絶縁部材およびリングコアチョーク
【課題】小さいリングコアであっても組み込み可能なリングコアチョークのための絶縁部材を提供する。
【解決手段】分離された複数の巻線スペースの形成およびスペーサ102,102′の接続のための分離機構1が設けられている。この分離機構1は少なくとも1つの分離ウェブ11を有しており、この分離ウェブ11の端部に第1のスペーサ102が配置されている。この場合、分離ウェブ11の幅Wは、スペーサ102の幅bよりも小さい。
【解決手段】分離された複数の巻線スペースの形成およびスペーサ102,102′の接続のための分離機構1が設けられている。この分離機構1は少なくとも1つの分離ウェブ11を有しており、この分離ウェブ11の端部に第1のスペーサ102が配置されている。この場合、分離ウェブ11の幅Wは、スペーサ102の幅bよりも小さい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リングコアのコアホールに組み込むための絶縁部材に関する。この絶縁部材は、複数の巻線を備えたリングコアチョークを電位的に分離するように構成されている。さらに本発明は、絶縁部材を備えたリングコアチョークに関する。
【背景技術】
【0002】
リングコアチョークのためにリングコアホールに組み込み可能な絶縁部材は、たとえばDE 10308010 A1により知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】DE 10308010 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、小さいリングコアであっても組み込み可能なリングコアチョークのための絶縁部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によればこの課題は、分離された複数の巻線スペースの形成およびスペーサの接続のための分離機構が設けられており、該分離機構は少なくとも1つの分離ウェブを有しており、該分離ウェブの端部に第1のスペーサが配置されており、該分離ウェブの幅は前記スペーサの幅よりも小さいことにより解決される。他の請求項には本発明による絶縁部材の有利な実施形態ならびにリングコアチョークについて記載されている。
【0006】
リングコアのコアホールに組み込むための絶縁部材には、別個の巻線スペースを形成するために、およびスペーサを接続するために、分離機構が設けられている。この分離機構は半径方向ないしは放射状の方向に延在する少なくとも1つの分離ウェブを有しており、その第1の端部で第1のスペーサと接続されている。この場合、分離ウェブの幅Wは第1のスペーサの幅bよりも小さい。
【0007】
有利には、組み込まれた状態でスペーサの幅bは分離ウェブの幅Wよりも大きい。
【0008】
本発明による絶縁部材の1つの有利な実施形態によれば幅Wとは、分離ウェブの厚さないしは分離ウェブの断面幅のことである。その際、分離ウェブがソリッドであり中空ではないと有利である。
【0009】
スペーサのうちの少なくとも1つが弾性に変形可能な部材であると有利である。弾性に変形可能な部材の幅は、変形した状態において半径方向および絶縁部材の長手方向と交差する方向で分離ウェブの幅Wよりも広い。弾性に変形可能な部材は有利には半径方向にはたらく力の作用で変形し、その際、半径方向を横切る方向で測定した幅が有利には広がる。変形可能な部材は力の作用が加わると一般に支持台たとえばリングコア内壁に抗して支持されることによって、変形可能な部材の形状安定性が半径方向を横切る方向でその幅に関して達成されるので、変形可能な部材を半径方向を横切る方向でスペーサとして用いることができ、たとえばリングコアチョークにおける2つの巻線を空間的に分離するためのスペーサとして用いることができる。したがって変形可能な部材の幅によって、絶縁部材を含むリングコアチョークの絶縁間隔が定まる。変形可能な部材の幅はたとえば少なくとも2xWである。
【0010】
1つの有利な実施形態によれば、絶縁部材は半径方向に延在する幅Wの分離ウェブを備えており、この分離ウェブの第1の端部に弾性に変形可能な拡開部が設けられている。拡開部は拡開された状態で、幅Wの少なくとも2倍である拡開幅bすなわち拡開部端点間の内のり間隔を有している。1つの有利な実施形態によればb≧3Wである。
【0011】
有利には分離ウェブの幅Wは、分離ウェブが比較的狭いけれども剛性であるよう選定される。
【0012】
これに対し拡開部のコンポーネントの壁厚wについては、このコンポーネントが少なくとも部分的に変形可能でありたとえば撓みやすくしたがって拡開可能であるよう選定すると有利である。
【0013】
拡開された状態において半径方向で測定した拡開部の長さhは有利にはその拡開幅bよりも狭く、1つの実施形態によればh<0.4bである。
【0014】
拡開された状態における拡開部の半径方向長さhは、半径方向で測定された分離ウェブの長さaよりも短いのが有利であり、1つの実施形態によればh<0.5aであり、有利な実施形態によればh<0.4aである。
【0015】
拡開された状態における拡開部の半径方向長さhは、コアホール直径により規定される絶縁部材の横断面の大きさdよりも小さいと有利であり、1つの実施形態によればh<0.2dである。
【0016】
拡開部はリングコアに組み込まれると、拡開端点のところでリングコア内壁に向かって押圧される。これにより、互いに分離すべき巻線が向かい合った方向で拡開端点を越えて滑ってしまうのが回避され、したがって拡開端点間で、つまりは実質的に半径方向と交差する方向で、あるいはリングコアの周囲方向においても、まえもって定められた絶縁間隔が確保される。このため拡開部は、互いに分離すべき巻線間のスペーサとしての役割を果たす。絶縁間隔は各拡開端点間の内のり間隔Lにより規定され、この間隔と実質的に等しい。
【0017】
絶縁間隔を確保するための間隔部材が省スペースでウェブ端部に形成されていることによって、分離ウェブを著しく狭く形成することができる。したがって大きな絶縁間隔が保持されるにもかかわらず、互いに分離された比較的大きい巻線スペースを確保することができる。
【0018】
絶縁部材は拡開部により半径方向で弾性をもっているので、リングコアへの組み込みにあたり簡単な取り付けが実現される。各リングコアはそれらの内径に関して互いに比較的大きい偏差をもっている可能性があるにもかかわらず、本発明による絶縁部材を用いることによってこのような公差を補償することができる。
【0019】
分離ウェブの横断面は有利にはY字型であり、すなわち横断面がV字型の拡開部を形成するために分離ウェブの第1の端部のところで分岐して2つのばね部材が形成される。このケースでは拡開部は、横断面において互いに離れていくよう半径方向に延在する弾性に変形可能な2つのばね部材(撓みばね)を有しており、これらは有利にはブレード状である。
【0020】
これに対し、分離ウェブ主表面と交差する方向で測定されたばね部材の断面長さLは分離ウェブの幅Wよりも大きく、たとえばL>1.5Wであり、有利にはL>2Wである。
【0021】
拡開角βをたとえば90°180°の間にすることができ、120°〜170°の間にするのが有利である。150°以上の大きい拡開角にすれば、殊に大きい拡開幅ひいては殊に大きい絶縁間隔ならびにできるかぎり大きい巻線スペースを実現することができる。
【0022】
ばね部材の断面長さLは有利には拡開部の半径方向長さhよりも大きく、たとえばL>2hである。1つの実施形態によれば、ばね部材の断面長さLを0.5aとすることができ、ここでaは分離ウェブの半径方向長さである。
【0023】
分離ウェブの幅Wは分離ウェブ材料の弾性特性およびコアホール直径に依存して、分離ウェブが薄いけれどもコアホールに組み込まれたときに形状が安定して保たれるよう選定される。分離ウェブの幅Wは有利には1.5〜5mmであり、たとえばコアホール直径が15mmよりも小さいときには1〜1.5mm、コアホール直径が15〜25mmのときには1.5〜2mm、コアホール直径が20〜50mmのときには1.5〜2.5mm、コアホール直径が50〜100mmのときには2.5〜5mmである。ばね部材の壁厚wを、エッジが面取りされた領域を除いて分離ウェブの幅Wの少なくとも50%とするのが有利である。
【0024】
個々のばね部材の断面長さLは有利には少なくとも3.5mmである。1つの実施形態によれば、ばね部材の断面長さLを少なくとも4.5mmとすることができる。
【0025】
1つの実施形態によれば拡開部の拡開幅bを8mmよりも大きくすることができ、1つの有利な実施形態によれば9mmよりも大きくすることができる。
【0026】
有利には、分離ウェブの第2の端部のところに対向受けないしは対応受けとして用いられる機構を設けることができる。1つの有利な実施形態によれば対応受けを別の拡開部材により形成することができ、これは所定の絶縁間隔を確保するためのスペーサとしても用いることができ、第1の拡開部のように構成するのが有利である。このような絶縁部材は、2つの巻線を備えたリングコアチョークのために適している。
【0027】
さらに別の実施形態によれば、対向受けをたとえば形状安定部材により形成することができ、この部材は分離ウェブの拡幅部を成し、所定の絶縁間隔を確保するスペーサとして用いられる。このような絶縁部材を殊に、2つの巻線を備えたリングコアチョークに組み込むことができる。
【0028】
1つの実施形態によれば、拡幅部の主表面を互いに60°〜120°の角度たとえば80°の角度を成して延在させることができる。さらに分離ウェブの拡幅部の横断面に扇形の断面形状をもたせることができる。また、分離ウェブの拡幅部において分離ウェブから離れる側のエッジの横断面に円弧形状をもたせることができ、この円弧の長さはたとえば少なくとも10mmである。さらに拡幅部に、保持部材を受け入れるための面取りされたエッジおよび/または少なくとも1つの凹部をもたせることができる。
【0029】
さらに別の実施形態によれば対向受けを、分離ウェブが拡開部とは反対側の端部で有利には同様に形成された別の分離ウェブと星形に接続されるように構成することができ、この場合、上記の端部は星形接続点を成す。その際に有利であるのは、別の分離ウェブも星形接続点とは反対側の端部にそれぞれ拡開部を有していることである。コアホールを絶縁しながら分割してn≧2個の巻線スペースを形成するために、n個の分離ウェブが用いられる。好適であるのは、絶縁部材のすべての拡開部を同じように形成することである。絶縁部材の1つの実施形態によれば、分離ウェブは実質的に360°/nの角度だけ互いにずらされている。これにより簡単かつ有利なやり方で、コアホールを等しい大きさの巻線スペースに分割できるようになる。
【0030】
したがって1つの有利な実施形態によれば、絶縁部材が半径方向に延在する複数の分離ウェブを有し、これらの分離ウェブには半径方向で互いに逸れるように延在する弾性的に変形可能な2つのばね部材が設けられているように構成することができる。好適であるのは、同じ分離ウェブと接続されているばね部材を互いに対称に形成することである。さらに有利であるのは、複数のばね部材を備えた種々の分離ウェブを同じ形式で構成することである。
【0031】
絶縁部材は有利には一体型に形成されている。絶縁部材が射出成形部材であると有利であり、1つの実施形態によればこれには熱可塑性樹脂たとえばポリカーボネートが含まれている。ポリカーボネートの利点は、これが電気的にきわめて良好に絶縁性である一方、きわめて良好な燃焼特性を有していることであり、すなわち規格UL94V−0に適合したごく僅かな可燃性しかもっていないことである。ポリカーボネートとしてたとえばLexan(レキサン)が考慮の対象となるし、あるいはMacrolon(マクロロン)も考えられる。分離ウェブのためにまえもって定められた強度で形状安定性があり、ばね部材のためにまえもって定められた比較的小さい強度で変形可能であるさらに別の電気絶縁材料も考えられる。
【0032】
このような絶縁材料は機械的安定性が高い点で優れており、これによって絶縁部材を一体型部材として、すでにリングコア巻回前にそのコアホールへ挿入できるようになる。2つの分離ウェブ間に存在するリングコア区間各々に巻線がそれぞれ巻回される。このようにして電位分離されたリングコアチョークが用意される。
【0033】
剛性の分離ウェブとばね部材とが共働することによって、絶縁部材を機械的に著しく頑丈にリングコアのコアホールに取り付けることができ、このことにより絶縁部材のウェブが巻回中押し戻されないという利点が得られる。
【0034】
これまで述べてきた絶縁部材を用いることで、広い絶縁区間すなわち分離すべき2つの巻線間の空隙距離および沿面距離を、コアホールにより規定される巻線スペースに制約を与えることなく実現することができる。
【0035】
絶縁部材の1つの有利な実施形態によれば、この絶縁部材はn個の対称軸を有している。つまりこのことは、絶縁部材はそれらの対称軸を中心として360°/nの角度で旋回させると自身にマッピングされることを意味する。このような対称軸をもつことの利点は、できるかぎり僅かな形状多様性しか考慮しなくてよいので著しく簡単に製造できることである。
【0036】
次に、実施例および添付の図面に基づき本発明について詳しく説明する。図面には本発明の様々な実施例が示されているが、これは略示されたものであり縮尺どおりには描かれていない。同一の部材または機能的に同じ部材には同一の参照符号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】2つの巻線を分離するための絶縁部材を示す平面図
【図2A】投影面BB′から見た図1による絶縁部材の投影図
【図2B】図1による絶縁部材の主表面から見た平面図
【図2C】横断面AA′に沿って見たばね部材の断面図
【図2D】図1による絶縁部材を下方から見た図
【図2E】図1による絶縁部材を上方から見た図
【図3】2つの巻線を分離するための別の絶縁部材を示す平面図
【図4】3つの巻線を分離するための絶縁部材を示す平面図
【図5】4つの巻線を分離するための絶縁部材を示す平面図
【図6】図1による絶縁部材を示す斜視図
【図7】図1による絶縁部材を備えたリングコアチョークの斜視図
【図8】図7によるリングコアチョークを示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1、図2A〜図2Eおよび図6には、第1の実施形態による絶縁部材をそれぞれ異なる視点から見た様子が描かれている。
【0039】
図1には絶縁部材を端面方向で見た平面図が示されており、つまりこの図は分離ウェブ11の主表面を横切る方向で見た平面図である。
【0040】
放射状に延在する分離ウェブ11はその上方の(第1の)端部で分岐しており、この実施例ではブレード状のばね部材111,112が形成されている。分離ウェブの外側の端部で対になって配置されているばね部材111,112は、半径方向でそれぞれ隔たっていくように延在している。
【0041】
ばね部材111,112が全体として第1の拡開部102を成しており、これは絶縁間隔を保持するためのスペーサとして適している。ばね部材111,112は基本状態において、すなわちリングコアのコアホールに差し込まれる前の状態において、互いにたとえば120°〜170°の角度を成しており、コアホールに挿入されると(図7)さらに広がり、これらはリングコア2の内壁を押圧する。
【0042】
半径方向に及ぼされる圧力によって、絶縁部材におけるばね部材は変形可能である。ばね部材111,112はそれらの撓みやすさの点で優れており、つまりばね部材111,112はそれらと比較して剛性のウェブ11の圧力により半径方向で側方に撓むことができ、これにより絶縁部材を様々なチョークホール直径に整合させることができる。
【0043】
分離ウェブ11はその下方の(第2の)端部に拡幅部10を有しており、この部分は分離ウェブ主表面を横切る方向の横断面で見ると円の切片の基本形状を有している。拡幅部10は絶縁間隔を保持するための第2のスペーサを成している。
【0044】
拡幅部10は2つの凹部100を有しており、これらはそれぞれ保持部材5(図7)を収容するのに適している。
【0045】
分離ウェブ11の主表面110は図2B,2D,2Eに示されている長手方向軸Cに対し平行に延在しており、この長手方向軸Cは、図7に示されており絶縁部材の差し込まれるリングコア2の軸線方向に沿って配向されている。
【0046】
この絶縁部材の利点は、有利には半径方向に変形可能な拡開部材ゆえにリングコアの様々なコアホール直径に整合させることができる点にある。しかもこの絶縁部材の利点は、構造が簡単なことからたとえば射出成形などによって容易かつ安価に製造できることにある。
【0047】
図2Aには図1による絶縁部材を平面BB′から見た様子が描かれており、図2Bにはこの絶縁部材を側面から見た様子が描かれている。
【0048】
図2Cには、ばね部材111を平面AA′に沿ってみた断面図が略示されている。
【0049】
ばね部材111は、斜めに面取りされたエッジ91,92を有している(図2Cおよび図2E)。ばね部材111の最大壁厚wは、分離ウェブ幅Wの少なくとも半分である。このことは第2のばね部材112についても同様にあてはまる。
【0050】
拡幅部10に、斜めに面取りされたエッジ93,94をもたせることができる(図2Bおよび図2D)。基本的にすべてのエッジおよび/または突き合わせ個所(たとえば分離ウェブ11および部材10の突き合わせ個所または分離ウェブ11およびばね部材111もしくは112の突き合わせ個所)を面取りすることができる。絶縁部材に設けられている傾斜部分91〜94によって、絶縁部材をリングコアのコアホールに挿入するのが容易になる。
【0051】
一方ではばね部材111,112により、他方では拡幅部10により、絶縁部材の両端部においてリングコアチョークの巻線31,32を互いに隔てておくことができ、したがって各巻線間の所要最小間隔(絶縁間隔)を保持することができる。絶縁間隔をたとえば9.6mm(エアギャップ)とすることができ、これはリングコア内壁に沿って測定された12.7mmの沿面距離ないしはクリープ区間に対応する。
【0052】
図3〜図5には、n個の巻線間の電位分離のためにn個の分離ウェブを備えた絶縁部材として実現可能な別の実施形態が示されている。この絶縁部材は、ここに図示されている実施形態によればn個の対称軸を有している。この対称軸は図平面を横切る方向で延在している。
【0053】
ウェブ11とウェブ12(ならびに図4および図5のウェブ13と図5のウェブ14)は、絶縁部材の仮想中心点から放射方向ないしは半径方向で離れるように延びている。絶縁部材の仮想中心点を通って、図示されていないn個の対称軸が延在している。
【0054】
図3には、2つの巻線を分離するための絶縁部材が示されている(n=2)。分離ウェブ11はその両端部にそれぞれ1つの拡開部102および102′を有している。これら両方の拡開部は等しく構成されている。拡開部102は2つのばね部材111,112を有しており、拡開部102′は2つのばね部材111′,112′を有している。
【0055】
ばね部材111は長さL11=Lであり、ばね部材112は有利には等しいばね長さL12を有している。拡開幅bは、ばね部材の長さがそれぞれ等しければ2L x sin(β/2)となり、ここでLはばね部材の横断面の長さであり、βは拡開角度である。拡開部の半径方向の長さhはおおよそh=w + L x cos(β/2)であり、ここでwはばね部材の壁厚である。
【0056】
n>2の場合、分離ウェブ11,12,13,14はスター状に互いに結合されている(図4および図5参照)。
【0057】
絶縁部材の分離機構1は図1、図3および図6の場合、分離ウェブ11によって形成されている。図4の場合、分離機構は仮想の中心点のところでスター状に互いに結合された3つの分離ウェブ11,12,13を有しており、図5の場合には互いに接続された4つの分離ウェブ11,12,13,14を有している。
【0058】
図4には、3つの巻線を分離するための絶縁部材が示されている(n=2)。この場合、2つの分離ウェブ11と12、12と13ならびに13と11との間の角度は、それぞれ360°/n=120°である。
【0059】
分離ウェブ12は外側に向かう端部のところでばね部材121,122として分岐しており、分離ウェブ13はばね部材131,132として分岐している。この場合、すべての分離ウェブは等しい長さを有している。
【0060】
ばね部材111,112により形成されている拡開部の半径方向の長さhは、拡開角度βが大きく選定されていることから、ウェブの長さaよりも著しく短い。この理由から、拡開幅b(図3参照)も著しく大きい。
【0061】
図5には、4つの巻線を分離するための絶縁部材が示されている(n=4)。この場合、2つの分離ウェブ11と12、12と13、13と14ならびに14と11との間の角度は、それぞれ360°/n=90°である。
【0062】
なお、n個の分離ウェブを備え非対称に構成された絶縁部材も可能である。互いに分離されるn>4個の巻線スペースを形成するために、n個の分離ウェブを備えた絶縁部材も考えられる。
【0063】
図7には、図1に示した実施形態による絶縁部材を備えたリングコアチョークの一例が示されている。このリングコアチョークは、コアホールを備えたリングコア2と2つの巻線31,32を有している。コアホールは絶縁部材11,111,112,10によって分割されており、これにより巻線31ないしは32を収容するための互いに分離された2つの巻線スペースが形成されている。分離ウェブ11はたとえば1.5〜3mmで相対的に狭く形成されていることから、比較的大きい巻線スペースを利用することができる。
【0064】
リングコアチョークは取り付け板4の上に取り付けられており、この取り付け板4にはリングコアチョークの所定のパターンサイズを保持するため巻線端部を収容する開口部が設けられている。取り付け板4の上には、リングコアチョークを垂直方向に固定するために有利には2つの保持部材5が設けられており、図7には一方の保持部材5だけが示されている。保持部材5は絶縁部材の凹部100に形状結合で嵌め込まれている。保持部材5は図7に示されている実施形態の場合、絶縁部材のところではなくリングコアのところでチョークを保持している。
【0065】
半径方向で測定した分離ウェブ11の長さは、有利にはコアホール直径の少なくとも50%である。1つの実施形態によれば、分離ウェブ11の長さはコアホール直径の少なくとも70%である。
【0066】
図8には、切断面DD′に沿ったリングコアチョークの横断面が描かれている。
軸線方向(長手方向C、図2B、図2D、図2E参照)で測定した絶縁部材の高さがリングコア2の高さよりも高いと有利であり、これによって絶縁部材はこの方向においてリングコアから突出し、たとえば両側で突出するようになる(図8参照)。このことはコアの部品巻回にあたり、コアと絶縁部材の配置を固定するのに有利である。しかも突出した絶縁部材は分離ウェブ11の突出状態により、いわゆる空隙距離および沿面距離ないしはクリープ区間を伸ばすのに適しており、この場合、たとえチョークが密に巻回されていても中央領域において所定の空隙距離および沿面距離を確保することができる。
【0067】
1つの有利な実施形態によれば、絶縁部材の分離ウェブ11は軸線方向において両側で、それぞれ少なくとも3mm、リングコア2を超えてもしくは(図8の上方または下方の)チョーク周縁部を超えて突出している。1つの有利な実施形態によれば、個々の突出部は少なくとも4.5mmである。
【0068】
実際の空隙距離および沿面距離は、分離ウェブ断面サイズWと、(図8では下側の)分離ウェブ11端面と第1の巻線31における分離ウェブ側末端巻回部との間隔I1と、分離ウェブ11端面と第2の巻線32における分離ウェブ側末端巻回部の間隔I2とから成る和S=I1+W+I2としてまとめられる。実際の空隙距離および沿面距離は少なくとも、まえもって定められた空隙距離および沿面距離のサイズであると有利である。
【0069】
突出した絶縁部材を用いることによって実際の空隙距離および沿面距離が事実上伸ばされることによって、まえもって定められたいっそう大きい空隙距離および沿面距離を保持することができる一方、そこに生じる巻線スペースを余すことなく利用し尽くすことができ、このことは内径の小さいリングコアの場合には殊に重要な利点を成す。巻線31、32は、図7では分離ウェブを横切る方向に延在する軸線方向で間隔dだけ互いに離されている。図8にも描かれている1つの有利な実施形態によれば、この間隔は実際の空隙距離および沿面距離S=I1+W+I2よりも小さい。したがって、リングコアから突出する絶縁部材の分離ウェブ11によってチョーク中央領域でも十分な空隙距離および沿面距離が確保され、その際、間隔dをまえもって定められた空隙距離および沿面距離より小さく選定してもよい。
【0070】
本発明は、図面に描かれている部材の個数に限定されるものではない。また、拡開部材の形態がブレード状のばね部材に限定されるものでもない。上記の形態に限らず、有利には剛性であるウェブにおいて半径方向での弾性が得られるようにする目的で、考えられるすべての適切な機構を考慮の対象とすることができる。なお、ウェブは中実として形成してもよいし、中空の断面として形成してもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 分離機構
10 分離ウェブ11の拡幅部
100 凹部
102 第1のスペーサ
102′ 第2のスペーサ
11,12,13 分離ウェブ
110 分離ウェブ11の主表面
111,112 分離ウェブ11の変形可能なばね部材
121,122 分離ウェブ12の変形可能なばね部材
131,132 分離ウェブ13の変形可能なばね部材
31,32 巻線
4 取り付け板
5 保持部材
91,92 ばね部材111の面取りされたエッジ
93,94 拡幅部10の面取りされたエッジ
AA′ 横断面
BB′ 投影面
a 分離ウェブの半径方向長さ
b 拡開部102の拡開幅
d 互いに対向する巻線間の半径方向間隔
C 長手方向軸
h 拡開部の長さ
I1,I2 巻線末端と分離ウェブ端面の間隔
円弧の割線の長さ
L11 ばね部材111の長さ
L12 ばね部材111の長さ
w 変形可能なばね部材の壁厚
W 分離ウェブ11の幅
【技術分野】
【0001】
本発明は、リングコアのコアホールに組み込むための絶縁部材に関する。この絶縁部材は、複数の巻線を備えたリングコアチョークを電位的に分離するように構成されている。さらに本発明は、絶縁部材を備えたリングコアチョークに関する。
【背景技術】
【0002】
リングコアチョークのためにリングコアホールに組み込み可能な絶縁部材は、たとえばDE 10308010 A1により知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】DE 10308010 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、小さいリングコアであっても組み込み可能なリングコアチョークのための絶縁部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によればこの課題は、分離された複数の巻線スペースの形成およびスペーサの接続のための分離機構が設けられており、該分離機構は少なくとも1つの分離ウェブを有しており、該分離ウェブの端部に第1のスペーサが配置されており、該分離ウェブの幅は前記スペーサの幅よりも小さいことにより解決される。他の請求項には本発明による絶縁部材の有利な実施形態ならびにリングコアチョークについて記載されている。
【0006】
リングコアのコアホールに組み込むための絶縁部材には、別個の巻線スペースを形成するために、およびスペーサを接続するために、分離機構が設けられている。この分離機構は半径方向ないしは放射状の方向に延在する少なくとも1つの分離ウェブを有しており、その第1の端部で第1のスペーサと接続されている。この場合、分離ウェブの幅Wは第1のスペーサの幅bよりも小さい。
【0007】
有利には、組み込まれた状態でスペーサの幅bは分離ウェブの幅Wよりも大きい。
【0008】
本発明による絶縁部材の1つの有利な実施形態によれば幅Wとは、分離ウェブの厚さないしは分離ウェブの断面幅のことである。その際、分離ウェブがソリッドであり中空ではないと有利である。
【0009】
スペーサのうちの少なくとも1つが弾性に変形可能な部材であると有利である。弾性に変形可能な部材の幅は、変形した状態において半径方向および絶縁部材の長手方向と交差する方向で分離ウェブの幅Wよりも広い。弾性に変形可能な部材は有利には半径方向にはたらく力の作用で変形し、その際、半径方向を横切る方向で測定した幅が有利には広がる。変形可能な部材は力の作用が加わると一般に支持台たとえばリングコア内壁に抗して支持されることによって、変形可能な部材の形状安定性が半径方向を横切る方向でその幅に関して達成されるので、変形可能な部材を半径方向を横切る方向でスペーサとして用いることができ、たとえばリングコアチョークにおける2つの巻線を空間的に分離するためのスペーサとして用いることができる。したがって変形可能な部材の幅によって、絶縁部材を含むリングコアチョークの絶縁間隔が定まる。変形可能な部材の幅はたとえば少なくとも2xWである。
【0010】
1つの有利な実施形態によれば、絶縁部材は半径方向に延在する幅Wの分離ウェブを備えており、この分離ウェブの第1の端部に弾性に変形可能な拡開部が設けられている。拡開部は拡開された状態で、幅Wの少なくとも2倍である拡開幅bすなわち拡開部端点間の内のり間隔を有している。1つの有利な実施形態によればb≧3Wである。
【0011】
有利には分離ウェブの幅Wは、分離ウェブが比較的狭いけれども剛性であるよう選定される。
【0012】
これに対し拡開部のコンポーネントの壁厚wについては、このコンポーネントが少なくとも部分的に変形可能でありたとえば撓みやすくしたがって拡開可能であるよう選定すると有利である。
【0013】
拡開された状態において半径方向で測定した拡開部の長さhは有利にはその拡開幅bよりも狭く、1つの実施形態によればh<0.4bである。
【0014】
拡開された状態における拡開部の半径方向長さhは、半径方向で測定された分離ウェブの長さaよりも短いのが有利であり、1つの実施形態によればh<0.5aであり、有利な実施形態によればh<0.4aである。
【0015】
拡開された状態における拡開部の半径方向長さhは、コアホール直径により規定される絶縁部材の横断面の大きさdよりも小さいと有利であり、1つの実施形態によればh<0.2dである。
【0016】
拡開部はリングコアに組み込まれると、拡開端点のところでリングコア内壁に向かって押圧される。これにより、互いに分離すべき巻線が向かい合った方向で拡開端点を越えて滑ってしまうのが回避され、したがって拡開端点間で、つまりは実質的に半径方向と交差する方向で、あるいはリングコアの周囲方向においても、まえもって定められた絶縁間隔が確保される。このため拡開部は、互いに分離すべき巻線間のスペーサとしての役割を果たす。絶縁間隔は各拡開端点間の内のり間隔Lにより規定され、この間隔と実質的に等しい。
【0017】
絶縁間隔を確保するための間隔部材が省スペースでウェブ端部に形成されていることによって、分離ウェブを著しく狭く形成することができる。したがって大きな絶縁間隔が保持されるにもかかわらず、互いに分離された比較的大きい巻線スペースを確保することができる。
【0018】
絶縁部材は拡開部により半径方向で弾性をもっているので、リングコアへの組み込みにあたり簡単な取り付けが実現される。各リングコアはそれらの内径に関して互いに比較的大きい偏差をもっている可能性があるにもかかわらず、本発明による絶縁部材を用いることによってこのような公差を補償することができる。
【0019】
分離ウェブの横断面は有利にはY字型であり、すなわち横断面がV字型の拡開部を形成するために分離ウェブの第1の端部のところで分岐して2つのばね部材が形成される。このケースでは拡開部は、横断面において互いに離れていくよう半径方向に延在する弾性に変形可能な2つのばね部材(撓みばね)を有しており、これらは有利にはブレード状である。
【0020】
これに対し、分離ウェブ主表面と交差する方向で測定されたばね部材の断面長さLは分離ウェブの幅Wよりも大きく、たとえばL>1.5Wであり、有利にはL>2Wである。
【0021】
拡開角βをたとえば90°180°の間にすることができ、120°〜170°の間にするのが有利である。150°以上の大きい拡開角にすれば、殊に大きい拡開幅ひいては殊に大きい絶縁間隔ならびにできるかぎり大きい巻線スペースを実現することができる。
【0022】
ばね部材の断面長さLは有利には拡開部の半径方向長さhよりも大きく、たとえばL>2hである。1つの実施形態によれば、ばね部材の断面長さLを0.5aとすることができ、ここでaは分離ウェブの半径方向長さである。
【0023】
分離ウェブの幅Wは分離ウェブ材料の弾性特性およびコアホール直径に依存して、分離ウェブが薄いけれどもコアホールに組み込まれたときに形状が安定して保たれるよう選定される。分離ウェブの幅Wは有利には1.5〜5mmであり、たとえばコアホール直径が15mmよりも小さいときには1〜1.5mm、コアホール直径が15〜25mmのときには1.5〜2mm、コアホール直径が20〜50mmのときには1.5〜2.5mm、コアホール直径が50〜100mmのときには2.5〜5mmである。ばね部材の壁厚wを、エッジが面取りされた領域を除いて分離ウェブの幅Wの少なくとも50%とするのが有利である。
【0024】
個々のばね部材の断面長さLは有利には少なくとも3.5mmである。1つの実施形態によれば、ばね部材の断面長さLを少なくとも4.5mmとすることができる。
【0025】
1つの実施形態によれば拡開部の拡開幅bを8mmよりも大きくすることができ、1つの有利な実施形態によれば9mmよりも大きくすることができる。
【0026】
有利には、分離ウェブの第2の端部のところに対向受けないしは対応受けとして用いられる機構を設けることができる。1つの有利な実施形態によれば対応受けを別の拡開部材により形成することができ、これは所定の絶縁間隔を確保するためのスペーサとしても用いることができ、第1の拡開部のように構成するのが有利である。このような絶縁部材は、2つの巻線を備えたリングコアチョークのために適している。
【0027】
さらに別の実施形態によれば、対向受けをたとえば形状安定部材により形成することができ、この部材は分離ウェブの拡幅部を成し、所定の絶縁間隔を確保するスペーサとして用いられる。このような絶縁部材を殊に、2つの巻線を備えたリングコアチョークに組み込むことができる。
【0028】
1つの実施形態によれば、拡幅部の主表面を互いに60°〜120°の角度たとえば80°の角度を成して延在させることができる。さらに分離ウェブの拡幅部の横断面に扇形の断面形状をもたせることができる。また、分離ウェブの拡幅部において分離ウェブから離れる側のエッジの横断面に円弧形状をもたせることができ、この円弧の長さはたとえば少なくとも10mmである。さらに拡幅部に、保持部材を受け入れるための面取りされたエッジおよび/または少なくとも1つの凹部をもたせることができる。
【0029】
さらに別の実施形態によれば対向受けを、分離ウェブが拡開部とは反対側の端部で有利には同様に形成された別の分離ウェブと星形に接続されるように構成することができ、この場合、上記の端部は星形接続点を成す。その際に有利であるのは、別の分離ウェブも星形接続点とは反対側の端部にそれぞれ拡開部を有していることである。コアホールを絶縁しながら分割してn≧2個の巻線スペースを形成するために、n個の分離ウェブが用いられる。好適であるのは、絶縁部材のすべての拡開部を同じように形成することである。絶縁部材の1つの実施形態によれば、分離ウェブは実質的に360°/nの角度だけ互いにずらされている。これにより簡単かつ有利なやり方で、コアホールを等しい大きさの巻線スペースに分割できるようになる。
【0030】
したがって1つの有利な実施形態によれば、絶縁部材が半径方向に延在する複数の分離ウェブを有し、これらの分離ウェブには半径方向で互いに逸れるように延在する弾性的に変形可能な2つのばね部材が設けられているように構成することができる。好適であるのは、同じ分離ウェブと接続されているばね部材を互いに対称に形成することである。さらに有利であるのは、複数のばね部材を備えた種々の分離ウェブを同じ形式で構成することである。
【0031】
絶縁部材は有利には一体型に形成されている。絶縁部材が射出成形部材であると有利であり、1つの実施形態によればこれには熱可塑性樹脂たとえばポリカーボネートが含まれている。ポリカーボネートの利点は、これが電気的にきわめて良好に絶縁性である一方、きわめて良好な燃焼特性を有していることであり、すなわち規格UL94V−0に適合したごく僅かな可燃性しかもっていないことである。ポリカーボネートとしてたとえばLexan(レキサン)が考慮の対象となるし、あるいはMacrolon(マクロロン)も考えられる。分離ウェブのためにまえもって定められた強度で形状安定性があり、ばね部材のためにまえもって定められた比較的小さい強度で変形可能であるさらに別の電気絶縁材料も考えられる。
【0032】
このような絶縁材料は機械的安定性が高い点で優れており、これによって絶縁部材を一体型部材として、すでにリングコア巻回前にそのコアホールへ挿入できるようになる。2つの分離ウェブ間に存在するリングコア区間各々に巻線がそれぞれ巻回される。このようにして電位分離されたリングコアチョークが用意される。
【0033】
剛性の分離ウェブとばね部材とが共働することによって、絶縁部材を機械的に著しく頑丈にリングコアのコアホールに取り付けることができ、このことにより絶縁部材のウェブが巻回中押し戻されないという利点が得られる。
【0034】
これまで述べてきた絶縁部材を用いることで、広い絶縁区間すなわち分離すべき2つの巻線間の空隙距離および沿面距離を、コアホールにより規定される巻線スペースに制約を与えることなく実現することができる。
【0035】
絶縁部材の1つの有利な実施形態によれば、この絶縁部材はn個の対称軸を有している。つまりこのことは、絶縁部材はそれらの対称軸を中心として360°/nの角度で旋回させると自身にマッピングされることを意味する。このような対称軸をもつことの利点は、できるかぎり僅かな形状多様性しか考慮しなくてよいので著しく簡単に製造できることである。
【0036】
次に、実施例および添付の図面に基づき本発明について詳しく説明する。図面には本発明の様々な実施例が示されているが、これは略示されたものであり縮尺どおりには描かれていない。同一の部材または機能的に同じ部材には同一の参照符号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】2つの巻線を分離するための絶縁部材を示す平面図
【図2A】投影面BB′から見た図1による絶縁部材の投影図
【図2B】図1による絶縁部材の主表面から見た平面図
【図2C】横断面AA′に沿って見たばね部材の断面図
【図2D】図1による絶縁部材を下方から見た図
【図2E】図1による絶縁部材を上方から見た図
【図3】2つの巻線を分離するための別の絶縁部材を示す平面図
【図4】3つの巻線を分離するための絶縁部材を示す平面図
【図5】4つの巻線を分離するための絶縁部材を示す平面図
【図6】図1による絶縁部材を示す斜視図
【図7】図1による絶縁部材を備えたリングコアチョークの斜視図
【図8】図7によるリングコアチョークを示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1、図2A〜図2Eおよび図6には、第1の実施形態による絶縁部材をそれぞれ異なる視点から見た様子が描かれている。
【0039】
図1には絶縁部材を端面方向で見た平面図が示されており、つまりこの図は分離ウェブ11の主表面を横切る方向で見た平面図である。
【0040】
放射状に延在する分離ウェブ11はその上方の(第1の)端部で分岐しており、この実施例ではブレード状のばね部材111,112が形成されている。分離ウェブの外側の端部で対になって配置されているばね部材111,112は、半径方向でそれぞれ隔たっていくように延在している。
【0041】
ばね部材111,112が全体として第1の拡開部102を成しており、これは絶縁間隔を保持するためのスペーサとして適している。ばね部材111,112は基本状態において、すなわちリングコアのコアホールに差し込まれる前の状態において、互いにたとえば120°〜170°の角度を成しており、コアホールに挿入されると(図7)さらに広がり、これらはリングコア2の内壁を押圧する。
【0042】
半径方向に及ぼされる圧力によって、絶縁部材におけるばね部材は変形可能である。ばね部材111,112はそれらの撓みやすさの点で優れており、つまりばね部材111,112はそれらと比較して剛性のウェブ11の圧力により半径方向で側方に撓むことができ、これにより絶縁部材を様々なチョークホール直径に整合させることができる。
【0043】
分離ウェブ11はその下方の(第2の)端部に拡幅部10を有しており、この部分は分離ウェブ主表面を横切る方向の横断面で見ると円の切片の基本形状を有している。拡幅部10は絶縁間隔を保持するための第2のスペーサを成している。
【0044】
拡幅部10は2つの凹部100を有しており、これらはそれぞれ保持部材5(図7)を収容するのに適している。
【0045】
分離ウェブ11の主表面110は図2B,2D,2Eに示されている長手方向軸Cに対し平行に延在しており、この長手方向軸Cは、図7に示されており絶縁部材の差し込まれるリングコア2の軸線方向に沿って配向されている。
【0046】
この絶縁部材の利点は、有利には半径方向に変形可能な拡開部材ゆえにリングコアの様々なコアホール直径に整合させることができる点にある。しかもこの絶縁部材の利点は、構造が簡単なことからたとえば射出成形などによって容易かつ安価に製造できることにある。
【0047】
図2Aには図1による絶縁部材を平面BB′から見た様子が描かれており、図2Bにはこの絶縁部材を側面から見た様子が描かれている。
【0048】
図2Cには、ばね部材111を平面AA′に沿ってみた断面図が略示されている。
【0049】
ばね部材111は、斜めに面取りされたエッジ91,92を有している(図2Cおよび図2E)。ばね部材111の最大壁厚wは、分離ウェブ幅Wの少なくとも半分である。このことは第2のばね部材112についても同様にあてはまる。
【0050】
拡幅部10に、斜めに面取りされたエッジ93,94をもたせることができる(図2Bおよび図2D)。基本的にすべてのエッジおよび/または突き合わせ個所(たとえば分離ウェブ11および部材10の突き合わせ個所または分離ウェブ11およびばね部材111もしくは112の突き合わせ個所)を面取りすることができる。絶縁部材に設けられている傾斜部分91〜94によって、絶縁部材をリングコアのコアホールに挿入するのが容易になる。
【0051】
一方ではばね部材111,112により、他方では拡幅部10により、絶縁部材の両端部においてリングコアチョークの巻線31,32を互いに隔てておくことができ、したがって各巻線間の所要最小間隔(絶縁間隔)を保持することができる。絶縁間隔をたとえば9.6mm(エアギャップ)とすることができ、これはリングコア内壁に沿って測定された12.7mmの沿面距離ないしはクリープ区間に対応する。
【0052】
図3〜図5には、n個の巻線間の電位分離のためにn個の分離ウェブを備えた絶縁部材として実現可能な別の実施形態が示されている。この絶縁部材は、ここに図示されている実施形態によればn個の対称軸を有している。この対称軸は図平面を横切る方向で延在している。
【0053】
ウェブ11とウェブ12(ならびに図4および図5のウェブ13と図5のウェブ14)は、絶縁部材の仮想中心点から放射方向ないしは半径方向で離れるように延びている。絶縁部材の仮想中心点を通って、図示されていないn個の対称軸が延在している。
【0054】
図3には、2つの巻線を分離するための絶縁部材が示されている(n=2)。分離ウェブ11はその両端部にそれぞれ1つの拡開部102および102′を有している。これら両方の拡開部は等しく構成されている。拡開部102は2つのばね部材111,112を有しており、拡開部102′は2つのばね部材111′,112′を有している。
【0055】
ばね部材111は長さL11=Lであり、ばね部材112は有利には等しいばね長さL12を有している。拡開幅bは、ばね部材の長さがそれぞれ等しければ2L x sin(β/2)となり、ここでLはばね部材の横断面の長さであり、βは拡開角度である。拡開部の半径方向の長さhはおおよそh=w + L x cos(β/2)であり、ここでwはばね部材の壁厚である。
【0056】
n>2の場合、分離ウェブ11,12,13,14はスター状に互いに結合されている(図4および図5参照)。
【0057】
絶縁部材の分離機構1は図1、図3および図6の場合、分離ウェブ11によって形成されている。図4の場合、分離機構は仮想の中心点のところでスター状に互いに結合された3つの分離ウェブ11,12,13を有しており、図5の場合には互いに接続された4つの分離ウェブ11,12,13,14を有している。
【0058】
図4には、3つの巻線を分離するための絶縁部材が示されている(n=2)。この場合、2つの分離ウェブ11と12、12と13ならびに13と11との間の角度は、それぞれ360°/n=120°である。
【0059】
分離ウェブ12は外側に向かう端部のところでばね部材121,122として分岐しており、分離ウェブ13はばね部材131,132として分岐している。この場合、すべての分離ウェブは等しい長さを有している。
【0060】
ばね部材111,112により形成されている拡開部の半径方向の長さhは、拡開角度βが大きく選定されていることから、ウェブの長さaよりも著しく短い。この理由から、拡開幅b(図3参照)も著しく大きい。
【0061】
図5には、4つの巻線を分離するための絶縁部材が示されている(n=4)。この場合、2つの分離ウェブ11と12、12と13、13と14ならびに14と11との間の角度は、それぞれ360°/n=90°である。
【0062】
なお、n個の分離ウェブを備え非対称に構成された絶縁部材も可能である。互いに分離されるn>4個の巻線スペースを形成するために、n個の分離ウェブを備えた絶縁部材も考えられる。
【0063】
図7には、図1に示した実施形態による絶縁部材を備えたリングコアチョークの一例が示されている。このリングコアチョークは、コアホールを備えたリングコア2と2つの巻線31,32を有している。コアホールは絶縁部材11,111,112,10によって分割されており、これにより巻線31ないしは32を収容するための互いに分離された2つの巻線スペースが形成されている。分離ウェブ11はたとえば1.5〜3mmで相対的に狭く形成されていることから、比較的大きい巻線スペースを利用することができる。
【0064】
リングコアチョークは取り付け板4の上に取り付けられており、この取り付け板4にはリングコアチョークの所定のパターンサイズを保持するため巻線端部を収容する開口部が設けられている。取り付け板4の上には、リングコアチョークを垂直方向に固定するために有利には2つの保持部材5が設けられており、図7には一方の保持部材5だけが示されている。保持部材5は絶縁部材の凹部100に形状結合で嵌め込まれている。保持部材5は図7に示されている実施形態の場合、絶縁部材のところではなくリングコアのところでチョークを保持している。
【0065】
半径方向で測定した分離ウェブ11の長さは、有利にはコアホール直径の少なくとも50%である。1つの実施形態によれば、分離ウェブ11の長さはコアホール直径の少なくとも70%である。
【0066】
図8には、切断面DD′に沿ったリングコアチョークの横断面が描かれている。
軸線方向(長手方向C、図2B、図2D、図2E参照)で測定した絶縁部材の高さがリングコア2の高さよりも高いと有利であり、これによって絶縁部材はこの方向においてリングコアから突出し、たとえば両側で突出するようになる(図8参照)。このことはコアの部品巻回にあたり、コアと絶縁部材の配置を固定するのに有利である。しかも突出した絶縁部材は分離ウェブ11の突出状態により、いわゆる空隙距離および沿面距離ないしはクリープ区間を伸ばすのに適しており、この場合、たとえチョークが密に巻回されていても中央領域において所定の空隙距離および沿面距離を確保することができる。
【0067】
1つの有利な実施形態によれば、絶縁部材の分離ウェブ11は軸線方向において両側で、それぞれ少なくとも3mm、リングコア2を超えてもしくは(図8の上方または下方の)チョーク周縁部を超えて突出している。1つの有利な実施形態によれば、個々の突出部は少なくとも4.5mmである。
【0068】
実際の空隙距離および沿面距離は、分離ウェブ断面サイズWと、(図8では下側の)分離ウェブ11端面と第1の巻線31における分離ウェブ側末端巻回部との間隔I1と、分離ウェブ11端面と第2の巻線32における分離ウェブ側末端巻回部の間隔I2とから成る和S=I1+W+I2としてまとめられる。実際の空隙距離および沿面距離は少なくとも、まえもって定められた空隙距離および沿面距離のサイズであると有利である。
【0069】
突出した絶縁部材を用いることによって実際の空隙距離および沿面距離が事実上伸ばされることによって、まえもって定められたいっそう大きい空隙距離および沿面距離を保持することができる一方、そこに生じる巻線スペースを余すことなく利用し尽くすことができ、このことは内径の小さいリングコアの場合には殊に重要な利点を成す。巻線31、32は、図7では分離ウェブを横切る方向に延在する軸線方向で間隔dだけ互いに離されている。図8にも描かれている1つの有利な実施形態によれば、この間隔は実際の空隙距離および沿面距離S=I1+W+I2よりも小さい。したがって、リングコアから突出する絶縁部材の分離ウェブ11によってチョーク中央領域でも十分な空隙距離および沿面距離が確保され、その際、間隔dをまえもって定められた空隙距離および沿面距離より小さく選定してもよい。
【0070】
本発明は、図面に描かれている部材の個数に限定されるものではない。また、拡開部材の形態がブレード状のばね部材に限定されるものでもない。上記の形態に限らず、有利には剛性であるウェブにおいて半径方向での弾性が得られるようにする目的で、考えられるすべての適切な機構を考慮の対象とすることができる。なお、ウェブは中実として形成してもよいし、中空の断面として形成してもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 分離機構
10 分離ウェブ11の拡幅部
100 凹部
102 第1のスペーサ
102′ 第2のスペーサ
11,12,13 分離ウェブ
110 分離ウェブ11の主表面
111,112 分離ウェブ11の変形可能なばね部材
121,122 分離ウェブ12の変形可能なばね部材
131,132 分離ウェブ13の変形可能なばね部材
31,32 巻線
4 取り付け板
5 保持部材
91,92 ばね部材111の面取りされたエッジ
93,94 拡幅部10の面取りされたエッジ
AA′ 横断面
BB′ 投影面
a 分離ウェブの半径方向長さ
b 拡開部102の拡開幅
d 互いに対向する巻線間の半径方向間隔
C 長手方向軸
h 拡開部の長さ
I1,I2 巻線末端と分離ウェブ端面の間隔
円弧の割線の長さ
L11 ばね部材111の長さ
L12 ばね部材111の長さ
w 変形可能なばね部材の壁厚
W 分離ウェブ11の幅
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リングコア(2)のコアホールに組み込むための絶縁部材において、
分離された複数の巻線スペースの形成およびスペーサ(102,102′)の接続のための分離機構(1)が設けられており、
該分離機構(1)は少なくとも1つの分離ウェブ(11)を有しており、該分離ウェブ(11)の端部に第1のスペーサ(102)が配置されており、
該分離ウェブ(11)の幅(W)は前記スペーサ(102)の幅(b)よりも小さいことを特徴とする、
リングコア(2)のコアホールに組み込むための絶縁部材。
【請求項2】
請求項1記載の絶縁部材において、
前記分離ウェブ(11)の第1の端部に、第1のスペーサ(102)として弾性に変形可能な部材が設けられていることを特徴とする絶縁部材。
【請求項3】
請求項1または2記載の絶縁部材において、
前記分離ウェブ(11)の第1の端部に、弾性に変形可能な部材として拡開部(102,111,112)が設けられており、該拡開部(102,111,112)は拡開された状態で、前記分離ウェブ(11)の幅(W)よりも広い拡開幅bを有していることを特徴とする絶縁部材。
【請求項4】
請求項3記載の絶縁部材において、
b≧2Wが成り立つことを特徴とする絶縁部材。
【請求項5】
請求項3または4記載の絶縁部材において、
前記拡開部の半径方向長さhは拡開された状態で該拡開部の拡開幅bよりも小さいことを特徴とする絶縁部材。
【請求項6】
請求項5記載の絶縁部材において、
h≦0.4bが成り立つことを特徴とする絶縁部材。
【請求項7】
請求項3から6のいずれか1項記載の絶縁部材において、
前記拡開部の半径方向長さhは拡開された状態で前記分離ウェブの半径方向長さaよりも短く、ここでh≦0.5aが成り立つことを特徴とする絶縁部材。
【請求項8】
請求項3から7のいずれか1項記載の絶縁部材において、
前記拡開部(102)の第1の端部に、半径方向で互いに離れて延在する弾性に変形可能な2つのばね部材(111,112)が設けられていることを特徴とする絶縁部材。
【請求項9】
請求項8記載の絶縁部材において、
前記分離ウェブ(11)は前記ばね部材(111,112)を形成するためにY字状であることを特徴とする絶縁部材。
【請求項10】
請求項2から9のいずれか1項記載の絶縁部材において、
前記分離ウェブ(11)の第2の端部に第2のスペーサとして拡幅部(10)が設けられており、該拡幅部(10)はコアホールに組み込まれると前記第1のスペーサ(102)の対向受けとして用いられることを特徴とする絶縁部材。
【請求項11】
請求項10記載の絶縁部材において、
前記拡幅部(10)の主表面は互いに60°〜120°の角度を成していることを特徴とする絶縁部材。
【請求項12】
請求項2から9のいずれか1項記載の絶縁部材において、
前記分離ウェブ(11)の第2の端部に別のスペーサ(102′)が設けられていることを特徴とする絶縁部材。
【請求項13】
請求項1から9のいずれか1項記載の絶縁部材において、
前記分離機構(1)は半径方向に延在する単一の分離ウェブよりも多くの分離ウェブ(11,12,13)を有しており、該分離ウェブ(11,12,13)にはそれぞれスペーサ(102,102′)が設けられており、それぞれ異なる分離ウェブ(11,12、13)において前記スペーサ(102,102′)とは反対側の端部が互いに星型に接続されていることを特徴とする絶縁部材。
【請求項14】
請求項13記載の絶縁部材において、
前記分離機構(1)は2以上の個数nの分離ウェブ(11,12,13,14)を有しており、該分離ウェブ(11,12,13,14)は実質的に360°/nの角度(α)で互いにずらされていることを特徴とする絶縁部材。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項記載の絶縁部材において、
一体的に形成されていることを特徴とする絶縁部材。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか1項記載の絶縁部材において、
射出成形部材であることを特徴とする絶縁部材。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか1項記載の絶縁部材において、
熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする絶縁部材。
【請求項18】
リングコアチョークにおいて、
リングコア(2)と、該リングコア(2)のコアホール内に設けられた請求項1から17のいずれか1項記載の絶縁部材を有することを特徴とするリングコアチョーク。
【請求項19】
請求項18記載のリングコアチョークにおいて、
2つの分離ウェブ(11,12,13)の間に存在するリングコア(2)の区間各々に巻線(31,32)が巻回されていることを特徴とするリングコアチョーク。
【請求項20】
請求項18または19記載のリングコアチョークにおいて、
前記絶縁部材の分離ウェブ(11)は軸線方向で前記リングコア(2)を超えて両側から突出していることを特徴とするリングコアチョーク。
【請求項21】
請求項20記載のリングコアチョークにおいて、
少なくとも3mmずつそれぞれ突出していることを特徴とするリングコアチョーク。
【請求項1】
リングコア(2)のコアホールに組み込むための絶縁部材において、
分離された複数の巻線スペースの形成およびスペーサ(102,102′)の接続のための分離機構(1)が設けられており、
該分離機構(1)は少なくとも1つの分離ウェブ(11)を有しており、該分離ウェブ(11)の端部に第1のスペーサ(102)が配置されており、
該分離ウェブ(11)の幅(W)は前記スペーサ(102)の幅(b)よりも小さいことを特徴とする、
リングコア(2)のコアホールに組み込むための絶縁部材。
【請求項2】
請求項1記載の絶縁部材において、
前記分離ウェブ(11)の第1の端部に、第1のスペーサ(102)として弾性に変形可能な部材が設けられていることを特徴とする絶縁部材。
【請求項3】
請求項1または2記載の絶縁部材において、
前記分離ウェブ(11)の第1の端部に、弾性に変形可能な部材として拡開部(102,111,112)が設けられており、該拡開部(102,111,112)は拡開された状態で、前記分離ウェブ(11)の幅(W)よりも広い拡開幅bを有していることを特徴とする絶縁部材。
【請求項4】
請求項3記載の絶縁部材において、
b≧2Wが成り立つことを特徴とする絶縁部材。
【請求項5】
請求項3または4記載の絶縁部材において、
前記拡開部の半径方向長さhは拡開された状態で該拡開部の拡開幅bよりも小さいことを特徴とする絶縁部材。
【請求項6】
請求項5記載の絶縁部材において、
h≦0.4bが成り立つことを特徴とする絶縁部材。
【請求項7】
請求項3から6のいずれか1項記載の絶縁部材において、
前記拡開部の半径方向長さhは拡開された状態で前記分離ウェブの半径方向長さaよりも短く、ここでh≦0.5aが成り立つことを特徴とする絶縁部材。
【請求項8】
請求項3から7のいずれか1項記載の絶縁部材において、
前記拡開部(102)の第1の端部に、半径方向で互いに離れて延在する弾性に変形可能な2つのばね部材(111,112)が設けられていることを特徴とする絶縁部材。
【請求項9】
請求項8記載の絶縁部材において、
前記分離ウェブ(11)は前記ばね部材(111,112)を形成するためにY字状であることを特徴とする絶縁部材。
【請求項10】
請求項2から9のいずれか1項記載の絶縁部材において、
前記分離ウェブ(11)の第2の端部に第2のスペーサとして拡幅部(10)が設けられており、該拡幅部(10)はコアホールに組み込まれると前記第1のスペーサ(102)の対向受けとして用いられることを特徴とする絶縁部材。
【請求項11】
請求項10記載の絶縁部材において、
前記拡幅部(10)の主表面は互いに60°〜120°の角度を成していることを特徴とする絶縁部材。
【請求項12】
請求項2から9のいずれか1項記載の絶縁部材において、
前記分離ウェブ(11)の第2の端部に別のスペーサ(102′)が設けられていることを特徴とする絶縁部材。
【請求項13】
請求項1から9のいずれか1項記載の絶縁部材において、
前記分離機構(1)は半径方向に延在する単一の分離ウェブよりも多くの分離ウェブ(11,12,13)を有しており、該分離ウェブ(11,12,13)にはそれぞれスペーサ(102,102′)が設けられており、それぞれ異なる分離ウェブ(11,12、13)において前記スペーサ(102,102′)とは反対側の端部が互いに星型に接続されていることを特徴とする絶縁部材。
【請求項14】
請求項13記載の絶縁部材において、
前記分離機構(1)は2以上の個数nの分離ウェブ(11,12,13,14)を有しており、該分離ウェブ(11,12,13,14)は実質的に360°/nの角度(α)で互いにずらされていることを特徴とする絶縁部材。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項記載の絶縁部材において、
一体的に形成されていることを特徴とする絶縁部材。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか1項記載の絶縁部材において、
射出成形部材であることを特徴とする絶縁部材。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか1項記載の絶縁部材において、
熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする絶縁部材。
【請求項18】
リングコアチョークにおいて、
リングコア(2)と、該リングコア(2)のコアホール内に設けられた請求項1から17のいずれか1項記載の絶縁部材を有することを特徴とするリングコアチョーク。
【請求項19】
請求項18記載のリングコアチョークにおいて、
2つの分離ウェブ(11,12,13)の間に存在するリングコア(2)の区間各々に巻線(31,32)が巻回されていることを特徴とするリングコアチョーク。
【請求項20】
請求項18または19記載のリングコアチョークにおいて、
前記絶縁部材の分離ウェブ(11)は軸線方向で前記リングコア(2)を超えて両側から突出していることを特徴とするリングコアチョーク。
【請求項21】
請求項20記載のリングコアチョークにおいて、
少なくとも3mmずつそれぞれ突出していることを特徴とするリングコアチョーク。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2012−129543(P2012−129543A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−28453(P2012−28453)
【出願日】平成24年2月13日(2012.2.13)
【分割の表示】特願2007−554418(P2007−554418)の分割
【原出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【出願人】(300002160)エプコス アクチエンゲゼルシャフト (318)
【氏名又は名称原語表記】EPCOS AG
【住所又は居所原語表記】St.−Martin−Strasse 53, D−81669 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年2月13日(2012.2.13)
【分割の表示】特願2007−554418(P2007−554418)の分割
【原出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【出願人】(300002160)エプコス アクチエンゲゼルシャフト (318)
【氏名又は名称原語表記】EPCOS AG
【住所又は居所原語表記】St.−Martin−Strasse 53, D−81669 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]