の鼻孔の周縁を封止し、かつ使用者の鼻腔に加圧ガス流を送出するように意図された鼻ピロー。国際公開第2008/014543号パンフレットには、多数の異なるタイプの鼻ピローが記載されかつ示されている。
【0012】
本明細書では、特許明細書、他の外部文書または他の情報源に言及しているが、この言及は、概略的には、本発明の特徴を説明するための背景を提供することを目的としている。特に明記しない限り、こうした外部文書への参照は、いかなる権限においても、こうした文書またはこうした情報源が従来技術であり、または本技術分野における共通の一般知識の一部を形成すると認めるものと解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、従来技術の不都合を克服するのに役立つか、または少なくとも業界および公衆に有用な代替物を提供する、経鼻インタフェースを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本明細書で用いる用語「〜を具備する、備える、有する(comprising)」は、「少なくとも部分的に〜からなる」ことを意味する。本明細書において用語「〜を具備する、備える、有する」を含む各表現を解釈する場合、それ以外の特徴またはその用語の前にくる特徴もまた存在し得る。「〜を具備する、備える、有する(comprise、comprises)」等の関連用語も同様に解釈されるべきである。
【0015】
第一態様では、本発明は、概略的には、呼吸ガスを患者に送出するシステムの一部として用いられる経鼻カニューレ装置であって、前記システムが、使用時に使用者の鼻孔にガス流を提供するように構成されたガス源と、使用時に前記ガス源と前記経鼻カニューレ装置との間を連結する送出導管と、を有するタイプである経鼻カニューレ装置であり、
使用時に前記送出導管との流体連結を形成するように構成されたガス入口マニホルド部であって、それによって、前記ガス流が前記マニホルド部に送出されるガス入口マニホルド部と、
前記ガス入口マニホルド部と流体連結し、前記使用者の鼻孔内に挿入されるように構成された、少なくとも1つ、好ましくは一対の鼻プロングであって、前記ガス流が前記ガス入口マニホルド部内および前記鼻プロング内を通過する鼻プロングと、を備え、
前記鼻プロングが、その後側にガス出口切欠(cut−out)を有し、前記ガス出口切欠が、前記ガスが前記プロングに入る箇所またはその近くでの前記プロングの断面積より大きい断面積を有する経鼻カニューレ装置にある。
【0016】
第2態様では、本発明は、概略的には、患者に呼吸ガスを送出するシステムであって、
ガス流を提供するように構成されたガス源ユニットと、
患者インタフェースと、
前記ガス源から呼吸ガスを受け取りかつ前記ガス源からの呼吸ガスを前記患者インタフェースに搬送するように構成された、二次ガス入口導管を有していてもいなくてもよい送出導管と、
経鼻カニューレ装置であって、
使用時に前記送出導管との流体連結を形成するように構成されたガス入口マニホルド部であって、それによって、前記ガス流が前記マニホルド部に送出されるガス入口マニホルド部と、
前記ガス入口マニホルド部と流体連結し、前記使用者の鼻孔内に挿入されるように構成された、少なくとも1つ、好ましくは一対の鼻プロングであって、前記ガス流が前記ガス入口マニホルド部内および前記鼻プロング内を通過する、鼻プロングと、を備え
前記鼻プロングが、その後側にガス出口切欠を有し、前記ガス出口切欠が、前記ガスが前記プロングに入る箇所またはその近くでの前記プロングの断面積より大きい断面積を有する、経鼻カニューレ装置と、を備えるシステムである。
【0017】
第3態様では、本発明は、概略的には、呼吸ガスを患者に送出するシステムの一部として用いられる経鼻カニューレ装置であって、前記システムが、ガス流を提供するように構成されたガス源と、使用時に前記ガス源と前記経鼻カニューレ装置との間を連結する送出導管と、を有するタイプである、経鼻カニューレ装置であり、
前記送出導管の一端に連結されたマニホルド部であって、それにより、使用時に前記ガス流が前記送出導管から前記マニホルド部に送出されるマニホルド部と、
前記マニホルド部に連結された一対の搬送チューブであって、それにより、前記ガス流が前記マニホルド部から前記搬送チューブに送出される搬送チューブと、
各々前記搬送チューブの各々に連結された一対の鼻プロングであって、患者の鼻孔内に挿入されるように構成され、前記ガス流が、搬送チューブおよび鼻プロングを通って患者の鼻孔内に進む、鼻プロングと、を備え、
前記鼻プロングの各々が、その後側にガス出口切欠を有し、前記ガス出口切欠が、前記ガスが前記プロングに入る箇所またはその近くにおける前記プロングの断面積より大きい断面積を有する経鼻カニューレ装置である。
【0018】
第4態様では、本発明は、概略的には、呼吸ガスを患者に送出するシステムの一部として用いられる経鼻カニューレ装置であって、前記システムが、使用時に使用者の鼻孔にガス流を提供するように構成されたガス源と、使用時に前記ガス源と前記経鼻カニューレ装置との間を連結する送出導管と、を有するタイプである、経鼻カニューレ装置であり、
使用時に前記送出導管との流体連結を形成するように構成されたガス入口マニホルド部であって、それによって、前記ガス流が前記マニホルド部に送出される、ガス入口マニホルド部と、
前記ガス入口マニホルド部と流体連結し、使用時に前記患者の鼻孔内に挿入されるように構成された、少なくとも1つ、好ましくは一対の鼻プロングであって、前記ガス流が使用時に前記ガス入口マニホルド部および前記鼻プロング内を通って前記使用者の鼻孔内に進む、鼻プロングと、を備え、
前記鼻プロングの各々または両方が、その後側にガス出口切欠を有し、前記ガス出口切欠が、前記ガスが前記プロングに入る箇所またはその近くでの前記プロングの断面積より大きい断面積を有し、前記プロングの前記少なくとも一方または両方が、前記プロングを出るガスの速度が、前記プロングに入る箇所またはその近くにおけるガスの速度に比較して低下するような形状である、経鼻カニューレ装置である。
【0019】
第5態様では、本発明は、概略的には、呼吸ガスを患者に送出するシステムの一部として用いられる経鼻カニューレ装置であって、前記システムが、使用時に使用者の鼻孔にガス流を提供するように構成されたガス源と、使用時に前記ガス源と前記経鼻カニューレ装置との間を連結する送出導管と、を有するタイプである経鼻カニューレ装置であり、
使用時に前記送出導管との流体連結を形成するように構成されたガス入口マニホルド部であって、それによって、前記ガス流が前記マニホルド部に送出されるガス入口マニホルド部と、
前記ガス入口マニホルド部と流体連結し、使用時に前記患者の鼻孔内に挿入されるように構成された、少なくとも1つ、好ましくは一対の鼻プロングであって、前記ガス流が前記ガス入口マニホルド部および前記鼻プロングを通って前記使用者の鼻孔内に進む、鼻プロングと、を備え、
前記鼻プロングの各々または両方が、その後側にガス出口切欠を有し、前記ガス出口切欠が、前記ガスが前記プロングに入る箇所またはその近くでの前記プロングの断面積より大きい断面積を有し、前記鼻プロングの前記少なくとも一方または両方が、前記ガス流が概略的には前記患者の鼻腔の後方に向かって向けられるような、形状であるか、寸法であるか、または形状でありかつ寸法である経鼻カニューレ装置である。
【0020】
第6態様では、本発明は、概略的には、治療の目的で使用者にガス流を提供する方法であって、
1.前記使用者に経鼻カニューレ装置を装着させるステップと、
2.前記経鼻カニューレ装置を、使用時に前記経鼻カニューレ装置を前記使用者の適所に保持する患者インタフェースに連結するステップと、
3.ガス流を提供するように構成されたガス源と、使用時に前記ガス源と前記経鼻カニューレ装置との間を連結する送出導管と、を備えるタイプのガス送出システムに、前記患者インタフェースを連結するかまたは別法として前記経鼻カニューレ装置を直接連結し、前記システムを用いてガス流を前記経鼻カニューレ装置に送出するステップと、
を含み、
前記経鼻カニューレ装置が、
使用時に前記送出導管との流体連結を形成するように構成されたガス入口マニホルド部であって、それによって、前記ガス流が前記マニホルド部に送出される、ガス入口マニホルド部と、
前記ガス入口マニホルド部と流体連結し、前記使用者の鼻孔内に挿入されるように構成された、少なくとも1つ、好ましくは一対の鼻プロングであって、前記ガス流が前記ガス入口マニホルド部内および前記鼻プロング内を通過する、鼻プロングと、を備え、
前記鼻プロングが、その後側にガス出口切欠を有し、前記ガス出口切欠が、前記ガスが前記プロングに入る箇所またはその近くでの前記プロングの断面積より大きい断面積を有する方法である。
【0021】
第7態様では、本発明は、概略的には、呼吸ガスを患者に送出するシステムの一部として用いられる経鼻カニューレ装置であって、前記システムが、使用時に使用者の鼻孔にガス流を提供するように構成されたガス源と、使用時に前記ガス源と前記経鼻カニューレ装置との間を連結する送出導管と、を備えるタイプである、経鼻カニューレ装置であり、
使用時に前記送出導管との流体連結を形成するように構成されたガス入口マニホルド部であって、それによって、前記ガス流が前記マニホルド部に送出される、ガス入口マニホルド部と、
前記ガス入口マニホルド部と流体連結し、使用時に前記患者の鼻孔内に挿入されるように構成された、少なくとも1つ、好ましくは一対の鼻プロングであって、前記ガス流が、使用時に前記ガス入口マニホルド部および前記鼻プロングを通って前記使用者の鼻孔内に進み、前記鼻プロングの各々または両方が、その後側にガス出口切欠を有し、前記ガス出口切欠が、前記ガスが前記プロングに入る箇所またはその近くでの前記プロングの断面積より大きい断面積を有し、前記鼻プロングの前記少なくとも一方または両方が、前記プロングを出るガスの速度が、前記プロングに入る箇所またはその近くにおけるガスの速度に比較して低下するような形状であり、前記ガス流が概略的には患者の鼻腔の後方に向かうように向けられる鼻プロングと、を備える経鼻カニューレ装置である。
【0022】
好ましくは、前記カニューレ装置は、使用時に使用者の顔に当接する顔面装着部を有し、前記顔面装着部から一対の側部ストラップが延在する。
【0023】
好ましくは、前記顔面装着部は、使用時に、使用者の顔に当接することにより、前記カニューレ装置を前記患者の顔の上で安定させる。
【0024】
好ましくは、前記切欠が、前記鼻プロングに沿った中間点と2/3の箇所との間に延在し、前記切欠が、前記鼻プロングの頂部端部から測られる。
別法として、前記切欠は、前記鼻プロングに沿って中間点まで達しない箇所に延在し、前記切欠が前記鼻プロングの頂部端部から測られる。
別法として、前記切欠は、前記鼻プロングの全長に延在する。
好ましくは、前記切欠は、3mmと15mmとの間の高さを有する。
【0025】
好ましくは、前記切欠は、前記経鼻カニューレ装置の後方から見て、形状が楕円形である。
別法として、前記切欠は、前記経鼻カニューレ装置の後方から見て、形状が矩形である。
別法として、前記切欠は、前記経鼻カニューレ装置の後方から見て、形状が三角形である。
【0026】
好ましくは、前記鼻プロングは、前記顔面装着部を二分する垂直平面線に対して内側に5度と20度との間の角度が付けられている。
好ましくは、前記鼻プロングは、前記顔面装着部を二分する垂直平面線に対して内側に15度の角度が付けられている。
【0027】
好ましくは、前記ガス出口切欠の縁は、実質的に逆S字型を有する面に従う形状の切欠であり、前記S字型が実質的に垂直に位置合せされる。
【0028】
好ましくは、前記面の下縁は、前記プロングの後部を横切って前記切欠を形成し、前記面が理想の切欠形状を得るために逆S字型である。
【0029】
好ましくは、前記少なくとも1つの鼻プロングは補強機構を有する。
好ましくは、前記補強機構は、前記鼻プロングの正面に位置し、鼻プロングが圧縮力または引張力でつぶれるのを防止するのに役立つように構成される。
【0030】
好ましくは、前記補強機構は、前記鼻プロングの正面に沿ってその少なくとも一部に延びる実質的に垂直な畝または背骨部として形成される。
【0031】
別法として、前記少なくとも1つの鼻プロングは、前記鼻プロングが引張力または圧縮力の下でつぶれるのを防止するのに役立つように、前記鼻プロングの前壁の内面に補強機構を有する。
【0032】
好ましくは、前記少なくとも1つの鼻プロングは、前記鼻プロングの正面を横切って延びる少なくとも1つ、好ましくは複数のリブを有する。
好ましくは、前記少なくとも1つのリブまたは複数のリブは、前記鼻プロングの正面の外面を横切って延びる。
【0033】
好ましくは、前記鼻プロング壁の壁の正面部分は、鼻プロング壁の壁の背面部分より厚い。
好ましくは、前記機構またはリブまたは両方は、鼻プロングと一体成形される。
【0034】
別法として、前記機構またはリブまたは両方は、前記プロングが成形された後に前記プロングに個別に取り付けられる。
【0035】
好ましくは、前記経鼻カニューレ装置は、ヘッドギア固定組立体が前記経鼻カニューレ装置に連結されるのを可能にするように構成された側部ストラップをさらに有し、それにより、前記経鼻カニューレ装置を、使用時に前記患者頭部に固定することができる。
【0036】
好ましくは、前記顔面装着部、前記少なくとも1つの鼻プロング、および前記側部ストラップの少なくとも一部は、可撓性高分子材料、たとえば熱可塑性エラストマーまたはシリコーンから形成される。
【0037】
好ましくは、前記機構またはリブまたは両方は、前記鼻プロングと同じ材料から作製される。
【0038】
好ましくは、前記鼻プロングの前記少なくとも一方または両方は、前記ガス流が概略的には患者の鼻腔の後方に向かって向けられるような、形状であるか、寸法であるか、または形状でありかつ寸法である。
【0039】
好ましくは、少なくとも一方または両方の鼻プロングは、前記プロングを出るガスの速度が、前記プロングに入る箇所またはその近くにおけるガスの速度に比較して低下するような形状である。
【0040】
好ましくは、前記鼻プロングの少なくとも一方または両方は、使用時に上方にかつ使用者に向かって後方に湾曲し、前記切欠は、前記プロングの後部および頂部に沿って細長い形状を有し、それにより、前記ガス流が概略的には前記患者の鼻腔の後方に向けられ、噴射効果が低減する。
【0041】
好ましくは、前記鼻プロングは、使用時に使用者の鼻孔と実質的気密封止を形成しないような形状および寸法である。
【0042】
好ましくは、鼻プロングは、患者に高流量医療ガスを送出するのに好適であり、それにより、患者が吸い込む息のかなりの部分が、鼻プロングからの呼吸ガスと最低限の割合の周囲空気を含む。
【0043】
好ましくは、前記マニホルド部はYピースまたはTピースである。
好ましくは、前記鼻プロングは搬送導管と一体化している。
【0044】
本発明はまた、個々にまたはまとめて本出願の明細書で言及しまたは示唆した部品、要素および特徴、ならびに、上記部品、要素または特徴のうちの任意の2つ以上の任意のまたはすべての組合せにあると広く言うことができ、本明細書において、本発明が関連する技術分野において既知の等価物を有する所定の完全体について言及する場合、そうした既知の等価物は、個々に示されているかのように本明細書に包含されていると考えられる。
【0045】
本明細書で用いる用語「〜を具備する、備える、有する(comprising)」は、「少なくとも部分的に〜からなる」ことを意味する。本明細書において用語「〜を具備する、備える、有する」を含む各表現を解釈する場合、それ以外の特徴またはその用語の前にくる特徴もまた存在し得る。「〜を具備する、備える、有する(comprise、comprises)」等の関連用語も同様に解釈されるべきである。
【0046】
本発明には異なる形態の実施形態も可能であるが、所定の実施形態を図面に示しかつ詳細に説明する。本開示は、本発明の原理を例示するものとみなされるべきであり、本発明を本明細書に例示し説明するものに限定するようには意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】ブロワユニット、ガス源ユニットに気体連結されている加湿器ユニット、加湿器ユニットの出口に連結されているガス供給導管、および患者インタフェースを有する呼吸加湿システムを示し、患者インタフェースは、ガス供給導管と使用者との間を連結し、それにより、患者インタフェースを介して呼吸加湿システムからガスを使用者に提供することができ、患者インタフェースは経鼻カニューレを有する。
【図2】使用者に対して使用している患者インタフェースの好ましい実施形態の斜視図であって、患者インタフェースの好ましい形態は、ガス供給導管の出口端と経鼻カニューレとの間を連結する二次供給導管と、使用時に患者の首の周りに輪を作り、供給導管に出口端でまたはその近くで連結することにより、使用時に供給導管の重量を支持するネクタイまたはラニヤードと、を有し、患者インタフェースはまた、使用時に患者インタフェースを患者の頭部に固定する頭部ストラップも有する。
【図3】使用中の患者インタフェースの代替実施形態の正面図および側面図を示し、この代替形態は、使用時に使用者の耳の周囲で輪を作ることにより、使用時に患者インタフェースを使用者の顔の適所に保持する、一対の耳ストラップを有する。
【図4】経鼻カニューレの最も好ましい形態の正面から一方の側への斜視図を示し、好ましい形態の経鼻カニューレは顔面装着部およびマニホルド部を有し、マニホルド部は顔面装着部から取外し可能であり、二次供給導管がマニホルド部に連結されている。
【図5】マニホルド部が顔面装着部から取り外されている図4の患者インタフェースを示す。
【図6】経鼻カニューレの好ましい形態の顔面装着部の好ましい形態の正面から一方の側への斜視図を示し、顔面装着部は、マニホルド部を受け入れるように構成された部分と、顔面装着部から延在する一対の鼻プロングと、を有している。
【図7】経鼻カニューレの顔面装着部の好ましい形態の後方から一方の側への斜視図を示し、顔面装着部から一対の鼻プロングが延在しており、鼻プロングの各々はその背面の上方部にガス出口切欠を有している。
【図8】ガス出口切欠を明確に示す、図6のマニホルド部の真後ろからの図を示す。
【図9】経鼻カニューレの好ましい形態の顔面装着部の好ましい形態の平面図を示し、顔面装着部を二分する垂直面に対する鼻プロングの好ましい内側角度と、好ましい形態において切欠部の周縁部を画定する面の好ましい位置合せと、を示す。
【図10】好ましい実施形態の経鼻カニューレの背面斜視図であり、表面の好ましい形態および配置を示す。
【図11】好ましい実施形態の経鼻カニューレの下からの図を示す。
【図12】経鼻カニューレの代替実施形態を示し、カニューレは、マニホルドから延在し使用者の耳の周囲に輪を作る2つの搬送チューブと、各搬送チューブの端部に連結されたプロングと、を備えたマニホルドを有する。
【図13】経鼻カニューレのさらなる代替実施形態を示し、そこでは搬送チューブはマニホルドから延在し、搬送チューブは、顔面装着部とその顔面装着部から延在するプロングとに連結している。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、経鼻カニューレ装置の好ましい形態について、医療ガスシステムで使用される患者インタフェースの一部としての使用に関連して説明する。経鼻カニューレ装置を、使用時にガス源からガス流を患者に提供する好適ないかなる装置とも使用することができることが留意されるべきである。たとえば、使用者に補助酸素を提供するシステムの一部として用いることができ、酸素は、ガス容器または壁の吹出し口等のガス源から提供される。しかしながら、本装置は、患者または使用者に加熱され加湿されたガス流を提供するシステムに最も適している。経鼻カニューレは、家庭でまたは病院環境での使用に好適である。経鼻カニューレの寸法を、サイズの異なる使用者に用いるために変更することができる(比率は概略的には同じのままである)。たとえば、大人の使用者と幼児の使用者とに対して2つ(またはそれより多く)の異なる寸法を提供することができ、それは依然として本発明の範囲内にある。
【0049】
第1実施形態
図1を参照すると、経鼻カニューレ装置の好ましい第1実施形態で用いられ得る呼吸加湿システムが示されている。患者または使用者1は、経鼻カニューレ装置を含みかつ後に詳細に説明する患者インタフェース20を介して、加湿ガス流を受け取っている。患者インタフェース20は、送出導管3に連結されており、送出導管3は、加湿器ユニット2と患者インタフェース20との間に連結されている。加湿器ユニット2は、使用時に水6を収容する加湿チャンバ5と基部ユニット8とから構成されている。加湿チャンバ5の好ましい実施形態は、プラスチック材料から形成され、好ましい実施形態では、加湿器基部ユニット8の加熱器プレート7と直接接触している伝熱性基部(たとえばアルミニウム)を有している。加湿器基部ユニット8には、好ましい実施形態では、制御機構または電子コントローラ9が設けられており、それは、関連するメモリに格納されているコンピュータソフトウェアコマンドを実行するマイクロプロセッサベースのコントローラを含む。
【0050】
図1に示す好ましい形態では、加湿器2はガス源ユニット15からガスを受け取り、ガスは、チャンバ5を通過する際に加熱され加湿される。上に概説したように、ガス源ユニット15を、壁の吹出し口またはガス容器に置き換えてもよくまたはそれで補ってもよい、ということが留意されるべきである。ガス源ユニットは、ガス容器、ガス混合器、ベンチュリ装置または標準のブロワユニット、あるいはガス流を供給する他の任意の好適なシステムまたは装置であってもよい。加湿ガスは、加湿器2から送出導管3を通って患者インタフェース20により患者まで流れる。
【0051】
経鼻カニューレで用いられるシステムでは、加湿器の使用は必須ではなく、すなわち、必要な場合はガス流は乾燥し非加熱であり得ることが留意されるべきである。経鼻カニューレを用いることにより、さまざまなタイプの治療を提供することができる。治療の好ましい形態については後述する。一般に、呼吸ガス送出システムを経鼻カニューレと用いることができる。本明細書で説明する呼吸加湿は、単に、経鼻カニューレをともにまたは一部として用いることができる治療およびシステムのタイプの一例である。
【0052】
コントローラ9は、ダイアル10を介してユーザ入力等の入力を入力源から受け取る。ダイアル10により、装置の使用者は、たとえば、患者1に供給されるガスの湿度または温度の予め定められた必要な値を設定することができる。コントローラ9は、ユーザ入力またはセンサのような他の任意のあり得る入力装置(たとえば、図示しない温度センサまたは湿度センサ)からの入力に応じて、加湿チャンバ5内の水6を加熱するために加熱器プレート7に通電する時およびレベルを確定する。加湿チャンバ5内の水6が加熱されると、水蒸気が加湿チャンバ5の残りの容量を満たし始める。ブロワユニット15から加湿器ユニット2に提供されるガスは、加湿チャンバ5の水6の表面の上方に入り、加湿チャンバ5を通過する際にその中の水蒸気によって加湿される。加熱され加湿されたガスは、出口4から加湿チャンバ5を出て、送出導管3によって患者インタフェース20に移送される。
【0053】
ブロワ15の好ましい形態には、ブロワ入口17から空気または他のガスを引き込む可変速ポンプまたはファン12が設けられている。ポンプまたはファン12の速度は、好ましい実施形態では、別の制御装置18によって制御される。別法として、ポンプまたはファン速度の制御を、コントローラ9が行ってもよい。ファンコントローラ18もまた、システムのセンサから入力を受け取るか、または制御パネルまたは制御ユニット19からユーザ入力を受け取るように構成され得る。上述したように、ブロワユニット15を、ガス容器または中央ガス源に接続された壁取付吹出し口等のガス源で補うか、またはそれに置き換えることも可能である。
【0054】
送出導管3の好ましい形態は、導管3内で発生する加湿ガスの結露(「水滴降下(rain out)」)を防止するために加熱要素11を有している。
【0055】
加湿システムの好ましい形態について上述し、経鼻カニューレを、患者インタフェース20の一部として含まれるものとして説明した。ここで、経鼻カニューレについて、特に図2ないし図5を参照してより詳細に説明する。
【0056】
患者インタフェース
図2は、図1の患者インタフェース20の第1実施形態をより詳細に示す。患者インタフェース20は、概略的には、頭部固定機構および経鼻カニューレ装置30からなり、ガス入口導管または二次供給導管62も有している。頭部固定機構によって、使用者は、経鼻カニューレ装置30を正しい動作位置に配置し保持することができる。ガス入口導管または二次供給導管62は、主送出導管3の出口端と経鼻カニューレ装置30との間に流体または気体連結を形成することにより、主送出導管と経鼻カニューレ装置との間に流体またはガスが流れるのを可能にする。二次供給導管と経鼻カニューレ装置30の主な部分の詳細とについては後に詳細に説明する。
【0057】
頭部固定
患者インタフェース20の一部を形成する頭部固定機構の好ましい形態および代替形態について、特に図2および図3を参照して説明する。図2は、頭部固定機構の好ましい形態を示し、図3は、頭部固定機構の代替実施形態を示す。
【0058】
好ましい実施形態では、患者インタフェース20は、図2に示すように、前部ストラップ50と後部ストラップ53aおよび頂部ストラップ53bとにより患者の頭部または顔に固定される。前部ストラップ50は、使用時、経鼻カニューレ装置30と連結し、後部ストラップ53aおよび頂部ストラップ53bは前部ストラップ50と連結し、後部ストラップ53aは使用時に患者の頭部の頂部および後部に巻き付く。頭部ストラップ装置の最も好ましい形態は、寸法および頭部形状の異なる患者が経鼻カニューレ装置30を使用することができるように調整可能である。たとえば、患者が頭部ストラップ53を緩めるかまたは締めるのを可能にする調整バックル54を含めることができる。
【0059】
別法として、患者インタフェースは、前部ストラップ50と、前部ストラップ50に取り付けられた単一の後部ストラップ53aとによって患者の頭部および顔に固定される。後部ストラップを、バックル54を介して前部ストラップ50に取り付けてもよく、または別法として、後部ストラップ53aは、前部ストラップ50と一体であってもよい。バックル54により、患者は、快適なフィットを達成するために、側部ストラップを緩めるかまたは締めることができる。別法として、一体型前部・後部ストラップは弾性であり、患者の頭部の上で引っ張ることができる。ストラップの弾性により、頭部に力が加わり、使用時に経鼻インタフェースが最適な位置で保持される。弾性側部ストラップ50、53aを調整バックル54と用いることができ、または弾性側部ストラップ50、53aを、バックル54なしでそれらのみで用いてもよい。
【0060】
頭部ストラップ装置はまた、二次供給導管62を入口端にまたはその近くで保持し支持するループ55を有していてもよい(後に詳細に説明する)。
【0061】
患者インタフェース20とともにネクタイまたはラニヤード63を提供してもよい。図2は、ネクタイまたはラニヤード63の一例を示す。好ましい実施形態では、ネクタイまたはラニヤード63は、ガス入口導管62に、または送出導管3とガス入口導管62との間の連結部にまたはその近くの位置に連結されており、使用時に送出導管3およびガス入口導管62の重量を支持する。ネクタイ63とともにトグル64を設けることにより、ネクタイの長さを調整することができる。トグル64により、ネクタイ63は、いかなるサイズの患者が患者インタフェース20を使用するのにも適するようになる。ネクタイ63は、使用時に送出導管3の重量を支持し、それにより、重量が使用者の顔面または経鼻カニューレ装置30にかからない。ネクタイ63を用いることにより、送出導管3およびガス入口導管62の結合した重量が、経鼻カニューレ装置30を引っ張ることがなく、鼻プロング33、34が鼻腔の敏感な裏(lining)に干渉するか、あるいは使用時にずれたり向きを変えたりするのを防止するのに役立つ。ネクタイまたはラニヤード63の好ましい実施形態は、使用者の絞扼を防止するように首の周囲でゆるくフィットしている。ラニヤード63はまた、送出導管3およびガス入口導管62を支持する好都合な方法も提供する。これは、患者が、導管3を強く引いたり引っ張ったりすることなくベッドの中で向きを変えるのを可能にし、ガス入口導管62が毛布の下で過熱しないようにするのに役立つ。最も好ましい形態では、ネクタイまたはラニヤード63はクリップを有しており、それによって、ラニヤードを、使用者が、ネクタイ63を使用者の首の周りに配置し固定するために開閉することができる。クリップは、互いにスナップ嵌合する雄および雌コネクタを備えている。クリップは、ネクタイ63の一端を引くことによって取り除かれる。クリップは、容易に取外し可能であり、使用者がネクタイの一方の側を引っ張ると外れて「分離する」。これにより、緊急の状況で、ネクタイ63を迅速に取り除くことができる。
【0062】
図3に、頭部固定機構の代替実施形態を示す。患者の頭部に、経鼻カニューレ装置30が、耳掛けループ66を利用して固定されている。ループ66は、患者の耳に掛かってカニューレ装置30の重量を支持するように構成されている。ループは、経鼻カニューレ装置の側部ストラップ31(後述する)によって経鼻カニューレ装置に取り付けられている。耳ループは、ストラップ31に対して水平方向に摺動可能である。水平移動が可能であることにより、使用者は、耳ループの締りを調整して、経鼻カニューレ装置が使用者の顔の上に快適にかつ正しくフィットするようにするのを確実にすることができる。ループ66は、経鼻カニューレ装置30の重量を支持し、それにより、使用者の鼻腔に、経鼻カニューレ装置30の重量による過度な応力がかからない。ループによって、カニューレ装置30は、装着がより快適になる。
【0063】
ガス入口導管
ここで、二次供給導管62について詳細に説明する。二次供給導管62は、主送出導管3の出口と経鼻カニューレ装置30との間に延びる短い導管または配管である。使用時、ガスは、主送出導管3を出て、二次供給導管62に入り、二次供給導管62に沿って患者まで進む。二次供給導管62等の二次導管が用いられる1つの理由は以下の通りである。すなわち、主送出導管3は、ある程度長い距離(加湿器ユニット2から患者に近い箇所まで)ガスを搬送するために用いられるため、比較的重くかつ扱い難い。したがって、主送出導管3は、つぶれることなくそれ自体の重量を支持するために十分強固な壁を有することが必要である。したがって、主送出導管3は比較的長い(たとえば8フィートないし10フィート)ため、この余長およびより厚い壁の構造により、主送出導管3の重量が加算される。主送出導管3の出口が、使用者1がこの重量を支持する必要があるように患者インタフェースに直接連結される場合、これによって、使用者に作用している主送出導管の重量により使用者に不快感がもたらされる可能性がある。主送出導管3の出口と患者インタフェース20との間に延びるより軽量で短い二次導管(たとえば二次供給導管62)が用いられる。二次供給導管62は、主送出導管3より軽量でかつ短く、上に概説したように、概略的には、たとえば二次供給導管62にまたは主送出導管3と二次供給導管62との間の連結部に連結されるネクタイまたはラニヤード63とともに用いられ、使用時に主送出導管3および二次供給導管62の重量を支持する。
【0064】
主送出導管3の出口と二次供給導管62の入口との間の連結部は、患者の近くに配置され、それにより、経鼻カニューレ装置30に対するねじれまたは引張りが低減し、主送出導管3に設けられる加熱要素11による患者に近接したあり得る熱問題または過熱が低減する。加熱されない二次供給導管62における凝縮物の形成を低減するために、透湿特性を有する導管を提供することができる。二次供給導管62を、主送出導管3と一体的に形成することができ、または何らかの連結機構によって取り付けてもよく、それにより、主送出導管3から二次供給導管62を取り外すことが可能になる。連結機構は、ねじ型コネクタまたは摩擦掛止機構であり得る。二次供給導管を、好ましくは、水蒸気が供給導管を通って周囲空気内に入るのを可能にする一方で、液体水または呼吸ガスが供給導管から出るのを実質的に防止する、通気性材料から作製することができる。供給導管は、その長さに沿って通気性材料の領域を有していてもよく、または別法として、導管壁全体が通気性であってもよい。材料は、その組成、物理的構造またはそれらの組合せにより通気性であってもよい。これら通気性材料を通る水蒸気透過の機構は、非常に多く、本技術分野において既知である。供給導管壁の1つまたは複数の通気性領域の目的は、水蒸気が特定の排出位置とは無関係にガス経路から出るのを可能にすることである。これにより、加湿された呼吸ガスを、それらが呼吸管内に流れている間に乾燥させる(水蒸気を周りの周囲空気に送出することにより)ことによって、呼吸管内の結露の蓄積が低減する。こうした材料の一例は、シンパテックス(SYMPATEX(商標))またはゴアテックス(GORETEX(商標))またはナフィオン(NAFION(商標))等である。
【0065】
短い二次供給導管62を提供する結果、ガスの湿気の大部分が患者に搬送され、かつ、凝縮物の形成が低減されながら、短い二次供給導管の通気性壁を通る湿気の損失が少なくごくわずかとなる。
【0066】
ここで、経鼻カニューレおよびそのさまざまな特徴についてより詳細に説明する。
【0067】
経鼻カニューレ
ここで、患者インタフェース20の一部を形成する経鼻カニューレ30の好ましい形態について、特に図4、図5、図6、図7、図8、図9および図10を参照してより詳細に説明する。
【0068】
好ましい形態の経鼻カニューレ30は2つの主な部分、すなわちマニホルド部35および顔面装着部32を備えている。ここで、これら2つの部分の好ましい実施形態について、特に図4および図5を参照して説明する。
【0069】
マニホルド部
好ましい形態では、マニホルド部35は、使用時、上述したように二次供給導管62に連結されそれと流体連通する。しかしながら、代替実施形態では、それを主送出導管3に直接連結することができる。本明細書では「ガス入口マニホルド部」という句を用いるが、これは、必要に応じて、二次供給導管62と組み合わされたマニホルド部35かまたは単にマニホルド部35を意味するように解釈されるべきである。
【0070】
また、図4および図5に示す好ましい形態は、マニホルド部35を、経鼻カニューレ30の残りの部分から着脱可能であるように示すことも留意されるべきである。しかしながら、マニホルド部35を、好ましいかまたは必要な場合は経鼻カニューレ30の一体部分として形成することも可能であり、すなわち、それによりマニホルド部35および顔面装着部32(後述する)は1つの物品となる。
【0071】
マニホルド部35の好ましい形態は、形状が略管状であり、細長い楕円形出口37まで湾曲している一方の側に実質的に円形の入口59を有し、出口37は、入口59に対して垂直であるようにマニホルド部35の一方の側に形成されている。円形入口59は、好ましい形態では、二次供給導管62からのガスがマニホルド部35内を流れることができるように、二次供給導管62の患者側端部を受け入れる(入口59は別法として楕円形または他の任意の好適な形状であってもよく、円形である必要はない)。好ましい実施形態では、マニホルド部35は二次供給導管62と一体化されている(すなわち、使用時に繰返し取り外され交換されるようには意図されていないが、必要な場合は取り外すことができる)が、別法として、マニホルド部35を二次供給導管62に取外し可能に取り付けることができる。マニホルド部35は顔面装着部32と係合し、それにより、ガスは、出口37を通過し、二次供給導管62から鼻プロング33、34(後に詳細に説明する)を通って患者2まで移動することができる。
【0072】
好ましい実施形態では、マニホルド部35は、比較的高い負荷状態下でのみ変形する(すなわち、使用者の手で容易につぶすことができない)硬質プラスチック材料から製造される。マニホルド部35を、成形し、射出成形し、機械加工し、または鋳造してもよい。
【0073】
マニホルド部35は、使用時、顔面装着部32に連結され、それによりマニホルド部35から出るガスが顔面装着部32に入る。本明細書の文脈における「連結される」という用語は、必要に応じて「着脱可能な」または「一体化している」のいずれかを意味するものと解釈されるべきである。ここで、顔面装着部について詳細に説明する。
【0074】
顔面装着部
顔面装着部32は鼻プロング33、34を有しており、そのため、顔面装着部32を通過するガスは鼻プロング33、34に入ることができ、患者1に送出されることが可能である。鼻プロング33、34の好ましい形態は、互いに平行に延在し、顔面装着部32から上方にかつ内側に湾曲している。好ましい実施形態では、各鼻プロングは、顔面装着部の中心から等距離である。プロング33、34の構造については後に詳細に説明する。
【0075】
好ましい実施形態の顔面装着部32は、図4および図5に示すように互いに一体的に成形された側部ストラップ31および開放管状凹部38を有している。開放管状凹部38は、顔面装着部32の下方に延在し、マニホルド部35を受け入れるように構成されている(顔面装着部32およびマニホルド部35が別個の物品である好ましい実施形態の場合)。顔面装着部32は、開放管状凹部38の上縁の周囲に延在するリップ39を有している。マニホルド35は顔面装着部32に摩擦嵌合によって連結されており、顔面装着部32のリップ39は、マニホルド部35を把持し、マニホルド部35と顔面装着部32との間の強固な封止連結を形成するのに役立つ。開放管状凹部38は、顔面装着部32の下方に延在するリブ40によって分割されている。リブ40は、顔面装着部32と係合する際のマニホルド部35を正しい位置で支えかつ保持するのに役立ち、リブ40はマニホルド部35の外側の周囲に延在する。マニホルド部35の出口37は、使用時、マニホルド部35が顔面装着部32に連結されると顔面装着部32の下側と整列する。この整列により、経鼻カニューレ装置30から漏れるガスの量が最小限になりかつ低減し、最大量の加湿ガスを送出することにより使用者の有効な治療が可能になる。
【0076】
側部ストラップ31を用いて、頭部ストラップ50または耳ループが顔面装着部32に取り付けられる。側部ストラップ31は、一対のストラップ(図ではストラップ31として示す)をからなり、それらは、顔面装着部32の両側から延在し、かつ好ましい実施形態では、顔面装着部32の一体部分として形成される。ヘッドギアストラップ50は、使用時、側部ストラップ31に取り付けられ、それにより、使用時、患者インタフェースを使用者が装着することができる。好ましい形態では、ヘッドギアストラップ50の端部は、側部ストラップ31の一対のスリットに通されて輪にされ、端部は、輪になって重なる時にその端部を適所に保持するベルクロまたは同様のものを有している。別法として、ヘッドギアストラップ50またはループ66を、側部ストラップ31に、たとえば協働する雄・雌クリップによって留めてもよく、または側部ストラップ31に接着取付してもよい。
【0077】
好ましい実施形態では、顔面装着部、鼻プロング、側部ストラップおよび開放管状凹部はすべて、1つの連続した物品として製造される。顔面装着部32、鼻プロング33、34、側部ストラップ31および開放管状凹部38はすべて、可撓性高分子材料またはシリコーン、好ましくは柔らかい熱可塑性エラストマー(TPE)から製造される。
【0078】
ここで、鼻プロングについてより詳細に説明する。
【0079】
鼻プロング
以下は、鼻プロングの説明である。以下の説明において、用語「後部(後方)」または「背面」または任意のこうした同義語は、構造体の、経鼻カニューレが使用されている時に患者の顔に向きかつ最も近い部分を指す。用語「前部(正面)」または「前方」または任意のこうした同義語は、使用時の患者の使用者の顔から離れる方向に向きかつそこから最も遠く離れている側、面または部分を指す。用語「頂部」または「上方」は、インタフェースを装着している使用者または患者が直立して起立しているかまたは着座して前方を見ている時、床から離れる方向を指している側、面または部分を指す。用語「底部」または「下方」は、この場合もまたインタフェースを装着している使用者または患者が直立して起立しているかまたは着座して前方を見ている時、地面に向けられるかまたは地面を指している側、面または部分を指す。
【0080】
好ましい実施形態では、顔面装着部32は、図4、図5、図6および図7に示すように、顔面装着部32の上面から上方に延在しかつ内側に湾曲している2つの鼻プロング33、34を有している。図7および図8を参照すると、鼻プロング33、34は、顔面装着部32の上面から延在し、各プロングは、経鼻カニューレ装置が使用されている時、患者の各鼻孔内に配置される。プロング33、34は、ガスを患者に送出するように構成されている。プロング33、34は、送出導管3から、二次供給導管62、マニホルド部35および顔面装着部32を介して加湿ガスを受け取る。好ましい実施形態では、ガス入口マニホルド部35は、二次供給導管62からガスを受け取り、ガスは、ガス入口マニホルド部を通って顔面装着部32に、その後鼻プロング33、34内に進む、ということが留意されるべきである。したがって、鼻プロング33、34は、ガス入口マニホルド部35と流体連通しており、二次供給導管62からガスを受け取る。上にすでに概説したように、ガス入口マニホルド部35および顔面装着部32は、一物品として、すなわち結合されたマニホルド・顔面装着部として成形されることが可能であり、この物品を、必要な場合は、マニホルドとして作用するように成形することができ、プロングはマニホルドと一体成形され、マニホルドは、従来技術において既知である通常の経鼻カニューレと同様に、1つまたは複数のガスホースまたは管に取り付けられている。本明細書において「ガス入口マニホルド部」という句が用いられている場合、それは、この装置を包含するのに十分広いものとして解釈されるべきである。その句はまた、マニホルド配管の各側または端部に1つを連結し、かつ主送出導管または二次供給導管に取り付ける前に使用者の耳の上に輪を作る、従来技術において既知であるタイプの二重ホースを含むように十分広いものとして解釈されるべきである。また、「送出導管と流体連結を形成するように構成されたガス入口マニホルド部」という句が用いられる場合、これは、ガス入口マニホルド部を、二次供給導管、または従来技術において既知であるタイプの二重ホース(または両方)等を含む介在要素に、直接連結しても間接的に連結してもよいことを意味するように解釈されるべきである。
【0081】
好ましい実施形態では、鼻プロング33、34は、形状が、上方かつ後方に湾曲した略管状である。鼻プロングは、使用時、上方にかつ患者の頭部の後方に向かって湾曲する。プロングは、患者の鼻腔の後方に向かって湾曲し、それにより、プロングによって送出されるガス流が患者の鼻腔の後方に向けられることが好ましい。鼻プロング33、34は、その湾曲により、人間の鼻腔の自然な湾曲に沿うことが確実になる。プロングは半径10.5mmの湾曲に沿うことが好ましいが、5mmと20mmとの間の任意の半径が好適であり、それより大きいかまたは小さい寸法もまた本発明の範囲から逸脱することなく可能である。プロング33、34の湾曲により、ガスが患者の鼻腔内に送出されることが確実になり、これは、ガスの鼻腔からの漏れを低減するのに役立つ。プロング33、34の湾曲により、快適さが追加され、呼吸ガスが患者の鼻腔内に有効に送出されるという利点が提供される。
【0082】
好ましい実施形態では、鼻プロング33、34は、患者の鼻腔内に適合する。鼻プロングの各々は、断面が略円形であることが好ましい。別法として、鼻プロングは、断面が三角形または楕円形であってもよい。円形断面は、人間の鼻腔の形状に最も適合し、そのため患者に快適なフィットを提供しかつ治療の正しい提供を確実にするため、使用に最も有利である。しかしながら、使用者の鼻孔および鼻腔は、完全には円形でも、または幾何学的に標準的でもなく、他の断面(上述した三角形または楕円形断面等)が好ましい場合もある。
【0083】
最も好ましい形態では、鼻プロングは、顔面装着部の中心から等距離に配置される。鼻プロングは、図9に最もよく示すように、互いに向かってわずかに内側に面するように角度が付けられていることが好ましい。頂部から見ると、鼻プロングの各々の中心は、図9に示すように、垂直線Aから内側に15度の角度が付けられていることが好ましい。すなわち、図9に示すように、線Aと線Bとの間の角度Xは、15度である。これは、対の両方に当てはまる。線Aは、経鼻カニューレ30の顔面装着部32を二部する対称な垂直面、すなわち、経鼻カニューレが使用者の顔の上に配置された時に人間の鼻を二部する線または面に対して、実質的に平行な垂直面を画定する。プロング33、34は、使用時に最も快適なフィットを提供するように、互いに向かって内側に15度角度が付けられている。鼻プロングに対し15度内側に角度を付けることにより、使用者に対する最も快適なフィットまたは位置と、患者に治療ガスを送出する最適な位置とが提供されることが分かった。鼻プロングを、15度より大きいかまたは小さい他の任意の角度で配置してもよい。線Aと線Bとの間の角度の範囲は、たとえば、内側角度の0度と60度との間であり得る。別法として、鼻プロングに対し、垂直線Aから外側に角度を付けることができる。鼻プロングに対して外側に角度を付けることは好ましくはない。それは、そのように角度を付けることが、プロングが鼻腔の自然な形状に沿わない可能性があり、大部分の使用者に対してプロングの使用が不快なものとなる可能性があることを意味するためである。しかしながら、状況によっては、または一定の環境の使用者によっては、これが好適な場合があり得る。
【0084】
鼻プロングの各々は、図7、図8および図10に示すように、その後側43にガス出口切欠部41を有している。好ましい実施形態におけるガス出口切欠または切欠部により、プロングの各々はスコップのような外観を有している。鼻プロングの正面側42(患者からさらに離れる方向を向く側)は、さらに顔面装着部32から上方にかつ内側に延在し、鼻プロング33、34が使用されている時、患者の鼻腔内に加湿ガスを案内する案内壁を形成する。プロングのガス出口切欠は、ガスがマニホルド部からプロング内に入る箇所またはその近くにおけるプロングの断面積より広い断面積を有し、すなわち、プロングの断面積は、ガスがマニホルド部からプロングに入る場所またはその近くの箇所に比較して、ガスがプロングから出る(かつ使用者の鼻孔に入る)箇所の方が広い。
【0085】
切欠部41を、さまざまな形状で形成することができる。好ましい実施形態では、図8に最もよく示すように、切欠部41は後方から見て形状が楕円形である。すなわち、後方から見ると、切欠部41の周縁部は、楕円形形状を描き、楕円の頂部は、他方の鼻プロングに向かってわずかに内側に角度が付けられている。切欠部はまた三角形であってもよい(三角形の1つの先端部はプロングの基部に向かって向けられ、他の2つの角は切欠部41の最頂内縁にある)。切欠は、形状が矩形であることも可能である。
【0086】
切欠は、鼻プロングに沿ってさまざまな位置から延在することができる。切欠部41は、鼻プロングの頂部先端から測ると、鼻プロングに沿った中間点と2/3の箇所との間から延在することが好ましい。別法として、切欠部41は、鼻プロングの頂部先端から測ると、鼻プロングに沿った中間点まで達しない箇所から延在してもよい。さらなる別法として、切欠は、プロングの全長に延在してもよい。最も好ましい実施形態では、切欠部41は、鼻プロングに沿った中間点と2/3の箇所との間から延在することによって最良の利点を提供する。切欠が中間点と2/3との間に延在することにより、開口の最適な寸法が確実になることが分った。切欠をこの位置に配置することにより、本明細書で後述する利点を提供するように切欠の最適な寸法が保証される。好ましい実施形態による鼻プロングの場合、これは、高さが3mmないし15mmの切欠に対応する。しかしながら、切欠の寸法は、別の形態に対して必要な場合は、この範囲外でもあり得る。
【0087】
好ましい実施形態では、切欠41は、成形プロセス中に形成される。プロングは、射出成形、鋳造または真空成形によって成形されることが好ましい。所望のプロング形状を生成するために用いられる型に、切欠形状が組み込まれている。
【0088】
代替実施形態では、切欠部41は、プロング33、34が初期成形工程で成形された後、それらの各々の背面43を横切って切断することによって作成され、たとえば、顔面装着部32が初期成形工程で成形された後、機械加工によりまたは手で材料を除去することにより、切欠が形成される。
【0089】
図10に、切欠部を画定する逆S字型面80を最もよく示す。面80の底縁を、図9では、線800として示す。図示するように、各プロングに対し、線800は、鼻プロングの中心を通る線に対して垂直であり、プロングの後縁に位置合せされている。これを、図9に最もよく示す。図10に示すように、面80は逆S字型の形状であることが好ましい。面80は、ガス出口切欠の好ましい「スコップ」形状を形成するように、一定距離内側に延在している。逆S字型は、実質的に垂直に位置合せされる。逆S字型面は、最も好ましい寸法および形状の切欠をもたらす。成形後、切欠部41の縁または周縁部は、図10に示すように、逆S字型面の表面に従う。こうした面により、後述する利点を提供する最適な切欠形状がもたらされる。
【0090】
好ましい実施形態では、鼻プロング33、34の後壁43は、鼻プロングの後壁の長さに沿って上方に延在する補強機構(図には示さず)も有している。補強機構は、鼻プロングの後壁43を直立位置で維持するのに役立つ。補強機構は、鼻プロング33、34の背面43に沿ってその少なくとも一部に延びる畝として形成されることが好ましい。この畝は、後壁43の内側にあっても外側にあってもよく、それは、後壁が、使用時に使用者の上唇または鼻孔に概略的には接触しないためであり、したがって、補強機構は、使用者の顔に干渉し使用者を不快にする傾向にはない。補強機構の好ましい形態および別の形態については、後により詳細に説明する。
【0091】
鼻プロング33、34の湾曲および形状により、空気流は、プロング33、34の後壁43ではなく前壁に沿って流れる傾向があり、すなわち、空気流は、湾曲の内側ではなく外側に沿って流れる。
【0092】
利点
各鼻プロング内の切欠部は、多数の利点を提供する。主な利点は以下の通りである。
1)プロングの各々は、構造的な剛性がより低い(それらの支持構造の一片がないため、より容易に変形することができる)ため、より容易に変形または湾曲することができ、したがって、患者の鼻腔内でより快適である。
2)ガスが、プロングから噴流として小さい開口を通して出ることがない。切欠が、プロングの出口における出口開口のより広い領域を提供し、それにより、ガスが1つまたは複数のプロングを出る箇所におけるガスの速度または気流速度が低下する。すなわち、出口開口の寸法(切欠部の縁または周縁部によって画定される)は、プロングが顔面装着部32に連結されるその基部によって画定される、入口開口の寸法または断面積より大きい。ガスの気流速度は、面積が広いほど低下する。すなわち、各プロングは、そのプロングを出るガスの速度が、ガスがプロングに入る箇所またはその近くのガスの速度に比較して低下するような形状である。これにより、(切欠を有していないカニューレプロングに比較して)比例的に増大する量のガスを、不快をもたらすことなく患者に送出することができる。切欠カニューレにより、空気噴射効果が低減する。空気流の噴射は、エネルギーまたは質量保存の連続の式に基づいて低減する。その法則によれば、断面積が増大することは、空気流の速度の低下に等しい。使用者の鼻腔内に送出されるガスの噴射は、鼻腔内の組織を刺激するかまたは損傷させる可能性がある。鼻プロングによって送出されるガス流の速度が低下することにより、使用者の鼻孔内の刺激が低減し、したがって噴射効果が低減する。それはまた、ガスが流れる開口が広いほど拡散量が大きくなるという連続の式からの結果である。
3)ガス流は、使用者の鼻腔に対して概略的には後方方向に(使用者の頭部に対して)向けられる。
【0093】
これらの利点については、後により詳細に説明する。
【0094】
図6および図7に示す経鼻カニューレ装置30は、大容量空気流、高湿度ガス流を患者の鼻腔に送出するのに好適である。好ましい実施形態では、切欠は、プロングの頂部からその長さの半分と2/3との間まで延在することにより、最大切欠を提供する。さらに、切欠の形状(上述したように逆S字型面)が、最大拡散および空気噴射効果の低減を確実にするのに寄与する。
【0095】
従来技術によるカニューレでは、カニューレプロングは、一般に、それらの入口開口(たとえば、プロングの基部がマニホルドに連結される部分)と寸法が実質的に同じである出口開口を有する。上述した本発明のカニューレでは、切欠の寸法および形状は、プロングから出る箇所において気流速度を低下させ、ガスを略後方方向に向けるのに役立つ。これは、意外なほどに使用者の快適さおよび治療法(regime)に対するコンプライアンスを向上させるのにも役立つことが分った。さらに、鼻プロング33、34の切欠41からの呼吸ガス流の速度が低下することは、使用者が可能な限り普通に呼吸するのを確実にするのに役立つ。
【0096】
プロング33、34の切欠による気流速度の低下により、従来技術で一般的であるより高い流速を用いることができる。治療において、高流速は、患者の要求を満たすために好ましい。高流速を用いることにより、可能な場合、吸い込まれる息の容量全体が呼吸ガスからなることが確実になる。しかしながら、高流速であるほど患者の不快が増大しかつ危険な副作用が増大する可能性もあるため、通常、患者の快適さ/安全性と流速との間にトレードオフがなされる。最適であり得るより低い流速を用いて、患者が治療法に従うのに十分快適であることを確実にする。これらより低い流速を用いることは、使用者の息の少なくとも一部、概略的には大部分が、医療ガスによって提供される治療に対して好ましくない可能性のある周囲空気からなることを意味する。比較的高い流速を用いて、加湿医療ガスが高流速で送出されるのを可能にする鼻プロングがあることが有利である。これは、最も効率的かつ有効な治療が患者に提供されることを確実にするのに役立つ。意外なことには、上述したプロング、すなわち切欠部を有するプロングを用いることにより、0L/分をわずかに超える流速ないし80L/分の流速を使用者に送出することができ、初期使用者フィードバックは、不快が低減し治療法コンプライアンスに向かう傾向も増大したことを示唆している。本発明の範囲から逸脱することなく、プロングの寸法を、たとえば新生児への用途で用いるために変更することができ、流速または流量範囲は新生児の用途では大幅に低くなる。環境によっては、最大120L/分の流速を用いることができることが予期される。しかしながら、好ましい範囲は、およそ大人の場合は20L/分ないし50L/分、小児患者の場合は5L/分ないし30L/分、新生児患者の場合は0L/分をわずかに超える値ないし8L/分程度となる。切欠設計は、本来、カニューレおよび患者のサイズが小さいため、1L/分ないし8L/分の流速が非常に高い速度をもたらす、新生児患者(400gm程度に小さい)に用いられる場合に、低流速で有効である。
【0097】
鼻プロング33、34の切欠部41により、鼻プロング33、34は、切欠を有していない従来技術による鼻プロングより変形可能となる。意外なことには、切欠の追加は、ガス送出効率に著しく負の影響を与えることがなく、上述した利点と同様に、鼻プロング33、34を、従来技術によるカニューレプロングより高い程度まで屈曲かつ撓曲させることができ、患者の鼻腔内に快適にフィットすることが分かった。通常、ある範囲の寸法のカニューレを用いることにより、すべての使用者に対するフィット範囲が確実になる。しかしながら、各「層(bracket)」すなわち範囲内で、屈曲または可撓性が高いほど使用者の快適さを向上させるのに役立つ。切欠41により、鼻プロング33、34は、完全に「管状」または円形形状の鼻プロングより可撓性となる。概略的には、使用時、鼻プロングは、鼻粘膜に当接する。他の経鼻カニューレ装置では、鼻プロングは、鼻粘膜に力を加え、この圧力が使用者を刺激し、鼻プロングの装着を不快にする可能性がある。これは、さらには、繊細な鼻組織を損傷する可能性もある。鼻プロング内のガス出口切欠41は、プロングが鼻粘膜組織を押す際、鼻腔内においてプロング33、34により高い程度の可撓性を与える。プロングの撓曲により、鼻粘膜に加わる圧力が低下し、使用者の装着をより快適にしかつより安全にする可能性もある。
【0098】
カニューレ内の切欠部41はまた、カニューレの製造中にも有利である。切欠部41により、カニューレは、ロボットまたは人間の操作者が成形工具からより容易に持ち上げることが可能になる。切欠部41は、カニューレ部品を成形するサイクルタイムを最大半分向上させることができる。
【0099】
補強機構
鼻プロングは、各々、図8に示す補強機構100を有することが好ましく、それは、鼻プロングの前壁の内面に沿って延び、鼻プロングが屈曲および撓曲した後にその元の形状に戻るのに役立つ。機構は、鼻プロングを、鼻プロングに作用している圧縮力または引張力またはその両方に対して強化することが好ましい。機構は、プロングの前壁42の内面に沿って補強背骨部100を有効に形成し、プロングの基部から上方に延在し、プロングの輪郭に沿う。補強機構100は、プロングの側方および回転移動を可能にするように作用し、鼻プロングが圧縮力方向および引張力方向に弾力的に変形するのを可能にし、回復させる力を加えることにより、プロングがその元の形状に戻るのを確実にする。一実施形態では、補強機構は、プロングの基部からプロングの頂部まで延びる上方に延在するビードである。最も好ましい形態では、前壁42の内面に沿ってリブが配置されている。ビードは、プロングの基部からプロングの頂部まで上方に延在する。ビードはプロングの全長に延在し、プロングの輪郭に沿うことが好ましい。別法として、ビードはプロングの高さの一部のみに延在してもよい。別法として、ビードを、前壁の外面に配置してもよい。さらに別の形態では、ビードを、後壁に沿って、後壁の内面または外面のいずれかに配置してもよい。ビードは、異なる材料または同じ材料からプロングの上にオーバーモールドされることが好ましい。補強機構100(この形態ではビード)は、プロングより剛性な材料から形成されることが好ましい。ビードは、共射出成形工程によってプロングに与えられる。共射出成形は、1つの材料からプロングを射出成形し、プロングおよび/またはマニホルドおよび顔面装着部を別の工具に移送し、そこでビード材料をプロングの上に射出成形することを含む。ビードは、プロングを支持する背骨のように作用する。
【0100】
別の形態では、補強機構100は、プロングの基部からプロングの高さに沿って上方に延在しプロングの輪郭に沿うリブであってもよい。リブは、前壁42の内面に位置することが好ましいが、前壁42の外面に位置していてもよい。別法として、リブは、後壁43に位置していてもよい。リブは、後壁43の内面に位置していても外面に位置していてもよい。プロングは、前壁の内面に沿って形成された複数のリブを有することが好ましい。リブは、プロングの全長に延在することが好ましいが、別法として、部分的な長さにのみ延在してもよい。リブは、互いに寸法が同じであることが好ましい。リブは、プロングに沿って等間隔に配置されていることが好ましい。リブは、プロングを支持しプロングの変形を低減する骨格構造を形成する。リブは、ビードについて説明したように共射出成形工程から形成されることが好ましい。リブは、プロングを作製するのに用いた材料より剛性な材料から作製されることが好ましい。
【0101】
プロングはまた、プロングを横切って略水平に延びる一続きのリブ(図示せず)を有していてもよい。リブを、補強構造(たとえばビード)と組み合わせて用いることにより、側方移動および回転移動を可能にしながら、圧縮方向および引張方向に鼻プロングを強化することができる。補強機構100(リブがあってもなくても)は、鼻プロングの前壁42にあることが好ましい。これは、最大の強化を提供するため、かつプロングに用いられる材料が圧縮時に最適に反応するため、有利である。補強機構は、成形工程中に鼻プロングと一体成形されることが好ましい。別法として、補強機構を成形の後に、たとえば接着または超音波溶接によって、鼻プロングに取り付けることができる。機構は、鼻プロングと同じ材料から作製されることが好ましい。別法として、機構またはリブを、別の高分子材料等、堅い材料から作製することができる。
【0102】
補強機構を、別法として、上方から見た場合に後壁43より厚い前壁42を有することによって形成することができる。前壁42の厚さが増大することにより、圧縮負荷および引張負荷の下での強度特性が向上する一方で、プロングの側方移動および回転移動が有効に可能になる。前壁42の方が厚いことにより、鼻プロング33、34が、圧縮力または引張力に晒された場合につぶれたり破れたりしないことが確実になる。
【0103】
従来技術のタイプの「管状」または「円形」鼻プロングにおいて起こり得る問題は、患者の鼻腔内に封止を形成する可能性があることである。封止は、たとえば国際公開第2008/014543号パンフレットに記載されているタイプの鼻ピローを用いる場合、環境によっては望ましいが、他の環境では、患者の呼吸器系内の封止により、患者の鼻孔内に過圧がもたらされることになる可能性がある。この過圧により、気圧障害が発生する可能性があり、その結果、深刻な負傷がもたらされ患者が死に至る可能性もある。それはまた、患者の自然な呼吸すなわち自力の呼吸を妨げる可能性もある。切欠41により鼻プロング33、34に提供されるさらなる可撓性およびより大きい開口寸法は、カニューレが患者の鼻孔内に封止をもたらす危険を最小限にするのに役立つ。しかしながら、封止が望ましい場合があることは留意されるべきであり、好ましい実施形態では、封止するように意図されていない経鼻カニューレ装置について説明したが、鼻プロング33、34または顔面装着部32または両方を、使用者の鼻孔に対して封止するように構成させることができる。しかしながら、これは好ましい形態ではない。
【0104】
側部ストラップ31の可撓性により、ストラップを、使用者の顔の周囲に適合させるように容易に屈曲させ撓曲させることができるため、経鼻カニューレ装置30を使用者の顔の上に容易な固定することができる。好ましい実施形態における開放管状凹部38の可撓性により、開放管状凹部38は、マニホルド部35の周囲に適合し、確実な摩擦嵌合またはスナップ式嵌合をもたらすことができる。顔面装着部32は、信頼性および使用容易性のために、可撓性プラスチック、シリコーンまたはゴム材料の単一片として成形される。
【0105】
図2ないし図10に示す経鼻カニューレ装置および特に鼻プロングは、主に、患者に有利な高湿度および高流速なガスを送出するために有用である。
【0106】
第2実施形態
患者インタフェースの第2実施形態もまた、図1に関連して上述した加湿システムの一部として用いることができる。
【0107】
患者インタフェースの第2実施形態は、概略的には、第1実施形態で上述したものと実質的に同様の頭部固定機構と経鼻カニューレ装置とからなる。頭部固定機構を用いて、患者インタフェースが患者の顔に取り付けられ、使用時に患者インタフェースの位置が正しい位置に維持される。図2および図3に関連して説明した頭部固定機構を、経鼻カニューレの第2実施形態でも用いることができる。別法として、経鼻インタフェースとともに別個の頭部固定機構を用いる必要はない。この頭部固定の別の形態については後述する。別の経鼻カニューレ装置がともに用いられる加湿システムは、上述したものと同様の二次供給導管62を有することができ、それにより、主送出導管3の出口端と経鼻カニューレ装置の主部との間の気体または流体連通が可能となる。しかしながら、この別の形態では、二次供給導管62および主送出導管3を、この文脈では単一「送出導管」とみなすことができる。
【0108】
経鼻カニューレ−第2実施形態
ここで、第2実施形態の経鼻カニューレについて、図12および図13を参照してより詳細に説明する。第2実施形態の経鼻カニューレは、3つの主な部分、すなわち一対の搬送チューブ1201、マニホルド部1202および一対の鼻プロング33、34を備え、一対の鼻プロングの各々1つは搬送チューブの各々に取り付けられており、搬送チューブは、マニホルド部に連結されており、マニホルド部は、上に概説したような送出導管に連結されることにより、ガス流がマニホルド部に送出される。搬送チューブは、二次導管の代わりに用いられる。マニホルド部1202は、YピースコネクタまたはTピースコネクタとして形成される。搬送チューブは、YピースまたはTピースマニホルド部の分岐部に、好ましくは摩擦嵌合で連結されている。別法として、搬送チューブを、ねじ切りまたは接着によってYピースまたはTピースに連結してもよい。さらなる別法では、搬送チューブは、YピースまたはTピースと一体成形される。Yピースコネクタは、二次供給導管からのガス流を搬送チューブの各々に向ける。YピースまたはTピースは剛性な高分子材料からなることが好ましく、材料は、一般的な操作負荷下で容易に変形しないように十分に剛性である。
【0109】
搬送チューブ1201を、頭部固定部に取り付けることができ、またはそれら自体を、頭部固定機構として用いられるように構成させることができる。搬送チューブは、耳の後方に巻きつけられる。搬送チューブは、頭部固定に対する可撓性を可能にする。搬送チューブ1201は、患者の耳に巻き付き、かつ患者が用いるのに快適であるために十分軽量である。搬送チューブの使用により、経鼻カニューレ全体の重量が軽量になる。これは、経鼻カニューレを使用している間の患者の快適レベルを向上させるのに役立つことができる。搬送チューブによってまた、さまざまなサイズの人々が、搬送チューブがその耳の上に配置されるために十分長い限り、経鼻カニューレ装置を使用する。搬送チューブは、マニホルドに連結し、マニホルドとの流体連結を形成する。搬送チューブは、マニホルドに呼吸ガスを供給する。マニホルド1202からは少なくとも1つのプロングが延在しており、プロングは、マニホルド1202からの呼吸ガスを患者の鼻腔に送出する。
【0110】
別の形態では、鼻プロングは、搬送チューブの各々の患者端に取り付けられる。鼻プロングは、搬送チューブ1201から着脱可能であり得る。鼻プロングは搬送チューブに摩擦嵌合で取り付けられることが好ましい。別法として、鼻プロングは搬送チューブにねじ込まれる。別の代替例では、鼻プロングは、工業用接着剤によって搬送チューブに接着されまたは取り付けられる。さらなる別法として、鼻プロングを搬送チューブと一体成形してもよい。
【0111】
この別の形態では、プロングは、好ましいすなわち第1実施形態で上述したプロング33、34と実質的に同じである。各プロングは、後部側(使用時に使用者の顔に最も近い部分)に切欠を有し、それは、好ましい形態では、その縁が逆S字型面の表面に従うようにプロングの各々の後部から切り抜かれている。
【0112】
本発明は、異なる形態の実施形態が可能であるが、特定の実施形態を図面に示しかつ上に詳細に説明した。本開示は、本発明の原理を例示するものとみなされるべきであり、本発明を本明細書で例示し説明したものに限定するようには意図されていない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、鼻腔を介して使用者にガスを供給する経鼻カニューレ装置に関する。本発明はまた、鼻腔を介して患者または使用者にガスを提供するシステムに関する。本発明はまた、鼻腔を介して使用者にガスを供給する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術には、患者にガスを供給する多種多様のインタフェースがある。これらインタフェースは、睡眠障害の治療を受けている人にガス流を送出するため、または、自力で呼吸しているが補助ガスを必要とする使用者にこれら補助ガスを送出するために、しばしば用いられている。これら使用者は、通常、病院の集中治療室(ICU)、他の病室または家庭の睡眠環境でインタフェースを装着する。患者が移動する状況であっても快適であることが、主な考慮事項である。
【0003】
以下は、従来技術において既知であるインタフェースタイプの例である。
【0004】
従来技術には、経鼻カニューレインタフェースがある。典型的な経鼻カニューレインタフェースは、プレナム部、および使用時に使用者の上唇に当接する導入管またはマニホルド部(対称または片側)と、導入管から突出し使用者の鼻孔内に延在して使用時に患者にガスを供給する一対の端部開放プロングと、を有している。常にではないが一般に、これらプロングは、患者の鼻孔に対して封止しないような寸法および形状を有している。経鼻カニューレは、状況によっては有利であるため用いられている。たとえば、患者が正常に呼吸しているが、補助酸素等の補助ガスが必要な状況である。経鼻カニューレの既存の市場には、1分間に0リットルないし5リットルの範囲でガスを送出するのに好適な装置が出回っている。これら装置は、通常、小径(2mmないし3mm範囲)の二重導入管腔によって支持されており、それは、経鼻カニューレの両側を支持し、各鼻プロングに対して均一なまたは等しい空気流を提供する。これら装置は、患者が自力で呼吸している場合、1分間に0リットルないし5リットルの間の乾燥ガス流を送出する場合に有効に機能し、カニューレプロングは使用者の鼻孔に対して封止する必要がない。使用者は、普通に吸い込む際に、カニューレから提供される補助ガスを大気とともに取り込む。
【0005】
鼻孔に対して封止する経鼻カニューレインタフェースの一例は、イノメッド(Innomed)製のナーザル・エア(Nasal−Aire)インタフェースであり、そこでは、ガスが、使用者の鼻から頬を横切り耳を越えて後頭部の周りに延在する導管またはホースによって、インタフェースおよびプロングに提供される。
【0006】
国際公開第2008/060295号パンフレットには、鼻プロングを含む非封止カニューレが記載されている。多くの構成が記載されている。鼻プロングは、患者の鼻腔に空気を送出するように構成されており、記載されているプロングの種々の実施形態は、さまざまな外面的な特徴を有し、センサまたは同様のものがプロング内のガスの特性を測定することができるように、プロングの壁を貫通する通路を有する場合もある。
【0007】
従来技術には、一般的な背景としてここに含まれるが直接には関連しない、他のいくつかのタイプのインタフェースもある。これらについて、下に簡単に概説する。
【0008】
各頬を横切り下って鼻の横を通り上唇の表面に沿って封止する周辺シールを有する経鼻マスク。密閉空間全体が加圧され、治療を受ける人は、密閉空間から加圧ガスを吸い込むことができる。一例は、フィッシャー・アンド・ペイケル・ヘルスケア(Fisher & Paykel Healthcare)が販売するフレキシフィット(Flexifit)405経鼻マスクである。
【0009】
鼻梁を横切って鼻の横を各頬に沿って下方に顎までかつ下唇の下を顎に沿って延在する周辺シールを有する、フルフェースマスク。外周により、鼻および口がともに密閉される。マスク枠内の空間全体が加圧される。治療を受ける人は、鼻または口のいずれかを通して空間から加圧ガスを吸うことができる。一例は、フィッシャー・アンド・ペイケル・ヘルスケア(Fisher & Paykel Healthcare)が販売するフレキシフィット(Flexifit)431インタフェースである。
【0010】
使用者の口内に適合する経口装置を有する経口インタフェース。一例は、フィッシャー・アンド・ペイケル・ヘルスケア(Fisher & Paykel Healthcare)オラクル(Oracle)インタフェースである。
【0011】
使用時に使用者の鼻孔の周縁を封止し、かつ使用者の鼻腔に加圧ガス流を送出するように意図された鼻ピロー。国際公開第2008/014543号パンフレットには、多数の異なるタイプの鼻ピローが記載されかつ示されている。
【0012】
本明細書では、特許明細書、他の外部文書または他の情報源に言及しているが、この言及は、概略的には、本発明の特徴を説明するための背景を提供することを目的としている。特に明記しない限り、こうした外部文書への参照は、いかなる権限においても、こうした文書またはこうした情報源が従来技術であり、または本技術分野における共通の一般知識の一部を形成すると認めるものと解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、従来技術の不都合を克服するのに役立つか、または少なくとも業界および公衆に有用な代替物を提供する、経鼻インタフェースを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本明細書で用いる用語「〜を具備する、備える、有する(comprising)」は、「少なくとも部分的に〜からなる」ことを意味する。本明細書において用語「〜を具備する、備える、有する」を含む各表現を解釈する場合、それ以外の特徴またはその用語の前にくる特徴もまた存在し得る。「〜を具備する、備える、有する(comprise、comprises)」等の関連用語も同様に解釈されるべきである。
【0015】
第一態様では、本発明は、概略的には、呼吸ガスを患者に送出するシステムの一部として用いられる経鼻カニューレ装置であって、前記システムが、使用時に使用者の鼻孔にガス流を提供するように構成されたガス源と、使用時に前記ガス源と前記経鼻カニューレ装置との間を連結する送出導管と、を有するタイプである経鼻カニューレ装置であり、
使用時に前記送出導管との流体連結を形成するように構成されたガス入口マニホルド部であって、それによって、前記ガス流が前記マニホルド部に送出されるガス入口マニホルド部と、
前記ガス入口マニホルド部と流体連結し、前記使用者の鼻孔内に挿入されるように構成された、少なくとも1つ、好ましくは一対の鼻プロングであって、前記ガス流が前記ガス入口マニホルド部内および前記鼻プロング内を通過する鼻プロングと、を備え、
前記鼻プロングが、その後側にガス出口切欠(cut−out)を有し、前記ガス出口切欠が、前記ガスが前記プロングに入る箇所またはその近くでの前記プロングの断面積より大きい断面積を有する経鼻カニューレ装置にある。
【0016】
第2態様では、本発明は、概略的には、患者に呼吸ガスを送出するシステムであって、
ガス流を提供するように構成されたガス源ユニットと、
患者インタフェースと、
前記ガス源から呼吸ガスを受け取りかつ前記ガス源からの呼吸ガスを前記患者インタフェースに搬送するように構成された、二次ガス入口導管を有していてもいなくてもよい送出導管と、
経鼻カニューレ装置であって、
使用時に前記送出導管との流体連結を形成するように構成されたガス入口マニホルド部であって、それによって、前記ガス流が前記マニホルド部に送出されるガス入口マニホルド部と、
前記ガス入口マニホルド部と流体連結し、前記使用者の鼻孔内に挿入されるように構成された、少なくとも1つ、好ましくは一対の鼻プロングであって、前記ガス流が前記ガス入口マニホルド部内および前記鼻プロング内を通過する、鼻プロングと、を備え
前記鼻プロングが、その後側にガス出口切欠を有し、前記ガス出口切欠が、前記ガスが前記プロングに入る箇所またはその近くでの前記プロングの断面積より大きい断面積を有する、経鼻カニューレ装置と、を備えるシステムである。
【0017】
第3態様では、本発明は、概略的には、呼吸ガスを患者に送出するシステムの一部として用いられる経鼻カニューレ装置であって、前記システムが、ガス流を提供するように構成されたガス源と、使用時に前記ガス源と前記経鼻カニューレ装置との間を連結する送出導管と、を有するタイプである、経鼻カニューレ装置であり、
前記送出導管の一端に連結されたマニホルド部であって、それにより、使用時に前記ガス流が前記送出導管から前記マニホルド部に送出されるマニホルド部と、
前記マニホルド部に連結された一対の搬送チューブであって、それにより、前記ガス流が前記マニホルド部から前記搬送チューブに送出される搬送チューブと、
各々前記搬送チューブの各々に連結された一対の鼻プロングであって、患者の鼻孔内に挿入されるように構成され、前記ガス流が、搬送チューブおよび鼻プロングを通って患者の鼻孔内に進む、鼻プロングと、を備え、
前記鼻プロングの各々が、その後側にガス出口切欠を有し、前記ガス出口切欠が、前記ガスが前記プロングに入る箇所またはその近くにおける前記プロングの断面積より大きい断面積を有する経鼻カニューレ装置である。
【0018】
第4態様では、本発明は、概略的には、呼吸ガスを患者に送出するシステムの一部として用いられる経鼻カニューレ装置であって、前記システムが、使用時に使用者の鼻孔にガス流を提供するように構成されたガス源と、使用時に前記ガス源と前記経鼻カニューレ装置との間を連結する送出導管と、を有するタイプである、経鼻カニューレ装置であり、
使用時に前記送出導管との流体連結を形成するように構成されたガス入口マニホルド部であって、それによって、前記ガス流が前記マニホルド部に送出される、ガス入口マニホルド部と、
前記ガス入口マニホルド部と流体連結し、使用時に前記患者の鼻孔内に挿入されるように構成された、少なくとも1つ、好ましくは一対の鼻プロングであって、前記ガス流が使用時に前記ガス入口マニホルド部および前記鼻プロング内を通って前記使用者の鼻孔内に進む、鼻プロングと、を備え、
前記鼻プロングの各々または両方が、その後側にガス出口切欠を有し、前記ガス出口切欠が、前記ガスが前記プロングに入る箇所またはその近くでの前記プロングの断面積より大きい断面積を有し、前記プロングの前記少なくとも一方または両方が、前記プロングを出るガスの速度が、前記プロングに入る箇所またはその近くにおけるガスの速度に比較して低下するような形状である、経鼻カニューレ装置である。
【0019】
第5態様では、本発明は、概略的には、呼吸ガスを患者に送出するシステムの一部として用いられる経鼻カニューレ装置であって、前記システムが、使用時に使用者の鼻孔にガス流を提供するように構成されたガス源と、使用時に前記ガス源と前記経鼻カニューレ装置との間を連結する送出導管と、を有するタイプである経鼻カニューレ装置であり、
使用時に前記送出導管との流体連結を形成するように構成されたガス入口マニホルド部であって、それによって、前記ガス流が前記マニホルド部に送出されるガス入口マニホルド部と、
前記ガス入口マニホルド部と流体連結し、使用時に前記患者の鼻孔内に挿入されるように構成された、少なくとも1つ、好ましくは一対の鼻プロングであって、前記ガス流が前記ガス入口マニホルド部および前記鼻プロングを通って前記使用者の鼻孔内に進む、鼻プロングと、を備え、
前記鼻プロングの各々または両方が、その後側にガス出口切欠を有し、前記ガス出口切欠が、前記ガスが前記プロングに入る箇所またはその近くでの前記プロングの断面積より大きい断面積を有し、前記鼻プロングの前記少なくとも一方または両方が、前記ガス流が概略的には前記患者の鼻腔の後方に向かって向けられるような、形状であるか、寸法であるか、または形状でありかつ寸法である経鼻カニューレ装置である。
【0020】
第6態様では、本発明は、概略的には、治療の目的で使用者にガス流を提供する方法であって、
1.前記使用者に経鼻カニューレ装置を装着させるステップと、
2.前記経鼻カニューレ装置を、使用時に前記経鼻カニューレ装置を前記使用者の適所に保持する患者インタフェースに連結するステップと、
3.ガス流を提供するように構成されたガス源と、使用時に前記ガス源と前記経鼻カニューレ装置との間を連結する送出導管と、を備えるタイプのガス送出システムに、前記患者インタフェースを連結するかまたは別法として前記経鼻カニューレ装置を直接連結し、前記システムを用いてガス流を前記経鼻カニューレ装置に送出するステップと、
を含み、
前記経鼻カニューレ装置が、
使用時に前記送出導管との流体連結を形成するように構成されたガス入口マニホルド部であって、それによって、前記ガス流が前記マニホルド部に送出される、ガス入口マニホルド部と、
前記ガス入口マニホルド部と流体連結し、前記使用者の鼻孔内に挿入されるように構成された、少なくとも1つ、好ましくは一対の鼻プロングであって、前記ガス流が前記ガス入口マニホルド部内および前記鼻プロング内を通過する、鼻プロングと、を備え、
前記鼻プロングが、その後側にガス出口切欠を有し、前記ガス出口切欠が、前記ガスが前記プロングに入る箇所またはその近くでの前記プロングの断面積より大きい断面積を有する方法である。
【0021】
第7態様では、本発明は、概略的には、呼吸ガスを患者に送出するシステムの一部として用いられる経鼻カニューレ装置であって、前記システムが、使用時に使用者の鼻孔にガス流を提供するように構成されたガス源と、使用時に前記ガス源と前記経鼻カニューレ装置との間を連結する送出導管と、を備えるタイプである、経鼻カニューレ装置であり、
使用時に前記送出導管との流体連結を形成するように構成されたガス入口マニホルド部であって、それによって、前記ガス流が前記マニホルド部に送出される、ガス入口マニホルド部と、
前記ガス入口マニホルド部と流体連結し、使用時に前記患者の鼻孔内に挿入されるように構成された、少なくとも1つ、好ましくは一対の鼻プロングであって、前記ガス流が、使用時に前記ガス入口マニホルド部および前記鼻プロングを通って前記使用者の鼻孔内に進み、前記鼻プロングの各々または両方が、その後側にガス出口切欠を有し、前記ガス出口切欠が、前記ガスが前記プロングに入る箇所またはその近くでの前記プロングの断面積より大きい断面積を有し、前記鼻プロングの前記少なくとも一方または両方が、前記プロングを出るガスの速度が、前記プロングに入る箇所またはその近くにおけるガスの速度に比較して低下するような形状であり、前記ガス流が概略的には患者の鼻腔の後方に向かうように向けられる鼻プロングと、を備える経鼻カニューレ装置である。
【0022】
好ましくは、前記カニューレ装置は、使用時に使用者の顔に当接する顔面装着部を有し、前記顔面装着部から一対の側部ストラップが延在する。
【0023】
好ましくは、前記顔面装着部は、使用時に、使用者の顔に当接することにより、前記カニューレ装置を前記患者の顔の上で安定させる。
【0024】
好ましくは、前記切欠が、前記鼻プロングに沿った中間点と2/3の箇所との間に延在し、前記切欠が、前記鼻プロングの頂部端部から測られる。
別法として、前記切欠は、前記鼻プロングに沿って中間点まで達しない箇所に延在し、前記切欠が前記鼻プロングの頂部端部から測られる。
別法として、前記切欠は、前記鼻プロングの全長に延在する。
好ましくは、前記切欠は、3mmと15mmとの間の高さを有する。
【0025】
好ましくは、前記切欠は、前記経鼻カニューレ装置の後方から見て、形状が楕円形である。
別法として、前記切欠は、前記経鼻カニューレ装置の後方から見て、形状が矩形である。
別法として、前記切欠は、前記経鼻カニューレ装置の後方から見て、形状が三角形である。
【0026】
好ましくは、前記鼻プロングは、前記顔面装着部を二分する垂直平面線に対して内側に5度と20度との間の角度が付けられている。
好ましくは、前記鼻プロングは、前記顔面装着部を二分する垂直平面線に対して内側に15度の角度が付けられている。
【0027】
好ましくは、前記ガス出口切欠の縁は、実質的に逆S字型を有する面に従う形状の切欠であり、前記S字型が実質的に垂直に位置合せされる。
【0028】
好ましくは、前記面の下縁は、前記プロングの後部を横切って前記切欠を形成し、前記面が理想の切欠形状を得るために逆S字型である。
【0029】
好ましくは、前記少なくとも1つの鼻プロングは補強機構を有する。
好ましくは、前記補強機構は、前記鼻プロングの正面に位置し、鼻プロングが圧縮力または引張力でつぶれるのを防止するのに役立つように構成される。
【0030】
好ましくは、前記補強機構は、前記鼻プロングの正面に沿ってその少なくとも一部に延びる実質的に垂直な畝または背骨部として形成される。
【0031】
別法として、前記少なくとも1つの鼻プロングは、前記鼻プロングが引張力または圧縮力の下でつぶれるのを防止するのに役立つように、前記鼻プロングの前壁の内面に補強機構を有する。
【0032】
好ましくは、前記少なくとも1つの鼻プロングは、前記鼻プロングの正面を横切って延びる少なくとも1つ、好ましくは複数のリブを有する。
好ましくは、前記少なくとも1つのリブまたは複数のリブは、前記鼻プロングの正面の外面を横切って延びる。
【0033】
好ましくは、前記鼻プロング壁の壁の正面部分は、鼻プロング壁の壁の背面部分より厚い。
好ましくは、前記機構またはリブまたは両方は、鼻プロングと一体成形される。
【0034】
別法として、前記機構またはリブまたは両方は、前記プロングが成形された後に前記プロングに個別に取り付けられる。
【0035】
好ましくは、前記経鼻カニューレ装置は、ヘッドギア固定組立体が前記経鼻カニューレ装置に連結されるのを可能にするように構成された側部ストラップをさらに有し、それにより、前記経鼻カニューレ装置を、使用時に前記患者頭部に固定することができる。
【0036】
好ましくは、前記顔面装着部、前記少なくとも1つの鼻プロング、および前記側部ストラップの少なくとも一部は、可撓性高分子材料、たとえば熱可塑性エラストマーまたはシリコーンから形成される。
【0037】
好ましくは、前記機構またはリブまたは両方は、前記鼻プロングと同じ材料から作製される。
【0038】
好ましくは、前記鼻プロングの前記少なくとも一方または両方は、前記ガス流が概略的には患者の鼻腔の後方に向かって向けられるような、形状であるか、寸法であるか、または形状でありかつ寸法である。
【0039】
好ましくは、少なくとも一方または両方の鼻プロングは、前記プロングを出るガスの速度が、前記プロングに入る箇所またはその近くにおけるガスの速度に比較して低下するような形状である。
【0040】
好ましくは、前記鼻プロングの少なくとも一方または両方は、使用時に上方にかつ使用者に向かって後方に湾曲し、前記切欠は、前記プロングの後部および頂部に沿って細長い形状を有し、それにより、前記ガス流が概略的には前記患者の鼻腔の後方に向けられ、噴射効果が低減する。
【0041】
好ましくは、前記鼻プロングは、使用時に使用者の鼻孔と実質的気密封止を形成しないような形状および寸法である。
【0042】
好ましくは、鼻プロングは、患者に高流量医療ガスを送出するのに好適であり、それにより、患者が吸い込む息のかなりの部分が、鼻プロングからの呼吸ガスと最低限の割合の周囲空気を含む。
【0043】
好ましくは、前記マニホルド部はYピースまたはTピースである。
好ましくは、前記鼻プロングは搬送導管と一体化している。
【0044】
本発明はまた、個々にまたはまとめて本出願の明細書で言及しまたは示唆した部品、要素および特徴、ならびに、上記部品、要素または特徴のうちの任意の2つ以上の任意のまたはすべての組合せにあると広く言うことができ、本明細書において、本発明が関連する技術分野において既知の等価物を有する所定の完全体について言及する場合、そうした既知の等価物は、個々に示されているかのように本明細書に包含されていると考えられる。
【0045】
本明細書で用いる用語「〜を具備する、備える、有する(comprising)」は、「少なくとも部分的に〜からなる」ことを意味する。本明細書において用語「〜を具備する、備える、有する」を含む各表現を解釈する場合、それ以外の特徴またはその用語の前にくる特徴もまた存在し得る。「〜を具備する、備える、有する(comprise、comprises)」等の関連用語も同様に解釈されるべきである。
【0046】
本発明には異なる形態の実施形態も可能であるが、所定の実施形態を図面に示しかつ詳細に説明する。本開示は、本発明の原理を例示するものとみなされるべきであり、本発明を本明細書に例示し説明するものに限定するようには意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】ブロワユニット、ガス源ユニットに気体連結されている加湿器ユニット、加湿器ユニットの出口に連結されているガス供給導管、および患者インタフェースを有する呼吸加湿システムを示し、患者インタフェースは、ガス供給導管と使用者との間を連結し、それにより、患者インタフェースを介して呼吸加湿システムからガスを使用者に提供することができ、患者インタフェースは経鼻カニューレを有する。
【図2】使用者に対して使用している患者インタフェースの好ましい実施形態の斜視図であって、患者インタフェースの好ましい形態は、ガス供給導管の出口端と経鼻カニューレとの間を連結する二次供給導管と、使用時に患者の首の周りに輪を作り、供給導管に出口端でまたはその近くで連結することにより、使用時に供給導管の重量を支持するネクタイまたはラニヤードと、を有し、患者インタフェースはまた、使用時に患者インタフェースを患者の頭部に固定する頭部ストラップも有する。
【図3】使用中の患者インタフェースの代替実施形態の正面図および側面図を示し、この代替形態は、使用時に使用者の耳の周囲で輪を作ることにより、使用時に患者インタフェースを使用者の顔の適所に保持する、一対の耳ストラップを有する。
【図4】経鼻カニューレの最も好ましい形態の正面から一方の側への斜視図を示し、好ましい形態の経鼻カニューレは顔面装着部およびマニホルド部を有し、マニホルド部は顔面装着部から取外し可能であり、二次供給導管がマニホルド部に連結されている。
【図5】マニホルド部が顔面装着部から取り外されている図4の患者インタフェースを示す。
【図6】経鼻カニューレの好ましい形態の顔面装着部の好ましい形態の正面から一方の側への斜視図を示し、顔面装着部は、マニホルド部を受け入れるように構成された部分と、顔面装着部から延在する一対の鼻プロングと、を有している。
【図7】経鼻カニューレの顔面装着部の好ましい形態の後方から一方の側への斜視図を示し、顔面装着部から一対の鼻プロングが延在しており、鼻プロングの各々はその背面の上方部にガス出口切欠を有している。
【図8】ガス出口切欠を明確に示す、図6のマニホルド部の真後ろからの図を示す。
【図9】経鼻カニューレの好ましい形態の顔面装着部の好ましい形態の平面図を示し、顔面装着部を二分する垂直面に対する鼻プロングの好ましい内側角度と、好ましい形態において切欠部の周縁部を画定する面の好ましい位置合せと、を示す。
【図10】好ましい実施形態の経鼻カニューレの背面斜視図であり、表面の好ましい形態および配置を示す。
【図11】好ましい実施形態の経鼻カニューレの下からの図を示す。
【図12】経鼻カニューレの代替実施形態を示し、カニューレは、マニホルドから延在し使用者の耳の周囲に輪を作る2つの搬送チューブと、各搬送チューブの端部に連結されたプロングと、を備えたマニホルドを有する。
【図13】経鼻カニューレのさらなる代替実施形態を示し、そこでは搬送チューブはマニホルドから延在し、搬送チューブは、顔面装着部とその顔面装着部から延在するプロングとに連結している。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、経鼻カニューレ装置の好ましい形態について、医療ガスシステムで使用される患者インタフェースの一部としての使用に関連して説明する。経鼻カニューレ装置を、使用時にガス源からガス流を患者に提供する好適ないかなる装置とも使用することができることが留意されるべきである。たとえば、使用者に補助酸素を提供するシステムの一部として用いることができ、酸素は、ガス容器または壁の吹出し口等のガス源から提供される。しかしながら、本装置は、患者または使用者に加熱され加湿されたガス流を提供するシステムに最も適している。経鼻カニューレは、家庭でまたは病院環境での使用に好適である。経鼻カニューレの寸法を、サイズの異なる使用者に用いるために変更することができる(比率は概略的には同じのままである)。たとえば、大人の使用者と幼児の使用者とに対して2つ(またはそれより多く)の異なる寸法を提供することができ、それは依然として本発明の範囲内にある。
【0049】
第1実施形態
図1を参照すると、経鼻カニューレ装置の好ましい第1実施形態で用いられ得る呼吸加湿システムが示されている。患者または使用者1は、経鼻カニューレ装置を含みかつ後に詳細に説明する患者インタフェース20を介して、加湿ガス流を受け取っている。患者インタフェース20は、送出導管3に連結されており、送出導管3は、加湿器ユニット2と患者インタフェース20との間に連結されている。加湿器ユニット2は、使用時に水6を収容する加湿チャンバ5と基部ユニット8とから構成されている。加湿チャンバ5の好ましい実施形態は、プラスチック材料から形成され、好ましい実施形態では、加湿器基部ユニット8の加熱器プレート7と直接接触している伝熱性基部(たとえばアルミニウム)を有している。加湿器基部ユニット8には、好ましい実施形態では、制御機構または電子コントローラ9が設けられており、それは、関連するメモリに格納されているコンピュータソフトウェアコマンドを実行するマイクロプロセッサベースのコントローラを含む。
【0050】
図1に示す好ましい形態では、加湿器2はガス源ユニット15からガスを受け取り、ガスは、チャンバ5を通過する際に加熱され加湿される。上に概説したように、ガス源ユニット15を、壁の吹出し口またはガス容器に置き換えてもよくまたはそれで補ってもよい、ということが留意されるべきである。ガス源ユニットは、ガス容器、ガス混合器、ベンチュリ装置または標準のブロワユニット、あるいはガス流を供給する他の任意の好適なシステムまたは装置であってもよい。加湿ガスは、加湿器2から送出導管3を通って患者インタフェース20により患者まで流れる。
【0051】
経鼻カニューレで用いられるシステムでは、加湿器の使用は必須ではなく、すなわち、必要な場合はガス流は乾燥し非加熱であり得ることが留意されるべきである。経鼻カニューレを用いることにより、さまざまなタイプの治療を提供することができる。治療の好ましい形態については後述する。一般に、呼吸ガス送出システムを経鼻カニューレと用いることができる。本明細書で説明する呼吸加湿は、単に、経鼻カニューレをともにまたは一部として用いることができる治療およびシステムのタイプの一例である。
【0052】
コントローラ9は、ダイアル10を介してユーザ入力等の入力を入力源から受け取る。ダイアル10により、装置の使用者は、たとえば、患者1に供給されるガスの湿度または温度の予め定められた必要な値を設定することができる。コントローラ9は、ユーザ入力またはセンサのような他の任意のあり得る入力装置(たとえば、図示しない温度センサまたは湿度センサ)からの入力に応じて、加湿チャンバ5内の水6を加熱するために加熱器プレート7に通電する時およびレベルを確定する。加湿チャンバ5内の水6が加熱されると、水蒸気が加湿チャンバ5の残りの容量を満たし始める。ブロワユニット15から加湿器ユニット2に提供されるガスは、加湿チャンバ5の水6の表面の上方に入り、加湿チャンバ5を通過する際にその中の水蒸気によって加湿される。加熱され加湿されたガスは、出口4から加湿チャンバ5を出て、送出導管3によって患者インタフェース20に移送される。
【0053】
ブロワ15の好ましい形態には、ブロワ入口17から空気または他のガスを引き込む可変速ポンプまたはファン12が設けられている。ポンプまたはファン12の速度は、好ましい実施形態では、別の制御装置18によって制御される。別法として、ポンプまたはファン速度の制御を、コントローラ9が行ってもよい。ファンコントローラ18もまた、システムのセンサから入力を受け取るか、または制御パネルまたは制御ユニット19からユーザ入力を受け取るように構成され得る。上述したように、ブロワユニット15を、ガス容器または中央ガス源に接続された壁取付吹出し口等のガス源で補うか、またはそれに置き換えることも可能である。
【0054】
送出導管3の好ましい形態は、導管3内で発生する加湿ガスの結露(「水滴降下(rain out)」)を防止するために加熱要素11を有している。
【0055】
加湿システムの好ましい形態について上述し、経鼻カニューレを、患者インタフェース20の一部として含まれるものとして説明した。ここで、経鼻カニューレについて、特に図2ないし図5を参照してより詳細に説明する。
【0056】
患者インタフェース
図2は、図1の患者インタフェース20の第1実施形態をより詳細に示す。患者インタフェース20は、概略的には、頭部固定機構および経鼻カニューレ装置30からなり、ガス入口導管または二次供給導管62も有している。頭部固定機構によって、使用者は、経鼻カニューレ装置30を正しい動作位置に配置し保持することができる。ガス入口導管または二次供給導管62は、主送出導管3の出口端と経鼻カニューレ装置30との間に流体または気体連結を形成することにより、主送出導管と経鼻カニューレ装置との間に流体またはガスが流れるのを可能にする。二次供給導管と経鼻カニューレ装置30の主な部分の詳細とについては後に詳細に説明する。
【0057】
頭部固定
患者インタフェース20の一部を形成する頭部固定機構の好ましい形態および代替形態について、特に図2および図3を参照して説明する。図2は、頭部固定機構の好ましい形態を示し、図3は、頭部固定機構の代替実施形態を示す。
【0058】
好ましい実施形態では、患者インタフェース20は、図2に示すように、前部ストラップ50と後部ストラップ53aおよび頂部ストラップ53bとにより患者の頭部または顔に固定される。前部ストラップ50は、使用時、経鼻カニューレ装置30と連結し、後部ストラップ53aおよび頂部ストラップ53bは前部ストラップ50と連結し、後部ストラップ53aは使用時に患者の頭部の頂部および後部に巻き付く。頭部ストラップ装置の最も好ましい形態は、寸法および頭部形状の異なる患者が経鼻カニューレ装置30を使用することができるように調整可能である。たとえば、患者が頭部ストラップ53を緩めるかまたは締めるのを可能にする調整バックル54を含めることができる。
【0059】
別法として、患者インタフェースは、前部ストラップ50と、前部ストラップ50に取り付けられた単一の後部ストラップ53aとによって患者の頭部および顔に固定される。後部ストラップを、バックル54を介して前部ストラップ50に取り付けてもよく、または別法として、後部ストラップ53aは、前部ストラップ50と一体であってもよい。バックル54により、患者は、快適なフィットを達成するために、側部ストラップを緩めるかまたは締めることができる。別法として、一体型前部・後部ストラップは弾性であり、患者の頭部の上で引っ張ることができる。ストラップの弾性により、頭部に力が加わり、使用時に経鼻インタフェースが最適な位置で保持される。弾性側部ストラップ50、53aを調整バックル54と用いることができ、または弾性側部ストラップ50、53aを、バックル54なしでそれらのみで用いてもよい。
【0060】
頭部ストラップ装置はまた、二次供給導管62を入口端にまたはその近くで保持し支持するループ55を有していてもよい(後に詳細に説明する)。
【0061】
患者インタフェース20とともにネクタイまたはラニヤード63を提供してもよい。図2は、ネクタイまたはラニヤード63の一例を示す。好ましい実施形態では、ネクタイまたはラニヤード63は、ガス入口導管62に、または送出導管3とガス入口導管62との間の連結部にまたはその近くの位置に連結されており、使用時に送出導管3およびガス入口導管62の重量を支持する。ネクタイ63とともにトグル64を設けることにより、ネクタイの長さを調整することができる。トグル64により、ネクタイ63は、いかなるサイズの患者が患者インタフェース20を使用するのにも適するようになる。ネクタイ63は、使用時に送出導管3の重量を支持し、それにより、重量が使用者の顔面または経鼻カニューレ装置30にかからない。ネクタイ63を用いることにより、送出導管3およびガス入口導管62の結合した重量が、経鼻カニューレ装置30を引っ張ることがなく、鼻プロング33、34が鼻腔の敏感な裏(lining)に干渉するか、あるいは使用時にずれたり向きを変えたりするのを防止するのに役立つ。ネクタイまたはラニヤード63の好ましい実施形態は、使用者の絞扼を防止するように首の周囲でゆるくフィットしている。ラニヤード63はまた、送出導管3およびガス入口導管62を支持する好都合な方法も提供する。これは、患者が、導管3を強く引いたり引っ張ったりすることなくベッドの中で向きを変えるのを可能にし、ガス入口導管62が毛布の下で過熱しないようにするのに役立つ。最も好ましい形態では、ネクタイまたはラニヤード63はクリップを有しており、それによって、ラニヤードを、使用者が、ネクタイ63を使用者の首の周りに配置し固定するために開閉することができる。クリップは、互いにスナップ嵌合する雄および雌コネクタを備えている。クリップは、ネクタイ63の一端を引くことによって取り除かれる。クリップは、容易に取外し可能であり、使用者がネクタイの一方の側を引っ張ると外れて「分離する」。これにより、緊急の状況で、ネクタイ63を迅速に取り除くことができる。
【0062】
図3に、頭部固定機構の代替実施形態を示す。患者の頭部に、経鼻カニューレ装置30が、耳掛けループ66を利用して固定されている。ループ66は、患者の耳に掛かってカニューレ装置30の重量を支持するように構成されている。ループは、経鼻カニューレ装置の側部ストラップ31(後述する)によって経鼻カニューレ装置に取り付けられている。耳ループは、ストラップ31に対して水平方向に摺動可能である。水平移動が可能であることにより、使用者は、耳ループの締りを調整して、経鼻カニューレ装置が使用者の顔の上に快適にかつ正しくフィットするようにするのを確実にすることができる。ループ66は、経鼻カニューレ装置30の重量を支持し、それにより、使用者の鼻腔に、経鼻カニューレ装置30の重量による過度な応力がかからない。ループによって、カニューレ装置30は、装着がより快適になる。
【0063】
ガス入口導管
ここで、二次供給導管62について詳細に説明する。二次供給導管62は、主送出導管3の出口と経鼻カニューレ装置30との間に延びる短い導管または配管である。使用時、ガスは、主送出導管3を出て、二次供給導管62に入り、二次供給導管62に沿って患者まで進む。二次供給導管62等の二次導管が用いられる1つの理由は以下の通りである。すなわち、主送出導管3は、ある程度長い距離(加湿器ユニット2から患者に近い箇所まで)ガスを搬送するために用いられるため、比較的重くかつ扱い難い。したがって、主送出導管3は、つぶれることなくそれ自体の重量を支持するために十分強固な壁を有することが必要である。したがって、主送出導管3は比較的長い(たとえば8フィートないし10フィート)ため、この余長およびより厚い壁の構造により、主送出導管3の重量が加算される。主送出導管3の出口が、使用者1がこの重量を支持する必要があるように患者インタフェースに直接連結される場合、これによって、使用者に作用している主送出導管の重量により使用者に不快感がもたらされる可能性がある。主送出導管3の出口と患者インタフェース20との間に延びるより軽量で短い二次導管(たとえば二次供給導管62)が用いられる。二次供給導管62は、主送出導管3より軽量でかつ短く、上に概説したように、概略的には、たとえば二次供給導管62にまたは主送出導管3と二次供給導管62との間の連結部に連結されるネクタイまたはラニヤード63とともに用いられ、使用時に主送出導管3および二次供給導管62の重量を支持する。
【0064】
主送出導管3の出口と二次供給導管62の入口との間の連結部は、患者の近くに配置され、それにより、経鼻カニューレ装置30に対するねじれまたは引張りが低減し、主送出導管3に設けられる加熱要素11による患者に近接したあり得る熱問題または過熱が低減する。加熱されない二次供給導管62における凝縮物の形成を低減するために、透湿特性を有する導管を提供することができる。二次供給導管62を、主送出導管3と一体的に形成することができ、または何らかの連結機構によって取り付けてもよく、それにより、主送出導管3から二次供給導管62を取り外すことが可能になる。連結機構は、ねじ型コネクタまたは摩擦掛止機構であり得る。二次供給導管を、好ましくは、水蒸気が供給導管を通って周囲空気内に入るのを可能にする一方で、液体水または呼吸ガスが供給導管から出るのを実質的に防止する、通気性材料から作製することができる。供給導管は、その長さに沿って通気性材料の領域を有していてもよく、または別法として、導管壁全体が通気性であってもよい。材料は、その組成、物理的構造またはそれらの組合せにより通気性であってもよい。これら通気性材料を通る水蒸気透過の機構は、非常に多く、本技術分野において既知である。供給導管壁の1つまたは複数の通気性領域の目的は、水蒸気が特定の排出位置とは無関係にガス経路から出るのを可能にすることである。これにより、加湿された呼吸ガスを、それらが呼吸管内に流れている間に乾燥させる(水蒸気を周りの周囲空気に送出することにより)ことによって、呼吸管内の結露の蓄積が低減する。こうした材料の一例は、シンパテックス(SYMPATEX(商標))またはゴアテックス(GORETEX(商標))またはナフィオン(NAFION(商標))等である。
【0065】
短い二次供給導管62を提供する結果、ガスの湿気の大部分が患者に搬送され、かつ、凝縮物の形成が低減されながら、短い二次供給導管の通気性壁を通る湿気の損失が少なくごくわずかとなる。
【0066】
ここで、経鼻カニューレおよびそのさまざまな特徴についてより詳細に説明する。
【0067】
経鼻カニューレ
ここで、患者インタフェース20の一部を形成する経鼻カニューレ30の好ましい形態について、特に図4、図5、図6、図7、図8、図9および図10を参照してより詳細に説明する。
【0068】
好ましい形態の経鼻カニューレ30は2つの主な部分、すなわちマニホルド部35および顔面装着部32を備えている。ここで、これら2つの部分の好ましい実施形態について、特に図4および図5を参照して説明する。
【0069】
マニホルド部
好ましい形態では、マニホルド部35は、使用時、上述したように二次供給導管62に連結されそれと流体連通する。しかしながら、代替実施形態では、それを主送出導管3に直接連結することができる。本明細書では「ガス入口マニホルド部」という句を用いるが、これは、必要に応じて、二次供給導管62と組み合わされたマニホルド部35かまたは単にマニホルド部35を意味するように解釈されるべきである。
【0070】
また、図4および図5に示す好ましい形態は、マニホルド部35を、経鼻カニューレ30の残りの部分から着脱可能であるように示すことも留意されるべきである。しかしながら、マニホルド部35を、好ましいかまたは必要な場合は経鼻カニューレ30の一体部分として形成することも可能であり、すなわち、それによりマニホルド部35および顔面装着部32(後述する)は1つの物品となる。
【0071】
マニホルド部35の好ましい形態は、形状が略管状であり、細長い楕円形出口37まで湾曲している一方の側に実質的に円形の入口59を有し、出口37は、入口59に対して垂直であるようにマニホルド部35の一方の側に形成されている。円形入口59は、好ましい形態では、二次供給導管62からのガスがマニホルド部35内を流れることができるように、二次供給導管62の患者側端部を受け入れる(入口59は別法として楕円形または他の任意の好適な形状であってもよく、円形である必要はない)。好ましい実施形態では、マニホルド部35は二次供給導管62と一体化されている(すなわち、使用時に繰返し取り外され交換されるようには意図されていないが、必要な場合は取り外すことができる)が、別法として、マニホルド部35を二次供給導管62に取外し可能に取り付けることができる。マニホルド部35は顔面装着部32と係合し、それにより、ガスは、出口37を通過し、二次供給導管62から鼻プロング33、34(後に詳細に説明する)を通って患者2まで移動することができる。
【0072】
好ましい実施形態では、マニホルド部35は、比較的高い負荷状態下でのみ変形する(すなわち、使用者の手で容易につぶすことができない)硬質プラスチック材料から製造される。マニホルド部35を、成形し、射出成形し、機械加工し、または鋳造してもよい。
【0073】
マニホルド部35は、使用時、顔面装着部32に連結され、それによりマニホルド部35から出るガスが顔面装着部32に入る。本明細書の文脈における「連結される」という用語は、必要に応じて「着脱可能な」または「一体化している」のいずれかを意味するものと解釈されるべきである。ここで、顔面装着部について詳細に説明する。
【0074】
顔面装着部
顔面装着部32は鼻プロング33、34を有しており、そのため、顔面装着部32を通過するガスは鼻プロング33、34に入ることができ、患者1に送出されることが可能である。鼻プロング33、34の好ましい形態は、互いに平行に延在し、顔面装着部32から上方にかつ内側に湾曲している。好ましい実施形態では、各鼻プロングは、顔面装着部の中心から等距離である。プロング33、34の構造については後に詳細に説明する。
【0075】
好ましい実施形態の顔面装着部32は、図4および図5に示すように互いに一体的に成形された側部ストラップ31および開放管状凹部38を有している。開放管状凹部38は、顔面装着部32の下方に延在し、マニホルド部35を受け入れるように構成されている(顔面装着部32およびマニホルド部35が別個の物品である好ましい実施形態の場合)。顔面装着部32は、開放管状凹部38の上縁の周囲に延在するリップ39を有している。マニホルド35は顔面装着部32に摩擦嵌合によって連結されており、顔面装着部32のリップ39は、マニホルド部35を把持し、マニホルド部35と顔面装着部32との間の強固な封止連結を形成するのに役立つ。開放管状凹部38は、顔面装着部32の下方に延在するリブ40によって分割されている。リブ40は、顔面装着部32と係合する際のマニホルド部35を正しい位置で支えかつ保持するのに役立ち、リブ40はマニホルド部35の外側の周囲に延在する。マニホルド部35の出口37は、使用時、マニホルド部35が顔面装着部32に連結されると顔面装着部32の下側と整列する。この整列により、経鼻カニューレ装置30から漏れるガスの量が最小限になりかつ低減し、最大量の加湿ガスを送出することにより使用者の有効な治療が可能になる。
【0076】
側部ストラップ31を用いて、頭部ストラップ50または耳ループが顔面装着部32に取り付けられる。側部ストラップ31は、一対のストラップ(図ではストラップ31として示す)をからなり、それらは、顔面装着部32の両側から延在し、かつ好ましい実施形態では、顔面装着部32の一体部分として形成される。ヘッドギアストラップ50は、使用時、側部ストラップ31に取り付けられ、それにより、使用時、患者インタフェースを使用者が装着することができる。好ましい形態では、ヘッドギアストラップ50の端部は、側部ストラップ31の一対のスリットに通されて輪にされ、端部は、輪になって重なる時にその端部を適所に保持するベルクロまたは同様のものを有している。別法として、ヘッドギアストラップ50またはループ66を、側部ストラップ31に、たとえば協働する雄・雌クリップによって留めてもよく、または側部ストラップ31に接着取付してもよい。
【0077】
好ましい実施形態では、顔面装着部、鼻プロング、側部ストラップおよび開放管状凹部はすべて、1つの連続した物品として製造される。顔面装着部32、鼻プロング33、34、側部ストラップ31および開放管状凹部38はすべて、可撓性高分子材料またはシリコーン、好ましくは柔らかい熱可塑性エラストマー(TPE)から製造される。
【0078】
ここで、鼻プロングについてより詳細に説明する。
【0079】
鼻プロング
以下は、鼻プロングの説明である。以下の説明において、用語「後部(後方)」または「背面」または任意のこうした同義語は、構造体の、経鼻カニューレが使用されている時に患者の顔に向きかつ最も近い部分を指す。用語「前部(正面)」または「前方」または任意のこうした同義語は、使用時の患者の使用者の顔から離れる方向に向きかつそこから最も遠く離れている側、面または部分を指す。用語「頂部」または「上方」は、インタフェースを装着している使用者または患者が直立して起立しているかまたは着座して前方を見ている時、床から離れる方向を指している側、面または部分を指す。用語「底部」または「下方」は、この場合もまたインタフェースを装着している使用者または患者が直立して起立しているかまたは着座して前方を見ている時、地面に向けられるかまたは地面を指している側、面または部分を指す。
【0080】
好ましい実施形態では、顔面装着部32は、図4、図5、図6および図7に示すように、顔面装着部32の上面から上方に延在しかつ内側に湾曲している2つの鼻プロング33、34を有している。図7および図8を参照すると、鼻プロング33、34は、顔面装着部32の上面から延在し、各プロングは、経鼻カニューレ装置が使用されている時、患者の各鼻孔内に配置される。プロング33、34は、ガスを患者に送出するように構成されている。プロング33、34は、送出導管3から、二次供給導管62、マニホルド部35および顔面装着部32を介して加湿ガスを受け取る。好ましい実施形態では、ガス入口マニホルド部35は、二次供給導管62からガスを受け取り、ガスは、ガス入口マニホルド部を通って顔面装着部32に、その後鼻プロング33、34内に進む、ということが留意されるべきである。したがって、鼻プロング33、34は、ガス入口マニホルド部35と流体連通しており、二次供給導管62からガスを受け取る。上にすでに概説したように、ガス入口マニホルド部35および顔面装着部32は、一物品として、すなわち結合されたマニホルド・顔面装着部として成形されることが可能であり、この物品を、必要な場合は、マニホルドとして作用するように成形することができ、プロングはマニホルドと一体成形され、マニホルドは、従来技術において既知である通常の経鼻カニューレと同様に、1つまたは複数のガスホースまたは管に取り付けられている。本明細書において「ガス入口マニホルド部」という句が用いられている場合、それは、この装置を包含するのに十分広いものとして解釈されるべきである。その句はまた、マニホルド配管の各側または端部に1つを連結し、かつ主送出導管または二次供給導管に取り付ける前に使用者の耳の上に輪を作る、従来技術において既知であるタイプの二重ホースを含むように十分広いものとして解釈されるべきである。また、「送出導管と流体連結を形成するように構成されたガス入口マニホルド部」という句が用いられる場合、これは、ガス入口マニホルド部を、二次供給導管、または従来技術において既知であるタイプの二重ホース(または両方)等を含む介在要素に、直接連結しても間接的に連結してもよいことを意味するように解釈されるべきである。
【0081】
好ましい実施形態では、鼻プロング33、34は、形状が、上方かつ後方に湾曲した略管状である。鼻プロングは、使用時、上方にかつ患者の頭部の後方に向かって湾曲する。プロングは、患者の鼻腔の後方に向かって湾曲し、それにより、プロングによって送出されるガス流が患者の鼻腔の後方に向けられることが好ましい。鼻プロング33、34は、その湾曲により、人間の鼻腔の自然な湾曲に沿うことが確実になる。プロングは半径10.5mmの湾曲に沿うことが好ましいが、5mmと20mmとの間の任意の半径が好適であり、それより大きいかまたは小さい寸法もまた本発明の範囲から逸脱することなく可能である。プロング33、34の湾曲により、ガスが患者の鼻腔内に送出されることが確実になり、これは、ガスの鼻腔からの漏れを低減するのに役立つ。プロング33、34の湾曲により、快適さが追加され、呼吸ガスが患者の鼻腔内に有効に送出されるという利点が提供される。
【0082】
好ましい実施形態では、鼻プロング33、34は、患者の鼻腔内に適合する。鼻プロングの各々は、断面が略円形であることが好ましい。別法として、鼻プロングは、断面が三角形または楕円形であってもよい。円形断面は、人間の鼻腔の形状に最も適合し、そのため患者に快適なフィットを提供しかつ治療の正しい提供を確実にするため、使用に最も有利である。しかしながら、使用者の鼻孔および鼻腔は、完全には円形でも、または幾何学的に標準的でもなく、他の断面(上述した三角形または楕円形断面等)が好ましい場合もある。
【0083】
最も好ましい形態では、鼻プロングは、顔面装着部の中心から等距離に配置される。鼻プロングは、図9に最もよく示すように、互いに向かってわずかに内側に面するように角度が付けられていることが好ましい。頂部から見ると、鼻プロングの各々の中心は、図9に示すように、垂直線Aから内側に15度の角度が付けられていることが好ましい。すなわち、図9に示すように、線Aと線Bとの間の角度Xは、15度である。これは、対の両方に当てはまる。線Aは、経鼻カニューレ30の顔面装着部32を二部する対称な垂直面、すなわち、経鼻カニューレが使用者の顔の上に配置された時に人間の鼻を二部する線または面に対して、実質的に平行な垂直面を画定する。プロング33、34は、使用時に最も快適なフィットを提供するように、互いに向かって内側に15度角度が付けられている。鼻プロングに対し15度内側に角度を付けることにより、使用者に対する最も快適なフィットまたは位置と、患者に治療ガスを送出する最適な位置とが提供されることが分かった。鼻プロングを、15度より大きいかまたは小さい他の任意の角度で配置してもよい。線Aと線Bとの間の角度の範囲は、たとえば、内側角度の0度と60度との間であり得る。別法として、鼻プロングに対し、垂直線Aから外側に角度を付けることができる。鼻プロングに対して外側に角度を付けることは好ましくはない。それは、そのように角度を付けることが、プロングが鼻腔の自然な形状に沿わない可能性があり、大部分の使用者に対してプロングの使用が不快なものとなる可能性があることを意味するためである。しかしながら、状況によっては、または一定の環境の使用者によっては、これが好適な場合があり得る。
【0084】
鼻プロングの各々は、図7、図8および図10に示すように、その後側43にガス出口切欠部41を有している。好ましい実施形態におけるガス出口切欠または切欠部により、プロングの各々はスコップのような外観を有している。鼻プロングの正面側42(患者からさらに離れる方向を向く側)は、さらに顔面装着部32から上方にかつ内側に延在し、鼻プロング33、34が使用されている時、患者の鼻腔内に加湿ガスを案内する案内壁を形成する。プロングのガス出口切欠は、ガスがマニホルド部からプロング内に入る箇所またはその近くにおけるプロングの断面積より広い断面積を有し、すなわち、プロングの断面積は、ガスがマニホルド部からプロングに入る場所またはその近くの箇所に比較して、ガスがプロングから出る(かつ使用者の鼻孔に入る)箇所の方が広い。
【0085】
切欠部41を、さまざまな形状で形成することができる。好ましい実施形態では、図8に最もよく示すように、切欠部41は後方から見て形状が楕円形である。すなわち、後方から見ると、切欠部41の周縁部は、楕円形形状を描き、楕円の頂部は、他方の鼻プロングに向かってわずかに内側に角度が付けられている。切欠部はまた三角形であってもよい(三角形の1つの先端部はプロングの基部に向かって向けられ、他の2つの角は切欠部41の最頂内縁にある)。切欠は、形状が矩形であることも可能である。
【0086】
切欠は、鼻プロングに沿ってさまざまな位置から延在することができる。切欠部41は、鼻プロングの頂部先端から測ると、鼻プロングに沿った中間点と2/3の箇所との間から延在することが好ましい。別法として、切欠部41は、鼻プロングの頂部先端から測ると、鼻プロングに沿った中間点まで達しない箇所から延在してもよい。さらなる別法として、切欠は、プロングの全長に延在してもよい。最も好ましい実施形態では、切欠部41は、鼻プロングに沿った中間点と2/3の箇所との間から延在することによって最良の利点を提供する。切欠が中間点と2/3との間に延在することにより、開口の最適な寸法が確実になることが分った。切欠をこの位置に配置することにより、本明細書で後述する利点を提供するように切欠の最適な寸法が保証される。好ましい実施形態による鼻プロングの場合、これは、高さが3mmないし15mmの切欠に対応する。しかしながら、切欠の寸法は、別の形態に対して必要な場合は、この範囲外でもあり得る。
【0087】
好ましい実施形態では、切欠41は、成形プロセス中に形成される。プロングは、射出成形、鋳造または真空成形によって成形されることが好ましい。所望のプロング形状を生成するために用いられる型に、切欠形状が組み込まれている。
【0088】
代替実施形態では、切欠部41は、プロング33、34が初期成形工程で成形された後、それらの各々の背面43を横切って切断することによって作成され、たとえば、顔面装着部32が初期成形工程で成形された後、機械加工によりまたは手で材料を除去することにより、切欠が形成される。
【0089】
図10に、切欠部を画定する逆S字型面80を最もよく示す。面80の底縁を、図9では、線800として示す。図示するように、各プロングに対し、線800は、鼻プロングの中心を通る線に対して垂直であり、プロングの後縁に位置合せされている。これを、図9に最もよく示す。図10に示すように、面80は逆S字型の形状であることが好ましい。面80は、ガス出口切欠の好ましい「スコップ」形状を形成するように、一定距離内側に延在している。逆S字型は、実質的に垂直に位置合せされる。逆S字型面は、最も好ましい寸法および形状の切欠をもたらす。成形後、切欠部41の縁または周縁部は、図10に示すように、逆S字型面の表面に従う。こうした面により、後述する利点を提供する最適な切欠形状がもたらされる。
【0090】
好ましい実施形態では、鼻プロング33、34の後壁43は、鼻プロングの後壁の長さに沿って上方に延在する補強機構(図には示さず)も有している。補強機構は、鼻プロングの後壁43を直立位置で維持するのに役立つ。補強機構は、鼻プロング33、34の背面43に沿ってその少なくとも一部に延びる畝として形成されることが好ましい。この畝は、後壁43の内側にあっても外側にあってもよく、それは、後壁が、使用時に使用者の上唇または鼻孔に概略的には接触しないためであり、したがって、補強機構は、使用者の顔に干渉し使用者を不快にする傾向にはない。補強機構の好ましい形態および別の形態については、後により詳細に説明する。
【0091】
鼻プロング33、34の湾曲および形状により、空気流は、プロング33、34の後壁43ではなく前壁に沿って流れる傾向があり、すなわち、空気流は、湾曲の内側ではなく外側に沿って流れる。
【0092】
利点
各鼻プロング内の切欠部は、多数の利点を提供する。主な利点は以下の通りである。
1)プロングの各々は、構造的な剛性がより低い(それらの支持構造の一片がないため、より容易に変形することができる)ため、より容易に変形または湾曲することができ、したがって、患者の鼻腔内でより快適である。
2)ガスが、プロングから噴流として小さい開口を通して出ることがない。切欠が、プロングの出口における出口開口のより広い領域を提供し、それにより、ガスが1つまたは複数のプロングを出る箇所におけるガスの速度または気流速度が低下する。すなわち、出口開口の寸法(切欠部の縁または周縁部によって画定される)は、プロングが顔面装着部32に連結されるその基部によって画定される、入口開口の寸法または断面積より大きい。ガスの気流速度は、面積が広いほど低下する。すなわち、各プロングは、そのプロングを出るガスの速度が、ガスがプロングに入る箇所またはその近くのガスの速度に比較して低下するような形状である。これにより、(切欠を有していないカニューレプロングに比較して)比例的に増大する量のガスを、不快をもたらすことなく患者に送出することができる。切欠カニューレにより、空気噴射効果が低減する。空気流の噴射は、エネルギーまたは質量保存の連続の式に基づいて低減する。その法則によれば、断面積が増大することは、空気流の速度の低下に等しい。使用者の鼻腔内に送出されるガスの噴射は、鼻腔内の組織を刺激するかまたは損傷させる可能性がある。鼻プロングによって送出されるガス流の速度が低下することにより、使用者の鼻孔内の刺激が低減し、したがって噴射効果が低減する。それはまた、ガスが流れる開口が広いほど拡散量が大きくなるという連続の式からの結果である。
3)ガス流は、使用者の鼻腔に対して概略的には後方方向に(使用者の頭部に対して)向けられる。
【0093】
これらの利点については、後により詳細に説明する。
【0094】
図6および図7に示す経鼻カニューレ装置30は、大容量空気流、高湿度ガス流を患者の鼻腔に送出するのに好適である。好ましい実施形態では、切欠は、プロングの頂部からその長さの半分と2/3との間まで延在することにより、最大切欠を提供する。さらに、切欠の形状(上述したように逆S字型面)が、最大拡散および空気噴射効果の低減を確実にするのに寄与する。
【0095】
従来技術によるカニューレでは、カニューレプロングは、一般に、それらの入口開口(たとえば、プロングの基部がマニホルドに連結される部分)と寸法が実質的に同じである出口開口を有する。上述した本発明のカニューレでは、切欠の寸法および形状は、プロングから出る箇所において気流速度を低下させ、ガスを略後方方向に向けるのに役立つ。これは、意外なほどに使用者の快適さおよび治療法(regime)に対するコンプライアンスを向上させるのにも役立つことが分った。さらに、鼻プロング33、34の切欠41からの呼吸ガス流の速度が低下することは、使用者が可能な限り普通に呼吸するのを確実にするのに役立つ。
【0096】
プロング33、34の切欠による気流速度の低下により、従来技術で一般的であるより高い流速を用いることができる。治療において、高流速は、患者の要求を満たすために好ましい。高流速を用いることにより、可能な場合、吸い込まれる息の容量全体が呼吸ガスからなることが確実になる。しかしながら、高流速であるほど患者の不快が増大しかつ危険な副作用が増大する可能性もあるため、通常、患者の快適さ/安全性と流速との間にトレードオフがなされる。最適であり得るより低い流速を用いて、患者が治療法に従うのに十分快適であることを確実にする。これらより低い流速を用いることは、使用者の息の少なくとも一部、概略的には大部分が、医療ガスによって提供される治療に対して好ましくない可能性のある周囲空気からなることを意味する。比較的高い流速を用いて、加湿医療ガスが高流速で送出されるのを可能にする鼻プロングがあることが有利である。これは、最も効率的かつ有効な治療が患者に提供されることを確実にするのに役立つ。意外なことには、上述したプロング、すなわち切欠部を有するプロングを用いることにより、0L/分をわずかに超える流速ないし80L/分の流速を使用者に送出することができ、初期使用者フィードバックは、不快が低減し治療法コンプライアンスに向かう傾向も増大したことを示唆している。本発明の範囲から逸脱することなく、プロングの寸法を、たとえば新生児への用途で用いるために変更することができ、流速または流量範囲は新生児の用途では大幅に低くなる。環境によっては、最大120L/分の流速を用いることができることが予期される。しかしながら、好ましい範囲は、およそ大人の場合は20L/分ないし50L/分、小児患者の場合は5L/分ないし30L/分、新生児患者の場合は0L/分をわずかに超える値ないし8L/分程度となる。切欠設計は、本来、カニューレおよび患者のサイズが小さいため、1L/分ないし8L/分の流速が非常に高い速度をもたらす、新生児患者(400gm程度に小さい)に用いられる場合に、低流速で有効である。
【0097】
鼻プロング33、34の切欠部41により、鼻プロング33、34は、切欠を有していない従来技術による鼻プロングより変形可能となる。意外なことには、切欠の追加は、ガス送出効率に著しく負の影響を与えることがなく、上述した利点と同様に、鼻プロング33、34を、従来技術によるカニューレプロングより高い程度まで屈曲かつ撓曲させることができ、患者の鼻腔内に快適にフィットすることが分かった。通常、ある範囲の寸法のカニューレを用いることにより、すべての使用者に対するフィット範囲が確実になる。しかしながら、各「層(bracket)」すなわち範囲内で、屈曲または可撓性が高いほど使用者の快適さを向上させるのに役立つ。切欠41により、鼻プロング33、34は、完全に「管状」または円形形状の鼻プロングより可撓性となる。概略的には、使用時、鼻プロングは、鼻粘膜に当接する。他の経鼻カニューレ装置では、鼻プロングは、鼻粘膜に力を加え、この圧力が使用者を刺激し、鼻プロングの装着を不快にする可能性がある。これは、さらには、繊細な鼻組織を損傷する可能性もある。鼻プロング内のガス出口切欠41は、プロングが鼻粘膜組織を押す際、鼻腔内においてプロング33、34により高い程度の可撓性を与える。プロングの撓曲により、鼻粘膜に加わる圧力が低下し、使用者の装着をより快適にしかつより安全にする可能性もある。
【0098】
カニューレ内の切欠部41はまた、カニューレの製造中にも有利である。切欠部41により、カニューレは、ロボットまたは人間の操作者が成形工具からより容易に持ち上げることが可能になる。切欠部41は、カニューレ部品を成形するサイクルタイムを最大半分向上させることができる。
【0099】
補強機構
鼻プロングは、各々、図8に示す補強機構100を有することが好ましく、それは、鼻プロングの前壁の内面に沿って延び、鼻プロングが屈曲および撓曲した後にその元の形状に戻るのに役立つ。機構は、鼻プロングを、鼻プロングに作用している圧縮力または引張力またはその両方に対して強化することが好ましい。機構は、プロングの前壁42の内面に沿って補強背骨部100を有効に形成し、プロングの基部から上方に延在し、プロングの輪郭に沿う。補強機構100は、プロングの側方および回転移動を可能にするように作用し、鼻プロングが圧縮力方向および引張力方向に弾力的に変形するのを可能にし、回復させる力を加えることにより、プロングがその元の形状に戻るのを確実にする。一実施形態では、補強機構は、プロングの基部からプロングの頂部まで延びる上方に延在するビードである。最も好ましい形態では、前壁42の内面に沿ってリブが配置されている。ビードは、プロングの基部からプロングの頂部まで上方に延在する。ビードはプロングの全長に延在し、プロングの輪郭に沿うことが好ましい。別法として、ビードはプロングの高さの一部のみに延在してもよい。別法として、ビードを、前壁の外面に配置してもよい。さらに別の形態では、ビードを、後壁に沿って、後壁の内面または外面のいずれかに配置してもよい。ビードは、異なる材料または同じ材料からプロングの上にオーバーモールドされることが好ましい。補強機構100(この形態ではビード)は、プロングより剛性な材料から形成されることが好ましい。ビードは、共射出成形工程によってプロングに与えられる。共射出成形は、1つの材料からプロングを射出成形し、プロングおよび/またはマニホルドおよび顔面装着部を別の工具に移送し、そこでビード材料をプロングの上に射出成形することを含む。ビードは、プロングを支持する背骨のように作用する。
【0100】
別の形態では、補強機構100は、プロングの基部からプロングの高さに沿って上方に延在しプロングの輪郭に沿うリブであってもよい。リブは、前壁42の内面に位置することが好ましいが、前壁42の外面に位置していてもよい。別法として、リブは、後壁43に位置していてもよい。リブは、後壁43の内面に位置していても外面に位置していてもよい。プロングは、前壁の内面に沿って形成された複数のリブを有することが好ましい。リブは、プロングの全長に延在することが好ましいが、別法として、部分的な長さにのみ延在してもよい。リブは、互いに寸法が同じであることが好ましい。リブは、プロングに沿って等間隔に配置されていることが好ましい。リブは、プロングを支持しプロングの変形を低減する骨格構造を形成する。リブは、ビードについて説明したように共射出成形工程から形成されることが好ましい。リブは、プロングを作製するのに用いた材料より剛性な材料から作製されることが好ましい。
【0101】
プロングはまた、プロングを横切って略水平に延びる一続きのリブ(図示せず)を有していてもよい。リブを、補強構造(たとえばビード)と組み合わせて用いることにより、側方移動および回転移動を可能にしながら、圧縮方向および引張方向に鼻プロングを強化することができる。補強機構100(リブがあってもなくても)は、鼻プロングの前壁42にあることが好ましい。これは、最大の強化を提供するため、かつプロングに用いられる材料が圧縮時に最適に反応するため、有利である。補強機構は、成形工程中に鼻プロングと一体成形されることが好ましい。別法として、補強機構を成形の後に、たとえば接着または超音波溶接によって、鼻プロングに取り付けることができる。機構は、鼻プロングと同じ材料から作製されることが好ましい。別法として、機構またはリブを、別の高分子材料等、堅い材料から作製することができる。
【0102】
補強機構を、別法として、上方から見た場合に後壁43より厚い前壁42を有することによって形成することができる。前壁42の厚さが増大することにより、圧縮負荷および引張負荷の下での強度特性が向上する一方で、プロングの側方移動および回転移動が有効に可能になる。前壁42の方が厚いことにより、鼻プロング33、34が、圧縮力または引張力に晒された場合につぶれたり破れたりしないことが確実になる。
【0103】
従来技術のタイプの「管状」または「円形」鼻プロングにおいて起こり得る問題は、患者の鼻腔内に封止を形成する可能性があることである。封止は、たとえば国際公開第2008/014543号パンフレットに記載されているタイプの鼻ピローを用いる場合、環境によっては望ましいが、他の環境では、患者の呼吸器系内の封止により、患者の鼻孔内に過圧がもたらされることになる可能性がある。この過圧により、気圧障害が発生する可能性があり、その結果、深刻な負傷がもたらされ患者が死に至る可能性もある。それはまた、患者の自然な呼吸すなわち自力の呼吸を妨げる可能性もある。切欠41により鼻プロング33、34に提供されるさらなる可撓性およびより大きい開口寸法は、カニューレが患者の鼻孔内に封止をもたらす危険を最小限にするのに役立つ。しかしながら、封止が望ましい場合があることは留意されるべきであり、好ましい実施形態では、封止するように意図されていない経鼻カニューレ装置について説明したが、鼻プロング33、34または顔面装着部32または両方を、使用者の鼻孔に対して封止するように構成させることができる。しかしながら、これは好ましい形態ではない。
【0104】
側部ストラップ31の可撓性により、ストラップを、使用者の顔の周囲に適合させるように容易に屈曲させ撓曲させることができるため、経鼻カニューレ装置30を使用者の顔の上に容易な固定することができる。好ましい実施形態における開放管状凹部38の可撓性により、開放管状凹部38は、マニホルド部35の周囲に適合し、確実な摩擦嵌合またはスナップ式嵌合をもたらすことができる。顔面装着部32は、信頼性および使用容易性のために、可撓性プラスチック、シリコーンまたはゴム材料の単一片として成形される。
【0105】
図2ないし図10に示す経鼻カニューレ装置および特に鼻プロングは、主に、患者に有利な高湿度および高流速なガスを送出するために有用である。
【0106】
第2実施形態
患者インタフェースの第2実施形態もまた、図1に関連して上述した加湿システムの一部として用いることができる。
【0107】
患者インタフェースの第2実施形態は、概略的には、第1実施形態で上述したものと実質的に同様の頭部固定機構と経鼻カニューレ装置とからなる。頭部固定機構を用いて、患者インタフェースが患者の顔に取り付けられ、使用時に患者インタフェースの位置が正しい位置に維持される。図2および図3に関連して説明した頭部固定機構を、経鼻カニューレの第2実施形態でも用いることができる。別法として、経鼻インタフェースとともに別個の頭部固定機構を用いる必要はない。この頭部固定の別の形態については後述する。別の経鼻カニューレ装置がともに用いられる加湿システムは、上述したものと同様の二次供給導管62を有することができ、それにより、主送出導管3の出口端と経鼻カニューレ装置の主部との間の気体または流体連通が可能となる。しかしながら、この別の形態では、二次供給導管62および主送出導管3を、この文脈では単一「送出導管」とみなすことができる。
【0108】
経鼻カニューレ−第2実施形態
ここで、第2実施形態の経鼻カニューレについて、図12および図13を参照してより詳細に説明する。第2実施形態の経鼻カニューレは、3つの主な部分、すなわち一対の搬送チューブ1201、マニホルド部1202および一対の鼻プロング33、34を備え、一対の鼻プロングの各々1つは搬送チューブの各々に取り付けられており、搬送チューブは、マニホルド部に連結されており、マニホルド部は、上に概説したような送出導管に連結されることにより、ガス流がマニホルド部に送出される。搬送チューブは、二次導管の代わりに用いられる。マニホルド部1202は、YピースコネクタまたはTピースコネクタとして形成される。搬送チューブは、YピースまたはTピースマニホルド部の分岐部に、好ましくは摩擦嵌合で連結されている。別法として、搬送チューブを、ねじ切りまたは接着によってYピースまたはTピースに連結してもよい。さらなる別法では、搬送チューブは、YピースまたはTピースと一体成形される。Yピースコネクタは、二次供給導管からのガス流を搬送チューブの各々に向ける。YピースまたはTピースは剛性な高分子材料からなることが好ましく、材料は、一般的な操作負荷下で容易に変形しないように十分に剛性である。
【0109】
搬送チューブ1201を、頭部固定部に取り付けることができ、またはそれら自体を、頭部固定機構として用いられるように構成させることができる。搬送チューブは、耳の後方に巻きつけられる。搬送チューブは、頭部固定に対する可撓性を可能にする。搬送チューブ1201は、患者の耳に巻き付き、かつ患者が用いるのに快適であるために十分軽量である。搬送チューブの使用により、経鼻カニューレ全体の重量が軽量になる。これは、経鼻カニューレを使用している間の患者の快適レベルを向上させるのに役立つことができる。搬送チューブによってまた、さまざまなサイズの人々が、搬送チューブがその耳の上に配置されるために十分長い限り、経鼻カニューレ装置を使用する。搬送チューブは、マニホルドに連結し、マニホルドとの流体連結を形成する。搬送チューブは、マニホルドに呼吸ガスを供給する。マニホルド1202からは少なくとも1つのプロングが延在しており、プロングは、マニホルド1202からの呼吸ガスを患者の鼻腔に送出する。
【0110】
別の形態では、鼻プロングは、搬送チューブの各々の患者端に取り付けられる。鼻プロングは、搬送チューブ1201から着脱可能であり得る。鼻プロングは搬送チューブに摩擦嵌合で取り付けられることが好ましい。別法として、鼻プロングは搬送チューブにねじ込まれる。別の代替例では、鼻プロングは、工業用接着剤によって搬送チューブに接着されまたは取り付けられる。さらなる別法として、鼻プロングを搬送チューブと一体成形してもよい。
【0111】
この別の形態では、プロングは、好ましいすなわち第1実施形態で上述したプロング33、34と実質的に同じである。各プロングは、後部側(使用時に使用者の顔に最も近い部分)に切欠を有し、それは、好ましい形態では、その縁が逆S字型面の表面に従うようにプロングの各々の後部から切り抜かれている。
【0112】
本発明は、異なる形態の実施形態が可能であるが、特定の実施形態を図面に示しかつ上に詳細に説明した。本開示は、本発明の原理を例示するものとみなされるべきであり、本発明を本明細書で例示し説明したものに限定するようには意図されていない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸ガスを患者に送出するシステムの一部として用いられる経鼻カニューレ装置であって、前記システムが、使用時に使用者の鼻孔にガス流を提供するように構成されたガス源と、使用時に前記ガス源と前記経鼻カニューレ装置との間を連結する送出導管と、を有するタイプである経鼻カニューレ装置であり、
使用時に前記送出導管との流体連結を形成するように構成されたガス入口マニホルド部であって、それによって、前記ガス流が前記マニホルド部に送出されるガス入口マニホルド部と、
前記ガス入口マニホルド部と流体連結し、前記使用者の前記鼻孔内に挿入されるように構成された、少なくとも1つ好ましくは一対の鼻プロングであって、前記ガス流が前記ガス入口マニホルド部内および前記鼻プロング内を通過する鼻プロングと、を備え、
前記鼻プロングが、その後側にガス出口切欠を有し、前記ガス出口切欠が、前記ガスが前記プロングに入る箇所またはその近くでの前記プロングの断面積より大きい断面積を有する、経鼻カニューレ装置。
【請求項2】
前記1つ、好ましくは一対のプロングが、前記マニホルド部に一対の搬送チューブによって連結され、前記搬送チューブが、前記プロングおよび前記マニホルドと流体連結し、前記搬送チューブが、前記マニホルドから前記プロングにガスを搬送する、
請求項1に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項3】
前記マニホルドがYピースまたはTピースである、
請求項2に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項4】
前記鼻プロングが、前記搬送チューブに一体的に取り付けられ、前記プロングが前記患者の鼻孔内に挿入される、
請求項2に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項5】
各プロングが、各搬送チューブの端部に連結される、
請求項2に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項6】
前記カニューレ装置が、前記マニホルドに取り付けられた顔面装着部を有し、前記顔面装着部が、前記患者の上唇に当接し、前記カニューレを前記患者の顔の上で安定させる、
請求項1に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項7】
前記切欠が、前記鼻プロングに沿った中間点と2/3の箇所との間から延在し、前記切欠が、前記鼻プロングの頂部端部から測られる、
請求項1に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項8】
前記切欠が、前記鼻プロングに沿って中間点まで達しない箇所に延在し、前記切欠が前記鼻プロングの頂部端部から測られる、
請求項1に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項9】
前記切欠が、前記鼻プロングの全長に延在する、
請求項1に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項10】
前記切欠が、3mmと15mmとの間の高さを有する、
請求項1または2に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項11】
前記切欠が、前記経鼻カニューレ装置の後方から見て、形状が楕円形である、
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項12】
前記切欠が、前記経鼻カニューレ装置の後方から見て、形状が矩形である、
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項13】
前記切欠が、前記経鼻カニューレ装置の後方から見て、形状が三角形である、
請求項1ないし12のいずれか一項に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項14】
前記鼻プロングが、前記顔面装着部を二分する垂直平面線に対して内側に5度と20度との間の角度が付けられている、
請求項1ないし13のいずれか一項に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項15】
前記鼻プロングが、前記顔面装着部を二分する垂直平面線に対して内側に15度の角度が付けられている、
請求項14に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項16】
前記ガス出口切欠の縁が、実質的に逆S字型を有する面に従い、前記S字型が実質的に垂直に位置合せされる、
請求項1ないし15のいずれか一項に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項17】
前記面(80)の下縁が、前記プロングの後部を横切って前記切欠を形成し、前記面が理想の切欠形状を得るために逆S字型である、請求項16に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項18】
前記少なくとも1つの鼻プロングが補強機構を有する、
請求項1ないし17のいずれか一項に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項19】
前記補強機構が、前記鼻プロングの正面に位置し、前記鼻プロングが圧縮力または引張力でつぶれるのを防止するのに役立つように構成されている、
請求項18に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項20】
前記補強機構が、前記鼻プロングの正面に沿ってその少なくとも一部に延びる実質的に垂直な畝または背骨部として形成される、
請求項18または19に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項21】
前記少なくとも1つの鼻プロングが、前記鼻プロングが引張力または圧縮力の下でつぶれるのを防止するのに役立つように、前記鼻プロングの前壁の内面に補強機構をさらに備える、
請求項1ないし17のいずれか一項に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項22】
前記少なくとも1つの鼻プロングが、前記鼻プロングの正面を横切って延びる少なくとも1つ、好ましくは複数のリブをさらに備える、
請求項1ないし21のいずれか一項に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項23】
前記少なくとも1つのリブまたは複数のリブが、前記鼻プロングの前記正面の外面を横切って延びる、
請求項22に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項24】
前記鼻プロング壁の壁の正面部分が、前記鼻プロング壁の壁の背面部分より厚い、
請求項1ないし23のいずれか一項に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項25】
前記機構またはリブまたは両方が、前記鼻プロングと一体成形される、
請求項18ないし24のいずれか一項に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項26】
前記機構またはリブまたは両方が、前記プロングが成形された後に前記プロングに個別に取り付けられる、
請求項18ないし24のいずれか一項に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項27】
ヘッドギア固定組立体が前記経鼻カニューレ装置に連結されるのを可能にするように構成された側部ストラップをさらに備え、それにより、使用時に前記患者頭部に固定することができる、
請求項1ないし26のいずれか一項に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項28】
前記顔面装着部、前記少なくとも1つの鼻プロングおよび前記側部ストラップの少なくとも一部が、可撓性高分子材料、たとえば熱可塑性エラストマーまたはシリコーンから形成される、
請求項27に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項29】
前記機構またはリブまたは両方が、前記鼻プロングと同じ材料から作製される、
請求項18ないし28のいずれか一項に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項30】
前記鼻プロングの前記少なくとも一方または両方が、前記ガス流が概略的には前記患者の鼻腔の後方に向かって向けられるような、形状であるか、寸法であるか、または形状でありかつ寸法である、
請求項1ないし28のいずれか一項に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項31】
前記少なくとも一方または両方の鼻プロングが、前記プロングを出るガスの速度が、前記プロングに入る箇所またはその近くにおけるガスの速度に比較して低下するような形状である、
請求項1ないし30のいずれか一項に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項32】
前記鼻プロングの前記少なくとも一方または両方が、使用時に上方にかつ使用者に向かって後方に湾曲し、前記切欠が、前記プロングの後部および頂部に沿って細長い形状を有し、それにより、前記ガス流が概略的には前記患者の鼻腔の後方に向けられ、噴射効果が低減する、
請求項1ないし31のいずれか一項に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項33】
前記鼻プロングが、使用時に使用者の鼻孔と実質的気密封止を形成しないような形状および寸法である、
請求項1ないし32のいずれか一項に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項34】
前記鼻プロングが、患者に高流量医療ガスを送出するのに好適であり、それにより、前記患者が吸い込む息のかなりの部分が、前記鼻プロングからの呼吸ガスと最低限の割合の周囲空気を含む、
請求項1ないし33のいずれか一項に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項36】
患者に呼吸ガスを送出するシステムであって、
ガス流を提供するように構成されたガス源ユニットと、
患者インタフェースと、
前記ガス源から呼吸ガスを受け取りかつ前記ガス源からの呼吸ガスを前記患者インタフェースに搬送するように構成された、二次ガス入口導管を有していてもいなくてもよい送出導管と、を備え、
前記患者インタフェースが、請求項1ないし29のいずれか一項に記載の経鼻カニューレ装置である、システム。
【請求項37】
0L/分をわずかに上回る値から120L/分の範囲の高流量ガスを送出するように適合される、
請求項36に記載の呼吸ガスを送出するシステム。
【請求項38】
前記範囲が20L/分ないし50L/分であり、前記システムが、特に大人の使用者が使用するのに適合される、
請求項37に記載の呼吸ガスを送出するシステム。
【請求項39】
前記範囲が5L/分ないし30L/分であり、前記システムが、特に小児の患者が使用するのに適合される、
請求項37に記載の呼吸ガスを送出するシステム。
【請求項40】
前記範囲が0L/分をわずかに上回る値から8L/分であり、前記システムが、特に新生児の患者が使用するのに適合される、
請求項37に記載の呼吸ガスを送出するシステム。
【請求項41】
使用時に、使用者の吸い込む息の大部分が医療ガスからなり、使用者が吸い込む時に最小限の量の周囲空気が含まれるのを確実にするために十分高い流量を送出するように適合される、
請求項36ないし40のいずれか一項に記載の呼吸ガスを送出するシステム。
【請求項1】
呼吸ガスを患者に送出するシステムの一部として用いられる経鼻カニューレ装置であって、前記システムが、使用時に使用者の鼻孔にガス流を提供するように構成されたガス源と、使用時に前記ガス源と前記経鼻カニューレ装置との間を連結する送出導管と、を有するタイプである経鼻カニューレ装置であり、
使用時に前記送出導管との流体連結を形成するように構成されたガス入口マニホルド部であって、それによって、前記ガス流が前記マニホルド部に送出されるガス入口マニホルド部と、
前記ガス入口マニホルド部と流体連結し、前記使用者の前記鼻孔内に挿入されるように構成された、少なくとも1つ好ましくは一対の鼻プロングであって、前記ガス流が前記ガス入口マニホルド部内および前記鼻プロング内を通過する鼻プロングと、を備え、
前記鼻プロングが、その後側にガス出口切欠を有し、前記ガス出口切欠が、前記ガスが前記プロングに入る箇所またはその近くでの前記プロングの断面積より大きい断面積を有する、経鼻カニューレ装置。
【請求項2】
前記1つ、好ましくは一対のプロングが、前記マニホルド部に一対の搬送チューブによって連結され、前記搬送チューブが、前記プロングおよび前記マニホルドと流体連結し、前記搬送チューブが、前記マニホルドから前記プロングにガスを搬送する、
請求項1に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項3】
前記マニホルドがYピースまたはTピースである、
請求項2に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項4】
前記鼻プロングが、前記搬送チューブに一体的に取り付けられ、前記プロングが前記患者の鼻孔内に挿入される、
請求項2に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項5】
各プロングが、各搬送チューブの端部に連結される、
請求項2に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項6】
前記カニューレ装置が、前記マニホルドに取り付けられた顔面装着部を有し、前記顔面装着部が、前記患者の上唇に当接し、前記カニューレを前記患者の顔の上で安定させる、
請求項1に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項7】
前記切欠が、前記鼻プロングに沿った中間点と2/3の箇所との間から延在し、前記切欠が、前記鼻プロングの頂部端部から測られる、
請求項1に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項8】
前記切欠が、前記鼻プロングに沿って中間点まで達しない箇所に延在し、前記切欠が前記鼻プロングの頂部端部から測られる、
請求項1に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項9】
前記切欠が、前記鼻プロングの全長に延在する、
請求項1に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項10】
前記切欠が、3mmと15mmとの間の高さを有する、
請求項1または2に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項11】
前記切欠が、前記経鼻カニューレ装置の後方から見て、形状が楕円形である、
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項12】
前記切欠が、前記経鼻カニューレ装置の後方から見て、形状が矩形である、
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項13】
前記切欠が、前記経鼻カニューレ装置の後方から見て、形状が三角形である、
請求項1ないし12のいずれか一項に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項14】
前記鼻プロングが、前記顔面装着部を二分する垂直平面線に対して内側に5度と20度との間の角度が付けられている、
請求項1ないし13のいずれか一項に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項15】
前記鼻プロングが、前記顔面装着部を二分する垂直平面線に対して内側に15度の角度が付けられている、
請求項14に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項16】
前記ガス出口切欠の縁が、実質的に逆S字型を有する面に従い、前記S字型が実質的に垂直に位置合せされる、
請求項1ないし15のいずれか一項に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項17】
前記面(80)の下縁が、前記プロングの後部を横切って前記切欠を形成し、前記面が理想の切欠形状を得るために逆S字型である、請求項16に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項18】
前記少なくとも1つの鼻プロングが補強機構を有する、
請求項1ないし17のいずれか一項に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項19】
前記補強機構が、前記鼻プロングの正面に位置し、前記鼻プロングが圧縮力または引張力でつぶれるのを防止するのに役立つように構成されている、
請求項18に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項20】
前記補強機構が、前記鼻プロングの正面に沿ってその少なくとも一部に延びる実質的に垂直な畝または背骨部として形成される、
請求項18または19に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項21】
前記少なくとも1つの鼻プロングが、前記鼻プロングが引張力または圧縮力の下でつぶれるのを防止するのに役立つように、前記鼻プロングの前壁の内面に補強機構をさらに備える、
請求項1ないし17のいずれか一項に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項22】
前記少なくとも1つの鼻プロングが、前記鼻プロングの正面を横切って延びる少なくとも1つ、好ましくは複数のリブをさらに備える、
請求項1ないし21のいずれか一項に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項23】
前記少なくとも1つのリブまたは複数のリブが、前記鼻プロングの前記正面の外面を横切って延びる、
請求項22に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項24】
前記鼻プロング壁の壁の正面部分が、前記鼻プロング壁の壁の背面部分より厚い、
請求項1ないし23のいずれか一項に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項25】
前記機構またはリブまたは両方が、前記鼻プロングと一体成形される、
請求項18ないし24のいずれか一項に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項26】
前記機構またはリブまたは両方が、前記プロングが成形された後に前記プロングに個別に取り付けられる、
請求項18ないし24のいずれか一項に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項27】
ヘッドギア固定組立体が前記経鼻カニューレ装置に連結されるのを可能にするように構成された側部ストラップをさらに備え、それにより、使用時に前記患者頭部に固定することができる、
請求項1ないし26のいずれか一項に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項28】
前記顔面装着部、前記少なくとも1つの鼻プロングおよび前記側部ストラップの少なくとも一部が、可撓性高分子材料、たとえば熱可塑性エラストマーまたはシリコーンから形成される、
請求項27に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項29】
前記機構またはリブまたは両方が、前記鼻プロングと同じ材料から作製される、
請求項18ないし28のいずれか一項に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項30】
前記鼻プロングの前記少なくとも一方または両方が、前記ガス流が概略的には前記患者の鼻腔の後方に向かって向けられるような、形状であるか、寸法であるか、または形状でありかつ寸法である、
請求項1ないし28のいずれか一項に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項31】
前記少なくとも一方または両方の鼻プロングが、前記プロングを出るガスの速度が、前記プロングに入る箇所またはその近くにおけるガスの速度に比較して低下するような形状である、
請求項1ないし30のいずれか一項に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項32】
前記鼻プロングの前記少なくとも一方または両方が、使用時に上方にかつ使用者に向かって後方に湾曲し、前記切欠が、前記プロングの後部および頂部に沿って細長い形状を有し、それにより、前記ガス流が概略的には前記患者の鼻腔の後方に向けられ、噴射効果が低減する、
請求項1ないし31のいずれか一項に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項33】
前記鼻プロングが、使用時に使用者の鼻孔と実質的気密封止を形成しないような形状および寸法である、
請求項1ないし32のいずれか一項に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項34】
前記鼻プロングが、患者に高流量医療ガスを送出するのに好適であり、それにより、前記患者が吸い込む息のかなりの部分が、前記鼻プロングからの呼吸ガスと最低限の割合の周囲空気を含む、
請求項1ないし33のいずれか一項に記載の経鼻カニューレ装置。
【請求項36】
患者に呼吸ガスを送出するシステムであって、
ガス流を提供するように構成されたガス源ユニットと、
患者インタフェースと、
前記ガス源から呼吸ガスを受け取りかつ前記ガス源からの呼吸ガスを前記患者インタフェースに搬送するように構成された、二次ガス入口導管を有していてもいなくてもよい送出導管と、を備え、
前記患者インタフェースが、請求項1ないし29のいずれか一項に記載の経鼻カニューレ装置である、システム。
【請求項37】
0L/分をわずかに上回る値から120L/分の範囲の高流量ガスを送出するように適合される、
請求項36に記載の呼吸ガスを送出するシステム。
【請求項38】
前記範囲が20L/分ないし50L/分であり、前記システムが、特に大人の使用者が使用するのに適合される、
請求項37に記載の呼吸ガスを送出するシステム。
【請求項39】
前記範囲が5L/分ないし30L/分であり、前記システムが、特に小児の患者が使用するのに適合される、
請求項37に記載の呼吸ガスを送出するシステム。
【請求項40】
前記範囲が0L/分をわずかに上回る値から8L/分であり、前記システムが、特に新生児の患者が使用するのに適合される、
請求項37に記載の呼吸ガスを送出するシステム。
【請求項41】
使用時に、使用者の吸い込む息の大部分が医療ガスからなり、使用者が吸い込む時に最小限の量の周囲空気が含まれるのを確実にするために十分高い流量を送出するように適合される、
請求項36ないし40のいずれか一項に記載の呼吸ガスを送出するシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−131400(P2010−131400A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−288391(P2009−288391)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(504298349)フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド (41)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−288391(P2009−288391)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(504298349)フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド (41)
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