説明

絞模様のコントラスト再生ないし付与方法

【発明の詳細な説明】
産業上の利用分野 この発明は、絞(しぼ)成形手段における絞模様のコントラスト再生ないし付与方法に関し、更に詳細には、自動車等の内装材や家電製品の外装材その他建材用内装材等に好適に使用される絞模様を有する樹脂表皮材を成形するための電鋳金型や絞ロール等の絞成形手段において、■該絞成形手段の成形面に付着した焼け屑や溶出物をブラスト除去するに伴い、絞模様の山部と谷部との表面粗度も均一化されて失なわれる本皮調のコントラストを良好に再生させたり、■該絞成形手段に転写された絞模様の山部と谷部との表面粗度が略均一で本皮調のコントラストが得られない場合に、該コントラストを事後的に付与する方法に関するものである。
従来技術 乗用車等のインストルメントパネルにおけるパッドやドアトリム等の内装用表面材として、本皮調の絞模様を付した合成樹脂の表皮材を使用する傾向が増加している。この絞模様は、しわ状の起伏が不規則に連続する表面模様であって、後述の如く、その山部と谷部との表面粗度を大きく異ならせることにより、際立ったコントラストが得られて本皮の感触に近付くものである。そして、このような絞模様を、合成樹脂表皮材の表面に付する手段として、一般に次の如き方法が使用されている。
■PVC(ポリ塩化ビニル)やABS(アクリロニトリルブタジェンスチレン)等の合成樹脂を、多数本の加熱ロールを配列した圧延機に通過させることによりシートを圧延加工するカレンダー成形法や、Tダイあるいはコートハンガーダイから所要厚みのシートを押出して成形する押出成形法を使用し、絞模様が転写成形されている絞ロールを前記シートに圧接することにより、その絞模様を該シートに転写する方法。
■所要形状のキャビティを備え、その成形面に絞模様を転写した金型を使用し、この金型で公知のスラッシュ成形や射出成形等を行なって、所要形状を備えた表皮材の成形と同時に、該表皮材表面に絞模様を転写する方法。
但し、前記■の方法により絞模様の転写されたPVC等のシートは、これを自動車等の各種内装材として使用するためには、更に真空成形等の加工に付して所望の立体形状に成形する必要がある。しかし、後工程としてこれらの加工を施すと、その際に各種方向への大きな延伸力が該シートに加わるために、シート成形時に好適に付与されていた初期の絞模様が崩れたり、絞表面における山部と谷部との高低差が失なわれてしまう場合が多い。従って近年では、車両等の内装用表皮材を得るには、前記■に述べたスラッシュ成形等により、所望形状および絞模様を同時に付与する方法が好まれている。
前記■および■の何れの方法を採用するにしても、内装材用のシート乃至表皮材に本皮調の絞模様を付するには、成形面に絞模様を予め転写した絞ロールや金型が使用される。これらの絞ロールまたは金型に絞模様を転写するには、所定の絞模様を有する本皮または絞模様を人工的に付した表皮材を木型等に貼付けておき、それを絞ロールや金型の作成時に反転することによって、当該絞模様を絞ロールや金型の成形面に付与する方法が好適に多用されている。この本皮材や人工表皮材における絞模様を、絞ロールや金型の作成時に反転する手段としては、シリコン樹脂等を使用して転写する方法(特開昭61−29529号)や、電鋳により転写する方法(特開昭60−201910号,特開昭62−292409号)が一般的に知られている。なお本明細書では、成形面に絞模様が転写された金型や絞ロールを、包括的に「絞成形手段」と称することにする。
前述した絞模様の内で、本皮調の外観、光沢、感触を呈するものは、殊に乗用車等の内装材として使用すると、立体的な感触と共に豪華な印象を与えることができて好適である。この本皮調を呈する絞模様の特徴としては、絞における山部が艶を有し、谷部が艶消し状態となっていることが挙げられる。すなわち絞模様は、これを拡大的に観察すると、第1図に示す如く、山部10と谷部12とが不規則に連続する起伏で構成され、その高低差dは通常150〜250μ程度である。そして、山部10の粗さが小さく(艶有状態)谷部12の粗さが比較的に大きい(艶消状態)場合に、両者間のコントラストが際立つ結果として、先に述べた本皮調の外観、光沢、感触を呈するに至るものである。
例えば、スラッシュ成形には電鋳金型が使用されるが、この電鋳金型の成形面における絞模様の山部と谷部との表面粗度(艶)を相対的に変化させることにより、成形品に転写された絞模様にも艶のコントラストを生じて、本皮調の立体感や感触が得られる。このような本皮調の絞模様を電鋳金型の成形面に得るためには、該金型の電鋳工程中で、本皮の如く艶のコントラストが大きい素材をモデルの表面に貼り込み、これを忠実に電鋳金型に転写することによって再現している。なおこのことは、カレンダー成形に使用される絞ロールの成形面に絞模様を転写する場合にも同様に妥当するものであって、艶のコントラストが大きい絞模様を有する素材をモデルの表面に貼り込む必要がある。
発明が解決しようとする課題 前記の如く、電鋳金型や絞ロール等の絞成形手段に、本皮調のコントラストを呈する絞模様が転写されている場合において、この絞成形手段によるシートへの絞模様の転写を頻繁に行なっていると、該絞成形手段の成形面にPVC樹脂等の焼け屑や溶出物が経時的に蓄積して、所謂型汚れを生ずる。このような場合には、これら焼け屑や溶出物を絞成形手段の成形面から除去するために、金属や植物系非繊維質、その他鉱物等の粗粒子(グリット)を高圧空気と共に吹付けるグリットブラストが一般に使用されている。しかし、このグリット掃射に伴う研磨効果によって、絞成形手段に転写されている絞模様の山部と谷部とが均一な表面粗度に調整されてしまい、初期に得られていた本皮調のコントラストは以後失なわれてしまう重大な欠点がある。
また、絞成形手段に本皮調の絞模様を転写するには、先に述べた如く、電鋳金型等の絞成形手段を製作する工程で、本皮をモデルの表面に貼り込んで、これを忠実に再現するようになっている。しかし、本皮は一般に高価であると共に、本皮素材の艶コントラストにむらがあると使用し得ない難点がある。また、絞模様を転写すべき成形面が大きい絞成形手段では、寸法的にそのように幅広の本皮は容易に得られない難点もある。そこでこのような場合、コストを低廉に抑え、かつ任意の大きさの絞模様を得るために、一般に入手し易い人工皮革の使用がなされている。しかるに人工皮革により絞成形手段に転写される絞模様には、本皮素材にみられる如き際立った艶コントラストは得られず、単調で立体感に乏しいものとなる。従って、この絞成形手段を使用してシートや内装材の成形を行なっても、得られる絞模様はコントラストのない単調で立体感に乏しいものとなり、本皮調の豪華な感じには到底及ばないものとなる欠点がある。
発明の目的 この発明は、先に述べた課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、絞模様を有する樹脂シートや表皮材を成形する金型や絞ロール等の絞成形手段において、当該絞成形手段に付着した焼け屑や溶出物をブラスト除去するに際し、これにより失なわれる本皮調のコントラストを良好に再生させたり、また絞成形手段への絞模様の転写を人工皮革等により行なったために本皮調のコントラストが得られない場合に、該コントラストを事後的に付与したりする方法を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段 前記課題を克服し、所期の目的を好適に達成するため、本発明に係る絞模様のコントラスト再生方法は、電鋳金型や絞ロールの如く成形面に絞模様が転写され、使用に伴い成形材料の焼け屑や溶出物等が該成形面に付着して絞模様の成形精度が低下した絞成形手段において、 前記絞模様の全体にグリットブラストを施すことにより、前記成形材料の焼け屑や溶出物を除去すると共に絞模様全体を一定の表面粗度に調整し、 前記絞模様に硬化性でかつ溶剤に可溶性のゾルを塗布した後に、該ゾルを硬化させて絞模様全体に硬質のコーティングを施し、 前記絞模様における山の部分のコーティングを溶剤で除去することにより、当該山の部分を露出させ、 先に施したグリットブラストに使用したグリットより大きな粒度または小さな粒度のグリットを、前記谷の部分に施されているコーティングは除去されない程度に前記絞模様全体にブラストすることによって、前記表面の露出した山の部分の粗度を谷の部分の粗度に比して向上または低下させ、 次いで前記谷の部分に施されているコーティングを溶剤で除去することにより、絞模様における山の部分と谷の部分との表面粗度を異ならせて、際立ったコントラストを再生することを特徴とする。
また、本願の別の発明に係る絞模様のコントラスト付与方法は、成形面に絞模様が転写された電鋳金型や絞ロール等の絞成形手段において、 前記絞模様の全体にグリットブラストを施すことにより絞模様全体を一定の表面粗度に調整し、 前記絞模様に硬化性でかつ溶剤に可溶性のゾルを塗布した後に、該ゾルを硬化させて絞模様全体に硬質のコーティングを施し、 前記絞模様における山の部分のコーティングを溶剤で除去することにより、当該山の部分を露出させ、 先に施したグリットブラストで使用したグリットより大きな粒度または小さな粒度のグリットを、前記谷の部分に施されているコーティングは除去されない程度に前記絞模様全体にブラストすることによって、前記表面の露出した山の部分の粗度を谷の部分の粗度に比して向上または低下させ、 次いで前記谷の部分に施されているコーティングを溶剤で除去することにより、絞模様における山の部分と谷の部分との表面粗度を異ならせて、際立ったコントラストを付与することを特徴とする。
実施例 次に、本発明に係る絞成形手段における絞模様のコントラスト再生ないし付与方法につき、好適な実施例を挙げて以下説明する。
(1)絞成形手段における絞模様のコントラスト再生方法について。
本実施例に係る絞成形手段は、予めその成形面に、艶コントラストの大きな本皮調の絞模様が転写されているものとする。このような絞成形手段では、該手段を前述のカレンダー成形やスラッシュ成形等に使用することにより、成形されるシートや表皮材等の表面には、本皮調の絞模様が転写されるものである。しかるに該絞成形手段を頻繁に使用すると、これに伴いPVC樹脂やABS樹脂等の焼け屑や溶出物が該成形面に付着し、絞模様の転写精度が低下するに至る。
そこで、先ず第2図(a)に示すように、絞成形手段14における絞模様の全体(山部10と谷部12とを全て含む)に、グリットブラストを施して前記PVC樹脂等の焼け屑や溶出物16を除去する。このグリットブラストには、例えばグリットとして、粒径100〜1000メッシュのガラスビーズおよび粒径100〜600メッシュのセラミックビーズを任意割合に混合して使用した。また空気圧は、0.5kg/cm2〜5kg/cm2の範囲に調整して使用した。このグリットブラストにより、前記PVC樹脂等の焼け屑や溶出物16は絞成形手段14から完全に除去されると共に、絞模様の山部10と谷部12との表面粗度は均一にならされ全体として一様となる。すなわち絞成形手段14に転写されている絞模様には、最初は大きな艶コントラストが得られていたが、このグリットブラストにより前記の艶コントラストは失なわれる。従って、以後この絞成形手段14を使用してシートや表皮材の成形を行なっても、成形品に転写される絞模様からは本皮調の立体感や感触は得られない。
次に、例えば熱によって硬化可能でかつ溶剤に可溶性のPVCゾルを刷毛に含ませ、これを第2図(b)に示す如く、絞成形手段14における絞模様の全体(山部10と谷部12)に、厚みが50〜200μ程度になるように塗布する。そして、この皮膜を100〜200℃で焼付乾燥させることによって、絞模様の全体に硬質フィルムのコーティング18を形成させる。このとき、絞模様の山部10と谷部12との高低差は、前述の如く、高さ150〜250μであるため、塗布されるゾルは絞模様の谷部12を略埋めるように塗布される。そして、その後の乾燥焼付けにより、谷部12中のゾルは体積収縮を生じ、その表面が僅かに凹む状態でコーティング18が形成される。この塗布に際し、山部10上に施されるコーティング18の厚さが、略均一となるようにするのが好ましいことは勿論である。なお前記のPVCゾルとしては、PVC樹脂(21%),DOP(ジオクチルフタレート),DBP(ジブチルフタレート)等の可塑剤および安定剤(7%),シンナー等の溶剤(72%)の組成からなる剥離可能なエナメル塗料を、酢酸エチル等の溶剤で約1.5〜3倍に希釈したものが好適に使用される。
次いで、酢酸エチルやアセトン等の脂肪族溶剤、芳香族溶剤を刷毛,布等の掃具に含ませ、この掃具で前記山部10の部分をマスキングしているコーティング18を掃引することにより、第2図(c)に示す如く、該コーティング18を溶出除去して、前記絞模様の山部10の部分だけを露出させる。なお絞模様の谷部12の部分は、依然として前記コーティング18によるマスキングが施されている。
そこで、第2図(d)に示すように、絞成形手段14の絞模様に対して、第2回目のグリットブラストを施せば、掃射されたグリットは、コーティング16が除去され露出している絞模様の山部10に衝突して、この部分での表面粗度を調整することになる。従って、この第2回のグリットブラストに使用されるグリットの粒度を、最初のグリットブラストに使用したグリットの粒度と異ならせることにより、山部10と谷部12との表面粗度(艶)に相違をもたせて、異なる艶コントラストを付与することが可能となる。
ここでは、第1回のグリットブラストに使用したグリットよりも粒度がやや大きいセラミックビーズ(粒径100〜600メッシュ)をグリットに使用し、かつ谷部12をマスキングしているコーティング18が剥離ないし除去されない程度に掃射時の空気圧を調節した。これにより、露出した山部10の表面粗度は、谷部12(コーティング18が施されている)の表面粗度よりも大きくなって、所謂艶消し状態となっている。
最後に、第2図(e)に示すように、谷部12をマスキングしているコーティング18を、前述の溶剤で掃引して完全除去することにより、絞成形手段14の絞模様において、その山部10の表面粗度が谷部12の表面粗度よりも大きくなった状態が得られる。すなわち、絞成形手段14の絞模様における山部10は艶消し状態かつ谷部12は艶有り状態となって、際立ったコントラストが得られている。従って、この加工を施した後の絞成形手段、例えば電鋳金型を使用してスラッシュ成形を行なえば、前述の絞模様における表面粗度(艶)が成形された表皮材の表面にそのまま転写されることとなる。つまりシートや内装用表皮材等の表面に逆転写された絞模様は、その谷部が艶消し状態で山部が艶有り状態となり、本皮に酷似した艶コントラストおよび感触が得られる。
なお、第2図(d)に関連して、第2回のグリットブラストに使用されるグリットの粒度を、先とは逆に第1回のグリットブラストに使用したグリットよりも粒度が小さいものを使用すれば、露出した山部10の表面粗度は、谷部12の表面粗度よりも小さくなって所謂艶有り状態となる。従って、必要に応じ実施例の場合とは逆の状態での際立ったコントラストを得ることも簡単にできる。
(2)絞成形手段における絞模様のコントラスト付与方法について。
本実施例に係る絞成形手段は、成形面に絞模様が転写されてはいるが、前述した如く、その転写に例えば人工皮革を使用したために、本皮素材にみられる如き際立った艶コントラストは得られず、単調で立体感に乏しいものとなっているものとする。このような絞成形手段では、該手段の前述のカレンダー成形やスラッシュ成形等に使用しても、成形れるシートや表皮材等の表面には、本皮調の絞模様は再現されない。
そこで、先にコントラスト再生方法の項において、第2図2図(a)〜第2図(e)に関連して述べたと同じ工程の処理を施す。すなわち、■絞成形手段における絞模様の全体にグリットブラストを施すことにより絞模様全体を一定の表面粗度に調整する。
■前記絞模様に硬化性でかつ溶剤に可溶性のゾルを塗布した後に、該ゾルを硬化させて絞模様全体に硬質のコーティングを施す。
■前記絞模様における山の部分のコーティングを溶剤で除去することにより、当該山の部分を露出させる。
■先に施したグリットブラストで使用したグリットより大きな粒度または小さな粒度のグリットを、前記谷の部分に施されているコーティングは除去されない程度に前記絞模様全体にブラストする。これにより、前記表面の露出した山の部分の粗度を、谷の部分の粗度に比して向上または低下させる。
■次いで、前記谷の部分に施されているコーティングを溶剤で除去する。
このような処理を行なうことにより、最初にコントラストがなかった絞成形手段の絞模様であっても、事後的に絞模様における山の部分と谷の部分との表面粗度を異ならせて、際立ったコントラストを付与することができる。
なお、前記のコントラスト再生またはコントラスト付与の何れの方法にあっても、その絞成形手段における絞模様に塗布される「硬化性でかつ溶剤に可溶性のゾル」としては、前述のPVCゾル以外に、下記のものが好適に使用可能である。
(1)ゴムラテックス。
これはゴム揮(ガソリン等の混合有機溶剤)で各種ゴムを希釈したものであって、有機溶剤を揮散させると共に焼付けることにより、ゴム皮膜が形成される。
(2)ABS樹脂、耐衝撃性スチレン樹脂(スチレン樹脂にブタジェン等のゴム成分を混合またはグラフト重合させたもの)等のスチレン系樹脂。
これはシンナー,メチルエチルケトン,アセトン,トルエン,酢酸エチル等で溶解可能である。
(3)その他、有機溶剤で可能なプラスチックであれば使用可能である。
発明の効果 以上に説明した如く、本発明に係る方法によれば、絞成形手段の絞模様における山部と谷部との表面粗度(艶)を異ならせることが容易にできるため、■該絞成形手段の成形面に付着した焼け屑や溶出物をブラスト除去するに伴い、絞模様の山部と谷部との表面粗度も均一化されて失なわれる本皮調のコントラストを良好に再生させたり、■該絞成形手段に転写された絞模様の山部と谷部との表面粗度が略均一で本皮調のコントラストが得られない場合に、該コントラストを事後的に付与することができる。従って、高価な絞成形手段を再活用し得ると共に、絞模様を絞成形手段の成形面に転写する手段として、高価で寸法的に限られた本皮を使用する必要もなくなる、等の有益な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
第1図は、絞成形手段における絞模様を拡大的に観察した断面図、第2図(a)〜第2図(e)は本発明に係る絞模様のコントラスト再生ないし付与方法を実施する際の手順を概略的に示す説明図である。
10……山部、12……谷部
14……絞成形手段、16……焼け屑,溶出物
18……コーティング

【特許請求の範囲】
【請求項1】電鋳金型や絞ロールの如く成形面に絞模様が転写され、使用に伴い成形材料の焼け屑や溶出物等が該成形面に付着して絞模様の成形精度が低下した絞成形手段において、前記絞模様の全体にグリットブラストを施すことにより、前記成形材料の焼け屑や溶出物を除去すると共に絞模様全体を一定の表面粗度に調整し、前記絞模様に硬化性でかつ溶剤に可溶性のゾルを塗布した後に、該ゾルを硬化させて絞模様全体に硬質のコーティングを施し、前記絞模様における山の部分のコーティングを溶剤で除去することにより、当該山の部分を露出させ、先に施したグリットブラストに使用したグリットより大きな粒度または小さな粒度のグリットを、前記谷の部分に施されているコーティングは除去されない程度に前記絞模様全体にブラストすることによって、前記表面の露出した山の部分の粗度を谷の部分の粗度に比して向上または低下させ、次いで前記谷の部分に施されているコーティングを溶剤で除去することにより、絞模様における山の部分と谷の部分との表面粗度を異ならせて、際立ったコントラストを再生することを特徴とする絞成形手段における絞模様のコントラスト再生方法。
【請求項2】成形面に絞模様が転写された電鋳金型や絞ロール等の絞成形手段において、前記絞模様の全体にグリットブラストを施すことにより絞模様全体を一定の表面粗度に調整し、前記絞模様に硬化性でかつ溶剤に可溶性のゾルを塗布した後に、該ゾルを硬化させて絞模様全体に硬質のコーティングを施し、前記絞模様における山の部分のコーティングを溶剤で除去することにより、当該山の部分を露出させ、先に施したグリットブラストで使用したグリットより大きな粒度または小さな粒度のグリットを、前記谷の部分に施されているコーティングは除去されない程度に前記絞模様全体にブラストすることによって、前記表面の露出した山の部分の粗度を谷の部分の粗度に比して向上または低下させ、次いで前記谷の部分に施されているコーティングを溶剤で除去することにより、絞模様における山の部分と谷の部分との表面粗度を異ならせて、際立ったコントラストを付与することを特徴とする絞成形手段における絞模様のコントラスト付与方法。

【第1図】
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【第2図】
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【特許番号】第2699189号
【登録日】平成9年(1997)9月26日
【発行日】平成10年(1998)1月19日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平1−17060
【出願日】平成1年(1989)1月25日
【公開番号】特開平2−196607
【公開日】平成2年(1990)8月3日
【出願人】(999999999)株式会社イノアックコーポレーション
【出願人】(999999999)株式会社極東技研
【参考文献】
【文献】特開 昭61−226137(JP,A)