説明

線維症バイオマーカアッセイ

線維症の診断または定量化の方法は、生体液試料中に天然に存在するネオエピトープ含有タンパク質断片を測定する免疫検定法を実施するステップと、正常レベルを上回る、前記患者における前記測定の上昇を、線維症の存在または程度と関連付けるステップとを含む。前記免疫検定法は、前記試料中に天然に存在するタンパク質断片を、プロテイナーゼによるタンパク質の切断によって形成されるネオエピトープに対して反応性である免疫学的結合パートナと接触させるステップと、前記ネオエピトープを含むタンパク質断片を測定するために前記免疫学的結合パートナへのペプチド断片の結合の程度を測定するステップとを含む方法によって実施され、ここで、前記タンパク質は、III型コラーゲン、I型コラーゲン、IV型コラーゲン、V型コラーゲンもしくはVI型コラーゲン、エラスチン、ビグリカン、デコリン、ルミカン、バーシカン、パールカン、ニューロカン、ブレビカン、フィブロモジュリン、セルグリシン、シンデカン、βグリカン、ビメンチンまたはC反応性タンパク質である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、慢性傷害の後に線維症を発症する危険性を示すバイオマーカを含む、線維性疾患の診断およびその発症の予測に有用なバイオマーカについてのアッセイに関する。
【0002】
特に、本発明によれば、I、III、IV、VおよびVI型コラーゲン、エラスチン、C反応性タンパク質、ならびにビグリカン、デコリン、バーシカンおよびパールカンを含むプロテオグリカンの分解断片に関するバイオマーカは有用であることが認められる。
【背景技術】
【0003】
線維性疾患(表1に列挙するものを含む)は病的状態および死亡の主要原因であり、例えば肝硬変による死亡は世界中で年間800,000例に上る
【0004】
【表1】

【0005】
「線維性疾患」は、主症状としてであるか二次症状としてであるかにかかわらず、線維症を生じさせるあらゆる疾患である。
【0006】
線維症は、持続性感染、自己免疫反応、アレルギー応答、化学的傷害、放射線および組織損傷を含む様々な刺激によって誘発される慢性炎症反応の最終結果である。線維症は細胞外マトリックス(ECM)の蓄積と再編成を特徴とする。明らかな病因および臨床上の違いを有するにもかかわらず、ほとんどの慢性的な線維性障害は、共通して、増殖因子、タンパク質分解酵素、血管新生因子および線維形成性サイトカインの産生を維持する持続性刺激原を有し、前記物質は共に、正常組織の構造を漸進的に再構築し、破壊する、結合組織要素、特に、コラーゲンおよびプロテオグリカンの沈着を刺激する3、4。ヒトの健康へのその多大の影響にもかかわらず、現在のところ、線維症の機序を直接標的とする承認された治療法はない
【0007】
線維症の鍵となる細胞メディエイタは筋線維芽細胞であり、筋線維芽細胞は、活性化された場合、主要なコラーゲン産生細胞として働く。
【0008】
<細胞外マトリックス(ECM)>
線維形成は、通常は組織損傷から生じる複雑な細胞および分子機構を含む動的過程である。線維形成は、漸進的な機能障害を伴う、組織の大きさと密度の増大をもたらす巨大分子の濃度を変化させる正常なECM調節が不均衡である結果である。これらの巨大分子は、主として、コラーゲンおよびプロテオグリカンなどの構造および接着機能を有する線維性タンパク質である。
【0009】
<コラーゲン>
コラーゲンは人体に広く分布する、すなわち人体のタンパク質質量の約30%がコラーゲンから成る。コラーゲンは大部分の結合組織のECMの構造的完全性に関与する。ECM含量は、遺伝子発現とタンパク質分泌の調節を介して、同時にまた内因性プロテアーゼ阻害ならびにメタロプロテイナーゼおよびシステインプロテアーゼによるタンパク質分解を介して、厳密に制御される合成と分解の微妙なバランスから生じる7〜9。表2は、主要なコラーゲン型をそれらの主要な組織分布と共に列挙する。
【0010】
【表2】

【0011】
I型コラーゲンは最も豊富なコラーゲンであり、大部分の結合組織で認められる。I型コラーゲンは骨および皮膚の構造のために特に重要であり、そこでの主要なコラーゲン成分はI型およびIII型コラーゲンである10
【0012】
I型およびIII型コラーゲンは、健常組織では1:1の割合で肝臓および肺の主要成分である。加えて、IV型およびVI型コラーゲンは、大部分の組織の基底膜中で認められる。V型コラーゲンの最も一般的な局在は、I型およびIII型コラーゲンに関連して、特徴的なコラーゲン原線維内にある10
【0013】
一部のコラーゲンは限られた組織分布を有する:例えば、II型は、ほとんど排他的に軟骨で認められる11
【0014】
線維形成の間、コラーゲンの正味量が増加する12〜14。表3は、例として肝線維症におけるコラーゲン増加を示す。
【0015】
【表3】

【0016】
<エラスチン>
エラスチンは、多くの結合組織、主として弾性の結合組織中に存在するタンパク質である。アミノ酸のグリシン、バリン、アラニンおよびプロリンの非常に高い含量を有し、分子量は64〜66kDaである。830個のアミノ酸から成る不規則なまたはランダムなコイル立体配座で構成されている。エラスチンは、リシルオキシダーゼによって触媒される反応において、多くの可溶性トロポエラスチンタンパク質分子を連結し、不溶性で耐久性のある巨大な架橋アレイを作製することによって作られる。
【0017】
エラスチンは、血流を助ける圧力波伝搬のための媒体として動脈において重要な機能を果たし、大動脈のような大きな弾性血管において特に豊富である。エラスチンはまた、肺、弾性靭帯および皮膚においても非常に重要である。
【0018】
エラスチンの合成および代謝回転の理解に多大の努力が費やされてきたにもかかわらず、このマトリックス分子のタンパク質分解切断から生じるネオエピトープは、現在まで線維症の疾患発症に関連付けられていなかった。
【0019】
<ビメンチン>
ビメンチンは、中間径フィラメントファミリーのタンパク質の成員である。中間径フィラメントは真核細胞の重要な構造特徴である。それらは、微小管およびアクチンミクロフィラメントと共に、細胞骨格を構成する。大部分の中間径フィラメントは安定な構造であるが、線維芽細胞においては、ビメンチンは動的構造体として存在する。このフィラメントは中胚葉由来組織についてのマーカとして使用され、それ自体、肉腫の免疫組織化学的マーカとして使用されてきた。
【0020】
Hertigと共同研究者たち(Hertig et al.,J Am Soc Nephrol.2008 Aug;19(8):1584−91)は、慢性移植腎症を有する被験者の尿細管上皮細胞における上皮間葉移行が移植片における線維症の進行を予測できるかどうかを検討し、これらの被験者からの83例の生検においてビメンチン発現を測定した。Hertigらは、手術の1年後にビメンチン発現の上昇と腸線維症スコアの間に関連性を認めた。
【0021】
肝線維症の別の試験において、Meridenと共同研究者たち(Meriden et al.,Clin Gastro & Hepatol 2010;8:289−296)は、ビメンチン発現(F0期で得た生検における)と線維症の進行の間に有意の関連性を認め、高レベルのビメンチン発現は肝線維症の速やかな進行を予測した。
【0022】
従って、本発明者らは、ビメンチンの循環断片が感受性の高い特異的な線維症のバイオマーカとして働き得るどうかを検討したいと考えた。
【0023】
<プロテオグリカン>
プロテオグリカンは、様々な数のグリコサミノグリカン(GAG)側鎖をコアタンパク質に共有結合連結する、多様な巨大分子群である16。これらのGAGは二糖の繰り返し単位(例えばN−アセチルグルコサミンまたはN−アセチルガラクトサミン)の重合体であり、それらは二糖単位上のヒドロキシル、カルボキシルおよび硫酸側鎖のために酸性である(負に荷電している)。これによりGAGは高度に親水性であり、従って水および陽イオン(例えば細胞外液からのナトリウム)の拡散を助ける17。さらに、GAGは、例えばヒアルロン酸鎖と非共有結合連結を形成して、さらに一層大きな分子複合体を形成する能力を有する16。表4は、結合組織に関連する、最も広く検討されているプロテオグリカンを列挙する。
【0024】
【表4】

【0025】
<C反応性タンパク質>
C反応性タンパク質(CRP)は、炎症、感染または外傷などの種々の臨床状態に応答して肝臓によって産生される急性期血清タンパク質である29。CRPの産生は、罹患組織または損傷組織から放出される、IL−6などのサイトカインによって誘導される。CRPの生理的役割はまだ不明であり、その前炎症作用または抗炎症作用に関する検討が進められている。
【0026】
<プロテアーゼ>
線維形成の間のECMの合成と分解の不均衡は、低密度の内皮下マトリックスの、間質コラーゲンに富むマトリックスへの変換から生じる。コラーゲンおよびプロテオグリカンの増加は、(1)タンパク質産生の減少および(2)タンパク質分解の低下の一方または両方によると考えられる。タンパク質分解の低下は、最近ますます関心を集めている。このプロセスの調節において、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)およびそれらの組織阻害剤(TIMP)は、システインプロテアーゼおよびシスタチンなどの他のプロテアーゼおよびそれらの阻害剤と同様に、重要な役割を果たす。
【0027】
<MMP>
MMPは、ECMの、すべてではないにせよ大部分の成分を分解することができる、エンドペプチダーゼの大きな群である。現在、25を超えるMMPが発見されている。MMPは、金属原子、典型的には亜鉛を含む活性部位を特徴とし、チモーゲンとして分泌される。種々のMMPが種々の組織で発現される。表5では、肝臓中のMMPを示す。
【0028】
【表5】

【0029】
TIMPは、3分子複合体中のMMPおよび膜1型メタロプロテイナーゼに対して基質特異的および組織特異的に結合することによって、MMPのタンパク質分解活性をブロックする(表6)。線維症においてTIMPレベルは劇的に上昇し、MMPレベルはやや上昇するかまたは比較的不変のままであり(MMP−2を除く)、全体としてコラーゲンの分解の低下を生じさせる。
【0030】
【表6】

【0031】
<線維芽細胞活性化タンパク質>
線維芽細胞活性化タンパク質αサブユニット(FAPαまたはFAP、α)は、セリンプロテアーゼファミリーに属する内在性膜ゼラチナーゼである。FAPαは、170kDaメラノーマ膜結合ゼラチナーゼ、内在性膜セリンプロテイナーゼ、およびセプラーゼとしても知られるヘテロ二量体膜結合プロテイナーゼ複合体のαサブユニットであり、DPP4(CD26)はβサブユニットである。一部の細胞はFAPαホモ二量体だけを作製し、また別の細胞はDPP4ホモ二量体だけを作製する。単量体は不活性である。FAPαは、上皮癌の反応性間質線維芽細胞、治癒創傷の顆粒組織、ならびに骨および軟組織肉腫の悪性細胞において選択的に発現される33。このタンパク質は、発生、組織修復および上皮癌発生の過程で線維芽細胞増殖の制御または上皮間葉相互作用に関与すると考えられる。FAPの発現は線維症の病期と共に上昇することが示されている34、35
【0032】
<線維症バイオマーカ>
多くの生化学的マーカが、疾患の特異的な生成物ではないが、線維性疾患に関して示唆されてきた。表7は、臨床試験で使用される肝線維症の生化学的マーカの例である。加えて、他の線維性疾患のバイオマーカの数多くの例が存在する12、36〜42
【0033】
【表7A】

【表7B】

【0034】
米国特許第5387504号は、アグリカン部位N341〜F342においてストロメライシンの作用によって放出されるネオエピトープ、VDIPENおよびこのネオエピトープに特異的なモノクローナル抗体を使用するRIAアッセイを述べる。より一般的には、特異的なストロメライシン切断によって生成されるアグリカンの断片に特異的な単一特異性抗体の使用が記述されている。ストロメライシンの上昇は、変形性関節症、関節リウマチ、アテローム性動脈硬化病変、痛風、炎症性腸疾患(IBD)、特発性肺線維症(IPF)、特定のがん、関節損傷および数多くの炎症性疾患で起こる。ストロメライシンは特発性肺線維症において上昇することが報告され、アグリカンのストロメライシン切断産物を検出するためのアッセイが血液または他の生体液に関して実施できること、およびそのような断片の定量はIPFや他の状態に関して診断的に使用できることが主張されている。しかし、これについての証拠は提供されておらず、本発明者らの知る限り、この予測を実証するその後の公表文献はない。そのようなRIAアッセイは長年市販されているが、線維性疾患を診断するまたは観測する際にそれらが成功裏に使用されたという報告は現れていない。
【0035】
米国特許第7,225,080号は、患者における炎症性、線維性または癌疾患の診断のための方法であって、前記患者における肝線維症および/または肝の壊死性炎症性病変の存在を調べるために、α2−マクログロブリン、AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)、ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)、GGT(γグルタミルトランスペプチダーゼ)、γ−グロブリン、総ビリルビン、アルブミン、α1−グロブリン、α2−グロブリン、ハプトグロビン、β−グロブリン、アポA1、IL−10、TGF−β1、アポA2およびアポBから成る群より選択される少なくとも4つの生化学的マーカの値を前記患者の血清または血漿中で測定し、その後前記の値を組み合わせることによる方法を開示する。この特許は、線維性疾患の間に生成されるネオエピトープを担持するペプチド断片の定量的測定を教示していない。
【0036】
米国特許第6,060,255号は、肝線維症の程度を診断するための方法であって、IV型コラーゲンに特異的に結合する抗体を使用して試料中のIV型コラーゲンの高分子形態の濃度を測定する段階、および該測定を肝線維症の程度に関連付ける段階を含む方法を述べる。やはり、体内で作用するタンパク質分解酵素によって生成されるネオエピトープは使用されていない。試料は、実際にはペプシンで消化され、このことは試料中のコラーゲン切断の天然パターンをあいまいにし得る。
【0037】
米国特許第4,628,027号(Gay)は、結合組織タンパク質に特異的な抗体の作製、より詳細には、ヒトコラーゲンおよびコラーゲン分解に関与する酵素に対する融合細胞ハイブリッドによるモノクローナル抗体の作製を開示する。組織学的、細胞学的および生物学的液体試料のコラーゲンプロフィールを確立するための、結合組織タンパク質に対するモノクローナル抗体の使用が述べられている。しかし、この特許は、結合組織タンパク質上のネオエピトープへの抗体の結合に基づく前記結合組織タンパク質の測定を記述していない。
【0038】
Guaneabens N et al,J Bone Miner Res,199898は、悪化した肝線維症を伴う疾患である原発性胆汁性肝硬変を有する患者において、骨代謝回転マーカであるI型コラーゲンのN−テロペプチド(NTX)、I型コラーゲンのC−テロペプチド(CTX)およびI型コラーゲンのN末端プロペプチド(PINP)を評価した。NTX、CTXおよびPINPのレベルは対照と比較して患者において高く、疾患の組織学的病期と相関した。NTXで使用された抗体は、I型コラーゲンのN末端のカテプシンK切断部位に対して惹起されたものであり、ネオエピトープJYDGKGVG↓に依存する。CTXにおいて使用された抗体は、I型コラーゲンのC末端のカテプシンK切断部位に対して惹起され、ネオエピトープEKAHDGGR↓に依存する。これらのマーカは、I型コラーゲンのテロペプチド内に位置し、I型コラーゲンの内部(三重らせん部分)には位置しない。PINPアッセイのために使用されたモノクローナル抗体は、ネオエピトープではないPINP配列中の内部エピトープに対して惹起された。
【0039】
Moeller S et al,Gut.,199999は、I型コラーゲンのC末端架橋テロペプチド(ICTP)が、アルコール性肝硬変患者では対照と比較して上昇していることを明らかにした。記述されている試験は、生化学的マーカが肝線維症を反映し得ることを示した。ICTPポリクローナル抗体は、トリプシンおよびコラゲナーゼ切断I型コラーゲンに対して惹起された。しかし、抗体はネオエピトープに結合していない。
【0040】
Rosen HN et al,Calcif Tissue Int,2004100は、ホルモン補充治療(HRT)を受けている女性において骨代謝回転マーカであるI型コラーゲンのN−テロペプチド(NTX)およびI型コラーゲンのC−テロペプチド(CTX)を評価した。試験では、骨代謝回転マーカが治療と共に低下することが認められた。NTXで使用された抗体は、I型コラーゲンのN末端のカテプシンK切断部位に対して惹起されたものであり、ネオエピトープJYDGKGVG↓に依存する。CTXにおいて使用された抗体は、I型コラーゲンのC末端のカテプシンK切断部位に対して惹起され、ネオエピトープEKAHDGGR↓に依存する。本発明と異なり、これらの抗体は骨代謝の評価のために使用され、線維症の評価のためではなかった。
【0041】
Lein M et al,Eur Urol,2007101は、ゾレドロン酸を摂取している前立腺癌患者においてネオエピトープ特異的な骨代謝回転マーカであるI型コラーゲンのN−テロペプチド(NTX)およびI型コラーゲンのC−テロペプチド(CTX)の使用を評価した。試験では、骨代謝回転マーカが治療と共に低下することが認められた。NTXで使用された抗体は、I型コラーゲンのN末端のカテプシンK切断部位に対して惹起され、ネオエピトープJYDGKGVG↓に依存する。CTXにおいて使用された抗体は、I型コラーゲンのC末端のカテプシンK切断部位に対して惹起され、ネオエピトープEKAHDGGR↓に依存する。本発明と異なり、これらの抗体は骨転移の浸潤における骨代謝の評価のために使用され、線維症の評価のためではなかった。
【0042】
PIIINPは、線維性疾患の重症度を評価する多くの試験において102、重度の熱傷外傷後の皮膚線維症を有する患者において103、非硬変性原発性胆汁性肝硬変における疾患の進行に関して104、原発性胆汁性肝硬変および慢性ウイルス性C型肝炎において105使用されてきた。
【0043】
PIIINPおよびICTPは、心筋の線維症を有する患者において測定された106
【0044】
多くの報告は、生化学的指標の予測値を改善するために生化学的マーカのセットを組み合わせている。11の異なる血清マーカがF0〜F4の線維症病期を有する205名の患者において測定され、最も有用なマーカは、α−マクログロブリン、α−グロブリン(またはハプトグロビン)、γ−グロブリン、アポリポタンパク質A1、γ−グルタミルトランスペプチダーゼ、および総ビリルビンであった107。これらのマーカの指数は、0〜0.10の範囲のスコア(全患者の12%[41名])に関しては負の予測値(F2、F3またはF4の不在について100%の確実性)、および0.60〜1.00の範囲のスコア(全患者の34%[115名])に関しては高い正の予測値(F2、F3またはF4の存在について>90%の確実性)を有していた。
【発明の概要】
【0045】
しかし、上記の報告のいずれにおいても、本明細書で特許請求するようなネオエピトープに結合する抗体に基づくペプチド断片の測定が線維性疾患を有する患者の評価のために有用であり得ることは示唆されていない。
【0046】
本発明は、ここに、線維症の診断の方法であって、患者の生体液試料中に天然に存在するネオエピトープ含有タンパク質断片を測定する免疫検定法を実施するステップと、正常レベルを上回る、前記患者における前記測定の上昇を線維症の存在と関連付けるステップとを含み、ここで、前記免疫検定法は、前記試料中に天然に存在するタンパク質断片を、プロテイナーゼによるタンパク質の切断によって形成されるネオエピトープに対して反応性である免疫学的結合パートナと接触させるステップと、前記ネオエピトープを含むタンパク質断片を測定するために、前記免疫学的結合パートナへのペプチド断片の結合の程度を測定するステップとを含む方法によって実施し、かつ、ここで、前記タンパク質が、I型コラーゲン、III型コラーゲン、IV型コラーゲン、V型コラーゲンもしくはVI型コラーゲン、ビグリカン、デコリン、ルミカン、バーシカン、パールカン、ニューロカン、ブレビカン、フィブロモジュリン、セルグリシン、シンデカン、βグリカン、CRPまたはビメンチンであり、但し、ネオエピトープがI型コラーゲンの切断によって形成される場合、切断は、I型コラーゲンがカテプシンKによって切断される部位ではないことを条件とする方法を提供する。2009年5月14日(その優先日後)に公開された国際公開第WO2009/059972号パンフレットは、III型コラーゲンのネオエピトープについてのアッセイを開示するが、そのような測定の高いレベルが線維症の存在または程度に関連することは開示していない。場合により、本発明によるアッセイは、III型コラーゲン以外の上記に挙げたタンパク質の1つに基づくか、またはIII型コラーゲンに基づく場合、切断部位で形成されるネオエピトープ、PGIPGRNGDP* 配列番号1、*ESCPTGPQNY 配列番号2、またはPKGDTGPRGP* 配列番号3(*は切断部位を示す)の1つに対する免疫学的結合パートナを利用する。
【0047】
これらの目的に関して、心臓血管疾患は線維症とみなされなくてもよいし、本発明によって検出される線維症は、心臓血管疾患に付随する線維症以外であってもよい。場合により、本発明による免疫検定法における高レベル結果は、皮膚線維症、肺線維症または肝線維症に関連する。
【0048】
本発明の方法は、患者の生体液試料を得る予備段階を含み得る。
【0049】
本発明は、体液試料中に天然に存在するネオエピトープ含有タンパク質断片を測定する免疫検定の方法を含み、前記免疫検定法は、
前記試料中に天然に存在するタンパク質断片を、プロテイナーゼによるタンパク質の切断によって形成されるネオエピトープと反応性の免疫学的結合パートナと接触させるステップと、前記ネオエピトープを含むタンパク質断片を測定するために、ここで、前記免疫学的結合パートナへのペプチド断片の結合の程度を測定するステップとを含む方法によって実施され、前記タンパク質は、ニューロカン、ブレビカン、フィブロモジュリン、セルグリシン、シンデカン、βグリカン、I型コラーゲン、IV型コラーゲン、V型コラーゲン、VI型コラーゲン、CRPまたはビメンチンであり、但し、ネオエピトープがI型コラーゲンの切断によって形成される場合、切断は、I型コラーゲンがカテプシンKによって切断される部位ではないことを条件とする。場合により、本発明によるアッセイは、III型コラーゲン以外の上記に挙げたタンパク質の1つに基づくか、またはIII型コラーゲンに基づく場合、切断部位で形成されるネオエピトープ、PGIPGRNGDP* 配列番号1、*ESCPTGPQNY 配列番号2、またはPKGDTGPRGP* 配列番号3(*は切断部位を示す)の1つに対する免疫学的結合パートナを利用する。
【0050】
前記免疫学的結合パートナは、C末端ネオエピトープまたはN末端ネオエピトープを含むペプチド断片に対して特異的結合親和性を有し得る。
【0051】
ネオエピトープとの特異的反応性またはネオエピトープに対する免疫学的親和性は、関連する免疫学的結合パートナが、該ネオエピトープが由来する未切断タンパク質と反応性ではないことを意味する。好ましくは、前記免疫学的結合パートナは、配列がそれぞれの切断部位を越えて伸びる場合は、以下に列挙する配列のようなネオエピトープ配列と反応性ではない。
【0052】
本明細書で使用される「免疫学的結合パートナ」という用語は、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体ならびにFabまたはF(ab’)のような抗体の特異的結合断片も包含する。従って、前記免疫学的結合パートナは、モノクローナル抗体または特異的結合親和性を有するモノクローナル抗体の断片であり得る。
【0053】
好ましくは、前記ペプチド断片は、I型、III型、IV型、V型もしくはVI型コラーゲン、エラスチン、C反応性タンパク質、またはプロテオグリカンであるビグリカン、デコリン、バーシカンおよびパールカンのうちの1つの断片である。結合組織タンパク質が好ましい。好ましくは、免疫学的結合パートナが結合するネオエピトープ配列は、いかなる他のタンパク質においても認められないか、または本発明の方法が関連する他のタンパク質のいずれにおいても認められない。
【0054】
いくつかの候補プロテアーゼは、線維組織中のタンパク質の消化に関与し得る。おそらく、これは、疾患のレベルに依存して異なるネオエピトーププロフィールを生じさせる広範囲の複雑なプロセスの結果である。
【0055】
<コラーゲンアッセイ>
I型コラーゲン
本発明者らは、以下の表に列挙する酵素が少なくとも以下の切断部位(「.」で示す)でI型コラーゲンを切断すると判定した。
【0056】
【表8】

【0057】
Pはヒドロキシプロリンを示し、Mは酸化メチオニンを示し、Kはヒドロキシリシンを示す。
【0058】
免疫学的結合パートナは、カテプシンKのI型コラーゲン部位における切断を除き、I型コラーゲンの切断によって形成されるC末端またはN末端ネオエピトープと特異的に反応するものであり得る。
【0059】
適切な免疫学的結合パートナは、従って、ペプチドのN末端の以下の配列のいずれかと特異的に反応性であり得る。
【0060】
【表9】

【0061】
あるいは、適切な免疫学的結合パートナは、ペプチドのC末端の以下の配列のいずれかと特異的に反応性であり得る。
【0062】
【表10】

【0063】
III型コラーゲン
本発明者らは、以下の表に列挙する酵素が少なくとも以下の切断部位(*で示す)でIII型コラーゲンを切断すると判定した。
【0064】
【表11A】

【表11B】

【表11C】

【表11D】

【0065】
免疫学的結合パートナは、III型コラーゲンの切断によって形成されるC末端またはN末端ネオエピトープと特異的に反応性のものであり得る。
【0066】
適切な免疫学的結合パートナは、従って、ペプチドのN末端の以下の配列のいずれかと、またはペプチドのC末端の以下の配列のいずれかと特異的に反応性であり得る。
【0067】
【表12】

【0068】
【表13】

【0069】
IV型コラーゲン
本発明者らは、以下の表に列挙する酵素が少なくとも以下の切断部位(「.」で示す)でIV型コラーゲンを切断すると判定した。
【0070】
【表14A】

【表14B】

【0071】
免疫学的結合パートナは、IV型コラーゲンの切断によって形成されるC末端またはN末端ネオエピトープと特異的に反応するものであり得る。
【0072】
適切な免疫学的結合パートナは、従って、ペプチドのN末端の以下の配列のいずれかと、またはペプチドのC末端の以下の配列のいずれかと特異的に反応性であり得る。
【0073】
【表15】

【0074】
【表16】

【0075】
V型コラーゲン
本発明者らは、以下の表に列挙する酵素が少なくとも以下の切断部位(「.」で示すか、または「.」が存在しない場合は配列の末端)でV型コラーゲンを切断すると判定した。
【0076】
【表17A】

【表17B】

【表17C】

【0077】
Pはヒドロキシプロリンであり、Kはヒドロキシリシン、グリコシル化、リポキシ化または架橋を示す。
【0078】
免疫学的結合パートナは、V型コラーゲンの切断によって形成されるC末端またはN末端ネオエピトープと特異的に反応するものであり得る。
【0079】
適切な免疫学的結合パートナは、従って、ペプチドのN末端の以下の配列のいずれかと、またはペプチドのC末端の以下の配列のいずれかと特異的に反応性であり得る:
【0080】
【表18】

【0081】
Pはヒドロキシプロリンであり、Kはヒドロキシリシン、グリコシル化、リポキシ化または架橋を示す。
【0082】
【表19】

【0083】
Pはヒドロキシプロリンであり、Kはヒドロキシリシン、グリコシル化、リポキシ化または架橋を示す。
【0084】
VI型コラーゲン
本発明者らは、以下の表に列挙する酵素が少なくとも以下の切断部位(「.」で示すか、または「.」が存在しない場合は配列の末端)でVI型コラーゲンを切断すると判定した。
【0085】
【表20】

【0086】
免疫学的結合パートナは、V型コラーゲンの切断によって形成されるC末端またはN末端ネオエピトープと特異的に反応するものであり得る。
【0087】
適切な免疫学的結合パートナは、従って、ペプチドのN末端の以下の配列のいずれかと、またはペプチドのC末端の以下の配列のいずれかと特異的に反応性であり得る。
【0088】
【表21】

【0089】
【表22】

【0090】
プロテオグリカン
本発明のもう1つの態様では、前記ペプチド断片は、プロテオグリカンのバーシカン、ルミカン、パールカン、ビグリカンおよびデコリンの断片であり、それらはすべて線維性組織において同定される。
【0091】
いくつかの候補プロテアーゼは、線維性病変中のプロテオグリカンの消化に関与し得る。本発明者らは、表17に列挙する酵素が、少なくとも以下の切断産物を生じさせるルミカン、バーシカン、ビグリカン、パールカンおよびデコリンを生成すると判定した。
【0092】
【表23】

【0093】
免疫学的結合パートナは、バーシカン、ルミカン、デコリン、パールカンおよびビグリカンの切断によって形成されるC末端またはN末端ネオエピトープと特異的に反応するものであり得る。
【0094】
適切な免疫学的結合パートナは、従って、ペプチドのN末端の以下の配列のいずれかと、またはペプチドのC末端の、表19中の以下の配列のいずれかと特異的に反応性であり得る。
【0095】
【表24】

【0096】
【表25】

【0097】
CRP
いくつかの候補プロテアーゼは線維組織中のCRPの消化に関与すると考えられ、文献は、線維性組織中の多くの異なるプロテアーゼを報告している。おそらく、これは、最終的に線維症へと至る広範囲の複雑なプロセスの結果である。しかし、本発明者らの評価では、初期は様々なMMPで構成され得るが、後期はマトリックスのカテプシンK分解に大きく依存すると考えられ、疾患のレベルに依存して異なるネオエピトーププロフィールを生じさせる。本発明者らは、純粋な天然タンパク質の様々なインビトロ切断を通して、以下の表に列挙する酵素が少なくとも以下の切断部位(表20では*で示すが、表21では各配列の末端)でCRPを切断すると判定した。
【0098】
【表26】

【0099】
【表27A】

【表27B】

【表27C】

【表27D】

【表27E】

【表27F】

【表27G】

【表27H】

【表27I】

【0100】
従って、本発明の方法では、前記ペプチド断片は、好ましくは、表20中のCRPの上記部分配列のいずれか1つの*記号で示される部位での、または表21中のCRPの任意の部分配列のいずれかの末端での、プロテアーゼによるCRPの切断によって形成されるネオエピトープを含む。
【0101】
免疫学的結合パートナは、CRPの切断によって形成されるC末端またはN末端ネオエピトープと特異的に反応するものであり得る。
【0102】
適切な免疫学的結合パートナは、従って、ペプチドのN末端の以下の配列のいずれかと、またはペプチドのC末端の以下の配列のいずれかと特異的に反応性であり得る:
【0103】
【表28】

【0104】
【表29】

【0105】
エラスチン
いくつかの候補プロテアーゼは、線維性組織中のエラスチンの消化に関与し得る。本発明者らは、純粋な天然タンパク質の様々なインビトロ切断を通して、以下の表に列挙する酵素が、少なくとも以下の配列の各末端の切断部位で、または「.」で示す切断部位で、または「.」が示されていない場合は配列の末端でエラスチンを切断すると判定した。
【0106】
【表30A】

【表30B】

【表30C】

【表30D】

【表30E】

【表30F】

【表30G】

【表30H】

【表30I】

【表30J】

【表30K】

【表30L】

【0107】
従って、本発明の方法では、前記ペプチド断片は、好ましくは、表24中のエラスチンの部分配列のいずれか1つのN末端もしくはC末端部位での、または指示されている場合は「・」記号で示される部位での、プロテアーゼによるエラスチンの切断によって形成されるネオエピトープを含む。
【0108】
免疫学的結合パートナは、エラスチンの切断によって形成されるC末端またはN末端ネオエピトープと特異的に反応するものであり得る。
【0109】
適切な免疫学的結合パートナは、従って、ペプチドのN末端の以下の配列のいずれかと、またはペプチドのC末端の以下の配列のいずれかと特異的に反応性であり得る。
【0110】
【表31A】

【表31B】

【0111】
【表32A】

【表32B】

【0112】
ビメンチン
いくつかの候補プロテアーゼは、線維性組織中のビメンチンの消化に関与し得る。本発明者らは、純粋な天然タンパク質の様々なインビトロ切断を通して、以下の表に列挙する酵素が、少なくとも以下の配列の各末端の切断部位で、または「.」で示す切断部位で、または「.」が示されていない場合は配列の末端でビメンチンを切断すると判定した。
【0113】
【表33】

【0114】
従って、本発明の方法では、前記ペプチド断片は、好ましくは、表24中のビメンチンの部分配列のいずれか1つのN末端もしくはC末端部位での、または指示されている場合は「・」記号で示される部位での、プロテアーゼによるビメンチンの切断によって形成されるネオエピトープを含む。
【0115】
免疫学的結合パートナは、ビメンチンの切断によって形成されるC末端またはN末端ネオエピトープと特異的に反応するものであり得る。
【0116】
適切な免疫学的結合パートナは、従って、ペプチドのN末端の以下の配列のいずれかと、またはペプチドのC末端の以下の配列のいずれかと特異的に反応性であり得る:
【0117】
【表34】

【0118】
【表35】

【0119】
同様の方法で検定し得るネオエピトープを規定するさらなる切断部位は、コラーゲン、エラスチン、CRPおよびプロテオグリカンまたは他の線維性組織タンパク質を本明細書で述べる酵素のいずれかに暴露し、それによって生成されたペプチドを単離して、配列決定することによって同定できる。さらに、アッセイは、例示した切断部位に隣接して生成される、すなわち上記で示したN末端エピトープに至るC末端配列および上述したC末端エピトープに結合するN末端配列中のネオエピトープに基づき得る。
【0120】
上述したペプチドの2以上についてのアッセイは、別々に実施して、それらの結果を組み合わせてもよく、または上述したペプチドの2以上を一緒に測定してもよい。
【0121】
本発明によるアッセイの結果は、診断または予後値の総合指標を形成する1またはそれ以上の他の測定バイオマーカと組み合わせてもよい。
【0122】
一般に、不均一および均一形式、サンドイッチアッセイ、競合アッセイ、酵素結合アッセイ、放射免疫検定法等を含む、これまでに公知のすべての免疫検定法の形式が本発明に従って使用できる。従って、場合により、前記方法は、前記免疫学的結合パートナと競合物質を前記試料の存在下でインキュベートし、競合物質が免疫学的結合パートナと結合するために試料中のペプチド断片と競合する競合免疫検定法として実施される。
【0123】
前記競合物質は、(1)I型、III型、IV型、V型もしくはVI型コラーゲンの配列、またはCRP、またはプロテオグリカンであるバーシカン、ルミカン、パールカン、デコリンおよびビグリカンペプチドのいずれかに由来する合成ペプチドであり得るか、または競合物質は、(2)プロテアーゼによって切断されて前記ネオエピトープとなる、精製された天然のI型、III型、IV型、V型もしくはVI型コラーゲン、またはCRP、またはプロテオグリカンであるニューロカン、ブレビカン、フィブロモジュリン、セルグリシン、シンデカン、βグリカン、バーシカン、ルミカン、パールカン、デコリンおよびビグリカンのいずれかに由来し得る。
【0124】
1つの適切な方法は、I型、III型、IV型、V型、VI型コラーゲン、CRP、ビメンチンもしくはプロテオグリカンのニューロカン、ブレビカン、フィブロモジュリン、セルグリシン、シンデカン、βグリカン、バーシカン、ルミカン、デコリン、パールカンおよびビグリカン断片のいずれかのネオエピトープ、または線維性組織に由来する他のタンパク質からのペプチド断片上のネオエピトープに結合するモノクローナル抗体または抗体結合断片を使用した競合免疫検定法であり得る。マイクロタイタープレートの固体表面上に被覆された、適切に選択された合成ペプチドは、モノクローナル抗体または結合断片への結合に関して試料と競合し得る。あるいは、モノクローナル抗体または結合断片によって認識されるネオエピトープを担持する精製天然I型、III型、IV型、V型、VI型コラーゲン、CRP、ニューロカン、ブレビカン、フィブロモジュリン、セルグリシン、シンデカン、βグリカン、バーシカン、ルミカン、デコリン、パールカンおよびビグリカン断片を固体表面で使用し得る。さらにもう1つの代替例は、モノクローナル抗体または結合断片を固体表面に固定化し、次に、試料を、シグナル分子、例えばホースラディッシュペルオキシダーゼまたはビオチンに適切に連結された合成ペプチドと共インキュベートすることである。
【0125】
試料は、血清、血液、血漿または他の、例えば線維性組織生検の試料であり得る。
【0126】
アッセイは、前記ネオエピトープと特異的に反応する第一免疫学的結合パートナと、ネオエピトープが属する関連タンパク質に対して反応性の第二免疫学的結合パートナとを用いたサンドイッチアッセイとして実施し得る。場合により、前記第二免疫学的結合パートナは、同じタンパク質の第二のエピトープに対する結合パートナである。
【0127】
特定の好ましい方法では、本発明の方法は、前記ペプチド断片の前記結合の測定レベルを、(a)匹敵する健常個体および/または(b)病的線維性状態の特徴を示す数値と比較し、場合により測定されたペプチドの高レベル(通常は高い結合レベルによって示される)をより重度の前記状態と関連付けることをさらに含む。
【0128】
本発明の1つの態様は、前述したネオエピトープ、特にI型およびIV型コラーゲンについてのネオエピトープを認識するモノクローナル抗体の開発に関する。これは、I型、III型、IV型、V型、VI型コラーゲン、CRP、ビメンチン、ニューロカン、ブレビカン、フィブロモジュリン、セルグリシン、シンデカン、βグリカン、バーシカン、ルミカン、デコリン、パールカンおよびビグリカン分子のアミノ酸配列(上記に列挙した配列またはその中で終了する配列を含む)に由来する合成ペプチドでマウスを免疫し、選択したマウスからの脾細胞を骨髄腫細胞に融合して、関連合成ペプチド上のネオエピトープに対する結合に関してモノクローナル抗体を試験することによって達成できる。ネオエピトープに対する特異性は、合成ペプチドとの反応性、および免疫ペプチドのC末端延長形態(C末端ネオエピトープに関して)または免疫ペプチドのN末端延長形態(N末端ネオエピトープに関して)との反応性の欠如を求めることによって確実にし得る。天然のI型、III型、IV型、V型、VI型コラーゲン、CRP、ビメンチン、ニューロカン、ブレビカン、フィブロモジュリン、セルグリシン、シンデカン、βグリカン、バーシカン、ルミカン、デコリン、パールカンおよびビグリカンへの結合能力の欠如を確認するために、ネオエピトープに対する抗体も評価し得る。あるいは、ネオエピトープに対する特異性は、抗体の反応性が、末端アミノ酸の1つに共有結合連結されたビオチンまたは他の官能基の存在に負の依存性を有することを求めることによって確実にし得る。
【0129】
本発明は、上記に提示したI型、III型、IV型、V型、VI型コラーゲン、CRP、ビメンチン、ニューロカン、ブレビカン、フィブロモジュリン、セルグリシン、シンデカン、βグリカン、バーシカン、ルミカン、デコリン、パールカンおよびビグリカンの部分配列のいずれか1つの末端部位における、プロテアーゼによるI型、III型、IV型、V型、VI型コラーゲン、CRP、ビメンチン、ニューロカン、ブレビカン、フィブロモジュリン、セルグリシン、シンデカン、βグリカン、バーシカン、ルミカン、デコリン、パールカンおよびビグリカンの切断によって形成されるネオエピトープと特異的に免疫反応性である免疫学的結合パートナを含み、例えばモノクローナル抗体またはその結合断片であり得る。
【0130】
本発明は、上記に提示したI型、III型、IV型、V型、VI型コラーゲン、CRP、ビメンチン、ニューロカン、ブレビカン、フィブロモジュリン、セルグリシン、シンデカン、βグリカン、バーシカン、ルミカン、デコリン、パールカンおよびビグリカンの部分配列のいずれか1つにおける配列の末端部位でのI型、III型、IV型、V型、VI型コラーゲン、CRP、ビメンチン、ニューロカン、ブレビカン、フィブロモジュリン、セルグリシン、シンデカン、βグリカン、バーシカン、ルミカン、デコリン、パールカンおよびビグリカンの切断によって形成されるC末端またはN末端ネオエピトープに対するモノクローナル抗体を産生する細胞株を含む。
【0131】
本発明は、上記に提示したこれらのタンパク質の部分配列のいずれか1つにおけるI型、III型、IV型、V型、VI型コラーゲン、CRP、ビメンチン、ニューロカン、ブレビカン、フィブロモジュリン、セルグリシン、シンデカン、βグリカン、バーシカン、ルミカン、デコリン、パールカンおよびビグリカンの切断によって形成されるC末端またはN末端ネオエピトープを含むペプチドをさらに提供する。そのようなペプチドは、前記ペプチドに対する免疫応答を生じさせるためにハプテンとして担体に結合し得るか、または免疫検定法における使用のために固体表面に固定化し得るもしくは検出可能なマーカに結合し得る。
【0132】
本発明は、上記に提示したI型、III型、IV型、V型、VI型コラーゲン、CRP、ビメンチン、ニューロカン、ブレビカン、フィブロモジュリン、セルグリシン、シンデカン、βグリカン、バーシカン、ルミカン、デコリン、パールカンおよびビグリカンの部分配列のいずれか1つにおける、I型、III型、IV型、V型、VI型コラーゲン、CRP、ビメンチン、ニューロカン、ブレビカン、フィブロモジュリン、セルグリシン、シンデカン、βグリカン、バーシカン、ルミカン、デコリン、パールカンおよびビグリカンの切断によって形成されるC末端またはN末端ネオエピトープを含むペプチドをコードする単離核酸分子をさらに含む。
【0133】
本発明は、上記に提示したI型、III型、IV型、V型、VI型コラーゲン、CRP、ビメンチン、ニューロカン、ブレビカン、フィブロモジュリン、セルグリシン、シンデカン、βグリカン、バーシカン、ルミカン、デコリン、パールカンおよびビグリカンの部分配列のいずれか1つにおける、I型、III型、IV型、V型、VI型コラーゲン、CRP、ビメンチン、ニューロカン、ブレビカン、フィブロモジュリン、セルグリシン、シンデカン、βグリカン、バーシカン、ルミカン、デコリン、パールカンおよびビグリカンの切断によって形成されるC末端またはN末端ネオエピトープを含むペプチドの発現のための発現シグナルおよび該ペプチドの発現をコードするコード配列を含有する核酸配列を含むベクターをさらに含み、そのようなベクターで形質転換された、前記ペプチドを発現する宿主細胞をさらに含む。
【0134】
本発明のさらにもう1つの態様は、上述した方法を実施するために好都合に使用できるキットに関する。そのようなキットは、(1)合成ペプチドで被覆されたマイクロタイタープレートと、(2)前記合成ペプチドと反応性の本発明のモノクローナル抗体または抗体結合断片と、(3)標識抗マウスIgG免疫グロブリンとを含み得る。あるいは、そのようなキットは、(1)精製天然I型、III型、IV型、V型、VI型コラーゲン、CRP、ビメンチン、バーシカン、ルミカン、デコリン、パールカンおよびビグリカン断片で被覆されたマイクロタイタープレートと、(2)I型、III型、IV型、V型、VI型コラーゲン、CRP、ビメンチン、ニューロカン、ブレビカン、フィブロモジュリン、セルグリシン、シンデカン、βグリカン、バーシカン、ルミカン、デコリン、パールカンおよびビグリカン断片上のネオエピトープを認識し、前記精製I型、III型、IV型、V型、VI型コラーゲン、CRP、ビメンチン、ニューロカン、ブレビカン、フィブロモジュリン、セルグリシン、シンデカン、βグリカン、バーシカン、ルミカン、デコリン、パールカンおよびビグリカン断片と反応性であるモノクローナル抗体と、(3)標識抗マウスIgG免疫グロブリンとを含み得る。あるいは、そのようなキットは、(1)ストレプトアビジンで被覆されたマイクロタイタープレートと、(2)ビオチンに連結された合成ペプチドと、(3)I型、III型、IV型、V型、VI型コラーゲン、CRP、ビメンチン、ニューロカン、ブレビカン、フィブロモジュリン、セルグリシン、シンデカン、βグリカン、バーシカン、ルミカン、デコリン、パールカンおよびビグリカン断片上のネオエピトープを認識し、前記合成ペプチドと反応性であるモノクローナル抗体と、(4)標識抗マウスIgG免疫グロブリンとを含み得る。さらにもう1つの代替例は、(1)ストレプトアビジンで被覆されたマイクロタイタープレートと、(2)ビオチンに連結された合成ペプチドと、(3)I型、III型、IV型、V型、VI型コラーゲン、CRP、ビメンチン、ニューロカン、ブレビカン、フィブロモジュリン、セルグリシン、シンデカン、βグリカン、バーシカン、ルミカン、デコリン、パールカンおよびビグリカン断片上のネオエピトープを認識する(および前記合成ペプチドと反応性である)、ホースラディッシュペルオキシダーゼに結合されたモノクローナル抗体とを含むキットであり得る。
【0135】
従って、本発明は、本明細書で述べる、特にI型およびIV型コラーゲンに関する免疫学的結合パートナ、ならびに前記免疫学的結合パートナに結合する競合物質、ならびに、場合により洗浄試薬、緩衝液、停止試薬、酵素標識、標識酵素の基質、較正基準、抗マウス抗体および指示書の1またはそれ以上を含む免疫検定キットを包含する。
【0136】
本明細書で述べるアッセイは患者における線維症の診断に有用である。加えて、試験は、疾患の進行の評価および治療に対する応答を監視するために有用である。本発明の免疫学的結合パートナは、I型、III型、IV型、V型、VI型コラーゲン、CRP、ビメンチン、ニューロカン、ブレビカン、フィブロモジュリン、セルグリシン、シンデカン、βグリカン、バーシカン、ルミカン、デコリン、パールカンおよびビグリカン切断産物の存在または位置を示すために免疫染色においても使用し得る。
【0137】
以下の実施例および添付の図面を参照して本発明をさらに説明し、例示する。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】図1は、種々の生物学的試料:プールされたヒト血清試料(血清);ヒト羊水(AF);ヒト線維芽細胞培地(Fibr.Cltr.)のCO3 ELISA結果を表示するグラフを示す。
【図2】図2aは、偽手術したラット(s)ならびに基線時(b)および終了時(t)の胆管結紮ラットにおけるCO3血清レベルを表示するグラフを示す。 図2bは、ラット血清中のCO3の対応するΔ値:終了時レベル−基線レベルを示す。
【図3】図3は、種々のヒト血清試料中のCO3レベルを表示するグラフを示す。正常血清:健常個体より。COPD:慢性閉塞性肺疾患(肺線維症を導く)。強皮症(皮膚および肺線維症を導く)。HCV:C型ウイルス性肝炎(肝線維症を導く)。
【図4】図4は、実施例5で測定した肝重量と肝スコアを示す。
【図5】図5は、実施例5で本発明に従って測定したIII型コラーゲンのMMP−9切断断片のレベルを示す。
【図6】図6は、実施例5で測定したBDLラットまたは偽手術ラットにおけるIII型コラーゲン遺伝子発現のレベルを示す。
【図7】図7は、ウエスタンブロット法によって測定した、実施例5で使用された抗体と反応性のIII型コラーゲンのMMP−9切断断片の発現レベルの変化を示す。
【図8】図8は、実施例5で得た肝切片の組織染色の結果を示す。
【図9】図9は、実施例5で測定した、本発明によるIII型コラーゲンの断片の測定と他の肝バイオマーカの相関を示す。
【図10】図10は、実施例6においてヒト血清試料に関して得た結果を示す。
【図11】図11は、CRPからのN末端ネオエピトープを認識するモノクローナル抗体の反応性を試験して得た結果を示す。
【図12】図12は、実施例8で測定したラット肝におけるコラーゲン蓄積を示す。
【図13】図13は、実施例8で得た免疫検定法の結果を示す。
【図14】図14は、肝コラーゲン含量と図13の免疫検定法結果の相関を示す。
【図15】図15は、本発明による免疫検定法の結果と、実施例8におけるヒアルロン酸およびシリウスレッド染色の測定との比較を示す。
【図16】図16は、最初のパネルではシリウスレッド染色と本発明による免疫検定法からの結果の相関、および2番目のパネルではヒアルロン酸レベルとシリウスレッド染色との相関を示す。
【図17】図17は、本発明の免疫検定法の結果とヒアルロン酸レベルとの間に相関がないことを示す。
【図18】図18は、実施例9で述べる皮膚切片と皮膚の厚さの測定を示す。
【図19】図19は、実施例9における本発明に従った免疫検定法からの結果を示す。
【図20】図20は、パネルAでは実施例9で得たウエスタンブロット像およびパネルBでは本発明による対応する免疫検定法結果を示す。
【図21】図21は、免疫検定法の結果と皮膚厚さ測定との相関を示す。
【図22】図22は、実施例9で述べる尿の免疫検定法結果とウエスタンブロット測定との相関を示す。
【実施例】
【0139】
<実施例1:MMP−9で分解したIII型コラーゲン>
方法
切断:ヒト胎盤から単離したIII型コラーゲンを10mM酢酸に溶解した(1mg/ml)。次に混入断片を除去するためにタンパク質溶液をフィルター(Microcon Ultracel YM−10)に通した。MMP−9を酢酸4−アミノフェニル水銀(APMA、Sigma)で37℃にて3時間予備活性化した。活性化後、III型コラーゲンとMMP−9を100:1で混合し、37℃で3日間、振とうしながらインキュベートした。
【0140】
溶液を液体クロマトグラフィー/質量分析法(LC/MS)によって分析し、Mascot検索を実施することによって断片を同定した。ペプチド配列を相同性検索によって選択し、他のタンパク質もしくは関連タンパク質に対する交差反応性、または種間交差反応性がないことを確実にした。
【0141】
抗体設計:ペプチド配列を合成し、オボアルブミン(OVA)に結合した。マウスを2〜3週間ごとに5回まで免疫した。抗体価を、選択および非選択の両方のスクリーニングペプチドによって検査した。十分な抗体価が達成された場合、陽性マウスを融合のために選択し、安楽死させて、脾臓を分解し、B細胞を骨髄腫細胞との融合のために取り出した。抗体産生細胞の選択は、単細胞クローン中の生存キメラ細胞を培養し、再接種することによって実施した。ネオエピトープは小さな合成ペプチド配列によって生成され、これは天然タンパク質を反映しないことがあり得るので、クローンを選択および非選択ペプチドによって、次いで天然反応性試験によって選択する(図1)。IgGサブタイプクローンを抗体産生のために選択する。プロテインGカラムによって抗体の精製を行う。
【0142】
アッセイの開発:最適抗体濃度を、抗体被覆およびスクリーニングペプチドの希釈液を用いて、競合ELISAにおいてチェッカーボード解析によって決定する。MMP−9(CO3)アッセイによる分解されたコラーゲンについての種々の測定を表24に示す。
【0143】
【表36】

【0144】
<実施例2:生物学的関連試料中のCO3:偽手術ラットと比較した胆管結紮ラットにおけるCO3レベル>
方法:40匹の雌性Sprague−Dawleyラット(6ヶ月齢)をNordic Bioscienceの動物実験施設に収容した。実験は、デンマーク法務省の実験動物委員会(Experimental Animal Committee of the Danish Ministry of Justice)によって承認され、臨床試験実施基準のヨーロッパ規格(European Standard for Good Clinical Practice)(2008/561−1450)に従って実施された。ラットを、敷き料および巣材(Altromin 1324;Altromin,Lage,Germany)と共に標準的なIII−H型ケージに18〜22℃で収容し、精製水(Milli−Q system;Millipore,Glostrup,Denmark)を自由に摂取させた。ラットを12時間の明/暗周期の条件下で飼育した。
【0145】
肝線維症を総胆管結紮(common BDL)によって誘発した。簡単に述べると、ラットを麻酔し、胆管を見つけ出して、胆管の周囲で2つの結紮を実施し、次いで結紮の間を切断して、腹部を閉じた。偽手術したラットでは、胆管結紮を行わずに腹部を閉じた。ラットを2つの群に分けた。第1群(BDLラット10匹と偽手術ラット10匹)は2週間後に犠死させ、第2群(BDLラット9匹と偽手術ラット10匹)は4週間後に犠死させた。試験期間(2または4週間)の終了時に、少なくとも14時間の絶食後、すべての生存動物をCOによって窒息させ、瀉血によって犠死させた。
【0146】
基線時および終了時に軽いCO/O麻酔下で、少なくとも14時間絶食させたラットの後眼窩洞から血液試料を採取した。血液を収集し、室温で30分間放置して凝固させ、次いで1500gで10分間遠心分離した。血餅を取り除いた液体全部を新しい管に移し、再び1500gで10分間遠心分離した。次に血清を清浄な管に移し、−80℃で保存した。CO3をラットからの5倍希釈血清試料中で測定した。偽手術とBDLのレベルを、正規分布を仮定した統計的有意性のマン−ホイットニー両側ノンパラメトリック検定(α=0.05)によって比較した。CO3レベルは、偽手術動物と比較してBDL群において有意に高かった。結果を図2aおよびbに示す。
【0147】
<実施例3:種々の線維性疾患におけるCO3(ヒト血清)>
CO3レベルを、3つの異なる線維性疾患(慢性閉塞性肺疾患(COPD)、強皮症およびC型ウイルス性肝炎(HCV))を有するヒトからの血清中で測定した。血清試料はSera Laboratories International Ltd(SLI Ltd),UKから入手した。CO3レベルは、3つの異なる線維性疾患において上昇していた(図3)。
【0148】
<実施例4:抗体の開発−マーカCO3−610Cの検出>
III型コラーゲン(Abcam,Cambridge,UK)を活性化MMP−9(Merck KGaA,Darmstadt,Germany)によってインビトロで2日間分解した。分解断片をLS−MS/MSによって配列決定し、MASCOT検索によって同定した。特定ペプチド配列、610KNGETGPQを抗体作製のために選択した。この配列のN末端はヒトIII型コラーゲンの残基610である。合成ペプチドをオボアルブミンに結合した後、4〜6週齢のBalb/Cマウスを乳化抗原約200μLおよびCO3−610C(KNGETGPQGPGGC−OVA)50μgにより皮下免疫した。安定な血清力価レベルに達するまで、フロイント不完全アジュバント中、2週間の間隔で連続免疫を実施した。2回目の免疫時からマウスを採血した。各採血時に、血清力価を測定し、最も高い抗血清力価を有するマウスを融合のために選択した。4回目の免疫後、このマウスを1ヶ月間休息させ、次に0.9%塩化ナトリウム溶液100μL中のCO3−610C 50μgで3日間静脈内追加免疫した後、細胞融合のために脾臓を単離した。
【0149】
モノクローナル抗体産生クローンを、Chinese Peptide Company,Beijing,Chinaより購入した、a)免疫原性ペプチド:KNGETGPQGP−GGC−オボアルブミン(OVA)(807678)、b)スクリーニングペプチド:KNGETGPQGP−PG−K−ビオチン(807971)、c)非選択ペプチド:II型コラーゲンα1鎖であるKDGETGAAGPPGK−ビオチン(118318)、I型コラーゲンα1鎖の分解産物であるKDGEAGAQGPPGK−ビオチンを用いて選択した。ELISA被覆プレートはNUNC(Thermofisher,Copenhagen,Denmark)より入手した。ペプチド結合試薬および緩衝液はPierce(Thermofisher,Copenhagen,Denmark)によって生産された。
【0150】
被覆ペプチドを溶解するために使用した緩衝液は以下のもので構成された:40mMのNaHPO、12HO、7mMのKHPO、137mMのNaCl、2.7mMのKCl、25mMのEDTA、0.1%Tween20、1%BSA、10%ソルビトール、pH7。血清アッセイについては、以下の化学物質を含有する緩衝液を使用した:8mMのNaHPO、12HO、1.5mMのKHPO、13.7mMのNaCl、2.7mMのKCl、0.1%Tween20、1%BSA、0.003%フェノールレッド、pH7.4。尿のアッセイに使用した異なる緩衝液は、400mMのTRIZMA、0.05%Tween20、0.1%BSA、0.36%Bronidox L5、pH8.0を含んだ。血清及び尿アッセイの両方について、25mMのTRIZMA、50mMのNaCl、0.036%Bronidox L5、0.1%Tween20から成る洗浄緩衝液、および0.1%HSOから成る反応停止緩衝液を使用した。アッセイ開発のために使用したELISAプレートは、Roche(Hvidovre,Denmark)からのストレプトアビジン被覆プレート、カタログ番号:11940279であった。すべてのELISAプレートをMolecular Devices,SpectraMax M(CA.USA)からのELISAリーダーで分析した。
【0151】
予備実験において、いくつかのチェッカーボード解析を実施することによって試薬、それらの濃度およびインキュベーション期間を最適化した。ストレプトアビジンで被覆した96穴ELISAプレートを、300rpmで絶えず振とうすることによって20℃で30分間PBS−TBE緩衝液に溶解した5ng/mlの合成ペプチド、ビオチニル化KNGETGPQGPでさらに被覆した。洗浄緩衝液で洗った後、試料20μlを添加し、次いでペルオキシダーゼ結合抗ヒトmAb−NB51−32 CO3−610C溶液(インキュベーション緩衝液中23pg/ml)100μlを添加した。プレートを20℃で1時間インキュベートし、その期間中300rpmで振とうした。この後洗浄し、最後に、テトラメチルベンジリジン(TMB)100μl(Kem−En−Tec、カタログ番号438OH)を加えて、プレートを暗所にて300rpmで振とうしながら15分間インキュベートした。反応を停止するため、停止溶液100μlを添加し、プレートを、650nmを参照として用いて450nmでELISAリーダーにおいて分析した。
【0152】
血清アッセイについてはビオチニル化NB51−32 CO3−610Cおよび尿アッセイについてはビオチニル化NB51−134 CO3−610Cの連続希釈によって標準曲線を作成した。標準濃度は、0、0.33、1、3、9、27、81および162ng/mlであった。
【0153】
配列KNGETGPQGPのN末端のアミノ酸Kは、ヒトIII型コラーゲン配列のアミノ酸610であるので、このようにして得られた免疫検定法を用いて検出された断片をCO3−610Cと称する。
【0154】
<実施例5:ラットで誘発した肝線維症におけるCO3−610Cと他のバイオマーカとの比較>
試験動物
40匹の6ヶ月齢の雌性Sprague−DawleyラットをNordic Bioscience,Copenhargen,Denmarkの動物実験施設に収容した。実験は、デンマーク法務省の実験動物委員会によって承認され、臨床試験実施基準のヨーロッパ規格(2008/561−1450)に従って実施された。ラットを、敷き料および巣材(Altromin 1324;Altromin,Lage,Germany)と共に標準的なIII−H型ケージに18〜22℃で収容し、水を自由に摂取させた。ラットを12時間の明/暗周期の条件下で飼育した。
【0155】
試験計画
20匹のラットにおいて、肝線維症を総BDLによって誘発した。手術手順は無菌条件下で実施した。ラットを麻酔し、胆管の位置を特定して、2か所で結紮し、次いで結紮の間を切断して、腹部を閉じた。その他の20匹のラットは偽手術に供し、胆管結紮を行わずに腹部を閉じた。次にラットを2つの群に分けた。第1群(BDLラット10匹と偽手術ラット10匹)は2週間後に犠死させ、第2群(BDLラット10匹と偽手術ラット10匹)は4週間後に犠死させた。試験期間(2または4週間)の終了時に、少なくとも14時間の絶食後、すべての生存動物をCOによって窒息させ、瀉血によって犠死させた。
【0156】
採血
基線時および終了時に軽いCO/O麻酔下で、少なくとも14時間の絶食後にラットの後眼窩洞から血液試料を採取した。血液を室温で30分間放置して凝固させ、次いで1500gで10分間遠心分離した。血餅を取り除いた液体全部を新鮮な管に移し、再び1500gで10分間遠心分離した。次に血清を清浄な管に移し、−80℃で保存した。
【0157】
組織の取扱い
ラットを安楽死させた後、肝臓を慎重に切開し、計量して、4%ホルムアルデヒド中に少なくとも24時間固定し、適切な切片に切断して、パラフィンに包埋した。5μmの厚さの切片を切断し、スライドガラスに載せて、シリウスレッドで染色した。肝切片を、構造、炎症の存在、胆管の増殖および線維症の評価によって組織学的に評価した。実質中の新たな胆管形成を、以下の採点法を用いて半定量的に評価した:正常=0、軽度の変化(1/3以下の罹患小葉)=1、中等度の変化(1/3〜2/3の罹患小葉)=2、および重度の変化(2/3以上の罹患小葉)=3。40倍および100倍の倍率のOlympus BX60顕微鏡とOlympus 5050ズームデジタルカメラ(Olympus,Tokyo,Japan)を使用してデジタル写真を撮影した。
【0158】
総コラーゲンおよび血清CTX−IIの測定
市販のQuickZyme Collagen Assay(QuickZyme Bioscience,Leiden,The Netherlands)を使用して総コラーゲン濃度を検定した。市販のRat CTX−IIキット(IDS Nordic,Herlev,Denmark)を使用してCTX−IIの濃度を検定した。すべての試料を2回重複して検定した。
【0159】
III型コラーゲンのmRNAの定量化
肝組織試料中のIII型コラーゲン(Col3a1)の転写産物の数を、蛍光レポータープローブを用いて定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)によって測定した。試料中のCol3a1コピー数を、Col3a1プラスミドcDNA Image Clone 7097081(Geneservice,Cambridge,UK)を希釈標準品として使用して得た標準曲線から推定した。Col3a1の量を、ハウスキーピング遺伝子、ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ1(Hprt1)の量で基準化した。Col3a1およびHprt1 mRNAについてのプライマーおよびプローブは、それぞれNCBI参照配列NM_032085.1およびNM_012583.2(TIB Molbiol GmbH,Berlin,Gemany)を鋳型として用いて設計した。Absolutely RNA Miniprepキット(Stratagene,La Jolla,CA,USA)を製造者の指示に従って使用して全RNAを凍結肝試料から抽出し、2100 Bioanalyzer装置(Agilent Technologies,Santa Clara,CA,USA)を用いてその品質をRNAナノチップ中で評価した。RNAの単離後すぐに、1μgのRNAを鋳型として用いて、Transcriptor First Strand cDNA合成キット(Roche,Basel,Switzerland)で相補的DNA(cDNA)を合成した。試験した各々の試料について、反応混合物から逆転写酵素を除いた、cDNA合成陰性対照を含めた。Col3a1およびHprt1について別々のPCR反応を、Lightcycler Faststart DNA Master Plus Hybprobeキット(Roche)を製造者の指示に従って使用して20μL形式で実施した。リアルタイム蛍光データをLightcycler 2.0装置(Roche)で収集した。
【0160】
抽出
組織をスチール製粉砕機中の過剰の液体窒素中で粉砕した。次に試料を1.5mlエッペンドルフ管に移し、プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche)を含有する0.5M酢酸溶液中、4℃で一晩振とうした。次に試料を、60%振幅の5パルスを用いて超音波で破砕し(U50 control、IKA Labortechnik)、4℃でさらに2時間放置した後、13,000rpmで5分間遠心分離した。上清を慎重に取り出し、新しいエッペンドルフ管に移して、−80℃で保存した。
【0161】
デンシトメトリー
Silk Scientific(give city,country)からのUN−SCAN−ITバージョン6.1を用いてデンシトメトリー測定を実施した。
【0162】
組織像分析
シリウスレッドで染色した組織学的切片を、Visiopharmソフトウエアバージョン3.2.8.0(give city,country)を用いて分析した。Pixelink PL−A623C顕微鏡デジタルカメラを用いて画像を取得した。
【0163】
SDS−PAGEおよびウエスタンブロット法
組織抽出物20μgを、還元剤(InvitrogenからのNuPAGE、NP0004)を含有する充填緩衝液(Invitrogen LDS 4x、NP0007)と混合した。次に試料を4〜12%ビス−トリス勾配ゲル(InvitrogenからのNP0332BOX)に充填し、200Vで52分間泳動させた。その後i−Blotトランスファーシステム(Invitrogen)を用いてタンパク質をニトロセルロース膜に転写し、(? Need to spell out?)TTBS中5%乳を用いて4℃で一晩ブロックした。βアクチン抗体(AbCam ab8229,give company,city country?)を充填対照として使用した。
【0164】
統計分析
平均値および平均の標準誤差(SEM)を、GraphPad Prism(GraphPad Software,Inc.,San Diego,CA,USA)を用いて計算し、正規分布を仮定した統計的有意性のスチューデント両側ペアードt検定によって(α=0.05)、またはマン−ホイットニー両側ノンパラメトリック検定によって(α=0.05)比較した。相関係数(R)および対応するp値を線形回帰によって決定した。
【0165】
結果
肝臓の外観:犠死の時点で、対照動物の肝臓は正常な全体形態を示したが、BDL動物の肝臓は腫脹していた。肝重量は、偽手術対照と比較してBDLラットでは有意に増大していた(犠死時の平均重量:手術後2週間目、偽手術では8.1g;BDLでは14.1g;手術後4週間目、偽手術では9.0g;BDLでは19.4g)(図4、パネルA)。0〜3等級を用いた肝切片の半定量的採点は、2週間目と比較して4週間目では肝臓の有意に大きな構造変化を示した(図4、パネルB)。図4、パネルAは、胆管結紮(BDL)ラットまたは偽手術ラットにおける肝重量を示す。データは平均+SEMで示している。***、P<0.0001。パネルBは、各群の肝臓における構造変化の採点を示す。データは平均+SEMで示している。**、P=0.0094。パネルCは、手術後2週間目と4週間目の偽手術ラットおよびBDLラットにおける肝構造を示すシリウスレッド顕微鏡写真を示す。門脈路の周囲の肝構造は、偽手術ラットと比較してBDLラットでは明らかに破壊されている。コラーゲンを赤色で強調している。もとの倍率は40倍であった。
【0166】
組織学的検査下で、偽手術動物の肝臓は線維症の徴候を示さず、顕微鏡的に正常であった(図4C)。BDLラットの肝臓では、著明な胆管増殖が観察された。手術後2週間目の群では、増殖は門脈路の周囲に位置したが、4週間目の群では増殖が広がっていた(図4C)。コラーゲン沈着が胆管構造の周囲で認められた。炎症はわずかであり、門脈路に限定された。細胞内胆汁うっ滞、胆管塞栓、胆汁梗塞または肝細胞ロゼット形成のいずれに関しても、胆汁うっ滞の徴候は見られなかった。
【0167】
CO3−610Cレベルの変化:図5は、パネルAでは胆管結紮(BDL)ラットまたは偽手術ラットにおけるMMP−9媒介性CO3分解の血清レベルを示す。データは平均+平均の標準誤差として示している。手術後2週間目、***P<0.0001および手術後4週間目、**P=0.0014。パネルBでは、CO3−610CのΔ値(終了時−基線時、ペアード)を示す。手術後2週間目、P<0.0001および手術後4週間目、P=0.0016。パネルCでは、BDLラットおよび偽手術ラットにおけるCTX−IIレベルを示す。データは平均+平均の標準誤差として示している。
【0168】
BDL群では、偽手術群と比較してCO3−610Cレベルが有意に上昇していた(平均値:手術後2週間目の偽手術群39.7ng/ml、BDL群100.3ng/ml;群間の平均上昇率は153%であった;手術後4週間目の偽手術群39.7、BDL群92.6ng/ml;群間の平均上昇率は133%であった)(図5、パネルAおよびB)。偽手術群では変化がなかった。II型コラーゲン分解を示すCTX−IIレベルは、偽手術群またはBDL群において変化しなかった(図5、パネルC)。
【0169】
III型コラーゲン遺伝子発現:図6は、BDLまたは偽手術ラットにおけるIII型コラーゲン遺伝子発現を示す。データは平均+平均の標準誤差として示している;手術後2週間目、P<0.0001および手術後4週間目、P=0.0006。
【0170】
III型コラーゲンa1鎖のmRNAは、偽手術ラットと比較して両方のBDL群で有意に上昇していた。
【0171】
ウエスタンブロット法およびデンシトメトリー:図7は、A)手術後2週間目と4週間目のウエスタンブロット法、およびB)デンシトメトリーによって定量化したウエスタンブロット法からのバンドによって評価したBDL群および偽手術群のラットの肝臓におけるCO3−610Cの発現の変化を示す。
【0172】
ウエスタンブロット分析は、偽手術ラットにおいて非常に低いレベルのCO3−610Cを示した(図7、パネルA)。手術後2週間目およびそれ以後はCO3−610Cレベルが著しく上昇した(図7、パネルA)。結果をデンシトメトリー分析によって定量化した(図7、パネルB)。
【0173】
組織像分析:図8のパネルAは、上の列ではシリウスレッドで染色したBDLラットまたは偽手術ラットからの組織学的切片を示す。下の列は、肝臓における総コラーゲン含量(赤色)を定量するためにマスクされた組織学的切片を示す。パネルBは、Visiopharmソフトウエアによって定量化した総コラーゲンを示す−手術後2週間目、P=0.0081;手術後4週間目、P=0.0047。
【0174】
シリウスレッドで染色し、Visiopharmソフトウエアを用いて増強した組織学的切片は、BDL処置ラットにおいて経時的なコラーゲン含量の増加を示した(図8、パネルA)。コラーゲンを示すマスク中の赤色は、同じソフトウエアを用いて定量化されたものであり(図8、パネルB)、偽手術ラットと比較してBDL処置ラットにおける総コラーゲン含量の有意の増加を確認した(手術後2週間目、P=0.0081;手術後4週間目、P=0.0047)。
【0175】
相関:図9のパネルAは、CO3−610Cに対するCol3a1の相関がR=0.6993、P<0.0001で認められたことを示す。パネルBでは、コラーゲン%に対するCO3−610Cの相関がR=0.2278およびP=0.0050で認められた。パネルCでは、コラーゲン%に対するCo13a1の相関がR=0.5409、P<0.0001で認められた。
【0176】
以下について相関が認められた:CO3−610Cに対するCol3a1 mRNA がR=0.6993およびP<0.0001で(図9A)、visiopharmによって定量化されたコラーゲン%に対するCO3−610CがR=0.2278およびP=0.0050で(図9B)、ならびにvisiopharmによって定量化されたコラーゲン%に対するCol3a1 mRNAがR=0.5409およびP<0.0001で(図9C)。
【0177】
ECMリモデリングは組織の発生、維持および病因の総合プロセスである。正しく且つ最適な組織の方向づけと質のために、タンパク質分解活性は、細胞移動、損傷組織の除去および新しいタンパク質の分離のためのプロセスにおいて不可欠である(108:109)。特異的なマトリックス分解産物であるネオエピトープは、肝線維症のマトリックス代謝回転の新しい生化学的マーカの同定のためおよび線維症の病因を理解するために重要であると考えられる。現在のところ、線維症の病因におけるECMリモデリングの評価を可能にする使用可能な測定技術または生化学的マーカは存在しない。
【0178】
この実施例では、インビボ状況下でCO3−610Cマーカを検討するため、6ヶ月齢のBDLラットを選択した。前記ラットは、より若齢のラットに比べて低いコラーゲンリモデリングを有することが以前に示されていたからである。ラットは骨格的に成熟し、骨端軟骨板はほとんど休止していて、そのため全体的なコラーゲン代謝回転に寄与する度合がはるかに低い。これは、バイオマーカに対する感受性と特異性に影響を及ぼす。これらのラットは、定量的な組織学的分析および重量増加を伴う腫脹の両方によって評価されたように、明らかに肝線維症を示し、従ってこのモデルはECMリモデリングの証拠、特に血清中のIII型コラーゲンの証拠を探索するために適切であった。
【0179】
本発明のデータは、MMP−9媒介性III型コラーゲン分解からのネオエピトープCO3−610Cが肝線維症についての生化学的診断マーカであり、BDL処置ラットでは偽手術ラットから153%までの血清中の平均上昇を有することを明らかに示す。
【0180】
CO3−610Cマーカの上昇についての生物学的な理論的根拠をさらに検討するため、健常肝臓と疾患肝臓からタンパク質抽出を行った。ウエスタンブロット法によって主要バンドを同定し、これが、疾患肝臓では豊富であるが、健常肝臓では豊富でないタンパク質断片であることを示唆した。これは、この新規マーカの病理学的正確さの証拠を提供する。
【0181】
肝臓の病的代謝回転像をさらに検討するため、III型コラーゲンのmRNAを測定した。偽手術を受けたラットと比較してBDLラットではmRNAの上昇を認め、これはこれまでの所見と一致する。これらのデータは、肝線維症が単なるECMタンパク質の蓄積だけではなく、組織形成と組織分解の両方が高度に上方調節される、加速された代謝回転状況でもあることを強く示唆する。組織形成は組織分解を上回り、経時的に瘢痕組織の蓄積を導く。これまでの研究者たちは、肝線維症を評価するために他のマトリックス代謝回転タンパク質を使用し、その1つはIII型ラーゲン形成マーカであるN末端III型プロコラーゲンであった。このマーカはIII型コラーゲンの形成を示し、これまでの試験で肝線維症において上昇することが示されている。
【0182】
生化学的マーカCO3−610Cの動力学をさらに理解するため、様々な相関関係を検討した。最も重要な点として、定量的組織学検査によって肝臓で測定された線維症の程度に対するCO3−610Cの有意の相関が存在した。肝線維症のレベルはIII型コラーゲンのmRNAの発現レベルに相関した。最後に、CO3−610Cは肝臓におけるIII型コラーゲンのmRNAに相関した。合わせて考慮すると、肝臓における病的プロセスと全身性生化学的マーカCO3−610Cのレベルには有意の相関が存在した。加えて、組織抽出は、循環レベルが局所的に生成されることの証拠を提供した。
【0183】
<実施例6:ヒト血清試料に関するELISA>
慢性閉塞性肺疾患(COPD)(n=5)、強皮症(n=5)、慢性C型肝炎ウイルス感染症(n=5)を有する患者、および健常対照(n=5)からヒト血清試料を得た。CO3−610断片の濃度を測定するために血清試料をCO3−610ELISAにおいて試験した(上記実施例4参照)。結果を図10に示す。健常被験者からの血清試料は30ng/ml未満のCO3−610C断片の濃度を有していたが、疾患被験者は循環中で高いレベルを有することが認められ、罹患線維症組織における大量の組織リモデリングを示唆した。
【0184】
<実施例7:クローンnb94の反応性>
マウスを、オボアルブミンに結合した合成ペプチドKAFVFP(配列番号1167)(KAFVFPKESD−GGC−OVA(配列番号1049))で免疫し、脾細胞を融合のために使用して、モノクローナル抗体を、ストレプトアビジンで前被覆したマイクロタイタープレートのウエル中に固定化したビオチニル化KAFVFP(配列番号1167)、すなわち(KAFVFPKESD−ビオチン(配列番号1049))に対する反応性に関して試験した。ビオチニル化KAFVFPKESD(配列番号1049)に結合する抗体をさらなる特徴づけのために選択し、前記抗体は、KAFVFPKESD(配列番号1049)との共インキュベーションによって阻害され得るが、伸長ペプチドRKAFVFPKESD(配列番号1166)によっては阻害されない。好ましいモノクローナル抗体をNB94−37−1A7と称した。
【0185】
競合ELISAを使用して、基本的にストレプトアビジン被覆マイクロタイタープレートのウエル中に固定化したビオチニル化KAFVFPKESD(配列番号1049)(0.15ng/mlで使用した)に関して上述したように、試料とモノクローナル抗体NB94−37−1A7をインキュベートし(20℃で90分間)、次いで洗浄して、次にペルオキシダーゼ結合抗マウス免疫グロブリンを添加した。競合のために以下の物質を2倍希釈で使用した:(1)合成KAFVFP(配列番号1167)ペプチド;(2)CRPに無関係なナンセンスペプチド(KNEGTG);(3)ヒト血清試料のプール;(4)MMP3で7日間タンパク質分解切断し、その後プロテアーゼ活性をブロックするためにEDTAを添加して停止させ、試験時まで−80℃で保存したCRP;(5)(4)と同じであるがMMP3の代わりにMMP8を使用したCRP;(6)MMP3の代わりにカテプシンK(およびカテプシンK活性をブロックするための阻害剤としてE64)を使用した(2日間)ことを除いて(4)と同じCRP。
【0186】
データは、モノクローナル抗体NB94−37−1A7が合成ペプチドKAFVFPKESD(配列番号1049)、ならびにMMP3およびMMP8で切断したCPRと強く結合することを明らかにする。カテプシンKによるCRPの切断は、モノクローナル抗体NB94−37−1A7によって認識される分析物の放出がより少ない。最後に、データは、抗体がヒト血清中のペプチド断片に結合することを示し、循環ペプチド断片中にこの配列が存在することを確認する。
【0187】
<実施例8:生物学的関連試料中のCO3:ラットの四塩化炭素(CCl4)誘発性肝硬変におけるCO3レベル>
試験動物および肝硬変の誘発:
この試験は、線維症または肝硬変を有する52匹の雄性Wistarラットと35匹の雄性Wistar対照ラットを含んだ。ラットに線維症または肝硬変を発症させるために、四塩化炭素(CCl4)およびフェノバルビタール処置による誘発プログラムに3ヶ月齢の動物を含めた。CClを吸入によって週に2回投与し、フェノバルビタール(0.3g/l)を飲料水に添加した。試験期間を通じて動物には水と飼料を自由に摂取させた。
【0188】
線維症の定量化:
肝切片(4μm)を飽和ピクリン酸(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)中の0.1%シリウスレッドF3B(Sigma−Aldrich)で染色した。各動物につきシリウスレッド染色肝切片の36視野を分析することによって相対的線維症面積(総肝面積のパーセンテージとして表す)を評価した。各々の視野を10倍の倍率で取得した[E600顕微鏡(Nikon)およびRT−Slider SPOTデジタルカメラ(Diagnostic Instruments,Inc.,Sterling Heights,MI)。結果をコンピュータ化Bioquant Life Science形態計測システムを用いて分析した。相対的線維症面積を評価するため、測定されたコラーゲン面積を正味の視野面積で除して、次に100を乗じた。総視野面積から血管内腔面積を差し引いて正味線維症面積の最終算定を得た。分析した各動物から、パーセンテージとしての線維症の量を測定し、平均値を提示した。
【0189】
線維症/肝硬変病期による群の分類:
動物を線維症および肝硬変の4つの異なる病期に分類し(A群:中等度の線維症、B群:進行した線維症、C群:中等度の肝硬変、およびD群:進行した肝硬変)、この分類は、シリウスレッド陽性肝面積のパーセンテージによって決定した(A群:<5%、B群:5〜10%、C群:10〜15%およびD群:>15%)。このために、対照ラットと線維症/肝硬変ラットを、CCl4処置の間の4つの異なる時点:肝硬変誘発プログラムの開始後8、12、16および20週間目を考慮して検討した。
【0190】
ヒアルロン酸測定:
サンドイッチELISAキット(R&D Systems Inc.,Minneapolis,MN,USA)を用いて血清ヒアルロナンを測定した。
【0191】
統計:
結果の統計分析は、適切な場合は不対スチューデントt検定によって実施した。データは平均±S.E.M.として表し、0.05以下のp値を有意とみなした。
【0192】
試験計画:
このプロトコールに含めた動物を以下の群の1つに無作為に割り当てた。A/8週間のCCl処置、B/12週間のCCl処置、C/16週間のCCl処置およびD/20週間のCCl処置。並行して、4つの対照群を同じ時点で検討した。13匹の線維症ラットと7匹に対照ラットを各々の群に含めた。試験終了時に、3日間の適応地期間中ラットを標準的な代謝ケージ(Tecniplast Deutschland,Hohenpeissenberg,Germany)に入れ、その後24時間の尿収集を実施した。尿量を重量測定で決定した。適応期間中、ラットに水道水と飼料を自由に摂取させた。次に、24時間の尿試料を2,500rpmで5分間遠心分離し、10のポリプロピレンチューブに分取した(各々400μL)。尿試料をその後の分析のために−80℃で保存した。
【0193】
予定されていた剖検時に、ラットを計量し、ペントバルビタール(50mg/kl)で麻酔して、断頭した。血液を採取し、室温で20分間放置して凝固させ、その後2500rpmで10分間遠心分離した。血清をポリプロピレンチューブにアリコートとして収集し(各々400μL)、ドライアイスを介して−80℃の冷凍庫に移した。CCl処置の開始時の基線血液試料の収集は、感染の危険性を上昇させ得るおよび/または誘発される病態生理学的プロセスの進行に支障をきたす可能性がある実験モデルの変化を導入し得る、付加的な介入処置を回避するため、考慮しなかった。組織学的検査およびシリウスレッド染色のために、肝臓の左葉の半分を10%中性緩衝ホルマリン中に16時間入れ、パラフィンに包埋して、4μm厚さの切片に切断した。肝線維症の定量化後、使用しなかったパラフィンブロック材料をバイオマーカ定量化のために保存した。左葉の他の半分は液体窒素中で急速冷凍し、ウエスタンブロット法、RT−PCRまたは免疫組織化学分析のために保存した。肝線維症面積、血清および尿重量オスモル濃度、NaおよびK、アルブミン、クレアチニン、アラニンアミノトランスフェラーゼおよび乳酸デヒドロゲナーゼの測定を試験材料および方法の章に従って実施した。
【0194】
結果:
モデルの組織学的有効性確認:
肝コラーゲンを、肝切片のシリウスレッド染色によってすべての試験動物において定量した。各動物についての最終データを、36の連続する顕微鏡視野で観察されたレッド染色の平均として収集した(図12)。
【0195】
図12は、四塩化炭素でそれぞれ8週間および20週間処置したラットNo.1(左側)およびラットNo.43(右側)の肝臓におけるコラーゲン蓄積を定量するために使用した36の画像の2セットからの代表的写真を示す。
【0196】
血清CO3マーカは、対照ラットと比較して線維症および肝硬変ラットの両方において統計的に有意の上昇を示す。動物を、線維症を定量するために使用した肝臓の完全自動化シリウスレッド染色手順に従って分類した(図13および14)。
【0197】
図13は、Hospital Clinic(Barcelona)において実施されたCCl吸入ラットおよび対照ラットにおける血清CO3レベルを示す。各々の点は1匹の動物を表す。ラットを、線維症を定量するために使用した肝臓のシリウスレッド染色のコンピュータ画像解析に従って分類した。
【0198】
血清CO3および肝臓のシリウスレッド染色の定量値を各々の動物において検討した場合、2つの変数の間で統計的に有意の相関を認めた(R2=0.4087;n=21)(図14)。
【0199】
CO3−610Cのレベルを肝線維症の血清学的指標であるヒアルロン酸(HA)と比較した。HAレベルを市販のELISAキットで定量し、結果は、肝硬変ラットと線維症動物におけるこのECM成分の有意の上昇を示す(図15および16)。
【0200】
シリウスレッドに対するCO3の相関はHAの相関を上回った。肝線維症の組織学的定量化における変動の70%以上がCO3の血清学的測定によって説明できる。残りの30%は未知の変数または固有の変動性によるものである。これに対し、ヒアルロン酸の測定によっては肝線維症の25%しか説明できない(図15)。
【0201】
これまでの結果から予想されたように、CO3とヒアルロン酸の間で相関は認められず、それらが肝線維症の発症における2つの独立した病態生理学的プロセスの結果であることを示唆した(図17)。
【0202】
実施例9:マウスにおけるブレオマイシン誘発性皮膚線維症
マウスをPBSまたはブレオマイシンの皮膚への適用によって処置した。MMP−9媒介性III型コラーゲン(CO3)分解断片CO3−610Cの尿中レベルの上昇は、マウスにおける皮膚線維症の進行と関連した。
【0203】
図18は、処置の8週間目のPBS処置ラットからの皮膚切片(パネルA)および処置の8週間目のブレオマイシン処置ラットからの皮膚切片(パネルB)を示す。2週間(P=0.0029)、4週間(P=0.0004)、6週間(P<0.0001)および8週間(P<0.0001)にわたってPBS(n=7/時点)およびブレオマイシン(n=13/時点)で処置したマウスの間での皮膚厚さの増大をパネルCおよびDにプロットしている。全体的な皮膚厚さは、試験期間中、PBS(n=28)およびブレオマイシン(n=52)処置マウスの間で増大する(P<0.0001)。皮膚幅は、写真をサンプリングする代わりに皮膚切片当たりの全体的な数としてVisiopharmソフトウエアによって計算した。
【0204】
図19は、試験の時点全体を通して有意の上昇を明らかにする、CO3−610C尿アッセイの結果を示す。この図は、各時点についての結果(終了時点についてPBS処置n=7、ブレオマイシン処置n=13)およびすべての時点についての集合的なCO3−610Cレベル(PBS処置マウスn=28およびブレオマイシン処置マウスn=52)を示す。2週間、P=0.0008、4週間、P<0.0001、6週間、P<0.0001、8週間、P<0.0001および全体、P<0.0001。
【0205】
図20は、2週間および8週間の処置後の対照CとブレオマイシンBに関するCO3−610Cウエスタンブロット像を示す(パネルA)。すべての時点についてのCO3−610デンシトメトリー測定(終了時点についてPBS処置n=7、ブレオマイシン処置n=13)および集合的CO3−610レベル(PBS処置マウスn=28およびブレオマイシン処置マウスn=52)をパネルBに示し、CO3−610レベルの統計的に有意の上昇(P<0.0001)を明らかにする。
【0206】
図21に認められるように、尿アッセイにおけるCO3−610レベルは皮膚厚さの進行、従って総コラーゲン沈着と相関することが認められた。r=0.4883、R2=0.2384。
【0207】
図22に認められるように、統計的に有意の相関がCO3−610 ELISA尿アッセイとウエスタンブロットデンシトメトリー測定の間で認められた(r=0.6528、P<0.0001)。
【0208】
本明細書において、明白に指示されない限り、「または」の語は、記述される状態のいずれかまたは両方を満たす場合、真値を返す演算子(operator)の意味で使用され、これに対し演算子「排他的にまたは」は状態の1つだけを満たすことが求められる。「含む」という語は、「から成る」を意味するのではなく「包含する」の意味で使用される。上記で認識したすべての先行教示は参照により本明細書に組み込まれる。本明細書におけるいかなる先行公表文献の認識も、その教示がその日現在、オーストラリアまたは別の場所での共通の一般的知識であったことの承認または表明であると解釈されるべきではない。
【0209】
[文献リスト]
【表37A】

【表37B】

【表37C】

【表37D】

【表37E】

【表37F】

【表37G】

【表37H】

【表37I】

【表37J】

【表37K】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
線維症の診断または定量化の方法であって、患者の生体液試料を得ること、前記試料中に天然に存在するネオエピトープ含有タンパク質断片を測定する免疫検定法を実施すること、および正常レベルを上回る、前記患者における前記測定の上昇を線維症の存在または程度と関連付けることを含み、前記免疫検定法が、
前記試料中に天然に存在するタンパク質断片を、プロテイナーゼによるタンパク質の切断によって形成されるネオエピトープと反応性の免疫学的結合パートナと接触させること、および前記ネオエピトープを含むタンパク質断片を測定するために前記免疫学的結合パートナへのペプチド断片の結合の程度を測定することを含む方法によって実施され、前記タンパク質が、III型コラーゲン、I型コラーゲン、IV型コラーゲン、V型コラーゲンもしくはVI型コラーゲン、エラスチン、ビグリカン、デコリン、ルミカン、バーシカン、パールカン、ニューロカン、ブレビカン、フィブロモジュリン、セルグリシン、シンデカン、βグリカン、ビメンチンまたはC反応性タンパク質であり、但し、該ネオエピトープがI型コラーゲンの切断によって形成される場合、該切断は、I型コラーゲンがカテプシンKによって切断される部位ではないことを条件とする、線維症の診断または定量化の方法。
【請求項2】
前記免疫学的結合パートナが、N末端配列KNGETG…を有するIII型コラーゲンの断片に特異的に結合する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記免疫学的結合パートナが、N末端配列KAFVFP…(配列番号1167)を有するCRPの断片に特異的に結合する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記免疫学的結合パートナが、III型コラーゲンの切断によって生成されるペプチド中に存在するN末端アミノ酸配列によって構成されるネオエピトープに特異的に結合し、前記ペプチドが、
【表1】

から成る群より選択されるN末端配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記免疫学的結合パートナが、III型コラーゲンの切断によって生成されるペプチド中に存在するC末端アミノ酸配列によって構成されるネオエピトープに特異的に結合し、前記ペプチドが、
【表2】

から成る群より選択されるC末端配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記免疫学的結合パートナが、I型コラーゲンの切断によって生成されるペプチド中に存在するN末端アミノ酸配列によって構成されるネオエピトープに特異的に結合し、前記ペプチドが、
【表3】

から成る群より選択されるN末端配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記免疫学的結合パートナが、I型コラーゲンの切断によって生成されるペプチド中に存在するC末端アミノ酸配列によって構成されるネオエピトープに特異的に結合し、前記ペプチドが、
【表4】

から成る群より選択されるC末端配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記免疫学的結合パートナが、IV型コラーゲンの切断によって生成されるペプチド中に存在するN末端アミノ酸配列によって構成されるネオエピトープに特異的に結合し、前記ペプチドが、
【表5】

から成る群より選択されるN末端配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記免疫学的結合パートナが、IV型コラーゲンの切断によって生成されるペプチド中に存在するC末端アミノ酸配列によって構成されるネオエピトープに特異的に結合し、前記ペプチドが、
【表6】

から成る群より選択されるC末端配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記免疫学的結合パートナが、ビグリカン、デコリン、ルミカン、バーシカンまたはパールカンの切断によって生成されるペプチド中に存在するN末端アミノ酸配列によって構成されるネオエピトープに特異的に結合し、前記ペプチドが、
【表7】

から成る群より選択されるN末端配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記免疫学的結合パートナが、ビグリカン、デコリン、ルミカン、バーシカンまたはパールカンの切断によって生成されるペプチド中に存在するC末端アミノ酸配列によって構成されるネオエピトープに特異的に結合し、前記ペプチドが、
【表8】

から成る群より選択されるC末端配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記免疫学的結合パートナが、C反応性タンパク質の切断によって生成されるペプチド中に存在するN末端アミノ酸配列によって構成されるネオエピトープに特異的に結合し、前記ペプチドが、
【表9】

から成る群より選択されるN末端配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記免疫学的結合パートナが、C反応性タンパク質の切断によって生成されるペプチド中に存在するC末端アミノ酸配列によって構成されるネオエピトープに特異的に結合し、前記ペプチドが、
【表10】

から成る群より選択されるC末端配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記免疫学的結合パートナが、エラスチンの切断によって生成されるペプチド中に存在するN末端アミノ酸配列によって構成されるネオエピトープに特異的に結合し、前記ペプチドが、
【表11A】

【表11B】

から成る群より選択されるN末端配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記免疫学的結合パートナが、エラスチンの切断によって生成されるペプチド中に存在するC末端アミノ酸配列によって構成されるネオエピトープに特異的に結合し、前記ペプチドが、
【表12A】

【表12B】

から成る群より選択されるC末端配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記免疫学的結合パートナが、V型コラーゲンの切断によって生成されるペプチド中に存在するN末端アミノ酸配列によって構成されるネオエピトープに特異的に結合し、前記ペプチドが、
【表13】

から成る群より選択されるN末端配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記免疫学的結合パートナが、V型コラーゲンの切断によって生成されるペプチド中に存在するC末端アミノ酸配列によって構成されるネオエピトープに特異的に結合し、前記ペプチドが、
【表14】

から成る群より選択されるC末端配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記免疫学的結合パートナが、VI型コラーゲンの切断によって生成されるペプチド中に存在するN末端アミノ酸配列によって構成されるネオエピトープに特異的に結合し、前記ペプチドが、
【表15】

から成る群より選択されるN末端配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記免疫学的結合パートナが、VI型コラーゲンの切断によって生成されるペプチド中に存在するC末端アミノ酸配列によって構成されるネオエピトープに特異的に結合し、前記ペプチドが、
【表16】

から成る群より選択されるC末端配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記免疫学的結合パートナが、ビメンチンの切断によって生成されるペプチド中に存在するN末端アミノ酸配列によって構成されるネオエピトープに特異的に結合し、前記ペプチドが、
【表17】

から成る群より選択されるN末端配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記免疫学的結合パートナが、ビメンチンの切断によって生成されるペプチド中に存在するC末端アミノ酸配列によって構成されるネオエピトープに特異的に結合し、前記ペプチドが、
【表18】

から成る群より選択されるC末端配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記ネオエピトープがI型コラーゲンの切断によって形成される場合、該切断は、I型コラーゲンがトリプシンによって切断される部位ではないことをさらなる条件とする、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
体液試料中に天然に存在するネオエピトープ含有タンパク質断片を測定する免疫検定の方法であって、前記免疫検定法が、前記試料中に天然に存在するタンパク質断片を、プロテイナーゼによるタンパク質の切断によって形成されるネオエピトープに対して反応性である免疫学的結合パートナと接触させるステップと、前記ネオエピトープを含むタンパク質断片を測定するために前記免疫学的結合パートナへのペプチド断片の結合の程度を測定するステップとを含む方法によって実施され、ここで、前記タンパク質が、ニューロカン、ブレビカン、フィブロモジュリン、セルグリシン、シンデカン、βグリカン、エラスチン、I型コラーゲン、IV型コラーゲン、V型コラーゲンもしくはVI型コラーゲン、CRPまたはビメンチンであり、但し、該ネオエピトープがI型コラーゲンの切断によって形成される場合、該切断は、I型コラーゲンがカテプシンKによって切断される部位ではないことを条件とする、免疫検定の方法。

【図1】
image rotate

【図2a】
image rotate

【図2b】
image rotate

【図3】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図19】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図12】
image rotate

【図18】
image rotate

【図20】
image rotate


【公表番号】特表2012−522233(P2012−522233A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502618(P2012−502618)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【国際出願番号】PCT/EP2010/054096
【国際公開番号】WO2010/115749
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(503259129)ノルディック・ビオサイエンス・エー/エス (10)
【氏名又は名称原語表記】NORDIC BIOSCIENCE A/S
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】