説明

給電システム

【課題】超電導ケーブルと常電導の給電線とを用いた給電システムであって、超電導材料の使用量を削減することができる給電システムを提供する。
【解決手段】受電電圧を変圧する変電設備1と、所定の負荷に電力を供給する常電導の給電線(トロリ線6)と、この給電線に接続されると共に、変電設備1で変圧して出力された電力を複数箇所の取出部4A〜4Cから給電線に供給する超電導ケーブル3とを備える。この給電システムにおいて、超電導ケーブル3は、変電設備1側から各取出部4A〜4Cまでの距離に応じて、変電設備1から離れるに伴って送電容量が小さくなるように構成することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電システムに関するものである。特に、変電設備から給電線への送電路に超電導ケーブルを用い、その超電導ケーブルが給電線に併設された給電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄道のトロリ線への給電では、例えば図8に示す給電システムが知られている(類似のシステムを開示する文献として特許文献1)。このシステムは、複数の変電設備1と、複数の交直変換器2と、電車線と、複数の給電部5と、配電線8とを備える。
【0003】
配電線8には、図示しない送電網より交流の電力が供給される。各変電設備1は、配電線8を介して受電した交流電力を所定の電圧に変換して出力する。交直変換器2は、変電設備1からの交流電力を直流電力に変換して出力する。電車線にはトロリ線6が広く用いられる。このトロリ線6には、交直変換器からの直流が給電部5を介して流される。一方、電車Tはレール7上にて集電装置を介してトロリ線6から電力供給を受ける。集電装置としては、パンタグラフT1が一般的である。そのパンタグラフT1に設けた摺り板がトロリ線6に摺接されることで、電車Tの駆動装置に電力が供給される。
【0004】
このようなシステムにおいては、トロリ線6の長手方向にわたって電圧降下が生じる。そのため、電圧降下が許容範囲内となるような間隔で複数の変電設備1を設け、一つの変電設備1に対して一つの給電部5からトロリ線6への給電を行っている。
【0005】
一方、超電導ケーブルの開発が進められている。この超電導ケーブルは、送電時の損失が極めて小さい送電システムとして利用されることが期待されている。
【0006】
【特許文献1】特開平8-116624号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記の従来技術では次のような問題があった。
【0008】
既に述べたように、トロリ線では電圧降下が生じるため、給電部の間隔を長くすることが難しい。通常、給電部の間隔は10km以下程度である。それに伴って変電設備と交直変換器も同様の間隔で設置する必要がある。そのため、ほぼ各駅ごとに変電設備や交直変換器を設置している場合が多い。
【0009】
その結果、変電設備や交直変換器が多数必要になる。変電設備や交直変換器の数が多くなれば、その設置スペースの確保が困難となったり、各設備の保守が煩雑になったりする。
【0010】
一方、超電導ケーブルが極めて損失の小さい送電路として利用されることが期待されているものの、具体的に給電システムのどの箇所に超電導ケーブルを用いれば、給電システムの損失低減に有効か、或はどのような構造の超電導ケーブルを用いれば、超電導材料の使用量を低減できる給電システムが構築できるのか、といったことは明確にされていない。特に、超電導ケーブルは、一般に真空断熱管内にケーブルコアが収納された構造であるため、そのケーブルの途中から分岐を採ることが比較的難しく、超電導ケーブルの途中に分岐を設けて給電を行うシステムについては検討されていないのが実情である。
【0011】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、変電設備を集約して、その数を削減することが可能な給電システムを提供することにある。
【0012】
また、本発明の別の目的は、超電導ケーブルと常電導の給電線とを用いた給電システムにおいて、超電導ケーブルの長手方向における複数箇所から常電導の給電線に給電を行うことができる給電システムを提供することにある。
【0013】
さらに、本発明の他の目的は、超電導ケーブルと常電導の給電線とを用いた給電システムにおいて、超電導材料の使用量を必要量と整合をとることができる給電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明給電システムは、受電電圧を変圧する変電設備と、所定の負荷に電力を供給する常電導の給電線と、この給電線に接続されると共に、変電設備で変圧して出力された電力を複数箇所の取出部を介して給電線に供給する超電導ケーブルとを備えることを特徴とする。
【0015】
超電導ケーブルで送電を行う際、同ケーブルの長手方向にわたって電圧降下が実質的に生じない。そのため、変電設備から超電導ケーブルを介して常電導の給電線に電力供給を行う際、超電導ケーブルの長手方向に電力の取出部を複数形成し、取出部の数に応じた複数の給電部から給電線に電力を供給することが可能である。図8に示す従来のシステムでは、一つの変電設備に対して一つの給電部から給電線に電力供給を行う必要があったため、変電設備の間隔は給電部の間隔とほぼ同等にする必要があった。これに対し本発明システムでは、一つの変電設備に対して、複数の給電部を形成することができるため、変電設備の間隔は給電部の間隔に依存することがない。そのため、変電設備の数を従来システムに比べて削減でき、給電システムを簡素化することができる。それに伴い、変電設備の設置箇所確保の問題や、変電設備のメンテナンスの煩雑性を軽減することもできる。
【0016】
また、超電導ケーブルは、その長手方向で電圧降下が問題とならず、損失も極めて小さいが、通常、真空断熱管内にコアが収納された構造を採っているため、容易に分岐することが難しく負荷接続の自由度に制約が大きい。これに対して、常電導の給電線は、その長手方向で電圧降下が問題となり、距離が長くなるほど損失も大きくなるが、分岐することが比較的容易で負荷接続の自由度が高い。一方で、配電線路における分岐は、変電設備よりも離れるほど多く必要となることが一般的である。そのため、変電設備と近接する側(供給端側)に、常電導の給電線と接続される超電導ケーブルを用い、変電設備から離れる側(遠端側)に常電導の給電線を用いることで、超電導ケーブル側で電圧降下の低減、損失の低減、変電設備の集約化が行え、給電線側で負荷の接続が容易にできる給電システムとすることができる。
【0017】
本発明システムの一形態として、前記超電導ケーブルは、変電設備側から各取出部までの距離に応じて、変電設備から離れるに伴って送電容量が小さくなるように構成することが好ましい。
【0018】
変電設備と給電線との間に超電導ケーブルを介在した給電システムとし、その超電導ケーブルの変電設備側から異なる距離に位置する複数の取出部を設けると、その超電導ケーブルは、通常、変圧設備に近い側ほど高い電流容量が求められ、遠い側ほど低い電流容量でよいことになる。そのため、超電導ケーブルの電流容量を、遠端に向かって取出部を通過するたびに、段階的に小さくすることで、全長にわたって同一の電流容量を持つ超電導ケーブルを利用する場合に比べて、ケーブル全体における超電導材料の使用量を削減することができる。
【0019】
超電導ケーブルとして、変電設備側から各取出部までの距離に応じて、変電設備から離れるに伴って送電容量が小さくなるケーブルを用いた本発明システムの一形態として、前記超電導ケーブルは、超電導導体を備え、変電設備側から各取出部までの距離に応じて、変電設備から離れるに伴って、超電導導体の臨界電流値が小さくなるように構成されていることが好ましい。
【0020】
この構成によれば、容易に超電導ケーブルの電流容量を長手方向に亘って可変とすることができる。特に、異なる臨界電流特性の超電導線材を組み合わせて用いることもでき、臨界電流特性の高い超電導線材だけで超電導導体を構成する必要が無い。
【0021】
本発明システムの一形態として、前記超電導ケーブルは、超電導導体を備え、変電設備側から各取出部までの距離に応じて、変電設備から離れるに伴って超電導導体の断面積が小さくなるように構成されていることが好ましい。
【0022】
変電設備から離れるに伴って超電導ケーブルの電流容量を小さくする具体的な構成としては、変電設備から離れるに伴って超電導導体の断面積が段階的に小さくなるように構成することが挙げられる。この構成によれば、超電導導体の断面積を段階的に変えることで、容易に超電導ケーブルの電流容量を長手方向に亘って可変とすることができる。
【0023】
本発明システムの一形態として、前記超電導ケーブルは、同軸に配された複数層からなる積層構造の超電導導体を有し、この積層構造の超電導導体を径方向に複数群に分け、内周側に位置する群ほど変電設備から遠い取出部までの送電路となるようにすることが好ましい。換言すれば、外周側に位置する群ほど変電設備から近い取出部までの送電路となるようにすることが好ましい。
【0024】
同軸状に多層に形成された導体の場合、外周側の導体層ほどその周長が長くなる。そのため、例えば、複数本の超電導線材をらせん状に巻回して導体層を形成し、この導体層を積層した構造の導体とした場合、外周側の導体層ほど超電導導体の線材本数(断面積)を多く(大きく)することができる。従って、内周側に位置する超電導導体層を変電設備から遠い取出部までの送電路とすれば、低い電流容量でよい側、つまり変電設備から離れる側の超電導ケーブルの超電導線材本数(導体断面積)を小さくすることができる。併せて、外周側に位置する超電導導体層を変電設備から近い取出部までの送電路とすれば、高い電流容量が求められる変電設備側の超電導ケーブルの超電導線材本数(導体断面積)を十分に確保することができる。
【0025】
本発明システムの一形態として、前記超電導ケーブルは、複数本の超電導線材を並列した超電導導体を有する構造とすることが好ましい。その際、これら超電導線材を本数が異なる複数群に分け、その本数が少ない群ほど変電設備から遠い取出部までの送電路となるようにすればよい。換言すれば、超電導線材の本数が多い群ほど変電設備から近い取出部までの送電路となるようにすればよい。
【0026】
この構成によっても、超電導線材の本数が少ない群を変電設備から遠い取出部までの送電路とすることで、低い電流容量でよい側、つまり変電設備から離れる側の超電導ケーブルの導体断面積を小さくすることができる。併せて、超電導線材の本数が多い群を変電設備から近い取出部までの送電路とすれば、高い電流容量が求められる変電設備側の超電導ケーブルの導体断面積を十分に確保することができる。
【0027】
本発明システムの一形態として、前記超電導ケーブルは、複数心のコアを有する構成とすることが好ましい。その際、各コアは、変電設備から近い取出部ほどコアの心数が多くなり、変電設備から遠い取出部ほどコアの心数が少なくなるように、変電設備から各取出部までの距離に応じて長さが異なるようにすればよい。
【0028】
この構成によれば、変電設備側から各取出部までの距離に応じてコアの長さを調整することで、超電導ケーブルのうち低い電流容量でよい側、つまり変電設備から離れる側の超電導ケーブルにおける超電導導体の断面積を小さくすることができる。また、高い電流容量が求められる変電設備側の超電導ケーブルにおける超電導導体の断面積を十分に確保することができる。その結果、ケーブル全長にわたって長さの等しい複数心のコアを用いる場合に比べて、超電導材料の使用量を削減することができる。
【0029】
本発明システムの一形態として、前記給電線は電車線であることが好ましい。
【0030】
変圧設備からの電力を、超電導ケーブルを介して電車線に供給すれば、損失が小さく、かつ超電導材料の使用量を必要量に整合できる電車線用給電システムを構築することができる。
【0031】
本発明システムの一形態として、前記給電線は屋内配電線であることが好ましい。
【0032】
変圧設備からの電力を、超電導ケーブルを介して屋内配電線に供給すれば、損失が小さく、かつ超電導材料の使用量を必要量に整合できる配電用給電システムを構築することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明給電システムによれば、損失が小さく、かつ超電導材料の使用量を必要量に整合できる給電システムを構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の構成をより詳しく説明する。
【0035】
<変電設備>
変電設備は、送電網からの受電電圧を所定の電圧に変圧する。一般に、この変電設備には、変圧器の他、遮断器などの保護装置も含まれる。この変電設備は、電車線への給電システムの場合、通常、給電線の長手方向に沿って適宜な間隔をあけて複数配置される。本発明による電車線への給電システムの場合、変電設備の設置間隔は、図8における各給電部の間隔(給電区間)よりも広い間隔とすることができる。特に、複数分の給電区間に相当する間隔で変電設備を設置すれば、変電設備の削減効果が大きい。また、屋内配電線への給電システムの場合、変電設備はビル内における変電室などに配置される。その場合、ビルの規模などに応じて、変電設備の数は一つでも複数でもよい。
【0036】
<給電線>
給電線は、所定の負荷に電力を供給する常電導材料からなる線路である。具体的には、電気的推進車両に電力を供給する電車線、建築物内で各種電気機器に電力を供給する屋内配電線などが給電線の具体例として挙げられる。電気的推進車両には、電車、新交通システム、モノレール、トロリバスなどが含まれる。電車線の具体例には、トロリ線や剛体電車線が挙げられる。
【0037】
屋内配電線への給電システムの場合、超電導ケーブルにつながる屋内配電線は複数本であってもよい。電車線の場合、通常、ある長さの1本の電車線に対して、超電導ケーブルから複数の給電部を介して電力供給を行うが、屋内配電線の場合、複数の給電部から複数の屋内配電線に電力供給を行ってもよい。
【0038】
<超電導ケーブル>
超電導ケーブルは、超電導体を導体に用いたケーブルで、変電設備と給電線との間に配置される。また、この超電導ケーブルは、上記給電線に接続される。このケーブルは、代表的には、中心から順に、フォーマ、内側超電導導体、絶縁層、保護層を有するコアと、コアを収納する断熱管とを備える。一つの断熱管に収納されるコアの数は、単心の場合と多心の場合がある。この内側超電導導体に用いられる超電導体には、液体窒素温度で超電導となる高温超電導体が好適に利用できる。その他、絶縁層と保護層との間に外側導体(シールド層)を設けてもよい。この外側導体も内側超電導導体と同様に液体窒素温度で超電導となる高温超電導体が好適に利用できる。
【0039】
コアの内側超電導導体は、一般に、複数本の超電導線材をフォーマ上にらせん状に巻回して超電導層を形成し、この層を同軸状に多層に積層して構成されている。ここで、変電設備側から各取出部までの距離に応じて、変電設備から離れるに伴って、超電導導体の臨界電流値が小さくなるように超電導導体を構成することが好ましい。この超電導導体の臨界電流値をケーブルの長手方向に沿って段階的に小さくする構成には、次の構成が含まれる。
(1)超電導線材の断面積を変えずに、超電導ケーブルの遠端側にむかって段階的に臨界電流値の異なる線材を用いる構成。
(2)超電導線材の断面積を超電導ケーブルの遠端側にむかって段階的に減少させる構成。
(3)超電導線材は全て同じ臨界電流値の線材であるが、超電導ケーブルの遠端側にむかって段階的に超電導線材の使用本数を低減する構成。
【0040】
例えば、超電導ケーブルの変電設備側端部から最初の取出部までは臨界電流値Ic(1)の超電導線材を、最初の取出部から第二の取出部までは臨界電流値Ic(2)の超電導線材を、第二の取出部から第三の取出部までは臨界電流値Ic(3)の超電導線材を用い、以下同様とする。その際、Ic(1)>Ic(2)>Ic(3)…となるようにする。これにより、超電導ケーブルが各取出部を通過するたびに、変電設備側端部から近い側ほど電流容量が大きく、遠い箇所ほど電流容量の小さな給電システムを構成することができる。
【0041】
その他、同様の多層の超電導導体層において、超電導層を径方向に複数群に分割したり、超電導層を構成する超電導線材をほぼ周方向に複数群に分割すれば、各群単位で変電設備側から距離の異なる位置にある各取出部までの送電路を構成することができる。その場合、各群を構成する超電導層の層数または超電導線材の本数は、単一でも複数でも構わない。
【0042】
また、長さの異なる複数心のコアを有する超電導ケーブルを用いて給電システムを構成する場合、通常、コア単位で変電設備側から給電線側への送電路を形成することになる。この場合、各コアを構成する導体の断面積は共通であってもよいし、異なってもよい。各コアを構成する導体の断面積が異なる場合、変電設備側から各取出部までの送電路として、各取出部より下流につながる負荷に応じた適切な電流容量を確保することができる。
【0043】
複数心のコアを単一の断熱管に収納した超電導ケーブルの場合、単心コアの超電導ケーブルを複数条用いて各取出部までの送電路を構成する場合に比べて、断熱構造を簡略化することができる。
【0044】
電車線への給電システムでは、外側導体がない超電導ケーブルを用いた場合、大地を帰線電流の流路とすることができ、外側超電導導体を有する超電導ケーブルの場合、内側超電導導体を電力供給の往路とし、外側超電導導体をその復路とすることができる。外側超電導導体を帰線電流の流路とする場合、レール(大地)を介して帰線電流の復路とする場合に比べて、帰線電流路での電圧降下やジュール損を低減することができる。超電導ケーブルの種類は、き電区間の種別に合わせてAC用、DC用のいずかを選択すれば良い。交流き電の場合、変電設備の出力を超電導ケーブルに導入し、その超電導ケーブルから給電線に電力を供給する。直流き電の場合、変電設備の出力を交直変換器で直流に変換し、その直流を超電導ケーブルを介して給電線に供給する。通常、超電導ケーブルは電車線に沿って布設される。
【0045】
屋内配電線への給電システムでは、ビル内などに設置された変電設備から各階の配電線までの送電路として超電導ケーブルを用いる。通常、屋内配電線には交流を供給するので、変電設備と超電導ケーブルとの間に交直変換器を用いる必要はない。ただし、将来的には屋内配電線に直流を供給することも考えられ、その場合は、変電設備と超電導ケーブルとの間に交直変換器を用いればよい。
【0046】
<取出部>
取出部は、極低温にある超電導ケーブルの導体から常温の常電導導体に電力を取り出すための構造体である。通常、超電導ケーブルの端部に設けられる端末構造または同ケーブルの中間分岐部に設けられる分岐構造が取出部になる。この取出部には、公知の接続構造や端末構造が好適に利用できる。例えば、超電導ケーブルの分岐は、特開2006-221877号公報(特願2005-32290号)に記載の構成を利用することが考えられる。より具体的には、変電設備側からの電力が供給される一心の第一超電導導体と、複数心(例えば2心)の第二超電導導体と、導体接続部と、接続箱とを備える分岐構造が挙げられる。この導体接続部は、第一超電導導体と各第二超電導導体とを一体に接続する。また、この接続箱は、この導体接続部及び導体接続部につながる各超電導導体の端部を収納する。その際、第二超電導導体の一心を変電設備より離れた遠端側に電力供給を行う幹線側とし、他心を分岐側とする。この分岐側の第二超電導導体は、短くてもかまわない。そして、その分岐側の第二超電導導体に端末構造を形成すればよい。この端末構造は、一端が極低温にある超電導ケーブルの導体側に接続され、他端が常温側に引き出される引き出し導体部と、この引き出し導体部の一端側(超電導ケーブルとの接続側)を収納する低温槽と、低温槽の外周を覆う真空容器と、真空容器の常温側に突設されて引き出し導体の常温側を覆う常温被覆部とを備える構成が挙げられる。常温被覆部の代表例には、碍管が挙げられる。そして、引き出し導体部から取り出された電力を常電導の給電線に供給すればよい。このような取出部は、通常、次述する給電部に近接した位置に設置される。
【0047】
<給電部>
給電部は、超電導ケーブルから電力を給電線に供給するための接続構造である。通常、超電導ケーブルの端部あるいは中間分岐部から前述の取出部を介して常電導の介在線に電力を引き出す。例えば、電車線への給電システムでは、この介在線とトロリ線との接続箇所が給電部となる。屋内配電線への給電システムでは、介在線に屋内配電線を接続する場合には、その接続箇所が給電部となり、取出部自体に屋内配電線を接続する場合は、取出部が給電部を兼ねることになる。
【0048】
給電部の数が多くなれば、超電導ケーブルから電力を引き出す取出部の数も増え、個々の取出部に要求される電流容量を小さくできる。そのため、取出部の損失も低減できると共に、同構造を小型化できる。一方、あまり取出部の数が増えると、取出部での熱侵入や冷却に要するエネルギーが増え、損失が増加する傾向となる。
【実施例1】
【0049】
図1に基づいて本発明給電システムを説明する。この給電システムは、直流き電方式の電車線への給電システムである。
【0050】
同システムは、変電設備1、交直変換器2、超電導ケーブル3、取出部4、給電部5およびトロリ線6(電線路)を備える。なお、図1では、トロリ線6の長さに対して変電設備1、交直変換器2、電車Tなどのサイズを誇張して示している。
【0051】
変電設備1は、図示を略した送電網から配電線8を介して供給される交流を所定の電圧に変圧して出力する(図1参照)。この変電設備1は、変圧器の他、高速遮断機も設けられている。
【0052】
交直変換器2は、変電設備1で所定の電圧に変圧して出力された電力を交流から直流に変換して出力する。
【0053】
超電導ケーブル3は、交直変換器2からの直流を送電する。この超電導ケーブル3は、ほぼレール7に沿って布設されているが、レール7の全長に沿って布設されているのではなく、レール7の一部の区間に沿って布設されている。
【0054】
この超電導ケーブル3は、図2に示すように、断熱管20内にコア10が収納された構造である。断熱管20は、内管21と外管22とからなる二重管構造で、両管21、22の間には真空断熱層が形成されている。また、外管22の上に防食層23が形成されている。一方、コア10は、中心から順にフォーマ11、内側超電導導体12、絶縁層13、外側超電導導体14、保護層15を備える。例えば、フォーマ11は銅撚り線で構成される。内側超電導導体11と外側超電導導体14は、例えばBi2223系超電導線材を螺旋状に多層に巻回して形成されている。絶縁層13には、クラフト紙とポリプロピレンフィルムがラミネートされたPPLP(住友電気工業株式会社の登録商標)が好適に利用できる。保護層15には、布テープなどが利用できる。本例では、断熱管20内に3心のコアが撚り合わされて収納された3心一括超電導ケーブルを用いている。そして、断熱管の内管21とコア10との間に形成される空間が冷媒の流路となっている。冷媒には液体窒素を用いる。
【0055】
このような超電導ケーブル3の所定箇所から取出部4(4A、4B、4C)を介して、超電導ケーブル3の直流を常温域に引き出す。取出部4には、端末構造または分岐構造が利用される。例えば、特開2005-237062号公報に示されるように、一端が極低温にある超電導ケーブルの導体側に接続され、他端が常温側に引き出される引き出し導体部と、この引き出し導体部の一端側(超電導ケーブルとの接続側)を収納する低温槽と、低温槽の外周を覆う真空容器と、真空容器の常温側に突設されて引き出し導体の常温側を覆う碍管とを備える取出部が利用できる。ここでは、一連長の超電導ケーブル3の中間部に2つ、先端部に一つの合計3つの取出部4A、4B、4Cがある。
【0056】
取出部4から引き出された直流は常電導の介在線9を介してトロリ線6に供給される。この介在線9とトロリ線6との接続箇所が給電部5となる。本例では、取出部4の数に対応して、合計3つの給電部5A、5B、5Cがある。
【0057】
トロリ線6は、レール7に沿って布設されている。ここでは、イヤーを介して架設される断面がほぼ円形の溝付きトロリ線を用いている。このトロリ線6には、給電部5を介して超電導ケーブル3からの直流が流される。
【0058】
一方、電車Tは、パンタグラフT1や主電動機(図示せず)を備える。主電動機の駆動は、パンタグラフT1のすり板をトロリ線6に摺接させることで集電し、集電された電力を主電動機に供給することで行なわれる。そして、主電動機の駆動により、電車Tはレール7上を走行する。レール7および大地は、電車Tの走行により消費された後の電流(帰線電流)の帰路としても利用される。
【0059】
以上のシステムにおいて、超電導ケーブル3の基端側(交直変換器側)から各取出部4A、4B、4Cまでの送電路として次の3つの構造の超電導ケーブルを用いることができる。
【0060】
<同軸ケーブル型>
まず、同軸ケーブル型の導体構造を図3に示す。この導体構造では、多層に積層されている内側超電導導体12を径方向に複数群に分割する。ここでは、フォーマ上に形成された超電導層を内側導体部12i、中間導体部12m、外側導体部12oの3つに区分している。各導体部12i、12m、12oを構成する超電導線材の層数は、単数でも複数でも構わない。本例の場合、各導体部12i、12m、12oを構成する超電導線材の仕様と層数を全て同じとしている。
【0061】
同じ断面積の複数本の超電導線材から各導体部12i、12m、12oを構成している場合、導体の外周側ほど周長が長くなる。そのため、外周側の導体部ほど超電導線材の数が多くなり、外周側の導体部の断面積がより内側の導体部の断面積よりも大きくなる。
【0062】
そこで、内側導体部12iを超電導ケーブル3の基端側から最も遠い取出部4Cまでの送電路として用い、中間導体部12mを超電導ケーブルの中間に位置する取出部4Bまでの送電路として用い、外側導体部12oを超電導ケーブルの基端側に最も近い取出部4Aまでの送電路として用いる。このとき、基端側から取出部4Aまでの区間L1は全給電部5A〜5Cに供給される電流分の電流容量が要求され、取出部4Aから取出部4Bまでの区間L2は給電部5B及び給電部5Cに供給される電流分の電流容量が要求され、取出部4Bから取出部4Cまでの区間L3では給電部5Cに供給される電流分の電流容量が要求される。そのため、基端側から近い取出部までの送電路ほど導体断面積を大きくすれば、大きな電流容量が必要とされる区間に十分な導体断面積を持った超電導ケーブルとすることができる。もし、全長に亘って同じ導体断面積の超電導ケーブルを用いれば、最も電流容量の大きな区間に対応した導体断面積で全長に亘って導体を構成せざるを得ない。しかし、上記の同軸ケーブル型の導体構造とすれば、電流容量が異なる区間毎に、各々の電流容量に応じた導体断面積の導体を形成でき、ケーブルを全長に亘って同一導体断面積の超電導導体とした場合に比べて、超電導線材の使用量を節約することができる。
【0063】
<線材分割型>
次に、超電導ケーブルの基端側から各取出部までの距離に応じて、1層の超電導導体層の中で周方向に配列される超電導線材の本数が低減する線材分割形の導体構造を図4に基づいて説明する。
【0064】
この導体は複数本の超電導線材120がフォーマ上にらせん状に巻回されて構成されている。ただし、ここでの超電導線材120の径方向への層数は1層であり、積層構造とはしていない。また、各超電導線材の仕様は同一である。
【0065】
このような導体において、導体長手方向のうち、取出部4Aまでの長さに対応した区間L1(図1および図4参照)までは、フォーマの全周を覆う本数の超電導線材120を巻回する。また、取出部4Aから取出部4Bまでの長さに対応した区間L2は、区間L1の超電導線材の2/3の本数の超電導線材120を巻回する。さらに、取出部4Bから取出部4Cまでの長さに対応した区間L3は、区間L1の1/3の本数の超電導線材120を巻回する。つまり、導体先端側に向かって、段階的に超電導線材120の本数が少なくなった導体構造となっている。
【0066】
区間L2や区間L3では、フォーマの外周に超電導線材120で覆われない領域が生じるが、この領域には銅線など、超電導線材120よりも安価な常電導線材をダミー線16(図4)として配置することが好ましい。ダミー線16を設けることで、フォーマが線材で覆われない箇所をなくし、全長に亘ってほぼ均一な外径を有する導体を構成することができる。
【0067】
そして、超電導ケーブルの基端側から取出部4Aまでは図4の区間L1の超電導線材120で送電路を形成し、取出部4Aから取出部4Bまでは図4の区間L2の超電導線材120で送電路を形成し、取出部4Bから取出部4Cまでは図4の区間L3の超電導線材120で送電路を形成すれば良い。この構成によっても、同軸ケーブル型の導体と同様に、電流容量が異なる区間毎に、各々の電流容量に応じた導体断面積の導体を形成でき、超電導線材の使用量を実際の必要量に整合することができる。
【0068】
<コア別線路型>
次に、コア毎に長さを変えることで、基端側から各取出部までの送電路を構成するコア別線路型の導体構造を図5に基づいて説明する。
【0069】
本例で用いる超電導ケーブルは、第一コア10Aから第三コア10Cの計3本のコアを有する。全てのコア10A、10B、10Cは、共通する断熱管に収納されている。この各コア10A、10B、10Cは、上述したように、内側超電導導体を備えている。そして、第一コア10Aは、超電導ケーブルの基端から取出部4Aまでの距離に相当し、第二コア10Bは、超電導ケーブルの基端から取出部4Bまでの距離に相当し、第三コア10Cは、超電導ケーブルの基端から取出部4Cまでの距離に相当する長さを有している。第一コア10Aから第三コア10Cは、各々長さが異なる点を除いて、同じ構成である。
【0070】
このような超電導ケーブルを用いて交直変換器から各取出部4A、4B、4Cまでの送電路を形成する。つまり、コア10A〜10Cで取出部4Aまでの送電路を構成し、コア10B,10Cで取出部4Bまでの送電路を構成し、第三コア10Cで取出部4Cまでの送電路を構成する。これにより、超電導ケーブル全体としてみれば、取出部4Aまでの区間は3心のコアがあり、取出部4Aから取出部4Bまでの区間は2心のコアがあり、取出部4Bから取出部4Cまでの区間には1心のコアがあることになって、基端側ほど導体の断面積が大きい状態が形成されていることになる。
【0071】
本例の場合も、ケーブル全長に亘って3心のコアを有する超電導ケーブルを用いる場合に比べれば、超電導線材の使用量を大幅に削減することができる。
【0072】
なお、図5では説明の便宜上、3本のコア10A、10B、10Cを並列して示しているが、実際にはコア10A、10B、10Cは撚り合わされている。その他、各コア10A、10B、10Cにおける導体断面積を変えてもよい。
【0073】
(作用効果)
以上に説明した本発明給電システムによれば、超電導ケーブルでの送電については実質的に電圧降下が問題とならない。そのため、この超電導ケーブル沿いに複数箇所の給電部を接続することができる。その結果、変電設備および交直変換器の設置場所を削減することができる。それに伴い、変電設備(交直変換器)の設置箇所確保の問題や、変電設備(交直変換器)のメンテナンスの煩雑性を軽減することができる。
【0074】
さらに、電流容量が異なる区間毎に、各々の電流容量に応じた導体断面積の導体を形成でき、超電導線材の使用量を節約することができる。
【実施例2】
【0075】
次に、実施例1と同様の電車の給電システムにおいて、各取出部までの区間で臨界電流値の異なる超電導導体を用いた本発明システムを説明する。本例のシステムは、超電導ケーブルの超電導導体の構成が実施例1と異なるだけであり、他の構成は実施例1と同様であるため、以下の説明は相違点を中心に行う。その際、システムについては図1を参照し、超電導導体の構成については図6を参照する。
【0076】
ここで用いる超電導導体も、フォーマの上に複数本の超電導線材121〜123を多層に巻回した構成である。ただし、図6に示すように、図1の取出部4Aまでの長さに対応した区間L1、取出部4Aから取出部4Bまでの長さに対応した区間L2、取出部4Bから取出部4Cまでの長さに対応した区間L3の各々で超電導線材121〜123の臨界電流特性が異なっている。すなわち、区間L1の線材121の臨界電流値をIc(1)、区間L2の線材122の臨界電流値をIc(2)、区間L3の線材123の臨界電流値をIc(3)とした場合、Ic(1)>Ic(2)>Ic(3)となっている。
【0077】
このような超電導導体を構成するには、例えば、予め断面積が共通で、臨界電流値がIc(1)、Ic(2)、Ic(3)の3種類の超電導線材121〜123を用意しておき、これら超電導線材121〜123を区間が変わるたびに順次臨界電流値が異なる線材につなぎかえることが挙げられる。各超電導線材121〜123の接続は、例えば突き合わせた両超電導線材を半田で接続すればよい。このような線材を、各区間L1〜L3で同一本数ずつ用いて超電導導体を構成すれば、ケーブルの遠端側ほど臨界電流値が減少する超電導導体を構成することができる。その他、イットリウム系の薄膜超電導テープ線材では、線材の製造過程で薄膜超電導体の特性をテープの長手方向で変えることができるため、長手方向に異なる臨界電流値を有する線材を得ることができる。
【実施例3】
【0078】
図7に基づいて、本発明給電システムを説明する。この給電システムは、ビル内における屋内配線への給電システムである。
【0079】
この給電システムは、変電設備1、超電導ケーブル3、取出部兼給電部4A〜4C、屋内配電線6A〜6Cを備える。各構成要素のうち、実施例1と共通する構成要素については説明を省略し、主に相違点について以下に説明する。
【0080】
変電設備1は、ビルの地階に設けられた変電室に一つ設置されている。この変電設備1には、屋外配電線8を介して商用周波数の電力が供給され、その電力を所定の電圧に変圧して、各階の屋内配電線6A〜6Cに供給する。本例の場合、交流の給電システムであるため、変電設備1と超電導ケーブル3との間に交直変換器は必要ない。
【0081】
変電設備1から各階の屋内配電線6A〜6Cまでの送電路には、超電導ケーブル3を用いる。この超電導ケーブル3は、実施例1で説明した超電導ケーブル3と同一の構成である。また、超電導ケーブル3の複数箇所には、同ケーブル3から常温域に電力を引き出す取出部4が形成されている。ただし、本例では、取出部4A〜4Cの各々に直接屋内配電線6A〜6Cを接続しているため、取出部4A〜4Cが給電部も兼ねることになる。この屋内配電線6A〜6Cは各階に布設され、この配電線6A〜6Cからコンセント30などを介して各種電気機器(図示略)に電力が供給される。
【0082】
ここで、超電導ケーブル3のうち、変電設備から1階の取出部4A(給電部)までの区間は、1階から3階までの屋内配電線6A〜6Cに供給する電流分に相当する電流容量が求められる。また、1階の取出部4Aから2階の取出部4Bまでの区間は、2階と3階の屋内配電線6B、6Cに供給する電流分に相当する電流容量が求められる。さらに、2階の取出部4Bから3階の取出部4Cまでの区間は、3階の屋内配電線6Cに供給する電流分に相当する電流容量が求められる。
【0083】
そこで、実施例1と同様に、超電導ケーブル3として、同軸ケーブル型、線材分割型、コア別線路型のいずれかの構成のケーブルを用いれば、電流容量が異なる区間毎に、各々の電流容量に応じた導体断面積の導体を形成でき、超電導線材の使用量を必要量に整合させることで適正化することができる。
【0084】
また、超電導ケーブルは、極めて低損失であるが、断熱管にコアを収納した構造であるため、分岐することが必ずしも容易ではない。一方、屋内配電線は常電導であるため、長手方向に電圧降下が生じるが、分岐することは比較的容易である。そのため、変電設備側に超電導ケーブル3を用い、負荷側に常電導の屋内配電線6A〜6Cを用いた給電システムとすることで、超電導側で電圧降下の低減、損失の低減、変電設備の集約化が行え、配電線側で負荷の接続が容易にできる給電システムとすることができる。
【実施例4】
【0085】
以上の実施例1〜3では、全て変電設備から離れるに従って電流容量が小さくなる超電導ケーブルを用いた場合を例として説明したが、この超電導ケーブルを全長に亘って同一電流容量となる超電導導体を持つケーブルに置換してもよい。例えば、超電導導体に用いる超電導線材を、導体全長に亘って実質的に均質な特性で、かつ同一本数とすることが挙げられる。この場合、実施例1〜3のように、超電導ケーブルに用いる超電導線材の実際の使用量を必要量に近づけることができないが、変電設備から離れた箇所(遠端側)でも変電設備に近接した箇所と同一の電流容量が確保されている。そのため、給電システムの構築当初は、遠端側で電流容量が小さくてもよかったが、その後に遠端側で電流容量を増大する必要が生じても、容易に対応することができる。
【0086】
なお、以上に説明した各実施例は例示に過ぎず、本発明の範囲がこれら実施例に限定されるわけではない。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明システムは、電車などの電気的推進車両の給電システムや、建築物における給電システムとして好適に利用することが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】実施例1に係る本発明給電システムの模式構成図である。
【図2】本発明システムに用いる超電導ケーブルの断面図である。
【図3】実施例1のシステムに用いる同軸型超電導導体の概略構成図である。
【図4】実施例1のシステムに用いる線材分割型超電導導体の概略構成図である。
【図5】実施例1のシステムに用いる超電導ケーブルのコアを示す概略構成図である。
【図6】実施例2のシステムに用いる超電導ケーブルの導体構造を示す概略構成図である。
【図7】実施例3に係る本発明給電システムの模式構成図である。
【図8】従来の給電システムの模式構成図である。
【符号の説明】
【0089】
1 変電設備 2 交直変換器 3 超電導ケーブル
4(4A〜4C) 取出部 5(5A〜5C) 給電部 6 トロリ線
6A〜6C 屋内配電線 7 レール 8 配電線 9 介在線
10 コア 10A 第一コア 10B 第二コア 10C 第三コア
11 フォーマ 12 内側超電導導体
120,121,122,123 超電導線材
12i 内側導体部 12m 中間導体部 12o 外側導体部
13 絶縁層 14 外側超電導導体 15 保護層 16 ダミー線
20 断熱管 21 内管 22 外管 23 防食層 30 コンセント
T 電車 T1 パンタグラフ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受電電圧を変圧する変電設備と、
所定の負荷に電力を供給する常電導の給電線と、
この給電線に接続されると共に、変電設備で変圧して出力された電力を複数箇所の取出部を介して給電線に供給する超電導ケーブルとを備えることを特徴とする給電システム。
【請求項2】
前記超電導ケーブルは、変電設備側から各取出部までの距離に応じて、変電設備から離れるに伴って送電容量が小さくなるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の給電システム。
【請求項3】
前記超電導ケーブルは、超電導導体を備え、変電設備側から各取出部までの距離に応じて、変電設備から離れるに伴って、超電導導体の臨界電流値が小さくなるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の給電システム。
【請求項4】
前記超電導ケーブルは、超電導導体を備え、変電設備側から各取出部までの距離に応じて、変電設備から離れるに伴って超電導導体の断面積が小さくなるように構成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の給電システム。
【請求項5】
前記超電導ケーブルは、同軸に配された複数層からなる積層構造の超電導導体を有し、
この積層構造の導体を径方向に複数群に分け、
内周側に位置する群ほど変電設備から遠い取出部までの送電路となるようにしたことを特徴とする請求項4に記載の給電システム。
【請求項6】
前記超電導ケーブルは、複数本の超電導線材を並列した超電導導体を有し、
これら超電導線材を本数が異なる複数群に分け、
その本数が少ない群ほど変電設備から遠い取出部までの送電路となるようにしたことを特徴とする請求項4に記載の給電システム。
【請求項7】
前記超電導ケーブルは、複数心のコアを有し、
各コアは、変電設備から近い取出部ほどコアの心数が多くなり、変電設備から遠い取出部ほどコアの心数が少なくなるように、変電設備から各取出部までの距離に応じて長さが異なるようにしたことを特徴とする請求項4に記載の給電システム。
【請求項8】
前記給電線が電車線であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の給電システム。
【請求項9】
前記給電線が屋内配電線であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の給電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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