説明

給湯システム

【課題】温度検知時の放熱を低減できる給湯システムを提供する。
【解決手段】給湯装置1からの液体を浴槽40に供給する第1流路24と、浴槽40の液体を給湯装置1へ送る第2流路21と、給湯装置1を制御する制御部50と、浴槽40に対して設けられ制御部50と通信可能に接続された操作端末52と、を備え、浴槽40から第2流路21に流入する液体の温度を検知する温度検知部53を第2流路21に備え、温度検知部53の検知信号は操作端末52に入力され、温度検知部53で検知された温度に基づく浴槽制御に関する信号を操作端末52から制御部50に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、給湯装置から浴槽へと湯水を供給し浴槽に湯水を溜める湯張り運転と、浴槽内の湯水を吸い込んで給湯装置で加熱して再び浴槽に戻す追い焚き運転が可能な貯湯式給湯装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−162984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の給湯装置は、給湯装置内に浴槽内の湯水の温度を検知するふろ温度センサを備え、湯張り運転後、浴槽内の湯水の温度が低下した際に追い焚き運転を行うことによって浴槽内の湯水の温度を一定に保つことが出来るようになっている。
しかしながら、ふろ温度センサが給湯装置内に設けられているために、浴槽内の湯水を給湯装置まで引き込まなければならず、放熱ロスが生じていた。
【0005】
そこで、本発明は、温度検知時の放熱を低減できる給湯システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決するために、本発明は、給湯装置からの液体を浴槽に供給する第1流路と、前記浴槽の液体を前記給湯装置へ送る第2流路と、前記給湯装置を制御する制御部と、前記浴槽に対して設けられ前記制御部と通信可能に接続された操作端末と、を備え、前記浴槽から前記第2流路に流入する液体の温度を検知する温度検知部を前記第2流路に備え、前記温度検知部の検知信号は前記操作端末に入力され、前記温度検知部で検知された温度に基づく前記浴槽制御に関する信号を前記操作端末から前記制御部に送信することを特徴とする給湯システムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、温度検知時の放熱を低減できる給湯システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態に係る給湯システムの構成図である。
【図2】風呂温度センサが配置されたアダプタの模式図である。
【図3】比較例に係る給湯システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し重複した説明を省略する。
【0010】
≪本実施形態に係る給湯システムの構成≫
図1は、本実施形態に係る給湯システムSの構成図である。
給湯システムSは、給湯装置1と、ヒートポンプユニット3と、浴槽40に設置されるアダプタ41とを備えている。
給湯装置1は、タンク2と、凍結防止三方弁4と、混合弁5と、電磁弁6と、風呂循環ポンプ7と、循環調整弁8と、タンク2内に配置された追い焚き熱交換器9とを備え、各配管で接続されている。
【0011】
給水源(図示せず)と接続された配管11はタンク2の下部に接続されている。また、配管11から分岐した配管11aは、混合弁5の流入口と接続されている。
タンク2は、液体を貯留するものであり、下部に配管11が接続され、上部に配管17が接続されている。配管11からタンク2内に液体を流入させることにより、タンク2内の液体が押し上げられ、タンク2の上部に貯留された液体が配管17から流出するようになっている。
【0012】
また、タンク2は、下部に配管12が接続され、上部に配管16が接続されている。
配管12は、凍結防止三方弁4、配管13、配管14を介して、ヒートポンプユニット3の入口側に接続され、配管16は、配管15を介して、ヒートポンプユニット3の出口側に接続されている。
【0013】
ヒートポンプユニット3は、圧縮機(図示せず)、液冷媒熱交換器(図示せず)、減圧弁(図示せず)、空気冷媒熱交換器(図示せず)を有する冷媒回路(図示せず)と、液体を送液するポンプ(図示せず)を備え、入口側からポンプ(図示せず)により液体を吸い込んで、液冷媒熱交換器(図示せず)で高温の冷媒と熱交換することにより加熱し、加熱された液体を出口側から吐出させるものであり、入口側に配管14が接続され、出口側に配管15が接続されている。
また、ヒートポンプユニット3は、外部信号線64を介して制御部50と通信可能に接続されており、制御部50によって制御可能に構成されている。制御部50は、ヒートポンプユニット3を駆動することにより、配管12,13,14を介してタンク2下部の液体を吸い込んで、加熱された液体を配管15,16を介してタンク2の上部から貯留するという「沸き上げ運転」を行うことができるようになっている。
【0014】
凍結防止三方弁4は、一方の流入口から流入する液体、または、他方の流入口から流入する液体を、流出口から流出するものであり、一方の流入口に配管12が接続され、他方の流入口に配管16から分岐した配管16aが接続され、流出口に配管13が接続されている。
凍結防止三方弁4は、制御部50によって流路の切り換えが制御可能に構成されている。制御部50は、前述した「沸き上げ運転」の際には、凍結防止三方弁4を配管12と配管13とが連通する状態とする。また、制御部50は、凍結防止三方弁4を配管16aと配管13とが連通する状態とし、ヒートポンプユニット3を駆動することにより、配管13,14,15,16a内に液体を循環させ、配管14,15の凍結を防止するという「ヒートポンプ側凍結防止運転」を行うことができるようになっている。
【0015】
混合弁5は、一方の流入口から流入する液体と他方の流入口から流入する液体とを混合し、混合した液体を流出口から流出するものであり、一方の流入口にタンク2上部と接続された配管17が接続され、他方の流入口に給水源(図示せず)に接続された配管11から分岐した配管11aが接続され、流出口に配管18が接続されている。
混合弁5は、制御部50によって混合比が制御可能に構成されており、混合比を変更することにより、流出口から流出する液体の温度、即ち、浴槽40に供給される湯水の温度を変更することができる。
【0016】
電磁弁6は、電磁式の開閉弁であり、一端が配管18と接続され、他端が配管19と接続されている。そして、配管19は、浴槽戻り管22に合流し、浴槽戻り管22の一端は浴槽配管接続金具31に接続され、浴槽戻り管22の他端は風呂循環ポンプ7に接続されている。
電磁弁6は、制御部50によって開閉が制御可能に構成されており、開弁することにより浴槽40に湯水を供給し、閉弁することにより浴槽40への湯水の供給を停止することができる。
【0017】
風呂循環ポンプ7は、吸込口から吸い込んだ液体を吐出口から吐き出すものであり、吸込口に浴槽戻り管22が接続され、吐出口に配管22aが接続されている。
風呂循環ポンプ7は、制御部50によって駆動および停止が制御可能に構成されている。
【0018】
循環調整弁8は、流入口から流入する液体を分流して、一部の液体を一方の流出口から流出し、残部の液体を他方の流出口から流出するものであり、流入口に配管22aが接続され、一方の流出口に配管22bが接続され、他方の流出口に浴槽往き管23から分岐した配管23aが接続されている。
循環調整弁8は、制御部50によって分流比(一方の流出口から流出する液体と他方の流出口から流出する液体との比率)を制御可能に構成されている。
【0019】
追い焚き熱交換器9は、タンク2の内部上側に配置され、入口側から流入する液体をタンク2内の高温水と熱交換することにより加熱して、加熱された液体を出口側から流出するものであり、入口側に配管22bが接続され、出口側に浴槽往き管23が接続されている。そして、浴槽往き管23は配管23aと合流し、浴槽配管接続金具32に接続されている。
【0020】
浴槽40には、受入口42および供給口43を有するアダプタ41が設置されている。
アダプタ41の受入口42と給湯装置1の浴槽配管接続金具31とは、浴槽戻り配管21で接続されている。また、アダプタ41の供給口43と給湯装置1の浴槽配管接続金具32とは、浴槽往き配管24で接続されている。
【0021】
台所リモコン51は、図示しない給湯端末の側に設置され、使用者が操作することにより、給湯システムSの動作を指示できるようになっている。台所リモコン51は、制御部51cを有し、制御部51cと制御部50とは、外部信号線61により通信可能に接続されている。
風呂リモコン52は、浴槽40の側に設置され、使用者が操作することにより、給湯システムSの動作を指示できるようになっている。風呂リモコン52は、制御部52cを有し、制御部52cと制御部50とは、外部信号線62により通信可能に接続されている。
【0022】
風呂温度センサ53は、給湯装置1の浴槽配管接続金具31とアダプタ41の受入口42とを接続する浴槽戻り配管21に設けられた温度センサであり、浴槽戻り配管21内を通流する液体の温度を検知することができるようになっている。
また、風呂温度センサ53は、アダプタ41の近傍に設けることが望ましい。これにより、後述する浴槽監視運転の温度検知時における湯水の循環量を低減させることができる。
【0023】
なお、風呂温度センサ53は、図1に示すように浴槽戻り配管21に配置されるものとして説明するが、図2に示すようにアダプタ41に配置されていてもよい。図2は、風呂温度センサ53が配置されたアダプタ41の模式図である。
アダプタ41は、後述する沸き上げ運転(または、浴槽監視運転の温度検知)時に浴槽40内の湯水を吸い込みする受入口42と、後述する沸き上げ運転(または、浴槽監視運転の温度検知)時に浴槽40内へと湯水を吐き出しする供給口43と、受入口42と連通し浴槽戻り配管21と接続される戻り配管接続部42aと、供給口43と連通し浴槽往き配管24と接続される往き配管接続部43aと、を備えている。そして、風呂温度センサ53は、受入口42と戻り配管接続部42aとを連通する流路を通流する液体の温度を検知することができるようになっている。アダプタ41にあらかじめ風呂温度センサ53を設けることにより、給湯システムSの施工が容易となる。
【0024】
図1に示すように、風呂温度センサ53と風呂リモコン52の制御部52cとは、外部信号線63により通信可能に接続されている。そして、風呂温度センサ53で検知された温度信号は、風呂リモコン52の制御部52cに送信されるようになっている。
【0025】
水位センサ54は、給湯装置1内の浴槽戻り管22に設けられており、水頭圧により、浴槽40内の水位を検知することができるようになっている。
水位センサ54で検知された水位信号は、給湯装置1の制御部50に送信されるようになっている。
【0026】
給湯システムSの運転を制御する制御部50は、給湯装置1の内部に配置された凍結防止三方弁4、混合弁5、電磁弁6、風呂循環ポンプ7、循環調整弁8と信号線(図示せず)により接続され、制御することができるようになっている。
また、制御部50は、給湯装置1の内部に配置された水位センサ54と信号線(図示せず)により接続され、検知信号(水位信号)を受信することができるようになっている。
また、制御部50は、外部信号線61を介して台所リモコン51の制御部51cと通信可能に接続され、外部信号線62を介して風呂リモコン52の制御部52cと通信可能に接続され、外部信号線64を介してヒートポンプユニット3と通信可能に接続されている。
【0027】
≪給湯システムSの運転動作≫
次に、制御部50が実行する給湯システムSの運転動作について説明する。
本実施形態に係る給湯システムSは、「湯張り運転」、「追い焚き運転」、「浴槽監視運転」等の各種運転が可能に構成されている。
【0028】
<1.湯張り運転>
湯張り運転とは、浴槽40に所定の温度の湯水を所定の水位まで溜める運転である。
使用者が台所リモコン51(または、風呂リモコン52)を操作して、浴槽40に溜める湯水の温度(設定温度)と水位(設定水位)を入力し、湯張り開始を指示するボタン(図示せず)を操作することにより、台所リモコン51の制御部51c(または、風呂リモコン52の制御部52c)は、給湯装置1の制御部50に設定温度、設定水位、湯張り指令を送信する。
制御部50は、設定温度、設定水位、湯張り指令を受信すると、湯張り運転を開始する。具体的には、制御部50は、受信した設定温度に基づいて混合弁5の混合比を制御して、電磁弁6を開弁する。
【0029】
すると、給水源(図示せず)の冷水が水道圧により配管11からタンク2の下部に流入し、タンク2内の高温水を押し上げる。押し上げられた高温水は、タンク2上部に接続された配管17から混合弁5に供給される。
タンク2上部に接続された配管17から供給される高温水と給水源(図示せず)に接続された配管11aから供給される冷水とが混合弁5で混合され、設定温度に基づいた適温の湯水となる。そして、適温の湯水は、配管18、電磁弁6、配管19、浴槽戻り管22、浴槽配管接続金具31、浴槽戻り配管21を介して、アダプタ41の受入口42から浴槽40内に供給される。
【0030】
ここで、風呂リモコン52の制御部52cは、風呂温度センサ53から受信した検知信号(温度信号)を外部信号線62を介して制御部50に送信してもよい。そして、制御部50は、風呂温度センサ53の検知信号(温度信号)に基づいて、混合弁5の混合比を再調整してもよい。例えば、風呂温度センサ53の検知信号(温度信号)が設定温度よりも高い場合、配管11aと接続された流入口からの流入量を増加させ、配管17と接続された流入口からの流入量を減少させるように、混合弁5の混合比を変更する。また、風呂温度センサ53の検知信号(温度信号)が設定温度よりも低い場合、配管11aと接続された流入口からの流入量を減少させ、配管17と接続された流入口からの流入量を増加させるように、混合弁5の混合比を変更する。
【0031】
制御部50は、水位センサ54から検知信号(水位信号)を受信して、検知した水位が所定の水位(設定水位)以上となると、電磁弁6を閉弁して、湯張り運転を終了する。
【0032】
<2.追い焚き運転>
追い焚き運転とは、浴槽40内の湯水を、浴槽40−追い焚き熱交換器9間で循環させ、水位はそのままで浴槽40内の湯水の温度が所定の温度となるようにする運転である。
使用者が台所リモコン51(または風呂リモコン52)を操作して、追い焚き運転開始を指示するボタン(図示せず)を操作することにより、台所リモコン51の制御部51c(または風呂リモコン52の制御部52c)は、給湯装置1の制御部50に追い焚き指令を送信する。
制御部50は、追い焚き指令を受信すると、追い焚き運転を開始する。具体的には、制御部50は、風呂循環ポンプ7を駆動させ、循環調整弁8の分流比を制御する。なお、追い焚き運転において、電磁弁6は閉弁している。
【0033】
すると、浴槽40内の湯水がアダプタ41の受入口42、浴槽戻り配管21、浴槽配管接続金具31、浴槽戻り管22を介して、風呂循環ポンプ7に吸い込まれる。
そして、風呂循環ポンプ7から吐出された湯水は、循環調整弁8により分流して、一部が追い焚き熱交換器9に導入される。分流した一部の湯水は、追い焚き熱交換器9でタンク2内の高温水と熱交換することにより加熱される。
追い焚き熱交換器9で加熱され高温となった一部の湯水と、循環調整弁8で分流した残部の湯水とは、浴槽往き管23で合流して、適温の湯水となり、浴槽配管接続金具32、浴槽往き配管24、アダプタ41の供給口43から浴槽40内に戻される。
【0034】
ここで、風呂リモコン52の制御部52cは、風呂温度センサ53から受信した検知信号(温度信号)を外部信号線62を介して制御部50に送信する。そして、制御部50は、風呂温度センサ53から検知信号(温度信号)を受信して、検知した温度が所定の温度(設定温度)以上となると、風呂循環ポンプ7を停止させ、追い焚き運転を終了する。
【0035】
<3.浴槽監視運転>
制御部50は、湯張り運転を終了すると、浴槽40内の湯水の温度が、設定された温度に基づいた所定の範囲内であるかを監視する浴槽監視運転を開始する。
【0036】
制御部50は、湯張り運転終了から所定時間経過後に、風呂循環ポンプ7を駆動させる。なお、循環調整弁8は、配管22aから流入した湯水が配管23aに流出する状態となっている。
これにより、浴槽40内の湯水がアダプタ41の受入口42から浴槽戻り配管21に流入し、浴槽戻り配管21に設けられた風呂温度センサ53(または、アダプタ41に設けられた風呂温度センサ53(図2参照))で浴槽40内の湯水の温度を検知することができる。
風呂リモコン52の制御部52cは、風呂温度センサ53から受信した検知信号(温度信号)を外部信号線62を介して制御部50に送信する。
【0037】
浴槽40内の湯水の温度が所定の温度(設定温度)以上である場合、制御部50は、浴槽監視運転を継続する。
具体的には、制御部50は、風呂循環ポンプ7を停止させ、所定時間経過後に再び風呂循環ポンプ7を駆動させ浴槽40内の湯水の温度を検知する。
【0038】
浴槽40内の湯水の温度が所定の温度(設定温度)未満である場合、制御部50は、追い焚き運転を行う。なお、追い焚き運転は、前述したものと同様であり、詳細な説明を省略する。
そして、追い焚き運転を終了すると、制御部50は浴槽監視運転を再開する。
【0039】
≪本実施形態に係る給湯システムと比較例に係る給湯システムとの対比≫
本実施形態に係る給湯システムS(図1参照)と比較例に係る給湯システムSA(図3参照)とを対比しつつ、本実施形態に係る給湯システムSの効果について説明する。
【0040】
図3は、比較例に係る給湯システムSAの構成図である。
比較例に係る給湯システムSAは、風呂温度センサ53Aが給湯装置1Aの浴槽戻り管22に配置され、信号線(図示せず)により給湯装置1Aの制御部50と接続され、制御部50が検知信号(水位信号)を受信することができるようになっている。その他の構成は、給湯装置1(図1参照)と同様であり、説明を省略する。
【0041】
本実施形態に係る給湯システムS(図1参照)および比較例に係る給湯システムSA(図3参照)は、浴槽監視運転における温度検知時において、循環調整弁8は配管22aから流入した湯水が配管23aに流出する状態となっており、湯水が循環可能なアダプタ41の受入口42、浴槽戻り配管21、浴槽配管接続金具31、浴槽戻り管22、風呂循環ポンプ7、配管22a、循環調整弁8、配管23a、浴槽往き管23、浴槽配管接続金具32、浴槽往き配管24、アダプタ41の供給口43からなる循環回路が形成されている。
【0042】
このため、浴槽監視運転における温度検知の度に、風呂循環ポンプ7を駆動させて、浴槽40内の湯水をアダプタ41の受入口42から浴槽戻り配管21へと流出させると、浴槽往き配管24内の湯水がアダプタ41の供給口43から浴槽40内へと流入することとなる。
【0043】
ここで、浴槽40は室内に設置され、給湯装置1は室外に設置されている。そして、浴槽戻り配管21および浴槽往き配管24は、断熱材(図示せず)等により覆われて外気と断熱するようになっているものの、浴槽戻り配管21および浴槽往き配管24内で滞留した湯水は少しずつ外気へと放熱するため、浴槽40内の湯水より低い温度となっている。
【0044】
比較例に係る給湯システムSA(図3参照)は、浴槽戻り管22に風呂温度センサ53Aが配置されているため、温度検知の際には、風呂循環ポンプ7を駆動させて、浴槽40内の湯水を浴槽戻り管22まで引き込む必要がある。
このため、浴槽40内の湯水が流出し、浴槽往き管23および浴槽往き配管24内の湯水が浴槽40に流入するため、浴槽40内の湯水の温度が追い焚き運転をする必要がない状態であっても、温度検知の度に浴槽40内の湯水の温度が低下することとなる。
【0045】
これに対し、本実施形態に係る給湯システムS(図1参照)は、浴槽戻り配管21に風呂温度センサ53が配置されているため、温度検知の際には、風呂循環ポンプ7を駆動させて、浴槽40内の湯水を浴槽戻り配管21まで引き込めばよい。
このため、浴槽40から流出する湯水が少なくてすむとともに、温度検知の際に浴槽40に流入する湯水は浴槽往き配管24内の一部となり、温度検知の度に生じる浴槽40内の湯水温度低下を低減することができる。
【0046】
このため、風呂温度センサ53は、アダプタ41の近傍に設けることが望ましい。これにより、温度検知の際における湯水の循環量を低減させ、温度検知の度に生じる浴槽40内の湯水温度低下を低減することができる。
また、図2に示すように、アダプタ41に風呂温度センサ53を設けることにより、温度検知の際における湯水の循環量をさらに低減させることができ、温度検知の度に生じる浴槽40内の湯水温度低下を低減することができる。
【0047】
また、浴槽40から風呂温度センサ53までの湯水の引き込み量が低減するため、温度検知までに要する時間を短縮することができる。このため、追い焚き運転において、浴槽40内の湯水の温度が所定の温度(設定温度)以上となったか否かを速やかに検知することができる。
【0048】
また、本実施形態に係る給湯システムS(図1参照)は、風呂温度センサ53と風呂リモコン52の制御部52cとが外部信号線63で接続され、風呂リモコン52の制御部52cと給湯装置1の制御部50とが外部信号線62で接続されている。
このため、風呂温度センサ53と給湯装置1の制御部50とを直接接続する場合と比較して、風呂温度センサ53に接続される信号線を短くすることができるとともに、給湯システムSの施工が容易となる。
【0049】
なお、本実施形態に係る給湯システムSは、給湯装置1の制御部50を主とし、ユーザーインターフェースである風呂リモコン52を従とする関係は従来と共通する。一方で、本実施形態に係る給湯システムSは、その従たる風呂リモコン52が信号(温度信号又はこれに基づく制御信号)を媒介する機能を有するものである。このように、本実施形態に係る給湯システムSは、浴槽に対応して必然的に設けられる風呂リモコンに信号の媒介機能を新たに持たせることにより、上述のような効果を容易に実現することが可能となっている。
【0050】
≪変形例≫
なお、本実施形態に係る給湯システムSは、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。
本実施形態に係る給湯システムSは、風呂リモコン52の制御部52cが風呂温度センサ53から受信した検知信号(温度信号)を外部信号線62を介して制御部50に送信し、制御部50が受信した検知信号(温度信号)と設定温度とを比較して、追い焚き運転を行うか否かを判定するものとして説明したが、これに限られるものではない。
【0051】
例えば、風呂リモコン52の制御部52cが風呂温度センサ53から受信した検知信号(温度信号)と設定温度とを比較して追い焚き運転を行うか否かを判定し、追い焚き運転を行うと判定した場合、給湯装置1の制御部50に追い焚き指令を送信する構成であってもよい。風呂リモコン52の制御部52cから追い焚き指令を受信した制御部50は、風呂循環ポンプ7を駆動させ、循環調整弁8の分流比を制御する。
そして、風呂リモコン52の制御部52cが風呂温度センサ53から受信した検知信号(温度信号)と設定温度とを比較して追い焚き運転を終了するか否かを判定し、追い焚き運転を終了すると判定した場合、給湯装置1の制御部50に追い焚き終了指令を送信する。風呂リモコン52の制御部52cから追い焚き終了指令を受信した制御部50は、風呂循環ポンプ7を停止させることにより、追い焚き運転が終了する。
【0052】
また、本実施形態に係る給湯システムS(図1参照)は、風呂温度センサ53と風呂リモコン52の制御部52cとが外部信号線63で接続され、風呂リモコン52の制御部52cと給湯装置1の制御部50とが外部信号線62で接続される構成であるものとして説明したが、これに限られるものではない。
例えば、風呂温度センサ53と風呂リモコン52の制御部52cとが外部信号線63で接続され、風呂リモコン52の制御部52cと台所リモコン51の制御部51cとが外部信号線(図示せず)で接続され、台所リモコン51の制御部51cと給湯装置1の制御部50とが外部信号線62で接続される構成であってもよい。
【0053】
また、タンク2内の液体を加熱する加熱手段は、ヒートポンプユニット3に限定されるものではなく、電気を用いて熱を生成するヒータが貯湯タンク2内に配置される構成であってもよい。
【符号の説明】
【0054】
S 給湯システム
1 給湯装置
2 タンク
3 ヒートポンプユニット
4 凍結防止三方弁
5 混合弁
6 電磁弁
7 風呂循環ポンプ
8 循環調整弁
9 追い焚き熱交換器
21 浴槽戻り配管(第2流路)
22 浴槽戻り管
23 浴槽往き管
24 浴槽往き配管(第1流路)
31,32 浴槽配管接続金具
40 浴槽
41 アダプタ
42 受入口
42a 戻り配管接続部(第2流路)
43 供給口
43a 往き配管接続部(第1流路)
50,51c,52c 制御部
51 台所リモコン
52 風呂リモコン(操作端末)
53 風呂温度センサ
54 水位センサ
61,62,63,64 外部信号線
11,11a,12,13,14,15,16,16a,17,18,19,22a,22b,23a 配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯装置からの液体を浴槽に供給する第1流路と、
前記浴槽の液体を前記給湯装置へ送る第2流路と、
前記給湯装置を制御する制御部と、
前記浴槽に対して設けられ前記制御部と通信可能に接続された操作端末と、を備え、
前記浴槽から前記第2流路に流入する液体の温度を検知する温度検知部を前記第2流路に備え、
前記温度検知部の検知信号は前記操作端末に入力され、
前記温度検知部で検知された温度に基づく前記浴槽制御に関する信号を前記操作端末から前記制御部に送信する
ことを特徴とする給湯システム。
【請求項2】
前記浴槽制御に関する信号は、
前記温度検知部によって検知された温度に関する信号である
ことを特徴とする請求項1に記載の給湯システム。
【請求項3】
前記浴槽制御に関する信号は、
前記浴槽と前記給湯装置との間で液体を循環させる循環ポンプの駆動または停止を制御する信号である
ことを特徴とする請求項1に記載の給湯システム。
【請求項4】
前記温度検知部は、
前記給湯装置よりも前記第2流路の受入口に近い位置に設けられる
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の給湯システム。
【請求項5】
前記温度検知部は、
前記第1流路の供給口および前記第2流路の受入口が形成されたアダプタに配置される
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の給湯システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−24474(P2013−24474A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159426(P2011−159426)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】