説明

絶縁性液体、液体現像剤、液体現像剤の製造方法および画像形成装置

【課題】環境に優しく、十分に小粒径のトナー粒子を有する液体現像剤および絶縁性液体を提供すること、また、このような液体現像剤の製造方法を提供すること、また、このような液体現像剤、絶縁性液体を用いた画像形成装置を提供すること。
【解決手段】本発明の液体現像剤は、トナー粒子を含む液体現像剤に用いられる絶縁性液体であって、脂肪酸トリグリセリドと、脂肪酸モノエステルとを含み、前記脂肪酸トリグリセリドおよび前記脂肪酸モノエステルは、脂肪酸成分として、不飽和脂肪酸を含むものであり、前記脂肪酸モノエステルを構成するアルコール成分は、炭素数が1〜8のアルキル基を有するものであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁性液体、液体現像剤、液体現像剤の製造方法および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
潜像担持体上に形成した静電潜像を現像するために用いられる現像剤には、顔料等の着色剤および結着樹脂を含む材料で構成されるトナーを乾式状態で用いる乾式トナーと、特許文献1に示すようなトナーを電気絶縁性の担体液(絶縁性液体)に分散した液体現像剤(液体トナー)とがある。
乾式トナーを用いる方法は、固体状態のトナーを取り扱うので、取り扱い上の有利さはあるものの、粉体による人体等への悪影響が懸念されるほか、トナーの飛散による汚れ、トナーを分散した際の均一性等に問題がある。また、乾式トナーでは、粒子の凝集が起こり易く、トナー粒子の大きさを十分に小さくするのが困難であり、解像度の高いトナー画像を形成するのが困難であるという問題がある。また、トナー粒子の大きさを比較的小さなものとした場合には、上述したような粉体であることによる問題が更に顕著なものとなる。
【0003】
一方、液体現像剤を用いる方法では、液体現像剤中におけるトナー粒子の凝集が効果的に防止されるため、微細なトナー粒子を用いることが可能であり、また、結着樹脂として、低軟化点(低軟化温度)のものを用いることができる。その結果、液体現像剤を用いる方法では、細線画像の再現性が良く、階調再現性が良好で、カラーの再現性に優れており、また、高速での画像形成方法としても優れているという特徴を有している。
しかしながら、従来の液体現像剤で用いられてきた絶縁性液体は、石油系の炭化水素を主とするものであるため、例えば、画像形成装置等の外に出た場合に、環境に悪影響を及ぼすことが懸念されていた。
【0004】
また、このような液体現像剤の製造方法としては、一般に、トナー材料を混練、粉砕し、トナー粒子を形成した後に、絶縁性液体と混合、分散し、液体現像剤を得る方法(乾式粉砕法)が用いられている。ところが、このような方法では、十分にトナー粒子の粒径をすることが困難であるとともに粉砕時に発生する熱により、トナー粒子同士が融着し易く、形成されるトナー粒子の粒径を十分に小さいものとするのが困難であった。これに対して、絶縁性液体中でトナー材料を粉砕(または解砕)し、絶縁性液体中にトナー粒子が分散した液体現像剤を得る湿式粉砕法が検討されている。このような方法では、粉砕(または解砕)に用いた液体が、最終的な液体現像剤中に含まれる絶縁性液体となるため、最終的に留去する必要がある液体中でトナー材料を粉砕、解砕して、トナー粒子を得る方法に比べ、製造コストを抑えることができる。ところが、このような方法では、トナー粒子を構成する樹脂材料と絶縁性液体との親和性、また、絶縁性液体の粘度の影響により、十分に小粒径(具体的には、3μm以下の粒径)のトナー粒子を得ることが難しかった。
【0005】
【特許文献1】特開平7−152256号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、環境に優しく、十分に小粒径のトナー粒子を有する液体現像剤および絶縁性液体を提供すること、また、このような液体現像剤の製造方法を提供すること、また、このような液体現像剤、絶縁性液体を用いた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の絶縁性液体は、トナー粒子を含む液体現像剤に用いられる絶縁性液体であって、
脂肪酸トリグリセリドと、脂肪酸モノエステルとを含み、
前記脂肪酸トリグリセリドおよび前記脂肪酸モノエステルは、脂肪酸成分として、不飽和脂肪酸を含むものであり、
前記脂肪酸モノエステルを構成するアルコール成分は、炭素数が1〜8のアルキル基を有するものであることを特徴とする。
【0008】
本発明の絶縁性液体では、前記アルコール成分は、炭素数が1〜7の直鎖アルキル基を有するものであることが好ましい。
本発明の絶縁性液体では、前記アルコール成分は、炭素数が3〜8の分岐アルキル基を有するものであることが好ましい。
本発明の絶縁性液体では、前記脂肪酸モノエステルとしては、天然油脂と、第二級アルコールもしくは第三級アルコールとのエステル交換反応により生成される生成物を含むものであることが好ましい。
本発明の絶縁性液体では、前記脂肪酸モノエステルは、脂肪酸成分として、炭素数が14〜22である不飽和脂肪酸を含むものであることが好ましい。
本発明の絶縁性液体では、絶縁性液体中の前記脂肪酸トリグリセリドの含有量をX[wt%]、前記脂肪酸モノエステルの含有量をY[wt%]としたとき、1≦X/Y≦19の関係を満足することが好ましい。
【0009】
本発明の絶縁性液体では、前記脂肪酸トリグリセリドおよび前記脂肪酸モノエステルの加水分解を抑制する機能を有する加水分解抑制剤を含むものであることが好ましい。
本発明の絶縁性液体では、絶縁性液体中の前記加水分解抑制剤の含有量は、0.01〜5.0wt%であることが好ましい。
本発明の絶縁性液体では、前記加水分解抑制剤は、フェノールホスファイト系化合物であることが好ましい。
【0010】
本発明の液体現像剤は、主として樹脂材料で構成されたトナー粒子と、絶縁性液体とを有し、前記絶縁性液体は、脂肪酸トリグリセリドと脂肪酸モノエステルとを含み、前記脂肪酸トリグリセリドおよび前記脂肪酸モノエステルは、脂肪酸成分として、不飽和脂肪酸を含むものであり、前記脂肪酸モノエステルを構成するアルコール成分は、炭素数が1〜8のアルキル基を有するものであることを特徴とする。
本発明の液体現像剤では、前記トナー粒子を構成する樹脂材料の酸価が、0.1〜15mgKOH/gであることが好ましい。
【0011】
本発明の液体現像剤の製造方法は、トナー粒子を、脂肪酸トリグリセリドと脂肪酸モノエステルとを含み、前記脂肪酸トリグリセリドおよび前記脂肪酸モノエステルは、脂肪酸成分として、不飽和脂肪酸を含むものであり、前記脂肪酸モノエステルを構成するアルコール成分は、炭素数が1〜8のアルキル基を有する絶縁性液体中で粉砕、および/または解砕することを特徴とする。
【0012】
本発明の画像形成装置は、液体現像剤を貯留する液体現像剤貯留部と、
前記液体現像剤貯留部より供給された前記液体現像剤を用いて現像する現像部と、
前記現像部で形成された像を記録媒体上に転写し、転写像を形成する転写部と、
前記現像部、および/または前記転写部において残存した前記液体現像剤を回収する回収部と、
前記回収部より回収された前記液体現像剤を前記液体現像剤貯留部に搬送する搬送部と、
前記記録媒体上に形成された前記転写像を前記記録媒体上に定着させる定着部とを有し、
前記液体現像剤は、主として樹脂材料で構成されたトナー粒子と、絶縁性液体とを有し、前記絶縁性液体は、脂肪酸トリグリセリドと脂肪酸モノエステルとを含み、前記脂肪酸トリグリセリドおよび前記脂肪酸モノエステルは、脂肪酸成分として、不飽和脂肪酸を含むものであり、前記脂肪酸モノエステルを構成するアルコール成分は、炭素数が1〜8のアルキル基を有するものであることを特徴とする。
本発明の画像形成装置では、本発明の絶縁性液体を、前記液体現像剤貯留部に補給する絶縁性液体補給部を有することが好ましい。
【0013】
以上の構成を満足することにより、環境に優しく、十分に小粒径のトナー粒子を有する液体現像剤および絶縁性液体を提供することができる。また、このような液体現像剤の製造方法を提供することができる。また、前記液体現像剤および前記絶縁性液体を用いた画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態について、詳細に説明する。
《液体現像剤》
まず、本発明の絶縁性液体、液体現像剤について説明する。
本発明の液体現像剤は、絶縁性液体中に、トナー粒子が分散したものである。
<絶縁性液体>
まず、絶縁性液体について説明する。
本発明の絶縁性液体は、脂肪酸成分として不飽和脂肪酸を有する、脂肪酸トリグリセリド、および脂肪酸モノエステルを含むものである。なお、本明細書中で、不飽和脂肪酸トリグリセリドとは、脂肪酸成分として不飽和脂肪酸を分子構造内に1つでも有する脂肪酸トリグリセリドを意味する。
【0015】
ところで、従来の液体現像剤では、使用時等における画像形成装置外への絶縁性液体の漏出(例えば、定着時における絶縁性液体の揮発等)や、使用済液体現像剤の廃棄等による絶縁性液体の環境に対する影響が懸念されていた。また、従来の液体現像剤ではトナー粒子の表面に付着した絶縁性液体の存在により、トナー粒子の記録媒体への定着性が阻害される(定着強度が低下する)という問題点があった。
これに対して、本発明の絶縁性液体で用いられる脂肪酸トリグリセリド、および、脂肪酸モノエステルは、いずれも環境にやさしい成分である。したがって、画像形成装置外への絶縁性液体の漏出や、使用済液体現像剤の廃棄等による絶縁性液体の環境への負荷を低減することができる。その結果、環境に優しい液体現像剤を提供することができる。
【0016】
また、脂肪酸トリグリセリド、および脂肪酸モノエステルには、不飽和脂肪酸成分が含まれている。この不飽和脂肪酸成分は、トナー粒子の記録媒体への定着性向上に寄与することができる成分である。より詳しく説明すると、不飽和脂肪酸成分は、酸化されることにより(定着時に酸化されることにより)、重合反応が進行し、それ自体が硬化するため、記録媒体と、硬化した液体現像剤とのアンカー効果により、トナー粒子の定着性を向上させることができる。これにより、本発明によれば、記録媒体へのトナー粒子の定着特性を優れたものとすることができる。また、不飽和脂肪酸成分が硬化することにより、定着したトナー画像に対して、水性ボールペンでの追記を容易かつ確実に行うことができる。
【0017】
また、絶縁性液体中に含まれる脂肪酸モノエステルは、定着過程において樹脂粒子(トナー粒子)に浸透し、可塑剤効果を発現する。この可塑剤効果により、例えば、記録媒体として紙を用いた場合には、トナー粒子が紙繊維の隙間に入り込み易くなるため、トナー粒子の定着強度をより高いものとすることができる。また、上記の可塑剤効果により、トナー粒子をより低温で定着させることができる。
【0018】
また、絶縁性液体中に、脂肪酸トリグリセリドと、脂肪酸モノエステルとを両方含むことにより、保存時においては、トナー粒子同士が凝集するのが防止され、保存性、長期安定性に優れたものとなるとともに、定着時には、トナー粒子の記録媒体への定着強度を優れたものとすることができる。これは、以下のように説明することができる。すなわち、絶縁性液体中に含まれる脂肪酸トリグリセリド、および、脂肪酸モノエステルは、後述するようなトナー粒子の主成分である樹脂材料との親和性に優れている。したがって、トナー粒子の絶縁性液体中での分散性は良好なものとなり、保存時においては、トナー粒子同士の凝集(ブロッキング)が効果的に防止され、液体現像剤の保存性、長期安定性は優れたものとなる。一方、定着時においては、液体現像剤に熱が加えられることにより、脂肪酸モノエステルがトナー粒子に浸透し、上述したような可塑剤効果を発現させる。これにより、トナー粒子を、記録媒体に強固に定着させることができる。
【0019】
また、本発明のように、脂肪酸トリグリセリドおよび脂肪酸モノエステルを含む絶縁性液体を用いることにより、記録媒体に対してトナー粒子を低温で定着できるとともに、特に優れた定着強度を示すものとなる。これは、以下のように説明することができる。一般に、脂肪酸トリグリセリドと、脂肪酸モノエステルとでは、脂肪酸モノエステルのほうが、粘度が低い性質を有する。さらに、絶縁性液体中に脂肪酸トリグリセリド、および脂肪酸モノエステルの双方を含むことにより、絶縁性液体、液体現像剤、ともに適度な粘度とすることができ、液体現像剤の記録媒体内への浸透を好適なものとすることができる。さらに、絶縁性液体中の不飽和脂肪酸成分の酸化重合反応により、トナー粒子を含んだ状態で、絶縁性液体が硬化するため、硬化した液体現像剤と記録媒体とのアンカー効果により、トナー粒子を記録媒体へ強固に定着させることができる。
また、本発明の絶縁性液体を構成する脂肪酸モノエステルは、アルコール成分として、炭素数が1〜8のアルキル基を有するものである。
【0020】
このような液体現像剤の製造方法としては、絶縁性液体中でトナー材料(トナー粒子を構成する組成物)を粉砕、又は解砕し、絶縁性液体中にトナー粒子が分散した液体現像剤を得る方法が検討されている。このような方法では、液体中でトナー材料を粉砕、解砕するため、粉砕、解砕時に熱が発生するのを抑えることができ、粉砕、解砕されたトナー粒子同士が凝集、融着するのを防止することができる。また、粉砕、解砕に用いる液体が、最終的な液体現像剤中に含まれる絶縁性液体となるため、最終的に留去する必要がある液体中で、トナー材料を粉砕、解砕してトナー粒子を得る方法に比べ、製造コストを抑えることができる。ところが、このような方法では、絶縁性液体とトナー粒子を構成する樹脂材料との親和性、絶縁性液体の粘度の影響により、得られるトナー粒子を十分に小粒径化するのが困難であった。例えば、従来から、液体現像剤に含まれる絶縁性液体として広く用いられている脂肪族炭化水素系の液体は、トナー粒子を構成する樹脂材料との親和性に乏しい。このような液体中では、トナー材料を好適に粉砕、解砕しても、粉砕、解砕された粒子同士が凝集し易く、結果として、十分に小粒径のトナー粒子を得ることができないという問題があった。
【0021】
これに対して、アルコール成分として、炭素数が1〜8のアルキル基を有する脂肪酸モノエステルは、後述するようなトナー粒子を構成する樹脂材料との親和性に特に優れた成分である。したがって、このような成分を含む絶縁性液体中でトナー材料を粉砕、解砕する際、粉砕、解砕された粒子同士が凝集するのが確実に抑制される。また、上記の条件を満足する脂肪酸モノエステルと、脂肪酸トリグリセリドとを含む絶縁性液体は、適度な粘度を有するとともに、トナー粒子と特になじみ易い成分となる。これにより、粉砕、解砕時には、トナー材料を好適に粉砕、解砕することができる。結果として、トナー材料を絶縁性液体中で好適に粉砕、解砕することができるとともに、粉砕、解砕された粒子同士の凝集が確実に防止され、得られるトナー粒子を十分に小粒径のものとすることができる。また、このようにして得られた液体現像剤は、高解像度の要求に十分に応えるものとなる。
【0022】
上述したような優れた効果は、絶縁性液体中に、脂肪酸トリグリセリドと、アルコール成分として、炭素数が1〜8のアルキル基を有する脂肪酸モノエステルを含むことにより得られる効果である。これに対し、絶縁性液体中に脂肪酸トリグリセリド、または上記のような特徴を有する脂肪酸モノエステルのどちらかが欠けても本発明の効果を得ることができない。すなわち、絶縁性液体中に脂肪酸トリグリセリドを含まない場合には、トナー材料を粉砕、解砕する際に、トナー材料を構成する樹脂材料中に低分子量であり、かつ、低粘度の脂肪酸モノエステルが浸透し易くなり、粉砕、解砕された粒子同士が凝集し易くなる。その結果、得られるトナー粒子の粒径を小粒径化させることができなくなってしまうとともに、粗大粒子が含まれる液体現像剤となってしまう。また、絶縁性液体中に上記の特徴を有する脂肪酸モノエステルが含まれない場合には、絶縁性液体の粘度が高くなるとともに、絶縁性液体中でトナー材料を好適に粉砕、解砕するのに十分なトナー材料と絶縁性液体との親和性が保てなくなる。その結果、トナー材料を好適に粉砕、解砕することができなくなり、十分に小粒径のトナー粒子を有する液体現像剤を得ることができない。また、絶縁性液体中に脂肪酸モノエステルを含む場合でも、脂肪酸モノエステルを構成するアルコール成分として、炭素数が9以上のアルキル基を有する脂肪酸モノエステルしか含まない場合には、絶縁性液体の粘度が高くなり、トナー材料を好適に粉砕、解砕することが困難となる。
このように、本発明の液体現像剤は、絶縁性液体が、アルコール成分として炭素数が1〜8のアルキル基を有する脂肪酸モノエステルを含むものであるが、上記の条件を満足する脂肪酸モノエステルの中でも、アルキル基が次に示すような条件を満足する場合には、上述した効果に加え、さらに以下のような効果を得ることができる。
【0023】
すなわち、絶縁性液体を構成する脂肪酸モノエステルが、アルコール成分として、炭素数が1〜7の直鎖アルキル基を有するものである場合には、定着時に、熱が加えられることにより、トナー粒子への脂肪酸モノエステルの浸透が速やかに行われ、好適に可塑剤効果を発現する。これにより、短時間でトナー粒子を記録媒体に定着させることが望まれる、高速での画像形成に好適に用いることができるとともに、その定着強度を特に優れたものとすることができる。
さらに、絶縁性液体として、脂肪酸トリグリセリド、および、上述したような特徴を有する脂肪酸モノエステルに加え、後述するような加水分解抑制剤を含ませることにより、液体現像剤の保存性、長期安定性、および定着特性のいずれをも特に優れたものとすることができる。これは以下のように説明することができる。
【0024】
すなわち、上述したような特徴を有する脂肪酸モノエステルを含め、アルコール成分として、直鎖アルキル基を有する脂肪酸モノエステルは、空気中に存在する水分、もしくは、絶縁性液体中にわずかながら含まれる水分と反応(加水分解)し、脂肪酸とアルコールとに分解され易い。液体現像剤中に、このようにして分解された脂肪酸(遊離脂肪酸)が多量に含まれると、保存時においても遊離脂肪酸がトナー粒子に浸透してしまう。その結果、トナー粒子同士の不本意な凝集を引き起こし、液体現像剤として、十分に満足できる保存性、長期安定性を得ることが難しくなる。さらに、過度に遊離脂肪酸が含まれた絶縁性液体は、電気絶縁性が低下してしまい、後述するような画像形成装置を用いて現像する際に、トナー粒子の静電潜像への付着が不十分となり、高精細、高画質のトナー画像を得ることが困難となる。これに対して、絶縁性液体として、後述するような加水分解抑制剤を含ませることにより、絶縁性液体中の遊離脂肪酸の発生量を好適に抑制することができ、結果として、液体現像剤の保存性、長期安定性、および定着特性のいずれもが特に優れたものとなる。
また、絶縁性液体を構成する脂肪酸モノエステルが、アルコール成分として、炭素数が3〜8の直鎖アルキル基を有するものである場合には、以下のような効果を得ることができる。
【0025】
すなわち、上述したように、アルコール成分として、直鎖アルキル基を有する脂肪酸モノエステルは、絶縁性液体に含まれる水分と反応(加水分解)し、遊離脂肪酸を発生する成分である。これに対して、アルコール成分として、炭素数が3〜8の分岐アルキル基を有する脂肪酸モノエステルは、定着時において、上述したような可塑剤効果を確実に発現させるとともに、分岐アルキル基が立体障害となり、脂肪酸モノエステルのエステル結合部に水分子が近づきにくく、脂肪酸モノエステルの加水分解が抑制される。これにより、絶縁性液体中の遊離脂肪酸の発生量を長期間に渡って、好適に抑制することができる。したがって、液体現像剤を構成する絶縁性液体として、このような脂肪酸モノエステルと、脂肪酸トリグリセリドとを組み合わせたものを用いることによって、液体現像剤の保存性、長期安定性、および定着特性のいずれもが特に優れたものとなる。
このような絶縁性液体中における脂肪酸トリグリセリドの含有量は、55〜95wt%であるのが好ましく、57〜90wt%であるのがより好ましい。上記条件を満たす絶縁性液体を含む液体現像剤は、保存性、長期安定性が特に優れたものとなる。
【0026】
また、このような絶縁性液体中における脂肪酸モノエステルの含有量は、5〜45wt%であるのが好ましく、10〜43wt%であるのがより好ましい。これにより、定着時における、脂肪酸モノエステルのトナー粒子への浸透はさらに好適なものとなり、確実に可塑剤効果を発現させる。これにより、記録媒体へのトナー粒子の定着特性を特に優れたものとすることができる。
【0027】
また、絶縁性液体における、脂肪酸トリグリセリドと上記の特徴を有する脂肪酸モノエステルとの比率は、特に限定されないが、以下のような関係を満足するのが好ましい。すなわち、絶縁性液体中における脂肪酸トリグリセリドの含有率をX[wt%]、絶縁性液体中における脂肪酸モノエステルの含有率をY[wt%]としたとき、1≦X/Y≦19の関係を満足するのが好ましく、1.4≦X/Y≦9の関係を満足するのがより好ましい。これにより、保存時においては、脂肪酸モノエステルがトナー粒子に浸透するのが好適に抑制され、一方、定着時には、トナー粒子に脂肪酸モノエステルを十分に浸透させ、確実に可塑剤効果を発現することができる。これにより、液体現像剤の保存性、長期安定性、および、トナー粒子の記録媒体への定着特性はさらに優れたものとなる。
【0028】
また、このような絶縁性液体の酸価は、0.01〜1.0mgKOH/gであるのが好ましく、0.02〜0.5mgKOH/gであるのがより好ましい。これにより、液体現像剤の保存性、長期安定性は特に優れたものとなる。また、後述するような液体現像剤の製造方法では、トナーを構成する材料を、上述したような脂肪酸モノエステル、および脂肪酸トリグリセリドなどとともに粉砕、もしくは解砕を行う。この際、上記条件を満足する絶縁性液体を用いることにより、トナー材料を、より効率よく粉砕、もしくは解砕することができるため、トナー粒子の製造時間の短縮を図ることができるとともに、得られるトナー粒子の粒径をより均一なものとすることができる。
【0029】
[脂肪酸トリグリセリド]
本発明において、絶縁性液体中の脂肪酸トリグリセリドは、脂肪酸とグリセリンとの間のトリエステル(トリグリセリド)であり、脂肪酸成分として不飽和脂肪酸を含むものである。
絶縁性液体中の脂肪酸トリグリセリドが、脂肪酸成分として不飽和脂肪酸を含むことにより、液体現像剤の保存性、長期安定性を優れたものとしつつ、トナー粒子を記録媒体に強固に定着させることができる。このような不飽和脂肪酸成分としては、例えば、オレイン酸、パルミトレイン酸、ミリストレイン酸等の1価の不飽和脂肪酸や、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)等、分子中に二重結合を複数有する多価の不飽和脂肪酸や、これらの共役不飽和脂肪酸等が挙げられる。
【0030】
また、上述した不飽和脂肪酸成分の中でも、1価の不飽和脂肪酸は、特に優れた化学的安定性を有している。したがって、絶縁性液体中の脂肪酸トリグリセリドが、脂肪酸成分として、1価の不飽和脂肪酸を含む場合には、液体現像剤の保存性、長期安定性は特に優れたものとなる。一方、多価の不飽和脂肪酸は、1価の不飽和脂肪酸に比べ、反応性(酸化反応性)が高い成分である。したがって、絶縁性液体中の脂肪酸トリグリセリドが、脂肪酸成分として、多価の不飽和脂肪酸を含む場合には、定着時における、絶縁性液体の酸化重合反応は好適に進行し、トナー粒子を記録媒体により強固に定着させることができる。
【0031】
また、脂肪酸トリグリセリドが、脂肪酸成分として、不飽和脂肪酸に加え、飽和脂肪酸を含む場合、液体現像剤の化学的安定性や電気絶縁性を高く保つことができるため、液体現像剤の化学的変化を防止し、電気抵抗を高く維持することができ、液体現像剤の保存性、長期安定性を向上させることができる。このような飽和脂肪酸としては、例えば、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミスチリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等が挙げられる。
【0032】
上記のような脂肪酸トリグリセリドは、例えば、大豆油、菜種油、サフラワー油、ヒマワリ油、亜麻仁油、オリーブ油、コーン油、椿油、綿実油、脱水ひまし油、パーム核油、ヤシ油等の植物由来の油脂や、ニシン油、イワシ油等の動物由来の油脂等、天然由来の油脂を精製することにより効率良く得ることができる。精製する方法としては、例えば、未精製の油脂を沸騰した水と混合し、混合液が完全に3層に分離した後、冷凍庫内で凍結する成分を取り除くという方法が挙げられる。また、この方法を繰り返し行うことにより、より純度の高い脂肪酸トリグリセリドを得ることができる。
【0033】
また、脂肪酸トリグリセリドは、それを構成する全脂肪酸成分に対して、1価の不飽和脂肪酸を、5〜80mol%含んでいるのが好ましく、15〜80mol%含んでいるのがより好ましい。これにより、液体現像剤の保存性、長期安定性を特に優れたものとすることができる。
また、脂肪酸トリグリセリドは、それを構成する全脂肪酸成分に対して、多価の不飽和脂肪酸を、15〜80mol%含んでいるのが好ましく、20〜70mol%含んでいるのがより好ましい。これにより、トナー粒子を記録媒体により強固に定着させることができる。
また、脂肪酸トリグリセリドは、それを構成する全脂肪酸成分に対して、飽和脂肪酸成分を、5〜20mol%含んでいるのが好ましく、10〜18mol%含んでいるのがより好ましい。これにより、液体現像剤の保存性、長期安定性を特に優れたものとすることができる。
【0034】
[脂肪酸モノエステル]
本発明において、絶縁性液体中の脂肪酸モノエステルは、脂肪酸と1価のアルコールとの間のモノエステルであり、脂肪酸成分として不飽和脂肪酸を含むものである。
このような脂肪酸モノエステルは、脂肪酸成分として、炭素数が14〜22である不飽和脂肪酸を含んでいるものが好ましい。これにより、不飽和脂肪酸モノエステルの、定着時におけるトナー粒子への浸透がより好適なものとなり、可塑剤としての効果を十分に発現する。また、記録媒体への絶縁性液体の浸透が好適なものとなるとともに、酸化重合反応により、液体現像剤がより好適に硬化する。これらの効果により、記録媒体へのトナー粒子の定着特性はより優れたものとなる。このような不飽和脂肪酸成分としては、例えば、オレイン酸、パルミトレイン酸、ミリストレイン酸等の1価の不飽和脂肪酸や、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)等、分子中に二重結合を複数有する多価不飽和脂肪酸や、これらの共役不飽和脂肪酸等が挙げられる。
【0035】
また、脂肪酸モノエステルの脂肪酸成分は、主として不飽和脂肪酸であるが、一部に飽和脂肪酸を含んでいてもよい。これにより、絶縁性液体の保存性、長期安定性はさらに優れたものとなる。このような飽和脂肪酸としては、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミスチリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等が挙げられる。
【0036】
また、脂肪酸モノエステルは脂肪酸と1価のアルコールとの間のモノエステルであるが、脂肪酸モノエステルを構成するアルコール成分は、炭素数が1〜8のアルキル基を有するものである。絶縁性液体が、このような特徴を有する脂肪酸モノエステルと、前述した脂肪酸トリグリセリドを含むことにより、トナー材料を絶縁性液体中で好適に粉砕、解砕することができるとともに、粉砕、解砕された粒子同士の凝集が確実に防止され、得られるトナー粒子を十分に小粒径のものとすることができる。また、このようにして得られた液体現像剤は、高解像度の要求に十分に応えるものとなる。天然油脂(例えば、脂肪酸トリグリセリド)とのエステル交換反応により、炭素数が1〜8のアルキル基となるアルコールとしては、メタノール(C1)、エタノール(C2)、プロパノール(C3)、ブタノール(C4)、ペンタノール(C5)、ヘキサノール(C6)、ヘプタノール(C7)、オクタノール(C8)の、天然油脂とのエステル交換反応により直鎖アルキル基となるアルコール、イソプロパノール(C3)、2−ブタノール(C4)、イソブタノール(C4)、tert−ブタノール(C4)、2−ペンタノール(C5)、3−ペンタノール(C5)、2,2−ジメチル−1プロパノール(C5)、2−ヘキサノール(C6)、3−メチルー3−ペンタノール(C6)、2,3−ジメチル−2−ブタノール(C6)、2−ヘプタノール(C7)、2,4−ジメチルー3−ペンタノール(C7)、2−オクタノール(C8)、2−エチルー1−ヘキサノール(C8)、1,1−ジエチル−3−メチル−1−プロパノール(C8)等の、天然油脂とのエステル交換反応により分岐アルキル基となるアルコールが挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0037】
このようなアルコールの中でも、天然油脂とのエステル交換反応により炭素数が1〜7の直鎖アルキル基となるアルコール成分を有する脂肪酸モノエステルを含む絶縁性液体は、定着時において、脂肪酸モノエステルがトナー粒子に浸透することにより、好適に可塑剤効果を発現する。これにより、記録媒体へのトナー粒子の定着特性を優れたものとすることができる。
また、脂肪酸モノエステルを構成するアルコール成分が、炭素数が1〜7の直鎖アルキル基を有することにより上述したような効果を得ることができるが、このような直鎖アルキル基として、炭素数が、1〜5であるのがより好ましく、1〜3であるのがさらに好ましい。これにより、上述したような効果はより顕著なものとなる。
【0038】
また、絶縁性液体中に、このようなアルコールの中でも、天然油脂とのエステル交換反応により炭素数が3〜8の分岐アルキル基となるアルコール成分を有する脂肪酸モノエステルを含む場合には、以下のような効果を得ることができる。すなわち、絶縁性液体中の遊離脂肪酸の発生量は、長期間に渡って、好適に抑制され、液体現像剤の保存性、長期安定性は優れたものとなる。また、定着時には、このような脂肪酸モノエステルがトナー粒子に浸透することにより、好適に可塑剤効果を発現する。これにより、記録媒体へのトナー粒子の定着特性を優れたものとすることができる。
【0039】
また、脂肪酸モノエステルを構成するアルコール成分が、炭素数が3〜8の分岐アルキル基を有するものである場合には、このようなアルコールは、第二級アルコールもしくは第三級アルコールであることが好ましい。これにより、絶縁性液体中に遊離脂肪酸が発生するのをより好適に抑制することができ、液体現像剤の保存性、長期安定性はさらに優れたものとなる。これは、以下のような理由によるものと考えられる。第二級アルコール、もしくは第三級アルコールと脂肪酸とのエステル交換反応により、生成される脂肪酸モノエステルのアルコール成分は、エステル結合部に最も近い炭素に、アルキル基が2つ、もしくは3つ結合した構造を有している。このような構造を有する分岐アルキル基は、エステル結合部に最も近い炭素に、アルキル基が1つしか結合していない直鎖アルキル基(脂肪酸と第一級アルコールとのエステル交換反応により生成される脂肪酸モノエステルのアルコール成分)に比べ、エステル結合部周辺での立体障害が大きくなり、エステル結合部に水分子等が近づくのをより効果的に抑制することができると考えられる。このため、上述したような効果を得ることができると考えられる。
【0040】
また、脂肪酸モノエステルを構成するアルコール成分が、炭素数が3〜8の分岐アルキル基を有することにより上述したような効果を得ることができるが、このような分岐アルキル基としては、炭素数が、3〜5であるのがより好ましい。これにより、上述したような効果はより顕著なものとなる。
また、絶縁性液体を構成する脂肪酸モノエステルは、前述した脂肪酸トリグリセリドと炭素数が1〜8である1価のアルキルアルコールとのエステル交換反応により生成されたものであるのが好ましい。これにより、液体現像剤中のトナー粒子を十分に小粒径化することができる。
【0041】
また、全脂肪酸モノエステル中、脂肪酸成分として、1価の不飽和脂肪酸で構成された脂肪酸モノエステルを、10〜75wt%含んでいるのが好ましく、15〜65wt%含んでいるのがより好ましい。これにより、液体現像剤の保存性、長期安定性を特に優れたものとすることができる。
また、全脂肪酸モノエステル中、脂肪酸成分として、多価の不飽和脂肪酸で構成された脂肪酸モノエステルを、15〜80wt%含んでいるのが好ましく、20〜70wt%含んでいるのがより好ましい。これにより、トナー粒子を記録媒体により強固に定着させることができる。
また、全脂肪酸モノエステル中、脂肪酸成分として、飽和脂肪酸で構成された脂肪酸モノエステルを、5〜20wt%含んでいるのが好ましく、10〜18wt%含んでいるのがより好ましい。これにより、液体現像剤の保存性、長期安定性を特に優れたものとすることができる。
【0042】
また、絶縁性液体中には、脂肪酸トリグリセリドおよび脂肪酸モノエステルの加水分解を抑制する機能を有する加水分解抑制剤を含んでいてもよい。
絶縁性液体を構成する成分として、このような加水分解抑制剤を含むことにより、脂肪酸トリグリセリドおよび脂肪酸モノエステルから遊離脂肪酸が発生するのを効果的に抑制することができる。これにより、記録媒体へのトナー粒子の定着特性に優れるとともに、保存時におけるトナー粒子の不本意な凝集が防止され、液体現像剤の保存性、長期安定性は優れたものとなる。
【0043】
このような加水分解抑制剤の機能としては、脂肪酸トリグリセリドおよび脂肪酸モノエステルの加水分解反応の阻害、停止、遅延等のほか、切断されたエステル結合を再結合させること等が挙げられ、結果として、加水分解生成物(遊離脂肪酸とアルコール)の生成量を抑制する機能を有しているものであればよい。このような加水分解抑制剤としては、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ヘキサメチレン ビス[3−(3,5−di−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ベンゼンプロパン酸,3,5−ビス(1,1−ジメチル−エチル)−4−ヒドロキシ−,C7〜C9 側鎖アルキルエステル等のフェノール系化合物、チオジエチレン ビス[3−(3,5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等の硫黄系化合物、N−フェニル−1,1,3,3−テトラメチルブチルナフタレン−1−アミン、N−フェニルベンゼンと2,4,4−トリメチルペンテンの反応生成物、N−イソプロピル−N’フェニル−p−フェニレンジアミン等の芳香族アミン系化合物、亜りん酸トリフェニル、亜りん酸トリス(ビフェニル−2−イル)、亜りん酸トリス(ビフェニル−4−イル)、トリス(2−シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、亜りん酸ジフェニル、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、イルガホス168、トリス(2,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ホスファイト、テトラキス[O−(フェニルトリデシルホスファイト)メチル]メタン、亜りん酸トリス(4−ノニルフェニル)、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(ノニルフェニル)(ビフェニル−2−イル)ホスファイト、トリス(α−メチルベンジルフェニル)ホスファイト、ビス(シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、テトラアルキル−4,4‘−ブチリデンビス(2−t−ブチル−5−メチルフェニル)ジホスファイト、亜りん酸トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)=イルガホス168、亜りん酸トリス(2,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)、ジフェニルアルキル(C=12〜20)ホスファイト、亜りん酸トリス(2,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)、[ジアルキル(C=8〜18)ビス[アルキル(C=8〜18)フェニル]],またはテトラアルキル(C=8〜18)4,4′−イソプロピリデンジシクロヘキシルジホスファイト、アルキル(C=8〜12)[またはアルキル(C=8〜12)フェニル]シクロヘキシルフェニルホスファイト、亜りん酸ジ(又はモノ)イソプロピルベンジルモノ(又はジ)フェニル、ジ(又はモノ)(イソプロピルベンジル)モノ(又はジ)フェニルホスファイト、ジフェニルイソアルキル(C=17〜25)ホスファイト、ヘキサアルキルまたは[トリアルキル(C=8〜18)トリス(アルキル(C=8,9)フェニル)]1,1,3−トリス(3−tert−ブチル−6−メチル−4−オキシフェニル)−3−メチルプロパントリホスファイト、テトラ(2ノニルフェニル)ジイソプロピレングリコールジホスファイト、テトラ(3−ノニフェニル)ジイソプロピレングリコールジホスファイト、テトラ(4−ノニルフェニル)ジイソプロピレングリコールジホスファイト、ジ(ラウロキシエチル)フェニルホスファイト等のフェノールホスファイト系化合物、N,N’ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N,N'−ジイソプロピルカルボジイミド、N−エチル−N'−(3−ジメチルアミノプロリル)等のカルボジイミド基を有する化合物や、その他、アシル基、イソシアネート基を有する化合物、また、トコフェロール等が挙げられる。
【0044】
絶縁性液体中に含まれる加水分解抑制剤としては、上述したような化合物のうち1種または2種以上を組み合わせて用いることが出来るが、このような化合物の中でも、加水分解抑制剤として、フェノールホスファイト系化合物を用いるのが好ましい。絶縁性液体中にこのような加水分解抑制剤を含むことにより、脂肪酸トリグリセリドおよび脂肪酸モノエステルから遊離脂肪酸が発生するのを抑制しつつ、絶縁性液体中に適度な量の遊離脂肪酸を存在させることができる。このような絶縁性液体を用いた液体現像剤では、液体現像剤の保存性、長期安定性を優れたものとしつつ、トナー粒子の記録媒体への定着特性をさらに優れたものとすることができる。さらに、定着時に発生する脂肪酸トリグリセリドおよび脂肪酸モノエステルから発生する臭気をより効果的に防止することができる。上記の効果は、以下に述べるような理由により、得られるものと考えられる。
【0045】
すなわち、保存時においては、絶縁性液体中の遊離脂肪酸は適度な量であるため、このような遊離脂肪酸が液体現像剤に悪影響を及ぼすことはなく、液体現像剤の保存性、長期安定性は十分に優れたものとなる。一方、定着時においては、遊離脂肪酸が、脂肪酸モノエステルとともに、トナー粒子に浸透する。このような遊離脂肪酸は、分解される前の脂肪酸モノエステルに比べ、分子量が小さく、トナー粒子への浸透性に優れている。したがって、遊離脂肪酸を含まない絶縁性液体に比べ、遊離脂肪酸を適量含む絶縁性液体は、トナー粒子への可塑剤効果を強く発現させ、トナー粒子を記録媒体に速やかに定着させることができ、高速での画像形成に好適に用いることができるものとなる。
【0046】
さらに、定着時には、液体現像剤に熱が加えられているが、この熱により、フェノールホスファイト系化合物が有する加水分解を抑制する機能が弱まり、脂肪酸トリグリセリドおよび脂肪酸モノエステルは、脂肪酸(遊離脂肪酸)とアルコールとに分解され易くなるとも考えられる。このように、定着時において、絶縁性液体中に発生した遊離脂肪酸は、トナー粒子への可塑剤効果を促進させ、トナー粒子を記録媒体により強固に定着させることができる。さらに、このような遊離脂肪酸は、記録媒体である紙の構成材料(セルロース)との親和性、反応性に富む成分であり、一部の遊離脂肪酸は、紙に好適に浸透する一方、一部の遊離脂肪酸は、セルロースの水酸基と反応し、エステル結合を形成するとも考えられる。このようにエステル結合した遊離脂肪酸は、揮発しないため、結果として、定着特性を特に優れたものとすることができるとともに、定着時に揮発する絶縁性液体の成分を減らすことができ、画像形成装置から排出される臭気を効果的に抑えることができると考えられる。
【0047】
さらに、フェノールホスファイト系化合物は、加水分解抑制剤としての機能を長期間に渡って維持し続けるため、例えば、液体現像剤の保存期間が長期間に及んでも、液体現像剤中に遊離脂肪酸が過度に発生するのを、より効率良く防止することができる。これにより、トナー粒子を記録媒体により強固に定着させることができるとともに、液体現像剤の保存性、長期安定性を特に優れたものとすることができる。
【0048】
また、フェノールホスファイト系化合物は、一般に、透明、または薄い白色の化合物であり、トナーに用いた場合であっても、形成したトナー画像の色調に影響を与えにくい。また、フェノールホスファイト系化合物は、熱に対して安定であり、画像形成を行う際の定着による熱では壊れにくい。このため、定着後においても、フェノールホスファイト系化合物は熱によって変質せず、定着したトナー画像の色調に影響を与えにくい。
【0049】
このようなフェノールホスファイト系化合物の分子量は、173〜2000であることが好ましく、200〜1500であることがより好ましい。フェノールホスファイト系化合物の分子量が、このような範囲であると、フェノールホスファイト系化合物は、絶縁性液体との親和性に優れるため、液体現像剤の環境安定性を特に優れたものにすることができる。
【0050】
また、上述したようなフェノールホスファイト系化合物の中でも、テトラアルキル−4,4‘−ブチリデンビス(2−t−ブチル−5−メチルフェニル)ジホスファイトを用いることが好ましく、上記化合物の中でも、テトラトリデシル−4,4‘−ブチリデンビス(2−t−ブチル−5−メチルフェニル)ジホスファイトを用いることがより好ましい。これにより、上述したような効果はより顕著に現れる。
【0051】
また、このような絶縁性液体中における加水分解抑制剤の含有量は、全絶縁性液体中、0.01〜5.0wt%であるのが好ましく、0.05〜2.0wt%であるのがより好ましい。上記条件を満足する絶縁性液体では、脂肪酸トリグリセリドおよび上述したような脂肪酸モノエステルから遊離脂肪酸が発生するのをより効果的に抑制することができる。これにより、トナー粒子の記録媒体への定着特性を優れたものとしつつ、液体現像剤の保存性、長期安定性は特に優れたものとなる。
【0052】
また、液体現像剤(絶縁性液体)中には、トナー粒子の分散性を向上させる分散剤が含まれていてもよい。
このような分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ソルスパース(日本ルーブリゾール社の商品名)、ポリカルボン酸およびその塩、ポリアクリル酸金属塩(例えば、ナトリウム塩等)、ポリメタクリル酸金属塩(例えば、ナトリウム塩等)、ポリマレイン酸金属塩(例えば、ナトリウム塩等)、アクリル酸−マレイン酸共重合体金属塩(例えば、ナトリウム塩等)、ポリスチレンスルホン酸金属塩(例えば、ナトリウム塩等)、ポリアミン脂肪酸縮重合体等の高分子分散剤、粘度鉱物、シリカ、燐酸三カルシウム、トリステアリン酸金属塩(例えば、アルミニウム塩等)、ジステアリン酸金属塩(例えば、アルミニウム塩、バリウム塩等)、ステアリン酸金属塩(例えば、カルシウム塩、鉛塩、亜鉛塩等)、リノレン酸金属塩(例えば、コバルト塩、マンガン塩、鉛塩、亜鉛塩等)、オクタン酸金属塩(例えば、アルミニウム塩、カルシウム塩、コバルト塩等)、オレイン酸金属塩(例えば、カルシウム塩、コバルト塩等)、パルミチン酸金属塩(例えば、亜鉛塩等)、ドデシルベンゼンスルホン酸金属塩(例えば、ナトリウム塩等)、ナフテン酸金属塩(例えば、カルシウム塩、コバルト塩、マンガン塩、鉛塩、亜鉛塩等)、レジン酸金属塩(例えば、カルシウム塩、コバルト塩、マンガン鉛塩、亜鉛塩等)等が挙げられる。
【0053】
上述した分散剤の中でも、ポリアミン脂肪酸縮重合体を用いた場合、トナー粒子の表面にポリアミン脂肪酸縮重合体を付着させることができ、これにより、トナー粒子同士の不本意な凝集を防止することができる。また、脂肪酸モノエステルのトナー粒子への浸透性を高めることができ、脂肪酸モノエステルによる可塑剤効果をより顕著なものとすることができる。その結果、記録媒体に対してトナー粒子をより強固に定着させることができる。また、トナー粒子の帯電特性をより高いものとすることができる。
ポリアミン脂肪酸縮重合体を用いた場合、液体現像剤中におけるポリアミン脂肪酸縮重合体の含有量は、トナー粒子100重量部に対して、0.5〜7.5重量部であるのが好ましく、1〜5重量部であるのがより好ましい。これにより、ポリアミン脂肪酸縮重合体を用いることによる効果をより顕著なものとすることができる。
【0054】
また、液体現像剤(絶縁性液体)中には、帯電制御剤が含まれていてもよい。
帯電制御剤としては、例えば、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の金属酸化物、安息香酸の金属塩、サリチル酸の金属塩、アルキルサリチル酸の金属塩、カテコールの金属塩、含金属ビスアゾ染料、ニグロシン染料、テトラフェニルボレート誘導体、第四級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、塩素化ポリエステル、ニトロフニン酸等が挙げられる。
上述したような絶縁性液体の室温(20℃)での電気抵抗は、1×1012Ωcm以上であるのが好ましく、7×1012Ωcm以上であるのがより好ましい。
また、絶縁性液体の誘電率は、3.5以下であるのが好ましい。
【0055】
<トナー粒子>
次に、トナー粒子について説明する。
[トナー粒子の構成材料(トナー材料)]
本発明の液体現像剤は、上記のような絶縁性液体中にトナー粒子が分散している。
本発明の液体現像剤を構成するトナー粒子(トナー)は、少なくとも、樹脂材料を含むものである。
【0056】
1.樹脂材料
液体現像剤を構成するトナーは、主成分としての樹脂材料を含む材料で構成されている。
本発明においては、樹脂(バインダー樹脂)は、特に限定されず、例えば、公知の樹脂を用いることができるが、ポリエステル樹脂を用いるのが好ましい。ポリエステル樹脂は、前述した脂肪酸モノエステル、および脂肪酸トリグリセリドと同じく、エステル成分を分子構造内に有していることから、絶縁性液体との親和性が高く、液体現像剤中でのトナー粒子の分散性を特に優れたものとすることができる。また、定着時には、脂肪酸モノエステルが浸透し易く、上述したような可塑剤効果を確実に発現させることができる。これにより、保存時におけるトナー粒子同士の凝集を、より効率的に防止し、液体現像剤の保存性、長期安定性を特に優れたものとするとともに、トナー粒子の記録媒体への定着特性はさらに優れたものとすることができる。さらに、ポリエステル樹脂は、透明性が高く、結着樹脂として用いた場合、得られる画像の発色性を高いものとすることができる。
【0057】
また、このような樹脂の酸価は、0.1〜15mgKOH/mgであるのが好ましく、1〜10mgKOH/mgであるのがより好ましく、3〜8mgKOH/mgであるのがさらに好ましい。上記条件を満足する樹脂材料で構成されたトナー粒子は、前述したような絶縁性液体との親和性が特に優れたものとなる。これにより、保存時においては、液体現像剤中でのトナー粒子の分散性はより優れたものとなり、トナー粒子同士が凝集するのを、長期間に渡って、より効率よく防止することができる。また、定着時においては、トナー粒子への絶縁性液体の浸透はより好適なものとなり、可塑剤効果がより強く発現され、トナー粒子を記録媒体により強固に定着させることができる。
【0058】
また、このような樹脂(樹脂材料)の軟化温度は、特に限定されないが、50〜130℃であるのが好ましく、50〜120℃であるのがより好ましく、60〜115℃であるのがさらに好ましい。なお、本明細書で、軟化温度とは、高化式フローテスター(島津製作所製)における測定条件:昇温速度:5℃/min、ダイ穴径1.0mmで規定される軟化開始温度のことを指す。
【0059】
2.着色剤
また、トナーは、着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、特に限定されず、例えば、公知の顔料、染料等を使用することができる。
3.その他の成分
また、トナーは、上記以外の成分を含んでいてもよい。このような成分としては、例えば、公知のワックス、磁性粉末等が挙げられる。
また、トナーの構成材料(成分)としては、上記のような材料のほかに、例えば、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化セリウム、シリカ、酸化チタン、酸化鉄、脂肪酸、脂肪酸金属塩等を用いてもよい。
【0060】
[トナー粒子の形状等]
本発明の液体現像剤に適用されるトナー粒子としては、その表面に微小の凹凸を有するものを用いるのが好ましい。このように微小の凹凸を有することにより、前述した脂肪酸モノエステルをトナー粒子の表面付近により効果的に偏在(吸着)させることができる。
上記のような材料で構成されたトナー粒子の平均粒径は、0.1〜3μmであるのが好ましく、0.5〜2.5μmであるのがより好ましく、0.5〜2.0μmであるのがさらに好ましい。トナー粒子の平均粒径が前記範囲内の値であると、液体現像剤(トナー)により形成される画像の解像度を十分に高いものとすることができる。また、本発明の絶縁性液体を用いることによって、絶縁性液体中で粉砕、解砕されたトナー粒子の粒径は、確実に上記の範囲内の粒径を有するものとなる。なお、本明細書では、「平均粒径」とは、体積基準の平均粒径のことを指すものとする。
【0061】
また、液体現像剤を構成するトナー粒子間での粒径の標準偏差は、1.0μm以下であるのが好ましく、0.1〜1.0μmであるのがより好ましく、0.1〜0.8μmであるのがさらに好ましい。これにより、各トナー粒子間での特性のばらつきが特に小さくなり、液体現像剤全体としての信頼性がさらに向上する。
また、液体現像剤を構成するトナー粒子についての下記式(I)で表される円形度Rの平均値(平均円形度)は、0.94〜0.99であるのが好ましく、0.96〜0.99であるのがより好ましい。
【0062】
R=L/L・・・(I)
(ただし、式中、L[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の周囲長、L[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の面積に等しい面積の真円の周囲長を表す。)
【0063】
トナー粒子の平均円形度がこのような範囲のものであると、記録媒体上に転写した未定着のトナー画像中に絶縁性液体を適度に含ませることができ、トナー粒子の定着強度をより高いものとすることができる。
液体現像剤中におけるトナー粒子の含有率は、10〜60wt%であるのが好ましく、20〜50wt%であるのがより好ましい。
【0064】
なお、上述したような各成分で構成された液体現像剤(本発明の液体現像剤)の粘度(25℃において、振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して測定される粘度)は、50〜1000mPa・sであるのが好ましく、100〜900mPa・sであるのがより好ましく、150〜800mPa・sであるのがさらに好ましい。これにより、記録媒体中への液体現像剤の浸透はより好適なものとなるため、記録媒体へのトナー粒子の定着特性はより優れたものとなる。また、記録媒体に得られる画像が、ムラのない鮮明なものとなり、かつ、高速での画像形成に適応した液体現像剤として、特に適したものとなる。しかしながら、脂肪酸モノエステルを含まない場合には、絶縁性液体の粘度が高くなりすぎてしまい、トナー粒子表面に多量の絶縁性液体が付着した状態で、記録媒体へと定着してしまう。このようにトナー粒子表面に多量に絶縁性液体が存在すると、粘度の高い絶縁性液体は、記録媒体中に浸透しにくいため、記録媒体へのトナー粒子の定着特性が悪化し、高速での画像形成も困難となる可能性がある。また、前述したような可塑剤効果が十分に発揮されず、優れた定着特性および形成画像の光沢度を得ることができない。また、脂肪酸トリグリセリドを含まない場合には、絶縁性液体の粘度が低くなりすぎてしまい、例えば、後述するような画像形成装置において、液体現像剤を、現像剤容器より塗布ローラで汲み出すことが困難となり、記録媒体に対して、トナー粒子を均一に定着することができず、得られる画像にムラが生じ、また、画像濃度が薄いものとなり、さらには、記録媒体へのトナー粒子の定着特性が不十分なものとなってしまう可能性がある。
【0065】
また、上述したような各成分で構成された液体現像剤(本発明の液体現像剤)の電気抵抗は、1.5×1012Ωcm以上であるのが好ましく、2.0×1012Ωcm以上であるのがより好ましい。
また、上述したような絶縁性液体は、例えば、上述したような脂肪酸トリグリセリドと脂肪酸モノエステルとを混合することにより製造することができる。このような絶縁性液体とトナー粒子とを混合することにより液体現像剤を製造することができるが、以下のような方法を用いて製造することもできる。
【0066】
《液体現像剤の製造方法》
次に、本発明の液体現像剤の製造方法の好適な実施形態について説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の液体現像剤の製造方法の第1実施形態について説明する。
本実施形態の液体現像剤の製造方法では、樹脂材料および着色剤からなるトナー材料を得るトナー材料調製工程と、脂肪酸モノエステル、もしくは、脂肪酸モノエステルと脂肪酸トリグリセリドの一部との混合溶液中において、トナー材料で構成された粗粉砕物を粉砕し、粉砕物分散液を得る粉砕工程と、粉砕物分散液と、脂肪酸トリグリセリドとを混合する混合工程とを有する。
【0067】
[トナー材料調製工程]
まず、主として樹脂材料で構成されたトナー材料の調製方法の一例について説明する。
このようなトナー材料は、いかなる方法で調製されるものであってもよいが、本実施形態では、前述したような公知の樹脂材料、着色剤などのトナー用材料を混練し、トナー材料で構成された混練物を得た後、混練物を粗粉砕することにより、トナー材料で構成された粗粉砕物を得る。
【0068】
このように、樹脂材料と着色剤とを混練することにより、後述する粉砕工程において、トナー粒子を構成する材料中に、互いに分散または相溶し難い成分を含む場合であっても、得られる混練物中においては、各成分が十分に相溶、微分散した状態とすることができる。その結果、各トナー粒子間での特性のばらつきを十分に小さいものとすることができる。また、後述する粉砕工程前に、トナー材料で構成された混練物を祖粉砕することにより、粉砕工程において、より効果的にトナー粒子の粒径を小さくすることができる。
【0069】
[粉砕工程]
本工程では、前述したようなトナー粒子の構成材料(トナー材料)を、上述したような特徴を有する脂肪酸モノエステル、もしくは、上述したような特徴を有する脂肪酸モノエステルと脂肪酸トリグリセリドの一部との混合液(以下、粉砕用脂肪酸エステル液ともいう)中で湿式粉砕することにより、粉砕物分散液を得る。
【0070】
このような粉砕用脂肪酸エステル液は、比較的粘度が低く、これらの液体中におけるトナー材料の動きの自由度が高いため、効率良く粗粉砕物を粉砕することができる。また、粉砕用脂肪酸エステル液は、前述したような公知の樹脂材料との親和性が高く、また、粘度が比較的低いため、粉砕等によって生じるトナー材料の微小の亀裂等に入り込むことができる。その結果、効率良く粉砕することができ、十分に小さい粒径のトナー粒子を効率良く形成することができる。また、粉砕速度を向上させることができる。また、比較的粘度の低い粉砕用脂肪酸エステル液中で粉砕することにより、粉砕するために加えたエネルギーをトナー材料の粉砕に効率良く使うことができるため、粉砕用脂肪酸エステル液の温度が上昇するのを防止することができる。その結果、トナー材料を構成する樹脂材料が低融点のものであっても、効率良く粉砕することができる。
【0071】
また、粉砕用脂肪酸エステル液中でトナー材料を粉砕することにより、最終的に得られる液体現像剤中において、トナー粒子の表面付近に粉砕用脂肪酸エステル液中に含まれる脂肪酸モノエステルを偏在(吸着)させることができる。このようにトナー粒子の表面付近に脂肪酸モノエステルを偏在させることにより、前述したような可塑剤効果をより顕著なものとすることができる。その結果、トナー粒子が紙繊維(記録媒体)の隙間により入り込み易くなるため、トナー粒子の定着強度を特に優れたものとすることができる。
【0072】
湿式粉砕の方法は、特に限定されず、例えば、ボールミル、振動ミル、ジェットミル、ピンミル等の各種粉砕装置、破砕装置を用いて行うことができる。
湿式粉砕の工程は、複数回に分けて行ってもよい。
なお、粉砕用脂肪酸エステル液とトナー材料とを混合する前に、粉砕用脂肪酸エステル液中に、前述したような分散剤を添加してもよい。これにより、分散剤が粉砕助剤として働き、より効率良くトナー材料を粉砕することができるとともに、得られるトナー粒子の分散性をより高いものとすることができる。
また、粉砕用脂肪酸エステル液に分散剤が含まれている状態で、トナー材料を粉砕することにより、トナー粒子の表面に分散剤が付着しやすくなり、最終的に得られる液体現像剤の帯電特性を向上させることができる。
【0073】
前述した分散剤の中でも、ポリアミン脂肪酸縮重合体を用いた場合、粉砕効率を効果的に高めることができる。また、粉砕用脂肪酸エステル液で粉砕する際に、ポリアミン脂肪酸縮重合体が存在すると、ポリアミン脂肪酸縮重合体をトナー粒子の表面に好適に(絡みつくように)存在させることができるため、後述する脂肪酸トリグリセリドと混合した際に、トナー粒子の表面付近に脂肪酸モノエステルをより効果的に保持することができる。その結果、最終的に得られる液体現像剤中におけるトナー粒子の分散性をさらに向上させることができるとともに、定着特性をより高いものとすることができる。
【0074】
[混合工程]
次に、得られた粉砕物分散液と、脂肪酸トリグリセリドとを混合する(混合工程)。
以上のようにして、脂肪酸トリグリセリドと、脂肪酸モノエステルとを含む絶縁性液体にトナー粒子が分散した、本発明の液体現像剤が得られる。
【0075】
<第2実施形態>
次に、本発明の液体現像剤の製造方法の第2実施形態について説明する。
本実施形態の液体現像剤の製造方法は、主として樹脂材料で構成された樹脂微粒子を会合させ、会合粒子を得る会合粒子形成工程と、脂肪酸モノエステル、もしくは脂肪酸モノエステルと脂肪酸トリグリセリドの一部との混合液(以下、解砕用脂肪酸エステル液ともいう)中において会合粒子を解砕し、解砕用脂肪酸エステル液中にトナー粒子が分散したトナー粒子分散液を得る工程と、得られたトナー粒子分散液と、脂肪酸トリグリセリドとを混合する混合工程とを有する。
【0076】
[会合粒子の調製]
まず、主として樹脂材料で構成された樹脂微粒子が会合した会合粒子の調製方法の一例について説明する。
会合粒子は、いかなる方法で調製されるものであってもよいが、本実施形態では、水系液体で構成された水系分散媒中に、主として樹脂材料(トナー材料)で構成された分散質(微粒子)が分散した水系分散液を得、当該水系乳化液中の分散質を会合させることにより、会合粒子を得る。
【0077】
(水系分散液の調製)
以下、水系分散液の調製について説明する。
水系分散液は、いかなる方法で調製されるものであってもよいが、本実施形態では、まず、前述したようなトナー材料を溶媒に溶解させてトナー材料溶液を得、該トナー材料溶液と、水系液体で構成された水系分散媒とを混合することにより、トナー材料を含む分散質(液状の分散質)が分散した水系乳化液を得、その後、該水系乳化液に含まれる溶媒の少なくとも一部を除去することにより、水系分散液を得る。
【0078】
水系乳化液は、例えば、以下のようにして調製することができる(水系乳化液調製工程)。
まず、水系分散媒を用意する。
水系分散媒は、水系液体で構成されたものである。
本発明において、「水系液体」とは、水および/または水との相溶性に優れる液体(例えば、25℃における水100gに対する溶解度が30g以上の液体)で構成されたもののことを指す。このように、水系液体は、水および/または水との相溶性に優れる液体で構成されたものであるが、主として水で構成されたものであるのが好ましく、特に、水の含有率が70wt%以上のものであるのが好ましく、90wt%以上のものであるのがより好ましい。このようなものを用いることにより、例えば、水系分散媒中における分散質の分散性を高めることができ、水系乳化液中における分散質を、粒径が比較的小さく、かつ、大きさのばらつきの少ないものとすることができる。その結果、最終的に得られる液体現像剤中のトナー粒子は、粒子間での大きさ、形状のばらつきが小さく、円形度の大きいものとなる。
【0079】
水系液体の具体例としては、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル系溶媒、ピリジン、ピラジン、ピロール等の芳香族複素環化合物系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、アセトアルデヒド等のアルデヒド系溶媒等が挙げられる。
また、水系分散媒には、必要に応じて乳化分散剤を添加してもよい。乳化分散剤を添加することにより、より容易に水系乳化液を調製することができる。
乳化分散剤としては、特に限定されず、例えば、公知の乳化分散剤を用いることができる。
【0080】
一方、前述したようなトナー材料を溶媒に溶解させ、トナー材料溶液を調製する。
溶媒としては、トナー材料の少なくとも一部を溶解するものであればいかなるものであってもよいが、前述した水系液体よりも沸点が低いものを用いるのが好ましい。これにより、溶媒を容易に除去することができる。
また、溶媒は、前述した水系分散媒(水系液体)との相溶性が低いもの(例えば、25℃における水系分散媒100gに対する溶解度が30g以下のもの)であるのが好ましい。これにより、水系乳化液中において、トナー材料を安定した状態で微分散させることができる。
また、溶媒の組成は、例えば、前述したような公知の樹脂、着色剤の組成や、水系分散媒の組成等に応じて適宜選択することができる。
このような溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、MEK等のケトン系溶媒、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。
【0081】
また、トナー材料溶液の調製には、例えば、樹脂材料、着色剤等のトナー用材料を混練して得られた混練物を用いてもよい。このような混練物を用いることにより、トナーの構成材料中に、互いに分散または相溶し難い成分を含む場合であっても、混練を施すことにより、得られる混練物中においては、各成分が十分に相溶、微分散した状態とすることができる。特に、前述したような溶媒に対する分散性が比較的低い顔料(着色剤)を用いた場合、溶媒に分散する前に予め混練が施されることにより、顔料粒子の周囲を樹脂成分等が効果的にコーティングすることとなり、これにより、溶媒への顔料の分散性が向上し(特に溶媒への微分散が可能となり)、最終的に得られるトナーの発色性も良好となる。このようなことから、トナーの構成材料中に、前述した水系乳化液の水系分散媒に対する分散性に劣る成分や水系乳化液の分散媒に含まれる溶媒に対する溶解性に劣る成分が含まれる場合であっても、水系乳化液における分散質の分散性を特に優れたものとすることができる。
【0082】
次に、上記トナー材料溶液を、撹拌した状態の水系分散媒中に、徐々に滴下しながら加えていくことにより、水系分散媒中に、トナー材料を含む分散質が分散した水系乳化液が得られる。なお、トナー材料溶液の滴下を行う際、水系分散媒および/またはトナー材料溶液を加熱しておいてもよい。
その後、得られた水系乳化液を加熱したり、減圧雰囲気下に置くことにより、分散質中に含まれる溶媒の少なくとも一部を除去し、トナー材料で構成された分散質(微粒子)が分散した水系分散液を得る。
【0083】
水系分散液中における分散質の含有率は、特に限定されないが、5〜55wt%であるのが好ましく、10〜50wt%であるのがより好ましい。これにより、水系分散液中における分散質同士の不本意な凝集をより確実に防止しつつ、トナー粒子(液体現像剤)の生産性を特に優れたものとすることができる。
水系分散液中の分散質の平均粒径は、特に限定されないが、0.01〜3μmであるのが好ましく、0.1〜2μmであるのがより好ましい。これにより、最終的に得られるトナー粒子の大きさを最適なものとすることができる。なお、本明細書では、「平均粒径」とは、体積基準の平均粒径のことを指すものとする。
【0084】
(会合粒子形成工程)
次に、上記のようにして得られた水系分散液に、電解質を添加し、分散質を会合させ、会合粒子を形成する(会合粒子形成工程)。
添加する電解質としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、シュウ酸等の酸性物質、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニュウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシュウム、酢酸ナトリウム等の有機、無機の水溶性の塩等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、硫酸ナトリウムや硫酸アンモニウム等の1価のカチオンの硫酸塩は、均一な会合を進める上で好適に用いることができる。
なお、電解質等を添加する前に、ヒドロキシアパタイト等の無機分散安定剤や、イオン性、非イオン性界面活性剤を分散安定剤として添加してもよい。分散安定剤(乳化剤)の存在下で電解質を添加することにより、不均一な会合を防止することができる。
【0085】
このような分散安定剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、各種プルロニック系等の非イオン性界面活性剤、アルキル硫酸エステル塩型のアニオン性界面活性剤、第四級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤等が挙げられる。中でも、アニオン性、非イオン性の界面活性剤は、少量の添加量であっても分散安定性に効果があり、好適に用いることができる。非イオン性界面活性剤の曇点は40℃以上であることが好ましい。
【0086】
添加する電解質の量は、水系分散液中の固形分100重量部に対し、0.5〜15重量部であることが好ましく、1〜12重量部であることがより好ましく、1〜10重量部であることがさらに好ましい。電解質の添加量が前記下限値未満であると、分散質の会合が十分に進行しない場合がある。また、電解質の添加量が前記上限値を超えると、分散質の会合が不均一となり、粗大粒子が発生する可能性があり、最終的に得られるトナー粒子の大きさにばらつきが生じる可能性がある。
そして、会合させた後、濾過・洗浄・乾燥等を行うことにより、会合粒子を得る。
得られる会合粒子の平均粒径は、0.1〜7μmであるのが好ましく、0.5〜3μmであるのがより好ましい。これにより、最終的に得られるトナー粒子の粒径を適度なものとすることができる。
【0087】
[解砕工程]
次に、上記のようにして得られた会合粒子を、解砕用脂肪酸エステル液中で解砕する(解砕工程)。これにより、解砕用脂肪酸エステル液中にトナー粒子が分散したトナー粒子分散液が得られる。また、このような解砕用脂肪酸エステル液は、上述したような特徴を有する脂肪酸モノエステルを含むものである。これにより、会合粒子を好適に解砕することが可能となり、得られるトナー粒子の粒径を十分に小粒径のものとすることができる。
【0088】
また、このように、解砕用脂肪酸エステル液中で会合粒子を解砕することにより、最終的に得られる液体現像剤中において、トナー粒子の表面付近に解砕用脂肪酸エステル液に含まれる脂肪酸モノエステルを偏在(吸着)させることができる。このようにトナー粒子の表面付近に脂肪酸モノエステルを偏在させることにより、前述したような可塑剤効果をより顕著なものとすることができる。その結果、トナー粒子が紙繊維(記録媒体)の隙間により入り込み易くなるため、トナー粒子の定着強度を特に優れたものとすることができる。
また、解砕用脂肪酸エステル液という液体中で解砕しているので、凝集等によって粗大化したトナー粒子が発生するのを防止することができる。
また、得られるトナー粒子は、その表面に、微粒子(分散質)に由来する凹凸を有するものとなるので、脂肪酸モノエステルをこの凹凸に確実に保持することができる。
【0089】
また、本実施形態では、会合粒子を解砕することによりトナー粒子を得るので、従来の粉砕法や湿式粉砕法と比較して、微粉(目的の大きさの粒子よりも極端に小さい粒子)の発生を効果的に防止することができる。その結果、微粉による液体現像剤の帯電特性の低下を効果的に防止することができる。
また、解砕用脂肪酸エステル液は、比較的粘度が低いため、会合粒子を構成する微粒子(分散質)の間に侵入しやすく、好適に会合粒子を解砕することができる。
【0090】
[混合工程]
次に、上記のようにして得られたトナー粒子分散液と、脂肪酸トリグリセリドとを混合し、トナー粒子を絶縁性液体中に分散させる(混合工程)。
以上のようにして、脂肪酸トリグリセリドと脂肪酸モノエステルとを含む絶縁性液体中にトナー粒子が分散した、本発明の液体現像剤が得られる。
【0091】
≪画像形成装置≫
次に、上述したような本発明の液体現像剤が適用される画像形成装置の好適な実施形態<第1実施形態>
まず、本発明の液体現像剤が適用される画像形成装置の第1実施形態について説明する。
【0092】
図1は、本発明の液体現像剤が適用される接触方式の画像形成装置の第1実施形態の一例を示す図である。
画像形成装置P100は、図1に示すように、液体現像剤1を貯留する液体現像剤貯留部P1と、液体現像剤貯留部P1内に貯留された液体現像剤1を用いて像(トナー画像)を形成する現像部P2と、現像部P2で形成された像を記録媒体2に転写する転写部P3と、現像部P2において不要となった液体現像剤1を回収する現像部液回収部P4と、転写部P3において不要となった液体現像剤1を回収する転写部液回収部P5と、現像部液回収部P4および転写部液回収部P5で回収された液体現像剤1を液体現像剤貯留部P1に搬送する回収液体現像剤搬送部(搬送部)P6と、液体現像剤貯留部P1内の液体現像剤1を循環させる循環部P7と、液体現像剤貯留部P1内に貯留された液体現像剤1へ補給絶縁性液体10を供給する絶縁性液体補給部P8とを有している。
【0093】
液体現像剤貯留部P1は、前述したような絶縁性液体10中にトナー粒子が分散した液体現像剤1を貯留する機能を有している。
現像部P2は、像を形成する感光体P21と、液体現像剤貯留部P1内の液体現像剤1にその一部が浸漬された液供給ローラP22と、供給された液体現像剤の量を規制する液厚規制ローラP23と、感光体P21に液体現像剤を供給する現像ローラP24とを有している。
【0094】
また、このような感光体10Yは、感光層がアモルファスシリコン等の材料で構成されたものであるのが好ましい。アモルファスシリコンは、従来の有機系感光体(OPC)に比べ、非常に高い硬度を有しており、耐摩擦性に優れている。したがって、感光体P21表面とトナー粒子との接触によって、感光体P21表面が傷つくのを好適に防止することができる。さらに、液体現像剤中の絶縁性液体による、部材の劣化を最小限に抑えることができる。このような特徴を有する感光体P21は、寿命が長くなり、長期間の使用に適したものとなる。また、電気特性の繰り返し安定性や、耐環境性(使用環境の温度、湿度)に優れており、記録媒体への現像精度を高い状態で、より長く維持することができる。
【0095】
感光体P21は、エピクロロヒドリンゴム等で構成された帯電器P211によりその表面が均一に帯電された後、有機EL素子等で構成されたラインヘッド露光部P212によって記録すべき情報に応じた露光が行なわれることにより、静電潜像が形成されるものである。なお、感光体P21から後述する中間転写ベルトP31へのトナー画像の転写の後には、感光体P21は、除電光P213によって除電される。
【0096】
ここで、ラインヘッド露光部P212について、図面を参照しつつ説明する。
図2は、ラインヘッド露光部P212を拡大して示す概略の斜視図である。
ラインヘッド露光部P212は、ガラス基板P2122上に有機EL素子からなる発光素子アレイP2121を載置し、同じガラス基板P2122上に形成された薄膜トランジスタ(TFT)P2127により駆動される。屈折率分布型ロッドレンズアレイP2124は結像光学系を構成し、発光部の前面に配置される屈折率分布型ロッドレンズP2124’を俵積みしている。ハウジングP2120は、ガラス基板P2122の周囲を覆い、感光体P21に面した側は開放する。このようにして、屈折率分布型ロッドレンズP2124’から感光体P21に光線を射出する。ハウジングP2120のガラス基板P2122の端面と対向する面には、光吸収性の部材(塗料)が設けられている。
【0097】
図3は、ラインヘッド露光部P212の副走査方向の断面図である。ラインヘッド露光部P212には、ハウジングP2120中の屈折率分布型ロッドレンズアレイP2124の後面に面して取り付けられた有機EL素子からなる発光素子アレイP2121と、発光素子アレイP2121を覆う封止部材P2123と、ハウジングP2120の背面からその中の有機EL素子からなる発光素子アレイP2121を遮蔽する不透明なカバーP2125とが設けられている。
【0098】
また、固定板バネP2126によりハウジングP2120背面に対してカバーP2125を押圧して、ハウジングP2120内を光密に密閉する。すなわち、ガラス基板P2122は、固定板バネP2126によりハウジングP2120で光学的に密閉されている。このため、ガラス基板P2122の端面における全反射を防止し、効率良く光を吸収することができる。固定板バネP2126は、ハウジングP2120の長手方向に複数個所設けられている(図3では図示を省略している)。
【0099】
図3において、不透明部材からなるハウジングP2120は、光を吸収する材質、例えば黒色ポリスチレン等の合成樹脂や、アルマイト処理したアルミニウム等が用いられる。また、ガラス基板P2122の両側の厚さ方向端面、すなわち、副走査方向における厚さ方向端面と対向するハウジングP2120の面には黒色塗料を塗布して、光吸収特性を高めている。このように、発光素子として有機EL素子を用いていることにより、発光素子をガラス基板上に容易に作製することができる。したがって、発光素子の形状を任意の形にできるため、低価格化が図れる。また、このようなラインヘッド露光部P212を画像形成装置に用いていることにより、長期間使用し続けても、画像劣化が少ない画像形成装置を提供することができる。
【0100】
液供給ローラP22は、回転することにより、液厚規制ローラP23に液体現像剤を供給する機能を有している。
液厚規制ローラP23は、液厚規制ブレードP231を有しており、この液厚規制ブレードP231によって、液厚規制ローラP23の表面の液体現像剤の厚さが一定に保持される。そして、液厚規制ローラP23から現像ローラP24に対して液体現像剤が転写される。
【0101】
現像ローラP24は、液体現像剤を感光体P21表面の静電潜像に転写する機能を有している。現像ローラP24は、感光体P21と等速で回転して、液体現像剤を感光体P21表面の静電潜像に転写する。
転写部P3は、中間転写ベルトP31と、二次転写ローラP32とを有している。
感光体P21上に形成されたトナー像は、中間転写ベルトP31に対して転写された後に、二次転写ローラP32に転写電流を通電して、両者の間を通過する紙等の記録媒体2に画像が転写される。
その後、記録媒体2上に転写されたトナー画像(転写像)2aは、後述するような定着装置F40を使用して定着が行われる。
【0102】
現像部液回収部P4は、現像ローラ上液回収部P41と、感光体上液回収部P42とで構成されている。
現像ローラ上液回収部P41は、クリーニングブレードP411を有し、感光体P21へ転写後に現像ローラP24上に残った液体現像剤1を、クリーニングブレードP411によって回収する機能を有している。
また、感光体上液回収部P42は、クリーニングブレードP421を有し、中間転写ベルトP31へ転写後に感光体P21上に残った液体現像剤1を、クリーニングブレードP421によって回収する機能を有している。
【0103】
転写部液回収部P5は、クリーニングブレードP51を有し、記録媒体2へ転写後に中間転写ベルトP31上に残った液体現像剤1を、クリーニングブレードP51によって回収する機能を有している。
回収液体現像剤搬送部P6は、図1に示すように、ポンプP60を有しており、このポンプP60により、現像部液回収部P4(現像ローラ上液回収部P41、感光体上液回収部P42)および転写部液回収部P5で回収された液体現像剤1を液体現像剤貯留部P1に搬送する機能を有している。
【0104】
なお、このように、現像部液回収部P4および転写部液回収部P5により回収された液体現像剤1は、装置内部の稼動状態により発生する熱に晒される。したがって、従来の液体現像剤では、回収した液体現像剤を液体現像剤貯留部に搬送したとしても、劣化された状態の液体現像剤を搬送することになり、液体現像剤貯留部内の液体現像剤の保存性、長期安定性を悪化させる可能性があった。これに対して、本発明の液体現像剤1を構成する絶縁性液体は、高温においても、脂肪酸トリグリセリドおよび脂肪酸モノエステルの加水分解が抑制され、液体現像剤中におけるトナー粒子同士の凝集が好適に防止される。したがって、本発明の液体現像剤1は、上述したような回収部を有する画像形成装置に好適に用いることができ、液体現像剤貯留部P1内の液体現像剤1の保存性、長期安定性を優れたものとすることができるとともに、液体現像剤をより無駄なく使用することができる。
【0105】
また、回収液体現像剤搬送部P6は、図1に示すように、濾過フィルタ(不純物除去手段)P61を有している。
濾過フィルタP61は、搬送された液体現像剤1中に含まれる不純物(例えば、粗大化したトナー粒子や、記録媒体の切れ端等)を除去する機能を有している。これにより、液体現像剤の劣化を防止することができ、形成したトナー画像の画質を特に優れたものとすることができる。
【0106】
液体現像剤貯留部P1には、液体現像剤貯留部P1内の液体現像剤1を循環させる循環部P7が設けられている。
循環部P7は、合流部P71において、回収液体現像剤搬送部P6と合流しており、循環部P7を搬送された液体現像剤1は、濾過フィルタ(不純物除去手段)P61によって、液体現像剤1中に蓄積された不純物(例えば、粗大化したトナー粒子や、記録媒体の切れ端等)を除去することができる。
また、絶縁性液体補給部P8は、補給絶縁性液体10を貯留する補給絶縁性液体貯留部P81および供給部P82を有し、補給絶縁性液体貯留部P81にて貯留された補給絶縁性液体10を、供給部P82を通じて液体現像剤貯留部P1にある液体現像剤1に補給する機能を有している。
【0107】
本発明において、液体現像剤1中に含まれる絶縁性液体は、転写部P3においてトナー粒子とともに記録媒体2へ転写される。このため、液体現像剤貯留部P1にある液体現像剤1中の絶縁性液体と、トナー粒子は、画像形成を行うことによって消費される。このとき、液体現像剤貯留部P1にある液体現像剤1中の絶縁性液体と、トナー粒子は、画像形成による消費量に差がある場合があり、液体現像剤1中のトナー粒子の濃度が変化する場合がある。この場合、絶縁性液体補給部P8にて補給絶縁性液体10を補給することにより、液体現像剤1中のトナー粒子の濃度を所定の範囲に保つことができる。また、新鮮な補給絶縁性液体10を補給することで、液体現像剤1中の絶縁性液体の劣化をより長期にわたり防ぐことができる。
【0108】
補給絶縁性液体10は、脂肪酸トリグリセリドと脂肪酸モノエステルとを含むものであり、通常、液体現像剤1に含まれる絶縁性液体と同一の組成を有している。これにより、液体現像剤貯留部P1内でのトナー粒子同士の凝集がより効果的に防止され、液体現像剤の品質を長期にわたって高いものとし続けることができる。
また、補給絶縁性液体10は、液体現像剤に含まれる絶縁性液体と異なる組成であってもよい。
【0109】
また、補給絶縁性液体10に、トナー粒子が含まれていてもよい。これにより、トナー粒子が含まれる補給絶縁性液体10を液体現像剤1に補給することで、液体現像剤1中のトナーの粒子を所定の範囲に保つことがより容易になる。また、補給絶縁性液体10中の、トナー粒子の濃度は、液体現像剤1中に含まれるトナー粒子の濃度と比較して、高くてもよいし、低くてもよいし、同一であってもよい。
【0110】
また、図示されていないが、補給絶縁性液体貯留部P81に、補給絶縁性液体10の構成成分を貯留する複数の予備貯留槽を有していてもよい。各予備貯留槽にある構成成分は、他の予備貯留槽の構成成分と、同じ組成であってもよいし、異なる成分であってもよい。異なる成分である場合、補給絶縁性液体貯留部P81にて複数の予備貯留槽の構成成分を混合することにより、容易に、任意の組成の補給絶縁性液体10を製造することができる。
なお、図1では、一色の液体現像剤による画像形成について説明したが、複数色のカラートナーを用いて画像形成する場合には、複数色の現像器を用いて各色の画像を形成してカラー画像を形成することができる。
【0111】
図4は、定着装置の一例を示す図である。
定着装置(定着部)F40は、前述した現像部P2、転写部P3等において形成された未定着のトナー画像2aを、記録媒体2上に定着させるものである。
定着装置F40は、図4に示すように、熱定着ローラF1と、加圧ローラF2と、耐熱ベルトF3と、ベルト張架部材F4と、クリーニング部材F6と、フレームF7と、紫外線照射手段F8と、スプリングF9とを有している。
【0112】
熱定着ローラ(定着ローラ)F1は、パイプ材で構成されたローラ基材F1bと、その外周を被覆する弾性体F1cと、ローラ基材F1bの内部に、加熱源としての柱状ハロゲンランプF1aとを有しており、図に矢印で示す反時計方向に回転可能になっている。
また、加圧ローラF2は、パイプ材で構成されたローラ基材F2bと、その外周を被覆する弾性体F2cとを有し、図に矢印で示す時計方向に回転可能になっている。
【0113】
また、熱定着ローラF1の弾性体F1cの表層にはPFA層が設けられている。これにより、各弾性体F1c、2cの厚みは異なるが、両弾性体F1c、2cは略均一な弾性変形をして、いわゆる水平ニップが形成され、また、熱定着ローラF1の周速に対して、後述する耐熱ベルトF3または記録媒体F5の搬送速度に差異が生じることもないので、極めて安定した画像定着が可能となる。
【0114】
また、熱定着ローラF1の内部に、加熱源を構成する2本の柱状ハロゲンランプF1a、F1aが内蔵されており、これらの柱状ハロゲンランプF1a、F1aの発熱エレメントはそれぞれ異なった位置に配置されている。そして、各柱状ハロゲンランプF1a、F1aが選択的に点灯されることにより、後述する耐熱ベルトF3が熱定着ローラF1に巻き付いた定着ニップ部位と、後述するベルト張架部材F4が熱定着ローラF1に摺接する部位との異なる条件下や、幅の広い記録媒体と幅の狭い記録媒体との異なる条件下等での温度コントローラが容易に行われるようになっている。
【0115】
加圧ローラF2は、熱定着ローラF1と対向するように配されており、後述する耐熱ベルトF3を介して、未定着のトナー画像が形成された記録媒体F5に対して圧力を加えるよう構成されている。圧力を加えることにより、前述したような絶縁性液体を記録媒体F5中により効率良く浸透させることができる。その結果、熱や後述する紫外線照射等によって絶縁性液体に含まれる不飽和脂肪酸成分を記録媒体F5内部でより確実に硬化させることができ、アンカー効果により、記録媒体F5上にトナー画像F5aをより強固に定着させることができる。
また、加圧ローラF2は、パイプ材で構成されたローラ基材F2bと、その外周を被覆する弾性体F2cとを有し、図に矢印で示す時計方向に回転可能になっている。
【0116】
前述した熱定着ローラF1の弾性体F1cと加圧ローラF2の弾性体F2cとは、略均一な弾性変形をして、いわゆる水平ニップを形成する。また、熱定着ローラF1の周速に対して、後述する耐熱ベルトF3または記録媒体F5の搬送速度に差異が生じることもないので、極めて安定した画像定着が可能となる。
耐熱ベルトF3は、加圧ローラF2とベルト張架部材F4の外周に張架されて移動可能とされ、熱定着ローラF1と加圧ローラF2との間に挟圧されるエンドレスの環状のベルトである。
【0117】
この耐熱ベルトF3は、0.03mm以上の厚みを有し、その表面(記録媒体F5が接触する側の面)をPFAで形成し、裏面(加圧ローラF2およびベルト張架部材F4と接触する側の面)をポリイミドで形成した2層構成のシームレスチューブで形成されている。なお、耐熱ベルトF3は、これに限定されず、ステンレス管やニッケル電鋳管等の金属管、シリコーン等の耐熱樹脂管等の他の材料で形成することもできる。
【0118】
ベルト張架部材F4は、熱定着ローラF1と加圧ローラF2との定着ニップ部よりも記録媒体F5搬送方向上流側に配設されるとともに、加圧ローラF2の回転軸F2aを中心として矢印P方向に揺動可能に配設されている。
ベルト張架部材F4は、記録媒体F5が定着ニップ部を通過しない状態において、耐熱ベルトF3を熱定着ローラF1の接線方向に張架するように構成されている。記録媒体F5が定着ニップ部に進入する初期位置で定着圧力が大きいと進入がスムーズに行われなくて、記録媒体F5の先端が折れた状態で定着される場合があるが、このように耐熱ベルトF3を熱定着ローラF1の接線方向に張架する構成にすることで、記録媒体F5の進入がスムーズに行われる記録媒体F5の導入口部が形成でき、安定した記録媒体F5の定着ニップ部への進入が可能となる。
【0119】
ベルト張架部材F4は、耐熱ベルトF3の内周に嵌挿されて加圧ローラF2と協働して耐熱ベルトF3に張力fを付与する略半月状のベルト摺動部材(耐熱ベルトF3はベルト張架部材F4上を摺動する)である。このベルト張架部材F4は、耐熱ベルトF3が熱定着ローラF1と加圧ローラF2との押圧部接線Lより熱定着ローラF1側に巻き付けてニップを形成する位置に配置される。突壁F4aはベルト張架部材F4の軸方向一端または両端に突設されており、この突壁F4aは、耐熱ベルトF3が軸方向端の一方に寄った場合に、この耐熱ベルトF3がこの突壁F4aに当接することで耐熱ベルトF3の端への寄りを規制するものである。突壁F4aの熱定着ローラF1と反対側の端部とフレームとの間にスプリングF9が縮設されていて、ベルト張架部材F4の突壁F4aが熱定着ローラF1に軽く押圧され、ベルト張架部材F4が熱定着ローラF1に摺接して位置決めされる。
ベルト張架部材F4が熱定着ローラF1に軽く押圧される位置がニップ初期位置とされ、また、熱定着ローラF1に加圧ローラF2が押圧する位置がニップ終了位置とされる。
【0120】
定着装置F40において、未定着のトナー画像F5aが形成された記録媒体F5は、上記ニップ初期位置から定着ニップ部に進入して耐熱ベルトF3と熱定着ローラF1との間を通過し、ニップ終了位置から抜け出ることで、記録媒体F5上に形成された未定着のトナー画像F5aが熱定着され、その後、熱定着ローラF1への加圧ローラF2の押圧部の接線方向Lに排出される。
【0121】
紫外線照射手段F8は、上記のようにして排出された記録媒体F5のトナー画像F5aが形成されている面に対して、紫外線を照射する機能を有している。このような構成とすることにより、絶縁性液体中に含まれる不飽和脂肪酸成分を熱と紫外線照射とにより、より強固に固化させることができ、その結果、トナー粒子を記録媒体上により強固に定着させることができる。また、紫外線の照射により、熱定着ローラF1によって特に高い温度に加熱しなくても、トナー粒子を記録媒体上に強固に定着させることができるため、本発明の液体現像剤を用いることによる効果との相乗効果により、トナー粒子を記録媒体により低温で、かつ、より高速で定着させることができるとともに、記録媒体にトナー粒子をより強固に定着させることができる。さらに、定着に大きな熱量を必要としないため、前述した定着ニップ部を通過する時間を比較的短いものとしても、紫外線照射によって十分にトナー粒子を記録媒体上に定着させることができる。すなわち、定着に時間がかからないため、印刷速度のさらなる高速化を図ることができる。また、定着に大きい熱量を必要としないため、省エネルギー化も図ることができる。その結果、環境に優しい定着装置を提供することができる。
【0122】
クリーニング部材F6は、加圧ローラF2とベルト張架部材F4との間に配置されている。
このクリーニング部材F6は耐熱ベルトF3の内周面に摺接して耐熱ベルトF3の内周面の異物や摩耗粉等をクリーニングするものである。このように異物や摩耗粉等をクリーニングすることで、耐熱ベルトF3をリフレッシュし、前述の摩擦係数の不安定要因を除去している。また、ベルト張架部材F4に凹部F4fが設けられており、耐熱ベルトF3から除去した異物や摩耗粉等を収納するよう構成されている。
【0123】
なお、耐熱ベルトF3を加圧ローラF2とベルト張架部材F4とにより張架して加圧ローラF2で安定して駆動するには、加圧ローラF2と耐熱ベルトF3との摩擦係数をベルト張架部材F4と耐熱ベルトF3との摩擦係数より大きく設定するとよい。しかし、摩擦係数は、耐熱ベルトF3と加圧ローラF2との間あるいは耐熱ベルトF3とベルト張架部材F4との間への異物の侵入や、耐熱ベルトF3と加圧ローラF2およびベルト張架部材F4との接触部の摩耗などによって不安定になる場合がある。
【0124】
そこで、加圧ローラF2と耐熱ベルトF3の巻き付け角よりベルト張架部材F4と耐熱ベルトF3の巻き付け角が小さくなるように、また、加圧ローラF2の径よりベルト張架部材F4の径が小さくなるように設定する。これにより、耐熱ベルトF3がベルト張架部材F4を摺動する長さが短くなり、経時変化や外乱などに対する不安定要因から回避でき、耐熱ベルトF3を加圧ローラF2で安定して駆動することができるようになる。
【0125】
トナー粒子が定着ニップ部位を通過するのに要する時間(ニップ時間)は、0.02〜0.2秒であるのが好ましく、0.03〜0.1秒であるのがより好ましい。トナー粒子が定着ニップ部を通過するのに要する時間がこのように短い時間であっても、前述したような本発明の液体現像剤を用いることにより、十分に定着させることができ、印刷速度のさらなる高速化を図ることができる。
熱定着ローラF1により加える熱(定着温度)は、具体的には、80〜200℃であるのが好ましく、100〜180℃であるのがより好ましい。このような定着温度が前記範囲内の値であると、絶縁性液体中に含まれる不飽和脂肪酸成分の酸化重合反応(硬化反応)をより効果的に進行させることができる。
【0126】
<第2実施形態>
次に、本発明の液体現像剤が適用される画像形成装置の第2実施形態について説明する。
なお、本実施形態の画像形成装置は、上述したような本発明の液体現像剤を用いて記録媒体上にカラー画像を形成するものである。
【0127】
図5は、本発明の液体現像剤が適用される画像形成装置の第2実施形態の一例を示す模式図、図6は、図5に示す画像形成装置の一部を拡大した拡大図、図7は、図5に示す画像形成装置が備える塗布ローラを示す斜視概念図、図8は、図7に示す塗布ローラの拡大模式図、図9は、現像ローラ上の液体現像剤層内におけるトナー粒子の状態を示す模式図である。
【0128】
画像形成装置1000は、図5に示すように、4つの現像部30Y、30M、30C、30Kと、中間転写部40と、2次転写ユニット(2次転写部)60と、画像形成装置の第1実施形態で用いた定着部(定着装置)F40とを有している。
現像部30Y、30M、30Cは、それぞれ、イエロー系液体現像剤(Y)、マゼンダ系液体現像剤(M)、シアン系の液体現像剤(C)で、潜像を現像し、各色に対応したカラーの単色像を形成する機能を有している。また、現像部30Kは、ブラック系液体現像剤(K)で、潜像を現像し、ブラック(黒)の単色像を形成する機能を有している。
【0129】
現像部30Y、30M、30C、30Kの構成は同様であるので、以下、現像部30Yについて説明する。
現像部30Yは、図6に示すように、像担持体の一例としての感光体10Yと、感光体10Yの回転方向に沿って、帯電ローラ11Yと、露光ユニット12Yと、現像ユニット100Yと、感光体スクイーズ装置101Yと、1次転写バックアップローラ51Yと、除電ユニット16Yと、感光体クリーニングブレード17Yと、現像剤回収部18Yとを有している。
【0130】
感光体10Yは、円筒状の基材とその外周面に形成された感光層を有し、中心軸を中心に回転可能であり、本実施の形態においては、図5中の矢印で示すように時計回りに回転する。
また、このような感光体10Yは、感光層がアモルファスシリコン等の材料で構成されたものであるのが好ましい。アモルファスシリコンは、従来の有機系感光体(OPC)に比べ、非常に高い硬度を有しており、耐摩擦性に優れている。したがって、感光体P21表面とトナー粒子との接触によって、感光体P21表面が傷つくのを好適に防止することができる。さらに、液体現像剤中の絶縁性液体による、部材の劣化を最小限に抑えることができる。このような特徴を有する感光体P21は、寿命が長くなり、長期間の使用に適したものとなる。また、電気特性の繰り返し安定性や、耐環境性(使用環境の温度、湿度)に優れており、記録媒体への現像精度を高い状態で、より長く維持することができる。
感光体10Yは、後述する現像ユニット100Yにより液体現像剤が供給され、表面に液体現像剤の層が形成されるものである。
【0131】
帯電ローラ11Yは、感光体10Yを帯電するための装置であり、露光ユニット12Yは、レーザを照射することによって帯電された感光体10Y上に潜像を形成する装置である。この露光ユニット12Yは、半導体レーザ、ポリゴンミラー、F−θレンズ等を有しており、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ等の不図示のホストコンピュータから入力された画像信号に基づいて、変調されたレーザを帯電された感光体10Y上に照射する。
現像ユニット100Yは、感光体10Y上に形成された潜像を、本発明の液体現像剤を用いて現像するための装置である。なお、現像ユニット100Yの詳細については後述する。
【0132】
感光体スクイーズ装置101Yは、現像ユニット100Yより回転方向下流側に、感光体10Yに対向して配置されており、感光体スクイーズローラ13Yと、該感光体スクイーズローラ13Yに押圧摺接して表面に付着した液体現像剤を除去するクリーニングブレード14Yと、除去された液体現像剤を回収する現像剤回収部15Yとで構成される。この感光体スクイーズ装置101Yは、感光体10Yに現像された現像剤から余剰なキャリア(絶縁性液体)および本来不要なカブリトナーを回収し、顕像内のトナー粒子比率を上げる機能を有する。
【0133】
1次転写バックアップローラ51Yは、感光体10Yに形成された単色像を、後述する中間転写部40に転写するための装置である。
除電ユニット16Yは、1次転写バックアップローラ51Yによって中間転写部40上に中間転写像が転写された後に、感光体10Y上の残留電荷を除去する装置である。
感光体クリーニングブレード17Yは、感光体10Yの表面に当接されたゴム製の部材で、1次転写バックアップローラ51Yによって中間転写部40上に像が転写された後に、感光体10Y上に残存する液体現像剤を掻き落として除去する機能を有している。
現像剤回収部18Yは、感光体クリーニングブレード17Yにより除去された液体現像剤を回収する機能を有している。
【0134】
中間転写部40は、エンドレスの弾性ベルト部材であり、ベルト駆動ローラ41とテンションローラ42との間に巻き掛けて張架され、1次転写バックアップローラ51Y、51M、51C、51Kで感光体10Y、10M、10C、10Kと当接しながらベルト駆動ローラ41により回転駆動される。
この中間転写部40に、1次転写バックアップローラ51Y、51M、51C、51Kにより、現像部30Y、30M、30C、30Kで形成された各色に対応した単色像が順次転写され、各色に対応した単色像が重ね合わされる。これにより、中間転写部40にフルカラー現像剤像(中間転写像)が形成される。
【0135】
中間転写部40には、このように複数の感光体10Y、10M、10C、10Kに形成した単色像を順次2次転写して重ね合わせて担持し、一括して紙、フィルム、布等の記録媒体F5に2次転写する。そのため、2次転写行程において記録媒体F5にトナー像を転写するに当たって、記録媒体F5表面が繊維質などによって平滑でないシート材であっても、この非平滑なシート材表面に倣って2次転写特性を向上させる手段として、弾性ベルト部材を採用している。
【0136】
ベルト駆動ローラ41と共に中間転写部40を張架するテンションローラ42側には、クリーニングブレード46、現像剤回収部47からなるクリーニング装置が配置されている。
クリーニングブレード46は、2次転写ローラ61によって記録媒体F5上に像が転写された後に、中間転写部40上に付着した液体現像剤を掻き落として除去する機能を有している。
【0137】
現像剤回収部47は、クリーニングブレード46により除去された液体現像剤を回収する機能を有している。
また、1次転写バックアップローラ51Yより中間転写部40の移動方向下流側に、中間転写部スクイーズ装置52Yが配されている。
この中間転写部スクイーズ装置52Yは、中間転写部40上に転写された液体現像剤が望ましい分散状態に至っていない場合に、転写された液体現像剤から余剰の絶縁性液体を除去する手段として設けられている。
【0138】
中間転写部スクイーズ装置52Yは、中間転写部スクイーズローラ53Yと、中間転写部40を挟んで中間転写部スクイーズローラ53Yと対向配置されるバックアップローラ54Yと、中間転写部スクイーズローラ53Yに押圧摺接して表面をクリーニングするクリーニングブレード55Yおよび現像剤回収部15Mから構成される。
中間転写部スクイーズ装置52Yは、中間転写部40に1次転写された現像剤から余剰なキャリアを回収し、顕像内のトナー粒子比率を上げると共に、本来不要なカブリトナーを回収する機能を有する。現像剤回収部15Mは、中間転写部40の移動方向下流側に配置されたマゼンタの感光体スクイーズローラのクリーニングブレード14Mで回収されるキャリアの回収機構を中間転写部スクイーズローラ53Yのクリーニングブレード55Yにも兼用するものである。このように2色目以降の像担持体スクイーズ装置の現像剤回収部15(M、C、K)において、その前の色の1次転写バックアップローラ51(Y、M、C)より中間転写部40の移動方向下流側に配置された中間転写部スクイーズ装置52(Y、M、C)の現像剤回収部として兼用することにより、それらの間隔を一定に規制することができ、構造を簡潔にして小型化を図ることができる。
【0139】
2次転写ユニット60は、2次転写ローラ61が中間転写部40を挟んでベルト駆動ローラ41と対向配置され、さらに2次転写ローラ61のクリーニングブレード62、現像剤回収部63からなるクリーニング装置が配置される。
2次転写ユニット60では、中間転写部40上に色重ねして形成された中間転写像が2次転写ユニット60の転写位置に到達するタイミングに合せて、記録媒体F5を搬送、供給し、その記録媒体F5に中間転写像が2次転写される。
2次転写ユニット60により記録媒体F5上に転写されたトナー像(転写像)F5aは、後述する定着部F40に送られ、定着が行われる。
【0140】
クリーニングブレード62は、2次転写ローラ61によって記録媒体F5上に像が転写された後に、2次転写ローラ61上に付着した液体現像剤を掻き落として除去する機能を有している。
現像剤回収部63は、クリーニングブレード62により除去された液体現像剤を回収する機能を有している。
【0141】
次に、現像ユニット100Y、100M、100C、100Kについて、詳細に説明する。なお、以下の説明では、代表的に、現像ユニット100Yについて説明する。
現像ユニット100Yは、図6に示すように、液体現像剤貯留部31Yと、塗布ローラ32Yと、規制ブレード33Yと、現像剤攪拌ローラ34Yと、現像ローラ20Yと、現像ローラクリーニングブレード21Yと、現像剤圧縮ローラ(圧縮手段)22Yとを有している。
液体現像剤貯留部31Yは、感光体10Yに形成された潜像を現像するための液体現像剤を貯留する機能を備えたものである。
【0142】
塗布ローラ32Yは、液体現像剤を現像ローラ20Yへ供給する機能を備えたものである。
この塗布ローラ32Yは、図7に示すように、鉄等金属性のローラの表面に溝32Yaが均一かつ螺旋状に形成されニッケルメッキが施された、いわゆるアニロクスローラを呼称されるものであり、その直径は約25mmである。本実施形態では、図7に示すように、塗布ローラ32Yの回転方向D2に対して斜めに複数の溝32Yaが、いわゆる切削加工や転造加工等によって形成されている。
この塗布ローラ32Yは、時計回りに回転しながら液体現像剤に接触することによって、溝32Yaに、液体現像剤貯留部31Y内の液体現像剤を担持して、該担持した液体現像剤を現像ローラ20Yへ搬送する。したがって、塗布ローラ32Yは溝32Yaが形成されているX方向の幅で現像ローラ20Yに液体現像剤を塗布することができる。
【0143】
なお、溝ピッチ(図8中のX方向において、溝32Yaを形成する山と山の周期)は、必要な液体現像剤の膜厚に応じておよそ55〜250μmとするのが好ましい。本実施形態では、溝ピッチPが約80μm、山の幅が約40μm、溝32Yaの上部の幅PI1が約50μm、底面部の幅PI2が約30μm、溝32Yaの深さHeが約20μm、山32Ybの高さHcが約30μmとなるように構成され、山32Ybの中央部から溝32Yaの底部へと単調に向う傾斜部SLが形成されている。また、本実施形態では、山32Yb部の表面粗さRzをR1a≒1.0μm、溝32Ya部の表面粗さRzをR2a≒1.0μmとなるように構成している。
上記のような溝を有する塗布ローラを備えた画像形成装置に従来の液体現像剤を適用して、画像を形成した際に、形成した画像に前述したような画像ムラが顕著に現れるといった問題があったが、前述したような本発明の液体現像剤を適用することにより、画像ムラの発生を効果的に防止または抑制することができる。
【0144】
規制ブレード33Yは、塗布ローラ32Yの表面に当接して、塗布ローラ32Y上の液体現像剤Dの量を規制する。すなわち、当該規制ブレード33Yは、塗布ローラ32Y上の余剰液体現像剤を掻き取って、現像ローラ20Yに供給する塗布ローラ32Y上の液体現像剤D、を計量する役割を果たす。この規制ブレード33Yは、弾性体としてのウレタンゴムからなり、鉄等金属製の規制ブレード支持部材より支持されている。また、規制ブレード33Yは、前述した鉛直面Aから見て、塗布ローラ32Yが回転して液体現像剤Dから進出する側(すなわち、鉛直面Aから見て図6中左側)に設けられている。なお、規制ブレード33Yのゴム硬度は、JIS−Aで約77度であり、規制ブレード33Yの、塗布ローラ32Y表面への当接部の硬度(約77度)は、後述する現像ローラ20Yの弾性体の層の塗布ローラ32Y表面への圧接部の硬度(約85度)よりも低くなっている。
【0145】
現像剤攪拌ローラ34Yは、液体現像剤を一様分散状態に攪拌する機能を備えたものである。
液体現像剤貯留部31Y内において、液体現像剤の中のトナー粒子はプラスの電荷を有し、液体現像剤は、現像剤撹拌ローラ34Yにより撹拌されて一様分散状態になり、塗布ローラ32Yが回転することによって、液体現像剤貯留部31Yから汲み上げられ、規制ブレード33Yによって液体現像剤量が規制されて現像ローラ20Yに供給される。
【0146】
現像ローラ20Yは、感光体10Yに担持された潜像を液体現像剤により現像するために、液体現像剤を担持して感光体10Yと対向する現像位置に搬送する。
現像ローラ20Yは、その表面に、前述した塗布ローラ32Yから液体現像剤を供給することにより、液体現像剤層201Yを形成するものである。
この現像ローラ20Yは、鉄等金属製の内芯の外周部に、導電性を有する弾性体の層を備えたものであり、その直径は約20mmである。また、弾性体の層は、二層構造になっており、その内層として、ゴム硬度がJIS−A約30度で、厚み約5mmのウレタンゴムが、その表層(外層)として、ゴム硬度がJIS−A約85度で、厚み約30μmのウレタンゴムが備えられている。そして、現像ローラ20Yは、前記表層が圧接部となって、弾性変形された状態で塗布ローラ32Yおよび感光体10Yのそれぞれに圧接している。
【0147】
また、現像ローラ20Yは、その中心軸を中心として回転可能であり、当該中心軸は、感光体10Yの回転中心軸よりも下方にある。また、現像ローラ20Yは、感光体10Yの回転方向(図6において時計方向)と逆の方向(図6において反時計方向)に回転する。なお、感光体10Y上に形成された潜像を現像する際には、現像ローラ20Yと感光体10Yとの間に電界が形成される。
【0148】
現像剤圧縮ローラ22Yは、現像ローラ20Yに担持された液体現像剤のトナーを圧縮状態にする機能を備えた装置である。言い換えると、現像剤圧縮ローラ22Yは、前述した液体現像剤層201Yに対してトナー粒子1と同極性の電界を印加することにより、図9に示すように、液体現像剤層201Y中において、現像ローラ20Yの表面近傍にトナー粒子1を偏在させる機能を備えた装置である。このようにトナー粒子を偏在させることにより、現像濃度(現像効率)を向上させることができ、その結果、品質の高い鮮明な画像を得ることができる。
【0149】
この現像剤圧縮ローラ22Yには、クリーニングブレード23Yが設けられている。
このクリーニングブレード23Yは、現像剤圧縮ローラ22Yに付着した液体現像剤を除去する機能を有している。
また、現像ユニット100Yは、現像ローラ20Yの表面に当接されたゴム製の現像ローラクリーニングブレード21Yを有している。この現像ローラクリーニングブレード21Yは、前記現像位置で現像が行われた後に、現像ローラ20Y上に残存する液体現像剤を掻き落として除去するための装置である。現像ローラクリーニングブレード21Yにより除去された液体現像剤は、液体現像剤貯留部31Y内に回収され、再利用される。
【0150】
また、画像形成装置1000は、各現像剤回収部(15、18、47、63)に回収された液体現像剤中の絶縁性液体を再利用する再利用装置を有している。
この再利用装置は、各現像剤回収部から、回収された液体現像剤を搬送する搬送路70と、搬送された液体現像剤の固形分(トナー粒子等)を除去するフィルタ手段77と、当該フィルタ手段77により固形分が除去された絶縁性液体を貯留する絶縁性液体貯留部74とを備えている。
【0151】
搬送路70には、ポンプ76が設けられており、このポンプ76により、各現像剤回収部に回収された液体現像剤を絶縁性液体貯留部74に搬送する。
絶縁性液体貯留部74に貯留された絶縁性液体は、図示せぬ搬送手段により、各現像部に適宜搬送され、再利用される。
また、フィルタ手段77に除去された固形分は、図示せぬフィルタ状態の検知手段により検知される。そして、その検知結果に基づいてフィルタ手段77を交換する。これにより、フィルタ手段77のフィルタリング機能を安定して維持することができる。
【0152】
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の絶縁性液体は、上述した脂肪酸トリグリセリド、および脂肪酸モノエステル以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール等に代表されるジオールと脂肪酸とのジエステル(ジグリセリド)を含むものであってもよい。さらに、グリセリン1分子と脂肪酸2分子とで構成されるジエステル(ジグリセリド)、または、グリセリン1分子に脂肪酸1分子とで構成されるモノエステル(モノグリセリド)を含むものであってもよい。絶縁性液体がこれらの成分を含んでいても、上記に挙げた効果を十分に満足する液体現像剤を提供することができる。
【0153】
また、例えば、本発明の液体現像剤は、前述したような画像形成装置、定着装置に適用されるものに限定されない。
また、本発明の液体現像剤は、前述したような製造方法により製造されたものに限定されない。
また、前述した実施形態では、水系分散液を得、該水系乳化液に電解質を添加することにより会合粒子を得るものとして説明したが、本発明は、これに限定されない。例えば、会合粒子は、水系液体に、着色剤とモノマーと界面活性剤と重合開始剤とを分散させ、乳化重合により、水系分散液を調製し、該水系分散液に電解質を添加して会合させる乳化重合会合法を用いて調製されたものであってもよいし、また、得られた水系分散液を噴霧乾燥することにより会合粒子を得るものであってもよい。
【実施例】
【0154】
[1]液体現像剤の製造
(実施例1)
まず、ポリエステル樹脂(軟化温度:99℃、酸価:7.0mgKOH/g):80重量部と、着色剤としてのシアン系顔料(大日精化社製、ピグメントブルー15:3):20重量部とを用意した。これらの各成分を20L型のヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー製造用の原料を得た。
次に、この原料(混合物)を2軸混練押出機を用いて混練した。2軸混練押出機の押出口から押し出された混練物を冷却した。
上記のようにして冷却された混練物を粗粉砕し、平均粒径:1.0mm以下の粉末(粗粉砕物)とした。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用いた。
【0155】
次に、上記のようにして得られた粗粉砕物:100重量部と、大豆油とメタノールとのエステル交換反応により生成された大豆油エステル交換液(日清オイリオ社製、商品名「大豆油脂肪酸メチル」、酸価0.1mgKOH/g):160重量部と、分散剤としてのポリアミン脂肪酸縮重合体(日本ルーブリゾール社製、商品名「ソルスパース13940」):2.5重量部と、加水分解抑制剤としてのフェノールホスファイト系化合物a(テトラトリデシル−4,4‘−ブチリデンビス(2−t−ブチル−5−メチルフェニル)ジホスファイト):2.0重量部を用意した。なお、大豆油エステル交換液中の脂肪酸モノエステルの含有量は、99.9wt%以上のものであった。
これら各成分を、ボールミルに投入し、200時間湿式粉砕し、粉砕物分散液を得た。
その後、得られた粉砕物分散液:264.5重量部と、大豆油(日清オイリオ社製):240重量部とを混合し、液体現像剤を得た。なお、大豆油中に含まれる脂肪酸トリグリセリドの含有量は、99.9wt%以上のものであった。
【0156】
得られた液体現像剤中における、トナー粒子の平均粒径は1.5μm、各トナー粒子間での粒径の標準偏差は0.65μmであった。また、25℃において振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して測定される液体現像剤の粘度は、233mPa・sであった。また、液体現像剤中の大豆油エステル交換液、大豆油、およびフェノールホスファイト系化合物aを、液体現像剤中に含まれる配合比で別途混合した液体を、JIS K2501に準拠して測定した酸価の値は、0.07mgKOH/gであった。また、液体現像剤の電気抵抗は、2.1×1012Ωcmであった。なお、各実施例、比較例でのそれぞれのトナー粒子の平均粒径は体積基準平均粒径であり、これらの粒子の平均粒径および粒度分布はMastersizer 2000粒子解析装置(Malvern Instruments Ltd.製)にて測定を行った。
【0157】
(実施例2〜4)
大豆油エステル交換液および大豆油の含有量が表1に示すような値となるように調整した以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
(実施例5)
大豆油脂肪酸メチルの代わりに、菜種油とエタノールとのエステル交換反応により生成された菜種油エステル交換液(日清オイリオ社製、商品名「菜種油脂肪酸エチル」、酸価0.08mgKOH/g)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
【0158】
(実施例6)
大豆油脂肪酸メチルの代わりに、大豆油とn−プロパノールとのエステル交換反応により生成された大豆油エステル交換液(酸価0.07mgKOH/g)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
(実施例7)
大豆油の代わりに、HO菜種油(日清オイリオ社製)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
【0159】
(実施例8)
大豆油、大豆油脂肪酸メチルを、それぞれ、サフラワー油(日清オイリオ社製)、大豆油とヘプタノールとのエステル交換反応により生成される大豆油エステル交換液に変更した以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
(実施例9)
加水分解抑制剤として、フェノールホスファイト系化合物aの代わりに、フェノールホスファイト系化合物b(亜リン酸トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)を用いた以外は、実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
【0160】
(実施例10)
ボールミルに投入するフェノールホスファイト系化合物aの投入量を、0.1重量部に変更した以外は、前記実施例7と同様にして液体現像剤を製造した。
(実施例11)
ボールミルに投入するフェノールホスファイト系化合物aの投入量を、22.0重量部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
【0161】
(実施例12)
加水分解抑制剤として、フェノールホスファイト系化合物aの代わりに、フェノールホスファイト系化合物c(亜リン酸トリフェニル)を用い、ボールミルへの投入量を、7.0重量部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
(実施例13)
加水分解抑制剤として、フェノールホスファイト系化合物aの代わりに、フェノールホスファイト系化合物d(亜リン酸ジフェニル)を用い、ボールミルへの投入量を、10.0重量部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
(実施例14)
ポリエステル樹脂をエポキシ樹脂(エピコート1004、軟化温度:128℃)に変更した以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
【0162】
(実施例15)
まず、ポリエステル樹脂(軟化温度:99℃):80重量部と、着色剤としてのシアン系顔料(大日精化社製、ピグメントブルー15:3):20重量部とを用意した。これらの各成分を20L型のヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー製造用の原料を得た。
次に、この原料(混合物)を2軸混練押出機を用いて混練した。2軸混練押出機の押出口から押し出された混練物を冷却した。
上記のようにして冷却された混練物を粗粉砕し、平均粒径:1.0mm以下の粉末(粗粉砕物)とした。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用いた。
【0163】
次に、混練物の粗粉砕物:100重量部をトルエン:250重量部に添加し、超音波ホモジナイザー(出力:400μA)を用いて、1時間処理することにより、混練物のポリエステル樹脂が溶解した溶液(トナー材料溶液)を得た。なお、この溶液中において、顔料は均一に微分散していた。
一方、分散剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:1重量部と、イオン交換水:700重量部とを均一に混合した水系液体を用意した。
この水系液体をホモミキサー(特殊機化工業社製)で攪拌回転数を調整しつつ、撹拌した。
このような攪拌状態の水系液体中に、上記トナー材料溶液を滴下した。これにより、平均粒径が0.5μmの分散質が均一に分散した水系乳化液が得られた。
【0164】
その後、温度:100℃、雰囲気圧力:80kPaの条件下で、水系乳化液中のトルエンを除去し、さらに、室温まで冷却した後、所定量の水を加えて濃度調整することにより、固形微粒子が分散した水系分散液を得た。得られた水系分散液中には、実質的にトルエンは残存していなかった。得られた水系分散液の固形分(分散質)濃度は20wt%であった。また、懸濁液中に分散している分散質(固形微粒子)の平均粒径は0.5μmであった。なお、分散質の平均粒径の測定は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製、LA−920)を用いて行った。
【0165】
次に、得られた水系分散液:100重量部に対して、非イオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、商品名「エパン450」):0.35重量部を、撹拌しつつ添加した。
次に、撹拌速度を調整するとともに、温度を30℃とした後、水系分散液:100重量部に対して、3%の硫酸アンモニウム水溶液:35重量部を滴下した。これにより、会合粒子が分散した会合粒子分散液が得られた。
得られた会合粒子分散液から、会合粒子を遠心分離機で分離し、洗浄を行い、その後、真空乾燥機で乾燥を行い、会合粒子を得た。得られた会合粒子の平均粒径は5.2μmであった。
【0166】
次に、500mLの容器に、4mmの炭素クロムビーズを入れ、その後、大豆油とメタノールとのエステル交換反応により生成された大豆油エステル交換液(日清オイリオ社製、商品名「大豆油脂肪酸メチル」、酸価0.1mgKOH/g):150重量部と、分散剤としてのポリアミン脂肪酸縮重合体(日本ルーブリゾール社製、商品名「ソルスパース13940」):2.5重量部とを投入した。
【0167】
次に、得られた会合粒子:100重量部を入れて、ボールミルで10分混合し、その後、200時間ボールミルで解砕し、トナー分散液を得た。
解砕終了後、HO菜種油:225重量部と、帯電制御剤としての酸化亜鉛(平均粒径:1.0μm):1.4重量部と、加水分解抑制剤としてのフェノールホスファイト系化合物a:2.0重量部を投入し、トナー粒子を分散した。分散は、ボールミルを用いて1mmビーズを入れて24時間行った。これにより、液体現像剤が得られた。
得られた液体現像剤中における、トナー粒子の平均粒径は1.2μm、各トナー粒子間での粒径の標準偏差は0.50μmであった。また、25℃において振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して測定される液体現像剤の粘度は、219mPa・sであった。また、液体現像剤の電気抵抗は、2.1×1012Ωcmであった。
【0168】
(実施例16)
大豆油脂肪酸メチルの代わりに、サフラワー油とメタノールとのエステル交換反応により生成されたサフラワー油エステル交換液を用いた以外は、前記実施例15と同様にして液体現像剤を製造した。
(実施例17)
まず、実施例15で用いた大豆油エステル交換液:150重量部と、HO菜種油:225重量部と、ポリアミン脂肪酸宿重合体:2.5重量部と、フェノールホスファイト系化合物a:2.0重量部と、酸化亜鉛:1.4重量部とを混合し、絶縁性液体を得た。次にこのようにして得られた絶縁性液体:380.9重量部と、実施例15で得られた会合粒子:100重量部とを、実施例15で用いたボールミルで10分混合し、その後、400時間ボールミルで解砕し、液体現像剤を得た。
【0169】
(実施例18)
フェノールホスファイト系化合物aをボールミルに投入しなかった以外は、前記実施例1と同様に液体現像剤を製造した。
【0170】
(実施例19)
大豆油脂肪酸メチルとして、酸価が20mgKOH/gの大豆油脂肪酸メチルを用いた以外は、前記実施例18と同様にして液体現像剤を製造した。
(実施例20)
大豆油脂肪酸メチルの代わりに、大豆油とn−オクチルアルコールとのエステル交換反応により生成された大豆油エステル交換液を用いた以外は、前記実施例15と同様にして液体現像剤を製造した。
【0171】
(実施例21)
大豆油脂肪酸メチルの代わりに、大豆油とn−オクチルアルコールとのエステル交換反応により生成された大豆油エステル交換液を用いた以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
(実施例22)
フェノールホスファイト系化合物aをボールミルに投入しなかった以外は、前記実施例7と同様に液体現像剤を製造した。
(実施例23)
大豆油脂肪酸メチルの代わりに、リノール酸と第一級アルコールであるエタノールとのエステル交換反応により生成されたリノール酸エチル(酸価0.2mgKOH/g)を用いた以外は、前記実施例22と同様にして液体現像剤を製造した。
【0172】
(実施例24)
まず、ポリエステル樹脂(軟化温度:99℃、酸価:7.0mgKOH/g):80重量部と、着色剤としてのシアン系顔料(大日精化社製、ピグメントブルー15:3):20重量部とを用意した。これらの各成分を20L型のヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー製造用の原料を得た。
次に、この原料(混合物)を2軸混練押出機を用いて混練した。2軸混練押出機の押出口から押し出された混練物を冷却した。
上記のようにして冷却された混練物を粗粉砕し、平均粒径:1.0mm以下の粉末(粗粉砕物)とした。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用いた。
次に、上記のようにして得られた粗粉砕物:100重量部と、大豆油と第二級アルコールであるイソプロパノールとのエステル交換反応により生成された大豆油エステル交換液(大豆油脂肪酸イソプロピル、酸価0.1mgKOH/g):160重量部と、分散剤としてのポリアミン脂肪酸縮重合体(日本ルーブリゾール社製、商品名「ソルスパース13940」):2.5重量部とを用意した。なお、エステル交換液中の脂肪酸モノエステルの含有量は、99.9wt%以上のものであった。
これら各成分を、ボールミルに投入し、200時間湿式粉砕し、粉砕物分散液を得た。
その後、得られた粉砕物分散液:264.5重量部と、HO菜種油(日清オイリオ社製):240重量部とを混合し、液体現像剤を得た。なお、大豆油中に含まれる脂肪酸トリグリセリドの含有量は、99.9wt%以上のものであった。
得られた液体現像剤中における、トナー粒子の平均粒径は1.5μm、各トナー粒子間での粒径の標準偏差は0.65μmであった。また、25℃において振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して測定される液体現像剤の粘度は、312mPa・sであった。また、液体現像剤中の大豆油エステル交換液、およびHO菜種油を、液体現像剤中に含まれる配合比で別途混合した液体を、JIS K2501に準拠して測定した酸価の値は、0.1mgKOH/gであった。また、液体現像剤の電気抵抗は、3.1×1012Ωcmであった。
(実施例25〜32)
脂肪酸モノエステル、脂肪酸トリグリセリドの使用量、および、その製造に用いる原料のいずれか少なくとも一つを変更した以外は、前記実施例24と同様に液体現像剤を製造した。
【0173】
(実施例33)
まず、ポリエステル樹脂(軟化温度:99℃):80重量部と、着色剤としてのシアン系顔料(大日精化社製、ピグメントブルー15:3):20重量部とを用意した。これらの各成分を20L型のヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー製造用の原料を得た。
次に、この原料(混合物)を2軸混練押出機を用いて混練した。2軸混練押出機の押出口から押し出された混練物を冷却した。
上記のようにして冷却された混練物を粗粉砕し、平均粒径:1.0mm以下の粉末(粗粉砕物)とした。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用いた。
【0174】
次に、混練物の粗粉砕物:100重量部をトルエン:250重量部に添加し、超音波ホモジナイザー(出力:400μA)を用いて、1時間処理することにより、混練物のポリエステル樹脂が溶解した溶液(トナー材料溶液)を得た。なお、この溶液中において、顔料は均一に微分散していた。
一方、分散剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:1重量部と、イオン交換水:700重量部とを均一に混合した水系液体を用意した。
この水系液体をホモミキサー(特殊機化工業社製)で攪拌回転数を調整しつつ、撹拌した。
このような攪拌状態の水系液体中に、上記トナー材料溶液を滴下した。これにより、平均粒径が0.5μmの分散質が均一に分散した水系乳化液が得られた。
【0175】
その後、温度:100℃、雰囲気圧力:80kPaの条件下で、水系乳化液中のトルエンを除去し、さらに、室温まで冷却した後、所定量の水を加えて濃度調整することにより、固形微粒子が分散した水系分散液を得た。得られた水系分散液中には、実質的にトルエンは残存していなかった。得られた水系分散液の固形分(分散質)濃度は20wt%であった。また、懸濁液中に分散している分散質(固形微粒子)の平均粒径は0.5μmであった。なお、分散質の平均粒径の測定は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製、LA−920)を用いて行った。
【0176】
次に、得られた水系分散液:100重量部に対して、非イオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、商品名「エパン450」):0.35重量部を、撹拌しつつ添加した。
次に、撹拌速度を調整するとともに、温度を30℃とした後、水系分散液:100重量部に対して、3%の硫酸アンモニウム水溶液:35重量部を滴下した。これにより、会合粒子が分散した会合粒子分散液が得られた。
得られた会合粒子分散液から、会合粒子を遠心分離機で分離し、洗浄を行い、その後、真空乾燥機で乾燥を行い、会合粒子を得た。得られた会合粒子の平均粒径は5.2μmであった。
【0177】
次に、500mLの容器に、4mmの炭素クロムビーズを入れ、その後、大豆油とイソプロパノールとのエステル交換反応により生成された大豆油エステル交換液(大豆油脂肪酸イソプロピル、酸価0.1mgKOH/g):150重量部と、分散剤としてのポリアミン脂肪酸縮重合体(日本ルーブリゾール社製、商品名「ソルスパース13940」):2.5重量部とを投入した。
【0178】
次に、得られた会合粒子:100重量部を入れて、ボールミルで10分混合し、その後、200時間ボールミルで解砕し、トナー分散液を得た。
解砕終了後、HO菜種油:225重量部を投入し、トナー粒子を分散した。分散は、ボールミルを用いて1mmビーズを入れて24時間行った。これにより、液体現像剤が得られた。
得られた液体現像剤中における、トナー粒子の平均粒径は1.2μm、各トナー粒子間での粒径の標準偏差は0.50μmであった。また、25℃において振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して測定される液体現像剤の粘度は、232mPa・sであった。また、液体現像剤の電気抵抗は、2.6×1012Ωcmであった。
【0179】
(実施例34)
大豆油脂肪酸イソプロピルの代わりに、サフラワー油と第三級アルコールである1,1−ジメチル−1−プロパノール(tert−ペンタノール)とのエステル交換反応により生成されたサフラワー油エステル交換液(サフラワー油脂肪酸tert−ペンチル、酸価0.08mgKOH/g)を用いた以外は、前記実施例33と同様にして液体現像剤を製造した。
【0180】
(実施例35)
まず、実施例33で用いた大豆油脂肪酸イソプロピル:150重量部と、HO菜種油:225重量部と、ポリアミン脂肪酸縮重合体:2.5重量部と、酸化亜鉛:1.4重量部とを混合し、絶縁性液体を得た。次にこのようにして得られた絶縁性液体:380.9重量部と、実施例10で得られた会合粒子:100重量部とを、実施例10で用いたボールミルで10分混合し、その後、400時間ボールミルで解砕し、液体現像剤を得た。
(実施例36、37)
絶縁性液体中に含まれる脂肪酸モノエステルの種類および含有量、また、フェノールホスファイト系化合物aの含有量を表1に示すように変更した以外は前記実施例7と同様に液体現像剤を製造した。
【0181】
(比較例1)
大豆油脂肪酸メチルの代わりに、大豆油とn−ノニルアルコールとのエステル交換反応により生成された大豆油エステル交換液を用いた以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
(比較例2)
使用する脂肪酸モノエステルの種類を表2に示すように変更した以外は、前記実施例24と同様に液体現像剤を製造した。
【0182】
(比較例3)
大豆油脂肪酸イソプロピルを、大豆油に置換した以外は、前記実施例30と同様に液体現像剤を製造した。
(比較例4)
HO菜種油を、大豆油とイソプロパノールとのエステル交換反応により生成された大豆油エステル交換液(大豆油脂肪酸イソプロピル、酸価0.1mgKOH/g)に置換した以外は、前記実施例24と同様に液体現像剤を製造した。
【0183】
(比較例5)
前記実施例1と同様にして粗粉砕物を得た。
次に、得られた粗粉砕物:100重量部と、大豆油(日清オイリオ社製):160重量部と、分散剤としてポリアミン脂肪酸縮重合体(日本ルーブリゾール社製、商品名「ソルスパース13940」):2.5重量部と、フェノールホスファイト系化合物a:2.0重量部を用意した。
これら各成分を、ボールミルに投入し、400時間湿式粉砕し、粉砕物分散液を得た。
その後、得られた粉砕物分散液:264.5重量部と、大豆油:240重量部と、帯電制御剤としての酸化亜鉛(平均粒径:1.0μm):1.4重量部とを混合し、液体現像剤を得た。
得られた液体現像剤中における、トナー粒子の平均粒径は4.8μm、各トナー粒子間での粒径の標準偏差は2.92μmであった。また、25℃において振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して測定される液体現像剤の粘度は、595mPa・sであった。また、絶縁性液体の電気抵抗は、1.6×1013Ωcm、液体現像剤の電気抵抗は、4.6×1012Ωcmであった。
(比較例6)
大豆油、および大豆油エステル交換液を、全てアイソパーH(エクソン化学社製)に置換した以外は、前記実施例1と同様に液体現像剤を製造した。
【0184】
以上の各実施例および各比較例について、使用した樹脂の種類、脂肪酸トリグリセリドの原料、絶縁性液体中における含有率、および含まれる脂肪酸成分の種類と含有率、脂肪酸モノエステルの原料、絶縁性液体中における含有率、含まれる脂肪酸成分の種類と含有率、含まれるアルコール成分の種類、液体現像剤の粘度、液体現像剤の電気抵抗等を表1、表2に示した。
【0185】
また、表1中、ポリエステル樹脂をPEs、エポキシ樹脂をEP、メタノールをMeOH、エタノールをEtOH、n−プロパノールをn−PrOH、ヘプタノールをHepOH、n−オクチルアルコールをOctOH、n−ノニルアルコールをNonOH、イソプロパノールをi−PrOH、2−ブタノール(sec−ブタノール)を2−BuOH、1,1−ジエチル−3−メチル−1−プロパノール(tert−オクタノール)をtert−OctOH、1,1−ジメチル−1−プロパノール(tert−ペンタノール)をt−PeOH、メタノールをMeOH、エタノールをEtOH、7−メチル−1−オクタノールを7−Me−1−OctOH、また、加水分解抑制剤としてフェノールホスファイト系化合物aをa、フェノールホスファイト系化合物bをb、フェノールホスファイト系化合物cをc、フェノールホスファイト系化合物dをdで示した。
なお、表1、表2中の粘度、及び電気抵抗は以下の4段階の基準に従い表記した。
【0186】
<粘度>
A :150mPa・s以上800mPa・s以下。
B :100mPa・s以上900mPa・s以下。(150mPa・s以上800mPa・s以下は除く)
C :50mPa・s以上1000mPa・s以下。(100mPa・s以上900mPa・s以下は除く)
D :50mPa・s未満、もしくは、1000mPa・sより大きい。
【0187】
<電気抵抗率>
A :2.0×1012Ωcm以上。
B :1.5×1012Ωcm以上2.0×1012Ωcm未満。
C :1.0×1012Ωcm以上1.5×1012Ωcm未満。
D :1.0×1012Ωcm未満。
【0188】
【表1】

【0189】
【表2】

【0190】
[2]評価
上記のようにして得られた各液体現像剤について、以下の評価を行った。
[2.1]微細文字印字性能
図1に示すような画像形成装置、および図4に示すような定着装置を用いて、前記各実施例および前記各比較例で得られた液体現像剤によるの単色の2ポイントの文字を記録紙(セイコーエプソン社製、上質紙 LPCPPA4)上に形成し、熱定着を行った。
その後、得られたトナー画像(2ポイントの文字)を目視して、以下の5段階の基準に従い評価した。
【0191】
A :2ポイントの文字が非常に鮮明に視認できる。
B :2ポイントの文字が鮮明に視認できる。
C :2ポイントの文字がわずかにぼやけて視認できる。
D :2ポイントの文字がぼやけて視認できる。
E :2ポイントの文字が視認できない。
【0192】
[2.2]環境安定性(長期安定性)
前記各実施例および前記各比較例で得られた液体現像剤を、35℃、相対湿度65%の環境下に、6ヶ月間放置した。その後、液体現像剤の様子を観察し、放置前後の粘度、色、酸価、および電気抵抗値の変化を以下の5段階の基準に従い評価した。なお、酸価の測定は、JIS K2501に準拠して行った。また、液体現像剤の色の変化は、目視により評価した。また、粘度は、振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して行った。また、電気抵抗値は、ユニバーサルエレクトロメーター MMAII−17B、液体用電極LP−05、シールドボックスP−618(川口電機製作所製)を用いて測定した。
【0193】
A :液体現像剤の粘度/色/酸価/電気抵抗値の変化がまったく認められない。
B :液体現像剤の粘度/色/酸価/電気抵抗値の変化がほとんど認められない。
C :液体現像剤の粘度/色/酸価/電気抵抗値の変化がわずかに認められるが、液 体現像剤として問題の無い範囲である。
D :液体現像剤の粘度/色/酸価/電気抵抗値の変化がはっきりと認められる。
E :液体現像剤の粘度/色/酸価/電気抵抗値の変化が顕著に認められる。
【0194】
[2.3]保存性
前記各実施例および前記各比較例で得られた液体現像剤を、温度:15〜25℃の環境下に、6ヵ月間静置した。その後、液体現像剤中のトナーの様子を目視にて確認し、以下の5段階の基準に従い評価した。
A :トナー粒子の浮遊および凝集沈降がまったく認められない。
B :トナー粒子の浮遊および凝集沈降がほとんど認められない。
C :トナー粒子の浮遊または凝集沈降がわずかに認められるが、液体現像剤として
問題の無い範囲である。
D :トナー粒子の浮遊または凝集沈降がはっきりと認められる。
E :トナー粒子の浮遊および凝集沈降が顕著に認められる。
【0195】
[2.4]定着強度
図1に示すような画像形成装置を用いて、前記各実施例および前記各比較例で得られた液体現像剤による所定パターンの画像を記録紙(セイコーエプソン社製、上質紙 LPCPPA4)上に形成した。その後、図4に示すような定着装置を用いて、熱定着ローラの設定温度を100℃として、熱定着を行った。
その後、非オフセット領域を確認した後、記録紙上の定着像を消しゴム(ライオン事務機社製、砂字消し「LION 261−11」)を押圧荷重1.0kgfで2回擦り、画像濃度の残存率をX−Rite Inc社製「X−Rite model 404」により測定し、以下の5段階の基準に従い評価した。
【0196】
A :画像濃度残存率が95%以上。
B :画像濃度残存率が90%以上95%未満。
C :画像濃度残存率が80%以上90%未満。
D :画像濃度残存率が70%以上80%未満。
E :画像濃度残存率が70%未満。
【0197】
[2.5]剥離強度
図1に示すような画像形成装置を用いて、前記各実施例および前記各比較例で得られた液体現像剤による所定パターンの画像を記録紙(セイコーエプソン社製、上質紙 LPCPPA4)上に形成した。その後、図4に示すような定着装置を用いて、熱定着ローラの設定温度を180℃として、熱定着を行った。
その後、非オフセット領域を確認した後、記録紙上の定着像にスコッチ製メンディングテープ10mm幅810−1−18を貼り、記録紙面に対して170°の方向へ5cm/sの速度でテープを剥がし、画像濃度の残存率をX−Rite Inc社製「X−Rite model 528」により測定し、以下の5段階の基準に従い評価した。
【0198】
A :画像濃度残存率が95%以上。
B :画像濃度残存率が90%以上95%未満。
C :画像濃度残存率が80%以上90%未満。
D :画像濃度残存率が70%以上80%未満。
E :画像濃度残存率が70%未満。
【0199】
[2.6]耐久性
図1に示すような画像形成装置、および図1に示すような画像形成装置から絶縁性液体補給部を取り除いた画像形成装置に、前記各実施例、および各比較例のトナーを充填し、それぞれの画像形成装置において、記録媒体(セイコーエプソン社製、A4上質普通紙)に所定のパターンの印字(5%印字)を連続で8000枚行ない、形成された画像における、かすれ等の画像不良の程度を目視で評価し、以下の5段階の基準に従い評価した。なお、図1に示すような画像形成装置における、補給絶縁性液体貯留部内の絶縁性液体として、前記各実施例、および各比較例の液体現像剤を構成する成分のうち、樹脂材料と着色剤を除いた成分を混ぜ合わせたものを用いた。
【0200】
A :形成された画像8000枚中、1枚も、かすれ等の画像不良がまったく認めら れなかった。
B :7000〜7999枚目に形成された画像に、かすれ等の画像不良が初めて認 められた。
C :6000〜6999枚目に形成された画像に、かすれ等の画像不良が初めて認 められた。
D :4000〜5999枚目に形成された画像に、かすれ等の画像不良が初めて認 められた。
E :1〜3999枚目に形成された画像に、かすれ等の画像不良が認められた。
これらの結果を、各実施例および各比較例で得られた各液体現像剤中に含まれるトナー粒子の平均粒径、各液体現像剤を構成するトナー粒子間での粒径の標準偏差とともに表3、表4に示す。
【0201】
【表3】

【0202】
【表4】

【0203】
表3、表4から明らかなように、各実施例の液体現像剤中に含まれるトナー粒子の粒径は十分に小さいものであり、その結果、各実施例の液体現像剤を用いて形成されるトナー画像は、優れた解像度を有するものであった。これに対して、各比較例の液体現像剤では、満足な結果を得ることができなかった。また、各比較例の液体現像剤を製造する際に、トナー材料の粉砕、解砕時間をさらに延長したが、解砕は進まず、得られたトナー粒子は粗大粒子を多量に含むものであった。
また、実施例1〜17、および実施例24〜実施例36の各実施例の液体現像剤は、環境安定性(長期安定性)、保存性、定着特性、耐久性にも優れていた。
【0204】
さらに、実施例24、実施例28、実施例30、実施例33で得られたそれぞれの液体現像剤について、[2.3]の液体現像剤の保存性を評価する際、より高温(40〜45℃)においても、6ヶ月静置したことによるトナー粒子の浮遊および凝集沈降はまったく認められなかった。さらに、[2.2]の環境安定性の評価の際、これらの液体現像剤について、同条件で、さらに6ヶ月放置し、同様に評価を行ったところ、いずれの液体現像剤についても、粘度、色、酸価、電気抵抗値の変化がまったく認められなかった。
また、着色剤として、シアン系顔料の代わりに、ピグメントレッド122、ピグメントイエロー180、カーボンブラック(デグサ社製、Printex L)を用いた以外は、上記と同様に液体現像剤の製造、評価を行ったところ、上記と同様の結果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0205】
【図1】本発明の液体現像剤が適用される画像形成装置の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の液体現像剤が適用される画像形成装置のラインヘッド露光部の一例を示す斜視図である。
【図3】本発明の液体現像剤が適用される画像形成装置のラインヘッド露光部の副走査方向の断面図である。
【図4】本発明の液体現像剤が適用される定着装置の一例を示す断面図である。
【図5】本発明の液体現像剤が適用される画像形成装置第2実施形態の一例を示す模式図である。
【図6】図5に示す画像形成装置の一部を拡大した拡大図である。
【図7】図5に示す画像形成装置が備える塗布ローラを示す斜視概念図である。
【図8】図7に示す塗布ローラの拡大模式図である。
【図9】現像ローラ上の液体現像剤層内におけるトナー粒子の状態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0206】
1…液体現像剤 2…記録媒体 2a…トナー画像 10…補給絶縁性液体 P100…画像形成装置 P1…液体現像剤貯留部 P2…現像部 P21…感光体 P211…帯電器 P212…ラインヘッド露光部 P2120…ハウジング P2121…発光素子アレイ P2122…ガラス基板 P2123…封止部材 P2124…屈折率分布型ロッドレンズアレイ P2124’…屈折率分布型ロッドレンズ P2125…カバー P2126…固定板バネ P2127…薄膜トランジスタ P213…除電光 P22…液供給ローラ P23…液厚規制ローラ P231…液厚規制ブレード P24…現像ローラ P3…転写部 P31…中間転写ベルト P32…二次転写ローラ P4…現像部液回収部 P41…現像ローラ上液回収部 P411…クリーニングブレード P42…感光体上液回収部 P421…クリーニングブレード P5…転写部液回収部 P51…クリーニングブレード P6…回収液体現像剤搬送部 P60…ポンプ P61…濾過フィルタ(不純物除去手段) P7…循環部 P71…合流部 P8…絶縁性液体補給部 P81…補給絶縁性液体貯留部 P82…供給部 F40…定着装置 F1…熱定着ローラ(加熱ローラ) F1a…柱状ハロゲンランプ F1b…ローラ基材 F1c…弾性体 F2…加圧ローラ F2a…回転軸 F2b…ローラ基材 F2c…弾性体 F3…耐熱ベルト F4…ベルト張架部材 F4a…突壁 F4f…凹部 F5…記録媒体 F5a…トナー画像 F6…クリーニング部材 F7…フレーム F8…紫外線照射手段 F9…スプリング 1000…画像形成装置 10Y、10M、10C、10K…感光体 11Y、11M、11C、11K…帯電ローラ 12Y、12M、12C、12K…露光ユニット 13Y…感光体スクイーズローラ 14M、14Y…クリーニングブレード 15Y…現像剤回収部 16Y…除電ユニット 17Y…感光体クリーニングブレード 18Y…現像剤回収部 20Y、20M、20C、20K…現像ローラ 201Y…液体現像剤層 21Y…現像ローラクリーニングブレード 22Y…現像剤圧縮ローラ 23Y…現像剤圧縮ローラクリーニングブレード 30Y、30M、30C、30K…現像部 31Y…液体現像剤貯留部 32Y…塗布ローラ 33Y…規制ブレード 34Y…撹拌ローラ 40…中間転写部 41…ベルト駆動ローラ 42…テンションローラ 46…中間転写部クリーニングブレード 47…現像剤回収部 51Y、51M、51C、51K…1次転写バックアップローラ 52Y、52M、52C、52K…中間転写部スクイーズ装置 53Y…中間転写部スクイーズローラ 54Y…中間転写部スクイーズバックアップローラ 55Y…中間転写部スクイーズローラクリーニングブレード 56Y…現像剤回収部 60…2次転写ユニット 61…2次転写ローラ 62…二次転写ローラクリーニングブレード 63…現像剤回収部 70…搬送路 74…絶縁性液体貯留部 76…ポンプ 77…フィルタ手段 100Y…現像ユニット 101Y…感光体スクイーズ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー粒子を含む液体現像剤に用いられる絶縁性液体であって、
脂肪酸トリグリセリドと、脂肪酸モノエステルとを含み、
前記脂肪酸トリグリセリドおよび前記脂肪酸モノエステルは、脂肪酸成分として、不飽和脂肪酸を含むものであり、
前記脂肪酸モノエステルを構成するアルコール成分は、炭素数が1〜8のアルキル基を有するものであることを特徴とする絶縁性液体。
【請求項2】
前記アルコール成分は、炭素数が1〜7の直鎖アルキル基を有するものである請求項1に記載の絶縁性液体。
【請求項3】
前記アルコール成分は、炭素数が3〜8の分岐アルキル基を有するものである請求項1に記載の絶縁性液体。
【請求項4】
前記脂肪酸モノエステルとしては、天然油脂と、第二級アルコールもしくは第三級アルコールとのエステル交換反応により生成される生成物を含むものである請求項3に記載の絶縁性液体。
【請求項5】
前記脂肪酸モノエステルは、脂肪酸成分として、炭素数が14〜22である不飽和脂肪酸を含むものである請求項1ないし4のいずれかに記載の絶縁性液体。
【請求項6】
絶縁性液体中の前記脂肪酸トリグリセリドの含有量をX[wt%]、前記脂肪酸モノエステルの含有量をY[wt%]としたとき、1≦X/Y≦19の関係を満足する請求項1ないし5のいずれかに記載の絶縁性液体。
【請求項7】
前記脂肪酸トリグリセリドおよび前記脂肪酸モノエステルの加水分解を抑制する機能を有する加水分解抑制剤を含むものである請求項1ないし6のいずれかに記載の絶縁性液体。
【請求項8】
絶縁性液体中の前記加水分解抑制剤の含有量は、0.01〜5.0wt%である請求項7に記載の絶縁性液体。
【請求項9】
前記加水分解抑制剤は、フェノールホスファイト系化合物である請求項7または8に記載の絶縁性液体。
【請求項10】
主として樹脂材料で構成されたトナー粒子と、絶縁性液体とを有し、前記絶縁性液体は、脂肪酸トリグリセリドと脂肪酸モノエステルとを含み、前記脂肪酸トリグリセリドおよび前記脂肪酸モノエステルは、脂肪酸成分として、不飽和脂肪酸を含むものであり、前記脂肪酸モノエステルを構成するアルコール成分は、炭素数が1〜8のアルキル基を有するものであることを特徴とする液体現像剤。
【請求項11】
前記トナー粒子を構成する樹脂材料の酸価が、0.1〜15mgKOH/gである請求項10に記載の液体現像剤。
【請求項12】
トナー粒子を、脂肪酸トリグリセリドと脂肪酸モノエステルとを含み、前記脂肪酸トリグリセリドおよび前記脂肪酸モノエステルは、脂肪酸成分として、不飽和脂肪酸を含むものであり、前記脂肪酸モノエステルを構成するアルコール成分は、炭素数が1〜8のアルキル基を有する絶縁性液体中で粉砕、および/または解砕することを特徴とする液体現像剤の製造方法。
【請求項13】
液体現像剤を貯留する液体現像剤貯留部と、
前記液体現像剤貯留部より供給された前記液体現像剤を用いて現像する現像部と、
前記現像部で形成された像を記録媒体上に転写し、転写像を形成する転写部と、
前記現像部、および/または前記転写部において残存した前記液体現像剤を回収する回収部と、
前記回収部より回収された前記液体現像剤を前記液体現像剤貯留部に搬送する搬送部と、
前記記録媒体上に形成された前記転写像を前記記録媒体上に定着させる定着部とを有し、
前記液体現像剤は、主として樹脂材料で構成されたトナー粒子と、絶縁性液体とを有し、前記絶縁性液体は、脂肪酸トリグリセリドと脂肪酸モノエステルとを含み、前記脂肪酸トリグリセリドおよび前記脂肪酸モノエステルは、脂肪酸成分として、不飽和脂肪酸を含むものであり、前記脂肪酸モノエステルを構成するアルコール成分は、炭素数が1〜8のアルキル基を有するものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項1ないし9のいずれかに記載の絶縁性液体を、前記液体現像剤貯留部に補給する絶縁性液体補給部を有する請求項13に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−158484(P2008−158484A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−165602(P2007−165602)
【出願日】平成19年6月22日(2007.6.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】