説明

緩衝扉構造

【課題】両端部が扉本体から突出するほどの大型の緩衝部材を、見栄えを低下させることなく取付けた緩衝扉構造を提供する。
【解決手段】回動式の扉1に緩衝部材4を取付けた緩衝扉構造であって、緩衝部材4を、その基端部41が扉本体2の表側から突出し、その先端部42が扉本体2の裏側から突出する長さとし、基端部41を、扉本体2の表側に取付けられた把手3の内部に侵入位置さる。また緩衝部材4の基端部41を、把手3に螺入組付けする。さらに、緩衝部材4を、基端部41側を構成するシリンダー4aの内部に、先端部42側を構成するピストン4bをバネ4cを介して内装して形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回動式の扉に、閉時における衝撃を緩和するための緩衝部材を設けた緩衝扉構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の出入口や家具、壁内収納(ニッチ)等の開口部に取付けられる回動式の扉において、当該扉を閉じた際に、この扉が扉枠に衝突したときの衝撃を緩和するために、当該扉に緩衝部材を設けたものがある(例えば、特許文献1,2参照)。
【特許文献1】特開2003−184930号公報
【特許文献2】特開昭54−15564号公報
【0003】
これらの公報に記載のものは、緩衝部材を平板状である扉本体に取付けており、特許文献1および2に記載のように、扉の見栄え等を考慮してその長さを扉本体の肉厚程度に短く設定し小型化を図っている。
また、この緩衝部材は、バネを使用したピストン構造(特許文献1)や、油圧機構を利用した構造(特許文献2)といった比較的複雑な構造が必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、バネ等を利用した比較的複雑な構造の緩衝部材を小型化することは、例えば、小さいバネ等を使用する必要があるので充分な緩衝機能を得ることができ難い。また、それだけ高い精度が要求されるため製造が厄介であり、コストが嵩む。
従って、両端部が扉本体から突出するほど大型でコストの低廉な緩衝部材を、見栄えの低下を招くことなく設けることができれば、緩衝機能を高め、かつ、扉全体のコストを抑えることができるので好ましい。
【0005】
そこで、本発明の目的とするところは、両端部が扉本体から突出するほど大型の緩衝部材を、見栄えを低下させることなく取付けた緩衝扉構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の発明は、回動式の扉(1)に緩衝部材(4)を取付け、前記扉(1)を閉じた際に前記緩衝部材(4)の先端を扉受体(5)に弾接させ、その際の衝撃を緩和させる緩衝扉構造であって、前記緩衝部材(4)を、その基端部(41)が前記扉(1)の扉本体(2)の表側から突出し、かつその先端部(42)が前記扉本体(2)の裏側から突出する長さとし、前記基端部(41)を、前記扉本体(2)の表側に取付けられた把手(3)の内部に侵入位置させてなることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、前記緩衝部材(4)の基端部(41)を、前記把手(3)に螺入組付けしてなることを特徴とする。
【0008】
さらに、請求項3に記載の発明は、回動式の扉(1)に緩衝部材(4)を取付け、前記扉(1)を閉じた際に前記緩衝部材(4)の先端を扉受体(5)に弾接させ、その際の衝撃を緩和させる緩衝扉構造であって、前記緩衝部材(4)を、その先端部(42)が前記扉本体(2)の裏側から突出する長さとし、かつその基端部(41)を、前記扉本体(2)の表側に取付けられた把手(3)に別体的又は一体的に組み付けてなることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、前記緩衝部材(4)を、その基端部(41)側を構成するシリンダー(4a)の内部に、先端部(42)側を構成するピストン(4b)をバネ(4c)を介して内装して形成してなることを特徴とする。
【0010】
なお、カッコ内の記号は図面および後述する発明を実施するための最良の形態に記載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1に記載の緩衝扉構造によれば、緩衝部材を、緩衝部材の基端部が扉の扉本体の表側から突出し、かつ前記緩衝部材の基端部とは逆側に位置する同じく緩衝部材の先端部が前記扉本体の裏側から突出する長さとし、前記緩衝部材の基端部を、前記扉本体の表側に取付けられた把手の内部に侵入位置させるので、扉本体の厚みよりも長さの長い、大型の緩衝部材を、見栄えを低下させることなく取付けることができる。
また、緩衝部材を大型化したことにより、それだけ大きなバネ等の部材を使用することができるので、緩衝機能を高めることができる。さらに、大型化した分、高い精度が要求されないので製造が容易でコストを削減することができ、扉全体のコストを抑えることができる。
【0012】
また、本発明の請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の作用効果に加えて、緩衝部材の基端部を把手に螺入組付けするので、当該組付けに工具を使用する必要がない。
従って、組付け作業が容易となる。
【0013】
さらに、本発明の請求項3に記載の発明によれば、緩衝部材を、緩衝部材の先端部が前記扉本体の裏側から突出する長さとし、かつ前記緩衝部材の基端部を、前記扉本体の表側に取付けられた把手に別体的又は一体的に組み付けてなるので、扉本体の厚みよりも長さの長い、大型の緩衝部材を、見栄えを低下させることなく取付けることができる。
また、緩衝部材を大型化したことにより、それだけ大きなバネ等の部材を使用することができるので、緩衝機能を高めることができる。さらに、大型化した分、高い精度が要求されないので製造が容易でコストを削減することができ、扉全体のコストを抑えることができる。
【0014】
また、請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3に記載の発明の作用効果に加えて、緩衝部材を、その緩衝部材の基端部側を構成するシリンダーの内部に、前記緩衝部材の先端部側を構成するピストンをバネを介して内装して形成しているので、バネの弾力によって優れた緩衝効果を得ることができる。
従って、扉を閉じた際の衝撃を効果的に緩和することができる。
【0015】
なお、請求項1乃至4に記載の発明でいう、扉とは、建物に設けられたドアだけでなく、小物入れ用の扉など、家具等あらゆる物の扉が含まれる。また、扉受体には、扉枠,戸当たり,収納ボックスの側板、天地板など扉を受けるものが含まれることを意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1乃至図5を参照して、本発明の実施形態に係る緩衝扉構造について説明する。図1は緩衝扉構造を建物の出入口に取付けた状態を示す斜視図である。図2は当該緩衝扉構造の表側の斜視図であり、図3はその要部断面図である。また、図4は緩衝部材と把手の組付構造を示す分解斜視図であり、図5は緩衝部材の内部構造を示す断面図である。
【0017】
本実施形態に係る緩衝扉構造は、建物の出入口に設けられる回動式の扉1に緩衝部材4を取付けた緩衝扉構造であって、扉本体2、把手3および緩衝部材4を備え、扉1を閉じた際に緩衝部材4の先端を扉枠5に弾接させ、その際の衝撃を緩和するものである。
【0018】
扉本体2は平板状であり、その一方側端部が扉枠5にヒンジ8で回動自在に連結される。緩衝部材4は、その(緩衝部材4の)基端部41が扉本体2の表側から突出し、その(緩衝部材4の)先端部42が扉本体2の裏側から突出する長さを有している。すなわち、緩衝部材4の長さは、扉本体2の板幅よりも長い。そして、緩衝部材4の基端部41を、扉本体2の表側に取付けられた把手3の内部に侵入位置させて取付けられる。
【0019】
この緩衝部材4は、その両端部が扉本体2の両側から突出する長さを有するものの、その基端部41が把手3の内部に侵入位置するので、外から視覚されず、よって見栄えの低下を招かない。
また、こうした大型の緩衝部材4は小型の緩衝部材4と比較して高い精度が要求されないので廉価に製造することができ、よって、扉構造全体のコストを抑えることができる。
【0020】
また、本実施形態に係る緩衝扉構造は、その緩衝部材4の基端部41の外周面に外ネジ6を形成すると共に、把手3の組付筒部3aの内周面に内ネジ7を形成し、両者を螺合することによって基端部41を把手3の内部に侵入位置させている。
従って、緩衝部材4を把手3に工具を使用しないで組付けることができ、組付け作業が容易となる。
【0021】
なお、緩衝部材4と把手3の組付けは螺合に限定されるものではなく、ボルトとナットなどの一般的な締結手段によって行うことができる。
さらに、本実施形態では、緩衝部材4を、基端部41側を構成する円筒状のシリンダー4aの内部に、先端部42側を構成する丸棒状のピストン4bを渦巻きバネ4cを介して内装し形成している。
従って、扉1を閉じた際に、ピストン4bの先端が扉枠5に弾接し、その際の衝撃を効果的に緩和することができる。
【0022】
なお、緩衝部材4の構成は、本実施形態のものに限定されるものではなく、油圧機構を利用したものなど、その他の構成のものを使用することができる。
また、本発明に係る緩衝扉構造は建物の扉のみでなく、家具等あらゆる物の扉として使用することができる。
【0023】
また、本実施形態では、緩衝部材4の基端部41を、把手3の内部に侵入位置させたが、特に内部に侵入させることなく、緩衝部材4の基端部41を把手3に組み付けるようにしてもよい。その際、緩衝部材4と把手3とは別体的(別体型)にしてもよいし、一体的(一体型)に成形したものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係る緩衝扉構造を建物の出入口に取付けた状態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す緩衝扉構造の表側の斜視図である。
【図3】図1に示す緩衝扉構造の要部断面図である。
【図4】図1に示す緩衝扉構造における緩衝部材と把手の組付構造を示す分解斜視図である。
【図5】図1に示す緩衝扉構造における緩衝部材の内部構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 扉
2 扉本体
3 把手
3a 組付筒部
4 緩衝部材
4a シリンダー
4b ピストン
4c バネ
5 扉枠
6 外ネジ
7 内ネジ
8 ヒンジ
41 基端部
42 先端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回動式の扉に緩衝部材を取付け、前記扉を閉じた際に前記緩衝部材の先端を扉受体に弾接させ、その際の衝撃を緩和させる緩衝扉構造であって、
前記緩衝部材を、その基端部が前記扉の扉本体の表側から突出し、かつその先端部が前記扉本体の裏側から突出する長さとし、
前記基端部を、前記扉本体の表側に取付けられた把手の内部に侵入位置させてなることを特徴とする緩衝扉構造。
【請求項2】
前記緩衝部材の基端部を、前記把手に螺入組付けしてなることを特徴とする請求項1に記載の緩衝扉構造。
【請求項3】
回動式の扉に緩衝部材を取付け、前記扉を閉じた際に前記緩衝部材の先端を扉受体に弾接させ、その際の衝撃を緩和させる緩衝扉構造であって、
前記緩衝部材を、その先端部が前記扉本体の裏側から突出する長さとし、かつその基端部を、前記扉本体の表側に取付けられた把手に別体的又は一体的に組み付けてなることを特徴とする緩衝扉構造。
【請求項4】
前記緩衝部材を、前記基端部側を構成するシリンダーの内部に、前記先端部側を構成するピストンをバネを介して内装して形成してなることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一つに記載の緩衝扉構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−9457(P2006−9457A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−189669(P2004−189669)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(000145437)株式会社ウッドワン (70)