説明

給湯器

【課題】構成を単純化することができる給湯器を提供する。
【解決手段】給湯器1は、電磁誘導コイル10を平板状に配置してなる加熱手段2と、前記コイル10に流れる電流によって発生した磁界により加熱される熱交換器3と、前記熱交換器3に対し水を供給する給水路4と、前記熱交換器3で加熱された湯水を出湯する出湯路5とを備える。前記熱交換器3は、前記コイル10が作り出す磁界Mの範囲である前記加熱手段2の周囲の複数箇所に配置されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台所や洗面所等にお湯を供給する給湯器に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の給湯器としては、ガスを燃料とした燃焼装置を備えたガス給湯器が知られている(例えば特許文献1)。ガス給湯器は、水を供給する給水路と、該給水路から供給される水を前記燃焼装置の熱により加熱する熱交換器と、該熱交換器で加熱された湯水を出湯する出湯路とを有する。
【0003】
これにより、ガス給湯器は、ユーザが水道のハンドルを開栓方向に操作すると、燃焼装置を着火して熱交換器を加熱し、該熱交換器に水を通すことによって水を加熱して、所望の温度の湯水を蛇口から得ることができるように構成されている。
【特許文献1】特開2006−329548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では、燃焼装置は、エネルギー源として、ガスの他、燃焼装置を制御するために電気をも要するので、ガス給湯器の構成が複雑化するという問題があった。
【0005】
そこで本発明は上記した問題点に鑑み、構成を単純化することができる給湯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、電磁誘導コイルを平板状に配置してなる加熱手段と、前記コイルに流れる電流によって発生した磁界により加熱される熱交換器と、前記熱交換器に対し水を供給する給水路と、前記熱交換器で前記水を加熱して得た湯水を出湯する出湯路とを備える給湯器において、前記熱交換器は、前記コイルに高周波電流が流れることにより発生する磁界の範囲内であって前記加熱手段の周囲の複数箇所に配置されたことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、前記熱交換器は、水が通る流路管と、前記加熱手段に当接する平坦な当接面とを有することを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る発明は、前記流路管は、四角形状の筒部材で形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係る発明は、前記流路管は、磁性材料で形成されていることを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に係る発明は、前記流路管は、磁性材料で形成された被覆部材で覆われてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1に記載の給湯器によれば、加熱手段が電磁誘導加熱によって水を加熱する構成としたことにより、エネルギー源が電気のみで足りるため、全体として構成を単純化することができる。
【0012】
また、請求項2に記載の給湯器によれば、加熱手段との接触面積を増加させることができるので、より効率的に渦電流を発生させ、効率的に熱交換器に渦電流を発生させることにより、効率的に熱交換器を加熱することができる。
【0013】
また、請求項3に記載の給湯器によれば、より確実に熱交換器と加熱手段との接触面積を増加させることができる。
【0014】
また、請求項4に記載の給湯器によれば、熱交換器をシンプルな構成とすることができる。
【0015】
また、請求項5に記載の給湯器によれば、流路管は磁性材料で構成される必要はないので、材料選択の幅を広げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0017】
(1)全体構成
図1に示す給湯器1は、加熱手段2、熱交換器3、給水路4、出湯路5、及び、制御部6を備え、全体として、給水路4から供給される水を、熱交換器3によって加熱手段2から供給される熱量で加熱し、加熱されて得た湯水を出湯路5から出湯し得るように構成されている。
【0018】
ここで、給湯器1は、例えば台所や洗面所に設けられ、給水路4には、水道のハンドル7を開栓方向に操作することで水が供給され、出湯路5の先端に設けられた蛇口8から出湯するように構成される。
【0019】
また、制御部6は、図示しないが内部のメモリに予め記憶されている制御プログラムなどの各種プログラムに従って各種処理を実行する。例えば、制御部6は、図示しないが給水路4に設けられる流量検知器によって、熱交換器3に向かって水が流れ込んだことを検知すると、電源をオンし、加熱手段2に高周波電流を供給するように構成されている。尚、制御部6は電源11に電気的に接続されている。
【0020】
加熱手段2は、平板状に配置された電磁誘導コイル10を備え、当該コイル10に供給された高周波電流が流れると、コイル10の周囲に磁界Mを発生し得るように構成されている。コイル10は、高周波電磁誘導コイルが用いられる。
【0021】
本実施形態では、平板状のコイル10を備えた加熱手段2は、鉛直方向に縦置きに配置されており、高周波電流が制御部6をから供給されるように構成されている。
【0022】
熱交換器3は、前記コイル10に電流が流れることにより発生する磁界Mの範囲に配置され、磁界Mにより加熱され得るように構成されている。
【0023】
本実施形態では、鉛直方向に縦置きにされた加熱手段2の両側面2a,2b及び上面2cにそれぞれ1個、合計3個配置されている。加熱手段2の一側面2aに設けられた熱交換器(以下「第1の熱交換器」という)12と上面2cに設けられた熱交換器(以下「第2の熱交換器」という)13は、第1の連通管14で連通されており、同様に第2の熱交換器13は、加熱手段2の他側面2bに設けられた熱交換器(以下「第3の熱交換器」という)15と第2の連通管16で連通されている。
【0024】
第1の熱交換器12は、一端12aが給水路4に連通すると共に、他端12bが第1の連通管14の一端14aに連通している。第2の熱交換器13は、一端13aが第1の連通管14の他端14bに連通しており、他端13bが第2の連通管16の一端16aに連通している。第3の熱交換器15は、一端15aが第2の連通管16の他端16bに連通しており、他端15bが出湯路5の一端5aに連通している。出湯路5は他端5bにおいて蛇口8に連通している。
【0025】
熱交換器3は、図2に示すように、水が通る流路管20を有し、磁性材料で構成されている。尚、本実施形態において、第1の熱交換器12、第2の熱交換器13、及び、第3の熱交換器15は、基本的構成について異なるところはないので、第1の熱交換器12についてのみ説明することとし、他の熱交換器13,15については説明を省略する。
【0026】
本図において、当該流路管20は、水平方向に伸びる流路21,21,21…を複数(本図では12本)備え、外側表面に平坦な当接面22を有する。流路21は、断面が四角形、本図では正方形の筒状部材であって、一方向(本図では縦方向)に平行に配置され、それぞれの流路21は直列に連通されている。また、流路21の一端21aは、第1の熱交換器12の一端12aに連通し、流路21の他端21bは、第1の熱交換器12の他端12bに連通している。
【0027】
この第1の熱交換器12は、当接面22を加熱手段2に当接させて配置されており、一端12aから送り込まれた水が、流路21の一端21aから他端21bへ向かって流路21内を流れ、他端12bから流れ出るように構成されている。
【0028】
(2)作用及び効果
次に、上記のように構成された給湯器1の作用及び効果について説明する。
【0029】
まず、水道のハンドル7を開栓方向に操作することにより、水が給水路4に流れ込む。この水の流れを図示しない水流検知器によって検知することにより、制御部6は、高周波電流をコイル10へ出力する。
【0030】
コイル10に高周波電流が流れると、この電流により、コイル10の周囲すなわち加熱手段2の周囲に磁界Mが発生する。さらに、この磁界Mによって加熱手段2の周囲に配置された各熱交換器12,13,15には、磁界Mを打ち消す方向に渦電流が発生する。渦電流が発生すると、各熱交換器12,13,15を構成する材料である磁性部材が有する電気抵抗に応じてジュール熱が生じ、このジュール熱によって各熱交換器12,13,15が加熱される。
【0031】
この各熱交換器12,13,15には、まず、給水路4から第1の熱交換器12の一端12aへ水が供給される。供給された水は、第1の熱交換器12内の流路21を通り他端12bから第1の連通管14、第2の熱交換器13、第2の連通管16、及び第3の熱交換器15へと順に流れる際に、各熱交換器12,13,15においてそれぞれ熱交換することによって、各熱交換器12,13,15に蓄えられた熱量を受け取って加熱されることにより、湯水となる。このようにして熱交換器3を通ることによって加熱された湯水は、第3の熱交換器15の他端15bに連通された出湯路5を通って蛇口8から出湯される。
【0032】
このように、本発明に係る給湯器1は、加熱手段2が電磁誘導加熱によって熱交換器3を流れる水を加熱する構成としたことにより、エネルギー源が電気のみで足りるため、全体として構成を単純化することができる。
【0033】
また、給湯器1は、熱交換器3を加熱手段2の周囲に複数配置したことにより、平板状に形成したコイル10を有する加熱手段2の周囲のスペースを有効に利用することができるので、省スペース化を図ることができる。
【0034】
本実施形態では、熱交換器3は、鉛直方向に縦置きにされた加熱手段2の両側面2a,2b及び上面2cにそれぞれ1個、合計3個配置したことにより、加熱手段2の周囲のスペースを有効に利用することができる。
【0035】
さらに、各熱交換器12,13,15は第1の連通管14及び第2の連通管16でそれぞれ連通されていることにより、水と熱交換器3との接触面積を増やすことができる。従って、給湯器1は、熱交換器3の熱量を効率的に水へ伝達できるので、少ないエネルギーで効率よく水を加熱し、所望の湯水を得ることができる。
【0036】
また、熱交換器3は、外側表面に平坦な当接面22を有することにより、加熱手段2との接触面積を増加させることができるので、より効率的に渦電流を発生し得る。従って、効率的に熱交換器3に渦電流を発生させることにより、効率的に熱交換器3を加熱することができるので、少ないエネルギーで水を加熱し、所望の湯水を得ることができる。
【0037】
さらに、熱交換器3は、流路管20を磁性材料で構成したことにより、シンプルな構成とすることができる。
【0038】
(3)他の実施形態
以下に、熱交換器の別の実施形態について図を参照して説明する。
【0039】
図3に示す変形例1に係る熱交換器30は、流路管20の外側に被覆部材31を備えている点が、上記実施形態と異なる。被覆部材31は、磁性材料で構成されてなり、少なくとも流路管20の長手方向の側面を覆い、加熱手段2に当接する平坦な当接面22を有する。
【0040】
これにより、熱交換器30は、加熱手段2が発生する磁界Mによって渦電流が発生し、これにより流路管20を加熱し得るように構成されている。
【0041】
また、流路管20は、被覆部材31で生じた熱を効率よく水に伝達できるように、熱伝導性の高い材料で構成されるのが好ましい。尚、流路管20は、磁性材料で構成される必要はなく、材料選択の幅を広げることができるので、例えば、アルミニウムや銅で構成することもできる。
【0042】
本図に示す熱交換器30においても、加熱手段2の周囲に複数配置することにより、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0043】
また、図4に示す熱交換器35,36,37は、それぞれ流路管20が円管で構成されている点が上記実施形態と異なる。流路管20を円管で構成することにより、熱交換器3の製造を簡略化することができ、製造コストを低減することができる。また、本図に示す熱交換器35,36,37においても、加熱手段2の周囲に複数配置することにより、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0044】
図4(a)に示す変形例2に係る熱交換器35は、円管で構成した流路管20が磁性材料で構成されているので、全体としてシンプルな構成とすることができる。
【0045】
図4(b)に示す変形例3に係る熱交換器36は、流路管20の外側に平坦化部材38が設けられている点が、図4(a)に示す熱交換器35と異なる。平坦化部材38は、磁性材料で構成され、流路管20同士の隙間を埋めると共に、外側表面に平坦な当接面22を形成する。従って、熱交換器36は、図4(a)に示す熱交換器35に比べ、加熱手段2との接触面積を増加させることができるので、効率よく渦電流が発生し、より効率よく水を加熱することができる。
【0046】
さらに、流路管20は、磁性材料で構成される必要はないので、材料選択の幅を広げることができ、例えば熱伝導性の高い材料で構成することができる。
【0047】
図4(c)に示す変形例4に係る熱交換器37は、図4(b)に示す熱交換器36に加え、さらに被覆部材39を備える。被覆部材39は、磁性材料で構成されてなり、加熱手段2が発生する磁界Mによって渦電流が発生し、これにより流路管20を加熱し得るように構成されている。
【0048】
この場合、流路管20及び平坦化部材38は、磁性材料で構成する必要がないので、材料選択の幅を広げることができ、例えば熱伝導性の高い材料で構成することができる。
【0049】
本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0050】
例えば、上記した実施形態では、熱交換器3は、鉛直方向に縦置きにされた加熱手段2の両側面2a,2b及び上面2cにそれぞれ1個、合計3個配置した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、さらに下面に1個、またさらに図1の奥行き方向の前後にそれぞれ1個ずつ、合計6個配置することとしてもよいし、いずれかを選択して合計で2個以上配置することとしてもよい。
【0051】
また、上記した実施形態では、流路管20の流路21は正四角形状の筒状部材で構成した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、外形に平坦な当接面22を備えていれば足り、流路21が円形状であってもよい。
【0052】
また、上記した実施形態では、流路管20は、流路21が直列に連通されている場合について説明したが、本発明はこれに限らず、流路21を並列に連通することとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係る給湯器の全体構成を模式的に示すブロック図である。
【図2】熱交換器の構成を示す縦断面図である。
【図3】変形例1に係る熱交換器を示す縦断面図である。
【図4】熱交換器の別の変形例を示す縦断面図であり、(a)変形例2、(b)変形例3、(c)変形例4を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1 給湯器
2 加熱手段
3 熱交換器
4 給水路
5 出湯路
10 コイル(電磁誘導コイル)
20 流路管
22 当接面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁誘導コイルを平板状に配置してなる加熱手段と、
前記コイルに流れる電流によって発生した磁界により加熱される熱交換器と、
前記熱交換器に対し水を供給する給水路と、
前記熱交換器で前記水を加熱して得た湯水を出湯する出湯路と
を備える給湯器において、
前記熱交換器は、前記コイルに高周波電流が流れることにより発生する磁界の範囲内であって前記加熱手段の周囲の複数箇所に配置されたことを特徴とする給湯器。
【請求項2】
前記熱交換器は、水が通る流路管と、前記加熱手段に当接する平坦な当接面とを有することを特徴とする請求項1記載の給湯器。
【請求項3】
前記流路管は、四角形状の筒部材で形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の給湯器。
【請求項4】
前記流路管は、磁性材料で形成されていることを特徴とする1〜3のうちいずれか1項に記載の給湯器。
【請求項5】
前記流路管は、磁性材料で形成された被覆部材で覆われてなることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の給湯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−14365(P2010−14365A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−175980(P2008−175980)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(501331544)東電タウンプランニング株式会社 (5)