説明

給湯装置

【課題】浴槽水の追焚きに温水を用いて装置のコンパクト化を図るとともに、温水による追焚き動作の信頼性を高めた給湯装置を提供する。
【解決手段】温水(HW)の熱を浴槽水(BW)に熱交換する熱交換手段(風呂熱交換器56)と、前記熱交換手段に前記温水を流す循環路(給湯循環路5)に設置されて前記温水を前記循環路(給湯循環路5)に流す循環ポンプ(62)と、前記ポンプの駆動モータに流れる電流が基準値未満である場合、前記循環路に給水し、この給水中に前記ポンプの動作を断続させる制御部(制御装置82)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽水の温水による追焚き機能を備える給湯装置に関し、例えば、給湯路側に温水の循環路及び循環ポンプを備える給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給湯装置は飲用給湯、浴槽給湯に加え、浴槽水の追焚き加熱や、温水暖房等に供され、多機能化が図られている。
【0003】
この給湯装置に関し、給湯用熱交換器と潜熱回収用熱交換器で1つの加熱経路を形成し、加熱経路の循環水の熱を風呂回路に供給することにより、給湯用熱交換器や潜熱回収用熱交換器に関連しない利用側熱交換器が構成されることが知られている(特許文献1)。
【0004】
また、温水暖房では、温水を循環させる循環回路に循環ポンプが設置されている。この暖房水の循環ポンプでは、暖房運転時、モータ駆動電流をポンプ電流検知回路で検知し、その電流値が上限値を越える場合には、過負荷運転又はモータロック状態と判断して暖房運転を停止し、下限値未満の場合には空運転状態と判断して暖房運転を停止することが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−057984公報
【特許文献2】特開2006−329460公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、加熱経路の循環水を利用して熱量を供給する風呂回路(特許文献1)では、浴槽水の追焚が行われない場合に管路内に循環水が滞留することになる。また、暖房用の循環路では、循環ポンプに異常があれば運転を停止させている(特許文献2)が、モータ駆動電流を正常値に移行させるにはメンテナンスが必要である。
【0007】
そこで、本発明の目的は、浴槽水の追焚きに温水を用いることにより、装置のコンパクト化とともに、追焚き動作の信頼性を高めた給湯装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決した本発明の給湯装置は、温水の熱を浴槽水に熱交換する熱交換手段と、前記熱交換手段に前記温水を流す循環路に設置されて前記温水を前記循環路に流す循環ポンプと、前記ポンプを駆動するモータに流れる電流が基準値未満である場合、前記循環路に給水し、この給水中に前記ポンプの動作を断続させる制御部とを備えている。
【0009】
また、この給湯装置では、前記循環路に給湯回路から高温水を定期的に流し込み、前記循環路の滞留水を前記高温水に置換させる構成としてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、次のような効果が得られる。
【0011】
(1) 温水の熱で浴槽水を加熱(追焚き)できるので、熱交換手段を小型化でき、給湯装置のコンパクト化を図ることができる。
【0012】
(2) 温水の循環路に侵入したエア(空気)を除去でき、残留空気による不具合を防止できる。
【0013】
(3) 循環路の残留水を除去でき、循環路を清浄に維持することができる。
【0014】
(4) 循環路の循環ポンプの空運転時間を短縮でき、循環ポンプの耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施の形態に係る風呂給湯装置の一例を示す図である。
【図2】制御装置の構成例を示す図である。
【図3】自動運転時のエア抜き動作を示すフローチャートである。
【図4】追焚運転を示すフローチャートである。
【図5】追焚運転初回時のエア抜き動作のフローチャートである。
【図6】追焚運転初回時のエア抜き動作のフローチャートである。
【図7】追焚運転二回目以降のエア抜き動作のフローチャートである。
【図8】通常使用時のエア抜きのフローチャートである。
【図9】第2の実施の形態に係る風呂給湯装置の内部構造の一例を示し、(A)は正面側から見た内部構造を示す図、(B)は側面側から見た内部構造を示す図である。
【図10】第3の実施の形態に係る風呂給湯装置の設置例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔第1の実施の形態〕
【0017】
第1の実施の形態について、図1を参照する。図1は風呂給湯装置の一例を示している。
【0018】
この風呂給湯装置2は、本発明の給湯装置の一例であって、図1に示すように、給湯機能部3と、注湯機能部4と、給湯循環路5と、浴槽水追焚機能部6と、ドレン回収排出機能部8とを備えている。
【0019】
給湯機能部3は、上水Wに燃焼排気10の熱を熱交換して温水HWを出湯する機能部である。給湯管路12にあるシャワー等で給湯栓が開放されると、給水管路16に上水Wが流れ込む。給水管路16に流れ込んだ上水Wは、入水温センサ17によって給水温度、流量センサ20によって給水流量が検出される。これら検出情報は、制御装置82に伝送され、複数のバーナ22に着火される。バーナ22は燃料ガスGを燃焼し、燃焼室24に燃焼排気10を生じさせる。この燃焼排気10は、バーナ22側を上流とし、給気ファン14の給気とともに、燃焼室24の上方に流れて排気される。
【0020】
上水Wは、潜熱用熱交換器28を通して顕熱用熱交換器30に流れ、燃焼排気10の熱と熱交換される。潜熱用熱交換器28は燃焼排気10の潜熱を上水Wに熱交換し、顕熱用熱交換器30は燃焼排気10の顕熱を上水Wに熱交換する手段である。顕熱用熱交換器30の出側の温水HWは、顕熱用熱交換器30の出側にある出湯温センサ18によって検出される。この検出温度が目標温度より高い場合には、給水管路16と給湯管路12との間に設置されたバイパス回路にあるバイパス水制御弁32が開かれ、上水Wと温水HWとを混合させ、この出湯温水HWの温度を目標温度に制御する。この出湯温水HWの温度は、給湯管路12にある温度センサ36によって検出される。出湯温水HWは、シャワー水等に供される。
【0021】
水制御弁34の開度は、温度センサ36の検出温度を参照して制御装置82によって決定される。これにより、温度センサ36の検出温度が目標温度に到達するに必要な量の上水Wが給湯管路12に供給される。
【0022】
また、バーナ22では、ガス供給管38にある元ガス電磁弁40が開であることを条件に、給湯ガス電磁弁42、44、46の開閉によってバーナ22の切替えが行われ、ガス比例弁48の開度に応じて燃料ガスGの供給量、即ち、燃焼量が制御される。
【0023】
注湯機能部4は、既述の給湯機能部3の給湯機能を包含し、給湯機能の熱交換で得られる温水HWを浴槽50に注湯する機能部であって、給湯管路12と追焚管路52とを接続する注湯管路54を通じて実現される。注湯管路54にある注湯電磁弁64が開かれると、給湯管路12に流れる温水HWが注湯管路54を通して追焚管路52に流れ込み、この追焚管路52を通して浴槽50に注湯される。この注湯量は、注湯量センサ58によって検出される。注湯管路54には逆止弁60が設置され、浴槽水BWが上水W側に流れ込むのを防止している。
【0024】
給湯循環路5は、既述の給湯機能部3の給湯機能を包含し、給湯管路12にある顕熱用熱交換器30の下流側で分岐され、循環ポンプ62(DCモータ・非自吸タイプ)、風呂熱交換器56を経て、潜熱回収熱交換器28の上流側である給水管路16に合流する回路である。この給湯循環路5は、浴槽水BWを加熱するための熱媒である高温水HHWを循環させるための循環路の一例である。
【0025】
循環ポンプ62は、駆動源に直流(DC)モータを用いた非自吸タイプで構成される。給湯循環路5は、後述の浴槽水BWを加熱する風呂熱交換器56に給湯機能部3で加熱された高温水HHWを供給するための回路である。この高温水HHWの温度制御は、給水管路16にある給水温センサ26と給湯管路12にある出湯温センサ18によって行われる。
【0026】
浴槽水追焚機能部6は、浴槽水BWを既述の高温水HHWが流れる風呂熱交換器56で熱交換し、追焚きする機能部である。制御装置82に浴槽水BWの追焚を指示すると、風呂ポンプ68が駆動される。風呂ポンプ68の駆動により浴槽水BWが浴槽50から追焚管路52に流れ、追焚用熱交換器66に循環する。浴槽水BWの流れが水流スイッチ70で検出され、その浴槽水BWの温度は風呂センサ72によって検出される。なお、水流スイッチ70が浴槽水BWを検出しない場合には、残り湯が無いと判断し、注湯動作に移行させる。
【0027】
これら検出情報が制御装置82に伝送されることにより循環ポンプ62が駆動し、給湯機能部3が動作を開始する。給水管路16にある給水温センサ26と給湯管路12にある出湯温センサ18の温度を検知して燃焼制御が始まる。給湯機能部3で加熱された高温水HHWは、給湯循環路5を通り、風呂熱交換器56に供給される。一方、浴槽水BWは、風呂ポンプ68により循環を行い、追焚用熱交換器66で熱交換され、その浴槽水BWの温度は、浴槽50側の追焚管路52にある風呂温度センサ72によって検出され、その検出情報が制御装置82に取り込まれ、異常加熱等が判断される。風呂温度センサ72の検出温度が追焚目標温度に到達すれば、給湯循環路5の循環ポンプ62、給湯機能部3のバーナ22が停止し、風呂ポンプ68を停止させて追焚きを完了する。
【0028】
ドレン回収排出機能部8は、給湯又は注湯のために潜熱回収熱交換器28で発生したドレン74を、該熱交換器の下側に設置されたドレン受け76で回収し、中和器78に導き、そのオーバーフロー80から器外に排出する機能部である。燃焼排気10の潜熱を回収する潜熱回収熱交換器28にあっては、その熱交換により、燃焼排気10の水蒸気が凝縮し、強酸性のドレン74を生じる。
【0029】
次に、制御装置82について、図2を参照する。図2は制御装置の一例を示している。この制御装置82は、コンピュータによって構成されており、制御部83を備える。制御部83には、CPU(Central Processing Unit )84 、記憶部85としてROM(Read-Only Memory)86、RAM(Random-Access Memory)88、タイマ90等を備える。CPU84はROM86にある制御プログラムを実行し、検出温度等を制御情報に用いてその演算等の処理により、制御出力を発生する。RAM88はプログラムの実行エリアを構成する。タイマ90は計時手段の一例であって、時間制御のための時間情報を生成する。
【0030】
制御部83には、出湯温センサ18、水流スイッチ70、他のセンサ類91(入水温センサ17等)、注湯電磁弁64、循環ポンプ62、風呂ポンプ68、その他の機能部93(バイパス水制御弁32等)が接続されている。循環ポンプ62には、モータ電流検出部63が備えられ、検出されたモータ電流が制御部83に加えられている。このモータ電流検出部63に代え、駆動パルスの検出手段を備え、検出パルスを制御部83に取り込む構成でもよい。
【0031】
この制御装置82には、浴室リモコン装置94、台所リモコン装置95が有線又は無線により接続されている。これらリモコン装置94、95はユーザの操作装置であって、それぞれに制御部96と、操作部98と、他の表示部100と、音声報知部101とを備え、ユーザの生活エリアに設置される。操作部98には、追焚きスイッチ99を備える。
【0032】
制御部96は、操作部98からの操作入力を受け、その操作入力に基づく制御情報を制御装置82に通知する。操作部98はキーボードやタッチセンサ等で構成される。制御部96はコンピュータによって構成されており、CPU102、ROM104、RAM106等(図示なし)を備える。CPU102はROM104にある制御プログラムを実行し・制御出力を発生する。RAM106はプログラムの実行エリアを構成する。この制御部96は制御装置82と連係し、制御装置82に対する制御命令を出力し、制御装置82からの出力情報を受け、制御状態等を表す提示出力を他の表示部100に提供する。
【0033】
表示部100は制御部96の表示制御に基づき、制御部96から提供される提示出力に基づく視認可能な表示を行う。この場合、表示部100又は音声報知部101の何れか一方又は双方は、アラーム発生手段を構成する。
【0034】
次に、自動運転時のエア抜き動作について、図3及び図4を参照する。図3は自動運転時のエア抜き動作の処理手順の一例を示し、図4は追焚運転の処理手順の一例を示している。
【0035】
エア抜きは、給湯循環路5の管路の水抜き(試運転終了後や凍結予防操作)を行った場合や燃焼による空気の分離により、管路内に空気が溜まるので、この空気による循環ポンプ62の循環能力の低下防止のために実行する。このエア抜きは、人為的な操作を要することなく、リモコン装置94の操作(自動、ぬるく)を契機として、この操作後に自動的に開始される。
【0036】
そこで、この処理手順では、図3に示すように、施工終了後、『電源投入一回目動作』を実行する。リモコン装置94の操作部98の自動スイッチを押すとバイパス水制御弁32が「全閉」となる(ステップS11、S12)。
【0037】
(1) 注湯動作及びエア抜き動作
【0038】
注湯電磁弁64が「開」になると(ステップS13)、注湯量センサ58がONになり(ステップS14)、上水が追焚往口、戻口を通って浴槽50へ注湯される。同時に、循環ポンプ62が回転し、給湯循環路5は上水Wで満たされる。このとき、確実にエア抜きを行う為、循環ポンプ62の動作を断続させ、例えば、ON/OFFを5回繰り返し行う(ステップS15)。この場合、循環ポンプ62のON時間は一定時間例えば、7秒間、そのOFF時間は一定時間例えば、5秒間とする。この断続運転は一定時間例えば、1分間とすればよい。所定量の注湯として例えば、10〔リットル〕の注湯が完了すると(ステップS16)、注湯電磁弁64を閉じてエア抜きを完了する(ステップS17)。つまり、給湯循環路5に溜まっていたエアは、給湯管路12、注湯管路54、追焚管路52を経て浴槽50に排出される。このとき、省エネのため、燃焼は行われない。
【0039】
その他、この処理手順では、注湯電磁弁64の閉(ステップS19)、流量センサ20がOFFかの判断(ステップS20)、流量センサ20のOFFが連続所定回として例えば、2回以下であるかの判定(ステップS21)を行い、2回以下でない場合のアラーム発生(ステップS22)、流量センサ20のOFFが連続2回以下であれば、注湯電磁弁64を開(ステップS23)とする処理を実行する。アラームは、音声報知部101で発生させる。
【0040】
また、風呂ポンプ68をONにした後、水流スイッチ(SW)70がOFFか否かの判断(ステップS18)の後、風呂ポンプOFF(ステップS24)、再び、注湯電磁弁64を「開」にし(ステップS25)、〔給湯運転〕を行い(ステップS26)、設定量まで注湯を行う(ステップS27)。設定量に達したならば(ステップS27 のYES)、注湯電磁弁64を「閉」にし(ステップS28)、追焚運転(図4)(ステップS29)を行ない、設定温度以上かの判断(ステップS30)、自動完了報知(ステップS31)、自動ランプ表示(ステップS32)の処理を実行する。
【0041】
(2) 追焚動作(自動運転中)
【0042】
この追焚運転において、給湯循環路5内のエア抜きが完全に行われていることを確認する(ステップS41〜S51)。まず、風呂ポンプ68、循環ポンプ62を駆動し、循環ポンプ62に流れる電流値を測定する。この電流値とエア抜き判定用の閾値を比較し、電流値が閾値以下の場合、循環ポンプ呼び水を行う。また、閾値以上の場合は、エアーが混入していないと判断し、給気ファン14、イグナイタ、元ガス電磁弁40、給湯ガス電磁弁42、44、46、ガス比例弁48をオンさせて、燃焼を行う(ステップS52〜S55)。また、風呂燃焼表示時を点灯させるとともに、一定時間として例えば、3〔秒〕後にイグナイタをOFFする(ステップS56、ステップS57)。その後比例制御を行う(ステップS58)。電流値の閾値は、例えば、循環ポンプ62の正常動作中の電流値のサンプルを取り、平均値として例えば、130〔mA〕と決めておけばよい。
【0043】
『電源投入二回目以降』の動作と『電源投入一回目動作』との違いは、『電源投入一回目動作』では既述の(1) 注湯動作及びエア抜き動作として循環ポンプ62をON/OFFさせながら注湯動作を行ったが、二回目以降は、ステップS15の循環ポンプ62は動作させずに注湯運転(給湯運転)のみを行っていることである。
【0044】
この追焚運転では、風呂ポンプのONの後、循環ポンプ62の回転判断(ステップS41)、回転があれば(ステップS41のNO)所定時間後、例えば、20〔秒〕後、音声報知部101からアラームを発生させ(ステップS42)、循環ポンプ電流判断(ステップS43)の後、電流があれば(ステップS43のNO)、所定時間後、例えば、20〔秒〕の後にアラームを発生させる(ステップS44)。循環ポンプのON(ステップS45)の後、循環ポンプ62の回転判断(ステップS46)、回転がなければ(ステップS46のNO)、所定時間後、例えば、20〔秒〕後にアラームを発生させる(ステップS47)。
【0045】
循環ポンプ62が回転し、循環ポンプ62のモータ電流が所定値として例えば、130〔mA〕以上でなければ(ステップS48のNO)、所定時間後例えば、20〔秒〕後に循環ポンプ62に呼び水の供給(ステップS49)、その供給回数の判定として2回未満かの判定(ステップS50)、2回以上であればアラーム発生の処理を実行する(ステップS51)。
【0046】
次に、追焚運転初回時のエア抜き動作について、図5及び図6を参照する。図5及び図6は、追焚運転初回時のエア抜き動作の処理手順の一例を示している。
【0047】
この処理手順は、『電源投入一回目』であって、浴槽に予め湯張りが行われていたときに追焚する場合の手順である。
【0048】
リモコン装置94の操作部98の追焚スイッチ99を押すと、追焚きランプの点灯(ステップS61)とともに、風呂ポンプ68が駆動する(ステップS62)。風呂ポンプ68の駆動により浴槽水BWが浴槽50から追焚管路52に流れ、風呂熱交換器56を経て浴槽50に戻る。この場合、既述の動作として、循環ポンプ62の回転監視(ステップS63)、異常の場合のアラーム発生(ステップS64)、循環ポンプ62のモータ電流の監視(ステップS65)、異常の場合のアラーム発生(ステップS66)が行われる。
【0049】
(3) エア抜き確認動作
【0050】
循環ポンプ62を回転させ(ステップS67)、過去エア抜き(エアパージ)が行われたか否かをチェックする(ステップS70)。エア抜きとは、図3のステップS15に例示する動作である。エア抜きが行われていない場合は、循環ポンプ62の電流値が正常か否かを判断する電流値のチェックを行う(ステップS71)。電流値が閾値以上である場合は、バーナ22の燃焼を開始し、追焚が行われる(ステップS81〜S87)。
【0051】
閾値以下の場合は、注湯電磁弁64を開き(ステップS73)、循環ポンプ62をON/OFFさせ(ステップS75)、エア抜きを行う。バイパス水制御弁32を「全閉」(ステップS72)、注湯電磁弁64を「開」にすると(ステップS73)、注湯量センサ58がONになり(ステップS74)、上水が追焚往口、戻口を通って浴槽50へ注湯される。このとき、燃焼は行わない。確実にエア抜きを行う為、循環ポンプ62をON/OFF5回繰り返し行う(ステップS75)。その間に一定量の注湯として例えば、10〔リットル〕の注湯を行う(ステップS76)。循環ポンプのON時間は一定時間として例えば、7〔秒〕間、OFF時間は一定時間として例えば、5〔秒〕間とし、このON−OFFを1分間繰り返し、一定量例えば、10〔リットル〕の注湯を行う。
【0052】
(4) モータ電流のチェック動作
【0053】
再度、循環ポンプ62の電流値が正常か否かを判断する電流値のチェックを行う(ステップS77)。閾値以上ならばバーナ22の燃焼を開始し、追焚を行う。また、閾値以下の場合は、再度注湯を行い循環ポンプ62に呼び水を行い(ステップS80)、閾値以上か否か再チェックを行う。閾値以上ならば、追焚を行い、閾値以下ならば(ステップS77のNO)、その回数を監視し(ステップS78)、連続2回以上であれば(ステップS78のNO)、異常と判断し、アラームにする(ステップS79)。
【0054】
次に、追焚運転2回目のエア抜き運転動作について、図7を参照する。図7は、追焚き運転2回目のエア抜き動作の処理手順の一例を示している。
【0055】
この処理手順(ステップS91〜S110)は、電源投入二回目以降の処理であって、電源投入一回目との違いは、エアパージの上記処理(3) 、(4) を行なっていないことである。他のフローは、同じである。
【0056】
次に、通常運転時の動作について、図8を参照する。図8は、通常運転時の動作の処理手順の一例を示している。
【0057】
この処理手順(ステップS111〜S124)は、通常使用時のエア抜きの処理手順である。追焚の際に風呂熱交換器56へ上水Wを加熱循環することにより給湯循環路5内で上水Wから空気が分離し、給湯循環路5や循環ポンプ62に空気が溜まることがあるため、日毎で給湯使用時にエア抜きを行う。
【0058】
前回のエア抜き動作(給湯循環)を記憶し、その後24時間経過したことをタイマーでカウントして、エア抜き動作を行う。
【0059】
前回のエア抜き動作から24時間経過しているか(ステップS111)、燃焼停止してから10分以上経過しているか(ステップS112)、給湯、自動、ぬるく動作を行なっているか(ステップS113)(流量センサ20がONしているか)を確認する。動作を行っているならば、エア抜き動作に移行する。動作していない場合は給湯動作を待つ。
【0060】
循環ポンプ62の回転の有無をモーターの回転パルス(ステップS114)及び電流値(ステップS117)によって検出する。次に循環ポンプ62をONさせ(ステップS119)、モーターの回転パルス等を検出して(ステップS120)、循環ポンプ62が正常に動作しているか、確認を行う。
【0061】
流量センサ20にて5〔リットル〕以上給湯(エア抜き)したことを検出すると(ステップS122)、給湯動作チェックを行う(ステップS123)。給湯動作とは、給湯栓を使用しているのか、自動又はぬるく動作を行っているのかを判断することをいう。実際には、流量センサ20と注湯量センサ58との差が4〔リットル〕以上あるとき、給湯を使用していると判断する。つまり、同時使用されていることになる。そこで、給湯動作がYESのときは、給湯栓等が締められ、差が3〔リットル〕になるまで循環ポンプ62は回転を続ける。また、給湯動作がNOの場合は、自動、ぬるくの動作が行われていてエア抜きが完了していると判断し、循環ポンプ62を停止して(ステップS124)、エア抜きを終了する。
【0062】
〔第2の実施の形態〕
【0063】
第2の実施の形態について、図9を参照する。図9は、風呂給湯装置2の内部構造の一例を示し、(A)は正面から見た内部構造を示し、(B)は側面から見た内部構造を示している。図9において、図1と同一部分には同一符号を付してある。
【0064】
この風呂給湯装置2では、矩形の筐体200を備え、その背面側に風呂熱交換器56が配置されているとともに、前面側に排気孔部202が配置されている。
【0065】
この風呂給湯装置2では、従前の燃焼排気を熱交換に用いる熱交換器から、温水の熱を浴槽水BWに熱交換する風呂熱交換器56に変更したので、風呂熱交換器56のコンパクト化とともに、燃焼空気の排気路に風呂熱交換器56を設置する必要がない。風呂熱交換器56の配置位置の自由度が高くなっている。そのため、熱交換器28、30が筐体200内の所望の位置に且つ余裕を持って配置されている。このため、筐体200のコンパクト化が実現されている。
【0066】
〔第3の実施の形態〕
【0067】
第3の実施の形態について、図10を参照する。図10は、風呂給湯装置の設置例を示す図である。
【0068】
この設置例では、図10に示すように、浴室300には浴槽50が配置され、この場合、浴槽50は浴室300の壁部302の近傍に設置されている。浴室300に隣接する位置に壁部302で仕切られた給湯装置設置室304が形成され、この給湯装置設置室304には壁部302に隣接して風呂給湯装置2が設置されている。風呂熱交換器56が高温水HHWの熱を浴槽水BWに熱交換する形態であることから、そのコンパクト化による風呂給湯装置2の小型化及びコンパクト化をもたらし、その設置面積や設置空間の狭小化に寄与している。
【0069】
以上述べた第1、第2及び第3の実施の形態について、特徴事項や利点を列挙すれば、次の通りである。
【0070】
(1) 温水の熱で浴槽水を加熱(追焚き)できるので、熱交換手段を小型化でき、給湯装置のコンパクト化を図ることができる。
【0071】
(2) 温水の循環路に侵入したエア(空気)を除去でき、残留空気による不具合を防止できる。
【0072】
(3) 循環路の残留水を除去でき、循環路を清浄に維持することができる。
【0073】
(4) 循環路の循環ポンプの空運転時間を短縮でき、循環ポンプの耐久性を向上させることができる。
【0074】
(5) 所定操作が行われると循環ポンプを駆動する直流モータの電流値を監視し、予め設定してある正常値の範囲の下限値未満となったときは、空運転であると判断し、エア抜き動作を行い正常な循環が行える。
【0075】
(6) 従来の機器においては、給湯と追焚きの2つの直接加熱式熱交換器が必要であり、機器の高効率化を行なう際、部品点数が増加し、コンパクト化を妨げていたが、この風呂給湯装置2では、循環ポンプ62による給湯循環回路を有することにより、追焚熱交換器がコンパクト化でき、給湯装置のコンパクト化を図ることができる。
【0076】
(7) 循環ポンプによる高温水循環時や、機器の水抜き時におけるエアー噛み(エアー侵入)対策として循環ポンプの電流値にしきい値を設け、エアー抜きシーケンスを用い、エアーがみによる不具合に対応できる。
【0077】
(8) 循環ポンプ動作中に、ポンプの電流値を検知する。循環回路内にエアーが発生すると、ポンプの電流値が低下する。その電流値に閾値を設定し、回路内のエアー抜き動作をおこなうことで、エアー噛みによる機器性能に及ぼす不具合因子を排除できる。
【0078】
(9) 自動運転動作等の運転動作において、循環ポンプを動作させ、風呂回路に上水が循環するので、滞留水が発生しないため、清浄に維持することができる。
【0079】
(10) 自動運転動作等を行うときに循環ポンプの空運転を検出するプリチェックを行い、空運転の際にはエア抜き動作を行うので、ポンプの循環動作を円滑に行える。
【0080】
(11) 循環ポンプは、DCモータで非自吸式のため、空運転チェックを行うことにより空運転時間が削減されるので、ポンプの耐久性が向上する。
【0081】
(12) 初期の試運転後や凍結防止の為の水抜き後、自動的にポンプに呼び水が行われるので、人為的に水張りが不要になる等、利便性が高められる。
【0082】
〔他の実施の形態〕
【0083】
上記実施の形態では、アラーム発生を音声報知部101で実行させているが、これに限定されない。アラーム発生に表示部100を用いてもよい。
【0084】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0085】
2 風呂給湯装置
3 給湯機能部
4 注湯機能部
5 給湯循環路
6 浴槽水追焚機能部
10 燃焼排気
12 給湯管路
14 給気ファン
16 給水管路
17 入水温センサ
18 出湯温センサ
20 流量センサ
24 燃焼室
26 給水温センサ
28 潜熱用熱交換器
30 顕熱回収熱交換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水の熱を浴槽水に熱交換する熱交換手段と、
前記熱交換手段に前記温水を流す循環路に設置されて前記温水を前記循環路に流す循環ポンプと、
前記ポンプを駆動するモータに流れる電流が基準値未満である場合、前記循環路に給水し、この給水中に前記ポンプの動作を断続させる制御部と、
を備えることを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
前記循環路に給湯回路から高温水を定期的に流し込み、前記循環路の滞留水を前記高温水に置換させることを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−214748(P2011−214748A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−81210(P2010−81210)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000170130)高木産業株式会社 (87)
【Fターム(参考)】