説明

締結力集束型締結部材

【課題】締結中の変形を最小化し締結中の巻き上がりを低減できる締結具システムを提供する。
【解決手段】締結中、締結具要素を面内に維持する締結力集束型締結システム。前記締結力集束型締結システムは、伸張性領域14と末端部領域24とを含む締結力集束型締結部材12を含む。前記末端部領域は締結具要素を含み、前記伸張性領域は、締結具要素中心部28に対して位置調整された高弾性領域を含む。締結中、締結力集束型締結部材は、末端部から離れ、締結具要素中心部の方に締結力を誘導し、締結具要素の変形を最小限にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おむつ、パンツ型おむつ、トレーニングパンツなど、衛生用吸収性物品を対象としている。特に、本発明は、前記衛生用吸収性物品で用いる締結力集束型締結部材を対象としている。
【背景技術】
【0002】
乳幼児、及び失禁症状のあるその他の個人は、尿及び他の身体排出物を受容及び収容する吸収性物品(おむつなど)を着用する。吸収性物品は、排泄された物質を収容することと、これらの物質を着用者の身体から、並びに着用者の衣類及び寝具から隔離することの双方の機能を果たす。典型的なおむつ様吸収性物品では、物品は、着用者の腰部及び臀部の周辺に物品の前側半分及び後側半分を巻きつけるとともに、前側半分と後側半分とを留める1つ以上の締結具を取り付けることによって、着用者に取り付けられる。多くの締結具が知られているが、おむつなどの吸収性物品用の締結具は典型的には表面締結具である。
【0003】
表面締結具(フックループ式締結具(ベルクロ)、接着剤締結具、及び粘着剤締結具など)は、当該技術分野において一般的である。これらの締結具は、係合面を受容面と向かい合わせの関係で位置調整してから接触させて確実な連結を形成することを必要とする。
接触させるためには、係合面及び受容面が、適度に平坦であるか、又は少なくとも係合時にほぼ同じ形を有する必要がある。係合中、前記表面締結具の上に力が作用する場合が多く、係合面及び受容面の形に影響を及ぼす。この力により、係合面及び受容面が、平面ではなくなり、ゆがんでしまう傾向がある(一般に巻き上がり(curling)と呼ばれている)。巻き上がりにより、第1の表面の少なくとも一部が、係合において第2の表面とうまく接触できなくなり、使用中の締結性能が低下する可能性がある。
【0004】
締結具は典型的に、いくつかの中間材(不織布、フィルム、又はパネルを形成している延伸性ラミネートなど)を介しておむつに取り付けられる。締結具要素は典型的に、パネル縁部の内側に取り付けられて、締結を容易にする把持領域を提供する。把持領域は一般に、ユーザーが把持すると安定するが、被把持区域の外側の領域には、締結具要素を曲げるか、及び/又はゆがめるように作用する力が加わる。例えば、図1に示されている先行技術の締結部材を参照すると、ユーザーは、締結具を長さLg上で把持し、横方向に引っ張る。システム内で横張力Tが発生し、被把持領域から締結具の長手方向長さLにわたって分配される。長手方向末端縁部Tに沿った張力は、締結具の末端縁部を平面の状態から曲げるように作用する。ポワソン効果(ネッキング)により発生する長手方向Pの張力は、締結具を長手方向にゆがませるように作用する。長さが短い方が、長い場合よりもゆがみにくい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2005/110731号
【特許文献2】特開平04−102452号公報
【特許文献3】特表2000−513636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、締結中の巻き上がりを低減できる締結具システムの必要性が存在する。本発明は、締結中の変形を最小化するために、力の大半を締結具要素の長手方向中心の方に、かつ締結具要素の末端部から離れるように誘導する締結システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、使い捨て吸収性物品用の締結力集束型締結システムを提供する。前記締結システムは、長手方向軸と横断方向軸とを有する締結力集束型締結部材を含む。前記締結力集束型締結部材は、伸張性領域及び末端部領域を含む。前記伸張性領域は、近位縁と、近位縁と横断方向に対向している遠位縁と、近位縁を遠位縁に結合させる2つの連結縁とを有する。前記末端部領域は、遠位縁から横断方向に延びている。締結具要素は、末端部領域にある締結力集束型締結部材の上に配置されている。締結具要素は、長手方向長さL、横断方向幅W、横断方向軸に対して位置調整されている中心部、及び中心部から長手方向に間隔があいている2つの末端部を有する。締結力集束型締結部材の伸張性領域は、末端部領域に隣接する少なくとも(a least)一部において長手方向に変動する弾性率を有し、長手方向長さL、及び横断方向幅Wを有する少なくとも1つの高弾性領域を含む。高弾性領域の伸張性は、伸張性領域内の他の任意の区域の伸張性よりも少なくとも10%低い。高弾性領域の長手方向中心線と締結具要素の長手方向中心線との間のオフセットの長さがLの75%未満となるように、高弾性領域は、締結具要素中心部に対して位置調整される。さらに、締結具要素の2つの末端部からLの40%以下の長さでオフセットされるように、高弾性領域は締結具要素の2つの末端部から間隔をおいて配置されている。その結果、締結力が2つの末端部から離れ、締結具要素の中心部に集束する締結システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】座屈力が締結要素においてどのように発生するかを示す、先行技術の締結部材の平面図。
【図2a】本発明の締結力集束型締結部材の平面図。
【図2b】本明細書を通して言及される寸法パラメーターを特定している、本発明の締結力集束型締結部材の平面図。
【図3】締結具要素の長手方向中心線と高弾性領域の長手方向中心線との間のオフセットを示す、本発明の締結力集束型締結部材の平面図。
【図4a】長手方向高さが一定である高弾性領域を示す、本発明の締結力集束型締結部材の平面図。
【図4b】曲線状パターンを有する一定の高さの高弾性領域を示す、本発明の締結力集束型締結部材の平面図。
【図4c】横断方向に高さが変化する高弾性領域を示す、本発明の締結力集束型締結部材の平面図。
【図4d】締結具要素から直線的に増大する高弾性領域を有する、本発明の締結力集束型締結部材の平面図。
【図5a】横断方向に延び、締結具要素中心部で収束し、締結具要素から離れて分岐する、2つ以上の高弾性領域を示す、本発明の締結力集束型締結部材の平面図。
【図5b】横断方向に延び、締結具要素中心部で収束し、締結具要素から離れて分岐する、2つ以上の高弾性領域を示す、本発明の締結力集束型締結部材の平面図。
【図5c】横断方向に延び、締結具要素中心部で収束し、締結具要素から離れて分岐する、2つ以上の高弾性領域を示す、本発明の締結力集束型締結部材の平面図。
【図6a】締結具要素から離れて横断方向に長さが増大する高弾性領域を示す、本発明の締結力集束型締結部材の平面図。
【図6b】締結具要素から離れて横断方向に長さが増大する高弾性領域を示す、本発明の締結力集束型締結部材の平面図。
【図7】本発明の締結力集束型締結システムが組み込まれている使い捨ておむつの衣類側表面の平面図。
【図8】本発明の締結力集束型締結システムが組み込まれている使い捨ておむつの身体側表面の平面図。
【図9】締結力集束試験方法で用いる締結力集束型締結部材の、グリッド線を示す平面図。
【図10a】締結力集束試験方法で用いる締結力集束型締結部材の、切断線を示す平面図。
【図10b】締結力集束試験方法で用いる締結力集束型締結部材の、試験する部分を示す平面図。
【図11a】締結力集束試験方法で用いる締結力集束型締結部材のストリップの平面図。
【図11b】試験用に配置された図11aのストリップの平面図。
【図12a】締結力集束試験方法で用いる方眼状ワークシート。
【図12b】締結力集束試験方法で用いる方眼状ワークシート。
【図12c】締結力集束試験方法で用いる方眼状ワークシート。
【図13a】試験方法で参照される締結力集束型締結部材。
【図13b】試験方法で参照される締結力集束型締結部材。
【発明を実施するための形態】
【0009】
定義
本明細書で使用する時、次の用語は、次の意味を有する。
【0010】
「吸収性物品」とは、液体を吸収及び収容する装置、より具体的には、着用者の身体に当てるか又は近接して設置されて、身体から排泄される様々な排出物を吸収及び収容する装置を指す。
【0011】
以下に別段の定めがない限り、「長手方向」は物品の最大直線寸法と平行に走る方向を指し、長手方向の±45°以内の方向が含まれる。
【0012】
「横」又は「横断」方向は長手方向に対して直交している。
【0013】
「Z方向」は、長手方向と横断方向の両方向に直交している。
【0014】
「x−y平面」は、長手方向及び横断方向と合致する平面を指す。
【0015】
本明細書で使用する時、「配置されている」という用語は、ある要素(1つ又は複数)が、特定の場所若しくは位置に他の要素と共に単一構造体として、又は別の要素に結合している別個の要素として形成されている(結合され位置する)ことを意味する際に用いる。
【0016】
本明細書で使用する時、「結合されている」という用語は、ある要素を別の要素に直接取り付けることによって、その要素がその別の要素に直接取り付けられる構成、及びある要素を中間部材(1つ又は複数)に取り付けてから、その中間部材を別の要素に取り付けることによって、その要素がその別の要素に間接的に取り付けられる構成を包含する。
【0017】
「一体型」吸収性物品とは、共に合体した別個の部分から形成されて協調的統一体を形成し、別個のホルダライナーのような別個の操作部分を必要としない吸収性物品を指す。
【0018】
「透過性」及び「不透過性」という用語は、使い捨て吸収性物品の意図する用途に関連する材料の浸透性を指す。具体的には、「透過性」という用語は、強制圧力なしに液体水がその厚みを通過できるようにする孔又は開口部を有する層又は層状構造を指す。これに対し、「不透過性」という用語は一般に、0.97kPa(0.14lb/in)以下の圧力下で、流体が物品のZ方向厚さ全体に浸透しない物品及び/又は要素を指す。不透過性の物品又は要素は、3.4kPa(0.5lb/in)以下の圧力下では流体が浸透しないのが好ましい。不透過性の物品又は要素は、6.9kPa(1.0lb/in)以下の圧力下では流体が浸透しないのが、さらに好ましい。
【0019】
「取り付けらている」という用語は、互いに締結、固定、又は接合される要素及びその構成材料に適しているいずれかの方法によって、締結、接着、固着などを行うことによって、要素が連結又は一体化されていることを指す。接着剤結合、圧力接着、熱接着、機械的締結など、要素を互いに取り付けるための多数の適切な方法がよく知られている。このような取付け方法を用いて、要素を、特定の領域にわたって連続的に又は断続的に互いに取り付けてもよい。「取り付けられている」という用語には、別の要素と一体形成されている要素が含まれる。
【0020】
「波形」又は「皺」という用語は、基材又は積層構造内に発生する丘部分と谷部分を記述するために用いる。いずれの用語も、すなわち、「波形」も「皺」も、作製された丘部分又は谷部分のいずれかが実際に均一である必要はない。
【0021】
「おむつ」という用語は、本明細書で使用する時、一般に幼児及び失禁症者が腰及び脚を囲むように胴体下部周辺に着用し、並びに尿及び糞便排泄物を受容して収容するように特に適合されている吸収性物品を指す。「おむつ」という用語には、本明細書で使用する時、以下で定義されている「パンツ」も含まれる。
【0022】
「使い捨て」という用語は、本明細書では、洗濯するか、又は、別の方法で吸収性物品として復元するか再利用することを一般に意図していない(すなわち、1回の使用後に廃棄するか、好ましくはリサイクルするか、堆肥化するか、又は、環境に適合する方法で廃棄することを意図している)吸収性物品を説明する際に用いる。
【0023】
「弾性的伸張性」は、本明細書で使用する時、伸張性材料を伸張させた力を取り除いた後、ほぼ元の寸法に戻る力を有する伸張性材料の特質を指す。本明細書では、「伸張性がある」と記載されている材料又は要素は、別途規定がない限り、「弾性的伸張性」でもあり得る。
【0024】
本明細書で使用する時、「延伸」という用語は、長さ又は幅を強制的に伸ばすことを意味する。
【0025】
「ライブ延伸(live stretch)」には、弾性体を延伸させ、延伸させた弾性体を不織布に接着することが含まれる。接着後、延伸させた弾性体は解放され、それによって弾性体が収縮し、結果として「波形化」不織布が得られる。前記不織布が元の平坦な寸法の少なくとも1つに達する点近くまで、波形化部分を引っ張ると、波形化不織布は延伸することができる。弾性体は、不織布に接着される時、好ましくはその弛緩した長さの少なくとも25%、より好ましくは少なくとも100%延伸される。
【0026】
「弾性率」という用語は、応力の形の増分と歪の形の増分との比率である弾性係数を意味する。
【0027】
「パンツ」、「パンツ型おむつ」、「トレーニングパンツ」、「閉鎖型おむつ」、「事前締結済みおむつ」、及び、「プルオンおむつ」という用語は、本明細書で使用する時、幼児又は成人着用者向けに設計された腰開口部及び脚開口部を有する使い捨て衣類を指す。パンツは、着用者に装着されるまでは、閉じた腰部及び脚開口部を有するように構成されることができ、又はパンツは、着用者の着用中は、腰部が閉鎖し脚開口部が形成されるように構成されることができる。パンツは、なんらかの適切な技法によって予め形成されてもよく、この技法としては、再締結可能及び/又は再締結不可能な接合(例えば、シーム、溶着、接着剤、粘着性接合、締結具など)を用いて物品の一部を互いに取り付けることが挙げられるが、これらに限定されない。パンツは、物品の周囲に沿った任意の箇所で、予め形成(例えば、側面締結、前腰部締結、後腰部締結)されてよい。適切なパンツの例は、米国特許第5,246,433号、米国特許第5,569,234号、米国特許第6,120,487号、米国特許第6,120,489号、米国特許第4,940,464号、米国特許第5,092,861号、米国特許第5,897,545号、米国特許第5,957,908号、及び米国特許公開第2003/0233082A1号に開示されている。
【0028】
説明:
図2a及び2bに示されている締結力集束型締結システム10は、長手方向40と横断方向42の観点から記載されている。長手方向40は、締結力集束型締結システム10に加わる張力方向に対して垂直である。横断方向42は、長手方向40に対して垂直であり、締結力集束型締結システム10に加わる張力と平行である。締結力集束型締結システム10には、伸張性領域14と、伸張性領域14から横断方向に配置されている末端部領域24とを有する締結力集束型締結部材12が備わっている。伸張性領域は、近位縁16と、近位縁16と横断方向に対向している遠位縁18と、近位縁16を遠位縁18に結合させる一対の連結縁20とを有する。
【0029】
末端部領域24は伸張性であってもよいが、非伸張性であるのが好ましい。末端部領域24は、遠位縁18から横断方向に延びており、締結具要素26を含む。締結具要素26は、中心部28、及び中心部28から長手方向に間隔があいている2つの末端部30を有する。締結具要素26は、2つの表面を結合させるためのいかなる締結具も含むことができるが、フックループ式締結具(ベルクロ)、接着剤、粘着剤、さらには磁石などの表面締結具を含むのが好ましい。
【0030】
締結力集束型締結部材12の伸張性領域14は、末端部領域24に隣接する少なくとも(a least)一部において長手方向で変動する弾性率を有し、少なくとも1つの高弾性領域22を含む。高弾性領域22は、締結具要素26の中心部28に対して、2つの末端部30から離れて位置調整されている。高弾性領域22の伸張性は、伸張性領域14内の他の任意の区域の伸張性よりも少なくとも10%低くてもよい。高弾性領域22の伸張性は、伸張性領域14内の他の任意の区域の伸張性よりも少なくとも25%、又は少なくとも50%低くてもよい。あるいは、高弾性領域22の伸張性は、伸張性領域14内の少なくとも1つの他の区域の伸張性よりも少なくとも10%、少なくとも25%、又は少なくとも50%低くてもよい。
【0031】
高弾性領域22の境界線36は、伸張性領域14に沿って横断方向に延びている。境界線36は、締結具要素26の2つの末端部30から間隔をおいて配置されており、締結具要素26の末端部30に隣接する第1の領域32と第2の領域34を提供する。第1の領域32及び第2の領域34の伸張性は、高弾性領域22の伸張性の90%以上であることができる。あるいは、第1の領域32及び第2の領域34の伸張性は、高弾性領域22の伸張性の75%以上、又は50%以上であることができる。さらに、第1の領域32の伸張性は、第2の領域34の伸張性より低いか、同じか、又は高くすることができる。
【0032】
図2bに示されているように、高弾性領域22は、長手方向長さL及び横断方向幅Wを有する。締結具要素26は、長手方向長さL及び横断方向幅Wを有する。高弾性領域22の長手方向長さLは、締結具要素26の長さLの80%以下であることができる。あるいは、高弾性領域22の長手方向長さLは、Lの50%以下、又はLの25%以下であることができる。
【0033】
締結具要素26の幅Wに対する高弾性領域22の幅Wも、巻き上がりの低減に貢献する。高弾性領域22の幅Wは、Wの25%以上であることができる。あるいは、高弾性領域22の幅Wは、Wの100%以上、Wの200%以上であることができ、あるいは、伸張性領域14の全幅にわたるようにすることができる。高弾性領域22の幅Wが、締結力集束型締結部材12の近位縁16から遠位縁18の全幅にわたる実施形態(後述)では、高弾性領域22の幅Wが、横断方向及び長手方向に延びて、伸張性領域14の全幅が、締結力集束型締結システム10に結合する物品の領域に導かれる張力帯を提供してもよい。
【0034】
前述したように、締結中に締結要素26の巻き上がりを低減する目的で、締結力を締結具要素26の中心部28の方に、締結具要素26の末端部30から離れるように集束させる。図3に示されているように、これは、締結具要素26の長手方向中心線46を高弾性領域22の長手方向中心線44と位置調整することによって実現できる。高弾性領域22の長手方向中心線44と締結具要素26の長手方向中心線46との間のオフセット48の長さが最小になるように、高弾性領域22の長手方向中心線44は締結具要素26の長手方向中心線46に対して位置調整される。高弾性領域22の長手方向中心線44と締結具要素26の長手方向中心線46との間のオフセット48の長さは、締結具要素の長さLの75%未満であることができる。あるいは、オフセット48の長さは、Lの25%未満、又はLの10%未満であることができる。
【0035】
さらに、高弾性領域22の境界線36は、締結具要素26の末端部30から長さ45の距離で離されている。末端部30を境界線36から離す長さ45は、同じでも異なっていてもよい。長さ45は、Lの25%以上であることができる。あるいは、高弾性領域22の境界線36が、Lの30%以上の長さ45で末端部30から離されるように、高弾性領域22は締結具要素26の2つの末端部30から間隔をおいて配置されることができる。高弾性領域22の境界線36は、Lの40%以上の長さで末端部30から離されるのが好ましい。
【0036】
図4a〜4dに示されているように、締結力を締結具要素26の中心部28上に、かつ末端部30から離れるように集束させる多種多様な方法で、高弾性領域22を構成することができる。図4a及び4bに示した実施形態は、伸張性領域14の遠位縁18から伸張性領域14の近位縁16まで延びている一定の長手方向長さLの高弾性領域22を図示する。図4aの高弾性領域22が直線状であるのに対し、図4bの高弾性領域22は曲線状である。
【0037】
あるいは、図4c及び4dに示した実施形態の高弾性領域22は、高弾性領域22の遠位縁18から高弾性領域22の近位縁16まで延びている。これらの実施形態では、長手方向長さLは、遠位縁18から近位縁16まで変化する。図4cでは、長手方向長さLは、遠位縁18から近位縁16まで段階的に増大するように変化する。図4dでは、長手方向長さは、遠位縁18から近位縁16まで連続的に増大する。高弾性領域の長手方向長さLの変化に加え、高弾性領域22の弾性率も、遠位縁18から近位縁16まで横断方向に変化することができる。
【0038】
高弾性領域22は、以下に詳しく説明されているおむつの脚部区域又は腰部区域などの物品の領域の方に張力を誘導するように構成されることもできる。図5a〜5cに示されているように、伸張性領域14は、締結具要素26の中心部28に対して位置調整されている2つの高弾性領域22a及び22bを含むことができる。図5a及び5bは、伸張性領域14の遠位縁18から近位縁16まで延びている第1の高弾性領域22a及び第2の高弾性領域22bを含む構成を図示する。各高弾性領域22a、22bは、伸張性領域14の遠位縁18に近接している締結具要素26の中心部28に収束する末端部と、伸張性領域14の連結縁20の方に分岐する反対端部とを有する。図5cは、第1の高弾性領域22aと第2の高弾性領域22bとの間に配置されている第3の高弾性領域22cを含む構成を図示する。複数の高弾性領域を含む実施形態では、高弾性領域それぞれの弾性率は、同じでも異なっていてもよい。
【0039】
高弾性領域22は、締結要素26の中心部28に力を集束させ、同時に、伸張性領域14の近位縁16の近くの2つの連結縁20のうち1つの方に張力を誘導するように構成されることもできる。例えば、図6a及び6bに示されているように、高弾性領域22の境界線36の1つが、伸張性領域14の連結縁20の1つに近づくが、両方には近づかないように、高弾性領域22の長手方向長さLを増大させながら、高弾性領域22が遠位縁18から近位縁16まで延びることができる。これらの実施形態では、高弾性領域22は、フィット性を高める着用可能物品の領域の方に張力を誘導するように作製することができる。例えば、おむつの実施形態では、高弾性領域22は、脚部区域又は腰部区域の方に張力を誘導するように作製することができる。
【0040】
締結力集束型締結部材12の伸張性領域14は、多種多様な材料から構築されることができる。例えば、伸張性領域14は、従来の弾性材又は延伸性ラミネートを含むことができる。延伸性ラミネートは、上で定義したライブ延伸として既知の積層構造を含むことができるが、この場合、弾性要素は、基材に取り付けられている一方で、弾性要素は歪状態にあり、この歪が解放されると、ラミネートが波形やひだを形成し、弾性様特性を有するギャザー構造を見せる。
【0041】
あるいは、延伸性ラミネートは、ゼロ歪延伸性ラミネートなど、機械的に活性化された延伸性ラミネートを含んでもよい。ゼロ歪延伸性ラミネートは、第1の基材、第2の基材、及び弾性要素が含まれている積層構造を含む。第1の基材及び第2の基材は典型的には非弾性不織布であり、第1の基材と第2の基材との間に弾性要素を挟むように、向かい合う向きで弾性要素に取り付けられる。積層構造は機械的に活性化されて、延伸が可能になる。機械的活性化は、不織布内の繊維を部分的に伸ばすことによって、不織布がその表面に沿った方向に延伸されるとともに、その方向に容易に膨張できるように、不織布内で非弾性基材の不織布繊維が壊れ、及び/又は延伸されるプロセスを指す。ゼロ歪エラストマーラミネートは、米国特許第5,143,679号(ウェバー(Weber)らに発行)、米国特許第5,156,793号(ブエル(Buel)らに発行)、及び米国特許第5,167,897号(ウェバー(Weber)に発行)に記載されている。
【0042】
締結力集束型締結部材12の伸張性領域14は、弾性ストランド又は弾性フィルムを含むことができる。当該技術分野において既知のいかなる適切な弾性フィルムを用いることもできる。適切な弾性フィルムは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリオレフィン、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン、又はこれらの混合物を含んでもよい。フィルムの坪量は、約10gsm〜約100gsmの範囲であることができる。
【0043】
適切な弾性ストランドは、反発性弾性(resilient elastic)熱可塑性材料で作製することができる。弾性ストランドは、液体弾性体から作製してもよく、この液状弾性体は、ダイを通して押し出されて、ストランド弾性体の所望の直径及び/又は形を実現させる。
押し出された弾性ストランドの形は、限定されない。例えば、典型的な弾性ストランドは円形の断面の形を含むが、弾性ストランドが、三葉(trilobal)の形又は平坦な(すなわち「リボン」状の)形などの異なる形を有してもよい。適切な弾性ストランドの形としては、矩形、円形、楕円形、菱形、三角形、平行四辺形、台形、楔形又は円形若しくは楕円形の他の部分、他の多角形、あるいは他の不規則な閉じた形が挙げられる。さらに、特定の用途に適応させるために、弾性ストランドの厚さ又は直径を変更してもよい。典型的には、弾性ストランドの厚さは、約0.02mm〜約1mmの範囲であることができ、また坪量は、約20g/m〜約300g/mの範囲であることができる。
【0044】
弾性ストランドは、接着剤によって基材に取り付けられるか、基材上に押し出されるか、又は基材上に印刷されることができる。弾性ストランドを長手方向に適用するのに適した装置は、米国特許公開第2004/0238105A1号、及び2004年4月30日出願の「エラストマー不織布ラミネートを製造するための装置(Apparatus for Producing Elastomeric Nonwoven Laminates)」という表題の米国特許出願第10/836,944号に記載されている。弾性ストランドを横断方向に、長手方向から角度をなして、又は曲線状様式に適用するための装置は、2004年2月13日出願の「移動するウェブ上に横断方向に材料を設置する方法(Method of Placing Material Transversely on a Moving Web)」という表題の米国特許公開第2005−0178494A1号に記載されている。弾性ストランドを長手方向に、長手方向から角度をなして、又は曲線状様式に適用するための装置は、2004年4月29日出願の「線状運動操作性を有する押出成形アプリケータ(Extrusion Applicator Having Linear Motion Operability)」という表題の米国特許出願第10/834,539号、及び2004年4月29日出願の「回転操作性を有する押出成形アプリケータ(Extrusion Applicator Having Rotational Operability)」という表題の米国特許出願第10/834,503号に記載されている。
【0045】
弾性要素を任意の配向で印刷するための適切な装置及び方法は、2004年3月29日出願の「可変延伸性複合体とその製造方法(Variable Stretch Composites and Methods of Making the Composite)」という表題の米国特許公開第2004−0181200A1号、及び2004年3月29日出願の「可変延伸性複合体とその製造方法(Variable Stretch Composites and Methods of Making the Composite)」という表題の米国特許公開第2004−0193133A1号に記載されている。弾性ストランドの印刷に関し、個々の弾性ストランドは、一般的に約2mm未満及び典型的に約1mm未満の幅を有する線又はストランドとして構成されてよい。線状弾性ストランドは、一般的に約2mm〜約20mmの幅、及び約2:1〜約100:1の範囲のアスペクト比を有するバンドとして構成されてよい。典型的には、弾性ストランドの厚さは、約0.02mm〜約5mmの範囲であることができ、坪量は約20g/m〜約300g/mの範囲である。
【0046】
締結力集束型締結部材12の伸張性領域14を形成する第1の基材又は第2の基材は、織布材、不織布材、フィルム、織布及び/若しくは不織布材及び/若しくはフィルムの組合せ、又は織布及び/若しくは不織布材及び/若しくはフィルムを有する積層構造を含んでもよい。本発明に従って用いるのに好適な不織布材は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロン、セルロース、ポリアミド、又はこれらの材料の組合せで作製される繊維を含んでもよい。1つの材料の繊維、又は異なる材料の若しくは材料の混合物の繊維を、不織布に用いてもよい。不織布材を製造するために好適なプロセスとしては、スパンボンド、スパンボンド・メルトブロウン・スパンボンド(SMS)、スパンボンド・メルトブロウン・メルトブロウン・スパンボンド(SMMS)、カーディングなどが挙げられる。他の好適な不織布材としては、高伸長カード(HEC)不織布及び深活性化(deep activation)ポリプロピレン(DAPP)不織布が挙げられる。当該技術分野において既知のいかなるプロセスを用いて、不織布を作製してもよい。第1の不織布及び/又は第2の不織布の坪量は、例えば、約10gsm〜約40gsmの範囲であることができる。
【0047】
第1の基材、第2の基材、及び弾性要素は、当該技術分野において既知のどの取付け手段によって取り付けられてもよい。適切な取付け手段及び/又は取付け方法としては、接着剤、粘着剤、熱接着、圧力接着、機械的接着、超音波接着、共有押出成形、押出成形、及び/又は該材料を取り付ける既知のいずれかの方法の任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
伸張性領域14の高弾性領域22と他の複数区域との間の弾性率の相違は、それらの特性に影響する領域内の構造差を含むことによって、影響され得る。例えば、締結力集束型締結部材12の伸張性領域14は、それぞれが複数の歯を備えている第1の活性化ロールと第2の活性化ロールとの間で伸張性領域14を噛み合わせることによって、機械的に活性化させることができる。第1の活性化ロールの歯は、第2の活性化ロールの歯と互いに噛み合う。伸張性領域14の高弾性領域22と他の複数区域との間の弾性率の相違は、締結力集束型締結部材12の部分を異なる歪率に機械的に活性化させることによって実現できる。経験する歪率は、第1の活性化ロールと第2の活性化ロールの互いに噛み合う歯の間の係合の深さによって決まる。係合深さが小さい(例えば歯がより短い)伸張性領域14の活性化部分では、より大きい係合深さで活性化された部分と比較して、異なる機能特性が得られる。より小さい係合深さに曝された部分は、歪率がより小さくなることで弾性的伸張性が小さくなり、従って、より大きい弾性率を示す。例えば、200%まで歪を与えられた締結力集束型締結部材12の部分は、その元の長さの最大約3倍まで弾性的に伸張できる可能性がある。しかし、500%まで歪を与えられた部分は、その元の長さの最大約6倍まで弾性的に伸張できる可能性がある。
【0049】
別の実施形態では、締結力集束型締結部材12の伸張性領域14は、基材に取り付けられた複数の弾性要素を含んでよい。弾性率の相違は、複数の弾性要素の間隙を変えることによって実現できる。例えば、高弾性領域22における弾性要素それぞれの間の間隙は約2mmであることができ、一方で、伸張性領域14の他の複数区域における複数の弾性要素それぞれの間の間隙は約1mmであってよい。高弾性領域22における複数の弾性要素が、伸張性領域14の他の複数区域における弾性要素と同一の物理的及び化学的特性を有すると仮定すると、弾性率は間隙に応じて変化することができる。
【0050】
他の実施形態では、弾性率の相違は、複数の弾性要素の特性を変えることによって実現できる。例えば、高弾性領域22における複数の弾性要素は、伸張性領域14の他の複数区域における複数の弾性要素の物理的又は化学的特性と異なる物理的又は化学的特性を有することができる。例えば、高弾性領域22における複数の弾性要素は、他の複数区域における複数の弾性要素よりも大きい断面積を有してもよい。例えば、弾性要素が弾性ストランドを含む場合、高弾性領域22における複数の弾性要素の断面積は、約0.1mm〜約0.4mm以下で変化することができ、一方、伸張性領域14の他の複数区域における複数の弾性要素の断面積は、約0.03mm〜約0.1mmで変化することができる。
【0051】
他の実施形態では、弾性率の相違は、高弾性領域22の機能性に影響を及ぼす更なる弾性要素を高弾性領域22内に与えることによって実現できる。例えば、締結力集束型締結部材12の伸張性領域14は、伸張性領域14内に弾性要素を含んでもよい。高弾性領域22の弾性率を増大させるために、弾性率が他の複数区域の弾性率よりも大きくなるように更なる弾性要素を追加してもよい。
【0052】
本発明の締結力集束型締結システム10には、例えば、テープ状ひも、タブ及びスロットのような連結締結具、バックル、ボタン、スナップ、並びに/又は雌雄同体(hermaphroditic)締結要素等の締結具要素を挙げることができるが、他の既知のいかなる締結手段も、一般に容認できる。好ましくは、締結具要素としては、フックループ式締結具(ベルクロ)、接着剤、粘着剤、さらには磁石などの表面締結具が挙げられる。一部の例示的な表面締着システムが、1974年11月19日にブエル(Buell)に発行された「使い捨ておむつ用のテープ締着システム(Tape Fastening System for Disposable Diaper)」という表題の米国特許第3,848,594号、1987年5月5日にヒロツ(Hirotsu)らに発行された「吸収性物品(Absorbent Article)」という表題の米国特許第B1 4,662,875号、1989年7月11日にスクリップス(Scripps)に発行された「改善された締着装置を有する使い捨ておむつ(Disposable Diaper Having An Improved Fastening Device)」という表題の米国特許第4,846,815号、1990年1月16日にネストガード(Nestegard)に発行された「改善されたフック式ファスナー部分を有する使い捨ておむつ(Disposable Diaper With Improved Hook Fastener Portion)」という表題の米国特許第4,894,060号、1990年8月7日にバトレル(Battrell)に発行された「感圧型接着ファスナー及びその製作方法(Pressure-Sensitive Adhesive Fastener And Method of Making Same)」という表題の米国特許第4,946,527号、本明細書において先に参照された、1992年9月9日にブエル(Buell)に発行された米国特許第5,151,092号、及び1993年6月22日にブエル(Buell)に発行された米国特許第5,221,274号に開示されている。代表的な連結締結システムは、「吸収性物品締結装置(Absorbent Article Fastening Device)」という表題の同時係
属中の米国特許第6,432,098号(クライン(Kline)ら、2002年8月13日発行)に開示されている。締結システムは、米国特許第4,963,140号(ロバートソン(Robertson)ら、1990年10月16日発行)に開示されているように使い捨て構成の物品を保持する手段を提供してもよい。締結システムは、「改良された側面閉鎖を有する使い捨ておむつ(Disposable Diaper Having An Improved Side Closure)」という表題の米国特許第4,699,622号(トゥーサン(Toussant)ら、1987年10月13日発行)に開示されているように、第1及び第2の締結システムを含んでもよい。
【0053】
本発明に従って構築された締結力集束型締結システム10は、多くの着用可能物品に適応可能である。このような着用可能物品としては、おむつ、パンツ型おむつ、トレーニングパンツ、失禁用ブリーフ、失禁用下着、吸収性挿入物、おむつホルダ、ライナー、女性用衛生衣類、熱パッド、よだれかけなどの使い捨て吸収性物品が挙げられる。その他の物品としては、ボディラップ、手術用衣類、及び梱包閉鎖具(packaging closures)が挙げられる。本発明の締結力集束型締結システム10が組み込まれている着用可能物品の1つの実施形態は、おむつなどの一体型使い捨て吸収性物品である。
【0054】
図7は、第1の締結部材90と第2の締結部材92とを備えているおむつ50の平面図であり、第1の締結部材90は、締結具要素26を含む締結力集束型締結部材12を含み、第2の締結部材92は、ランディングゾーン94を含む。この実施形態では、締結具要素26とランディングゾーン94の双方が、フック又はループ式締結要素を含むことができる。おむつ50は、衣類に面する側が上を向いた平展開状で示されている。おむつ50は、第1の腰部区域86、第1の腰部区域86と向かい合う第2の腰部区域88、及び第1の腰部区域86と第2の腰部区域88との間に位置する股部区域87を有する。おむつ50の周辺部は、おむつ50の外側縁部によって画定されており、長手方向縁部70は、おむつ50の長手方向中心線100と概ね平行に延びており、また、末端縁部72は、おむつ50の横方向中心線110と概ね平行に長手方向縁部70の間を延びている。
【0055】
図8には、おむつ50が、おむつ50の着用者に向いた部分を上に向けた平展開状で示されている。図8に示されているように、構造の一部を切り取って、おむつ50の構造をより明瞭に示している。おむつ50は、液体透過性トップシート54、液体不透過性バックシート56、好ましくは少なくとも一部のトップシート54とバックシート56との間に位置する吸収性コア58、伸張性レッグカフ62、及び弾性ウエスト機構64を含む。
おむつ50のシャーシ52は、おむつ50の本体を含み、トップシート54及び/又はバックシート56、並びに少なくとも吸収性コア58の一部を含む。トップシート54、バックシート56、吸収性コア28、締結力集束型締結部材12、及び他の上記構成要素は、様々な周知の構成で組み立てることができるが、好ましいおむつの構成は、「使い捨ておむつの収縮可能な側部(Contractible Side Portions for Disposable Diaper)」という表題の米国特許第3,860,003号(ケネス・B・ブエル(Kenneth B.Buell)、1975年1月14日発行)、米国特許第5,151,092号(ブエル(Buell)、1992年9月9日発行)、米国特許第5,221,274号(ブエル(Buell)、1993年6月22日発行)、「複数ゾーン構造の弾性様フィルムウェブの伸張性ウエスト機構を有する吸収性物品(Absorbent Article With Multiple Zone Structural Elastic-Like Film Web Extensible Waist Feature)」という表題の米国特許第5,554,145号(ロー(Roe)ら、1996年9月10日発行)、「使い捨てプルオンパンツ(Disposable Pull-On Pant)」という表題の米国特許第5,569,234号(ブエル(Buell)ら、1996年10月29日発行)、「吸収性物品用サイドパネルを製造するためのゼロスクラップ方法(Zero Scrap Method For Manufacturing Side Panels For Absorbent Articles)」という表題の米国特許第5,580,411号(ニース(Nease)ら、1996年12月3日発行)、及び「多方向伸張性サイドパネルを有する吸収性物品(Absorbent Article With Multi-Directional Extensible Side Panels)」という表題の米国特許第6,004,306号(ローブルズ(Robles)ら、1999年12月21日発行)に概ね記載されている。
【0056】
締結力集束型締結部材12は、様々な異なる大きさ及び形を有することができるが、この実施形態では、締結力集束型締結部材12は台形であるのが好ましい。締結力集束型締結部材12の伸張性領域14は、弾性又は伸張性にして、最初におむつ50を着用者に合わせてぴったりフィットさせ、着用時間中そのフィット性を維持させることによって、より心地よく且つ体型に沿ったフィット性を提供することができる。そのようなものとして、締結力集束型締結部材12は、おむつ50の側部を膨張及び収縮させることにより、おむつ50が排出物で満たされた時を優に超えても、持続的なフィット性をもたらすように作製することができる。適用中、1つの締結力集束型締結部材12が別の締結部材よりも引っ張られても、着用中におむつ50が「自己調節」を行うため、締結力集束型締結部材12は、おむつ50のより効果的な適用をもたらすように作製することもできる。
【0057】
締結力集束型締結部材12は、シャーシ52に取り付けられている別の要素を含んでよく、又は締結力集束型締結部材12は、バックシート56若しくはトップシート54、好ましくはトップシート54とバックシート56の双方など、おむつの他の要素の延長部分として構築されることができる。図7に示されている実施形態では、締結力集束型締結部材12はそれぞれ、第2の腰部区域38内のシャーシ52に結合されている別個のウェブを含み、長手方向縁部70を超えて横方向外側に広がっている。締結力集束型締結部材12は、近位縁16、遠位縁18、及び2つの連結縁20を有する伸張性領域14を含む。
第1の連結縁20は、おむつ50の末端縁部72に隣接して位置し、第2の連結縁20は、第1の末端縁部72から離れて横方向中心線110に向かって位置する。近位縁16は長手方向縁部70に取り付けられており、遠位縁18は長手方向縁部70から横方向外側に位置する。近位縁16は長手方向縁部70に接触してもよく、好ましくは、近位縁16は長手方向縁部70の横方向内側に位置する。締結力集束型締結部材12は、伸張性領域14の遠位縁18から延びる末端部領域24を含む。末端部領域24は弾性でも非弾性でもよい。締結具要素26は、末端部領域24に取り付けられている。
【0058】
図7及び図8に示されているおむつ50は、第2の腰部区域88内に配置される締結力集束型締結部材12を有するが、第1の腰部区域86内、又は第1の腰部区域86と第2の腰部区域88との双方に配置される締結力集束型締結部材12を備えていてもよい。締結力集束型締結部材12は、いかなる適切な構成で構築されてもよい。伸張性領域を有するサイドパネルが備わっているおむつの例は、「ひだ付けされた耳を有する使い捨ておむつ(Disposable Diaper Having Shirred Ears)」という表題の米国特許第4,857,067号(ウッド(Wood)ら、1989年8月15日発行)、米国特許第4,381,781号(シアラファ(Sciaraffa)ら、1983年5月3日発行)、米国特許第4,938,753号(バンゴンペル(Van Gompel)ら、1990年7月3日発行)、本明細書において先に参照された米国特許第5,151,092号(ブエル(Buell)、1992年9月9日発行)、米国特許第5,221,274号(ブエル(Buell)、1993年6月22日発行)、「維持された動的適合をもたらす吸収性物品(Absorbent Articles Providing Sustained Dynamic Fit)」という表題の米国特許第5,669,897号(ラボン(LaVon)ら、1997年9月23日発行)、及び「多方向伸張性サイドパネルを有する吸収性物品(Absorbent Article With Multi-Directional Extensible Side Panels)」という表題の米国特許第6,004,306号(ローブルス(Robles)ら、1999年12月21日発行)に開示されている。
【0059】
おむつ50は、フィット性及び収容性の改善をもたらす助けとなる少なくとも1つの弾性ウエスト機構64を含んでもよい。弾性ウエスト機構64は、一般に、弾性的に膨張及び収縮して、着用者の腰部に動的にフィットすることを意図している。弾性ウエスト機構64は、好ましくは、吸収性コア58の少なくとも1つの腰部縁部76から少なくとも長手方向外側に延び、通常、おむつ50の末端縁部72の少なくとも一部を形成する。使い捨ておむつは、2つの弾性ウエスト機構(1つは第1の腰部領域86に位置し、1つは第2の腰部領域88に位置する)を有するように構築される場合が多い。さらに、弾性ウエスト機構64又はその構成要素のいずれかが、おむつ50に取り付けられている1つ以上の別個の要素を含んでよく、弾性ウエスト機構64は、バックシート56、トップシート54、又はバックシート56とトップシート54の双方など、おむつ50の他の要素の延長部分として構築されてよい。
【0060】
第2の腰部区域88内の弾性ウエスト機構64は、最初におむつを着用者に合わせてぴったりフィットさせることによって、また、伸張性ウエスト機構、特におむつの後側部分が、おむつを膨張及び好ましくは収縮させるので、おむつが排出物で満たされた時を優に超えた着用時間を通してそのフィット性を維持させることによって、より心地よく且つ体型に沿ったフィット性を提供する伸張性部材を提供する。さらに、第2の腰部区域88内の弾性ウエスト機構64は、着用力(張力)を発生及び維持させるが、この力は、閉鎖システムが発生及び維持させた張力を増強して、おむつを着用者に保持し、かつ着用者の腰部あたりのおむつ50のフィット性を向上させる。第2の腰部区域88内の弾性ウエスト機構64は、たとえ介護人が、適用中に弾性ウエスト機構の一方をもう片方よりも引っ張った場合(非対照的に)でも、着用中におむつが「自己調節」を行うため、おむつ50のより効果的な適用をさらにもたらす。
【0061】
弾性ウエスト機構64は、バックシート56の外側の衣類側表面、トップシート54の身体側表面、又はその双方に取り付けることができる。さらに、弾性ウエスト機構64は、トップシート54とバックシート56との間に取り付けられてもよい、すなわちおむつ50の末端縁部72の周りで包み込まれてトップシート54の身体側表面とバックシート56の衣類側表面の双方に取り付けられてもよい。
【0062】
弾性ウエスト機構64は、多種多様な構成で構築されることができる。例えば、弾性ウエスト機構64は、不織布の幅寸法全体、又は幅の一部のみを覆う、エラストマー材が取り付けられた単層の不織布から成る積層構造を含んでもよい。エラストマー材としては、不織布上又は不織布に糊づけされたフィルム上に押し出されたエラストマーを挙げることができる。あるいは、弾性ウエスト機構64は、2層の不織布を含む積層構造を含んでもよく、エラストマーストランドが、ラミネートの幅全体、又は幅の一部のみを覆ってその間に配置される。さらに、弾性ウエスト機構64は、米国特許第4,515,595号(キービット(Kievit)ら、1985年5月7日発行)、米国特許第4,710,189号(ラッシュ(Lash)、1987年12月1日発行)、米国特許第5,151,092号(ブエル(Buell)、1992年9月9日発行)、及び米国特許第5,221,274号(ブエル(Buell)、1993年6月22日発行)に従って構築されてもよい。その他の好適な腰部構成としては、米国特許第5,026,364号(ロバートソン(Robertson)、1991年6月25日発行)、及び米国特許第4,816,025号(フォアマン(Foreman)、1989年3月28日発行)に記載されているもののようなウエストキャップ機構を挙げることができる。
【0063】
おむつ50はまた、液体や他の排泄物の収容力の向上をもたらすための伸張性レッグカフ62を含むこともできる。各伸張性レッグカフ62は、脚部区域で排泄物の漏れを低減させるための複数の異なる実施形態を含んでもよい。(レッグカフは、レッグバンド、レッグフラップ、バリアカフ、又は伸縮性カフであることができ、場合によってそのようにも称される。)伸張性レッグカフ62は、バックシートの外側の衣類側表面、トップシートの身体側表面、又はその双方に取り付けられることができる。さらに、伸張性レッグカフ62は、トップシートとバックシートとの間に取り付けられてもよい、すなわちおむつ50の長手方向縁部70の周りで包み込まれてトップシート54の身体側表面とバックシート56の衣類側表面の双方に取り付けられてもよい。
【0064】
弾性ウエスト機構64と同様に、伸張性レッグカフ62は、多種多様な構成で構築されてよい。例えば、伸張性レッグカフ62は、不織布の幅寸法全体、又は幅の一部のみを覆う、エラストマー材が取り付けられた単層の不織布から成る積層構造を含んでもよい。エラストマー材としては、不織布又はフィルムに積層された予め歪が与えられた押出弾性ストランドを含む押出弾性ストランドラミネートを挙げることができ、その不織布又はフィルムは、続いておむつ50の長手方向縁部70に沿ってバックシートの衣類側表面に糊づけされ、弛緩させてギャザー構造又は波形化構造を形成する。あるいは、伸張性レッグカフ62は、2層の不織布を含む積層構造を含んでよく、予め歪が与えられた押出弾性ストランドが、ラミネートの幅全体、又は幅の一部のみを覆って2層の不織布間に積層される。積層構造は続いて、ラミネートから張力が除去されてそれを弛緩させるとギャザー構造又は波形化構造が形成されるように、予め歪が与えられた状態にあるときにおむつ50の長手方向縁部70に沿ってバックシートの衣類側表面に糊づけされることができる。さらに、伸張性レッグカフ62は、折り重なったバックシート又はトップシートの一部の間で、予め歪が与えられた状態で接着された、予め歪が与えられた弾性ストランド(単数又は複数)を含んでもよい。
【0065】
さらに、伸張性レッグカフ62は、以下に記載されている1つ以上の特許に従って構築されてもよい。「使い捨ておむつの収縮可能な側部(Contractable Side Portions For a Disposable Diaper)」という表題の米国特許第3,860,003号(ブエル(Buell)、1975年1月14日発行)には、伸縮性を持たせたレッグカフ(ガスケッティングカフ)を提供するための、レッグフラップと1つ以上の伸縮部材とを有する収縮性のある脚開口部を提供する使い捨ておむつが記載されている。「伸縮性フラップを有する使い捨て吸収性物品(Disposable Absorbent Article Having Elasticized Flaps)」という表題の米国特許第4,909,803号(アジズ(Aziz)及びブレイニー(Blaney)、1990年3月20日発行)には、脚部区域の収容性を向上させるために、「立ち上がった」伸縮性フラップ(バリアカフ)を有する使い捨ておむつが記載されている。「二重カフを有する吸収性物品(Absorbent Article Having Dual Cuffs)」という表題の米国特許第4,695,278号(ローソン(Lawson)、1987年9月22日発行)には、ガスケッティングカフ及びバリアカフを含む、二重カフを有する使い捨ておむつが記載されている。「使い捨て排泄物収容衣類(Disposable Waste Containment Garment)」という表題の米国特許第4,704,115号(ブエル(Buell)、1987年11月3日発行)には、捉われていない液体を衣類の中に収容するように構成されている側縁漏れガード溝を有する使い捨ておむつ又は失禁用衣類が開示されている。「改良型レッグカフを有する使い捨て吸収性物品(Disposable Absorbent Article Having Improved Leg Cuffs)」という表題の米国特許第5,032,120号(フリーランド(Freeland)及びアレン(Allen)、1991年7月16日発行)には、例えば、接触力の差が小さい材料により達成される伸長率が比較的高い状態において、比較的低い最終接触力を持つレッグカフを有する吸収性物品が開示されている。「屈曲したバリアカフを有する吸収性物品(Absorbent Article Having Inflected Barrier Cuffs)」という表題の米国特許第5,087,255号(シムズ(Sims)、1992年2月11日発行)には、腰部/臀部あたりによりよいフィット性を提供するために、遠位縁が、一方の腰部区域内では近位縁の外側、及び他方では内側に位置する、屈曲したバリアカフを有する吸収性物品が開示されている。
【0066】
締結力集束型締結部材12の伸張性領域14は、おむつの脚部区域及び腰部区域と調整することにより、着用者に対するおむつのフィット性をさらに増大させるように作製することができる。例えば、第2の腰部区域88内の弾性ウエスト機構64は、締結力集束型締結部材12の一方又は両方の内部まで延びるように作製することができ、締結力集束型締結部材12の一方又は両方の高弾性領域22の上方の領域を、部分的に又は完全に覆う。同様に、伸張性レッグカフ32は、締結力集束型締結部材12の一方又は両方の内部まで延びるように作製することができ、締結力集束型締結部材12の一方又は両方の高弾性領域22の下方の領域を、部分的に又は完全に覆う。あるいは、締結力集束型締結部材12それぞれの高弾性領域22は、脚部区域62及び/又は腰部区域64内に張力を誘導するように配向されることができる。
【0067】
シャーシ52の他の構成要素としては、バックシート56、トップシート54、及びコア58が挙げられる。バックシート56は一般に、吸収性コア58の衣類側表面に隣接して位置するおむつ50の部分であり、その中に吸収され収容された排出物が、おむつ50と接触する可能性のあるベッドシーツや下着などの物品を汚すのを防ぐ。好ましい実施形態では、バックシート56は、液体(例えば、尿)に対して不透過性であり、厚さ約0.012mm(0.5ミル)〜約0.051mm(2.0ミル)の熱可塑性フィルムなどの薄いプラスチックフィルムを含む。適切なバックシートフィルムとしては、トレデガー社(Tredegar Corporation)(本拠地バージニア州リッチモンド)により製造され、商標名CPC2フィルムとして販売されているものが挙げられる。他の適切なバックシート材料としては、おむつ50から蒸気を逃すものの、排出物がバックシート56を通過することを防ぐ通気性材料を挙げることができる。代表的な通気性材料としては、織布ウェブ、不織布ウェブ、フィルムコーティングされた不織布ウェブのような複合材料、日本の三井東圧(Mitsui Toatsu Co.)によりESPOIR NOの名称で製造されているもの、及びバージニア州リッチモンド(Richmond, VA)のトレデガー(Tredegar)社により製造されてEXAIREの名称で販売されているようなミクロ孔質フィルム、並びにオハイオ州シンシナティ(Cincinnati)のクロペイ社(Clopay Corporation)によりHYTRELブレンドP18−3097の名称で製造されているようなモノリシックフィルムなどの材料を挙げることができる。幾つかの通気性複合材料が、PCT国際公開特許WO95/16746号(E.I.デュポン(E. I. DuPont)、1995年6月22日公開)、米国特許第5,938,648号(ラボン(LaVon)ら、1999年8月17日発行)、米国特許第5,865,823号(クーロ(Curro)、1999年2月2日発行)、及び米国特許第5,571,096号(ドブリン(Dobrin)ら、1996年11月5日発行)により詳しく記載されている。
【0068】
バックシート56又はその任意の部分は、1つ以上の方向に弾性的伸張性があってよい。1つの実施形態では、バックシート56は、構造的に弾性様のフィルム(「SELF」)ウェブを含んでもよい。構造的に弾性様のフィルムウェブは、追加の弾性材料の使用なしに伸長方向に弾性様挙動を示す伸張性材料であり、「弾性様挙動を示すウェブ材料(Web Materials Exhibiting Elastic-Like Behavior)」という表題の米国特許第5,518,801号(チャッペル(Chappell)ら、1996年5月21日発行)により詳しく説明されている。別の実施形態では、バックシート56は、エラストマーフィルム、発泡体、ストランド、又はこれら若しくは他の適切な材料と不織布若しくは合成フィルムとの組合せを含んでよい。
【0069】
バックシート56は、当該技術分野で既知のいずれかの取り付け手段によって、トップシート54、吸収性コア58、又はおむつ50の他のいずれかの要素に結合されてもよい。例えば、取り付け手段としては、接着剤の均一な連続層、接着剤のパターン付き層、又は接着剤の分離した線、らせん、若しくは点の配列を挙げることができる。1つの好ましい取り付け手段は、「使い捨て排泄物収容衣類(Disposable Waste-Containment Garment)」という表題の米国特許第4,573,986号(ミネトラ(Minetola)ら、1986年3月4日発行)に開示されているような、接着剤フィラメントの開放パターンネットワークを含む。他の適切な取り付け手段として、米国特許第3,911,173号(スプレイグ・ジュニア(Sprague, Jr.)、1975年10月7日発行)、米国特許第4,785,996号(ツィーカー(Ziecker)ら、1978年11月22日発行)、及び米国特許第4,842,666号(ウェレニクツ(Werenicz)、1989年6月27日発行)に示されている装置及び方法により説明されているような、らせんパターンに渦を巻く、いくつかの線の接着剤フィラメントが挙げられる。満足のいくものであることが判明した接着剤は、ミネソタ州セントポールのH.B.フラー社(H.B.Fuller Company)によって製造され、HL−1620及びHL1358−XZPとして市販されている。あるいは、取り付け手段は、熱ボンド、圧力接着、超音波接着、動的機械的接着、若しくは当該技術分野で既知の他の任意の適切な取り付け手段、又はこれら取り付け手段の組合せを含むことができる。
【0070】
トップシート54は、好ましくは、吸収性コア58の身体面に隣接して位置し、当技術分野で既知のいずれかの取り付け手段により吸収性コア及び/又はバックシート56に結合されてもよい。適切な取り付け手段は、バックシート56をおむつ50の他の要素に結合させるための手段に関する部分で上述されている。本発明のある1つの好ましい実施形態では、トップシート54とバックシート56は、いくつかの箇所で互いに直接結合されており、別の箇所では、おむつ50の1つ以上の他の要素にこれらを直接結合させることによって、間接的に共に結合している。
【0071】
トップシート54は、適合性があって柔らかい感触で、着用者の皮膚に刺激がないのが好ましい。さらに、トップシート54の少なくとも一部は液体透過性であり、液体をその厚みに容易に浸透させることができる。適切なトップシートは、例えば、多孔質発泡体、網状発泡体、孔あきプラスチックフィルム、又は天然繊維(例えば木材繊維又は綿繊維)、合成繊維(例えばポリエステル繊維又はポリプロピレン繊維)、若しくは天然繊維と合成繊維との組合せによる、織布若しくは不織布材料などの、広範囲の材料から製造されことができる。トップシート54が繊維を含む場合、その繊維は、スパンボンド、カーディング、湿式載置、メルトブロウン、水流交絡、又は当該技術分野において既知の他の方法で加工されてもよい。ステープル長さのポリプロピレン繊維のウェブを含む1つの適切なトップシート54は、P−8という商標名でヴェラテック社(Veratec, Inc.)(マサチューセッツ州ウォルポールのインターナショナルペーパー社(International Paper Company)の一部門)によって製造されている。
【0072】
適切な成形フィルムトップシートは、「先細の毛管を有する吸収性構造体(Absorptive Structures Having Tapered Capillaries)」という表題の米国特許第3,929,135号(トンプソン(Thompson)、1975年12月30日発行)、「汚れにくいトップシートを有する使い捨て吸収性物品(Disposable Absorbent Article Having A Stain Resistant Topsheet)」という表題の米国特許第4,324,246号(ミュレイン(Mullane)ら、1982年4月13日発行)、「繊維様の特性を示す弾力性プラスチックウェブ(Resilient Plastic Web Exhibiting Fiber-Like Properties)」という表題の米国特許第4,342,314号(ラデル(Radel)ら、1982年8月3日発行)、「無光沢の可視表面及び布様の触感を示す巨視的に伸張された三次元プラスチックウェブ(Macroscopically Expanded Three-Dimensional Plastic Web Exhibiting Non-Glossy Visible Surface and Cloth-Like Tactile Impression)」という表題の米国特許第4,463,045号(アール(Ahr)ら、1984年7月31日発行)、及び「多層高分子フィルム(Multilayer Polymeric Film)」という表題の米国特許第5,006,394号(ベアード(Baird)、1991年4月9日発行)に記載されている。他の適切なトップシートは、米国特許第4,609,518号、及び同4,629,643号(クーロ(Curro)ら、それぞれ1986年9月2日及び1986年12月16日発行)に従って作製してもよい。
こうした成形フィルムは、プロクター・アンド・ギャンブル社(The Procter & Gamble Company)(オハイオ州シンシナティ)から「ドライウィーブ(DRI-WEAVE)」として、及びトレデガー社(Tredegar Corporation)(バージニア州リッチモンドを拠点とする)から「クリフ−T(CLIFF-T)」として入手可能である。
【0073】
好ましくは、着用者の皮膚を吸収性コア58に収容された液体から隔離するために、トップシート54の少なくとも一部を疎水性材料で作製するか、又は疎水性となるように処理する。トップシート54を疎水性材料で作製する場合、好ましくはトップシート54の上面の少なくとも一部が親水性になるよう処理して、液体がより迅速にトップシートを通って移動するようにする。トップシート54は、界面活性剤で処理することにより、又は界面活性剤をトップシート内に組み込むことにより、親水性にすることができる。トップシート54を界面活性剤で処理する適切な方法としては、トップシート54材料に界面活性剤を噴霧すること、及び/又は材料を界面活性剤に浸漬することが挙げられる。このような処理及び親水性のより詳細な論考は、「多層吸収性層を有する吸収性物品(Absorbent Articles with Multiple Layer Absorbent Layers)」という表題の米国特許第4,988,344号(レイシング(Reising)ら、1991年1月29日発行)、及び「急速捕捉吸収性コアを有する吸収性物品(Absorbent Articles with Rapid Acquiring Absorbent Cores)」という表題の米国特許第4,988,345号(レイシング(Reising)、1991年1月29日発行)に盛り込まれている。トップシート54内に界面活性剤を組み込むためのいくつかの適切な方法のより詳細な論考は、米国法定発明登録番号H1670(アジズ(Aziz)ら、1997年7月1日公開)で見ることができる。あるいは、トップシート54は、疎水性の孔あきウェブ又はフィルムを含んでもよい。これは、以下のように、製造プロセスから親水性化処理工程を省き、及び/又はスコッチガード(SCOTCHGUARD)のようなポリテトラフルオロエチレン(polytetraflouroethylene)化合物若しくは疎水性ローション組成物など、トップシート54に疎水処理を施すことにより実現させることができる。このような実施形態では、開口は、尿のような水性流体が著しい抵抗を受けることなく浸透できるほどに十分大きいことが好ましい。
【0074】
吸収性コア58は、一般的に圧縮性であり、適合性があり、着用者の皮膚に刺激がなく、並びに尿及び他の特定の身体排出物などの液体を吸収し保持できる任意の吸収性材料を含んでよい。吸収性コア58は、多種多様な大きさ及び形(例えば、矩形、砂時計型、「T」字型、非対称形など)で製造されることができ、また、使い捨ておむつ及び他の吸収性物品で通常用いられる多種多様な液体吸収性材料、例えば一般にエアフェルトと呼ばれている粉砕木材パルプなどを含んでよい。その他の適切な吸収性材料の例としては、捲縮セルロース塊、コフォームを含むメルトブロウンポリマー、化学的に剛化、変性、若しくは架橋されたセルロース繊維、ティッシュラップ及びティッシュラミネートを含むティッシュ、吸収性発泡体、吸収性スポンジ、超吸収性ポリマー、吸収性ゲル材料、又は他の任意の既知の吸収性材料若しくは材料の組合せが挙げられる。
【0075】
吸収性コア58の構成及び構造も、多様であってよい(例えば、吸収性コア又は他の吸収性構造体は、異なるキャリパー区域、親水性勾配、超吸収性勾配、若しくはより低い平均密度及びより低い平均坪量の捕捉区域を有してよく、又は1つ以上の層若しくは構造体を含んでもよい)。吸収性コア58として用いるための代表的な吸収性構造体は、「高密度吸収性構造体(High-Density Absorbent Structures)」という表題の米国特許第4,610,678号(ワイスマン(Weisman)ら、1986年9月9日発行)、「二重層コアを有する吸収性物品(Absorbent Articles With Dual-Layered Cores)」という表題の米国特許第4,673,402号(ワイスマン(Weisman)ら、1987年6月16日発行)、「低密度と低坪量の捕捉区域を有する高密度吸収性部材(High Density Absorbent Members Having Lower Density and Lower Basis Weight Acquisition Zones)」という表題の米国特許第4,834,735号(アレマニー(Alemany)ら、1989年5月30日発行)、「ダスティング層を有する吸収性コア(Absorbent Core Having A Dusting Layer)」という表題の米国特許第4,888,231号(アングスタット(Angstadt)、1989年12月19日発行)、「個別のポリカルボン酸架橋木材パルプセルロース繊維を含有する吸収性構造体(Absorbent Structure Containing Individualized, Polycarboxylic Acid Crosslinked Wood Pulp Cellulose Fibers)」という表題の米国特許第5,137,537号(ヘロン(Herron)ら、1992年8月11日発行)、「失禁管理用の高効率吸収性物品(High Efficiency Absorbent Articles For Incontinence Management)」という表題の米国特許第5,147,345号(ヤング(Young)ら、1992年9月15日発行)、「低粘度糞便物質用の使い捨て吸収性物品(Disposabl
e Absorbent Article For Low-Viscosity Fecal Material)」という表題の米国特許第5,342,338号(ロー(Roe)、1994年8月30日発行)、「水性体液用の吸収性発泡材料及びかかる材料を収容する吸収性物品(Absorbent Foam Materials For Aqueous Body Fluids and Absorbent Articles Containing Such Materials)」という表題の米国特許第5,260,345号(デマレーズ(DesMarais)ら、1993年11月9日発行)、「水性体液用の濡れるまでは薄い吸収性発泡材料とその製造方法(Thin-Until-Wet Absorbent Foam Materials For Aqueous Body Fluids And Process For Making Same)」という表題の米国特許第5,387,207号(ダイアー(Dyer)ら、1995年2月7日発行)、及び「非常に高い水対油比を有する高内相エマルションから製造された水性流体用の吸収性発泡材料(Absorbent Foam Materials For Aqueous Fluids Made From high Internal Phase Emulsions Having Very High Water-To-Oil Ratios)」という表題の米国特許第5,625,222号(デマレーズ(DesMarais)ら、1997年7月22日発行)に記載されている。
【0076】
締結力集束化法
全ての試験は、22℃±2℃、相対湿度50%±相対湿度10%に制御された条件下で行うものとする。サンプルは、試験の少なくとも24時間前に、これらの条件で調整される。全ての距離は、較正済みキャリパー又は画像解析システムを用いて0.1mm単位で測定する。
【0077】
サンプルストリップの作製
1.代表的な締結部材を用意し、長手方向40と横断方向42を確認する。少なくとも横断方向42に伸張することとする。
2.図9に示されているように、締結部材上に複数のグリッド線120の印を付け、各グリッド線120は長手方向40に平行(±2度以内)にし、第1のグリッド線120は締結要素26に隣接させ、最終グリッド線はサンプルの近位縁16の末端部に隣接させ、そこから約5mmにする。
a.グリッド線120は5mm間隔にする。
b.各グリッド線120の幅は1mm以下にする。
c.グリッド線120の色は、背景の基材材料色と容易に区別できるように、色が十分対照的なものにする。
d.グリッド線120は、細いサインペンのインクなど、伸張性領域の伸張を著しく妨害しない材料のものにする。
e.サンプルは、工程1及び2の間、伸張させない。
3.横方向に切断して複数のストリップにするサンプルを準備する。
a.締結部材の伸張性領域が矩形でない場合、図10a及び10b(単純化するためにグリッド線は示されていない)に示されているように、矩形に切断する。最上方縁部は、末端部領域の最深部の上縁部に沿ったU点、すなわち連続線を切断させる最上方の位置に一致する。最下方縁部は、末端部領域の最深部の下縁部に沿ったL点、すなわち連続線を切断させる最下方の位置に一致する。
b.サンプルの最上方縁部から5mmの位置から始め、各切断線122が最初の矩形の最上方縁部に平行になるように、切断線122の位置に5mmずつ印をつける(図10a)。
c.各ストリップに識別コードを付けて、締結部材内での長手方向の位置がわかるようにする。
d.サンプルを切断線に沿って切断して、サンプルストリップを作製する。
e.最下方縁部に隣接するストリップが5mmに満たない場合は、廃棄する。
4.作製したサンプルと列及び行が同じ数の方眼状ワークシートを作製する(図12a参照)。
【0078】
サンプルストリップの伸張率測定
1.デジタルカメラ(最低4メガピクセル、光学ズーム付きのもの、適切なカメラは、イースタンコダック社(Eastern Kodak Co.)(ニューヨーク州ローチェスター)から入手できるコダックイージーシェア(Kodak EasyShare)DX6490である)を、サンプル表面(グリップ内のサンプルの長手方向及び横方向で画定される)から50cm離して、サンプル表面に対して垂直になるように三脚に取り付け、サンプルをカメラの視野中心に置き、焦点を合わせる。画像品質を保つために、カメラのデジタルズームではなく、光学ズームのみを使用する。実験中は、カメラを動かしたり倍率を変更したりできない。
2.コンピュータインターフェース内蔵の、定速の伸張引張試験機(適切な機器は、MTSシステム社(MTS Systems Corp.)(ミネソタ州エデンプレイリー)から入手可能な、テストワークス4.0ソフトウェア(Testworks 4.0 Software)を用いるMTSアライアンス(MTS Alliance)である)を用いて、サンプルストリップを元の横断方向42(図10a)に伸張させる。引張試験機に10Nロードセルを付け、2.54cm×2.54cmの2つのゴム面グリップを、固定空気圧式把持具及び可動空気圧式把持具の双方に用いる。
3.図11aに示されているように、初期の伸張していない状態の距離Dを、第1のグリッド線から最終グリッド線まで測定する。引張試験機の標点距離を距離Dに設定し、クロスヘッドをゼロにリセットする。
4.グリップ面を工程2の第1のグリッド線に揃えて、サンプルの遠位端を引張試験機の上部グリップに固定する。末端部領域の少なくとも5mm(横方向に)を、グリップに設置する。上部グリップを下部グリップに近づけて、サンプルを伸張せずに、近位端を下部グリップに設置できるようにする。
5.グリップ面を工程2の最終グリッド線に揃えて、近位端を引張試験機の下部グリップに固定する(図11b)。
6.引張試験機のロードセルをゼロにし、クロスヘッドを元の標点距離に戻す(すなわちクロスヘッドのゼロ位置)。
7.規定の標点距離(距離D)に達してから1秒以内に、伸張していない伸張サンプルの写真を撮る。
8.サンプルに0.5N/cmの力が加わるまで(この場合、ニュートンは、加わった実際の力を意味し、サンプルの長手方向幅にcmで正規化される)、127mm/分の速度で、上部取付具を下部取付具から離す。目標の負荷に達してから1秒以内に、伸張したサンプルの2枚目の写真を撮る。
9.サンプルに1.5N/cmの力が加わるまで、127mm/分の速度で、上部取付具を下部取付具から離す。目標の力に達してから1秒以内に、伸張したサンプルの3枚目の写真を撮る。
10.サンプルに4.0N/cmの力が加わるまで、127mm/分の速度で、上部取付具を下部取付具から離す。目標の負荷に達してから1秒以内に、伸張したサンプルの4枚目の写真を撮る。
11.同一の倍率にて、4枚の写真を印刷する。写真の尺度は、写真中のサンプルの大きさが、実際の大きさの100%〜150%となるようにする。写真中のグリップの間隔を値Dと比較することにより、1枚目の写真を用いて尺度を決定することができる。
12.1枚目の写真から、最初の伸張していない線間の距離(D〜D)を、0.1mmの単位で測定し記録する。横方向とまさに平行である、サンプルの長手方向中心(図11a)で距離を測定する。
13.2枚目の写真から、第1の目標負荷における伸張した状態での線間の距離(E〜E)を、0.1mm単位で測定し記録する。サンプルの長手方向中心で距離を測定する。
14.3枚目の写真から、第2の目標負荷における伸張した状態での線間の距離(E〜E)を、0.1mm単位で測定し記録する。サンプルの長手方向中心で距離を測定する。
15.4枚目の写真から、第3の目標負荷における伸張した状態での線間の距離(E〜E)を、0.1mm単位で測定し記録する。サンプルの長手方向中心で距離を測定する。
16.加えた各力に関して、加えた各力における隣接する各対の線の線間伸張率を計算する。伸張率は以下である。
伸張率=100*(E−D)/(D)、i=1〜n
17.加えた各力に関して、計算した各セルの伸張率を方眼状ワークシート(図12aに示されているようなもの)に記録する。
18.締結部材の各ストリップに対して、工程4〜12を繰り返す。
【0079】
伸張率グリッドの評価
1.3枚の方眼状ワークシート(加えた各力につき1枚のワークシート)のそれぞれを評価して、伸張率の範囲が一番大きいものを決定する。
a.方眼状ワークシートを選択する。
b.グリッドの最上行の伸張率値を比較する。この行における最大の伸張率値をE最大 上部とする。
c.グリッドの最下行の伸張率値を比較する。この行における最大の伸張率値をE最大 下部とする。
d.グリッドの全ての残りの行の伸張率値を比較する。これらの行における最小の伸張率値をE最小 中心とする。
e.以下の式を用いて、伸張率の差を計算する。
伸張率の差(上部対中心)=100*(E最大−上部−E最小 中心)/E最小 中心
伸張率の差(下部対中心)=100*(E最大 下部−E最小 中心)/E最小 中心
f.3枚の方眼状ワークシートのそれぞれに対して、工程1a〜1eを繰り返す。
2.上記式のいずれかで表される伸張率の差が一番大きい方眼状ワークシートを、更なるグリッド解析用に選択する。
【0080】
伸張率領域のマッピング
1.締結具の長手方向中心と水平方向に一直線となるグリッドの行を特定する。この行をグリッドの中間行として分類する(注:この行は、グリッドの上部と底部から等距離である必要はない)。
2.左端(遠位)の列から始め、グリッドに沿って左から右へ進めていき、各列における高伸張率領域の上部境界線を特定する。
a.列を選択する。
b.中間行から始め、列内をグリッドの上部まで進めていき、すぐ下のセルとの伸張率の差が10%であるセルを特定する。グリッドの上部に一番近い境界(boarder)セルを選択し、セルの中心に境界(boarder)点を付ける。
c.境界(boarder)セルが見つからない場合は、グリッドの上部鉛直縁部に、セルの水平方向の中心で境界(boarder)点を付ける。
d.対象の各列について、工程2aと2bを繰り返す。
e.各境界(boarder)点を隣接する列の境界(boarder)点に直線でつなぐことにより、上部境界(boarder)線の印をつける。
3.最も遠位の列から始めて近位境界列で終了させ、各列における高伸張領域の下部境界(boarder)線を特定する。
a.列を選択する。
b.中間行から始め、列内をグリッドの底部まで進めていき、すぐ下のセルとの伸張率の差が10%であるセルを特定する。グリッドの底部に一番近い境界(boarder)セルを選択し、セルの中心に境界(boarder)点を付ける。
c.境界(boarder)セルが見つからない場合は、グリッドの底部鉛直縁部に、セルの水平方向の中心で境界(boarder)点を付ける。
d.対象の各列について、工程3aと3bを繰り返す。
e.各境界(boarder)点を隣接する列の境界(boarder)点に直線でつなぐことにより、下部境界(boarder)線の印をつける。
4.完成したワークシート例を、図12bに示す。
【0081】
計算
1.末端部領域に隣接する高弾性領域の相対長さを計算する。
a.締結要素の内側縁部に沿った、長手方向軸に平行な最大直線長さとしての、締結具の長さ(図13bのL)を測定する。
b.方眼状ワークシートを用い、ワークシートのグリッドの最遠位列より、低伸張率領域の長さ(図12cのL)を計算する。(注:各セルは5mmを表し、各セルの半分は2.5mmである。)
c.相対長さを計算する。
高弾性領域と締結具の相対長さ=100*L/L
2.高弾性領域の長手方向中心線と締結要素の長手方向中心線との間のオフセットの長さを計算する。
a.締結要素の内側縁部に沿った、長手方向軸に平行な最大直線長さとしての、締結具の長さ(図13bのL)を測定する。
b.締結要素の長さ(図13bのL)を二等分する。締結要素の長手方向中心を測定し、印をつける(図13bの距離1/2L)。
c.グリッドの上縁部から締結要素の長手方向中心までを測定する(図13bの距離O)。
d.方眼状ワークシートを用い、グリッドの上部から高弾性領域の中心までのオフセットを計算する(図12cの距離O)。
e.以下より相対位置を計算する。
相対位置=100*|O−O|/L
3.末端部から高弾性領域までの長さを計算する。
a.締結要素の内側縁部に沿った、長手方向軸に平行な最大直線長さとしての、締結具の長さ(図13bのL)を測定する。
b.締結要素の長さ(図13bのL)を二等分する。締結要素の長手方向中心を測定し、印をつける(図13bの距離1/2L)。
c.グリッドの上縁部から締結要素の長手方向中心までを測定する(図13bの距離O)。
d.グリッドの上縁部から締結要素の最上方内側縁部までの距離(図13bの距離O)を、O=O−1/2Lとして計算する。
e.グリッドの上縁部から締結要素の最下方内側縁部までの距離(図13bの距離O)を、O=O+1/2Lとして計算する。
f.方眼状ワークシートを用い、グリッドの上部から高弾性領域の上部境界線までのオフセットを計算する(図12cの距離O)。
g.再度方眼状ワークシートを用い、グリッドの上部から高弾性領域の下部境界線までのオフセットを計算する(図12cの距離O)。
h.末端部から高弾性領域までの長さを計算する。
=O−O
=O−O
4.低伸張率領域の相対横幅を計算する。
a.締結具の横幅に平行な最大直線長さとしての、締結具の幅(図13aのW)を測定する。
b.低伸張率領域の横幅を決定する(図13aのW)。
1.方眼状ワークシートを用い、最左列における低伸張率領域の上部境界線と下部境界線との間の長手方向の距離を計算する(図12cのL)。
2.右隣の列に移動する。
・これが近位境界列の場合、Wを、この列の上部境界(boarder)点とグリッドの右縁部との間の距離として計算する。
・あるいは、上部境界線と下部境界線との間の距離を計算する。この距離がLよりも50%大きい場合は、Wを、この列の上部境界(boarder)点とグリッドの右縁部との間の距離として計算する。
・あるいは、この工程を繰り返す。
c.以下より相対横幅を計算する。
相対横幅=100*W/W
【0082】
本発明の「発明を実施するための最良の形態」で引用したすべての文献は、関連部分において、参照することにより本明細書に組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを容認するものと解釈すべきではない。参照することにより組み込まれる文献における用語のいずれかの意味又は定義の範囲については、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義を適用するものとする。
【0083】
本発明の特定の実施形態を説明及び記述してきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく様々なその他の変更及び修正を行えることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【0084】
本明細書は、本発明を形成しているとみなされる点を特に指摘し明確に請求する請求項にて結論とするが、発明を実施するための最良の形態を読み、添付図面を検討することにより、本発明をより容易に理解することができると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位縁と、近位縁と横断方向に対向している遠位縁と、前記近位縁を遠位縁に結合させる1対の連結縁とを有し、前記遠位縁に隣接する少なくとも一部において長手方向に変動する弾性率を有し、長手方向長さL、及び横断方向幅Wを有する少なくとも1つの高弾性領域を有する伸張性領域と、
前記伸張性領域の遠位縁から横断方向に延びている末端部領域と、
長手方向長さL、横断方向幅W、中心部、及び前記中心部から長手方向に間隔があいている2つの末端部を有し、前記末端部領域上に配置されている締結具要素と、を有し、
前記高弾性領域が、前記締結具要素中心部に対して位置調整されているとともに、前記2つの末端部から離れ、締結具要素中心部に締結力を集束させる前記締結具要素の前記2つの末端部から間隔をおいて配置され、
前記高弾性領域の長手方向長さLは前記締結具要素の長手方向長さLの80%以下であり、
前記高弾性領域の長さLが横断方向に変動し、
前記高弾性領域が、前記伸張性領域の遠位縁から前記伸張性領域の近位縁まで延びている、締結力集束型締結部材。
【請求項2】
前記高弾性領域が長手方向中心線を有し、前記締結具要素が長手方向中心線を有し、前記高弾性領域の長手方向中心線と前記締結具要素の長手方向中心線との間のオフセットの長さがLの75%未満となるように、前記高弾性領域が、前記締結具要素に対して位置調整されている、請求項1に記載の締結力集束型締結システム。
【請求項3】
前記高弾性領域が、横断方向に延びている境界線によって画定されており、前記境界線が、前記締結具要素の2つの末端部から、Lの40%以下の長さでオフセットされている、請求項1に記載の締結力集束型締結システム。
【請求項4】
前記高弾性領域の伸張性が、前記伸張性領域内の少なくとも1つの他の区域の伸張性よりも少なくとも10%低い、請求項1に記載の締結力集束型締結システム。
【請求項5】
前記締結具要素の前記2つの末端部に近い、前記伸張性領域内の複数区域の弾性率が互いに等しくない、請求項4に記載の締結力集束型締結システム。
【請求項6】
前記高弾性領域が前記締結具要素と接触しており、前記高弾性領域の幅Wが、前記締結具要素の幅Wの少なくとも25%である、請求項1に記載の締結力集束型締結システム。
【請求項7】
前記高弾性領域の長さLが、前記伸張性領域の遠位縁から前記伸張性領域の近位縁まで継続的に増大する、請求項1に記載の締結力集束型締結システム。
【請求項8】
前記伸張性領域が少なくとも2つの高弾性領域を含み、前記少なくとも2つの高弾性領域が、前記締結具要素の中心部に近接している前記伸張性領域の遠位縁で収束し、前記少なくとも2つの高弾性領域間の距離が、前記伸張性領域の遠位縁から近位縁まで増大する、請求項1に記載の締結力集束型締結システム。
【請求項9】
前記2つの高弾性領域の弾性率が等しくない、請求項8に記載の締結力集束型締結システム。
【請求項10】
前記少なくとも2つの高弾性領域間に配置されている第3の高弾性領域をさらに含み、前記第3の高弾性領域が、前記締結具要素中心部に近接する前記伸張性領域の遠位縁から延びている、請求項8に記載の締結力集束型締結システム。
【請求項11】
前記高弾性領域が前記伸張性領域の遠位縁から近位縁に及んでおり、前記高弾性領域の境界線が前記伸張性領域の連結縁の1つに近づき、もう一方には近づかないように、前記高弾性領域の長手方向長さが前記遠位縁から近位縁まで増大する、請求項1に記載の締結力集束型締結システム。
【請求項12】
前記締結具要素が、フック又はループ式締結具、粘着剤締結具、接着剤締結具、又は磁石式締結具などの表面締結具を含む、請求項1に記載の締結力集束型締結システム。
【請求項13】
締結力集束型締結部材を含む着用可能物品であって、前記締結力集束型締結部材が、
近位縁と、近位縁と横断方向に対向している遠位縁と、前記近位縁を遠位縁に結合させる1対の連結縁とを有し、前記遠位縁に隣接する少なくとも一部において長手方向に変動する弾性率を有し、長手方向長さL、及び横断方向幅Wを有する少なくとも1つの高弾性領域を有する伸張性領域と、
前記伸張性領域の遠位縁から横断方向に延びている末端部領域と、
長手方向長さL、横断方向幅W、中心部、及び前記中心部から長手方向に間隔があいている2つの末端部を有し、前記末端部領域上に配置されている締結具要素と、を有し、
前記高弾性領域が、前記締結具要素中心部に対して位置調整されているとともに、前記2つの末端部から離れ、締結具要素中心部に締結力を集束させる前記締結具要素の前記2つの末端部から間隔をおいて配置され、
前記高弾性領域の長手方向長さLは前記締結具要素の長手方向長さLの80%以下であり、
前記高弾性領域の長さLが横断方向に変動し、
前記高弾性領域が、前記伸張性領域の遠位縁から前記伸張性領域の近位縁まで延びている、着用可能物品。
【請求項14】
着用者の下部胴体周辺に着用される使い捨て吸収性物品であって、前記使い捨て吸収性物品は、1対の向かい合った長手方向測縁部、向かい合った末端縁部、第1の腰部区域、第2の腰部区域、及び前記第1の腰部区域と前記第2の腰部区域との間にある股部区域を有し、前記使い捨て吸収性物品は、
トップシートと、
バックシートと、
前記トップシートと前記バックシートとの間に配置されている吸収性コアと、
締結力集束型締結システムと、を含み、
前記締結力集束型締結システムは、前記第2の腰部区域の第2の締結部材に再締結可能なように前記第1の腰部区域に取り付けられた第1の締結部材を含み、各第1の締結部材若しくは各第2の締結部材、又は各第1の締結部材と各第2の締結部材の双方が、締結力集束型締結部材を含み、
前記締結力集束型締結部材は、
向かい合った長手方向測縁部の一方に取り付けられている近位縁と、前記近位縁に横断方向に対向している遠位縁とを有し、前記遠位縁に隣接する少なくとも一部において長手方向に変動する弾性率を有し、少なくとも1つの高弾性領域を有する伸張性領域と、
前記伸張性領域の遠位縁から横断方向に延びている末端部領域と、
長手方向長さL、横断方向幅W、中心部、及び前記中心部から長手方向に間隔があいている2つの末端部を有し、前記末端部領域上に配置されている締結具要素とを含み、
前記高弾性領域が、前記締結具要素中心部に対して位置調整されているとともに、前記2つの末端部から離れ、締結具要素中心部に締結力を集束させる前記締結具要素の前記2つの末端部から間隔をおいて配置され、
前記高弾性領域の長手方向長さLは前記締結具要素の長手方向長さLの80%以下であり、
前記高弾性領域の長さLが横断方向に変動し、
前記高弾性領域が、前記伸張性領域の遠位縁から前記伸張性領域の近位縁まで延びている、使い捨て吸収性物品。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10a】
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【図10b】
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【図11a】
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【図11b】
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【図12a】
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【図12b】
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【図12c】
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【図13a】
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【図13b】
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【公開番号】特開2012−50834(P2012−50834A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223314(P2011−223314)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【分割の表示】特願2008−545245(P2008−545245)の分割
【原出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】