説明

給湯装置

【課題】給湯を停止した後に再給湯が行なわれたときに、混合湯経路に冷水もしくは高温の湯が供給されることを抑制することが可能な給湯装置を実現する。
【解決手段】制御装置200は、流量カウンタ72が配管17を流れる湯の供給を検出したときに、給湯設定温度に応じて混合弁16による混合比率を制御させ、流量カウンタ72が配管17を流れる湯の給湯停止を検出したときに、混合弁16を給湯停止時の状態に保持するように制御させるとともに、混合弁16は、給湯停止を検出したときより導出管14から給水配管15に流れ込んだ湯が、再給湯時において、配管17に流れ込むことのないように導出管14と給水配管15との合流点に設けた。これにより、再給湯が行なわれても、配管17に冷水もしくは高温の湯が供給されることを抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱手段により加熱した給湯用の湯を貯える貯湯タンクを備える給湯装置に関するものであり、特に貯えられた湯と水とを混合する混合手段に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の給湯装置では、貯湯タンク内に加熱手段であるヒータを備えており、給水経路から貯湯タンク内に送られた水を加熱して貯え給湯経路から湯を送り出すようになっている。また、給水経路と給湯経路とは貯湯タンクと迂回したバイパス経路により接続され、給湯経路とバイパス経路との合流点で湯と水とが混合され、下流側の混合湯経路に送られるようになっている。
【0003】
そして、湯と水の混合比率は、給湯経路からバイパス経路が分岐する分岐点もしくは給湯経路とバイパス経路との合流点に設けられた比率制御弁(混合手段)により制御されるようになっており、給湯時には、給湯設定温度に応じて比率制御弁(混合手段)を制御し、給湯停止時には、所定時間比率制御弁を給湯停止時(給湯停止直前の給湯時)の状態に保持し、所定時間経過後に混合湯経路に供給される湯もしくは水のいずれかの経路を閉塞する構成となっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特公平7−72620号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1によれば、給湯停止後の上記所定時間内には比率制御弁を給湯停止時の状態に保持しているので、給湯経路からバイパス経路に湯が流れ込む。従って、上記所定時間内に再給湯が行われた場合には、混合湯経路に給湯経路から供給される湯に加え、バイパス経路に流れ込んだ湯が混合されて送られるため、給湯設定温度よりも高温の湯が供給され使用者が不快感を感じる場合があるという問題がある。
【0006】
また、この流れ込んだ湯を極力少なくするために、所定時間経過後に混合湯経路に供給される湯もしくは水のいずれかの経路を閉塞させているので、その後の再給湯において、給湯設定温度に達する湯を出湯するための開度に到達するまでの間に冷水が出湯する問題がある。
【0007】
そして、これらの給湯設定温度から乖離された高温の湯もしくは冷水は再給湯時の流量が少ない場合には、この傾向は顕著なものとなる。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記点を鑑みたものであり、給湯を停止した後に再給湯が行なわれたときに、混合湯経路に冷水もしくは高温の湯が供給されることを抑制することが可能な給湯装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記、目的を達成するために、請求項1ないし請求項6に記載の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の発明では、加熱手段(2)により内部の水を加熱して、内部に給湯用の湯として貯える貯湯タンク(1)と、この貯湯タンク(1)に水を送る給水経路(12)と、貯湯タンク(1)内の貯えられた湯を送る給湯経路(14)と、給水経路(12)から分岐し、貯湯タンク(1)を迂回するバイパス経路(15)と、給湯経路(14)とバイパス経路(15)が合流した混合湯経路(17)と、給湯経路(14)とバイパス経路(15)の合流点に設けられ、給湯経路(14)を流れる湯とバイパス経路(15)を流れる水との混合比率を、それぞれの経路(14、15)の開度を調節することで制御する混合手段(16)と、混合湯経路(17)に設けられ、この混合湯経路(17)を流れる湯の供給の有無を検出する給湯検出手段(72)と、この給湯検出手段(72)および給湯設定温度に応じて混合手段(16)と加熱手段(2)とを制御する制御手段(200)とを備える給湯装置において、
制御手段(200)は、給湯検出手段(72)が混合湯経路(17)を流れる湯の供給を検出したときに、給湯設定温度に応じて混合手段(16)による混合比率を制御させ、給湯検出手段(72)が混合湯経路(17)を流れる湯の給湯停止を検出したときに、混合手段(16)を給湯停止時の状態に保持するように制御させるとともに、
混合手段(16)は、給湯停止を検出したときより給湯経路(14)からバイパス経路(15)に流れ込んだ湯が、再給湯時において、混合湯経路(17)に流れ込むことのないように給湯経路(14)とバイパス経路(15)との合流点に設けたことを特徴としている。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、給湯停止後おいて、混合手段(16)における湯と水のそれぞれの経路(14、15)の開度は、給湯停止時(給湯停止直前の給湯時)の状態に保持するように制御される。従って、貯湯タンク(1)内と給湯経路(14)、バイパス経路(15)および給水経路(12)とが連通することで給湯経路(14)からバイパス経路(15)に湯が流れ込んでしまう。
【0011】
ところが、混合手段(16)は、再給湯時において、混合湯経路(17)に流れ込むことのないように給湯経路(14)とバイパス経路(15)との合流点に設けたことにより、例えば、バイパス経路(15)を極力最小寸法で構成させてバイパス経路(15)に流れ込んだ湯を給水経路(12)側に流すようにすると、再給湯時において、流れ込んだ湯の大半が貯湯タンク(1)に通ずる給水経路(12)に流れ、バイパス経路(15)に流れ込んだ高温の湯が混合湯経路(17)に供給されることを抑制することができる。
【0012】
しかも、混合手段(16)における湯と水のそれぞれの経路(14、15)の開度は、給湯停止時(給湯停止直前の給湯時)の状態であるから、再給湯開始直後から混合比率の制御ができるため冷水が混合湯経路(17)に供給されることを抑制することができる。これにより、使用者が高温出湯もしくは冷水により不快感を感じることを抑制できる。
【0013】
また、混合手段(16)の開度が給湯停止時(給湯停止直前の給湯時)の状態で保持されていることにより、このときに停電などが生じても混合比率の制御が可能である。
【0014】
請求項2に記載の発明では、混合手段(16)は、給水経路(12)からバイパス回路(15)に分岐する給水分岐点(12a)の上方近傍に設けたことを特徴としている。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、具体的には、混合手段(16)を貯湯タンク(1)内に通ずる給水経路(12)の給水分岐点(12a)の上方近傍に設けたことにより、バイパス経路(15)を極力最小寸法で構成できるため、バイパス経路(15)に流れ込む湯の大半が貯湯タンク(1)側に流し込むことができる。従って、バイパス経路(15)に流れ込んだ高温の湯が混合湯経路(17)に供給されることを抑制することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明では、給水分岐点(12a)は、前記貯湯タンク(1)の最上部よりも上方に設けたことを特徴としている。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、貯湯タンク(1)内に少量の湯が貯えられているとき、つまり、貯湯タンク(1)内の湯と水との温度境界位置が最上部の時の場合でも、給水分岐点(12a)を貯湯タンク(1)の最上部よりも上方に配設したことにより、給湯経路(14)に冷水が流れ込むことはない。従って、給湯時に湯切れのない限り混合手段(16)に貯湯タンク(1)内の湯を供給できる。
【0018】
請求項4に記載の発明では、バイパス回路(15)には、給水経路(12)からバイパス経路(15)に向けて流す方向の逆方向に流すことを遮断する逆止弁手段(51)が設けられていることを特徴としている。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、給湯停止後おいて、混合手段(16)における湯と水のそれぞれの経路(14、15)の開度は、給湯停止時(給湯停止直前の給湯時)の状態に保持されていても、逆止弁手段(51)により貯湯タンク(1)内と給湯経路(14)、バイパス経路(15)および給水経路(12)とが閉塞されることで給湯経路(14)からバイパス経路(15)に湯が流れ込むことはない。従って、高温の湯が混合湯経路(17)に供給されることはない。
【0020】
また、この逆止弁手段(51)により、バイパス経路(15)から貯湯タンク(1)内に、給湯経路(14)からの湯が流れ込まないので、加熱手段(2)により沸き上げた湯を給湯用に有効に使用することができる。
【0021】
請求項5に記載の発明では、制御手段(200)は、加熱手段(2)を制御して貯湯タンク(1)内の水を加熱させて沸き上げられた湯と沸き上げられる前の水との境界をなす温度境界位置が混合手段(16)よりも下方に形成するように加熱手段(2)を制御することを特徴としている。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、貯湯タンク(1)内の湯は湯と水の比重関係により、沸き上げられた湯と沸き上げられる前の水との境界をなす温度境界位置が変動している。例えば、貯湯タンク(1)内の湯が少量になってくるとこの温度境界位置が混合手段(16)の上方に形成されるときがある。このときには、給湯停止後に混合手段(16)の開度が給湯停止時(給湯停止直前の給湯時)の状態で保持されているために、混合手段(16)の上方まで冷水が流れ込んでしまう。つまり、バイパス経路(15)から給湯経路(14)に冷水が流れ込む。従って、再給湯時において、この冷水が混合湯経路(17)に供給され使用者が不快感を感じる場合がある。
【0023】
そこで、本発明では、温度境界位置が混合手段(16)よりも下方に形成するように加熱手段(2)を制御することにより、上記請求項3と同じように、給湯経路(14)に冷水が導出されることがない。従って、上記温度境界位置が混合手段(16)よりも下方となるように制御手段(200)により沸き上げ制御することで、貯湯タンク(1)内の最低貯湯量として設定できる。
【0024】
請求項6に記載の発明では、貯湯タンク(1)は、複数のタンク(1a、1b、1c、1d、1e)を連結した構成であることを特徴としている。
【0025】
請求項6に記載の発明によれば、貯湯タンク(1)は、例えば、二つのタンク(1a、1b)や三つのタンクを(1c、1d、1e)をそれぞれ直列に連結させたものでも本発明を適用できる。
【0026】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0027】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明を適用した第1実施形態の給湯装置を図1および図2に基づいて説明する。図1は、給湯装置の概略構成を示す模式図である。図1に示すように、1は耐食性に優れた金属製(例えばステンレス製)の貯湯タンクであり、外周部に図示しない断熱材が配置されており、高温の給湯用の湯を長時間に渡って保温することができるようになっている。貯湯タンク1は縦長形状であり、その底面には導入口11が設けられ、この導入口11には貯湯タンク1内に水道水を導入する給水経路である導入管12が接続されている。
【0028】
導入管12には温度検出手段である給水サーミスタ21が設けられており、導入管12内の温度情報を後述する制御装置200に出力するようになっている。また、導入管12には導入される水道水の水圧が所定圧となるように調節するとともに、断水などにおける湯の逆流を防止する減圧逆止弁51が設けられている。そして、導入管12の給水サーミスタ21および減圧逆止弁51が設けられた位置より下流の給水分岐点12aと後述する混合弁16とはバイパス経路である給水配管15により繋がれている。
【0029】
因みに、本実施形態の給水分岐点12aは、貯湯タンク1のほぼ中央部(高さ方向に対して)の位置に設けられて、給水配管15の下流端に配設される混合弁16に対して下方に設けられている。また、本実施形態の給水配管15は、最小寸法の長さで形成して混合弁16に繋がれている。
【0030】
一方、貯湯タンク1の最上部には導出口13が設けられ、導出口13には貯湯タンク1内の湯を導出するための給湯経路である導出管14が接続されている。導出管14の経路途中には逃がし弁53が配設された排出配管52を接続しており、貯湯タンク1内の圧力が所定圧以上に上昇した場合には、貯湯タンク1内の湯を外部に排出して、貯湯タンク1等にダメージを与えないようになっている。
【0031】
16は混合手段である混合弁であり、導出管14と給水配管15との合流点に配置されている。そして、混合弁16は開口面積比(導出管14に連通する湯側の開度と給水配管15に連通する水側の開度の比率)を調節することにより、導出管14からの湯と給水配管15からの水道水との混合比を調節できるようになっている。
【0032】
なお、混合弁16はサーボモータ等の駆動源により弁体を駆動して各経路の開度を調節する電動弁であり、後述する制御装置200からの制御信号により作動するとともに、作動状態を制御装置200に出力するようになっている。
【0033】
混合弁16の出口側には給湯水栓、シャワー、風呂等への混合湯経路である配管17が接続している。配管17には温度検出手段である給湯サーミスタ71と給湯検出手段である流量カウンタ72が設けられており、給湯サーミスタ71は配管17内の温度情報を、流量カウンタ72は配管17内の流量情報を後述する制御装置200に出力するようになっている。
【0034】
なお、流量カウンタ72が配管17内の水の流れを検出したときには、給湯水栓、シャワー、風呂等のいずれかで湯が使用されようとしているということである。このとき制御装置200は、設定温度に応じて、まず給水サーミスタ21からの温度情報と後述する出湯サーミスタ32からの温度情報とから混合弁16の開口面積比を概略調節し、その後給湯サーミスタ71からの温度情報に基づいて給湯温度が設定温度となるように混合弁16の開口面積比を微細制御するようになっている。
【0035】
また、貯湯タンク1の下部には、貯湯タンク1内の水を吸入するための吸入口18が設けられ、貯湯タンク1の上部側面には、貯湯タンク1内に湯を吐出する吐出口19が設けられている。吸入口18と吐出口19とは循環回路20で接続されており、循環回路20の一部はヒートポンプユニット2内に配置されている。循環回路20のヒートポンプユニット2内に配置された部分には、図示しない熱交換器が設けられており、吸入口18から吸入した貯湯タンク1内の水を高温冷媒との熱交換により加熱し、吐出口19から貯湯タンク1内に戻すことにより貯湯タンク1内の水を沸き上げることができるようになっている。
【0036】
ヒートポンプユニット2は、本実施形態における加熱手段である。なお、ヒートポンプユニット2は後述する制御装置200からの制御信号により作動するとともに、作動状態を制御装置200に出力するようになっている。
【0037】
さらに、貯湯タンク1の上部外壁面には、貯湯タンク1内上部の水温を検出する出湯サーミスタ32が設けられており、導出口13から導出される水の温度情報を後述する制御装置200に出力するようになっている。
【0038】
また、貯湯タンク1の外壁面には複数の(本例では6つの)水位サーミスタ33が縦方向にほぼ等間隔に配置され、貯湯タンク1内に満たされた水の各水位レベルでの温度情報を後述する制御装置200に出力するようになっている。従って、制御装置200は、水位サーミスタ33からの温度情報に基づいて、貯湯タンク1内上方の沸き上げられた湯と貯湯タンク1内下方の沸き上げられる前の水との温度境界位置を検出できるようになっている。
【0039】
また、200は制御手段である制御装置であり、各サーミスタ21、32、33、71からの温度情報、流量カウンタ72からの流量情報および図示しない操作盤に設けられた操作スイッチからの信号等に基づいて、後述する手順に従ってヒートポンプユニット2、混合弁16等を制御するように構成されている。
【0040】
なお、図示しない操作盤は、浴室内や台所等の湯を使用する場所の近傍に設置され、操作盤以外は、屋外等の適所に設置されている。
【0041】
次に、上記構成による給湯装置の作動を図2に基づいて説明する。図2は、制御装置200の全体概略制御処理を示すフローチャートである。まず、給湯装置の図示しない電源スイッチがオンされると、制御装置200は、通常の温調給湯制御を行なう(ステップ101)。温調給湯制御が実行されると、制御装置200は、貯湯タンク1に設けられた各サーミスタからの温度情報等や、図示しない操作盤により設定された時刻情報等に基づいて、適宜ヒートポンプサイクル2を作動させ貯湯タンク1内の水を加熱して給湯用の湯(例えば85℃の湯)とする。
【0042】
また、流量カウンタ72からの流量情報に基づいて給湯水栓等が開かれたと判定したときは、図示しない操作盤により設定された給湯設定温度に基づいて混合弁16を制御して温度調節された混合湯を配管17に供給する。そして、次に、流量カウンタ72からの流量情報に基づいて、給湯水栓等が閉じられたかどうか判定する。すなわち、配管17を介して給湯されていた状態から給湯が停止された状態になったか否かを判定する判定手段である。(ステップ102)。ここで、給湯停止状態もしくは給湯状態が継続している場合には、ステップ101にリターンする。
【0043】
ステップ102において、給湯状態から給湯停止状態になったと判定したときは、制御装置200は、混合弁16の湯側の開度(導出管14側の開度)を給湯停止時(すなわち給湯停止直前)の開度を保持するように混合弁16を制御する(ステップ103)。例えば、給湯停止時の湯側の開度と水側の開度(給水配管15側の開度)がともに50%であった場合には、そのままの開度の状態、つまり、湯側の開度を50%とし、水側の開度を50%とするように混合弁16を制御する。
【0044】
そして、ステップ103を実行したら、流量カウンタ72からの流量情報に基づいて給湯が再開されたか否かを判定する。(ステップ104)。給湯が再開された場合にはステップ101にリターンし、給湯が再開されていない場合には、所定時間が経過したか否かを判定し(ステップ105)、所定時間(例えば、30分程度)の間、給湯の再開の有無を監視する。
【0045】
給湯が再開されることなく所定時間が経過した場合には、混合弁16の湯側の開度を0%とし(湯側を閉じ)、水側の開度を100%とするように混合弁16を制御する(ステップ106)。すなわち、ステップ103の制御状態を所定時間の間、継続させた後、ステップ106の制御を実行する。そして、ステップ106を実行したらステップ101にリターンする。
【0046】
以上の第1実施形態の給湯装置によれば、給湯水栓等が閉じられて給湯が停止された後は、ステップ103において混合弁16の湯側の開度を給湯停止時の状態で保持していることで、貯湯タンク1内と導出管14、給水配管15および導入管12とが連通されることにより、導出管14側から混合弁16を通過して給水配管15内に湯が流れ込む。
【0047】
その後、給湯水栓等が開かれ再給湯が行なわれたとしても、給水分岐点12aを混合弁16の下方近傍に設けたことにより、給水配管15に流れ込んだ湯は大半が貯湯タンク1内および貯湯タンク1に通ずる導入管12に流れ込み、再給湯のときに貯湯タンク1内に流れてしまう。従って、高温の湯が配管17に供給されることなく給湯水栓等から設定温度よりも高温の湯が出湯することを抑制することが可能である。
【0048】
しかも、混合弁16の湯側の開度を給湯停止時の状態で保持していることで、再給湯開始直後から混合比率の制御ができるため冷水が配管17に供給されることを抑制することができる。これにより、使用者が高温出湯もしくは冷水により不快感を感じることを抑制できる。
【0049】
また、混合弁16を貯湯タンク1内に通ずる導入管12の給水分岐点12aの上方近傍に設けたことにより、給水配管15を極力最小寸法で構成できるため、給水配管15に流れ込む湯の大半が貯湯タンク1側に流すことができる。従って、給水配管15に流れ込んだ高温の湯が配管17に供給されることを抑制することができる。
【0050】
(第2実施形態)
以上の第1実施形態では、混合弁16を貯湯タンク1内に通ずる導入管12の給水分岐点12aの上方近傍に設けたが、これに限らず、給水配管15から導入管12に流れ込む湯の逆流を防止する逆止弁手段を給水配管15に設けても良い。
【0051】
具体的には、図3に示すように、給水分岐点12aの下流となる給水配管15および導入管12に逆止弁手段である減圧逆止弁51をそれぞれに設けたものである。なお、図中の符号は、第1実施形態と構成が同じものは同一の符号を付して説明は省略する。
【0052】
以上の構成による第2実施形態の給湯装置によれば、減圧逆止弁51により、給水配管15から貯湯タンク1内に、導出管14からの湯が流れ込まないのでヒートポンプユニット2により沸き上げた湯を給湯用に有効に使用することができる。
【0053】
なお、本実施形態では、給水配管15および導入管12に逆止弁手段である減圧逆止弁51をそれぞれに設けたが、これに限らず、第1実施形態給水分岐点12aの上流に減圧逆止弁51を設け、かつ給水配管15に逆止弁を設けても良い。
【0054】
(第3実施形態)
ところで、ヒートポンプユニット2により沸き上げられた貯湯タンク1内の湯は湯と水の比重関係により、沸き上げられた湯と沸き上げられる前の水との境界をなす温度境界位置が変動している。例えば、図4に示すように、貯湯タンク1内の湯が少量になってくると温度境界位置(図中に一点鎖線で示すX)が混合弁16の上方に形成されるときがある。
【0055】
上記温度境界位置(図中に一点鎖線で示すX)の場合では、給湯停止後に混合弁16の開度が給湯停止時(給湯停止直前の給湯時)の状態で保持されているために、混合弁16の上方まで冷水が流れ込んでしまう。つまり、導出管14の下流側に給水配管15から冷水が流れ込む。従って、再給湯時において、この冷水が配管17に供給され使用者が不快感を感じる場合がある。
【0056】
そこで、本実施形態では、温度境界位置が混合弁16の下方に形成されるように制御装置200によりヒートポンプユニット2の沸き上げを制御させたものである。具体的には、図4に示すように、給水分岐点12aと略同一高さの温度境界位置(図中に一点鎖線で示すY)を定めて、制御装置200により、水位サーミスタ33の検出値に基づいて、図中に示すYの部位に温度境界位置が形成するようにヒートポンプユニット2を沸き上げ制御したものである。つまり、水位サーミスタ33により最低貯湯量を監視し、上記温度境界位置が給水分岐点12aよりも上に来ないように沸き上げ制御を行なっている。
【0057】
これにより、給湯停止後は給水分岐点12a近傍まで湯が流れ込んで、給水分岐点12aより下方に冷水が存在している。従って、高温の湯および冷水が配管17に供給されることなく使用者が高温出湯もしくは冷水により不快感を感じることを抑制できる。さらに、温度境界位置が混合弁16よりも下方となるように沸き上げ制御することで、貯湯タンク1内の最低貯湯量として設定できる。
【0058】
なお、本実施形態では、最低貯湯量として上記温度境界位置を貯湯タンク1の略中央部よりもやや上に設定したが、図5に示すように、貯湯タンク1最上部に温度境界位置(図中に一点鎖線で示すZ)を設定しても良い。このときにも、給水分岐点12aを貯湯タンク1の最上部よりも上方に配設させて、その給水分岐点12aの上方近傍に混合弁16を構成させたものである。
【0059】
これによれば、貯湯タンク1内に少量の湯が貯えられているとき、つまり、貯湯タンク1内の湯と水との温度境界位置(図中に一点鎖線で示すZ)が最上部の時の場合でも、給水分岐点12aを貯湯タンク1の最上部よりも上方に配設したことにより、導出管14に冷水が流れ込むことはない。従って、給湯時に湯切れのない限り混合弁16に貯湯タンク1内の湯を供給できる。
【0060】
また、本実施形態では沸き上げ制御による上記温度境界位置を給水分岐点12aと略同一高さにしたが、給水分岐点12aの上方近傍に設けられる混合弁16の高さ位置でも良い。
【0061】
(他の実施形態)
以上の実施形態では、貯湯タンク1は1つのタンクにより構成されていたが、複数のタンクを連結して構成した貯湯タンクであってもよい。例えば、図6(a)に示すように2つのタンクを直列に連結したものであってもよいし、図6(b)に示すように3つのタンクを直列に連結したものであってもよい。
【0062】
これらのように、複数のタンクを連結した貯湯タンク1においては、前述の貯湯タンク1内の湯と水との温度境界位置に応じて制御を変える発明は、湯と水との境界があるタンクについて適用することができる。
【0063】
例えば、図6(a)に示す貯湯タンク1においては、混合弁16より下方ならなるタンク1aに一点鎖線で示す温度境界位置を設定し、この温度境界位置に応じた制御をするものであればよい。また、例えば、図6(b)に示す貯湯タンク1においては、同じように、混合弁16より下方ならなるタンク1cに一点鎖線で示す温度境界位置を設定し、この温度境界位置に応じた制御をするものであればよい。なお、図6では、要部以外の図示を省略している。
【0064】
また、以上の実施形態では、貯湯タンク1内の水を高温冷媒との熱交換により加熱するヒートポンプユニット2を加熱手段として説明したが、これに限らず、太陽熱、ガス、液体燃料による給湯器や湯沸かし器などの加熱手段と貯湯タンク1とを備える給湯装置に適用される。また、水道水等を導入し、貯湯タンク1内で電気ヒータ等により加熱して高温の湯として蓄えるものであっても良い。
【0065】
また、以上の実施形態では、混合弁16をサーボモータ等の駆動源により弁体を駆動して各経路の開度を調節する電動弁であったが、これに限らず、駆動源がステッピングモータを用いても良い。これによれば、給湯停止後に混合弁16の開度が給湯停止時(給湯停止直前の給湯時)の状態で保持しているときに、停電などが生じても混合比率の制御が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態における給湯装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】本発明の第1実施形態における制御装置200の全体概略制御処理を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第2実施形態における給湯装置の概略構成を示す模式図である。
【図4】本発明の第3実施形態における給湯装置の概略構成を示す模式図である。
【図5】本発明の第3実施形態における給湯装置の概略構成を示す模式図である。
【図6】他の実施形態における貯湯タンク1内の構成を示す模式図である。
【符号の説明】
1…貯湯タンク
1a、1b、1c、1d、1e…タンク
2…ヒートポンプユニット(加熱手段)
12…導入管(給水経路)
12a…給水分岐点
14…導出管(給湯経路)
15…給水配管(バイパス経路)
16…混合弁(混合手段)
17…配管(混合湯経路)
51…減圧逆止弁(減圧逆止弁手段)
72…流量カウンタ(給湯検出手段)
200…制御装置(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱手段(2)により内部の水を加熱して、内部に給湯用の湯として貯える貯湯タンク(1)と、
前記貯湯タンク(1)に水を送る給水経路(12)と、
前記貯湯タンク(1)内の貯えられた湯を送る給湯経路(14)と、
前記給水経路(12)から分岐し、前記貯湯タンク(1)を迂回するバイパス経路(15)と、
前記給湯経路(14)と前記バイパス経路(15)が合流した混合湯経路(17)と、
前記給湯経路(14)と前記バイパス経路(15)の合流点に設けられ、前記給湯経路(14)を流れる湯と前記バイパス経路(15)を流れる水の混合比率を、それぞれの経路(14、15)の開度を調節することで制御する混合手段(16)と、
前記混合湯経路(17)に設けられ、前記混合湯経路(17)を流れる湯の供給の有無を検出する給湯検出手段(72)と、
前記給湯検出手段(72)および給湯設定温度に応じて前記混合手段(16)と前記加熱手段(2)とを制御する制御手段(200)とを備える給湯装置において、
前記制御手段(200)は、前記給湯検出手段(72)が前記混合湯経路(17)を流れる湯の供給を検出したときに、給湯設定温度に応じて前記混合手段(16)による前記混合比率を制御させ、前記給湯検出手段(72)が前記混合湯経路(17)を流れる湯の給湯停止を検出したときに、前記混合手段(16)を給湯停止時の状態に保持するように制御させるとともに、
前記混合手段(16)は、給湯停止を検出したときより前記給湯経路(14)から前記バイパス経路(15)に流れ込んだ湯が、再給湯時において、前記混合湯経路(17)に流れ込むことのないように前記給湯経路(14)と前記バイパス経路(15)との合流点に設けたことを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
前記混合手段(16)は、前記給水経路(12)から前記バイパス回路(15)に分岐する給水分岐点(12a)の上方近傍に設けたことを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。
【請求項3】
前記給水分岐点(12a)は、前記貯湯タンク(1)の最上部よりも上方に設けたことを特徴とする請求項2に記載の給湯装置。
【請求項4】
前記バイパス回路(15)には、前記給水経路(12)から前記バイパス経路(15)に向けて流す方向の逆方向に流すことを遮断する逆止弁手段(51)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。
【請求項5】
制御手段(200)は、前記加熱手段(2)を制御して前記貯湯タンク(1)内の水を加熱させて沸き上げられた湯と沸き上げられる前の水との境界をなす温度境界位置が前記混合手段(16)よりも下方に形成するように前記加熱手段(2)を制御することを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。
【請求項6】
前記貯湯タンク(1)は、複数のタンクを連結した構成であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の給湯装置。

【図1】
image rotate



【図2】
image rotate



【図3】
image rotate



【図4】
image rotate



【図5】
image rotate



【図6】
image rotate


【公開番号】特開2004−232898(P2004−232898A)
【公開日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−19367(P2003−19367)
【出願日】平成15年1月28日(2003.1.28)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】