説明

結露水処理部材及び結露水処理部材を備えた水洗式便器

【課題】配管から外す際の作業性に優れた結露対策手段を提供する。
【解決手段】結露水処理部材40は、上下方向に配索された配管32に対し外嵌するように取り付けられ、配管32の外周面で発生した結露水を受ける受け部42と、受け部42で受けた結露水を排出する排水部43とを有し、配管32の外周面に当接させた状態で合体される複数の構成体41A,41Bを備えて構成されている。結露水処理部材40を配管32から外す際には、合体している複数の構成体41A,41Bを分離するだけで済むので、作業性に優れている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結露水処理部材及び結露水処理部材を備えた水洗式便器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、上下方向に配索された配管の表面における結露対策として、配管の外周に断熱性を有する材料からなる防露層を設けて、結露を防止する技術が開示されている。
【特許文献1】実開平5−10568号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の結露防止手段では、配管と防露層との間に隙間が空いていると、その隙間に低温の空気が侵入して結露が発生するため、配管の外周面と防露層の内周面は、その全面に亘って確実に密着した状態に保っておく必要がある。配管と防露層を確実に密着させる方法としては、接着剤によって配管と防露層を強固に固着することが好適である。
【0004】
ところが、接着剤によって強固に固着してしまうと、リサイクル等のために防露層を配管から剥がし取る際に、手間と時間がかかり、作業性が良くないという問題がある。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、配管から外す際の作業性に優れた結露対策手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、上下方向に配索された配管に対し外嵌するように取り付けられる結露水処理部材であって、前記配管の外周面で発生した結露水を受ける受け部と、前記受け部で受けた結露水を排出する排水部とを有し、前記配管の外周面に当接させた状態で合体される複数の構成体を備えて構成されているところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記配管は、水洗式便器において便鉢に洗浄水を供給するための洗浄水タンクに接続されたものであり、前記配管に対し、前記便鉢に連通する排水路に前記排水部を対応させるように取り付けられるようになっているところに特徴を有する。
【0008】
請求項3の記載は、請求項1又は請求項2に記載のものにおいて、前記配管に取り付けられた状態では、前記受け部の上面が、前記排水部に向かって下り勾配となるように傾斜するようになっているところに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のものにおいて、前記排水部が、前記受け部の外周縁に連なる樋状をなしており、前記受け部の上面と前記排水部の上面が、面一状に連なっているところに特徴を有する。
【0010】
請求項5の発明は、請求項4に記載のものにおいて、前記配管に取り付けられた状態では、前記受け部の上面と前記排水部の上面が、前記排水部の下流端に向かって下り勾配となるように傾斜するようになっているところに特徴を有する。
【0011】
請求項6の発明は、請求項4又は請求項5に記載のものにおいて、前記構成体には、前記受け部を構成する受け機能部と、前記排水部を構成する排水機能部とが一体に形成されているところに特徴を有する。
【0012】
請求項7の発明は、便鉢と、前記便鉢に洗浄水を供給する洗浄水タンクと、上下方向に配索されて前記洗浄水タンクに接続された配管と、前記便鉢の上面に取り付けられ、上面から前記便鉢内に連通する排水路を有するベースプレートと、前記配管に対し外嵌するように取り付けられる結露水処理部材とを備えた水洗式便器であって、前記結露水処理部材は、前記配管の外周面で発生した結露水を受ける受け部と、前記受け部で受けた結露水を前記排水路へ排出する排水部とを有し、前記配管の外周面に当接させた状態で合体される複数の構成体を備えて構成されているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0013】
<請求項1の発明>
配管の外周面で発生した結露水は、受け部で受け止められ、排水部を通して排出することによって処理される。配管の外周面と受け部との間に多少の隙間が空いていても、配管で発生した結露水は、表面張力によって受け部へ移動することができるので、結露水処理部材と配管を強固に接着する必要はない。したがって、結露水処理部材を配管から外す際には、合体している複数の構成体を分離するだけで済み、作業性に優れている。
【0014】
<請求項2の発明>
本発明の結露水処理部材を用いれば、洗浄水タンクに接続された配管の外周面で発生した結露水を、受け部で受け止め、排水部から排水路を経由して便鉢内に排出することができる。水洗式便器は、便鉢内の汚物を便鉢外へ排出するための汚物排出機能を備えているので、便鉢内に排出された結露水は、この汚物排出機能により便鉢外へ排出処理される。このように、本発明の結露水処理部材は、水洗式便器の便鉢を結露水の排出経路として有効利用することができるので、水洗式便器への適用に好適である。
【0015】
<請求項3の発明>
受け部で受けた結露水は、受け部の傾斜により円滑に排水部へ誘導されるので、排水性能に優れている。
【0016】
<請求項4の発明>
受け部の受け部の上面と排水部の上面が、面一状に連なっているので、受け部から排水部への結露水の移動が円滑となり、排水性能に優れている。
【0017】
<請求項5の発明>
受け部で受けた結露水は、受け部の傾斜と排水部の傾斜により、円滑に排水部の下流端へ誘導されるので、排水性能に優れている。
【0018】
<請求項6の発明>
構成体には、受け部を構成する受け機能部と、排水部を構成する排水機能部とが一体に形成されているので、受け部と排水部との間には、別部材を結合することに起因する継ぎ目は存在しない。したがって、受け部で受けた結露水は、円滑に排水部へ移動することができ、排水性能に優れている。
【0019】
<請求項7の発明>
配管の外周面で発生した結露水は、受け部で受け止められ、排水部から排水路を経由して便鉢内に排出されることによって処理される。配管の外周面と受け部との間に多少の隙間が空いていても、配管で発生した結露水は、表面張力によって受け部へ移動することができるので、結露水処理部材と配管を強固に接着する必要はない。したがって、結露水処理部材を配管から外す際には、合体している複数の構成体を分離するだけで済み、作業性に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図7を参照して説明する。本実施形態の水洗式便器1は、洋風の便器本体10と、便座装置20と、給水装置30と、結露水処理部材40とを備えて構成されている。なお、以下の水洗式便器1の説明における前後左右の方向については、この水洗式便器1に着座した使用者を基準とする。即ち、着座している使用者にとっての前方を、水洗式便器1における前方とし、着座している使用者にとっての右方を、水洗式便器1における右方とする。
【0021】
便器本体10は、上面が開放された便鉢11と、便鉢11の後方に一体に形成された台座部12とを備えて構成されている。台座部12には、その上面に開口されるとともに、便鉢11内に連通する連通空間13が形成されている。この連通空間13は、結露水を排出するための排水路14を構成する。
【0022】
便座装置20は、台座部12に対し載置されるように取り付けられたベースプレート21と、ベースプレート21に対しその上面を覆うように組み付けられたアッパケーシング22Aと、アッパケーシング22Aに揺動可能に取り付けられた便座23及び便蓋24と、台座部12の下方に設けられる機器(図示せず)を覆うロアケーシング22Bとを備えて構成されている。
【0023】
給水装置30は、ベースプレート21に載置されるように取り付けられた洗浄水タンク31と、ベースプレート21を貫通して配索されて上端部32A(下流端)が洗浄水タンク31の上端部に接続された金属製の配管32と、ベースプレート21の下方において配管32の下端部(上流端)に接続された給水ホース33とを備えて構成され、給水ホース33の上流端は、壁面内に配索された図示しない給水管に接続されている。洗浄水は、給水管、給水ホース33及び配管32を順に通って洗浄水タンク31に供給され、便鉢11内に供給されて便鉢11内を洗浄するようになっている。
【0024】
ベースプレート21には、その左前端部を上方へ円筒状に突出した形態の筒状位置決め部25が形成されている。筒状位置決め部25の上端部には、内周側へ同心の円環状に突出した形態の環状支持部26が形成されている。同じくベースプレート21の上面には、周壁によって囲まれて上面が開放された形態の回収部27が形成されている。回収部27は、洗浄水タンク31の左側面の近傍位置であって、左右方向において筒状位置決め部25と洗浄水タンク31との間に位置するように配されている。
【0025】
回収部27の底壁における筒状位置決め部25から遠い右側(洗浄水タンク31に近い側)の端部には、ベースプレート21を上下方向に貫通する形態の排水孔28が形成されている。排水孔28は前後方向に細長く開口している。また、回収部27の底壁は、筒状位置決め部25に近い左端縁から排水孔28に向かって下り勾配となるように傾斜している。回収部27の周壁のうち筒状位置決め部25に近い左側面壁の上端部は、前後方向に長い支持縁部29となっている。この回収部27と排水孔28は、上記した台座部12の連通空間13とともに排水路14を構成する。
【0026】
配管32は、その上端部32Aを除いた大部分が洗浄水タンク31の左方において上下方向に延びるように配索されている。配管32の下端部は、筒状位置決め部25の環状支持部26に貫通され、この環状支持部26によりベースプレート21に対して水平方向への移動を規制された状態に位置決めされている。配管32の上端部32Aは、右方に屈曲されていて、洗浄水タンク31に接続されている。この配管32の屈曲された上端部32Aは、左右方向に延びていて、その真下には、上記回収部27と後述する結露水処理部材40の排水部43とが配置されるようになっている。
【0027】
結露水処理部材40は、合成樹脂からなる第1と第2の2つの構成体41A,41Bを合体することによって構成されている。両構成体41A,41Bは、概ね対称な形状をなしている。第1構成体41Aは、略半円弧形をなす受け機能部42Aと、受け機能部42Aの一方の端部から直線状に片持ち状に延出する排水機能部43Aとを一体に形成したものである。受け機能部42Aには、その下面から同心の半円筒状に突出する半円形部44Aが形成されている。この半円形部44Aと受け機能部42Aは、両構成体41A,41Bを合体したときにおける第2構成体41Bとの対向面を半円形に凹ませた形態となっている。受け機能部42Aの上面と排水機能部43Aの上面は、互いに面一状に連なっている。
【0028】
第1構成体41Aの受け機能部42Aには、その外周に沿った略半円形の外周壁45が上方へ突出する形態で形成されている。また、排水機能部43Aには、合体時に第2構成体41Bと対向する縁部とは反対側の縁部に沿って直線状に延びる側壁46が形成されている。外周壁45と側壁46は、受け機能部42Aと排水機能部43Aとの境界において互いに連なっている。
【0029】
外周壁45には、その側壁46(排水機能部43A)とは反対側の端部から突出する板状突部47Aが形成されている。排水機能部43Aには、その下面から突出した形態であって排水機能部43Aと平行に延びるリブ状突部48Aが形成されている。板状突部47Aとリブ状突部48Aには、合体状態において第2構成体41B側へ突出する形態の係止爪49Aが形成されている。
【0030】
第2構成体41Bも、第1構成体41Aと同じく、略半円弧形をなす受け機能部42Bと、受け機能部42Bの一方の端部から片持ち状に延出する排水機能部43Bとを一体に形成したものである。受け機能部42Bには、その下面から同心の半円筒状に突出する半円形部44Bが形成されている。この半円形部44Bと受け機能部42Bは、両構成体41A,41Bを合体したときにおける第1構成体41Aとの対向面を半円形に凹ませた形態となっている。受け機能部42Bの上面と排水機能部43Bの上面は、互いに面一状に連なっている。
【0031】
第2構成体41Bの受け機能部42Bには、その外周に沿った略半円形の外周壁45が上方へ突出する形態で形成されている。また、排水機能部43Bには、合体時に第1構成体41Aと対向する縁部とは反対側の縁部に沿って直線状に延びる側壁46が形成されている。外周壁45と側壁46は、受け機能部42Bと排水機能部43Bとの境界において互いに連なっている。
【0032】
外周壁45には、その側壁46(排水機能部43B)とは反対側の端部から突出する板状突部47Bが形成されている。排水機能部43Bには、その下面から突出した形態であって排水機能部43Bと平行に延びるリブ状突部48Bが形成されている。板状突部47Bとリブ状突部48Bには、合体状態において第1構成体41Aと対向する面に開口して板状突部47Bを貫通する形態の係止孔49Bが形成されている。
【0033】
第1構成体41Aと第2構成体41Bは、配管32の下端部を前後から挟むようにして合体され、これにより、結露水処理部材40が構成されるとともに、結露水処理部材40が配管32に取り付けられる。合体するときには、半円形部44A,44Bの両端面同士が面当たりするように突き合わされ、板状突部47A,47B同士が面当たりするように突き合わされ、リブ状突部48A,48B同士が面当たりするように突き合わされる。そして、互いに対応する2組の係止爪49Aと係止孔49Bとの係止作用により、両構成体41A,41Bは、互いに合体されて配管32に取り付けられた状態に保持される。
【0034】
両構成体41A,41Bを合体して配管32に取り付けた状態では、一対の受け機能部42A,42Bによって受け部42が構成されるが、第1構成体41Aの受け機能部42Aの両端部は、第2構成体41Bの受け機能部42Bの両端部の上面に載置されて上下に重ね合わされた状態となる。したがって、受け部42の上面は、配管32を挟んで高さが異なり、第1構成体41A側が第2構成体41B側に比べて段差状に高くなっている。
【0035】
また、一対の排水機能部43A,43Bによって排水部43が構成されるが、第1構成体41Aの排水機能部43Aは、第2構成体41Bの排水機能部43Bにおける側壁46とは反対側の縁部の上面に載置されて上下に重ね合わされた状態となっている。したがって、排水部43の上面も、その長さ方向と交差する幅方向において第1構成体41A側が第2構成体41B側に比べて段差状に高くなっている。
【0036】
受け部42の下方には、一対の半円形部44A,44Bにより上下方向に所定の寸法を有する円筒部44が構成され、この円筒部44と上記受け部42は配管32に外嵌される。これにより、配管32に取り付けられた結露水処理部材40は、受け部42と円筒部44が配管32に対して同軸状となるような一定の姿勢を保つように保持される。
【0037】
また、一対の受け機能部42A,42Bの内周面と一対の半円形部44A,44Bの内周面が、配管32の外周面を前後から挟むように弾性的に当接するので、この弾性的な当接作用に起因する摩擦力が両構成体41A,41Bと配管32との間に生じる。この摩擦力により、結露水処理部材40は、配管32に対し、その軸線を中心とする回転方向の相対移動、及び配管32の軸線に沿った上下方向の相対移動を規制される。これにより、結露水処理部材40は配管32に対して所定の高さ及び所定の向きに位置決めされる。
【0038】
また、配管32に結露水処理部材40を取り付ける際には、円筒部44の下端が環状支持部26の上面に当接(載置)されるように結露水処理部材40の高さを調節するとともに、リブ状突部48A,48Bの下端縁がベースプレート21の支持縁部29に当接(載置)されるように、結露水処理部材40の高さ及び配管32を中心とする回転方向の向きを調節する。このような位置及び向きに調節することにより、結露水処理部材40は、配管32に対して移動規制された状態に確実に取り付けられる。
【0039】
結露水処理部材40が配管32に対して正しい位置及び向きに取り付けられた状態では、受け部42は、配管32の外周に沿い、且つその全周に亘って同心状に包囲するように配される。この受け部42は、外周縁が外周壁45によって囲まれているので、皿状に凹んだ形体となっている。また、排水部43は、受け部42から洗浄水タンク31(回収部27)に向かって延び、排水部43の延出端が回収部27の上方に配される。排水部43は、その両側縁に沿って延びる側壁46を有しているので、全体として樋状をなしている。
【0040】
また、受け部42の上面は、全体として排水部43側に向かって下り勾配となるように傾斜している。そして、受け部42の上面と排水部43の上面は、互いに面一状をなすように且つ継ぎ目が存在しないように連なっている。したがって、受け部42の上面と排水部43の上面は、排水部43の下流端に向かって一定の角度で下り勾配となるように傾斜している。
【0041】
次に、本実施形態の作用を説明する。配管32の外周面で発生した結露水は、配管32の外周面に沿って下方へ伝い流れ、受け部42によって受け止められる。このとき、受け部42の内周縁と配管32の外周面との間に隙間があったとしても、表面張力により、結露水は、隙間から落下することなく配管32から受け部42へ移動する。受け部42の上面と排水部43の上面は、継ぎ目なく、同じ傾斜角度で面一状に連なっているので、受け部42で受け止められた結露水は、樋状の排水部43を流れてその下流端から落下し、ベースプレート21の回収部27で受け止められる。
【0042】
回収部27に落下した結露水は、回収部27の上面の傾斜により、排水孔28内に落下し、便器本体10の台座部12の連通空間13を通って便鉢11内に流れ込む。また、配管32の水平に配索されている上端部32Aに発生した結露水は、配管32の外周面を伝い流れるのではなく、重力にしたがって落下する。この落下した結露水は、排水部43又は回収部27によって受け止められ、上記と同様の経路を通って便鉢11に流れ込む。以上のようにして、配管32の外周面に生じた結露水の処理が行われる。
【0043】
本実施形態においては、配管32の外周面と受け部42との間に多少の隙間が空いていても、配管32で発生した結露水は、表面張力によって受け部42へ移動することができるので、結露水処理部材40と配管32を強固に接着する必要はない。したがって、結露水処理部材40を配管32から外す際には、合体している複数の構成体を分離するだけで済み、作業性に優れている。
【0044】
また、受け部42の上面が、排水部43に向かって下り勾配となるように傾斜しており、さらに、排水部43の上面も、排水部43の下流端に向かって下り勾配となるように傾斜しているので、受け部42で受けた結露水は、受け部42の傾斜により円滑に排水部43へ誘導され、排水性能に優れている。
【0045】
また、受け部42の受け部42の上面と排水部43の上面が面一状に連なっていて、受け部42と排水部43との間には、別部材を結合することに起因する継ぎ目が存在していないので、受け部42で受けた結露水は、円滑に排水部43へ移動することができ、この構成によっても、排水性能の向上が図られている。
【0046】
尚、受け部42においては、両受け機能部42A,42Bが上下に重ねられることにより、受け部42の上面と下面との間の隙間が略L字形に屈曲した形態となるので、受け部42の上面で受けた結露水が両受け機能部42A,42Bの隙間から受け部42の下面側へ漏出する虞はない。
【0047】
同様に、排水部43においても、両排水機能部43A,43Bが上下に重ねられることにより、排水部43の上面と下面との間の隙間が略L字形に屈曲した形態となるので、排水部43の上面を流れる結露水が両排水機能部43A,43Bの隙間から排水部43の下面側へ漏出する虞はない。
【0048】
また、水洗式便器1は、便鉢11内の汚物を便鉢11外へ排出するための周知構造の汚物排出機能(図示せず)を備えているので、便鉢11内に排出された結露水は、この汚物排出機能により便鉢11外へ排出処理される。このように、本実施形態の結露水処理部材40は、水洗式便器1の便鉢11を結露水の排出経路として有効利用することができるので、水洗式便器1への適用に好適である。
【0049】
<実施形態2>
次に、本発明を具体化した実施形態2を図8及び図9を参照して説明する。本実施形態2の結露水処理部材50は、上記実施形態1において、配管32に取り付けた結露水処理部材50が配管32を中心として不用意に回転するのを規制するための手段として、規制部52を備えている。
【0050】
結露水処理部材50は、上記実施形態1と同じ形態の第1構成体41Aと、実施形態1とは異なる形態の第2構成体51Bとを合体して構成されたものであり、規制部52は、第2構成体51Bのみに一体に形成されている。規制部52は、第2構成体51Bの排水機能部43Bの延出端部から下方へ突出した形態であり、規制部52の下端は、リブ状突部48Bの下縁よりも更に下方に位置している。
【0051】
この結露水処理部材50を配管32に取り付けると、規制部52は、回収部27の周壁よりも内側であって、周壁のうちの筒状位置決め部25に近い左側面壁27L(支持縁部29が形成されている壁部)の内面に近い位置に配置される。したがって、結露水処理部材50が配管32を中心として水平に回転しようとしても、規制部52が左側面壁27Lの内面に当接することにより、結露水処理部材50の回転動作が規制される。これにより、排水部43の延出端(排水時における下流端)は、回収部27の上方に配された状態に保たれ、排出部43による排出機能が確実に発揮される。
【0052】
尚、第2構成体51Bのうち規制部52以外の形態は、実施形態1の第2構成体41Bと同じである。また、その他の構成についても上記実施形態1と同じである。したがって、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0053】
<実施形態3>
次に、本発明を具体化した実施形態3を図10を参照して説明する。本実施形態3は、上記実施形態1において、配管32に取り付けた結露水処理部材40が配管32を中心として不用意に回転するのを規制するための手段として、水洗式便器1のベースプレート21に規制部53を形成したものである。ベースプレート21の回収部27の周壁のうち筒状位置決め部25に近い左側面壁27Lには、その上端縁部を部分的に切欠した形態の規制部53が形成されている。この規制部53は、結露水処理部材40を配管32に取り付けたときに、排水部43の一対のリブ状突部48A,48Bが規制部53内に嵌合される。
【0054】
したがって、結露水処理部材40が配管32を中心として水平に回転しようとしても、両リブ状突部48A,48Bが規制部53に嵌合することにより、結露水処理部材40の回転動作が規制される。これにより、排水部43の延出端(排水時における下流端)は、回収部27の上方に配された状態に保たれ、排出部43による排出機能が確実に発揮される。
【0055】
尚、本実施形態3では、リブ状突部48A,48Bが、その下端縁をベースプレート21の支持縁部29に当接(載置)させるのではなく、規制部53に嵌合させるという点において、実施形態1とは異なる。その他の構成については上記実施形態1と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0056】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0057】
(1)上記実施形態では、結露水処理部材の取付け対象が、洋風便器の洗浄水タンクに接続される配管であったが、結露水処理部材の取付け対象は、洗浄水タンク以外の機器に接続される配管であってもよい。
【0058】
(2)上記実施形態では、結露水処理部材を構成する2つの構成体が、合体時の合せ面を境として概ね対称な形態であったが、結露水処理部材を構成する2つの構成体は、合体時の合せ面を境として非対称な形態であってもよい。
【0059】
(3)上記実施形態では、配管を挟む2つの構成体によって結露水処理部材を構成したが、結露水処理部材は、配管を挟む3つ以上の構成体によって結露水処理部材を構成してもよい。
【0060】
(4)上記実施形態では、結露水処理部材を構成する全ての構成部材(2つの構成体)が配管に接触するようになっているが、結露水処理部材を構成する複数の構成部材のうち少なくとも1つの構成部材が配管と接触しない形態であってもよい。
【0061】
(5)上記実施形態では、排水部が、受け部の外周から径方向へ樋状に延出する形態であったが、排水部は、受け部の外周壁を貫通する開口部であってもよい。この場合、開口部の下方に、結露水を受ける回収部や排水経路を配置すればよい。
【0062】
(6)上記実施形態では、結露水処理部材を配管に対して移動規制状態に保持する手段として、構成体と配管との間の摩擦力を利用したが、これに限らず、結露水処理部材とは別の部材を用いて結露水処理部材を移動規制してもよい。
【0063】
(7)上記実施形態では、結露水処理部材を配管に取り付けた状態において、受け部の上面が排水部に向かって下り勾配となるように傾斜する形態としたが、受け部の上面は水平な面であってもよい。この場合、排水部の上面をその下流端に向かって下り勾配となるように傾斜させてもよい。
【0064】
(8)上記実施形態では、受け部の上面と排水部の上面が面一状に連なる形態としたが、受け部の上面に対して排水部の上面が段差状に低くなっていてもよい。
【0065】
(9)上記実施形態では、結露水処理部材を配管に取り付けた状態において、受け部の上面と排水部の上面が、排水部の下流端に向かって下り勾配となるように傾斜する形態としたが、受け部の上面と排水部の上面は水平な面であってもよい。
【0066】
(10)上記実施形態では、構成体が、受け部を構成する受け機能部と排水部を構成する排水機能部との2つの機能部を一体に形成した形態であって、受け部と排水部との間に別部材を結合することに起因する継ぎ目が存在しないようにしたが、結露水処理部材は、排水機能部は形成されていないが受け機能部が形成されている部材と、受け機能部は形成されていないが排水機能部が形成されている部材とを合体させて構成し、受け部と排水部とが互いに別の部品によって形成され、受け部と排水部との間に継ぎ目が存在するようにしてもよい。
【0067】
(11)上記実施形態では、受け部が、2つの受け機能部を上下に重ね合わせて構成され、受け部の上面が段差状をなすようにしたが、受け部の上面は、段差がなく、全領域に亘って面一状であってもよい。
【0068】
(12)上記実施形態では、排水部が、2つの排水機能部を上下に重ね合わせて構成され、排水部の上面が段差状をなすようにしたが、排水部の上面は、段差がなく、全領域に亘って面一状であってもよい。
【0069】
(13)上記実施形態では、受け部の内周縁と配管の外周面との間に隙間があったとしても、結露水は、その表面張力によって隙間からの落下を回避できるようにしたが、受け部の内周と配管の外周との間に弾性を有するリンク状のパッキンを介在させることにより、受け部と配管との間の隙間をなくすようにしてもよい。また、このようなパッキンを介在させれば、パッキンの外周と受け部の内周との間でパッキンの弾性復元力に起因する摩擦力が生じるので、結露水処理部材の配管に対する上下方向の相対移動、及び結露水処理部材の配管を中心とする回転(旋回)動作を規制することもできる。
【0070】
(14)上記実施形態2では、規制部を第2構成体のみに形成したが、規制部は、第1構成体のみに形成してもよく、第1構成体と第2構成体の両方に形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】実施形態1の水洗式便器を斜め上正面側から見た外観図
【図2】結露水処理部材を配管に取り付けた状態をあらわす斜視図
【図3】結露水処理部材を配管に取り付けた状態をあらわす断面図
【図4】結露水処理部材を分離した状態をあらわす斜視図
【図5】結露水処理部材を合体状態に保持するための係止構造をあらわすものであり、排水部をその長さ方向と直角に切断した状態をあらわす断面図
【図6】結露水処理部材を合体状態に保持するための係止構造をあらわすものであり、排水部のリブ状突部を水平に切断して平面視した状態をあらわす断面図
【図7】便器本体から便座装置を外した状態をあらわす斜視図
【図8】実施形態2の結露水処理部材を配管に取り付けた状態をあらわす斜視図
【図9】実施形態2の結露水処理部材を分離した状態をあらわす斜視図
【図10】実施形態3において結露水処理部材を配管に取り付けた状態をあらわす断面図
【符号の説明】
【0072】
1…水洗式便器
11…便鉢
14…排水路
21…ベースプレート
31…洗浄水タンク
32…配管
40…結露水処理部材
41A,41B…構成体
42…受け部
42A,42B…受け機能部
43…排水部
43A,43B…排水機能部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に配索された配管に対し外嵌するように取り付けられる結露水処理部材であって、
前記配管の外周面で発生した結露水を受ける受け部と、
前記受け部で受けた結露水を排出する排水部とを有し、
前記配管の外周面に当接させた状態で合体される複数の構成体を備えて構成されていることを特徴とする結露水処理部材。
【請求項2】
前記配管は、水洗式便器において便鉢に洗浄水を供給するための洗浄水タンクに接続されたものであり、
前記配管に対し、前記便鉢に連通する排水路に前記排水部を対応させるように取り付けられるようになっていることを特徴とする請求項1記載の結露水処理部材。
【請求項3】
前記配管に取り付けられた状態では、前記受け部の上面が、前記排水部に向かって下り勾配となるように傾斜するようになっていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の結露水処理部材。
【請求項4】
前記排水部が、前記受け部の外周縁に連なる樋状をなしており、
前記受け部の上面と前記排水部の上面が、面一状に連なっていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれから1項に記載の結露水処理部材。
【請求項5】
前記配管に取り付けられた状態では、前記受け部の上面と前記排水部の上面が、前記排水部の下流端に向かって下り勾配となるように傾斜するようになっていることを特徴とする請求項4記載の結露水処理部材。
【請求項6】
前記構成体には、前記受け部を構成する受け機能部と、前記排水部を構成する排水機能部とが一体に形成されていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の結露水処理部材。
【請求項7】
便鉢と、
前記便鉢に洗浄水を供給する洗浄水タンクと、
上下方向に配索されて前記洗浄水タンクに接続された配管と、
前記便鉢の上面に取り付けられ、上面から前記便鉢内に連通する排水路を有するベースプレートと、
前記配管に対し外嵌するように取り付けられる結露水処理部材とを備えた水洗式便器であって、
前記結露水処理部材は、
前記配管の外周面で発生した結露水を受ける受け部と、
前記受け部で受けた結露水を前記排水路へ排出する排水部とを有し、
前記配管の外周面に当接させた状態で合体される複数の構成体を備えて構成されていることを特徴とする結露水処理部材を備えた水洗式便器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−144498(P2010−144498A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−326574(P2008−326574)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】