説明

給湯装置用リモートコントローラ

【課題】選択肢となる項目の数が多い場合でも少ない回数の操作で選択を行うことのできる操作性に優れた給湯装置用リモートコントローラを提供すること。
【解決手段】本発明の給湯装置用リモートコントローラ1は、上方向を示す十字スイッチ(上)3と、下方向を示す十字スイッチ(下)6と、左方向を示す十字スイッチ(左)4と、右方向を示す十字スイッチ(右)5とがそれぞれ上、下、左、右に配置された十字スイッチを含む操作部と、選択肢となる複数の項目を使用者に提示する項目選択画面を表示可能な表示部2と、項目選択画面において、一つの項目を中央とし該中央の項目を取り囲むように残りの項目を配置して表示し、表示開始時には中央の項目を選択中の項目とし、十字スイッチが操作された際には、選択中の項目を、操作されたスイッチが示す方向に位置する項目に遷移させる制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯装置用リモートコントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
流し台、洗面所等の給湯栓や浴槽等に給湯する給湯装置を、台所や浴室等の壁面に設置されるリモートコントローラ(リモコン)から遠隔操作するシステムが広く用いられている。使用者は、給湯装置に関する各種の設定をリモコンから行うことができる。このような給湯装置用のリモコンでは、従来、設定する項目を使用者が選択する場合などにおいて、ワンボタンのトグルによって選択する操作や、上下2つの選択スイッチと決定スイッチとを用いて選択する操作を行うように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−292038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年の給湯装置では、省エネ機能などによる多機能化に伴い、使用者がリモコンで設定可能な項目の数が増加してきている。このため、従来の構成では、操作回数が増加し、操作性が良くないという課題がある。
【0005】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、選択肢となる項目の数が多い場合でも少ない回数の操作で選択を行うことのできる操作性に優れた給湯装置用リモートコントローラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る給湯装置用リモートコントローラは、給湯装置の運転に関する設定を使用者が行うことのできる給湯装置用リモートコントローラであって、上方向を示すスイッチと、下方向を示すスイッチと、左方向を示すスイッチと、右方向を示すスイッチとがそれぞれ上、下、左、右に配置された十字スイッチを含む操作部と、選択肢となる複数の項目を使用者に提示する項目選択画面を表示可能な表示部と、項目選択画面において、一つの項目を中央とし該中央の項目を取り囲むように残りの項目を配置して表示し、表示開始時には中央の項目を選択中の項目とし、十字スイッチが操作された際には、選択中の項目を、操作されたスイッチが示す方向に位置する項目に遷移させる制御部と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、選択肢となる項目の数が多い場合でも少ない回数の操作で選択を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1の給湯装置用リモートコントローラを備えた給湯システムを示す構成図である。
【図2】図1に示す給湯システムの機能ブロック図である。
【図3】表示部に表示される項目選択画面の例を示す図である。
【図4】表示部に表示される項目選択画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において共通する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1の給湯装置用リモートコントローラを備えた給湯システムを示す構成図である。図1に示すように、本実施形態の給湯システムは、給湯装置本体11と、この給湯装置本体11と相互に通信可能に接続されたリモートコントローラ(以下、「リモコン」と称する)1とを有している。給湯装置本体11は、例えば流し台、洗面所等の給湯栓や浴槽等に給湯する機能を備えた装置であり、その詳細な説明は省略するが、例えば貯湯式給湯装置等で構成される。貯湯式給湯装置の場合には、通常、湯を沸き上げる加熱手段としてのヒートポンプユニット、湯を貯留する貯湯タンク、湯水を循環させるポンプ類、浴槽追焚き用の熱交換器、湯水を混合して温度調節する混合弁、流路を開閉する電磁弁、流路切替弁等のバルブ類、温度センサ、流量センサ等のセンサ類などを備えた構成とされる。
【0011】
リモコン1は、例えば台所、浴室等の壁面に設置される。リモコン1は、給湯装置本体11の運転の開始、停止を始め、給湯機能の動作に関する指示を使用者が入力可能であるように構成されている。リモコン1は、例えば液晶表示装置、有機EL表示装置などで構成される表示部2と、使用者の操作を受け付ける操作部とを有している。
【0012】
表示部2には、給湯装置本体11の状態(例えば、給湯温度、貯湯量など)に関する情報や現在時刻などが表示される。表示部2の少なくとも一部の領域は、任意の文字、図形、記号などを表示可能なドットマトリクス方式の表示領域となっていてもよい。後述するように、使用者が各種の設定を行う場合などには、選択肢となる複数の項目を使用者に提示する項目選択画面を表示部2に表示可能となっている。
【0013】
本実施形態のリモコン1における操作部は、上方向を示す十字スイッチ(上)3と、左方向を示す十字スイッチ(左)4と、右方向を示す十字スイッチ(右)5と、下方向を示す十字スイッチ(下)6と、決定スイッチ7と、機能スイッチ(a)8と、機能スイッチ(b)9と、機能スイッチ(c)10とを有している。十字スイッチ(上)3、十字スイッチ(左)4、十字スイッチ(右)5、および十字スイッチ(下)6は、決定スイッチ7に対し、それぞれ上、左、右、下に位置するように配置されている。後述するように、項目選択画面においては、使用者がこれらのスイッチを操作することにより、項目を選択することができる。機能スイッチ(a)8、機能スイッチ(b)9、機能スイッチ(c)10は、それぞれ、使用頻度の高い機能に対応した単独のスイッチとして設けられている。
【0014】
図2は、図1に示す給湯システムの機能ブロック図である。給湯装置本体11は、給湯動作の制御やリモコン1との通信信号の解析、送受信等を行う制御部11aと、リモコン1との通信信号の変換を行う通信回路11bと、電源部11cとを有している。リモコン1は、表示部2の表示制御や給湯装置本体11との通信信号の解析や送受信等を行うリモコン制御部1aと、給湯装置本体11との通信信号の変換を行う通信回路1bと、電源部1cとを備えている。
【0015】
図3は、表示部2に表示される項目選択画面の一例を示す図である。リモコン制御部1aは、使用者が各種の設定を行う際に複数の項目の中から設定する項目を選択する場合などにおいて、図3に示すような項目選択画面を表示部2に表示させることができる。使用者が設定する項目としては、例えば、給湯温度の設定、浴槽湯張りの予約設定、スピーカの音量設定、貯湯タンクの沸き上げ運転モードの設定、追焚き運転モードの設定、時計時刻の設定、浴槽配管洗浄の設定、沸き上げを数日間停止する場合の停止日数の設定等が挙げられる。
【0016】
図3に示す項目選択画面では、5個の項目を選択肢として使用者に提示している。各項目の表示は、その内容が文字によって表されていてもよいし、図形や記号によって表されていてもよい。ここでは、5個の項目を項目A〜Eとして説明する。リモコン制御部1aは、項目A〜Eを表示部2に表示する場合、図3に示すように、そのうちの一つの項目(ここでは項目C)を中央とし、その中央の項目Cを取り囲むように残りの項目を配置して表示する。図3に示す例では、中央の項目Cに対し、項目Aを上側に配置し、項目Bを左側に配置し、項目Dを右側に配置し、項目Eを下側に配置している。
【0017】
リモコン制御部1aは、このような項目選択画面の表示開始時には、中央の項目Cを選択中の項目とする。そして、十字スイッチ(上)3、十字スイッチ(左)4、十字スイッチ(右)5、十字スイッチ(下)6のうちの何れかが操作された場合には、選択中の項目を、その操作されたスイッチの方向に位置する項目へ遷移させる。
【0018】
項目選択画面では、選択中の項目がどれかを使用者が識別できるように表示される。例えば、選択中の項目を、他の項目に対し、拡大表示したり、反転表示(文字、図形等の色と、背景の色とを反転させる表示)したり、点滅表示したりして区別することが好ましい。これらの表示方法によれば、選択中の項目を使用者が確実に識別することができる。
【0019】
すなわち、項目選択画面の表示開始時には、中央の項目Cが、上述した拡大表示、反転表示、点滅表示等の表示(以下、「選択表示」と称する)がなされた状態となっている。そして、十字スイッチ(上)3、十字スイッチ(左)4、十字スイッチ(右)5、十字スイッチ(下)6のうちの何れかが操作された場合には、選択表示がなされている項目は、中央の項目Cから、その操作されたスイッチの方向に位置する項目へ遷移する。
【0020】
使用者は、決定スイッチ7を操作することにより、項目の選択を確定することができる。すなわち、リモコン制御部1aは、決定スイッチ7が操作された場合には、その時点で選択中の項目(選択表示がなされている項目)を、使用者が選択した項目として決定する。
【0021】
このような図3に示す項目選択画面によれば、使用者は、項目A〜Eの何れを選択する場合においても、スイッチ操作回数2回以内で選択を確定することが可能となる。例えば、項目Aを選択する場合には、十字スイッチ(上)3を押してから決定スイッチ7を押す2回の操作で項目Aの選択を確定することができる。項目Bを選択する場合には、十字スイッチ(左)4を押してから決定スイッチ7を押す2回の操作で項目Bの選択を確定することができる。項目Cを選択する場合には、決定スイッチ7を押す1回だけの操作で項目Cの選択を確定することができる。項目Dを選択する場合には、十字スイッチ(右)5を押してから決定スイッチ7を押す2回の操作で項目Dの選択を確定することができる。項目Eを選択する場合には、十字スイッチ(下)6を押してから決定スイッチ7を押す2回の操作で項目Eの選択を確定することができる。
【0022】
項目選択画面において提示される項目のうちの一つは、前画面あるいは初期画面に戻る項目としてもよい。その場合には、中央の項目を前画面あるいは初期画面に戻る項目とすることが好ましい。これにより、誤操作により使用者の意に反して設定が変わってしまうようなことを確実に防止することができる。また、図3では、項目の数が5個の場合について説明したが、5個未満の場合にも同様に適用することができる。この場合は、中央の項目に対して上、下、左、右に位置する箇所のうちに空欄となる箇所を設ければよい。
【0023】
図4は、表示部2に表示される項目選択画面の他の例を示す図である。以下、図4に示す項目選択画面の場合について説明するが、上述した図3に示す項目選択画面の場合との相違点を中心に説明し、同様の事項については説明を省略または簡略化する。
【0024】
図4に示す項目選択画面では、9個の項目を選択肢として使用者に提示している。ここでは、その9個の項目を項目a〜iとして説明する。リモコン制御部1aは、項目a〜iを表示部2に表示する場合、図4に示すように、そのうちの一つの項目(ここでは項目e)を中央とし、その中央の項目eを取り囲むように残りの項目を配置して表示する。図4に示す例では、中央の項目eに対し、項目b、項目h、項目d、項目fをそれぞれ上、下、左、右に配置するとともに、項目a、項目c、項目g、項目iをそれぞれ左斜め上、右斜め上、左斜め下、右斜め下に配置している。
【0025】
リモコン制御部1aは、このような項目選択画面の表示開始時には、中央の項目eが選択されている状態とする。そして、十字スイッチ(上)3、十字スイッチ(左)4、十字スイッチ(右)5、十字スイッチ(下)6のうちの何れかが操作された場合には、選択中の項目を、中央の項目eから、その操作されたスイッチの方向に位置する項目へ遷移させる。
【0026】
また、リモコン制御部1aは、十字スイッチ(上)3、十字スイッチ(左)4、十字スイッチ(右)5、十字スイッチ(下)6のうち隣り合う二つが同時的に操作される同時押しを認識可能になっている。リモコン制御部1aは、十字スイッチ(上)3、十字スイッチ(左)4、十字スイッチ(右)5、十字スイッチ(下)6のうち隣り合う二つが所定の判定時間(例えば0.5秒)以内に操作された場合には、その二つのスイッチが同時押しされたと認識する。その場合、リモコン制御部1aは、選択中の項目を、同時押しされた二つのスイッチが示す斜めの方向に位置する項目に遷移させる。
【0027】
例えば、中央の項目eが選択されている状態から、十字スイッチ(上)3と十字スイッチ(左)4とが同時押しされた場合には選択項目は左斜め上の項目aに遷移し、十字スイッチ(上)3と十字スイッチ(右)5とが同時押しされた場合には選択項目は右斜め上の項目cに遷移し、十字スイッチ(下)6と十字スイッチ(左)4とが同時押しされた場合には選択項目は左斜め下の項目gに遷移し、十字スイッチ(下)6と十字スイッチ(右)5とが同時押しされた場合には選択項目は右斜め下の項目iに遷移する。
【0028】
このような同時押しを1回の操作とカウントした場合、図4に示す項目選択画面によれば、使用者は、項目a〜iの何れを選択する場合においても、スイッチ操作回数2回以内で選択を確定することが可能となる。
【0029】
なお、使用者によっては、同時押しが不慣れだったり、操作に慣れが必要な場合もある。このため、リモコン制御部1aが同時押しと判定する判定時間を可変とし、使用者がリモコン1を操作することによってその判定時間を調整可能に構成してもよい。例えば、判定時間の初期設定を0.5秒とし、選択肢として、0.5秒/1.0秒/1.5秒から選ぶようにしたり、任意の時間を設定可能としてもよい。
【0030】
また、リモコン制御部1aは、同時押しを常に許可するのではなく、同時押しを許可するモード(同時押しを認識するモード)と、同時押しを禁止するモード(同時押しを認識しないモード)とを切り替えるようにしてもよい。例えば、項目選択画面において、選択中の項目に対して斜めの方向に項目が存在する場合(つまり同時押しによって選択される項目が存在する場合)のみ同時押しを許可するモードとし、選択中の項目に対して斜めの方向に項目が存在しない場合(つまり同時押しによって選択される項目が存在しない場合)には同時押しを禁止するモードとしてもよい。これにより、誤操作を確実に防止することができる。
【0031】
なお、図4では、項目の数が9個の場合について説明したが、項目の数が6〜8個の場合には、中央の項目に対して左斜め上、右斜め上、左斜め下、右斜め下に位置する箇所のうちに空欄となる箇所を設ければよい。
【符号の説明】
【0032】
1 リモコン
1a リモコン制御部
2 表示部
3 十字スイッチ(上)
4 十字スイッチ(左)
5 十字スイッチ(右)
6 十字スイッチ(下)
7 決定スイッチ
8 機能スイッチa
9 機能スイッチb
10 機能スイッチc
11 給湯機本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯装置の運転に関する設定を使用者が行うことのできる給湯装置用リモートコントローラであって、
上方向を示すスイッチと、下方向を示すスイッチと、左方向を示すスイッチと、右方向を示すスイッチとがそれぞれ上、下、左、右に配置された十字スイッチを含む操作部と、
選択肢となる複数の項目を使用者に提示する項目選択画面を表示可能な表示部と、
前記項目選択画面において、一つの項目を中央とし該中央の項目を取り囲むように残りの項目を配置して表示し、表示開始時には前記中央の項目を選択中の項目とし、前記十字スイッチが操作された際には、選択中の項目を、操作されたスイッチが示す方向に位置する項目に遷移させる制御部と、
を備える給湯装置用リモートコントローラ。
【請求項2】
前記制御部は、前記十字スイッチのうちの隣り合う二つの同時押しを認識可能である請求項1記載の給湯装置用リモートコントローラ。
【請求項3】
前記制御部は、前記項目選択画面において、選択中の項目に対して斜めの方向に項目が存在する場合には前記同時押しを許可するモードとし、選択中の項目に対して斜めの方向に項目が存在しない場合には前記同時押しを禁止するモードとする請求項2記載の給湯装置用リモートコントローラ。
【請求項4】
前記制御部は、前記十字スイッチのうちの隣り合う二つが所定の判定時間内に操作された場合を前記同時押しとして認識し、
前記判定時間の設定を使用者が変更可能とする手段を備える請求項2または3記載の給湯装置用リモートコントローラ。
【請求項5】
前記制御部は、前記項目選択画面において、選択中の項目を、拡大表示、反転表示、点滅表示のうちの何れかにより、他の項目と区別して表示する請求項1乃至4の何れか1項記載の給湯装置用リモートコントローラ。
【請求項6】
前記制御部は、前記項目選択画面において、前記項目の数が5個以下である場合、前記中央の項目以外の各項目を、前記中央の項目に対して上、下、左、右のうちの何れかにそれぞれ配置する請求項1乃至5の何れか1項記載の給湯装置用リモートコントローラ。
【請求項7】
前記制御部は、前記項目選択画面において、前記項目の数が6個以上9個以下である場合、前記中央の項目以外の項目のうちの4個を前記中央の項目に対して上、下、左、右にそれぞれ配置し、残りの各項目を前記中央の項目に対して左斜め上、右斜め上、左斜め下、右斜め下のうちの何れかにそれぞれ配置する請求項1乃至6の何れか1項記載の給湯装置用リモートコントローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−44474(P2013−44474A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182603(P2011−182603)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】