説明

給湯器

【課題】二次電池を備え、停電時には二次電池に蓄えられた電力を用いて湯の供給を行う給湯器を提供する。
【解決手段】通常時は商用電源11からの電力供給によって作動し、停電時には二次電池12からの電力供給によって作動する給湯器10であって、給湯器10に設けられた電動機器には、制御装置33と制御装置33を介して電力が供給される複数の被制御機器とがあって、停電時、制御装置33は二次電池12から継続的に電力が供給され、被制御機器の一部又は全部は、特定の作動スイッチによって二次電池12からの電力供給が開始される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーナーによって水を加熱して湯を供給する給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
バーナーの熱を利用して水を加熱し、給湯栓(蛇口やシャワー)に湯を供給する給湯器は、バーナーに空気を供給するファンや、操作用のリモコン等、電力が供給されて作動する電動機器を多く備えている(例えば、特許文献1参照)。
給湯器は、商用電源からの電力によって、これらの電動機器を作動させ、給湯栓に対して所定温度の湯を供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−163711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、商用電源からの電力供給は、災害、事故等によって停止することがあり、従来の給湯器では、商用電源からの電力供給が停止した際に、給湯栓に湯を供給することができないという問題があった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされるもので、二次電池を備え、停電時には二次電池に蓄えられた電力を用いて湯の供給を行う給湯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的に沿う本発明に係る給湯器は、通常時は商用電源からの電力供給によって作動し、停電時には二次電池からの電力供給によって作動する給湯器であって、該給湯器に設けられた電動機器には、制御装置と該制御装置を介して電力が供給される複数の被制御機器とがあって、停電時、前記制御装置は前記二次電池から継続的に電力が供給され、前記被制御機器の一部又は全部は、特定の作動スイッチによって前記二次電池からの電力供給が開始される。
【0006】
本発明に係る給湯器において、前記特定の作動スイッチによって開始された前記被制御機器への電力供給は、タイマーによって所定時間後に遮断され、前記被制御機器への電力供給は、新たな前記特定の作動スイッチによって再開されるのが好ましい。
【0007】
本発明に係る給湯器において、前記特定の作動スイッチによって開始された前記被制御機器への電力供給が遮断される前に、音を発するのが好ましい。
【0008】
本発明に係る給湯器において、前記被制御機器には、浴槽への湯張り、あるいは該浴槽の追焚きが行われる際に作動する浴槽関連機器があって、停電時、前記二次電池から前記浴槽関連機器への電力供給は、前記特定の作動スイッチによっても開始されないのが好ましい。
【0009】
本発明に係る給湯器において、前記被制御機器には、通常時に所定の作動条件によって作動を開始し凍結を防止するヒータがあって、停電時、前記二次電池から前記ヒータへの電力供給は、前記所定の作動条件によっても開始されず、該ヒータは停電が終わるまで停止状態を維持するのが好ましい。
【0010】
本発明に係る給湯器において、給湯温度として設定可能な温度の上限値は、停電時が、通常時に比べて低い値となるのが好ましい。
【0011】
本発明に係る給湯器において、前記被制御機器には、給湯温度を調整する混合弁及び給湯する湯の流量を調整する比例弁があって、前記混合弁及び前記比例弁は、通常時に作動が可能な状態を保ち、停電時は所定の開度を確保して停止状態となるのが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る給湯器は、給湯器に設けられた電動機器に、制御装置と制御装置を介して電力が供給される複数の被制御機器とがあって、停電時、制御装置は二次電池から継続的に電力が供給され、被制御機器の一部又は全部は、特定の作動スイッチによって二次電池からの電力供給が開始される。従って、停電時には、二次電池からの電力供給によって湯を供給することが可能であり、しかも、停電時に常時、被制御機器に対して二次電池からの電力供給を行う場合に比べ、電力消費を抑制することができ、二次電池の電力で作動して給湯する時間を長くすることが可能である。
【0013】
本発明に係る給湯器において、特定の作動スイッチによって開始された被制御機器への電力供給が、タイマーによって所定時間後に遮断され、被制御機器への電力供給が、新たな特定の作動スイッチによって再開される場合、給湯がなされていないにも関わらず、被制御機器への電力供給を行って電力消費が継続される状況を確実に回避することができる。
【0014】
本発明に係る給湯器において、特定の作動スイッチによって開始された被制御機器への電力供給が遮断される前に、音を発する場合、被制御機器の作動が停止することを事前に使用者に知らせることができる。
【0015】
本発明に係る給湯器において、停電時、二次電池から浴槽関連機器への電力供給が、所定の作動条件によっても開始されない場合、あるいは、二次電池からヒータへの電力供給が、所定の作動条件によっても開始されず、ヒータが停電が終わるまで停止状態を維持する場合、停電時に作動可能な被制御機器を限定して、二次電池の電力消費を確実に抑制することができる。
【0016】
本発明に係る給湯器において、給湯温度として設定可能な温度の上限値が、停電時に、通常時に比べて低い値となる場合、湯を加熱する際に使用される電力消費を抑制でき、二次電池の電力を利用した給湯時間を長く確保することが可能である。
【0017】
本発明に係る給湯器において、混合弁及び比例弁が、停電時に所定の開度を確保して停止状態となる場合、混合弁及び比例弁は、所定の開度を確保するために作動して電力を消費した後に電力を消費しなくなり、停電時の給湯に消費される電力を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施の形態に係る給湯器の説明図である。
【図2】マイクロコンピュータの信号接続を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る給湯器10は、通常時は商用電源11からの電力供給によって作動し、停電時には二次電池12からの電力供給によって作動して、所定温度の湯を蛇口13及びシャワー14に供給する。以下、詳細に説明する。
【0020】
給湯器10は、図1に示すように、バーナー15と、給水管16に接続された熱交換器17を有し、給水管16から熱交換器17に供給された水をバーナー15によって加熱する。
バーナー15は、バーナー15に接続されたポンプ18によって液体燃料(本実施の形態では灯油)が供給され、液体燃料を燃焼して発生させた燃焼ガスによって熱交換器17を通過する水を加熱する。バーナー15の火力は、ポンプ18を介して供給される液体燃料の供給量によって調整されるので、ポンプ18の運転レベルを調節することによって、熱交換器17を通過する水の加熱量を変えることができる。
バーナー15の近傍には、バーナー15に空気を送るファン19が設けられ、バーナー15の使用時は、ファン19が作動しバーナー15に空気を供給する。なお、バーナー15には、点火装置の一例である、図示しないイグナイターが設けられている。また、本実施の形態では、バーナー15、ポンプ18及びファン19が一体となったバーナー装置19aが用いられている。
【0021】
熱交換器17の湯の出側は、蛇口13及びシャワー14に設定温度の湯を供給する給湯流路22に連結され、給湯流路22には、浴槽20に湯を供給する湯張り流路21が連結されている。
給湯流路22には、熱交換器17から送られてきた湯に水を混合し、給湯温度を調整する混合弁24と給湯する湯(即ち熱交換器17から流れ出た湯)の流量を調整する比例弁25が設けられている。
熱交換器17からの湯が設定温度を超えている場合、混合弁24で熱交換器17からの湯に水が混合され、蛇口13やシャワー14に供給される湯の温度を下げる。混合弁24は、熱交換器17からの湯と水の混合比を開度を変えることによって調整する。
比例弁25は、開度を変えて給湯流路22を流れる湯の流量を調整する。
【0022】
給水管16には、熱交換器17や混合弁24に供給される水の温度を計測する温度センサ26が設けられ、熱交換器17の下流側には、熱交換器17から流れ出る湯の温度を計測する温度センサ27が設けられている。混合弁24における湯と水の混合比は、温度センサ26、27の各計測温度を基にして決定される。
また、給湯流路22には、混合弁24から出た湯の温度を計測する温度センサ28が設けられ、蛇口13やシャワー14に供給される湯の温度が設定温度であるか否かは、この温度センサ28の計測温度によって検知することができる。
【0023】
また、湯張り流路21は、温度センサ28の下流側で給湯流路22に連結されている。湯張り流路21には、開閉弁23が設けられ、浴槽20への湯張りを行う際にはこの開閉弁23を開き、湯張り流路21を介して浴槽20に湯が供給される。そして、浴槽20への湯張りが終了すると、開閉弁23は閉じられる。
【0024】
浴槽20には、循環ポンプ29及び熱交換器30が設けられた追焚き回路31が接続されている。
循環ポンプ29が作動すると、追焚き回路31に浴槽20の湯が循環し、浴槽20内の湯は、熱交換器30を通過して浴槽20に戻る。熱交換器30は、バーナー15の燃焼によって発生する燃焼ガスの熱を利用して熱交換器30を通過する湯を加熱するので、熱交換器30を通過し浴槽20に戻る湯は、浴槽20から熱交換器30に向かう湯に比べて高温になる。
なお、循環ポンプ29を作動して追焚き回路31に湯を循環させているときには、開閉弁23は閉じられている。
また、給湯流路22、追焚き回路31及び給水管16には、凍結を防止するヒータ32、32a、32bがそれぞれ取付けられている。本実施の形態では、ヒータ32は給湯流路22を形成する管に取付けられ、ヒータ32aは循環ポンプ29に取付けられているが、他の場所にヒータを取付けてもよい。ヒータ32、32a、32bは、通常時(即ち、商用電源11から電力が供給されている時)、所定の作動条件によって、例えば、外気温度が所定温度以下になると作動する。
【0025】
給湯器10には、バーナー15、ポンプ18、ファン19、開閉弁23、混合弁24、比例弁25、温度センサ26〜28、循環ポンプ29及びヒータ32、32a、32bをはじめとする多くの電動機器(電力を供給されて作動する機器)が設けられ、これらの電動機器には制御装置33(電動機器の一例)が接続されている。
制御装置33は、商用電源11と電動機器を電気的に接続する電力供給回路33a及び各種プログラムが搭載されたマイクロコンピュータ33b(演算器の一例)を備えている。なお、電力供給回路33a及びマイクロコンピュータ33bもそれぞれ電動機器である。
【0026】
通常時、即ち商用電源11が電力を供給可能な状態の時、電力供給回路33aに接続された電動機器(マイクロコンピュータ33bを含む)には、電力供給回路33aを介して商用電源11からの電力が供給される。
マイクロコンピュータ33bは、図2に示すように、バーナー15、ポンプ18、ファン19、開閉弁23、混合弁24、比例弁25、温度センサ26〜28、循環ポンプ29及びヒータ32、32a、32bに信号接続され、指令信号を送信することによって、これらの電動機器を作動させることができる。
【0027】
給湯器10には、図1に示すように、二次電池12が設けられ、停電時、即ち商用電源11からの電力供給が停止した時には、電動機器に対して二次電池12から電力が供給される。
二次電池12は、交流電力を直流電力に変換するコンバータ35を介して商用電源11に電気的に接続され、通常時、商用電源11からの電力供給によって充電される。二次電池12としては、鉛蓄電池、リチウムイオン二次電池等を採用することができる。
【0028】
二次電池12の電力出力側には、インバータ36が設けられている。インバータ36は、停電時に二次電池12から電力を供給されて作動し、二次電池12から出力される直流電力を交流電力に変換する。インバータ36から出力される交流電力は電力供給回路33aに供給される。
【0029】
インバータ36と制御装置33の間には、電力供給回路33aへの電力の送り元を切り替えるスイッチ37が設けられている。
スイッチ37は、商用電源11から供給されていた電源が遮断されると、インバータ36と電力供給回路33aを電気的に接続し、インバータ36と電力供給回路33aを電気的に接続している状態で商用電源11からの電力供給が再開されると、商用電源11と電力供給回路33aを電気的に接続する。スイッチ37をこのように切り替えることによって、通常時、商用電源11からの電力が電力供給回路33aに供給され、停電時に、二次電池12からの電力がインバータ36を介して電力供給回路33aに供給されるようにする。
【0030】
また、二次電池12は、図1に示すように、インバータ36を介してサービス用コンセント38に電気的に接続されている。給湯器10は、停電時に、二次電池12からの直流電量をインバータ36で交流電力に変換し、その変換した交流電力をサービス用コンセント38を介して外部の機器に供給することができる。
なお、二次電池12、コンバータ35及びインバータ36は、制御装置33、バーナー15、ファン19等と共に筐体39内に配置されている。
【0031】
二次電池12は、筐体39内に形成され、ファン19の作動によって外部から空気が取り込まれる給気路40に設けられ、給気路40のファン19の上流側に配置されている。そのため、二次電池12は、ファン19が作動中に給気路40を流れる空気によって空冷される。
マイクロコンピュータ33bには、温度センサ41が信号接続されている。温度センサ41は、電動機器の1つであって、商用電源11あるいは二次電池12から電力供給回路33aを介して電力を供給されて作動し、二次電池12の表面温度を計測する。
【0032】
マイクロコンピュータ33bは、通常時、温度センサ41から得た二次電池12の表面温度が所定温度(例えば60〜90℃の範囲で予め定められた温度)以上であった際に、バーナー15が不使用時であっても、ファン19を作動して二次電池12を空冷する。
従って、二次電池12は、高温状態が継続するのを抑制される。
二次電池は一般的に高温状態が継続すると短命になるので、このファン19による空冷は、二次電池12の寿命を長くするのに有効である。
【0033】
本実施の形態では、停電時に、二次電池12から温度センサ41に対して電力が供給されず(即ち、二次電池12の表面温度は計測されない)、ファン19の作動はバーナー15を使用しているときのみに限定され、二次電池12に充電された電力の消費を抑制する設計となっている。これに対し、停電時にも二次電池12から温度センサ41に電力を供給し、二次電池12の表面温度が所定温度以上になったのが検知されると、バーナー15の燃焼を行っていない時であっても、ファン19を作動させ二次電池12を空冷するようにすることもできる。
【0034】
マイクロコンピュータ33bには、図2に示すように、リビングやキッチンに配置される給湯リモコン42及び浴室内に配置される浴室リモコン43が信号接続されている。給湯器10の使用者は、給湯リモコン42及び浴室リモコン43を操作して、浴槽20の湯張り温度や、蛇口13及びシャワー14に供給する湯の温度を設定することができる。給湯リモコン42及び浴室リモコン43は、入力された温度等を表示する画面及び操作用の複数の入力ボタンを有している。
なお、給湯リモコン42及び浴室リモコン43も、図1に示すように、電力供給回路33aに電気的に接続された電動機器であり、通常時は、商用電源11から電力を供給され、停電時には、二次電池12から電力を供給されて作動する。
【0035】
通常時、シャワー14及び蛇口13への給湯と浴槽20への湯張りと浴槽20の追焚きとは、それぞれ所定の操作によって開始され、全ての電動機器(マイクロコンピュータ33b、インバータ36及びスイッチ37を除く)は、適宜、マイクロコンピュータ33bから指令信号を送信されて作動する。
ここで、電動機器には、制御装置33(マイクロコンピュータ33b及び電力供給回路33a)と、制御装置33を介して電力が供給される被制御機器とがある。以下、制御装置33とこれらの被制御機器とを区別して、停電時における給湯器10の動きについて説明する。また、浴槽20への湯張り、あるいは浴槽20の追焚きが行われる際に作動する被制御機器を浴槽関連機器とする。本実施の形態では、開閉弁23及び循環ポンプ29が浴槽関連機器にあたる。
【0036】
マイクロコンピュータ33bは、停電時、浴槽20への湯張り及び浴槽20の追焚きを禁止する。具体的には、浴槽関連機器である開閉弁23及び循環ポンプ29には、給湯リモコン42や浴室リモコン43でいかなる操作がなされても、二次電池12からの電力供給が行われない。
また、停電時は、ヒータ32、32a、32b及び温度センサ41に対しても、二次電池12からの電力供給を行わないようにして、ヒータ32、32a、32b及び温度センサ41を停電が終わるまで停止状態にし、停電時に二次電池12の電力消費を抑制している。従って、ヒータ32、32a、32bは、停電時に、外気温度が所定温度以下になっても作動することはない。
【0037】
これに対し、浴槽関連機器及びヒータ32、32a、32bを除く被制御機器の一部、具体的には、バーナー15、ポンプ18、ファン19、混合弁24、比例弁25及び温度センサ26〜28には、停電時に、特定の作動スイッチによって二次電池12からの電力供給が行われる。
特定の作動スイッチとは、給湯リモコン42及び浴室リモコン43にそれぞれ設けられた特定の入力ボタンであり、停電時は、この入力ボタンを操作することによって二次電池12からの電力供給が開始される。以下、バーナー15、ポンプ18、ファン19、混合弁24、比例弁25及び温度センサ26〜28をまとめて「一部の被制御機器」ともいう。
【0038】
制御装置33には、停電時、二次電池12から継続的に電力が供給されている。電力供給回路33aには、インバータ36から出力される交流電力がスイッチ37を介して供給され、マイクロコンピュータ33bには、二次電池12からの交流電力がスイッチ37及び電力供給回路33aを介して供給される。
マイクロコンピュータ33bは、給湯リモコン42又は浴室リモコン43において特定の作動スイッチがなされたことを検出すると、電力供給回路33aの状態を切り替える。この切り替えによって、二次電池12からの電力供給が停止されていた一部の被制御機器に対して、二次電池12からの電力供給が開始され、蛇口13及びシャワー14は給湯が可能な状態となる。
【0039】
マイクロコンピュータ33bは、タイマー機能を有し、一部の被制御機器に二次電池12の電力を供給し始めてから所定時間経過したのを検知することができる。マイクロコンピュータ33bが一部の被制御機器に二次電池12の電力を供給し始めてから所定時間経過したのを検知すると、二次電池12から一部の被制御機器への電力供給は遮断され、蛇口13及びシャワー14への給湯がなされない状態にする。
【0040】
給湯リモコン42及び浴室リモコン43は、特定の作動スイッチによって開始された一部の被制御機器への電力供給が遮断される前に、アラーム音を発し、使用者に対して給湯を停止する旨を事前に知らせる。
そして、二次電池12に余力がある場合(即ち、二次電池12に電力が蓄えられている場合)、新たな特定の作動スイッチによって、二次電池12から一部の被制御機器への電力供給は再開され、蛇口13及びシャワー14への給湯が可能な状態になる。
【0041】
また、混合弁24及び比例弁25は、通常時に作動が可能な状態を保ち、適宜作動して、混合弁24は、蛇口13、シャワー14及び浴槽20に給湯される湯の温度の揺らぎを抑制し、比例弁25は流量調整を行うが、停電時、混合弁24及び比例弁25は、所定の開度を確保して停止状態となる。従って、停電時は、混合弁24及び比例弁25が、所定の開度となった後に作動せず、電力を消費しない。このため、給湯器10は全体の電力消費が抑えられた状態となる。
停電時、給湯温度として、給湯リモコン42又は浴室リモコン43で設定可能な温度の上限値は、通常時に比べて低い値となる。例えば、通常時に60℃であった上限値は、停電時に40℃になる。このような制御を行うことによって、ポンプ18の運転レベルの上限を制限し、二次電池12に充電されている電力の消費を抑制するようにしている。
【0042】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、バーナーは、ガス燃料式のものであってもよい。
また、停電時、特定の作動スイッチによって二次電池からの電力供給を開始する対象を、被制御機器の一部でなく、被制御機器の全部にすることもできる。
【符号の説明】
【0043】
10:給湯器、11:商用電源、12:二次電池、13:蛇口、14:シャワー、15:バーナー、16:給水管、17:熱交換器、18:ポンプ、19:ファン、19a:バーナー装置、20:浴槽、21:湯張り流路、22:給湯流路、23:開閉弁、24:混合弁、25:比例弁、26〜28:温度センサ、29:循環ポンプ、30:熱交換器、31:追焚き回路、32、32a、32b:ヒータ、33:制御装置、33a:電力供給回路、33b:マイクロコンピュータ、35:コンバータ、36:インバータ、37:スイッチ、38:サービス用コンセント、39:筐体、40:給気路、41:温度センサ、42:給湯リモコン、43:浴室リモコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常時は商用電源からの電力供給によって作動し、停電時には二次電池からの電力供給によって作動する給湯器であって、
該給湯器に設けられた電動機器には、制御装置と該制御装置を介して電力が供給される複数の被制御機器とがあって、停電時、前記制御装置は前記二次電池から継続的に電力が供給され、前記被制御機器の一部又は全部は、特定の作動スイッチによって前記二次電池からの電力供給が開始されることを特徴とする給湯器。
【請求項2】
請求項1記載の給湯器において、前記特定の作動スイッチによって開始された前記被制御機器への電力供給は、タイマーによって所定時間後に遮断され、前記被制御機器への電力供給は、新たな前記特定の作動スイッチによって再開されることを特徴とする給湯器。
【請求項3】
請求項2記載の給湯器において、前記特定の作動スイッチによって開始された前記被制御機器への電力供給が遮断される前に、音を発することを特徴とする給湯器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の給湯器において、前記被制御機器には、浴槽への湯張り、あるいは該浴槽の追焚きが行われる際に作動する浴槽関連機器があって、停電時、前記二次電池から前記浴槽関連機器への電力供給は、前記特定の作動スイッチによっても開始されないことを特徴とする給湯器。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の給湯器において、前記被制御機器には、通常時に所定の作動条件によって作動を開始し凍結を防止するヒータがあって、停電時、前記二次電池から前記ヒータへの電力供給は、前記所定の作動条件によっても開始されず、該ヒータは停電が終わるまで停止状態を維持することを特徴とする給湯器。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の給湯器において、給湯温度として設定可能な温度の上限値は、停電時が、通常時に比べて低い値となることを特徴とする給湯器。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の給湯器において、前記被制御機器には、給湯温度を調整する混合弁及び給湯する湯の流量を調整する比例弁があって、前記混合弁及び前記比例弁は、通常時に作動が可能な状態を保ち、停電時は所定の開度を確保して停止状態となることを特徴とする給湯器。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−88060(P2013−88060A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230006(P2011−230006)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(390002886)株式会社長府製作所 (197)