説明

絵柄切抜き方法及び装置

【目的】 画像の特定の絵柄の輪郭線を自動的に抽出出来、その抽出した絵柄の輪郭線を平滑化し特定の絵柄の輪郭線を正確に得ることが出来る絵柄切抜き方法と装置を提供する。
【構成】 画像入力部2と、表示部3を付設する輪郭指定部4と、二値画像変換と輪郭線抽出機能を有する輪郭線作成部1と、平滑化処理部5と輪郭出力部6からなり、矩形ポインタによって抽出した画素データを二値化し、その重なり部分の作業エリアの画像の論理積を求めて、特定のフィルタにより輪郭を順次検索する。また、画素検索の不可能な場合を救済し、検索の連続性を確保する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、画像から特定の絵柄を切抜きする方法と装置に係り、例えば、色分解版から刷板焼付け用のポジ原版を作る際に自動的に輪郭線を抽出でき、かつ平滑化し得る絵柄切抜き方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】カラー印刷のための色分解版はカラースキャナにより作成される。カラースキャナはカラー原稿を走査して光電子管やCCDラインセンサにより光電変換を行って画像信号を得たのち画像信号に種々の色補正を行い、印刷の色成分毎に分解し、それに応じて色分解版用フイルムを露光現像することにより作成される。
【0003】ここで、カラースキャナは色分解範囲を指定できるものの指定範囲は矩形範囲に限られている。そのため、カラー原稿内の全絵柄を印刷に使うのではなく、例えば、ちらし等のように商品や人物のみを印刷し背景は白又は所定の色にする場合には、色分解版から刷版焼き付け用ポジ原版を作成する際に色分解版において不要部分(所望絵柄の背景の部分)を遮光する必要があった。遮光用としてはマスクが用いられ、例えば、透明シートの上に赤色(焼き付け光と同色)のシートが貼られたピールオフフイルムの赤色シートを用い、これを所望絵柄の輪郭に沿って切り抜いて使用していた。
【0004】従来は、ピールオフフイルムをガラス等の透明部材を介して色分解版の上に重ねて専門の熟練者が絵柄の輪郭に沿ってピールオフフイルムの赤色のシートを切り抜いていたが、この切抜き作業は非常に高い正確さが要求され時間がかかり、かつ中々満足のいくものが得られなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】切り抜いた赤色のシートの輪郭が絵柄の輪郭とずれていると、印刷物において絵柄の輪郭がギザギザになり、見苦しく、かつ印刷物としては全く品質の低いものになってしまう問題点があった。そこで、近年では、スキャナで読み取られた原稿の画像をモニタ上に表示し、画像内の所望の絵柄内の点を指定し、その指定点と画像上の各点との明度又は色調の差が所定値以上か又は否かに応じて所望の絵柄の輪郭線を自動的に抽出しカッティングプロッタ等でピールオフフイルムの赤色のシートを切り抜くことが行われていた。しかしながら、輪郭線を自動的に抽出する際に画像の明度又は色調に大きく左右され正確な輪郭線を得ることは中々困難であった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、以上の課題を解決することを目的とし、画像から特定の絵柄の輪郭線を抽出するために矩形ポインタを移動させて前記輪郭線を包含する矩形ウインドウの連続列を設定し、各矩形ウインドウ内で画像処理を行い輪郭画素の連続列を求め、これ等を平滑化処理して前記輪郭線を決定する絵柄切抜き方法であって、各矩形ウインドウ内の一次画素データを二値化処理した後、互いに隣り合う矩形ウインドウの重複部分毎に作業エリアを設定し、二値化画素データの論理積処理を行って二次画素データに加工する加工手順と、各作業エリア内において二次画素データを検索し、逐次連続する輪郭画素を求め、完了した時点で次の作業エリアに移行して検索を繰り返し行い、輪郭画素の連続列を求める検索手順と、所定回数以上続けて輪郭画素検索不能な状態が発生した場合、作業エリア内の二次画素データの反転処理を行い、該検索を続行可能とする反転手順とを行う絵柄切抜き方法を特徴とするものである。また、画像を入力する画像入力部と、入力された画像を表示する表示部と、該表示部上で矩形ポインタを移動させ、該画像に含まれる特定の絵柄の輪郭線を包含するように矩形ウインドウの連続列を設定する輪郭指定部と、各矩形ウインドウ内で該画像の処理を行い輪郭画素の連続列を求める輪郭線作成部と、該輪郭画素の連続列を平滑化する平滑化処理部と、該平滑化結果に基づいて前記特定の絵柄の切抜き情報を出力する輪郭出力部とを備えた絵柄切抜き装置であって、前記輪郭作成部は、各矩形ウインドウ内の一次画素データを二値化処理した後、互いに隣り合う矩形ウインドウの重複部分毎に作業エリアを設定し、二値化画素データの論理積処理を行って二次画素データに加工する加工手段と、各作業エリア内において二次画素データを検索し、逐次連続する輪郭画素を求め、完了した時点で次の作業エリアに移行して検索を繰り返し行い、輪郭画素の連続列を求める検索手段と、所定回数以上続けて輪郭画素検索不能な状態が発生した場合、作業エリア内の二次画素データの反転処理を行い、該検索を続行可能とする反転手段とを有する絵柄切抜き装置を構成するものである。
【0007】
【作用】画像の特定の絵柄の輪郭線に沿って矩形ポインタを移動させ、第1番目と第2番目の矩形ウインドウを順次求める。まず、第1番目と第2番目の矩形ウインドウの一次画素データを所定の閾値を基に0又は1の値とした二値画像データとして変換し、両二値化画素データを矩形ウインドウの移動分だけずらして重ねて、所定の論理積、すなわち、0と0は0,0と1は0,1と0は0,1と1は1の論理基準により重なり部分の二次画素データの作業エリアを求め、前記矩形ウインドウとほぼ等しいn×nの画素ウインドウを有する第1のフィルタの中心点Pを第1番目の矩形ウインドウの中心に合致させ、中心点Pからスパイラル状に前記作業エリアをチェックし、0から1に最初に画素が変る位置の画素を求め、次に、適宜の画素数からなる第2のフィルタの中心点Pを前記の求められた画素に合致させ、中心点Pからスパイラル状に前記重なり部分の作業エリアの0から1に最初に変る画素位置を求め、その画素位置を最初の輪郭画素として求め、次に、第2番目と第3番目の矩形ウインドウを基にしてその重なり部分の作業エリアを求め、適宜の画素数を有し、その中心点と一つ前の画素の中心点P−1を隣接して配置した第3のフィルタを重なり部分の作業エリアの輪郭画素および一つ前の輪郭画素にPおよびP−1を合致させ、P−1からスパイラル状に画素をチェックして最初に0から1に変る位置を求めてこれを次の輪郭画素として求め、以下、順次同様なことを行って画素を検索すると共に、n−2以上画素検索が不能の場合には二次画素データの0と1とを反転させて次の画素検索を行い全輪郭画素を求め、これを平滑化して出力する。
【0008】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づき説明する。図1は絵柄切抜き装置の構成を示すブロック図であり、その主要部の輪郭線作成部の動作は図3のフローチャートに示されている。図2は色分解版における特定絵柄の概要と矩形ポインタによる特定の輪郭線に沿う移動状態を表示する平面図、図4以下は図3のフローチャートに基づく本実施例の動作を説明するための説明用図面である。
【0009】図1に示すように、本実施例の絵柄切抜き装置は画像入力部2と、表示部3と、輪郭指定部4と、本発明の主要部である輪郭線作成部1と、平滑化処理部5と、輪郭出力部6等から構成される。また、後に詳説するが、輪郭線作成部1は二値画像変換および輪郭線抽出のプロセスを行う。
【0010】図2に示す色分解版の特定の絵柄7は背景8及び別の絵柄9と隣り合っているが、本実施例はその輪郭線10を前記構成の装置により求めるものである。図2にはポインタで設定された矩形ウインドウ11が示され、矩形ウインドウ11が輪郭線10に沿って連続し、各移動位置における画素データを包含する。色分解版の画像情報は画像入力部2に入力されその出力は輪郭指定部4に供給される。その出力が輪郭線作成部1に供給され、輪郭線作成部1の出力が平滑化処理部5に供給され、その出力が輪郭出力部6に供給される。
【0011】画像入力部2は、平面スキャナによって色分解版から画像データを輪郭指定部4に供給する。画像データを得る手段は、前記の手段に限らず、カラースキャナによってカラー原稿から直接得るのも良いし、記録媒体から画像データを直接得るのも良い。
【0012】輪郭指定部4は、所定の絵柄の輪郭を指定するディジタイザを有し、表示部のディスプレイ上には矩形ウインドウ11の連続列が表示される。この矩形ウインドウ11には図2のように輪郭線近傍の画素データが含まれる。矩形ウインドウ11の輪郭線10に沿った移動軌跡と画素データは輪郭線作成部1に供給される。
【0013】輪郭線作成部1は、矩形ウインドウ11の移動軌跡と画素データから隣合うウインドウの重複部分に作業エリアを設定し所定の画像処理を行って絵柄を抽出する。
【0014】平滑化処理部5は、輪郭線作成部1において作成した絵柄の輪郭線10を直線、円弧、自由曲線等に近似変換する。
【0015】輪郭出力部6は、カッティングプロッタで平滑化処理部5の出力である輪郭線のベクトルデータに従ってピールオフフイルムを切抜き、色分解版からポジ原版を作成する際に色分解版に重ねるマスクを作成するものからなる。この出力部は、前記に限らず輪郭線のベクトルデータを出力したり、輪郭線の内側と外側を分けた二値画像データとして出力することも出来る。
【0016】次に、輪郭線作成部1における切り抜き方法を図3のフローチャートと図4乃至図26により説明する。図4等に示すように、本実施例では説明の都合上矩形ウインドウは5×5の画素を表示するものからなる。また、図において白地画素は0であり、斜線画素は1でありウインドウ内の濃度を基にして決めた閾値を基準として求めたものである。すなわち、第1番目の矩形ウインドウの内側に含まれる各画素の濃度の平均値を取り、その平均値を閾値とし、各画素の濃度値を閾値と比べて大きい場合には″1″とし、小さい場合には″0″とし矩形ウインドウの内側に含まれる画像を0と1の二値に変換する。図4は第1番目の矩形ウインドウ12を示し、図5は第2番目の矩形ウインドウ13を示す。図3R>3のフローチャートのステップ100,ステップ101に示すように、これ等の矩形ウインドウ12,13は0および1の画素濃度で二値化される。なお、ここでは第1番目から第2番目への移動方向は図4のA矢視方向であり一画素分だけ斜下に移動する。次に、図6に示すように、矩形ウインドウ12と矩形ウインドウ13を重ね合わせる。この場合、矩形ウインドウ13の左右斜上の△印を矩形ウインドウ12の2行目の上から2番目の△印に重ねる。すなわち、両者は移動位置において重合され作業エリア14が形成される。重なり部分の作業エリア14において次の論理積を求める(ステップ102)。すなわち、矩形ウインドウ12の画素とこれに重合する矩形ウインドウ13の画素とが0と0の場合には作業エリア14の画素を0とし、0と1又は1と0の場合も0とし、1と1の場合に限り作業エリア14の画素を1とする論理積を求める。このように処理するのはノイズを除去すると共に絵柄輪郭を強調するためである。なお、作業エリア14においてP点は第1番目の矩形ウインドウ12の中心点に相当するものである。
【0017】図7および図8は前と移動方向の異なる例の第1番目の矩形ウインドウ15と第2番目の矩形ウインドウ16を示し、図9はその重なり部の論理積を求めた作業エリア17を示す。この実施例の場合は第1番目から第2番目への移動方向は図7のB方向(水平方向)である。
【0018】次に、図3のフローチャートに示すように開始点を検索するステップ103に入る。図10に示すように、本実施例では図示のような5×5の画素からなる第1のフィルタ18が使用される。第1のフィルタ18は中心点Pから1つ上方に1番をとり、次に左方に1つ動いて2番をとり、次に下方に1つ下って3番をとり、更に1つ下った4番をとり、続いて右方に1つ移動して5番をとり、更に1つ動いて6番をとり、上方に1つ上って7番をとる。以下、スパイラル状に1つずつ数字を加算し24番に到る。すなわち、Pを中心にしてスパイラル状に1番から24番までの番号付けしたものとする。この第1のフィルタ18を例えば図6の重なり部分の作業エリア14にP点を合わせて重合し、中心点Pから番号の増加する方向、すなわち、スパイラル状に作業エリア14の画素をチェックし、最初に0から1に変る画素位置を求める。図11に示すように本実施例の場合には4番がその位置に相当する。この画素位置が輪郭画素列の開始点に当る。
【0019】次に、図12に示す第2のフィルタ19により次の画素検索を行う(ステップ104)。第2のフィルタ19は3×3の画素を有するものからなり、中心点Pを中心にスパイラル状に1番から8番の番号が付されている。この第2のフィルタ19を図11の作業エリア14aの4番で示される開始点の位置に中心点Pを合致させて重ねる。中心点Pから番号順に画素をチェックし、最初に0から1に変る画素位置を求める。本実施例では図13に示すように4番がそれに相当する。この4番の画素が次の輪郭画素に相当するものである。
【0020】次に、第2番目と第3番目の矩形ウインドウ(図示せず)を用いこれを二値化する(ステップ105)。前記と同様にこれ等の矩形ウインドウを重合し重なり部分の論理積を求める(ステップ106)。その作業エリア21を図15に示す。第3番目以降の輪郭画素を求めるには図14に示す第3のフィルタ22を用いる。第3のフィルタ22は3×3の画素を有するものからなり、中心点Pの斜右上方に1つ前の輪郭画素P−1が割付けられ、P−1の位置からスパイラル状に1番から7番まで表示されるものである。この第3のフィルタ22を図15の作業エリア21上に重ねる。図13の作業エリア20と図15の作業エリア21を隣り合った作業エリアとすると第3のフィルタ22のP−1は図13のPの位置に重なり、Pは図13の4番の位置に重なる。前記と同様に第3のフィルタ22を用いて最初に0から1に変る画素をチェックすると4番が求められる。この4番が次の輪郭画素に相当する(ステップ107)。以上のように次の画素検索が順次できたか否かを判別する(ステップ108)。次の画素の検索ができた場合(yesの場合)には再びステップ107に移り、同一作業エリア内でその次の画素検索を行い順次輪郭画素を求める。なお、図16に図14の第3のフィルタ22と異なる第3のフィルタ22aが示されているが、第3のフィルタ22,22a等はP,P−1の位置に応じて適宜組み替え使用されるものである。
【0021】ステップ108において画素検索が不能と判断された場合(noの場合)にはステップ109に移る。ステップ109は次の画素が検索出来ない状態が3回続いたか否かを判別するものである。なお、3回としたのは第1のフィルタ18が5×5からなるためで(すなわちn=5)、第1のフィルタがn×nの場合はn−2回続いたか否かで判別される。次の画素の検索が出来ない状態が1回又は2回の場合にはステップ109はnoとなり、ステップ110に飛ぶ。ステップ110は輪郭画素が開始点に戻ったか否かを判別するものであり、戻らない場合(noの場合)は輪郭線10の軌跡終点か否かの判別をし(ステップ111)、noの場合にはステップ105に戻り、次の作業エリアに移行して画素検索を行う。一般に、現在の作業エリアにおける検索が完了した時点でステップ108の判断はnoになる。この場合にはステップ109,110,111を介してステップ105に戻り、次の作業エリアに移る。一方、ステップ110および111でyesの場合には輪郭線作成部1による輪郭線作成の工程を終了し、輪郭画素列のベクトル変換を行う(ステップ112)。
【0022】ステップ109において、次の画素が検索出来ない状態が3回(又はn−2回)続いた場合(yesの場合)にはステップ113に移るが、その前に画素検索の出来ないパターン(検索不能の条件)について図1717乃至図23により説明する。まず、図17に示すように、図14又は図16に示す第3のフィルタ22,22aを作業エリアに重合した場合に第3のフィルタ22,22aにかかるすべての画素が0の場合やすべてが1の場合には輪郭画素の選択が出来ず、画素検索が出来ない。また、図18に示すように、第3のフィルタ22等が図示のように外にはみ出しているときは作業エリアの外側はすべて″1″とするが、選択する画素がないため画素検索が出来ない。
【0023】次に、図19は矩形ウインドウの移動方向を示しQ−1からQに向かって移動することが示されている。図20は矩形ウインドウ11がQ−1からQに移動した場合に同一作業エリアにおける前前の輪郭画素と前の輪郭画素がP−1,Pにあり、更にPの次にはRの位置に輪郭画素がある場合の作業エリアを示すものである。図21は矩形ウインドウ11の移動方向や輪郭画素の移動方向を数値化するためのもので中心点から45°右斜方向に移動する場合を1ポイントとし、反時計方向に45°とびに1ポイントだけ加算し、2,3,4,5,6,7,8ポイントと定めたものである。図19の場合Q−1からQへの移動は45°左斜下方のため図21R>1から5ポイントとなり、それに対応するP−1からPへの移動は45°左斜上方のため3となる。また、同じく矩形ポインタ11の移動方向の5ポイントに対し、PからRは上方に移動するため2ポイントになる。本実施例では|Q←Q−1|−|P←P−1|=5−3=2の値と|Q←Q−1|−|R←P|=5−2=3の値を加算し、2+3=5を求め、この加算値が3を越えた場合は画素検索が出来ないパターンであるとしている。すなわち、これによりノイズと思われる画素を選択しないようにしている。図22と図23は作業エリアが次に移動した場合であり、この場合には|Q−1←Q−2|−|P←P−1|=5−3=2,|Q←Q−1|−|R←P|=5−4=1でその加算は2+1=3となり3を越えているため画素検索が出来ない場合となる。
【0024】また、図24に示すように前回選択した輪郭画素の画素と重なった第3のフィルタ22の中心点Pが作業エリアの外側にある場合は、この外側の部分を0として画素を選択する。そのため、図24のようなパターンは画素検索の出来ない状態には含まれない。
【0025】前記したように、ステップ109において次の画素が検索出来ない状態が3回(又はn−2回)続いた場合にはステップ113に移り、重なり部分の二値を反転する。図25はその場合を示し、図26のように0と1を反転させる。それにより図26において5番が輪郭画素として求められる。このケースは例えば矩形ポインタが他の絵柄9(図2)にかかった場合に相当するもので、反転することにより輪郭の抽出を可能にする。
【0026】重なり部分を反転したらそのままの状態で次の画素を検索し(ステップ114)、検索出来るか否かを判別し(ステップ115)、検索出来た場合(yesの場合)はステップ110に復帰し、検索出来ない場合(noの場合)は最終的手段であるが作業エリアの中心点を次の輪郭画素に選択し(ステップ116)、ステップ110に進む。
【0027】ステップ112は図3のフローチャートの最終ステップを示すもので、検索した輪郭画素の連続列を連続した微小値線ベクトルに変換し、図1の平滑化処理部5へ画像の輪郭の微小直線ベクトルを供給する。
【0028】この平滑化処理が終了すると直線,円弧,自由曲線に変換した輪郭線データが得られる。そしてその輪郭線データを輪郭出力部6に供給し、カッティングプロッタにおいて輪郭線データに基づきピールオフフイルムを裁断したり、輪郭データを他の装置に供給する。
【0029】以上のような本実施例により、画像をモニタ上に表示し、画像内の所望の絵柄輪郭を矩形ポインタでなぞり、そのなぞった領域の中を二値化し、所望の絵柄の輪郭画素を自動的に抽出し、得られた輪郭画素を直線ベクトルに変換し、更に平滑化処理を行うことにより、絵柄の輪郭線が正確に得ることが出来る。
【0030】なお、本発明は前記の実施例に限定されずに、種々変更可能である。例えば、前記したように矩形ウインドウの大きさは、3画素×3画素以上の矩形であれば、自由である。また、この場合、前記したようにその時のステップ109における次の画素が検索出来ない状態の回数は、3回以上で矩形ウインドウの一辺の画素数から2を引いた回数となる。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、次のような顕著な効果を奏する。
1)画像情報から所望の絵柄の輪郭線を画像の明度,色調に左右されることなく自動的に抽出し、その輪郭線データにしたがってマスクフイルムやマスクデータを作成し正確に背景を遮光し特定絵柄を抽出することが出来る。
2)簡略化された手順に基づき、画素検索が進められ、単時間に、かつ正確に特定絵柄の抽出が行われる。
3)閾値を求め、画素濃度を二値化して、かつ論理積処理を施して2次画素デ−タを求める方式を採用するため、絵柄の抽出精度が向上する。
4)矩形ポインタの画素を細かくすることにより、より正確な絵柄抽出が出来る。
5)輪郭線作成部で求められた輪郭線を平滑化処理部で平滑化するため、高品質な印刷物を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の絵柄切抜き装置の一実施例のブロック図。
【図2】本実施例の矩形ポインタによる特定の絵柄の輪郭線に沿う移動状態を表示する平面図。
【図3】本実施例の輪郭線作成部の動作を説明するためのフローチャート。
【図4】第1番目の矩形ポインタにより指定された矩形ウインドウを表わす図。
【図5】第2番目の矩形ウインドウを示す図。
【図6】図4と図5の重なり部分により規定される作業エリアを示す図。
【図7】第1番目の矩形ウインドウの他の例。
【図8】第2番目の矩形ウインドウの他の例。
【図9】図7と図8の重なり部分により規定される作業エリアを示す図。
【図10】第1のフィルタの一実施例の平面図。
【図11】第1のフィルタによる開始点を求めるための重なり部分の作業エリアを示す図。
【図12】第2のフィルタの一実施例の平面図。
【図13】第2のフィルタによる画素検索するための作業エリアを示す図。
【図14】第3のフィルタの一実施例の平面図。
【図15】第3のフィルタによって検索される作業エリアを示す図。
【図16】第3のフィルタの他の例の平面図。
【図17】画素検索不能の重なり部分の作業エリアを示す図。
【図18】画素検索不能の重なり部分の作業エリアを示す図。
【図19】矩形ポインタの移動方向を示す説明用平面図。
【図20】図19における作業エリアの輪郭画素位置を示す図。
【図21】矩形ポインタの移動方向と作業エリアの輪郭画素の移動方向から画素検索の可否を求めるための数値化図。
【図22】矩形ポインタの移動方向を示す説明用平面図。
【図23】図22における作業エリアの輪郭画素を示す図。
【図24】第3のフィルタが作業エリアからはみ出しているが画素検索が出来る状態を示す図。
【図25】画素検索不能の反転前の作業エリアを示す図。
【図26】図26の二値の反転された作業エリアを示す図。
【符号の説明】
1 輪郭線作成部
2 画像入力部
3 表示部
4 輪郭指定部
5 平滑化処理部
6 輪郭出力部
7 絵柄
8 背景
9 絵柄
10 輪郭線
11 矩形ウインドウ
12 第1番目の矩形ウインドウ
13 第2番目の矩形ウインドウ
14 第1と第2番目の重なり部分の作業エリア
14a 第1と第2番目の重なり部分の作業エリア
15 第1番目の矩形ウインドウ
16 第2番目の矩形ウインドウ
17 第1と第2番目の重なり部分の作業エリア
18 第1のフィルタ
19 第2のフィルタ
20 作業エリア
21 作業エリア
22 第3のフィルタ
22a 第3のフィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 画像から特定の絵柄の輪郭線を抽出するために矩形ポインタを移動させて前記輪郭線を包含する矩形ウインドウの連続列を設定し、各矩形ウインドウ内で画像処理を行い輪郭画素の連続列を求め、これ等を平滑化処理して前記輪郭線を決定する絵柄切抜き方法であって、各矩形ウインドウ内の一次画素データを二値化処理した後、互いに隣り合う矩形ウインドウの重複部分毎に作業エリアを設定し、二値化画素データの論理積処理を行って二次画素データに加工する加工手順と、各作業エリア内において二次画素データを検索し、逐次連続する輪郭画素を求め、完了した時点で次の作業エリアに移行して検索を繰り返し行い、輪郭画素の連続列を求める検索手順と、所定回数以上続けて輪郭画素検索不能な状態が発生した場合、作業エリア内の二次画素データの反転処理を行い、該検索を続行可能とする反転手順とを行うことを特徴とする絵柄切抜き方法。
【請求項2】 前記検索手順は、各作業エリア内において、先の輪郭画素を基準としてスパイラル状に二次画素データを逐次検索し、次の輪郭画素を特定することを特徴とする請求項1の絵柄切抜き方法。
【請求項3】 前記検索手順は、矩形ウインドウの連続列の移動方向及び輪郭画素の連続列の移動方向を逐次数値化して演算処理し、先の輪郭画素から次の輪郭画素への移動方向が矩形ウインドウの移動方向と所定量以上相違した場合、当該次の輪郭画素を選択不能とする手順を含むことを特徴とする請求項1の絵柄切抜き方法。
【請求項4】 画像を入力する画像入力部と、入力された画像を表示する表示部と、該表示部上で矩形ポインタを移動させ、該画像に含まれる特定の絵柄の輪郭線を包含するように矩形ウインドウの連続列を設定する輪郭指定部と、各矩形ウインドウ内で該画像の処理を行い輪郭画素の連続列を求める輪郭線作成部と、該輪郭画素の連続列を平滑化する平滑化処理部と、該平滑化結果に基づいて前記特定の絵柄の切抜き情報を出力する輪郭出力部とを備えた絵柄切抜き装置であって、前記輪郭作成部は、各矩形ウインドウ内の一次画素データを二値化処理した後、互いに隣り合う矩形ウインドウの重複部分毎に作業エリアを設定し、二値化画素データの論理積処理を行って二次画素データに加工する加工手段と、各作業エリア内において二次画素データを検索し、逐次連続する輪郭画素を求め、完了した時点で次の作業エリアに移行して検索を繰り返し行い、輪郭画素の連続列を求める検索手段と、所定回数以上続けて輪郭画素検索不能な状態が発生した場合、作業エリア内の二次画素データの反転処理を行い、該検索を続行可能とする反転手段とを有することを特徴とする絵柄切抜き装置。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図16】
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【図17】
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【図2】
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【図13】
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【図15】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図3】
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