締切用止水壁体及びこれを用いた締切工法
【課題】水中に建造された被作業構造物の周囲を、空頭や水深の影響を受けずに、簡易な工程と高い止水性を確保して締め切る。
【解決手段】本発明に係る締切用止水壁体は、水面下にある台座4に立設されて水面上に突出した被作業構造物2の周囲に囲壁状に設置される。台座4の上面4aに枠形状に設置される止水壁架台11と、この止水壁架台11の下面に延設され、台座4上面に当接して全体重量を支持する難変形性の支持部材12と、この支持部材12に平行して止水壁架台11の下面に延設されるシール部材13と、複数の止水壁セグメント18が着脱可能且つ水密的に連結されて止水壁架台11の上面11aに水密的に立設される止水壁本体14と、止水壁本体14を浮沈自在にする浮力付与手段15と、を備えてなることを特徴とする。
【解決手段】本発明に係る締切用止水壁体は、水面下にある台座4に立設されて水面上に突出した被作業構造物2の周囲に囲壁状に設置される。台座4の上面4aに枠形状に設置される止水壁架台11と、この止水壁架台11の下面に延設され、台座4上面に当接して全体重量を支持する難変形性の支持部材12と、この支持部材12に平行して止水壁架台11の下面に延設されるシール部材13と、複数の止水壁セグメント18が着脱可能且つ水密的に連結されて止水壁架台11の上面11aに水密的に立設される止水壁本体14と、止水壁本体14を浮沈自在にする浮力付与手段15と、を備えてなることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水面下にある台座に立設されて水面上に突出した被作業構造物の周囲に間隔を介して囲壁状に設置され、その内側の水を排水して作業場を形成することにより、前記被作業構造物に関する各種作業を可能にする締切用止水壁体及びこれを用いた締切工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地震国である我が国では、大地震時の安全確保の観点から、既存の大型構造物の耐震補強が急務とされている。例えばコンクリート製の橋脚の耐震補強方法としては、橋脚の周囲に鉄筋コンクリート又は鋼板等を外装して合成構造とする補強・補修方法が提案されている。
【0003】
この種の補強・補修・解体作業等を行う現場が水上である場合、即ち、河川や海、湖等の水面下にある台座(基礎、フーチング)に橋脚等の被作業構造物が立設されて水面上に突出している場合には、この被作業構造物の周囲に締切用止水壁体を囲壁状に形成し、この締切用止水壁体の内周側の水を排水(ドライアップ)して、被作業構造物の周囲に乾燥した作業場を形成し、補強・補修作業を行う。
【0004】
締切用止水壁体の形成例としては、被作業構造物の周囲に多数のシートパイルを打ち込んで取り囲むものが考えられる。しかし、シートパイルと台座との間の地盤に改良を施す必要があってコストが増大し、橋脚のように、シートパイルを建て込むための空頭が極端に少ない場合には適用し難い。また、シートパイルの継足し施工が多い場合にはシートパイルの再使用が困難であり、不経済となる。さらに、シートパイルの建て込みにバイブロハンマー等の振動機械を使用する場合には、周辺環境に振動等の悪影響を及ぼす虞がある。
【0005】
その上、シートパイルを水底に打ち込む必要があるため、橋脚のように台座(基礎、フーチング)の上面が比較的広い面積を有している場合には、台座全体を取り囲むように広範囲に締切用止水壁体を形成しなければならず、これによりシートパイルを打ち込む本数や打ち込む範囲が増えて工数及び工期、締切のために占有する面積が増大し、上述した漏水や変形、河積を阻害する範囲の増大も顕著になるという問題があった。
【0006】
そこで、特許文献1に開示されているように、複数に縦割りした浮力調整可能な分割函体の一方側をヒンジで開閉自在に連結したものを開閉操作して橋脚等の被作業構造物に外装して沈降し、この分割函体の下端部を台座上面に弾接させ、この部分に止水グラウトを充填して止水するようにした締切用ケーソンがある。
【0007】
また、特許文献2に開示されているように、被作業構造物の鉛直方向および周方向に沿って分断され、円弧状に屈曲した同一構成の複数のプレキャストパネルを、被作業構造物に円筒状に外装して沈降させ、このプレキャストパネルの下端と台座上面との間に止水モルタルを充填して止水するようにした仮締切構造体がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第2829362号公報
【特許文献2】特開平11-117315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1の締切用ケーソン及び特許文献2の仮締切構造体にあっても、複数の分割函体やプレキャストパネルといった分割体の接合部、下端部、ヒンジ部の止水性が確立されていない。さらに、被作業構造物の、例えば橋脚の桁下の空頭や周囲の水深が充分に確保されていない場合には、水上における運搬・設置・撤去も困難で採用が難しい。
【0010】
また、特許文献1の締切用ケーソンは、沈設時の注排水によるコントロールの方法が確立されていない。さらに、締切用ケーソンは重量物となり、製作・運搬・設置・撤去もコスト高で採用が難しい。一方、特許文献2の仮締切構造体は、着座部の設置工程が煩雑な上に、着座部を固定するコンクリートが水中に漏出して水質を汚濁する。さらに、特許文献1の場合と同様に、鋼製パネルが重量物となり、製作・運搬・設置・撤去もコスト高で採用が難しい。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、水中に建造された被作業構造物の周囲を、空頭や水深に影響されることなく、簡易な工程と高い止水性とを確保して締め切ることができる締切用止水壁体及びこれを用いた締切工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、水面下にある台座に立設されて水面上に突出した被作業構造物の周囲に間隔を介して囲壁状に設置され、その内側と前記被作業構造物との間の水を排水して作業場を形成することにより、前記被作業構造物に関する各種作業を可能にする締切用止水壁体において、前記台座の上面に枠形状に設置される止水壁架台と、前記止水壁架台の下面に、その枠形状の長手方向に沿って延設され、前記台座の上面に当接して締切用止水壁体の重量を支持する難変形性の支持部材と、前記支持部材に平行して前記止水壁架台の下面に延設されるシール部材と、複数の止水壁セグメントが着脱可能且つ水密的に連結されて構成され、前記止水壁架台の上面に水密的に立設される止水壁本体と、前記複数の止水壁セグメントの少なくとも一部に着脱自在に設けられ、前記止水壁本体を浮沈自在にする浮力付与手段とを備えてなる締切用止水壁体としたことを特徴とする。
【0013】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記浮力付与手段はタンク状であり、その内部に水を注水及び排水できる注排水手段を有する締切用止水壁体としたことを特徴とする。
【0014】
請求項3に係る発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の構成に加え、少なくとも前記止水壁本体を備えて、縦割りに分割及び連結自在な複数の分割壁体を構成し、これら各々の分割壁体に、それぞれ前記浮力付与手段が設けられた前記止水壁セグメントを含ませ、これらの分割壁体同士をヒンジ連結機構により回動自在且つ脱着可能に連結し、平面視で前記締切用止水壁体を開閉可能な環状に形成した締切用止水壁体としたことを特徴とする。
【0015】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の締切用止水壁体を、水面下にある台座に立設されて水面上に突出した被作業構造物の周囲に間隔を介して設置し、該締切用止水壁体の内側と前記被作業構造物との間の水を排水して作業場を形成することにより、前記被作業構造物に関する各種作業を可能にする締切工法であって、前記止水壁架台と、前記止水壁セグメントと、前記浮力付与手段とを備えて、前記被作業構造物の周囲に前記締切用止水壁体を環状に構築する構築工程と、前記浮力付与手段の浮力を低下させて、前記締切用止水壁体を水中に沈降させて前記台座の上面に水密的に着座・設置する沈設工程と、前記締切用止水壁体の内側の水を排水して作業場を形成する排水工程と、前記締切用止水壁体の解体時に、前記浮力付与手段の浮力を増大させて前記締切用止水壁体を浮上させる浮上工程と、前記締切用止水壁体を解体する解体工程とを備えてなる締切工法としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、締切用止水壁体を構成する止水壁セグメントを小型、軽量に形成できるため、締切用止水壁体の製作や、陸上及び水上における運搬が容易になると同時に、空頭や水深に影響されることなく、簡易な工程と簡易なクレーンその他の荷役機械で締切用止水壁体を構築することができる。また、簡素な構造により、高い止水性を確保しながら、止水壁セグメントを水中に沈降及び浮上可能にして、水上における止水壁セグメントの運搬及び設置・解体・撤去を容易に行うことができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、浮力付与手段の構成を簡素にして締切用止水壁体の製作を容易にすると共に、水平方向に並ぶ複数のタンク状の浮力付与手段への注水量を適宜調整することにより、水上及び水中における締切用止水壁体の姿勢を水平に保つことができ、これにより、台座上面への設置工程を簡易にすることができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、水上に浮上可能な複数の分割壁体を互いに連結して、被作業構造物の周囲に締切用止水壁体を環状に構築してから、この締切用止水壁体を水中に沈降させて台座上面に着座、設置するため、被作業構造物の周囲の空頭や水深等に影響されることなく、簡易な工程で締切用止水壁体を構築することができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、請求項1と同様な作用・効果を奏する締切工法とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態に係る締切用止水壁体の正面図である。
【図2】同実施の形態に係る図1のII-II矢視による締切用止水壁体の平面図である。
【図3】同実施の形態に係る図2のIII-III線に沿う締切用止水壁体の縦断面図である。
【図4】同実施の形態に係る図3のIV部拡大図であり、(A)は台座の上面から支持部材が浮き上がった状態を示す縦断面図であり、(B)は台座の上面に支持部材が当接した状態を示す縦断面図である。
【図5】同実施の形態に係る図2のV部拡大図である。
【図6】同実施の形態に係る図5のVI-VI線に沿う縦断面図である。
【図7】同実施の形態に係る図1のVII部拡大図である。
【図8】同実施の形態に係る図7のVIII-VIII線に沿う横断面図である。
【図9】進水工程を示す正面図である。
【図10】進水工程を示す平面図である。
【図11】沈設工程を示す正面図である。
【図12】進水・沈設工程の別な例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施の形態に係る締切用止水壁体1の正面図であり、図2は同じく図1のII-II矢視による締切用止水壁体1の平面図であり、図3は同じく図2のIII-III線に沿う締切用止水壁体1の縦断面図であり、図4(A),(B)は同じく図3のIV部拡大図である。なお、本実施形態では締切用止水壁体1の平面形状が矩形を呈す場合について説明する。
【0023】
締切用止水壁体1を用いて補強・補修作業がなされる被作業構造物としての橋脚2は、例えば鉄筋コンクリート構造であり、水面下の地盤中に埋設された複数の基礎杭3と、この基礎杭3の上に形成されて水面下に位置する台座としてのフーチング4と、フーチング4の上面4aに立設されて水面上に突出する、円柱、楕円柱、角柱状のピア部分5と、このピア部分5の上端に形成された張出し梁6とを備え、張出し梁6の上面には主桁7を介して道路や鉄道等の床部分となる橋脚上部工8が載置された一般的な構造のものである。
【0024】
締切用止水壁体1は、フーチング上面4aに設置されてピア部分5の周囲に間隔を介して囲壁状に形成され、その内側の水を排水して乾燥した作業場を形成することにより、ピア部分5の耐震補強作業や塗装作業といった各種作業を容易に実施可能にするものである。
【0025】
締切用止水壁体1は、ピア部分5の周囲を囲むように、フーチング上面4aに枠形状に設置される止水壁架台11と、この止水壁架台11の下面に設けられた支持部材12及びシール部材13と、止水壁架台11の上面に立設される止水壁本体14と、この止水壁本体14を水中に沈降又は浮上可能に浮力調整する浮力付与手段としての浮力タンク15を備えて構成されている。
【0026】
図2及び図4(A),(B)に示すように、止水壁架台11は、剛性を有し所定の長さを有する中実状、ないしは中空状の例えば角柱体を接続して、平面視で矩形の枠状に連続させた形状であり、その上面11aと下面11bとが平坦且つ平行である。止水壁架台11の幅寸法W1は、後述する止水壁本体14の厚みW2寸法よりも大きく設定されている。
【0027】
一方、支持部材12は、例えば鋼材やステンレス材等の材料によって角棒状に形成された難変形性の部材であり、その幅寸法W3が止水壁架台11の幅寸法W1よりも小さく、止水壁架台11の枠形状の長手方向に沿って下面11bの最も外側寄りの部分に例えば1本延設され、その上面が止水壁架台11の下面11bに固着されている。この支持部材12は、フーチング上面4aに当接して締切用止水壁体1の全体重量を支持すると共に、フーチング上面4aと、止水壁架台11の下面との間隔を所定間隔に保つ部材である。支持部材12の高さ寸法t1は例えば50mmである。
【0028】
他方、シール部材13は、例えばゴムや軟質樹脂等の材料によって角棒状に形成された弾性のある部材であり、支持部材12の内側に平行して止水壁架台11の下面11bに延設され、その上面が止水壁架台11の下面11bに固着されている。シール部材13の高さ寸法t2は例えば100mmであり、t1<t2に設定されている。
【0029】
支持部材12とシール部材13の幅寸法や高さ寸法は、フーチング上面4aと止水壁架台11の下面との間を確実に止水できる寸法に設定され、締切用止水壁体1全体の重量に耐え得るように設計されている。なお、支持部材12を止水壁架台11に一体的に形成してもよい。
【0030】
止水壁本体14は、図1〜図3に示すように、例えば矩形の、複数の止水壁セグメント18が縦横に連結されて壁面状に構成されたものである。止水壁セグメント18は、例えば鋼板と型鋼とが組み合わされて構成されている。止水壁セグメント18は、中実状であっても、中空状であっても良いが、水上に浮上させ得る程度の重さに設定しなければならない。他に、波板状、ハニカム状、格子状等、多種の断面形状が考えられる。止水壁セグメント18の幅寸法及び高さ寸法は、条件にもよるが、例えば1000mmから1500mm程度が好適である。
【0031】
止水壁本体14を構成する上下左右の各止水壁セグメント18の間は、着脱可能に、且つ、図示しないシール部材を介して水密的に連結される。また、止水壁本体14の下縁部は、止水壁架台11の上面11aに、同じく図示しないシール部材を介して、ボルト、ナット等の締結手段により着脱可能に連結される。もしくは、止水壁本体14の下縁部と止水壁架台11の上面11aとの間を溶接等の接合手段により固定することも考えられる。
【0032】
前述したように、止水壁架台11の幅寸法W1は、止水壁本体14の厚みW2よりも大きく設定されており、これによって止水壁架台11の下面11bにおける支持部材12とシール部材13の寸法設定性及び設置レイアウト性が良好である。しかし、止水壁架台11の幅寸法W1が止水壁本体14を支えるのに十分な幅がある場合や、施工条件等により、止水壁本体14の厚みW2より小さくする場合もある。
【0033】
一方、浮力付与手段である浮力タンク15は、止水壁セグメント18単体及び止水壁本体14全体を水中において浮沈自在にするものであって、例えば鋼板と型鋼とが組み合わされた直方体形状の付属部品として形成されており、内部に貯水空間15aが画成され、複数の止水壁セグメント18の側面の少なくとも一部に一体、もしくは着脱可能に設けられている。
【0034】
浮力タンク15の貯水空間15aに水が注水されていない時には、浮力タンク15が設置された止水壁セグメント18又は止水壁本体14は水上に浮上可能な浮力を有し、貯水空間15aに水が注水されると、止水壁セグメント18又は止水壁本体14は水面下に沈降する。この浮力の大きさは、後述する注排水手段によって貯水空間15aへの注水量を変化させることにより自在に調整することができる。
【0035】
なお、各浮力タンク15は、必ずしも直方体形状でなくてもよく、また、必ずしも全て同じ形状、大きさでなくてもよい。さらに、本実施形態のように、複数の浮力タンク15を各々の止水壁セグメント18に独立的に設けてもよいが、複数の各止水壁セグメント18に跨って連続的に延びる形状に浮力タンク15を形成してもよい。なお、浮力タンク15を樹脂材料等によって形成してもよい。
【0036】
図3に示すように、浮力タンク15には、その内部の貯水空間15aに水を注水及び排水できる注排水手段としての、給排気管21と注排水管22とが配設されている。
【0037】
給排気管21は、その下端部が浮力タンク15の天板を貫通して貯水空間15aの最上部に接続され、その上流端にバルブ23を介して図示しない空気供給手段としてのエアーコンプレッサーが接続される。
【0038】
注排水管22は、その下端部が浮力タンク15の下部側面を貫通して貯水空間15aの最下部に接続され、その上流端にバルブ24を介して図示しない水供給手段としてのポンプが接続される。
【0039】
バルブ23とバルブ24を開弁させ、エアーコンプレッサーを作動させると、外気が給排気管21から各浮力タンク15に給気され、これに伴い各浮力タンク15内の水が注排水管22から外部に排水されて浮力が増大する。また、エアーコンプレッサーを停止させてポンプを作動させると、海水、河水等の外水が注排水管22から各浮力タンク15に注水され、これに伴い各浮力タンク15内の空気が給排気管21から外部に排気されて浮力が減少する。このように、浮力タンク15への注水量をコントロールすることにより、浮力タンク15が設けられた止水壁セグメント18(止水壁本体14)の浮力を自在に調整することができる。所定の浮力が得られたら、バルブ23とバルブ24を閉じて浮力を維持する。又、浮力タンク15からの排水手段として、エアーコンプレッサーに代わり、直接浮力タンク15の中に水中ポンプ等を備えて排水するようにしてもよい。
【0040】
給排気管21と注排水管22とは、全ての浮力タンク15にそれぞれ設けてもよいが、何個かの浮力タンク15を連結パイプで連結して幾つかのグループを作り、これら各グループにそれぞれ給排気管21と注排水管22を設けるようにしてもよい。さらに、複数の浮力タンク15が上下方向及び左右方向に配列される場合には、横方向に隣接する浮力タンク15同士を直接的に接続せずに、縦方向に隣接する浮力タンク15同士を連結パイプで接続して複数の縦貯水系統を構成し、これら複数の縦貯水系統の最上部に位置する浮力タンク15の上部にそれぞれ給排気管21を接続し、最下部に位置する浮力タンク15の下部に注排水管22を接続してもよい。
【0041】
上記のように、横方向に隣接する浮力タンク15同士を連結せず、縦方向に隣接する浮力タンク15同士を連結して複数の縦貯水系統を構成し、これら複数の縦貯水系統に図示しない分配器で定量的に注水又は排水させることにより、締切用止水壁体1を水中に沈降させる時や、水上に浮上させる時に、各位置にある縦貯水系統の注水量を適宜調整して、水中における締切用止水壁体1の傾斜を防止し、常に水平に近い安定した姿勢で締切用止水壁体1を沈降、又は浮上させることができる。
【0042】
以上のように構成された締切用止水壁体1がフーチング上面4a上に設置されると、図4(B)に示すように、止水壁架台11の下面11bが支持部材12とシール部材13とを介してフーチング上面4a上に当接する。止水壁本体14を形成する止水壁セグメント18は、フーチング上面4aの水深に応じて1段〜数段が積み重ねられ、上段の止水壁セグメント18が水面から十分に突出する高さまで止水壁本体14が構築される。
【0043】
各浮力タンク15に注水して加重し、締切用止水壁体1の止水壁架台11の下面11bをフーチング上面4aに着座させることにより、締切用止水壁体1の重量でフーチング上面4aと止水壁架台11の下面11bとが互いに近接する方向に加圧され、シール部材13が圧縮されて二面4a,11b間が水密的に止水される。この止水される二面4a,11b間の距離は支持部材12の厚みt1未満にならないため、シール部材13への過度な加圧が阻止され、シール部材13の耐久性低下や破断等が防止される。
【0044】
フーチング4は、一般に鉄筋コンクリート製であり、その上面4aは、コンクリート打設時における元々の表面の粗さに加えて、海や河川の水流による侵食や巨礫等の衝突等により相応の凹凸があるが、支持部材12の厚みt1とシール部材13の厚みt2との差を大きくしたり、シール部材13の硬度、形状、又は弾性を変化させることにより、この凹凸にシール部材13を密着させて効果的にシールすることができる。なお、シール部材13を挟んで支持部材12を2本設けてもよいし、シール部材13を複数本設けてもよい。
【0045】
なお、フーチング上面4aの粗さが許容限度を超えていてシール部材13によるシールのみでは充分に止水できない場合には、フーチング上面4aを人工的に水中コンクリートで平坦に均す場合もある。又は、支持部材12に沿って水中モルタル、水中コンクリート、発泡ウレタン等の止水グラウトを注入し、シール部材13と止水グラウトとを協働させて止水する場合もある。
【0046】
また、図4(B)に示すように、例えばフーチング上面4aにワイヤーペグ27を埋設して締切用止水壁体1(止水壁本体14)の内側側面にワイヤーブラケット28を固設し、ワイヤーペグ27とワイヤーブラケット28との間にアンカーワイヤー29を掛け渡し、このアンカーワイヤー29に設けたターンバックル30によりアンカーワイヤー29を張って締切用止水壁体1をフーチング上面4aに固定すれば、より確実である。
【0047】
なお、図3に示すように、締切用止水壁体1の上端と橋脚2の張出し梁6との間に、例えば棒状、或いは板状の突張部材33を介装して、締切用止水壁体1に下方への押圧力を加えるようにすれば、アンカーワイヤー29による固定の必要がなくなり、フーチング上面4aにワイヤーペグ27を埋設したり、締切用止水壁体1の内側側面にワイヤーブラケット28を設置しなくてもよくなるため、構造及び作業を簡易化することができる。
【0048】
ところで、各止水壁セグメント18は、浮力タンク15の浮力によってピア部分5の周囲に浮かばせながら1個ずつ連結して繋いでいってもよいが、予め陸上等で各止水壁セグメント18を部組みして、図9、図10、図12に示すように、止水壁本体14と浮力タンク15とを含み、且つ縦割りに分割及び連結自在な複数の分割壁体1L,1Rを構成し、これらの分割壁体1L,1Rを水上に浮遊させた状態で、ピア部分5の周囲で連結して平面視で開閉可能な環状に形成し、ピア部分5の周囲を囲むように締切用止水壁体1を構築すれば、非常に手際良く締切用止水壁体1を組み立てることができる。なお、止水壁架台11や止水壁セグメント18の形状を変更すれば、締切用止水壁体1の平面視形状を円形や楕円形、多角形等、他の形状にすることもできる。
【0049】
図5及び図6に拡大して示すように、分割壁体1L,1Rの分割辺には複数のヒンジ連結機構36が設けられる。このヒンジ連結機構36は、分割壁体1L,1Rの一方に設けられた上下一対の連結金具36aと、分割壁体1L,1Rの他方に設けられた一つの連結金具36bと、これらの連結金具36a,36bを上下方向に貫通して連結金具36a,36bを連結する連結ピン36cとを備えて構成されている。
【0050】
また、ヒンジ連結機構36に隣接して、図7及び図8に拡大して示すような連結ガイド37が設けられる。この連結ガイド37は、分割壁体1L,1Rの一方に設けられた上下一対のガイド金具37aと、分割壁体1L,1Rの他方に設けられた一つのガイド金具37bとを備えて構成されている。
【0051】
ヒンジ連結機構36を連結することにより、分割壁体1L,1R同士が回動自在に連結され、且つ脱着可能となる。また、連結ガイド37が嵌合することにより、分割壁体1L,1Rの連結時における位置決めが容易になる。無論、分割壁体1L,1Rの接続部は、図示しないシール部材によって水密的にシールされる。なお、ヒンジ連結機構36及び連結ガイド37の形状は、上記形状に限定されるものではない。
【0052】
図2及び図3に示すように、ピア部分5と締切用止水壁体1(止水壁本体14)との間には数本の水平梁状の支保工41(切梁材、必要により腹起し材、火打ち梁材)が介装される。これにより、ピア部分5と、締切用止水壁体1との間隔が常時適正に保たれると共に、外部の水圧や波浪等による締切用止水壁体1の変形、破損等が防止される。
【0053】
支保工41は、そのピア部分5に接する方の端部に、ローラーやキャスター、そり等の相対可動部材が設けられる場合がある。こうすることにより、後述する沈設工程Cにおいて、締切用止水壁体1とピア部分5との相対間隔を適正に保ちながら、締切用止水壁体1を安定的に沈設することができる。
【0054】
この締切用止水壁体1を用いた締切工法は、下記の通り、構築工程Aと、進水工程Bと、沈設工程Cと、排水工程Dと、再注水工程Eと、浮上工程Fと、解体工程Gと有して施工される。以下、各工程を図9〜図12を参照しながら順に説明する。
A.構築工程
【0055】
まず、陸上において、止水壁架台11と、止水壁セグメント18とを部組みして、半環状の分割壁体1L,1Rを構築する。これらの分割壁体1L,1Rは、止水壁セグメント18が1段であっても複数段であってもよいが、各分割壁体1L,1Rには浮力タンク15が設けられた止水壁セグメント18が含まれていなければならない。浮力タンク15の数量は、各分割壁体1L,1Rを十分に浮上させ得るように設定される。
B.進水工程
【0056】
次に、図9及び図10示すように、これらの分割壁体1L,1Rを、ピア部分5の近くの水面上に進水させ、ピア部分5を挟んで対向し、且つ支保工41によってピア部分5との間に所定の間隔を保たせた状態で浮遊させつつ、ヒンジ連結機構36の部分で互いに連結して、ピア部分5の周囲に分割壁体1L,1Rを環状に形成する。この時の浮力は、浮力タンク15への注水量を変化させることにより適宜調整する。なお、この作業は、例えばピア部分5の近傍に繋留した図示しないフロート(台船)の上に載置したクレーンや、橋脚2上に設置したクレーン等により行われる。
C.沈設工程
【0057】
次に、図11に示すように、ピア部分5を取り巻く環状に形成した分割壁体1L,1Rを水中に沈降させ、フーチング上面4aに水密的に着座させる。この時には、図3に示す給排気管21と注排水管22のバルブ23,24を開き、注排水管22からポンプで外水を各浮力タンク15内部の貯水空間15aに注水し、同時に貯水空間15aの空気を給排気管21から排気させ、これによって分割壁体1L,1Rの浮力を低下させて水中に沈降させる。その沈降速度は各浮力タンク15に残す水量により任意に設定可能である。
【0058】
なお、この沈降時には、支保工41によってピア部分5と分割壁体1L,1Rとの間隔が一定に保たれるため、水流の影響で分割壁体1L,1Rがピア部分5に対して変位することを防止でき、分割壁体1L,1Rを安定的に沈降させることができる。この場合は、先述のように、支保工41の、ピア部分5に当接する部分に、例えばローラーやキャスター、そり等の相対可動部材を設ければ、ピア部分5に対する分割壁体1L,1Rの相対移動をスムーズにすることができる。
【0059】
分割壁体1L,1Rの底面(止水壁架台11の下面11b)と、フーチング上面4aとの間は、先述したように、支持部材12とシール部材13によって止水がなされると同時に、アンカーワイヤー29により固定される。なお、支保工41は、この時点で取り外してもよいが、水流等に対する締切用止水壁体1の剛性を高めたい場合には、一部の支保工41が取り残される。また、支保工41は、そのピア部分5に当接する部分のローラーやキャスター、そり等の相対可動部材を堅固な支持部材に取り替えることもある。
【0060】
締切用止水壁体1を構成する止水壁セグメント18が複数段になる場合は、前記各工程A〜Cを反復するか、又は図12に示すように、一段ではなく複数段の止水壁セグメント18からなる分割壁体1L,1Rを構築して進水させ、フーチング上面4a上に沈設する。この場合は、下段の止水壁セグメント18にのみ浮力タンク15を設置すればよいため、効率的に締切用止水壁体1を構築することができる。
D.排水工程
【0061】
次に、ポンプ等を用いて、締切用止水壁体1(分割壁体1L,1R)の内側の水を排水し、フーチング上面4aを外気に露呈させて、ピア部分5の周囲に乾燥した作業場を形成する。これにより、橋脚2のピア部分5における耐震補強作業や塗装作業、あるいはフーチング4の補修作業といった各種作業を容易に実施することができる。
E.再注水工程
【0062】
橋脚2の上記作業が完了したら、締切用止水壁体1の内側に外水を再注入して、締切用止水壁体1の内側と外側とに均一な水圧が加わるようにする。
F.浮上工程
【0063】
次に、締切用止水壁体1を撤去するが、その際には、締切用止水壁体1の下部をフーチング上面4aに固定しているアンカーワイヤー29等の固定を解いた後、前述の沈設工程Cとは逆に、各浮力タンク15内部の貯水空間15aに注水された水を排水する。即ち、図示しないエアーコンプレッサーで給排気管21から貯水空間15aに外気を給気する一方、注排水管22から貯水空間15a内部の水を排水し、所定量の排水が完了したら、給排気管21と注排水管22の各バルブ23,24を閉じる。これによって締切用止水壁体1(分割壁体1L,1R)の浮力を増加させ、水上に浮上させる。なお、締切用止水壁体1全体として浮上させずに、水中にて予め締切用止水壁体1を分割壁体1Lと1Rとに分割してしまってから浮上させてもよい。
G.解体工程
【0064】
最後に、水上に浮上した締切用止水壁体1を、分割壁体1Lと1Rに分割して、その各々をクレーン等により水上又は陸上に引き上げ、これらの分割壁体1L,1Rをさらに個々の止水壁セグメント18、止水壁架台11、浮力タンク15等に分解して撤去する。なお、浮上工程Fにおいて、水中で予め締切用止水壁体1を分割壁体1L,1Rに分割した場合には、水上で締切用止水壁体1を分割壁体1Lと1Rに分割する必要がない。
【0065】
以上のように構成された締切用止水壁体1及びこれを用いた締切工法によれば、締切用止水壁体1を構成する分割体である止水壁架台11、止水壁セグメント18、浮力タンク15等を、小型・軽量に形成できるため、これらの部材の製作や、陸上又は水上における運搬等が非常に容易になると同時に、橋脚等の空頭が少ない場合や、水深が浅い場合でも、止水壁セグメント18や、これを仮組みした分割壁体1L,1R等を水上に浮上させた状態で沈設位置まで容易に運搬することができ、これにより、簡易な工程と、簡易なクレーンその他の荷役機械で締切用止水壁体1を構築することができ、その工期も目覚しく短縮することができる。
【0066】
しかも、締切用止水壁体1を構成する各部材は、分解して何度も再使用することができるため、材料の無駄が無くて経済的であり、その組立にバイブロハンマー等の振動機械を使用しないため、周辺環境に悪影響を及ぼすこともない。その上、締切用止水壁体1はフーチング4の上面4aの範囲内に構築されるため、締切用止水壁体1の占有面積が必要以上に広範囲になることがなく、河積の阻害を最小限にすることができる。
【0067】
さらに、締切用止水壁体1の底面(止水壁架台11の下面11b)とフーチング上面4aとの間は、この二面間の間隔を所定間隔に保つ難変形性の支持部材12と、この支持部材12よりも厚くて弾性があるシール部材13とを並設し、上記二面間を近接する方向に加圧することにより、シール部材13を圧縮させて止水する構造としたため、簡素な構造により、フーチング上面4aが不均一な面であっても高い止水性を確保することができる。また、上記二面間の距離が支持部材12の厚みよりも小さくならないため、シール部材13が過度に加圧されて、破断、破損等する虞がなく、シール部材13を繰り返し使用することができる。
【0068】
一方、浮力付与手段を浮力タンク15とし、その内部に外水を注水又は排水することにより、止水壁セグメント18の浮力を調整するように構成したため、非常に簡素な構造により、止水壁セグメント18又は分割壁体1L,1Rを水中に沈降及び浮上可能にして、その水上における運搬及び設置・解体・撤去を容易にすることができる。
【0069】
また、止水壁セグメント18又は分割壁体1L,1Rの水平方向に亘って複数の浮力タンク15が設けられるため、各浮力タンク15への注水量を適宜調整することにより、止水壁セグメント18又は分割壁体1L,1Rを常に水平な、安定した姿勢で水中に沈降又は浮上させることができ、締切用止水壁体1の沈設工程を簡易化することができる。
【0070】
また、縦割りに分割及び連結自在な複数の分割壁体1L,1Rを構成し、これら各々の分割壁体1L,1Rに、それぞれ浮力タンク15が設けられた止水壁セグメント18を含ませ、これらの分割壁体1L,1R同士をヒンジ連結機構36により回動自在且つ脱着可能に連結し、平面視で締切用止水壁体1を開閉可能な環状に形成したため、水中に建造されたピア部分5のような被作業構造物の周囲を、空頭や水深に影響されることなく、簡易な工程で、しかも高い止水性を確保して締切ることができる。
【0071】
さらに、沈設工程Cでは、各浮力タンク15に外水を注水して締切用止水壁体1(分割壁体1L,1R)の浮力を低下させる一方、浮上工程Fでは、各浮力タンク15の水を排水して締切用止水壁体1(分割壁体1L,1R)の浮力を増加させるようにしたため、締切用止水壁体1(分割壁体1L,1R)を容易に沈降、又は浮上させることができ、簡易な工程で締切用止水壁体1を構築することができる。
【0072】
なお、上記実施形態において、止水壁架台11は、所定の長さを有する複数本の角柱が連結された構成であり、各々の角柱の長さが、各止水壁セグメント18の横幅と同じ寸法に設定されているが、例えば止水壁架台11を連続した角柱状に形成してもよい。この場合は、止水壁架台11と止水壁本体14(止水壁セグメント18)の下縁部との間を着脱可能にした方がよい。
【0073】
このように、止水壁架台11を連続させて長く形成することにより、止水壁架台11をフーチング上面4aに載置した時点で、止水壁架台11の上面11aの平坦性を完全に出すことができ、その上に載置される止水壁本体14の建造を非常に容易にすることができる。
【符号の説明】
【0074】
1 締切用止水壁体
1L,1R 分割壁体
2 被作業構造物としての橋脚
4 台座としてのフーチング
4a フーチングの上面
5 ピア部分
11 止水壁架台
11a止水壁架台の上面
11b 止水壁架台の下面
12 支持部材
13 シール部材
14 止水壁本体
15 浮力付与手段である浮力タンク
18 止水壁セグメント
21 注排水手段である給排気管
22 注排水手段である注排水管
36 ヒンジ連結機構
41 支保工
A 構築工程
C 沈設工程
D 排水工程
F 浮上工程
G 解体工程
【技術分野】
【0001】
本発明は、水面下にある台座に立設されて水面上に突出した被作業構造物の周囲に間隔を介して囲壁状に設置され、その内側の水を排水して作業場を形成することにより、前記被作業構造物に関する各種作業を可能にする締切用止水壁体及びこれを用いた締切工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地震国である我が国では、大地震時の安全確保の観点から、既存の大型構造物の耐震補強が急務とされている。例えばコンクリート製の橋脚の耐震補強方法としては、橋脚の周囲に鉄筋コンクリート又は鋼板等を外装して合成構造とする補強・補修方法が提案されている。
【0003】
この種の補強・補修・解体作業等を行う現場が水上である場合、即ち、河川や海、湖等の水面下にある台座(基礎、フーチング)に橋脚等の被作業構造物が立設されて水面上に突出している場合には、この被作業構造物の周囲に締切用止水壁体を囲壁状に形成し、この締切用止水壁体の内周側の水を排水(ドライアップ)して、被作業構造物の周囲に乾燥した作業場を形成し、補強・補修作業を行う。
【0004】
締切用止水壁体の形成例としては、被作業構造物の周囲に多数のシートパイルを打ち込んで取り囲むものが考えられる。しかし、シートパイルと台座との間の地盤に改良を施す必要があってコストが増大し、橋脚のように、シートパイルを建て込むための空頭が極端に少ない場合には適用し難い。また、シートパイルの継足し施工が多い場合にはシートパイルの再使用が困難であり、不経済となる。さらに、シートパイルの建て込みにバイブロハンマー等の振動機械を使用する場合には、周辺環境に振動等の悪影響を及ぼす虞がある。
【0005】
その上、シートパイルを水底に打ち込む必要があるため、橋脚のように台座(基礎、フーチング)の上面が比較的広い面積を有している場合には、台座全体を取り囲むように広範囲に締切用止水壁体を形成しなければならず、これによりシートパイルを打ち込む本数や打ち込む範囲が増えて工数及び工期、締切のために占有する面積が増大し、上述した漏水や変形、河積を阻害する範囲の増大も顕著になるという問題があった。
【0006】
そこで、特許文献1に開示されているように、複数に縦割りした浮力調整可能な分割函体の一方側をヒンジで開閉自在に連結したものを開閉操作して橋脚等の被作業構造物に外装して沈降し、この分割函体の下端部を台座上面に弾接させ、この部分に止水グラウトを充填して止水するようにした締切用ケーソンがある。
【0007】
また、特許文献2に開示されているように、被作業構造物の鉛直方向および周方向に沿って分断され、円弧状に屈曲した同一構成の複数のプレキャストパネルを、被作業構造物に円筒状に外装して沈降させ、このプレキャストパネルの下端と台座上面との間に止水モルタルを充填して止水するようにした仮締切構造体がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第2829362号公報
【特許文献2】特開平11-117315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1の締切用ケーソン及び特許文献2の仮締切構造体にあっても、複数の分割函体やプレキャストパネルといった分割体の接合部、下端部、ヒンジ部の止水性が確立されていない。さらに、被作業構造物の、例えば橋脚の桁下の空頭や周囲の水深が充分に確保されていない場合には、水上における運搬・設置・撤去も困難で採用が難しい。
【0010】
また、特許文献1の締切用ケーソンは、沈設時の注排水によるコントロールの方法が確立されていない。さらに、締切用ケーソンは重量物となり、製作・運搬・設置・撤去もコスト高で採用が難しい。一方、特許文献2の仮締切構造体は、着座部の設置工程が煩雑な上に、着座部を固定するコンクリートが水中に漏出して水質を汚濁する。さらに、特許文献1の場合と同様に、鋼製パネルが重量物となり、製作・運搬・設置・撤去もコスト高で採用が難しい。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、水中に建造された被作業構造物の周囲を、空頭や水深に影響されることなく、簡易な工程と高い止水性とを確保して締め切ることができる締切用止水壁体及びこれを用いた締切工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、水面下にある台座に立設されて水面上に突出した被作業構造物の周囲に間隔を介して囲壁状に設置され、その内側と前記被作業構造物との間の水を排水して作業場を形成することにより、前記被作業構造物に関する各種作業を可能にする締切用止水壁体において、前記台座の上面に枠形状に設置される止水壁架台と、前記止水壁架台の下面に、その枠形状の長手方向に沿って延設され、前記台座の上面に当接して締切用止水壁体の重量を支持する難変形性の支持部材と、前記支持部材に平行して前記止水壁架台の下面に延設されるシール部材と、複数の止水壁セグメントが着脱可能且つ水密的に連結されて構成され、前記止水壁架台の上面に水密的に立設される止水壁本体と、前記複数の止水壁セグメントの少なくとも一部に着脱自在に設けられ、前記止水壁本体を浮沈自在にする浮力付与手段とを備えてなる締切用止水壁体としたことを特徴とする。
【0013】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記浮力付与手段はタンク状であり、その内部に水を注水及び排水できる注排水手段を有する締切用止水壁体としたことを特徴とする。
【0014】
請求項3に係る発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の構成に加え、少なくとも前記止水壁本体を備えて、縦割りに分割及び連結自在な複数の分割壁体を構成し、これら各々の分割壁体に、それぞれ前記浮力付与手段が設けられた前記止水壁セグメントを含ませ、これらの分割壁体同士をヒンジ連結機構により回動自在且つ脱着可能に連結し、平面視で前記締切用止水壁体を開閉可能な環状に形成した締切用止水壁体としたことを特徴とする。
【0015】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の締切用止水壁体を、水面下にある台座に立設されて水面上に突出した被作業構造物の周囲に間隔を介して設置し、該締切用止水壁体の内側と前記被作業構造物との間の水を排水して作業場を形成することにより、前記被作業構造物に関する各種作業を可能にする締切工法であって、前記止水壁架台と、前記止水壁セグメントと、前記浮力付与手段とを備えて、前記被作業構造物の周囲に前記締切用止水壁体を環状に構築する構築工程と、前記浮力付与手段の浮力を低下させて、前記締切用止水壁体を水中に沈降させて前記台座の上面に水密的に着座・設置する沈設工程と、前記締切用止水壁体の内側の水を排水して作業場を形成する排水工程と、前記締切用止水壁体の解体時に、前記浮力付与手段の浮力を増大させて前記締切用止水壁体を浮上させる浮上工程と、前記締切用止水壁体を解体する解体工程とを備えてなる締切工法としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、締切用止水壁体を構成する止水壁セグメントを小型、軽量に形成できるため、締切用止水壁体の製作や、陸上及び水上における運搬が容易になると同時に、空頭や水深に影響されることなく、簡易な工程と簡易なクレーンその他の荷役機械で締切用止水壁体を構築することができる。また、簡素な構造により、高い止水性を確保しながら、止水壁セグメントを水中に沈降及び浮上可能にして、水上における止水壁セグメントの運搬及び設置・解体・撤去を容易に行うことができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、浮力付与手段の構成を簡素にして締切用止水壁体の製作を容易にすると共に、水平方向に並ぶ複数のタンク状の浮力付与手段への注水量を適宜調整することにより、水上及び水中における締切用止水壁体の姿勢を水平に保つことができ、これにより、台座上面への設置工程を簡易にすることができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、水上に浮上可能な複数の分割壁体を互いに連結して、被作業構造物の周囲に締切用止水壁体を環状に構築してから、この締切用止水壁体を水中に沈降させて台座上面に着座、設置するため、被作業構造物の周囲の空頭や水深等に影響されることなく、簡易な工程で締切用止水壁体を構築することができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、請求項1と同様な作用・効果を奏する締切工法とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態に係る締切用止水壁体の正面図である。
【図2】同実施の形態に係る図1のII-II矢視による締切用止水壁体の平面図である。
【図3】同実施の形態に係る図2のIII-III線に沿う締切用止水壁体の縦断面図である。
【図4】同実施の形態に係る図3のIV部拡大図であり、(A)は台座の上面から支持部材が浮き上がった状態を示す縦断面図であり、(B)は台座の上面に支持部材が当接した状態を示す縦断面図である。
【図5】同実施の形態に係る図2のV部拡大図である。
【図6】同実施の形態に係る図5のVI-VI線に沿う縦断面図である。
【図7】同実施の形態に係る図1のVII部拡大図である。
【図8】同実施の形態に係る図7のVIII-VIII線に沿う横断面図である。
【図9】進水工程を示す正面図である。
【図10】進水工程を示す平面図である。
【図11】沈設工程を示す正面図である。
【図12】進水・沈設工程の別な例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施の形態に係る締切用止水壁体1の正面図であり、図2は同じく図1のII-II矢視による締切用止水壁体1の平面図であり、図3は同じく図2のIII-III線に沿う締切用止水壁体1の縦断面図であり、図4(A),(B)は同じく図3のIV部拡大図である。なお、本実施形態では締切用止水壁体1の平面形状が矩形を呈す場合について説明する。
【0023】
締切用止水壁体1を用いて補強・補修作業がなされる被作業構造物としての橋脚2は、例えば鉄筋コンクリート構造であり、水面下の地盤中に埋設された複数の基礎杭3と、この基礎杭3の上に形成されて水面下に位置する台座としてのフーチング4と、フーチング4の上面4aに立設されて水面上に突出する、円柱、楕円柱、角柱状のピア部分5と、このピア部分5の上端に形成された張出し梁6とを備え、張出し梁6の上面には主桁7を介して道路や鉄道等の床部分となる橋脚上部工8が載置された一般的な構造のものである。
【0024】
締切用止水壁体1は、フーチング上面4aに設置されてピア部分5の周囲に間隔を介して囲壁状に形成され、その内側の水を排水して乾燥した作業場を形成することにより、ピア部分5の耐震補強作業や塗装作業といった各種作業を容易に実施可能にするものである。
【0025】
締切用止水壁体1は、ピア部分5の周囲を囲むように、フーチング上面4aに枠形状に設置される止水壁架台11と、この止水壁架台11の下面に設けられた支持部材12及びシール部材13と、止水壁架台11の上面に立設される止水壁本体14と、この止水壁本体14を水中に沈降又は浮上可能に浮力調整する浮力付与手段としての浮力タンク15を備えて構成されている。
【0026】
図2及び図4(A),(B)に示すように、止水壁架台11は、剛性を有し所定の長さを有する中実状、ないしは中空状の例えば角柱体を接続して、平面視で矩形の枠状に連続させた形状であり、その上面11aと下面11bとが平坦且つ平行である。止水壁架台11の幅寸法W1は、後述する止水壁本体14の厚みW2寸法よりも大きく設定されている。
【0027】
一方、支持部材12は、例えば鋼材やステンレス材等の材料によって角棒状に形成された難変形性の部材であり、その幅寸法W3が止水壁架台11の幅寸法W1よりも小さく、止水壁架台11の枠形状の長手方向に沿って下面11bの最も外側寄りの部分に例えば1本延設され、その上面が止水壁架台11の下面11bに固着されている。この支持部材12は、フーチング上面4aに当接して締切用止水壁体1の全体重量を支持すると共に、フーチング上面4aと、止水壁架台11の下面との間隔を所定間隔に保つ部材である。支持部材12の高さ寸法t1は例えば50mmである。
【0028】
他方、シール部材13は、例えばゴムや軟質樹脂等の材料によって角棒状に形成された弾性のある部材であり、支持部材12の内側に平行して止水壁架台11の下面11bに延設され、その上面が止水壁架台11の下面11bに固着されている。シール部材13の高さ寸法t2は例えば100mmであり、t1<t2に設定されている。
【0029】
支持部材12とシール部材13の幅寸法や高さ寸法は、フーチング上面4aと止水壁架台11の下面との間を確実に止水できる寸法に設定され、締切用止水壁体1全体の重量に耐え得るように設計されている。なお、支持部材12を止水壁架台11に一体的に形成してもよい。
【0030】
止水壁本体14は、図1〜図3に示すように、例えば矩形の、複数の止水壁セグメント18が縦横に連結されて壁面状に構成されたものである。止水壁セグメント18は、例えば鋼板と型鋼とが組み合わされて構成されている。止水壁セグメント18は、中実状であっても、中空状であっても良いが、水上に浮上させ得る程度の重さに設定しなければならない。他に、波板状、ハニカム状、格子状等、多種の断面形状が考えられる。止水壁セグメント18の幅寸法及び高さ寸法は、条件にもよるが、例えば1000mmから1500mm程度が好適である。
【0031】
止水壁本体14を構成する上下左右の各止水壁セグメント18の間は、着脱可能に、且つ、図示しないシール部材を介して水密的に連結される。また、止水壁本体14の下縁部は、止水壁架台11の上面11aに、同じく図示しないシール部材を介して、ボルト、ナット等の締結手段により着脱可能に連結される。もしくは、止水壁本体14の下縁部と止水壁架台11の上面11aとの間を溶接等の接合手段により固定することも考えられる。
【0032】
前述したように、止水壁架台11の幅寸法W1は、止水壁本体14の厚みW2よりも大きく設定されており、これによって止水壁架台11の下面11bにおける支持部材12とシール部材13の寸法設定性及び設置レイアウト性が良好である。しかし、止水壁架台11の幅寸法W1が止水壁本体14を支えるのに十分な幅がある場合や、施工条件等により、止水壁本体14の厚みW2より小さくする場合もある。
【0033】
一方、浮力付与手段である浮力タンク15は、止水壁セグメント18単体及び止水壁本体14全体を水中において浮沈自在にするものであって、例えば鋼板と型鋼とが組み合わされた直方体形状の付属部品として形成されており、内部に貯水空間15aが画成され、複数の止水壁セグメント18の側面の少なくとも一部に一体、もしくは着脱可能に設けられている。
【0034】
浮力タンク15の貯水空間15aに水が注水されていない時には、浮力タンク15が設置された止水壁セグメント18又は止水壁本体14は水上に浮上可能な浮力を有し、貯水空間15aに水が注水されると、止水壁セグメント18又は止水壁本体14は水面下に沈降する。この浮力の大きさは、後述する注排水手段によって貯水空間15aへの注水量を変化させることにより自在に調整することができる。
【0035】
なお、各浮力タンク15は、必ずしも直方体形状でなくてもよく、また、必ずしも全て同じ形状、大きさでなくてもよい。さらに、本実施形態のように、複数の浮力タンク15を各々の止水壁セグメント18に独立的に設けてもよいが、複数の各止水壁セグメント18に跨って連続的に延びる形状に浮力タンク15を形成してもよい。なお、浮力タンク15を樹脂材料等によって形成してもよい。
【0036】
図3に示すように、浮力タンク15には、その内部の貯水空間15aに水を注水及び排水できる注排水手段としての、給排気管21と注排水管22とが配設されている。
【0037】
給排気管21は、その下端部が浮力タンク15の天板を貫通して貯水空間15aの最上部に接続され、その上流端にバルブ23を介して図示しない空気供給手段としてのエアーコンプレッサーが接続される。
【0038】
注排水管22は、その下端部が浮力タンク15の下部側面を貫通して貯水空間15aの最下部に接続され、その上流端にバルブ24を介して図示しない水供給手段としてのポンプが接続される。
【0039】
バルブ23とバルブ24を開弁させ、エアーコンプレッサーを作動させると、外気が給排気管21から各浮力タンク15に給気され、これに伴い各浮力タンク15内の水が注排水管22から外部に排水されて浮力が増大する。また、エアーコンプレッサーを停止させてポンプを作動させると、海水、河水等の外水が注排水管22から各浮力タンク15に注水され、これに伴い各浮力タンク15内の空気が給排気管21から外部に排気されて浮力が減少する。このように、浮力タンク15への注水量をコントロールすることにより、浮力タンク15が設けられた止水壁セグメント18(止水壁本体14)の浮力を自在に調整することができる。所定の浮力が得られたら、バルブ23とバルブ24を閉じて浮力を維持する。又、浮力タンク15からの排水手段として、エアーコンプレッサーに代わり、直接浮力タンク15の中に水中ポンプ等を備えて排水するようにしてもよい。
【0040】
給排気管21と注排水管22とは、全ての浮力タンク15にそれぞれ設けてもよいが、何個かの浮力タンク15を連結パイプで連結して幾つかのグループを作り、これら各グループにそれぞれ給排気管21と注排水管22を設けるようにしてもよい。さらに、複数の浮力タンク15が上下方向及び左右方向に配列される場合には、横方向に隣接する浮力タンク15同士を直接的に接続せずに、縦方向に隣接する浮力タンク15同士を連結パイプで接続して複数の縦貯水系統を構成し、これら複数の縦貯水系統の最上部に位置する浮力タンク15の上部にそれぞれ給排気管21を接続し、最下部に位置する浮力タンク15の下部に注排水管22を接続してもよい。
【0041】
上記のように、横方向に隣接する浮力タンク15同士を連結せず、縦方向に隣接する浮力タンク15同士を連結して複数の縦貯水系統を構成し、これら複数の縦貯水系統に図示しない分配器で定量的に注水又は排水させることにより、締切用止水壁体1を水中に沈降させる時や、水上に浮上させる時に、各位置にある縦貯水系統の注水量を適宜調整して、水中における締切用止水壁体1の傾斜を防止し、常に水平に近い安定した姿勢で締切用止水壁体1を沈降、又は浮上させることができる。
【0042】
以上のように構成された締切用止水壁体1がフーチング上面4a上に設置されると、図4(B)に示すように、止水壁架台11の下面11bが支持部材12とシール部材13とを介してフーチング上面4a上に当接する。止水壁本体14を形成する止水壁セグメント18は、フーチング上面4aの水深に応じて1段〜数段が積み重ねられ、上段の止水壁セグメント18が水面から十分に突出する高さまで止水壁本体14が構築される。
【0043】
各浮力タンク15に注水して加重し、締切用止水壁体1の止水壁架台11の下面11bをフーチング上面4aに着座させることにより、締切用止水壁体1の重量でフーチング上面4aと止水壁架台11の下面11bとが互いに近接する方向に加圧され、シール部材13が圧縮されて二面4a,11b間が水密的に止水される。この止水される二面4a,11b間の距離は支持部材12の厚みt1未満にならないため、シール部材13への過度な加圧が阻止され、シール部材13の耐久性低下や破断等が防止される。
【0044】
フーチング4は、一般に鉄筋コンクリート製であり、その上面4aは、コンクリート打設時における元々の表面の粗さに加えて、海や河川の水流による侵食や巨礫等の衝突等により相応の凹凸があるが、支持部材12の厚みt1とシール部材13の厚みt2との差を大きくしたり、シール部材13の硬度、形状、又は弾性を変化させることにより、この凹凸にシール部材13を密着させて効果的にシールすることができる。なお、シール部材13を挟んで支持部材12を2本設けてもよいし、シール部材13を複数本設けてもよい。
【0045】
なお、フーチング上面4aの粗さが許容限度を超えていてシール部材13によるシールのみでは充分に止水できない場合には、フーチング上面4aを人工的に水中コンクリートで平坦に均す場合もある。又は、支持部材12に沿って水中モルタル、水中コンクリート、発泡ウレタン等の止水グラウトを注入し、シール部材13と止水グラウトとを協働させて止水する場合もある。
【0046】
また、図4(B)に示すように、例えばフーチング上面4aにワイヤーペグ27を埋設して締切用止水壁体1(止水壁本体14)の内側側面にワイヤーブラケット28を固設し、ワイヤーペグ27とワイヤーブラケット28との間にアンカーワイヤー29を掛け渡し、このアンカーワイヤー29に設けたターンバックル30によりアンカーワイヤー29を張って締切用止水壁体1をフーチング上面4aに固定すれば、より確実である。
【0047】
なお、図3に示すように、締切用止水壁体1の上端と橋脚2の張出し梁6との間に、例えば棒状、或いは板状の突張部材33を介装して、締切用止水壁体1に下方への押圧力を加えるようにすれば、アンカーワイヤー29による固定の必要がなくなり、フーチング上面4aにワイヤーペグ27を埋設したり、締切用止水壁体1の内側側面にワイヤーブラケット28を設置しなくてもよくなるため、構造及び作業を簡易化することができる。
【0048】
ところで、各止水壁セグメント18は、浮力タンク15の浮力によってピア部分5の周囲に浮かばせながら1個ずつ連結して繋いでいってもよいが、予め陸上等で各止水壁セグメント18を部組みして、図9、図10、図12に示すように、止水壁本体14と浮力タンク15とを含み、且つ縦割りに分割及び連結自在な複数の分割壁体1L,1Rを構成し、これらの分割壁体1L,1Rを水上に浮遊させた状態で、ピア部分5の周囲で連結して平面視で開閉可能な環状に形成し、ピア部分5の周囲を囲むように締切用止水壁体1を構築すれば、非常に手際良く締切用止水壁体1を組み立てることができる。なお、止水壁架台11や止水壁セグメント18の形状を変更すれば、締切用止水壁体1の平面視形状を円形や楕円形、多角形等、他の形状にすることもできる。
【0049】
図5及び図6に拡大して示すように、分割壁体1L,1Rの分割辺には複数のヒンジ連結機構36が設けられる。このヒンジ連結機構36は、分割壁体1L,1Rの一方に設けられた上下一対の連結金具36aと、分割壁体1L,1Rの他方に設けられた一つの連結金具36bと、これらの連結金具36a,36bを上下方向に貫通して連結金具36a,36bを連結する連結ピン36cとを備えて構成されている。
【0050】
また、ヒンジ連結機構36に隣接して、図7及び図8に拡大して示すような連結ガイド37が設けられる。この連結ガイド37は、分割壁体1L,1Rの一方に設けられた上下一対のガイド金具37aと、分割壁体1L,1Rの他方に設けられた一つのガイド金具37bとを備えて構成されている。
【0051】
ヒンジ連結機構36を連結することにより、分割壁体1L,1R同士が回動自在に連結され、且つ脱着可能となる。また、連結ガイド37が嵌合することにより、分割壁体1L,1Rの連結時における位置決めが容易になる。無論、分割壁体1L,1Rの接続部は、図示しないシール部材によって水密的にシールされる。なお、ヒンジ連結機構36及び連結ガイド37の形状は、上記形状に限定されるものではない。
【0052】
図2及び図3に示すように、ピア部分5と締切用止水壁体1(止水壁本体14)との間には数本の水平梁状の支保工41(切梁材、必要により腹起し材、火打ち梁材)が介装される。これにより、ピア部分5と、締切用止水壁体1との間隔が常時適正に保たれると共に、外部の水圧や波浪等による締切用止水壁体1の変形、破損等が防止される。
【0053】
支保工41は、そのピア部分5に接する方の端部に、ローラーやキャスター、そり等の相対可動部材が設けられる場合がある。こうすることにより、後述する沈設工程Cにおいて、締切用止水壁体1とピア部分5との相対間隔を適正に保ちながら、締切用止水壁体1を安定的に沈設することができる。
【0054】
この締切用止水壁体1を用いた締切工法は、下記の通り、構築工程Aと、進水工程Bと、沈設工程Cと、排水工程Dと、再注水工程Eと、浮上工程Fと、解体工程Gと有して施工される。以下、各工程を図9〜図12を参照しながら順に説明する。
A.構築工程
【0055】
まず、陸上において、止水壁架台11と、止水壁セグメント18とを部組みして、半環状の分割壁体1L,1Rを構築する。これらの分割壁体1L,1Rは、止水壁セグメント18が1段であっても複数段であってもよいが、各分割壁体1L,1Rには浮力タンク15が設けられた止水壁セグメント18が含まれていなければならない。浮力タンク15の数量は、各分割壁体1L,1Rを十分に浮上させ得るように設定される。
B.進水工程
【0056】
次に、図9及び図10示すように、これらの分割壁体1L,1Rを、ピア部分5の近くの水面上に進水させ、ピア部分5を挟んで対向し、且つ支保工41によってピア部分5との間に所定の間隔を保たせた状態で浮遊させつつ、ヒンジ連結機構36の部分で互いに連結して、ピア部分5の周囲に分割壁体1L,1Rを環状に形成する。この時の浮力は、浮力タンク15への注水量を変化させることにより適宜調整する。なお、この作業は、例えばピア部分5の近傍に繋留した図示しないフロート(台船)の上に載置したクレーンや、橋脚2上に設置したクレーン等により行われる。
C.沈設工程
【0057】
次に、図11に示すように、ピア部分5を取り巻く環状に形成した分割壁体1L,1Rを水中に沈降させ、フーチング上面4aに水密的に着座させる。この時には、図3に示す給排気管21と注排水管22のバルブ23,24を開き、注排水管22からポンプで外水を各浮力タンク15内部の貯水空間15aに注水し、同時に貯水空間15aの空気を給排気管21から排気させ、これによって分割壁体1L,1Rの浮力を低下させて水中に沈降させる。その沈降速度は各浮力タンク15に残す水量により任意に設定可能である。
【0058】
なお、この沈降時には、支保工41によってピア部分5と分割壁体1L,1Rとの間隔が一定に保たれるため、水流の影響で分割壁体1L,1Rがピア部分5に対して変位することを防止でき、分割壁体1L,1Rを安定的に沈降させることができる。この場合は、先述のように、支保工41の、ピア部分5に当接する部分に、例えばローラーやキャスター、そり等の相対可動部材を設ければ、ピア部分5に対する分割壁体1L,1Rの相対移動をスムーズにすることができる。
【0059】
分割壁体1L,1Rの底面(止水壁架台11の下面11b)と、フーチング上面4aとの間は、先述したように、支持部材12とシール部材13によって止水がなされると同時に、アンカーワイヤー29により固定される。なお、支保工41は、この時点で取り外してもよいが、水流等に対する締切用止水壁体1の剛性を高めたい場合には、一部の支保工41が取り残される。また、支保工41は、そのピア部分5に当接する部分のローラーやキャスター、そり等の相対可動部材を堅固な支持部材に取り替えることもある。
【0060】
締切用止水壁体1を構成する止水壁セグメント18が複数段になる場合は、前記各工程A〜Cを反復するか、又は図12に示すように、一段ではなく複数段の止水壁セグメント18からなる分割壁体1L,1Rを構築して進水させ、フーチング上面4a上に沈設する。この場合は、下段の止水壁セグメント18にのみ浮力タンク15を設置すればよいため、効率的に締切用止水壁体1を構築することができる。
D.排水工程
【0061】
次に、ポンプ等を用いて、締切用止水壁体1(分割壁体1L,1R)の内側の水を排水し、フーチング上面4aを外気に露呈させて、ピア部分5の周囲に乾燥した作業場を形成する。これにより、橋脚2のピア部分5における耐震補強作業や塗装作業、あるいはフーチング4の補修作業といった各種作業を容易に実施することができる。
E.再注水工程
【0062】
橋脚2の上記作業が完了したら、締切用止水壁体1の内側に外水を再注入して、締切用止水壁体1の内側と外側とに均一な水圧が加わるようにする。
F.浮上工程
【0063】
次に、締切用止水壁体1を撤去するが、その際には、締切用止水壁体1の下部をフーチング上面4aに固定しているアンカーワイヤー29等の固定を解いた後、前述の沈設工程Cとは逆に、各浮力タンク15内部の貯水空間15aに注水された水を排水する。即ち、図示しないエアーコンプレッサーで給排気管21から貯水空間15aに外気を給気する一方、注排水管22から貯水空間15a内部の水を排水し、所定量の排水が完了したら、給排気管21と注排水管22の各バルブ23,24を閉じる。これによって締切用止水壁体1(分割壁体1L,1R)の浮力を増加させ、水上に浮上させる。なお、締切用止水壁体1全体として浮上させずに、水中にて予め締切用止水壁体1を分割壁体1Lと1Rとに分割してしまってから浮上させてもよい。
G.解体工程
【0064】
最後に、水上に浮上した締切用止水壁体1を、分割壁体1Lと1Rに分割して、その各々をクレーン等により水上又は陸上に引き上げ、これらの分割壁体1L,1Rをさらに個々の止水壁セグメント18、止水壁架台11、浮力タンク15等に分解して撤去する。なお、浮上工程Fにおいて、水中で予め締切用止水壁体1を分割壁体1L,1Rに分割した場合には、水上で締切用止水壁体1を分割壁体1Lと1Rに分割する必要がない。
【0065】
以上のように構成された締切用止水壁体1及びこれを用いた締切工法によれば、締切用止水壁体1を構成する分割体である止水壁架台11、止水壁セグメント18、浮力タンク15等を、小型・軽量に形成できるため、これらの部材の製作や、陸上又は水上における運搬等が非常に容易になると同時に、橋脚等の空頭が少ない場合や、水深が浅い場合でも、止水壁セグメント18や、これを仮組みした分割壁体1L,1R等を水上に浮上させた状態で沈設位置まで容易に運搬することができ、これにより、簡易な工程と、簡易なクレーンその他の荷役機械で締切用止水壁体1を構築することができ、その工期も目覚しく短縮することができる。
【0066】
しかも、締切用止水壁体1を構成する各部材は、分解して何度も再使用することができるため、材料の無駄が無くて経済的であり、その組立にバイブロハンマー等の振動機械を使用しないため、周辺環境に悪影響を及ぼすこともない。その上、締切用止水壁体1はフーチング4の上面4aの範囲内に構築されるため、締切用止水壁体1の占有面積が必要以上に広範囲になることがなく、河積の阻害を最小限にすることができる。
【0067】
さらに、締切用止水壁体1の底面(止水壁架台11の下面11b)とフーチング上面4aとの間は、この二面間の間隔を所定間隔に保つ難変形性の支持部材12と、この支持部材12よりも厚くて弾性があるシール部材13とを並設し、上記二面間を近接する方向に加圧することにより、シール部材13を圧縮させて止水する構造としたため、簡素な構造により、フーチング上面4aが不均一な面であっても高い止水性を確保することができる。また、上記二面間の距離が支持部材12の厚みよりも小さくならないため、シール部材13が過度に加圧されて、破断、破損等する虞がなく、シール部材13を繰り返し使用することができる。
【0068】
一方、浮力付与手段を浮力タンク15とし、その内部に外水を注水又は排水することにより、止水壁セグメント18の浮力を調整するように構成したため、非常に簡素な構造により、止水壁セグメント18又は分割壁体1L,1Rを水中に沈降及び浮上可能にして、その水上における運搬及び設置・解体・撤去を容易にすることができる。
【0069】
また、止水壁セグメント18又は分割壁体1L,1Rの水平方向に亘って複数の浮力タンク15が設けられるため、各浮力タンク15への注水量を適宜調整することにより、止水壁セグメント18又は分割壁体1L,1Rを常に水平な、安定した姿勢で水中に沈降又は浮上させることができ、締切用止水壁体1の沈設工程を簡易化することができる。
【0070】
また、縦割りに分割及び連結自在な複数の分割壁体1L,1Rを構成し、これら各々の分割壁体1L,1Rに、それぞれ浮力タンク15が設けられた止水壁セグメント18を含ませ、これらの分割壁体1L,1R同士をヒンジ連結機構36により回動自在且つ脱着可能に連結し、平面視で締切用止水壁体1を開閉可能な環状に形成したため、水中に建造されたピア部分5のような被作業構造物の周囲を、空頭や水深に影響されることなく、簡易な工程で、しかも高い止水性を確保して締切ることができる。
【0071】
さらに、沈設工程Cでは、各浮力タンク15に外水を注水して締切用止水壁体1(分割壁体1L,1R)の浮力を低下させる一方、浮上工程Fでは、各浮力タンク15の水を排水して締切用止水壁体1(分割壁体1L,1R)の浮力を増加させるようにしたため、締切用止水壁体1(分割壁体1L,1R)を容易に沈降、又は浮上させることができ、簡易な工程で締切用止水壁体1を構築することができる。
【0072】
なお、上記実施形態において、止水壁架台11は、所定の長さを有する複数本の角柱が連結された構成であり、各々の角柱の長さが、各止水壁セグメント18の横幅と同じ寸法に設定されているが、例えば止水壁架台11を連続した角柱状に形成してもよい。この場合は、止水壁架台11と止水壁本体14(止水壁セグメント18)の下縁部との間を着脱可能にした方がよい。
【0073】
このように、止水壁架台11を連続させて長く形成することにより、止水壁架台11をフーチング上面4aに載置した時点で、止水壁架台11の上面11aの平坦性を完全に出すことができ、その上に載置される止水壁本体14の建造を非常に容易にすることができる。
【符号の説明】
【0074】
1 締切用止水壁体
1L,1R 分割壁体
2 被作業構造物としての橋脚
4 台座としてのフーチング
4a フーチングの上面
5 ピア部分
11 止水壁架台
11a止水壁架台の上面
11b 止水壁架台の下面
12 支持部材
13 シール部材
14 止水壁本体
15 浮力付与手段である浮力タンク
18 止水壁セグメント
21 注排水手段である給排気管
22 注排水手段である注排水管
36 ヒンジ連結機構
41 支保工
A 構築工程
C 沈設工程
D 排水工程
F 浮上工程
G 解体工程
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水面下にある台座に立設されて水面上に突出した被作業構造物の周囲に間隔を介して囲壁状に設置され、その内側と前記被作業構造物との間の水を排水して作業場を形成することにより、前記被作業構造物に関する各種作業を可能にする締切用止水壁体において、
前記台座の上面に枠形状に設置される止水壁架台と、
前記止水壁架台の下面に、その枠形状の長手方向に沿って延設され、前記台座の上面に当接して締切用止水壁体の重量を支持する難変形性の支持部材と、
前記支持部材に平行して前記止水壁架台の下面に延設されるシール部材と、
複数の止水壁セグメントが着脱可能且つ水密的に連結されて構成され、前記止水壁架台の上面に水密的に立設される止水壁本体と、
前記複数の止水壁セグメントの少なくとも一部に着脱自在に設けられ、前記止水壁本体を浮沈自在にする浮力付与手段と、
を備えてなることを特徴とする締切用止水壁体。
【請求項2】
前記浮力付与手段はタンク状であり、その内部に水を注水及び排水できる注排水手段を有することを特徴とする請求項1に記載の締切用止水壁体。
【請求項3】
少なくとも前記止水壁本体を備えて、縦割りに分割及び連結自在な複数の分割壁体を構成し、これら各々の分割壁体に、それぞれ前記浮力付与手段が設けられた前記止水壁セグメントを含ませ、これらの分割壁体同士をヒンジ連結機構により回動自在且つ脱着可能に連結し、平面視で前記締切用止水壁体を開閉可能な環状に形成したことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の締切用止水壁体。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の締切用止水壁体を、水面下にある台座に立設されて水面上に突出した被作業構造物の周囲に間隔を介して設置し、該締切用止水壁体の内側と前記被作業構造物との間の水を排水して作業場を形成することにより、前記被作業構造物に関する各種作業を可能にする締切工法であって、
前記止水壁架台と、前記止水壁セグメントと、前記浮力付与手段とを備えて、前記被作業構造物の周囲に前記締切用止水壁体を環状に構築する構築工程と、
前記浮力付与手段の浮力を低下させて、前記締切用止水壁体を水中に沈降させて前記台座の上面に水密的に着座・設置する沈設工程と、
前記締切用止水壁体の内側の水を排水して作業場を形成する排水工程と、
前記締切用止水壁体の解体時に、前記浮力付与手段の浮力を増大させて前記締切用止水壁体を浮上させる浮上工程と、
前記締切用止水壁体を解体する解体工程と、
を備えてなることを特徴とする締切工法。
【請求項1】
水面下にある台座に立設されて水面上に突出した被作業構造物の周囲に間隔を介して囲壁状に設置され、その内側と前記被作業構造物との間の水を排水して作業場を形成することにより、前記被作業構造物に関する各種作業を可能にする締切用止水壁体において、
前記台座の上面に枠形状に設置される止水壁架台と、
前記止水壁架台の下面に、その枠形状の長手方向に沿って延設され、前記台座の上面に当接して締切用止水壁体の重量を支持する難変形性の支持部材と、
前記支持部材に平行して前記止水壁架台の下面に延設されるシール部材と、
複数の止水壁セグメントが着脱可能且つ水密的に連結されて構成され、前記止水壁架台の上面に水密的に立設される止水壁本体と、
前記複数の止水壁セグメントの少なくとも一部に着脱自在に設けられ、前記止水壁本体を浮沈自在にする浮力付与手段と、
を備えてなることを特徴とする締切用止水壁体。
【請求項2】
前記浮力付与手段はタンク状であり、その内部に水を注水及び排水できる注排水手段を有することを特徴とする請求項1に記載の締切用止水壁体。
【請求項3】
少なくとも前記止水壁本体を備えて、縦割りに分割及び連結自在な複数の分割壁体を構成し、これら各々の分割壁体に、それぞれ前記浮力付与手段が設けられた前記止水壁セグメントを含ませ、これらの分割壁体同士をヒンジ連結機構により回動自在且つ脱着可能に連結し、平面視で前記締切用止水壁体を開閉可能な環状に形成したことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の締切用止水壁体。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の締切用止水壁体を、水面下にある台座に立設されて水面上に突出した被作業構造物の周囲に間隔を介して設置し、該締切用止水壁体の内側と前記被作業構造物との間の水を排水して作業場を形成することにより、前記被作業構造物に関する各種作業を可能にする締切工法であって、
前記止水壁架台と、前記止水壁セグメントと、前記浮力付与手段とを備えて、前記被作業構造物の周囲に前記締切用止水壁体を環状に構築する構築工程と、
前記浮力付与手段の浮力を低下させて、前記締切用止水壁体を水中に沈降させて前記台座の上面に水密的に着座・設置する沈設工程と、
前記締切用止水壁体の内側の水を排水して作業場を形成する排水工程と、
前記締切用止水壁体の解体時に、前記浮力付与手段の浮力を増大させて前記締切用止水壁体を浮上させる浮上工程と、
前記締切用止水壁体を解体する解体工程と、
を備えてなることを特徴とする締切工法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−58172(P2011−58172A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205645(P2009−205645)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000207780)大豊建設株式会社 (77)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000207780)大豊建設株式会社 (77)
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