説明

給湯システム

【課題】集合住宅向けの貯湯式給湯機を小型化できると共に、効率的に稼働させることのできる給湯システムを提供する。
【解決手段】各貯湯式給湯機1は、高温水を供給し合えるようにするための連結配管3に接続されている。集中コントロ−ラ2は、各貯湯式給湯機1から、その運転状態や貯湯量を示す状態データを収集し、収集した状態データと、運転モード決定条件と、に基づいて、各貯湯式給湯機1毎の運転モードを決定し、決定した運転モードを当該貯湯式給湯機1に通知する。各貯湯式給湯機1は、通知された運転モードが、複数の貯湯式給湯機1の協同運転を示すものであり、依存側であることを示すものであれば、当該貯湯式給湯機1を、他の貯湯式給湯機1から高温水の供給を受けるように制御し、一方、被依存側であることを示すものであれば、当該貯湯式給湯機1を、他の貯湯式給湯機1に高温水を供給するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の貯湯式給湯機から構成される給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
貯湯式給湯機は、ランニングコストが安いというメリットがあり、アパートなどの集合住宅においても、各住戸に設置されるケースが多い。このような集合住宅では、貯湯式給湯機は、ベランダなどの限られたスペースに設置しなければならないため、その小型化の要請は高い。
【0003】
通常、貯湯式給湯機の大きさは、タンクユニット、より詳細には、貯湯タンクの大きさに依存するが、貯湯タンクを小さくしてしまうと、湯切れしやすくなってしまうとう問題がある。
【0004】
この点に関し、例えば、特許文献1(第3実施例、第5及び第6図)には、ベランダなどに設置する場合に、壁面に密着させて据えつけられるようにするため、貯湯タンクを複数に分割し、薄形に構成した給湯装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1−163553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の給湯装置においては、分割しているものの、そもそものタンク容量に変わりはないため、小型化の要請に応えるものではない。
【0007】
ところで、上記の給湯装置など、従来においては、集合住宅に設置される貯湯式給湯機であっても、住戸毎に個別に、それぞれ独立して設置されるのが一般的である。そうすると、給湯負荷の大きい住戸では、貯湯式給湯機の運転において、沸上げ温度を高くしたり、追加沸上げを行うなどして対応する必要があった。その一方、同じ集合住宅の給湯負荷の小さい他の住戸では、終日、十分な貯湯量のまま維持されることもあった。
【0008】
以上のように、集合住宅向けの貯湯式給湯機おいては、小型化や効率的に稼働させるための更なる工夫が求められているのが実情である。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、複数の貯湯式給湯機において、貯湯水を供給し合えるように構成し、必要に応じて協同運転させることで、各貯湯式給湯機を小型化できると共に、効率的に稼働させることのできる給湯システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る給湯システムは、
複数の貯湯式給湯機と、該複数の貯湯式給湯機それぞれと通信可能に接続し、各貯湯式給湯機の運転動作を制御する集中コントローラと、を備え、
前記各貯湯式給湯機は、
それぞれの貯湯水を供給し合えるようにするための第1の連結配管に接続し、
ヒートポンプユニットと、
貯湯タンクユニットと、
前記集中コントローラと通信可能に接続し、前記集中コントローラから通知される運転モードに従って、前記ヒートポンプユニット及び前記貯湯タンクユニットを制御するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、当該貯湯式給湯機における現在の運転状態を示す情報と、現在の貯湯量を示す情報と、からなる状態データを所定のタイミングで前記集中コントローラに送信し、
前記集中コントロ−ラは、
前記各貯湯式給湯機の前記コントローラから収集した前記状態データと、前記運転モードを決定するために予め定義された運転モード決定条件と、に基づいて、各貯湯式給湯機に対応した運転モードをそれぞれ決定し、決定した運転モードを当該貯湯式給湯機に通知し、
前記各貯湯式給湯機のコントローラは、前記通知された運転モードが、複数の貯湯式給湯機が協同して運転することを示すものである場合であって、他の貯湯式給湯機の協力を得て運転動作する側であることを示すものであれば、当該貯湯式給湯機を、他の貯湯式給湯機から前記貯湯水の供給を受けるように制御し、一方、他の貯湯式給湯機の運転動作を協力する側であることを示すものであれば、当該貯湯式給湯機を、他の貯湯式給湯機に前記貯湯水を供給するように制御する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数の貯湯式給湯機の相互間で貯湯水を供給し合えるように構成し、必要に応じて、複数の貯湯式給湯機が協同運転できるようにしたため、各貯湯式給湯機を小型化できると共に、効率的に稼働させるさせることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態1に係る給湯システムの構成を示す図である。
【図2】実施形態1の貯湯式給湯機の構成を示す図である。
【図3】実施形態1における運転モード1の場合の貯湯式給湯機の運転動作を説明するための図である。
【図4】実施形態1における運転モード2の場合の貯湯式給湯機の運転動作を説明するための図である。
【図5】実施形態1における運転モード3の場合の貯湯式給湯機の運転動作を説明するための図である。
【図6】実施形態1における運転モード4の場合の貯湯式給湯機の運転動作を説明するための図である。
【図7】実施形態1における運転モード5の場合の貯湯式給湯機の運転動作を説明するための図である。
【図8】実施形態1における運転モード6の場合の依存側の貯湯式給湯機の運転動作を説明するための図である。
【図9】実施形態1における運転モード6の場合の被依存側の貯湯式給湯機の運転動作を説明するための図である。
【図10】実施形態1における運転モード7の場合の依存側の貯湯式給湯機の運転動作を説明するための図である。
【図11】実施形態1における運転モード7の場合の被依存側の貯湯式給湯機の運転動作を説明するための図である。
【図12】実施形態1の集中コントローラが実行する運転モード決定処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】実施形態1において、運転モード1〜7に対応する運転モード決定条件の一例を示す図である。
【図14】本発明の実施形態2に係る給湯システムの構成を示す図である。
【図15】実施形態2の貯湯式給湯機の構成を示す図である。
【図16】実施形態2において、運転モード8に対応する運転モード決定条件の一例を示す図である。
【図17】実施形態2における運転モード8の場合の依存側の貯湯式給湯機の運転動作を説明するための図である。
【図18】実施形態2における運転モード8の場合の被依存側の貯湯式給湯機の運転動作を説明するための図である。
【図19】本発明の実施形態3に係る給湯システムの構成を示す図である。
【図20】実施形態3の貯湯式給湯機の構成を示す図である。
【図21】実施形態3において、運転モード9に対応する運転モード決定条件の一例を示す図である。
【図22】実施形態3における運転モード9の場合の依存側の貯湯式給湯機の運転動作を説明するための図である。
【図23】実施形態3における運転モード9の場合の被依存側の貯湯式給湯機の運転動作を説明するための図である。
【図24】本発明の実施形態4に係る給湯システムの構成を示す図である。
【図25】実施形態4の貯湯式給湯機の構成を示す図である。
【図26】実施形態4において、運転モード10に対応する運転モード決定条件の一例を示す図である。
【図27】実施形態4における運転モード10の場合の依存側の貯湯式給湯機の運転動作を説明するための図である。
【図28】実施形態4における運転モード10の場合の被依存側の貯湯式給湯機の運転動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る給湯システムについて、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る給湯システム100の構成を示す図である。この給湯システム100は、複数の住戸5(住戸5A,5B,…)からなる集合住宅に導入され、複数の貯湯式給湯機1(貯湯式給湯機1A,1B,…)、集中コントローラ2と、から構成される。
【0015】
貯湯式給湯機1は、各住戸5毎に設置され、本実施形態では、それぞれの仕様(構造、性能等)は同一である。また、各貯湯式給湯機1は、詳細は後述するが、貯湯水を供給し合えるように連結配管3(第1の連結配管)により相互に接続されている。
【0016】
集中コントローラ2は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、読み書き可能な不揮発性の半導体メモリあるいはハードディスクドライブ、所定の通信インタフェース、所定の入出力インタフェースなど(何れも図示せず)から構成される。集中コントローラ2は、各貯湯式給湯機1と所定の通信線4を介して、データ通信可能に接続されている。集中コントローラ2は、予めROMなどに記憶されている制御プログラムに従って、各貯湯式給湯機1から、その状態に係るデータ(状態データ)を収集すると共に、各貯湯式給湯機1を制御するための運転制御データを生成し、各貯湯式給湯機1に対して送信する。なお、集中コントローラ2と、各貯湯式給湯機1と、を所定の無線通信方式にてデータ通信ができるように構成してもよい。
【0017】
図2は、貯湯式給湯機1の構成を示す図である。貯湯式給湯機1は、ヒートポンプユニット10と、タンクユニット11と、から構成されている。
【0018】
ヒートポンプユニット10は、例えばCO2やHFC(ハイドロフルオロカーボン)などを冷媒に用いたヒートポンプである。ヒートポンプユニット10は、何れも図示しないが、圧縮機と、水と冷媒熱交換する水熱交換器(凝縮器)と、外気と熱交換する空気熱交換器(蒸発器)と、電子膨張弁と、から構成される。ヒートポンプユニット10は、貯湯用循環管路16を介してタンクユニット11側から流入する低温水を目標の貯湯温度まで昇温加熱する。
【0019】
タンクユニット11は、貯湯タンク12、コントローラ13、流量センサ14、負荷側熱交換器15、混合弁V1〜V3、温度センサT1〜T5、ポンプP1、P2などから構成される。貯湯タンク12は、温水(貯湯水)を貯留するための柱状の容器であり、ステンレスなどの金属又は樹脂などで形成されている。また、貯湯タンク12の外側には断熱材(図示せず)が配置されている。これにより、貯湯タンク12内で、高温の湯(以下、高温水という。)を長時間に渡って保温することができる。なお、図2では、貯湯タンク12を1つだけ示しているが、さらに多くの数の貯湯タンク12を備えるようにしてもよい。
【0020】
コントローラ13は、CPU、ROM、RAM、所定の通信インタフェースなど(何れも図示せず)から構成され、当該貯湯式給湯機1を統括制御する。コントローラ13は、図示しない通信線を介して、当該タンクユニット11の上述した各構成部やヒートポンプユニット10の図示しない制御基板と通信可能に接続され、これらと各種信号の送受を行う。
【0021】
また、コントローラ13は、通信線4を介して、データ送受可能に集中コントローラ2と接続されている。さらに、コントローラ13は、当該住戸5の浴室や台所などに設置される給湯用のリモコン(図示せず)にも図示しない通信線を介して接続されている。当該住戸5の居住者(ユーザ)は、このリモコンを操作して、貯湯式給湯機1に給湯などの運転を行わせることができる。リモコンの表示画面には、貯湯式給湯機1の運転状態や貯湯状態などが表示される。
【0022】
流量センサ14は、貯湯式給湯機1から当該住戸5に供給される湯水の流量を検出し、その検出結果をコントローラ13に出力する。混合弁V2は、三方弁であり、ユーザから給湯要求があった際、供給される湯水が所望の温度となるように、貯湯タンク12上部の高温水と市水とを混合するために設けられている。温度センサT1〜T5は、貯湯タンク12の上下方向に沿って、所定の間隔で設置され、設置箇所に対応する層の貯湯水の温度を検出する。温度センサT1〜T5は、それぞれの検出結果(センサ温度)を所定のタイミング(例えば、一定時間毎など)でコントローラ13に出力する。
【0023】
コントローラ13は、温度センサT1〜T5のセンサ温度に基づいて、貯湯タンク12の貯湯量を算出する。貯湯量は以下の式を用いることで算出できる。
【0024】
貯湯量[kcal]=水比熱[kcal/kg・K]×水密度[kg/L]×水量[L]×(センサ温度[℃] − 市水温度[℃])…(1)
【0025】
上記の式1では、温度センサT1〜T5に対応する層の貯湯量が求められる。ここで、水量は、温度センサT1〜T5に対応する層の水量である。コントローラ13は、上記の式1により、温度センサT1〜T5に対応する各層の貯湯量を算出し、これらを合算することで、タンク貯湯量を求める。また、コントローラ13は、式1において、センサ温度を中温水域(例えば、20〜40℃)のみを有効として積分するなどして、中温水量[kcal]を算出する。
【0026】
負荷側熱交換器15は、貯湯タンク12の貯湯エネルギーを放熱して、例えば、当該住戸5の浴槽の追焚や床暖房などに利用するために使用される。
【0027】
混合弁V3は、連結配管3と接続される。各貯湯式給湯機1は、混合弁V3、連結配管3を介して、他の貯湯式給湯機1に高温水を供給し、あるいは、他の貯湯式給湯機1から、連結配管3、混合弁V3を介して高温水の供給を受けることができる。
【0028】
本実施形態の給湯システム100では、各貯湯式給湯機1は、運転モード1〜7に応じた運転を行う。運転モードの決定は、集中コントローラ2が行う(詳細は後述する。)。
【0029】
(運転モード1)
先ず、図3を参照して、運転モード1における貯湯式給湯機1の運転動作について説明する。運転モード1では、貯湯式給湯機1は、他の貯湯式給湯機1に依存せず、自己の熱源(即ち、ヒートポンプユニット10)のみを使用した沸上げ運転を行う。この運転では、貯湯水が貯湯用循環管路16を循環することで加熱される。即ち、貯湯タンク12の下部から流出した低温水が、ヒートポンプユニット10に流入し、ヒートポンプユニット10で沸上げられて高温水となり、貯湯タンク12の上部に流入する。この運転モード1の運転は、通常、電力料金が安価な夜間に行われるが、貯湯量が不足する場合には、湯切れを防ぐため、昼間にも運転を行うことができる。
【0030】
(運転モード2)
次に、図4を参照して、運転モード2における貯湯式給湯機1の運転動作について説明する。運転モード2では、貯湯式給湯機1は、他の貯湯式給湯機1に依存せず、自己の貯湯タンク12に貯湯された高温水のみを用いて給湯動作を行う。ユーザが、台所の蛇口を開いたり、あるいは湯張りなどのためにリモコンを操作すると、混合弁V2にて、貯湯タンク12上部の高温水と市水が所望の温度に混合され、当該給湯端末(台所の蛇口や、浴槽の出湯口など)へ供給される。この際、貯湯タンク12では、その上部から流出した高温水の体積分、水道圧により、下部から市水が供給される。貯湯タンク12内では、高温水と低温水が密度差により分離した状態(温度境界層が形成される)で貯湯状態が維持される。
【0031】
(運転モード3)
次に、図5を参照して、運転モード3における貯湯式給湯機1の運転動作について説明する。運転モード3では、貯湯式給湯機1は、他の貯湯式給湯機1に依存せず、自己の貯湯タンク12の高温水と中温水を利用した給湯動作を行う。
【0032】
貯湯タンク12の内部では、上層に高温水、下層に低温水が温度境界層を介して共存しており、この温度境界層には、水温が20〜40℃程度の給湯において利用に適さない中温水が存在する。中温水は、このままでは給湯利用できないため、ヒートポンプ10で沸上げて昇温する必要がある。しかし、中温水の沸上げ運転は、ヒートポンプ10の特性上、効率がよくない。
【0033】
これを防止するため、運転モード3の運転動作では、図5に示すように、貯湯タンク12の中央部付近から中温水を抜き出し、高温水と混ぜて給湯する。これにより貯湯タンク12内部の中温水量を減らすことができるため、貯湯運転(即ち、沸上げ運転)の際、ヒートポンプ10の運転効率が向上する。
【0034】
(運転モード4)
次に、図6を参照して、運転モード4における貯湯式給湯機1の運転動作について説明する。運転モード4では、貯湯式給湯機1は、浴槽の追焚や床暖房などに利用するため、負荷側熱交換器15にて、貯湯タンク12側の貯湯エネルギーを放熱する動作を行う。
【0035】
この場合、貯湯タンク12内の上部から流出した高温水は、混合弁V1、V3を経て、負荷側熱交換器15へ至る。そして、負荷側熱交換器15にて、負荷側循環管路17を循環する負荷側熱媒体(水やブライン)と熱交換する。高温水は、熱交換後に中温水となり、貯湯タンク12の中央部付近からタンク内に注入される。また、熱交換により昇温した負荷側熱媒体の熱エネルギーは、浴槽の追焚や床暖房などに利用される。
【0036】
(運転モード5)
次に、図7を参照して、運転モード5における貯湯式給湯機1の運転動作について説明する。運転モード5では、複数の貯湯式給湯機1が協同した運転動作を行う。このモードでは、給湯要求があった貯湯式給湯機1は、自己の高温水あるいは中温水に加えて、他の貯湯式給湯機1に貯湯されている高温水も利用した給湯動作を行う。この運転が開始されると、給湯要求があった貯湯式給湯機1では、混合弁V3が作動し、連結配管3を経由して他の貯湯式給湯機1からの高温水が混合弁V1まで導かれる。そして、混合弁V1にて、自己の高温水と他から供給された高温水が混合される。混合の割合は、混合弁V1の開度を変化させることで、調整することができる。
【0037】
以降、沸上げ、給湯、放熱などの運転要求があった際に、かかる要求に応えるため、他の貯湯式給湯機1の協力を得て運転動作する側の貯湯式給湯機1を依存側と称し、依存側の貯湯式給湯機1に協力する側の貯湯式給湯機1を被依存側と称する。
【0038】
このように、自己の貯湯タンク12の貯湯量が少ない場合や、ほとんどない場合であっても、他の貯湯式給湯機1から高温水の供給を受けられるため、ヒートポンプ10を起動させることなく、湯切れを防止することができる。
【0039】
また、一般的に、ヒートポンプ10は中温水を沸上げると効率が低下するが、上記のように他からの高温水を利用することで、自己の貯湯タンク12内において、中温水を残さずに消費することが可能となる。このため、夜間などでの通常の沸上げ運転の際、ヒートポンプ10を高効率で動作させて沸上げることが可能となる。
【0040】
(運転モード6)
次に、運転モード6における貯湯式給湯機1の運転動作について説明する。運転モード6では、運転モード5と同様、複数の貯湯式給湯機1が協同した運転動作を行う。このモードでは、依存側の貯湯式給湯機1は、自己の高温水及び中温水に加えて、他(被依存側)の貯湯式給湯機1に貯湯されている高温水及び中温水も利用した給湯動作を行う。
【0041】
図8は、運転モード6における依存側の貯湯式給湯機1の動作を説明するための図であり、図9は、運転モード6における被依存側の貯湯式給湯機1の動作を説明するための図である。
【0042】
この場合、被依存側の貯湯式給湯機1では、図9に示すように、高温水と中温水を混合した高中混合水を生成し、連結配管3を介して、依存側の貯湯式給湯機1に供給する。この高中混合水は、図8に示すように、依存側の貯湯式給湯機1において、混合弁V3にて中温水と混合された後、混合弁V1まで導かれる。この混合水は、混合弁V1にて、さらに高温水と混合されて、給湯される。
【0043】
運転モード6では、依存側の貯湯式給湯機1において、給湯要求(給湯負荷)が発生した際、被依存側の(即ち、他の)貯湯式給湯機1の中温水を抜き出すことができる。これにより、給湯負荷が発生していない貯湯式給湯機1の貯湯タンク12から中温水を排出することが可能となる。
【0044】
一般に、給湯負荷が少ないと、貯湯タンク12内の中温水が多量に発生してしまい貯湯(沸上げ)運転の際の効率低下を招いてしまう。しかし、本実施形態の給湯システム100では、このように、当該集合住宅の何れかの住戸5において、給湯負荷が小さい場合であっても、他住戸の給湯に合わせて、貯湯タンク12から中温水を排出することができる。したがって、中温水の増加に起因した貯湯効率の低下を防止することができる。
【0045】
なお、中温水をより早く排出する観点から、被依存側の貯湯式給湯機1から中温水のみを取り出して、依存側の貯湯式給湯機1に供給するようにしてもよい。
【0046】
(運転モード7)
次に、運転モード7における貯湯式給湯機1の運転動作について説明する。運転モード7では、運転モード5、6と同様、複数の貯湯式給湯機1が協同した運転動作を行う。このモードでは、図10及び図11に示すように、依存側の貯湯式給湯機1は、貯湯運転中に給湯負荷が発生した際、自己のヒートポンプユニット10で沸上げた高温水と、貯湯運転中の被依存側の貯湯式給湯機1のヒートポンプユニット10で沸上げた高温水と、を直接給湯に利用する動作を行う。これにより、貯湯量が少ない場合に発生した大きな給湯負荷に対して、即座に対応することができる。
【0047】
なお、依存側の貯湯式給湯機1において貯湯運転中でない、即ち、ヒートポンプユニット10が稼働していない場合は、被依存側の貯湯式給湯機1のヒートポンプユニット10で沸上げた高温水のみを直接給湯に利用する。このようにすれば、自己のヒートポンプユニット10の起動に係るエネルギーの消費を抑えることができる。
【0048】
図12は、各貯湯式給湯機1の運転モードを決定する処理(運転モード決定処理)の手順を示すフローチャートである。運転モード決定処理は、集中コントローラ2によって、所定のタイミングで(例えば、一定時間毎に)実行される。
【0049】
先ず、集中コントローラ2は、各貯湯式給湯機1から状態データを取得する(ステップS101)。この場合、例えば、集中コントローラ2は、各貯湯式給湯機1のコントローラ13に対して、状態データの送信を要求するメッセージ(状態データ送信要求メッセージ)を送信する。各貯湯式給湯機1のコントローラ13は、かかる状態データ送信要求メッセージに応答して、状態データを作成し、作成した状態データと、自己のIDと、を含む応答メッセージを集中コントローラ2に送信する。集中コントローラ2は、受信した応答メッセージから状態データを抽出して取得する。
【0050】
この状態データには、当該貯湯式給湯機1のコントローラ13が算出した貯湯タンク12の貯湯量及び中温水量と、運転状態を示す情報(運転状態情報)と、が含まれる。運転状態情報には、例えば、現在運転中であるか否かを示す情報、運転モード、運転要求の有無を示す情報、運転要求の種別を示す情報(運転要求の有りの場合)などが格納されている。本実施形態では、運転要求の種別として、「沸上げ」、「給湯」、「放熱」の3つが用意されている。
【0051】
以上のようにして、各貯湯式給湯機1から状態データを取得すると、集中コントローラ2は、各貯湯式給湯機1の貯湯レベルを求める(ステップS102)。より詳細には、集中コントローラ2は、当該状態データから貯湯量及び中温水量を抽出し、これらの量が多いか少ないかを判別する。判別結果は、それぞれに対応して設けられたフラグ(貯湯量フラグ、中温水量フラグ)に設定される。
【0052】
例えば、貯湯量が42℃の湯水換算で50L以上である場合には、当該貯湯量は多量であるとして、貯湯量フラグをON(1)に設定し、50L未満である場合には、少ないものとして、OFF(0)に設定する。また、中温水量については、市水温度換算で50L以上の場合は、多量であるとして、中温水量フラグをON(1)に設定し、50L未満である場合には、少ないものとして、OFF(0)に設定する。
【0053】
以上のようにして、全ての貯湯式給湯機1についての貯湯量レベルを求めると、次に、集中コントローラ2は、求めた貯湯レベルと、状態データから抽出した運転状態情報と、予め決められた、運転モードの決定に関する条件(運転モード決定条件)と、に基づいて、各貯湯式給湯機1の運転モードを決定する(ステップS103)。
【0054】
図13は、運転モード決定条件の一例を示す図である。この運転モード決定条件に基づくと、例えば、自己の運転種別が“沸上げ”のみである貯湯式給湯機1は、“運転モード1”に決定される。また、自己の運転種別が“給湯”であって沸上げでなく、貯湯量が多く中温水量が少ない貯湯式給湯機1は、“運転モード2”に決定される。
【0055】
また、他の貯湯式給湯機1と協同運転する運転モードについては、例えば、自己の運転種別が“給湯”であって沸上げでなく、貯湯量が少ない場合であって、非運転中且つ運転要求もなく、貯湯量が多い他の貯湯式給湯機1が存在する場合、当該貯湯式給湯機1は、“運転モード5(依存側)”に決定される。この場合、当該他の貯湯式給湯機1は、“運転モード5(非依存側)”に決定される。
【0056】
なお、非依存側の貯湯式給湯機1を1台のみとする場合であって、非依存側の候補が複数台存在する場合、あるいは、予め定めた非依存側の貯湯式給湯機1の台数の上限より、非依存側の候補数が多い場合には、これらの候補から、所定条件により、非依存側の貯湯式給湯機1を選択する。例えば、配管熱ロスや圧力ロスを低減させるため、当該依存側の貯湯式給湯機1に近い順に選択してもよい。あるいは、貯湯量や中温水量などが多い順に選択してもよい。
【0057】
また、運転モード1〜7の何れにも該当しない貯湯式給湯機1については、運転モード0(非運転)に決定する。
【0058】
以上のようにして、各貯湯式給湯機1の運転モードが決定されると、集中コントローラ2は、決定した運転モードを格納した運転制御データを生成し、各貯湯式給湯機1に送信する(ステップS104)。
【0059】
各貯湯式給湯機1のコントローラ13は、集中コントローラ2からの運転制御データを受信すると、当該運転制御データに格納されている運転モードに従って、ヒートポンプユニット10、タンクユニット11の各構成部を制御する。これにより、各貯湯式給湯機1は、上述した各運転モード応じた運転動作を行う。
【0060】
以上説明したように、本実施形態の給湯システム100によれば、当該集合住宅に設置する全ての貯湯式給湯機1を連結配管3で連結し、必要に応じて、他の貯湯式給湯機1からの高温水を利用できるようにしたため、貯湯量が少ない貯湯式給湯機1において、給湯負荷などが発生しても、追加の沸上げなどを行う必要なく対応できる。また、日頃から給湯負荷が大きい住戸であっても、沸上げ温度を高温に設定する必要がなくなる。したがって、効率よくヒートポンプユニット10を稼働させることが可能になる。
【0061】
また、貯湯タンク12の容量を小さくできるため、貯湯式給湯機1の小型化が図れる。
【0062】
(実施形態2)
図14は、本発明の実施形態2に係る給湯システム200の構成を示す図である。この給湯システム200は、実施形態1と同様、複数の住戸5(住戸5A,5B,…)からなる集合住宅に導入され、複数の貯湯式給湯機1(貯湯式給湯機1A,1B,…)、集中コントローラ2と、から構成される。
【0063】
図14に示すように、本実施形態の給湯システム200では、各貯湯式給湯機1は、連結配管3のみならず、連結配管6(第2の連結配管)によっても相互に接続されている。なお、以下において、実施形態1の給湯システム100と共通する部分の説明は割愛し、本実施形態の給湯システム200の特徴を中心に説明する。
【0064】
図15は、本実施形態の貯湯式給湯機1の構成を示す図である。三方弁である混合弁V4は、貯湯タンク12の下方に設けられ、貯湯タンク12からの低温水を導く配管と、貯湯用循環管路16と、連結配管6と、に接続されている。
【0065】
本実施形態の給湯システム200では、各貯湯式給湯機1は、実施形態1と同様、運転モード1〜7に応じた運転を行うことができる。さらに、本実施形態においては、各貯湯式給湯機1は、運転モード8に応じた運転も行う。
【0066】
運転モード8では、実施形態1の運転モード5〜7と同様、複数の貯湯式給湯機1が協同した運転動作を行う。このモードでは、依存側の貯湯式給湯機1は、沸上げ運転の際、被依存側の貯湯式給湯機1のヒートポンプユニット10も使用する。図16に、運転モード8に対応する運転モード決定条件の一例を示す。
【0067】
図16に示す条件が成立して、運転モード8になると、依存側の貯湯式給湯機1では、図17に示すように、貯湯タンク12の下部から流出した低温水が、ヒートポンプユニット1に流入し、ヒートポンプユニット1で沸上げられることで高温水となり、貯湯タンク12の上部から流入する。さらに、連結配管3を経由して被依存側の貯湯式給湯機1からの高温水が混合弁V3及びV1を経由して、貯湯タンク12の上部からタンク内に流入する。また、貯湯タンク12の下部から流出した低温水が、連結配管6を経由して、被依存側の貯湯式給湯機1に供給される。
【0068】
被依存側の貯湯式給湯機1では、図18に示すように、連結配管6を経由して流入した依存側の貯湯式給湯機1からの低温水をヒートポンプユニット10で沸上げた後、連結配管3を介して、依存側の貯湯式給湯機1に供給する。なお、被依存側の貯湯式給湯機1は複数台であってもよい。
【0069】
これにより、沸上げ能力が、被依存側の貯湯式給湯機1の運転台数分大きくなり、依存側の貯湯式給湯機1における貯湯タンク12の高速沸上げが可能となる。この運転モードは、湯量が不足したときの追加沸上げなどに有効である。
【0070】
(実施形態3)
図19は、本発明の実施形態3に係る給湯システム300の構成を示す図である。この給湯システム300は、実施形態1、2と同様、複数の住戸5(住戸5A,5B,…)からなる集合住宅に導入され、複数の貯湯式給湯機1(貯湯式給湯機1A,1B,…)、集中コントローラ2と、から構成される。
【0071】
図19に示すように、本実施形態の給湯システム300では、実施形態1の給湯システム100と異なり、各貯湯式給湯機1は、連結配管3のみならず、連結配管7(第3の連結配管)によっても相互に接続されている。なお、以下において、実施形態1の給湯システム100と共通する部分の説明は割愛し、本実施形態の給湯システム300の特徴を中心に説明する。
【0072】
図20は、本実施形態の貯湯式給湯機1の構成を示す図である。三方弁である混合弁V5は、負荷側熱交換器15の下方に設けられ、負荷側熱交換器15との間の配管と、貯湯タンク12の中央部付近に接続する配管と、連結配管7と、に接続する。
【0073】
本実施形態の給湯システム300では、各貯湯式給湯機1は、実施形態1と同様、運転モード1〜7に応じた運転を行うことができる。さらに、本実施形態においては、各貯湯式給湯機1は、運転モード9に応じた運転も行う。
【0074】
運転モード9では、実施形態1の運転モード5〜7と同様、複数の貯湯式給湯機1が協同した運転動作を行う。このモードでは、依存側の貯湯式給湯機1は、放熱運転の際、被依存側の貯湯式給湯機1の貯湯タンク12の貯湯エネルギーを利用して放熱運転を行う。図21に、運転モード9に対応する運転モード決定条件の一例を示す。
【0075】
図21に示す条件が成立して、運転モード9になると、図22に示すように、依存側の貯湯式給湯機1では、連結配管3を経由して供給された被依存側の貯湯式給湯機1からの高温水は、混合弁V3により、負荷側熱交換器15へ導かれる。そして、負荷側熱交換器15にて、負荷側循環管路17を循環する負荷側熱媒体(水やブライン)と熱交換する。被依存側の貯湯式給湯機1からの高温水は、この熱交換後に中温水となり、連結配管7を経由して、被依存側の貯湯式給湯機1に戻る。
【0076】
被依存側の貯湯式給湯機1では、図23に示すように、貯湯タンク12の上部から取り出した高温水を連結配管3を介して、依存側の貯湯式給湯機1に供給すると共に、連結配管7を介して戻ってきた中温水を貯湯タンク12の中央部付近からタンク内に注入する。なお、被依存側の貯湯式給湯機1は複数台であってもよい。
【0077】
これにより、放熱運転中あるいは、ユーザから放熱運転要求があった際に、貯湯タンク12において、高温水の残量が少ない場合や、自然放熱などによって高温水の温度が追焚などに必要な温度より低温(例えば、55℃以下など)である場合でも、沸上げ運転を実行することなく、放熱運転を実行し、あるいは継続することができる。
【0078】
(実施形態4)
図24は、本発明の実施形態4に係る給湯システム400の構成を示す図である。この給湯システム400は、実施形態1〜3と同様、複数の住戸5(住戸5A,5B,…)からなる集合住宅に導入され、複数の貯湯式給湯機1(貯湯式給湯機1A,1B,…)、集中コントローラ2と、から構成される。
【0079】
図24に示すように、本実施形態の給湯システム400では、実施形態1〜3の場合と異なり、高温水用の連結配管3を備えておらず、各貯湯式給湯機1は、中温水用の連結配管7と低温水用の連結配管6によって相互に接続されている。なお、以下において、実施形態1〜3の給湯システム100〜300と共通する部分の説明は割愛し、本実施形態の給湯システム400の特徴を中心に説明する。
【0080】
図25は、本実施形態の貯湯式給湯機1の構成を示す図である。三方弁である混合弁V5は、負荷側熱交換器15の下方に設けられ、混合弁V5には、負荷側熱交換器15との間の配管と、貯湯タンク12の中央部付近に接続する配管と、連結配管7と、が接続される。また、三方弁である混合弁V4は、貯湯タンク12の下方に設けられ、混合弁V4には、貯湯タンク12からの低温水を導く配管と、貯湯用循環管路16と、連結配管6と、が接続されている。
【0081】
本実施形態の給湯システム400では、各貯湯式給湯機1は、実施形態1の運転モード1〜4に応じた運転を行う。さらに、本実施形態においては、各貯湯式給湯機1は、運転モード10に応じた運転も行う。
【0082】
運転モード10では、実施形態3の運転モード9とは異なる、複数の貯湯式給湯機1が協同した放熱動作を行う。依存側の貯湯式給湯機1は、放熱運転の際、生成された中温水を自己の貯湯タンク12に戻さずに、他(被依存側)の貯湯式給湯機1に供給すると共に、被依存側の貯湯式給湯機1から供給された低温水を自己の貯湯タンク12に注入する運転を行う。図26に、運転モード10に対応する運転モード決定条件の一例を示す。
【0083】
図26に示す条件が成立して、運転モード9になると、図27に示すように、依存側の貯湯式給湯機1では、貯湯タンク12内の上部から取り出された高温水は、負荷側熱交換器15に導かれて、負荷側循環管路17を循環する負荷側熱媒体(水やブライン)と熱交換する。この高温水は、熱交換後に中温水となり、連結配管7を経由して、被依存側の貯湯式給湯機1に供給される。
【0084】
被依存側の貯湯式給湯機1では、図28に示すように、連結配管7を介して供給された中温水を混合弁V5を介して取り込み、貯湯タンク12の中央部付近からタンク内に注入する。また、貯湯タンク12の下部から低温水を取り出し、連結配管6を介して、依存側の貯湯式給湯機1に供給する。
【0085】
依存側の貯湯式給湯機1では、連結配管6を介して供給された低温水を混合弁V4を介して取り込み、貯湯タンク12の下部からタンク内に注入する。
【0086】
このように、運転モード10の運転では、依存側の貯湯式給湯機1において貯湯タンク12内に中温水が多量にある場合、他の中温水が少ない貯湯式給湯機1へ中温水を移動させ、代わりに、他の貯湯式給湯機1から低温水を得ることができる。したがって、沸上げ運転の際、ヒートポンプ10を高効率で運転することが可能となる。
【0087】
なお、被依存側の貯湯式給湯機1は1台のみならず、複数台であってもよい。
【0088】
本発明は、上記の各実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の変更は勿論可能である。
【0089】
例えば、同一の集合住宅に設置される貯湯式給湯機の全てを連結配管で連結する必要はなく、例えば、1階、2階など、階数単位で連結するようにしてもよい。この場合は、連結された貯湯式給湯機同士での協同運転が可能になる。
【0090】
また、上記各実施形態において、協同運転の際、被依存側の貯湯式給湯機が複数台であってもよいことは述べたが、例えば、給湯運転を行う複数の貯湯式給湯機に対して、1台の貯湯式給湯機が高温水を供給するなど、複数の依存側の貯湯式給湯機に対して、一の被依存側の貯湯式給湯機が対応するようにしても構わない。
【0091】
また、上記各実施形態において、集中コントローラが各貯湯式給湯機の運転モードを決定していたが、集中コントローラを備えない構成にすることも可能である。この場合の給湯システムでは、例えば、各貯湯式給湯機のコントローラが、他の貯湯式給湯機のコントローラと通信可能に接続されるように構成される。そして、給湯負荷などが発生した貯湯式給湯機のコントローラは、他の貯湯式給湯機のコントローラと通信して、他の貯湯式給湯機の状態データを取得し、上述した集中コントローラと同様の処理を行って、自己の運転モードを決定する。その際の運転モードが協同運転を示すものである場合には、その相手先(即ち、被依存側)の貯湯式給湯機に対して、運転モード(被依存側)を通知する仕様にすればよい。
【0092】
なお、上記において、給湯負荷などが発生した貯湯式給湯機のコントローラは、設置場所が自己の貯湯式給湯機に近いものから順に通信して、その状態データを取得するようにすれば、配管熱ロスや圧力ロスの低減の観点から被依存側として好適な貯湯式給湯機をより早く選択することができる。
【0093】
また、各貯湯式給湯機を第1〜第3の連結配管(即ち、連結配管3、6、7)で連結してもよい。このようにすると、各貯湯式給湯機は、上述した運転モード1〜10の全てに対応することが可能になる。
【符号の説明】
【0094】
1A〜1D 貯湯式給湯機
2 集中コントローラ
3、6、7 連結配管
4 通信線
5A〜5D 住戸
10 ヒートポンプユニット
11 タンクユニット
12 貯湯タンク
13 コントローラ
14 流量センサ
15 負荷側熱交換器
16 貯湯用循環管路
17 負荷側循環管路
P1、P2 ポンプ
T1〜T5 温度センサ
V1〜V5 混合弁
100〜400 給湯システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の貯湯式給湯機と、該複数の貯湯式給湯機それぞれと通信可能に接続し、各貯湯式給湯機の運転動作を制御する集中コントローラと、を備え、
前記各貯湯式給湯機は、
それぞれの貯湯水を供給し合えるようにするための第1の連結配管に接続し、
ヒートポンプユニットと、
貯湯タンクユニットと、
前記集中コントローラと通信可能に接続し、前記集中コントローラから通知される運転モードに従って、前記ヒートポンプユニット及び前記貯湯タンクユニットを制御するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、当該貯湯式給湯機における現在の運転状態を示す情報と、現在の貯湯量を示す情報と、からなる状態データを所定のタイミングで前記集中コントローラに送信し、
前記集中コントロ−ラは、
前記各貯湯式給湯機の前記コントローラから収集した前記状態データと、前記運転モードを決定するために予め定義された運転モード決定条件と、に基づいて、各貯湯式給湯機に対応した運転モードをそれぞれ決定し、決定した運転モードを当該貯湯式給湯機に通知し、
前記各貯湯式給湯機のコントローラは、前記通知された運転モードが、複数の貯湯式給湯機が協同して運転することを示すものである場合であって、他の貯湯式給湯機の協力を得て運転動作する側であることを示すものであれば、当該貯湯式給湯機を、他の貯湯式給湯機から前記貯湯水の供給を受けるように制御し、一方、他の貯湯式給湯機の運転動作を協力する側であることを示すものであれば、当該貯湯式給湯機を、他の貯湯式給湯機に前記貯湯水を供給するように制御する、
ことを特徴とする給湯システム。
【請求項2】
前記貯湯水が高温水である、
ことを特徴とする請求項1に記載の給湯システム。
【請求項3】
前記貯湯水が高温水と中温水の混合水である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の給湯システム。
【請求項4】
前記状態データには、現在の中温水量を示す情報もさらに含まれる、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の給湯システム。
【請求項5】
前記各貯湯式給湯機は、さらに、それぞれの低温水を供給し合えるようにするための第2の連結配管に接続し、
前記各貯湯式給湯機のコントローラは、前記通知された運転モードが、複数の貯湯式給湯機が協同して沸上げ運転することを示すものである場合であって、他の貯湯式給湯機の協力を得て運転動作する側であることを示すものであれば、当該貯湯式給湯機を、他の貯湯式給湯機から前記貯湯水の供給を受けるように、且つ、他の貯湯式給湯機に前記低温水を供給するように制御し、一方、他の貯湯式給湯機の運転動作を協力する側であることを示すものであれば、当該貯湯式給湯機を、他の貯湯式給湯機に前記貯湯水を供給するように、且つ、他の貯湯式給湯機から前記低温水の供給を受けるように制御する、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の給湯システム。
【請求項6】
前記各貯湯式給湯機は、さらに、それぞれの中温水を供給し合えるようにするための第3の連結配管に接続し、
前記各貯湯式給湯機のコントローラは、前記通知された運転モードが、複数の貯湯式給湯機が協同して放熱運転することを示すものである場合であって、他の貯湯式給湯機の協力を得て運転動作する側であることを示すものであれば、当該貯湯式給湯機を、他の貯湯式給湯機から前記貯湯水の供給を受けるように、且つ、他の貯湯式給湯機に前記中温水を供給するように制御し、一方、他の貯湯式給湯機の運転動作を協力する側であることを示すものであれば、当該貯湯式給湯機を、他の貯湯式給湯機に前記貯湯水を供給するように、且つ、他の貯湯式給湯機から前記中温水の供給を受けるように制御する、
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の給湯システム。
【請求項7】
複数の貯湯式給湯機のそれぞれを、貯湯水を供給し合えるようにするための第1の連結配管に接続した給湯システムであって、
前記各貯湯式給湯機は、
ヒートポンプユニットと、
貯湯タンクユニットと、
運転モードに従って、前記ヒートポンプユニット及び前記貯湯タンクユニットを制御するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、他の貯湯式給湯機のコントローラと通信可能に接続し、所定の条件の下、他のコントローラから、現在の運転状態を示す情報と、現在の貯湯量を示す情報と、からなる状態データを収集し、該収集した状態データと、当該貯湯式給湯機の状態データと、前記運転モードを決定するために予め定義された運転モード決定条件と、に基づいて、当該貯湯式給湯機の運転モードを決定し、決定した運転モードが、複数の貯湯式給湯機が協同して運転することを示すものである場合には、自己の貯湯式給湯機を、他の貯湯式給湯機から前記貯湯水の供給を受けるように制御すると共に、当該他の貯湯式給湯機を、自己の貯湯式給湯機に対して前記貯湯水を供給するように制御する、
ことを特徴とする給湯システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2012−97972(P2012−97972A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246539(P2010−246539)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】