説明

繊維体の自動成形挿入方法および装置

【課題】手作業で行われていた天然綿からの材料の切り取り、培養栓の成形、アンプルへの挿入をすべて自動化して効率を高め、コストを低減し、品質を向上させる。
【解決手段】天然繊維シートSから所定重量分の繊維体を自動で切り出す定量切り出し部1と、切り出した天然繊維を自動で培養栓の形状に成形しアンプルに挿入する成形挿入部2と、アンプルを並べたアンプル台3とをキャビネット4内に収容した培養栓の自動栓詰め装置である。したがって、天然綿からの材料の切り取り、培養栓の成形、アンプルへの挿入をすべて自動化できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、綿などの天然繊維シートから所定重量分を切り出し、成形してアンプル等の容器に詰める繊維体の自動成形挿入方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
微生物などの研究分野においては、特定の微生物を細長いガラス容器(以下「アンプル」という)の底部に挿入し、通気性の栓を詰めて蓋とし、所定の温度や光等の条件下で培養することが行われている。嫌気性等の特殊な微生物を除いて、一般には培養時の呼吸のため酸素の供給を確保する必要があり、一方、容器内に外来の生物等が混入するコンタミネーションを回避しなければならないことから、通気性のある栓、すなわち培養栓によって蓋をすることが必要である。
【0003】
通気性のある栓としては、滅菌処理が容易で安価な天然の綿が好まれる。とくに医療用、生物用としては「青梅綿」の名で市販されている脱脂しない綿がよく使用される。これは脱脂綿では細菌等の粒子の捕捉力が弱く、また綿繊維の脱落によるコンタミネーションが多くなりがちであることなどの理由による。
【0004】
青梅綿は、例えば650mm×1100mmの薄いシートを折り畳んだ形で袋に入れて流通しているのが一般的なので、これを開封して平面に拡げ、ピンセット等で所定量の繊維をつまみとって栓の形状に加工し綿栓とする。従来、これらはすべて手作業である。
【0005】
図22は青梅綿シートを示す斜視図で、(a)は折り畳んだ状態、(b)は平面に開いた状態を示し、流通状態では青梅綿のシートSは折り畳んで樹脂等の袋Eに入れられている。
【0006】
多数のサンプルを同一条件下で培養するには、一定重量の綿を切り出し、これを栓の形状に加工することが必要であるが、天然の綿には密度にむらがあり、シートから一定面積を切り取ったのでは重量が一定とはならない。そこで切り取った重量を電子天秤などの精密天秤で計量しながら、定められた一定重量になるよう綿を追加したり、取りのけたりすることが行われていた。
【0007】
アンプルは、例えば外径8mm、内径6mm、長さ135mmという寸法である。試料はこれの底部、綿栓は中程に挿入される。
【0008】
綿栓Tは図23に示すように細長い円柱状で上部が尖った形状に成形されるのがよい。このように上部が尖っていると、この部分をつまんで綿栓を出し入れするのに都合がよい。綿栓の重量の許容範囲は例えば(63±2)mg、(70±2)mgなどである。
【0009】
従来、綿栓は所定重量の綿の塊を折り曲げ、指先でもんだりしてこの形状としていたので生産性は低く、かつ形状も不揃いであった。
【0010】
特許文献1には、歯科用の綿栓を簡単な型を使用して誰でも容易に製作することのできる綿栓形成器が記載されているが、本発明の綿栓とは目的とする形状が異なる上、金属の針を芯に使用するなど構造も異なっており、上記の綿栓を作る手作業に代替できる技術あるいは装置ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平11−137569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、このようにすべて手作業で行われていたシートからの天然繊維の切り取り、栓の形状への成形、アンプルへの挿入など一連の作業を自動で、効率よく、かつ一定の品質で達成する繊維体の自動成形挿入方法および装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載の本発明は、シートから所定重量だけ切り出された繊維体を円柱状で上端が尖った細長い形状の綿栓に自動成形するとともにその綿栓を容器内に挿入する繊維体の自動成形挿入方法であって、前記繊維体を保持しつつ排気を許容する通気部材上に配置された円筒状の成形パイプに前記シートから所定重量だけ切り取られた繊維体を載置し、第1のプッシャでこの繊維体を前記成形パイプ内に押し込んだ後、この成形パイプの内周面側にその内周面に開口させた複数の小孔から成形パイプの中心軸線を中心とした円周方向に向けて気体を吹き込むことにより、前記成形パイプの内部の繊維体を気流により所定時間回転させて前記繊維体を上端の尖った細長い形状に成形して綿栓とし、ついで前記成形パイプを通気部材上から容器上に相対的に移動し、前記成形パイプの内径に見合った外径を有するパイプ状の第2のプッシャにより前記綿栓を前記成形パイプ内から前記容器内に挿入することを特徴とする繊維体の自動成形挿入方法である。
【0014】
請求項2に記載の本発明は、シートから所定重量だけ切り出された繊維体を円柱状で上端が尖った細長い形状の綿栓に自動成形するとともにその綿栓を容器内に挿入する繊維体の自動成形挿入装置であって、前記所定重量の繊維体が挿入される成形パイプと、その成形パイプの内周面に該成形パイプの中心軸線を中心とした円周方向に気体を吹き出して該気体により前記繊維体を回転させるように開口して設けられた複数の小孔と、前記所定重量の繊維体をこの成形パイプ内に押し込む第1のプッシャと、この成形パイプの一端側に配置されて前記繊維体を前記成形パイプ内に保持しつつ排気を許容する通気部材と、この成形パイプを前記通気部材から前記容器上まで相対的に移動させる移動手段と、前記成形パイプ内で成形された綿栓を前記成形パイプ内から前記容器内に挿入する、成形パイプの内径に見合った外径を有するパイプ状の第2のプッシャとを備えていることを特徴とする繊維体の自動成形挿入装置である。
【0015】
請求項3に記載の本発明は、シート状の天然繊維から所定重量分の繊維体を切り出す定量切り出し部と、切り出された繊維体を培養栓の形状に自動成形して容器に挿入する成形挿入部と、培養を行う容器を並べた容器台と、前記定量切り出し部と前記成形挿入部と前記容器台との間で搬送する搬送手段とを備える繊維体の自動成形挿入装置である。
【0016】
請求項4に記載の本発明は、請求項3の発明において、前記定量切り出し部は、シート状の天然繊維を所定量送り出す送り手段と、送り出されたシートをその状態で保持するクランプと、前記送り出されたシートの一端を掴むチャックと、このチャックをシートから離れる方向に移動させて掴んだシートを切り取るチャックの移動手段と、切り取られたシートの小片の重量を測定する秤量手段と、その秤量手段による測定値と予め決めてある目標値との差から求められる追加すべきシートの小片の重量とこの重量に対する追加すべきシートの大きさとから、追加すべきシートを掴むチャックの位置を決定する演算手段とを更に備えている繊維体の自動成形挿入装置である。
【0017】
請求項5に記載の本発明は、請求項3または4の発明において、前記繊維体の自動成形挿入部は、前記所定重量の繊維体が挿入される成形パイプと、その成形パイプの内周面に該成形パイプの中心軸線を中心とした円周方向に気体を吹き出して該気体により前記繊維体を回転させるように開口して設けられた複数の小孔と、前記所定重量に切り出された繊維体をこの成形パイプ内に押し込む第1のプッシャと、この成形パイプを置く網状体と、この成形パイプを前記網状体から持ち上げて前記容器上まで相対的に移動させる移動手段と、成形パイプ内で成形された綿栓を前記成形パイプ内から前記容器内に挿入するパイプ状の第2のプッシャとを備える繊維体の自動成形挿入装置である。
【0018】
請求項6に記載の本発明は、請求項3ないし5のいずれかの発明において、前記定量切り出し部と前記成形挿入部と前記搬送手段とのすべてが扉のついた1基の密閉式キャビネット内に収容されている繊維体の自動成形挿入装置である。
【0019】
請求項7に記載の本発明は、請求項3ないし6のいずれかの発明において、複数本の容器が1列、または複数列の容器台に並べられ、前記搬送手段の移動先がこれらの容器位置に対応する複数位置選択機能を有するものである繊維体の自動成形挿入装置である。
【0020】
請求項8に記載の本発明は、シート状の天然繊維を所定重量分切り出す繊維体の自動成形挿入方法であって、このシートの一端部における予め定めた所定の面積の範囲を挟持するとともにその挟持した第1の小片を前記シートから切り取り、その切り取った第1の小片を秤量し、第1の小片の重量が所定重量の目標値に対して不足している場合には、不足分に相当する残りのシートの面積を求め、この面積のシートを挟持してその挟持した第2の小片を前記シートから切り取り、この第2の小片を前記第1の小片に加えることを特徴とする繊維体の自動成形挿入方法である。
【0021】
請求項9に記載の本発明は、請求項8の発明において、前記第1の小片と第2の小片とを加えたものを秤量して、なお所定重量の目標値に対する不足分がある場合に、再度同じ手順で第3の小片を前記シートから切り取り、前記第1の小片と第2の小片とに第3の小片を加えることを特徴とする繊維体の自動成形挿入方法である。
【0022】
請求項10に記載の本発明は、天然繊維のシートを所定重量分切り出す繊維体の自動成形挿入装置であって、このシートを所定量送り出す送り手段と、送り出されたシートをその状態で保持するクランプと、前記送り出されたシートの一端を掴むチャックと、このチャックをシートの幅方向に移動させて掴んだシートを切り取るチャックの移動手段と、切り取られたシートの小片の重量を測定する秤量手段と、測定値と目標値との差から求められる追加すべきシートの小片の重量とこの重量に対する追加すべきシートの大きさとから、追加すべきシートを掴むチャックの位置を決定する演算手段とを備えていることを特徴とする繊維体の自動成形挿入装置である。
【発明の効果】
【0023】
本発明の装置および方法によれば、天然繊維シートからの培養栓の形状への成形および容器への挿入など一連の作業を自動化することにより生産効率が向上してコストが低減されるとともに、形状や重量が一定となり、品質も向上するという、すぐれた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明実施例の定量切り出し部を説明する構成図である。
【図2】実施例における定量切り出し部の切り取り台部分の断面図である。
【図3】実施例における切り取り台からシートを突出させた状態の正面図である。
【図4】同じく実施例おけるシートを突出させた状態の正面図である。
【図5】同じく実施例におけるチャックを水平移動させたときの正面図である。
【図6】実施例においてチャックがシートを落下させた状態の説明図である。
【図7】実施例において小片を複数回切り取る手順を説明する説明図である。
【図8】本発明実施例における重量測定結果を示すデータである。
【図9】実施例において繊維体を計量した後成形パイプ内に押し込むまでを説明する説明図である。
【図10】本発明実施例の成形パイプの縦方向の断面図である。
【図11】図10のA−A線に沿う断面図である。
【図12】本発明の成形パイプ内の気流の状態を示す概念図である。
【図13】実施例において成形パイプを成形台からアンプル台まで移動させる状況を示す説明図である。
【図14】実施例おける成形パイプ内の綿栓のアンプル内への挿入を説明する説明図である。
【図15】実施例における綿栓の引き抜き力を示すグラフである。
【図16】本発明第1の実施例の培養栓の自動栓詰め装置を示す正面図である。
【図17】同じく本発明第1の実施例の培養栓の自動栓詰め装置を示す平面図である。
【図18】本発明第1の実施例における成形挿入部を示す正面図である。
【図19】同じく本発明第1の実施例における成形挿入部を示す側面図である。
【図20】本発明第2の実施例の培養栓の自動栓詰め装置を示す正面図である。
【図21】本発明第2の実施例の培養栓の自動栓詰め装置を示す側面図である。
【図22】綿栓の原料である青梅綿シートを示す斜視図である。
【図23】本発明に係わる綿栓の形状を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の繊維体の自動成形挿入装置は、シート状の天然繊維から所定重量分の繊維体を切り出す定量切り出し部と、この切り出された繊維体を培養栓の形状に自動成形して容器に挿入する成形挿入部と、培養を行う容器を並べた容器台と、繊維体をこれら定量切り出し部、成形挿入部および容器台の間で搬送する搬送手段とから構成される。以下本発明の好適な実施例について、図面によりこの順に説明する。
【0026】
図1は本発明実施例の定量切り出し部1を説明する構成図である。定量切り出し部1はシート状の天然繊維を所定量送り出してその天然繊維シートSから小片を切り取ることができるようにシートSを保持する切り取り台10と、切り取り台10の上方に突出したシートSの上部を掴んで千切るチャック(千切りユニット)13と、チャック13を移動させることによりシートSの一部を千切り、秤量のため水平方向に移送する第1の搬送手段14と、秤量装置15とを備える。
【0027】
図2は切り取り台10付近を示す断面図で、この例では天然繊維、たとえば図22(b)に示したように平面状に開いた原料の青梅綿のシートSを縦向きに保持して上昇させる一対の送りロール12(送り手段)と、切り取る際に天然繊維のシートSを挟んで固定するクランプ11を備えている。したがって、定量切り出し部1は、クランプ11による挟み付けを解除した状態で送りロール12を駆動して矢印方向に回転させることにより縦向きのシートSを所定量上昇させ、その状態でクランプ11が矢印方向に接近してシートSを挟み、固定するように構成されている。
【0028】
この例ではシートSを縦向きに上昇させるように構成しているが、シートSを水平方向に送り出すように構成することもでき、その場合も同様に、送りロール12とクランプ11とを制御することによってシートSを所望の長さだけ突出させ、その状態で固定することができる。なお、シートSを挟み込んだクランプ11が平行移動するように構成すれば、クランプ11がシートSを挟んで引き上げることができるので、クランプ11に送りロール12の機能を兼ねさせることもできる。
【0029】
図3はシートSを切り取り台10の上縁から所定寸法aだけ突出させた状態の正面図である。
【0030】
図4はその次の状態を説明する同じく切り取り台10の正面図で、切り取り台10の上方に配置されたチャック(千切りユニット)13およびこのチャック13を水平移動させる横送り機構(第1の搬送手段)14の要部を示している。横送り機構14はボールねじ、サーボモータ等を組み合わせ、チャック13を正確に横移動させて位置を決めることができるように構成されている。なお、チャック13の開閉は、エアシリンダやステッピングモータ、あるいはサーボモータなどのアクチュエータや、これにリンク機構を付加した適宜な開閉機構によって行うように構成すればよい。また横送り機構14による移動制御は、リミットスイッチや近接スイッチ等のセンサと、このセンサの出力信号とチャック13の開閉動作の終了信号などによって動作量やタイミング制御を行えばよい。
【0031】
チャック13は、切り取り台10の上方に突出しているシートSの端部をその表裏両面側から挟み付けて挟持するように構成されている。この図4においてチャック13の先端(左端)はシートSの右端から第2の所定寸法b(切り取り幅)の距離にある。この切り取り幅bは、使用するシートSの平均的な厚さや密度、切り取るべき上下方向の寸法である前記の所定寸法aが判っているので、予め決めておくことができる。
【0032】
続いて図5は横送り機構14によりチャック3を水平移動させたときの正面図である。シートSは天然繊維であるから、チャック13がこれを挟んだまま水平移動すれば挟まれた部分だけが容易に千切られ、(a×b)の面積の小片Pに切り取られる。このときシートSの残りの部分はクランプ11によって押えられている。クランプ11は図示した水平方向のもののほか、切り取り台10から立ち上がる方向で、千切られない部分を押える押さえ部11a(想像線で示す)を設けることも有効である。
【0033】
図6はチャック13が電子天秤などの精密な秤量装置15の上まで水平移動して、掴んでいたシートの小片Pを落下させた状態を示す。
【0034】
元々の青梅綿シートS全体の面積や重量は既知であるが、天然繊維のためその密度や厚みは均一ではない。したがって、突出高さaやチャック13が挟む長さbについて送りロール12、チャック13をそれぞれ数値制御すること等によって正確な値を保持することができても、切り取った小片Pの重量にはばらつきがある。
【0035】
したがって1回のみの切り取りで目標の重量の小片が得られることはほとんど期待できないから、この最初に千切る小片Pについては切り取り量を目標値よりも若干少なめとし、再度チャック13を移動させ、第2の小片Pを切り取って追加するようにすることが好ましい。
【0036】
図7は、一定の高さaに対して、切り取り幅b、b、bを決めて小片P、P、Pを切り出す手順を説明する説明図である。
【0037】
秤量装置15のデータから最初の小片Pの密度を計算する。重量の測定値を切り取り幅bで割れば、幅1mm当たりの重量がわかる。隣接する周囲の部分の密度を同じと仮定して、重量の目標値との差から追加すべき第2の小片Pの切り取り幅bを決定する。いずれも少なめの面積を推定して小片の切り取りを繰り返せば、やがて合計重量は目標値の許容範囲に到達する。
【0038】
本発明者らの実験によれば、早ければ2回、遅くも3回の切り取りを行うことにより、ほぼ確実に目標とする重量の青梅綿を切り出すことができた。
【0039】
図8は、重量の目標値を(70±5)mgとした場合の本発明による青梅綿シートの切り出し結果である。1回目の切り取り幅bの寸法を45mmとし、2回目、3回目で不足量を追加した。20回行ったうち、第19番目の1例のみは1回目で重量が65mgとなり目標下限を満足したが、それ以外の場合ではすべて目標値に未達であり、そのうちの16例は2回目で目標値に到達し、更に他の3例は第3回の、すなわち2回の追加で目標値となった。最大3回の切り取りですべて重量が目標値の範囲内となり、本発明者らの実験した限りにおいては、4回以上切り取らねばならないケースは皆無であった。
【0040】
上記の実施例ではこのように綿を刃物を使わずに千切って切り取るから繊維が切れないので、綿栓として使用した場合にアンプル内への繊維の脱落がない。
【0041】
なお、この実施例ではシートを縦方向に引き上げ、上端を水平方向に切り取る例で説明したが、本発明の定量切り出し部はこれに限定されるものではない。シートを水平方向に送り、これを幅方向に切り取ることも可能であり、このようにすれば送り出しがコンベヤ等で安定して行えるばかりでなく、切り取った小片を秤量装置の上に落下させるのも確実に行うことができる。
【0042】
またチャック13に刃を設けておくなど、刃物を併用することも可能である。したがってシートから小片を切り取る際の移動方向は、シートの幅方向に限るものではなく、シートから離れる方向であればよい。また、小片の密度を実測する代わりにシートの密度を予め求めておき、そのデータを利用して切り取り寸法を決めてもよい。また、言うまでもないが本発明の天然繊維は青梅綿に限定されるものではなく、他のいかなる天然繊維でもよい。
【0043】
なお、以上の例において、例えば切り取りを2回追加して合計3個の小片を1個の綿栓に使用する場合、図7に示したように寸法aは共通であるが、幅方向の長さbはそれぞれ異なるので、2個ないし3個の小片を中心線を一致させるように重ねておくと、後工程で栓の形に成形するのに便利である。
【0044】
繊維体の合計重量が目標値に到達したら、切り取り完了とみなして、秤量装置上に積み重ねられた繊維体を成形台へ移送する。秤量装置、成形台はいずれも位置が決まっているので、移送制御は容易である。なお、移送のために繊維体を持ち上げる機構は、必要に応じて適宜の構成とすることができ、例えば一対の把持爪で掴み上げる機構や真空吸着して持ち上げる機構などを採用することができる。また、移送方向および距離の制御は、切り取り台10から秤量装置15への移送と同様にして行うことができる。
【0045】
図9は繊維体を計量した後、次工程の綿栓への成形のため、成形台23の上に置かれた成形パイプ21上まで搬送し、繊維体Sを千切った小片P(P〜P)を成形パイプ21内に押し込むまでの過程を説明する説明図である。成形台23は、その上面に成形パイプ21を載置する金網などの通気部材を備え、繊維体Sは成形パイプ21内で綿栓の形状に成形される。
【0046】
図9の(a)は前記の秤量装置15に合計3枚の小片P〜Pが載せられた状態を示している。これらの小片P〜Pは、後に説明する第2の搬送手段によって、図9の(b)に示すように成形台23に載っている成形パイプ21の上に移載する。小片P〜Pは中心を合わせて積まれているので、図9の(c)に示すように、この中心を上方から第1のプッシャ22で押すことにより、小片P〜Pを折り曲げるようにして成形パイプ21の内筒211の中へ押し込む。繊維体を中心で2つ折にして挿入する格好になるので、第1のプッシャ22は丸い棒状よりも薄いへら状がよい。
【0047】
前記したように成形パイプ21は成形台23の通気部材の上に載置されるが、この通気部材は成形パイプ21内で回転する繊維体を落下しないよう支持すると同時に、追って説明する圧縮空気を通過させる機能を有する。
【0048】
図10は成形パイプの縦方向の断面図、図11はそのA−A線に沿う断面図である。図に示す成形パイプ21は、内筒211と、これより大径の外筒213とを同一軸線上に配置した二重円筒状に構成されている。これらの内筒211と外筒213とはほぼ同じ長さであって、内筒211の外周面と外筒213の内周面との間には、それらの軸線方向での両端部にOリングなどのシール材214が挟み込まれ、内筒211の外周面と外筒213との内周面との間に密閉空間部が形成されている。
【0049】
その内筒211には、その内外周面に貫通して開口する複数の小孔212が形成されている。これらの小孔212は、内筒211の内周側に、その内周面に可及的に沿って気体を噴射するためのものであって、図10および図11に示す例では、内筒211の直結方向で互いに対向する二箇所に、上下方向に並んでそれぞれ五つ(全体で十個)の小孔212が形成されている。これらの小孔212は、内筒211の半径方向に向かずに、半径方向に対して所定角度傾斜し、内筒211の内周面に沿う気流が生じるように構成されている。特に、内筒211の上下方向でのほぼ中央部から下側に四つの小孔212が直線状に並んで配置され、これと対向する箇所に、他の四つの小孔212が同様に直線状に並んで配置されている。これら合計八つの小孔212の向きは、内筒211の半径線に対して同じ方向に同じ角度傾斜している。
【0050】
これに対して、直線状に互いに接近して並んでする四つの小孔212の上方位置に他の一つの小孔212が形成され、これと対向する位置に、同様に他の一つの小孔212が配置されている。これら上方向に離れた一対の小孔212は、内筒211の半径線に対して、上述した四つもしくは八つの小孔212と同様に傾斜しているのに加えて、幾分下向きとなるように形成されている。このように上側の小孔212の開口方向を下向きにする構成は、本発明者等が実験を重ねることにより見い出した構成であり、天然繊維シートからなる培養栓の一端部を尖塔上に形成することに寄与する構成である。
【0051】
一方、外筒213には、その内周側に気体を供給するための吹き込み管215が接続されている。すなわち、この吹き込み管215から外筒213の内周側に空気などの気体を吹き込むと、その気体は内筒211と外筒213との間の密閉空間部によって前述した各小孔212に分配されて、それらの小孔212から内筒211の内周側に供給され、その結果、内筒211の内周側にその内周面に沿った気流が生起されるように構成されている。したがって、前記密閉空間部は、マニホールドとなっている。
【0052】
図11に矢印で示したように、吹き込み管215から圧縮気体を吹き込むと、内筒211と外筒213とで囲まれる空間を介して内筒211の周壁部に形成されている小孔212から内筒211の内側へ気流が吹き出す。その気流の状態を図12に概念図で示してある。小孔212は、図11に示すような水平面で見ればいずれも内筒211の半径線に対して円周方向に傾斜し、いわゆる斜め方向を向いているから、内筒211の内部には円周方向に回転するらせん気流が発生する。
【0053】
なお、小孔212の数や径、分布などは予め実験等で求めるのがよいが、円周方向に2ないし3箇所、上下にそれぞれ4〜6個程度とし、孔径は例えば1mmである。図11では円周方向に二箇所の例を示している。上下方向に見た場合の小孔212の向きは基本的には水平方向であるが、吹き込まれた圧縮空気は内筒211の上下の開口から噴出するので、孔の向きが水平方向であっても上部の小孔212から噴出した気流は主に上へ、下部の小孔212から噴出した気流は主に下へ向かうことになる。通気部材は例えば金網であって、成形パイプ21を支持するが、気流は自由に通過させることができる。これに対して内筒211の上方向に流れ出る気流に対して、内筒211の上部に形成されている一対の小孔212から吹き出した気体が、下向きに対向し、その結果、上側に流れ出る気流は幾分中心側に絞られることになる。
【0054】
内筒211の内径はアンプルの内径と等しいか、若干細めとする。内径6mmのアンプルに対して、内筒211の内径はやはり約6mmがよい。
【0055】
成形パイプ21内に繊維体を挿入して吹き込み管215から圧縮空気を吹き込むと、元来この種の繊維体は「綿入れ」の着物や布団などの中に詰める目的のものであるので密に圧縮された状態ではなくふわりとしているから、内部の繊維体は気流の方向に従って回転を始め、やがて毎分2000〜3000回転という高速に達し、当初ばらばらだった繊維が絡み合って内筒211の形状に合わせた円筒状となり、回転するにつれて図23で示したような円柱状で上部が尖った形状に成形されて綿栓Tとなる。空気圧は増圧弁を使用して例えば0.6〜0.8MPaに調整する。また成形に要する時間は予め実験により定めることができるので、タイマを設定する。所要時間は、例えば8秒である。このような成形作用は、輪郭を規制した状態で天然繊維の小片Pを回転させることにより、繊維に対して曲げ癖を付ける強制力が作用し、またその過程で繊維同士の絡み合いが生じることによるものと考えられる。また、前述した上側の一対の小孔212が幾分下向きに開口していることが、このような尖った形状に成形することに寄与しているものと考えられる。
【0056】
なお、以上の説明で明らかなように、外筒213は成形には直接関与せず、各止小孔212に対するいわゆるマニホールドの役割をしている。すなわち、内筒211と外筒213とシール材214で形成される密閉空間部が、吹き込み管215から吹き込まれる圧縮空気を複数の小孔212に分配しているのである。
【0057】
図13は、内部に成形された綿栓Tを有する成形パイプ21を成形台23からアンプル台3の所定アンプル31の位置まで、第2の搬送手段25により移動させて綿栓Tをアンプル31内に挿入する状況を示す説明図である。
【0058】
図13の(a)は成形台23上の成形パイプ21内で繊維体から綿栓Tへの成形が完了した状態を示す。図13の(b)は成形を終わった成形パイプ21を第2の搬送手段25で取り上げた状態である。図13の(c)は第2の搬送手段25により、アンプル台3に並べられているアンプル31の上まで移送した状態である。
【0059】
続いて図14はアンプル台3に到着した成形パイプ21内から中にある綿栓Tをアンプル31内に挿入する工程を示す説明図である。前述した図13の(c)に示したように、成形パイプ21が、複数本並んでいるアンプル31の内、綿栓Tを挿入すべきアンプル31の位置に到達したら、この図の(a)から(b)に示すように第2のプッシャ24を下降させて成形パイプ21内の綿栓Tを押し下げ、アンプル31内に挿入する。
【0060】
第2のプッシャ24は綿栓Tの頂部の尖った部分をつぶすことのないよう、綿栓Tの肩の部分を押すようにパイプ状であることが好ましい。なお、成形中も繊維体の上方への飛び出し防止のため、第2のプッシャ24は繊維体のわずか上方で待機していることが望ましい。
【0061】
前記の第1のプッシャ22とこの第2のプッシャ24とはそれぞれ独立の機構でもかまわないが、両者を第2の搬送手段25に組み込んで成形パイプ21と一体になって移動させるようにすると便利である。ただし第1のプッシャ22、第2のプッシャ24はいずれも成形パイプ21の中心軸上にあることが必要であるから、互いに動作する場合に干渉しないよう逃がし機構を設けるか、第1のプッシヤ22が第2のプッシャ24内を貫通できる構造にするなどの工夫が必要である。
【0062】
ちなみに綿栓Tの固さは培養中の空気の流通に関係するが、現実問題としては綿栓Tを取り除くときに必要な引き抜き力の問題もある。通常使用する綿栓Tのガラスアンプルからの引き抜き力は1g程度である。そこで本発明による綿栓の引き抜き力を測定した。図15は実施例における吹き込み空気の空気圧と作用時間とによる引き抜き力の変化を示すグラフである。縦軸は吹き込み空気の空気圧をそれぞれ0.5MPa,0.6MPa,0.65MPa,0.7MPaと変化させたときの引き抜き力(g)で、横軸は作用時間(秒)である。圧力を高めにし、処理時間を十分とることによって小さい引き抜き力が実現できる。
【0063】
本発明の繊維体の自動成形挿入装置は、これまで説明した定量切り出し部、成形挿入部とこれらを接続する搬送手段等をコンパクトに配置することにより実現できる。そして望ましくはこれら定量切り出し部と成形挿入部と搬送手段のすべてを扉のついた1基の密閉式キャビネット内に収容すれば、原料である天然繊維シートの挿入と、容器であるアンプルの出し入れ以外、人手によらずに全て自動で栓詰めが行われるので、清浄な状態で栓の詰まったアンプルを取り出すことができる。
【0064】
アンプル台については特に説明を要しないが、少なくとも1回に装置内に持ち込む原料綿シートから製造できる綿栓の数に見合った本数をX−Y座標軸上に並べ(すなわちマトリックス状に並べ)、X方向は前記の第2の搬送手段を使用し、列の変更であるY方向の移動はアンプル台に設けた列変更手段などを使用すればよい。
【0065】
なお、本発明におけるアンプルとは最初に定義したとおり細長いガラス容器のことであり、寸法例で示したものをはじめ、通常の試験管等を含むものであることは、いうまでもない。以下に本発明の実施例を図面により説明する。
【実施例1】
【0066】
図16は本発明に係る培養栓の自動栓詰め装置の第1の実施例の全体正面図、図17は同じく平面図である。この自動栓詰め装置は、これまで説明した天然繊維の切り取り、成形、アンプル内への挿入を行う定量切り出し部1、成形挿入部2、アンプル台3がキャビネット4内に収容される他、キャビネット4はさらに原料綿シートを装置内に挿入する原料綿シート装入部41、操作用のタッチパネル42、運転状況を知らせるパイロットランプ43、キャスタ等の設けられた脚部44を備える。特に図示しないが、キャビネット4の下部には演算・制御装置等の電気・電子機器が収納される。
【0067】
この実施例では定量切り出し部1、成形挿入部2、アンプル台3がほぼ図の左から右へ直線上に配置されており、工程にしたがって原料綿シートから綿栓へと加工され、アンプルに挿入される。
【0068】
アンプルは図17に示したようにアンプル台3にX方向、Y方向に並べられているが、挿入すべきアンプルの位置を決定するのにX方向については成形挿入部2の第2の搬送手段によってもよいし、アンプル台3自身にX方向の移動機能を持たせてもよい。Y方向の移動はアンプル台3の列変更手段(図示せず)による。いずれにしてもこれらを組み合わせることによりアンプル台3上の複数位置を選択できるから、アンプル台3上に並んでいるすべてのアンプルに順次栓を挿入することができる。
【0069】
キャビネット4の寸法は、正面から見て幅が1900mm、奥行きが900mm、高さが1800mmである。
【0070】
このほか、特に図示しないが、この自動栓詰め装置には、千切った残りや千切り損なった原料綿を回収する回収ボックスや、原料やアンプルの出し入れの際開閉する安全扉、さらにアンプル台上のアンプルがぐらつかないように必要に応じてアンプルを固定するアンプル台クランプなどが備えられていることが好ましい。安全扉の開閉は手動でもかまわないが、開閉状態をセンサで検知して、開のときは電源が切れるよう、安全を図ることが望ましい。
【0071】
図18はこの実施例の成形挿入部2を示す正面図、図19は側面図である。成形工程で圧縮空気を吹き込むエア源216にはフィルタ、ミストセパレータ、増圧弁等が備えられる。
【0072】
図18の左側はロッド22を下降させて繊維体の小片を成形パイプの中に押し込む成形工程、右側はアンプル31の位置に移動してプッシャ24が下降し、綿栓Tをアンプル31内に落下させる挿入工程を示している。
【実施例2】
【0073】
図20は本発明に係る培養栓の自動栓詰め装置の第2の実施例の全体正面図、図21は側面図である。第1の実施例では内部の機器が工程順に配置されていたのに対し、この第2の実施例では定量切り出し部1における原料綿シートの送り出しを水平方向とし、アンプル台3をその下部に配置したため、工程間の移動が直角方向になったり下降があったりするが、全体としてはコンパクトにまとめられており、キャビネット4の寸法は幅が1000mm、奥行きが1250mm、高さが1800mmとなっている。
【符号の説明】
【0074】
1…定量切り出し部、 2…成形挿入部、 3…アンプル台、 4…キャビネット、 10…切り取り台、 11…クランプ、 12…送りロール(送り手段)、 13…チャック(千切りユニット)、 14…第1の搬送手段(横送り機構)、 15…秤量装置、 21…成形パイプ、 22…第1のプッシャ、 23…成形台(通気部材)、 24…第2のプッシャ、 25…第2の搬送手段、 31…アンプル(容器)、 41…原料綿シート装入部、 42…タッチパネル、 43…パイロットランプ、 44…脚部、 211…内筒、 212…小孔、 213…外筒、 214…シール材、 215…吹き込み管、 216…エア源、 E…袋、 P…小片、 S…繊維体、 T…綿栓。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートから所定重量だけ切り出された繊維体を円柱状で上端が尖った細長い形状の綿栓に自動成形するとともにその綿栓を容器内に挿入する繊維体の自動成形挿入方法であって、
前記繊維体を保持しつつ排気を許容する通気部材上に配置された円筒状の成形パイプに前記シートから所定重量だけ切り取られた繊維体を載置し、
第1のプッシャでこの繊維体を前記成形パイプ内に押し込んだ後、
この成形パイプの内周面側にその内周面に開口させた複数の小孔から成形パイプの中心軸線を中心とした円周方向に向けて気体を吹き込むことにより、前記成形パイプの内部の繊維体を気流により所定時間回転させて前記繊維体を上端の尖った細長い形状に成形して綿栓とし、ついで前記成形パイプを通気部材上から容器上に相対的に移動し、
前記成形パイプの内径に見合った外径を有するパイプ状の第2のプッシャにより前記綿栓を前記成形パイプ内から前記容器内に挿入する
ことを特徴とする繊維体の自動成形挿入方法。
【請求項2】
シートから所定重量だけ切り出された繊維体を円柱状で上端が尖った細長い形状の綿栓に自動成形するとともにその綿栓を容器内に挿入する繊維体の自動成形挿入装置であって、
前記所定重量の繊維体が挿入される成形パイプと、
その成形パイプの内周面に該成形パイプの中心軸線を中心とした円周方向に気体を吹き出して該気体により前記繊維体を回転させるように開口して設けられた複数の小孔と、
前記所定重量の繊維体をこの成形パイプ内に押し込む第1のプッシャと、
この成形パイプの一端側に配置されて前記繊維体を前記成形パイプ内に保持しつつ排気を許容する通気部材と、
この成形パイプを前記通気部材から前記容器上まで相対的に移動させる移動手段と、
前記成形パイプ内で成形された綿栓を前記成形パイプ内から前記容器内に挿入する、成形パイプの内径に見合った外径を有するパイプ状の第2のプッシャと
を備えていることを特徴とする繊維体の自動成形挿入装置。
【請求項3】
シート状の天然繊維から所定重量分の繊維体を切り出す定量切り出し部と、
切り出された繊維体を培養栓の形状に自動成形して容器に挿入する成形挿入部と、
培養を行う容器を並べた容器台と、
前記定量切り出し部と前記成形挿入部と前記容器台との間で搬送する搬送手段と
を備える繊維体の自動成形挿入装置。
【請求項4】
前記定量切り出し部は、シート状の天然繊維を所定量送り出す送り手段と、
送り出されたシートをその状態で保持するクランプと、
前記送り出されたシートの一端を掴むチャックと、
このチャックをシートから離れる方向に移動させて掴んだシートを切り取るチャックの移動手段と、
切り取られたシートの小片の重量を測定する秤量手段と、
その秤量手段による測定値と予め決めてある目標値との差から求められる追加すべきシートの小片の重量とこの重量に対する追加すべきシートの大きさとから、追加すべきシートを掴むチャックの位置を決定する演算手段と
を更に備えている請求項3に記載の繊維体の自動成形挿入装置。
【請求項5】
前記繊維体の自動成形挿入部は、
前記所定重量の繊維体が挿入される成形パイプと、
その成形パイプの内周面に該成形パイプの中心軸線を中心とした円周方向に気体を吹き出して該気体により前記繊維体を回転させるように開口して設けられた複数の小孔と、
前記所定重量に切り出された繊維体をこの成形パイプ内に押し込む第1のプッシャと、
この成形パイプを置く網状体と、
この成形パイプを前記網状体から持ち上げて前記容器上まで相対的に移動させる移動手段と、
成形パイプ内で成形された綿栓を前記成形パイプ内から前記容器内に挿入するパイプ状の第2のプッシャと
を備える請求項3または4に記載の繊維体の自動成形挿入装置。
【請求項6】
前記定量切り出し部と前記成形挿入部と前記搬送手段とのすべてが扉のついた1基の密閉式キャビネット内に収容されている請求項3ないし5のいずれかに記載の繊維体の自動成形挿入装置。
【請求項7】
複数本の容器が1列、または複数列の容器台に並べられ、前記搬送手段の移動先がこれらの容器位置に対応する複数位置選択機能を有するものである請求項3ないし6のいずれかに記載の繊維体の自動成形挿入装置。
【請求項8】
シート状の天然繊維を所定重量分切り出す繊維体の自動成形挿入方法であって、
このシートの一端部における予め定めた所定の面積の範囲を挟持するとともにその挟持した第1の小片を前記シートから切り取り、
その切り取った第1の小片を秤量し、
第1の小片の重量が所定重量の目標値に対して不足している場合には、不足分に相当する残りのシートの面積を求め、
この面積のシートを挟持してその挟持した第2の小片を前記シートから切り取り、
この第2の小片を前記第1の小片に加える
ことを特徴とする繊維体の自動成形挿入方法。
【請求項9】
前記第1の小片と第2の小片とを加えたものを秤量して、なお所定重量の目標値に対する不足分がある場合に、再度同じ手順で第3の小片を前記シートから切り取り、前記第1の小片と第2の小片とに第3の小片を加えることを特徴とする請求項8に記載の繊維体の自動成形挿入方法。
【請求項10】
天然繊維のシートを所定重量分切り出す繊維体の自動成形挿入方法であって、
このシートを所定量送り出す送り手段と、
送り出されたシートをその状態で保持するクランプと、
前記送り出されたシートの一端を掴むチャックと、
このチャックをシートの幅方向に移動させて掴んだシートを切り取るチャックの移動手段と、
切り取られたシートの小片の重量を測定する秤量手段と、
測定値と目標値との差から求められる追加すべきシートの小片の重量とこの重量に対する追加すべきシートの大きさとから、追加すべきシートを掴むチャックの位置を決定する演算手段と
を備えていることを特徴とする繊維体の自動成形挿入方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−67138(P2011−67138A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−221209(P2009−221209)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(593016444)三和システムエンジニアリング株式会社 (12)
【出願人】(503359821)独立行政法人理化学研究所 (1,056)
【Fターム(参考)】