説明

給湯装置

【課題】給湯水中に水改質成分を添加する水改質手段の低温時における凍結防止を実現した給湯装置を提供すること。
【解決手段】湯水を注湯する注湯経路11と、前記注湯経路11を流れる湯水に機能改質成分を添加する水改質手段17と、少なくとも前記水改質手段17内の水を抜く水抜き手段18とを備えたことを特徴とする給湯装置で、前記水改質手段17を配設した水回路の複雑化に捉われることなく水抜きができるため、低温時に水改質回路の凍結を予防することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水改質を目的とした成分を所定量、給湯水に添加する機能を備えた給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の装置は、目的の成分を含む材料を湯水に添加する水改質手段を、湯沸かし部に水道水を供給する給水経路中、または湯沸かし部で沸いた湯を浴槽へ導く注湯経路中に配設し、給湯水中に、所定の目的の水改質成分を添加する方法が公開されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図6は、特許文献1に記載された従来の給湯装置を示すものである。図6に示すように、水経路中に、水改質手段を組み込んで構成されている。本特許文献1において、水改質手段としては、添加成分を電極(亜鉛陽極1)とした電気分解方式を用い、注湯水が水改質手段を通過中に、電極1、2に通電し、電極1の一部を注湯水中に電気分解させることで、所定濃度の水改質成分を添加することができる。
【0004】
また、特許文献1以外の他の水改質手段としては、水改質成分を含有した無機化合物を、湯水と接触させて濃度拡散を利用して溶解する手段も用いることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−190882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の構成においては、低温時における水改質手段内の水の凍結防止に関する技術は開示されていない。
【0007】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、給湯水中に水改質成分を添加する水改質手段の低温時における凍結防止を実現した給湯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来の課題を解決するために、本発明の給湯装置は、湯水を注湯する注湯経路と、前記注湯経路を流れる湯水に機能改質成分を添加する水改質手段と、少なくとも前記水改質手段内の水を抜く水抜き手段とを備えたことを特徴とするもので、低温時の凍結による水改質手段の破損を防止することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、給湯水中に水改質成分を添加する水改質手段の低温時における凍結防止を実現した給湯装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1における給湯装置の構成図
【図2】同水改質回路の詳細図
【図3】同電気分解方式を用いた水改質回路の詳細図
【図4】同他の水改質回路の構成図
【図5】(a)本発明の実施の形態1における貯湯ユニットの部品配置概略上面図(b)同貯湯ユニットの部品配置概略側面図
【図6】従来の給湯装置の構成図
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の発明は、湯水を注湯する注湯経路と、前記注湯経路を流れる湯水に機能改質成分を添加する水改質手段と、少なくとも前記水改質手段内の水を抜く水抜き手段とを備えたことを特徴とする給湯装置で、水改質手段を配設した水改質回路の複雑化に捉われることなく水抜きができるため、低温時に水改質回路の凍結を予防することができる。
【0012】
第2の発明は、前記水改質手段と、前記注湯経路に前記水改質手段を介して接続する分岐回路とから形成される水改質回路を備え、前記水抜き手段は、前記水改質回路の略最下方部に配置されていることを特徴とするもので、水改質成分を添加するために注湯経路から分岐して水改質手段を通過した湯水を注湯回路に合流させる位置が、水改質回路の最下点よりも高い位置に配置されていても、水改質回路内部の湯水の滞留を防止することができ、低温時に水改質回路の凍結を防止することができる。
【0013】
第3の発明は、湯水を貯湯する貯湯タンクを有する貯湯ユニットを備え、前記貯湯ユニットの外方から、前記水抜き手段の水抜き操作をすることができるもので、貯湯ユニットの外郭を取り外すことなく容易に水抜き操作を行うことができる。
【0014】
第4の発明は、浴槽水が循環する浴槽水循環回路を備え、前記水改質手段と前記水抜き手段とを、前記浴槽水循環回路の近傍に配置したことを特徴とするもので、水抜き手段を含んだ水改質回路全体の構成を簡易化することができると同時に、水抜き手段からの湯水をほぼ直下に落とすことができるため、より確実な水抜きを行うことができる。
【0015】
第5の発明は、浴槽水が循環する浴槽水循環回路を備え、前記水抜き手段の水抜き操作部を、前記浴槽水循環回路の水抜き操作部の近傍に配置したことを特徴とするもので、凍結防止のために水抜き操作を行う場合、同時に水抜き操作が必要な浴槽水循環回路の水抜き操作とあわせて行うことができ、水改質手段のように特殊な機能であることから水抜き操作を忘れられてしまうことを防止することができる。
【0016】
第6の発明は、前記水抜き手段は樹脂管であることを特徴とするもので、貯湯ユニット外部からの熱伝導による凍結に対して耐力を持たせることができると同時に、凍結に対して有利な貯湯ユニットの比較的上部に水改質回路が配置された場合など、金属製の水抜き配管に対してより形状に自由度を持たせることができるため、水改質回路における配置についても、より効率のよい箇所に配置することができる。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における給湯装置の構成図を示すものである。図2は、同実施の形態における水改質回路の詳細の一例を示すものである。
【0019】
図1において、圧縮機22、給湯熱交換器23、減圧手段24、蒸発器25を冷媒回路26で順に環状に接続してヒートポンプユニット21を構成している。貯湯ユニット27の貯湯タンク28には水が貯留されており、出湯回路30は、貯湯タンク28、給湯水ポンプ29、給湯熱交換器23、貯湯タンク28を順に接続する回路である。浴槽水加熱回路35は、貯湯タンク28、風呂熱交換器33、浴槽水加熱ポンプ34、貯湯タンク28を順に接続する回路であり、風呂熱交換器33の他方の回路には浴槽42が接続されてい
る。
【0020】
浴槽水循環回路41は、浴槽42、浴槽水を搬送する浴槽水ポンプ40、風呂熱交換器33を順に接続する回路である。浴槽水注湯回路39は、貯湯タンク28の水を、浴槽水循環回路41を経由して浴槽42へ注湯する回路である。
【0021】
この回路には貯湯タンク28の高温の水と水道水を混合する浴槽水混合弁36、注湯する水温を検知する温度検知手段37、浴槽水注湯回路39の回路の開閉を行う浴槽水注湯弁38を順に備える。
【0022】
水改質回路10は、浴槽水注湯弁38の下流側の浴槽水注湯回路39内の途中に配設されている回路である。
【0023】
図2に示すように、水改質回路10は、浴槽水注湯回路内の注湯経路11の途中に2ヶ所の分岐部12を設け、両分岐部12を並列分岐経路13で接続し、前記並列分岐経路13上に水改質手段17を配設して構成している。そして、水改質回路10は、貯湯ユニット27の本体筺体内に収納してある。
【0024】
また、図2に示すように、分岐部12を経て注湯経路11に流れる湯水の一部が並列分岐経路13側に分流し、水改質手段17にて水改質成分を添加された水が再び分岐部12を経て、注湯経路11の湯水と合流し、水改質成分が添加された湯水が浴槽42に注湯される。
【0025】
ここで並列分岐経路13側に湯水を分岐、流量調整する手段としては、注湯経路11の管径aに対して、並列分岐経路13の管径bの方を大きくすることで、注湯経路11と、並列分岐経路13の間で圧力損失差を作る方法や、注湯経路11から並列分岐経路13に分岐する分岐部12と、注湯経路11に再び合流する下流側の分岐部12との距離を変化させることで圧力損失差を作る方法、または、水流分配比調整手段19を使用するなど、図2に示す前記のいずれか、または複数の手段を組み合わせることなどが挙げられる。
【0026】
また、例えば水流分配比調整手段19を使用することで、並列分岐経路13への分岐の有無、つまりは水改質成分の添加の有無についても調整が可能な構成となっている。
【0027】
また、並列分岐経路13上には水抜き手段18が配設されており、水改質手段17などの凍結を防止するために回路上の水を抜くことができる構成としている。
【0028】
尚、水改質手段17は、目的の水改質成分を水に溶解添加できる手段であればよく、図2に示すような、水改質成分を含有した無機化合物15の粒子を収納容器14内に充填し、無機化合物15の下流側にろ過手段16を配設し、無機化合物15と湯水を直接接触させる溶解方式や、図3に示すような目的成分を電極1、2とし、電極1、2に電源部9から通電して、水に水改質成分を分解溶出させる電気分解方式を用いてもよい。
【0029】
また、水改質手段17に流れる水流方向については、上から下方向、つまり天から地への流れで示しているが、図4に示すように水改質手段17に対して、下から上方向、すなわち、地から天への流れで構成してもよく、この場合、無機化合物15粒子が水流で持ち上げられて水の流路を確保するため、無機化合物15粒子由来の圧力損失を大幅に低減することが可能となる。
【0030】
ヒートポンプユニット21で貯湯タンク28に貯留された水を加熱する運転は、以下のような動作となる。貯湯タンク28の水は、給湯水ポンプ29によって給湯熱交換器23
へ搬送され、ヒートポンプサイクル動作によって加熱される。給湯水ポンプ29は給湯熱交換器23で加熱された給湯水の温度が予め決定した温度になる様に、出湯回路30の流量を制御する。
【0031】
浴槽42への湯張り、並びに、浴槽水の加熱は以下のような動作となる。浴槽水注湯回路39の浴槽水混合弁36は、温度検知手段37で検知する注湯温度がリモコン等(図示せず)で予め設定された温度となるように、高温の水と水道水の混合割合を調整する。
【0032】
所定温度となった浴槽水は、浴槽水注湯回路39、浴槽水循環回路41を順に経由して浴槽42へ流出する。一方、浴槽42の浴槽水を加熱する場合は、貯湯タンク28に貯留された高温の水を、浴槽水加熱ポンプ34によって風呂熱交換器33へ搬送し、浴槽水ポンプ40より搬送された浴槽水を加熱する。風呂熱交換器33で浴槽水を加熱して温度が下がった給湯水は、貯湯タンク28の下部より内部へ流入する。
【0033】
また、利用者が浴槽42へ湯はりを行う場合は、リモコン等で湯はり動作の指示操作を行う。
【0034】
リモコン操作後、予め設定された温度に浴槽水混合弁36で調整された水が、浴槽水注湯弁38を閉から開に制御した場合に、浴槽水注湯弁38から、浴槽水注湯回路39内の注湯経路11に湯水が流入し、注湯経路11の管径aに対して、並列分岐経路13の管径bの方を大きくすることで、注湯経路11と、並列分岐経路13間に圧力損失差を作り、注湯経路11に流れる湯水の一部が並列分岐経路13側に分流し、水改質手段17にて水改質成分を添加された水が再び分岐部12を経て、注湯経路11の湯水と合流し、水改質成分が添加された湯水を浴槽42に注湯される。
【0035】
ここで、図2に示すように、注湯経路11から並列分岐経路13に分岐する分岐部12と、注湯経路11に再び合流する下流側の分岐部12との距離を変化させることで圧力損失差を作る場合や、図4に示すように水改質手段17に対して、無機化合物15粒子由来の圧力損失を低減するために地から天への流れで構成した場合などにおいては、並列分岐経路13内、または水改質手段17内に水が滞留する箇所が発生してしまう可能性がある。
【0036】
そのため、外気が低温時に給湯装置を長期間使用しない場合などにおいては、注湯経路11上の部品や、水改質手段17の部品が滞留部の凍結により破損してしまう恐れがあるため、水抜き手段18により内部の水を抜き、凍結による部品の破損等を防止することができる。
【0037】
さらに、図2〜図4に示すように水抜き手段18を水改質回路10の最下点に配置することで、より確実に水抜きを実施することができる。ただし、水抜き手段18の配置が最下点ではない場合においても、滞留部空間容積に対して湯水の凍結による膨張後の体積を吸収する効果が目論める箇所などであれば、凍結による部品等の破損に対しては有効である。
【0038】
また、図5は、本実施の形態において、貯湯ユニット27の部品配置の概略を示した上面図と正面図である。詳細の回路構成については図1に示すとおりであり、図5において詳細は図示しない。
【0039】
ここで、45は水抜き操作部であり、水改質回路10に配設された水抜き手段18に接続され、貯湯ユニット27の外部に配設されている。貯湯ユニット27は、メンテナンス用に正面側の外郭が取り外せる構成となっているのが一般的であるが、貯湯ユニット27
の外部に水抜き操作部45を設けることにより、貯湯ユニット27の外郭を外すことなく容易に水抜き操作を行うことができる。
【0040】
また、貯湯式給湯装置においては、略円筒形の貯湯タンク28が、略直方体の貯湯ユニット27の外郭で覆われているのが一般的である。前記構成の貯湯ユニット27においてはメンテナンス性を考慮した場合、正面側に機能部品や配管等の部品を集約する必要があり、さらには設置性向上のために貯湯ユニット27の外形寸法を小さくすることが有効である。
【0041】
そのため、図5の上面図に示すように略円筒の貯湯タンク28を略直方体の貯湯ユニット27の外郭に近接させることになり、図5に示す左前面空間50、右前面空間51、上部空間52などに効率よく各部品を配置することが有効である。
【0042】
そこで、本実施の形態においては、例えば左前面空間50に浴槽水注湯回路39や浴槽水循環回路41のような風呂関連回路を配置すると同時に、水改質手段17も同様に左前面空間50に収めている。また、右側面空間51に収める場合においても同様である。
【0043】
これにより、水抜き手段18を含んだ水改質回路10全体の構成を簡易化することができると同時に、上面からの投影でより狭い空間に水改質手段17を収めることができ、かつ、水抜き手段18からの湯水は同じく上面からの投影で空間のあるほぼ直下に落とすことができるため、より、確実な水抜きを行うことができるので、効果的に水改質回路10の凍結を防止することができる。
【0044】
ここで、図5に示す43は浴槽水ポンプ40に配設された浴槽水循環回路41の水抜き手段であり、前記水抜き手段43は貯湯ユニット27の外部から、水抜き操作部44により水抜き操作可能としている。
【0045】
さらに、浴槽水循環回路41の水抜き操作部44と、水改質回路10の水抜き操作部45は、貯湯ユニット27の外部、かつそれぞれが近傍に配設されている。これにより、同時に水抜き操作が必要な浴槽水循環回路41の水抜き操作とあわせて行うことができるため、水改質手段17のように特殊な機能であることから水抜き操作を忘れられてしまうことを防止することができる。
【0046】
本実施の形態においては、前述のように浴槽水循環回路41の水抜き操作部44の近傍としたが、同様に浴槽水加熱回路35や、浴槽水注湯回路39などに水抜き操作部が配設されている場合には、浴槽に関連する水抜き操作部を一連の操作で行うことができるため、同様の効果を期待することができる。
【0047】
また、本実施の形態においては水抜き手段18を樹脂管としてもよい。この場合、例えば銅管などの金属製に対し、貯湯ユニット27の外部からの熱伝導による凍結に対して耐力を持たせることができる。それと同時に凍結に対して有利な貯湯ユニット27の比較的上部に水改質回路10を配置した場合など、金属製の水抜き配管に対してより自由度を持たせることができるため、水改質回路10における配置についても、より効率のよい箇所に配設することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上のように、本発明にかかる給湯装置は、無機化合物の水への溶解濃度を安定化させることができ、貯湯式給湯機の他、ガス熱源の給湯機にも利用できる。
【符号の説明】
【0049】
10 水改質回路
11 注湯経路
13 並列分岐経路
17 水改質手段
18 水抜き手段
19 水流分配比調整手段
21 ヒートポンプユニット
27 貯湯ユニット
28 貯湯タンク
38 浴槽水注湯弁
39 浴槽水注湯回路
41 浴槽水循環回路
42 浴槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を注湯する注湯経路と、前記注湯経路を流れる湯水に機能改質成分を添加する水改質手段と、少なくとも前記水改質手段内の水を抜く水抜き手段とを備えたことを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
前記水改質手段と、前記注湯経路に前記水改質手段を介して接続する分岐回路とから形成される水改質回路を備え、前記水抜き手段は、前記水改質回路の略最下方部に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。
【請求項3】
湯水を貯湯する貯湯タンクを有する貯湯ユニットを備え、前記貯湯ユニットの外方から、前記水抜き手段の水抜き操作をすることができる請求項1または2に記載の給湯装置。
【請求項4】
浴槽水が循環する浴槽水循環回路を備え、前記水改質手段と前記水抜き手段とを、前記浴槽水循環回路の近傍に配置したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の給湯装置。
【請求項5】
浴槽水が循環する浴槽水循環回路を備え、前記水抜き手段の水抜き操作部を、前記浴槽水循環回路の水抜き操作部の近傍に配置したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の給湯装置。
【請求項6】
前記水抜き手段は樹脂管であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−145266(P2012−145266A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3590(P2011−3590)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)