説明

結束工具駆動用人力装置

【課題】結束バンドを用いて機械的に結束できる便利な結束工具を廉価化すべく、人力によって駆動させるようにする場合において、外部駆動型に構成された工具本体を良好に駆動させることができる人力装置、即ち、結束工具駆動用人力装置を実現し、提供する。
【解決手段】結束バンド1を送出して結束対象Wに巻付けるとともに引き締めて結束する一連の結束動作を行うための工具本体Hに、動力伝動機構Dを介して前記一連の結束動作を行うに必要な駆動力を供給可能とすべく、人為操作される被操作具4と、前記動力伝動機構Dに所定以上の駆動力が作用するに伴って、前記被操作具4と前記動力伝動機構Dとの連動を断つように機能するトルクリミッタTrと、を有して結束工具駆動用人力装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それ自身には駆動源を持たない構造の結束工具を、人力を用いて駆動させるようにするための人力装置、即ち、結束工具駆動用人力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
結束工具は、結束対象を専用の結束バンド(「結束タイ」又は単に「タイ」とも呼ばれる)で巻き付けて結束するものであり、結束対象としては、電線群、パイプ群、各種長尺商品等、種々のものがあるが、代表的なものとしては、自動車、建機、作業機等の車両に多用されるワイヤハーネスがある。従来、この種の結束工具としては、特許文献1や特許文献2において開示されたように、工具本体と、その下方に付設される握り用のハンドルと、工具本体の先端部に装備される一対の嘴部材とを有したハンディ型のものが知られている。
【0003】
これら特許文献1,2において開示される結束工具は、その一連の動作が電動モータで駆動される電動型のものであり、結束するに必要な機械装置類の他に、駆動用の電動モータ、電気回路、表示ランプ類、各種センサ類、電気スイッチ類等の多くの電気関連部品や装置類が必要であり、結束工具トータルとしては比較的高価なものになっていた。
【0004】
従って、少量生産する小規模な工場や、個人商店、或いは開発途上国等において用いるには高価であることが難点となり、結束作業の機械化が困難であるのが実情であった。しかしながら、結束操作を人為作業で賄うには労力が掛かり過ぎるとともに作業効率も芳しくないので、廉価型の結束工具への要求が高まって来ている。
【0005】
そこで、少量生産する小規模な工場や、個人商店、或いは開発途上国等においても用いることが可能となるように結束工具の廉価化を図るべく、駆動源が内蔵電動モータを用いる電気式から人力によって動かす外部駆動式の人為操作型に置き換えられたものとする場合、その外部駆動型とされた工具本体を如何に人力で駆動操作するのかも考えておく必要がある。
【特許文献1】特開平10−180646号公報
【特許文献2】特開平10−250707号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、結束バンドを用いて機械的に結束できる便利な結束工具を廉価化すべく、人力によって駆動させるようにする場合において、外部駆動型に構成された工具本体を良好に駆動させることができる人力装置、即ち、結束工具駆動用人力装置を実現し、提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、結束工具駆動用人力装置において、結束バンド1を送出して結束対象Wに巻付けるとともに引き締めて結束する一連の結束動作を行うための工具本体Hに、動力伝動機構Dを介して前記一連の結束動作を行うに必要な駆動力を供給可能とすべく、人為操作される被操作具4と、前記動力伝動機構Dに所定以上の駆動力が作用するに伴って、前記被操作具4と前記動力伝動機構Dとの連動を断つように機能するトルクリミッタTrと、を有して構成されていることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の結束工具駆動用人力装置において、前記トルクリミッタTrは、前記被操作具4によって移動操作される中間体50と、前記動力伝動機構Dに連動連結され、かつ、前記中間体50と同方向に移動自在な可動部材45と、これら中間体50と可動部材45とのいずれか一方の側壁に形成された凹部45bと、前記凹部45bに嵌り込むように弾性機構51によって突出付勢される状態で前記中間体50と前記可動部材45とのいずれか他方に支持されるクラッチ部材52とを有するとともに、
前記動力伝動機構Dを介して前記可動部材45に作用する駆動負荷が所定値以下のときは、前記クラッチ部材52が前記凹部45bに嵌り込んでいて前記中間体50と前記可動部材45とが一体的に移動し、かつ、前記駆動負荷が所定値を越えるときは、前記凹部45bに形成されている傾斜面45dとの当接による分力によって前記クラッチ部材52を前記他方側に押し戻す力が前記弾性機構51による突出付勢力を上回ることで前記クラッチ部材52が前記凹部45bから抜け出すように設定することにより構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の結束工具駆動用人力装置において、前記凹部45bが前記可動部材45に、かつ、前記クラッチ部材52及び前記弾性機構51が前記中間体50に夫々配備されていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の結束工具駆動用人力装置において、前記被操作具4は、足踏み操作が自在な揺動ペダルであることを特徴とするものである。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の結束工具駆動用人力装置において、前記可動部材45と前記中間体50は、前記揺動ペダル4を枢支するベース部材48に立設された縦フレーム49に向かい合わせ状態で上下スライド自在に嵌合支持されており、前記中間体50には、前記揺動ペダル4の踏力を受けて強制下降スライドするための当接部材50aが装備されていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載の結束工具駆動用人力装置において、前記縦フレーム49には、前記動力伝動機構Dを構成するボーデンワイヤ5のアウタケーブル5Bを受止める支持部Siが形成され、前記可動部材45には、前記ボーデンワイヤ5のインナケーブル5Aを連結するための連結部Reが形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、次のような作用や効果が得られる。即ち、被操作具と工具本体とが動力伝達機構を介してダイレクトに連動連結されている構造では、結束作動中に何らかの不具合が生じて通常よりも大なる負荷が掛かった場合には、被操作具を動かす力も余計に必要となることから、多くの場合はそれによって異常発生に気が付くことを期待できるのではあるが、気付かずに更に力を込めて駆動させようとした場合には、工具本体の機械装置類が変形や損傷したり、或いは動力伝達機構が損傷するといった不都合の生じることが予測される。
【0014】
それに対して、本発明による結束工具駆動用人力装置においては、工具本体を動力伝達機構を介して人力駆動することで、結束バンドを用いて結束対象を結束する一連の結束動作を行うための人力装置として、所定以上の駆動負荷が生じると被操作具と動力伝達機構との連動を断つように機能するトルクリミッタを装備してあるので、上述のような過負荷が作用する場合において更に力を込めて無理やり動かそうとする操作が為されても、その場合には、トルクリミッタが作動して被操作具だけが動き、動力伝達機構や工具本体には無理な操作力が伝達されないようになる。
【0015】
その結果、結束バンドを用いて機械的に結束できる便利な結束工具を廉価化すべく、人力によって駆動させるようにする場合において、その人力操作に起因して工具本体等を損傷させるおそれが回避される好ましい機能を備えたものとして、外部駆動型に構成された工具本体を良好に駆動させることができる結束工具駆動用人力装置を実現し、提供することができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、被操作具によって操作される中間体と、動力伝達機構に連動連結される可動部材とを用いてトルクリミッタが構成されているので、トルクリミッタは、動力伝達機構及び被操作具から独立した機構として存在することとなり、組付けや分解、並びにメンテナンス等の点検整備が行い易いという効果を奏することができる。また、このように独立した機構としてあることから、人力装置に不具合が生じた場合に、その不具合が被操作具にあるのか、又はトルクリミッタにあるのかの判断がし易く、問題解決が迅速化される利点も得られるとともに、トルクリミッタにある場合には、それが可動部材側にあるのか、それとも中間体側にあるのかの判断も可能になる。
【0017】
請求項3の発明によれば、動力伝動機構との連動連結部を有する可動部材に凹部を、そして、被操作具に操作される中間体にクラッチ部材と弾性部材とを配備するようにしたので、例えば、動力伝動機構との連動連結部を有する可動部材にさらにクラッチ部材と弾性部材とを配備する場合に比べて、可動部材への機構類の集中化が回避されて、可動部材と中間体とに構造の複雑さが分散配置されるようになる。従って、構造の合理化が図れるとともに、故障等の不都合も生じ難いトルクリミッタを提供することができる。
【0018】
請求項4の発明によれば、被操作具として足踏み操作される揺動ペダルとして、腕や手に比べて強大なるパワーを発揮できる脚の力でもって工具本体を駆動する手段であるから、必要となる駆動力を比較的楽に供給できるとともに、長期に亘る連続運転も可能となる人力装置として提供することができる。
【0019】
請求項5の発明によれば、揺動ペダル支持用のベース部材に立設された縦フレームに可動部材及び中間体を向かい合わせ状態でスライド自在に支持される構成としたので、トルクリミッタの構成要素が縦フレーム部位に集約配置されるとともに、当接部材を有する中間体と揺動ペダルとは完全に別構成になる。従って、必要な機能はそのままとしながら、構造が複雑化し易いトルクリミッタの組付けや分解が行い易い使い勝手の良い人力装置を提供することができる。そして、請求項6のように、動力伝達機構がボーデンワイヤである場合には、アウタケーブルの支持部を縦フレームに、かつ、インナケーブルとの連結部を可動部材に夫々振り分けて配置すると良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明による外部駆動型結束工具並びにこれを用いた人力駆動式定置型結束装置の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。図1は人力駆動式定置型結束装置として用いる使い方の一例を示す全体図、図2〜図6は工具本体に関する各図、図7〜図11は動力供給部としての人力ペダル装置に関する各図、図12〜図19は工具本体における結束の各工程の概略の動作状況を示す作用図、図20は従来の電動モータ内臓の結束工具を示す一部切欠きの平面図である。
【0021】
〔実施例1〕
本発明による外部動力型結束工具Aは、図1に示すように、結束バンド1を送出して結束対象Wに巻付けるとともに引き締めて結束する一連の結束動作を行うための工具本体Hと、工具本体Hに一連の結束動作を行うに必要な駆動力を供給可能な工具本体Hとは別体の動力供給部Kと、動力供給部Kに生じた動力を工具本体Hの動力入力部nに伝動するための動力伝動機構Dとを有して構成されている。
【0022】
図1に示す状態は、前記外部動力型結束工具Aを用いて人力駆動式定置型結束装置Gとされたものであり、工具本体Hは、支持部3に取付装備されて作業台(作業机)2に載置されるとともに、動力供給部Kは、足踏み操作される人為操作ペダル4を有する人力ペダル装置に構成されている。そして、動力伝動機構Dは、人力ペダル装置Kと動力入力部nとを連動連結するボーデンワイヤ5を設けて構成されている。つまり、作業椅子6に腰掛けている作業者Mは、工具本体Hにおける上下一対の嘴部材7,8で挟まれる結束用空間Sに、ワイヤーハーネス等の結束対象Wを両手等を使ってセットした状態で人為操作ペダル4を踏み下ろすことにより、結束バンド1(後述)を用いて所定の結束圧で結束対象Wを結束することができる。尚、9は工具本体Hに連続的に結束バンド1を供給すべく、工具本体Hに支持される回転リールである。
【0023】
工具本体Hは、駆動源(動力源)としての電動モータ47が内蔵された公知の電気式自動結束工具(図20参照)Bを利用したものであり、結束作動に必要な各種機構類はそのままにして、電動モータ及びこれの駆動回路やセンサ類、スイッチ類、配線等の電気駆動部の関係部品)だけを一切省き、その代わりに外部からの動力を受け入れるため動力入力部nが装備されて成る外部動力型の結束工具として構成されている。このように、電気駆動型を人力駆動型に変更することにより、結束工具Aとして必要となるコストを約半分にまで減らせることが可能なシステムが実現されている。次に、外部動力型結束工具Aを構成する各部の構造について詳しく説明する。
【0024】
工具本体Hは、図2〜図6に示すように、手指で握って支持するためのグリップ部11を下側に有する本体ボディ10に、回転リール9(図1参照)、送出し機構a、嘴開閉機構b、引締め機構c、切断機構dを装備するとともに、本体ボディ10の左側面に構成される動力入力部nを有して構成されている。尚、動力入力部n以外の箇所については公知に付き、概略説明に止めるものとする。本体ボディ10内には、動力入力部nからの回転動力を増速して入力するカウンタ軸12と、このカウンタ軸12に咬合して減速駆動回転されるカム軸13と、カム軸13によって駆動される送出し軸14、カム軸13の左端に取付けられるカム15等が装備されている。後述する結束動作のワンサイクルは、カウンタ軸13が丁度1回転する間に為されるように構成されている。
【0025】
さて、回転リール9は、前後のステー10sによって本体ボディ10の上方位置において前後軸心(図示省略)周りに回転自在に枢支されており、図示は省略するが、多数の結束バンド1が並列に接続されて成る結束バンド帯が巻回装備される。つまり、回転リール9を巻き解し回転させることにより、巻回されている結束バンド帯から検束バンド1を本体ボディ10の上端部に順次供給することができるように構成されている。
【0026】
送出し機構aは、図13,図14に示すように、バンド部1Vとこのバンド部1Vを逆戻り規制状態で挿通自在なヘッド部1Hとを有して成る結束バンド1を、ワイヤーハーネス(結束対象の一例)Wに巻付けるべく供給位置s(図14参照)から送出し完了位置k(図14参照)まで押出し移動させるものであり、湾曲変位自在な柔軟性を有した材料から成る長尺状のスパイラル16と、このスパイラル16の歯部16aに咬合する歯部17aを有するギヤ状輪体17、ギヤ状輪体17に咬合連動される入力ギヤ18、入力ギヤ18に咬合する短ラック19、カム軸13に装着される駆動アーム20の先端部と短ラック19とに亘って架設される連動リンク21等を有して構成されている。
【0027】
嘴開閉機構bは、図12等に示すように、第1支点P1(図17参照)を中心として揺動可能に本体ボディ10の先端上部に配備される上嘴部材7と、第2支点P2(図15参照)を中心として揺動可能に本体ボディ10の先端下部に配備される下嘴部材8とを有して構成されている。これら上下に対向配備される結束バンド案内用の一対の嘴部材7,8を、これら両者7,8の上下間に形成される結束用空間Sに結束対象Wを取り込むべく互いに離れる方向に移動した開き姿勢(図12参照)と、これら両者7,8が互いに近接する第1閉じ姿勢(図13参照)及び第2閉じ姿勢(図16参照)とに切換自在である。
【0028】
第1閉じ姿勢は、図13に示すように、上嘴部材7のみが下降揺動して各嘴部材7,8の先端部どうしが密着近接する状態の姿勢(下嘴部材8は依然として待機位置にある)であり、送出し機構aで送り出されてくる結束バンド1を結束用空間Sに取り込まれている結束対象Wに巻付けるに適した状態を形成している。第2閉じ姿勢は、図15に示すように、第1閉じ姿勢において下嘴部材8が所定範囲で上昇揺動した状態の姿勢であり、この第1閉じ姿勢から第2閉じ姿勢への動作により、先端がヘッド部1Hの間際まで近接されているバンド部1Vを、ヘッド部1Hに挿通させること(バンド挿通工程)ができるようになっている。
【0029】
引締め機構cは、図14〜図16に示すように、結束対象Wに巻回されているバンド部1Vを引き締めるべく、バンド部1Vにおけるヘッド部1Hを挿通しているバンド先端部1vを強制的に引張り自在なものであり、中間ギヤ22を介してカム軸13で駆動回転される引締めドラム23と、この引締めドラム23の上方において近接配備される前後一対の回転自在な挟持ドラム24,25とを設けて構成されている。つまり、嘴開閉機構bが第2姿勢になることで送られてくるバンド先端部1vが、常時駆動回転されている引締めドラム23と第1挟持ドラム24との間に達するので、そのバンド先端部1vが引締め機構cに引き込まれると共に引締めドラム23と第2挟持ドラム25との間から斜め下方に送出されることにより、バンド部1Vを引張っての引締め動作を一瞬のうちに行うことが可能に構成されている。
【0030】
切断機構dは、図17に示すように、下嘴部材8の根元部の直上において本体ボディ10の先端部内に装備される上下向きのカッター(切断刃)26と、このカッター26の上部両脇において係合する状態で第1支点P1を中心として揺動自在な駆動レバー27とを有して構成されている。つまり、カム軸13に取付けられているカッターカム28が駆動レバー27を蹴って上昇揺動させることでカッター26が上昇移動し、引締めが完了した後のバンド部1Vをヘッド部1Hの間際位置において切断するように構成されている。切断された余剰バンド部1yは、グリップ部11の前方に形成されている回収部29に落下して蓄えられる。
【0031】
動力入力部nは、図2〜図5に示すように、人力ペダル装置Kに生じた動力をボーデンワイヤ5を介してカウンタ軸12に伝動するためのものであり、ボーデンワイヤにおけるインナケーブル5Aの先端部が連結自在なラックギヤ30と、このラックギヤ30に咬合するピニオンギヤ31とを備えて、インナケーブル5Aのアウタケーブル5B内への引き込まれ移動をピニオンギヤ31の回転運動に変換するラック&ピニオン32を有するとともに、インナケーブル5Aをアウタケーブル5Bから抜出す方向に復帰付勢する圧縮コイルバネ33が装備されている。ピニオンギヤ31を有する入力軸34には、カウンタ軸12の小径ギヤ35に咬合する大ギヤ36が取付けられており、ラックギヤ30のスライド移動量を増幅してカウンタ軸12を回転駆動するように構成されている。
【0032】
本体ボディ10の左側面には、側面視で横長のコ字状を呈する板材から成るレールブラケット37が固定されており、その上面及び下面の中央部には前後に延びるレール溝38,38が形成されている。レールブラケット37の先端側には、上下のレール溝38,38にレール突起39a,39aが嵌合する状態で先端バネ座39が前後スライド自在に装備されており、この先端バネ座39と根元側の固定バネ座40との間に圧縮コイルバネ33が装備されている。先端バネ座39前側の支持部39bには、ラックギヤ30の根元側端部がボルト連結されており、インナケーブル5Aを引張れば、圧縮コイルバネ33をその弾性力に抗して圧縮させてラックギヤ30を引き込み方向にスライド移動させることができ、インナケーブル5Aの引張りを解除すれば、圧縮コイルバネ33の弾性力によってラックギヤ30をスライド移動させて始端位置に自己復帰させることができる。
【0033】
ピニオンギヤ31は、矢印イ方向(図4参照)には大ギヤ36と(入力軸34と)一体回転し、矢印ロ方向(図4参照)にはピニオンギヤ31のみが回転するように機能するワンウェイクラッチCrを有している。ワンウェイクラッチCrは、図6に示すように、ピニオンギヤ31にボルト止めされるハウジング41と、入力軸34と一体回転する状態でピニオンギヤ31及びハウジング41に内嵌されるクラッチ回転体42と、ハウジング41内に枢支されるラチェット43と、ラチェット43をクラッチ回転体42外周のクラッチ爪42aに咬合する方向に弾性付勢する捩りバネ44とを有して構成されている。尚、クラッチ爪42aは、クラッチ回転体42の外周において互いに180度離れた箇所に計二箇所形成されている。
【0034】
参考として、図20に、電動モータ47で駆動する従来型の結束工具Bの概略の内部構造を示す平面図が示されている。その電動型結束工具Bにおいては、カウンター軸12とモータ軸47aとはベベルギヤ機構61を介して連動連結されており、カウンター軸12が外部には突出しない構成となっている。これに対して本発明による外部駆動型結束工具Aでは、図5に示すように、カウンター軸12を延長して工具本体Hから左側方に突出させ、その突出端の小径ギヤ35に咬合する大ギヤ36を有する入力軸34、及びボーデンワイヤ5で入力軸34を回転させるためのラック&ピニオン32等を工具本体Hとカバーフレーム62との間に配置して成る動力入力部nを新たに構成し、電動モータ47を省略した構造のものである。
【0035】
次に、動力供給部である人力ペダル装置Kについて説明する。図7〜図11に示すように、人力ペダル装置Kは、足踏みによる強制下降揺動並びに足踏み解除による上昇復帰揺動が自在にベース部材48に枢支される揺動ペダル(被操作具の一例)4と、ベース部材48に立設された縦フレーム49に上下スライド移動自在に支持される可動部材45と、同様に縦フレーム49に上下スライド移動自在に支持される連動機構46とを有して構成されている。
【0036】
ベース部材48は、左右端が上方に折り曲げられて補強される鋼板製のものであり、その根元側に揺動ペダル4を枢支するための左右一対の挿通孔48a,48aが形成されている。揺動ペダル4は、横断面形状が下向きコ字状であり、かつ、ベース部材48の挿通孔48a,48aに両端が支承される支軸4aが根元側端に固着される鋼板プレス製のものであり、先端側の左右中央部には矩形で凹入したような形状の逃がし切欠き4Aが形成されている。
【0037】
縦フレーム49は、ベース部材48の先端側部分に固定される底板49A、右縦壁部材49B、左縦壁部材49C、前壁部材49Dを有して構成されており、右縦壁部材49Bの内側に形成される右縦溝49b、及び左縦壁部材49Cと前壁部材49Dとの前後方向隙間で形成される左縦溝49cとにより、縦フレーム49内に収容される状態の可動部材45を上下スライド移動自在に支持している。可動部材45は、ボーデンワイヤ5のインナケーブル5A先端の太鼓部5aを枢支するための引掛け穴45aと、トルクリミッタTr(後述)を形成すべく側面に形成された凹部45bと、右及び左の縦溝49b,49cに嵌り込んで摺動するための左右一対の軸突起45c、45cとを有する角ブロックで形成されている。つまり、縦フレーム49には、アウタケーブル5Bを受止める支持部Siが形成され、可動部材45には、インナケーブル5Aを連結するための連結部Reが形成されている。
【0038】
連動機構46は、軸材から成る左右一対の当接部材50a,50a、底部材50b、バネ収容用の角筒空間部50c、及びスライド用の左右一対で上下に長尺状の縦レール突起50d,50dを有する中間体50と、圧縮型のコイルバネ51と、コイルバネ51の先端側に装備されるクラッチ部材52等を有するとともに、可動部材45に所定以上の駆動方向への負荷が作用するに伴って、揺動ペダル4と可動部材45との連動を断つトルクリミッタTrが装備されている。
【0039】
中間体50は、その左右の縦レール突起50d,50dが縦フレーム49の内面側に形成された左右のスライド溝49d、49dに嵌合することによって所定範囲内で上下スライド移動自在に縦フレーム49に支持されており、揺動ペダル4が踏込まれると、左右に四箇所並列形成されているペダル短壁4bが左右の当接部材50a,50aを押すことにより、強制的に下方にスライド移動されるように構成されている。コイルバネによって前方突出付勢されるクラッチ部材52は、縦フレーム49の内部に位置しており、クラッチ部材52の先端部に枢支されて回転自在なローラ52aが、可動部材45の凹部45bに押圧されながら嵌り込むように設定されている。
【0040】
凹部45bは、ローラ52aの外郭形状に沿うように、側面視において略半円形の形状を呈しており、かつ、その下端部は斜め下方に削られたような傾斜面45dに形成されている。つまり、図10に示すように、通常は可動部材45と中間体52とは一体上下スライド移動する状態にあり、揺動ペダル4が踏込まれるに従って中間体52及び可動部材45が一体で下降移動し、それによってインナケーブル5Aが強制的に引張り操作される。インナケーブル5Aが引張られると、動力入力部nのラック&ピニオン32が作動して入力軸34が矢印イ方向に回転駆動される(図4参照))。
【0041】
但し、上下の嘴部材7,8間に想定外の大きさの異物が挟まれる等、何らかの原因によって工具本体Hに駆動部分やボーデンワイヤ5に、即ち可動部材45の押下げ力に過大な負荷が作用する場合には、図11に示すように、ローラ52aと傾斜面45dとの当接によるクラッチ部材52を中間体50側に(図11の矢印ハ方向に)押し戻す分力が、コイルバネ51の押圧付勢力を上回り、その結果ローラ52aが凹部45cから抜け出て中間体50のみが下方にスライド移動する状態、所謂「空踏み状態」になる。故に、トラブルに気付かずに揺動ペダル4を大なる操作力で踏み込むようなことがあると、トルクリミッタTrが自動的に作動して所定以上の押下げ力が可動部材45には伝わらないようになり、それによって工具本体の駆動が中断されて故障を未然に防止できるようになっている。
【0042】
つまり、トルクリミッタTrは、可動部材45と、これの移動方向に沿っての移動が自在であり、かつ、揺動ペダル4によって強制下降移動操作される中間体50とのうちの可動部材(いずれか一方の一例)45の側壁に形成された凹部45bと、この凹部45bに嵌り込むようにコイルバネ(弾性機構の一例)51によって突出付勢される状態で中間体50と可動部材45とのうちの中間体(いずれか他方の一例)50に支持されるクラッチ部材52とから成り、可動部材45に作用する駆動方向(図11の矢印ニの方向)の負荷が所定値以下のときは、クラッチ部材52が凹部45bに嵌り込んでいて中間体50と可動部材45とが一体的に移動し、可動部材45に作用する駆動方向の負荷が所定値を越えるときは、凹部45bに設けられた傾斜面45dによる分力によってクラッチ部材52を中間体50に押し戻す力がコイルバネ51による突出付勢力を上回ることでクラッチ部材52が凹部45bから抜け出す状態に設定されている。
【0043】
トルクリミッタTrが作動して空踏み状態になったときは、まず、一対の嘴部材7,8間に挟まっている異物を取り除く等のトラブルを解消する操作を行う。このとき圧縮コイルバネ33の復帰力によりラックギヤ30を待機位置に戻すようになり、それによってインナケーブル5Aが引張られて可動部材45を最上昇した待機位置に戻すように作用する。空踏みされて下降している揺動ぺダル4は中間体50を手指で持ち上げ操作する等によって上昇移動させ、ローラ52aが(クラッチ部材52が)凹部45cに嵌り込む通常の状態に戻し操作し、その後に揺動ぺダル4の踏込み操作を再開するようになる。
【0044】
次に、揺動ペダル4の踏込みによる結束のワンサイクルについて概略説明する。外部駆動型結束工具Aにおいては、揺動ペダル4の1回の踏込み操作によって1サイクルの結束動作が行える公知のものであって、その動作工程としては、大別して結束バンド供給工程、結束用空間閉塞工程、結束バンド送出し工程、ヘッド部挿通工程、バンド引締め工程、余剰バンド切断工程から成っている。尚、結束の1サイクルは、カム15(カム軸13)が丁度1回転する間に全て行われるように設定されている。
【0045】
結束バンド供給工程は、回転リール9等から供給されて来る結束バンド1を、工具本体H上部のバンド装填部56に供給する工程である。即ち、図12(a)に示すように、揺動ペダル4の踏込みに従ってラックギヤ30が引張られ、矢印ホ方向に動いて入力軸34が矢印イ方向に所定角度回転し、カウンタ軸34が矢印ヘ方向に回転してカム軸13及びカム15が待機位置〔図12(a)に示す位置〕から矢印ト方向に回転し始める。すると、図12(b)に示すように、カム15が矢印ト方向に回ると中間リンク53が矢印チ方向に回動して縦ラック部材54を下降スライド移動させて、そのラックギヤ部54aに咬合する受動ギヤ部55aを有するバンド巻回用のドラム55が回動し、工具本体Hの上方に装備されている回転リール9から巻き解されてドラム55に巻付けられている結束バンド帯(図示省略)から1個の結束バンド1が、工具本体Hのバンド装填部56に供給される。尚、仮想線で描かれている結束バンド1は、次の結束1サイクルで使用予定のものである。
【0046】
結束用空間閉塞工程は、上嘴部材7を下降揺動させて結束用空間Sを閉空間とする工程である。即ち、図13に示すように、カム軸13及びカム15が更に所定角度矢印ト方向に回転することにより、上嘴部材7の図示しない工具本体内部側部分と、カム軸13と一体回転する図示しない上ガイドカムとによる連動機構(図示省略)により、上嘴部材7が工具本体Hの円弧状レール部57に沿って下降揺動移動し、その先端部が位置固定されている下嘴部材8の先端部と接触して結束用空間Sを閉塞する。これにより、結束用空間S内に取り込まれている結束対象Wの結束用空間Sからの抜け出しが阻止され、結束バンド1の巻付け準備が整った状態がもたらされる。この場合、常時駆動されている送出し機構aにより、結束バンド1を後押しする部材であるスパイラル16が待機位置から移動され始めており、図13に示すように、バンド装填部56の結束バンド1は若干前方に押し出された位置にある。
【0047】
結束バンド送出し工程は、スパイラル16を押出駆動して結束バンド1を、供給位置sから送出し完了位置kまで送出す工程である。図14に示すように、スパイラル16はその内側の全面に歯部16aが形成されて柔軟な合成樹脂材料(可撓性を有する材料)等から成るベルト状のものであり、その歯部16aが咬合する歯部17aを有するギヤ状輪体17を、連動リンク21及び駆動アーム20を介してカム軸13で回転駆動することにより、収納筒58(図18,19参照)に収納されているスパイラル16を強制駆動移動させることができるように構成されている。
【0048】
つまり、カム15(カム軸13)がさらに矢印ト方向に回転することにより、その回転角度域においては常時駆動されている送出し機構aによるギヤ状輪体17の回転速度が増速されることになり、スパイラル16が急速に押出移動されて結束バンド1を素早く送出し完了位置kまで押出移動させることができる。送出し完了位置kまで送出された状態では、図14に示すように、バンド部1Vは上下の嘴部材7,8の内面側に形成されている各々のガイド溝(符記せず)で案内されて結束対象Wを囲繞するように巻付け移動されており、バンド部1Vの先端部はヘッド部1Hの直ぐ横に位置する設定とされている。
【0049】
ヘッド部挿通工程は、先端部がヘッド部1Hの直ぐ横に位置しているバンド部1Vを、ヘッド部1Hに挿通させる工程である。即ち、図15に示すように、カム15(カム軸13)がさらに所定角回転し、それによって図示しない構造によって連動連係されている作動フォーク59が、支点P2で回動自在な下嘴部材8をその根元側端部に作用して上昇揺動させる。このとき上嘴部材7は位置固定されているので、閉塞空間である結束用空間Sとしての周長が狭められたバンド部1Vは、その先端部からヘッド部1Hの挿通孔1hを挿通し、引締めドラム23と第1挟持ドラム24との間に刺さり込む状態となるまで押し出されるのである。このとき、送出し機構aが戻り作動し始め、スパイラル16は送出し完了位置から若干戻り移動した状態になっている。
【0050】
バンド引締め工程は、バンド部1Vにおけるヘッド部1Hを挿通した先端部分を引張って結束対象Wに弛み無く強く巻付ける工程である。即ち、図16に示すように、第1及び第2挟持ドラム24,25は弾性機構60によって常時回転する引締めドラム23に押圧付勢されているので、ヘッド部挿通工程によって先端が第1挟持ドラム24と引締めドラム23間に達したバンド部1Vは、引締め機構cによって瞬間的に引張られるとともに、第2挟持ドラム25と引締めドラム23との間で挟持されることによって引張られ方向が横向きから斜め下方向きに変更された状態で送出される。この引締め工程は、高速回転する引締めドラム23を用いることで瞬時に行われるので、カム15(カム軸13)は図15に示す位置から極僅かしか回転せず、従って、図15と図16とでは結束バンド1以外については便宜上同じとして描いてある。
【0051】
余剰バンド切断工程は、バンド部1Vにおけるヘッド部1Hを通ってその先に出ている余剰バンド部分を切り落とす工程である。即ち、図17に示すように、下嘴部材8の支点P2付近における工具本体Hには、縦向き姿勢で昇降移動自在なカッター26を有する前述の切断機構dが配備されており、バンド引締め工程の終了とほぼ同時にカッターカム28が駆動レバー27を押上げることでカッター26が上昇移動し、ヘッド部1Hの近傍においてバンド部1Vを切断する。切断後の余剰バンド部1yは落下移動して回収部29に回収される。またこのときには、上嘴部材7は上昇揺動して、かつ、下嘴部材8は下降揺動して、それぞれの待機位置に戻る動作も行われるようになっている。
【0052】
余剰バンド切断工程の終了状態(図17の状態)からカム15(カム軸13)が所定角回転して、図18に示すように待機位置から弱1回転する間に、結束バンド1で結束された結束対象Wが結束用空間Sから外部へ移動されるとともに、送出し機構aが戻り作動してスパイラル16は、その大部分が収容筒58に挿入される状態で工具本体Hの内部に収容された待機位置に戻り移動する。そして、紙12Aに蹴られることで縦ラック部材54が元の待機位置に向って上昇移動して受動ギヤ部55aを逆回転駆動するが、受動魏藪55a部分に装備されている一方向クラッチ(図示省略)の機能により、ドラム55(図12参照)は回動が停止したままとなっている。また、カッター26は下降移動される。
【0053】
そして、カム15(カム軸13)が丁度1回転すると、図19に示すように、次の結束作動に備えるべく各部が図12(a)に示す待機状態に戻るのである。この結束の1サイクルに要するラックギヤ30の移動ストロークLは、図12(a)と図19とのそれぞれのラックギヤ30における入力軸34の軸心直上に位置するスタート地点t1とフィニッシュ地点t2との間隔として定義される。そして、そのインナケーブル5Aの移動ストロークLを生じさせるように、操作人力ペダル装置Kにおける可動部材45の昇降移動ストロークが設定されている。
【0054】
以上述べたように、本発明による外部駆動型結束工具並びにこれを用いた人力駆動式定置型結束装置においては、従来の電動モータやその駆動回路等の電気部品、電気関係機構類を一切排除して、揺動ペダル4を用いた人力、詳しくは脚力によって工具本体を駆動させる構造としたので、一対の嘴部材7,8間の結束用空間にて結束対象Wを結束バンド1で結束する一連の結束動作を機械的に便利に行えるものとしながら、大幅なコストダウンが行えて廉価なものとすることができている。その結果、人為作業で賄うには労力が掛かり過ぎるとともに作業効率も芳しくない結束作業を機械化する結束工具を廉価に構成することができ、少量生産する小規模な工場や、個人商店、或いは開発途上国等においても難無く導入することができ、結束作業の効率化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】結束工具を人力駆動式の定置型結束装置として使用する例を示す全体図
【図2】工具本体の動力入力部の構造を示す分解斜視図その1
【図3】工具本体の動力入力部の構造を示す分解斜視図その2
【図4】工具本体の側面図
【図5】工具本体の一部切欠きの平面図
【図6】ワンウェイクラッチの構造を示す分解斜視図
【図7】踏込みペダル装置の全体斜視図
【図8】踏込みペダル装置の構造を示す分解斜視図
【図9】踏込みペダル装置の一部透視の側面図
【図10】通常時の作動状況を示す踏込み操作途中の側面図
【図11】過負荷時の作動状況を示す踏込み操作途中の側面図
【図12】結束バンド供給工程を示す作用図
【図13】上嘴下降による結束用空間の閉塞工程を示す作用図
【図14】結束バンドの送出し工程を示す作用図
【図15】下嘴上昇によるバンド部のヘッド部挿通工程を示す作用図
【図16】結束バンドの引締め工程を示す作用図
【図17】余剰バンド部の切断工程を示す作用図
【図18】スパイラルの復帰工程を示す作用図
【図19】工具本体が待機状態に戻った状態を示す側面図
【図20】従来の電動モータ内蔵型結束工具の概略構造を示す一部切欠きの平面図
【符号の説明】
【0056】
1 結束バンド
4 被操作具(揺動ペダル)
5 ボーデンワイヤ
5A インナケーブル
5B アウタケーブル
45 可動部材
45b 凹部
45d 傾斜面
48 ベース部材
49 縦フレーム
50 中間体
50a 当接部材
51 弾性機構
52 クラッチ部材
D 動力伝動機構
H 工具本体
Re 連結部
Si 支持部
Tr トルクリミッタ
W 結束対象

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結束バンドを送出して結束対象に巻付けるとともに引き締めて結束する一連の結束動作を行うための工具本体に、動力伝動機構を介して前記一連の結束動作を行うに必要な駆動力を供給可能とすべく、人為操作される被操作具と、前記動力伝動機構に所定以上の駆動力が作用するに伴って、前記被操作具と前記動力伝動機構との連動を断つように機能するトルクリミッタと、を有して構成されている結束工具駆動用人力装置。
【請求項2】
前記トルクリミッタは、前記被操作具によって移動操作される中間体と、前記動力伝動機構に連動連結され、かつ、前記中間体と同方向に移動自在な可動部材と、これら中間体と可動部材とのいずれか一方の側壁に形成された凹部と、前記凹部に嵌り込むように弾性機構によって突出付勢される状態で前記中間体と前記可動部材とのいずれか他方に支持されるクラッチ部材とを有するとともに、
前記動力伝動機構を介して前記可動部材に作用する駆動負荷が所定値以下のときは、前記クラッチ部材が前記凹部に嵌り込んでいて前記中間体と前記可動部材とが一体的に移動し、かつ、前記駆動負荷が所定値を越えるときは、前記凹部に形成されている傾斜面との当接による分力によって前記クラッチ部材を前記他方側に押し戻す力が前記弾性機構による突出付勢力を上回ることで前記クラッチ部材が前記凹部から抜け出すように設定することにより構成されている請求項1に記載の結束工具駆動用人力装置。
【請求項3】
前記凹部が前記可動部材に、かつ、前記クラッチ部材及び前記弾性機構が前記中間体に夫々配備されている請求項2に記載の結束工具駆動用人力装置。
【請求項4】
前記被操作具は、足踏み操作が自在な揺動ペダルである請求項1〜3の何れか一項に記載の結束工具駆動用人力装置。
【請求項5】
前記可動部材と前記中間体は、前記揺動ペダルを枢支するベース部材に立設された縦フレームに向かい合わせ状態で上下スライド自在に嵌合支持されており、前記中間体には、前記揺動ペダルの踏力を受けて強制下降スライドするための当接部材が装備されている請求項4に記載の結束工具駆動用人力装置。
【請求項6】
前記縦フレームには、前記動力伝動機構を構成するボーデンワイヤのアウタケーブルを受止める支持部が形成され、前記可動部材には、前記ボーデンワイヤのインナケーブルを連結するための連結部が形成されている請求項5に記載の結束工具駆動用人力装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2007−238101(P2007−238101A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−59044(P2006−59044)
【出願日】平成18年3月6日(2006.3.6)
【出願人】(000108524)ヘラマンタイトン株式会社 (57)
【Fターム(参考)】