説明

緩衝特性を備えたクッション

本発明は、サイクルパンツに用いられる、緩衝特性を備えたクッションであって、該クッションが、外側被覆体およびコア、ならびに該外側被覆体とコアとの間に配置された少なくとも1つの層を有している形式のクッションに関する。コア(3)および層(4)が、少なくとも1つの充填材料から形成されており、該充填材料が、互いに異なる硬度を有していて、コア(3)および/または層(4)が、膨張によってその緩衝特性を変更可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイクルパンツ(自転車用ズボン)に用いられる緩衝特性を備えたクッションであって、該クッションが、外側被覆体およびコア、ならびに外側被覆体とコアとの間に配置された少なくとも1つの層を有している形式のクッションに関する。
【0002】
緩衝特性を備えたクッションは、多様な形態で知られている。最も単純な形では、このクッションは発泡材から成る充填材を有している。この充填材は、布地またはプラスチックにより取り囲まれている。クッションは、通常はシートクッションとして機能する。さらに、単に気密な外側被覆体から成っていて、封入された空気によって緩衝が行われる単純な空気クッションが知られている。吹き込みによって膨張可能なクッションは、たとえばシート面等のような、パッドを詰められるべき物体内に配置されている。膨張可能な空気クッションは、衣類の断熱材としても使用される。
【0003】
上記クッションの構造は、単純に構成されている。そのため、上記クッションは比較的に低い緩衝特性しか有していないか、もしくはその取扱いが困難である。特に、空気を充填されたクッションは、外側被覆体の破損時に空気が漏れ出ることがあり、緩衝特性が失われるという問題を有している。損傷は、しばしば、特に本明細書で考察されるサイクルパンツにおいて生じる。なぜならば、薄い外側被覆体を備えたパッドが、股の著しく強く負荷される領域に配置されているからである。
【0004】
そこで本発明はここで解決手段を提供するものである。本発明の根底を成す課題は、サイクルパンツに用いられる緩衝特性を備えたクッションを提供することであり、クッションが、一方では高い緩衝度を有しており、さらにその緩衝特性を変更可能である。この課題を解決した本発明による構造では、コアと、層とが、少なくとも1つの充填材料から形成されていて、充填材料が、互いに異なる硬度を有していて、コアおよび/または層が、膨張によってその緩衝特性を変更可能である。
【0005】
本発明によれば、サイクルパンツに用いられる緩衝特性を備えたクッションが提供される。この場合、クッションは、変更可能な緩衝特性を有している。内部に充填材料が配置された膨張可能な層内への空気の供給によって、緩衝特性を高めるか、または緩衝特性を減じることができる。空気の供給はクッションの膨張をもたらし、これによって、緩衝特性が向上する。これとは逆に、空気の排出は、緩衝特性の減少と同時にクッションの体積の減少をもたらす。
【0006】
本発明の実施形態では、充填材料はシリコーンである。シリコーンを充填材料として使用することにより、シリコーンが、液体、ゴムまたはエラストマとして広範囲に使用可能であり、したがって充填材料として幅広い多様性が提供される、という利点が得られる。
【0007】
本発明の別の実施形態では、充填材料が連続気泡の発泡材である。連続気泡の発泡材を使用することで、発泡材を空気の供給により膨張させ、これにより緩衝特性の変更を生ぜしめる特別な可能性を提供する。
【0008】
有利には弁が設けられている。この弁により、口で空気をクッションに吹き込む可能性が生じる。同様に要望に応じて、弁を使用して空気をクッションから排出する可能が生じる。
【0009】
有利には、コアおよび/または層が、自己膨張性である。自己膨張機能を有するクッションでは、圧縮された状態では、コアおよび/または層に空気が含まれていない。弁が開放するやいなや、使用された弾性的な充填材料が膨張して、これによってクッションは再び元々の形状を占める。この際に、空気が充填材内に吸い込まれる。この空気は、弁が閉じている限り、充填材料内に留まる。弁の開放と同時に、クッションに圧力を作用させることによって、空気はコアおよび/または層から再び漏れ出る。
【0010】
本発明の別の実施形態および改良形は、別の従属請求項から判る。本発明の実施例を図面に示し、以下に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】膨張された状態の本発明によるクッションの概略的な断面図である。
【図2】部分的にしか膨張されていない状態の、図1に示したクッションの概略的な断面図である。
【0012】
例示的な実施形態として選択されたクッション1は、外側被覆体2と、コア3とを有している。外側被覆体2とコア3との間には、層4が配置されている。クッション1は、弁5を備えていて、この弁5は、外側被覆体2および層4を貫通し、したがってコア3内に突入している。弁5は、口で空気を吹き込んで膨張させるために設けられている。本実施形態の変化形では、弁5が逆止弁として形成されていてもよい。
【0013】
本実施形態では、外側被覆体2は、通気性を有して形成されている。外側被覆体2は、負荷ならびにクッションの膨張による形状変更に対して撓むことができるように伸張可能である。コア3および層4は、少なくとも1つの充填材料から形成されている。コア3および層4は、互いに異なる硬度を有している。本実施形態では、層4のための充填材料は固体のシリコーンであり、コア3のための充填材料は、発泡シリコーンである。コア3の発泡シリコーンは、気泡を含んでいる。これらの気泡は、図面に符号「6」で示されている。
【0014】
本実施形態の変化形では、外側被覆体2とコア3との間に複数の層4を設けることも可能である。その場合、個別の層は、同じく互いに異なる硬度を有していてよい。これによって、たとえば、図面に示された実施形態と同等に、コア3を発泡シリコーンから形成し、被覆体2に隣接した外側の層を固体のシリコーンから製造することが可能である。コア3と外側の層4との間には、充填材料として液体のシリコーンを有する別の層(図示せず)が配置されていてもよい。本実施形態の変化形では、発泡シリコーンの箇所に連続気泡(offenporig)の発泡材を使用することもできる。連続気泡の発泡材は、たとえばポリウレタン発泡材であってよい。ポリエーテル発泡材の使用も可能である。
【0015】
コア3は、本実施形態では、膨張によってその緩衝特性を変更可能である。このためには、図1に示された矢印7に相応して、空気が弁5を通じてコア3内に吹き込まれ得る。これによって、クッションが膨張し、これによりその緩衝特性が改善されている。これとは反対に、クッションの体積を減じ、かつ緩衝特性を減じるためには、図2に示された矢印8が示唆するように、空気が弁5を通じて排出され得る。コア3および/または層4は自己膨張性に形成することが可能である。この場合、簡単な形式で弁5が開放され得る。これによって、クッション1の体積の増大を可能にすることができる。したがって、たとえば搬送のためには、クッションを圧縮しておいて、弁を閉じることができる。クッション1を使用するためには、弁5が開放される。これによって、コア3内の充填材料は、本実施形態によれば、自然な膨張の結果として拡大し、空気がコア3内に吸い込まれる。したがって、弁を閉じた後には、クッションの改善された緩衝特性が生じている。
【0016】
クッション1は、サイクルパンツ内のパッドとして使用される。クッション1はサイクルパンツの股に配置されている。このような配置は、たとえば米国特許第6928665号明細書から公知である。クッションは、最も簡単な形態では、サイクルパンツの股部分を覆う会陰領域を有している。ズボンに設けられたサドル部分を覆う臀部領域も設けられている。緩衝特性自体の改善の他に、本発明によるクッションでは、内部に充填材料を配置された膨張可能な層への空気の供給によって、緩衝特性の変更が可能である。したがって、サイクルパンツ内の公知のパッドでは緩衝の変更が可能ではないのに対して、各自転車競技者の感覚に緩衝特性を適合させることが初めて可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイクルパンツに用いられる、緩衝特性を備えたクッションであって、該クッションが、外側被覆体およびコア、ならびに該外側被覆体とコアとの間に配置された少なくとも1つの層を有している形式のクッションにおいて、
コア(3)および層(4)が、少なくとも1つの充填材料から形成されており、該充填材料が、互いに異なる硬度を有していて、コア(3)および/または層(4)が、膨張によってその緩衝特性を変更可能であることを特徴とする、サイクルパンツに用いられる緩衝特性を備えたクッション。
【請求項2】
充填材料がシリコーンである、請求項1記載のクッション
【請求項3】
充填材料が、連続気泡の発泡材である、請求項1記載のクッション。
【請求項4】
口で吹き込んで膨張させるための弁(5)が設けられている、請求項1から3までのいずれか1項記載のクッション。
【請求項5】
弁(5)が、逆止弁である、請求項1から4までのいずれか1項記載のクッション。
【請求項6】
コア(3)および/または層(4)が、自己膨張性である、請求項1から5までのいずれか1項記載のクッション。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−507539(P2013−507539A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533532(P2012−533532)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【国際出願番号】PCT/EP2010/006336
【国際公開番号】WO2011/045082
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(504303687)エクス−テクノロジー スイス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (23)
【氏名又は名称原語表記】X−Technology Swiss GmbH
【住所又は居所原語表記】Samstagernstrasse 45, CH−8832 Wollerau, Switzerland
【Fターム(参考)】