説明

縦型信号灯器の支持装置

【課題】当初の設置状態を維持し、経時変化の少ない堅牢な、縦型信号灯器の支持装置を提供する。
【解決手段】支柱に片持ち梁状に支持させた一対の、断面円形の支持腕S,Saに縦型信号灯器Lを支持させる装置で、上下方向に沿う両側に側部片1b,1bを相対設した中央部片1aの表面に半円状の凹入部6,6´を並設して取付け枠1を構成する。取付け枠1の中央部片1aと、凹入部を並設した挟持体を、各凹入部6,6´に係合させた、支持腕S,Saを介して、支持腕S,Saを通じた止着ボルト7と締付けボルト7Aで締付けて、取付け枠1を支持腕S,Saに取付ける。取付け枠1の側部片1bの下部に透孔8Bを、上部に透孔8Bを中心とする円周上に沿う長孔8Cを設け、透孔8Bと長孔8Cに、ナット17B,17Cを締付けるボルト7B,7Cを貫通させて側部片間に支持筒2を取付け、支持筒2の両端部に取付けた支承片3,3間に信号灯器Lを取付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦方向に並ぶ複数個の色灯を備えた信号灯器の支持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
寒冷地などにおいて用いられる信号灯器は、積雪を少なくするために、色灯を縦方向に並べた、所謂縦型信号灯器が用いられているが、該信号灯器を街路に設置するには、支柱に片持ち梁状に支持させた支持腕に、断面コ形の支持基枠を、ボルトとナットを用いて締付け、該支持基枠の側部片間に係合して角度調節自在に組付けた支持杆に、信号灯器を上下両端に取付けた支承片を介して組付けた構造のものがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4233519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来例は、これまで支柱に直付けしていた構造のものと較べ、樹木などの障害物の存在を吸収して適用できる利便性を備えたものであるが、円筒状の支持筒にボルトとナットで締付けた支持基枠に信号灯器等の荷重が負荷する構造になっているので、前記ボルトとナットによる締付けが、風圧等による経時変化や締付けの誤作業等によって緩くなると、該支持基枠が支持筒の断面円形に沿って回ってしまい、当初の設置状態を維持できなくなり、その結果、色灯の射光方向が変り、交通に支障を来たすおそれがある。
【0005】
本発明は、このような従来例に鑑みて創案したもので、当初の設置状態を確実に維持し、経時変化の少ない堅牢な支持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
支柱に片持ち梁状に支持させた上下一対の、断面円形の支持腕に縦型信号灯器を支持させる装置であって、上下方向に沿う両側に側部片を相対設した中央部片の表面に上下一対の半円状の凹入部を並設して取付け枠を構成し、該取付け枠の中央部片と、上下一対の半円状の凹入部を並設した挟持体を、対応する前記各凹入部に部分的に係合させた、前記一対の支持腕を介して、該支持腕を通じた止着ボルトと締付けボルトで互いに締付けて、前記取付け枠を前記支持腕に取付けると共に、取付け枠の前記側部片の下部に透孔を、上部に該透孔を中心とする円周上に沿う長孔をそれぞれ設け、これら透孔と長孔に、それぞれナットを螺合して締付けるボルトを貫通させて前記側部片間に係合した角筒状の支持筒を取付け、該支持筒の上下両端部に回動自在に取付けた支承片間に信号灯器を介在させて取付けた構成としたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、縦型信号灯器を組付けた取付け基枠は、上、下一対の、断面円形支持腕を挟持した状態で該支持腕に取付けた構成を採るから、支持腕を確実に挟持し、信号灯器等の荷重の負荷に影響されず、当初の状態を確実に維持した、経時変化のない縦型信号灯器の支持装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第一実施形態の正面図。
【図2】図1の平面図。
【図3】図2のx−x線拡大断面図。
【図4】図3の平面図。
【図5】図3の一部拡大図。
【図6】図3で示す第一実施形態に対応させて示した第二実施形態の断面図。
【図7】図6の平面図。
【図8】図6の一部拡大図。
【図9】取付け枠の正面図。
【図10】図9の平面図。
【図11】図9の底面図。
【図12】図9の左側面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る縦型信号灯器の支持装置は、図1、図2で示すように、歩道上に立設した支柱Pに鋼製のバンド体bを用いて上、下の支持腕S,Saを片持ち梁状に支持させ、車道上に配した該支持腕S,Saの先端部に、第一実施形態にあっては一対の縦型信号灯器L,Lを、第二実施形態にあっては単一な該縦型信号灯器Lを組付け、支持させたものである。
【0010】
各実施例の信号灯器Lは、取付け枠1と、支持筒2および支承片3を互いに組付けて成る枠組体Aを介して前記の支持腕S,Saに支持され、第一実施例の場合は、一対の枠組体A,Aを用いて、一対の信号灯器L,Lを支持させ、第二実施例の場合は、枠組体Aと挟持片4を用いて単一な信号灯器Lを支持させるようにしたものである。
【0011】
枠組体Aを構成する取付け枠1は、中央部片1aと、該中央部片1aの長手(縦)方向に沿う両端に一対の側部片1b,1bを相対設した溝形体で構成し、屈曲して凹凸形状とした中央部片1aの表面に上、下一対の凹入部6,6´を設け、該凹入部6,6´の中央部に止着ボルト7用の透孔8を、また、該凹入部6,6´を介在して位置する前記中央部片1aの表面平坦部に締付けボルト7A用の透孔8Aをそれぞれ設けると共に、前記支持筒2を係合するに充分な間隙を存して相対設した前記側部片1b,1bの自由端側の長手(上下)方向の両側に、各側部片1b,1b間において互いに一致する軸ボルト7B用の透孔8B,8Bと調節ボルト7C、挿通用の長孔8C,8Cを設けたものである(殊に、図5、図8)。
【0012】
前記支持筒2は、方形筒体で成り、中間部に取付け枠1の前記側部片1b,1bに設けた透孔8Bと、長孔8Cに一致するように上下の組付け孔8D,8D´を設け、上下両端部には、接続ボルト7F用の通し孔8Eを設けたものである。
【0013】
また、前記支承片3は、自由端側に前記信号灯器Lの組付けボルト7Dを挿通する透孔8Fと方位角調節ボルト7Eを挿通する長孔8Gをそれぞれ設けた支承部片3aの後端側の両側に、側部片3b,3bを相対設して構成し、側部片3bに前記通し孔8Eを一致させて、前記接続ボルト7Fを挿通させる透孔8Hを設けたものである。
【第一実施形態】
【0014】
図1乃至図5で示す第一実施形態は、一対の枠組体A,Aを支持腕S,Saに互いに反対方向に突設し、各枠組体Aに信号灯器Lを取付け支持させたものである。
【0015】
一対の枠組体A,Aを支持腕S,Saに互いに反対方向に突設するには、凹入部6,6´に支持腕S,Saを係合するようにして一対の取付け枠1,1を配置し、取付け枠1,1に設けた透孔8に支持腕S,Saに設けた通し孔8Jを通じた止着ボルト7を通し、該ボルト7の先端に止着ナット17を螺合する一方、取付け枠1(の中央部片1a)側の透孔8A,8A同士を通じた締付けボルト7Aの先端に止着ナット17Aを螺合することにより達成される。
【0016】
そして、両側の通し孔8Eと支承片3の側部片3bの透孔8Hを一致させて、これら孔8E,8Hに通じた接続ボルト7Fに、接続ナット17Fを螺合して、支承片3と支持筒2を組付ける一方、支持筒2の中間部に設けた組付け孔8Dと8D´と、支持腕S,Saに組付けた取付け枠1(の側部片1b)の長孔8Cと透孔8Bとを通じた調節ボルト7Cまたは軸ボルト7Bの先端に、調節ナット17Cまたはナット17Bを螺合して支持筒2と取付け枠1を組付けることにより支持腕S,Saに互いに反対方向に突出して組付けられた状態の枠組体Aを得られる。
【0017】
もっとも、枠組体Aを構成するに際し、支持筒2と支承片3との組付けと、支持筒2と取付け枠1との組付けは相前後して行えば良い。
【0018】
次いで、支持筒2に取付けた支承片3,3間に信号灯器Lを介在させ、透孔8Fと長孔8Gを利用して軸ボルト7Dと方位角調節ボルト7Eで灯器Lを支承片3,3に組付けることにより実施形態の信号灯器の支持装置を得られる。
【0019】
この第一実施形態の場合は、一対の枠組体A,Aを用いて一対の信号灯器A,Aを支持させるようにしているが、一対の枠組体A,Aのいずれかの一方が「特許請求の範囲」でいう「挟持体」に対応する。
【第二実施形態】
【0020】
図6乃至図8で示す第二実施形態は、単一な信号灯器Lを支持する際に適用するもので、第一実施形態の一方の枠組体Aに代えて挟持片4を用いて単一な枠組体Aによって信号灯器Lを支持するようにしたものである。
【0021】
すなわち、第二実施形態は、前記取付け枠1の中央部片1aとほぼ同様に構成した挟持片4を用いるのであって、挟持片4は、屈曲して凹凸形状とした長方形体で成り、表面に上下一対の凹入部16,16´を設け、該凹入部16,16´の中央部に止着ボルト7用の透孔18を、また、前記凹入部16,16´が介在する表面平坦部に締付けボルト7A用の透孔18Aを設けたものである。
【0022】
そして、取付け枠1の凹入部6,6´と挟持片4の凹入部16,16´に支持腕S,Saを係合するようにして取付け枠1と挟持片4を相対して配置し、取付け枠1に設けた透孔8と挟持片4側の透孔18および支持腕S,Saに設けた通し孔8Jを通じた止着ボルト7の先端に止着ナット17を螺合する一方、取付け枠1(の中央部片1a)側の透孔8Aと挟持片4に設けた透孔18Aを通じた締付けボルト7Aの先端に、止着ナット17Aを螺合することにより取付け枠1を支持腕S,Saに組付けることができ、この状態で、取付け枠1に支持筒2や支承片4を、第一実施形態において説明した通りに組合わせ、信号灯器Lを第一実施形態の場合と同様に組付けることにより、単一な信号灯器を支持した実施形態の支持装置を得られる。
【0023】
この第二実施形態は、第一実施形態に用いた、いずれか一方の枠組体Aに代えて挟持体として挟持片4を用いた点が第一実施形態と異なるだけ、残余の点は、第一実施形態の説明に従うことができるので省略する。
【符号の説明】
【0024】
1 取付け枠
1a 中央部片
1b 側部片
2 支持筒
3 支承片
6,6´ 凹入部
7 止着ボルト
7A 締付けボルト
7B 軸ボルト
7C 調節ボルト
8B 透孔
8C 長孔
16,16´ 凹入部
L 縦型信号灯器
S,Sa 支持腕

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱に片持ち梁状に支持させた上下一対の、断面円形の支持腕に縦型信号灯器を支持させる装置であって、上下方向に沿う両側に側部片を相対設した中央部片の表面に上下一対の半円状の凹入部を並設して取付け枠を構成し、該取付け枠の中央部片と、上下一対の半円状の凹入部を並設した挟持体を、対応する前記各凹入部に部分的に係合させた、前記一対の支持腕を介して、該支持腕を通じた止着ボルトと締付けボルトで互いに締付けて、前記取付け枠を前記支持腕に取付けると共に、取付け枠の前記側部片の下部に透孔を、上部に該透孔を中心とする円周上に沿う長孔をそれぞれ設け、これら透孔と長孔に、それぞれナットを螺合して締付けるボルトを貫通させて前記側部片間に係合した角筒状の支持筒を取付け、該支持筒の上下両端部に回動自在に取付けた支承片間に信号灯器を介在させて取付けた、縦型信号灯器の支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−79087(P2012−79087A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223625(P2010−223625)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(592157076)イワブチ株式会社 (80)
【Fターム(参考)】