説明

縦型丁合機システム

【課題】制御構成を簡素化し、拡張性が高い制御構成を実現することができる縦型丁合機システムを提供する。
【解決手段】縦型丁合機1Aは縦型丁合機1A、1B、1Cの全体を制御する基板20と縦型丁合機1Aの各棚の給紙段を制御する棚制御基板21Aを備え、縦型丁合機1B、1Cは各棚の給紙段を制御する棚制御基板21B、21Cを備えている。そして、制御基板20は棚制御基板21A、21B、21Cから通知された、各縦型丁合機1A、1B、1Cの給紙段の用紙の積載状況に基づいて各縦型丁合機1A、1B、1Cの給紙段からの給紙タイミングを調整して、棚制御基板21A、21B、21Cに各棚の給紙信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数連の縦型丁合機を備えた縦型丁合機システムに関する。
【背景技術】
【0002】
丁合機として、縦方向に複数段の給紙段を有する縦型丁合機が知られている。このような縦型丁合機は高さに制限があるために給紙段の段数が大きく取れないことがあり、頁数の多い用紙の丁合には縦型丁合機を複数列直列に連結して各縦型丁合機で丁合された用紙束を順次重ね合わせて用紙集積部に排出し、必要な頁数の用紙束を形成している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
図3(a)は従来の縦型丁合機を複数連備えた縦型丁合機システムの一例であり、各縦型丁合機51〜53が制御基板51A〜53Aを搭載し、お互いの縦型丁合機がタイミングをとりながら、複数の縦型丁合機を用いた丁合を制御している。
【0004】
この縦型丁合機システムにおいて丁合を行う場合、縦型丁合機51の制御基板51Aから一番後ろの縦型丁合機53の制御基板53Aに丁合開始信号(x)が送られ、この縦型丁合機53の制御基板53Aは丁合を行いながら次の縦型丁合機52が給紙するタイミングで縦型丁合機52の制御基板52Aに丁合開始信号(y)を送る。そして、同様に、縦型丁合機52の制御基板52Aは丁合を行いながら次の縦型丁合機51が給紙するタイミングで縦型丁合機51の制御基板51Aに丁合開始信号(z)を送る。
【0005】
このとき、後ろの縦型丁合機は前の縦型丁合機の紙を搭載している状況を把握し、丁合開始信号を送るタイミングを調整する必要がある。すなわち、複数連の縦型丁合機に紙が全段積んであると、図3(b)に示すように、きれいに重なった状態で出てくるが、例えば、図3(a)に示すように、縦型丁合機51の棚α、縦型丁合機52の棚β、γ、及び、縦型丁合機53の棚δにのみ紙が積んである状態で、全段積んであるのと同じタイミングで給紙すると、図3(c)に示すように紙と紙の間に隙間があいてしまう。
【0006】
このような隙間が空くことをなくすために、縦型丁合機53は縦型丁合機51、52の空いている棚数を把握し、その分のタイミングを遅らせて給紙する。また、縦型丁合機52は自分の連の紙が重なるようにタイミング調整しながら、縦型丁合機51の積んである棚の位置の分、給紙タイミングを遅らせる。このようにすることにより、図3(d)に示すように、紙を均等に重ね合わせることができる。
【0007】
さらに、ブロック給紙(中綴じ機用に何枚かを分割して送る機能)やバリアブル給紙(1回の給紙ごとに給紙する棚を変える機能)のときにはさらに複雑な制御をする必要がある。
このように、お互いの縦型丁合機がタイミングをとりながら複数連の縦型丁合機を用いた丁合を制御する方法では、1つの縦型丁合機での制御は簡単であるが、複数連の縦型丁合機を連動させると、縦型丁合機毎の給紙タイミングの制御が複雑となり、拡張性を阻害していた。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたもので、制御構成を簡素化し、拡張性が高い制御構成を実現することができる縦型丁合機システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の縦型丁合機システムは、縦型丁合機毎に縦型丁合機制御用基板を搭載せず、複数連で一つの縦型丁合機のみに複数連の縦型丁合機全体を制御する基板を搭載するとともに、各縦型丁合機には各棚の給紙段を制御する棚制御基板を配置することにより、全体を制御する基板が給紙タイミングを制御し、各縦型丁合機の棚制御基板に給紙を指示することで丁合を実現させるようにした。
【発明の効果】
【0010】
本発明の縦型丁合機システムによれば、全体を制御する基板から各棚に給紙指示を出すことにより、シンプルで拡張性の高い制御構成を実現させることができるので、棚数や積み量の違う縦型丁合機や棚を組み合わせても制御が可能となり、複雑な制御を実現させることができる。
また、複数連の給紙棚を1箇所の基板で制御することができるので、制御が非常に簡単になるとともに、拡張性にすぐれ、給紙パターンの変更などにも対応しやすく、後ろにつながる縦型丁合機は各棚を制御する機能のみを搭載するので、基板構成をシンプルにすることができる。
【実施例】
【0011】
図1は本発明の縦型丁合機システムの実施例を示す図であり、図に示すように、3列の縦型丁合機1A、1B、1Cを直列に連結している。そして、縦型丁合機1Aは縦型丁合機1A、1B、1Cの全体を制御する基板20と縦型丁合機1Aの各棚の給紙段を制御する棚制御基板21Aを備え、縦型丁合機1B、1Cは各棚の給紙段を制御する棚制御基板21B、21Cを備えている。
【0012】
縦型丁合機1A、1B、1Cは制御基板を除いて同様な構造を備えており、その具体的構造について図2により説明する。
これらの縦型丁合機1A、1B、1Cは縦方向に8段の給紙段2a〜2hを備えている。各給紙段には給紙ローラ3a〜3hが配置されており、縦方向送りローラ4a〜4hを介して縦方向搬送ベルト5に用紙を給紙する。縦方向搬送ベルト5は、上下に配置された縦方向搬送ベルト用駆動ローラ6a、6bにより駆動される。各給紙段から給紙された用紙は頁順に丁合されて用紙束が形成され横方向搬送ベルト7により搬送される。
【0013】
横方向搬送ベルト7は、横方向搬送ベルト用駆動ローラ8a、8bにより駆動される。横方向搬送ベルト7の回転方向は、当該駆動ローラ8a、8bの回転方向を切り替えることにより時計回り方向と反時計回り方向のいずれかの方向に選定できる。9は丁合された用紙束を加圧して横方向搬送ベルト7から搬出するための加圧ローラ、10は横方向送りローラ、11は縦方向搬送ベルト5から横方向搬送ベルト7に搬送される用紙束の搬送経路を左右に切り替える切り替えゲートである。横方向搬送ベルト7の回転方向は、切り替えゲート11による用紙束の搬送経路の切り替えに応じて時計回り方向と反時計回り方向のいずれかの方向に選定される。
【0014】
そして、縦型丁合機1A、1B、1Cを直列に連結する場合、図1に示すように、各縦型丁合機1A、1B、1Cで丁合された用紙束が、横方向搬送ベルト7A〜7Cで同一の方向に搬送されるように各切り替えゲート11A〜11Bを切り替える。
【0015】
一方、棚制御基板21A、21B、21Cは自己の各給紙段2a〜2hに用紙が積まれているか否かをセンサ(図示せず)により常時検出しており、これらの用紙の積まれている状況を制御基板20に信号線22を介して通知する。
そして、制御基板20は基板21A、21B、21Cから通知された、各縦型丁合機1A、1B、1Cの給紙段の用紙の積載状況に基づいて各縦型丁合機1A、1B、1Cの給紙段からの給紙タイミングを調整して、棚制御基板21A、21B、21Cに各棚の給紙信号を出力する。
【0016】
すなわち、制御基板20は、縦型丁合機1Cの各給紙段2a〜2hの用紙の積載状況に基づいて棚制御基板21Cに各給紙段2a〜2hの給紙信号を出力し、次に、縦型丁合機1Cで丁合された用紙束PCが縦型丁合機1Bの切り替えゲート11Bを通過するタイミングで、縦型丁合機1Bで丁合された用紙束PBが用紙束PCに重ねられるように、縦型丁合機1Bの各給紙段2a〜2hの用紙の積載状況に基づいて縦型丁合機1Bの各給紙段2a〜2hの給紙信号を棚制御基板21Bに出力する。
【0017】
同様にして、制御基板20は、重ねられた用紙束PCと用紙束PBが横方向搬送ベルト7Aで搬送され、縦型丁合機1Aの切り替えゲート11Aを通過するタイミングで、縦型丁合機1Aで丁合された用紙束PAが当該用紙束PCと用紙束PBに重ねられるように、縦型丁合機1Aの各給紙段2a〜2hの用紙の積載状況に基づいて縦型丁合機1Aの各給紙段2a〜2hの給紙信号を棚制御基板21Aに出力する。
このようにして直列に連結された各縦型丁合機1A、1B、1Cで丁合された用紙束は、PC、PB、PAの順で順次重ねられて最終段の縦型丁合機1Aから排出され、用紙束集積部12に集積される。
【0018】
以上のように、縦型丁合機1Aの制御基板20は、各縦型丁合機1A、1B、1Cの紙積載状況を全て把握しているので給紙タイミングの調整が容易であり、また、縦型丁合機1Aの制御基板20が各棚制御基板21A21B、21Cに給紙信号を出し、他の縦型丁合機は各棚に出された給紙信号を見て給紙するのみであるので、基板構成をシンプルにすることができる。
【0019】
なお、上記の実施例では、縦型丁合機を3連連結した縦型丁合機システムについて説明したが、連数、棚の段数は任意に変更することが可能であり、また、上記の実施例では、先頭の縦型丁合機1Aに複数連の縦型丁合機全体を制御する基板を搭載したが、他の縦型丁合機1B、1Cに複数連の縦型丁合機全体を制御する基板を搭載することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の縦型丁合機システムを示す図である。
【図2】縦型丁合機の具体的構造を示す図である。
【図3】従来の縦型丁合機システム及び用紙束の丁合状態を説明するための図である。
【符号の説明】
【0021】
1A、1B、1C 縦型丁合機
20 基板
21A、21B、21C 棚制御基板
2a〜2h 給紙段
3a〜3h 給紙ローラ
4a〜4h 縦方向送りローラ
5 縦方向搬送ベルト
6a、6b 縦方向搬送ベルト用駆動ローラ
7 横方向搬送ベルト
8a、8b 横方向搬送ベルト用駆動ローラ
9 加圧ローラ
10 横方向送りローラ
11 切り替えゲート
12 用紙束集積部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定頁の紙葉を一枚ずつ給紙する給紙段が上下方向に複数段に配置された縦型丁合機を複数連備えた縦型丁合機システムであって、
上記複数連の縦型丁合機が、複数連の縦型丁合機全体を制御する基板を備えた1つの縦型丁合機と、各棚の給紙段を制御する棚制御基板を有する他の縦型丁合機よりなり、上記複数連の縦型丁合機全体を制御する基板が各縦型丁合機の上記棚制御基板に給紙信号を出力することを特徴とする縦型丁合機システム。
【請求項2】
請求項1に記載の縦型丁合機システムにおいて、各縦型丁合機の棚制御基板が各給紙段の紙積載状況を上記複数連の縦型丁合機全体を制御する基板に通知することを特徴とする縦型丁合機システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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