説明

縫合アンカー

【課題】縫合糸の付着、本体内での縫合糸の分離と保護等の問題を解決し、簡単で安価なアンカーを提供する。
【解決手段】本発明の縫合アンカー(100)は、基端(121)と先端(125)とを有する長尺の本体(102)と、基部空洞(103)と、基部空洞が開口する横方向空洞(104)とからなり、本体は、基端に向けて開口し、先端に向けては開口せずにそれぞれ縫合糸を受け入れ可能な少なくとも2本の縫合路を有する。アンカーはさらに、少なくとも部分的に横方向空洞(104)内に配置された横方向壁(105)と、縫合糸を通すための、各々の縫合路に対する別個の小穴(112)とを有し、縫合糸は、横方向壁(105)を貫通する一方、第一の横方向軸(Y−Y)に沿って延びる。その結果、アンカー(100)内にて位置決めされた縫合糸(162)は、第一及び第二の直線状ストランド(162a、162c)と円弧(112)とによりU字状をなす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は縫合アンカーに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の技術分野は、例えば筋肉、腱、もしくは靭帯等の、骨に付着されるべき柔組織を修復するための縫合アンカーの分野である。
【0003】
何らかの創傷が起きると、靭帯、腱、およびその他の柔組織が、それらとつながりのある骨から離脱することが頻繁にある。したがって、治癒を容易にすべく、柔組織を再び骨に付着させることが必要となる。
【0004】
既知の方式においては、外科医は、柔組織を骨に再び付着させるための種々の器具を持つ場合があり、例えばそれらは、ねじ、針、ピン、釘、もしくは縫合糸のみからなる。
【0005】
縫合アンカーは、患者の骨の中の、所望の再付着箇所に繋留することができ、手術用縫合糸の付着を可能にするという利点がある。そうした縫合アンカーは、そのために作成された骨空洞に挿入されるか、もしくはセルフタップ型となっている。
【0006】
骨内に挿入後、アンカーは、例えばねじ、リブ、もしくは種々のタイプの突出物等の外部要素により位置決め保持されうる。これらの外部要素は、アンカーが治癒期間中固定的に位置保持されるように、引っ張り抵抗を与える。また、そうしたアンカーは、小穴、バー、もしくはその他の縫合糸付着要素を有する場合がある。それゆえ、縫合線の自由端は骨の外部に延び、柔組織を貫通もしくは迂回し、柔組織を骨に付着するために使用される。
【0007】
しかしながら、ある種の既知の縫合アンカーは、柔組織を骨に付着させるのに有効ではあるものの、いくつかの欠点を有している。
【0008】
実際上、アンカーのヘッドは、打ち込み用具を受け入れ、かつアンカーが骨内に挿入された際に生ずる軸方向の力およびトルクに耐えるべく十分な寸法を有していなければならない。そのようなアンカーは、長さが増大し、また、柔組織がむき出しのアンカーヘッドに対して擦りつけられるのを防ぐべく、骨内の十分に深い個所に位置させられねばならない。しかしながら、一旦繋留されると、張力がアンカーに加えられ、アンカーが骨の内部で移動したり、骨空洞から逸脱する場合がある。除去張力という、この重大な現象により、付着が弱化したり、柔組織が離脱し、それらに損傷を与えることすらある。さらに、アンカーから出てくる縫合糸が骨空洞の縁部にこすり付けられ、損傷する場合もある。
【0009】
既知の方式においては、ねじを切ったアンカーが、除去張力の問題に対する解決を与える。そうしたアンカーの本体は、縫合糸を付着させるためのループもしくは内部バーを有する場合がある。したがって、縫合糸は、固着され、アンカー本体の内部にて保護されるが、独立に、かつ急な動きを伴うことなく摺動することができない。逆に、縫合糸の摺動は縫合糸と組織の間の界面を変化させることにより、修復の段取りに悪影響を及ぼす場合があり、治癒の妨げとなる。さらに、隣接する縫合糸が重なり合ったりこすりあったりすると、これらは摩擦および磨耗により損傷を受けうる。
【0010】
米国特許第6,610,080号(US-B-6610080)ならびに米国特許出願公開第2007/0,112,352号(US-A-2007/0112352)は、それぞれ、長尺の縫合アンカーを開示しており、これは部分的にねじを切った外表面と、少なくとも1本の縫合糸を受け入れる基部とを有している。米国公開特許第6,610,080号(US-B-6610080)においては、基部は、1本もしくは2本の縫合糸をそれぞれ通過させるための1個もしくは2個の小穴によって横切られている。2個の横方向小穴を有する変形例においては、それらの軸は縫合糸の長手軸に対して実質的に垂直であり、かつ互いに対して平行もしくは垂直である。米国特許出願公開第2007/0,112,352号(US-A-2007/0112352)においては、基部は、種々の変形例に従って成形されうる2個の小穴によって横切られている。しかしながら、縫合糸は、常に縫合アンカーの基部側に配置され、したがって、アンカー本体内において保護されていない。
【0011】
米国特許出願公開第2005/0,222,619号(US-A-2005/022619)は、長尺の縫合アンカーを開示しており、これは、完全にねじを切った外表面と、アンカーを一端から他端へと横切り、かつ少なくとも1本の縫合糸を受け入れるようにされた長手方向の空洞とを有している。アンカーの先端側において、換言すれば、その尖端の側において、長手方向の空洞は、縫合糸を通すためのいくつかのオリフィスに分けられている。しかしながら、各縫合糸は、先端側において180度の円弧を形成し、したがってアンカー本体の中で保護されていない。
【0012】
欧州特許第2,036,501号(EP-A-2036501)は、請求項1の前段部がこの欧州特許に基づいているが、ねじを切った外面を備えた長尺の本体を有する縫合アンカーを開示している。本体は、その軸を横断する空洞内に設置された横方向の円筒状中実軸を有する。この軸の外面は溝をつけられて、3個の縫合路を画定し、これらの縫合路は、本体の基部に向けて開いており、その先端に向けては開いていない。かくして、アンカー内に位置決めされた各々の縫合糸は、空洞内において、前記軸の周囲に180度の円弧を形成する。しかしながら、縫合糸はすべてこの、同一の空洞を通過し、この空洞の中では、隣接する縫合糸は前記軸の溝によって、ほんのわずかしか画定されていない。このため、ある縫合糸がひとつの縫合路から別の縫合路へと滑ることができ、したがって、糸が引っかかったり、こすれたり、磨耗したりする恐れがある。さらに、溝は鋭利な縁によって境界付けられ、これらの縁は、前記軸が横方向にスライドした場合、縫合糸を損傷しうるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第6,610,080号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0,112,352号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0,222,619号明細書
【特許文献4】欧州特許第2,036,501号明細書
【発明の概要】
【0014】
本発明の目的は、上記の種々の問題を解決することである。すなわち、各々の縫合糸の独立したスライディングならびに付着の問題、およびアンカー本体内における縫合糸の分離および保護という問題を解決する。さらに、アンカーをコンパクトで、簡単で、安価に製造できるように設計するものである。
【0015】
したがって、本発明の目的は、請求項1に記載の縫合糸を提供することである。
【0016】
それゆえ、本発明は、アンカー本体内に縫合路を有する、改良された縫合アンカーを得ることを可能にし、このアンカーは、取り扱いが容易で、縫合糸の独立したスライディングを可能にする。摩擦および縫合糸の損傷のリスクは軽減され、その一方で、縫合ストランドを同一方向に整列可能にする。各々の小穴は、1本の縫合路に対応し、この縫合路は、アンカー本体および横方向壁内において画定される。したがって、各々の縫合糸は、関連する小穴内でスライドでき、その一方で180度の円弧を形成し、隣接する円弧同士が重なり合ったり摩擦しあったりする恐れはなく、また、鋭利な縁によって損傷を受ける恐れもない。さらに、小穴および横方向壁を配置したことにより、コンパクトで製造が簡単なアンカーを得ることができる。
【0017】
本発明のその他の特徴は、別個に、または組み合わせた形で、請求項2ないし15に記載されている。
【0018】
添付の図面は、上記発明の詳細な説明の理解を助けるべく、非限定的な意味で示されたものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明による縫合アンカーの立面図である。
【図2】第1図のII−II線による断面図である。
【図3】第2図の矢印IIIの方向から見た立面図である。
【図4】縫合糸を備えたアンカーを示す、第1図と同様の立面図である。
【図5】第4図の平面に平行な平面によるアンカーの縦断面図である。
【図6】第4図のVI−VI線による断面図であって、第5図に対応する断面線V−Vを示す。
【図7】本発明の第二実施例によるアンカーを示す、第1図と同様な立面図である。
【図8】第7図のVIII−VIII線による断面図である。
【図9】本発明の第三実施例によるアンカーを示す、第7図と同様な図である。
【図10】第9図のX−X線による断面図である。
【図11】第10図の矢印XIの方向から見た立面図である。
【図12】本発明の第四実施例によるアンカーを示す、第10図と同様な断面図である。
【図13】第12図の矢印XIIIの方向から見た立面図である。
【図14】本発明の第五実施例によるアンカーを示す、第10図と同様な断面図である。
【図15】第14図の矢印XVの方向から見た立面図である。
【図16】本発明の第六実施例を示す、第1図と同様な図である。
【図17】第16図の矢印XVIIの方向から見た断面図である。
【図18】打ち込み具と結合された、第1図ないし6図の縫合アンカーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して説明すると、第1図ない第6図は、第一実施例による縫合アンカー100を示す。
【0021】
アンカー100は、本体102を有し、これは単体として作られ、中心の長手方向軸に沿って長尺となっている。本体102は完全にねじを切った外面120を有し、これは、その基部122における基端121からその中央スパン部123を通して一定の最大径を有し、先端部124にわたり、尖端形状の先端125の方向に、徐々に縮小する径を有する。本体102には、基部空洞103および横方向空洞104が含まれる。
【0022】
X-X軸により定義されるアンカー100の長さ方向において、本体102の中央スパン部123は本体102の中央領域に対応し、一方、基部122は基端122に近接し、また、中央スパン部123は先端部124に近接する。例えば、第1図、第2図、および第6図に示すように、基部122は全長の最初の4分の1に相当し、中央スパン部123は全長の中央の2分の1に相当し、先端部124は本体102の全長の最後の4分の1に相当する。
【0023】
第1図ないし6図に図示しない変形例として、中央スパン部は、例えば、本体の全長の3分の2もしくは5分の3を超えて延びていてもよい。
【0024】
基部空洞103は、中央スパン部123からその基端121にいたるまで、本体内において、長手方向のX-X軸に平行に延びており、基端121において、基部空洞103は外部に対して開いている。第1図ないし6図において、基部空洞103はほぼ角に丸みを帯びた正方形の形状の横断面を有しており、長手軸X-Xに関して軸対称となっている。基端121の側において、基部空洞103の境界133は外部に向けてほぼ丸みを帯びた形状を有し、鋭利な縁は有していない。
【0025】
第1図ないし6図に図示しない変形例として、基部空洞103の横断面は、六角形状である。具体的には、基部空洞103の機能は、アンカー100と工具の尖端の間の界面を与えることであり、それゆえ、後者は種々の断面形状を有しうる。
【0026】
横方向の空洞104は、本体102をその中央スパン部123において貫通し、その一方で、長手軸X-Xに対してほぼ垂直な第一の横方向軸Y-Yに沿って延びている。軸Y-Yに対して垂直な面におけるその断面S104は軸Y-Yと実質的に同一である。基部空洞103は横方向空洞104の基端面142において横方向空洞104内に開口する。
【0027】
横方向壁105が、本体102の中央スパン部123において、横方向空洞104内に配置されている。壁105は、横方向空洞104の先端面141から、基部空洞103の方向に延びており、かつ部分的に基部空洞103の内部で延び、丸みを帯びた形状の端部151で終わっている。壁105は、対称面Pzを有し、これは、長手軸X-Xならびに軸X-XおよびY-Yに対して垂直な第二の横方向軸Z-Zを有する。したがって、第2図、3図および6図からわかるように、面Pzは第一の側Z1および第二の側Z2を画定する。壁105は、横方向壁104を2個の空洞部に分け、これらはそれぞれ、面Pzの側Z1もしくはZ2に位置させられている。壁105は実質的に、面Pz内において延びており、2個のほぼ平坦な面157および158を有しており、これらはそれぞれZ1側およびZ2側にある。これらの面157および158は互いに平行であり、第一の軸Y-Yに対して垂直である。壁105の寸法は、軸X-Xおよび軸Z-Zにより定義された方向におけるより、軸Y-Yにより定義された方向におけるほうが小さい。第2図および6図に示す例においては、壁105の軸X-X方向の長さは、壁105のY-Y軸方向の幅の少なくとも4倍以上である。したがって、壁105は薄壁と呼びうるものである。
【0028】
平面Pyが定義され、これは、長手軸X-Xおよび第一の横方向軸Y-Yを含み、したがって平面Pzに対して垂直である。したがって、ねじを切った外表面120を除外することにより、平面PyおよびPzは、アンカー100の対称面となる。
【0029】
壁105の中には、3個の貫通小穴111、112、および113が配置され、これらは、軸Y-Yに対してほぼ平行な表面157と158の間を、それぞれの軸Y111、Y112、およびY113に沿って延びており、これらの軸は、したがって、平面Pzに対して垂直である。小穴112の軸Y112は軸X-Xと交差し、一方、対応する小穴111および113の軸Y111およびY113は、軸X-Xの両側に位置させられている。したがって、各々の小穴は111、112、および113は、平面Pzを通り抜け、二つの側Z1およびZ2を結合する。言い換えれば、各々の小穴は111、112、および113は、壁105を貫通し、面157および158に対して開口する。
【0030】
第4図および6図からわかるように、いくつかの縫合糸161、162、および163が、アンカー100の本体102の中に、より厳密に言えば、各々の縫合路の中に、配置されうる。使用位置においては、各々の糸161、162もしくは163は、ほぼ直線的で平行な2本のストランドを有し、これらはそれぞれ、Z1側の第一ストランド161a、162a、もしくは163aであり、また、Z2側の第二ストランド161c、162c、もしくは163cである。また、各々の糸は、円弧161b、162bもしくは163bを有し、これは、対応する小穴内に形成され、前記二本のストランドを互いに結合する。
【0031】
各々の縫合糸161、162、もしくは163がアンカー内におけるその特定の縫合路内に位置させられると、第一のストランド161a、162a、もしくは163aは、基端121より本体102に入り、ついで、基部空洞103を通過し、長手方向軸X-Xに対してほぼ平行なまま、空洞104を横切る。ついで、本体102の中央スパン部123において、糸161、162、もしくは163は、その中でそれが自由に動くごとができるところの、対応する小穴111、112、もしくは113において180度の円弧を形成する壁105を通過する。ついで、糸161、162、もしくは163は、基端121から本体102を出るべく、第一のストランド161a、162a、もしくは163aに対してほぼ平行な第二ストランド161c、162c、もしくは163cの形態で、横方向空洞104および基部空洞103を逆方向に通過する。関連する円弧161b、162bもしくは163bとの結合部においては、直線的な161a、162a、もしくは163aは、面157に沿って延びており、その一方で、直線的なストランド161c、162c、もしくは163cは、面158に沿って延びている。さらに、第一のストランド161a、162a、もしくは163aは、実質的にZ1側に位置させられることにより、基部空洞103を通過し、そして横方向空洞104を横切る。一方、第二ストランド161c、162c、もしくは163cは、実質的にZ2側に位置させられることにより、横方向空洞104を通過し、そして基部空洞103を通過する。
【0032】
したがって、アンカー100は、3個の縫合路を有し、これらは、それぞれ個々の小穴にそれぞれ対応し、かつ糸161、162、もしくは163の通過を可能ならしめる。縫合路は基端121に向けて開口しており、先端125に向けては開口していない。各々の縫合路は、第一ストランドを通過させるためにZ1側に位置させられた部分181と、第二ストランドを通過させるためにZ2側に位置させられた部分182と、平面Pzを通過し、かつその中に縫合糸の円弧が配置されているところの横方向の空間180を有する。基部空洞103、横方向空洞104、および横方向壁105は、ともに、小穴111、112、および113を有する縫合路を画定する。横方向の空間180は、少なくとも1本の縫合糸を受け入れ可能であり、本体102の中央スパン部123内に位置させられているという利点がある。言い換えれば、第一の実施例においては、小穴111、112および113は縫合路の横方向空間180を画定し、一方、縫合路の横部分181および182は、横方向壁105の両側の小穴から、基端121の方向に、面157および158に沿って延びている。したがって、壁105は、縫合路の横部分181および182の間の分離壁とみなすことができる。この壁105において、直線的なストランド161a、162a、163a、161c、162c、および163cは、それぞれの面157および158に沿って、基部空洞103および基端121の方向に延びている。
【0033】
この段階で、2個の小穴111および113は、横方向壁105内において、小穴112に対し、軸方向に、すなわち長手軸X-Xにより定義された方向に、ずれていることに着目されたい。さらに、2個の小穴111および113は、横方向壁105内において、軸Z-Zにより定義された方向に、互いに横にずれている。言い換えれば、3個の縫合路と関連した、3個の小穴111、112および113の軸Y111、Y112およびY113は、平面Pz内において、二等辺三角形を規定する。したがって、小穴111、112および113は、縫合路同士の間隔取りとアンカー100のコンパクトさとの妥協点に従い、壁105内に配置されている。
【0034】
実際上、小穴111、112および113同士を横方向に間隔取りしているため、ストランド161a、162a、163a、161c、162cおよび163cが交差したり重なり合ったりすることを防ぐことができ、したがって、互いにこすれあうことを防ぐことができる。したがって、それらは摩擦もしくは磨耗効果の下でも磨耗することなく、その一方で、ほぼ同一方向で整列される。各々の縫合糸161、162、163の円弧161b、162b、163bはアンカー100の本体102内において、その中央スパン部123内に配置されているので、アンカー100の本体102の一端もしくは他端121もしくは125に載置される場合よりも、より保護されている。
【0035】
第2図および6図からわかるように、基部空洞103の側に位置させられた小穴112の基部面112aは、ほぼ凸上の放物線形状を有する。これは、小穴111および113の、図示しない基部面についても同様である。さらに、小穴の境界は、実質的に丸みを帯びた形状を有し、鋭利な縁を持たない。したがって、縫合糸161、162もしくは163が対応する通路小穴111、112もしくは113において180度の円弧161b、162bもしくは163bを形成するとき、縫合糸は、それが鋭利な縁によって損傷されることなくスライドできるところの、小穴の基部面上にあることが可能である。
【0036】
さらに、横方向の空洞104は、基部122よりも先端部124に近い中央スパン部123の側に延びており、本体102の両側において横方向に突き出ている。このため、横方向空洞104および壁105、したがってまた、糸161、162および163を通すための横方向の空間は、先端125から十分に離れており、糸161、162および163を効果的に保護する。
【0037】
さらに、各々の糸161、162もしくは163は、アンカー100内において位置固定されていない。それどころか、スライドするため、外科医は、アンカー100の外部においてより容易に結び目を作ることができる。
【0038】
この第一実施例において、上記横方向空洞104の断面S104の輪郭は、実質的に3個の小穴111、112および113の配置に対応し、特に曲面の輪郭を取り、鋭利な角を持たない。丸みを帯びた形状は、例えば、機械加工、特に穿孔、フライス削り、もしくは成形により、本体102内においてより容易に得ることができる。
【0039】
図示しない変形例として、断面S104は、実質的に、特に角に丸みを帯びた矩形、楕円形、もしくは三角形の形状であることができる。
【0040】
好ましくは、縫合糸アンカー100の本体102は、金属、特にチタンより作られる。チタン製のアンカー100は、かなりの強度を有し、かつ生物学的適合性があり、また、骨の中に直接的に挿入するのがより容易な尖端を備えている。
【0041】
第7図および8図は、縫合アンカー200を示す。
【0042】
アンカー200を構成する要素のうちのあるものは、上記第一の実施例のアンカー100を構成する要素と同様ものであり、それらには、100の位の数字を1増やした参照番号を付してある。それらは、本体202のねじを切った外面220と、基端221と、基部222と、中央スパン部223と、先端部224と、先端225と、基部空洞203と、横方向空洞204の先端面241および基部面242と、横方向壁の丸みを帯びた端部251と、面257および258と、小穴211、212および213と、小穴212の放物線形状の基部面212aである。小穴211、212および213の軸は、簡略化のために、図示されていない。
【0043】
この第二実施例においては、アンカー200は、それぞれ小穴211、212および213に対応する3つの縫合路を有する。各々の縫合路は基端221に向けて開口しており、先端225に向けては開口していない。小穴211、212および213は、縫合路の横方向の空間280を画定しており、その一方で、縫合路の横部分281および282は、それぞれZ1側およびZ2側において、先端221の方向に、横方向壁205の両側の小穴から延びている。壁205は、実質的に平面Pz内に延びており、一方、二つの面257および258は、実質的に平坦で、軸Y-Yに対して垂直である。3つの縫合路に関連付けられた3個の小穴211、212および213の軸は、平面Pz内において、二等辺三角形を規定する。
【0044】
好ましくは、縫合アンカー200は、ポリマー、特にポリエーテルエーテルケトン(PEEK)よりなる。PEEK製のアンカー200は、かなりの生物学的適合性ならびに放射線透過性を有し、修正を行う間に容易に穴を開けることができるが、これを設置するにあたっては、前もって骨空洞を形成する必要がある。具体的には、アンカー100に比して、先端部224における径の減少は、より緩やかであり、本体202の先端225は、先端部204とは別個の尖端を持たない。
【0045】
さらに、第7図からわかるように、横方向軸Y-Yに垂直な平面で切った横方向空洞204の断面S204は、わずかに異なっている。断面S204は、3個の小穴211、212および213の配置に実質的に対応した輪郭を有し、基部輪郭の一部は角に丸みを帯びたほぼ矩形の形状であり、また鋭利な角を持たない、丸みを帯びた先端輪郭部を有する。実際上、断面S204の輪郭は、アンカー100の断面S104の輪郭よりも容易に得られるが、本発明による縫合アンカー用には、ひとつまたは別の変形例が適している。
【0046】
第9図、10図および11図は、縫合アンカー300を示す。
【0047】
アンカー300を構成する要素のうちのあるものは、上記第二の実施例のアンカー200を構成する要素と同様ものであり、それらには、100の位の数字を1増やした参照番号を付してある。それらは、本体302のねじを切った外面320と、基端321と、基部322と、中央スパン部323と、先端部324と、先端325と、基部空洞203と、横方向空洞304の先端面341および基部面342と、横方向壁305の丸みを帯びた端部351と、面357および358と、小穴311、312および313と、小穴312の放物線形状の基部面312aである。
【0048】
この第三実施例においては、アンカー300は、それぞれ小穴311、312および313に対応する3つの縫合路を有する。各々の縫合路は基端321に向けて開口しており、先端325に向けては開口していない。小穴311、312および313は、縫合路の横方向の空間380を画定しており、その一方で、縫合路の横部分381および382は、それぞれZ1側およびZ2側において、先端321の方向に、横方向壁305の両側の小穴から延びている。壁305は、実質的に平面Pz内に延びており、一方、二つの面357および358は、実質的に平坦で、軸Y-Yに対して垂直である。第10図に示す例として、軸X-Xに沿った壁305の長さは、軸Y-Yに沿った壁305の幅よりもほとんど3倍大きい。3つの縫合路に関連付けられた3個の小穴311、312および313の軸は、平面Pz内において、二等辺三角形を規定する。
【0049】
第10図からわかるように、基部空洞303は2個の別々の部分331および332を有し、これらは、アンカー300の本体302の長手軸X-Xに沿って延びている。第一の空洞部331は、基端321の側に配置され、角に丸みを帯びたほぼ正方形の横断面を有する。第二の空洞部332は、第一の空洞部331と横方向空洞部304の間に配置され、ほぼ円形の横断面を有する。第二の空洞部332の長手方向端332aおよび332bの各々は、面取りをした境界を有し、特に、縫合糸361、362および363が通過に際して損傷を受けないように、鋭利な縁のない、ほぼ丸みを帯びた形状を有する。
【0050】
横方向空洞304の断面S304は、アンカー200の断面S204よりも大きい。さらに、アンカー100および200とは異なり、本体302は、横方向壁305を貫通する小穴311、312および313のほかに、横方向の貫通オリフィス343を有する。このオリフィス343は、特に、本体302内にカニューレ挿入を創出すべくより寸法の大きな錐先を用いることにより、アンカー300の製造を容易にする。
【0051】
横方向壁305は横方向空洞304内に配置され、たとえ部分的にすら、基部空洞303内に延びることはない。基端321に向けられた側において、横方向壁305の端351は、平面Py内で凸状に丸みを帯び、平面Pz内で凹状に丸みを帯びており、したがって縫合糸を損傷しうるような鋭利な縁はない。
【0052】
アンカー100に関連して上述した糸161、162および163のように、縫合糸がアンカー300内に位置させられると、各々の糸の第一ストランドは、長手軸X-Xに対して平行でありつつ、基端321から本体302に入り、ついで、基部空洞303の第一部分331および第二部分332および横方向空洞304を貫通する。ついで、本体302の中央スパン部323において、糸161、162、もしくは163は、その中でそれが自由に動くごとができるところの、対応する小穴311、312、もしくは313において180度の円弧を形成する壁305を通過する。ついで、各々の糸は、基端321から本体302を出るべく、上記第一のストランドに対してほぼ平行な第二ストランドの形態で、横方向空洞304および基部空洞303の第一部分331および第二部分332を逆方向に通過する。したがって、これらの縫合糸は、基部空洞303の第二部分332内において組み合わされるが、重なり合ったり、過度にこすれあったりすることがない。
【0053】
第12図および13図は、縫合アンカー400を示す。
【0054】
アンカー400を構成する要素のうちのあるものは、上記第三の実施例のアンカー300を構成する要素と同様ものであり、それらには、100の位の数字を1増やした参照番号を付してある。それらは、本体402のねじを切った外面420と、基端421と、基部422と、中央スパン部423と、先端部424と、先端425と、横方向空洞404の先端面441および基部面442と、断面S404と、横方向壁405の丸みを帯びた端部451と、面457および458と、小穴411、412および413と、小穴412の放物線形状の基部面412aである。
【0055】
第12図の矢印IXの方向から見た場合、アンカー400は、第9図と同様の立面図を呈する。
【0056】
アンカー300に比して、アンカー400の基部空洞403もまた2個の別個の空洞部分431および432を有するが、第二の空洞部分432は、壁435によって、2個のオリフィス432aおよび432cに分けられている。オリフィス432aおよび432cの各々は、ほぼ矩形の断面形状を有し、そのうち、Z-Z軸に平行な広端は直線状であり、狭端は丸みを帯びている。オリフィス432aおよび432cの比較的大きな寸法の長手壁は、平面Pzに対して平行であり、したがって、平面Pzに対して平行であるところの横方向壁405の長手面に対して平行である。言い換えれば、分離壁435は、平面Pzに対して平行に延びている。第一のオリフィス432aは、Z1側において、各々の縫合糸の第一ストランドを受け入れるようにされており、一方、第二のオリフィス432cは、Z2側において、各々の縫合糸の図示しない第二ストランドを受け入れるようにされている。
【0057】
実際上、第一のストランドは束ねられ、第二のストランドは束ねられるが、、壁435の両側に位置させられた、それぞれのオリフィス432aもしくは432cにおいて、第一は第二から分離される。したがって、重なり合いや摩擦の恐れ、したがってまた、縫合糸を損傷する恐れは、より減少する。
【0058】
したがって、アンカー400は、それぞれ小穴411、412および413に対応する3つの縫合路を有する。各々の縫合路は基端421に向けて開口しており、先端425に向けては開口していない。この第四実施例においては、小穴411、412および413は、縫合路の横方向の空間480を画定しており、その一方で、オリフィス432aおよび432は、縫合路の横部分を形成し、これらは、基端421に向けて開口しているが、先端425に向けては開口していない。壁405は、実質的に平面Pz内に延びており、一方、二つの面457および458は、実質的に平坦で、軸Y-Yに対して垂直である。3つの縫合路に関連付けられた3個の小穴411、412および413の軸は、平面Pz内において、二等辺三角形を規定する。
【0059】
第14図および15図は、縫合アンカー500を示す。
【0060】
アンカー500を構成する要素のうちのあるものは、上記第四の実施例のアンカー400を構成する要素と同様ものであり、それらには、100の位の数字を1増やした参照番号を付してある。それらは、本体502のねじを切った外面520と、基端521と、基部522と、中央スパン部523と、先端部524と、先端525と、横方向空洞504の先端面541および基部面542と、断面S504と、横方向壁505の丸みを帯びた端部551と、面557および558と、小穴511、512および513と、小穴512の放物線形状の基部面512aである。
【0061】
第14図の矢印IXの方向から見た場合、アンカー500は、第9図と同様の立面図を呈する。
【0062】
アンカー300および400に比して、アンカー500の基部空洞503もまた2個の別個の空洞部分531および532を有するが、第二の空洞部分532は、6個の長手オリフィス571a、572a、573a、571c、572cおよび573cを有しており、これらは長手軸X-Xに対して平行に延びている。オリフィスの各々は、円形の横断面を有し、その直径は、図示しない縫合路の直径よりもわずかに大きい。各々の小穴は、2個のオリフィスに対応し、これらは、基部空洞503の第二部分532において、平面Pzに対称に配置され、また、これらのそれぞれの軸は、対応する小穴の軸と交差する。第一のオリフィスは、対応する縫合糸の第一ストランドを受け入れるようにされており、一方、第二のオリフィスは、対応する縫合糸の図示しない第二ストランドを受け入れるようにされている。
【0063】
実際上、アンカー500は、それぞれ小穴511、512および513に対応する3つの縫合路を有する。各々の縫合路は、基端521に向けて開口しており、先端525に向けては開口していない。各々の縫合糸の各々のストランドは、それ自身の貫通オリフィス571a、572a、573a、571c、572cもしくは573cを基部空洞503内に有しており、空洞部分532内のほかの糸に接触することなくそれ自身の縫合路をたどることができる。したがって、重なり合いや摩擦の恐れ、したがってまた、縫合糸の損傷の恐れは、アンカー300および400におけるよりもいっそう減少される。
【0064】
壁505は、実質的に平面Pz内に延びており、一方、二つの面557および558は、実質的に平坦で、軸Y-Yに対して垂直である。3つの縫合路に関連付けられた3個の小穴511、512および513の軸は、平面Pz内において、二等辺三角形を規定する。
【0065】
さらに、第14図および15図に示す、空洞部分532内に位置させられた、分離壁535が規定されており、これは、平面Pzに対して平行に延びており、Z2側に位置させられた3個のオリフィスから、Z1側に位置させられた3個のオリフィスを分離する。この第五実施例においては、小穴511、512および513は横方向の空間580を画定し、一方、オリフィス571a、572a、573a、571c、572c及び573cは、縫合路の横部分を構成し、これらは基端521に向けて開口しており、先端525に向けては開口していない。
【0066】
第16図および17図は、縫合アンカー600を示す。
【0067】
アンカー600を構成する要素のうちのあるものは、上記第一の実施例のアンカー100を構成する要素と同様ものであり、それらには、100の位の数字を5増やした参照番号を付してある。それらは、本体602のねじを切った外面620と、基端621と、基部622と、中央スパン部623と、先端部624と、先端625と、横方向空洞604の先端面641および基部面642と、断面S604と、横方向壁605の丸みを帯びた端部651と、面657および658と、小穴612の放物線形状の基部面612aである。
【0068】
アンカー600の本体602は、上記の実施例におけるよりも直径が小さい。したがって、本例においては、横方向壁605内には2個の小穴が配置されているのみである。そのため、アンカー600は、2本の縫合路を有するのみである。2個の小穴611および613は、横方向壁605内において軸方向にずれている。各々の縫合路は、基端621に向けて開口しており、先端625に向けては開口していない。図示しない縫合路が、それぞれ、小穴611もしくは612内において円弧を形成でき、横方向空洞604および基部空洞603を通って、本体602の外部に延びることができる。2個の小穴611および612の軸Y611およびY612は互いに対しほぼ平行であり、長手軸X-Xに対して垂直で、かつこれに交差する。
【0069】
この第六実施例においては、小穴611および612は横方向の空間680を画定し、一方、縫合路の横部分681および682は、それぞれZ1側およびZ2側にあり、基端621に向けて開口しており、先端625に向けては開口していない。
【0070】
図示しないひとつの変形例に拠れば、先端部における縮径はより緩やかであり。本体602の先端625は、先端部604とは別個の尖端を有していない。
【0071】
図示しない別の変形例に拠れば、基部空洞603は2個の別個の部分を有し、これらは、アンカー300、400および500のいずれかと同様の態様で配置され、2個の小穴611および612および2本の縫合糸しか持たないアンカー600内に配置するのに適している。
【0072】
第18図は、縫合アンカー100および縫合アンカー100を図示しない患者の骨内に設置するための用具Tを示す。
【0073】
実際上、用具Tの長手軸T2は、アンカー100の本体102の基部空洞103内に、回転運動およびトルクを伝えるべく収納される。特に、軸T2の尖端は、六角形および/または正方形の断面を有する基部空洞103内に挿入するのに適している。縫合糸161、162および163はアンカー100内に位置させられ、しかる後に、後者は用具Tの軸T2の末端に載置される。アンカー100の本体102の外面120はねじを切ってあるので、用具Tはドライバーであるのが好ましい。
【0074】
図示しない変形例として、用具は、患者の骨内に、回転運動を付与することによって縫合アンカーを設置するのに適したものであれば、どのようなタイプのものでもよい。そうした用具は、おおむね、単一のアンカー径に適しているが、種々の径の、どのようなタイプのアンカーにも適したものであると有利である。
【0075】
好ましくは、アンカー100、200、300、400、500および600は、ポリマー、特に、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)もしくは金属、特にチタンからなる。材料の強度ならびに尖端を有する形状であるか否かにより、アンカーは、挿入前に作成された骨空洞内に載置されるか、もしくはタッピンねじ式であってよい。
【0076】
好ましくは、アンカーの本体は一体部であり、これにより、製造がより容易になる。
【0077】
ひとつの変形例として、ある種の要素は、アンカー本体にはめ込むか、オーバーモールドされる。この場合、アンカーが、縫合糸を損傷しうる鋭利な縁を持たないよう、注意せねばならない。
【0078】
別の変形例に拠れば、アンカーは、部分的にねじを切られるにすぎない。
【0079】
別の変形例に拠れば、アンカーは、同数の縫合糸を通すための3個を超える数の小穴を有していてよく、これらはアンカー本体内の、横方向壁内において、種々の態様で配置される。要すれば、ひとつまたは他の実施例による形状は小穴の数およびそれらの配置に合わせることができる。各々の縫合糸は、それ自身の縫合路を有している。
【0080】
アンカー400の特殊な変形例に拠れば、壁405および435は、見分けがつかなくともよく、また、小穴411、412および/または413を有していてもよい。同様に、アンカー500についても、壁505および535は、単体として構成されてもよく、また、上記のアンカー400の変形例と同様な形状を有していいてもよい。
【0081】
概して、実施例のいずれにおいても、縫合路は、一方では横方向壁および小穴によって画定され、他方において、横方向の空洞および基部空洞により画定される。これに比肩しうる有効度をもって縫合糸を保護し、その一方で取り扱いが容易で、これらの糸の独立したスライディングを与えるような既存の縫合アンカーは存在しない。
【0082】
本発明によれば、縫合路は、横方向壁の両側に延びており、基部に向けて開口し、先端に向けては開口しない。横方向の空間は少なくとも1本の縫合糸を受け入れることができ、本体の中央スパン部に位置させられ、かつ基準平面Pzを貫通する。具体的には、各々のアンカーは、少なくとも1個の横方向壁を有し、これは、実質的に平面Pz内に延びており、少なくとも部分的に、横方向壁および/または基部空洞内に配置されている。好ましくは、この横方向壁は、上に定義した壁105、205、305、405、505もしくは605であって、小穴を有する。縫合アンカーの形状、特に横方向壁および横方向空間の形状については、本発明の範囲内で種々のものが考えられる。
【0083】
したがって、縫合路の外形ならびにアンカー本体内での配置は以下のようにされる。すなわち、アンカー内で位置決めされた縫合糸は、第一の直線状ストランド、第二の直線状ストランド、および円弧とによってU字状をなし、前記第一の直線状ストランドは、基準面Pzの第一の側Z1において、基部空洞と横方向空洞の両者と係合し、前記第二の直線状ストランドは、第一のストランドに対してほぼ平行でありつつ、基準面Pzの第二の側Z2において、基部空洞と横方向空洞の両者と係合し、前記円弧は、横方向空洞と係合し、かつ基準面Pzの第一の側Z1から第二の側Z2に渡り、第一のストランドと第二のストランドを結びつける。
【0084】
上記種々の実施例の技術的特徴のいくつかもしくはすべては、組み合わせ可能である。したがって、アンカーは、特にコスト、使用の簡便さ、および性能の観点から、特殊な用途に適合されうる。
【0085】
柔組織を修復する間、縫合糸もしくはアンカーの鋭利なないし尖った部分の損傷の恐れは、大いに軽減される。アンカーは、製造が簡単かつ安価であり、かつ小型である。さらに、ねじが切ってあるため、引き抜き張力に対する十分な抵抗を与える。したがって、本発明による縫合アンカーは、患者の骨塊内にしっかりと係留され、もって治癒を促進し、外科医をより安心させるものである。
【符号の説明】
【0086】
100 縫合アンカー
102 長尺の本体
103 基部空洞
104 横方向空洞
105 横方向壁
111 小穴
121 基端
125 先端
131 第一の空洞部分
141 先端面
157 平坦な面
161 縫合糸
161a 第一の直線状ストランド
161b 円弧
161c 第二の直線状ストランド
180 縫合路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端(121;221,321;421;521;621)と先端(125;225;325;425;525;625)とを有する長尺の本体(102;202;302;402;502;602)と、
前記本体内に含まれ、かつ本体の長手軸(X−X)に沿って延びる基部空洞(103;203;303;403;503;603)と、
長手軸(X−X)を横断する第一の軸(Y−Y)に沿って延びる横方向空洞(104;204;304;404;504;604)とを有し、
前記本体(102;202;302;402;502;602)は、基端に向けて開口し、先端に向けては開口しない、それぞれ縫合糸(161,162,163)を受け入れ可能な少なくとも2本の縫合路(180,181,182;280,281,282;380,381,382;480、432a,432c;580,571a,572a,573a,571c,572c,573c;680,681,682)を有し、
前記横方向空洞(104;204;304;404;504;604)には前記基部空洞が開口している、縫合アンカー(100;200;300;400;500;600)であって、
横方向壁(105;205;305;405;505;605)と、
縫合糸(161,162,163)を通すための、各々の縫合路(180,181,182;280,281,282;380,381,382;480、432a,432c;580,571a,572a,573a,571c,572c,573c;680,681,682)のための別個の小穴(111,112,113;211,212,213;311,312,313;411,412,413;511,512,513;611,612)とをさらに有し、
前記横方向壁(105;205;305;405;505;605)は、少なくとも部分的に前記横方向空洞(104;204;304;404;504;604)内に配置され、かつ、長手軸(X−X)および長手軸(X−X)を横断する第二の軸(Z−Z)に沿って延びており、
前記小穴(111,112,113;211,212,213;311,312,313;411,412,413;511,512,513;611,612)は、前記横方向壁(105;205;305;405;505;605)を貫通し、他方、第一の横方向軸(Y−Y)に平行な軸(Y111,Y112,Y113;Y211,Y212,Y213;Y311,Y312,Y313;Y411,Y412,Y413;Y511,Y512,Y513;Y611,Y612)に沿って延びており、その結果、前記アンカー(100;200;300;400;500;600)内にて位置決めされた縫合糸は、
前記長手軸(X−X)に沿って延びた第一の直線状ストランド(161a,162a,163a)と、
前記第一のストランドに平行な第二の直線状ストランド(161c,162c,163c)と、
前記小穴に形成され、前記第一のストランドと第二のストランドを結合する円弧(161b,162b,163b)とによってU字状をなすことを特徴とする縫合アンカー。
【請求項2】
前記横方向壁(105;205;305;405;505;605)は、長手軸(X−X)および第二の軸(Z−Z)を含む平面(Pz)内にて延びており、かつ互いに対して平行かつ第一の軸(Y−Y)に対して垂直な、2つの平坦な面(157,158;257,258;357,358;457,458;557,558;657,658)を有し、前記直線状ストランド(161a,162a,163a、161c,162c,163c)は、これら2つの面に沿って部分的に延びていることを特徴とする請求項1記載のアンカー(100;200;300;400;500;600)。
【請求項3】
前記横方向壁(105;205;305;405;505;605)は、前記横方向空洞(104;204;304;404;504;604)の先端面(141;241;341;441;541;641)から前記基部空洞(103;203;303;403;503;603)の方向に延びていることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載のアンカー(100;200;300;400;500;600)。
【請求項4】
前記横方向壁(105;205)は、前記基部空洞(103;203)内において部分的に延びていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のアンカー(100;200)。
【請求項5】
少なくとも2個の小穴(111,112,113;211,212,213;311,312,313;411,412,413;511,512,513;611,612)は、前記横方向壁(105;205;305;405;505;605)内において、長手軸(X−X)の方向にずれていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のアンカー(100;200;300;400;500;600)。
【請求項6】
少なくとも2個の小穴(111,112,113;211,212,213;311,312,313;411,412,413;511,512,513;611,612)は、前記横方向壁(105;205;305;405;505;605)内において、第二の軸(Z−Z)の方向にずれていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のアンカー(100;200;300;400;500)。
【請求項7】
本体(102;202;302;402;502)は、3本の縫合路(180,181,182;280,281,282;380,381,382;480,432a,432c;580,571a,572a,573a,571c,572c,573c)を含み、前記縫合路は、基端(121;221;321;421;521)に向けて開口し、先端(125;225;325;425;525)に向けては開口しないことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のアンカー(100;200;300;400;500)。
【請求項8】
3つの縫合路(180,181,182;280,281,282;380,381,382;480、432a,432c;580,571a,572a,573a,571c,572c,573c)と関連した3個の小穴(111,112,113;211,212,213;311,312,313;411,412,413;511,512,513)の軸(Y111,Y112,Y113;Y211,Y212,Y213;Y311,Y312,Y313;Y411,Y412,Y413;Y511,Y512,Y513)は、長手軸(X−X)および第二の軸(Z−Z)を含む平面(Pz)内において、二等辺三角形を規定することを特徴とする請求項7に記載アンカー(100;200;300;400;500)。
【請求項9】
基部空洞(103;203;303;403;503;603)は、六角形状の横断面を有する第一の空洞部分(131;231;331;431;531;631)を有することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のアンカー(100;200;300;400;500;600)。
【請求項10】
基部空洞(403)は、2個のオリフィス(432a,432c)を備えた第二の空洞部分(432)を有し、前記オリフィスの各々は、矩形の断面を有し、かつそのオリフィスの最大寸法の長手壁は、対応する横方向壁(405)の長手面に平行であることを特徴とする請求項9に記載アンカー(400)。
【請求項11】
基部空洞(503)は、各々の小穴(511,512,513)に対し、2個のオリフィス(571a,571c,572a,572b,573a,573c)を備えた第二の空洞部分(532)をも有し、前記オリフィスは、長手軸(X−X)および第二の横方向軸(Z−Z)を含む平面(Pz)に関して対称に配置され、各々は円形の横断面を有し、各々のオリフィスの軸は、本体の長手軸(X−X)に対して平行でありかつ第一の横方向軸(Y−Y)に対して垂直であり、その一方で、対応する小穴(Y511,Y512,Y513)の軸と交差することを特徴とする請求項9に記載アンカー(500)。
【請求項12】
各々の小穴(111,112,113;211,212,213;311,312,313;411,412,413;511,512,513;611,612)は、長手軸(X−X)および第一の横方向軸(Y−Y)を含む平面(Py)における断面において、放物線形状の壁をなすことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載のアンカー(100;200;300;400;500;600)。
【請求項13】
本体(102;202;302;402;502;602)は一体であることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載のアンカー(100;200;300;400;500;600)。
【請求項14】
本体はポリマー、特にポリエーテルエーテルケトン(PEEK)よりなることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載のアンカー。
【請求項15】
本体は金属、特にチタン(Ti)よりなることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載のアンカー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−167518(P2011−167518A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31896(P2011−31896)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(511042887)トルニエ インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】