説明

結腸内での活性物質放出が強化された、コーティングされた医薬製剤もしくはニュートラシューティカル製剤

本発明は、a)医薬活性物質もしくはニュートラシューティカル活性物質を含有するコアと、b)前記コアを包囲する内側制御層であって、i)カチオン性基またはカチオン性基に変換することができる基を担持する複数の(メタ)アクリレートコポリマーのうちの1つまたはこれらの混合物と、ii)アニオン性基またはアニオン性基に変換することができる基を担持する複数のポリマーまたはコポリマーのうちの1つまたはこれらの混合物とを含む制御層と、c)アニオン性基またはアニオン性基に変換することができる基を担持する複数のポリマーまたはコポリマーのうちの1つまたはこれらの混合物を含む外側制御層と、を含む医薬製剤もしくはニュートラシューティカル製剤、およびこれらを含む錠剤またはカプセルに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の多層コーティングされた医薬製剤もしくはニュートラシューティカル製剤と、このような製剤を含有する薬剤形態と、結腸内で、医薬活性物質もしくはニュートラシューティカル活性物質の放出速度を上昇させる、あるいは制御放出剤形からのより完全な薬物放出を可能にする目的で、医薬活性物質もしくはニュートラシューティカル活性物質を含有するコアを包囲するカチオン性基またはカチオン性基に変換することができる基を含有する特定のポリマーを含む内側制御層中に、アニオン性基またはアニオン性基に変換することができる基を含む特定のコポリマーを使用することとに関する。
【0002】
従来技術から、医薬製剤からの医薬活性物質の放出を制御するための多くの異なる手法が知られている。経口投与剤形を用いる場合、消化器系において、どの位置で、またどの時間枠内に医薬活性物質が放出されるべきかによって、さまざまな解決法が提供されている。
【0003】
医薬活性成分の特定の放出パターンを調整する目的で、多層コーティングされた医薬製剤が記載されているいくつかの従来技術文書も既知である。
【0004】
国際公開第2005/046649号、国際公開第2005/046561号、国際公開第2006/102964号、および国際公開第2006/102965号は全て、特定の放出プロファイルを達成する目的で、固有の調節によって、フィルムコーティングの透過性の調整を可能にする多層コーティングを有する多粒子医薬製剤に関する。これは、コアと、コアを包囲する内側制御層であって、調節作用を有する物質、特に有機酸の塩を含み、薬学的に許容されるポリマー、ワックス、樹脂、および/またはタンパク質の基質に組み込まれた内側制御層とを含む、多粒子医薬剤形によって達成される。この内側制御層は、医薬活性成分を含む有効成分層に包囲されている。この医薬製剤は、さらに、4級アンモニウム基を有するアクリルコポリマーと、最大40質量%の別の薬学的に有用なポリマーとを含む外側制御層を含有する。任意の成分として使用すべき適切な薬学的に許容される多数のポリマーの中で、20〜40質量%のメチルメタクリレートと、60〜80質量%のメタクリル酸または架橋されたおよび/または架橋されていないポリアクリル酸とからなる(メタ)アクリレートコポリマーが開示されている。外側制御層中のこのような酸官能性コポリマーの効果または目的に関して得ることが出来る情報は記載されていない。さらに、これらの酸官能性コポリマーは、任意の成分の代わりとなりうるものとして、全く異なる化学的もしくは物理的機能を有する薬学的に許容されるポリマーの多数の一覧の形で開示されているため、酸官能性コポリマーの選択が、これらの従来技術文書に記載されている放出パターンの望ましい制御に対して全く関連性がないことは明らかである。
【0005】
国際公開第2006/010394号は、a)医薬品を有するコアと、b)内側コーティングであって、95〜100質量%の中性の側基を有するラジカル重合されたビニルモノマーと、0〜5質量%のアニオン性の側基を有するモノマーとを含む(コ)ポリマーからその50〜95質量%が構成される内側コーティングと、c)外側コーティングであって、75〜95質量%のアクリル酸もしくはメタクリル酸のラジカル重合されたC1〜C4アルキルエステルと、5〜25質量%のアルキル基中にアニオン性基を有する(メタ)アクリレートモノマーと、を含むコポリマーからなる外側コーティングとを含有する、多層形態の薬剤を開示している。前記薬剤は、5〜30質量%の一般的な医薬助剤、特に緩和剤をさらに含有する。さらに、内側コーティングは、細孔形成剤ではない一般的な医薬助剤を5〜50質量%含有し、細孔形成剤の量は5質量%未満である。
【0006】
ドイツ特許公開公報第10013029号は、結腸での薬物送達に特に適した医薬製剤を開示している。この医薬製剤は、
a)医薬活性物質を含有するコアと、
b)コアを包囲する内側制御層であって、85〜98質量%のアクリル酸もしくはメタクリル酸のラジカル重合可能なC1〜C4アルキルエステルと、15〜2質量%のアルキル基中に4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレートモノマーとのコポリマーまたはコポリマーの混合物を含む内側制御層と、
c)外側制御層であって、75〜95質量%のアクリル酸もしくはメタクリル酸のラジカル重合可能なC1〜C4アルキルエステルと、5〜25質量%のアルキル基中にアニオン性基を有する(メタ)アクリレートモノマーとのコポリマーを含む外側制御層とを含む。
【0007】
1.2の低いpHでの薬物送達は、pHが7.0に上昇するまで遅延され、医薬製剤を結腸内での放出に適したものにすることが実験データから明らかではあるが、8時間後でも薬物の30〜80%しか放出されないことから、結腸内での薬物放出は不完全である。
【0008】
このような従来技術文書を考慮して、本発明の目的は、結腸内でのより迅速かつより完全な薬物放出を示す、結腸内での放出を目的とする経口投与用粒子状医薬剤形のための医薬製剤もしくはニュートラシューティカル製剤を提供することである。
【0009】
本発明者らは、驚くべきことに、
a)医薬活性物質を含むコアと、
b)コアを包囲する内側制御層であって、カチオン性基またはカチオン性基に変換することができる基を担持する複数の(メタ)アクリレートコポリマーのうちの1つまたはこれらの混合物を含む内側制御層と、
c)アニオン性基またはアニオン性基に変換することができる基を担持する複数のポリマーまたはコポリマーのうちの1つまたはこれらの混合物を含む外側制御層と、
を含む医薬製剤もしくはニュートラシューティカル製剤中の内側制御層中にアニオン性基またはアニオン性基に変換することができる基を担持する複数のポリマーまたはコポリマーのうちの1つまたはこれらの混合物を組み込むことによって、低いpHでは遅延放出を示すが、中性のpHでは、消化器系の体液中での医薬活性物質もしくはニュートラシューティカル活性物質の放出速度が上昇し、結腸内で、短縮された時間内に活性物質の実質的に完全な放出をもたらす医薬製剤が得られることを発見した。
【0010】
したがって、定義した目的は、
a)医薬活性物質もしくはニュートラシューティカル活性物質を含むコアと、
b)コアを包囲する内側制御層であって、
i)カチオン性基またはカチオン性基に変換することができる基を担持する複数の(メタ)アクリレートコポリマーのうちの1つまたはこれらの混合物と、
ii)アニオン性基またはアニオン性基に変換することができる基を担持する複数のポリマーまたはコポリマーのうちの1つまたはこれらの混合物と、を含む内側制御層と、
c)アニオン性基またはアニオン性基に変換することができる基を担持する複数のポリマーまたはコポリマーのうちの1つまたはこれらの混合物を含む外側制御層と、
を含む医薬製剤もしくはニュートラシューティカル製剤によって達成された。
【0011】
コア(a):
最も単純な例では、コアは有効成分のみから構成されていてもよいが、典型的には、担体、例えばノンパレイユと、従来の医薬賦形剤、例えば結合剤、例えばセルロースおよびその誘導体、またはポリビニルピロリドン(PVP)、湿潤剤、崩壊促進剤、潤滑剤、デンプンおよびその誘導体、多糖類、可溶化剤などをさらに含む。場合によっては、コーティングされるコアとして、ゼラチンカプセルまたはHPMCカプセルを用いることもできる。
【0012】
コア(a)は、例えば以下のものを含んでもよい。
−医薬活性成分もしくはニュートラシューティカル活性成分(コアの質量に対して、97.5〜2.5質量%、好ましくは80〜5質量%の量)。
−場合によっては、医薬賦形剤(コアの質量に対して、0〜95質量%、好ましくは10〜50質量%の量)
−場合によっては、担体(コア質量中の比率0〜95質量%、好ましくは10〜60質量%)。
【0013】
コアは、例えば、造粒とそれに続く圧縮または直接圧縮、押し出しとそれに続く球状化、湿式もしくは乾式造粒、または直接ペレット化(例えば、ディスク上)によって、あるいは有効成分を含有しないビーズ(ノンパレイユ)上、もしくは有効成分を含有する粒子上に粉末を結合させること(粉末積層)によって製造することができる。
【0014】
コアは、100〜1500μmのサイズを有するペレットであってよく、または1500〜5000μmのサイズを有する小型錠剤であってもよい。
【0015】
コアは、均質であっても、あるいは積層構造を有してもよい。積層構造を有する場合、有効成分は、好ましくは外層に位置する。
【0016】
しかし、本発明の好適な実施形態によると、コアは、薬学的に許容されるポリマー、ワックス、樹脂、および/またはタンパク質を含む制御層を含まない。この実施形態によると、このような制御層は、有効成分層下にも、有効成分層上にも存在しない。しかしコアは、場合によっては、放出制御機能を有さないサブコーティング層を含んでもよい。このようなコーティングは、好ましくは水溶性であり、例えば15μm未満または10μm未満など、非常に薄く塗布してよい。このようなサブコーティング層に適した材料は、HPMCまたはPVPなどの水溶性ポリマーである。このようなサブコーティング層の機能は、有効成分と制御層との不適合を回避することである。
【0017】
本発明の好適な実施形態によると、ノンパレイユなどの不活性担体に、有効成分を、また場合によっては医薬賦形剤を付与する。
【0018】
制御層(b):
制御層(b)は、カチオン性基とカチオン性基に変換可能な基を有する(メタ)アクリレートコポリマーと、アニオン性基および/またはアニオン性基に変換可能な基を有するポリマーまたはコポリマーとの組み合わせを含有し、場合によっては従来の医薬賦形剤、例えば可塑剤、顔料、湿潤剤などを含有する。制御層(b)は、好ましくはコアを直接包み、コアとコーティング層との間にさらなる層は存在しない。特に、薬学的に許容されるポリマー、ワックス、樹脂、および/またはタンパク質を含むさらなる制御層は、コア(a)と制御層(b)との間に配置されない。制御コーティング(b)中のポリマーはフィルム形成性のものであり、このコーティングは、場合によっては存在する賦形剤と一緒にフィルムに変換されて、連続したコーティングまたはコーティングフィルムを形成する。内側制御層(b)は外側制御層(c)と一緒になって、全体として有効成分の放出を制御する。
【0019】
本発明による制御層(b)は、好ましくは、成分i)を50〜92質量%、より好ましくは50〜80質量%の量で含み、成分ii)を8〜50質量%、より好ましくは20〜45質量%の量で含む(質量%は、層中に含まれるポリマーの総質量に基づく)。
【0020】
本発明によると、成分i)が、4級アンモニウム基を含有する(メタ)アクリルコポリマーであることが好ましい。
【0021】
成分i)−カチオン性基またはカチオン性基に変換することができる基を担持する(メタ)アクリレートコポリマー
本発明の一実施形態によると、成分i)によるコポリマーは、(メタ)アクリルコポリマーの質量に対して80〜98質量%の(メタ)アクリル酸のC1〜C4アルキルエステルから誘導された構造単位と、(メタ)アクリルコポリマーの質量に対して2〜20質量%のアルキル基中に4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレートモノマーから誘導された構造単位とから構成される(メタ)アクリレートコポリマーを含む。本発明の成分i)によるコポリマー中に含まれる、アルキル基中に4級アンモニウム基を含有する構造単位は、好ましくは、2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリドから誘導される。
【0022】
本発明の一実施形態によると、成分i)によるコポリマーは、(メタ)アクリルコポリマーの質量に対して93〜98質量%の(メタ)アクリル酸のC1〜C4アルキルエステルから誘導された構造単位と、(メタ)アクリルコポリマーの質量に対して2〜7質量%のアルキル基中に4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレートモノマーから誘導された構造単位とから構成される(メタ)アクリレートコポリマーを含む(EUDRAGIT(登録商標) RS型)。
【0023】
成分i)として使用すべき好適なコポリマーの1つは、例えば、50〜70質量%のメチルメタクリレートから誘導された構造単位と、20〜40質量%のエチルアクリレートから誘導された構造単位と、7〜2質量%のトリメチルアンモニウムエチルメタクリレートとから構成される。特に好適なコポリマーは、65質量%のメチルメタクリレートから誘導された構造単位と、30質量%のエチルアクリレートの構造単位と、5質量%の2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリドから誘導された構造単位とを含む。このようなコポリマーは、EUDRAGIT(登録商標) RSとして市販されている。
【0024】
成分i)に適した別の(メタ)アクリレートコポリマーは、例えば、80質量%以上93質量%未満のアクリル酸または(メタ)アクリル酸のC1〜C4アルキルエステルと、7質量%を上回り20質量%までのアルキル基中に4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレートモノマーとのラジカル重合したモノマー単位、好ましくは85質量%以上93質量%未満のアクリル酸または(メタ)アクリル酸のC1〜C4アルキルエステルと、7質量%を上回り15質量%までのアルキル基中に4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレートモノマーとのラジカル重合したモノマー単位から構成されていてよい。このような(メタ)アクリレートコポリマーは市販されており、徐放性コーティングに長い間使用されている(EUDRAGIT(登録商標) RL型)。
【0025】
特に適切なコポリマーは、例えば、メチルメタクリレート60質量%と、エチルアクリレート30質量%と、2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリド10質量%とを含む(EUDRAGIT(登録商標) RL)。
【0026】
本発明の特に好適な実施形態によると、成分i)によるコポリマーは、
‐(メタ)アクリルコポリマーの質量に対して93〜98質量%の(メタ)アクリル酸のC1〜C4アルキルエステルから誘導された構造単位と、(メタ)アクリルコポリマーの質量に対して2〜7質量%のアルキル基中に4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレートモノマーから誘導された構造単位とから構成される、混合物の総質量に対して40〜99質量%の(メタ)アクリレートコポリマーと、
‐(メタ)アクリルコポリマーの質量に対して85質量%以上93質量%未満の(メタ)アクリル酸のC1〜C4アルキルエステルから誘導された構造単位と、(メタ)アクリルコポリマーの質量に対して7質量%を上回り15質量%までのアルキル基中に4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレートモノマーから誘導された構造単位とから構成される、混合物の総質量に対して1〜60質量%の(メタ)アクリレートコポリマーと、
の混合物を含む。
【0027】
混合物中の上記に定義した第1の成分は、上記に定義した好適な実施形態を含む、EUDRAGIT(登録商標) RS型コポリマーから選択することができる。EUDRAGIT(登録商標) RS型コポリマーの比率は、成分i)による(メタ)アクリレートコポリマーの混合物の総質量に対して40〜99質量%、好ましくは60〜95質量%である。特に好ましくは、70〜90質量%の範囲である。
【0028】
混合物の第2の成分に適した(メタ)アクリレートコポリマーは、上記に定義したEUDRAGIT(登録商標) RL型の(メタ)アクリレートコポリマーから選択することができる。混合物中の比率は、4級アンモニウム基を有するアクリルコポリマーの総量に対して、最大60質量%、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%であってよい。
【0029】
成分ii)アニオン性基またはアニオン性基に変換可能な基を含有するポリマーまたはコポリマー
さらに、制御層(b)は、成分ii)として、アニオン性基またはアニオン性基に変換可能な基を含有するポリマーまたはコポリマーを含み、これは好ましくは、カルボキシル官能性(メタ)アクリルポリマーまたはコポリマー、ならびにカルボキシル官能性多糖類およびその少なくとも部分的な中和の生成物から選択される。
【0030】
適切なカルボキシル官能性多糖類またはその少なくとも部分的な中和の生成物は、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースおよびその塩(CMC、Na−CMC、Blanose、Tylopur)、カルボキシメチルエチルセルロースおよびその塩、セルロースアセテートフタレート(CAP)、セルロースアセテートスクシネート(CAS)、セルロースアセテートトリメリテート(CAT)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP、HP50、HP55)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS−LF、−MF、−HF)から選択することができる。
【0031】
その他の適切なカルボキシル官能性コポリマーは、アクリル酸もしくはメタクリル酸以外の不飽和カルボン酸から誘導された構造単位を含むビニルコポリマー、例えばポリビニルアセテートフタレート、またはビニルアセテートとクロトン酸(9:1)のコポリマーである。
【0032】
本発明の好適な実施形態によると、成分ii)のポリマーまたはコポリマーは、カルボキシル官能性(メタ)アクリルポリマーまたはコポリマー、およびそれらの少なくとも部分的な中和の生成物から選択される。
【0033】
適切なカルボキシル官能性(メタ)アクリルコポリマーは、5〜85質量%のカルボキシル基を含有する構造単位と、95〜15質量%の(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、好ましくはC1〜C4アルキルエステルから誘導された構造単位とから構成される(メタ)アクリレートコポリマーから選択される(パーセンテージはコポリマーの質量に基づく)。
【0034】
好ましくは、カルボキシル基を含有する構造単位は、アクリル酸もしくはメタクリル酸から誘導される。
【0035】
アニオン性基に変換可能な基を有する構造単位は、例えばアルカリイオンまたはアンモニアイオンによって、部分的にまたは完全に中和されていてもよい。
【0036】
酸官能性(メタ)アクリルコポリマーの中和度によって、カルボン酸基は、完全にまたは部分的に、アニオン性カルボキシレート基に変換される。好ましくは、部分的な中和の程度は、15モル%以下、12モル%以下、10モル%以下、8モル%以下である。最も好ましくは、アクリル酸もしくはメタクリル酸から誘導された構造単位は中和されない。
【0037】
アクリル酸もしくはメタクリル酸のC1〜C4アルキルエステルは、具体的には、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、およびブチルアクリレートである。
【0038】
上記の比率は通常は合計100質量%になる。しかしながら、本質的な特性を損なったり、または変更したりすることなく、0〜10質量%の範囲、例えば1〜5質量%の範囲の少量のビニル共重合が可能なさらなるモノマー、例えばヒドロキシエチルメタクリレートもしくはヒドロキシエチルアクリレート、ビニルピロリドン、ビニルマロン酸、スチレン、ビニルアルコール、酢酸ビニル、および/またはこれらの誘導体などが含まれていることもさらに可能である。好適には、ビニル共重合が可能なさらなるモノマーは含まれない。
【0039】
特に好適な実施形態によると、制御層(b)の成分ii)は、コポリマーの質量に対して41〜60質量%のメチルメタクリレートもしくはエチルアクリレートから誘導された構造単位と、コポリマーの質量に対して40〜59質量%の(メタ)アクリル酸から誘導された構造単位ら構成され、それによってコポリマー上のカルボキシル官能基を完全または部分的に中和されていてよい。
【0040】
以下の(メタ)アクリルコポリマーの例は、制御層(b)の成分ii)として適切である。
【0041】
EUDRAGIT(登録商標) Lは、メチルメタクリレート50質量%とメタクリル酸50質量%とのコポリマーである。腸液または擬似腸液中で、特定の有効成分の放出が開始するpHは、pH6.0と明示できる。
【0042】
EUDRAGIT(登録商標) L 100−55は、エチルアクリレート50質量%とメタクリル酸50質量%とのコポリマーである。EUDRAGIT(登録商標) L 30 D−55は、EUDRAGIT(登録商標) L 100−55を30質量%含む分散液である。腸液または擬似腸液中で、特定の有効成分の放出が開始するpHは、pH5.5と明示できる。
【0043】
同様に、メタクリル酸20〜40質量%とメチルメタクリレート80〜60質量%から構成されるアニオン性(メタ)アクリレートコポリマー(EUDRAGIT(登録商標) S型)も適している。腸液または擬似腸液中で、特定の有効成分の放出が開始するpHは、pH7.0と明示できる。
【0044】
適切な(メタ)アクリレートコポリマーは、メチルメタクリレート10〜30質量%と、メチルアクリレート50〜70質量%と、メタクリル酸5〜15質量%とを含有するものである(EUDRAGIT(登録商標) FS型)。腸液または擬似腸液中で、特定の有効成分の放出が開始するpHは、pH7.0と明示できる。
【0045】
EUDRAGIT(登録商標) FSは、メチルメタクリレート25質量%と、メチルアクリレート65質量%と、メタクリル酸10質量%とのコポリマーである。EUDRAGIT(登録商標) FS 30 Dは、EUDRAGIT(登録商標) FSを30質量%含む分散液である。
【0046】
また、
20〜34質量%のメタクリル酸および/またはアクリル酸と、
20〜69質量%のメチルアクリレートと、
0〜40質量%のエチルアクリレートと、および/または適切な場合には、
0〜10質量%のビニル共重合が可能なさらなるモノマーと、
から構成されるコポリマーは、ISO 11357−2の下位条項3.3.3によるコポリマーのガラス転移温度が60℃以下であるという条件で適している。この(メタ)アクリレートコポリマーは、良好な破断点伸び特性を有するため、ペレットを圧縮して錠剤にするのに特に適している。
【0047】
また、
20〜33質量%のメタクリル酸および/またはアクリル酸と、
5〜30質量%のメチルアクリレートと、
20〜40質量%のエチルアクリレートと、
10質量%を上回り30質量%までのブチルメタクリレートと、適切な場合には、
0〜10質量%のビニル共重合が可能なさらなるモノマーと、
から構成され、モノマーの比率の合計が100質量%になるコポリマーは、ISO 11357−2の下位条項3.3.3によるコポリマーのガラス転移温度(融点Tmg)が55〜70℃であるという条件で適している。この種のコポリマーは、良好な機械的特性を有するため、ペレットを圧縮して錠剤にするのに特に適している。
【0048】
上述のコポリマーは、具体的には、
20〜33質量%、好ましくは25〜32質量%、特に好ましくは28〜31質量%のメタクリル酸またはアクリル酸、好ましくはメタクリル酸と、
5〜30質量%、好ましくは10〜28質量%、特に好ましくは15〜25質量%のメチルアクリレートと、
20〜40質量%、好ましくは25〜35質量%、特に好ましくは18〜22質量%のエチルアクリレートと、
10質量%を上回り30質量%まで、好ましくは15〜25質量%、特に好ましくは18〜22質量%のブチルメタクリレートと、
のラジカル重合した単位から構成され、このモノマー組成は、コポリマーのガラス転移温度が55〜70°C、好ましくは59〜66°C、特に好ましくは60〜65°Cとなるように選定される。
【0049】
これに関連して、ガラス転移温度とは、具体的には、ISO 11357−2の下位条項3.3.3による融点(Tmg)を意味する。測定は、可塑剤と添加せず、残留モノマー含有量(REMO)100ppm未満、加熱速度10℃/分、窒素雰囲気下で実施する。
【0050】
アニオン性(メタ)アクリレートコポリマーは、自体公知の方法で、モノマーのラジカル重合によって製造することができる(例えば、欧州特許公開公報第0704207号、および欧州特許公開公報0704208号参照)。本発明によるコポリマーは、自体公知の方法で、好ましくはアニオン性乳化剤の存在下、水相中でのラジカルエマルジョン重合によって製造することができる(例えば、ドイツ特許第2135073号に記載の方法によって)。
【0051】
コポリマーは、従来のラジカル重合方法によって、連続的または非連続的(バッチ式)に、ラジカル形成性開始剤の存在下、また適切な場合には分子量を調節するための調整剤の存在下、未希釈で、溶液中で、ビーズ重合によって、またはエマルジョン中で製造することができる。平均分子量Mw(質量平均、例えば溶液粘度を測定することによって判断する)は、例えば80,000〜1,000,000(g/mol)の範囲であってよい。水溶性開始剤および(好ましくはアニオン性)乳化剤を用いた、水相中でのエマルジョン重合が好適である。
【0052】
バルク重合の場合、コポリマーは、破砕、押し出し、造粒、またはホットカットによって、固形の状態で得ることができる。
【0053】
(メタ)アクリレートコポリマーは、自体公知の方法で、ラジカルバルク重合、溶液重合、ビーズ重合、またはエマルジョン重合によって得られる。これらは、加工前に、適切な粉砕、乾燥、または噴霧プロセスによって、本発明の粒子サイズ範囲にしなければならない。これは、押し出して冷却したペレットを単に破砕するか、あるいはホットカットにより行うことができる。
【0054】
粉末の使用は、特に他の粉末または液体との混合物の場合に有利なとなりうる。粉末を製造するのに適した装置は当業者に周知であり、これには例えば、エアジェットミル、ピンディスクミル、コンパートメントミルがある。適切な場合には、適当な篩過工程を含むことも可能である。産業用の大規模な量に適したミルは、例えばゲージ圧約6バールで作動される対向流ジェットミル(Multi No.4200)である。
【0055】
本発明のアニオン性(メタ)アクリルコポリマーの少なくとも部分的な中和に適した塩基は、欧州特許公開公報第0088951号または国際公開第2004/096185号において明確に記載されているもの、またはそれらの誘導体である。以下の塩基:水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液(KOH)、水酸化アンモニウム、または有機塩基、例えばトリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、もしくはアンモニア、あるいは生理的に許容されるアミン、例えばトリエタノールアミン、もしくはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンは、特に適している。
【0056】
さらなる適切なカチオン性有機塩基は、塩基性アミノ酸のヒスチジン、アルギニン、および/またはリジンである。
【0057】
外側制御層c)
外側制御層c)は、アニオン性基またはアニオン性基に変換することができる基を担持する複数のポリマーまたはコポリマーのうちの1つまたはこれらの混合物を含む。
【0058】
一般に、全ての具体例を含む、内側制御層b)の成分ii)に関して上記に記載したものと同じアニオン性基またはアニオン性基に変換することができる基を担持するポリマーまたはコポリマーは、外側制御層c)にも同様に適している。
【0059】
外側制御層c)特に適しているものは、コポリマーの質量に対して60〜95質量%、好ましくは85〜95質量%のメチルメタクリレートもしくはエチルアクリレートから誘導された構造単位と、コポリマーの質量に対して5〜40質量%、好ましくは5〜15質量%のアクリル酸もしくはメタクリル酸から誘導された構造単位とから構成されるコポリマーである。コポリマーは、少なくとも部分的に中和されていてもよい。特に好適なものは、EUDRAGIT(登録商標) FS型のコポリマー、特にEUDRAGIT(登録商標) FSである。
【0060】
さらなる薬学的に有用な賦形剤
コアおよび/またはコーティングは、さらなる薬学的に有用な賦形剤を含んでもよい。さらなる添加剤は、具体的には加工助剤として、信頼でき、かつ再現可能な製造プロセスと、良好な長期保存安定性とを確保することを目的としている。これらはコーティングの透過性に影響を与えることができ、適切な場合には、付加的な制御パラメータとして用いることができる。上記に述べたように、医薬活性成分に加えてコア中に含まれうる医薬賦形剤は、例えば、結合剤、例えばセルロースおよびその誘導体、ポリビニルピロリドン(PVP)、ゼラチン、(メタ)アクリレート、デンプンおよびその誘導体、または糖類であってよい。
【0061】
−可塑剤:
可塑剤は、具体的にはコーティング中またはコーティングの(メタ)アクリルコポリマー中に含まれてもよい。可塑剤として適した物質は、通常は、分子量100〜20,000を有し、分子中に、例えばヒドロキシル基、エステル基、またはアンモニウム基などの親水性基を1つまたは複数含む。これらはしばしば、室温で液体であるエステル類、例えばクエン酸エステル、フタル酸エステル、セバシン酸エステル、またはヒマシ油である。適切な可塑剤の例には、クエン酸アルキル、例えばクエン酸トリエチル、グリセロールエステル、フタル酸アルキル、セバシン酸アルキル、ショ糖エステル、ソルビタンエステル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、および分子量4,000〜20,000のポリエチレングリコールがある。好適な可塑剤は、クエン酸トリエチルおよびクエン酸アセチルトリエチルである。可塑剤は、コーティングのポリマーに対して、例えば5〜25質量%の量で含まれていてよい。
【0062】
−粘着防止剤:
通常は親油性を有するこれらの物質は、噴霧懸濁液に添加して、フィルムコーティング中にコアの凝集を防ぐことができる。例えば、タルク、シリカ、カオリン、ステアリン酸マグネシウム、またはステアリン酸カルシウム、あるいはHLB3〜8の非イオン性乳化剤、例えばモノステアリン酸グリセロールを使用することが可能である。使用する通常量は、コアの質量に対して0.5〜100質量%である。あるいは、粘着防止剤をコーティング中に、好ましくはコーティング中のポリマーの総質量に対して0.5〜100質量%の量で使用することもできる。
【0063】
−さらなる賦形剤:
自体公知の方法で添加することができるさらなる薬学的に有用な賦形剤は、例えば、薬学的に許容される安定剤、着色剤、抗酸化剤、湿潤剤、細孔形成剤、顔料、光沢剤などである。
【0064】
医薬活性成分
本発明の多層医薬剤形は、原則としていかなる医薬活性成分にも適している。使用する薬用物質は、例えばRote ListeまたはMerck Indexなどの参考資料に記載されている。
【0065】
本発明の目的で使用する活性成分または薬用物質は、
1.疾患、健康状態、身体的障害、または病的症状を治癒、緩和、予防、または診断するため、
2.健康状態、身体の状況もしくは機能、または精神状態を明らかにするため、
3.ヒトまたは動物の身体により生成された活性物質または体液を置換するため、
4.病原体、寄生体、または外因性物質を撃退、排除、または無害化するため、あるいは
5.身体の状態、状況、もしくは機能、または精神状態に影響を与えるために、
ヒトまたは動物の身体上または体内に使用することを目的としている。
【0066】
これらの医薬活性物質は、1つ以上の有効成分群に属していてよく、これらの群には例えば、ACE阻害薬、アドレナリン作動薬、副腎皮質ステロイド、座瘡治療薬、アルドース還元酵素阻害薬、アルドステロン拮抗薬、α−グルコシダーゼ阻害薬、α1拮抗薬、アルコール依存症治療薬、アミノ酸、抗アメーバ薬、同化薬、興奮薬、麻酔補助薬、麻酔薬(非吸入用)、麻酔薬(局所)、鎮痛薬、アンドロゲン、アンギナ治療薬、拮抗薬、抗アレルギー薬、PDE阻害薬などの抗アレルギー薬、喘息治療用の抗アレルギー薬、さらなる抗アレルギー薬(例えば、ロイコトリエン拮抗薬)、抗貧血薬、抗アンドロゲン薬、抗不安薬、抗関節炎薬、抗不整脈薬、抗アテローム硬化症薬、抗生物質、抗コリン薬、抗痙攣薬、抗うつ薬、抗糖尿病薬、止痢薬、抗利尿薬、解毒薬、制吐薬、抗てんかん薬、抗線溶薬、抗てんかん薬、駆虫薬、抗ヒスタミン薬、抗低血圧薬、抗高血圧薬、抗高血圧薬、抗低血圧薬、抗凝固薬、抗真菌薬、抗エストロゲン薬、抗エストロゲン薬(非ステロイド系)、抗パーキンソン病薬、抗炎症薬、抗増殖有効成分、抗原虫有効成分、抗リウマチ薬、住血吸虫駆除薬、鎮痙薬、抗血栓薬、鎮咳薬、食欲抑制薬、動脈硬化症治療薬、静菌薬、β遮断薬、β受容体遮断薬、気管支拡張薬、炭酸脱水酵素阻害薬、化学療法薬、利胆薬、コリン作用薬、コリン作動薬、コリンエステラーゼ阻害薬、潰瘍性大腸炎治療薬、シクロオキシゲナーゼ阻害薬、利尿薬、外部寄生生物撲滅薬、催吐薬、酵素、酵素阻害薬、酵素阻害薬、嘔吐を阻止するための有効成分、線溶薬、静真菌薬、痛風治療剤、緑内障治療薬、グルココルチコイド、グルココルチコステロイド、止血薬、強心配糖体、ヒスタミンH2拮抗薬、ホルモンおよびそれらの阻害薬、免疫治療薬、強心薬、抗コクシジウム薬、緩下薬、脂質低下薬、胃腸治療薬、マラリア治療薬、片頭痛治療薬、防菌剤、クローン病、転移阻害薬、片頭痛治療薬、無機質製剤、運動性向上有効成分、筋弛緩薬、神経遮断薬、エストロゲン、骨粗しょう症、耳鼻科の治療のための有効成分、抗パーキンソン病薬、植物医薬、プロトンポンプ阻害薬、プロスタグランジン、良性前立腺肥大症の治療のための有効成分、掻痒症の治療のための有効成分、乾癬治療有効成分、向精神薬、フリーラジカル捕捉剤、レニン拮抗薬、甲状腺治療薬、脂漏症の治療のための有効成分、船酔いを阻止するための有効成分、鎮痙薬、α−およびβ−交感神経作動薬、血小板凝集阻害薬、精神安定薬、潰瘍治療薬、さらなる潰瘍治療薬、尿石症治療薬、ウイルス抑制剤、ビタミン、サイトカイン、細胞分裂阻害薬との併用療法のための有効成分、細胞分裂阻害薬がある。
【0067】
適切な有効成分には、アカルボース、アセチルサリチル酸、アバカビル、アセクロフェナク、アクラルビシン、アシクロビル、アクチノマイシン、アダリムマブ、アデフォビル、アデホビルジピボキシル、アデノシルメチオニン、アドレナリンおよびアドレナリン誘導体、アガルシダーゼアルファ、アガルシダーゼベータ、アレムツズマブ、アルモトリプタン、アルファセプト、アロプリノール、アルモトリプタン、アロセトロン、アルプロスタジル、アマンタジン、アンブロキソール、アミスルプリド、アムロジピン、アモキシシリン、5−アミノサリチル酸、アミトリプチリン、アムロジピン、アモキシシリン、アンプレナビル、アナキンラ、アナストロゾール、アンドロゲンおよびアンドロゲン誘導体、アポモルフィン、アリピプラゾール、三酸化ヒ素、アーテメータ、アテノロール、アトルバスタチン、アトシバン、アザチオプリン、アゼライン酸、バルビツール酸誘導体、バルサラジド、バシリキシマブ、ベクラペルミン、ベクロメタゾン、ベミパリン、ベンゾジアゼピン、ベタヒスチン、ベキサロテン、ベザフィブラート、ビカルタミド、ビマトプロスト、ボセンタン、ボツリヌス毒素、ブリモニジン、ブリンゾラミド、ブデソニド、ブジピン、ブフェキサマク、ブメタニド、ブプレノルフィン、ブプロピオン、ブチジン、カルシトニン、カルシウム拮抗剤、カルシウム塩、カンデサルタン、カペシタビン、カプトプリル、カルバマゼピン、ダリフェナシン、カルベジロール、カスポファンギン、セファクロール、セファドロキシル、セファレキシン、セファロスポリン、セフジトレン、セフプロジル、セレコキシブ、カペシタビン、セリバスタチン、セチリジン、セトロレリックス、セツキシマブ、ケノデオキシコール酸、絨毛性ゴナドトロピン、シクロスポリン、シドフォビル、シメチジン、シプロフロキサシン、シスプラチン、クラドリビン、クラリスロマイシン、クラブラン酸、クリンダマイシン、クロブチノール、クロニジン、クロピドグレル、コデイン、カフェイン、コレスチラミン、クロモグリク酸、コトリモキサゾール、クマリンおよびクマリン誘導体、ダルベポエチン、システアミン、システイン、シタラビン、シクロホスファミド、シプロテロン、シタラビン、ダクリズマブ、ダルホプリスチン、ダナパロイド、ダピプラゾール、ダルベポエチン、デフェリプロン、デシプラミン、デシルジン、デスロラタジン、デスモプレシン、デソゲストレル、デソニド、デキシブプロフェン、デクスケトプロフェン、ジソプロキシル、ジアゼパムおよびジアゼパム誘導体、ジヒドララジン、ジルチアゼム、ジメンヒドリナート、ジメチルスルホキシド、ジメチコン、ジピボキシル、ジピリダルノイ、ドラセトロン、ドンペリドンおよびドンペリドン誘導体、ドネペジル、ドーパミン、ドキサゾシン、ドキソルビジン、ドキシラミン、ジクロフェナク、ジバルプロエクス、ドロナビノール、ドロスピレノン、ドロトレコギンアルファ、デュタステリド、エバスチン、エコナゾール、エファビレンツ、エレトリプタン、エメダスチン、エムトリシタビン、エナラプリル、Encepur、エンタカポン、エンフビルチド、エフェドリン、エピネフリン、エプレレノン、エポエチンおよびエポエチン誘導体、エプロサルタン、エプチフィバチド、エルタペネム、エソメプラゾール、エストロゲンおよびエストロゲン誘導体、エタネルセプト、エテンザミド、エチンエストラジオール、エトフェナメート、エトフィブラート、エトフィリン、エトノゲストレル、エトポシド、エキセメスタン、エゼチミブ、ファムシクロビル、ファモチジン、ファロペネムダロキサート、フェロジピン、フェノフィブラート、フェンタニル、フェンチコナゾール、フェキソフェナジン、フィナステリド、フルコナゾール、フルダラビン、フルナリジン、フルオロウラシル、フルオキセチン、フルルビプロフェン、フルピルチン、フルタミド、フルバスタチン、フォリトロピン、ホミビルセン、フォンダパリヌクス、ホルモテロール、ホスホマイシン、フロバトリプタン、フロセミド、フシジン酸、ガドベネート、ガランタミン、ガロパミル、ガンシクロビル、ガニレリクス、ガチフロキサシン、ゲフィチニブ、ゲムフィブロジル、ゲンタマイシン、ゲピロン、プロゲストーゲンおよびプロゲストーゲン誘導体、イチョウ、グラチラマー、グリベンクラミド、グリピジド、グルカゴン、グルシトールおよびグルシトール誘導体、グルコサミンおよびグルコサミン誘導体、グリコシド系抗生物質、グルタチオン、グリセロールおよびグリセロール誘導体、視床下部ホルモン、ゴセレリン、グレパフロキサシン、ジャイレース阻害薬、グアネチジン、ジャイレース阻害薬、ヘミン、ハロファントリン、ハロペリドール、経口抗糖尿病薬としての尿素誘導体、ヘパリンおよびヘパリン誘導体、強心配糖体、ヒアルロン酸、ヒドララジン、ヒドロクロロチアジドおよびヒドロクロロチアジド誘導体、ヒドロキシオメプラゾール、ヒドロキシジン、イブリツモマブ、イブプロフェン、イダルビシン、インフリキシマブ、イホスファミド、イロプロスト、イマチニブ、イミダプリル、イミグルセラーゼ、イミプラミン、イミキモド、イミダプリル、インドメタシン、インドラミン、インフリキシマブ、インスリン、インスリングラルギン、インターフェロン、イルベサルタン、イリノテカン、イソコナゾール、イソプレナリン、イトラコナゾール、イバブラジン、ヨウ素およびヨウ素誘導体、セイヨウオトギリソウ、カリウム塩、ケトコナゾール、ケトプロフェン、ケトチフェン、ラシジピン、ランソプラゾール、ラロニダーゼ、ラタノプロスト、レフルノミド、レピルジン、レルカニジピン、レテプリニム、レトロゾール、レバセチルメタドール、レベチラセタム、レボセチリジン、レボドパ、レボドロプロピジン、レボメタドン、リコフェロン、リネゾリド、リピナビル、リポ酸およびリポ酸誘導体、リシノプリル、リスリド、ロフェプラミン、ロドキサミド、ロメフロキサシン、ロムスチン、ロペラミド、
ロピナビル、ロラタジン、ロルノキシカム、ロサルタン、ルメファントリン、ルトロピン、マグネシウム塩、マクロライド系抗生物質、マンガホジピール、マプロチリン、メベンダゾール、メベベリン、メクロジン、メフェナム酸、メフロキン、メロキシカム、メマンチン、メピンドロール、メプロバメート、メロペネム、メサラジン、メスクシミド、メタミゾール、メトホルミン、メサドン、メトトレキサート、メチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート、メチルナロキソン、メチルナロキソン、メチルナルトレキソン、メチルフェニデート、メチルプレドニゾロン、メチキセン、メトクロプラミド、メトプロロール、メトロニダゾール、ミアンセリン、ミベフラジル、ミコナゾール、ミフェプリストン、ミグリトール、ミグルスタット、ミノサイクリン、ミノキシジル、ミソプロストール、マイトマイシン、ミゾラスチン、モダフィニル、モエキシプリル、モンテルカスト、モロクトコグ、モルフィナン、モルヒネおよびモルヒネ誘導体、モキシフロキサシン、麦角アルカロイド、ナルブフィン、ナロキソン、ナプロキセン、ナラトリプタン、ナルコチン、ナタマイシン、ナテグリニド、ネビボロール、ネファゾドン、ネルフィナビル、ネオスチグミン、ネラメキサン、ネビラピン、ニセルゴリン、ニケタミド、ニフェジピン、ニフルミン酸、ニモジピン、ニモラゾール、ニムスチン、ネシリチド、ニソルジピン、ノルフロキサシン、ノバミンスルホン、ノスカピン、ニスタチン、オフロキサシン、オクトトライド、オランザピン、オルメサルタン、オルサラジン、オセルタミビル、オメプラゾール、オモコナゾール、オンダンセトロン、オルリスタット、オセルタミビル、オキサセプロール、オキサシリン、オキサリプラチン、オキサプロジン、オキシカルバゼピン、オキシコドン、オキシコナゾール、オキシメタゾリン、パリビズマブ、パロノセトロン、パントプラゾール、パラセタモール、パレコキシブ、パロキセチン、ペガスパルガーゼ、ペグインターフェロン、ペグフィルグラスチム、ペンシクロビル、経口ペニシリン、ペンタゾシン、ペンチフィリン、ペントキシフィリン、ペプチド抗生物質、ペリンドプリル、ペルフェナジン、ペチジン、植物抽出物、フェナゾン、フェニラミン、フェニル酪酸、フェニトイン、フェノチアジン、フェンセリン、フェニルブタゾン、フェニトイン、ピメクロリムス、ピモジド、ピンドロール、ピオグリタゾン、ピペラジン、ピラセタム、ピレンゼピン、ピリベジル、ピルリンドール、ピロキシカム、プラミペキソール、プラムリンチド、プラバスタチン、プラゾシン、プロカイン、プロマジン、プロピベリン、プロプラノロール、プロピオン酸誘導体、プロピフェナゾン、プロスタグランジン、プロチオナミド、プロキシフィリン、クエチアピン、キナプリル、キナプリラート、キヌプリスチン、ラミプリル、ラニチジン、ラベプラゾール、ラロキシフェン、ラノラジン、ラスブリカーゼ、レボキセチン、レパグリニド、レプロテロール、レセルピン、レボフロキサシン、リバビリン、リファンピシン、リルゾール、リメキソロン、リセドロネート、リスペリドン、リトナビル、リツキシマブ、リバスチメン、リザトリプタン、ロフェコキシブ、ロピニロール、ロピバカイン、ロシグリタゾン、ロキサチジン、ロキシスロマイシン、ルスコゲニン、ロスバスタチン、ルトシドおよびルトシド誘導体、サバディラ、サルブタモール、サリチル酸塩、サルメテロール、サペルコナゾール、甲状腺ホルモン、スコポラミン、セレギリン、セルタコナゾール、セルチンドール、セルトラリン、セベラマー、シブトラミン、シルデナフィル、ケイ酸塩、シンバスタチン、シロリムス、シトステロール、ソタロール、スパグルム酸、スパルフロキサシン、スペクチノマイシン、スピラマイシン、スピラプリル、スピロノラクトン、スタブジン、ストレプトマイシン、スクラルファート、スフェンタニル、スルバクタム、スルホンアミド、スルファサラジン、スルピリド、スルタミシリン、スルチアム、スマトリプタン、塩化スキサメトニウム、タクリン、タクロリムス、タダラフィル、タリオロール、タルサクリジン、タモキシフェン、タソネルミン、タザロテン、テガフール、テガセロッド、テリスロマイシン、テルミサルタン、テモポルフィン、テモゾロミド、テナトプラゾール、テネクテプラーゼ、テニポシド、テノフォビル、テノキシカム、テリパラチド、テラゾシン、テルビナフィン、テルブタリン、テルフェナジン、テリパラチド、テルリプレシン、テルタトロール、テストステロンおよびテストステロン誘導体、テトラサイクリン、テトリゾリン、テゾセンタン、テオブロミン、テオフィリン、テオフィリン誘導体、チアマゾール、チオテパ、thr.成長因子、チアガビン、チアプリド、チボロン、チクロピジン、チリジン、チモロール、チニダゾール、チオコナゾール、チオグアニン、チオトロピウム、チオキソロン、チラゼタム、チロプラミド、チロフィバン、チザニジン、トラゾリン、トルブタミド、トルカポン、トルナフテート、トルペリゾン、トルテロジン、トピラマート、トポテカン、トラセミド、トラマドール、トラマゾリン、トランドラプリル、トラニルシプロミン、トラピジル、トラスツズマブ、トラボプロスト、トラゾドン、トレプロスチニル、トリアムシノロンおよびトリアムシノロン誘導体、トリアムテレン、トリフルペリドール、トリフルリジン、トリメタジジン、トリメトプリム、トリミプラミン、トリペレナミン、トリプロリジン、トリフォスファミド、トロマンタジン、トロメタモール、トロパルピン、トロバフロキサシン、トロキセルチン、ツロブテロール、トリプシン、チラミン、チロトリシン、ウラピジル、ウルソデオキシコール酸、テオフィリンウルソデオキシコール酸、バラシクロビル、バルデコキシブ、バルガンシクロビル、バルプロ酸、バルサルタン、バンコマイシン、バルデナフィル、塩化ベクロニウム、ベンラファクシン、ベラパミル、ベルテポルフィン、ビダラビン、ビガバトリン、ビロキサジン、ビンブラスチン、ビンカミン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ビンポセチン、ビキジル、ビタミンDおよびビタミンD誘導体、ボリコナゾール、ワルファリン、ニコチン酸キサンチノール、キシメラガトラン、キシパミド、ザフィルルカスト、ザルシタビン、ザレプロン、ザナミビル、ジドブジン、ジプラシドン、ゾレドロン酸、ゾルミトリプタン、ゾルピデム、ゾプリコン、ゾテピンなどがある。
【0068】
活性成分は、所望であれば薬学的に許容される塩または誘導体の形態で使用してもよく、キラル性の有効成分の場合には、光学活性異性体とジアステレオマーのラセミ化合物もしくは混合物とを両方使用することが可能である。所望であれば、本発明の組成物は、2つ以上の医薬有効成分を含んでもよい。
【0069】
ニュートラシューティカル
ニュートラシューティカルは、ヒトの健康に対して医療効果があると言われている食品の抽出物と定義することができる。ニュートラシューティカルは、通常は、カプセル、錠剤、または粉剤などの医薬剤形に処方量で含まれる。ニュートラシューティカルの例には、ブドウ製品由来の抗酸化剤としてのレスベラトロル、高コレステロール血症を軽減するための水溶性食物繊維製品、例えばオオバコ種子殻、癌予防剤としてのブロッコリー(スルファン)、および動脈の健康を改善するための大豆またはクローバー(イソフラボノイド)がある。その他のニュートラシューティカルの例には、フラボノイド、抗酸化剤、亜麻仁由来のα−リノール酸、マリーゴールドの花弁由来のβ−カロテン、またはベリー類由来のアントシアニンがある。neutraceuticalという表現が、nutraceutical(ニュートラシューティカル)の同義語として用いられることもある。
【0070】
制御層b)およびc)の塗布:
塗布プロセスは、有機溶液または水性分散液からの噴霧塗布、あるいは溶融もしくは直接粉末塗布から選択することができる。この場合、均一で細孔のないコーティングを製造することが実施に不可欠である。有機溶液と比較して、水性分散液の塗布は、特に厳格なVOC要件を満足しなければならない国では好適であるが、有機溶液を用いたコーティング塗布を適用することも可能である。
【0071】
適切な塗布プロセスは、例えば、Bauer, K.H., Lehmann, K., Osterwald, H. P..Rothgang, G. "Coated Pharmaceutical Dosage Forms", 1998, Wissenschaftliche Verlagsgesellschaft mbH, Stuttgart and CRC Press LLC, Boca Raton, Florida, USA、またはMcGinity, J. W., "Aqueous Polymeric Coatings for Pharmaceutical Dosage Forms, Second Edition, Revised and Expanded", 1997, Marcel Dekker Inc., New York, USAに記載されている。
【0072】
塗布についての関連する特性、要求される試験、および仕様は、薬局方に記載されている。
【0073】
詳細は、例えば下記の常用の教本に記載されている。
−Voigt, R. (1984), Lehrbuch der pharmazeutischen Technologie; Verlag Chemie Weinheim − Beerfield Beach/Florida − Basle
−Sucker, H., Fuchs, P., Speiser, P.: Pharmazeutische Technologie, Georg Thieme Verlag Stuttgart (1991)、特に第15章および第16章(626〜642ページ)
−Gennaro, A., R. (Editor), Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton Pennsylvania (1985)、第88章(1567〜1573ページ)
−List, P. H. (1982): Arzneiformenlehre, Wissenschaftliche Verlagsgesellschaft mbH, Stuttgart
【0074】
制御層の量および相関
制御層(b)は、好ましくは、制御層(b)の総質量が、コア(a)の総質量に対して2.5〜100質量%、好ましくは10〜70質量%、特に好ましくは15〜40質量%となるような量でコアに塗布する。
【0075】
外側コーティング(c)は、好ましくは、外層(c)の総質量が、コア(a)と内側コーティング(b)との総質量に対して5〜100質量%、好ましくは10〜80質量%、特に好ましくは15〜50となるような量で制御層(b)に塗布する。例えば、内側コーティング層(b)の厚さは、約10〜50μmであってよい。外側コーティング層(c)は、20〜100μmの厚さを有してもよい。通常は、外層(c)は内側コーティング層(b)よりも厚い。
【0076】
トップコート
本発明の医薬製剤もしくはニュートラシューティカル製剤は、場合によっては、いかなる放出制御機能も有さないトップコートを含んでもよい。好ましくは、トップコートは、顔料または潤滑剤の担体として機能する水溶性層である。適切なトップコート材料は、多糖類から選択することができる。
【0077】
投与形態
原則として、本発明による医薬製剤もしくはニュートラシューティカル製剤は、経口投与によって直接使用することが可能である。しかしながら、好ましくは、医薬剤形を製造するための既知の方法で、さらなる加工工程が続く。製剤は、例えば、薬学的に有用な賦形剤を用いて、自体公知の方法で、多粒子医薬剤形、特にペレットを含有する錠剤、小型錠剤、カプセル、サシェ、または再構成可能な粉剤に加工することができる着色された形態で存在してもよい。
【0078】
本発明による製剤は、好ましくはペレットの形態で圧縮して、例えば錠剤を得ることができる。あるいは製剤は、例えば、ペレットまたは小型錠剤の形態で、ゼラチンカプセルまたはHPMC(メチロース)カプセルに入れて、それによって包むこともできる。
【実施例】
【0079】
コポリマー
実施例では、以下のコポリマーを使用した。
【0080】
コポリマー1:
65質量%のメチルメタクリレートと、30質量%のエチルアクリレートと、5質量%の2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリドとからなるコポリマー1(EUDRAGIT(登録商標) RS)。コポリマーを30%の水性分散液(EUDRAGIT(登録商標) RS 30D)から塗布する。
【0081】
コポリマー2:
60質量%のメチルメタクリレートと、30質量%のエチルアクリレートと、10質量%の2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリドとからなるコポリマー2(EUDRAGIT(登録商標) RL)。コポリマーを30%の水性分散液(EUDRAGIT(登録商標) RL 30D)から塗布する。
【0082】
コポリマー3:
50質量%のメチルメタクリレートと、50質量%のメタクリル酸とからなるコポリマー3(EUDRAGIT(登録商標) L)を中和せずに使用。コポリマーを水に懸濁した固体ポリマー(EUDRAGIT(登録商標) L 100)から塗布する。
【0083】
コポリマー4:
25質量%のメチルメタクリレートと、65質量%のメチルアクリレートと、10質量%のメタクリル酸とからなるコポリマー4(EUDRAGIT(登録商標) FS)を中和せずに使用。コポリマーを30%の水性分散液(EUDRAGIT(登録商標) FS 30D)から塗布する。
【0084】
方法
モデル薬物
試験は、モデル薬物としてメサラミン(5−ASA)を用いて実施した。
賦形剤
全ての賦形剤は、医薬品質のものを使用した。
溶解試験
コーティングしたペレットをUSP 28−NF23, General Chapter <711>, Dissolutionに従ってテストした。
溶解パラメータ:
装置:USP Type−1(バスケット)
RPM:100/分
温度:37.5±0.5℃
溶解量:900ml
取り出し量:5mlをピペットを用いて手動で取り出し、媒体の補充はしない。
取り出し量間隔:開始時、1.0時間、2.0時間、3.0時間、4.0時間、5.0時間、6.0時間、7.0時間、8.0時間、10.0時間、11.0時間、および12.0時間。
検出法:HPLC
溶解媒体1:
0.1モル塩酸(HCl)、(ヨーロッパ薬局方=EP)
溶解媒体2:
リン酸緩衝液、pH7.5(ヨーロッパ薬局方=EP)
処方詳細
流動層処理装置内で、355〜500ミクロンのコア(糖球体など)にメサラミンを下部噴霧を用いて付与した。ポリビニルピロリドンを結合剤として使用した。
【0085】
コーティング懸濁液の調製:
適切な容器内で穏やかに攪拌しながら、EUDRAGIT(登録商標)分散液を混合する。高せん断力を与えて、潤滑剤とさまざまなポリマーを水中に溶解または分散させる。
【0086】
穏やかに攪拌しながら、この潤滑剤の懸濁液をEUDRAGIT(登録商標)分散液に注入する。コーティングプロセス全体を通して、攪拌を継続する。
【0087】
コーティングプロセス:
適当な条件下(噴霧速度:コア1kg当たりのコーティング懸濁液およそ20g/分、流動層温度:およそ25〜28℃)の流動層装置内で、薬物積層ペレットをさまざまなコーティング懸濁液でコーティングした。コーティング後、流動層処理装置内で、ペレットを50℃で1時間流動化させた。
【0088】
第1表には、乾燥重量質量に基づく質量%で組成を示す。
【0089】
【表1】

【0090】
最初の2時間は0.1モルHCl中で、その後残り時間はリン酸緩衝生理食塩水(pH7.5)中での薬物放出について、実施例1〜3による医薬剤形を分析した。
【0091】
結果を第2表にまとめる。
【0092】
【表2】

【0093】
第2表からわかるように、実施例1〜3の医薬製剤は、酸性環境の最初の2時間内に、医薬活性成分の極めて限られた放出しか示さなかった。本発明による実施例2および3は、8時間以内に、医薬活性成分の90%を上回る(実質的に完全な)放出をもたらす。
【0094】
これとは対照的に、比較例の配合物では、医薬活性成分は12時間後でも完全に放出していなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬製剤もしくはニュートラシューティカル製剤であって、
a)医薬活性物質もしくはニュートラシューティカル活性物質を含有するコアと、
b)前記コアを包囲する内側制御層であって、
i)カチオン性基またはカチオン性基に変換することができる基を担持する複数の(メタ)アクリレートコポリマーのうちの1つまたはこれらの混合物と、
ii)アニオン性基またはアニオン性基に変換することができる基を担持する複数のポリマーまたはコポリマーのうちの1つまたはこれらの混合物と、を含む内側制御層と、
c)アニオン性基またはアニオン性基に変換することができる基を担持する複数のポリマーまたはコポリマーのうちの1つまたはこれらの混合物を含む外側制御層と、
を含む、医薬製剤もしくはニュートラシューティカル製剤。
【請求項2】
前記内側制御層(b)中に、成分i)が50〜92質量%の量で含まれ、成分ii)が8〜50質量%の量で含まれる(質量%は、前記層中に含まれるポリマーの総質量に基づく)、請求項1記載の製剤。
【請求項3】
前記内側制御層(b)中に、成分i)が55〜80質量%の量で含まれ、成分ii)が20〜45質量%の量で含まれる(質量%は、前記層中に含まれるポリマーの総質量に基づく)、請求項2記載の製剤。
【請求項4】
前記内側制御層b)中の成分i)が、前記(メタ)アクリルコポリマーの質量に対して80〜98質量%の(メタ)アクリル酸のC1〜C4アルキルエステルから誘導された構造単位と、前記(メタ)アクリルコポリマーの質量に対して2〜20質量%のアルキル基中に4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレートモノマーから誘導された構造単位とから構成される複数の(メタ)アクリレートコポリマーのうちの1つまたはこれらの混合物を含む、請求項1から3までのいずれか1項に記載の製剤。
【請求項5】
成分i)よるコポリマーが、前記(メタ)アクリルコポリマーの質量に対して93〜98質量%の(メタ)アクリル酸のC1〜C4アルキルエステルから誘導された構造単位と、前記(メタ)アクリルコポリマーの質量に対して2〜7質量%のアルキル基中に4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレートモノマーから誘導された構造単位とから構成される(メタ)アクリレートコポリマーを含む、請求項4記載の製剤。
【請求項6】
成分i)よるコポリマーが、前記(メタ)アクリルコポリマーの質量に対して85質量%以上93質量%未満の(メタ)アクリル酸のC1〜C4アルキルエステルから誘導された構造単位と、前記(メタ)アクリルコポリマーの質量に対して7質量%を上回り15質量%までのアルキル基中に4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレートモノマーから誘導された構造単位とから構成される(メタ)アクリレートコポリマーを含む、請求項4記載の製剤。
【請求項7】
成分i)よるコポリマーが、
前記(メタ)アクリルコポリマーの質量に対して93〜98質量%の(メタ)アクリル酸のC1〜C4アルキルエステルから誘導された構造単位と、前記(メタ)アクリルコポリマーの質量に対して2〜7質量%のアルキル基中に4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレートモノマーから誘導された構造単位とから構成される、混合物の総質量に対して60〜99質量%の(メタ)アクリレートコポリマーと、
前記(メタ)アクリルコポリマーの質量に対して85質量%以上93質量%未満の(メタ)アクリル酸のC1〜C4アルキルエステルから誘導された構造単位と、前記(メタ)アクリルコポリマーの質量に対して7質量%を上回り15質量%までのアルキル基中に4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレートモノマーから誘導された構造単位とから構成される、混合物の総質量に対して1〜40質量%の(メタ)アクリレートコポリマーと、
の混合物を含む、請求項4記載の製剤。
【請求項8】
前記アルキル基中に4級アンモニウム基を含有する構造単位が、トリエチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリドから誘導される、請求項4から7までのいずれか1項に記載の製剤。
【請求項9】
層b)および層c)中の前記アニオン性基またはアニオン性基に変換することができる基を担持するポリマーまたはコポリマーが、カルボキシル官能性(メタ)アクリルポリマーまたはコポリマー、ならびにカルボキシル官能性多糖類およびそれらの少なくとも部分的な中和の生成物から独立して選択される、請求項1から8までのいずれか1項に記載の製剤。
【請求項10】
層b)および層c)中の前記アニオン性基またはアニオン性基に変換することができる基を担持するポリマーまたはコポリマーが、カルボキシル官能性(メタ)アクリルポリマーまたはコポリマー、およびそれらの少なくとも部分的な中和の生成物から独立して選択される、請求項1から9までのいずれか1項に記載の製剤。
【請求項11】
前記カルボキシル官能性(メタ)アクリルコポリマーが、コポリマーの質量に対して5〜85質量%のカルボキシル基を含有する構造単位と、コポリマーの質量に対して95〜15質量%の(メタ)アクリル酸のアルキルエステルから誘導された構造単位とから構成される(メタ)アクリレートコポリマーから選択される、請求項10記載の製剤。
【請求項12】
前記カルボキシル基を含有する構造単位が、アクリル酸もしくはメタクリル酸から誘導される、請求項1から11までのいずれか1項に記載の製剤。
【請求項13】
前記内側制御層b)中の成分ii)によるコポリマーが、コポリマーの質量に対して41〜60質量%のメチルメタクリレートもしくはエチルアクリレートから誘導された構造単位と、コポリマーの質量に対して40〜59質量%のアクリル酸もしくはメタクリル酸およびそれらの少なくとも部分的な中和の生成物から誘導された構造単位とから構成される、請求項1から12までのいずれか1項に記載の製剤。
【請求項14】
前記外側制御層c)のコポリマーが、コポリマーの質量に対して60〜95質量%のメチルメタクリレートもしくはエチルアクリレートから誘導された構造単位と、コポリマーの質量に対して5〜40質量%のアクリル酸もしくはメタクリル酸およびそれらの少なくとも部分的な中和の生成物から誘導された構造単位とから構成される、請求項1から13までのいずれか1項に記載の製剤。
【請求項15】
前記外側制御層c)のコポリマーが、コポリマーの質量に対して85〜95質量%のメチルメタクリレートもしくはエチルアクリレートから誘導された構造単位と、コポリマーの質量に対して5〜15質量%のアクリル酸もしくはメタクリル酸およびそれらの少なくとも部分的な中和の生成物から誘導された構造単位とから構成される、請求項1から14までのいずれか1項に記載の製剤。
【請求項16】
請求項1から15までのいずれか1項に記載の医薬製剤もしくはニュートラシューティカル製剤を含む錠剤。
【請求項17】
請求項1から15までのいずれか1項に記載の医薬製剤もしくはニュートラシューティカル製剤を含むゼラチンカプセルまたはHPMCカプセル。
【請求項18】
a)医薬活性物質もしくはニュートラシューティカル活性物質を含有するコアと、
b)カチオン性基またはカチオン性基に変換することができる基を担持する複数の(メタ)アクリレートコポリマーのうちの1つまたはこれらの混合物を含む、前記コアを包囲する内側制御層と、
c)アニオン性基またはアニオン性基に変換することができる基を担持する複数のポリマーまたはコポリマーのうちの1つまたはこれらの混合物を含む外側制御層と、
を含む医薬製剤もしくはニュートラシューティカル製剤中の内側制御層の製造における、水性液および生理液中で前記医薬活性物質もしくはニュートラシューティカル活性物質の放出速度を向上させる目的での、アニオン性基またはアニオン性基に変換することができる基を担持する複数のポリマーまたはコポリマーのうちの1つまたはこれらの混合物の使用。
【請求項19】
前記内側制御層(b)中に、前記カチオン性基またはカチオン性基に変換することができる基を担持する(メタ)アクリレートコポリマーが、50〜92質量%の量で含まれ、前記アニオン性基またはアニオン性基に変換することができる基を担持するポリマーまたはコポリマーが、8〜50質量%の量で含まれる(質量%は、前記層中に含まれるポリマーの総質量に基づく)、請求項18記載の使用。
【請求項20】
前記内側制御層(b)中に、前記カチオン性基またはカチオン性基に変換することができる基を担持する(メタ)アクリレートコポリマーが、55〜80質量%の量で含まれ、前記アニオン性基またはアニオン性基に変換することができる基を担持するポリマーまたはコポリマーが、20〜45質量%の量で含まれる(質量%は、前記層中に含まれるポリマーの総質量に基づく)、請求項18記載の使用。
【請求項21】
前記アニオン性基および/またはアニオン性基に変換可能な基を含有する構造単位を含有するコポリマーは、請求項9から13までのいずれか1項の記載と同様に定義され、前記カチオン性基またはカチオン性基に変換することができる基を担持するコポリマーは、請求項4から8までのいずれか1項の記載と同様に定義される、請求項18から20までのいずれか1項に記載の使用。

【公表番号】特表2011−509264(P2011−509264A)
【公表日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541717(P2010−541717)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【国際出願番号】PCT/EP2008/051236
【国際公開番号】WO2009/086940
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(390009128)エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (293)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee,D−64293 Darmstadt,Germany
【Fターム(参考)】