説明

給餌装置

【課題】筒状体内の餌を少しずつ切り出して家畜(特に母豚)に与えることができる給餌装置を提供する。
【解決手段】家畜に給餌する餌の供給口36が上面部33に設けられ、下面部34に餌の排出口が設けられている筒状体32と、筒状体32の内部に筒状体32の内壁面に外縁が摺接して上下動可能に配置され、供給口36から供給される餌を受ける受け部24と、受け部24を筒状体32内で上下動させる上下動手段53と、受け部24の下面に下向きに開口して形成された開口部を開閉可能な蓋25とを備える給餌装置30において、蓋25は、受け部24の開口部からの餌の落下方向に向けて開口部面積を徐々に小さくする方向に閉じるように動作可能に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は家畜、特に母豚に給餌する給餌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図12に示すような、家畜(特に豚)へ餌を与える給餌装置10が従来より知られている。
この給餌装置10では、筒状体11の上面に餌を供給する供給口と、筒状体11の内部には餌を所定量貯留するために上下動する受け部12とが設けられている。供給口から供給された餌は受け部12の上面に蓄積される。受け部12を上下動させることによって、餌の量を調節し計量することができ、家畜へ適正な量の餌を与えることができる。
【0003】
受け部12の底面は、下方に向けて開口するように開閉する蓋13が設けられている。この蓋13は、給餌装置10の上部に設けられたレバー14を操作することにより蓋13の下面に当接している保持部15を蓋13の下面から移動させ、餌の重量と蓋13自身の重量によって下方に向けて開くようになっている。
【0004】
つまり、家畜に餌を与えるときは、レバー14を操作して餌の重量と蓋13自身の重量で蓋13を開かせ、受け部12の上面に蓄積された餌を下方に落下させ、筒状体11の下端部に形成された排出口16から餌を排出させて、家畜に餌を与えることができる。
餌が完全に落下した後、レバー14を操作することによって保持部15を蓋13の下面に移動させて保持部15によって蓋13を上方へ押し上げて移動させ、蓋13を閉じるようにしている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−245575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
なお、母豚は10頭程度の子豚を出産し、3週間〜4週間程度は全ての子豚に授乳を行う。この授乳期には、母豚の体重は大きく減少する。この間の母豚の栄養摂取量が少ないと、子豚に与える乳量が減少してしまうだけでなく、母豚の体力の消耗も激しくなり、次の繁殖にも悪影響を与えてしまう。
このため、母豚に対して餌を供給する場合には、餌の量を適正な量に管理することが必要となってくるが、現在のところ母豚に与える餌の量についてはどの程度が適正な量であるのかは科学的なデータは存在していない。そこで、母豚に与える餌は、母豚の採食量とボディーコンディション(体型)に合わせて適宜与えるようにするしかない。
【0007】
ところが特許文献1に示されている給餌装置は、決まった時間に決まった量の餌を与えることはできるが、母豚の様子を見ながら少しずつ餌を与えるということができない構造である。
すなわち、餌が蓄積されている受け部12の蓋13が下方に向けて開く構成となっているので、適当な量の餌を落下させた後、まだ受け部12の上方に餌が残っている状態で蓋13を閉じようとしても、落下する餌の重量で蓋13を閉じることが困難であり、また無理に蓋13を閉じようとしても蓋13と受け部12との間に餌が挟まってしまい蓋13を完全に閉じることができなくなってしまう。このため、筒状体11内の餌を全て与えることしかできず、母豚の様子を見ながら不足していると思われる量だけをその都度供給しようとすることが困難であるという課題がある。
【0008】
そこで本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、筒状体内の餌を少しずつ切り出して家畜(特に母豚)に与えることができる給餌装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる給餌装置によれば、家畜に給餌する餌の供給口が上面部に設けられ、下面部に餌の排出口が設けられている筒状体と、該筒状体の内部に筒状体の内壁面に外縁が摺接して上下動可能に配置され、前記供給口から供給される餌を受ける受け部と、該受け部を筒状体内で上下動させる上下動手段と、前記受け部の下面に下向きに開口して形成された開口部を開閉可能な蓋とを備える給餌装置において、前記蓋は、前記受け部の開口部からの餌の落下方向に向けて開口部面積を徐々に小さくする方向に閉じるように動作するように設けられていることを特徴としている。
この構成を採用することによって、蓋を開けて適量の餌が落下したと思われる時点で蓋を閉じようとしても、蓋の閉じようとする方向に対して蓋自身の重量や餌の重量がかかっていないので、蓋を容易に閉じることができ、餌を適量ずつ切り出して供給することができる。
【0010】
また、作業者が操作することによって該蓋を開口部に対して開閉させる第1の開閉手段が設けられ、作業者が操作することによって該蓋を開口部に対して開閉させる第2の開閉手段が設けられ、前記第1の開閉手段は、他の給餌装置の第1の開閉手段と連結可能に設けられ、前記第2の開閉手段によって蓋を開閉させた場合には、前記第1の開閉手段へ開閉動作が伝達されないように開閉動作を遮断する開閉動作遮断手段が設けられていることを特徴としている。
この構成によれば、第1の開閉手段は複数の給餌装置を連結して用いた場合の一斉給餌に用いることができる。つまり、複数の給餌装置の各第1の開閉手段を連結しておき、いずれかの第1の開閉手段を動作させれば、決まった時間に一斉に給餌できる。また、第2の開閉手段を動作させることによって、第1の開閉手段には影響を与えずに蓋を開けて給餌することができる。このため、他の給餌装置に対して影響を与えずに適量ずつ餌を切り出すことができる。
【0011】
さらに、前記第1の開閉手段は、筒状体の上部に設けられ、前記第2の開閉手段は、筒状体の下部に設けられていることを特徴としてもよい。
この構成によれば、様子を見ながら適量ずつ餌を切り出そうとする場合であっても、第2の開閉手段は作業者の手が届きやすい筒状体の下部に設けられているので、第2の開閉手段を容易に操作でき、適量ずつの餌の切り出しが容易なものとなる。
【0012】
また、前記蓋は、前記受け部の開口部を閉塞する方向に付勢されていることを特徴としてもよい。
この構成によれば、作業者が開閉手段を操作して餌を適量切り出した後、蓋を閉じる動作を迅速に行うことができ、余計な分量の餌が排出されてしまうことを防止することができる。
【0013】
さらに、前記蓋の、閉じる際に移動方向の先端部となる部位は、尖鋭に形成されていることを特徴としてもよい。
この構成によれば、受け部から落下している餌に対し、蓋が閉塞動作をする際にこの餌に対して蓋が切り込んでいくことができ、餌の適正量の切り出しが容易に行える。
【0014】
さらに、筒状体の上面部から前記受け部に対向するように下方に向けて突出する餌の制御板が設けられていることを特徴としてもよい。
この構成によれば、餌が貯留されるときの山の位置の偏りをなくすことができ、餌の計量精度を上げることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかる給餌装置によれば、餌を少しずつ切りだして家畜に与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る給餌装置の全体構成を示す正面図である。
【図2】図1において筒状体を開けたところを示す説明図である。
【図3】受け部を一方の側面側の斜め上方から見たところを示す説明図である。
【図4】受け部を一方の側面側から見たところを示す側面図である
【図5】受け部を他方の側面側から見たところを示す側面図である。
【図6】受け部を他方の側面側の斜め上方から見たところを示す説明図である。
【図7】一斉供給側の押動部材の構造を示す説明図である。
【図8】切り出し側の押動部材の構造を示す説明図である。
【図9】筒状体の下部の構造を示す説明図である。
【図10】制御板の構成について説明する説明図である。
【図11】制御板の作用の説明図である。
【図12】従来の給餌装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
まず、本発明にかかる給餌装置の配置構成について説明する。まず、給餌装置の一実施形態を図1および図2に示し、図1および図2に基づいて給餌装置の全体構成について説明する。図1は、筒状体を閉じているときの全体構成を、図2は、筒状体を開けたときの全体構成を示している。
給餌装置30は、主として授乳期の母豚用に開発されたものであり、母豚と子豚が生活している畜舎に設置する。
給餌装置30は、畜舎に張り巡らされている餌供給配管31に固定されている。餌供給配管31は、畜舎の天井側に配置されており、内部は餌を供給するためパイプ状となっている。餌供給配管31には、複数の給餌装置30が固定され、各給餌装置30に餌供給配管31から餌が供給される。
【0018】
給餌装置30には、アクリル等の透明材料から成り、断面が円形の筒状体32が設けられている。この筒状体32の上部には、餌を供給する餌供給配管31と接続する配管接続部35と、配管接続部35の下方に位置する供給口36とを具備する上蓋部33が設けられている。
筒状体32の下部には、筒状体32内から餌を排出するため漏斗状に形成された漏斗状部34が設けられている。
【0019】
また、筒状体32は、中心軸に沿って二分割された半筒部から構成され、この半筒部の一方が固定されている固定部である固定側半筒体32aである。また、他方の半筒体は、固定側半筒体に対して開閉可能に設けられ開放部である開放側半筒体32bである。
固定側半筒体32aと開放側半筒体32bとは、各端部に設けた複数個の係止部37,38によって係止されて筒状体32を形成する。
この開放側半筒体32bには、長形状の目盛59が設けられている。
【0020】
筒状体32には、筒状体32の内壁面に外周縁が摺接して上下動可能に設けられ、底面に開閉可能に設けられた蓋25を具備する凹状の受け部24が設けられている。受け部24の上部空間が餌を貯留しておく貯留部26として構成される。受け部24は平面視すると円形に形成され、且つ下方に向けて徐々に小径となる漏斗状に形成されている。受け部24の下端部には、開口部が形成されており、開口部から貯留部26に貯留された餌を落下させる。
また、受け部24によって仕切られた貯留部26の容量は、受け部24を上下動させることにより、受け部24の位置によって調整できる。
【0021】
ここで、図3〜図6に基づいて受け部24の構成について説明する。
上述したように、受け部24の下面には、貯留部26内の餌を下方へ落下させるための蓋25が設けられている。蓋25は、貯留時は、受け部24の下面に形成された開口部を開閉すべく、開口部からの餌の落下方向に向けて開口部面積を徐々に小さくする方向に閉じるように移動するような構成となっている。
【0022】
蓋25は、受け部24の下部を覆うように形成されており、開口部を閉塞する部分である閉塞部27と、閉塞部27の開閉動作を支持するために閉塞部27から斜め上に延びる2本の支持部28a,28bとを備えている。両支持部28a,28bは、受け部24の周囲2箇所に配置されるように設けられており、各支持部28a,28bの先端部には、受け部24に対して蓋25を回動させるための回動軸42が受け部24に取り付けられている。
【0023】
さらに具体的に説明すると、蓋25の閉塞部27は、閉塞時には、開閉の先端部がほぼ水平に位置し、後端部がやや斜め上方に向けて湾曲するような形状となっている。支持部28a,28bは、閉塞部27の後端部よりの位置から閉塞部27の先端部側の上方に向けて突出する方向に設けられている。
【0024】
蓋25は、回動軸42を中心として回動することによって受け部24の開口部を開閉する。回動軸42は、軸線が水平方向に延びているので、蓋25は鉛直面内で回動する。
蓋25が開口部を開ける動作をするときには、図4では支持部28aが回動軸42を中心に反時計回り(図5では支持部28bが回動軸42を中心に時計回り)に回動し、閉塞部27が斜め上方に持ち上げられる。
蓋25が開口部を閉塞する動作をするときには、図4では支持部28aが回動軸を中心に時計回り(図5では支持部28bが回動軸42を中心に反時計回り)に回動し、閉塞部27が斜め上方から餌の落下方向(鉛直下向き)に向けて移動する。このとき、閉塞部27は、斜め上方から閉塞位置まで移動してくるので、餌の落下方向に対して開口部面積が徐々に小さくなる方向に動作する。
【0025】
また、蓋25の閉塞部27の先端は、餌を良好に切り出せるように、刃部29が形成されている。刃部29は、開口部の開口時から閉塞時にかけて蓋25が閉塞動作をする際に、落下している餌に対して蓋25が切り込んでいくことができるように先端が尖鋭となるように形成されているものである。
そして、受け部24の下端部には、蓋25の閉塞部27の先端の刃部29が閉塞時に当接するストッパー部40が形成されている。
【0026】
以下、蓋25の開閉動作を実行する機構について説明する。
蓋25の開閉は、決まった時刻に複数の給餌装置30,30・・から一斉に貯留部26に貯留されている餌をすべて供給するための一斉供給用の操作レバー62(特許請求の範囲の第1の開閉手段)、または貯留部26に貯留されている餌を少しずつ切り出して供給するための切り出し用の操作レバー48(特許請求の範囲の第2の開閉手段)のいずれかを、作業者が操作することによって行われる。
【0027】
一斉供給用の操作レバー62は上蓋部33の上面に配置されている。操作レバー62の先端部には図示しない通し穴が形成されており、複数の給餌装置30どうしの操作レバー62を棒状の部材、針金、または紐などの連結用の部材で連結することができるように設けられている。
このため、複数の給餌装置30から同時に給餌する場合には、連結用の部材に設けた操作部(図示せず)を操作することで、連結用の部材によって連結された複数の操作レバー62が連動し、一斉給餌が可能である。
【0028】
まず、一斉供給の開閉動作を実行する構成について説明する。
一斉供給用の操作レバー62は、筒状体32の長手方向に沿って、筒状体32の上面部と下面部とを貫通するように配置されている角柱64の上端部に取り付けられている。角柱64は、その軸線を中心にして回動可能に設けられている。
この角柱64は、受け部24の図4に示す側に配置されており、蓋25の支持部28aを押動すべく設けられている。
【0029】
角柱64には、図7に示すような、蓋25を押動する押動部材45が取り付けられている。
押動部材45は、内部に角柱64を収納して角柱64の回動に対して一体に回動可能となるような保持部45aと、蓋25を押動するための押動突起45bとを備えている。保持部45aは、その内部が断面四角形状の筒状である。押動突起45bは、保持部45aから外周側に突出して形成されている部位である。
このような押動部材45は、受け部24の内側に形成されている収納部70内に回動自在に収納保持されている。
【0030】
なお、蓋25の支持部28aには、回動軸42よりも先端側に、閉塞部27からの支持部28aの延出方向から異なる方向に屈曲されて形成された鉤状部39が設けられている。この鉤状部39の外側(蓋の閉塞部27の先端側)の端面に上述した押動部材45の押動突起45bが当接するように配置されている。
【0031】
このような構成により、まず操作レバー62が水平面内で回動するように操作されると、角柱64が回動させられる。
角柱64の回動により、押動部材45が角柱64と一体に回動するので、押動突起45bが蓋25の支持部28aの鉤状部39を押す。
鉤状部39が押動突起45bに押されると、蓋25は回動軸42を中心にして図4では反時計回りに回動するので、閉塞部27が受け部24の開口部から離れて開口部が開く。
【0032】
続いて、餌の少量切り出し時の蓋の開閉動作を実行する構成について説明する。
切り出し用の操作レバー48は、筒状体32の長手方向に沿って、筒状体32の上面部と下面部とを貫通するように配置されている角柱46の下端部に取り付けられている。角柱46は、その軸線を中心にして回動可能に設けられている。
この角柱46は、受け部24の図5に示す側に配置されており、蓋25の支持部28bを押動すべく設けられている。このように、一斉供給用の角柱64と切り出し用の角柱46とは、受け部24を挟んで反対側の位置に設けられている。
【0033】
角柱46には、図8に示すような、蓋25を押動する押動部材44が取り付けられている。
押動部材44は、内部に角柱46を収納して角柱46の回動に対して一体に回動可能となるような保持部44aと、蓋25を押動するための2つの押動突起44b、44cとを備えている。保持部44aは、その内部が断面四角形状の筒状である。2つの押動突起44b,44cは、それぞれ保持部44aから外周側に突出して形成されている部材である。
このような押動部材44は、受け部24の内側に形成されている収納部72内に回動自在に収納保持されている。
【0034】
なお、蓋25の支持部28bには、回動軸42よりも先端側に、閉塞部27からの支持部28bの延出方向から異なる方向に屈曲されて形成された鉤状部41が設けられている。この鉤状部41は、押動部材44の2つの押動突起44b,44cの間に配置される。
したがって、2つの押動突起44b,44cはそれぞれ、鉤状部41を外側(蓋の閉塞部27の先端側)から押して蓋25を開ける動作を行う機能と、鉤状部41を内側(蓋の閉塞部27の後端側)から押して蓋25を閉じる動作を行う機能を備える。
【0035】
このような構成により、まず操作レバー48が水平面内で回動するように操作されると、角柱46が回動させられる。
角柱46の回動により、押動部材44が角柱46と一体に回動するので、押動突起44cが蓋25の支持部28bの鉤状部41を押す。
鉤状部41が一方の押動突起44cに押されると、蓋25は回動軸42を中心にして図5では時計回りに回動するので、閉塞部27が受け部24の開口部から離れて開口部が開く。
また、蓋25を閉じる際には、鉤状部41が他方の押動突起44bに押され、蓋25は回動軸42を中心にして図5では反時計回りに回動し、閉塞部27が餌の落下方向に向けて移動して開口部を閉塞する。
【0036】
なお、蓋25は、受け部24の開口部を閉塞する方向に付勢されている。
本実施形態では、蓋25を閉塞方向に付勢する付勢手段の一例として角柱46に設けられたねじりコイルばね58を挙げることができる。
【0037】
図9に、筒状体32の下部の構成を示す。
ねじりコイルばね58は、筒状体32の下部の漏斗状部34内に配置され、操作レバー48によって角柱46が蓋25を開ける方向に回動されると、付勢力を蓄積し、操作レバー48を押さえている作業者の力が解放されると付勢力によって角柱46を初期状態に戻すように回動させる。
【0038】
このように、蓋25は、蓋25を開いた状態から閉じる状態へ付勢されているので、特に操作レバー48を操作するときの餌の切り出し作業が容易に行うことができる。すなわち、付勢手段によって蓋25を閉じる動作を迅速に行うことができるので、余計な分量の餌が排出されてしまうことを防止することができる。
【0039】
なお、蓋25を閉塞方向に付勢する付勢手段は、上述してきた角柱46に設けることには限定されず、蓋25の支持部28の先端に設けられた回動軸42にねじりコイルバネ等を設けてもよい。
【0040】
また、一斉供給用の操作レバー62が操作されると、蓋25が動作するので、支持部28bも動作し、これに伴って押動突起44b,44cも支持部28bに設けられた鉤状部41に押動される。このため、一斉供給用の操作レバー62が操作されると、切り出し用の操作レバー48も動作してしまう。
しかし、切り出し用の操作レバー48が操作された場合に、一斉供給用の操作レバー62も動作してしまうと、操作レバー62は他の給餌装置30の操作レバー62と連結されているので、他の給餌装置30の操作レバー62も動作して勝手に餌の切り出し動作がされてしまうという不都合が生じる。
【0041】
そこで、本実施形態の給餌装置30では、切り出し用の操作レバー48によって蓋を開閉させた場合には、一斉供給用の操作レバー62へ開閉動作が伝達されないように開閉動作を遮断する開閉動作遮断手段を設けている。
開閉動作遮断手段としては、角柱64側の押動部材45が挙げられる。すなわち、一斉供給用の操作レバー62に連結されている押動部材45の押動突起45bが鉤状部39の外側にのみ設けられているので、切り出し用の操作レバー48の操作によって蓋25が動作しても支持部28aの鉤状部39は押動突起45bを押動することがないので、蓋25の動作が角柱64を介して操作レバー62には伝達されないようになっている。
【0042】
続いて、受け部24の上下動機構について説明する。
上述したように、受け部24は上下動可能に設けられており、貯留部26の容量を受け部24の位置によって調整可能である。
受け部24の位置を調整可能とする上下動手段として、螺子杆50が設けられている。この螺子杆50は、筒状体32の内部を上下方向に延びて設けられている。螺子杆50の下部は、漏斗状部34に設けられているハンドル53に連結しており、ハンドル53の回転によって回転する。受け部24の所定箇所には、螺子杆50と螺合可能な螺子穴61(穴は図示しているが、ねじ溝は図示せず)が形成されており、螺子杆50は受け部24の螺子穴に挿入されている。
このように構成されていることで、受け部24は、ハンドル53の操作による螺子杆50の回転によって、螺子杆50に沿って上下動できる。
【0043】
受け部24の上下動により、貯留部26の容量を調整できるが、貯留部26の容量は、貯留部26に餌が満杯に充填されたとき、家畜(豚)に与えるべき1回の餌が貯留される容量にするとよい。
餌の計量は、上述したように開放側半筒体32bに設けられた目盛59に基づいて行うことができる。
【0044】
なお、図10に示すように、筒状体32の上蓋部33には、下方に向けて突出する少なくとも2枚の制御板55が設けられている。2枚の制御板55は、供給口36の外縁よりも外側に設けられており、餌供給配管31の餌の流通方向に対して向かいあわせとなるように配置される。
これら制御板55を設けることで供給口36から落下する餌の計量精度を上昇させ、餌の貯留される偏りを防止することができる。
【0045】
制御板55の作用について図11に示す。
餌供給配管31を流通している餌は、餌供給配管31内での流通方向の速度を維持しつつ供給口36から落下する。このため、制御板55が存在しないと餌は筒状体32内において餌供給配管31の流れの進行方向側の筒状体32の内壁面に当接して蓄積されてしまう。このため、筒状体32内に蓄積される餌の山が筒状体32内で偏った位置となってしまい、計量精度が低下してしまう。計量精度の低下は、特に貯留させる餌の量が少ない場合に顕著となる。
【0046】
しかし、制御板55を設けることによって、餌供給配管31を流れてきた餌は、筒状体32内において餌供給配管31の流れの進行方向側の筒状体32の内壁面に当接することなく、制御板55に当接し、筒状体32のほぼ中央で蓄積されていく。このため、餌の貯留時に山が筒状体32のほぼ中央に位置し、餌は制御板55どうしの間から供給口36まで蓄積させることができる。このため、餌の貯留時の偏りをなくし、計量精度が上昇する。
【0047】
なお、本実施形態の2枚の制御板55は、餌供給配管31の餌の流通方向に対して面が直交するように配置されているものである。しかし、制御板55としては、餌供給配管31の餌の流通方向の進行方向側に1枚設けられているだけであってもよい。
【0048】
なお、本実施形態の給餌装置は、特に母豚向けの給餌装置として開発されたものである。
すなわち、特に授乳期の母豚は、身を削って子豚に乳を与えるので体力の消耗が激しい。この時期の母豚に十分な餌を与えることができないと、子豚への授乳量が減少して子豚の成育に問題を生じるとともに、母豚の消耗が大きいと次回の繁殖に悪影響を与えてしまう。
【0049】
そこで、本実施形態の給餌装置30を用いることによる、畜舎の作業者の給餌方法について説明する。
まず、餌供給配管31から、ある程度の量の餌を筒状体32の貯留部26内に貯留させておく。作業者は、母豚がもっと餌がほしい様子であると判断した場合、漏斗状部34に設けられている操作レバー48を操作し、受け部24の蓋25を開ける。なお、操作レバー48は、筒状体32の下部に設けられているので、作業者は操作しやすい。
【0050】
蓋25が開くと受け部24の開口部から餌が落下していく。作業者は、落下した餌の量がちょうどよいと思った時点で操作レバーから手を離す。すると開口部を閉塞する方向に付勢されている蓋25の付勢力(角柱46の付勢力)によって、自動的に蓋25が閉まり、餌の供給が停止する。
【0051】
このとき、蓋25は、餌の落下方向に移動してきて閉じるので、餌が落下中であっても餌の落下を良好に遮断して餌の供給を停止させることができる。また、蓋25の先端部の刃部29が尖鋭になっているので、餌が落下中に蓋25を閉じても餌を用意に分断して確実に蓋25を閉じることができる。
こうして畜舎の作業者は、母豚の様子をみながら適正量の餌を与えることができる。
【符号の説明】
【0052】
24 受け部
25 蓋
26 貯留部
27 閉塞部
28a,28b 支持部
29 刃部
30 給餌装置
31 餌供給配管
32 筒状体
32a 固定側半筒体
32b 開放側半筒体
33 上蓋部
34 漏斗状部
35 配管接続部
36 供給口
37,38 係止部
39,41 鉤状部
40 ストッパー部
42 回動軸
44,45 押動部材
44a,45a 保持部
44b,44c,45b 押動突起
46,64 角柱
48,62 操作レバー
50 螺子杆
53 ハンドル
55 制御板
59 目盛
61 螺子穴
70,72 収納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家畜に給餌する餌の供給口が上面部に設けられ、下面部に餌の排出口が設けられている筒状体と、
該筒状体の内部に筒状体の内壁面に外縁が摺接して上下動可能に配置され、前記供給口から供給される餌を受ける受け部と、
該受け部を筒状体内で上下動させる上下動手段と、
前記受け部の下面に下向きに開口して形成された開口部を開閉可能な蓋とを備える給餌装置において、
前記蓋は、前記受け部の開口部からの餌の落下方向に向けて開口部面積を徐々に小さくする方向に閉じるように動作可能に設けられていることを特徴とする給餌装置。
【請求項2】
作業者が操作することによって該蓋を開口部に対して開閉させる第1の開閉手段が設けられ、
作業者が操作することによって該蓋を開口部に対して開閉させる第2の開閉手段が設けられ、
前記第1の開閉手段は、他の給餌装置の第1の開閉手段と連結可能に設けられ、
前記第2の開閉手段によって蓋を開閉させた場合には、前記第1の開閉手段へ開閉動作が伝達されないように開閉動作を遮断する開閉動作遮断手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載の給餌装置。
【請求項3】
前記第1の開閉手段は、筒状体の上部に設けられ、
前記第2の開閉手段は、筒状体の下部に設けられていることを特徴とする請求項2記載の給餌装置。
【請求項4】
前記蓋は、前記受け部の開口部を閉塞する方向に付勢されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項記載の給餌装置
【請求項5】
前記蓋の、閉じる際に移動方向の先端部となる部位は、尖鋭に形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項記載の給餌装置。
【請求項6】
前記上面部の供給口の外縁よりも外側において、筒状体の上面部から前記受け部に対向するように下方に向けて突出し、供給口から落下する餌の横方向への移動を制御する制御板が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項5のうちのいずれか1項記載の給餌装置。

【図7】
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【図8】
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【図11】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−213657(P2010−213657A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−66578(P2009−66578)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【特許番号】特許第4382145号(P4382145)
【特許公報発行日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【出願人】(000150453)株式会社中嶋製作所 (8)
【Fターム(参考)】