説明

編成帯およびそれを用いた可撓性中空体の補強構造

中空体を補強するための編成帯は、反復ループ(12、20)状に給糸される少なくとも1本の連続的緯糸(8)によって互いに結合された少なくとも2つの編成帯部分(4、6)を有し、前記緯糸(8)は、前記各帯部分(4、6)に交互に配設された固着区域(10)内で前記各帯部分(4、6)に固着されている。これら固着区域(10)の間の分離区域(18)内では、前記緯糸(8)が、前記各帯部分(4、6)の間に緯糸ループ(20)として往復案内され、前記緯糸ループ(20)の各ループ先端部(22、22a)が、前記帯部分(4、6)に離脱可能かつ伸長可能に配設されている。これにより、帯を狭い幅に製造した後、使用する際に、各ループ先端部を離脱させて伸長することにより、顕著に広い幅にすることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載した編成帯および請求項7記載の中空体を補強することへのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
冒頭に指摘した種類の編成帯は例えば特許文献1により公知である。この編成帯は少なくとも2つの帯部分を有し、帯部分は反復ループ状に給糸される少なくとも1本の緯糸によって互いに結合されている。結合領域には離脱可能な分離糸が配置され、該分離糸を取り除くと、帯部分の間では編成帯が薄くなる。しかし、帯部分は依然として緯糸を介して互いに結合されており、帯部分の間の距離は事実上変化していない。このような薄い編成帯は、包帯材料としての着用特性および通気性を改善するのに役立つ。
【0003】
特許文献2も同様に医療目的の編成帯について記載しており、この編成帯はウェールの間を往復する緯糸を部分的に有し、帯をそれぞれの帯部分に分割するために、緯糸は機械的にまたは溶剤によって分離可能かつ伸長可能である。
【0004】
例えば、紙または繊維等の柔軟な材料で構成された袋類等の中空体では、特に、それらにばら物品が充填されている場合には、それらが安定した形態をとることができず、膨らむ問題がある。それにより、ばら物品が充填された袋類は貯蔵し難く、貯蔵のため比較的多くのスペースを必要とすることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第10260694号明細書
【特許文献2】米国特許第3570482号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、製造後に大きな幅にすることができかつ前記諸問題を解決するのに適した編成帯を明示することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、
a)請求項1による編成帯によって、
b)請求項7により可撓性材料から成る中空体を補強することに編成帯を使用することによって解決される。
【0008】
編成帯が少なくとも2つの編成帯部分を有し、反復ループ状に給糸される少なくとも1本の連続的緯糸によって前記各帯部分が互いに結合され、前記緯糸が、前記各帯部分に交互に配設された固着区域内で各帯部分に固着され、かつこれら固着区域の間の分離区域内では前記各帯部分の間ではループ状に往復案内され、各ループ先端部が前記各帯部分に離脱可能かつ伸長可能に配設されることによって、比較的コンパクトな編成帯、すなわち帯編機によって編成可能な僅かな幅の編成帯が提供される。この帯は、例えば形態安定化のための補強バンドとして使用するために大きな幅に拡幅でき、各帯部分の離脱可能かつ伸長可能なループ先端部のみが離脱されかつ伸長される。伸長された緯糸部分はその長手方向で安定化を可能とする。
【0009】
引き伸ばされた編成帯、すなわち緯糸ループの伸長されたループ先端部を有する編成帯は、好ましくは可撓性材料から成る中空体の安定化に役立つ。この目的のために、編成帯は折り隅部と平行に中空体内に導入され、その側壁に固着される。それにより中空体の隅部形状が安定化され、中空体は、例えば、ばら物品を充填した場合でもその規定どおりの形状を実質維持することができる。帯による中空体の補強は側壁の膨らみを防止する。このような中空体は充填状態でも比較的安定しており、省スペースにて貯蔵できる。この構成は、このような中空体を充填状態で上下に積み重ねることさえ可能とする。
【0010】
以下、図面に基づいて本発明の実施例が詳しく説明される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】内側にあるウェールをループ先端部用に有する編成帯の一部を平面図で示す。
【図2】外側にあるウェールをループ先端部用に有する編成帯の一部を平面図で示す。
【図3】帯縁から突出したループ先端部を有する編成帯の一部を平面図で示す。
【図4】部分的に伸長した緯糸ループを有する図1の帯を示す。
【図5】図1〜図4の帯で補強された中空体を略図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1〜図5に示す編成帯2は少なくとも2つの編成帯部分4、6から成り、これらの帯部分は、緯糸8を介して互いに結合されている。緯糸8は帯部分4と帯部分6とに交互に配設された固着区域10内で各帯部分4、6に固定的に結合されている。この目的のために、緯糸8は緯糸ループ12として延び、この緯糸ループ12は、好ましくは帯部分4、6の全幅に亘って延在している。すなわち、緯糸はコース14で挿入され、次のコース16で折り返される。それぞれの固着区域10の間には分離区域18が設けられ、緯糸8は、各分離区域18内で、緯糸ループ20として帯部分4、6の間を往復して延在しており、それぞれのループ先端部22は、各帯部分4、6に離脱可能に配設され、該各帯部分から離脱して伸長可能となっている。
【0013】
図1、図2の実施例によれば、伸長可能なループ先端部22は、少なくとも1つのウェール26a、26bの編目24内でそれぞれ保持されている。ウェール26a、26bは、容易に引き離すことのできる組織を有し、ループ先端部22を離脱させかつ伸長させるために引き離され、取り除くことができる。図1では、引き離し可能なウェール26aが2つの帯部分の内側に配置され、図2では、このウェール26bが2つの帯部分の外側に配置されている。
【0014】
図3に示す他の実施形態の編成帯では、引き離して伸長可能なループ先端部22aが帯もしくは帯部分4、6の幅を越えて配置されている。製造時において、緯糸ループにおけるループ先端部22aは、編成コースのノックオーバーによって保持されるまで、係留部材27(掛け針)に係留され、引き戻しが防止されている。この実施形態は、編成帯を製作した後に、引き離しおよび伸長のために、ループ先端部22aを各帯部分4、6から容易に引く抜くことができるので、特に好適である。この場合、引き離し可能なウェールは不要である。
【0015】
編成帯は、好ましくは1×1リブ編成により製造されている。
【0016】
しかして編成帯は比較的細い形状に、例えば9cmの幅に製造可能であり、その後、図4の上側部分に示されるように、ループ先端部22、22aの伸展によって、例えば50cmの幅に引き伸ばすことができ、この幅は元の幅の数倍にもなる。比較的ルーズなウェール26a、26bが引き離されて取り除かれると、ループ先端部22は、帯部分4、6から引き離されて自在に伸長可能となる。図3の実施形態ではウェールの引き離しが不要であり、伸長可能なループ先端部22aを帯部分から直ちに引き出すことができる。
【0017】
上記のように構成された編成帯は、次に、図5に示されるように、補強部材28として中空体30の内部に配置することができる。この目的のために、編成帯は、折り隅部32を横切るように緯糸8を伸長させた状態で中空体30の内部に配置され、各帯部分4、6は折り隅部32と平行に中空体30の側壁34、36に固着される。この固着は、例えば帯部分4、6を、中空体30の側壁34、36に縫合または接着することによってなされる。編成帯2は、中空体に十分な剛性を付与しながらも、例えば粉、砂糖、穀物等のばら物の充填を妨げることがない。このようにして補強された中空体は、省スペースに貯蔵でき、場合によっては積み重ねることもできる。
【0018】
図1〜図3に示した編成帯2は、それぞれ緯糸によって上記同様に結合された他の帯部分をさらに有することもでき、例えば5つの帯部分と4つの緯糸領域とを有する全体構造に製造することができる。伸長状態の緯糸の長さと帯部分の幅が、中空体の寸法および形状に適合されているとき、このような帯は、図5に示すような中空体を補強する一体構造として利用できる。
【符号の説明】
【0019】
2 編成帯
4 帯部分
6 帯部分
8 緯糸
10 固着区域
12 緯糸ループ
14 コース
16 コース
18 分離区域
20 緯糸ループ
22 ループ先端部
22a ループ先端部
24 編目
26a ウェール
26b ウェール
27 係留部材
28 補強部材
30 中空体
32 折り隅部
34 側壁
36 側壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反復ループ(12、20)状に給糸される少なくとも1本の連続的緯糸(8)によって互いに結合された少なくとも2つの編成帯部分(4、6)を有する編成帯において、
前記緯糸(8)が、前記各帯部分(4、6)に交互に配設された固着区域(10)内で前記各帯部分(4、6)に固着され、かつ、それらの間にある分離区域(18)内では、前記各帯部分(4、6)の間に緯糸ループ(20)として往復案内され、前記緯糸ループ(20)の各ループ先端部(22、22a)が、前記帯部分(4、6)に離脱可能かつ伸長可能に配設されていることを特徴とする編成帯。
【請求項2】
前記緯糸ループ(12)が、前記固着区域(10)内で前記各帯部分(4、6)の全幅に亘って延在することを特徴とする請求項1に記載の編成帯。
【請求項3】
前記緯糸ループ(20)の伸長可能な前記各ループ先端部(22)が、前記分離区域(18)内で、経糸の少なくとも1つのウェール(26a、26b)によって保持され、ウェールの組織が引き離し可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の編成帯。
【請求項4】
前記引き離し可能なウェール(26a)が、それぞれ前記各帯部分の内側に配設されていることを特徴とする請求項3に記載の編成帯。
【請求項5】
前記引き離し可能なウェール(26b)が、それぞれ前記各帯部分の外側に配設されていることを特徴とする請求項3に記載の編成帯。
【請求項6】
伸長可能な前記各ループ先端部(22)が、前記各帯部分(4、6)の幅を越えて配設されていることを特徴とする請求項1〜2のいずれか一項に記載の編成帯。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の編成帯の、可撓性材料から成る中空体(30)の補強部材(28)としての使用であって、前記帯(2)が、伸長可能な前記各ループ先端部(22)を前記各帯部分(4、6)から離脱させかつ伸長させることで拡幅され、さらに、前記帯(2)が、前記中空体(30)の折り隅部(32)を横切るように前記緯糸区域を伸長させた状態で、前記中空体(30)内に配置され、前記各帯部分(4、6)が、前記折り隅部(32)に隣接する中空体(30)の側壁(34、36)に、前記折り隅部(32)と平行に結合されるような使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−507025(P2010−507025A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−532665(P2009−532665)
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【国際出願番号】PCT/CH2007/000515
【国際公開番号】WO2008/046240
【国際公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(500031009)テクスティルマ・アクチェンゲゼルシャフト (22)
【Fターム(参考)】