説明

給紙装置およびそれを備えた画像形成装置

【課題】用紙カセットの筐体内への挿入時および用紙カセットの筐体からの引き出し時において用紙を用紙カセットに戻すことが可能な給紙装置、およびそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】給紙装置4は、第1方向Aから筐体2内に挿入可能であり、下流側壁部32を有する用紙カセット3と、用紙カセット3から用紙Sを第1方向に沿って取り出して給送する給送経路48を有する給紙機構40と、用紙散乱防止部材10の姿勢を、用紙カセット3が筐体2内に挿入されたときに規制面18が下流側壁部32よりも高い位置に突出する第1姿勢と、給紙機構40が用紙Sを給送するときに規制面18が下流側壁部32の上方から退避する第2姿勢との間で切り替える第1姿勢切替部材と、用紙散乱防止部材10の姿勢を、用紙カセット3が筐体2から引き出されるとき、規制面18が給送経路48内に突出する第3姿勢に切り替える第2姿勢切替部材80とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙を所定の方向に給送する給紙装置、およびそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置は、用紙上にトナー像を形成する画像形成部と、画像形成部に用紙を給送する給紙装置とを含む。
【0003】
給紙装置は、例えば特許文献1に示すように、用紙を収容する用紙カセットと、用紙カセットから用紙を一枚ずつ取り出すピックアップローラと、用紙を画像形成部に給送する給紙ローラと、給紙ローラに接触した状態で対向配置され、用紙の重送を防止する分離ローラとを、主要な構成要素として含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−267372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の給紙装置では、用紙カセットが画像形成装置の筐体内に挿入される挿入方向と、ピックアップローラが用紙カセットから用紙を取り出す方向とが同一に構成されている。このような構成では、用紙カセットが筐体内に強く挿入されてしまったとき、用紙カセットの挿入方向から見た下流側において、つまり、ピックアップローラの近傍において、用紙が用紙カセットから飛び出して散乱する場合がある。その場合、ピックアップローラは用紙カセットから用紙を適正に取り出すことができないので、給紙動作が滞ってしまう。
【0006】
また、特許文献1の給紙装置では、ピックアップローラの取り出し動作や給紙ローラの給送動作の後、用紙が用紙カセットから給紙ローラにかけて跨った状態となって給紙ローラの近傍に残留する場合がある。そのような状態で新たな用紙補給のために用紙カセットを筐体から引き出すと、用紙が破損しやすい。また、破損した用紙片が給紙ローラの近傍に残留した状態で、用紙カセットが筐体内に挿入され、前記取り出し動作や給送動作が始まると、ジャム等の給送不良が発生する。
【0007】
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、用紙カセットの筐体内への挿入時および用紙カセットの筐体からの引き出し時において用紙を用紙カセットに戻すことが可能な給紙装置、およびそれを備えた画像形成装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る給紙装置は、筐体と、用紙を収容する用紙カセットであって、第1方向から前記筐体内に挿入可能であり、前記第1方向から見て下流側に位置する下流側壁部を有する用紙カセットと、前記用紙カセットから前記用紙を前記第1方向に沿って取り出して給送する給送経路を有する給紙機構と、前記用紙カセットが前記筐体内に挿入されたときに前記下流側壁部を越えて前記用紙カセットから飛び出そうとする用紙に当接して該用紙を前記用紙カセットに戻すための規制面を有する用紙散乱防止部材と、前記用紙散乱防止部材の姿勢を、前記用紙カセットが前記筐体内に挿入されたときに前記規制面が前記下流側壁部よりも高い位置に突出する第1姿勢と、前記給紙機構が前記用紙を給送するときに前記規制面が前記下流側壁部の上方から退避する第2姿勢との間で切り替える第1姿勢切替部材と、前記用紙散乱防止部材の姿勢を、前記用紙カセットが前記筐体から引き出されるとき、前記規制面が前記給送経路内に突出する第3姿勢に切り替える第2姿勢切替部材とを含む。
【0009】
本発明に係る給紙装置によれば、用紙カセットの筐体内への挿入時および用紙カセットの筐体からの引き出し時において用紙カセットから出た状態の用紙を用紙カセットに戻すことができる。具体的には、用紙カセットが筐体内に挿入されたとき、用紙散乱防止部材は、第1姿勢切替部材により、規制面が下流側壁部よりも高い位置に突出する第1姿勢を取るので、規制面は、用紙カセットの挿入時の衝撃によって下流側壁部を越えて用紙カセットから飛び出そうとする用紙に当接して該用紙を用紙カセットに戻すことができる。これにより、用紙の散乱が防止される。なお、給紙機構が用紙を給送するとき、用紙散乱防止部材は、規制面が下流側壁部の上方から退避する第2姿勢を取るので、給紙機構の用紙給送動作を妨げない。
【0010】
また、用紙カセットが筐体内から引き出されるとき、用紙散乱防止部材は、第2姿勢切替部材により、規制面が給紙機構の給送経路内に突出する第3姿勢を取るので、規制面は、給紙機構による給送動作によって給送経路内に残留している用紙に当接して該用紙を用紙カセットに戻すことができる。
【0011】
このように、本発明に係る給紙装置の用紙散乱防止部材は、用紙カセットの筐体内への挿入時および用紙カセットの筐体内からの引き出し時の両方において用紙を用紙カセットから戻すことができるものである。そのため、給紙機構による給紙動作を円滑に行うことが可能である。
【0012】
本発明の好ましい実施形態では、前記用紙散乱防止部材は、揺動軸を有し、前記揺動軸の軸回りに第1回動方向および前記第1回動方向とは反対の第2回動方向に回動可能に構成された部材であり、前記第2姿勢切替部材は、前記用紙散乱防止部材を前記第1回動方向に回動させることで該用紙散乱防止部材を前記第3姿勢に切り替える。
【0013】
この構成によれば、用紙散乱防止部材を回動させるという簡単な構成で、用紙散乱防止部材の姿勢の切り替えを行うことができる。
【0014】
本発明の好ましい実施形態では、次のような構成によって用紙散乱防止部材を第3姿勢に切り替える。すなわち、前記用紙カセットは、前記第1方向とは反対の第2方向に前記筐体から引き出されることが可能なカセットであり、前記第2姿勢切替部材は、前記用紙カセットに配置され、前記用紙カセットの引き出し動作に連動して前記第2方向に沿って前記用紙散乱防止部材に当接可能な当接部材であり、前記用紙散乱防止部材は、前記筐体内に配置された部材であって、前記当接部材と当接可能な接触面を有し、前記当接部材は、前記接触面に前記第2方向から当接して前記用紙散乱防止部材を前記第1回動方向に回動させることにより、前記用紙散乱防止部材の姿勢を前記第2姿勢から前記第3姿勢に切り替える。
【0015】
本発明の他の好ましい実施形態では、前記接触面は、前記第1方向に向く傾斜面である。
【0016】
この構成によれば、当接部材は、接触面に対する当接圧を増大させることなく、接触面上を摺動しつつ該接触面に当接することができる。これにより、当接部材や用紙散乱防止部材に負荷がかかる過ぎることが防止され、当接部材や用紙散乱防止部材の損傷を回避できる。
【0017】
本発明のさらに他の好ましい実施形態では、前記第1姿勢切替部材は、前記筐体内に配置された第1付勢部材を含み、前記第1付勢部材は、前記用紙散乱防止部材が常に前記第2姿勢を取るように前記用紙散乱防止部材を前記第2回動方向に付勢し、前記当接部材は、前記接触面に当接して、前記第1付勢部材の付勢力に抗しつつ前記接触面を押圧することにより、前記用紙散乱防止部材の姿勢を前記第2姿勢から前記第3姿勢に切り替える。
【0018】
この構成によれば、当接部材は、用紙カセットの第2方向への移動に伴って用紙散乱防止部材を第1回動方向に回動させてその姿勢を第2姿勢から第3姿勢に切り替えると共に、第1付勢部材は、用紙散乱防止部材を第2回動方向に回動させてその姿勢を常に第2姿勢に維持しようとしているので、用紙散乱防止部材の姿勢切替のために、モータ等を用いる駆動機構を用いていない。その分、給紙装置の構成を簡単化できる。
【0019】
本発明のさらに他の好ましい実施形態では、前記給紙機構は、前記用紙カセットから前記用紙を前記第1方向に沿って取り出すピックアップローラと、前記ピックアップローラが取り出した前記用紙を給送する給紙ローラと、前記給紙ローラとの間でニップ部を形成して用紙の重送を防止する分離部材とを含み、前記給送経路は、前記ピックアップローラから前記ニップ部を通りその下流側にかけて延びており、前記当接部材は、前記接触面に対して撓むことが可能な可撓性を有する。
【0020】
はがき等の厚紙がニップ部において挟まれ、給送経路上に残留しているとき、厚紙は腰が強いため、用紙散乱防止部材は厚紙に阻止されて第3姿勢を取ることが難しい。そのような場合において、当接部材を用紙散乱防止部材に当接させて、用紙散乱防止部材に第3姿勢を無理に取らせようとすると、当接部材や用紙散乱防止部材が損傷する可能性がある。そこで、本発明のさらに他の好ましい実施形態では、当接部材として、可撓性を有するものを用いている。当接部材は、厚紙に阻止されて第1回動方向に回動できない用紙散乱防止部材の接触面に対して撓みつつ第2方向に移動するので、用紙散乱防止部材に第3姿勢を無理に取らせない。これにより、当接部材や用紙散乱防止部材の損傷を回避することができる。
【0021】
本発明のさらに他の好ましい実施形態では、前記給紙機構は、前記用紙カセットから前記用紙を前記第1方向に沿って取り出すピックアップローラと、前記ピックアップローラが取り出した前記用紙を給送する給紙ローラと、前記給紙ローラとの間でニップ部を形成して用紙の重送を防止する分離部材とを含み、前記給送経路は、前記ピックアップローラから前記ニップ部を通りその下流側にかけて延びており、前記分離部材は、前記給紙ローラに接触して前記ニップ部を形成する接触位置と、前記給紙ローラから離間した離間位置との間で切り替え可能であり、前記用紙カセットが前記筐体から引き出されるときに前記離間位置に切り替えられる。
【0022】
この構成によれば、用紙がニップ部において挟まれ、給送経路上に残留している場合であっても、分離部材は、用紙カセットが筐体から引き出されるときに離間位置に切り替えられるので、用紙はニップ部において挟まれた状態から解放される。これにより、用紙散乱防止部材は円滑に第3姿勢を取ることができる。
【0023】
本発明のさらに他の好ましい実施形態では、次のような構成により、分離部材の位置を接触位置と離間位置との間で切り替えている。給紙装置は、さらに、前記筐体内に配置され、前記分離部材を前記接触位置と前記離間位置との間で切り替える位置切替部材を含む。前記位置切替部材は、回動部材と、第2付勢部材とを含む。前記回動部材は、回動軸と、前記回動軸を挟んで一端部および他端部とを有し、前記回動軸の軸回りに回動可能であり、前記一端部は前記第2付勢部材に連結されており、前記他端部は、前記分離部材に当接可能であり、前記分離部材に当接したときに前記分離部材の位置を前記離間位置に切り替え、前記付勢部材は、前記他端部が常に前記分離部材に当接するように前記一端部に対して付勢力を作用させ、前記用紙カセットは、前記一端部を押圧することが可能な押圧片を有しており、前記押圧片は、前記用紙カセットが前記筐体内に挿入されたとき、前記付勢部材の付勢力に抗して前記一端部を押圧することにより、前記他端部を前記分離部材から離間させる。
【0024】
本発明に係る画像形成装置は、トナー像を用紙上に形成する画像形成部と、前記画像形成部に前記用紙を給送する給紙装置とを含み、前記給紙装置として、上記構成の給紙装置が用いられている。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る給紙装置およびそれを備えた画像形成装置によれば、用紙カセットの筐体内への挿入時および用紙カセットの筐体からの引き出し時の両方において用紙を用紙カセットに戻すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係るプリンタの斜視図であり、(a)は用紙カセットがプリンタの筐体に完全に収容された状態を示し、(b)は用紙カセット全体が筐体から引き出された状態を示し、(c)は用紙カセットの一部が筐体内に挿入された状態を示す。
【図2】図1に示されるプリンタの内部構造を示す図である。
【図3】用紙カセットの背面壁側から見た給紙装置の斜視図であり、用紙散乱防止部材の第1姿勢を示している。
【図4】用紙カセットの上方から見た給紙装置の斜視図であり、用紙散乱防止部材の第1姿勢を示している。
【図5】図3のV−V線に沿って切断した断面図であり、用紙散乱防止部材の第1姿勢を示している。
【図6】用紙散乱防止部材の第2姿勢を示す断面図である。
【図7】用紙カセットの上方から見た給紙装置の斜視図であり、用紙散乱防止部材の第2姿勢を示している。
【図8】用紙カセットが筐体内に挿入され、用紙散乱防止部材が第1姿勢を取る直前の状態を示している。
【図9】用紙散乱防止部材および第1回動部材の斜視図であり、用紙散乱防止部材が第2姿勢を取った状態を示している。
【図10】図6とは反対の方向から見た断面図であり、用紙散乱防止部材の第2姿勢を示している。
【図11】用紙散乱防止部材が図10に示す第2姿勢から第3姿勢を取った状態を示す断面図である。
【図12】用紙散乱防止部材を第2姿勢から第3姿勢に切り替えるための当接部材の斜視図である。
【図13】用紙散乱防止部材の拡大側面図であり、用紙散乱防止部材が第3姿勢に切り替えられた状態を示す。
【図14】位置切替部材の側面図であり、位置切替部材によって分離ローラが接触位置にある状態を示す。
【図15】位置切替部材を含む給紙装置の斜視図であり、位置切替部材によって分離ローラが接触位置にある状態を示す。
【図16】位置切替部材の側面図であり、位置切替部材によって分離ローラが離間位置にある状態を示す。
【図17】給紙機構および位置切替部材の斜視図であり、位置切替部材によって分離ローラが離間位置にある状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。尚、以下の説明で用いられる「上」、「下」、「左」や「右」などの方向を表す用語は、単に、説明の明瞭化を目的とするものであり、何ら本発明を限定するものではない。以下の説明において用いられる「用紙」との文言は、一般的に、印刷処理を施される印刷用紙を意味するが、本発明はこれに限られるものではなく、トレーシングペーパ、OHPシート、厚紙や画像形成を施与することが可能な他の用紙も意味する。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の外観斜視図であり、(a)は用紙カセットが画像形成装置内に完全に収容された状態を示し、(b)は用紙カセット全体が画像形成装置から引き出された状態を示し、(c)は用紙カセットの一部が画像形成装置内に挿入された状態を示す。尚、図1に示される画像形成装置は、プリンタであるが、本発明はこれに限られるものではなく、コピー機、ファクシミリ装置や用紙に画像を形成することができる他の装置を画像形成装置として用いてもよい。
【0029】
プリンタ1は、全体として、略直方体形状の筐体2を含む。筐体2は、用紙カセット3の挿入口となる略矩形状の開口部211が形成された正面壁21と、正面壁21に対向する位置にある背面壁22と、正面壁21と背面壁22との間で延びるとともにプリンタ1の側面を形成する右側面壁23及び左側面壁24と、正面壁21と背面壁22との間で延びるとともにプリンタ1の上面を形成する天壁25とを含む。
【0030】
正面壁21の開口部211から背面壁22に向けて、略直方体形状の収容空間が延びる。用紙カセット3の外周輪郭は、この収容空間と相補的な形状をなしている。用紙カセット3は、正面壁21側から背面壁22に向けて移動可能である。また、背面壁22から正面壁21に向けて用紙カセット3を引っ張ることにより、筐体2から用紙カセット3を引き出すことも可能である。このように用紙カセット3は、収容空間内で往復移動可能に形成される。
【0031】
筐体2内には、プリンタ1の機能を発揮させるための各種の機器が配設される。右側面壁23には、これら機器から生ずる熱を放出するための放熱口231が形成されている。天壁25上には、正面壁21に向けて狭まる凹空間251が形成され、背面壁22側に位置する凹空間251の基端部は、排出壁252により形成される。排出壁252には、画像形成された用紙を排出する排出口253が形成される。排出口253から画像形成処理が施与された用紙が排出され、天壁25上の凹空間251内で積み重ねられる。
【0032】
用紙カセット3は、用紙カセット3が筐体2内に完全に押し込まれたときに、筐体2の正面壁21とともにプリンタ1の正面側壁面を形成する正面壁31と、正面壁31と対向する位置に存する背面壁32(下流側壁部)と、正面壁31と背面壁32との間で延びるとともに用紙カセット3の側面を形成する右側面壁33及び左側面壁34と、正面壁31と背面壁32との間で延びるとともに用紙カセット3の底面を形成する底壁35とを含む。
【0033】
用紙カセット3の底壁35の上面には、正面壁31から背面壁32に向かう直線上で往復移動可能な第1調整ノブ36と、左右の側面壁33,34を結ぶ直線上で往復移動可能な一対の第2調整ノブ37とが立設される。第1調整ノブ36及び第2調整ノブ37は、用紙カセット3内に収容される用紙の束の側面(積層される用紙の縁部が積み重ねられてなる面)に当接するように位置決めされ、第1調整ノブ36、一対の第2調整ノブ37及び背面壁32の内面とで、用紙を収容するための収容空間38が形成される。
【0034】
図2は、図1に示されるプリンタ1の内部構造を概略的に示す。図2と併せて図1を参照しつつ、プリンタ1の内部構造について説明する。尚、プリンタ1は、パーソナルコンピュータ(PC)(図示せず)等に直接またはLAN経由で接続される。パーソナルコンピュータ等の外部装置は、プリンタ1に画像データを送信する。また、図2に関連して以下に説明される構成要素の他に、プリンタ1は、プリンタ1の動作を制御する制御回路など、一般的なプリンタに設けられた他の構成要素も有している。
【0035】
図2に示されるように、筐体2の内部には、中間転写ユニット92、画像形成ユニット93、露光ユニット94、定着ユニット97、排紙ローラ対96および給紙装置4が設けられている。
【0036】
画像形成ユニット93は、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色のトナー像を担持する感光体ドラム931(電子写真方式で潜像が形成される感光体)を含む。感光体ドラム931としては、アモルファスシリコン(a−Si)系材料を用いた感光体ドラムを用いることができる。
【0037】
感光体ドラム931の周囲には、帯電器933、現像装置910(910Y、910M、910C、910K)、転写ローラ932及びクリーニング装置934等が配置されている。帯電器933は、感光体ドラム931の表面を均一に帯電する。帯電後の感光体ドラム931の表面は、露光ユニット94によって露光され、静電潜像が形成される。現像装置910Y、910M、910C、910Kは、それぞれトナーコンテナ900Y、900M、900C、900Kから供給される各色のトナーを用いて、各々の感光体ドラム931上に形成された静電潜像を現像(可視像化)する。転写ローラ932は、中間転写ベルト921を挟んで感光体ドラム931とニップ部を形成し、感光体ドラム931上のトナー像を中間転写ベルト921上に一次転写する。クリーニング装置934は、トナー像転写後の感光体ドラム931の周面を清掃する。
【0038】
各現像装置910Y、910M、910C、910Kは、筐体911を含み、この筐体911の内部には、磁性キャリアとトナーとを有する2成分現像剤が収納されている。また、筐体911内には、2本の攪拌ローラ912、913が回転可能に配置される。2本の攪拌ローラ912、913は、筐体911の底部近傍で互いに並列に延設する。
【0039】
筐体911の内部底面には、現像剤の循環経路が形成されている。攪拌ローラ912、913は循環経路内に配設されている。攪拌ローラ912、913の間において、筐体911の底部から立設された仕切り壁914が攪拌ローラ912、913の軸方向に延びる。この仕切り壁914は、循環経路を区画する。仕切り壁914の周囲を周回するように循環経路が形成される。2成分現像剤は、この循環経路を攪拌ローラ912及び913によって攪拌、搬送されながら帯電される。
【0040】
2成分現像剤は、攪拌ローラ912及び913によって攪拌されつつ筐体911内を循環し、トナーが帯電されるとともに、攪拌ローラ912上の2成分現像剤が上側に位置する磁気ローラ915に吸引されて搬送される。吸引された2成分現像剤は磁気ローラ915上に磁気ブラシを形成する。磁気ブラシは、ドクターブレード916によって層厚規制される。現像ローラ917上のトナー層は、磁気ローラ915と現像ローラ917との間の電位差によって形成され、トナー層によって感光体ドラム931上の静電潜像が現像される。
【0041】
露光ユニット94は、光源やポリゴンミラー、反射ミラー、偏向ミラーなどの各種の光学系機器を有し、画像形成ユニット93の各々に設けられた感光体ドラム931の周面に、例えば、外部装置から送信された画像データに基づく光を照射して、静電潜像を形成する。
【0042】
中間転写ユニット92は、中間転写ベルト921、駆動ローラ922及び従動ローラ923を含む。中間転写ベルト921には、複数の感光体ドラム931からトナー像が一次転写され、各感光体ドラム931からの像が重ね塗りされる。この重ね塗りされたトナー像を、中間転写ベルト921は、後述する給紙装置4から供給される用紙Sに二次転写部980において二次転写する。駆動ローラ922及び従動ローラ923は、中間転写ベルト921を周回駆動させる。駆動ローラ922及び従動ローラ923は、プリンタ1の筐体2で回転自在に支持される。なお、本実施形態では、画像形成ユニット93、中間転写ユニット92および二次転写部980が、トナー像を用紙S上に形成する画像形成部を構成する。
【0043】
定着ユニット97は、中間転写ユニット92から二次転写された用紙S上のトナー像に対し、定着処理を施す。定着処理の完了したカラー画像付の用紙Sは、筐体2の内部空間の上部に形成された排出ローラ対96へ向けて排出される。排紙ローラ対96は、定着ユニット97から搬送された用紙Sを、排出壁252に形成された排出口253を介して凹空間251に排出する(図1参照)。
【0044】
給紙装置4は、用紙Sを二次転写部980に給送するための装置であって、上述した用紙カセット3と、給紙機構40と、用紙カセット3および給紙機構40を収容する筐体2とから構成されている。
【0045】
用紙カセット3は、図1を参照して説明した構造を有すると共に、用紙収容空間38内において複数枚の用紙Sからなる用紙束Tを積載するリフト板381を含む。リフト板381の上流側端部(図では左側端部)は、支持部382により回動可能に支持されている。リフト板381は、用紙収容空間38内において、下流側端部(図2では右側端部)を自由端として支持部382により底壁35に対して上下方向に回動可能となっている。支持部382は、用紙Sの幅方向に対向配置された左右の側面壁33,34(図1参照)に設けられる。
【0046】
リフト板381の下流側端部の下方には、リフト板381を昇降させる昇降機構として、駆動シャフト383及び押し上げ部材384が設けられる。駆動シャフト383は、駆動モータ(図示せず)に接続される。プリンタ1の動作全般の制御を司る制御部による制御下で、駆動モータが作動すると、駆動シャフト383が回転し、リフト板381に接続される押し上げ部材384の先端部が上昇し、リフト板381の下流側端部が上昇する。
【0047】
給紙機構40は、用紙カセット3が筐体2内に完全に挿入され、所定の給紙位置にセットされたときに用紙Sを用紙カセット3から二次転写部980に給送する。給紙機構40が用紙Sを給送する給送動作が行われる前に、リフト板381はその下流側端部が前記昇降機構によって上昇して上昇位置に設定される。なお、リフト板381の下流側端部は、新たな用紙束Tが補給されるときには下降した下降位置に設定されている。
【0048】
給紙機構40は、具体的には、プリンタ1の筐体2内に挿入された状態の用紙カセット3の背面壁32とプリンタ1の筐体2の背面壁22との間に配設された機構であって、リフト板381の下流側端部の上方に配設されたピックアップローラ41と、ピックアップローラ41の下流側に配設された給紙ローラ42と、給紙ローラ42に接触した状態で配設された分離ローラ43(分離部材)とを含む。給紙ローラ42と分離ローラ43との間には、給紙ニップ部が形成されている。給紙機構40は用紙Sを二次転写部980に向けて給送するための給送経路48を有する。給送経路48は、ピックアップローラ41から、給紙ニップ部を経てその下流側に延びている。
【0049】
用紙カセット3が給紙位置にセットされると、リフト板381の下流側端部が上昇し、リフト板381上に積載された用紙束Tの下流側端部がピックアップローラ41に当接する。ピックアップローラ41が回転すると、リフト板381上の用紙束Tの最上位に位置する用紙Sが用紙カセット3から取り出される。ピックアップローラ41による用紙Sの取り出し方向は、プリンタ1の筐体2内への用紙カセット3の挿入方向A(第1方向)に沿う方向(正面壁21から背面壁22に向かう方向)である。
【0050】
その後、用紙カセット3から取り出された用紙Sは、給紙ローラ42により給紙ニップ部を通過して下流へと給送される。用紙カセット3から複数の用紙Sが同時に取り出されたとき、分離ローラ43は重なって取り出された用紙Sのうち下方に位置する用紙Sを用紙カセット3へ押し戻す方向に回転する。これにより、用紙Sは1枚ずつ下流へと給送経路48に沿って搬送される。このようにして、給紙機構40は用紙カセット3から用紙Sを二次転写部980に給送する。なお、分離ローラ43に代えて、分離パッド等を用いて用紙Sの重送を防止してもよい。
【0051】
給紙機構40の下流側には、給紙機構40の上方に位置する二次転写部980に向けて延びる搬送路が形成され、その搬送路に沿って用紙Sを搬送する搬送ローラ対44が配設されている。給紙ローラ42により用紙カセット3から給送された用紙Sは、その後、搬送ローラ対44により二次転写部980まで搬送され、画像形成部93で形成されたトナー画像が用紙S上に転写される。
【0052】
給紙装置4は、さらに、用紙散乱防止部材10を含む。用紙カセット3が筐体2内に挿入されて給紙位置にセットされたとき、その衝撃によって用紙収容空間38内の用紙Sが背面壁32を越えて用紙カセット3から飛び出す場合がある。用紙散乱防止部材10は、そのような飛び出そうとする用紙Sに当接して、その用紙Sを用紙カセット3に戻すための部材である。用紙カセット3の筐体2内への挿入時には、用紙散乱防止部材10により、用紙カセット3の挿入方向Aから見た下流側において、つまり、ピックアップローラ41の下方において用紙Sが散乱することが防止される。
【0053】
また、用紙散乱防止部材10は、新たな用紙補給のために用紙カセット3が挿入方向Aとは反対の方向(以下、第2方向という)に筐体2内から引き出されるとき、ピックアップローラ41の取り出し動作や給紙ローラ42の給送動作によって給送経路48内に残留している用紙Sに当接して、その用紙Sを用紙カセットに戻すための部材でもある。用紙カセット3の筐体2内からの引き出し時には、用紙散乱防止部材10により、残留用紙Sの破損やジャム等の給送不良の発生が防止される。
【0054】
用紙散乱防止部材10は、第1姿勢と、第2姿勢および第3姿勢間で切り替えられることが可能に構成されている。用紙散乱防止部材10は、用紙カセット3が筐体2内に挿入されたときに第1姿勢を取り、給紙機構40が給送動作を行うときに第2姿勢を取り、用紙カセット3が筐体2内から引き出されるときに第3姿勢を取る。図3〜図5は、用紙散乱防止部材10の第1姿勢を示しており、図6および図7は、用紙散乱防止部材10の第2姿勢を示しており、図11は、用紙散乱防止部材の第3姿勢を示している。
【0055】
まず、図3〜図5を参照して用紙散乱防止部材10の第1姿勢について説明する。図3は、用紙カセット3の背面壁32側から見た給紙装置4の斜視図であり、用紙散乱防止部材10の第1姿勢を示す。図4は、用紙カセット3の上方から見た給紙装置4の斜視図であり、用紙散乱防止部材10の第1姿勢を示す。図5は、図3のV−V線に沿って切断した断面図であり、用紙散乱防止部材10の第1姿勢を示す。用紙散乱防止部材10は、図示の実施形態では、一対配置されており、用紙Sの幅方向、つまり用紙カセット3の挿入方向Aと直交する方向に所定の間隔をあけて互いに離間している。各用紙散乱防止部材10は、細長のブロック状の本体部11と、突出部12とを有する。
【0056】
細長本体部11は、用紙散乱防止部材10が第1姿勢を取っているとき、用紙カセット3の背面壁32に沿って延びる形状を有している。各々の細長本体部11は、下端部同士が連結部材15によって連結されている。また、連結部材15には、その両端部から、用紙カセット3の挿入方向Aと直交する方向に突出する一対の揺動軸16が形成されている(なお、一方の揺動軸は図示していない)。用紙散乱防止部材10は、後述する第2姿勢にあるとき、筐体2内において用紙カセット3の背面壁32側に配置されたハウジング45(図7)内に収容される。連結部材15、換言すると、一対の用紙散乱防止部材10は、一対の揺動軸16を介してハウジング45に回動可能に支持されている。
【0057】
突出部12は、図5に示すように、細長本体部11の上端から背面壁32よりも上方に延び、かつ背面壁32を越えて用紙収容空間38の上方に突出する部分である。突出部12は、背面壁32を越えて用紙カセット3から飛び出そうとする用紙Sに当接する規制面18を有する。規制面18は、第1面18aと、第1面18aから連続する第2面18bとからなる。第1面18aは、背面壁32を越えつつ斜め上方(図5では左斜め上方)に延びる斜面状の面である。第2面18bは、第1面18aの上縁から用紙収容空間38上を略水平方向に延びる面である。規制面18の第1面18aおよび第2面18bは、飛び出そうとする用紙Sに当接してその用紙Sを用紙カセット3に戻す。
【0058】
上述から明らかなように、第1姿勢とは、各用紙散乱防止部材10の細長本体部11が背面壁32に沿って起立し、突出部12が背面壁32を越えて用紙収容空間38の上方に位置した状態のことである。
【0059】
次に、図6および図7を参照して用紙散乱防止部材10の第2姿勢について説明する。一方の用紙散乱防止部材10の細長本体部11には、第1姿勢のときに背面壁32と対向する面とは反対側の面においてフック13が形成されている。フック13には、ばね部材14(第1付勢部材)の一端が係止されている。ばね部材14の他端はハウジング45の適所に係止されている。
【0060】
ばね部材14は、細長本体部11を付勢して下方に引っ張るように位置設定されている。そのため、一対の用紙散乱防止部材10は、揺動軸16(図3)の軸回りに図6では時計回り方向に回動する。この回動動作により、各用紙散乱防止部材10の突出部12(つまり、規制面18)は背面壁32の上方から退避する。また、突出部12は給紙機構40の給送経路48から外れるように退避する。細長本体部11が回動して突出部12が退避した用紙散乱防止部材10は、図7に示すように、ハウジング45に形成された凹部46内に収納される。用紙散乱防止部材10は、収納された状態では用紙カセット3の挿入方向Aと直交する方向における分離ローラ43の側方に位置する。
【0061】
上述から明らかなように、第2姿勢とは、突出部12が背面壁32の上方から退避した状態のことであり、ばね部材14は用紙散乱防止部材10が常に第2姿勢を取るように用紙散乱防止部材10を付勢している。
【0062】
本実施形態では、用紙散乱防止部材10の姿勢を第1姿勢と第2姿勢との間で切り替えるために第1姿勢切替部材を用いている。まず、第1姿勢切替部材により、用紙カセット3が筐体2内に挿入されたときに用紙散乱防止部材10の姿勢を第2姿勢から第1姿勢に切り替える構成について、図5に加え、図8を参照しながら説明する。図8は、用紙カセット3が筐体2内に挿入され、用紙散乱防止部材10が第1姿勢を取る直前の状態を示している。
【0063】
第1姿勢切替部材は、回動部材50と、上述したばね部材14とから構成されている。回動部材50は、用紙散乱防止部材10を、図6に示す状態から揺動軸16の軸回りに図5および図8では反時計回り方向(第1回動方向)に回動させることで、用紙散乱防止部材10の姿勢を第2姿勢から第1姿勢に切り替えることが可能に構成されている。ばね部材14は、上述したように、用紙散乱防止部材10を揺動軸16の軸回りに時計回り方向(第2回動方向)に、つまり回動部材50とは反対の方向に回動させて、用紙散乱防止部材10が常に第2姿勢を取るように付勢力を作用させている。そのため、回動部材50は、ばね部材14の付勢力に抗して用紙散乱防止部材10を回動させる必要がある。
【0064】
まず、回動部材50の構成について説明する。回動部材50は、用紙カセット3の背面壁32の外面側に配置されると共に、その外面側において一対の用紙散乱防止部材10の間に位置するように配置された部材である。回動部材50は、回動部材本体51と、回動片52とを含む。
【0065】
回動部材本体51は、後述する図9に示すように、用紙カセット3の挿入方向Aと直交する方向に隣り合う一対の側壁56と、それらの側壁56を連結する連結壁58と、第1回動軸53とを有する。
【0066】
第1回動軸53は、両側壁56を貫通して用紙カセット3の挿入方向Aと直交する方向に背面壁32に沿って延びる軸であり、回動部材本体51を回動可能としている。第1回動軸53の設置位置は、回動部材本体51が自重で図5および図8では時計回り方向に回動するように設定されている。
【0067】
また、回動部材本体51は、第1回動軸53を挟んで一端部および他端部を有する。前記一端部は、背面壁32の下部に形成された貫通孔32aを通って用紙カセット3内に延在する部分であって、規制部55として構成されている。規制部55は、回動部材本体51が自重で時計回り方向に回動しないように規制する部分であって、リフト板381の先端部381aと係合可能な形状を有している。規制部55およびリフト板381の先端部381aは共に、フック形状に設定されている。リフト板381は、用紙カセット3が筐体2内に挿入されるときは下降位置に設定され、先端部381aが規制部55と係合した状態にある。この状態では、規制部55は先端部381aによって上方から押圧されている。そのため、回動部材本体51の時計回りの回動が規制部55によって規制されている。
【0068】
一方、リフト板381が上昇位置に設定されたとき、先端部381aは規制部55から離間し、先端部381aと規制部55との係合状態が解消される。その状態では、規制部55は回動部材本体51の時計回りの回動動作を許容する。なお、規制部55やリフト板381の先端部381aの形状は、フック形状に限定されず、先端部381aが規制部55を上方から押圧することができる形状であればよい。
【0069】
回動部材本体51の前記他端部は、用紙散乱防止部材10に当接することが可能な当接部として作用する。そして、本実施形態では、当接部は回動片52により構成されている。図9に示すように、回動部材本体51の上部には、一対の側壁56の間に開口が形成されており、その開口に回動片52が配置されている。
【0070】
回動片52は、両側壁56を貫通して第1回動軸53と平行に延びる第2回動軸54を有し、第2回動軸54の軸回りに回動部材本体51に対して回動可能に支持されている。回動部材本体51の連結壁58における背面壁32に向く部分とは反対側の部分には、図9に示すように、前記開口に突出する規制壁57が形成されている。回動片52は、図5に示すように、時計回りの回動動作が連結壁58によって規制され、反時計回りの回動動作が規制壁57によって規制されている。
【0071】
回動片52の上端部は、前記開口から上方に突出しており、その上面は、用紙散乱防止部材10と当接する第1当接面59として構成されている。一方、用紙散乱防止部材10は第1当接面59と当接することが可能な第2当接面17を有する。第2当接面17は、実際には、一対の用紙散乱防止部材10を連結する連結部材15上に設定されている。第2当接面17は、連結部材15の底面における一方の用紙散乱防止部材10の近傍位置に設定されている。
【0072】
次に、上記構成の回動部材50によって用紙散乱防止部材10の姿勢が第2姿勢から第1姿勢に切り替えられる手順について説明する。まず、図8に示すように、用紙カセット3の挿入動作に伴って回動部材50がハウジング45(図7)内で第2姿勢にある用紙散乱防止部材10に接近すると、回動部材50の回動片52の第1当接面59が用紙散乱防止部材10の第2当接面17の縁部(図8では右縁部)に当接する。第1当接面59が第2当接面17に当接したとき、その衝撃によって回動片52は反時計回りに回動しようとするが、その回動動作は回動部材50の規制壁57によって規制される。そして、回動部材50がさらに進入するにつれて、回動片52は、ばね部材14の付勢力に抗しつつ、第1当接面59を介して第2当接面17を押圧する。そのため、用紙散乱防止部材10は、押し上げられつつ、反時計回りの方向に回動し始める。
【0073】
回動片52がばね部材14の付勢力に抗しつつ第1当接面59から第2当接面17に当接圧をさらに伝達し続けると、用紙散乱防止部材10は反時計回りの方向にさらに回動して、第2当接面17が図5に示すように第1当接面59に重なる。これにより、用紙散乱防止部材10は第2姿勢から第1姿勢となる。
【0074】
次に、用紙散乱防止部材10が第1姿勢から第2姿勢に切り替えられる手順について、図6に加え、図10を参照しながら説明する。図10は、用紙散乱防止部材10および回動部材50の斜視図であり、用紙散乱防止部材10が第2姿勢を取った状態を示している。
【0075】
給紙機構40が用紙Sを用紙カセット3から取り出して給送経路48に沿って給送する前に、用紙カセット3のリフト板381は前記昇降機構によって上昇位置に設定される。リフト板381が上昇位置に設定されると、リフト板381の先端部381aは回動部材50の規制部55から上方に離間するので、先端部381aと規制部55との係合状態が解消される。これにより、規制部55は、回動部材50の回動部材本体51が自重によって時計回り方向に回動することを許容する。これに伴い、回動片52も時計回り方向に回動するので、回動片52の第1当接面59は、用紙散乱防止部材10の第2当接面17から離間して当接状態が解消される。そのため、用紙散乱防止部材10は、ばね部材14の付勢力によって時計回り方向に回動されて第2姿勢を取る。第2姿勢の用紙散乱防止部材10は、ハウジング45(図7)の凹部46内に収容された状態となる。
【0076】
用紙散乱防止部材10が第2姿勢を取ったとき、回動部材50は上述のように自重で時計回り方向に回動するため、第1当接面59は、該第1当接面59と第2当接面17との当接位置Cから見て挿入方向Aの下流側に移動する。一方、用紙散乱防止部材10はばね部材14によって時計回り方向に回動するため、第2当接面17は、当接位置Cから見て挿入方向Aの上流側に移動する。
【0077】
そのため、用紙カセット3を筐体2から挿入方向Aとは反対の第2方向に引き出すとき、挿入方向Aから見た第1当接面59の上流縁部(図6では左縁部)が、連結部材15における第2当接面17を規定する部分に当接する。しかしながら、本実施形態では、回動片52は、時計回り方向に回動することができるので、第1当接面59が前記部分に作用させる当接圧を時計回り方向に回動しつつ軽減させることができる。これにより、用紙カセット3の筐体2からの引き出しが円滑に行われる。
【0078】
次に、用紙散乱防止部材10の第3姿勢について、図10および図11を参照しながら説明する。図10は、図6とは反対の方向から見た断面図であり、用紙散乱防止部材10の第2姿勢を示している。図11は、用紙散乱防止部材10が図10に示す第2姿勢から第3姿勢を取った状態を示す断面図である。本実施形態では、用紙散乱防止部材10の姿勢を第2姿勢から第3姿勢に切り替えるために第2姿勢切替部材を用いている。
【0079】
第2姿勢切替部材は、用紙カセット3に配置され、用紙カセット3の引き出し動作に連動して挿入方向Aとは反対の第2方向に沿って用紙散乱防止部材10に当接可能な当接部材80から構成されている。当接部材80は、用紙カセット3が引き出されるとき、用紙散乱防止部材10の後述する接触面19aに第2方向Bから当接して、用紙散乱防止部材10を図10に示す第2姿勢の状態から時計回り方向に回動させることにより、用紙散乱防止部材10の姿勢を第3姿勢に切り替える。なお、図10および図11では、時計回り方向が第1回動方向であり、反時計回り方向が第2回動方向である。
【0080】
当接部材80は、図12に示すように、基端部81と、当接片82とからなる。基端部81は、用紙カセット3の背面壁32に一体に形成された保持壁85に保持されている。基端部81は、保持壁85に固定されていてもよいし、若干の範囲で回動可能に保持されていてもよい。
【0081】
当接片82は、基端部81に一体に形成された舌片状の部分であって、基端部81から下方に延びつつ用紙カセット3の挿入方向Aに湾曲し、その先端部(以下、当接端83という)が略上下方向に延びるように成形されている。当接部材80は、例えば樹脂製であり、可撓性を有している。
【0082】
用紙散乱防止部材10は、当接部材80と当接可能な接触片19を有する。接触片19は、実際には、図9に示すように、用紙散乱防止部材10の近傍位置で連結部材の上面に一体に形成されているが、用紙散乱防止部材10の細長本体部11の側面に一体に形成してもよい。一対の用紙散乱防止部材10および接触片19は、用紙カセット3の挿入方向Aと直交する方向から見てほぼ一列に並んでいる。
【0083】
接触片19は、当接部材80が当接可能な接触面19aを有している。接触面19aは、用紙カセット3の挿入方向Aに向く傾斜面とされている。接触面19aの水平方向に対する傾斜角度は、当接部材80の当接片82が接触面19aに当接したときに当接片82から接触面19aに対して適正な当接圧が作用するように適宜設定されている。
【0084】
次に、上記構成の当接部材80によって用紙散乱防止部材10の姿勢が第2姿勢から第3姿勢に切り替えられる手順について説明する。まず、新たな用紙の補給のために用紙カセット3が筐体内から第2方向Bに引き出され始めると、当接部材80の当接片82の当接端83は、図10に示す第2姿勢にある用紙散乱防止部材10の接触片19に向かって第2方向Bに移動する。そして、当接片82の当接端83が接触片19の接触面19aに第2方向Bから当接すると、当接端83は接触面19aに対して第2方向Bから当接圧を作用させ始める。
【0085】
用紙カセット3が第2方向Bにさらに引き出されると、当接片82の当接端83は接触面19a上を摺動しつつ接触面19aを押圧する。当接片82の押圧動作は、ばね部材14の付勢力に抗して行われるので、当接片82の当接端83が接触面19a上を摺動するにつれて、用紙散乱防止部材10は、図10の状態から時計回り方向(第1回動方向)に回動する。
【0086】
そして、用紙カセット3の引き出し動作に伴い、当接片82の当接端83が、図13に示すように、用紙カセット3の挿入方向Aから見た接触面19aの上流側縁部(図13では、右縁部)に到達すると、用紙散乱防止部材10は、規制面18が給送経路48内に突出する第3姿勢に切り替えられる。
【0087】
用紙散乱防止部材10が第3姿勢に切り替えられるとき、規制面18は、図11に示すように給送経路48内に残留する用紙Sに当接して、その用紙Sを用紙カセット3に押し戻す。
【0088】
そして、用紙カセット3が図11に示す状態からさらに引き出されると、当接片82の当接端83は接触面19aの右縁部から第2方向Bに離間する。そのため、当接片82による当接圧が接触面19aにもはや作用しなくなるので、第3姿勢の用紙散乱防止部材10は、ばね部材14の付勢力によって図11に示す状態から反時計回り方向(第2回動方向)に回動して、規制面18が給送経路48から退避する図10に示す第2姿勢に切り替えられる。
【0089】
また、本実施形態では、給紙装置4は、用紙カセット3が筐体2内から引き出されるときに給送経路48内に残留する用紙Sを円滑に用紙カセット3に戻すための手段として、当接部材80に加え、位置切替部材70をさらに含む。位置切替部材70は、分離ローラ43が給紙ローラ42に接触して給紙ローラ42との間で給紙ニップ部NPを形成する接触位置と、分離ローラ43が給紙ローラ42から離間した離間位置との間で切り替えることが可能に構成されている。位置切替部材70は、用紙Sが図14に示すように給紙ニップ部NPに挟まれた状態で給送経路48に残留している場合において、分離ローラ43の位置を離間位置に切り替えることにより、用紙Sを給紙ニップ部NPに挟まれた状態から解放する。そのため、用紙散乱防止部材10が第3姿勢を取り易くなると共に、用紙Sを用紙カセット3に戻すことができる。
【0090】
以下、位置切替部材70について図14〜図17を参照しながら説明する。図14は、位置切替部材70の側面図であり、位置切替部材70によって分離ローラ43が接触位置にある状態を示す。図15は、位置切替部材70を含む給紙装置4の斜視図であり、位置切替部材70によって分離ローラ43が接触位置にある状態を示す。図16は、位置切替部材70の側面図であり、位置切替部材70によって分離ローラ43が離間位置にある状態を示す。図17は、給紙機構および位置切替部材70の斜視図であり、位置切替部材70によって分離ローラ43が離間位置にある状態を示す。なお、図15では、用紙散乱防止部材10および回動部材50を省略している。
【0091】
位置切替部材70は、回動部材71と、ばね部材75(第2付勢部材)とを含む。回動部材71は、用紙カセット3の背面壁32の外面側に配置された部材であって、回動軸74と、回動軸74を挟んで一端部72および他端部73とを有している。
【0092】
回動軸74は、用紙カセット3の挿入方向Aと直交する方向に背面壁32に沿って延びていると共に、分離ローラ43に平行に延びている。また、回動軸74は、ハウジング45の適所に回動可能に支持されている。この回動軸74により、回動部材71は回動可能となっている。
【0093】
一端部72および他端部73は略上下方向において対向する部分である。一端部72には、ばね部材75が連結されている。一方、他端部73は、回動部材71の回動に伴って支持体46に当接可能な部分である。分離ローラ43は、支持体46によって回転可能に支持されている。支持体46は、分離ローラ43よりも下方に垂下すると共に、背面壁32に対向する垂下片76を有している。回動部材71の他端部73は、実際には垂下片76に当接可能となっている。また、支持体46は、分離ローラ43が給紙ローラ42と常に接触するように図略の付勢部材によって付勢されている。
【0094】
ばね部材75は、回動部材71の一端部72が用紙カセット3の挿入方向Aとは反対の第2方向Bに沿って移動するように一端部72に対して付勢力を常に作用させている。そのため、回動部材71は回動軸74の軸回りに図では時計回り方向に回動し、他端部73が挿入方向Aに沿って移動して、図16および図17に示すように支持体46の垂下片76に当接した状態となる。そして、他端部73から垂下片76に作用する当接圧により、垂下片76、ひいては支持体46が背面壁32から離間する。これにより、分離ローラ43が給紙ローラ42から離間する。このように、ばね部材75は、その付勢力を回動部材71に作用させることにより、分離ローラ43の位置を離間位置に常に維持しようとするものである。
【0095】
用紙カセット3の背面壁32には、用紙カセット3の挿入方向Aに沿って突出した形状の押圧片39が一体に形成されている。押圧片39は、用紙カセット3が筐体2内に挿入されたときに回動部材71の一端部72を押圧することが可能である。押圧片39の一端部72に対する押圧方向は、ばね部材75が一端部72に付勢力を作用させる方向とは逆方向である。つまり、押圧片39は一端部72を挿入方向Aから押圧しているのに対し、ばね部材75はその付勢力によって一端部72を第2方向Bから押圧している。
【0096】
次に、位置切替部材70によって分離ローラ43の位置が離間位置から接触位置に切り替えられる手順について説明する。まず、用紙カセット3が筐体2内に挿入されると、用紙カセット3の押圧片39は、分離ローラ43の位置を図16および図17に示す離間位置に切り替えている位置切替部材70の回動部材71の一端部72に向かって挿入方向Aに沿って移動する。そして、押圧片39が一端部72に当接し、図14および図15に示すようにばね部材75の付勢力に抗しつつ一端部72を押圧すると、回動部材71は回動軸74の軸回りに反時計回り方向に回動する。これに伴い、他端部73は第2方向Bに沿って移動して支持体46の垂下片76から離間する。これにより、分離ローラ43は離間位置から接触位置に切り替えられる。
【0097】
次に、位置切替部材70によって分離ローラ43の位置が接触位置から離間位置に切り替えられる手順について説明する。まず、用紙カセット3が筐体2内から引き出され始めると、押圧片39は第2方向Bに沿って移動し始める。そのため、押圧片39による一端部72への押圧力が徐々に小さくなる。これに伴い、ばね部材75による一端部72への付勢力が前記押圧力よりも徐々に大きくなって、回動部材71は回動軸74の軸回りに時計回り方向に回動し始める。そして、押圧片39が一端部72から離間すると、回動部材71の回動動作に伴って他端部73が挿入方向Aに沿って移動して図16および図17に示すように支持体46の垂下片76に当接する。これにより、ばね部材75の付勢力が他端部73を介して支持体46に作用し、分離ローラ43は接触位置から離間位置に切り替えられる。用紙Sが給紙ニップ部NPに挟まれ給送経路48に残留している場合、分離ローラ43の離間位置への切り替えによって用紙Sは給紙ニップ部NPから解放される。
【0098】
以上説明した給紙装置4では、用紙カセット3が筐体2内に挿入されたとき、用紙散乱防止部材10は、第1姿勢切替部材の回動部材50により、規制面18が背面壁32よりも高い位置に突出する第1姿勢を取るので、規制面18は、用紙カセット3の挿入時の衝撃によって背面壁32を越えて用紙カセット3から飛び出そうとする用紙Sに当接して該用紙Sを用紙カセット3に戻すことができる。これにより、用紙Sの散乱が防止される。なお、給紙機構が用紙Sを給送するとき、用紙散乱防止部材10は、第1姿勢切替部材のばね部材14により、規制面18が背面壁32の上方から退避する第2姿勢を取るので、給紙機構40の用紙給送動作を妨げない。
【0099】
また、用紙カセット3が筐体2内から引き出されるとき、用紙散乱防止部材10は、当接部材80(第2姿勢切替部材)により、規制面18が給紙機構40の給送経路48内に突出する第3姿勢を取るので、規制面18は、給紙機構40による給送動作によって給送経路48内に残留している用紙Sに当接して該用紙Sを用紙カセット3に戻すことができる。
【0100】
このように、本実施形態に係る給紙装置4の用紙散乱防止部材10は、用紙カセット3の筐体2内への挿入時および用紙カセット3の筐体2内からの引き出し時の両方において用紙Sを用紙カセット3から戻すことができるものである。そのため、給紙機構40による給紙動作を円滑に行うことが可能である。
【0101】
また、給紙装置4では、回動部材50によって用紙散乱防止部材10を回動させてその姿勢を第2姿勢から第1姿勢に切り替え、また、ばね部材14によって用紙散乱防止部材10を回動させてその姿勢を第1姿勢から第2姿勢に切り替え、さらに、当接部材80によって用紙散乱防止部材10を回動させてその姿勢を第2姿勢から第3姿勢に切り替えているので、用紙散乱防止部材10の姿勢切替のために、モータ等を用いる駆動機構を用いていない。その分、給紙装置4の構成を簡単化できる。
【0102】
さらに、給紙装置4では、用紙散乱防止部材10の接触片19の接触面19aは、用紙カセット3の挿入方向Aに向く傾斜面とされている。そのため、当接部材80の当接片82の当接端83は、接触面19aに対する当接圧を増大させることなく、接触面19a上を摺動しつつ該接触面19aに当接することができる。これにより、当接部材80や用紙散乱防止部材10に負荷がかかる過ぎることが防止され、当接部材80や用紙散乱防止部材10の損傷を回避できる。
【0103】
さらに、給紙装置4では、位置切替部材70によって分離ローラ43の位置を接触位置と離間位置との間で切り替えることができる。分離ローラ43は、上述のように、用紙カセット3が筐体2内に挿入されたときに接触位置に切り替えられ、用紙カセット3が筐体2内から引き出されるときに離間位置に切り替えられる。そのため、用紙Sが給紙ニップ部NPにおいて挟まれ、給送経路48上に残留している場合であっても、分離ローラ43は、用紙カセット3が筐体2から引き出されるときに位置切替部材70によって離間位置に切り替えられるので、用紙Sは給紙ニップ部NPにおいて挟まれた状態から解放される。これにより、用紙散乱防止部材10は円滑に第3姿勢を取ることができると共に、用紙Sを用紙カセット3に戻すことができる。
【0104】
さらに、給紙装置4では、当接部材80は、可撓性を有し、接触片19の接触面19aに対して撓むことが可能な部材である。これは、はがき等の厚紙が給紙ニップ部NPにおいて挟まれ、給送経路48上に残留している状況に対応するための構成である。給紙装置4が分離ローラ43の位置切替部材70を有していないとき、つまり、厚紙を給紙ニップ部NPから解放できないとき、用紙散乱防止部材10は、厚紙の腰の強さに阻止されて第3姿勢を取ることが難しい。また、給紙装置4が位置切替部材70を有している場合であっても、給送方向から見た厚紙の下流側端部が給紙ニップ部NPを完全に越えていると、用紙散乱防止部材10は、厚紙の腰の強さに阻止されて第3姿勢を取ることが難しい。
【0105】
そのような場合において、当接部材80を用紙散乱防止部材10に当接させて、用紙散乱防止部材10に第3姿勢を無理に取らせようとすると、当接部材80や用紙散乱防止部材10が損傷する可能性がある。しかしながら、本実施形態では、当接部材80は可撓性を有しているので、当接部材80の当接片82は、厚紙に阻止されて第3姿勢を取ることができない用紙散乱防止部材10の接触面19aに対して撓みつつ第2方向Bに移動する。そのため、用紙散乱防止部材10は第3姿勢を無理に取らない。これにより、当接部材80や用紙散乱防止部材10の損傷を回避することができる。
【符号の説明】
【0106】
1 画像形成装置
2 筐体
3 用紙カセット
4 給紙装置
10 用紙散乱防止部材
14 ばね部材(第1付勢部材)
18 規制面
19 接触片
19a 接触面
32 背面壁(下流側壁部)
39 押圧片
40 給紙機構
42 給紙ローラ
43 分離ローラ(分離部材)
48 給送経路
50 回動部材
52 回動片
70 位置切替部材
71 回動部材
72 一端部
73 他端部
75 ばね部材(第2付勢部材)
80 当接部材(第2姿勢切替部材)
82 当接片
A 挿入方向(第1方向)
B 第2方向
NP 給紙ニップ部
S 用紙
T 用紙束

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
用紙を収容する用紙カセットであって、第1方向から前記筐体内に挿入可能であり、前記第1方向から見て下流側に位置する下流側壁部を有する用紙カセットと、
前記用紙カセットから前記用紙を前記第1方向に沿って取り出して給送する給送経路を有する給紙機構と、
前記用紙カセットが前記筐体内に挿入されたときに前記下流側壁部を越えて前記用紙カセットから飛び出そうとする用紙に当接して該用紙を前記用紙カセットに戻すための規制面を有する用紙散乱防止部材と、
前記用紙散乱防止部材の姿勢を、前記用紙カセットが前記筐体内に挿入されたときに前記規制面が前記下流側壁部よりも高い位置に突出する第1姿勢と、前記給紙機構が前記用紙を給送するときに前記規制面が前記下流側壁部の上方から退避する第2姿勢との間で切り替える第1姿勢切替部材と、
前記用紙散乱防止部材の姿勢を、前記用紙カセットが前記筐体から引き出されるとき、前記規制面が前記給送経路内に突出する第3姿勢に切り替える第2姿勢切替部材と、
を備えた給紙装置。
【請求項2】
請求項1に記載の給紙装置において、前記用紙散乱防止部材は、揺動軸を有し、前記揺動軸の軸回りに第1回動方向および前記第1回動方向とは反対の第2回動方向に回動可能に構成された部材であり、
前記第2姿勢切替部材は、前記用紙散乱防止部材を前記第1回動方向に回動させることで該用紙散乱防止部材を前記第3姿勢に切り替える給紙装置。
【請求項3】
請求項2に記載の給紙装置において、前記用紙カセットは、前記第1方向とは反対の第2方向に前記筐体から引き出されることが可能なカセットであり、
前記第2姿勢切替部材は、前記用紙カセットに配置され、前記用紙カセットの引き出し動作に連動して前記第2方向に沿って前記用紙散乱防止部材に当接可能な当接部材であり、
前記用紙散乱防止部材は、前記筐体内に配置された部材であって、前記当接部材と当接可能な接触面を有し、
前記当接部材は、前記接触面に前記第2方向から当接して前記用紙散乱防止部材を前記第1回動方向に回動させることにより、前記用紙散乱防止部材の姿勢を前記第2姿勢から前記第3姿勢に切り替える給紙装置。
【請求項4】
請求項3に記載の給紙装置において、前記接触面は、前記第1方向に向く傾斜面である給紙装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の給紙装置において、前記第1姿勢切替部材は、前記筐体内に配置された第1付勢部材を含み、
前記第1付勢部材は、前記用紙散乱防止部材が常に前記第2姿勢を取るように前記用紙散乱防止部材を前記第2回動方向に付勢し、
前記当接部材は、前記接触面に当接して、前記第1付勢部材の付勢力に抗しつつ前記接触面を押圧することにより、前記用紙散乱防止部材の姿勢を前記第2姿勢から前記第3姿勢に切り替える給紙装置。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれか一項に記載の給紙装置において、前記給紙機構は、前記用紙カセットから前記用紙を前記第1方向に沿って取り出すピックアップローラと、前記ピックアップローラが取り出した前記用紙を給送する給紙ローラと、前記給紙ローラとの間でニップ部を形成して用紙の重送を防止する分離部材とを含み、
前記給送経路は、前記ピックアップローラから前記ニップ部を通りその下流側にかけて延びており、
前記当接部材は、前記接触面に対して撓むことが可能な可撓性を有する給紙装置。
【請求項7】
請求項3〜5のいずれか一項に記載の給紙装置において、前記給紙機構は、前記用紙カセットから前記用紙を前記第1方向に沿って取り出すピックアップローラと、前記ピックアップローラが取り出した前記用紙を給送する給紙ローラと、前記給紙ローラとの間でニップ部を形成して用紙の重送を防止する分離部材とを含み、
前記給送経路は、前記ピックアップローラから前記ニップ部を通りその下流側にかけて延びており、
前記分離部材は、前記給紙ローラに接触して前記ニップ部を形成する接触位置と、前記給紙ローラから離間した離間位置との間で切り替え可能であり、前記用紙カセットが前記筐体から引き出されるときに前記離間位置に切り替えられる給紙装置。
【請求項8】
請求項7に記載の給紙装置において、さらに、前記筐体内に配置され、前記分離部材を前記接触位置と前記離間位置との間で切り替える位置切替部材を備え、
前記位置切替部材は、回動部材と、第2付勢部材とを含み、
前記回動部材は、回動軸と、前記回動軸を挟んで一端部および他端部とを有し、前記回動軸の軸回りに回動可能であり、
前記一端部は前記第2付勢部材に連結されており、
前記他端部は、前記分離部材に当接可能であり、前記分離部材に当接したときに前記分離部材の位置を前記離間位置に切り替え、
前記付勢部材は、前記他端部が常に前記分離部材に当接するように前記一端部に対して付勢力を作用させ、
前記用紙カセットは、前記一端部を押圧することが可能な押圧片を有しており、
前記押圧片は、前記用紙カセットが前記筐体内に挿入されたとき、前記付勢部材の付勢力に抗して前記一端部を押圧することにより、前記他端部を前記分離部材から離間させる給紙装置。
【請求項9】
トナー像を用紙上に形成する画像形成部と、
前記画像形成部に前記用紙を給送する給紙装置と、
を備え、
前記給紙装置として、請求項1〜8のいずれか一項に記載の給紙装置が用いられている画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−201680(P2011−201680A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−72151(P2010−72151)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】