説明

給水システム

【課題】
止水弁の二次側に複数個以上の吐水装置を備えていても、止水操作時に直ちに吐水を停止することのできる給水システムを提供すること。
【解決手段】
天井用シャワーノズル40a,40b,40c,40dと、止水弁22とが備えられ、天井用シャワーノズル40a,40b,40c,40d毎に分岐されそれぞれが互いに連通接続される分岐配管部38a,38b,38c,38dが設けられるとともに天井用シャワーノズル40a,40b,40c,40dと止水弁22とを連通接続する吐水装置用配管39が備えられ、分岐配管部38a,38b,38c,38dが天井用シャワーノズル40a,40b,40c,40dよりも鉛直方向上方に配設された給水システム1において、天井用シャワーノズル40a,40b,40c,40dのそれぞれに、逆止弁ユニット80を内蔵した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は給水システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2以上の吐水装置を備えた給水システムが知られている。例えば、吐水範囲を大きくとって十分に吐水や散水等を浴びることができるようにするために、複数のミストシャワーを備えたシャワー装置や複数の噴霧シャワー吐水口を備えた給水システムが知られている(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−263814号報(図1、図2等)
【特許文献2】特開平6−142001号公報(図1、図2等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の給水システムでは、以下のような問題があった。これらの給水システムでは、複数のミストシャワーや噴霧シャワー吐水口等(以下、「吐水装置」とする)を開閉する止水弁と各吐水装置とが配管によって接続されているが、止水時に、いずれかの吐水装置からエアを吸い込んだ結果、別の吐水装置から、止水時において止水弁より二次側の配管内に滞留していた湯水が流れ落ちることとなってしまっていた。このため、止水操作をしても直ちに止水がなされないこととなり、また、複数の吐水装置に接続するように取り回されるため流路が長くなった配管中の大量の湯水が流れ落ちるため、止水不良が生じているものと使用者が誤認をするおそれがあった。
【0005】
本発明は前述した従来の給水システムの問題点を解決するものであり、止水弁の二次側に複数個以上の吐水装置を備えていても、止水操作時に直ちに吐水を停止することのできる給水システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の手段は、
湯水を吐水する複数個以上の吐水装置と、該吐水装置への湯水の供給と吐止水を行う止水弁とが備えられ、
前記吐水装置毎に分岐されそれぞれが互いに連通接続される分岐配管部が設けられるとともに前記複数個以上の吐水装置と前記止水弁とを連通接続する吐水装置用配管が備えられ、
前記吐水装置用配管の少なくとも一部は、前記吐水装置よりも鉛直方向上方に配設された給水システムであって、
前記各吐水装置毎に、前記分岐配管部又は前記分岐配管部の二次側に逆止弁が設けられたことを特徴とするものである。
【0007】
複数個以上の吐水装置が備えられ、これらの各吐水装置に、互いに連通接続される分岐配管部を備える吐水装置用配管を介して止水弁が連通接続される給水システムにおいて、分岐配管部を含む吐水装置用配管の少なくとも一部が吐水装置よりも鉛直方向上方寄りに配設される場合がある。このような給水システムにおいては、止水時に、いずれかの吐水装置からエアを吸い込み、別の吐水装置から、止水時において止水弁より二次側の配管内に滞留していた湯・水の一部又は全部が流れ落ちることとなってしまう。しかしながら、本発明の給水システムにおいては、複数個以上の各吐水装置毎に、分岐配管部又は分岐配管部の二次側に逆止弁が設けられているので、止水弁による止水時においても、吐水装置毎に滞留水の流下を防止することができる。よって、いずれの吐水装置からもエアの吸い込みを防止でき、したがって、いずれの吐水装置についても湯水の流れ落ちを回避し直ちに止水を行うことができる。
【0008】
ここで、本発明において「吐水装置」は、通常の吐水口、シャワー装置、ミストシャワー装置、噴霧シャワー装置等の吐水を行う装置を広く含む主旨である。また、吐水装置用配管の少なくとも一部が吐水装置よりも鉛直方向上方寄りに配設されていなければ、前述したような滞留水の流下がそもそも生じないが、「前記吐水装置用配管の少なくとも一部は、前記吐水装置よりも鉛直方向上方に配設された給水システム」であれば、前述のような滞留水の流下が生じ得る。よってまた、分岐配管部を含む吐水装置用配管のうちのいずれかの部位において少なくとも吐水装置よりも鉛直方向上方に位置することになっていれば、本発明の適用により、止水弁より二次側の滞留水の一部又は全部の流下を防止することができる。また、全ての吐水装置について滞留水の流下を防止するためには、それぞれの吐水装置毎に、分岐配管部又は分岐配管部の二次側に逆止弁を設ければ良い。よって分岐配管部、吐水装置又は分岐配管部と吐水装置との間に、逆止弁を設けるなどとすれば良い。
【0009】
本発明の第二の手段は、前述の給水システムにおいて、
前記逆止弁が、前記吐水装置に内蔵されたことを特徴とするものである。
【0010】
各吐水装置に逆止弁を内蔵することとしたので、配管類はそのままにして吐水装置の交換のみで前述した滞留水の流下を防止することができる。また、配管類に逆止弁を設ける場合に比べて、給水システムの二次側末端の吐水装置に逆止弁を内蔵しているので、逆止弁のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0011】
本発明の第三の手段は、前述の第一又は第二の手段の給水システムにおいて、
前記吐水装置が、トップシャワーに用いられるものであることを特徴とするものである。
【0012】
「トップシャワー」とは、利用者の身体全体への散水を目的として、一般的な利用者の身体上部付近より高い位置から散水可能な高さに配設されたシャワー装置を指す。このようなトップシャワーを備える従来の給水システムでは、止水操作が行われても利用者の身体上部よりも高い位置から滞留水の流下が生じるため、利用者が不必要に散水を浴び、また、上方から滞留水が流下するため、止水不良であるとの誤認を受けやすいのであるが、本発明を適用することにより、トップシャワーにおいて特に問題となりやすい滞留水の流下及び止水不良との誤認を防止することができる。
【0013】
本発明の第四の手段は、前述の第一又は第二の手段の給水システムにおいて、
前記吐水装置が、プールに入る前に利用者が身体を洗浄する際に利用者の上方から湯・水を吐出するプール洗体シャワーの天井用シャワーノズルであることを特徴とするものである。
【0014】
プール洗体シャワーには多数の天井用シャワーノズルが備えられ、止水弁からそれらの天井用シャワーノズルに接続するための配管が長く引き回されるため止水時に大量の湯・水が滞留する。そして、止水時にこの大量の滞留水が天井方向から流れ落ちるため、特に問題となりやすい。よって、本発明を適用することによりこの問題点を大きく改善することができる。
【0015】
本発明の第五の手段は、前述の第二から第三の手段の給水システムにおいて、
前記逆止弁がユニット化され、前記吐水装置に内蔵されたことを特徴とするものである。
【0016】
吐水装置に内蔵される逆止弁を逆止弁ユニット等ユニット化されたものを用いることにより、逆止弁のメンテナンスを容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の給水システムは前述のように構成されているので、止水弁による止水時に、直ちに止水を行うことができ、また、止水不良との誤認を受けるおそれを減少させることができる。また、特に第二・第五の手段の給水システムにおいては、逆止弁を吐水装置に内蔵することとしたので、吐水装置を変更するだけで既存の給水システムにおいても同様の効果を得ることができ、また、逆止弁のメンテナンスコストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の給水システムの概要を示す給水システムの正面側概要図である。
【図2】図1の給水システムの天井用シャワーノズル周りの斜視図である。
【図3】図2の天井用シャワーノズルの正面視断面図である。
【図4】図2の天井用シャワーノズルの底面図である。
【図5】別の給水システムの構成図である。
【図6】さらに別の給水システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施の形態を図を参考にして詳細に説明する。図1に示されるように、本実施の形態の給水システム1は、プールを利用する前に、利用者が身体を洗浄するためのプール洗体シャワーとして用いられるものである。しかしながら、本発明の給水システムは、シャワー以外の通常の吐水口、ミストシャワー、浴室に用いられるシャワー装置等、その他の種々の吐水装置を備えたものや、種々の給水システムに適用することが可能である。
【0020】
給水システム1の構成の概要は以下の通りである。給水システム1は、プールの利用者が、入口5方向(図1の左側寄り)から出口6方向(図1の右側寄り)に向かって自足歩行する途中に、天井2に設置された熱感知センサー3が利用者を検知して、所定時間、本発明の「吐水装置」に相当する天井用シャワーノズル40a,40b,40c,40dから散水を行って利用者の身体を洗浄するものである。
【0021】
給水システム1は、機械室10に設置された給湯ユニット12等が制御盤(図示省略)により制御されて吐止水を行うように構成されている。給湯ユニット12には、シャワーエリア11に設置されて電磁駆動される止水弁22に連通される配管16が接続されている。配管16は、機械室10からシャワーエリア11の天井2の裏側に引き回されており、天井用シャワー本体32に連通される止水弁22に接続されている。
【0022】
また、止水弁22には、天井シャワー配管30が接続されており、この天井シャワー配管30の他端側には天井用シャワー本体32が接続されている。図1、図2にも示されるように、天井用シャワー本体32には、天井シャワー配管30に接続される接続部34と、接続部34に連通接続されるとともに平面視矩形状に周回して配設される周回配管部36と、周回配管部36の4つの角部から下方に連通して垂設される分岐配管部38a,38b,38c,38dと、天井2の表側に露呈される分岐配管部38a,38b,38c,38dの先端にそれぞれ接続された天井用シャワーノズル40a,40b,40c,40dが備えられている。本例においては、止水弁22の二次側のうち、天井シャワー配管30、接続部34、周回配管部36及び分岐配管部38a,38b,38c,38dが本発明に言う吐水装置用配管39に相当する。
【0023】
本実施の形態では、前述の通り分岐配管部38a,38b,38c,38dが互いに連通されており、本発明に言う「吐水装置毎に分岐されるとともにそれぞれが互いに連通接続される分岐配管部」とされている。また、止水弁22から二次側の吐水装置用配管39の全てが、本発明に言う「吐水装置(天井用シャワーノズル40a,40b,40c,40d)よりも鉛直方向上方に配設」されたものとなっている。ここで、本発明に言う「前記吐水装置用配管の少なくとも一部は、前記吐水装置よりも鉛直方向上方に配設された」とは、給水システム1の例に限られず、例えば、図5に示されるように、止水弁Aは吐水装置Bよりも鉛直方向下方にあるが、吐水装置用配管Cの一部が吐水装置Bよりも鉛直方向上方に配設されている態様や、図6に示されるように、吐水装置Bは床面D下に配設されており吐水装置用配管Cの大部分は床面D下、すなわち吐水装置Bよりも鉛直方向下方に配設されているが、止水弁Aから垂下する吐水装置用配管Cの一部は吐水装置Bよりも鉛直方向上方に配設されている態様等においても、分岐配管部E又は分岐配管部Eの二次側に逆止弁Fを設けることとすれば、後述するように、止水弁Aの止水操作時にも、いずれかの吐水装置Bから、止水弁Aの二次側の滞留水の一部又は全部が流下してしまうことを防止することができる。
【0024】
また、天井用シャワー本体32よりもシャワーエリア11の入口5寄り(図1における左側寄り)の天井2には、利用者Aを検知して天井用シャワーノズル40a,40b,40c,40d等からの吐水を開始させるための二つの熱感知センサー3が設けられている。
【0025】
次いで、天井用シャワーノズル40a,40b,40c,40dについて説明する。天井用シャワーノズル40a,40b,40c,40dは、天井2から利用者に向けて吐水されるように設けられており、いわゆる「トップシャワー」の一種として用いられる。共通する構成を採用する各天井用シャワーノズル40a,40b,40c,40dの詳細について、図3及び図4に示されるように、天井用シャワーノズル40aを例にとって説明する。天井用シャワーノズル40aは、その内部に逆止弁ユニット80を取り外し自在に内蔵して、その先端に取り付けられたシャワーフェイス72からシャワー散水を吐出させるものである。
【0026】
天井用シャワーノズル40aには、天井用シャワー本体32の分岐配管部38aの先端に接続される第一ジョイント42と、この第一ジョイント42に螺着固定される第二ジョイント50と、両ジョイント42,50が組み付けられて形成される収容室57内に取り外し自在に内蔵される逆止弁ユニット80と、球状に形成された第二ジョイント50の接続部54の先端側にナット62によって首振り揺動自在に取り付けられたシャワーカバー64と、シャワーカバー64の先端側の第二開口部69内に螺着固定されたシャワーフェイス72とが備えられている。
【0027】
第一ジョイント42は、外周面に雄ねじ45が刻設された小径部44と、内周面に雌ねじ47が刻設された大径部46とを連設して形成されており、送り座48を小径部44周りに取り付けた上で、小径部44が分岐配管部38aの先端に螺着固定されている。また、第一ジョイント42の大径部46内には、その内周面の雌ねじ47に螺着されて、第二ジョイント50が固定されている。
【0028】
第二ジョイント50には、その一部が第一ジョイント42の大径部46内に螺着される円筒部52と、円筒部52と反対側に、外形が球状に形成されるとともに、円筒部52内と連通する連通孔55がその内部に形成された接続部54が備えられている。なお、接続部54の連通孔55の開口面積は33.17mm2とされている。円筒部52の外周面には、第一ジョイント42の雌ねじ47に螺着可能な雄ねじ53が刻設されており、この雄ねじ53よりも接続部54寄りの円筒部52外周面には、第一ジョイント42の大径部46の開口端面と当接して、第一ジョイント42に対する第二ジョイント50のねじ込み量を規制して位置決めを行うフランジ56が周設されている。そして、螺着された状態の第一ジョイント42の大径部46と第二ジョイント50の円筒部52の第一開口部51により、逆止弁ユニット80を収容固定する収容室57が形成されている。
【0029】
第二ジョイント50の接続部54には、接続部54の先端側に円筒状のパッキン58が配設され、また、接続部54の基端側にリング状のストッパー60が配設された状態で、これらの接続部54、ストッパー60、パッキン58を収容保持するようにして、ナット62が後述するシャワーカバー64に螺着されており、このようにして第二ジョイント50にシャワーカバー64が固定されている。
【0030】
シャワーカバー64の一端側の小径部66には、前述したナット62が螺着される雄ねじ67が刻設されている。また、シャワーカバー64の他端側の大径部68の第二開口部69内には、シャワーフェイス72を螺着固定するための雌ねじ70が刻設されている。
【0031】
シャワーカバー64の他端側の大径部68の第二開口部69内に螺着されたシャワーフェイス72には、図5に示されるように、直径約0.8mmの散水孔74が60個開設されており、その開口総面積が30.144mm2に設けられている。
【0032】
前述した収容室57に内蔵された逆止弁ユニット80は、公知の逆止弁ユニットである。図3に点線及び実線で弁体82が示されるように、バネ81によって上方に付勢される弁体82が上下動して弁口84が開閉されるように構成されている。弁口84の開放時の開口面積は158mm2に設けられている。以上、天井用シャワーノズル40aについて説明した事項は、その他の天井用シャワーノズル40b,40c,40dについても同様である。
【0033】
次いで、給水システム1の使用方法及び作用効果について説明する。図1に示されるように、シャワーエリア11の入口5方向から入ってきた利用者を熱感知センサー3が検知すると、制御盤から止水弁22を所定時間開放するように駆動信号が送信され、熱感知センサー3よりも奥側の天井2に設置された天井用シャワーノズル40a,40b,40c,40dから、所定時間内のみ散水が行われる。天井用シャワーノズル40a,40b,40c,40dは、主として利用者の頭部及び上半身の洗浄を目的として配設されている。この散水時において、各天井用シャワーノズル40a,40b,40c,40dに内蔵された逆止弁ユニット80においては、上方に付勢されている弁体82が一次側の水圧により下方に押し下げられて弁口84が開かれ、散水が可能となる。
【0034】
そして、散水開始から所定時間が経過すると、制御盤から止水弁22を閉止するように駆動信号が送信され、止水弁22が閉止される。この際に、天井用シャワーノズル40a,40b,40c,40dにおいては、逆止弁ユニット80の弁体82が直ちに着座して弁口84が閉じられる。全ての天井用シャワーノズル40a,40b,40c,40dにおいて同様に弁口84が閉じられるので、天井用シャワーノズル40a,40b,40c,40dのいずれかの逆止弁ユニット80の弁口84が開くことにより、この開いた弁口84からエアが入り込み、その結果、他の天井用シャワーノズル40a,40b,40c,40dから滞留水が流れ落ちてしまうことも防止することができる。このようにして、給水システム1において、利用者が通過する際の所定時間のみ散水が行われるように構成されている。
【0035】
ここで、止水弁22が閉止された際に、逆止弁ユニット80の弁口84が閉止されるようにするために、前述の通り、シャワーフェイス72の散水孔74の開口面積aと、逆止弁ユニット80の弁口84よりも二次側の流路において開口面積が最小となる第二ジョイント50の接続部54の連通孔55の開口面積bとは、その比率がa<bとなるように設けられている。a≧bとすると、止水弁22の閉止時に、収容室57内を流れる湯・水の流速の速さにより逆止弁ユニット80の弁口84が確実には閉止されない可能性があるため、止水時に確実に弁口84が閉じられるように構成したものである。このようにa<bとすることにより、シャワーフェイス72の散水孔74における流速と比較して、連通孔55付近の収容室57内の流速が遅くなることにより止水時の弁体82が確実に着座するように設けることができるが、望ましくは、a:b=1:1.1以上とすることが好適である。なお、本実施の形態のように天井用シャワーノズル40a,40b,40c,40dに首振り機能を持たせる場合、シャワーカバー64の首振りの支点となる接続部54の外径を小さくする必要があり、このために、接続部54内の連通孔55の開口面積が制限を受けやすいが、前述したようなシャワーフェイス72の散水孔74の開口総面積との比率において連通孔55の開口面積を確保することにより、逆止弁ユニット80が確実に閉止されるように構成することができる。
【0036】
ここで、比較例1として、シャワーフェイス72の散水孔74は本実施の形態と同様に、開口総面積を30.144mm2とし、接続部54の連通孔55の開口面積を28.26mm2としたところ、止水時において逆止弁ユニット80は十分に閉止することができなかった。また、比較例2として、同様にシャワーフェイス72の散水孔74は本実施の形態と同じく、開口総面積を30.144mm2とし、接続部54の連通孔55の開口面積を32.1536mm2としたところ、止水時において逆止弁ユニット80はほぼ十分に閉止することができた。但し、天井用シャワーノズル40a,40b,40c,40dにおける水圧の変動によって確実な閉止の確率が僅かに変動した。次に、本実施の形態と同様な実施例として、シャワーフェイス72の散水孔74の開口総面積を30.144mm2とし、接続部54の連通孔55の開口面積を33.17mm2としたところ、止水時において逆止弁ユニット80は十分に閉止することができた。
【0037】
本実施の形態は前述のように構成されているが、本発明はこれに限られるものではなく、本発明の趣旨の範囲内において種々の変更が可能である。例えば、前述の例では、逆止弁ユニット80を用いたが、ユニット化されていない逆止弁を直接配設しても良い。しかしながら、メンテナンスコストを低減するためには前述の例のようにユニット化された逆止弁を用いることが望ましい。また、前述の例では、天井用シャワーノズル40a,40b,40c,40dに逆止弁を設けることとしたが、分岐配管部38a,38b,38c,38d内に逆止弁を設けたり、天井用シャワーノズル40a,40b,40c,40dと分岐配管部38a,38b,38c,38dとの間に逆止弁を介装することとしても良い。しかしながら、同様にメンテナンスコストを低減するためには、前述の例のように吐水装置内に逆止弁を内蔵することが望ましい。
【0038】
また、天井用シャワーノズル40a,40b,40c,40d以外にも、その他のシャワー装置を含む吐水装置に本発明を適用することとしても良い。また、浴室内、共同浴室内の吐水装置等のプール洗体シャワー以外の給水システムに本発明を用いることとしても良い。
【0039】
なお、水を散水するプール洗体シャワーとは異なり、浴室内等の湯水を吐水する給水システムに適用する場合、止水弁から二次側の配管内にとどめられた滞留水が冷えて、再度散水を開始した際に利用者が意図しない冷水を浴びてしまうなどの問題が考えられる。このような給水システムの場合には、本発明を適用することにより止水時には直ちに吐水を停止できるように構成するとともに、配管内の滞留水については、吐水停止後十分な所定の時間を経過した後に、電磁駆動される止水弁を開放して利用者の目に付き難い位置に設けられた排出口等から滞留水を排出するなどとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、単水栓、湯水混合水栓、浄水器付き水栓等、種々の水栓、又はシャワー装置、通常の吐水口等、種々の吐水装置を備えた給水システムに広く利用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1;給水システム、2;天井、3;熱感知センサー、5;入口、6;出口、10;機械室、11;シャワーエリア、12;給湯ユニット、16;配管、22;止水弁、30;天井シャワー配管、32;天井用シャワー本体、34;接続部、36;周回配管部、38a,38b,38c,38d;分岐配管部、39;吐水装置用配管、40a,40b,40c,40d;天井用シャワーノズル、42;第一ジョイント、44;小径部、45;雄ねじ、46;大径部、47;雌ねじ、48;送り座、50;第二ジョイント、51;第一開口部、52;円筒部、53;雄ねじ、54;接続部、55;連通孔、56;フランジ、57;収容室、58;パッキン、60;ストッパー、62;ナット、64;シャワーカバー、66;小径部、67;雄ねじ、68;大径部、69;第二開口部、70;雌ねじ、72;シャワーフェイス、74;散水孔、80;逆止弁ユニット、81;バネ、82;弁体、84;弁口、A;止水弁、B;吐水装置、C;吐水装置用配管、D;床面、E;分岐配管部、F;逆止弁。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を吐水する複数個以上の吐水装置と、該吐水装置への湯水の供給と吐止水を行う止水弁とが備えられ、
前記吐水装置毎に分岐されそれぞれが互いに連通接続される分岐配管部が設けられるとともに前記複数個以上の吐水装置と前記止水弁とを連通接続する吐水装置用配管が備えられ、
前記吐水装置用配管の少なくとも一部は、前記吐水装置よりも鉛直方向上方に配設された給水システムであって、
前記各吐水装置毎に、前記分岐配管部又は前記分岐配管部の二次側に逆止弁が設けられたことを特徴とする給水システム。
【請求項2】
前記逆止弁が、前記吐水装置に内蔵されたことを特徴とする請求項1に記載の給水システム。
【請求項3】
前記吐水装置が、トップシャワーに用いられるものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の給水システム。
【請求項4】
前記吐水装置が、プールに入る前に利用者が身体を洗浄する際に利用者の上方から湯・水を吐出するプール洗体シャワーの天井用シャワーノズルであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の給水システム。
【請求項5】
前記逆止弁がユニット化され、前記吐水装置に内蔵されたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の給水システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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