説明

給排気装置

【課題】部屋の空調環境を乱すことなく、キャビネット内の臭いを良好に除くことのできる給排気装置を提供する。
【解決手段】収納空間1aを有するキャビネット1の内部と屋外とを連通する給気路3と、この給気路の途中に設けられ、給気路を通じて屋外からキャビネット内部へ給気する給気ダクト7内に設けられた給気ファンと、キャビネット1の内部と屋外とを連通する排気路4と、この排気路の途中に設けられ、排気路を通じてキャビネット内部から屋外へ排気する排気ダクト8内に設けられた排気ファンとを備え、給気ファンと排気ファンがファン収容ユニット2内に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャビネット内の臭いを効率良く除くことのできる給排気装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているように、生ごみ処理器内と室外とを空気循環させて、生ごみ処理器内の臭いを除去するように構成した流し台が存在する。
【特許文献1】特開平6−233712号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の流し台の構造では、キャビネット内には空気が漏れないように構成して、生ごみ処理器内のみで空気を循環させているため、生ごみ処理器内の臭いは取ることができても、キャビネット内の臭いを除去することはできないものであった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、部屋の空調環境を乱すことなく、キャビネット内の臭いを効率良く除くことのできる給排気装置を提供することを目的の1つとし、この目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
本発明の給排気装置は、内部に収納空間を有するキャビネット内部と屋外とを連通する給気路と、該給気路の途中に設けられ、該給気路を通じて屋外からキャビネット内部へ給気する給気ファンと、キャビネット内部と屋外とを連通する排気路と、該排気路の途中に設けられ、該排気路を通じてキャビネット内部から屋外へ排気する排気ファンと、を備えたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0005】
給気ファンと排気ファンを同時に運転し、キャビネット内部と屋外間で空気を循環させて、キャビネット内の換気を行い、キャビネット内の臭いを効率良く除くことができる。
また、キャビネット内のみで空気が循環し、キャビネットが設置されている部屋の空気は吸い込まないために、部屋の空調環境を乱すことがない。
【0006】
また、本発明の給排気装置において、前記給気ファンと排気ファンがキャビネット内に設けられたファン収容ユニット内に設置されている構成とすることができる。
こうすれば、給気ファンと排気ファンをファン収容ユニット内に設けて、このファン収容ユニットをキャビネット内にコンパクトに設置することができるものとなる。
【0007】
また、本発明の給排気装置において、キャビネット内部へ向かって給気を吹き出す前記給気路の吹出口と、キャビネット内部の空気を吸い込む前記排気路の吸込口は、前記ファン収容ユニットの異なる面に設けられている構成とすることができる。
こうすれば、吹出口から吹き出された給気流が吸込口へ直接流れるのを防ぐことができ、良好にキャビネット内で空気を循環させ良好な循環流を得ることができものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
図1は、部屋(屋内)に設置されたキッチンキャビネットの概略構成図である。また図2は、キッチンキャビネットの扉を開けた状態の正面拡大構成図である。
図において、屋内HIの床面上には、上面にコンロ1bを備えたキッチンキャビネット1が設置され、このキッチンキャビネット1は内部に収納空間1aが形成されており、前面側に開閉可能に扉1c,1cが設けられたものであり、収納空間1a内の奥側のキッチンキャビネット1の背板には、同時給排気装置を構成するファン収容ユニット2が設置されている。
【0009】
このファン収容ユニット2内には、給気路の一部を形成する給気ダクト7と、排気路の一部を形成する排気ダクト8が設けられており、ファン収容ユニット2の裏側には、給気路の一部を形成する給気ホース3と、排気路の一部を形成する排気ホース4が接続されており、給気ホース3及び排気ホース4は屋外HOに開口され屋外HOと連通されている。
また、図1において、キッチンキャビネット1の上方には換気扇6が設けられている。なお、キッチンキャビネット1の収納空間1a内には、臭いの元となる液体等を入れたタンク5が置かれている。
【0010】
次に、前記ファン収容ユニット2の拡大正面透視図を図3に示し、また図4では、ファン収容ユニットの側面拡大透視図を示す。
ファン収容ユニット2は、上板2aと底板2bが平行状をなし、左右両端側に側板2c,2dが設けられ、また、背側には背板2eが設けられ、前面側には前板2fが設けられて、密閉された箱状に形成されており、中央部には、上板2aと底板2b間に立設された仕切板2gが設けられている。この仕切板2gにより、ファン収容ユニット2内は図示左側の給気側室Saと図示右側の排気側室Sbに区画されている。給気側室Saは給気路の一部を形成しており、排気側室Sbは排気路の一部を形成している。
【0011】
給気側室Saの上面の上板2aには吹出口2hが開口されており、また、排気側室Sbの前板2fには吸込口2iが開口されている。
また、ファン収容ユニット2の背板2eの裏側には、キッチンキャビネット1の背板に固定する固定部9の中央に鞘管10が貫通状に通されており、この鞘管10は、図3に示すように、仕切板2gの裏側位置に配置され、この鞘管10内に前記給気ホース3と排気ホース4が配置されている。
【0012】
即ち、図5に拡大して示すように、鞘管10内に給気ホース3と排気ホース4が配管されたペアチューブが用いられており、このペアチューブを用いることで給気ホース3と排気ホース4の配管施工が容易となり、ファン収容ユニット2をキッチンキャビネット1の収納空間1a内に後付け施工できるように構成されている。
鞘管10内に配管された給気ホース3の先端は、ファン収容ユニット2内の給気側室Saに臨ませて開口され、排気ホース4の先端は、ファン収容ユニット2内の排気側室Sbに臨ませて開口されている。
【0013】
給気側室Sa内には給気ダクト7が設けられており、この給気ダクト7の上端は吹出口2h内に差込み状にして斜め上方向きに開口されている。この給気ダクト7内には、モーター7bで回転されるシロッコファンで構成された給気ファン7aが配置されている。
なお、この給気ダクト7の給気ファン7aの部分は、背板2e側に向いて開口されている。
従って、給気側室Saでは、給気ファン7aが回転されることにより、給気ホース3から外気が給気側室Sa内に負圧で吸い込まれ、給気ダクト7の裏側から給気ファン7aを通って上方の吹出口2hからキッチンキャビネット1の収納空間1a内に吹き出されるものである。即ち、給気ホース3と給気側室Saと給気ダクト7で給気路Raが形成されている。
【0014】
次に、排気側室Sb内には排気ダクト8が設けられており、この排気ダクト8は上端がファン収容ユニット2の上板2aの下方で開口されており、下方側には、前板2fに形成された吸込口2iと整合する前向きの開口が形成され、この吸込口2iの位置にはモーター8bで回転されるシロッコファンで構成された排気ファン8aが配置されている。
この排気ファン8aが回転されることにより、前板2f側の吸込口2iからキッチンキャビネット1の収納空間1a内の空気が排気ダクト8内に吸い込まれて、排気ダクト8の上端から排気側室Sb内に排出され、この排出された空気は排気ホース4を通って屋外HOへ押し出されるものである。即ち、排気ホース4と排気側室Sbと排気ダクト8で排気路Rbが形成されている。
【0015】
このファン収容ユニット2内に設けられた給気ファン7a及び排気ファン8aは、同時に運転されるものであり、給気ファン7aと排気ファン8aが同時に回転されると、屋外HOから外気が給気ホース3を通り給気側室Sa内に流入されて給気ダクト7内に吸い込まれ、上面の吹出口2hから外気がキッチンキャビネット1の収納空間1a内に斜め上方側へ向かって吹き出され、吹き出された外気は収納空間1aの内周面に沿って循環されて、ファン収容ユニット2の前板2fに開口されている吸込口2iから排気ダクト8を通り排気側室Sb内に噴出されて、排気ホース4内に押し出されて排気される。
【0016】
なお、吹出口2hと吸込口2iは、ファン収容ユニット2の離れた異なる面に形成されているため、吹出口2hから吹き出された外気が吸込口2iへ直接流れることはなく、良好にキッチンキャビネット1の収納空間1a内で循環流が形成されるように構成されており、キッチンキャビネット内で良好な循環流が得られて、キッチンキャビネット内の臭いを良好に屋外へ排出させて臭いを除くことができるものとなる。
なお、循環流はあくまでキッチンキャビネット1の収納空間1a内で循環されるため、部屋HI内の空気を吸い込むことはないため、部屋HI内の空調を乱すことはなく、部屋HI内の空調に影響を及ぼすことがない。即ち、部屋HI内の暖気または冷気が屋外HOへ逃げることはない。
【0017】
なお、本例では、2個のファン7a,8aをそれぞれのモーター7b,8bで回転させるように構成しているが、給気ファン7a及び排気ファン8aを1個の両軸モーターで回転させるように構成しても良い。
【0018】
また、本例では、キッチンキャビネット1の収納空間1a内に同時給排気装置を構成するファン収容ユニット2を設置して、キッチンキャビネット1に設けられているディスポーザー等からの臭いを除くように構成したものを例示しているが、キッチンキャビネット1に限らず、トイレ内に設置されたキャビネット或いは洗面キャビネットにも、このような同時給排気装置を構成するファン収容ユニット2を後付けして、キャビネット内の臭いを除去できるように構成することもでき、特に、図5のようなペアチューブを用いることで、キャビネット内へのファン収容ユニット2の後付け施工を容易に行うことができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】部屋内に設けられたキッチンキャビネットの構成図である。
【図2】キッチンキャビネットの扉を開けた拡大正面構成図である。
【図3】キッチンキャビネットの収納空間内に設置されたファン収容ユニットの正面拡大透視図である。
【図4】図3の側面拡大透視図である。
【図5】給気ホースと排気ホースを鞘管内に入れ込んだペアチューブの部分斜視構成図である。
【符号の説明】
【0020】
1 キッチンキャビネット
1a 収納空間
1c 扉
2 ファン収容ユニット(同時給排気装置)
2a 上板
2b 底板
2c,2d 側板
2e 背板
2f 前板
2g 仕切板
2h 吹出口
2i 吸込口
3 給気ホース
4 排気ホース
6 換気扇
7 給気ダクト
7a 給気ファン
7b モーター
8 排気ダクト
8a 排気ファン
8b モーター
10 鞘管
HI 部屋(屋内)
HO 屋外
Sa 給気側室
Sb 排気側室
Ra 給気路
Rb 排気路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に収納空間を有するキャビネット内部と屋外とを連通する給気路と、
該給気路の途中に設けられ、該給気路を通じて屋外からキャビネット内部へ給気する給気ファンと、
キャビネット内部と屋外とを連通する排気路と、
該排気路の途中に設けられ、該排気路を通じてキャビネット内部から屋外へ排気する排気ファンと、
を備えたことを特徴とする給排気装置。
【請求項2】
前記給気ファンと排気ファンがキャビネット内に設けられたファン収容ユニット内に設置されていることを特徴とする請求項1に記載の給排気装置。
【請求項3】
キャビネット内部へ向かって給気を吹き出す前記給気路の吹出口と、キャビネット内部の空気を吸い込む前記排気路の吸込口は、前記ファン収容ユニットの異なる面に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の給排気装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−148437(P2009−148437A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−329393(P2007−329393)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】