説明

経鼻装置

【課題】患者の鼻腔に対する物質の改良された配送を与えるための改良された経鼻配送装置および経鼻配送方法を提供すること。
【解決手段】患者の鼻腔に物質を配送するための経鼻配送装置であって、ノーズピース17と、ノーズピース17のノズルを通して物質を配送するための配送部とを備え、ノーズピース17は、使用時に鼻腔に配送される物質が通過するノズル25と、膨張されたときに、ノーズピース17と患者の鼻腔内壁との間に流体遮断シールを与えるように構成された少なくとも1つの膨張可能なカフ部材27とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配伍剤(特に全身または局所薬剤)またはワクチンを含有した物質、特に懸濁または溶液としての液体、あるいは粉末の1つを、患者の鼻管に配送するための経鼻配送装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1を参照すると、鼻管1は、鼻中隔によって分離された2つの鼻腔を備える。このエアウエイ1は、副鼻腔小口3や耳管小口5のような多数の小口と、嗅細胞とを含み、鼻粘膜によって覆われている。鼻管1は、鼻咽頭7、口腔9および下気道11と連通可能である。鼻管1は、口咽頭帆13を開閉することによって、鼻咽頭7の前部領域および口腔9と選択的に連通される。軟口蓋とも呼ばれる帆13は、口腔9に正の圧力を加えることによって達成される閉鎖位置にあるときは実線で、そして例えば口腔9を通しての呼気によって達成される開放位置にあるときは破線で描かれている。
【0003】
処置を必要とする多くの鼻の状態がある。そのような状態の1つは、鼻の炎症、特に鼻炎である。これは、アレルギー性または非アレルギー性であって、しばしば感染に関連して、正常な鼻の機能を妨害する。一例を挙げれば、鼻管のアレルギー性および非アレルギー性炎症は、一般的に人口の10〜20%に影響を与えている。鼻甲介の勃起性組織の鼻詰まり(うっ血)、流涙、水気の多い粘液の分泌、くしゃみおよびかゆみは、最も共通した症状である。後で理解されるように、鼻詰まりは、鼻呼吸を困難にして口呼吸を促進し、いびきや睡眠妨害の原因となる。他の鼻の状態には、副鼻腔から生ずる鼻ポリープ、肥大性アデノイド、分泌性中耳炎、鼻疾患、および減退した嗅覚が含まれる。
【0004】
ある種の鼻の状態を処置する場合、配伍剤の局所投与が、鼻詰まりを処置または軽減することに好ましい。特に、鼻粘膜が主たる病理学的経路である場合である。通常局所投与される配伍剤には、うっ血除去剤、抗ヒスタミン剤、クロモグリケイト、ステロイドおよび抗生物質がある。現在、既知の抗炎症薬剤の中で、局所ステロイドが鼻詰まりに効果を有することが示されている。局所うっ血除去剤もまた、鼻詰まりの軽減に使用されることが示唆されている。多少問題はあるが、局所うっ血除去剤、ステロイドおよび抗細菌剤を使用した肥大性アデノイドおよび慢性分泌性中耳炎の処置もまた提案されている。更に、薬剤の局所投与は、鼻咽頭の前部領域、副鼻腔および耳管における炎症の症状の処置または少なくとも軽減に使用されている。
【0005】
配伍剤はまた、鼻管を通して全身的に配送することもできる。鼻管は、オキシトシンおよびカルシトニンのようなホルモンや、抗偏頭痛組成物のような鎮痛薬等の薬剤の全身投与に対する良好な投与経路を与える。これは、鼻粘膜の高血流および大面積が迅速な全身的摂取を有利に与えるためである。
【0006】
経鼻配送は、迅速な効き始めを必要とする配伍剤、例えば鎮痛薬、制吐剤、インスリン、抗てんかん薬、鎮静剤、催眠薬や、他の薬剤、例えば心血管作用薬の投与に有利となることも期待される。経鼻投与は、注射と同等の速度で、また経口投与よりも速い速度で、素早く効き始めることが考えられる。事実、多くの急性状態の処置について、経鼻配送は経口投与よりも有利である。何故ならば、胃のうっ滞が、経口投与後の効き始めを更に緩やかにしてしまうからである。
【0007】
経鼻配送は、近代のバイオテクノロジー技術によって生成されるタンパク質およびペプチドの投与に対する効果的な配送経路を与えることも期待される。そのような物質にとって、腸内代謝と肝臓内初期通過効果は、信頼性の高いコスト効率的な配送に対する有意な障害となる。
【0008】
更に、本発明の経鼻配送技術を使用する経鼻配送は、既存の技術を使用できない多くの一般的な神経学的疾病、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、精神病、および脳内感染の処置に効果的であることを証明することが期待される。本発明の経鼻配送技術は、嗅覚領域への配送を可能にする。この領域は、鼻腔の上部領域に位置し、血液−脳障壁(BBB)を迂回すること、並びに脳脊髄液(CSF)と脳を連通させることを可能とする唯一の領域を代表する。
【0009】
また、本発明の経鼻配送技術が、ワクチンの効果的な配送を可能にすることも期待される。
【0010】
配伍剤の配送の他に、鼻粘膜を液体、特に塩水溶液で洗浄して、粒子や分泌物を除去したり、鼻粘膜の粘膜繊毛作用を改良することが一般に行われる。これらの溶液は、活性薬剤と組み合わせて使用できる。
【0011】
どのような種類の薬品配送に対しても、正確で信頼性の高い服用は本質的なものであるが、それは狭い治療的な窓を有した良く効く薬品や、潜在的に深刻な有害効果を有する薬品、そして深刻で生命を脅かす状態の処置用の薬品の投与に関連して特に重要である。いくつかの状態に対して、例えば糖尿病の場合に、特別な状況に対する服用量を個別化することは、本質的なことである。糖尿病に対して、そして実際には多くの他の状態に対して、薬剤の服用量は、実際の実時間測定値に基づいていることが好ましい。現在、血液サンプルは最も頻繁に使用されているが、患者の呼気に含まれる分子の分析が、いくつかの状態に対する血液分析の代わりとして提案されている。息分析は現在、胃潰瘍を引き起こすヘリコバクターピロリ感染のような状態の診断に使用されている。
【0012】
WO−A−00/51672は、物質、特に配伍剤を、鼻腔を通る双方向の流れ、即ち一方の鼻孔に入り、鼻中隔の上部マージンを回って、他方の鼻孔から反対の方向に通過する空気の流れで配送するための配送装置を開示している。この双方向空気流は、鼻粘膜中の感覚神経を刺激して、この配送用に患者の状態を整え、しかもより快適な配送状況を与えることに有利に作用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際公開第00/51672号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の1つの目的は、患者の鼻腔に対する物質の改良された配送を与えるための改良された経鼻配送装置および経鼻配送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の1つの形態において提供されるものは、患者の鼻管に物質を配送するための経鼻配送装置であって、患者の鼻孔にはめ込まれるためのノーズピースと、前記ノーズピースのノズルを通して物質を配送するための配送部とを備え、前記ノーズピースは、使用時に鼻管に配送される物質が通過するノズルと、患者の呼気に続いて膨張されるように構成された少なくとも1つの膨張可能なカフ部材とを有するものであることを特徴とする配送装置である。
【0016】
本発明のもう1つの形態において提供されるものは、患者の鼻腔に物質を配送するための経鼻配送装置であって、ノーズピースと、前記ノーズピースのノズルを通して物質を配送するための配送部とを備え、前記ノーズピースは、使用時に鼻腔に配送される物質が通過するノズルと、膨張されたときに、前記ノーズピースと患者の鼻腔内壁との間に流体遮断シールを与えるように構成された少なくとも1つの膨張可能なカフ部材とを有するものであることを特徴とする配送装置である。
【0017】
本発明の異なる形態において提供されるものは、患者の鼻管に物質を配送するための経鼻配送装置であって、患者の鼻孔にはめ込まれるためのノーズピースと、前記ノーズピースのノズルを通して物質を配送するための配送部とを備え、前記ノーズピースは、使用時に鼻管に配送される物質が通過するノズルと、患者の鼻孔内にはめ込まれたときに、患者の鼻腔内壁と係合して、少なくとも前記ノズルの末端を患者の鼻管内の部位に向けるように構成された少なくとも1つのカフ部材とを有するものであることを特徴とする配送装置である。
【0018】
本発明の更に異なる形態において提供されるものは、患者の鼻管に物質を配送するための経鼻配送装置であって、患者の鼻孔にはめ込まれるためのノーズピースと、前記ノーズピースのノズルを通して物質を配送するための配送部とを備え、前記ノーズピースは、使用時に鼻管に配送される物質が通過するノズルと、少なくとも1つのカフ部材とを有し、前記少なくとも1つのカフ部材の少なくとも1つは、少なくとも1つのローブを有し、このローブは、前記少なくとも1つのカフ部材の少なくとも1つが患者の鼻腔内にはめ込まれたときに、患者の鼻腔の領域内に延びて、少なくとも部分的にその領域を塞いで、そこへ入る流れを防止するものであることを特徴とする配送装置である。
【0019】
本発明の更に異なる形態において提供されるものは、患者の鼻管に物質を配送するための経鼻配送装置であって、患者の鼻腔にはめ込まれるためのノーズピースと、前記ノーズピースの第1の配送出口を通して物質を配送するための配送部と、前記ノーズピースの少なくとも1つの第2の配送出口を通して気体の流れを供給するための気体供給部とを備え、前記ノーズピースは、使用時に患者の鼻管に配送される物質が通過する第1の配送出口と、使用時に、患者の呼気とは別に、患者の鼻管に配送される少なくとも1つの気体流が通過する少なくとも1つの第2の配送出口とを有するものであることを特徴とする配送装置である。
【0020】
本発明の更に異なる他の形態において提供されるものは、患者の鼻管に物質を配送するための方法であって、患者の鼻腔にノーズピースをはめ込まれる工程と、患者の呼気に続いて少なくとも1つのカフ部材を膨張させる工程と、前記ノーズピースのノズルを通して物質を配送する工程とを備え、前記ノーズピースは、鼻管に配送される物質が通過するノズルと、少なくとも1つの膨張可能なカフ部材とを有することを特徴とする方法である。
【0021】
本発明の別の異なる形態において提供されるものは、患者の鼻腔に物質を配送するための方法であって、患者の鼻腔にノーズピースをはめ込まれる工程と、前記ノーズピースのノズルを通して物質を配送する工程とを備え、前記ノーズピースは、鼻腔に配送される物質が通過するノズルと、膨張されたときに、前記ノーズピースと患者の鼻腔内壁との間に流体遮断シールを与えるように構成された少なくとも1つの膨張可能なカフ部材とを有するものであることを特徴とする方法である。
【0022】
本発明の更に別の異なる形態において提供されるものは、患者の鼻管に物質を配送するための方法であって、患者の鼻腔にノーズピースをはめ込まれる工程と、前記ノーズピースのノズルを通して物質を配送する工程とを備え、前記ノーズピースは、鼻管に配送される物質が通過するノズルと、患者の鼻腔内にはめ込まれたときに、患者の鼻腔内壁と係合して、少なくとも前記ノズルの末端を患者の鼻管内の部位に向けるように構成された少なくとも1つのカフ部材とを有するものであることを特徴とする方法である。
【0023】
本発明の更に異なる他の形態において提供されるものは、患者の鼻管に物質を配送するための方法であって、患者の鼻腔にノーズピースをはめ込まれる工程と、前記ノーズピースのノズルを通して物質を配送する工程とを備え、前記ノーズピースは、鼻管に配送される物質が通過するノズルと、少なくとも1つのカフ部材とを有し、前記少なくとも1つのカフ部材の少なくとも1つは、少なくとも1つのローブを有し、このローブは、前記少なくとも1つのカフ部材の少なくとも1つが患者の鼻孔内にはめ込まれたときに、患者の鼻腔の領域内に延びて、少なくとも部分的にその領域を塞いで、そこへ入る流れを防止するものであることを特徴とする方法である。
【0024】
本発明の更に異なる他の形態において提供されるものは、患者の鼻管に物質を配送するための方法であって、患者の鼻管内に、第1の配送出口を通して物質を配送すると共に、少なくとも1つの第2の配送出口を通して、患者の呼気とは別に、少なくとも1つの気体流を配送する工程を備えたことを特徴とする方法である。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明によれば、患者の鼻腔に対する物質の改良された配送を与えるための改良された経鼻配送装置および経鼻配送方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】ヒトの患者の上気道域の解剖学的構造を模式的に示す。
【図2】本発明の第1の実施形態による経鼻配送装置を模式的に示す。
【図3】処置用に患者の鼻腔に挿入された図2の配送装置を模式的に示す。
【図4】作動中の図2の配送装置を模式的に示す。
【図5】作動後の図2の配送装置を模式的に示す。
【図6】本発明の第2の実施形態による経鼻配送装置を模式的に示す。
【図7】処置用に患者の鼻腔に挿入された図6の配送装置を模式的に示す。
【図8】作動中の図6の配送装置を模式的に示す。
【図9】作動後の図6の配送装置を模式的に示す。
【図10】本発明の第3の実施形態による経鼻配送装置を模式的に示す。
【図11】処置用に患者の鼻腔に挿入された図10の配送装置を模式的に示す。
【図12】作動中の図10の配送装置を模式的に示す。
【図13】作動後の図10の配送装置を模式的に示す。
【図14】本発明の第4の実施形態による経鼻配送装置を模式的に示す。
【図15】処置用に患者の鼻腔に挿入された図14の配送装置を模式的に示す。
【図16】作動中の図14の配送装置を模式的に示す。
【図17】本発明の第5の実施形態による経鼻配送装置を模式的に示す。
【図18】処置用に患者の鼻腔に挿入された図17の配送装置を模式的に示す。
【図19】作動中の図17の配送装置を模式的に示す。
【図20】本発明の第6の実施形態による経鼻配送装置を模式的に示す。
【図21】処置用に患者の鼻腔に挿入された図20の配送装置を模式的に示す。
【図22】作動中の図20の配送装置を模式的に示す。
【図23】本発明の第7の実施形態による経鼻配送装置を模式的に示す。
【図24】処置用に患者の鼻腔に挿入された図23の配送装置を模式的に示す。
【図25】作動中の図23の配送装置を模式的に示す。
【図26】作動後の図23の配送装置を模式的に示す。
【図27】本発明の第8の実施形態による経鼻配送装置を模式的に示す。
【図28】処置用に患者の鼻腔に挿入された図27の配送装置を模式的に示す。
【図29】作動中の図27の配送装置を模式的に示す。
【図30】作動後の図27の配送装置を模式的に示す。
【図31】本発明の第9の実施形態による経鼻配送装置を模式的に示す。
【図32】処置用に患者の鼻腔に挿入された図31の配送装置を模式的に示す。
【図33】作動中の図31の配送装置を模式的に示す。
【図34】作動後の図31の配送装置を模式的に示す。
【図35】本発明の第10の実施形態による、非動作構成で示された、経鼻配送装置を模式的に示す。
【図36】駆動ユニットが作動用に準備された図35の配送装置を模式的に示す。
【図37】処置用に患者の鼻腔に挿入された図35の配送装置を模式的に示す。
【図38】患者が息を吐き出し始め、配送装置が作動の段階にある場合の作動中の図35の配送装置を模式的に示す。
【図39】作動中の図35の配送装置を模式的に示す。
【図40】本発明の第11の実施形態による、非動作構成で示された、経鼻配送装置を模式的に示す。
【図41】駆動ユニットが作動用に準備された図40の配送装置を模式的に示す。
【図42】処置用に患者の鼻腔に挿入された図40の配送装置を模式的に示す。
【図43】患者が息を吐き出し始め、配送装置が作動の段階にある場合の図40の配送装置を模式的に示す。
【図44】駆動ユニットが作動され、駆動ユニットが気体供給部の作動を開始し、物質供給部の作動が開始された段階にある場合の図40の配送装置を模式的に示す。
【図45】完全作動中の図40の配送装置を模式的に示す。
【図46】本発明の第12の実施形態による、非動作構成で示された、経鼻配送装置を模式的に示す。
【図47】駆動ユニットが作動用に準備された場合の図46の配送装置を模式的に示す。
【図48】処置用に患者の鼻腔に挿入された図46の配送装置を模式的に示す。
【図49】患者が息を吐き出し始め、配送装置が作動の段階にある場合の図46の配送装置を模式的に示す。
【図50】駆動ユニットが作動され、駆動ユニットが気体供給部の作動を開始し、物質供給部の作動が開始され段階にある場合の図46の配送装置を模式的に示す。
【図51】完全作動中の図46の配送装置を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の好ましい実施形態が、添付の図面を参照する例として、以下で説明される。
【0028】
図2〜5は、本発明の第1の実施形態に係る呼気作動型経鼻配送装置を示している。
【0029】
この配送装置は、ハウジング15と、患者の鼻腔内にはめ込まれる(フィット)ためのノーズピース17と、マウスピース19とを備える。マウスピース19は、そこを通して患者が息を吐き出して、配送装置を作動するためのものである。
【0030】
ノーズピース17は、ノーズピース17を患者の鼻腔内に案内するための案内部材20、この実施形態では切頭円錐形の要素と、物質を患者の鼻腔内に配送するための出口ユニット21とを有する。この実施形態では、ノーズピース17は、交換可能なユニットである。
【0031】
この実施形態では、出口ユニット21は、マウスピース19と流体連通した配送路23を有する。このため、マウスピース19を通る患者の呼気によって、空気流が患者の鼻管内を通して配送される。出口ユニット21はまた、患者の鼻管に物質を配送するためのノズル25を有する。この実施形態では、ノズル25は、配送路23内にそれと同心的に配設されている。この実施形態では、ノズル25は、エアゾールスプレーを供給するように構成されている。代替実施形態では、液体の配送用に、ノズル25は、液体の柱としての液体ジェットを配送するように構成できる。
【0032】
この実施形態では、出口ユニット21は、柔軟な結合によって与えられるように、ハウジング15に対し移動可能に結合されている。これは、以下で更に詳細に説明されるように、出口ユニット21を患者の鼻腔内に位置決めすることを可能にするためである。
【0033】
代替実施形態では、出口ユニット21は、ハウジング15に対し固定され、その代わりに、マウスピース19が、柔軟な結合によって与えられるように、ハウジング15に対し移動可能に結合される。これにより、出口ユニット21は、患者の鼻腔内に位置決め可能となる。
【0034】
この実施形態では、配送路23の少なくとも先端は、管状断面の柔軟で、好ましくは弾性のある素材である。好ましい実施形態では、この素材は、半軟質のプラスチック素材、例えばシリコーンゴムである。
【0035】
この実施形態では、配送路23の少なくとも先端は、その末端(遠端)に向けて細くなるようにテーパ付けされた断面を有する。配送路23は、細くなるテーパを有する状態で、挿入された時に、患者の鼻腔の狭い鼻中弁を拡大するように作用する。好ましい実施形態では、配送路23は、長円断面、好ましくは楕円断面を有する。
【0036】
好ましい実施形態では、出口ユニット21の末端は、少なくとも約2cm、好ましくは少なくとも約3cm、より好ましくは少なくとも約2cm〜約3cm、患者の鼻腔内に延びるように構成されている。
【0037】
ノーズピース17は更に、患者の鼻腔内で拡大するための少なくとも1つの拡大可能なカフ部材27を有する。この実施形態では、少なくとも1つのカフ部材27は、膨張可能な部材である。
【0038】
この実施形態では、少なくとも1つのカフ部材27は、配送路23と流体連通している。これにより、患者がマウスピース19を通して息を吐き出すときに発生された空気流が、少なくとも1つのカフ部材27を膨張するように作用する。代替実施形態では、ノーズピース17のはめ込みに続いて、好ましい実施形態では、マウスピース19を通しての呼気に続いて、好ましくは応答して少なくとも1つのカフ部材27を膨張するための独立したポンプユニットを配送装置に設けることができる。
【0039】
この実施形態では、少なくとも1つのカフ部材27は、患者が息を吐き出すときに膨張される、膨張可能な部材である。1つの代替実施形態では、少なくとも1つのカフ部材27は、ノーズピース17が正しい位置に配置された時に膨張される。
【0040】
この実施形態では、少なくとも1つのカフ部材27は、配送路23内に圧力が生じることで膨張される柔軟なバルーンである。この場合、配送路23から圧力が解放される時に、少なくとも1つのカフ部材27は収縮する。独立したポンプユニットによって少なくとも1つのカフ部材27が膨張される代替実施形態では、少なくとも1つのカフ部材27は、同ポンプユニットを使用して、気体を抜くことによって等しく収縮される。
【0041】
1つの実施形態では、少なくとも1つのカフ部材27は、配送路23内に圧力が生じることで膨張される弾性のあるバルーンユニットである。この場合、配送路23から圧力が解放される時に、少なくとも1つのカフ部材27は、元の収縮された構成に戻る。
【0042】
他の実施形態では、少なくとも1つのカフ部材27は、膨張可能なスポンジ要素、1つの実施形態では、カプセル封止層を有した発泡要素である。この要素は、患者の鼻腔内に挿入されることを可能にする小型な構成を採用するために、この実施形態では抜気によって圧縮される。またスポンジ要素の多孔質構造中に気体を導入することを可能にするために、この実施形態では真空を解除することによって膨張される。1つの実施形態では、そのようなカフ部材27は、大気と選択的に連通可能である。他の実施形態では、そのようなカフ部材27は、配送路23と選択的に連通可能である。これにより、配送路23内に生じた圧力は、カフ部材27の膨張を助ける。独立したポンプユニットを含んだ代替実施形態では、そのポンプユニットは、そのようなカフ部材27の膨張を助けることに使用でき、また、そこから気体を抜くことによって、そのカフ部材27の収縮を助けることに使用できる。1つの実施形態では、その膨張は、患者の呼気によってトリガされる。他の実施形態では、その膨張は、患者の鼻腔内の正しい位置に配置されたノーズピース17によってトリガされる。
【0043】
少なくとも1つのカフ部材27は、膨張時に、患者の鼻腔内壁に係合するように、出口ユニット21の外面に配設されている。少なくとも1つのカフ部材27は、膨張可能な状態で、患者の鼻腔の狭い鼻中弁を拡張し、ノーズピース17を患者の鼻腔内に封止し、更に患者の鼻腔内で出口ユニット21の位置、特に方向を決定する。
【0044】
この実施形態では、少なくとも1つのカフ部材27は、膨張したときに、配送路23と患者の鼻腔内壁との間を封止するように、出口ユニット21を中心として配置された単一の環状カフ部材27である。
【0045】
代替実施形態では、少なくとも1つのカフ部材27は、膨張したときに、配送路23と患者の鼻腔内壁との間を一緒になって封止する複数の環状カフ部材27である。
【0046】
この配送装置は更に、計量された服用量の物質を配送するための物質供給部29を備える。この実施形態では、配伍剤を懸濁または溶液のいずれかとして含有する計量された体積の推進剤、好ましくはヒドロフロロアルカン(HFA)推進剤等を配送するためのエアゾールキャニスターである。これは、ノズル25と流体的に接続されて、ノーズピース17から物質を、この実施形態ではエアゾールスプレーとして配送するものである。
【0047】
この実施形態では、物質供給部29は、複数の計量された服用量の物質を配送するためのマルチ・ドーズ・ユニットである。他の実施形態では、物質供給部29は、単一の計量された服用量の物質を配送するためのシングル・ドーズ・ユニットである。
【0048】
物質供給部29は、この実施形態では弾性要素に負荷をかけることによって予め準備可能であり、そして呼気作動型の解放機構31を有している。この解放機構は、トリガされたときに弾性要素を解放し、そして物質供給部29を作動して、計量された服用量の物質をノズル25から配送する。
【0049】
この実施形態では、解放機構31は、配送路23を通して所定の流率が生じたときに、物質供給部29を作動させるように構成されている。
【0050】
他の実施形態では、解放機構31は、配送路23内に所定の圧力が生じたときに、物質供給部29を作動させるように構成されている。
【0051】
異なる実施形態では、解放機構31は、配送路23を通して所定の流率が生じたとき、または配送路23内に所定の圧力が生じたときに、物質供給部29を作動させるように構成されている。
【0052】
1つの代替実施形態では、物質供給部29は、その作動時に、計量された服用量の物質を配送する機械的な配送ポンプ、特に液体配送ポンプまたは粉体配送ポンプである。
【0053】
他の代替実施形態では、物質供給部29は、その作動時に、計量された服用量の物質を乾燥粉体として配送する乾燥粉体配送ユニットである。
【0054】
もう1つの代替実施形態では、物質供給部29は、その作動時に、計量された服用量の物質をエアゾールスプレーとして配送するネブライザーである。
【0055】
以下、添付図面の図3〜5を参照して、この配送装置の動作を説明する。
【0056】
図3を参照すると、先ずノーズピース17は、案内部材20が鼻孔の外鼻孔に接触するまで、患者の鼻腔の1つに挿入される。その段階で、出口ユニット21の末端は、約2cm患者の鼻腔内に延び、そしてマウスピース19は患者の唇で把持される。
【0057】
それから、患者は、マウスピース19を通しての呼気を開始する。この呼気は、患者の口咽頭帆を閉鎖し、そして出口ユニット21の配送路23を通して空気流を押し出すように作用する。この場合、空気流は一方の鼻腔に入り、鼻中隔の後縁の回りを通過して、他方の鼻腔から出る。これにより、患者の鼻腔を通る双方向性の空気流が達成される。マウスピース19を通る呼気は、配送路23内に圧力を発生させるように作用する。この圧力は、少なくとも1つのカフ部材27を膨張させるように作用する。図4に示されているように、少なくとも1つのカフ部材27の拡大は、鼻腔内の鼻中弁を拡張し、配送路23を鼻腔内壁に封止し、出口ユニット21を患者の鼻腔に関連付けて位置決めするように作用する。図4から判るように、出口ユニット21は、少なくとも1つのカフ部材27によって必要とされる位置を採用することが強制される。これは、この実施形態では、出口ユニット21を湾曲することによって、適応されるようにするためである。
【0058】
この実施形態では、配送路23を通る流率が所定の値に達した時に、解放機構31はトリガされて、物質供給部29を作動し、計量された服用量の物質をノズル25へ、また患者の鼻腔内へ配送する。代替実施形態では、解放機構31は、配送路23内に所定の圧力が発生したときにトリガされる。
【0059】
呼気に続いて、図5に示すように、配送路23内の圧力は減少し、少なくとも1つのカフ部材27は収縮する。この段階でマウスピース19は解放され、そしてノーズピース17は、患者の鼻腔から引き抜かれる。
【0060】
配送装置がシングル・ドーズ・デバイスである1つの実施形態では、そのデバイスは廃棄される。
【0061】
配送装置がマルチ・ドーズ・デバイスである他の実施形態では、そのデバイスは、物質供給部29の準備に続いて更に使用される。ノーズピース17が交換可能な1つの好ましい実施形態では、そのノーズピース17は、新しいノーズピース17と交換される。
【0062】
図6〜9は、本発明の第2の実施形態に係る呼気作動型経鼻配送装置を示している。
【0063】
この実施形態の配送装置は、上述した第1の実施形態の配送装置によく似ているので、説明の不要な重複を避けるために、同様の部分を同様の参照符号で示しながら、相違点だけを詳細に説明する。
【0064】
この実施形態の配送装置は、上述した第1の実施形態の配送装置と異なり、患者の呼気に応答して出口ユニット21の配送路23を通して気体流を配送するための口部呼気作動可能な気体供給部33を更に備える。また、マウスピース19は、出口ユニット21の配送路23とではなく、気体供給部33と流体連通している点も異なる。これにより、気体流は、マウスピース19を通しての呼気に応答して、出口ユニット21の配送路23へ、そして患者の鼻管へ配送される。
【0065】
この配送装置の動作は、上述した第1の実施形態に対するものと同じであり、気体流はマウスピース19を通しての呼気に応答して出口ユニット21の配送路23へ配送される。
【0066】
図10〜13は、本発明の第3の実施形態に係る呼気作動型経鼻配送装置を示している。
【0067】
この実施形態の配送装置は、上述した第1の実施形態の配送装置によく似ているので、説明の不要な重複を避けるために、同様の部分を同様の参照符号で示しながら、相違点だけを詳細に説明する。
【0068】
この実施形態の配送装置は、上述した第1の実施形態の配送装置と異なり、ノーズピース17が、複数の、この実施形態では2つの膨張可能なカフ部材27a,27bを備える。カフ部材27a,27bのこの配置は、最末端のカフ部材27bを小さいサイズにして、出口ユニット21を狭い鼻中弁を通して患者の鼻腔内へ容易に挿入することを可能にする。
【0069】
この配送装置の動作は、上述した第1の実施形態に対するものと同じである。
【0070】
図14〜16は、本発明の第4の実施形態に係る呼気作動型経鼻配送装置を示している。
【0071】
この配送装置は、ハウジング35と、患者の鼻腔内にはめ込まれるためのノーズピース37と、マウスピース39とを備える。マウスピース39は、そこを通して患者が息を吐き出して、配送装置を作動するためのものである。
【0072】
ノーズピース37は、ノーズピース37を患者の鼻腔内に案内するための案内部材40、この実施形態では切頭円錐形の要素と、物質を患者の鼻腔内に配送するための出口ユニット41とを有する。この実施形態では、ノーズピース37は、交換可能なユニットである。
【0073】
この実施形態では、出口ユニット41は、マウスピース39と流体連通した配送路43を有する。このため、マウスピース39を通る患者の呼気によって、空気流が患者の鼻管内を通して配送される。出口ユニット41はまた、患者の鼻管に物質を配送するためのノズル45を有する。この実施形態では、ノズル45は、配送路43内にそれと同心的に配設されている。この実施形態では、ノズル45は、エアゾールスプレーを供給するように構成されている。代替実施形態では、液体の配送用に、ノズル45は、液体の柱としての液体ジェットを配送するように構成できる。
【0074】
この実施形態では、配送路43の少なくとも先端は、管状断面の柔軟で、好ましくは弾性のある素材である。好ましい実施形態では、この素材は、半軟質のプラスチック素材、例えばシリコーンゴムである。
【0075】
この実施形態では、配送路43の少なくとも先端は、その末端に向けて細くなるようにテーパ付けされた断面を有する。配送路43は、細くなるテーパを有する状態で、挿入された時に、患者の鼻腔の狭い鼻中弁を拡大するように作用する。好ましい実施形態では、配送路43は、長円断面、好ましくは楕円断面を有する。
【0076】
好ましい実施形態では、出口ユニット41は、少なくとも約2cm、好ましくは少なくとも約3cm、より好ましくは少なくとも約2cm〜約3cm、患者の鼻腔内に延びるように構成されている。
【0077】
ノーズピース37は、患者の鼻腔内にはめ込まれるための少なくとも1つのカフ部材47を更に備える。この実施形態では、少なくとも1つのカフ部材47は、変形可能な弾性部材であって、患者の鼻腔内への挿入、および挿入時に拡大して鼻腔内で必要とされる位置(出口ユニット41が正しく位置決めされる位置)を採用することを可能とする。そのように位置決めされたときに、少なくとも1つのカフ部材47は、鼻腔内の狭い鼻中弁を拡張し、鼻腔内に出口ユニット41を封止し、更に患者の鼻腔内で出口ユニット41の位置、特に方向を決定する。この実施形態では、少なくとも1つのカフ部材47は、スポンジ部材、ここでは発泡要素である。代替実施形態では、少なくとも1つのカフ部材47は、ゲルが充填された部材、例えばシリコーンが充填された部材である。
【0078】
この実施形態では、少なくとも1つのカフ部材47は、鼻腔内に挿入されたときに、出口ユニット41が患者の鼻腔の下部領域に向けられるように構成されている。好ましい実施形態では、少なくとも1つのカフ部材47は、出口ユニット41を下鼻道の全領域および中鼻道の下部に向けるように構成できる。これにより、特に下鼻甲介と、上咽頭の上部にあるアデノイドおよび耳管小口を標的として物質が配送される。
【0079】
中鼻道の下部および下鼻道に隣接した鼻管内の領域は、そこを通る最小流抵抗の経路を提供する鼻管内の領域となる。既存の経鼻スプレーシステムによる配送は、配送される物質が鼻腔の床に沿って流れて、その物質がアデノイドや耳管小口に到達しないという結果を生じる。
【0080】
この実施形態では、少なくとも1つのカフ部材47は、少なくとも1つのローブ54、ここでは単一のローブ54を有する。このローブは、患者の鼻腔の上部領域内へ延びて、そこを塞ぐように構成されている。少なくとも1つのローブ54は、配送される流れに作用して、その流れが中鼻道の下部および下鼻道によって規定される流路に追従するように強制する。そのような流路の達成は、粒子サイズ分布の最適化と緊密に結びついて、物質のより多くの部分が、中鼻道の下部および下鼻道内にある複数の部位へ配送できるようにする。
【0081】
この実施形態では、少なくとも1つのカフ部材47は、出口ユニット41を中心として配設される単一の環状カフ部材47である。
【0082】
代替実施形態では、少なくとも1つのカフ部材47は、出口ユニット41を中心として配設される複数の環状カフ部材47を備えることができる。
【0083】
この配送装置は更に、計量された服用量の物質を配送するための物質供給部49を備える。この実施形態では、配伍剤を懸濁または溶液のいずれかとして含有する計量された体積の推進剤、好ましくはヒドロフロロアルカン(HFA)推進剤等を配送するためのエアゾールキャニスターである。これは、ノズル45と流体的に接続されて、ノーズピース37から物質を、この実施形態ではエアゾールスプレーとして配送するものである。
【0084】
この実施形態では、物質供給部49は、複数の計量された服用量の物質を配送するためのマルチ・ドーズ・ユニットである。他の実施形態では、物質供給部49は、単一の計量された服用量の物質を配送するためのシングル・ドーズ・ユニットである。
【0085】
物質供給部49は、この実施形態では弾性要素に負荷をかけることによって予め準備可能であり、そして息作動型の解放機構51を有している。この解放機構は、トリガされたときに弾性要素を解放し、そして物質供給部49を作動して、計量された服用量の物質をノズル45から配送する。
【0086】
この実施形態では、解放機構51は、配送路43を通して所定の流率が生じたときに、物質供給部49を作動させるように構成されている。
【0087】
他の実施形態では、解放機構51は、配送路43内に所定の圧力が生じたときに、物質供給部49を作動させるように構成されている。
【0088】
異なる実施形態では、解放機構51は、配送路43を通して所定の流率が生じたとき、または配送路43内に所定の圧力が生じたときに、物質供給部49を作動させるように構成されている。
【0089】
1つの代替実施形態では、物質供給部49は、その作動時に、計量された服用量の物質を配送する機械的な配送ポンプ、特に液体配送ポンプまたは粉体配送ポンプである。
【0090】
他の代替実施形態では、物質供給部49は、その作動時に、計量された服用量の物質を乾燥粉体として配送する乾燥粉体配送ユニットである。
【0091】
もう1つの代替実施形態では、物質供給部49は、その作動時に、計量された服用量の物質をエアゾールスプレーとして配送するネブライザーである。
【0092】
以下、添付図面の図15および16を参照して、この配送装置の動作を説明する。
【0093】
図15を参照すると、先ずノーズピース37は、案内部材40が鼻孔の外鼻孔に接触するまで、患者の1つの鼻腔に挿入される。その段階で、出口ユニット41は、約2cm患者の鼻腔内に延び、そしてマウスピース39は患者の唇で把持される。
【0094】
それから、患者は、マウスピース39を通しての呼気を開始する。この呼気は、患者の口咽頭帆を閉鎖し、そして出口ユニット41の配送路43を通して空気流を押し出すように作用する。この場合、空気流は一方の鼻腔に入り、鼻中隔の後縁の回りを通過して、他方の鼻腔から出る。これにより、患者の鼻腔を通る双方向性の空気流が達成される。
【0095】
この実施形態では、配送路43を通る流率が所定の値に達した時に、解放機構51はトリガされて、物質供給部49を作動し、計量された服用量の物質をノズル45へ、また患者の鼻腔内へ配送する。代替実施形態では、解放機構51は、配送路43内に所定の圧力が発生したときにトリガされる。
【0096】
呼気に続いて、マウスピース39は解放され、そしてノーズピース37は、患者の鼻腔から引き抜かれる。
【0097】
配送装置がシングル・ドーズ・デバイスである1つの実施形態では、そのデバイスは廃棄される。
【0098】
配送装置がマルチ・ドーズ・デバイスである他の実施形態では、そのデバイスは、物質供給部49の準備に続いて更に使用される。ノーズピース37が交換可能な1つの好ましい実施形態では、そのノーズピース37は、新しいノーズピース37と交換される。
【0099】
図17〜19は、本発明の第5の実施形態に係る呼気作動型経鼻配送装置を示している。
【0100】
この実施形態の配送装置は、上述した第4の実施形態の配送装置によく似ているので、説明の不要な重複を避けるために、同様の部分を同様の参照符号で示しながら、相違点だけが詳細に説明される。
【0101】
この実施形態の配送装置は、出口ユニット41および少なくとも1つのカフ部材47の構成だけが上述した第4の実施形態の配送装置と異なる。
【0102】
この実施形態では、少なくとも1つのカフ部材47は、患者の鼻腔内に挿入されたときに、出口ユニット41が患者の鼻腔の中間領域に向けられるように構成されている。好ましい実施形態では、少なくとも1つのカフ部材47は、出口ユニット41を中鼻道の全領域および上鼻道の下部に向けるように構成できる。これにより、特に中鼻甲介、鼻腔漏斗および鼻腔小口を標的として物質が配送される。
【0103】
中鼻道は、中鼻甲介の下および横に位置する鼻腔の領域である。鼻腔漏斗と鼻腔小口は、鼻ポリープ症や、人口の約10〜15%に影響するがFDA承認の療法がない慢性副鼻腔炎等の、多くの極めて一般的な疾病における主たる病理の部位である。このような唯一知られた療法は、過酷な頸部伸展と所謂「メッカ」の地を含む厳格で複雑な処置の間に、ドロップを適用することである。しかしながら、認められるように、複雑でしばしば痛みを伴う処置のために、応諾されることは非常に乏しい。既存の経鼻スプレーシステムは、鼻腔のこの領域へ物質を配送することに効果的ではない。
【0104】
この実施形態では、少なくとも1つのカフ部材47は、上下のローブ54a,54bを有する。これらローブは、患者の鼻腔の上下領域内へそれぞれ延びて、そこを塞ぐように構成されている。ローブ54a,54bは、配送される流れに作用して、その流れが上鼻道の下部および中鼻道によって規定される流路に追従するように強制する。そのような流路の達成は、粒子サイズ分布の最適化と緊密に結びついて、物質のより多くの部分が、中鼻道および中鼻道の下部内にある複数の部位へ配送できるようにする。
【0105】
この配送装置の動作は、上述した第4の実施形態に対するものと同じである。
【0106】
図20〜22は、本発明の第6の実施形態に係る呼気作動型経鼻配送装置を示している。
【0107】
この実施形態の配送装置は、上述した第4の実施形態の配送装置によく似ているので、説明の不要な重複を避けるために、同様の部分を同様の参照符号で示しながら、相違点だけが詳細に説明される。
【0108】
この実施形態の配送装置は、出口ユニット41および少なくとも1つのカフ部材47の構成だけが上述した第4の実施形態の配送装置と異なる。
【0109】
この実施形態では、少なくとも1つのカフ部材47は、患者の鼻腔内に挿入されたときに、出口ユニット41が患者の鼻腔の上部領域に向けられるように構成されている。好ましい実施形態では、少なくとも1つのカフ部材47は、出口ユニット41を上鼻道の全領域に向けるように構成でき、特に上鼻甲介および嗅覚領域を標的として物質が配送されるようにする。
【0110】
嗅覚領域は、鼻腔の上部領域に位置して、典型的には約4〜6cm2の表面積を有している。嗅覚領域は、血液−脳障壁(BBB)を迂回すること、並びに脳脊髄液(CSF)と脳を連通させることを可能とする唯一の領域である。そのような配送は、アルツハイマー病やパーキンソン病のような神経学的疾病、精神病および脳内感染の効果的療法を可能にすることに必要である
【0111】
嗅覚領域へは、狭いスリット状の通路を通して到達するので、既存の経鼻配送システムを使用して、この領域へ物質を配送することは不可能である。
【0112】
既存の経鼻スプレーシステムでは、嗅覚領域と連通した通路を通過するには、実質的に全ての粒子が遙かに大きすぎる。事実、そのようなスプレーシステムは、平均径10μm以上の粒子を配送するように特別に設計されている。これは、直径10μm以下の粒子の最大部分が全体の5%であることを要求するFDAの要件に従うためである。この要件に対する理由は、配送指示された患者が鼻を通して息を吐き出した場合のように、帆が閉じられていない場合、直径10μm以下の粒子が鼻腔から逃れて、肺に吸入されるからである。
【0113】
加えて、既存の経鼻スプレーシステムでは、鼻腔に配送される粒子の流れ特性は、嗅覚領域と連通した通路を通過する配送を可能とするには適していない。
【0114】
更には、配送中に患者が鼻で吸い込む動作は、それらの粒子を、流抵抗が最小の鼻腔の下部および中間領域内へ引き込ませる。この結果、粒子の最小部分があれば、その部分だけが嗅覚領域へ配送される。
【0115】
この実施形態では、配送状態における帆の閉鎖を確実にし、また粒子サイズ分布と空力学的配送条件の双方を最適化することによって、配送装置は、嗅覚領域への物質の効果的な配送を与える。この場合、粒子サイズ分布は、典型的には10μm以下の粒子サイズを有する小さい粒子の大部分を含むように最適化される。そのような配送体制は、これまでに知られておらず、しかも改良された配送装置および配送方法を提供するものであると、本出願人によって認識されている。
【0116】
この実施形態では、少なくとも1つのカフ部材47の少なくとも1つのローブ54は、患者の鼻腔の下部領域内へ延びて、そこを塞ぐように構成されている。少なくとも1つのローブ54は、配送される流れに作用して、その流れが上鼻道特に嗅覚領域によって規定される流路に追従するように強制する。そのような流路の達成は、粒子サイズ分布の最適化と緊密に結びついて、物質のより多くの部分を、上鼻道、特に嗅覚領域内にある複数の部位へ配送できるようにする。
【0117】
この配送装置の動作は、上述した第4の実施形態に対するものと同じである。
【0118】
図23〜26は、本発明の第7の実施形態に係る呼気作動型経鼻配送装置を示している。
【0119】
この配送装置は、ハウジング55と、患者の鼻腔内にはめ込まれるためのノーズピース57と、マウスピース59とを備える。マウスピース59は、そこを通して患者が息を吐き出して、配送装置を作動するためのものである。
【0120】
ノーズピース57は、ノーズピース57を患者の鼻腔内に案内するための案内部材60、この実施形態では切頭円錐形の要素と、物質を患者の鼻腔内に配送するための出口ユニット61とを有する。この実施形態では、ノーズピース57は、交換可能なユニットである。
【0121】
この実施形態では、出口ユニット61は、マウスピース59と流体連通した配送路63を有する。このため、マウスピース59を通る患者の呼気によって、空気流が患者の鼻管内を通して配送される。出口ユニット61はまた、患者の鼻管に物質を配送するためのノズル65を有する。この実施形態では、ノズル65は、配送路63内にそれと同心的に配設されている。この実施形態では、ノズル65は、エアゾールスプレーを供給するように構成されている。代替実施形態では、液体の配送用に、ノズル65は、液体の柱としての液体ジェットを配送するように構成できる。
【0122】
この実施形態では、出口ユニット61は、ここでは柔軟な結合によって与えられるように、ハウジング55に対し移動可能に結合されている。これは、以下で更に詳細に説明されるように、出口ユニット61を患者の鼻腔内に位置決めすることを可能にするためである。
【0123】
代替実施形態では、出口ユニット61は、ハウジング55に対し固定され、その代わりに、マウスピース59が、ここでは柔軟な結合によって与えられるように、ハウジング55に対し移動可能に結合される。これにより、出口ユニット61は、患者の鼻腔内に位置決め可能となる。
【0124】
この実施形態では、配送路63の少なくとも先端は、管状断面の柔軟で、好ましくは弾性のある素材である。好ましい実施形態では、この素材は、半軟質のプラスチック素材、例えばシリコーンゴムである。
【0125】
この実施形態では、配送路63の少なくとも先端は、その末端に向けて細くなるようにテーパ付けされた断面を有する。配送路63は、細くなるテーパを有する状態で、挿入された時に、患者の鼻腔の狭い鼻中弁を拡大するように作用する。好ましい実施形態では、配送路63は、長円断面、好ましくは楕円断面を有する。
【0126】
好ましい実施形態では、出口ユニット61の末端は、少なくとも約2cm、好ましくは少なくとも約3cm、より好ましくは少なくとも約2cm〜約3cm、患者の鼻腔内に延びるように構成されている。
【0127】
ノーズピース57は更に、患者の鼻腔内で拡大するための少なくとも1つの拡大可能なカフ部材67を有する。この実施形態では、少なくとも1つのカフ部材67は、膨張可能な部材である。
【0128】
この実施形態では、少なくとも1つのカフ部材67は、配送路63と流体連通している。これにより、患者がマウスピース59を通して息を吐き出すときに発生された空気流が、少なくとも1つのカフ部材67を膨張するように作用する。代替実施形態では、ノーズピース57のはめ込みに続いて、好ましい実施形態では、マウスピース59を通しての呼気に続いて、好ましくは応答して少なくとも1つのカフ部材67を膨張するための独立したポンプユニットを配送装置に設けることができる。
【0129】
この実施形態では、少なくとも1つのカフ部材67は、患者が息を吐き出すときに膨張される膨張可能な部材である。1つの代替実施形態では、少なくとも1つのカフ部材67は、ノーズピース57が正しい位置に配置された時に膨張される。
【0130】
この実施形態では、少なくとも1つのカフ部材67は、配送路63内に圧力が生じることで膨張される柔軟なバルーン要素である。この場合、配送路63から圧力が解放される時に、少なくとも1つのカフ部材67は収縮する。独立したポンプユニットによって少なくとも1つのカフ部材67が膨張される代替実施形態では、少なくとも1つのカフ部材67は、同ポンプユニットを使用して、気体を抜くことによって等しく収縮される。
【0131】
1つの実施形態では、少なくとも1つのカフ部材67は、配送路63内に圧力が生じることで膨張される弾性のあるバルーン要素である。この場合、配送路63から圧力が解放される時に、少なくとも1つのカフ部材67は、元の収縮された構成に戻る。
【0132】
他の実施形態では、少なくとも1つのカフ部材67は、膨張可能なスポンジ要素、1つの実施形態では、カプセル封止層を有した発泡要素である。この要素は、患者の鼻腔内に挿入されることを可能にする小型な構成を採用するために、この実施形態では抜気によって圧縮できる。またスポンジ要素の多孔質構造中に気体を導入することを可能にするために、この実施形態では真空を解除することによって膨張される。1つの実施形態では、そのようなカフ部材67は、大気と選択的に連通可能である。他の実施形態では、そのようなカフ部材67は、配送路63と選択的に連通可能である。これにより、配送路63内に生じた圧力は、カフ部材67の膨張を助ける。独立したポンプユニットを含んだ代替実施形態では、そのポンプユニットは、そのようなカフ部材67の膨張を助けることに使用でき、また、そこから気体を抜くことによって、そのカフ部材67の収縮を助けることに使用できる。1つの実施形態では、その膨張は、患者の呼気によってトリガされる。他の実施形態では、その膨張は、患者の鼻腔内の正しい位置に配置されたノーズピース57によってトリガされる。
【0133】
少なくとも1つのカフ部材67は、膨張時に、患者の鼻腔内壁に係合するように、出口ユニット61の外面に配設されている。少なくとも1つのカフ部材67は、膨張可能な状態で、患者の鼻腔の狭い鼻中弁を拡張し、ノーズピース57を患者の鼻腔内に封止し、更に患者の鼻腔内で出口ユニット61の位置、特に方向を決定する。
【0134】
この実施形態では、少なくとも1つのカフ部材67は、膨張したときに、配送路23と患者の鼻腔内壁との間を封止するように、出口ユニット61を中心として配置された単一の環状カフ部材67である。
【0135】
代替実施形態では、少なくとも1つのカフ部材67は、膨張したときに、配送路63と患者の鼻腔内壁との間を一緒になって封止する複数の環状カフ部材67である。
【0136】
この実施形態では、少なくとも1つのカフ部材67は、鼻腔内に挿入されたときに、出口ユニット61が患者の鼻腔の下部領域に向けられるように構成されている。好ましい実施形態では、少なくとも1つのカフ部材67は、出口ユニット61を下鼻道の全領域および中鼻道の下部に向けるように構成できる。これにより、特に下鼻甲介と、上咽頭の上部にあるアデノイドおよび耳管小口を標的として物質が配送される。
【0137】
中鼻道の下部および下鼻道に隣接した鼻管内の領域は、そこを通る最小流抵抗の経路を提供する鼻管内の領域となる。既存の経鼻スプレーシステムによる配送は、配送される物質が鼻腔の床に沿って流れて、その物質がアデノイドや耳管小口に到達しないという結果を生じる。
【0138】
この実施形態では、少なくとも1つのカフ部材67は、少なくとも1つのローブ74、ここでは単一のローブ74を有する。このローブは、患者の鼻腔の上部領域内へ延びて、そこを塞ぐように構成されている。少なくとも1つのローブ74は、配送される流れに作用して、その流れが中鼻道の下部および下鼻道によって規定される流路に追従することを強制する。そのような流路の達成は、粒子サイズ分布の最適化と緊密に結びついて、物質のより大きな部分が、中鼻道の下部および下鼻道内にある複数の部位へ配送できるようにする。
【0139】
この実施形態では、少なくとも1つのカフ部材67は、出口ユニット61を中心として配設される単一の環状カフ部材67である。
【0140】
代替実施形態では、少なくとも1つのカフ部材67は、出口ユニット61を中心として配設される複数の環状カフ部材67を備えることができる。
【0141】
この配送装置は更に、計量された服用量の物質を配送するための物質供給部69を備える。この実施形態では、配伍剤を懸濁または溶液のいずれかとして含有する計量された体積の推進剤、好ましくはヒドロフロロアルカン(HFA)推進剤等を配送するためのエアゾールキャニスターである。これは、ノズル65と流体的に接続されて、ノーズピース57から物質を、この実施形態ではエアゾールスプレーとして配送するものである。
【0142】
この実施形態では、物質供給部69は、複数の計量された服用量の物質を配送するためのマルチ・ドーズ・ユニットである。他の実施形態では、物質供給部69は、単一の計量された服用量の物質を配送するためのシングル・ドーズ・ユニットである。
【0143】
物質供給部69は、この実施形態では弾性要素に負荷をかけることによって予め準備可能であり、そして息作動型の解放機構71を有している。この解放機構は、トリガされたときに弾性要素を解放し、そして物質供給部69を作動して、計量された服用量の物質をノズル65から配送する。
【0144】
この実施形態では、解放機構71は、配送路63を通して所定の流率が生じたときに、物質供給部69を作動させるように構成されている。
【0145】
他の実施形態では、解放機構71は、配送路63内に所定の圧力が生じたときに、物質供給部69を作動させるように構成できる。
【0146】
異なる実施形態では、解放機構71は、配送路63を通して所定の流率が生じたとき、または配送路63内に所定の圧力が生じたときに、物質供給部69を作動させるように構成できる。
【0147】
1つの代替実施形態では、物質供給部69は、その作動時に、計量された服用量の物質を配送する機械的な配送ポンプ、特に液体配送ポンプまたは粉体配送ポンプである。
【0148】
他の代替実施形態では、物質供給部69は、その作動時に、計量された服用量の物質を乾燥粉体として配送する乾燥粉体配送ユニットである。
【0149】
もう1つの代替実施形態では、物質供給部69は、その作動時に、計量された服用量の物質をエアゾールスプレーとして配送するネブライザーである。
【0150】
以下、添付図面の図24〜26を参照して、この配送装置の動作を説明する。
【0151】
図24を参照すると、先ずノーズピース57は、案内部材60が鼻孔の外鼻孔に接触するまで、患者の鼻腔の1つに挿入される。その段階で、出口ユニット61は、約2cm患者の鼻腔内に延び、そしてマウスピース59は患者の唇で把持される。
【0152】
それから、患者は、マウスピース59を通しての呼気を開始する。この呼気は、患者の口咽頭帆を閉鎖し、そして出口ユニット61の配送路63を通して空気流を押し出すように作用する。この場合、空気流は一方の鼻腔に入り、鼻中隔の後縁の回りを通過して、他方の鼻腔から出る。これにより、患者の鼻腔を通る双方向性の空気流が達成される。マウスピース59を通る呼気は、配送路63内に圧力を発生させるように作用する。この圧力は、少なくとも1つのカフ部材67を膨張させるように作用する。図25に示されているように、少なくとも1つのカフ部材67の拡大は、鼻腔内の鼻中弁を拡張し、配送路63を鼻腔内壁に封止し、出口ユニット61を患者の鼻腔に関連付けて位置決めするように作用する。図25から判るように、出口ユニット61は、少なくとも1つのカフ部材67によって必要とされる位置を採用することが強制される。これは、この実施形態では、出口ユニット61を湾曲することによって、適応されるようにするためである。
【0153】
この実施形態では、配送路63を通る流率が所定の値に達した時に、解放機構71はトリガされて、物質供給部69を作動し、計量された服用量の物質をノズル65へ、また患者の鼻腔内へ配送する。代替実施形態では、解放機構71は、配送路63内に所定の圧力が発生したときにトリガされる。
【0154】
呼気に続いて、図26に示すように、配送路63内の圧力は減少し、少なくとも1つのカフ部材67は収縮する。この段階でマウスピース59は解放され、そしてノーズピース57は、患者の鼻腔から引き抜かれる。
【0155】
配送装置がシングル・ドーズ・デバイスである1つの実施形態では、そのデバイスは廃棄される。
【0156】
配送装置がマルチ・ドーズ・デバイスである他の実施形態では、そのデバイスは、物質供給部69の準備に続いて更に使用される。ノーズピース57が交換可能な1つの好ましい実施形態では、そのノーズピース57は、新しいノーズピース57と交換される。
【0157】
図27〜30は、本発明の第8の実施形態に係る呼気作動型経鼻配送装置を示している。
【0158】
この実施形態の配送装置は、上述した第7の実施形態の配送装置によく似ているので、説明の不要な重複を避けるために、同様の部分を同様の参照符号で示しながら、相違点だけが詳細に説明される。
【0159】
この実施形態の配送装置は、出口ユニット61および少なくとも1つのカフ部材67の構成だけが上述した第7の実施形態の配送装置と異なる。
【0160】
この実施形態では、少なくとも1つのカフ部材67は、患者の鼻腔内に挿入されたときに、出口ユニット61が患者の鼻腔の中間領域に向けられるように構成されている。好ましい実施形態では、少なくとも1つのカフ部材67は、出口ユニット61を中鼻道の全領域および上鼻道の下部に向けるように構成できる。これにより、特に中鼻甲介、鼻腔漏斗および鼻腔小口を標的として物質が配送される。
【0161】
中鼻道は、中鼻甲介の下および横に位置する鼻腔の領域である。鼻腔漏斗と鼻腔小口は、鼻ポリープ症や、人口の約10〜15%に影響するがFDA承認の療法がない慢性副鼻腔炎等の、多くの極めて一般的な疾病における主たる病理の部位である。このようなの唯一知られた療法は、過酷な頸部伸展と所謂「メッカ」の地を含む厳格で複雑な処置の間に、ドロップを適用することである。しかしながら、認められるように、複雑でしばしば痛みを伴う処置のために、応諾されることは非常に乏しい。既存の経鼻スプレーシステムは、鼻腔のこの領域へ物質を配送することに効果的ではない。
【0162】
この実施形態では、少なくとも1つのカフ部材67は、上下のローブ74a,74bを有する。これらローブは、患者の鼻腔の上下領域内へそれぞれ延びて、そこを塞ぐように構成されている。ローブ74a,74bは、配送される流れに作用して、その流れが上鼻道の下部および中鼻道によって規定される流路に追従することを強制する。そのような流路の達成は、粒子サイズ分布の最適化と緊密に結びついて、物質のより大きな部分を、中鼻道および中鼻道の下部内にある複数の部位へ配送できるようにする。
【0163】
この配送装置の動作は、上述した第7の実施形態に対するものと同じである。
【0164】
図31〜34は、本発明の第9の実施形態に係る呼気作動型経鼻配送装置を示している。
【0165】
この実施形態の配送装置は、上述した第7の実施形態の配送装置によく似ているので、説明の不要な重複を避けるために、同様の部分を同様の参照符号で示しながら、相違点だけが詳細に説明される。
【0166】
この実施形態の配送装置は、出口ユニット61および少なくとも1つのカフ部材67の構成だけが上述した第7の実施形態の配送装置と異なる。
【0167】
この実施形態では、少なくとも1つのカフ部材67は、患者の鼻腔内に挿入されたときに、出口ユニット61が患者の鼻腔の上部領域に向けられるように構成されている。好ましい実施形態では、少なくとも1つのカフ部材67は、出口ユニット61を上鼻道の全領域に向けるように構成でき、特に上鼻甲介および嗅覚領域を標的として物質が配送されるようにする。
【0168】
嗅覚領域は、鼻腔の上部領域に位置して、典型的には約4〜6cm2の表面積を有している。嗅覚領域は、血液−脳障壁(BBB)を迂回すること、並びに脳脊髄液(CSF)と脳を連通させることを可能とする唯一の領域である。そのような配送は、アルツハイマー病やパーキンソン病のような神経学的疾病、精神病および脳内感染の効果的療法を可能とするために必要である
【0169】
嗅覚領域へは、狭いスリット状の通路を通して到達するので、既存の経鼻配送システムを使用して、この領域へ物質を配送することは不可能である。
【0170】
既存の経鼻スプレーシステムでは、嗅覚領域と連通した通路を通過するには、実質的に全ての粒子が遙かに大きすぎる。事実、そのようなスプレーシステムは、平均径10μm以上の粒子を配送するように特別に設計されている。これは、直径10μm以下の粒子の最大部分が全体の5%であることを要求するFDAの要件に従うためである。この要件に対する理由は、配送指示された患者が鼻を通して息を吐き出した場合のように、帆が閉じられていない場合、直径10μm以下の粒子が鼻腔から逃れて、肺に吸入されるからである。
【0171】
加えて、既存の経鼻スプレーシステムでは、鼻腔に配送される粒子の流率は、嗅覚領域と連通した通路を通過する配送を可能とするに大きすぎる。
【0172】
更には、配送中の患者による呼気は、それらの粒子を、流抵抗が最小の鼻腔の下部および中間領域内へ引き込ませる。この結果、粒子の最小部分があれば、その部分だけが嗅覚領域へ配送される。
【0173】
この実施形態では、配送状態における帆の閉鎖を確実にし、また粒子サイズ分布と空力学的配送条件の双方を最適化することによって、配送装置は、嗅覚領域への物質の効果的な配送を与える。この場合、粒子サイズ分布は、典型的には10μm以下の粒子サイズを有する小さい粒子の大部分を含むように最適化される。そのような配送体制は、これまでに知られておらず、しかも改良された配送装置および配送方法を提供するものであると、本出願人によって認識されている。
【0174】
この実施形態では、少なくとも1つのカフ部材67の少なくとも1つのローブ74は、患者の鼻腔の下部領域内へ延びて、そこを塞ぐように構成されている。少なくとも1つのローブ74は、配送される流れに作用して、その流れが上鼻道特に嗅覚領域によって規定される流路に追従することを強制する。そのような流路の達成は、粒子サイズ分布の最適化と緊密に結びついて、物質のより大きな部分を、上鼻道特に嗅覚領域内にある複数の部位へ配送できるようにする。
【0175】
この配送装置の動作は、上述した第7の実施形態に対するものと同じである。
【0176】
図35〜39は、本発明の第10の実施形態に係る呼気作動型経鼻配送装置を示している。
【0177】
この配送装置は、ハウジング75と、患者の鼻腔内にはめ込まれるためのノーズピース77と、マウスピース79とを備える。マウスピース79は、そこを通して患者が息を吐き出して、配送装置を作動するためのものである。
【0178】
ノーズピース77は、ノーズピース77を患者の鼻腔内に位置決めして、それとの間に流体遮断シールを与えるためのカフ部材80、この実施形態では切頭円錐形の要素と、物質を患者の鼻管内に配送するための出口ユニット81とを有する。
【0179】
この実施形態では、出口ユニット81は、患者の鼻腔に物質を配送するノズル82と、ノズル82から配送される物質と相互作用する気体流が、患者の呼気とは別に配送される配送路83とを有する。この構成は、物質と相互作用した状態で、配送される物質の特徴を変更しながら、物質の改良された配送を有利に与えるものである。
【0180】
この実施形態では、ノズル82は、エアゾールスプレーを供給するように構成されている。代替実施形態では、液体の配送用に、ノズル82は、液体の柱としての液体ジェットを配送するように構成できる。
【0181】
この実施形態では、ノズル82は、配送路83内にそれと同心的に配設されている。この実施形態では、配送路83は、ノズル82から配送される物質と相互作用する環状の気体流を規定するように、ノズル82を囲む環状の経路である。
【0182】
配送装置は更に、物質供給部85を備える。この物質供給部は、その作動時に、計量された服用量の物質を配送するようにノズル82と流体接続されている。この実施形態では、物質供給部85は、その作動時に、計量された服用量の物質を配送するための機械的なポンプである。
【0183】
この配送装置は、配送路83に流体接続された気体供給部87を更に備え、そこを通して気体流が配送される。この気体供給部87は、シリンダ89と、ピストン91とを備える。このピストンは、シリンダ89内に移動可能に配設されて、その前方にチャンバ93を規定する。このチャンバは、典型的には約5mlの体積の気体を収容する。この気体は、気体供給部87の作動時にチャンバ93から噴出される。
【0184】
この配送装置は、物質供給部85および気体供給部87を作動するように作動可能な駆動ユニット95を更に備える。
【0185】
駆動ユニット95は、物質供給部85の本体と気体供給部87のピストン91とに結合(ここでは共通に結合)された駆動部材97(この実施形態ではブロック)を備える。この駆動部材は、物質供給部85と気体供給部87が非作動位置にある(図35〜38に示されたような)第1の静止位置と、物質供給部85の本体と気体供給部87のピストン91とが作動位置へ進められた(図39に示されたような)第2の作動位置との間を移動可能である。駆動ユニットはまた、駆動部材97を静止位置へ復帰させるための復帰バイアス要素99(この実施形態では弾性要素、特に圧縮バネ)を備える。
【0186】
駆動ユニット95は更に、静止位置にある駆動部材97を作動方向にバイアスするための負荷バイアス要素101(この実施形態では弾性要素、特に圧縮バネ)と、静止位置にある駆動部材97を作動力でバイアスするように、負荷バイアス要素101に負荷を与えるためのローディング部材103(この実施形態ではレバー)とを備える。ローディング部材103は、負荷バイアス要素101がそれによって負荷を与えられていない(図35に示されたような)第1の非動作位置と、負荷バイアス要素101が、拘束されていないときに、駆動部材97に作動力で負荷を与える(図36〜38に示されたような)第2の動作位置との間を移動可能である。
【0187】
配送装置は更に、駆動ユニット95の駆動部材97を静止位置にロックし、そして患者がマウスピース79を通して息を吐き出したときはその駆動部材を解放するように通常は構成されているトリガ機構105を備える。駆動部材97は、負荷バイアス要素101によって負荷を与えられているときに、駆動されると、物質供給部85と気体供給部87を作動するように共通に作用する。
【0188】
この実施形態では、トリガ機構105は、マウスピース79を通して所定の流率が生じたときに、駆動ユニット95の作動を起こすように構成されている。
【0189】
他の実施形態では、トリガ機構105は、マウスピース79内に所定の圧力が生じたときに、駆動ユニット95の作動を起こすように構成できる。
【0190】
この実施形態では、トリガ機構105は、リンク組立体107を備える。この組立体は、第1および第2のリンク要素109,111とバイアス要素112(この実施形態では弾性要素、特に引っ張りバネ)とを有する。このバイアス要素は、リンク組立体107を(図35〜37に示されているような)ロック構成にバイアスするためのものである。このロック構成におけるリンク組立体107は、駆動ユニット95の駆動部材97を静止位置にロックし、且つ負荷バイアス要素101によって負荷を与えられているときに、その駆動部材の移動を防止するように作用する。
【0191】
リンク要素の一方109は、その回転中心となるピボット113と、第1および第2のアーム115,117とを有する。アームの一方115は、マウスピース79内に延びており、リンク組立体107が(図35〜37に示されているような)ロック構成にあるときに、静止位置へバイアスされる。この静止位置では、マウスピース79を通る流路は実質的に閉鎖され、一方のアーム115は、患者の呼気に応じて動作する羽根を与える。
【0192】
リンク要素の他方111は、その一端が第1リンク要素109の他方の第2アーム117の末端に、また他端が駆動ユニット95の駆動部材97に回動可能に結合されている。第1リンク要素109の第2アーム117は、その第1アーム115に対して角張って位置決めされている。これは、リンク組立体107がロック構成にあるときに、第1リンク要素109の第2アーム117と第2リンク要素11が、第1リンク要素109の第1アーム115の逆側で180度以下の角度を囲うようにするためである。このことにより、第1リンク要素109の第2アーム117と第2リンク要素111は過度に集中され、そして負荷を与えられたときに、駆動ユニット95の駆動部材97を支持する。
【0193】
この配送装置の動作を、添付図面の図36〜39を参照して以下で説明する。
【0194】
最初のステップでは、図36に示すように、ローディング部材103を動作させて、バイアス要素101をバイアスし、また駆動ユニット95の駆動部材97に作動力で負荷を与える。
【0195】
図37を参照すると、先ずノーズピース77は、カフ部材80が鼻孔の外鼻孔に接触するまで、患者の1つの鼻腔内に挿入される。その段階で、出口ユニット81の末端は、患者の鼻腔内に約2cm延び、そしてマウスピース79は患者の唇で把持される。
【0196】
それから、患者は、マウスピース79を通しての呼気を開始する。この呼気は、患者の口咽頭帆を閉鎖し、マウスピース79内に延びたリンク組立体107の第1リンク要素109の第1アーム115を越えて空気流を押し出す。発生した流率がトリガ機構105を作動するには十分でない場合、トリガ機構105のリンク組立体107は、駆動ユニット95の駆動部材97をロック位置に保持するように作用する。これにより、物質供給部85および気体供給部87は作動されない。発生した流率が所定の値に達すると、図38に示すように、第1リンク要素109の第1アーム115の回転は、第1リンク要素109の第2アーム117を、第2リンク要素111と協同して与えられる支持が不安定になって崩壊する位置へ回転する。図39を参照すると、リンク組立体107のこの崩壊は、負荷バイアス要素101によって、駆動ユニット95の駆動部材97が作動位置へ移動されることを可能とする。この移動は、物質供給部85を作動して、計量された服用量の物質をノズル82を通して配送し、また気体供給部87を作動して、計量された体積の気体を配送路83を通して配送する。この気体流は、配送された物質と相互作用して、配送された物質の性質を修正する。これにより、患者の鼻管に対して改良された配送がなされる。
【0197】
作動に続いて、マウスピース79は解放され、そしてノーズピース77は患者の鼻腔から引き抜かれる。
【0198】
その後、復帰バイアス要素99によって、駆動ユニット95のローディング部材103は非動作位置へ復帰され、また駆動ユニット95の駆動部材97は静止位置へ復帰される。駆動部材97の静止位置への復帰は、物質供給部85の本体と気体供給部87のピストン91を静止位置へ復帰させることになる。
【0199】
駆動部材97の静止位置への復帰に続いて、リンク組立体107は再びロック構成を採用する。このリンク組立体107は、リンクバイアス要素112によってロック構成に維持される。この構成において、配送装置は、更なる使用に対して準備される。
【0200】
図40〜45は、本発明の第11の実施形態に係る呼気作動型経鼻配送装置を示している。
【0201】
この実施形態の配送装置は、上述した第10の実施形態の配送装置によく似ているので、説明の不要な重複を避けるために、同様の部分を同様の参照符号で示しながら、相違点だけが詳細に説明される。
【0202】
この実施形態の配送装置は、駆動ユニット95の構成だけが上述した第10の実施形態の配送装置と異なる。
【0203】
この実施形態では、駆動ユニット95の駆動部材97は、上述した第10の実施形態と同じ時点で物質供給部85および気体供給部87の作動を開始するようには構成されていない。むしろ、それは、物質供給部85の作動に先行して、気体供給部87の作動が開始されるように構成されている。これにより、ノズル82からの物質の配送前に、且つノズル82からの物質の配送中に、相互作用する気体流が出口ユニット81の配送路83から配送され、その物質と相互作用する。
【0204】
この実施形態では、静止位置にある駆動部材97が物質供給部85の本体から離されるように駆動部材97を構成することによって、物質供給部85の遅延された作動が達成される。これにより、駆動部材97は、物質供給部85および気体供給部87の共通の作動前に、所定の時間に対応して、所定の距離だけ進行させられる。この実施形態では、物質供給部85は、作動後に物質供給部85を静止位置へ復帰させるためのバイアス要素119を有する。この構成によって、気体供給部87の作動と物質供給部85および気体供給部87の共通の作動との間の間隔は、駆動部材97と物質供給部85の本体との間の空間を変更することによって制御できる。
【0205】
この配送装置の動作は、上述した第10の実施形態に対するものと同じである。
【0206】
図46〜51は、本発明の第12の実施形態に係る呼気作動型経鼻配送装置を示している。
【0207】
この実施形態の配送装置は、上述した第10の実施形態の配送装置によく似ているので、説明の不要な重複を避けるために、同様の部分を同様の参照符号で示しながら、相違点だけが詳細に説明される。
【0208】
この実施形態の配送装置は、出口ユニット81の構成と、物質供給部85および気体供給部87の一体化だけが上述した第10の実施形態の配送装置と異なる。
【0209】
この実施形態では、出口ユニット81は、第2配送路120、ここではノズル82を中心として同心的に配設された環状路を有する。この第2配送路を通して、患者の呼気からの空気流が配送され、ノズル82から配送された物質を飛沫同伴する。この実施形態では、第2配送路120は、トリガ機構下流のマウスピース79と流体的に接続されている。また、マウスピース79は、圧力解放弁を有する。この圧力解放弁は、その圧力解放弁の解放圧力以上の流れが発生することを可能にする。この場合、流れ(または少なくとも十分でない流れ)は、患者の鼻管を通して生じることができない。
【0210】
この実施形態では、物質供給部85は、気体供給部87のチャンバ93内に配設されたピストンユニットを備える。この物質供給部85は、チャンバ122を規定するシリンダ121と、その一方の前端内にノズル82の延長部として延びる中空針123とを備える。物質供給部85は、それらの間に或る体積の物質を収容する第1および第2のピストン124,125を更に備える。これらピストンは、チャンバ122内に移動可能に配設されている。
【0211】
この構成によって、後ピストン124が前方へ駆動されたときに、前ピストン125は前方へ駆動されるので、ピストン124,125間に収容された物質は実質的に圧縮されない。前ピストン125は、ノズル82の針123がそこへ押し付けられたときに、その針によって破裂させられる破裂可能な部材である。ノズル82の針123は、前ピストン125が破裂させられたときに、ピストン124,125間に収容された物質と流体連通する。
【0212】
この実施形態では、物質供給部85の前ピストン125は、ノズル82の針123から所定の距離だけ離れて配置されている。このため、物質供給部85の後ピストン124を駆動する気体供給部87のピストン91は、物質供給部85の前ピストン125が破裂させられて、物質がノズル82を通して配送される前に、所定の距離だけ駆動される必要がある。このようにして、気体供給部87の作動は、物質供給部85の作動に先行して開始される。これにより、ノズル82からの物質の配送前に、且つノズル82からの物質の配送中に、相互作用する気体流は、出口ユニット81の配送路83から配送され、その物質と相互作用する。この実施形態では、気体供給部87の作動と物質供給部85および気体供給部87の共通の作動との間の間隔は、物質供給部85の前ピストン125とノズル82の針123との間の空間を変更することによって制御できる。
【0213】
この配送装置の動作は、上述した第10の実施形態に対するものと同じである。
【0214】
最後に、本発明は、その好ましい実施形態について説明されてきたが、添付の請求の範囲によって規定される発明の範囲から逸脱することなく、多くの異なる手法で変形可能なことが理解されるであろう。
【0215】
特に理解されるべき点は、実施形態のいずれの特徴も他の特徴に組み入れることができるということである。例えば、第2および第3の実施形態は、第1の実施形態の特徴、特に第1の実施形態の少なくとも1つの拡大可能なカフ部材23を組み込むことができる。
【0216】
また、患者の鼻管を通過する飛沫同伴用気体流が必要とされない実施形態では、その実施形態は、そのような気体流を含まないように変形可能である。例えば、最初に説明された実施形態は、出口ユニット21がノズル23だけを含み、配送チャネル23を含まないように変形可能である。
【0217】
説明された実施形態では、マウスピースは、患者の唇で把持されるように構成されていた。その代替の実施形態では、マウスピースは、患者の歯で把持され、唇で封止されるように構成できる。好ましい実施形態では、配送装置が繰り返し同じ位置で把持されることを可能にする形状または幾何学的特徴の一方または双方を有するように、マウスピースを具体的に構成できる。これにより、それぞれのノーズピースが鼻腔内の同じ位置に確実に挿入されるようになる。
【0218】
好ましい実施形態では、配送装置は、次のような圧力で、患者の一方の鼻孔を通して物質を配送するように構成されている。即ち、WO−A−00/51672に開示されているように、鼻中隔の後縁の回りを通って患者の他方の鼻腔から出る流れにより、鼻腔を通る双方向性の配送を達成する圧力である。代替実施形態では、配送装置は、鼻腔を通る双方向性の配送を達成するには不十分な低い圧力で物質を配送するように構成できる。そのような実施形態でも、帆を閉鎖すること、および標的化した配送を達成可能とすることについては既知の配送装置よりも依然として有利である。特に、鼻腔の或る領域がカフ部材によって塞がれているときは有利である。
【0219】
また、他の実施形態では、配送装置は、2つのノーズピース(1つの実施形態では、それぞれの鼻腔への同時配送用に構成された)を含むことができる。そのような実施形態は、ノーズピースおよびマウスピースを介した配送装置の3点固定に有利である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の鼻管に物質を配送するための経鼻配送装置であって、
患者の鼻孔にはめ込まれるためのノーズピースと、
前記ノーズピースのノズルを通して物質を配送するための配送部とを備え、
前記ノーズピースは、使用時に鼻管に配送される物質が通過するノズルと、患者の鼻孔内にはめ込まれたときに、患者の鼻腔内壁と係合して、少なくとも前記ノズルの末端を患者の鼻管内の部位に向けるように構成された少なくとも1つのカフ部材とを有するものであることを特徴とする配送装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つのカフ部材は、少なくとも前記ノズルの末端を患者の鼻管内の部位に向けるように、その形状および寸法の一方または双方が形成されている請求項に記載の配送装置。
【請求項3】
マウスピースユニットを更に備え、使用時にそこを通して患者が息を吐き出すことで、患者の口咽頭帆を閉鎖する請求項またはに記載の配送装置。
【請求項4】
前記ノーズピースと前記マウスピースユニットを流体的に接続する流路を更に備え、これにより呼気から排出された空気が前記ノーズピースを通して配送される請求項に記載の配送装置。
【請求項5】
前記ノーズピースと流体的に接続された流路と、
前記流路に気体流を供給するための気体供給部とを更に備え、
気体流が、患者の呼気から排出された空気とは別に、使用時に前記流路を通して前記ノーズピースに配送されるものである請求項に記載の配送装置。
【請求項6】
前記配送部は、少なくとも1つの物質を供給するための投薬部を有する請求項のいずれかに記載の配送装置。
【請求項7】
前記投薬部は、エアゾールを供給するためのネブライザーである請求項に記載の配送装置。
【請求項8】
前記投薬部は、エアゾールを供給するためのエアゾールキャニスターである請求項に記載の配送装置。
【請求項9】
前記投薬部は、エアゾールまたはジェットの一方を供給するための配送ポンプユニットである請求項に記載の配送装置。
【請求項10】
前記配送ポンプユニットは、液体エアゾールを供給するための液体ポンプユニットである請求項に記載の配送装置。
【請求項11】
前記配送ポンプユニットは、粉体エアゾールを供給するための粉体ポンプユニットである請求項に記載の配送装置。
【請求項12】
前記投薬部は、粉体エアゾールを配送するための粉体配送ユニットである請求項に記載の配送装置。
【請求項13】
前記物質は、粉体である請求項のいずれかに記載の配送装置。
【請求項14】
前記物質は、粉体エアゾールとして配送される請求項13に記載の配送装置。
【請求項15】
前記物質は、液体である請求項のいずれかに記載の配送装置。
【請求項16】
前記液体は、溶液または懸濁の一方である請求項13に記載の配送装置。
【請求項17】
前記物質は、液体エアゾールとして配送される請求項15または16に記載の配送装置。
【請求項18】
前記物質は、液体ジェットとして配送される請求項15または16に記載の配送装置。
【請求項19】
粒子サイズ分布の主要部分は、約1μm〜約80μmの範囲にある請求項1318のいずれかに記載の配送装置。
【請求項20】
粒子サイズ分布の主要部分は、約1μm〜約50μmの範囲にある請求項19に記載の配送装置。
【請求項21】
粒子サイズ分布の主要部分は、約1μm〜約30μmの範囲にある請求項20に記載の配送装置。
【請求項22】
粒子サイズ分布の主要部分は、約10μm〜約30μmの範囲にある請求項21に記載の配送装置。
【請求項23】
粒子サイズ分布の主要部分は、約10μm〜約20μmの範囲にある請求項22に記載の配送装置。
【請求項24】
粒子サイズ分布の主要部分は、約15μm〜約30μmの範囲にある請求項23に記載の配送装置。
【請求項25】
前記部位は、下鼻道の少なくとも一部を含む請求項24のいずれかに記載の配送装置。
【請求項26】
前記部位は、中鼻道の少なくとも一部を含む請求項25のいずれかに記載の配送装置。
【請求項27】
前記部位は、中鼻道の少なくとも下部を含む請求項26に記載の配送装置。
【請求項28】
前記部位は、上鼻道の少なくとも一部を含む請求項27のいずれかに記載の配送装置。
【請求項29】
前記部位は、下鼻甲介の少なくとも一部を含む請求項28のいずれかに記載の配送装置。
【請求項30】
前記部位は、中鼻甲介の少なくとも一部を含む請求項29のいずれかに記載の配送装置。
【請求項31】
前記部位は、上鼻甲介の少なくとも一部を含む請求項30のいずれかに記載の配送装置。
【請求項32】
前記部位は、嗅覚領域の少なくとも一部を含む請求項31のいずれかに記載の配送装置。
【請求項33】
前記部位は、鼻腔小口の少なくとも一部を含む請求項32のいずれかに記載の配送装置。
【請求項34】
前記部位は、鼻腔漏斗の少なくとも一部を含む請求項33のいずれかに記載の配送装置。
【請求項35】
前記部位は、上咽頭の少なくとも一部を含む請求項34のいずれかに記載の配送装置。
【請求項36】
前記部位は、アデノイドの少なくとも一部を含む請求項35のいずれかに記載の配送装置。
【請求項37】
前記部位は、耳管小口の少なくとも一部を含む請求項36のいずれかに記載の配送装置。
【請求項38】
前記少なくとも1つのカフ部材の少なくとも1つは、少なくとも1つのローブを有し、このローブは、前記少なくとも1つのカフ部材の少なくとも1つが患者の鼻腔内にはめ込まれたときに、患者の鼻腔の領域内に延びて、少なくとも部分的にその領域を塞いで、そこへ入る流れを防止する請求項37のいずれかに記載の配送装置。
【請求項39】
前記鼻腔領域は、患者の鼻腔の下部領域である請求項38に記載の配送装置。
【請求項40】
前記鼻腔領域は、患者の鼻腔の中間領域である請求項38に記載の配送装置。
【請求項41】
前記鼻腔領域は、患者の鼻腔の上部領域である請求項38に記載の配送装置。
【請求項42】
前記少なくとも1つのカフ部材の少なくとも1つは、複数のローブを有し、これらローブは、前記少なくとも1つのカフ部材の少なくとも1つが患者の鼻腔内にはめ込まれたときに、患者の鼻腔の複数の領域内に延びて、少なくとも部分的にそれら領域を塞いで、そこへ入る流れを防止する請求項37のいずれかに記載の配送装置。
【請求項43】
前記鼻腔領域は、患者の鼻腔の下部および中間領域である請求項42に記載の配送装置。
【請求項44】
前記鼻腔領域は、患者の鼻腔の下部および上部領域である請求項42に記載の配送装置。
【請求項45】
前記鼻腔領域は、患者の鼻腔の中間および上部領域である請求項42に記載の配送装置。
【請求項46】
前記ノーズピースは、単一のカフ部材を有する請求項45のいずれかに記載の配送装置。
【請求項47】
前記少なくとも1つのカフ部材は、前記ノズルの回りに配設された実質的に環状の部材である請求項46に記載の配送装置。
【請求項48】
前記ノーズピースは、複数のカフ部材を有する請求項47のいずれかに記載の配送装置。
【請求項49】
前記ノーズピースは、その周辺の回りに配設された複数のカフ部材を有する請求項48に記載の配送装置。
【請求項50】
前記複数のカフ部材は、前記ノズルの長さ方向に沿って一カ所に配設されている請求項49に記載の配送装置。
【請求項51】
前記ノーズピースは、前記ノズルの長さ方向に沿って離れた位置に第1および第2のカフ部材を有する請求項49に記載の配送装置。
【請求項52】
前記複数のカフ部材の1つは、前記ノズルの末端に配設されている請求項51に記載の配送装置。
【請求項53】
前記少なくとも1つのカフ部材は、拡大可能なカフ部材であり、この部材は、患者の鼻腔内にはめ込まれたときに拡大されるものである請求項52のいずれかに記載の配送装置。
【請求項54】
前記少なくとも1つの拡大可能なカフ部材は、患者の呼気に続いて拡大されるように構成されている請求項53に記載の配送装置。
【請求項55】
前記少なくとも1つの拡大可能なカフ部材は、患者の呼気に応答して拡大されるように構成されている請求項53または54に記載の配送装置。
【請求項56】
前記少なくとも1つのカフ部材は、膨張可能な部材である請求項5355のいずれかに記載の配送装置。
【請求項57】
前記少なくとも1つのカフ部材は、患者の呼気からの空気で膨張されるように構成されている請求項56に記載の配送装置。
【請求項58】
前記少なくとも1つのカフ部材は、患者の呼気とは別の気体源によって膨張されるように構成されている請求項56に記載の配送装置。
【請求項59】
前記膨張可能なカフ部材は、圧縮された要素を備え、この要素は、大気に通じたときに、膨張されるものである請求項56に記載の配送装置。
【請求項60】
患者の呼気に応答して前記配送部を作動するための作動機構を更に備える請求項59のいずれかに記載の配送装置。
【請求項61】
患者の鼻管に物質を配送するための経鼻配送装置であって、
患者の鼻孔にはめ込まれるためのノーズピースと、
前記ノーズピースのノズルを通して物質を配送するための配送部とを備え、
前記ノーズピースは、使用時に鼻管に配送される物質が通過するノズルと、少なくとも1つのカフ部材とを有し、前記少なくとも1つのカフ部材の少なくとも1つは、少なくとも1つのローブを有し、このローブは、前記少なくとも1つのカフ部材の少なくとも1つが患者の鼻腔内にはめ込まれたときに、患者の鼻腔の領域内に延びて、少なくとも部分的にその領域を塞いで、そこへ入る流れを防止するものであることを特徴とする配送装置。
【請求項62】
前記鼻腔領域は、患者の鼻腔の下部領域である請求項61に記載の配送装置。
【請求項63】
前記鼻腔領域は、患者の鼻腔の中間領域である請求項61に記載の配送装置。
【請求項64】
前記鼻腔領域は、患者の鼻腔の上部領域である請求項61に記載の配送装置。
【請求項65】
前記少なくとも1つのカフ部材の少なくとも1つは、複数のローブを有し、これらローブは、前記少なくとも1つのカフ部材の少なくとも1つが患者の鼻腔内にはめ込まれたときに、患者の鼻腔の複数の領域内に延びて、少なくとも部分的にそれら領域を塞いで、そこへ入る流れを防止する請求項61に記載の配送装置。
【請求項66】
前記鼻腔領域は、患者の鼻腔の下部および中間領域である請求項65に記載の配送装置。
【請求項67】
前記鼻腔領域は、患者の鼻腔の下部および上部領域である請求項65に記載の配送装置。
【請求項68】
前記鼻腔領域は、患者の鼻腔の中間および上部領域である請求項65に記載の配送装置。
【請求項69】
前記少なくとも1つのカフ部材は、患者の鼻孔内にはめ込まれたときに、患者の鼻腔内壁と係合して、少なくとも前記ノズルの末端を患者の鼻管内の部位に向けるように構成されている請求項6168のいずれかに記載の配送装置。
【請求項70】
前記少なくとも1つのカフ部材は、少なくとも前記ノズルの末端を患者の鼻管内の部位に向けるように、その形状および寸法の一方または双方が形成されている請求項69に記載の配送装置。
【請求項71】
前記部位は、下鼻道の少なくとも一部を含む請求項69または70に記載の配送装置。
【請求項72】
前記部位は、中鼻道の少なくとも一部を含む請求項6971のいずれかに記載の配送装置。
【請求項73】
前記部位は、中鼻道の少なくとも下部を含む請求項72に記載の配送装置。
【請求項74】
前記部位は、上鼻道の少なくとも一部を含む請求項6973のいずれかに記載の配送装置。
【請求項75】
前記部位は、下鼻甲介の少なくとも一部を含む請求項6974のいずれかに記載の配送装置。
【請求項76】
前記部位は、中鼻甲介の少なくとも一部を含む請求項6975のいずれかに記載の配送装置。
【請求項77】
前記部位は、上鼻甲介の少なくとも一部を含む請求項6976のいずれかに記載の配送装置。
【請求項78】
前記部位は、嗅覚領域の少なくとも一部を含む請求項6977のいずれかに記載の配送装置。
【請求項79】
前記部位は、鼻腔小口の少なくとも一部を含む請求項6978のいずれかに記載の配送装置。
【請求項80】
前記部位は、鼻腔漏斗の少なくとも一部を含む請求項6979のいずれかに記載の配送装置。
【請求項81】
前記部位は、上咽頭の少なくとも一部を含む請求項6980のいずれかに記載の配送装置。
【請求項82】
前記部位は、アデノイドの少なくとも一部を含む請求項6981のいずれかに記載の配送装置。
【請求項83】
前記部位は、耳管小口の少なくとも一部を含む請求項6982のいずれかに記載の配送装置。
【請求項84】
マウスピースユニットを更に備え、使用時にそこを通して患者が息を吐き出すことで、患者の口咽頭帆を閉鎖する請求項6183のいずれかに記載の配送装置。
【請求項85】
前記ノーズピースと前記マウスピースユニットを流体的に接続する流路を更に備え、これにより呼気から排出された空気が前記ノーズピースを通して配送される請求項84に記載の配送装置。
【請求項86】
前記ノーズピースと流体的に接続された流路と、
前記流路に気体流を供給するための気体供給部とを更に備え、
気体流が、患者の呼気から排出された空気とは別に、使用時に前記流路を通して前記ノーズピースに配送されるものである請求項84に記載の配送装置。
【請求項87】
前記配送部は、少なくとも1つの物質を供給するための投薬部を有する請求項6186のいずれかに記載の配送装置。
【請求項88】
前記投薬部は、エアゾールを供給するためのネブライザーである請求項87に記載の配送装置。
【請求項89】
前記投薬部は、エアゾールを供給するためのエアゾールキャニスターである請求項87に記載の配送装置。
【請求項90】
前記投薬部は、エアゾールまたはジェットの一方を供給するための配送ポンプユニットである請求項87に記載の配送装置。
【請求項91】
前記配送ポンプユニットは、液体エアゾールを供給するための液体ポンプユニットである請求項89に記載の配送装置。
【請求項92】
前記配送ポンプユニットは、粉体エアゾールを供給するための粉体ポンプユニットである請求項89に記載の配送装置。
【請求項93】
前記投薬部は、粉体エアゾールを配送するための粉体配送ユニットである請求項87に記載の配送装置。
【請求項94】
前記物質は、粉体である請求項6187のいずれかに記載の配送装置。
【請求項95】
前記物質は、粉体エアゾールとして配送される請求項94に記載の配送装置。
【請求項96】
前記物質は、液体である請求項6187のいずれかに記載の配送装置。
【請求項97】
前記液体は、溶液または懸濁の一方として配送される請求項96に記載の配送装置。
【請求項98】
前記物質は、液体エアゾールとして配送される請求項96または97に記載の配送装置。
【請求項99】
前記物質は、液体ジェットとして配送される請求項96または97に記載の配送装置。
【請求項100】
粒子サイズ分布の主要部分は、約1μm〜約80μmの範囲にある請求項9498のいずれかに記載の配送装置。
【請求項101】
粒子サイズ分布の主要部分は、約1μm〜約50μmの範囲にある請求項100に記載の配送装置。
【請求項102】
粒子サイズ分布の主要部分は、約1μm〜約30μmの範囲にある請求項101に記載の配送装置。
【請求項103】
粒子サイズ分布の主要部分は、約10μm〜約30μmの範囲にある請求項102に記載の配送装置。
【請求項104】
粒子サイズ分布の主要部分は、約10μm〜約20μmの範囲にある請求項103に記載の配送装置。
【請求項105】
粒子サイズ分布の主要部分は、約15μm〜約30μmの範囲にある請求項104に記載の配送装置。
【請求項106】
前記ノーズピースは、単一のカフ部材を有する請求項61105のいずれかに記載の配送装置。
【請求項107】
前記少なくとも1つのカフ部材は、前記ノズルの回りに配設された実質的に環状の部材である請求項106に記載の配送装置。
【請求項108】
前記ノーズピースは、複数のカフ部材を有する請求項61105のいずれかに記載の配送装置。
【請求項109】
前記ノーズピースは、その周辺の回りに配設された複数のカフ部材を有する請求項108に記載の配送装置。
【請求項110】
前記複数のカフ部材は、前記ノズルの長さ方向に沿って一カ所に配設されている請求項109に記載の配送装置。
【請求項111】
前記ノーズピースは、前記ノズルの長さ方向に沿って離れた位置に第1および第2のカフ部材を有する請求項109に記載の配送装置。
【請求項112】
前記複数のカフ部材の1つは、前記ノズルの末端に配設されている請求項111に記載の配送装置。
【請求項113】
前記少なくとも1つのカフ部材は、拡大可能なカフ部材であり、この部材は、患者の鼻腔内にはめ込まれたときに拡大されるものである請求項61112のいずれかに記載の配送装置。
【請求項114】
前記少なくとも1つの拡大可能なカフ部材は、患者の呼気に続いて拡大されるように構成されている請求項113に記載の配送装置。
【請求項115】
前記少なくとも1つの拡大可能なカフ部材は、患者の呼気に応答して拡大されるように構成されている請求項113または114に記載の配送装置。
【請求項116】
前記少なくとも1つのカフ部材は、膨張可能な部材である請求項113115のいずれかに記載の配送装置。
【請求項117】
前記少なくとも1つのカフ部材は、患者の呼気からの空気で膨張されるように構成されている請求項116に記載の配送装置。
【請求項118】
前記少なくとも1つのカフ部材は、患者の呼気とは別の気体源によって膨張されるように構成されている請求項116に記載の配送装置。
【請求項119】
前記膨張可能なカフ部材は、圧縮された要素を備え、この要素は、大気に通じたときに、膨張されるものである請求項116に記載の配送装置。
【請求項120】
患者の呼気に応答して前記配送部を作動するための作動機構を更に備える請求項61119のいずれかに記載の配送装置。
【請求項121】
患者の鼻管に物質を配送するための経鼻配送装置であって、
患者の鼻腔にはめ込まれるためのノーズピースと、
前記ノーズピースの第1の配送出口を通して物質を配送するための配送部と、
前記ノーズピースの少なくとも1つの第2の配送出口を通して気体の流れを供給するための気体供給部とを備え、
前記ノーズピースは、使用時に患者の鼻管に配送される物質が通過する第1の配送出口と、使用時に、患者の呼気とは別に、患者の鼻管に配送される少なくとも1つの気体流が通過する少なくとも1つの第2の配送出口とを有するものであることを特徴とする配送装置。
【請求項122】
マウスピースユニットを更に備え、使用時にそこを通して患者が息を吐き出すことで、患者の口咽頭帆を閉鎖する請求項121に記載の配送装置。
【請求項123】
前記少なくとも1つの第2の配送出口は、そこから配送される前記少なくとも1つの気体流が、前記第1の配送出口から配送される物質と相互作用するように、配設されている請求項121または122に記載の配送装置。
【請求項124】
前記少なくとも1つの第2の配送出口から配送される前記少なくとも1つの気体流は、前記第1の配送出口から配送される物質を案内するものである請求項123に記載の配送装置。
【請求項125】
前記少なくとも1つの第2の配送出口は、実質的に環状の出口である請求項121124のいずれかに記載の配送装置。
【請求項126】
前記環状の配送出口は、前記第1の配送出口の回りに配設されている請求項125に記載の配送装置。
【請求項127】
患者の呼気によって前記配送部および前記気体供給部を作動するための作動機構を更に備える請求項121126のいずれかに記載の配送装置。
【請求項128】
前記作動機構は、前記配送部に先行して前記気体供給部の作動を開始し、これにより、前記第1の配送出口を通して物質が配送される前に、前記少なくとも1つの第2の配送出口を通して気体流が配送されるように構成されている請求項127に記載の配送装置。
【請求項129】
前記物質は、粉体である請求項121128のいずれかに記載の配送装置。
【請求項130】
前記物質は、粉体エアゾールとして配送される請求項129に記載の配送装置。
【請求項131】
前記物質は、液体である請求項121128のいずれかに記載の配送装置。
【請求項132】
前記液体は、溶液または懸濁の一方として配送される請求項131に記載の配送装置。
【請求項133】
前記物質は、液体エアゾールとして配送される請求項131または132に記載の配送装置。
【請求項134】
前記物質は、液体ジェットとして配送される請求項131または132に記載の配送装置。
【請求項135】
粒子サイズ分布の主要部分は、約1μm〜約80μmの範囲にある請求項129134のいずれかに記載の配送装置。
【請求項136】
粒子サイズ分布の主要部分は、約1μm〜約50μmの範囲にある請求項135に記載の配送装置。
【請求項137】
粒子サイズ分布の主要部分は、約1μm〜約30μmの範囲にある請求項136に記載の配送装置。
【請求項138】
粒子サイズ分布の主要部分は、約10μm〜約30μmの範囲にある請求項137に記載の配送装置。
【請求項139】
粒子サイズ分布の主要部分は、約10μm〜約20μmの範囲にある請求項138に記載の配送装置。
【請求項140】
粒子サイズ分布の主要部分は、約15μm〜約30μmの範囲にある請求項139に記載の配送装置。
【請求項141】
気体供給部は、気体の流れを供給するための気体ポンプユニットを備え、この気体ポンプユニットは、気体を含有したチャンバと、このチャンバ内を移動可能なピストン部材とを有し、前記チャンバからの気体の流れを前記少なくとも1つの第2の配送出口を通して配送するものである請求項121140のいずれかに記載の配送装置。
【請求項142】
前記配送部は、前記第1の配送出口へ物質の流れを配送するためのポンプユニットを備え、このポンプユニットは、物質を含有したチャンバと、このチャンバ内を移動可能なピストン部材とを有し、前記チャンバからの物質の流れを前記第1の配送出口を通して配送するものである請求項121141のいずれかに記載の配送装置。
【請求項143】
前記気体供給部および前記配送部は、一体化されたユニットとして形成され、共通の駆動ユニットによって作動可能である請求項141および142に記載の配送装置。
【請求項144】
前記気体供給部のピストン部材は、前記配送部のピストンを駆動するように構成されている請求項143に記載の配送装置。
【請求項145】
前記気体供給部および前記配送部の両ピストン部材は、一体的に形成されている請求項143に記載の配送装置。
【請求項146】
前記気体供給部および前記物質供給部の両ピストン部材を駆動して、気体および物質の流れを配送するための駆動ユニットを更に備える請求項143145のいずれかに記載の配送装置。
【請求項147】
前記駆動ユニットは、前記気体供給部および前記物質供給部のピストン部材を一挙動で駆動するように構成されている請求項146に記載の配送装置。
【請求項148】
前記駆動ユニットは、一挙動で、先ず前記気体供給部のピストン部材を駆動し、続いて前記気体供給部および前記物質供給部の両ピストン部材を同時に駆動するように構成されている請求項147に記載の配送装置。
【請求項149】
前記配送部は、液体物質を供給するための液体ポンプユニットを備える請求項121148のいずれかに記載の配送装置。
【請求項150】
前記配送部は、粉体物質を供給するための粉体ポンプユニットを備える請求項121148のいずれかに記載の配送装置。
【請求項151】
前記第1の配送出口は、エアゾールを発生するためのノズル出口である請求項121150のいずれかに記載の配送装置。
【請求項152】
前記エアゾールは、液体エアゾールである請求項151に記載の配送装置。
【請求項153】
前記エアゾールは、粉体エアゾールである請求項151に記載の配送装置。
【請求項154】
前記第1の配送出口は、ジェットを発生するためのノズル出口である請求項121150のいずれかに記載の配送装置。
【請求項155】
前記配送部は、エアゾールを供給するためのネブライザーを備える請求項121140のいずれかに記載の配送装置。
【請求項156】
前記配送部は、エアゾールを供給するためのエアゾールキャニスターを備える請求項121140のいずれかに記載の配送装置。
【請求項157】
前記ノーズピースは、使用時に配送される患者の呼気からの空気流を通す少なくとも1つの第3の配送出口を有し、前記配送される空気流は、前記第1の配送出口を通して配送される物質を運ぶように作用する請求項121156のいずれかに記載の配送装置。
【請求項158】
前記少なくとも1つの第3の配送出口は、前記第1の配送出口の回りに配設された実質的に環状の経路を有する請求項157に記載の配送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【公開番号】特開2011−31088(P2011−31088A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258376(P2010−258376)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【分割の表示】特願2009−159605(P2009−159605)の分割
【原出願日】平成14年6月12日(2002.6.12)
【出願人】(302014273)オプティノーズ アズ (16)
【氏名又は名称原語表記】OPTINOSE AS
【住所又は居所原語表記】Lokkaskogen 18C, N−0773 Oslo, Norway