説明

緩衝材

【課題】非梱包物の保護性能が優れた緩衝材を提供すること。
【解決手段】本発明の緩衝材は、空気調和機の室内機1の内部に設けられているフィルター12に沿って設けられる緩衝材13であって、一枚の板紙の一端を複数回折り曲げて構成される筒状の第1の折り曲げ部24を備え、第1の折り曲げ部24がフィルターの下端側となるように緩衝材13を配置し、第1の折り曲げ部24においてフィルターと対向する箇所に、フィルターを抑える突起部11を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離型空気調和機の室内機等の梱包に用いられる緩衝材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から空気調和機の室内機は、輸送時等の衝撃を和らげるために、室内機101の両端部に外装緩衝材102を当てがい、筒状の外箱103に収納し、結束バンド104で結束して梱包を行っている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−170452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の技術では、非梱包物である室内機の外部からの衝撃は防げるものの、近年の室内機の高機能化に伴い、室内機内部の駆動部品が増加傾向にあるため、室内機内部への影響を抑制することはできないという課題を有していた。
【0005】
それに対して、内部の駆動部品などをテープで固定して輸送するという手段もあるが、テープで貼り付けた場合、設置工事時にテープを取り忘れてしまい、そのまま運転を開始すると不具合が発生してしまう。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、非梱包物の保護性能が優れた緩衝材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の緩衝材は、空気調和機の室内機の内部に設けられているフィルターに沿って設けられる緩衝材であって、一枚の板紙の一端を複数回折り曲げて構成される筒状の第1の折り曲げ部を備え、第1の折り曲げ部がフィルターの下端側となるように緩衝材を配置し、第1の折り曲げ部においてフィルターと対向する箇所に、フィルターを抑える突起部を設けたことにより、輸送時の振動によってもフィルターへ与える衝撃を抑制することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、非梱包物の保護性能が優れた緩衝材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1における緩衝材の分解図
【図2】同実施の形態1における緩衝材の組み立て図
【図3】同実施の形態1におけるAA断面図
【図4】同実施の形態1におけるフィルター分解図
【図5】同実施の形態1における緩衝材取り付け図
【図6】同実施の形態1における緩衝材取り付け図
【図7】同実施の形態1におけるBB断面図
【図8】同実施の形態1における緩衝材取り付け作業図
【図9】同実施の形態1における梱包装置の分解図
【図10】従来の梱包装置の分解図
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の発明の緩衝材は、空気調和機の室内機の内部に設けられているフィルターに沿って設けられる緩衝材であって、一枚の板紙の一端を複数回折り曲げて構成される筒状の第1の折り曲げ部を備え、第1の折り曲げ部がフィルターの下端側となるように緩衝材を配置し、第1の折り曲げ部においてフィルターと対向する箇所に、フィルターを抑える突起部を設けたことにより、輸送時の振動によってもフィルターへ与える衝撃を抑制することができる。
【0011】
第2の発明の緩衝材は、特に第1の発明において、第1の折り曲げ部の端部に段差部を設け、室内機の前面枠に形成される空間に、段差部を差し込む構成としたことにより、緩衝材自体の移動を防止し、突起部が常にフィルターの一定位置を押さえることができ、さらにテープなどで固定する作業を廃止できるので、組み立て作業性を向上することができる。
【0012】
第3の発明の緩衝材は、特に第1または第2の発明において、一端に第1の折り曲げ部を設けた板紙の他端に第2の折り曲げ部を備え、第2の折り曲げ部を、フィルターの上端と室内機の前面枠との間の空間に配置したことにより、フィルターを確実に固定することができる。
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における空気調和機の室内機の緩衝材の分解図であり、図2は、同緩衝材の組み立て斜視図である。なお、図1において、点線は谷折りを示し、実線は山折りを示す。本実施の形態における室内機1の内部に入れる緩衝材13は、一枚のダンボール等の板紙を折り曲げて構成されている。なお、本実施の形態では一枚の板紙を折り曲げて構成するが、これに限定されることはなく、複数の板紙を組み合わせて構成しても問題は無い。
【0015】
図1に示すように、一枚の板紙を点線で谷折り、実線で山折りして、板紙の上下両端を折り曲げて、図2に示すように緩衝材を作る。
【0016】
まず、緩衝材13の下端について説明する。緩衝材13の下端を点線部で谷折りを4回繰り返すことによって、筒状の第1の折り曲げ部24を作る。特に、強度を持たせるために、図1に示す第一面51と第五面55とが接するように折り曲げ、第五面55を切り起こして設けたツメ5を、第二面52に設けた挿入穴8に挿入することによって、第1の折り曲げ部24を形成している。
【0017】
なお、図1に示すように、一枚の板紙を折り曲げて緩衝材を作っているが、それぞれの折り曲げによって形成される面を、板紙の下端から第一面51、第二面52、第三面53、第四面54、第五面55、第六面56、第七面57、第八面58として、説明を行う。
【0018】
また、第四面54と第五面55の一部に切込み10を入れ、第四面54と第五面55との間に形成されている折り曲げ線とは異なる折り曲げ線9を設けて、フィルター側に凸形状となる突起部11を作る。
【0019】
本実施の形態では、図1および図2に示すように、切込み10を4箇所に設け、左右両
端部の切込み10と板紙の端部との間に折り曲げ線9を設けて、左右に突起部11を作る。さらに、中央付近に2つの切込み10を設けて、中央部に設けた切込み10同士の間に折り曲げ線9を設けて、中央に突起部11を作る。このようにして、3つの突起部11をフィルター12に対向する位置に形成する。なお、折り曲げ線9は平行に二本設けており、一方を山折り、他方を谷折りとすることで突起部11が形成されている。
【0020】
次に、緩衝材13の上端について説明する。緩衝材13の上端についても点線部で谷折りを2回行うことによって、三角柱状の第2の折り曲げ部25を作る。そして、第八面58に切り欠き部7を設け、第六面56を切り起こして設けたツメ6を切り欠き部7に引っ掛けることによって第2の折り曲げ部25が形成される。
【0021】
図3は図2のAA断面図であり、図4は空気調和機の室内機の前面パネル15を開けた状態の斜視図である。図5、図6は、室内機へ緩衝材13を取り付けた状態を示した取り付け図である。図7は図6のBB断面図である。
【0022】
図4に示すように、フィルターは横方向および縦方向に桟が設けられており、桟と桟で区画される箇所にネットを設けてフィルターを構成している。そして、図3に示すように、緩衝材13をくの字形状に折り曲げて、図4および図5に示すように、フィルター12の形状に沿って、フィルター12の上方から緩衝材13を載置し、フィルター12と前面パネル15との間に緩衝材13を介在させている。
【0023】
つまり、フィルター12の上に緩衝材13を置き、さらに緩衝材13の上から前面パネル15を閉めることによって、フィルター12を緩衝材13の突起部11で押さえつけるので、フィルター12を固定することができる。なお、突起部11はフィルター12のネットを破らないように、フィルター12の桟の部分を押さえる位置に形成している。なお抑える桟は縦方向の桟であっても、横方向の桟であってもよく、力を加えても損傷させない箇所を押さえる構成となればよい。
【0024】
図3に示すように、第1の折り曲げ部24の形状は、第五面55よりもフィルター側に凸形状となる三角形状をしており、その頂点部分でフィルター12を押さえている。
【0025】
また、本実施の形態では、図2に示すように、緩衝材13を組み立てた際に、フィルター12と前面パネル15との間に配置される箇所に、段差部21を設けている。具体的には、緩衝材13の右端に第三面53から段差を設けて切り欠き、段差部21を設けている。なお、段差部21を設ける箇所は、本実施の形態では右端に設けているが、これに限定されることはなく、左端に設けてもよいし、両方に設けてもよい。
【0026】
このように設けた段差部21は、緩衝材13を室内機1の内部に取り付ける際に、室内機1の前面枠に固定される。図8は、緩衝材13を室内機1へ取り付ける際の作業状態図である。図8に矢印で示すように、まず、段差部21を前面枠16に形成された空間に差し込む。その後、前面枠に差し込んだ側と反対側(本実施の形態では、緩衝材13の左端)をフィルター12側へ押し込む。
【0027】
このようにすることで、段差部21が前面枠16の空間に差し込まれて固定されるので、輸送時の衝撃等によって緩衝材13が外れてしまうことを大幅に軽減することができる。さらに、緩衝材13を固定する作業をテープ等の別部材を使わずとも可能であるため、作業性が向上し、また、設置時にはテープ等のとり忘れを防ぐことができる。
【0028】
また、本実施の形態では、第2の折り曲げ部25を備えており、第2の折り曲げ部25はフィルターの上端側へ配置される。そして、フィルター12と前面枠16との間に形成
されている隙間を埋めるように、配置される。このようにすることで、フィルター12の外れを上側からも抑制することができる。
【0029】
そして、図9に示すように、室内機1の支持および保護を行う緩衝材13を組み入れた後は、ナイロンなどの袋22に室内機1を入れ、発砲材やダンボールなどの紙材で形成された外側緩衝材2を左右方向から覆い、ダンボールなどの筒状に形成された外箱3に、室内機1と外側緩衝材2とを挿入し、最後に結束バンド4で結束して梱包を完了させる。
【0030】
以上のように、本実施の形態では、室内機の内部の構成部品の移動を抑制し、室内機1の損傷を抑制することができる緩衝材を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明に係る緩衝材は、被梱包物の内部の保護性に優れ、機器内部の部品を固定する梱包装置の用途に適している。
【符号の説明】
【0032】
11 突起部
12 フィルター
13 緩衝材
15 前面パネル
16 前面枠
21 段差部
24 第1の折り曲げ部
25 第2の折り曲げ部
51 第一面
52 第二面
53 第三面
54 第四面
55 第五面
56 第六面
57 第七面
58 第八面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機の室内機の内部に設けられているフィルターに沿って設けられる緩衝材であって、一枚の板紙の一端を複数回折り曲げて構成される筒状の第1の折り曲げ部を備え、前記第1の折り曲げ部が前記フィルターの下端側となるように前記緩衝材を配置し、前記第1の折り曲げ部において前記フィルターと対向する箇所に、前記フィルターを抑える突起部を設けたことを特徴とする緩衝材。
【請求項2】
前記第1の折り曲げ部の端部に段差部を設け、前記室内機の前面枠に形成される空間に、前記段差部を差し込む構成としたことを特徴とする請求項1に記載の緩衝材。
【請求項3】
一端に第1の折り曲げ部を設けた前記板紙の他端に第2の折り曲げ部を備え、前記第2の折り曲げ部を、前記フィルターの上端と前記室内機の前面枠との間の空間に配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の緩衝材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−86865(P2012−86865A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234328(P2010−234328)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】