説明

縦型電気掃除機

【課題】利便性を向上できる縦型電気掃除機を提供する。
【解決手段】吸込口体5の上方に回動自在に設けられるとともに電動送風機7及び集塵室8を内蔵する本体部10と、本体部10に取り付けられて掃除時に伸長するとともに先端に使用者が把持する手元把手3を有する延長管2と、本体部10に設けられて本体部10の運搬時に把持する本体把手11と、収納時に短縮した延長管2の伸縮をロックするロック機構23、15aと、ロック機構23、15aを解除するとともに本体把手11の近傍に延長管2に対して本体把手11と同じ側に設けられる解除スイッチ17とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸込口体の上方に電動送風機を内蔵した本体部を有する縦型電気掃除機に関し、特に使用者が把持する手元把手の位置を収納時と掃除時で可変できる縦型電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の縦型電気掃除機は特許文献1、2に開示されている。これらの縦型電気掃除機は吸込口体の上方に電動送風機及び集塵室を内蔵した本体部を備えている。本体部には運搬時に把持する本体把手が設けられる。また、本体部には伸縮可能な延長管が着脱自在に取り付けられている。延長管は使用者が掃除時に把持する手元把手を一端に有し、他端が開口する。延長管の手元把手の近傍には電動送風機に連通するホースが接続されている。これにより、延長管を本体部から取り外して先端の開口から吸引することができる。
【0003】
本体部に取り付けられる延長管は先端の開口が塞がれ、縦型電気掃除機の収納時に短縮される。これにより、縦型電気掃除機の収納スペースを小さくする。この時、延長管はロック機構によって伸縮がロックされている。掃除を行う際に使用者は本体把手を把持して縦型電気掃除機を運搬し、延長管の周面に設けた押ボタンによりロック機構のロックを解除して延長管を伸長する。そして、使用者は手元把手を把持し、吸込口体から吸引して掃除を行うことができる。
【0004】
【特許文献1】特開2004−357839号公報(第7頁、第1図)
【特許文献2】特開2005−110714号公報(第3頁−第5頁、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の縦型電気掃除機によると、延長管を短縮して縦型電気掃除機が収納された状態で、ロック機構を解除する押ボタンと本体把手とは延長管に対して反対側に離れて配置されている。このため、使用者は本体把手を持って縦型電気掃除機を運搬し、床面に設置した後に押ボタンの側に回り込んで移動する必要がある。従って、掃除の開始時の操作が煩雑で縦型電気掃除機の利便性が悪い問題があった。
【0006】
本発明は、利便性を向上できる縦型電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、吸込口体の上方に回動自在に設けられるとともに電動送風機及び集塵室を内蔵する本体部と、前記本体部に取り付けられて掃除時に伸長するとともに先端に使用者が把持する手元把手を有する延長管と、前記本体部に設けられて前記本体部の運搬時に把持する本体把手と、収納時に短縮した前記延長管の伸縮をロックするロック機構と、前記ロック機構を解除するとともに前記本体把手の近傍に前記延長管に対して前記本体把手と同じ側に設けられる解除部とを備えたことを特徴としている。
【0008】
この構成によると、掃除を行う際に使用者は本体把手を把持して縦型電気掃除機を運搬し、吸込口体を床面に設置して本体把手近傍の解除部を操作する。これにより、ロック機構のロックが解除され、延長管が伸長される。そして、使用者は手元把手を把持し、吸込口体から吸引して掃除を行うことができる。
【0009】
また本発明は、上記構成の縦型電気掃除機において、前記本体把手を把持する手で前記解除部を操作できることを特徴とことを特徴としている。この構成によると、縦型電気掃除機を設置した後、本体把手を把持する手で本体把手を支持しながら解除部を同時に操作すると延長管のロックが解除される。
【0010】
また本発明は、上記構成の縦型電気掃除機において、前記延長管は前記本体部に支持される外筒と前記外筒に嵌合してスライドする内筒とを有し、前記解除部を前記外筒に設けたことを特徴としている。この構成によると、外筒に設けた解除部の位置が延長管の伸縮に拘わらず一定になる。
【0011】
また本発明は、上記構成の縦型電気掃除機において、前記ロック機構は前記外筒を貫通して前記内筒に設けた凹部と係合する係合子を有し、前記解除部は前記外筒に沿ってスライド自在に設けられるとともに前記係合子と当接する当接部と前記係合子が退避する逃げ部とを有することを特徴としている。
【0012】
この構成によると、延長管を短縮すると外筒を貫通する係合子が内筒の凹部に係合する。係合子は解除部の当接部が当接して退避できないため、延長管の短縮した状態が保持される。解除部をスライド移動すると逃げ部に係合子が退避し、凹部と係合子との係合が解除されて内筒を伸長することができる。
【0013】
また本発明は、上記構成の縦型電気掃除機において、前記延長管は、前記本体部に対して着脱自在に形成されるとともに、前記電動送風機に連通するホースに前記手元把手近傍で連結され、前記延長管を前記本体部に装着した際に、前記延長管の前記手元把手と反対側の端部が嵌合する差込口を前記本体部の下部に設けるとともに、前記本体部の上部に係止する係止部を前記延長管の周面に設けたことを特徴としている。
【0014】
この構成によると、延長管を本体部から取り外すとホースを介して手元把手と反対側の端部から吸引することができる。延長管は手元把手と反対側の端部を差込口に差し込み、係止部を本体部の上部に係止することにより本体部に装着される。
【0015】
また本発明は、上記構成の縦型電気掃除機において、前記吸込口体が面する被掃除面から前記本体把手までの高さを600〜800mmにしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、延長管の伸縮をロックするロック機構の解除部を延長管に対して本体把手と同じ側の本体把手近傍に設けたので、縦型電気掃除機を運搬して床面に設置した後簡単に延長管を伸長して掃除を開始することができる。従って、縦型電気掃除機の利便性を向上することができる。
【0017】
また本発明によると、本体把手を把持する手で解除部を操作できるので、縦型電気掃除機を運搬して床面に設置した際に本体把持部を支持しながら片手でロック機構のロックを解除することができる。従って、縦型電気掃除機の転倒を簡単に防止することができる。
【0018】
また本発明によると、延長管は本体部に支持される外筒と外筒に嵌合してスライドする内筒とを有し、解除部を外筒に設けたので、解除部の位置を一定に保持することができる。従って、解除部を安定して操作することができ、操作性の低下を防止することができる。
【0019】
また本発明によると、外筒を貫通する係合子を内筒の凹部に係合して延長管をロックし、係合子と当接する当接部と係合子が退避する逃げ部とを有した解除部を外筒に沿ってスライドして延長管のロックを解除するので、本体把手を把持しながら操作できる解除部を簡単に実現することができる。
【0020】
また本発明によると、延長管の開口端が嵌合する差込口を本体部の下部に設け、本体部の上部に係止する係止部を延長管の周面に設けたので、延長管の位置を簡単に一定に保持することができる。
【0021】
また本発明によると、被掃除面から本体把手までの高さを600〜800mmにしたので、縦型電気掃除機を運搬する際や解除部を操作する際に使用者は屈む必要がなく、縦型電気掃除機の使用性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は一実施形態の縦型電気掃除機を示す側面断面図である。縦型電気掃除機1は吸込口体5の上方に回動自在の本体部10を備えている。本体部10は電動送風機7及び集塵室8を内蔵した第1室10aと、電動送風機7に電源供給するコードリール9を内蔵した第2室10bとから成っている。第1室10aは第2室10bの下方に配され、第2室10bよりも前方に突出して段部10cが形成されている。
【0023】
本体部10の第1室10a内には導入口14を介して集塵室8に連結される吸込口経路12が設けられる。吸込口経路12は吸込口体5の床面に面した開口部(不図示)と連通する。第1室10a内の上部には導入口14から分岐して段部10c上に開口した延長管経路13が設けられる。
【0024】
本体部10の前面には延長管2が配される。延長管2は筒状に形成され、下端面2aが開口する。延長管2の上端は閉塞され、掃除をする際に使用者が把持する手元把手3が設けられる。延長管2の手元把手3の近傍には伸縮ホース4が接続されている。伸縮ホース4は段部10cで延長管経路13に接続される。
【0025】
図2に示すように、本体部10の第2室10bの上端の前面側には係止溝19が設けられる。外筒16の周面には係止溝19に嵌合するフック18(係止部)が突設される。延長管2の下端面2aは段部10cに設けた差込口6に嵌合され、係止溝19にフック18を係止して延長管2が本体部10に装着される。
【0026】
尚、係止溝19の側面には付勢手段(不図示)で付勢されるロック部19a(図2参照)が突出する。ロック部19aはフック18の側面に設けた凹部(不図示)に係合し、延長管2の装着状態をロックする。第2室10b上面に設けた解除ボタン20(図2参照)の押下によってロック部19aは後退し、延長管2の装着状態のロックを解除することができる。
【0027】
本体部10の上端には第2室10bの後端から上方に延びて前方へ屈曲したL字の本体把手11が設けられる。本体把手11を把持して縦型電気掃除機1を運搬することができる。また、図3に示すように、本体把手11には電動送風機7の電源をオンオフするスイッチ21が設けられる。
【0028】
図4は延長管2の内部構成を示す断面図である。延長管2は外筒16及び外筒16に内嵌する内筒15を有している。内筒15の上端には手元把手3と一体のストッパ3aが取り付けられる。手元把手3、ストッパ3a及び内筒15は外筒16に対して上下方向に一体にスライドし、延長管2が伸縮可能になっている。内筒15よりも大径のストッパ3aが外筒16に当接して延長管2を短縮した時の内筒15が位置決めされる。また、延長管2を伸長した時に内筒15は伸縮ホース4に引張られて抜け止めされる。
【0029】
外筒16の上端には後方に突出して本体把手11の前端に近接するハウジング16aが一体に設けられる。ハウジング16a内には圧縮バネ22で下方に付勢される解除スイッチ17(解除部)が上下にスライド移動可能に設けられる。解除スイッチ17の前面側には平坦な当接部17aと、当接部17aの下方を切欠いた逃げ部17bとが形成される。
【0030】
内筒15の周面には凹部15aが形成される。外筒16には内筒15を下端に配した際に凹部15aに面した貫通孔16bが設けられる。球状の係合子23は貫通孔16bを貫通して凹部15aに係合する。圧縮バネ22の付勢により下端に配される解除スイッチ17は当接部17aが係合子23と当接する。これにより、係合子23が後退できないため凹部15aとの係合を保持して内筒15の位置がロックされる。従って、凹部15a及び係合子23により延長管2を短縮した状態をロックするロック機構が構成される。
【0031】
圧縮バネ22の付勢力に抗して解除スイッチ17を上昇させると、逃げ部17bが係合子23に対向する。この時、手元把手3を引き上げると係合子23が逃げ部17bに退避し、手元把手3及び内筒15が上昇する。これにより、延長管2を伸長することができる。係合子23を逃げ部17bに退避する方向に付勢する付勢手段を設けてもよい。尚、本体把手11の前端には上昇する解除スイッチ17との干渉を回避する溝部11aが形成されている。また、解除スイッチ17は貫通孔16bと逃げ部17bとに跨る係合子23によって上昇した位置で保持される。
【0032】
上記構成の縦型電気掃除機1において、縦型電気掃除機1の収納時には本体部10に取り付けられた延長管2が短縮され、本体部10が略鉛直に立設される。掃除を行う際に使用者は本体把手11を把持して縦型電気掃除機1を運搬し、吸込口体5を所望の床面に設置する。本体把手11を手で支持して傾倒する本体部10を支え、手を前方へスライドして解除スイッチ17と本体把手11とが同時に握られる。これにより、係合子23と凹部15aとの係合が解除され、延長管2の伸縮のロックが解除される。この状態で、手元把手3を上方へ引き上げると延長管2を伸長することができる。
【0033】
本体把手11に設けたスイッチ21をオンすると電動送風機7の駆動により床面の塵埃が吸込口体5から吸引される。吸込口体5から吸引された塵埃は吸込口経路12及び導入口14を介して集塵室8に導かれる。また、延長管2を本体部10から取り外すと、開口した下端面2aから塵埃が吸引される。延長管2の下端面2aから吸引された塵埃は延長管2、伸縮パイプ4、延長管経路13及び導入口14を介して集塵室8に導かれる。
【0034】
掃除が終了すると延長管2を取り外していた場合は下端面2aが差込口6に差し込まれ、係止溝19にフック18が係止される。また、手元把手3が押し下げられ、凹部15aが係合子23に対向すると、解除スイッチ17が圧縮バネ22の付勢により降下して係合子23と凹部15aとが係合する。そして、縦型電気掃除機1は本体把手11を把持して運搬され、所定位置に収納される。
【0035】
本実施形態によると、延長管2の伸縮をロックするロック機構の解除スイッチ17を延長管2に対して本体把手11と同じ側の本体把手11近傍に設けたので、縦型電気掃除機1を運搬して所望の床面に設置した後、延長管2の反対側へ回り込む必要がなく簡単に延長管2を伸長して掃除を開始することができる。従って、縦型電気掃除機1の利便性を向上することができる。
【0036】
また、本体把手11を把持する手で解除スイッチ17を操作できるので、縦型電気掃除機1を運搬して床面に設置した際に片手で本体把持部11を支持しながら延長管2のロックを解除することができる。従って、縦型電気掃除機1の転倒を簡単に防止することができる。
【0037】
また、外筒16を本体部10に取り付けて内筒15のスライドにより延長管2を伸縮し、外筒16に解除スイッチ17を設けたので、解除スイッチ17の位置を一定に保持することができる。従って、解除スイッチ17を安定して操作することができ、操作性の低下を防止することができる。
【0038】
また、延長管2の下端面2aが嵌合する差込口6を本体部10の下部に設け、本体部10の上部に係止するフック18を延長管2の周面に設けたので、延長管2の位置を簡単に一定に保持することができる。
【0039】
尚、図1において、コードリール9の引出口9aは被掃除面からの高さH1が500〜600mmの位置に設けられている。これにより、コードリール9を引き出す際に使用者は屈む必要がなく、縦型電気掃除機1の使用性が向上する。また、本体把手11の上面は被掃除面からの高さH3が600〜800mmの位置に設けられている。これにより、縦型電気掃除機1を運搬する際や解除スイッチ17を操作する際に使用者は屈む必要がなく、縦型電気掃除機1の使用性が向上する。尚、H2は被掃除面から本体部10上面までの高さを示している。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明によると、使用者が把持する手元把手の位置を収納時と掃除時で可変できる縦型電気掃除機に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施形態の縦型電気掃除機を示す側面断面図
【図2】本発明の実施形態の縦型電気掃除機の本体部の上部前面を示す斜視図
【図3】本発明の実施形態の縦型電気掃除機の本体部の上部背面を示す斜視図
【図4】本発明の実施形態の縦型電気掃除機の延長管を示す断面図
【符号の説明】
【0042】
1 縦型電気掃除機
2 延長管
3 手元把手
4 伸縮ホース
5 吸込口体
6 差込口
7 電動送風機
8 集塵室
9 コードリール
10 本体部
11 本体把手
12 吸込口経路
13 延長管経路
15 内筒
15a 凹部
16 外筒
16b 貫通孔
17 解除スイッチ
17a 当接部
17b 逃げ部
18 フック
19 係止溝
22 圧縮バネ
23 係合子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口体の上方に回動自在に設けられるとともに電動送風機及び集塵室を内蔵する本体部と、前記本体部に取り付けられて掃除時に伸長するとともに先端に使用者が把持する手元把手を有する延長管と、前記本体部に設けられて前記本体部の運搬時に把持する本体把手と、収納時に短縮した前記延長管の伸縮をロックするロック機構と、前記ロック機構を解除するとともに前記本体把手の近傍に前記延長管に対して前記本体把手と同じ側に設けられる解除部とを備えたことを特徴とする縦型電気掃除機。
【請求項2】
前記本体把手を把持する手で前記解除部を操作できることを特徴とする請求項1に記載の縦型電気掃除機。
【請求項3】
前記延長管は前記本体部に支持される外筒と前記外筒に嵌合してスライドする内筒とを有し、前記解除部を前記外筒に設けたことを特徴とする請求項2に記載の縦型電気掃除機。
【請求項4】
前記ロック機構は前記外筒を貫通して前記内筒に設けた凹部と係合する係合子を有し、前記解除部は前記外筒に沿ってスライド自在に設けられるとともに前記係合子と当接する当接部と前記係合子が退避する逃げ部とを有することを特徴とする請求項3に記載の縦型電気掃除機。
【請求項5】
前記延長管は、前記本体部に対して着脱自在に形成されるとともに、前記電動送風機に連通するホースに前記手元把手近傍で連結され、前記延長管を前記本体部に装着した際に、前記延長管の前記手元把手と反対側の端部が嵌合する差込口を前記本体部の下部に設けるとともに、前記本体部の上部に係止される係止部を前記延長管の周面に設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の縦型電気掃除機。
【請求項6】
前記吸込口体が面する被掃除面から前記本体把手までの高さを600〜800mmにしたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の縦型電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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